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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】歯科処置
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
G06T1/00 290Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507148
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022063289
(87)【国際公開番号】W WO2023011776
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】21190218.4
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17/395,689
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】キューネル-ズマン、フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】スキャンデラ、サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】フィッツェ、トーマス
【テーマコード(参考)】
5B057
【Fターム(参考)】
5B057AA07
5B057BA23
5B057CA01
5B057CA13
5B057CA16
5B057CB13
5B057CB16
5B057CD03
5B057CD05
5B057DA16
5B057DB03
5B057DB06
5B057DB09
(57)【要約】
本教示は、デジタル歯科印象を処理するための方法に関し、本方法は、デジタル歯科印象の画像を表示することと、ここにおいて、画像は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表す陰影付き領域と、境界内に取り囲まれた陰影付き領域と、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表す陰影なし領域と、ここにおいて、陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、を備え、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、ストロークの完了に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することとを備える。本教示はまた、デジタル3次元形状を処理するための方法、歯科処置支援システム、使用、及びコンピュータソフトウェア製品に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル陰影付き領域を作成又は縮小するためのコンピュータ実施方法であって、前記デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、前記デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、前記陰影なし領域及び前記デジタル陰影付き領域は、前記境界によって互いに分離され、前記方法は、
-入力インタフェースを介して、前記デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、前記ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、ここで、前記ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の前記検出は、
-前記ストロークのそれ自体との又は前記デジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-前記交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、前記取り囲まれた領域は、前記アウトラインの一部によって、又は前記アウトラインの一部と前記境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、前記アウトラインの一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、
-前記アウトラインと前記境界との間に複数の交点を決定することと、
-前記複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の前記複数の交点の間にある前記境界に沿った距離を計算することと、ここで、前記距離は、所定の点から開始して前記境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された前記距離を前記境界の総距離と相対的に比較することと、
-前記取り囲まれた領域を前記比較から決定することとを更に伴い、
-陰影付き領域になるように前記取り囲まれた領域を塗りつぶすこと、又は陰影なし領域になるように前記取り囲まれた領域を消去することのうちのいずれかを行うことによって、前記ストロークの完了に応答して、前記デジタル陰影付き領域及び/又は前記陰影なし領域を変更することと
を備える、方法。
【請求項2】
前記方法は、デジタル歯科印象を処理するために使用され、前記デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、前記デジタル陰影付き領域は、前記口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、前記陰影なし領域は、前記口腔解剖学的構造の前記歯科処置に関連しない部分を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自己交差する前記ストロークによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、前記アウトラインの先頭部分又は点と前記アウトラインの軌跡部分は点との間の交差を検出することを伴う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アウトラインの前記一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、前記アウトラインと前記ストロークとの間の交差を検出することを伴う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記相対比較は、以下の式を使用することなどによって、前記境界の前記総距離の分率として、計算された前記距離について定義された閾値を使用して実行され、
【数1】
dは、計算された前記距離であり、Lは、前記境界の前記総距離であり、xは、所定の数である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
各交差対は、1つの進入交点及び1つの退出交点を備え、前記進入交点は、前記アウトラインに沿った第1の方向を考慮して前記アウトラインが前記デジタル陰影付き領域に入る交点であり、前記退出交点は、同じ第1の方向を考慮して前記アウトラインが前記デジタル陰影付き領域を去る交点であり、前記第1の方向は、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかであり、各交差対の前記交点は、前記第1の方向で考慮されたときは前記アウトラインに沿った連続する交点である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ストロークは、前記デジタル陰影付き領域を拡大するための描画ストロークであり、各交差対は、それぞれの前記退出交点のうちの1つとその連続する進入交点とによって形成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ストロークは、前記デジタル陰影付き領域を低減するための消去ストロークであり、各交差対は、それぞれの前記進入交点のうちの1つとその連続する退出交点とによって形成される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
各交差対についての計算された前記距離dは、以下の基準を満たし、
【数2】
セクション決定方向は、前記所定の方向であり、それは、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかであり、do→iは、前記退出交点から開始して前記進入交点に向かって測定され、di→oは、前記進入交点から開始して前記退出交点に向かって測定される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
-前記デジタル歯科印象に基づいて、処理されたデジタル歯科印象を生成すること
も備え、前記処理されたデジタル歯科印象は、変更された前記デジタル陰影付き領域及び/又は変更された前記陰影なし領域の情報を含む、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段を備えるシステム。
【請求項12】
適切な1つ以上のコンピューティングユニットによって実行されると、前記コンピューティングユニットのうちの任意のものに、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータソフトウェアプログラム、又は前記コンピュータソフトウェアプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
デジタル解剖学的形状などのデジタル形状を処理するためのトリガロジックであり、前記トリガロジックは、
-ストロークのそれ自体との又は境界内に取り囲まれた陰影付き領域との交差を検出することと、ここにおいて、前記ストロークは、アウトライン内に包含され、
-前記交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することと
を行うように構成され、前記取り囲まれた領域は、前記アウトラインの一部によって、又は前記アウトラインの一部と前記境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、前記アウトラインの一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出のために、前記トリガロジックは、
-前記アウトラインと前記境界との間に複数の交点を決定することと、
-前記複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の前記複数の交点の間にある前記境界に沿った距離を計算することと、ここで、前記距離は、所定の点から開始して前記境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された前記距離を前記境界の総距離と相対的に比較することと、
-前記取り囲まれた領域を前記比較から決定することと
を行うように構成される、トリガロジック。
【請求項14】
歯科オブジェクトを生産するために請求項10において生成されるような前記処理されたデジタル歯科印象の使用。
【請求項15】
請求項10において生成されるような前記処理されたデジタル歯科印象を記憶するデータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、例えば、修復などの歯科処置を計画及び実行する際に、歯科医師を支援するためのコンピュータ実施方法及び製品に関する。より具体的には、本教示は、歯科処置計画システム用のユーザインタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科修復などの歯科処置は、患者の欠損又は損傷した歯科構造の機能、完全性、又は形態のうちのいずれか1つ以上を修復するために使用される治療である。歯科構造又は歯の損傷又は喪失は、例えば、齲蝕又は外傷に起因して発生する場合がある。歯科修復はまた、例えば歯科インプラントによる、そのような構造の置換を含み得る。コンピュータ支援システムは、人工歯科構造の設計及び/又は製造のために存在する。それ故に、そのような置換構造は、コンピュータ支援設計(「CAD」)ソフトウェアを使用して設計することができる。頻繁に、設計された構造は、従って、コンピュータ支援製造(「CAM」)システムを使用して製造される。
【0003】
しばしば、クラウン又はブリッジなどの歯科置換物は、歯科インプラントなどの1つ以上のフィクスチャを使用して、所望の口腔解剖学的位置に取り付けられる。フィクスチャの適切な位置を位置特定することは、歯科置換物の正確な配置のために重要であり得る。外科用ガイドなどのテンプレート構造は、インプラント作業中の当て推量を最小限に抑えるのに役立てるために一般に使用される。外科用ガイドなどのテンプレートは、患者の口腔内解剖学的構造の表面を複製するように設計され、このことから、それらは、歯科医師が所望の精度でインプラントを骨にねじ込むのを支援するように設計される。患者の顎上にテンプレートを配置した後、医師は、テンプレートのスリーブを使用して、外科用器具を適切な位置に誘導するのを助け、このことから、インプラントの適切な配置を達成することができる。そのようなテンプレートは、患者の口腔解剖学的構造の印象を取ることによって作成することができる。歯科印象は、物理的であり得るか、又は例えば、患者の口腔解剖学的構造、例えば、所望の外科的インプラント部位の口腔内スキャンを介して捕捉されたデジタル印象であり得る。歯科医師が、CADシステム、例えばコンピュータ化されたインプラント計画システムを使用して、デジタル歯科印象に対して手動調整を行う可能性がしばしばある。そのような調整は、テンプレートサイズを特定の方向に拡大することを含み得るか、又はサイズを低減することさえ含み得る。これらの変更は、マウス又はトラックボールなどの入力デバイスに接続されたデスクトップコンピュータを使用して行うことができる。より最近では、タッチベースのユーザインタフェースの使用は、ユーザにより高い携帯性及び使用の利便性を与えることができるため、普及してきている。タッチベースのインタフェースはまた、CADレイアウトに対する調整を行う際に、そのような調整がマウス及び/又はトラックボールなどの従来の入力デバイスと比較して細かく行われない場合があるので、課題をもたらす可能性がある。更に、リアルタイムで行うことができる調整は、歯科医師にとってより対話的であり得る。そのような対話的調整は、時間を節約し、適切な歯科オブジェクトをもたらすことができる歯科印象を歯科医師が決定するためのより高い柔軟性及び使いやすさを提供することができる。しかしながら、リアルタイムで視覚的要素、特に3D形状の計算集約的な処理を実行することは、課題であり得る。
【0004】
本出願人は、歯科処置を支援するための改善された方法及び製品が必要であることを認識した。
【発明の概要】
【0005】
前述に関連する制限のうちの少なくともいくつかは、添付の独立請求項の主題によって克服することができる。追加の有利な代替形態のうちの少なくともいくつかは、従属請求項に概説されるであろう。
【0006】
第1の観点から見ると、デジタル歯科印象を処理するためのコンピュータ実施方法を提供することができ、デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、本方法は、
-メモリ位置に、デジタル歯科印象を提供することと、
-表示デバイスを介して、デジタル歯科印象の画像を表示することと、ここにおいて、画像は、
○陰影付き領域と、ここで、陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、
○陰影なし領域と、ここで、陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表し、陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、
を備え、
-入力インタフェースを介して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、
-ストロークの完了に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備える。
【0007】
本出願人は、リソース集約的なアルゴリズムを連続的に処理すること、又はユーザが陰影付き領域及び/又は陰影なし領域に対して任意の編集を実行することを終了するのを待つのではなく、ちょうど必要になったときに、ある特定のアルゴリズムの実行をトリガするためにトリガロジックを活用することができることを認識した。故に、CADシステムなどの対話型プラットフォームで使用されるとき、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域の変更を、従来の解決策と比較してより速いフレームレートでユーザに示すことができるように、より速い処理を達成することができる。ストローク完了が検出されると、トリガロジックがトリガされる。
【0008】
「ストロークの完了」又は「ストローク完了」は、ストロークがそれ自体と交差するか、又は陰影付き領域と交差するときの、ストロークの進行中のインスタンス又は発生を指す。このことから、ストローク完了は、ストロークのそれ自体との交差を指し得るか、又はストロークの陰影付き領域との交差であり得るか、のうちのいずれかであり得る。好ましくは、ストローク完了は、2つの異なる位置におけるストロークの陰影付き領域との交差である。より好ましくは、取り囲むストロークの完了は、ストロークに起因して又はストロークに応答して、完全に囲まれた領域の形成を検出することを含む。このことから、好ましくは、ストローク完了は、取り囲まれた領域を形成する「取り囲まれたストロークの完了」であることが。取り囲まれた領域の完了の検出は、ちょうど必要とされ得るときに、穴塗りつぶしアルゴリズム又は島消去アルゴリズムなどの特定のアルゴリズムを実行することによって、処理要件を更に低減することができる。
【0009】
例えば、取り囲まれた領域を検出するために、取り囲まれた領域がストロークのエッジによって完全に形成されるかどうかが検出され得る。ストロークのそのような自己交差は、ストロークの先頭端部が同じストロークの任意の他の部分と交わるか又は交差するときに発生し得る。例えば、ユーザがユーザ入力を介してループを描画するとき、ブラシ先端は、その以前に描画された軌跡と交わり得、このことから、閉じた形状を形成し得る。「先頭」端部又は部分とは、ストロークの最も最近に描画された端部又は部分を意味する。このことから、完了されたストロークを見るとき、先頭端部は、ストロークが終了した場所、例えば、対応するユーザ入力が停止した地点、又はユーザがブラシ若しくは消しゴムを描画から離した地点に対応するストロークの部分であろう。ストロークの残りの部分は、同じストロークの軌跡部分、即ち、ストロークが開始された部分、及び/又は先頭部分に到達するより前にストロークが実行された部分とみなされ得る。当業者は、これらの用語が、本明細書では、理解を容易にするために相対的な意味で使用されることを認識されたい。これらの用語は、このことから、本教示の範囲又は一般性を限定するものとみなされるべきではない。自己交差するストロークは、例えば、陰影なし空間内に、1つ以上の陰影付き「島」又は孤立した陰影付き領域を形成するために使用され得る。
【0010】
同様に、取り囲まれた領域を検出するために、取り囲まれた領域がストロークのエッジの一部分と陰影付き領域の境界のセクションとによって完全に形成されるかどうかが検出され得る。これは、ブラシストロークが少なくとも2つの位置において陰影付き領域と交差し、そのため、取り囲まれた領域がストロークのアウトライン又は外周の一部と陰影付き領域の境界の一部との間に形成されるときに起こり得る。描画が描画モードにあるか、消去モードにあるかに応じて、取り囲まれた領域は、陰影なし領域の一部又は陰影付き領域の一部のうちのいずれかであり得る。
【0011】
本明細書で使用される「ストローク」という用語は、ユーザ入力に応答して描画されるコンピュータ化されたトレースを指す。故に、本明細書で言及するストロークは、例えば、陰影付き領域の形状又は領域を描画するときに行われるブラシのストロークであり得るか、又は陰影付き領域の少なくとも一部を消去するために行われる消去ストロークであり得る。ストロークは、このことから、陰影付き領域又は陰影なし領域中のうちのいずれかで開始され得る。当業者は、ストロークが、例えば、描画又は消去のためにユーザによって選択されたブラシ幅又は消しゴム幅にそれぞれ対応する幅又は太さを有することができることを認識されたい。ストロークは、ユーザ入力を介してユーザによって描画された長さに依存する長ささえ有し得る。長さは、完全に直線であり得るか、又は不均一若しくは湾曲し得る。同様に、ストローク幅は、ストロークの長さにわたって一定であり得るか、又は例えば、ストローク中にブラシ角度若しくは消しゴム角度が変化するかどうかに応じて、長さに沿った1つ以上の位置において変化し得る。ブラシストロークは、形状を描画するためにユーザによって選択される色で示され得る。例えば、陰影付き領域を編集するとき、ブラシストロークは、陰影付き領域と同じ色、又は陰影付き領域と同様の色を有し得る。場合によっては、ユーザが、進行中のブラシストロークを事前描画された形状、例えば陰影付き領域と区別することが可能となるように、ストロークは、事前描画された形状と比較して僅かに異なる色又は陰影を提供され得る。ストロークが完了した後、事前描画形状と同じ色を、全体として、又は有効とみなされるストロークの部分に対してだけ、のうちのいずれかで提供され得る。
【0012】
幅と長さを有するストロークは、ストロークの幅と長さによって決定されるアウトライン又は外周を有すべきことを更に認識されたい。このことから、理解のために、ストロークの軌跡を円で囲んで包含する線として、アウトラインを視覚化することができる。視覚要素の計算に関して、アウトラインは、ストロークの一連の最外ピクセル又はその座標を指し得る。このことから、ストロークは、アウトライン内に完全に包含されるものとして視覚化することができる。故に、ストローク又はその特定の部分の幅及び長さはまた、前記ピクセルのアウトラインを使用して(例えば、アウトライン上の2点間の距離測定によって)決定することができる。
【0013】
「デジタル歯科印象」は、口腔解剖学的構造、例えば、歯科構造を表す任意の適切な3次元(「3D」)モデル又はデータセットを指す。例えば、デジタル歯科印象は、三角形の3D点群又は3D表面メッシュ、例えば、隣接する点に対する近傍情報を有するメッシュによってデジタル的に表される口腔解剖学的構造のものであり得る。本明細書で開示するトリガベースの手法は幾何学的手法であるため、任意の特定の種類のモデル又はデータ構造に限定されない。本教示の態様は、幾何学的概念に関し、説明されるべきいかなる特定の種類のモデル又はデータ構造も必要としないことを認識されたい。モデル又はデータ構造は、コンピュータが態様の計算を実現することが可能となる方法を定義する単なるコンピュータ化された記述である。しかし、本明細書で説明するような幾何学的手法は、それ自体で、包括的な概念を説明するのに十分である。それは、手法を計算するのに適した任意のモデル又はデータ構造を、本明細書で説明する発明の考えを適用するために使用することができることを意味する。デジタル歯科印象は、1つ以上のデータセットの形態であり得る。故に、デジタル歯科印象は、複数のコンピュータ化された画像、例えば、3Dスキャンデータ若しくは3Dスキャン画像若しくは複数のデジタル写真の形態であり得るか、又は複数のコンピュータ化された画像を提供するために使用され得る若しくは複数のコンピュータ化された画像を提供することが可能であり得るか、のうちのいずれかであり得る。デジタル歯科印象は、患者に関連する歯の幾何学的形状を示すデータベースなどのメモリ位置に提供され得る。デジタル歯科印象は、歯科カメラ若しくは口腔内スキャナなどの口腔スキャナ、及び/又はX線システム、及び/又はCTシステムなどの任意の1つ以上の撮像システムを使用して実行される1つ以上の測定を介して生成され得る。このことから、場合によっては、例えば、歯科状況の場合、デジタル歯科印象は、口腔スキャナを用いて記録され得る。記録は、複数の視界及び/又は深度、例えば、咬合方向、舌側方向、及び/又は唇側方向のうちの任意の1つ以上から歯科構造を捕捉し得る。デジタル歯科印象は、例えば、限定されないが、深度マップ、ファセット情報に基づく疑似画像、又は他のマルチアングル画像を含む、3Dオブジェクトの複数の2D表現として、任意の適切なフォーマットであり得る。3Dオブジェクトの3D表現のいくつかの非限定的な例は、体積表現、点群、プリミティブベースのモデル、又はメッシュを含む。
【0014】
デジタル歯科印象などの仮想モデルは、医師が、従来の物理的石膏モデルと同様の形で、コンピュータシステムを介して個々の患者の修復物及び/又は口腔内を調査することを可能にすることができる。口腔内の3Dモデルはまた、患者の特定の歯科問題に対処するときに、医師が方法又は手法を調査することを可能にすることができる。モデルはまた、例えば、歯科問題を改善するために、補綴物、歯科ブラケット、アライナ、等などの物理的実体の設計に使用され得る。例えば、歯科補綴学では、患者の歯の3Dモデルは、口腔内の物理的モデルを製造するための、並びに/又はコーピング及び/若しくは補綴物を設計及び製造するための機械加工データを提供するために使用され得、その一方で、歯列矯正学では、患者の歯の3Dモデルは、歯科用具、例えば、歯列矯正ブラケット及び/若しくはアライナが設計及び製造されることを可能にするように、並びに/又は治療を設計するために操作され得る。
【0015】
「歯科構造」という用語は、自然及び/又は人工の口腔解剖学的構造に関連する任意の1つ以上の3次元オブジェクト又は口腔内幾何学的形状を指す。この用語は、このことから、歯列、歯科修復物、それらの置換物、等などの任意の1つ以上の物理的オブジェクトを含み得る。いくつかの非限定的な例として、歯科構造は、1つ以上の歯、並びに/又は挿入されるべき修復物の直近の周囲、並びに/又は挿入されるべき修復物及び/若しくは修復物自体の周りの口腔内のより大きいエリアさえ指し得る。故に、歯科構造は、歯科状況であり得るか、又は歯科修復物であり得るか、又はそれらの組み合わせでさえあり得る。
【0016】
「入力インタフェース」は、ユーザ入力が受信されるハードウェア及び/又はソフトウェアインタフェースであり得る。それ故に、入力インタフェースは、ヒューマンマシンインタフェース(「HMI」)の一部であり得る。入力インタフェースは、故に、例えば、コンピュータマウス、トラックボール、グラフィックスタブレット、タッチ感応表面、又はユーザ入力を登録及び/若しくは受信するためのこれらの若しくは他の適切なデバイスのうちの1つ以上の組み合わせの形態でさえあり得る。
【0017】
「表示デバイス」は、デジタル歯科印象の1つ以上の斜視図を、例えば1つ以上の画像の形態で、又は映像として視覚的に表示することが可能な任意のデバイスを指す。それ故に、表示デバイスは、CRT、LCD、LED、又はOLED画面を有するモニタなどのコンピュータ画面であり得る。場合によっては、表示デバイスは、拡張現実(「AR」)ユニットでさえあり得るか、又はそれを備え得る。場合によっては、表示デバイスは、HMIの一部であり得る。表示デバイスは、1つ以上のコンピューティングユニットを備え得、並びに/又は表示デバイスは、ワイヤード及び/若しくはワイヤレス様式で1つ以上のコンピューティングユニットに接続可能であり得る。表示デバイスは、コンピューティングユニットの一部でさえあり得、例えば、表示デバイスは、タブレットコンピュータ又はスマートフォンなどのモバイルデバイスの画面であり得る。そのような場合、入力インタフェースは、モバイルデバイスのタッチ感応表面を備え得る。このことから、場合によっては、入力インタフェース及び表示デバイスは、同じユニットの一部であり得ることを認識されたい。
【0018】
「陰影付き領域」は、歯科処置に関連する幾何学的形状又は領域、例えば歯科処置又はオブジェクト中に含まれるべき領域を指す。例えば、陰影付き領域は、外科用ガイドが配置されるべき歯科領域のエリアを表し得る。追加として又は代替として、陰影付き領域は、特定の歯科処置、例えば、歯冠の研磨が実行されるべき領域を表し得る。そのような場合、歯科医師又はユーザが最終確認を提供すると、歯科処置は、選択された領域に対応する歯科領域に対して自動的に実行され得る。陰影付き領域は、規則的な形状であり得るか、又は不規則な形状を有し得る。特に歯の幾何学的形状などの3D形状の文脈における陰影付き領域は、ほとんどの場合、3D幾何学的形状でもあることを認識されたい。場合によっては、画像は、互いに分離された複数の陰影付き領域さえ備え得る。そのような分離された陰影付き領域は、同じ歯科処置若しくはオブジェクト、又は別個の処置若しくはオブジェクトに対応し得る。陰影付き領域の各々は、境界、例えば境界領域又は規則的若しくは不規則的形状の線内に取り囲まれ得るか又は包含され得る。
【0019】
上記から、「陰影なし領域」は、歯科処置又はオブジェクトに関連しない幾何学的形状又は領域、例えば歯科処置中に含まれるべきでない領域を指すことを認識されたい。例えば、陰影なし領域は、外科用ガイドが覆うべきでない歯科領域のエリアを表し得る。追加として又は代替として、陰影なし領域は、特定の歯科処置が回避されるべき領域、例えば、研磨又は洗浄されるべきでないエリアを表し得る。陰影なし領域は、陰影付き領域の境界を介して陰影付き領域から分離される。複数の陰影付き領域がある場合、陰影なし領域は、それぞれの陰影付き領域から各陰影付き領域の境界を介して分離される。陰影付き領域及び陰影なし領域は、このことから、互いに相互排他的であるとみなすことができる。
【0020】
1つ以上の陰影付き領域が、例えばタグ又は注釈データとして、提供されたデジタル歯科印象中に含まれ得るか、又は陰影付き領域は、歯科印象をメモリ位置中にロードした後に生成されている場合があり得る。例えば、場合によっては、最初に、デジタル歯科印象は、いかなる陰影付き領域も全く備えない場合がある。陰影付き領域は、このことから、ユーザによって手動で追加されている場合があり得、及び/又は少なくとも部分的に自動的に生成されている場合があり得る。自動生成は、デジタル歯科印象から特徴を自動的に認識し、陰影付き領域を自動的にマーキングするコンピューティングユニットを伴い得る。場合によっては、ユーザは、自動生成より前又は後に、陰影付き領域を編集している場合がある。
【0021】
「歯科処置」は、例えば口腔解剖学的構造の部分に対して実行される必要がある処置を指す。非限定的な例として、歯科処置は、フライス加工、研削、研磨、及び印刷のうちの任意の1つ以上であり得る。場合によっては、歯科処置は、例えば歯科修復物に関連する任意の製造又は機械加工処置であり得る。場合によっては、歯科処置は、デジタル歯科処置、例えば、特定のアルゴリズムについての入力を定義するための又は歯科幾何学的形状上のある特定の関心部分をマークするための1つ以上の前処理及び/又は選択ステップであり得るか、又はそれを備え得、それは、次いで、ソフトウェア中で後に処理されるであろう。
【0022】
態様によると、歯科処置を実行するために、及び/又は歯科オブジェクトを生産するために、本方法は、少なくとも部分的に自動的に工具を選択することを備え得る。「工具」又はより具体的には「機械加工工具」という用語は、本明細書では、材料除去に適合された任意の工具を含むように交換可能に使用され得、とりわけ、例えば面取り盤、研削盤、又はドリルなどの機械的工具、例えばレーザドリル又はカッターなどのレーザ工具、例えば超音波カッターなどの超音波工具、等を含み得る。場合によっては、そのような工具の機械加工経路及び材料除去特性は、例えば、コンピュータシステム又は他の自動化された手段によって制御することができる。
【0023】
場合によっては、置換物又は修復物などの歯科オブジェクトは、処理されたデジタル歯科印象に応答して歯科処置を使用してCAM研削機械によってブランクから完全に自動的に生産することができる。追加として又は代替として、付加製造などの他の技法が使用され得る。これは、ユーザの介入又は対話なしに歯科オブジェクトを完全に自動的に生産することができるという利点を有することができる。
【0024】
「陰影付き領域を変更する」とは、陰影付き領域を拡大すること、又は陰影付き領域を縮小することを意味する。例えば、ストロークは、特定の方向に陰影付き領域を拡張するために描画され得るか、又はストロークは、陰影付き領域の一部を消去するために行われ得る。
【0025】
「陰影なし領域を変更する」とは、新しい陰影付き領域を、陰影なし領域が新しい陰影付き領域によって占められるのと同じ大きさだけ縮小されるように描画することを意味する。追加として又は代替として、陰影なし領域の「変更」はまた、陰影付き領域の拡大又は縮小にそれぞれ起因する陰影なし領域の縮小又は拡張を意味し得る。
【0026】
より好ましくは、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することは、ストロークによって少なくとも部分的に形成された完全に取り囲まれた領域を自動的に塗りつぶすことを備える。また好ましくは、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することは、境界のセクションとストロークのアウトラインの一部との組み合わせ中に形成される取り囲まれた領域から塗りつぶしを自動的に除去することを備える。これは、例えば、陰影付き領域を縮小するための消去動作を実行するために使用することができる。
【0027】
このことから、トリガベースの手法は、完了が必要な場合、例えばストローク完了が発生したとき、又は好ましくは、取り囲まれた領域が存在することを示すときにのみ、穴塗りつぶしアルゴリズムを実行するために使用されることを認識されたい。穴を塗りつぶすための任意の適切なアルゴリズムが、取り囲まれた領域又は空間を塗りつぶすために、例えばスパン塗りつぶしに使用され得る。このようにして、時間集約的な計算は、必要とされるときにのみ実行される。これは、本教示を、より対話的な塗りつぶし動作にとって特に有用にする。本出願人は、本教示を使用することにより、ユーザが依然として描画している間、例えば、ユーザが依然としてストロークを描画している間であっても、その塗りつぶし又は除去を実行することができることを見出した。塗りつぶしアルゴリズムは、ストローク完了信号を待ち、それに応答して塗りつぶしが行われ、それは、ユーザにさえ示されて、陰影付き部分の拡張又は縮小部分がどのように見えるかをユーザが認識することを可能にすることさえできる。これは、ユーザが依然として描画モード又は消去モードにそれぞれある間でも行うことができる。満足されない場合、ユーザは、ストロークを放棄し、異なるストロークを試み得る。このことから、穴の塗りつぶし又は陰影付き領域の島の除去を後処理する際の著しい遅延を回避することができる。これはまた、歯科CAD/CAMの全体的な速度をかなり速めることができる。ユーザは、よりリアルタイムに結果を認識することができるので、ユーザの利便性も改善することができ、再描画時間を最小限に抑えることができる。特に、通常は3D空間中でも塗りつぶし及び除去が起こる3D構造の場合、これは、処理時間に深刻な影響を及ぼすことなく、ユーザが異なるストロークを試すためのより高い柔軟性をもたらすことができる。それ故に、歯科処置及び/又は処理に基づいて生産される歯科オブジェクトの全体的な品質も改善することができる。今日、歯科医師又は歯科技工士の中には、例えば、携帯性に起因して、コンピュータタブレットなどのタッチ画面ベースのシステムを用いて作業することを好む者が存在し得る。タッチベースの入力は、マウス入力などの他の入力形態と比較して、精度がより低い傾向がある。ストローク完了に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を自動的に変更することによって、本教示は、タッチ画面の使用によってCADにおいてユーザが直面する欠点のうちのいくつかを補償することができる。特に、取り囲まれた領域の自動塗りつぶし及び消去によって、本教示は、タッチ画面インタフェースを、歯科CADアプリケーションなどの3Dアプリケーションにもより適したものにすることができる。提案されたような自動塗りつぶしの別の利点は、提案されたような有効に検出された取り囲まれた領域が、ユーザの介入なしに自動的に塗りつぶされるか又は消去され、このことから、必要とされるストロークの数を低減することができ、作業を簡略化することができることである。
【0028】
当業者は、例えば、受信、検出、変更、及び表示のステップが、特にユーザが陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を編集している間に繰り返され得ることを認識されたい。
【0029】
代替であるが関連する形態では、デジタル歯科印象を処理するためのコンピュータ実施方法を提供することもでき、デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、本方法は、
-メモリ位置に、デジタル歯科印象を提供することと、
-表示デバイスを介して、デジタル歯科印象の画像を表示することと、ここにおいて、画像は、
○陰影付き領域と、ここで、陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、
○陰影なし領域と、ここで、陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表し、陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、
を備え、
-入力インタフェースを介して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、陰影付き領域と陰影なし領域との間のユーザ入力の遷移を検出することと、
-境界を少なくとも2回横切る遷移に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備える。
【0030】
「遷移」とは、ストロークの軌跡又は移動を意味する。より具体的には、陰影付き領域の境界と交差するストロークのアウトラインを意味する。
【0031】
態様によると、本方法は、
-デジタル歯科印象に基づいて、処理されたデジタル歯科印象を生成すること
も備え得、処理されたデジタル歯科印象は、変更された陰影付き領域及び/又は変更された陰影なし領域の情報を含む。
【0032】
このことから、処理されたデジタル歯科印象は、生成され、例えば、同じ又は別のメモリ位置に提供され得る。処理されたデジタル歯科印象は、例えばタグ及び/又は注釈データの形態で、変更された陰影付き領域及び/又は変更された陰影なし領域に関連する情報を提供される。データは、デジタル歯科印象に参照され得る。処理されたデジタル歯科印象は、編集の進行を保存するために、例えば、後で作業を完了するために使用され得るか、又は処理されたデジタル歯科印象は、歯科処置を実行するために及び/若しくは歯科オブジェクトを生産するために使用可能であり得る。
【0033】
このことから、本方法は、
-処理されたデジタル歯科印象を使用して、歯科処置を実行すること
も備え得る。
【0034】
デジタル歯科印象は、歯科処置を実行するためにユーザ又は歯科医師を案内するために使用され得、及び/又は歯科処置は、少なくとも部分的に自動的に実行され得る。
【0035】
代替として又は加えて、本方法は、
-処理されたデジタル歯科印象を使用して、歯科オブジェクトを製造すること
も備え得る。
【0036】
デジタル歯科印象は、歯科オブジェクトを生産するためにユーザを案内するために使用され得、及び/又は歯科オブジェクトは、少なくとも部分的に自動的に生産され得る。例えば、陰影付き領域は、ブランクから歯科オブジェクトを生産するためにフライス盤及び/若しくは研削盤によって使用され得、並びに/又は成形プロセスによって歯科オブジェクトを生産するための型を生産するために使用され得る。態様によると、歯科オブジェクトは、外科用ガイドである。別の態様によると、歯科オブジェクトは、クラウンである。別の態様によると、歯科オブジェクトは、ブリッジである。更に別の態様によると、歯科オブジェクトは、アライナである。別の態様によると、歯科オブジェクトは、歯科ガードである。別の態様によると、歯科オブジェクトは、咬合スプリントである。
【0037】
以前に議論したように、態様によると、ストローク完了は、ストローク、例えばブラシストロークがそれ自体と交差するときに交差信号を生成することを備える。ブラシストロークは、1つ以上の陰影付き領域を描画するためのストロークである。このことから、トリガロジックは、ストロークがそれ自体の本体と交差したことを検出するときに交差信号を生成する。これは、例えば、ストロークのアウトラインに沿った1つ以上の点が一致するかどうかを検出することによって行われ得るか、又はストロークの第2のアウトラインの形成を検出することによって行われ得る。
【0038】
別の態様によると、ストローク完了は、ストロークが陰影付き領域と交差するときに交差信号を生成することを備える。これは、例えば、ストロークのアウトラインに沿った1つ以上の点が一致するかどうか、及び/又は陰影付き領域の内側にあるかどうかを検出することによって行うことができる。より好ましくは、同じのストロークが陰影付き領域と少なくとも2回交差するときに、陰影付き領域との第2の交差を示す第2の交差信号が生成される。別の態様によると、交差信号は、同じストロークが陰影付き領域と少なくとも2回交差するときに生成される。
【0039】
態様によると、ストローク完了は、取り囲まれた領域の形成を検出することを備える。取り囲まれた領域の検出は、交差信号、例えばストロークの自己交差、又はストロークと陰影付き領域との間の交差に応答してトリガされ得る。取り囲まれた領域を検出する利点は、取り囲まれた領域が検出されない場合に、穴塗りつぶしアルゴリズム又は島消去アルゴリズムなどのアルゴリズムの実行を防止することができることであり得る。このことから、計算効率を改善することができる。取り囲まれた域を検出するためのトリガとして交差信号を使用することの更なる利点は、取り囲まれた領域の検出を、真に必要とされない限り回避することができ、このことから、計算プロセスを更により効率的にすることであり得る。
【0040】
ストロークと陰影付き領域との間の交差の場合、第2の交差信号の生成、又は同じストロークが陰影付き領域と少なくとも2回交差するときの交差信号の生成は、本当に必要とされない限り、取り囲まれた領域の検出を回避するために更に使用することができる。
【0041】
自己交差の場合、取り囲まれた領域の検出は、完全に取り囲まれた領域がストロークのエッジによって形成されるかどうかを判断することを伴い得る。例えば、ストロークがそれ自体の本体にループして戻る場合、ストロークは、ストロークの内側エッジ内に取り囲まれる領域を円で囲み得る。トリガロジックは、取り囲まれた領域の形成を判断するために、そのような内側エッジ又はアウトラインの形成を検出し得る。陰影なし領域中でのブラシストロークの場合、取り囲まれた領域の検出は、陰影なし領域から陰影付き領域への取り囲まれた領域の変更、例えばブラシの色の変更をトリガし得る。塗りつぶしは、このことから、ユーザの介入なしに、ちょうど必要とされるときに自動的に行われ得る。議論したように、そのような自己交差するストロークは、陰影付き領域の島を形成するために使用され得る。場合によっては、ストロークは、陰影付き島を除去するために使用される消去ストロークであり得る。この場合、自己交差するストローク及び/又は取り囲まれた領域検出が、取り囲まれた領域を自動的に陰影なしにし、それによって、取り囲まれた領域内にある陰影付き領域の任意の島を消去するために使用される。取り囲まれた領域が検出されると、取り囲まれた領域に対する新しい境界が評価又は作成され得る。これは、取り囲まれた領域を包含するピクセル又はデータ点を評価することを伴い得る。このことから、新しい境界に閉じ込められた取り囲まれた領域に対して、塗りつぶし又は消去を適用することができる。このことから、取り囲まれた領域は、ある意味では、新しい境界によって画定される。
【0042】
態様によると、取り囲まれた領域の検出は、2つの交点間の境界のセクション長又は距離の測定を伴う。本明細書で開示するような取り囲まれた領域の検出も、それ自体で新規性及び進歩性を有することを認識されたい。
【0043】
例えば、別の観点から見ると、デジタル陰影付き領域をグラフィカルに作成又は縮小するためのコンピュータ実施方法も提供することができ、デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、陰影なし領域及びデジタル陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、本方法は、
-入力インタフェースを介して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、ここで、ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の検出は、
-ストロークのそれ自体との又はデジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部によって、又はアウトラインの一部と境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、アウトラインの一部と境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域の検出は、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することとを更に伴い、
-陰影付き領域になるように取り囲まれた領域を塗りつぶすこと、又は陰影なし領域になるように取り囲まれた領域を消去することのうちのいずれかを行うことによって、ストロークの完了に応答して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備えることを認識されたい。
【0044】
議論したように、各交点は、交差対のうちの1つのみに属する。故に、各交点は、特定の交差対に固有である。
【0045】
提案された手法は、任意の種類のコンピュータグラフィックスアプリケーション、特に3D形状の作成及び/又は編集に関するものにとって有利であり得る。本出願人は、医療用CAD/CAMアプリケーション、特に歯科アプリケーションにおいてそれを実現した。このことから、態様によると、本方法は、デジタル歯科印象を処理するために使用され得る。議論したように、デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表す。陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表す。このことから、ユーザは、3D歯科特徴のデジタル表現をより容易に且つ確実に編集することを可能にすることができる。本教示の利点は、3D構造に適用されるときに強調されるが、本教示はまた、2D形状に適用することができる。当業者は、3D構造では、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域のアウトラインが任意の2つ又は3つの軸に従い得、そのため、取り囲まれた領域が形成されるかどうか、及びいつ形成されるかを判断することがより困難であり得ることを認識されたい。本教示は、取り囲まれた領域の形成を判断するためのより信頼性の高い方法を提供することができる。
【0046】
議論するように、自己交差するストロークによって形成された取り囲まれた領域の検出は、アウトラインの先頭部分又は点とアウトラインの軌跡部分又は点との間の交差を検出することを伴い得る。アウトラインの一部と境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域の検出は、アウトラインとストロークとの間の交差を検出することを伴い得る。各交差対は、1つの進入交点及び1つの退出交点を備える。議論したように、進入交点は、アウトラインに沿った第1の方向を考慮して、アウトラインが陰影付き領域に入る交点である。同様に、退出交点は、同じ第1の方向を考慮して、アウトラインが陰影付き領域を去る交点である。第1の方向は、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかである。各交差対の交点は、第1の方向で考慮されたときはアウトラインに沿った連続する交点である。
【0047】
ストロークは、描画ストローク又は消去ストロークのうちのいずれかであり得ることを認識されたい。例えば、陰影付き領域を拡大するために、描画ストロークが実行され得る。そのような場合、各交差対は、それぞれの退出交点のうちの1つと、その連続する進入交点とによって形成される。代替として、ストロークは、陰影付き領域を低減するための消去ストロークであり得、その場合、各交差対は、それぞれの進入交点のうちの1つとその連続する退出交点とによって形成され得る。
【0048】
本教示は、取り囲まれた領域がいつ形成されるかを検出することができる1つ以上のルーチンとしての実装に特に適し得る手法を提供する。これらの態様を、以下でより詳細に議論する。
【0049】
態様によると、相対比較は、以下の式(1)を使用することなどよって、境界の総距離の分率として、計算された距離について定義された閾値を使用して実行される。
【0050】
より具体的には、同じ交差対に属する交点間で測定が実行され得る。これは、少なくとも1つの交差対を決定することと、ここで、各交差対は、2つの交点を有し、次いで、各交差対の交点間の距離を測定することとを伴う。交差対のうちの1つの距離「d」が、式(1)に概説されるような、又はそれと同様の基準を満たすとき、取り囲まれた領域が検出される。
【0051】
【数1】
【0052】
ここで、
【0053】
【数2】
【0054】
式(1)では、dは、交差対の距離であり、Lは、ストロークが交差した陰影付き領域の境界の全長又は外周であり、xは、距離dが全長Lの何分の1又は何%であるべきかを表す所定の数である。陰影付き領域の全長Lは、例えば、陰影付き領域の円周を算出することによって決定され得る。長さは、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかの方向に境界又は境界線上の任意の点から開始し、境界全体を覆った後に同じ点に達するまでの幾何学的距離をカウントすることによって測定することができる。
【0055】
取り囲まれた領域の検出は、例えば、距離dが長さLの30%、約30%、又はそれを下回ることに基づき得、その場合、xは、3.33又はその値付近であり得る。故に、測定された距離がLの値の30%未満である場合、取り囲まれた領域が検出される。xの値は、非限定的な例として、相対的な意味で提供される。当業者は、上述した基準も満たす他の同等の基準も使用され得ることを認識されたい。同様に、xは、場合によっては、2又は2.5又は3又は4又は4.5又は5であり得る。距離dは、陰影付き領域の境界に沿って測定されることを認識されたい。
【0056】
上記に加えて、交差対の形成及びdの測定は、塗りつぶし又は消去される必要がある取り囲まれた領域が検出されない場合の拒絶も可能にするような様式で実行される。これは、(2)に例証する基準を満たすことによって達成される。
【0057】
このことから、各交差対についての計算された距離dは、式(2)に記載した基準を満たすように算出され、交差対についてのそれぞれの距離は、第1の方向とセクション決定方向との間の相対的な関係にそれぞれ依存して、対の退出交点又は対の進入交点からそれぞれ測定される。
【0058】
前述から、より具体的には描画ストロークについて、デジタル陰影付き領域を拡大するためのコンピュータ実施方法を提供することができ、デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、陰影なし領域及びデジタル陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、本方法は、
-入力インタフェースを介して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成された描画ストロークの完了を検出することと、ここで、ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の検出は、
-ストロークのデジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部と境界のセクションとによって完全に取り囲まれ、取り囲まれた領域の検出は、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することとを更に伴い、
-陰影付き領域の一部になるように、取り囲まれた領域を塗りつぶすことなどによって、ストロークの完了に応答して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備える。
【0059】
同様に、消去ストロークについて、デジタル陰影付き領域を縮小するためのコンピュータ実施方法を提供することができ、デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、陰影なし領域及びデジタル陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、本方法は、
-入力インタフェースを介して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成された消去ストロークの完了を検出することと、ここで、ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の検出は、
-ストロークのデジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部と境界のセクションとによって完全に取り囲まれ、取り囲まれた領域の検出は、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することとを更に伴い、
-陰影なし領域の一部になるように、取り囲まれた領域の塗りつぶしを除去することなどによって、ストロークの完了に応答して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備える。
【0060】
陰影付き領域と交差するブラシストロークのための取り囲まれた空間を検出するために、即ち、陰影なし領域の取り囲まれた領域を検出するために、交差対は、第1の方向にブラシのアウトラインの退出エッジから開始することによって形成される。説明したように、ストロークは、アウトライン又は外周を有するものとして視覚化することができる。アウトラインは、時計回り方向又は反時計回り方向のうちのいずれかにアウトライン上の任意の点から開始し、アウトライン全体を覆った後に同じ点に達するまでの距離をカウントすることによって測定することができる。故に、第1の方向は、時計回り方向又は反時計回り方向のうちのいずれかであり得る。退出エッジ又は交差は、第1の方向にアウトラインに沿って移動するときに、陰影付き領域を去って陰影なし領域に入る交差であろう。同様に、進入エッジ又は交差は、第1の方向にアウトラインに沿って移動するときに、陰影なし領域を去って陰影付き領域に入る交差であろう。そのため、例えば、交差対又はエッジ対を形成するために、任意の退出エッジは、第1の交差対の第1の交点として使用することができる。次いで、第1の方向に沿って移動すると、隣接する交点は、進入交差又はエッジとなり、この隣接する点は、第1のエッジ対の第2の交点となる。同様に、同じ方向に沿って更に移動すると、次の交点は、第1のエッジペア対における点とは異なって存在する場合、第2の交差対の第1の交点として使用することができる退出エッジであろう。同様に、同じ方向の更なる点は、第2の交差対の第2の交点になることができる進入エッジであろう。
【0061】
各交差対についての距離dを決定するために、基準(2)が適用される。このために、セクション決定方向が、距離dが陰影付き領域の境界に沿って測定されるべき方向として定義される。セクション決定方向が第1の方向と同じである場合、各対についての距離dは、それらの進入交差から開始してそれらの退出交点まで測定される。しかしながら、セクション決定方向が第1の方向とは反対である場合、各対についての距離dは、それらの退出交差から開始してそれらの進入交点まで測定される。距離のうちのいずれかが式(1)の基準を満たす場合、対応する対の間にあるセクション長と、同じ対の点の間にあるアウトラインの一部との間に、取り囲まれた領域が検出される。
【0062】
当業者は、上記の基準を、本教示の例に示すように、実際にはより単純な形態で実装することができることを認識されたい。本明細書の基準は、このことから、本明細書に示す基準を満たした実装形態の任意の変形形態が本教示の範囲内にあるとみなされるべきであるという意味で示される。いくつかの例として、第1の方向は、時計回り方向であり得、その一方で、セクション決定方向は、反時計回りであるか、又はその逆であり得る。同様に、第1の方向及びセクション決定方向の両方が時計回りであり得、それらは両方とも反時計回りであり得る。そのため、これらの例のうちのいずれも、式(1)及び(2)をソフトウェア命令として直接実施するのではなく、本明細書で提示する基準を満たすように実施することができる。
【0063】
同様に、退出エッジ又は交差は、相対的な意味でそのように呼ばれ、それはまた、負(-、又は-ve)のエッジ又は交差と呼ばれ得る。また、進入エッジ又は交差は、相対的な意味でそのように呼ばれ、それはまた、正(+、又は+ve)のエッジ又は交差と呼ばれ得る。それらはまた、本教示の趣旨から逸脱することなく、反対に呼ばれ得る。
【0064】
上記の基準を満たす手法の利点は、シングルタップの場合、又は取り囲まれた空間が作成されない場合に、穴塗りつぶしアルゴリズムが実行されるのを防止することができることである。示すように、例えば、既に陰影が付けられた領域内に取り囲まれた領域を作成した交差に対するブラシモードにでは、取り囲まれた領域は検出されないであろう。このことから、有効な取り囲まれた領域の検出を改善することができる。
【0065】
それ故に、取り囲まれた空間又は有効な取り囲まれた空間が検出されると、変更ステップを自動的に実行することができる。
【0066】
消去モードで適用される基準は、上記で議論したようなブラシモード又は描画モードと同様であるが、僅かに異なる。
【0067】
消去モードでは、ブラシモードと同様に、同じ交差対に属する交点間で測定が実行される。これは、少なくとも1つの交差対を決定することと、ここで、各交差対は、2つの交点を有し、次いで、各交差対の交点間の距離を測定することとを伴う。交差対のうちの1つの距離dが、式(1)に概説されるような、又はそれと同様の基準を満たすとき、取り囲まれた領域が検出される。
【0068】
消去モードのブラシモードに対する僅かな変形形態は、同じ基準(2)を適用する場合、消去モードでは、交差対又はエッジ対が、第1の交差対の第1の交点として(退出エッジの代わりに)任意の進入エッジによって形成されることである。次いで、第1の方向に沿って移動すると、隣接する又は連続する交点は、退出交差又はエッジとなり、この隣接する点は、第1のエッジ対の第2の交点となる。同様に、同じ方向に沿って更に移動すると、次の交点は、第1のエッジペア対における点とは異なって存在する場合、第2の交差対の第1の交点として使用することができる進入エッジであろう。同様に、同じ方向の更なる点は、第2の交差対の第2の交点になることができる退出エッジであろう。このことから、各交差対についての距離dを決定するために、基準(2)を適用することができる。
【0069】
当業者は、上記が陰影付き領域と交差する描画ストローク及び消去ストロークに対して同じ基準を適用する方法であることを認識されたい。例えば、描画モードと消去モードとで異なる基準を定義することによって、変形形態が可能であり得る。故に、描画の場合について述べたように、本明細書の基準は、このことから、本明細書に示す基準を満たした実装形態の任意の変形形態が本教示の範囲内にあるとみなされるべきであるという意味で示される。
【0070】
本明細書で開示する方法ステップは、1つ以上のコンピューティングユニットによって実行され得る。コンピューティングユニットのうちの少なくとも1つは、メモリ位置に動作可能に接続され得る。
【0071】
別の観点から見ると、歯科処置を支援するためのシステムも提供することができ、本システムは、本明細書で開示する方法のうちの任意のものを実行するように構成される。例えば、本明細書で開示する方法のうちの任意のものを実行するように構成された1つ以上のコンピューティングユニットを備えるシステムを提供することができる。
【0072】
例えば、歯科処置支援システムを提供することができ、本システムは、
デジタル歯科印象を取得するためにメモリ位置に動作可能に接続することと、ここにおいて、デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、
表示デバイスを介して、デジタル歯科印象の画像を表示することと、ここにおいて、画像は、
陰影付き領域と、ここで、陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、
陰影なし領域と、ここで、陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表し、陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、
を備え、
入力インタフェースを介して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、
ストロークの完了に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を行うように構成される。
【0073】
同様に、歯科処置支援システムを提供することができ、本システムは、
デジタル歯科印象にアクセスするか又はそれを取得するためにメモリ位置に動作可能に接続することと、ここで、デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、
表示デバイスを介して、デジタル歯科印象の画像を表示することと、ここにおいて、画像は、
陰影付き領域と、ここで、陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、
陰影なし領域と、ここで、陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表し、陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、
を備え、
入力インタフェースを介して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、ここで、ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了を検出するために、本システムは、
-ストロークのそれ自体との又は陰影付き領域との交差を検出することと、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを行うように構成され、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部によって、又はアウトラインの一部と境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、アウトラインの一部と境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域の検出のために、本システムは、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することとを行うように構成され、
-陰影付き領域になるように取り囲まれた領域を塗りつぶすこと、又は陰影なし領域になるように取り囲まれた領域を消去することのうちのいずれかを行うことによって、ストロークの完了に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を行うように構成される。
【0074】
本明細書で開示するシステムのうちのいずれも、1つ以上のコンピューティングユニットを備え得る。任意選択で、システムのうちのいずれも及び/又はコンピューティングユニットのいずれも、例えば、1つ以上のネットワークインタフェース及び/又は接続インタフェースを介して、ネットワークに動作可能に接続するように構成され得る。
【0075】
メモリ位置は、コンピューティングユニット及び/又はシステムの一部であり得るか、又はコンピューティングユニットのうちの任意のものを介して遠隔で動作可能にアクセス可能に位置し得る。
【0076】
議論したように、取り囲まれた領域を検出するための方法及びシステムは、それ自体で進歩性を有し、このことから、別の観点から見ると、デジタル3次元形状、具体的にはデジタル解剖学的形状を処理するための方法も提供することができ、本方法は、
-1つ以上のコンピューティングユニットを介して、ストロークの完了を検出することと、ここにおいて、ストロークの完了は、ストロークのアウトライン内に少なくとも部分的に閉じ込められた取り囲まれた領域の形成を伴い、
-コンピューティングユニットのうちの任意の1つ以上を介して、取り囲まれた領域の周りの新しい境界を評価することと、ここで、新しい境界は、アウトラインを含み、
-コンピューティングユニットのうちの任意の1つ以上を介して、取り囲まれた領域の特質を変更することと
を備える。
【0077】
取り囲まれた領域は、陰影付き領域を陰影なし領域から分離する境界のセクションによって部分的に閉じ込められて形成され得る。取り囲まれた領域は、このことから、セクション及びアウトライン内に閉じ込められる。この場合の新たな境界はまた、そのセクションを含む。本方法はまた、ストローク、取り囲まれた領域、境界、新しい境界、及び変更のうちの任意の1つ以上、好ましくは全てを、表示デバイスを介して表示することを含み得る。処理するための方法及びシステムについて議論した代替形態及び特徴は、ここでも同様に適用することができる。
【0078】
代替であるが関連する形態では、デジタル3次元形状、具体的にはデジタル解剖学的形状を処理するための方法を提供することもでき、本方法は、
-1つ以上のコンピューティングユニットを介して、境界の2つの異なる位置において境界における描画ストロークの交差を検出することと、ここにおいて、境界は、陰影付き領域を陰影なし領域から分離し、
-計算ユニットのうちの任意の1つ以上を介して、描画ストロークと2つの交差位置間の境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域を検出することと、
-コンピューティングユニットのうちの任意の1つ以上を介して、陰影付き領域の特質を変更することと
を備える。
【0079】
システムの視点から、別の観点から見ると、デジタル3次元形状、具体的にはデジタル解剖学的形状を処理するためのトリガロジックを提供することもでき、本トリガロジックは、
-ストロークの完了を検出することと、ここにおいて、ストロークの完了は、ストロークのアウトライン内に少なくとも部分的に閉じ込められた取り囲まれた領域の形成を伴い、
-取り囲まれた領域の周りの新しい境界を評価することと、ここで、新しい境界は、アウトラインを含み、
-取り囲まれた領域の特質を変更することと
を行うように構成される。
【0080】
議論したように、取り囲まれた領域は、陰影付き領域を陰影なし領域から分離する境界のセクションによって部分的に閉じ込められて形成され得る。取り囲まれた領域は、このことから、セクション及びアウトライン内に閉じ込められる。この場合の新たな境界はまた、そのセクションを含む。
【0081】
代替であるが関連する形態では、デジタル3次元形状、具体的にはデジタル解剖学的形状を処理するためのトリガロジックを提供することもでき、本トリガロジックは、
-境界の2つの異なる位置において境界における描画ストロークの交差を検出することと、ここにおいて、境界は、陰影付き領域を陰影なし領域から分離し、
-描画ストロークと2つの交差位置間の境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域を検出することと、
-陰影付き領域の特質を変更することと
を行うように構成される。
【0082】
同様に、デジタル解剖学的形状などのデジタル形状を処理するためのトリガロジックを提供することができ、本トリガロジックは、
-ストロークのそれ自体との又は境界内に取り囲まれた陰影付き領域との交差を検出することと、ここにおいて、ストロークは、アウトライン内に包含され、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することと
を行うように構成され、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部によって、又はアウトラインの一部と境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、アウトラインの一部と境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域の検出のために、トリガロジックは、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することと
を行うように構成される。
【0083】
態様によると、トリガロジックはまた、取り囲まれた領域の特質を変更すること、例えば、取り囲まれた領域を塗りつぶすことによって拡大するか又は取り囲まれた領域を消去して陰影なし領域に変換すること、を行うように更に構成され得る。
【0084】
トリガロジックは、例えば、ハードウェア及び/又はソフトウェアの形態であり得る。トリガロジックは、コンピュータソフトウェア媒体、例えば、トリガロジックを記憶するコンピュータ可読記憶媒体又は非一時的コンピュータ可読記憶媒体の形態でさえあり得る。
【0085】
別の観点から見ると、適切なコンピューティングユニットによって実行されると、コンピューティングユニットに、本明細書で開示する方法のうちの任意のものを実行させる命令を備える、コンピュータソフトウェアプログラム、又はコンピュータソフトウェアプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体も提供することができる。
【0086】
例えば、命令を備える、コンピュータソフトウェア製品、又はコンピュータソフトウェアプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供することができ、命令は、適切な1つ以上のコンピューティングユニットによって実行されると、コンピューティングユニットのうちの任意の1つ以上に、
デジタル歯科印象を取得するためにメモリ位置に動作可能に接続することと、ここにおいて、デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、
表示デバイスを介して、デジタル歯科印象の画像を表示することと、ここにおいて、画像は、
陰影付き領域と、ここで、陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、
陰影なし領域と、ここで、陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表し、陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、
を備え、
入力インタフェースを介して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、
ストロークの完了に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を行わせる。
【0087】
コンピュータ可読データ媒体又はキャリアは、本明細書で開示する任意の1つ以上の方法を実施するための1つ以上の命令セット(又はソフトウェア)が記憶された任意の適切なデータ記憶デバイスを含む。命令は、コンピュータ可読記憶媒体を構成し得る処理ユニット、コンピューティングユニット、及びメインメモリによるその実行中に、メインメモリ内及び/又はプロセッサ内にさえ部分的に又は完全に存在し得る。命令は、ネットワークデバイスを介してネットワーク上でさえ送信又は受信され得る。
【0088】
本明細書で説明する態様のうちの1つ以上を実施するためのコンピュータプログラムは、別のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体上に記憶/配布され得るが、インターネット又は他のワイヤード若しくはワイヤレス電気通信システムなどを介して他の形態でも配布され得る。しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提示され得、そのようなネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリー中にダウンロードすることができる。
【0089】
更に、コンピュータプログラム製品をダウンロードに利用可能にするためのデータキャリア又はデータ記憶媒体も提供することができ、そのコンピュータプログラム製品は、本明細書で開示する方法のうちの任意のものによる方法を実行するように構成される。
【0090】
別の観点から見ると、本明細書で開示する方法を実行するためのコンピュータプログラムコードを備えるコンピューティングユニットも提供することができる。また、本明細書で開示する方法のうちの任意のものを実施するためのコンピュータプログラムコードを備えるメモリ記憶装置に動作可能に結合されたコンピューティングユニットを提供することができる。
【0091】
別の観点から見ると、歯科オブジェクトを生産するための本明細書で開示する方法に従って生成されるような処理されたデジタル歯科印象の使用も提供することができる。
【0092】
別の観点から見ると、本明細書で開示する方法に従って生成されるような処理されたデジタル歯科印象を記憶するデータ記憶媒体も提供することができる。
【0093】
その2つ以上の構成要素が「動作可能に」結合又は接続されることは、当業者には明らかであろう。非限定的に、これは、結合又は接続された構成要素間に少なくとも1つの通信接続が存在し得ることを意味し、例えば、それらは、ネットワークインタフェース又は任意の適切なインタフェースである。通信接続は、固定され得るか、又は取り外し可能であり得るかのうちのいずれかである。その上、通信接続は、単方向であり得るか、又は双方向であり得るかのうちのいずれかである。更に、通信接続は、ワイヤード及び/又はワイヤレスであり得る。場合によっては、通信接続はまた、制御信号を提供するために使用され得る。
【0094】
「処理ユニット」又は「コンピューティングユニット」は、1つ以上のコンピュータ処理コアを有する、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、等などの処理手段又はコンピュータプロセッサを備え得るか、又はそれらであり得る。
【0095】
「コンピュータプロセッサ」は、コンピュータ若しくはシステムの基本演算を実行するように構成された任意のロジック回路、及び/又は、一般に、算出若しくはロジック演算を実行するように構成されたデバイスを指す。特に、処理手段又はコンピュータプロセッサは、コンピュータ又はシステムを駆動する基本命令を処理するように構成され得る。例として、処理手段又はコンピュータプロセッサは、少なくとも1つの算術ロジックユニット(「ALU」)、数学コプロセッサ又は数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(「FPU」)、複数のレジスタ、具体的には、ALUに被演算子を供給し、演算の結果を記憶するように構成されたレジスタ、並びにL1及びL2キャッシュメモリなどのメモリを備え得る。特に、処理手段又はコンピュータプロセッサは、マルチコアプロセッサであり得る。具体的には、処理手段又はコンピュータプロセッサは、中央処理ユニット(「CPU」)であり得るか、又はそれを備え得る。処理手段又はコンピュータプロセッサは、複合命令セットコンピューティング(「CISC」)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティングマイクロプロセッサ(「RISC」)、超長命令語(「VLIW」)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。処理手段はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、インネクストワードプロセッサ(in next word processor)、等などの1つ以上の専用処理デバイスであり得る。本明細書で開示する方法、システム、及びデバイスは、DSP、マイクロコントローラ、又はASIC、CPLD、若しくはFPGA内のハードウェアユニットなどの任意の他のサイドプロセッサ中のソフトウェアとして実装され得る。処理手段又はプロセッサという用語はまた、複数のコンピュータシステム(クラウドコンピューティングなど)にわたって配置された処理デバイスの分散システムなどの1つ以上の処理デバイスを指し得、別段に指定されない限り、単一のデバイスに限定されないことを理解されたい。
【0096】
「接続インタフェース」は、信号又はデータの転送又は交換などの通信を確立するためのソフトウェア及び/又はハードウェアインタフェースを指す。通信は、ワイヤード又はワイヤレスのうちのいずれかであり得る。接続インタフェースは、好ましくは、1つ以上の通信プロトコルに基づくか、又はそれをサポートする。通信プロトコルは、ワイヤレスプロトコル、例えば、Bluetooth(登録商標)若しくはWi-Fiなどの短距離通信プロトコル、又はセルラ若しくはモバイルネットワークなどの長距離通信プロトコル、例えば、第2世代セルラネットワーク(「2G」)、3G、4G、ロングタームエボリューション(「LTE(登録商標)」)、若しくは5Gであり得る。代替として又は加えて、接続インタフェースは、専用短距離又は長距離プロトコルにさえ基づき得る。接続インタフェースは、任意の1つ以上の標準及び/又は専用プロトコルをサポートし得る。
【0097】
「ネットワークインタフェース」は、ネットワークとの動作可能な接続を可能にするデバイス、又は1つ以上のハードウェア及び/若しくはソフトウェア構成要素のグループを指す。
【0098】
「メモリ記憶装置」は、データの形態で、適切な記憶媒体中に情報を記憶するためのデバイスを指し得る。好ましくは、メモリ記憶装置は、機械可読であるデジタル形態、例えば、コンピュータプロセッサを介して可読であるデジタルデータで情報を記憶するのに適したデジタル記憶装置である。メモリ記憶装置は、このことから、コンピュータプロセッサによって可読であるデジタルメモリ記憶デバイスとして実現され得る。更に好ましくは、デジタルメモリ記憶デバイス上のメモリ記憶装置はまた、コンピュータプロセッサによって操作され得る。例えば、デジタルメモリ記憶デバイス上に記録されたデータの任意の部分は、コンピュータプロセッサによって新しいデータで、部分的に又は全体的に、書き込まれ、及び/又は消去され、及び/又は上書きされ得る。
【0099】
本明細書で議論する「ネットワーク」は、ワイヤード、ワイヤレス、又はそれらの組み合わせの、任意の適切な種類のデータ送信媒体であり得る。特定の種類のネットワークは、本教示の範囲又は一般性を限定しない。ネットワークは、故に、少なくとも1つの通信エンドポイントと別の通信エンドポイントとの間のあらゆる適切な任意の相互接続を指すことができる。ネットワークは、1つ以上の配布ポイント、ルータ、又は他のタイプの通信ハードウェアを備え得る。ネットワークの相互接続は、物理的にハードな配線、光学的及び/又はワイヤレス無線周波数(「RF」)方法によって形成され得る。ネットワークは、具体的には、光ファイバネットワークなどのハード配線によって完全に又は部分的に作られた物理ネットワーク、又は導電性ケーブルによって完全に又は部分的に作られたネットワーク、又はそれらの組み合わせであり得るか、又はそれらを備え得る。ネットワークは、少なくとも部分的にインターネットを備え得る。
【0100】
ここで、本教示のある特定の態様を、例として前記態様を説明する添付の図面を参照して議論する。本教示の一般性はそれに依存しないので、図面は原寸通りではない場合がある。方法及びシステムの態様を、理解を容易にするために併せて議論し得る。図面に示す特定のある特定の特徴は、理解のために、本教示の一般性又は範囲に影響を及ぼすことなく、物理的特徴と共に示す論理的特徴であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】外科用ガイドの例を例示する。
図2】外科用ガイドの設計中に行われ得るある特定のストロークを例示する。
図3】描画ストローク又はブラシストロークによる取り囲まれた領域の検出を例示する。
図4】描画ストローク又はブラシストロークによる無効な取り囲まれた領域の拒絶を例示する。
図5】消去ストロークによる取り囲まれた領域の検出を例示する。
図6】自己交差するストロークを例示する。
図7】別の自己交差するストロークを例示する。
図8】本教示の方法の態様を示すフローチャートである。
図9】別の方法の態様を示す別のフローチャートを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図面に示す参照番号は、本教示の例の後続の説明において参照される要素を示す。
【0103】
本明細書で説明する実例的な態様に従って、例えば、歯科スキャンを支援するための方法、システム、及びコンピュータ可読記憶媒体を提供することできる。
【0104】
図1は、デジタル歯科印象の図100を例示する。より具体的には、図1(A)は、デジタル歯科印象の一部分の上面図を示し、それは、患者の口腔解剖学的構造の3次元部分、より具体的には患者の顎101の一部分を表す。図1(A)及び1(B)の各々は、歯科医師又は歯科技工士などのユーザのために表示デバイスを介して表示される画像を表し得る。図1(A)及び1(B)は、このことから、例えば、外科用ガイド102などの歯科オブジェクトを設計するためのCADプログラムによって提供され得る。外科用ガイド102は、所望の位置にインプラントを据え付けるための穴110を作製する際に歯科医師を支援するためのスリーブ103を備える。これらの図におけるガイド102は、特定の要件に従ってユーザが調整することができる仮想表現として示していることを認識されたい。完成した設計に対応する物理的構成要素は、このことから、例えば、機械加工のために処理されたデジタル歯科印象を提供することによって、CAMシステムを使用して生産することができる。
【0105】
外科用ガイド102は、陰影付き領域104及び105として示す、患者の歯列の一部分上に載置されると想定される。陰影付き領域104及び105のうちのいずれも、例えば、外科用ガイド102の寸法を調整するために、設計段階中にユーザによって拡大又は縮小され得る。陰影付き領域104及び105の各々は、それぞれの領域を取り囲む境界を備える。例えば、第1の陰影付き領域104は、第1の境界106内に包含され、第2の陰影付き領域105は、第2の境界107内に包含される。本開示における「陰影付き」領域という用語はまた、「描画」領域とみなされ得、そのため、陰影付きであるか否かは、要件ではない。好ましくは、ユーザは、歯科処置に関連する領域を区別することが可能であるべきである。陰影付き領域104及び105は、このことから、歯科処置に関連する領域、例えば口腔解剖学的構造の部分を表す。この例の文脈における歯科処置は、例えば、外科用ガイドを据え付ける処置であり得る。故に、陰影付き領域は、歯科処置のために含まれるべき領域を表すことさえできる。任意の陰影付き領域が関連する処置は、同じであり得るか、又は異なり得る。このことから、異なる陰影付き領域は、異なる処置に関連し得る。陰影付き領域104及び105を囲む領域111は、陰影なし領域と呼ばれ得る。陰影なし領域111は、例えば口腔解剖学的構造の、歯科処置に関連しない1つ以上の部分を表し得る。
【0106】
図1(A)及び1(B)は、図1に異なる詳細で示す、比較可能なデジタル歯科印象の異なる観点を表すことを認識されたい(1(A)と1(B)との間の解剖学的変化は、本教示の範囲又は一般性に影響を及ぼすことなく、説明の目的で無視することができる)。例えば、ガイド102は、例えば、陰影付き領域104及び105を見るだけのために、ユーザのコマンドで図1(B)では見えない。故に、デジタル歯科印象の画像は、ユーザのコマンドに従って変更され得る。例えば、ユーザは、別の角度から印象を見るためにデジタル印象を回転させることを好み得る。それ故に、画像は、別の角度からの印象を視覚化するように更新され得る。陰影付き領域104及び105、並びに陰影なし領域111はまた、例えば、領域が所望通りに覆われているかどうかをユーザがチェックするために、別の角度に従って適合される。歯科印象は、1つ以上のデータセットの形態であり得る。デジタル歯科印象は、例えば、患者の解剖学的構造のスキャンを介して捕捉され得る。
【0107】
図2は、デジタル歯科印象の代替図200を例示し、ここでは、ユーザによって行われ得るある特定のストロークの例も示す。第1の図2(A)は、図1に示す図1(B)と同様である。第1のストローク220、第2のストローク230、及び第3のストローク206が示されている。第1のストローク220は、陰影付き領域、この場合は第2の陰影付き領域105を描画又は拡大するために行われるストロークの一種であり得る。第2のストローク230は、第2の陰影付き領域105の一部を消去又は縮小するために行われるストロークの一種である。第3のストローク206は、自己交差するストロークであり、自己交差するストロークは、陰影なし領域111中に新しい陰影付き領域を描画するために使用され得る。図から分かるように、各ストロークは、ユーザが描画又は消去のためにそれぞれ選択したブラシ又は消しゴム幅に対応し得る幅を有する。例えば、ストロークを入力するためにタッチ画面入力デバイスが使用されるとき、場合によっては、ブラシ幅は、ユーザの指のサイズに対応し得る。いくつかの描画アプリケーションは、スケッチの特定の部分を描画する間にユーザが掛ける圧力に従って幅の適合を提供する。幅は、ストロークの長さにわたって一定、又は可変のうちのいずれかであり得る。各ストロークはまた、ストロークの軌跡に沿った最長寸法に対応する長さを有する。例えば、第3のストローク206に対して、長さは、ほぼ、外部アウトライン207に近いストローク206の円周であろう。ストロークの幅に起因して、各ストロークは、アウトラインを有し、アウトラインは、ストロークの周りの外周である。
【0108】
図2(B)は、領域レイヤ及びストロークだけを示す。図2(B)は、このことから、領域レイヤ及び/又はストロークレイヤだけが見える図であり得る。ブラシストローク220は、2つの位置において第2の陰影付き領域105の境界107と交差することが分かる。一方の位置において、ブラシストローク220のアウトラインは、第1の交点221及び第2の交点222において境界107と交差する。他方の位置において、ブラシストローク220のアウトラインは、第3の交点223及び第4の交点224において境界107と交差する。これらの交点221、222、223、及び224は、本教示の態様によると、取り囲まれた領域がストロークの結果として形成されたかどうかを検出するために、交差対に分割される。これらの態様は、後の図面を参照して議論する。特に、ここでは、第1の取り囲まれた領域241が実際に形成されていることが分かる。第1の取り囲まれた領域241は、第1のストローク220のアウトラインの一部と境界107のセクション又は一部との間に取り囲まれる。より具体的には、第1の取り囲まれた領域241は、第2の交点222と第3の交点223との間のアウトラインの一部と、第2の交点222と第3の交点223との間の境界107のセクション又は一部との間に取り囲まれる。このことから、第1の取り囲まれた領域241は、第1のストローク220のアウトラインと、第2の交点222と第3の交点223との間の境界107のセクション又は一部とによって形成される外周を備える。
【0109】
態様によると、ブラシストローク220の陰影付き領域105との交差は、ある特定のアルゴリズム、例えば、穴塗りつぶしアルゴリズムを実行するためのトリガとして使用される。より好ましい態様によると、第1の取り囲まれた領域241の検出は、1つ以上のアルゴリズムを実行するためのトリガとして使用される。取り囲まれた領域の検出は、連続的若しくは断続的のうちのいずれかで実行することができるか、又はそれはまた、トリガベースであり得る。例えば、別の好ましい態様によると、ブラシストローク220の陰影付き領域105との交差は、取り囲まれた領域検出又は穴検出ロジックを実行するためのトリガとして使用され得、取り囲まれた領域の正の検出を、次いで、穴塗りつぶしロジック用のトリガとして使用することができる。例えば、第1の取り囲まれた領域241の検出に応答して、前記領域は、変更され、例えば、第1の塗りつぶし251で塗りつぶされ得る。第1の塗りつぶし251は、第1のストローク220を描画するために使用されるブラシ色と同じ色であり得る。変更又は塗りつぶし251は、このことから、ユーザの介入なしに自動的に行うことができる。加えて、処理集約的なアルゴリズムは、それらが本当に必要とされない限り、実行されることを防止することができる。
【0110】
同様に、消去ストローク230は、2つの位置において第2の陰影付き領域105の境界107と交差する。一方の位置において、消去ストローク230のアウトラインは、第1の消去交点231及び第2の消去交点232において境界107と交差する。他方の位置において、消去ストローク230のアウトラインは、第3の消去交点233及び第4の消去交点234において境界107と交差する。これらの交点231、232、233、及び234はまた、本教示の態様によると、取り囲まれた領域がストロークの結果として形成されたかどうかを検出するために、交差対に分割される。第2の取り囲まれた領域242が実際に形成されていることが分かる。第2の取り囲まれた領域242は、消去ストローク230のアウトラインの一部と境界107のセクション又は一部との間に取り囲まれる。より具体的には、第2の取り囲まれた領域242は、第2の消去交点232と第3の消去交点233との間のアウトラインの一部と、第2の消去交点232と第3の消去交点233との間の境界107のセクション又は一部との間に取り囲まれる。このことから、第2の取り囲まれた領域242は、第2のストローク230のアウトラインと、第2の消去交点232と第3の消去交点233との間の境界107のセクション又は一部とによって形成される外周を備える。
【0111】
態様によると、消去ストローク230の陰影付き領域105との交差は、ある特定のアルゴリズム、例えば、塗りつぶし除去アルゴリズム及び/又は穴塗りつぶしアルゴリズムを実行するためのトリガとして使用される。より好ましい態様によると、第2の取り囲まれた領域242の検出は、1つ以上のアルゴリズムを実行するためのトリガとして使用される。取り囲まれた領域の検出は、連続的若しくは断続的のうちのいずれかで実行することができるか、又はそれはまた、トリガベースであり得る。例えば、別の好ましい態様によると、消去ストローク230の陰影付き領域105との交差を、取り囲まれた領域検出ロジックを実行するためのトリガとして使用され得、取り囲まれた領域の正の検出を、次いで、島消去ロジック、例えば塗りつぶし消去又は島除去アルゴリズム用のトリガとして使用することができる。例えば、第2の取り囲まれた領域242の検出に応答して、前記領域は変更され得、例えば、塗りつぶしが除去され得るか252、又はおそらく異なる色で塗りつぶされ得る。変更又は塗りつぶし除去252は、このことから、ユーザの介入なしに自動的に行うことができる。加えて、処理集約的なアルゴリズムは、それらが本当に必要とされない限り、実行されることを防止することができる。
【0112】
自己交差ストローク206の場合、取り囲まれた空間の穴塗りつぶし及び/若しくはトリガ検出のうちのいずれかを行うために、又は塗りつぶし除去を使用して陰影付き領域の島を除去するためにさえ、トリガとしてストロークの自己交差を使用することによって、同様の手法を使用することができる。自己交差ストローク206は、孤立した陰影付き領域がどのように迅速に作成され得るかの例である。ユーザが自己交差ストローク206を描画し、ストロークが完了すると、第3の取り囲まれた領域240が検出される。検出されると、穴塗りつぶしアルゴリズムなどの他のアルゴリズムが実行され、第3の塗りつぶし250が、自己交差するストロークの内部アウトライン内に適用される。結果として、ユーザは、領域の外部アウトラインを定義するだけで、歯科処置に関連する新しい陰影付き領域を迅速に作成することができる。同様に、迅速な消去を行うことができる。
【0113】
好ましい態様によると、ユーザが可能な最終結果を認識し得るように、取り囲まれた領域を自動的に検出することに応答して、塗りつぶしが迅速に視覚化される。本教示に起因するより高速な応答に起因して、これは、ストロークが終了する前でも、又はユーザが依然として描画している間でも、行うことができる。
【0114】
ここで、図3を参照して、取り囲まれた領域の検出の例300を示す。デジタル3D解剖学的印象中の関心領域を表し得る陰影付き領域301が示されている。陰影付き領域301は、境界又は境界線302によって画定されるか、又は取り囲まれる。境界302の外側の領域は、陰影なし領域である。ブラシストローク320は、陰影付き領域301を拡大するために描画されて示されている。それ故に、ブラシの色は、陰影付き領域301の色と同様又は同じである。図から分かるように、ブラシのアウトラインは、4つの交点1i、1o、2i、及び2oが作成されるように境界302と交差する。この例では反時計回りである第1の方向311を仮定すると、点1i及び2iは、ストローク320の進入エッジに対応し、即ち、第1の方向311に沿って、ストロークアウトラインが陰影付き領域301に「入る」ことがわかる。同様に、点1o及び2oは、ストローク320の退出エッジに対応し、即ち、ストロークアウトラインは、陰影付き領域301を「去る」。
【0115】
交差対を形成するために、任意の退出エッジから開始する2つの連続する交点が、所与の交差対に割り振られる。例えば、退出交差である点1oから開始して、第1の方向311における次の交差は、点1iである。故に、点1o及び1iは、第1の交差対を形成する。同じ経路に沿って続くと、次の点は2oであり、2iが続き、それらは次いで、第2の交差対になる。
【0116】
任意の交差対についての距離dを算出するために、対の退出エッジから開始し、第2の点又はその進入エッジに達するまで、境界302に沿ってセクション決定方向312に距離を測定することができる。例えば、第1の交差対の場合、1oから開始して境界302に沿ってセクション決定方向312に移動すると、距離値は、第1の交差対の進入エッジ点1iに到達するまでの境界302のセクション長となるであろう。図から分かるように、この長さdは、境界302の全長Lのごく一部であろう。対照的に、第2の交差対の場合、点2oから開始して、セクション決定方向312に、他方の点2iに到達するまでの全長Lの長さの大部分を測定する。式(1)のxの適切な値を使用することによって、第2の対の距離dを拒絶することができ、その一方で、第1の交差対の距離dは、例えば、dが正の取り囲まれた空間の検出のためにLの30%以下であるべきであるという基準を満たすであろう。
【0117】
【数3】
【0118】
分かるように、上記の例は、(2)に記載した基準を満たし、即ち、
【0119】
【数4】
【0120】
同様の結果は、交差対の形成を開始するために、1oからではなく点2oから開始することによって達成することができる。また、第1の方向が時計回りであり、その一方でセクション決定方向が反時計回りである場合、同様の結果を達成することができる。その上、第1の方向及びセクション決定方向の両方が時計回りである場合、又は両方が反時計回りである場合でさえ、同様の結果を達成することができる。両方の方向が同じである場合、測定方向を逆にすることができる。故に、基準(2)を満たすまで、任意の実装が機能するであろう。
【0121】
この手法の利点は、有効な取り囲まれた領域がいつ形成されないかを判断することも可能にするので、以下でより明らかになるであろう。故に、必要とされるときにのみ実行すべきアルゴリズムのトリガリングを改善する。
【0122】
図3(B)に見られるように、陰影付き領域301は、拡大され、取り囲まれた空間315は、自動塗りつぶしされる350。交点2i及び2oの位置が、基準として提供される。
【0123】
ここで、図4を参照して、本教示によって、取り囲まれた領域の誤検出がどのように拒絶されるかの例400を示す。第1の図4(A)は、陰影付き領域301にされるブラシストローク320を示す。図から分かるように、取り囲まれた領域、又はストローク320と陰影付き領域301との間に取り囲まれた陰影なし領域の穴は存在しない(例えば、図3に示すような領域315とは異なる)。この場合、穴塗りつぶしアルゴリズムを実行する必要はない。図3の文脈で議論したのと同様の基準に従って、退出エッジ、例えば1oから開始して、第1の交差対は、1o及び1iであり、第2の交差対は、2o及び2iである。図から分かるように、対のうちのいずれかの退出エッジから開始して、セクション決定方向312に沿って移動するとき、距離値dは、非常に高く、この例では、境界302の全長Lに近いであろう。このことから、式(1)を使用すると、距離値のいずれも、取り囲まれた領域を示さず、故に、穴塗りつぶしなどの処理集約的なアルゴリズムが実行される必要がない。
【0124】
同様に、図4(B)に示すように、描画ストロークではなくタップ420により類似したブラシストロークの場合、単一の交差位置が存在するので、1つのエッジ対しか存在しないであろう。他の図面の交差対と区別するために、ここでは代替の表記が使用される。単一の交差対は、退出エッジ点1-及び進入エッジ点1+によって形成される。以前の議論と同様に、ここでの距離値dも非常に高く、故に、有効な取り囲まれた領域は検出されない。
【0125】
以前に議論したように、他の方向又は表記が使用されても、それらが基準(2)を概ね満たす限り、基準は機能するであろう。
【0126】
ここで、図5を参照して、本教示を消去ストロークにもどのように適用することができるかの例500を示す。図5(A)では、消去ストローク501が、陰影付き領域301中に作成されて示されている。ストローク501のアウトラインは、交点Ao、Ai、Bo、及びBiにおいて境界302と交差する。ストローク501の結果として、取り囲まれた領域505が形成されている。従来は、手動での消去又は変更が必要だったであろう。以前の図で議論した描画手法又はブラシ手法に対する僅かな変形形態として、退出(又は負の)交差からの代わりに、進入(又は正の)交差から開始して交差対が形成される。故に、第1の方向311に沿って移動し、任意の進入エッジ、例えばAiから開始すると、第1の交差対は、点Ai及びAoを有し、その一方で、第2の交差対は、点Bi及びBoを有するであろう。それぞれの対の各々についての距離dを算出するために、この例では、(セクション決定方向≠第1の方向であるので)退出エッジから開始する。図から分かるように、Ai及びAoについては、距離値は非常に大きく、その一方で、Bi及びBoの対については、式(1)を満たすであろう。
【0127】
式(1)を直接使用する代わりに、2つの対に対する2つの距離値を加算し、その和がLにより近いかどうかをチェックするような他の基準を形成することもできることに留意されたい。例えば、2つの距離値に交差におけるストロークの幅を加えたものは、正確に又は本質的にLに等しくあるべきである。有効な取り囲まれた領域がない場合、長さの和は、Lからのより大きな差を有する傾向があるであろう。同様に、他の基準を想定することができる。各対についての距離値dを算出することの利点は、それがまた、取り囲まれた領域がどこに形成されるかのインジケーションを与えることであり得る。図から分かるように、式(1)と同様の基準を満たす交差対の間に、取り囲まれた領域が形成される。
【0128】
第2の図5(B)は、取り囲まれた領域505が取り囲まれた領域検出に応答してどのように自動的に消去されたかを示す。点Ao及びAiは、単に参考のために示している。
【0129】
図4の描画ストロークの文脈で議論したように、本教示によると、同様の形で、消去ストロークにおいても取り囲まれた領域の誤検出が防止されることを認識されたい。故に、図3(A)に示すブラシストローク320と同様の形態の消去ストロークは、取り囲まれた領域の負の検出を提供しているように示すことができる。同様に、図4(B)に示すようなブラシストローク420と同様の形態の消去ストロークも、(1)及び(2)で定義された基準を満たすトリガ手法に従うことによって、取り囲まれた領域の負の検出を提供するように示すことができる。
【0130】
図6及び7は、自己交差するストロークの例600及び700を例示する。そのようなストロークは、例えば、ユーザがループを描画するときに行うことができる。ストロークの先頭端部のその軌跡との交差に起因して、ループが形成される。従来、図6(A)及び7(A)に示すように、塗りつぶされる必要がある取り囲まれた空間605が形成されるであろう。本教示によると、ストローク完了が検出され得、それは、ストロークの1つ以上の点の交差によってトリガすることができる。それに応答して、内部アウトライン603が形成される場合には、穴塗りつぶしアルゴリズムなどの別のアルゴリズムが実行され得る。より好ましくは、ストローク完了は、第2のアウトライン603の形成によって検出される。最終結果は、それぞれ図6(B)及び7(B)に見られる通りであり得、ここで、内部アウトライン603は、自動的に塗りつぶされ、このことから、陰影付き領域に対応する塗りつぶしで穴を塗りつぶす。故に、境界602を有する陰影付き領域が、ストロークの外部アウトラインによって形成される。これは、処理に関連する領域の形成を高速化することができる。
【0131】
図8は、先行する図においても議論したようなデジタル歯科印象を処理するためのフローチャート又はルーチン800を例示する。ルーチン800は、任意の1つ以上の適切なコンピューティングユニットによって、又は歯科処置支援システムによって実行され得る。
【0132】
ブロック801では、デジタル歯科印象が提供される。デジタル歯科印象は、例えば、メモリ位置に動作可能に接続することによって取得され得るか、又は例えばスキャンを介して生成され得る。ブロック802では、表示デバイスを介して、デジタル歯科印象の画像が表示される。画像は、1つ以上の陰影付き領域を備え得る。陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し得る。陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ得る。画像はまた、陰影なし領域を備え得る。陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表し得る。陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離される。ブロック803では、入力インタフェースを介して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力が受信される。ブロック804では、トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了が検出される。ブロック805では、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域は、ストローク完了に応答して変更される。
【0133】
図9は、デジタル3次元形状を処理するための方法のための更なるフローチャート又は別のルーチン900を例示し、それは、トリガロジックとして実装され得る。別のルーチン900は、例えばブロック804に示したようにルーチン800の一部であり得るか、又は例えば別の場所で若しくは別のコンピューティングユニットによって、デジタル3次元形状を処理するためのスタンドアロンルーチンであり得る。当業者は、本教示を、歯の幾何学的形状以外の他の種類の3D形状に有利に活用することができることを認識されたい。
【0134】
ブロック901では、境界の2つの異なる位置での境界における描画ストロークの交差が検出される。境界は、デジタル幾何学的表面を空のデジタルキャンバス空間から分離する。デジタル幾何学的表面は、陰影付きエリアと呼ばれ得、その一方で、空のキャンバスは、陰影なしエリアと呼ばれ得る。ブロック902では、計算ユニットのうちの任意の1つ以上を介して、描画ストロークと2つの交差位置間の境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域が検出される。ブロック903では、陰影付き領域の特質は、コンピューティングユニットのうちの任意の1つ以上を介して変更される。任意選択で、取り囲まれた領域は、陰影付き領域を陰影なし領域から分離する境界のセクションによって部分的に閉じ込められ得る。取り囲まれた領域は、セクション及びアウトライン内に閉じ込められ得、新しい境界はまた、セクションを含み得る。
【0135】
方法のステップは、例又は態様に列挙して示すような順序で実行され得る。しかしながら、特定の状況下では、異なる順序も可能であり得ることに留意されたい。更に、方法のステップのうちの1つ以上を1回又は繰り返して実行することも可能である。これらのステップは、規則的又は不規則的な時間期間で繰り返され得る。更に、方法のステップのうちの2つ以上を同時に、又は具体的には方法のステップのうちのいくつか又はそれ以上が繰り返し実行されるときには、時間的に重複して実行することが可能である。本方法は、列挙していない更なるステップを備え得る。
【0136】
「備える」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一の処理手段、プロセッサ若しくはコントローラ、又は他の同様のユニットが、特許請求の範囲に記載したいくつかの項目の機能を果たし得る。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示さない。特許請求の範囲におけるいかなる異なる符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0137】
更に、本開示では、特徴又は要素が1回以上存在し得ることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語、又は同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴又は要素を導入するときに1回のみ使用されている場合があることに留意されたい。このことから、場合によっては、別段に明記されない限り、それぞれの特徴又は要素を参照するとき、それぞれの特徴又は要素が1回以上存在し得るという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という表現は繰り返されていない場合がある。
【0138】
更に、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より詳細には」、「具体的には」、「より具体的には」という用語、又は同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意選択の特徴と併せて使用される。このことから、これらの用語によって導入される任意の特徴は、任意選択の特徴であり、特許請求の範囲を限定することを決して意図されない。本教示は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実行され得る。同様に、「一態様によると」又は同様の表現によって導入される特徴は、本教示の代替形態に関するいかなる制限もなく、本教示の範囲に関するいかなる制限もなく、及びそのように導入された特徴を本教示の他の任意選択の又は非任意選択の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もない、任意選択の特徴であることを意図される。
【0139】
別段に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本教示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0140】
様々な例を、方法、システム、デバイス、使用、ソフトウェアプログラム、及び本明細書で開示する方法を実施するためのコンピュータプログラムコードを備えるコンピューティングユニットについて上記で開示した。例えば、デジタル歯科印象を処理するための方法が開示され、本方法は、
-デジタル歯科印象の画像を表示することと、ここにおいて、画像は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表す陰影付き領域と、境界内に取り囲まれた陰影付き領域と、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表す陰影なし領域と、ここにおいて、陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、を備え、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、-ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、-ストロークの完了に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備える。本教示はまた、デジタル3次元形状を処理するための方法、歯科処置支援システム、使用、及びコンピュータソフトウェア製品に関する。しかしながら、当業者は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの例に変更及び修正が成され得ることを理解するであろう。本明細書で議論する方法及び製品の実施形態からの態様は、自由に組み合わせられ得ることを更に認識されたい。
【0141】
説明内で利用されるどの見出しも便宜上のものに過ぎず、法的又は制限的効果を有するものではない。
【0142】
更なる可能な実施形態を要約し、且つ除外することなく、本教示のある特定の実例的な実施形態を以下の条項に要約する。
【0143】
条項1:デジタル陰影付き領域を作成又は縮小するためのコンピュータ実施方法であって、デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、陰影なし領域及びデジタル陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、本方法は、
-入力インタフェースを介して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、ここで、ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の検出は、
-ストロークのそれ自体との又はデジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部によって、又はアウトラインの一部と境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、アウトラインの一部と境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域の検出は、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することとを更に伴い、
-陰影付き領域になるように取り囲まれた領域を塗りつぶすこと、又は陰影なし領域になるように取り囲まれた領域を消去することのうちのいずれかを行うことによって、ストロークの完了に応答して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備える、方法。
【0144】
条項2:デジタル陰影付き領域を拡大するためのコンピュータ実施方法であって、デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、陰影なし領域及びデジタル陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、本方法は、
-入力インタフェースを介して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成された描画ストロークの完了を検出することと、ここで、ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の検出は、
-ストロークのデジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部と境界のセクションとによって完全に取り囲まれ、取り囲まれた領域の検出は、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することとを更に伴い、
-陰影付き領域の一部になるように、取り囲まれた領域を塗りつぶすことなどによって、ストロークの完了に応答して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備える、方法。
【0145】
条項3:デジタル陰影付き領域を縮小するためのコンピュータ実施方法であって、デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、陰影なし領域及びデジタル陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、本方法は、
-入力インタフェースを介して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成された消去ストロークの完了を検出することと、ここで、ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の検出は、
-ストロークのデジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部と境界のセクションとによって完全に取り囲まれ、取り囲まれた領域の検出は、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することとを更に伴い、
-陰影なし領域の一部になるように、取り囲まれた領域の塗りつぶしを除去することなどによって、ストロークの完了に応答して、デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を備える、方法。
【0146】
条項4:本方法は、デジタル歯科印象を処理するために使用され、デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、デジタル陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表す、条項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0147】
条項5:自己交差するストロークによって形成された取り囲まれた領域の検出は、アウトラインの先頭部分又は点とアウトラインの軌跡部分又は点との間の交差を検出することを伴う、条項1又は4に記載の方法。
【0148】
条項6:アウトラインの一部と境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域の検出は、アウトラインとストロークとの間の交差を検出することを伴う、条項1又は4に記載の方法。
【0149】
条項7:相対比較は、以下の式を使用することなどによって、境界の総距離の分率として、計算された距離について定義された閾値を使用して実行され、
【0150】
【数5】
【0151】
dは、計算された距離であり、Lは、境界の総距離であり、xは、所定の数である、条項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0152】
条項8:各交差対は、1つの進入交点及び1つの退出交点を備え、進入交点は、アウトラインに沿った第1の方向を考慮してアウトラインがデジタル陰影付き領域に入る交点であり、退出交点は、同じ第1の方向を考慮してアウトラインがデジタル陰影付き領域を去る交点であり、第1の方向は、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかであり、各交差対の交点は、第1の方向で考慮されたときはアウトラインに沿った連続する交点である、条項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0153】
条項9:ストロークは、デジタル陰影付き領域を拡大するための描画ストロークであり、各交差対は、それぞれの退出交点のうちの1つとその連続する進入交点とによって形成される、条項8に記載の方法。
【0154】
条項10:ストロークは、デジタル陰影付き領域を低減するための消去ストロークであり、各交差対は、それぞれの進入交点のうちの1つとその連続する退出交点とによって形成される、条項8に記載の方法。
【0155】
条項11:各交差対についての計算された距離dは、以下の基準を満たし、
【0156】
【数6】
【0157】
セクション決定方向は、所定の方向であり、それは、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかであり、do→iは、退出交点から開始して進入交点に向かって測定され、di→oは、進入交点から開始して退出交点に向かって測定され、好ましくは、交差対についてのそれぞれの距離は、第1の方向とセクションとの間の相対関係にそれぞれ応じて、交差対の退出交点又は交差対の進入交点からそれぞれ測定される、条項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
条項12:-デジタル歯科印象に基づいて、処理されたデジタル歯科印象を生成すること
も備え、処理されたデジタル歯科印象は、変更されたデジタル陰影付き領域及び/又は変更された陰影なし領域の情報を含む、条項4~11のいずれか一項に記載の方法。
【0159】
条項13:-処理されたデジタル歯科印象を使用して、歯科処置を実行すること
も備える、条項12に記載の方法。
【0160】
条項14:-処理されたデジタル歯科印象を使用して、クラウン又はブリッジなどの歯科オブジェクトを製造すること
も備える、条項12又は13に記載の方法。
【0161】
条項15:条項1~14のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段を備えるシステム。
【0162】
条項16:適切な1つ以上のコンピューティングユニットによって実行されると、コンピューティングユニットのうちの任意のものに、条項1~14のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータソフトウェアプログラム、又はコンピュータソフトウェアプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0163】
条項17:歯科処置支援システムであって、本システムは、
デジタル歯科印象にアクセスするか又はそれを取得するためにメモリ位置に動作可能に接続することと、ここで、デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、
表示デバイスを介して、デジタル歯科印象の画像を表示することと、ここにおいて、画像は、
陰影付き領域と、ここで、陰影付き領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、
陰影なし領域と、ここで、陰影なし領域は、口腔解剖学的構造の歯科処置に関連しない部分を表し、陰影なし領域及び陰影付き領域は、境界によって互いに分離され、
を備え、
入力インタフェースを介して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
トリガロジックを介して、ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、ここで、ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了を検出するために、本システムは、
-ストロークのそれ自体との又は陰影付き領域との交差を検出することと、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを行うように構成され、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部によって、又はアウトラインの一部と境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、アウトラインの一部と境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域の検出のために、本システムは、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することとを行うように構成され、
陰影付き領域になるように取り囲まれた領域を塗りつぶすこと、又は陰影なし領域になるように取り囲まれた領域を消去することのうちのいずれかを行うことによって、ストロークの完了に応答して、陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更することと
を行うように構成される、システム。
【0164】
条項18:デジタル解剖学的形状などのデジタル形状を処理するためのトリガロジックであり、トリガロジックは、
-ストロークのそれ自体との又は境界内に取り囲まれた陰影付き領域との交差を検出することと、ここにおいて、ストロークは、アウトライン内に包含され、
-交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することと
を行うように構成され、取り囲まれた領域は、アウトラインの一部によって、又はアウトラインの一部と境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、アウトラインの一部と境界のセクションとによって形成された取り囲まれた領域の検出のために、トリガロジックは、
-アウトラインと境界との間に複数の交点を決定することと、
-複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある境界に沿った距離を計算することと、ここで、距離は、所定の点から開始して境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された距離を境界の総距離と相対的に比較することと、
-取り囲まれた領域を比較から決定することと
を行うように構成される、トリガロジック。
【0165】
条項19:取り囲まれた領域の特質を変更すること、例えば、取り囲まれた領域を塗りつぶすことによって拡大するか又は取り囲まれた領域を消去して陰影なし領域に変換すること、を行うように更に構成される、条項18に記載のトリガロジック。
【0166】
条項20:歯科オブジェクトを生産するために条項12~14のいずれか一項において生成されるような処理されたデジタル歯科印象の使用。
【0167】
条項21:条項12~14のいずれか一項において生成されるような処理されたデジタル歯科印象を記憶するデータ記憶媒体。
図1(A)】
図1(B)】
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図3(A)】
図3(B)】
図4(A)】
図4(B)】
図5(A)】
図5(B)】
図6(A)】
図6(B)】
図7(A)】
図7(B)】
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル陰影付き領域を作成又は縮小するためのコンピュータ実施方法であって、前記デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、前記デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、前記陰影なし領域及び前記デジタル陰影付き領域は、前記境界によって互いに分離され、前記方法は、
-入力インタフェースを介して、前記デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、前記ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、ここで、前記ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の前記検出は、
-前記ストロークのそれ自体との又は前記デジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-前記交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、前記取り囲まれた領域は、前記アウトラインの一部によって、又は前記アウトラインの一部と前記境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、前記アウトラインの一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、
-前記アウトラインと前記境界との間に複数の交点を決定することと、
-前記複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある前記境界に沿った距離を計算することと、ここで、前記距離は、所定の点から開始して前記境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された前記距離を前記境界の総距離と相対的に比較することと、
-前記取り囲まれた領域を前記比較から決定することとを更に伴い、
-陰影付き領域になるように前記取り囲まれた領域を塗りつぶすこと、又は陰影なし領域になるように前記取り囲まれた領域を消去することのうちのいずれかを行うことによって、前記ストロークの完了に応答して、前記デジタル陰影付き領域及び/又は前記陰影なし領域を変更することと
を備える、方法。
【請求項2】
前記方法は、デジタル歯科印象を処理するために使用され、前記デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、前記デジタル陰影付き領域は、前記口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、前記陰影なし領域は、前記口腔解剖学的構造の前記歯科処置に関連しない部分を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自己交差する前記ストロークによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、前記アウトラインの先頭部分又は点と前記アウトラインの軌跡部分は点との間の交差を検出することを伴う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アウトラインの前記一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、前記アウトラインと前記ストロークとの間の交差を検出することを伴う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記相対比較は、以下の式を使用することなどによって、前記境界の前記総距離の分率として、計算された前記距離について定義された閾値を使用して実行され、
【数1】
dは、計算された前記距離であり、Lは、前記境界の前記総距離であり、xは、所定の数である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
各交差対は、1つの進入交点及び1つの退出交点を備え、前記進入交点は、前記アウトラインに沿った第1の方向を考慮して前記アウトラインが前記デジタル陰影付き領域に入る交点であり、前記退出交点は、同じ第1の方向を考慮して前記アウトラインが前記デジタル陰影付き領域を去る交点であり、前記第1の方向は、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかであり、各交差対の前記交点は、前記第1の方向で考慮されたときは前記アウトラインに沿った連続する交点である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記ストロークは、前記デジタル陰影付き領域を拡大するための描画ストロークであり、各交差対は、それぞれの前記退出交点のうちの1つとその連続する進入交点とによって形成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ストロークは、前記デジタル陰影付き領域を低減するための消去ストロークであり、各交差対は、それぞれの前記進入交点のうちの1つとその連続する退出交点とによって形成される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
各交差対についての計算された前記距離dは、以下の基準を満たし、
【数2】
セクション決定方向は、前記所定の方向であり、それは、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかであり、do→iは、前記退出交点から開始して前記進入交点に向かって測定され、di→oは、前記進入交点から開始して前記退出交点に向かって測定される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
-前記デジタル歯科印象に基づいて、処理されたデジタル歯科印象を生成すること
も備え、前記処理されたデジタル歯科印象は、変更された前記デジタル陰影付き領域及び/又は変更された前記陰影なし領域の情報を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の方法のステップを実行するための手段を備えるシステム。
【請求項12】
適切な1つ以上のコンピューティングユニットによって実行されると、前記コンピューティングユニットのうちの任意のものに、請求項1又は2に記載の方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータソフトウェアプログラム、又は前記コンピュータソフトウェアプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
デジタル解剖学的形状などのデジタル形状を処理するためのトリガロジックであり、前記トリガロジックは、
-ストロークのそれ自体との又は境界内に取り囲まれた陰影付き領域との交差を検出することと、ここにおいて、前記ストロークは、アウトライン内に包含され、
-前記交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することと
を行うように構成され、前記取り囲まれた領域は、前記アウトラインの一部によって、又は前記アウトラインの一部と前記境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、前記アウトラインの一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出のために、前記トリガロジックは、
-前記アウトラインと前記境界との間に複数の交点を決定することと、
-前記複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある前記境界に沿った距離を計算することと、ここで、前記距離は、所定の点から開始して前記境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された前記距離を前記境界の総距離と相対的に比較することと、
-前記取り囲まれた領域を前記比較から決定することと
を行うように構成される、トリガロジック。
【請求項14】
歯科オブジェクトを生産するために請求項10において生成されるような前記処理されたデジタル歯科印象の使用。
【請求項15】
請求項10において生成されるような前記処理されたデジタル歯科印象を記憶するデータ記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0167
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0167】
条項21:条項12~14のいずれか一項において生成されるような処理されたデジタル歯科印象を記憶するデータ記憶媒体。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
デジタル陰影付き領域を作成又は縮小するためのコンピュータ実施方法であって、前記デジタル陰影付き領域は、境界内に取り囲まれ、前記デジタル陰影付き領域は、陰影なし領域によって囲まれ、前記陰影なし領域及び前記デジタル陰影付き領域は、前記境界によって互いに分離され、前記方法は、
-入力インタフェースを介して、前記デジタル陰影付き領域及び/又は陰影なし領域を変更するためのユーザ入力を受信することと、
-トリガロジックを介して、前記ユーザ入力によって生成されたストロークの完了を検出することと、ここで、前記ストロークは、アウトライン内に包含され、ストロークの完了の前記検出は、
-前記ストロークのそれ自体との又は前記デジタル陰影付き領域との交差を検出することと、
-前記交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することとを伴い、前記取り囲まれた領域は、前記アウトラインの一部によって、又は前記アウトラインの一部と前記境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、前記アウトラインの一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、
-前記アウトラインと前記境界との間に複数の交点を決定することと、
-前記複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある前記境界に沿った距離を計算することと、ここで、前記距離は、所定の点から開始して前記境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された前記距離を前記境界の総距離と相対的に比較することと、
-前記取り囲まれた領域を前記比較から決定することとを更に伴い、
-陰影付き領域になるように前記取り囲まれた領域を塗りつぶすこと、又は陰影なし領域になるように前記取り囲まれた領域を消去することのうちのいずれかを行うことによって、前記ストロークの完了に応答して、前記デジタル陰影付き領域及び/又は前記陰影なし領域を変更することと
を備える、方法。
[C2]
前記方法は、デジタル歯科印象を処理するために使用され、前記デジタル歯科印象は、口腔解剖学的構造を表し、前記デジタル陰影付き領域は、前記口腔解剖学的構造の歯科処置に関連する部分を表し、前記陰影なし領域は、前記口腔解剖学的構造の前記歯科処置に関連しない部分を表す、C1に記載の方法。
[C3]
自己交差する前記ストロークによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、前記アウトラインの先頭部分又は点と前記アウトラインの軌跡部分は点との間の交差を検出することを伴う、C1又は2に記載の方法。
[C4]
前記アウトラインの前記一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出は、前記アウトラインと前記ストロークとの間の交差を検出することを伴う、C1又は2に記載の方法。
[C5]
前記相対比較は、以下の式を使用することなどによって、前記境界の前記総距離の分率として、計算された前記距離について定義された閾値を使用して実行され、
【数7】
dは、計算された前記距離であり、Lは、前記境界の前記総距離であり、xは、所定の数である、C1~4のいずれか一項に記載の方法。
[C6]
各交差対は、1つの進入交点及び1つの退出交点を備え、前記進入交点は、前記アウトラインに沿った第1の方向を考慮して前記アウトラインが前記デジタル陰影付き領域に入る交点であり、前記退出交点は、同じ第1の方向を考慮して前記アウトラインが前記デジタル陰影付き領域を去る交点であり、前記第1の方向は、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかであり、各交差対の前記交点は、前記第1の方向で考慮されたときは前記アウトラインに沿った連続する交点である、C1~5のいずれか一項に記載の方法。
[C7]
前記ストロークは、前記デジタル陰影付き領域を拡大するための描画ストロークであり、各交差対は、それぞれの前記退出交点のうちの1つとその連続する進入交点とによって形成される、C6に記載の方法。
[C8]
前記ストロークは、前記デジタル陰影付き領域を低減するための消去ストロークであり、各交差対は、それぞれの前記進入交点のうちの1つとその連続する退出交点とによって形成される、C6に記載の方法。
[C9]
各交差対についての計算された前記距離dは、以下の基準を満たし、
【数8】
セクション決定方向は、前記所定の方向であり、それは、時計回り又は反時計回りのうちのいずれかであり、d o→i は、前記退出交点から開始して前記進入交点に向かって測定され、d i→o は、前記進入交点から開始して前記退出交点に向かって測定される、C6~8のいずれか一項に記載の方法。
[C10]
-前記デジタル歯科印象に基づいて、処理されたデジタル歯科印象を生成すること
も備え、前記処理されたデジタル歯科印象は、変更された前記デジタル陰影付き領域及び/又は変更された前記陰影なし領域の情報を含む、C2~9のいずれか一項に記載の方法。
[C11]
C1~10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための手段を備えるシステム。
[C12]
適切な1つ以上のコンピューティングユニットによって実行されると、前記コンピューティングユニットのうちの任意のものに、C1~10のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させる命令を備える、コンピュータソフトウェアプログラム、又は前記コンピュータソフトウェアプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[C13]
デジタル解剖学的形状などのデジタル形状を処理するためのトリガロジックであり、前記トリガロジックは、
-ストロークのそれ自体との又は境界内に取り囲まれた陰影付き領域との交差を検出することと、ここにおいて、前記ストロークは、アウトライン内に包含され、
-前記交差によって引き起こされた取り囲まれた領域の形成を検出することと
を行うように構成され、前記取り囲まれた領域は、前記アウトラインの一部によって、又は前記アウトラインの一部と前記境界のセクションとによって、完全に取り囲まれ、前記アウトラインの一部と前記境界の前記セクションとによって形成された前記取り囲まれた領域の前記検出のために、前記トリガロジックは、
-前記アウトラインと前記境界との間に複数の交点を決定することと、
-前記複数の交点から少なくとも1つの交差対を形成することと、
-少なくとも1つの交差対の点の間にある前記境界に沿った距離を計算することと、ここで、前記距離は、所定の点から開始して前記境界に沿って所定の方向に測定され、
-少なくとも1つの交差対の計算された前記距離を前記境界の総距離と相対的に比較することと、
-前記取り囲まれた領域を前記比較から決定することと
を行うように構成される、トリガロジック。
[C14]
歯科オブジェクトを生産するためにC10において生成されるような前記処理されたデジタル歯科印象の使用。
[C15]
C10において生成されるような前記処理されたデジタル歯科印象を記憶するデータ記憶媒体。
【国際調査報告】