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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】杭打装置及びフォロワ
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/10 20060101AFI20240816BHJP
   E02D 13/10 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
E02D7/10
E02D13/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507918
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 NL2022050464
(87)【国際公開番号】W WO2023018329
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2028956
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523026709
【氏名又は名称】アイキューアイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・インマル・オーベルカンプ
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050AA06
2D050CB14
2D050EE06
(57)【要約】
杭(P)を地中に打ち込む杭打装置(1)は、ラムと、アンビル(5,31)と、スリーブ(4)とを備えている。アンビル(5,31)は、スリーブ(4)内に収容され、スリーブ(4)に対して打込み方向に移動可能である。ラムはアンビル(5,31)に対して打込み方向に往復移動可能であり、作動条件下でアンビル(5,31)に衝撃エネルギーを与えている。アンビル(5,31)とスリーブ(4)とは、アンビルガイド(8)のアンビルガイド面(12)を介して打込み方向の横方向で互いに接触している。アンビルガイド(8)は、アンビル(5,31)及びスリーブ(4)の一方に対してアンビルガイド面(12)が横方向に移動可能であるようにアンビル(5,31)及びスリーブ(4)の一方に取り付けられた別個のアンビルガイド(8)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭(P)を地中に打ち込む杭打装置(1)であって、ラムと、アンビル(5,31)と、スリーブ(4)とを備え、前記アンビル(5,31)は、前記スリーブ(4)内に収容され、該スリーブ(4)に対して打込み方向に移動可能であり、前記ラムは、前記アンビル(5,31)に対して前記打込み方向に往復移動可能であり、作動条件下で前記アンビル(5,31)に衝撃エネルギーを与える杭打装置(1)において、
前記アンビル(5,31)と前記スリーブ(4)とは、アンビルガイド(8)のアンビルガイド面(12)を介して前記打込み方向の横方向で互いに接触しており、前記アンビルガイド(8)は、前記アンビル(5,31)及び前記スリーブ(4)の一方に対して前記アンビルガイド面(12)が横方向に移動可能であるように前記アンビル(5,31)及び前記スリーブ(4)の一方に取り付けられた別個のアンビルガイド(8)である、杭打装置。
【請求項2】
前記アンビルガイド(8)は、前記アンビルガイド面(12)の移動を可能にする弾性であって、前記アンビル(5,31)の位置での前記アンビル(5,31)または前記スリーブ(4)の横方向の弾性率よりも小さい弾性率を有する弾性を備えている、請求項1に記載の杭打装置。
【請求項3】
前記アンビルガイド面(12)は、前記アンビル(5,31)及び前記スリーブ(4)の一方に弾性的に取り付けられた剛性アンビルガイド本体(13)の一部である、請求項1または2に記載の杭打装置。
【請求項4】
前記アンビルガイドは、別個のアンビルガイド要素(8)であり、該別個のアンビルガイド要素(8)のうちの1つまたは複数は、前記アンビル(5,31)の円周方向に互いに離間して配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の杭打装置。
【請求項5】
前記アンビルガイド(8)は、前記アンビルガイド面(12)が前記スリーブ(4)に対して横方向に移動可能となるように、前記スリーブ(4)に取り付けられている、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の杭打装置。
【請求項6】
更なるアンビルガイドが、前記アンビル(5,31)に対して横方向に移動可能となるように前記アンビル(5,31)に取り付けられ、前記更なるアンビルガイドは、前記アンビルガイド(8)と同様の機能特性を有している、請求項5に記載の杭打装置。
【請求項7】
前記スリーブ(4)には、地中に打ち込まれる杭(P)をガイドするための杭ガイド要素(17,24)が設けられており、前記杭ガイド要素(17,24)は、前記スリーブ(4)に対して前記打ち込み方向の横方向に変位可能であり、これにより前記スリーブ(4)内での前記杭の突出速度を変化させている、請求項1~6のいずれか一項に記載の杭打装置。
【請求項8】
前記杭ガイド要素(17,24)を前記スリーブ(4)に対して前記打込み方向にブロックするブロック機構(22,23,28,29)を備えている、請求項7に記載の杭打装置。
【請求項9】
前記ブロック機構は、前記杭ガイド要素(17,24)を前記スリーブ(4)に対して前記打込み方向にブロック及び解放可能に、横方向に移動可能なウェッジ(22,28)を備えている、請求項8に記載の杭打装置。
【請求項10】
前記ブロック機構(22,23,28,29)は、前記スリーブ(4)の外側から操作可能である、請求項8または9に記載の杭打装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の杭打装置(1)と組み合わせて使用するためのフォロワ(30)であって、該フォロワ(30)は、作動条件下で前記アンビル(5,31)が前記フォロワ(30)を介して間接的に前記杭(P)上に配置されるように前記杭(P)上に配置されるのに適合しており、前記フォロワ(30)は、前記打込み方向と同じ方向に向けられた中心線を含む管状のフォロワ(30)であり、該フォロワ(30)は、該フォロワ(30)の周囲に位置する応力解放スロット(32)を備え、該応力解放スロット(32)の長手方向は前記フォロワ(30)の中心線に平行である、フォロワ。
【請求項12】
前記応力解放スロット(32)の各々は、凹状である対向する長手方向壁を有している、請求項11に記載のフォロワ。
【請求項13】
前記長手方向壁は、少なくとも楕円の断面と一致する断面を有している、請求項12に記載のフォロワ。
【請求項14】
前記アンビル(5,31)が作動条件下で衝撃エネルギーを提供する前記フォロワ(30)の上部リムが、前記応力解放スロット(32)が設けられる位置にくぼんだ部分(35)を有している、請求項11~13のいずれか一項に記載のフォロワ。
【請求項15】
前記スロット(32)は、前記フォロワ(30)の下端部よりも、作動条件下で前記アンビル(5,31)から衝撃エネルギーを受ける前記フォロワ(30)の上端部のより近くに配置されている、請求項11~14のいずれか一項に記載のフォロワ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭を地中に打ち込む杭打装置(pile driving device)であって、ラム(ram)と、アンビル(anvil)と、スリーブとを備え、アンビルは、スリーブ内に収容され、スリーブに対して打込み方向に移動可能であり、ラムは、アンビルに対して打込み方向に往復移動可能であり、作動条件下でアンビルに衝撃エネルギーを与える。アンビルとスリーブとは、アンビルガイドのアンビルガイド面を介して打込み方向(driving direction)の横方向で互いに接触している。
【背景技術】
【0002】
このような杭打装置は、特許文献1から公知である。風力タービンを支持するための単杭(monopile)のような杭が地中に打ち込まれるとき、杭打装置は、アンビルが杭の上に静置するように杭に対して配置され、その一方でアンビルが配置されるスリーブの下部は、杭の上部を取り囲んでいる。スリーブの一部はアンビルガイドを形成し、その内壁はアンビルガイド面を形成している。作動条件下では、ラムはアンビルに繰り返し衝突する。ラムがアンビルに衝撃エネルギーを与えると、アンビル及び杭は、最初にスリーブに対して打込み方向に下降する。スリーブは、反復打撃中にアンビルがスリーブに対して打込み方向に往復運動するように、運動に追従する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1433903号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンビルにラムを衝突させると、アンビルが一時的に曲がり、アンビルが横方向に変形することがある。例えば、実際には、数mmの半径方向の膨張が生じ得る。同時に、アンビルは、杭の圧縮及び地中への杭の貫通により、スリーブ内で数cm移動することができる。通常、この効果は、アンビルのサイズとラムのサイズとの間の横方向の比率が増加するにつれて増加する。例えば、洋上風力タービン用の単杭の直径は増加しており、これはアンビルの直径の増加につながり、従って、同様のラムを使用する場合、アンビルとラムの直径の比が増加する。別の問題は、スリーブとアンビルとの間の接触力が、スリーブ内のアンビルの偏心位置、例えば、タイトな設置クリアランスのために、アンビルガイド面で局所的に増加し得ることである。その結果、アンビルガイド面で高い接触力が発生する可能性があり、これは、アンビルガイド面での温度上昇、及びアンビルとスリーブとの間の摩擦の増加によるエネルギー損失につながる可能性がある。これは、例えば、かじり(galling)の形で摩耗をもたらす可能性がある。更に、エネルギー損失により、作動条件下でラムから杭に伝達されるエネルギーが減少する。
【0005】
本発明の目的は、改良された杭打装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、アンビルガイドが、アンビル及びスリーブの一方に対してアンビルガイド面が横方向に移動可能であるようにアンビル及びスリーブの一方に取り付けられた別個のアンビルガイドである、本発明による杭打装置によって達成される。
【0007】
ガイド面はアンビル及びスリーブの一方に対して移動可能であるので、スリーブとアンビルとの間の接触応力が高くなり過ぎる傾向がある場合には、接触応力を低下させることができる。これにより、アンビルガイド面及びその対向表面の摩耗を最小限に抑える機会を提供している。
【0008】
実際には、杭打装置は、アンビルが地中に打ち込まれる杭の上に直接または間接的に配置される作動条件下で、ラムがアンビルに繰り返し打ち込まれ、アンビルがスリーブに対して打ち込み方向に往復移動するように構成することができる。通常、打込み方向は垂直であるが、垂直に対して傾斜していても良い。アンビルが杭上に間接的に配置される場合、アンビルと杭との間にフォロワ(follower)を配置することができる。更に、アンビルのサイズは、横方向においてラムのサイズよりも大きくても良い。ラム及びアンビルは、円形断面を有しても良く、この場合、アンビルの直径は、ラムの直径よりも大きくても良い。好ましくは、打込み方向に測定したアンビルガイドの長さは、スリーブ内のアンビルの最大ストロークと同じかそれよりも大きく、例えば、打込み方向に測定したアンビルの厚さよりも大きい。
【0009】
アンビルガイドは、アンビルガイド面の移動を可能にする弾性を備えていて良く、この弾性は、アンビルの位置での横方向におけるアンビルまたはスリーブの弾性率よりも小さい弾性率を有している。これは、アンビルが位置する横方向において、アンビルまたはスリーブよりもアンビルガイド面を変位させることが容易であることを意味している。この弾性はまた、例えばアンビルの曲げによってアンビルガイド面がその向きを変えることを可能にし、アンビルがスリーブ内に偏心して配置される場合にアンビルガイド面が移動することを可能にしている。
【0010】
好ましい実施形態では、アンビルガイド面は、剛性アンビルガイド本体の一部であり、接触力は実際には非常に高いので、アンビル及びスリーブの一方に弾性的に取り付けられる。例えば、剛性アンビルガイド本体は、スチール製であっても良い。スリーブ及びアンビルはまた、アンビルガイド面でスチール・オン・スチール接触(steel-on-steel contact)があるようにスチール製であっても良い。
【0011】
特定の実施形態では、アンビルガイドは別個のアンビルガイド要素であり、そのような別個のアンビルガイド要素のうちの1つまたは複数は、アンビルの円周方向に互いに離間して配置されている。アンビルガイド要素は、円周方向に均等に分布させることができる。
【0012】
実際的な実施形態において、アンビルガイドは、アンビルガイド面がスリーブに対して横方向に移動可能となるように、スリーブに取り付けられる。これは、アンビルガイドの交換の場合にアンビルがスリーブの内側に留まることができるように、アンビルガイドをスリーブの外側から交換することができるようにアンビルガイドを取り付ける機会を提供している。
【0013】
また、スリーブには、地中に打ち込まれる杭をガイドするための杭ガイド要素が設けられており、杭ガイド要素は、スリーブに対して打ち込み方向の横方向に変位可能であり、スリーブ内での突出速度(rate of protrusion)を変化させることができる。これは、断面の大きさが異なる、例えば直径が異なる杭に対して杭打装置を用いる場合に有利である。
【0014】
別の実施形態では、更なるアンビルガイドが、アンビルに対して横方向に移動可能となるようにアンビルに取り付けられ、更なるアンビルガイドは、先のアンビルガイドと同様の機能特性を有している。この場合、スリーブには杭ガイド要素が設けられ、アンビルには更なる杭ガイド要素が設けられる。これにより、アンビル及びスリーブの摩耗が最小限に抑えられ、これらの部品の長い動作寿命及び大幅なコスト削減がもたらされる。アンビルガイド及び更なるアンビルガイドは、打込み方向及び/またはスリーブの中心線を中心とする円周方向の異なる位置に配置されても良い。更なるアンビルガイドは、先のアンビルガイドと同じであっても良い。
【0015】
更に、杭打装置は、定期的に部品の残存寿命を評価することができるように、部品の実際の状態を監視するためのセンサを備えることができる。
【0016】
好ましくは、杭打装置は、杭打ち中に杭ガイド要素がスリーブの中心線に平行な方向に振動して杭ガイド要素及び/またはスリーブを損傷するリスクを最小限に抑えるために、杭ガイド要素をスリーブに対して打ち込み方向にブロックするブロック機構(blocking mechanism)を備えている。
【0017】
実用的な実施形態では、ブロック機構は、杭ガイド要素をスリーブに対して打込み方向にブロック及び解放可能に、横方向に移動可能なウェッジ(wedge)を備えている。円形断面を含むスリーブの場合、ウェッジはスリーブの半径方向に移動可能であっても良い。
【0018】
ブロック機構は、作業者が容易にアクセスできるように、スリーブの外側から操作可能であっても良い。
【0019】
変位可能な杭ガイド要素は、必ずしもアンビルガイドと組み合わされる必要は無いことに留意されたい。換言すれば、本発明は以下の態様にも関する。
【0020】
態様1:杭を地中に打ち込む杭打装置であって、ラムと、アンビルと、スリーブとを備え、アンビルは、スリーブ内に収容され、スリーブに対して打込み方向に移動可能であり、ラムは、アンビルに対して打込み方向に往復移動可能であり、作動条件下でアンビルに衝撃エネルギーを与える杭打装置であって、スリーブは、打込み対象の杭を地中にガイドする杭ガイド要素を備え、杭ガイド要素は、スリーブに対して打込み方向の横方向に変位可能であり、スリーブ内での突出速度を変化させる杭打装置。
【0021】
態様2:態様1に記載の杭打装置において、杭ガイド要素をスリーブに対して打込み方向にブロックするブロック機構を備えている、杭打装置。
【0022】
態様3:態様2に記載の杭打装置において、前記ブロック機構は、前記杭ガイド要素を前記スリーブに対して前記打込み方向にブロック及び解放可能に、横方向に移動可能なウェッジを備えている、杭打装置。
【0023】
態様4:態様2または3に記載の杭打装置において、前記ブロック機構は、前記スリーブの外側から操作可能である、杭打装置。
【0024】
本発明はまた、上述の杭打装置と組み合わせて使用するためのフォロワに関し、フォロワは、作動条件下でアンビルがフォロワを介して間接的に杭上に配置されるように杭上に配置されるのに適合しており、フォロワは、打ち込み方向と同じ方向に向けられた中心線を含む管状のフォロワ(tubular follower)であり、フォロワは、フォロワの周囲に位置する応力解放スロット(stress relieve slot)を備え、応力解放スロットの長手方向はフォロワの中心線に平行である。
【0025】
応力解放スロットは、フォロワ、例えば昇降ピンまたは昇降ビームの巻上(hoisting)を可能にするために昇降要素を受け入れるためにも使用されている。
【0026】
好ましくは、応力解放スロットの各々は、凹状である対向する長手方向壁を有しており、これは、フォロワにおける比較的低い応力集中に関して有利であると思われるからである。
【0027】
例えば、各長手方向壁は、少なくとも楕円の断面と一致する断面を有していても良い。
【0028】
アンビルが作動条件下で衝撃エネルギーを提供するフォロワの上部リムが、応力解放スロットが設けられる位置にくぼんだ部分(sunken portion)を有する場合、応力集中を比較的低くできると言う点に関して更なる改善が得られる。これは、作動条件下では、スロットがフォロワの上部リムのくぼんだ部分またはへこんだ部分(depressed portion)の下に設けられることを意味している。
【0029】
スロットは、フォロワの下端部よりも、作動条件下でアンビルから衝撃エネルギーを受けるフォロワの上端部のより近くに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による杭打装置の一実施形態の斜視図である。
図2図1と同様の図であり、その一部を拡大して示す図である。
図3図2に示す一部の平面図である。
図4】アンビルガイド要素を示す、図3の線IV-IVに沿った拡大断面図である。
図5図4の断面図に示すアンビルガイド要素の斜視図である。
図6図3の線VI-VIに沿った拡大断面図である。
図7図3の線VII-VIIに沿った拡大断面図である。
図8図7の線VIII-VIIIに沿った断面図である。
図9図3の線IX-IXに沿った拡大断面図である。
図10図3の線X-Xに沿った拡大断面図である。
図11図3の線XI-XIに沿った拡大断面図である。
図12図11の線XII-XIIに沿った断面図である。
図13図3の線XIII-XIIIに沿った拡大断面図である。
図14】本発明の態様によるフォロワの一実施形態の斜視図である。
図15】杭打装置によって杭を地中に打ち込むために使用される構成における、図14に示されるフォロワの断面図である。
図16図15のXVIによって示される図15の拡大部分である。
図17図14図16に示すようなフォロワの一部の正面図であり、応力解放スロットを示す。
図18】フォロワの代替実施形態の一部の例示的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を例示する概略図を参照して本発明を説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る杭(図示せず)を地中に打ち込む杭打装置1の一実施形態を示す。杭は、設置後に風力タービンの基礎として機能することができる円筒状の単杭であっても良い。杭打装置1には、図示しないラムからなる油圧駆動装置2が設けられている。油圧駆動装置2の上部には、例えばクレーンによって杭打装置1を吊り上げることができるように、巻上バー3が設けられている。
【0033】
また、杭打装置1にはスリーブ4が設けられている。スリーブ4の一部が図2に示され、その部分の平面図が図3に示されている。図5図13は、杭打装置1の更なる詳細を示す。スリーブ4は、図4に部分的に示されるアンビル5を収容している。スリーブ4はアンビル5を取り囲んでいる。それはまた、地面に打ち込まれる杭の上端を取り囲み、その状況では、アンビル5は、直接的または間接的に杭の上に静置されている。アンビル5は、作動条件下でラムから杭に衝撃エネルギーを伝達する役割を果たし、スリーブ4の中心線CLに沿った打込み方向にスリーブ4に対して移動可能である。図4に示す実施形態では、アンビル5は、ラムの直径よりも大きい直径を有する円形プレートである。スリーブ4は、略円形の断面を有している。スリーブ4の上端はカバー7によって閉じられており、カバー7は、アンビル5に衝突するためにラムが通過できる中央開口部を有している。油圧駆動装置2とスリーブ4とは、カバー7を介して互いに取り付けられている。アンビル5及びスリーブ4は、スチール製であっても良い。
【0034】
作動条件下で、杭の上にアンビル5を載置して地中に打ち込むと、ラムがアンビル5に打ち込み方向に繰り返し当たり、アンビル5はスリーブ4に対して以下の現象により打ち込み方向に往復移動する。ラムがアンビル5に衝突するたびに、アンビル5及び杭は、スリーブ4に対して打込み方向に最初に降下し、その後、スリーブ4は、下方方向のその移動に追従する。
【0035】
図2図4は、アンビル5が位置するスリーブ4の一部を示す。複数の別個のアンビルガイド要素8がスリーブ4に取り付けられ、打込み方向に垂直に延在する平面でアンビル5の円周方向に互いに等距離に配置されている。アンビルガイド要素8の各々は、スリーブ4の外側に取り付けられたハウジング9を有している。図示の実施形態では、16個のアンビルガイド要素8がある。ハウジング9は、複数のフレキシブルディスク10、この場合は5枚のフレキシブルディスク10を収容し、これらは互いに隣接して配置されている。フレキシブルディスク10は、例えばエラストマー製であっても良く、アンビル5の位置での打込み方向に対して横方向におけるアンビル5またはスリーブ4の弾性率よりも小さい弾性率を含む弾性を有している。
【0036】
アンビルガイド要素8の各々は、アンビルガイド面12を有する剛性アンビルガイドブロック11を更に備えている。アンビル5とスリーブ4とは、アンビルガイド面12を介して横方向に接触している。剛性アンビルガイドブロック11は、スチール製であっても良い。それはアンビルガイドブロックホルダ13内に固定され、アンビルガイドブロックホルダ13はストロークリミッタ14に固定されている。ストロークリミッタ14は、アンビルガイドブロックホルダ13とフレキシブルディスク10との間に挟まれている。フレキシブルディスク10の弾性により、ストロークリミッタ14、アンビルガイドブロックホルダ13及び剛性アンビルガイドブロック11は、スリーブ4に対して横方向に一緒に移動可能である。この変位は、スリーブ4の対向壁とハウジング9との間で移動可能なストロークリミッタ14によって制限され、従って、スリーブ4に対するアンビルガイド面12の最大ストロークを規定している。剛性アンビルガイドブロック11及びアンビルガイドブロックホルダ13は、アンビルガイド面12がスリーブ4の内部に向けられ、アンビル5の円周面に面するように、スリーブ4の開口部を通過する。図4はまた、アンビルガイドブロックホルダ13とスリーブ4との間の軸受に向かって潤滑ラインを通って潤滑剤を通過させるためのニップル15を示す。
【0037】
図4は、スリーブ4の内壁が、その内壁の一部に凹部4a、4bを備えていることを示しており、その部分は、打込み方向にアンビルガイド要素8に隣接している、すなわち、図4のアンビルガイドブロックホルダ13の真上及び真下にある。凹部4a、4bは、作動条件下でアンビル5がスリーブ4に対して往復運動することを可能にし、アンビル5がアンビルガイド要素8と横方向にのみ接触することを可能にしている。
【0038】
図4及び図5は、ハウジング9を外側からスリーブ4に固定することによって、アンビルガイド要素8がスリーブ4に取り付けられることを示す。アンビルガイド要素8の1つを交換または維持しなければならない場合、アンビル5はスリーブ4内に残っていても良い。
【0039】
図6図13は、杭打ちを開始する前に杭をスリーブ4内にガイドするための異なるタイプの杭ガイドに関する、本発明の別の態様を示す、スリーブ4に取り付けられる他の部品を示す。
【0040】
図9は、スリーブ4の下端に取り付けられた複数の固定された杭ガイド16のうちの1つを示す。
【0041】
図6図8は、スリーブ4の内部の下部に位置する第1の変位可能な杭ガイド要素17の1つを示す。図2及び図3は、この場合、8つの第1の変位可能な杭ガイド要素17があることを示しているが、別の実施形態では、異なる数が適用されても良い。第1の変位可能な杭ガイド要素17の各々は、スリーブ4に対してその中心線CLの半径方向に変位可能である。それは2つの平行なプレート18を有し、その間にローラ19が回転可能に取り付けられている。プレート18は、プレート18の協働する貫通孔21を貫通するピン20を介してスリーブ4に取り外し可能に固定されている。プレート18には、スリーブ4の中心線CLの半径方向に互いに離間した位置に多数の貫通孔21が設けられており、ピン20を異なる貫通孔21に挿入することにより、ローラ19を含むプレート18のスリーブ4内での突出量を変化させることができる。これは、地面に打ち込まれる杭の直径に応じて、第1の変位可能な杭ガイド要素17の位置を適合させる機会を提供している。
【0042】
ローラ19を含むプレート18がスリーブ4の中心線CLに平行な方向に振動するのを防止するために、第1の変位可能な杭ガイド要素17の各々は、第1の変位可能な杭ガイド要素17をスリーブ4に対して打込み方向にブロック及び解放することができるように、中心線CLの半径方向に移動可能なウェッジ22の形態のブロック機構を備えている。ウェッジ22は、スリーブ4の外側から回すことができるボルト23によって移動可能であり、ブロック機構はスリーブ4の外側から操作可能である。
【0043】
図10図13は、突刺ガイド(stabbing guide)とも呼ばれる第2の変位可能な杭ガイド要素24の1つを示す。この場合、これらの杭ガイド要素24は2つであるが(図2及び図3参照)、異なる数が考えられる。第2の変位可能な杭ガイド要素24は、スリーブ4の下端から下方に突出している。スリーブ4における第2の変位可能な杭ガイド要素24の位置は、洋上の作動条件(off-shore operating condition)下で、アンビル5を含むスリーブ4を杭の上に配置することを容易にしている。実際には、杭打ち動作を開始する前に、スリーブ4は、第2の変位可能な杭ガイド要素24が杭の頂部の下にあるが、スリーブ4の主要部分は杭の上に残っている高さレベルまで、浮遊船上のクレーンによって持ち上げられる。容器の上下動により、スリーブ4も移動する。これらの条件下で、スリーブ4は、第2の変位可能な杭ガイド要素24が杭に接触するように最初に操作され、スリーブ4が下降される前に、杭に対して中心に位置するように操作されている。この機能により、センタリングと下降(centring and lowering)の操作を2段階に分けることができ、厳しい気象条件下で航行している浮遊船の場合には殆ど不可能であったこれらの操作を同時に行う必要が無くなる。
【0044】
第1の変位可能な杭ガイド要素17に関して上述し、図6図8に示したのと同様に、第2の変位可能な杭ガイド要素24は、プレート25、この場合は2対のプレート25を有し、プレート25は、プレート25の協働する貫通孔27を貫通するピン26を介してスリーブ4に取り外し可能に固定されている。また、第2の変位可能な杭ガイド要素24には、スリーブ4に対して第2の変位可能な杭ガイド要素24を打込み方向にブロック及び解放することができるように、中心線CLの半径方向に移動可能なウェッジ28の形のそれぞれのブロック機構が設けられている。ウェッジ28は、スリーブ4の外側から回すことができるボルト29によって移動可能であり、ブロック機構はスリーブ4の外側から操作可能である。
【0045】
図14は、本発明の別の態様による管状のフォロワ30の実施形態を示す。図15及び図16は、作動条件下の状況におけるフォロワ30を示す。フォロワ30は、地中に打ち込まれる杭Pの上部に位置し、一部が杭P内に突出しており、その上端部にアンビル31が設けられている。図15に示すように、杭Pの外径はアンビル31の外径よりも大きく、その一方で、フォロワ30は直径の差を架橋(bridge)している。また、フォロワの代わりに、またはフォロワに加えて、アンビルリング(図示せず)を導入することによって、直径の差を埋めることも可能である。
【0046】
フォロワ30には、3つの応力解放スロット32が設けられている。各々の応力解放スロット32の長手方向は、スリーブ33の中心線CLと一致するフォロワ30の打込み方向または中心線に平行である。応力解放スロット32は、フォロワ30の上部に配置され、フォロワ30の中心線に関して等角距離に配置されている。別の実施形態では、応力解放スロット32の数は異なっていても良い。応力解放スロット32は、フォロワ30の変形を最小限に抑える働きをしている。更に、それらは、場合によってはアンビル31及びスリーブ33と共に、フォロワ30を持ち上げるために使用することができる。図14に示す実施形態はまた、フォロワ30の内側及び外側に突出する持ち上げラグ34を備えている。
【0047】
応力解放スロット32の各々は、凹状である対向する長手方向壁を有している。このことは、スロット32の上端及び下端から離れるにつれて、長手方向壁の間の距離が大きくなることを意味している。この形状は、フォロワ30の構造的応力ピーク(structural stress peak)を最小限に抑えるという点で非常に効果的であると思われる。各長手方向壁の少なくとも断面は、楕円の断面と一致しても良い。図17は、スロット32の1つを大きなスケールで示しており、長手方向の壁のそれぞれの部分は、長手方向に位置合わせされた2つの楕円の部分と一致している。スロット32のエッジ全体が完全な楕円として形成されることも可能であり、これは図18の代替実施形態に示されている。
【0048】
構造的応力ピークを減少させる更なる改善は、応力解放スロット32が配置される位置でのフォロワ30の上部リムにおけるくぼんだ部分35によって達成される。これは、図18に示されており、くぼんだ部分35の1つのサイズが誇張されている。フォロワ30の上部リムは、作動条件下でフォロワ30の上側に位置し、この上部リムは、作動条件下でアンビル31から衝撃エネルギーを受ける。
【0049】
本発明は、図面に示され、前述された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びそれらの技術的等価物の範囲内で、異なる方法で変更することができる。例えば、アンビルガイド要素は、スリーブに取り付けられるフレキシブルブロックであっても良い。
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【国際調査報告】