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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20240816BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240816BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240816BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240816BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240816BHJP
   C11D 1/94 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q19/00
A61K8/46
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q19/10
C11D1/94
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507926
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2022072112
(87)【国際公開番号】W WO2023016943
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】2111457.4
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ケイティ ヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ヘザー クラークソン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー エー ミラー
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC782
4C083AD412
4C083BB51
4C083BB53
4C083CC02
4C083CC23
4C083CC31
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE09
4C083EE11
4H003AB27
4H003AB31
4H003AC05
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA02
4H003DA17
4H003DA19
4H003EA19
4H003EB04
4H003EB08
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA02
(57)【要約】
本発明は、本明細書に記載されるように測定される、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させることにより組成物の皮膚に対する穏やかさを改善するための、組成物におけるソホロ脂質界面活性剤と、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤との組み合わせの使用であって、組成物はアニオン性界面活性剤を含む。本発明はまた、アニオン性界面活性剤を含む組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させる方法であって、a)ソホロ脂質界面活性剤を組成物中に含めるステップと、b)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤を組成物中に含めるステップと、を含み、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量が、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20重量%減少される、方法に関する。本発明は更に、ソホロ脂質界面活性剤と、アニオン性界面活性剤と、双性イオン性界面活性剤と、を含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載されるように測定される、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させることにより前記組成物の皮膚に対する穏やかさを改善するための、前記組成物におけるソホロ脂質界面活性剤と、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤との組み合わせの使用であって、前記組成物がアニオン性界面活性剤を含む、使用。
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤が、グリシネート、スルホスクシネート又はこれらの混合物を含まない、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記組成物が、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤、好ましくはパーソナルケア製剤である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記組成物が、少なくとも1つの追加のヘアケア成分を含むヘアケア製剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記組成物が、少なくとも1つの追加のスキンケア成分を含むスキンケア製剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量が、前記ソホロ脂質界面活性剤及び前記双性イオン性界面活性剤を含まない同等の組成物と比較した場合、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20重量%減少される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
アニオン性界面活性剤を含む組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させる方法であって、前記方法が、
a)ソホロ脂質界面活性剤を前記組成物中に含めるステップと、
b)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤を前記組成物中に含めるステップと、
を含み、
前記組成物によって可溶化される前記ゼインタンパク質の量が、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20重量%減少される、方法。
【請求項8】
前記組成物が、グリシネート界面活性剤、スルホスクシネート界面活性剤、脂肪アシルイセチオネート又はこれらの混合物を含まない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:3.1である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記双性イオン性界面活性剤に対する重量比が、1:8~1:1.5である、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤、好ましくはパーソナルケア製剤である、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、少なくとも1つの追加のヘアケア成分を含むヘアケア製剤である、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、少なくとも1つの追加のスキンケア成分を含むスキンケア製剤である、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
a)ソホロ脂質界面活性剤と、
b)アニオン性界面活性剤と、
c)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される3~7重量%の双性イオン性界面活性剤であって、重量%が前記組成物の総重量に基づく、双性イオン性界面活性剤と、
を含む組成物であって、
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:2であり、
前記組成物が遊離脂肪酸を含まない、組成物。
【請求項15】
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:3.1である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記双性イオン性界面活性剤に対する重量比が、1:8~1:1.5である、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、グリシネート界面活性剤、スルホスクシネート界面活性剤、脂肪アシルイセチオネート又はこれらの混合物を含まない、請求項14~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記アニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びラウリルサルコシン酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記アニオン性界面活性剤がサルフェート含有化合物を含まない、請求項14~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される前記双性イオン性界面活性剤が、ラウリルアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタイン及びコカミドプロピルヒドロキシスルタインのうちの少なくとも1つを含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記ソホロ脂質界面活性剤が、前記組成物中のソホロ脂質の総重量に基づいて、少なくとも55重量%の酸型ソホロ脂質と、最大で45重量%のラクトン型ソホロ脂質とを含む、請求項14~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
請求項14~21のいずれか一項に記載の組成物を含む、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤。
【請求項23】
請求項14~21のいずれか一項に記載の組成物と、少なくとも1つの追加のヘアケア成分とを含む、ヘアケア製剤。
【請求項24】
請求項14~21のいずれか一項に記載の組成物と、少なくとも1つの追加のスキンケア成分とを含む、スキンケア製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソホロ脂質界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び双性イオン性界面活性剤を含む組成物、並びにまた、当該組成物を含むホームケア製剤及びパーソナルケア製剤に関する。本発明はまた、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させることによって、アニオン性界面活性剤を含む組成物の皮膚に対する穏やかさを改善するための、ソホロ脂質界面活性剤と双性イオン性界面活性剤との組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、製剤において界面張力及び表面張力を低下させることができる両親媒性分子である。界面活性剤は、洗濯洗剤、ヘアシャンプー及び石鹸を含む洗剤に有用である適用部位から油脂及び汚れを除去する能力により、ホームケア及びパーソナルケア産業内で一般に使用されている。生物系界面活性剤としてのソホロ脂質の使用への関心は、石油化学由来の界面活性剤と比較した場合のそれらの改善された環境特性により、最近高まっている。多くの消費者は、ホームケア製品及びパーソナルケア製品にどの成分が使用されているかをより認識してきており、環境への影響に基づいて製品を選択している。ソホロ脂質は、酵母を培養することによって合成され、生分解することができ、したがって「環境に優しい(グリーン)」成分であるので、合成界面活性剤の良好な代替物となる。
【0003】
米国特許第8563490号は、組成物の皮膚への穏やかさを増加させるために、洗剤組成物において、1~20重量%のソホロ脂質と、グリシネート、スルホスクシネート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるべき1~20重量%のアニオン性界面活性剤との混合物の使用を開示している。より具体的には、アニオン性界面活性剤は、ココイルグリシネートナトリウム塩及びラウレス-3-スルホコハク酸二ナトリウムからなる群から選択される。本発明で使用されるソホロ脂質は、Sopholiance S-ex Solianceである。これは、Candida Bombicola/Glucose/Methyl Rapeseedate Ferment(及び)水(及び)ソルビン酸カリウムであると言われている。起泡増進のために、オリバミドプロピルベタイン(Olivamidopropyl betaine)が、本発明において使用されてもよい。
【0004】
米国特許第9271908号は、少なくとも1つの生物系界面活性剤及び少なくとも1つの脂肪酸を含む、水性毛髪及び皮膚洗浄組成物を開示している。この文献の表1は、この発明が生物系界面活性剤とベタイン界面活性剤との組み合わせに関するものではないことを示しており、その理由は、これらが手洗い製剤において別々に試験されているからである。
【0005】
改善されたホームケア及びパーソナルケア製剤並びに成分の開発に対する必要性が引き続き存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術に関連する上記及び/又は他の欠点に対処することである。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、本明細書に記載されるように測定される、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させることにより組成物の皮膚に対する穏やかさを改善するための、組成物におけるソホロ脂質界面活性剤と、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤との組み合わせの使用を提供するものであって、組成物はアニオン性界面活性剤を含む。
【0008】
第1の態様の使用は、本発明の第2の態様の組成物の特徴のいずれかを含んでもよい。
【0009】
第2の態様によれば、本発明は、
a)ソホロ脂質界面活性剤と、
b)アニオン性界面活性剤と、
c)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される3~7重量%の双性イオン性界面活性剤であって、重量%が組成物の総重量に基づく、双性イオン性界面活性剤と、を含む組成物を提供するものであって、
組成物中のソホロ脂質界面活性剤のアニオン性界面活性剤に対する重量比が1:20~1:2であり、
組成物が遊離脂肪酸を含まない。
【0010】
第3の態様によれば、本発明は、アニオン性界面活性剤を含む組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させる方法を提供するものであって、本方法は、
a)ソホロ脂質界面活性剤を組成物中に含めるステップと、
b)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤を組成物中に含めるステップと、を含み、
組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量が、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20%減少される。
【0011】
第3の態様の方法は、本発明の第1又は第2の態様の特徴のいずれかを含んでもよい。
【0012】
本発明は、アニオン性界面活性剤を含む組成物の皮膚に対する穏やかさにおける驚くべき改善が、組成物におけるソホロ脂質界面活性剤と、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤との相乗的組み合わせを使用することによって提供され得るという、本発明者らによる認識に部分的に基づく。理論に束縛されるものではないが、ソホロ脂質界面活性剤と双性イオン性界面活性剤との組み合わせは、組成物中のアニオン性界面活性剤の電荷効果を低減し、ひいては、組成物の穏やかさを相乗的に改善すると考えられる。組成物の皮膚に対する穏やかさは、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量によって測定することができ、より穏やかな組成物は、より少ないゼインタンパク質を可溶化する。
【0013】
本明細書で実証されるように、ソホロ脂質とコカミドプロピルベタイン又はコカミドプロピルヒドロキシスルタインとの組み合わせは、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム又はラウリルサルコシン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤を含む組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を相乗的に減少させることができる。
【0014】
本明細書に記載される特徴の全ては、本発明の上記態様のいずれかにおいて、任意の組み合わせで存在し得る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される任意の上限又は下限の量又は範囲の限界は、独立して組み合わせられ得ることが理解される。
【0016】
置換基中の炭素原子の数(例えば、「C1~C6」)を記載する場合、その数は、任意の分岐基中に存在する任意のものを含む、置換基中に存在する炭素原子の総数を指すことが理解されるであろう。更に、例えば脂肪酸中の炭素原子の数を記載する場合、これは、カルボン酸における炭素原子、及び任意の分岐基中に存在する任意の炭素原子を含む炭素原子の総数を指す。
【0017】
「遊離脂肪酸」という用語は、それ自体として存在し、別の部分と反応して化合物を形成しない脂肪酸、例えばオレイン酸を意味する。「遊離脂肪酸を含まない」という用語は、遊離脂肪酸がかなりの量では存在しないことを意味し、例えば、好ましくは、本発明の組成物が、全て組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の脂肪酸を含み、好ましくは4重量%未満の脂肪酸を含み、好ましくは3重量%未満の脂肪酸を含み、好ましくは2重量%未満の脂肪酸を含み、好ましくは1重量%未満の脂肪酸を含むことを意味する。あるいは、本発明の組成物は、遊離脂肪酸の総重量及び組成物の総体積に基づいて、1リットル当たり25グラム(g/L)未満、好ましくは20g/L未満、好ましくは15g/L未満、好ましくは10g/L未満の遊離脂肪酸を含んでもよい。
【0018】
「パーソナルケア製剤」という用語は、クレンジング、美容又は外観の改善のために人体又はその任意の部分に適用されることが意図される製品を意味する。パーソナルケア製剤としては、ハンドソープ、固形石鹸、液体石鹸、フェイシャル及びボディウォッシュ、フェイシャル及びボディクレンザー、シャンプー、コンディショナー、練り歯磨き、シェービングクリーム又はゲル、並びにフットケア製品が挙げられるが、これらに限定されない。パーソナルケア製剤は、処方が必要とされるいかなる製品も含まない。
【0019】
「ホームケア製剤」という用語は、家庭及び施設の消費者によって、家庭又はその内容物のいずれかのクレンジング、ケア又はコンディショニングのために使用される製品を意味し、洗濯洗剤及び食器洗浄洗剤を含む洗剤、硬質表面洗浄剤を含む洗浄化合物、艶出し剤及び床仕上げ剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「ヘアケア製剤」という用語は、ヒトの毛髪のケアのために使用される製品を意味する。「ヘアケア成分」という用語は、ヒトの毛髪に適用するのに適しており、適用することが意図されている成分を意味する。
【0021】
「スキンケア製剤」という用語は、ヒトの皮膚のケアのために使用される製品を意味する。「スキンケア成分」という用語は、ヒトの皮膚に適用するのに適しており、適用することが意図されている成分を意味する。
【0022】
皮膚に対する穏やかさは、本明細書では、界面活性剤が角質層の最上層内のタンパク質を可溶化する能力の指標を提供するために、ゼインタンパク質可溶化を測定することによって決定される。可溶化されるゼインタンパク質の高い百分率は、皮膚上の刺激の強い界面活性剤に相関し、可溶化されるゼインタンパク質の低い百分率は、穏やかな界面活性剤に相関する。したがって、ゼインタンパク質可溶化の減少は、穏やかさの改善に対応する。
【0023】
本発明による組成物
本発明による組成物は、
a)ソホロ脂質界面活性剤と、
b)アニオン性界面活性剤と、
c)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される3~7重量%の双性イオン性界面活性剤であって、重量%が組成物の総重量に基づく、双性イオン性界面活性剤と、を含むものであって、
組成物中のソホロ脂質界面活性剤のアニオン性界面活性剤に対する重量比が1:20~1:2であり、
組成物は、遊離脂肪酸を含まない。
【0024】
ソホロ脂質界面活性剤
ソホロ脂質界面活性剤は、入手可能なことがあり、好ましくは発酵プロセスによって得られる。ソホロ脂質は、天然微生物又は改変微生物から入手可能なことがあり、好ましくはStarmerella(又はCandida)bombicola、Candida albicans、Wickerhamiella domericqiae、Candida apicola、Candida floricola、Candida kuoi、Candida stellata、Candida riodocensis、Candida batistae、Candida tropicalis、Cyberlindera samutprakarnensisからなる群から選択され得る。好ましくは、ソホロ脂質は、Starmerella bombicolaから入手可能である。
【0025】
ソホロ脂質は、生物系界面活性剤ファミリーの一部である。「生物系」という用語は、バイオテクノロジーによる、例えば発酵によるそれらの産生方法を指す。発酵プロセスは、典型的には、糖及びアルカン又は脂質を基質として利用する。適切な発酵方法は、A P Tulloch,J F T Spencer and P A J Gorin,Can.J Chem(1962)40 1326 and U Gobbert,S Lang and F Wagner,Biotechnology Letters(1984)6(4),225に概説されている。
【0026】
市販のソホロ脂質が、本発明において使用されてもよい。このようなソホロ脂質の例は、WHEATOLEOという企業によって商品名「SOPHOCLEAN」で、GIVAUDANという企業によって商品名「SOPHOLIANCE S」で製造されている。
【0027】
Starmerella bombicolaから入手可能なソホロ脂質では、生物系界面活性剤分子の親水性部分は、二糖(すなわちソホロース)であり、疎水性部分は、グリコシド結合を介してソホロースに結合したω-又は(ω-1)-ヒドロキシ脂肪酸である。最も一般的には16-及び18-炭素原子を含有する脂肪酸鎖は、不飽和であってもよく、二糖にラクトン化されていてもよい。概して、2種類のソホロ脂質、酸型(開鎖)及びラクトン型(閉鎖鎖)ソホロ脂質があると考えられる。ラクトン型ソホロ脂質を製造するために、酸型ソホロ脂質のヒドロキシル脂肪酸部分は、分子内エステル化によってソホロースの4”-ヒドロキシル基と大環状ラクトン環を形成する。
【0028】
好ましくは、本発明のソホロ脂質は、酸型(開鎖)ソホロ脂質とラクトン型(閉鎖)ソホロ脂質との混合物である。ソホロ脂質は、組成物中のソホロ脂質の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも55重量%、場合によっては少なくとも65重量%、潜在的に少なくとも75重量%の酸型ソホロ脂質を含む。ソホロ脂質は、組成物中のソホロ脂質の総重量に基づいて、好ましくは最大で60重量%、より好ましくは最大で50重量%、特に好ましくは最大で45重量%、場合によっては最大で35重量%、潜在的に最大で25重量%のラクトン型ソホロ脂質を含む。好ましくは、ソホロ脂質界面活性剤は、組成物中のソホロ脂質の総重量に基づいて、少なくとも55重量%の酸型ソホロ脂質と、最大で45重量%のラクトン型ソホロ脂質とを含む。
【0029】
組成物は、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも4重量%、特に好ましくは少なくとも5重量%のソホロ脂質界面活性剤を含んでもよく、重量%は組成物の総重量に基づく。組成物は、最大で15重量%、好ましくは最大で12重量%、より好ましくは最大で10重量%、特に好ましくは最大で8重量%のソホロ脂質界面活性剤を含んでもよく、重量%は組成物の総重量に基づく。
【0030】
アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート、アルキルスルホスクシナメート、アルキルスルホアセテート、アルキルエーテルホスフェート、サルコシネート、タウレート及びイセチオネートからなる群から選択することができる。
【0031】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート及びサルコシネートからなる群から選択される。
【0032】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びラウリルサルコシン酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ミリストイルサルコシン酸カリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、オレイルサルコシン酸ナトリウム、オレイルサルコシン酸アンモニウム及びラウロイルサルコシン酸トリエタノールアミン、並びにこれらの混合物から選択されるサルコシネートを含む。好ましくは、サルコシネートは、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムである。
【0034】
好ましくは、組成物は、グリシネート界面活性剤、スルホスクシネート界面活性剤、脂肪アシルイセチオネート又はこれらの混合物を含まない。
【0035】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、サルフェート含有化合物を含まない。
【0036】
組成物は、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも2重量%、より好ましくは少なくとも4重量%、特に好ましくは少なくとも5重量%のアニオン性界面活性剤を含んでもよく、重量%は組成物の総重量に基づく。組成物は、最大で25重量%、好ましくは最大で20重量%、より好ましくは最大で18重量%、特に好ましくは最大で15重量%のアニオン性界面活性剤を含んでもよく、重量%は組成物の総重量に基づく。
【0037】
双性イオン性界面活性剤
双性イオン性界面活性剤は、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される。双性イオン性界面活性剤は、正電荷及び負電荷の両方を有する界面活性剤である。これらの電荷は、恒久的であるか、又はpH値に依存するかのいずれかであり得る。
【0038】
組成物は、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される3~7重量%の双性イオン性界面活性剤を含み、重量%は組成物の総重量に基づく。
【0039】
組成物中に含まれ得るベタインは、ドデシルベタイン、テトラデシルベタイン、ヘキサデシルベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン及びコカミドプロピルベタインから選択され得る。
【0040】
好適なベタインの例は、アミドアミンのカルボキシアルキル化生成物である。アミドプロピルベタインが特に好適である。好ましいアミドプロピルベタインは、コカミドプロピルベタイン(ココは、鎖長C8~C18のココヤシ油の脂肪酸ラジカルである)又はラウリルアミドプロピルベタイン(ラウリルは、鎖長C12のアルキルラジカルである)である。
【0041】
組成物中に含まれ得るヒドロキシスルタインは、ドデシルヒドロキシスルタイン、テトラデシルヒドロキシスルタイン、ヘキサデシルヒドロキシスルタイン、ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタイン及びコカミドプロピルヒドロキシスルタインから選択され得る。
【0042】
好ましくは、双性イオン性界面活性剤は、ラウリルアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタイン及びコカミドプロピルヒドロキシスルタインのうちの少なくとも1つを含む。
【0043】
組成物は、少なくとも3.5重量%、好ましくは少なくとも4重量%、より好ましくは少なくとも4.5重量%、特に好ましくは少なくとも5重量%の双性イオン性界面活性剤を含んでもよく、重量%は組成物の総重量に基づく。組成物は、最大で6.5重量%、好ましくは最大で6重量%、より好ましくは最大で5.5重量%の双性イオン性界面活性剤を含んでもよく、重量%は組成物の総重量に基づく。
【0044】
成分の比率
本発明の組成物中のソホロ脂質界面活性剤のアニオン性界面活性剤に対する重量比は、1:20~1:2である。これは、双性イオン性界面活性剤とソホロ脂質界面活性剤との間の相乗作用が、アニオン性界面活性剤の穏やかさを改善するために必要とされるソホロ脂質の相対量がより少ないことを意味するので、有利である。
【0045】
組成物中のソホロ脂質界面活性剤のアニオン性界面活性剤に対する重量比は、少なくとも1:18、好ましくは少なくとも1:15、より好ましくは少なくとも1:12であってもよい。組成物中のソホロ脂質界面活性剤のアニオン性界面活性剤に対する重量比は、最大で1:2.5、好ましくは最大で1:3、より好ましくは最大で1:3.1、特に最大で1:4であってもよい。好ましくは、組成物中のソホロ脂質界面活性剤のアニオン性界面活性剤に対する重量比は、1:20~1:3.1である。
【0046】
好ましくは、組成物中のソホロ脂質界面活性剤の双性イオン性界面活性剤に対する重量比は、1:8~1:1.5である。組成物中のソホロ脂質界面活性剤の双性イオン性界面活性剤に対する重量比は、少なくとも1:7、好ましくは少なくとも1:6、より好ましくは少なくとも1:5であってもよい。組成物中のソホロ脂質界面活性剤の双性イオン性界面活性剤に対する重量比は、最大で1:2、好ましくは最大で1:2.5、より好ましくは最大で1:3であってもよい。
【0047】
組成物中の双性イオン性界面活性剤のアニオン性界面活性剤に対する重量比は、少なくとも1:10、好ましくは少なくとも1:6、より好ましくは少なくとも1:4であってもよい。組成物中の双性イオン性界面活性剤のアニオン性界面活性剤に対する重量比は、最大で1:1、好ましくは最大で1:1.5であってもよい。
【0048】
本発明による使用
本発明は、本明細書に記載されるように測定される、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させることによって組成物の皮膚に対する穏やかさを改善するための、組成物におけるソホロ脂質界面活性剤と、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤との組み合わせの使用を提供するものであって、組成物はアニオン性界面活性剤を含む。
【0049】
好ましくは、組成物は、遊離脂肪酸を含まない。好ましくは、組成物は、全て組成物の総重量に基づいて、5重量%未満の脂肪酸を含み、好ましくは4重量%未満の脂肪酸を含み、好ましくは3重量%未満の脂肪酸を含み、好ましくは2重量%未満の脂肪酸を含み、好ましくは1重量%未満の脂肪酸を含む。あるいは、組成物は、遊離脂肪酸の総重量及び組成物の総体積に基づいて、1リットル当たり25グラム(g/L)未満、好ましくは20g/L未満、好ましくは15g/L未満、好ましくは10g/L未満の遊離脂肪酸を含んでもよい。
【0050】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、グリシネート、スルホスクシネート又はこれらの混合物を含まない。好ましくは、組成物は、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤、より好ましくはパーソナルケア製剤である。
【0051】
好ましくは、組成物は、少なくとも1つの追加のヘアケア成分を含む、ヘアケア製剤である。
【0052】
好ましくは、組成物は、少なくとも1つの追加のスキンケア成分を含む、スキンケア製剤である。
【0053】
好ましくは、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量は、ソホロ脂質界面活性剤及び双性イオン性界面活性剤を含まない同等の組成物と比較した場合、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20重量%減少され、より好ましくは少なくとも30重量%減少され、更により好ましくは少なくとも40重量%減少される。
【0054】
本発明の使用は、本明細書に記載される本発明の他の態様又は特徴のいずれかを含んでもよい。
【0055】
本発明による方法
本発明は、アニオン性界面活性剤を含む組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させる方法であって、
a)ソホロ脂質界面活性剤を組成物中に含めるステップと、
b)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤を組成物中に含めるステップと、を含み、
組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量が、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20%減少される、方法を提供する。
【0056】
好ましくは、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量は、ソホロ脂質界面活性剤及び双性イオン性界面活性剤を含まない同等の組成物と比較した場合、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも30重量%減少され、より好ましくは少なくとも40重量%減少される。
【0057】
本発明の方法は、本明細書に記載される本発明の他の態様又は特徴のいずれかを含んでもよい。
【0058】
パーソナルケア及びホームケア製剤
パーソナルケア製剤又はホームケア製剤は、本発明による組成物を含んでもよい。製剤は、遊離脂肪酸を含まなくてもよい。
【0059】
ホームケア製剤は、布地洗浄剤、布地コンディショナー、染み除去剤、洗濯洗剤、硬質表面洗浄剤、食器洗浄洗剤、機械食器洗浄洗剤、艶出し剤、及び床仕上げ剤から選択され得る。
【0060】
本発明は、本発明の組成物と、パーソナルケア成分とを含む、パーソナルケア製剤を提供することができる。好ましくは、パーソナルケア製剤は、皮膚又は毛髪への局所適用のためのものである。パーソナルケア製剤は、本発明による組成物と、少なくとも1つの追加のヘアケア成分とを含む、ヘアケア製剤であってもよい。パーソナルケア製剤は、本発明による組成物と、少なくとも1つの追加のスキンケア成分とを含む、スキンケア製剤であってもよい。
【0061】
パーソナルケア成分は、洗浄剤、ヘアコンディショニング剤、ヘアスタイリング剤、フケ防止剤、毛髪成長促進剤、香料、日焼け止め剤、サンブロック、顔料、保湿剤、皮膜形成剤、ヘアカラー、メイクアップ剤、増粘剤、乳化剤、湿潤剤、皮膚軟化剤、防腐剤、デオドラント活性剤、皮膚科学的に許容される担体、界面活性剤、研磨剤、吸収剤、芳香剤、着色剤、精油、収斂剤、ニキビ防止剤、抗ケーキング剤、消泡剤、抗酸化剤、結合剤、酵素、酵素阻害剤、酵素活性化剤、補酵素、植物性抽出物、セラミド、緩衝剤、増量剤、キレート剤、化粧用殺生物剤、外用鎮痛剤、直接性増加剤、乳白剤、pH調整剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚脱色及び/又は色白剤、皮膚コンディショニング剤、皮膚鎮静及び/又は治癒剤、皮膚治療剤、ビタミン又は防腐剤から選択され得る。好ましくは、パーソナルケア成分は、洗浄剤、ヘアコンディショニング剤、スキンコンディショニング剤、ヘアスタイリング剤、フケ防止剤、毛髪成長促進剤、香料、日焼け止め化合物、顔料、保湿剤、皮膜形成剤、湿潤剤、アルファ-ヒドロキシ酸、ヘアカラー、メイクアップ剤、増粘剤、防腐剤、デオドラント、界面活性剤から選択される。
【0062】
ヘアケア成分は、光沢増強剤、保湿剤、ハーブ添加剤、毛髪強化剤、ビタミン添加剤、着色剤、育毛剤、セッティング剤及びスタイリング剤、毛髪洗浄剤、ヘアコンディショニング剤、フケ防止剤、毛髪成長促進剤、毛髪着色剤から選択され得る。
【0063】
好ましくは、スキンケア成分は、皮膚洗浄剤、皮膚脱色剤及び/又は色白剤、皮膚コンディショニング剤、皮膚鎮静及び/又は治癒剤、皮膚治療剤から選択される。
【0064】
本明細書で規定されるタイプのパーソナルケア製剤は、エマルジョン(水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンなど)の形態、無水製剤(ヘアオイル、ヘアスプレー/美容液など)、洗剤製剤、好ましくは水中油型エマルジョン及び/又は洗剤製剤であってもよい。パーソナルケアエマルジョン製剤は、望ましくはペースト、クリーム、液体及びミルクの形態をとることができ、ヘアケア製剤の分野では、毛髪に心地よい美的感覚を提供すること、並びに扱いやすさ及び外観を改善することを目的とする。
【0065】
パーソナルケア(又はヘアケア若しくはスキンケア)製剤は、製剤の所望の最終用途に応じて、ある範囲の異なる粘稠度及び/又は粘度を有し得る。
【0066】
このような製剤の最終用途としては、パーソナルケア製品、保湿剤、ボディバター、ゲルクリーム、高香料含有製品、香料クリーム、ヘアコンディショナー、ヘアリラクサー製剤、ヘアシャンプー、ヘアスタイリング製品、リーブオンヘア製品、無水製品、制汗剤及びデオドラント製品、クレンザー、ツーインワン発泡エマルジョン、乳化剤不含製品、穏やかな製剤、スクラブ製剤、例えば、固体ビーズを含有するもの、水中シリコーン製剤、顔料含有製品、噴霧可能なエマルジョン、例えばヘアもつれ取り、カラー化粧品、シャワー製品、メイクアップリムーバー、アイメイクアップリムーバー、及びワイプの分野が挙げられる。より好ましくは、このような製剤の最終用途としては、ヘアコンディショナー、ヘアリラクサー製剤、ヘアシャンプー、ヘアスタイリング製品、リーブオンヘア製品、及びヘアもつれ取りなどの噴霧可能なエマルジョンが挙げられる。
【0067】
好ましくは、パーソナルケア(又はヘアケア若しくはスキンケア)製剤は、酸性である。好ましくは、製剤は、1~6、好ましくは2~5.5、より好ましくは3~5、最も好ましくは4~4.8のpHを有する。
【0068】
パーソナルケア(又はヘアケア若しくはスキンケア)製剤は、追加の成分、例えば、1つ以上の乳化剤、皮膚軟化剤、担体、界面活性剤などを含んでもよい。
【0069】
好ましくは、パーソナルケア(又はヘアケア若しくはスキンケア)製剤は、乳化剤を更に含む。好ましくは、乳化剤は、水中油型エマルジョンを形成することができる非イオン性の高HLB(親水性/親油性バランス)界面活性剤である。乳化剤は、天然由来であってもよい。好適な乳化剤の例としては、エトキシ化ソルビタンエステル、エトキシ化グリセリルエステル、エトキシ化脂肪アルコール(ラノリンアルコールを含む)、エトキシ化脂肪酸(ラノリン脂肪酸を含む)、グリセロール脂肪酸モノエステル、グリコール脂肪酸モノ及びジエステル、糖エステル(スクロースの脂肪酸モノ及びジエステル)、脂肪酸ポリオール(ポリエチレングリコール)エステル、脂肪アルコール(共乳化剤としても作用し得る)、脂肪酸及び/又はそのリン酸エステル、ステアラミドプロピルジメチルアミン又はベヘンアミドプロピルジメチルアミンなどのカチオン性界面活性剤又はモノアルキル三級アミンが挙げられる。
【0070】
パーソナルケア(又はヘアケア若しくはスキンケア)製剤は、少なくとも1つの共乳化剤を更に含んでもよい。好ましくは、当該又は各共乳化剤は、製剤の粘度を改変することができる粘度調整剤であり、より好ましくは製剤の粘度を上昇させることができる粘度上昇剤である。好ましくは、当該又は各共乳化剤は、脂肪アルコール、好ましくはC12~C20アルコール、より好ましくはC16~C18アルコール、又はこれらの混合物である。パーソナルケア製剤において共乳化剤として使用するのに好適なアルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びセテアリルアルコールが挙げられる。
【0071】
本発明による製剤はまた、他の追加の皮膚軟化材料、好ましくは皮膚軟化油を含有してもよい。好ましくは、皮膚軟化油は、非極性油である。本発明の製剤における使用に好適な皮膚軟化油の例としては、鉱油又はパラフィン油、脂肪酸と脂肪アルコールとのエステル(好ましくはC10-C20酸又はアルコール、しかしイソプロピルエステルを使用してもよい)、脂肪酸グリコールエステル、脂肪酸トリグリセリド、アルコキシル化脂肪アルコールのエステル及びジエステル、植物性(植物)抽出物、並びに炭化水素(好ましくはC12-C16)が挙げられる。好ましくは、皮膚軟化剤は、鉱油である。製剤中に存在する場合、当該又は各追加の皮膚軟化剤は、好ましくは、製剤の総重量に基づいて、少なくとも1重量%~最大30重量%の濃度で存在する。
【0072】
本発明によるパーソナルケア(又はヘアケア)製剤はまた、1つ以上のカチオン性成分を含有してもよい。製剤中に存在する場合、当該又は各カチオン性成分は、好ましくは、製剤の総重量に基づいて、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~8重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%の濃度で存在する。
【0073】
本発明によるパーソナルケア(又はヘアケア)製剤はまた、1つ以上のシリコーンを含有してもよい。製剤中に存在する場合、当該又は各シリコーンは、好ましくは、製剤の総重量に基づいて、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~8重量%、より好ましくは0.5重量%~5重量%の濃度で存在する。
【0074】
本発明によるパーソナルケア(又はヘアケア若しくはスキンケア)製剤はまた、1つ以上のフィルム形成成分を含有してもよい。製剤中に存在する場合、当該又は各フィルム形成成分は、好ましくは、製剤の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%、好ましくは0.05重量%~3重量%、より好ましくは0.1重量%~2重量%の濃度で存在する。
【0075】
多くの他の成分が、本発明によるパーソナルケア(又はヘアケア若しくはスキンケア)製剤において使用されてもよい。これらの成分は油溶性、水溶性又は不溶性であってよい。このような材料の例としては、以下が挙げられる:
(i)防腐剤、好ましくは化粧品用途に承認されたもの、特に欧州連合化粧品規制(European Union cosmetics regulations)の付属書5に列挙されているもの。防腐剤は、好ましくは安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム又はフェノキシエタノールを含む。防腐剤は、パラベン(4-ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル)、置換尿素又はヒダントイン誘導体、例えば商品名Germaben II、Nipaguard BPX及びNipaguard DMDMHで市販されているものを含むことができる。防腐剤は、組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~2重量%の範囲の濃度で使用してもよい。
(ii)香料(典型的には、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、より一般的には最大約5重量%、特に最大約2重量%の範囲の濃度で使用される場合)、
(iii)アルコール、グリセロール及びポリエチレングリコールなどのポリオールなどの湿潤剤又は溶媒(典型的には、組成物の総重量に基づいて、1重量%~10重量%の範囲の濃度で使用される場合)、
(iv)グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸などのアルファヒドロキシ酸、及びそれらのエステル、ジヒドロキシアセトンなどのセルフタンニング剤、
(v)(a)例えば、パルミチン酸レチニル及び他のトレチノイン前駆体分子のようなビタミンA、(b)例えば、パンテノール及びその誘導体のようなビタミンB、(c)例えば、アスコルビン酸及びその誘導体のようなビタミンC、(d)例えば、酢酸トコフェリルのようなビタミンE、(e)例えば、ガンマ-リノレン酸エステルなどの多価不飽和脂肪酸エステルのようなビタミンFを含む、ビタミン及びそれらの前駆体、
(vi)天然材料又は天然セラミドの機能的模倣物のいずれかのようなセラミドなどのスキンケア剤、
(vii)天然リン脂質、例えばレシチン、
(viii)小胞含有製剤、
(ix)有益なスキンケア特性を有する植物性抽出物、
(x)コウジ酸、アルブチン及び類似の材料などの皮膚白化剤、
(Xi)アラントイン及び類似のシリーズなどの皮膚修復化合物活性物、
(xii)カフェイン及び類似の化合物、
(xiii)メントール又はカンファーなどの冷却添加剤、
(xiv)N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド(DEET)及び柑橘油又はユーカリ油などの昆虫忌避剤、
(xv)精油、並びに
(xvi)微細顔料を含む顔料、特に酸化物及びケイ酸塩、例えば酸化鉄、特に被覆酸化鉄、及び/又は二酸化チタン、及び窒化ホウ素などのセラミック材料、又は他の固体成分、例えばメイクアップ及び化粧品に使用されてサスポエマルジョンを与えるもの(典型的には、製剤の総重量に基づいて、1重量%~15重量%の範囲の量で使用されるが、通常少なくとも5重量%、特に約10重量%で使用される)。
【0076】
製剤は、心地よい香気を提供するために芳香付与材料を含んでもよい。一態様では、香気は、天然源、例えば、限定されないが、アルファルファ、アーモンド、アンバー、アンゲリカ根、アニス、アップル、アプリコット、バナナ、バジル、ベイ、月桂樹、ベンゾイン、ベルガモット、ダイダイ、黒胡椒、ボワデローズ(ローズウッド)、カユプチ、カルダモン、ニンジン種子、シダーウッド、シナモン、シトロネラ、シトラス、クレアリーセージ、クローブ、カカオ、ココナッツ、コーヒー、コリアンダー、クランベリー、イトスギ、エレミ、ユーカリグローブルス、ユーカリ、ウイキョウ、フランキンセンス、ガルバヌム、ゼラニウム、ジャーマンカモミール、ジンジャー、グレープフルーツ、ヘリクリサム、ヒソップ、ジャスミン、ジュニパーベリー、ラベンダー、レモン、レモングラス、ユリ、リンデンブロッサム、マンゴー、マージョラム、メリッサ、ミント、ミルラ、マートル、ネロリ、ニアウリ、ナツメグ、オレンジ、オレガノ、パーム、パセリ、パチュリ、モモ、ピーマン、ペティグレイン、マツ、パイナップル、ラズベリー、ローマンカモミール、ローズ、ローズマリー、サンダルウッド、スピアミント、トウヒ、イチゴ、茶、タイム、バニラ、ベチバー、バイオレット、ヤロー、イランなどからもたらされる。好ましくは、芳香剤は、ミント又はバニラから選択される。
【0077】
本発明は、本発明の組成物と、ヘアケア成分とを含む、ヘアケア製剤を提供することができる。好ましくは、ヘアケア製剤は、毛髪への局所適用のためのものである。
【0078】
好ましくは、ヘアケア製剤は、ヘアクレンジング、コンディショニング、もつれ取り、色保護又はスタイリング製剤であり、特に好ましくはヘアクレンジング又はコンディショニング製剤である。
【0079】
ヘアケア製剤は、シリコーン流体又は油、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーン、高重合メチルポリシロキサン、及び全般的にジメチコンとして知られるメチルポリシロキサン、全般的にシクロメチコーンとして知られるジメチルシロキサンの環状オリゴマーなどの環状オリゴマージアルキルシロキサンを含んでもよい。製剤中のシリコーン油の濃度は、製剤の総重量に基づいて、好ましくは0.1重量%~40重量%、より好ましくは0.3重量%~20重量%、特に0.5重量%~5重量%、とりわけ1重量%~1.5重量%の範囲であってもよい。あるいは、ヘアケア製剤は、シリコーン化合物を含まなくてもよい。
【0080】
ヘアケア製剤は、水性「リーブオン」又は水性「リンスオフ」最終用途製品の形態であってもよい。このような製剤には、希釈溶液を使用することができる。好ましくは、溶液のpHが4~6の範囲のpHで弱酸性に調整された緩衝溶液が使用される。リンスオフ製剤の場合、適用後に希釈された製剤を洗い流すための説明書が提供される。必要とされる処置のレベルに応じて、そのような説明書はまた、製品がある程度の時間、例えば1~30分間、毛髪上に留まることを要求し得る。リーブオン製剤の場合、洗い流すステップは省略される。
【0081】
製剤が、毛髪をよりストレートにするように機能するヘアシャンプー又はコンディショナーである場合、シャンプー又はコンディショナーは、分散液、エマルジョン又は溶液の形態であってもよい。1つの好ましい系は、液晶を形成する系である。液晶は、好ましくはリオトロピック液晶(すなわち、濃度及び温度の両方に依存する)、より好ましくはラメラ相液晶、特にLα相(ニート)液晶である。
【0082】
ヘアケア製剤は、以下などの多くの異なるタイプの機能性成分を含有してもよい:
(i)カチオン性ヘアコンディショニング剤、例えば、CrodaによってArlasilk(商標)として販売されているものなどのエトキシル化ホスフェート脂肪族四級物、CrodaによってIncromine(商標)として販売されているものなどの脂肪族アミドアミン、CrodaによってIncroquat(商標)、Crodazosoft(商標)、Rejuvasoft(商標)又はVibraRiche(商標)として販売されているものなどの脂肪族四級物(典型的には、組成物の総重量に基づいて、1重量%~5重量%の範囲の濃度で使用される)。これらは、典型的には、CrodaによってCrodacel(商標)及びMiruStyle(商標)として販売されている四級化セルロースなどのポリマーヘアコンディショニング用カチオン性材料、CrodaによってCroquat(商標)、Crosilkquat(商標)、Kerestore(商標)及びHydrotriticum(商標)として販売されているものなどの四級化タンパク質と組み合わされる。
(ii)脂肪アルコール、例えば、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール(典型的には、組成物の総重量に基づいて、2重量%~5重量%の濃度範囲で使用される)。
(iii)湿潤剤又は溶媒、例えば、アルコール、グリセロール及びポリエチレングリコールなどのポリオール(典型的には、組成物の総重量に基づいて、1重量%~10重量%の範囲の濃度で使用される場合)、
(iv)再構築剤、例えば、毛髪に浸透し、ポリマー架橋を介して毛髪構造を強化するように機能する小麦タンパク質などの加水分解タンパク質、
(v)通常、組成物の総重量に基づいて、0.2重量%~10重量%の範囲の濃度で、毛髪に結合し、光を反射する光沢剤又は抑毛剤、例えば、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ジメチコノール及び/又はトリメチルシリルアモジメチコンなどのシリコーン、
(vi)概ねコンディショナーのpHを約4~6に維持する、酸性度調節剤、例えば、クエン酸、乳酸、
(vii)例えばCrodaによってMirustyle(商標)MFP(四級化デンプン)として販売されているものなど、熱保護剤、通常は熱吸収性ポリマー、例えばブロー乾燥又はカーリングアイロン又はホットローラーによって引き起こされる過度の熱から毛髪を遮断するもの、並びに
(viii)CrodaによってCrodasorb(商標)UV-HPPとして販売されているものなどの、UV光による分解から毛髪又は製剤成分を保護するための、UV保護剤。
【0083】
本明細書に記載された特徴のいずれも、本発明の任意の組み合わせ及び任意の態様で採用され得る。
【実施例
【0084】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって説明される。全ての部及び百分率は、特に明記しない限り重量基準である。
【0085】
列挙された全ての試験及び物理的特性は、本明細書において特に明記しない限り、又は参照された試験方法及び手順において特に明記しない限り、大気圧及び周囲/室温(すなわち、約23~25℃)で決定されたことが理解されるであろう。
【0086】
試験方法:
本明細書において、以下の試験方法を使用した。
(i)pHは、Fisher Scientific Accumet AE150 pHメーターを用いて室温(25℃)で測定した。初期pH読み取り値に応じて、10重量%水酸化ナトリウム溶液(pHがより高い場合)又は10重量%クエン酸溶液(pHがより低い場合)を使用して、製剤のpHを5.5~6.5の範囲に調整した。製剤を製造した直後及び24時間後に、pHを測定した。
(ii)ゼイン可溶化を以下のように測定した。各界面活性剤を5回試験し、平均を計算した:
1)ゼインタンパク質(70mg)を、Mettler Toledo Quantos Powder Dispenserを使用して、予め秤量しラベルを貼ったエッペンドルフチューブに投与した。
2)各界面活性剤溶液(1mL、15%)を、ゼインタンパク質を収容するエッペンドルフにピペットで移した。
3)エッペンドルフチューブを、ボルテックスミキサーを用いて5秒間撹拌した後、ローラー上に置いて混合した(1時間、60rpm)。
4)混合後、各エッペンドルフに遠心分離(5分間、20℃、14800rpm)を行った。
5)各エッペンドルフから、上清を、1mLシリンジを使用してシリンジで取り出した。
6)エッペンドルフチューブを、蓋を開けて50℃のオーブンに24時間入れた。
7)エッペンドルフを秤量し、可溶化されるゼインタンパク質の量を計算した。
【0087】
実施例1
これらの実施例で使用したソホロ脂質試料(SL1)の組成を以下の表1に示す。SL1は、発酵後に部分的に加水分解されて、70:30の重量比の酸型対ラクトン型ソホロ脂質を与える。SL1は、当該技術分野で公知の標準的なソホロ脂質発酵及び製造方法を使用して製造される。グルコース及びオレイン酸を基質として、Starderella bombicolaを使用する発酵プロセスが使用される。発酵及び製造は、残留基質がSL1産物中に残されず、SL1産物がソホロ脂質及び水から本質的になるように行われる。
【表1】
【0088】
実施例2
以下の試料を脱イオン水で希釈することによって15重量%の活性溶液にし、pHを6±0.8に調整した。各試料は、試験の直前に製剤化したので、防腐剤は添加しなかった。表2は、作製された試料を示し、供給された全ての材料の活性レベルは、適切な希釈が行われることを可能にするように示される。
【表2】
【0089】
「活性レベル」という用語は、界面活性剤を含有する市販材料中に存在する表面活性成分の重量%を意味する。市販の界面活性剤は、概して、界面活性特性を有する活性材料に加えて、例えば水又は溶媒などの他の成分を含有する。活性レベルは、表面活性成分の重量百分率のみをカウントする。
【0090】
実施例3
ゼインタンパク質の可溶化は、ヒト皮膚の角質層の最上層内のタンパク質を可溶化する界面活性剤の能力の指標を提供する。この方法を使用して、水中の界面活性剤の皮膚に対する穏やかさを理解した。
【0091】
実施例2で調製した15重量%の活性界面活性剤水溶液によって可溶化されるゼインタンパク質の百分率を、可溶化プロセス後に存在するゼインタンパク質の最終質量と比較した、存在するゼインタンパク質の初期既知質量に基づいて計算した。結果を表3に示す。
【表3】
【0092】
可溶化されるゼインタンパク質の高い百分率は、皮膚上の刺激の強い界面活性剤と相関する。各可溶化試験を界面活性剤ごとに5回繰り返し、5回の繰り返し測定間の標準偏差と共に平均を計算した。結果から、SL1はゼインタンパク質の1%のみを可溶化し、したがって非常に穏やかな界面活性剤とみなすことができることが分かる。
【0093】
実施例4
試料SL1は、表3において非常に穏やかな界面活性剤として特定された。この材料が、公知のより刺激の強い界面活性剤の刺激性を減少させる穏やかさ増強剤として機能し得るか否かを調べるために、漸増量のSL1を10%の活性界面活性剤溶液に添加した。次いで、ゼイン可溶化法を用いて、各界面活性剤溶液の穏やかさを試験した。10%活性レベルでのSLES、SLS及びCAPBによるSL1のゼイン可溶化の結果を表4、表5及び表6に示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【0094】
表4~表6は、試料SL1が、5%活性以上の濃度でのSLES又はSLSarとのブレンドにおける場合に、可溶化されるゼインタンパク質の量を顕著に減少させることを示している。SL1が10%活性レベルで、又はアニオン性界面活性剤と1:1の比で存在する場合、ゼインタンパク質はほとんど可溶化されない。SL1がCAPBとともに界面活性剤溶液中に存在する場合にも、同様の結果が観察された。しかしながら、可溶化されるゼインタンパク質の量を顕著に減少させるためにはSL1の1%のみの活性添加が要件であり、ゼインタンパク質の可溶化を本質的に生じさせないためには3%のみの活性添加が要件であった。また、これらの実験中、SL1を溶液に添加し、一次界面活性剤を置き換えなかったので、SL1の濃度が増加すると、各溶液の全体の界面活性剤濃度も増加したことに留意されたい。
【0095】
実施例5
実施例4は、可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させることにより、SLES、SLSar及びCAPBの穏やかさを改善するのに有効であることを示した。比較のために、SLESによって可溶化されるゼインタンパク質の量の減少に対するCAPB及びTween(登録商標)28の効果を表7及び表8に示す。
【表7】
【表8】
【0096】
表7は、10%活性SLES溶液への、CAPBの濃度の増加に伴うゼイン可溶化に対する影響を示す。CAPBをSLESに高濃度で添加すると粘度が上昇するので、この試験はSLES:SLESの比を2:1に限定した。CAPBを、SL1に使用した最終1:1比と比較した(表4)。結果は、CAPBが、3%以上の活性で存在する場合、SLESによって可溶化されるゼインタンパク質の量を顕著に減少させることを示す。しかしながら、CAPBの5%添加では、可溶化されるゼインタンパク質は66%であるのに対して、SL1を同じ濃度で添加した場合は55%である。したがって、SL1は、タンパク質可溶化に関して、CAPBよりも効率的にSLESの刺激性を低下させることが示される。表8は、Tween(登録商標)28を調査した場合に同様の結果が見出されたことを示しており、穏やかさ増強特性が観察されたが、SL1よりも効率が低かった。
【0097】
実施例6
上記の結果から、SL1は、試験された任意の他のベンチマークのものを超えて、刺激の強い界面活性剤溶液の穏やかさを顕著に改善することができることが分かる。SL1が他のより穏やかな界面活性剤と何らかの相乗効果を有するかどうかを調査した。以下の試験は、先と同じ概念に従うが、刺激の強い界面活性剤溶液は、5%活性CAPB及び漸増濃度のSL1とともに10%活性一次界面活性剤から構成される。したがって、初期界面活性剤溶液は、15%活性界面活性剤濃度を有し、これはSL1の各添加と共に増加する。調査した一次界面活性剤はSLES及びSLSarであり、結果を表9及び表10に示す。
【表9】
【表10】
【0098】
表9及び表10にて分かることは、SLESの10%活性溶液へのCAPBの5%活性添加が、ゼイン可溶化百分率を90%~63%に低下させることである。しかしながら、これはSLSarでは観察されず、CAPBの添加は、この濃度で添加された場合、穏やかさに対していかなる影響も及ぼさない。驚くべきことに、SL1の濃度が増加すると、可溶化されるゼインタンパク質の量が大幅に減少することが分かる。先の試験とは対照的に、5%CAPBと3%SL1との添加は、SLES/SLSarによるゼイン可溶化の量を、皮膚に対して非常に穏やかと予想される組成物を提供する程度まで減少させる。これは、表4、表7及び表9を比較することによって、CAPBとSL1との間の相乗効果であることが分かる。したがって、これらの結果は、SL1がCAPBと相乗的に作用して、刺激の強い界面活性剤製剤の刺激性を顕著に低減することを示す。
【0099】
表9及び表10に示した実験を、CAPBの代わりにCAPSを含めて繰り返し、結果を表11及び表12に示す。表11及び表12に示されるように、CAPSとSL1との間の相乗効果は、CAPBとSL1との間よりも大きい。
【表11】
【表12】
【0100】
実施例7
パーソナルケア及びホームケア製剤は、以下のように実施例1のソホロ脂質SL1を含み得る。
【0101】
表13は、本発明の組成物が含まれるヘアケア製剤の実施例を示す。
【表13】
【0102】
表14は、本発明の組成物が含まれるスキンケア製剤の実施例を示す。
【表14】
【0103】
表15は、本発明の組成物が含まれるホームケア製剤の実施例を示す。
【表15】
【0104】
本発明は、例としてのみ記載される上記の実施形態の詳細に限定されないことが理解されるべきである。多くの変形が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
本発明は、例としてのみ記載される上記の実施形態の詳細に限定されないことが理解されるべきである。多くの変形が可能である。
以下の項目[態様1]~[態様24]に本発明の実施形態の例を列記する。
[態様
本明細書に記載されるように測定される、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させることにより前記組成物の皮膚に対する穏やかさを改善するための、前記組成物におけるソホロ脂質界面活性剤と、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤との組み合わせの使用であって、前記組成物がアニオン性界面活性剤を含む、使用。
[態様2]
前記アニオン性界面活性剤が、グリシネート、スルホスクシネート又はこれらの混合物を含まない、態様1に記載の使用。
[態様3]
前記組成物が、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤、好ましくはパーソナルケア製剤である、態様1又は2に記載の使用。
[態様4]
前記組成物が、少なくとも1つの追加のヘアケア成分を含むヘアケア製剤である、態様1~3のいずれか一態様に記載の使用。
[態様5]
前記組成物が、少なくとも1つの追加のスキンケア成分を含むスキンケア製剤である、態様1~3のいずれか一態様に記載の使用。
[態様6]
前記組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量が、前記ソホロ脂質界面活性剤及び前記双性イオン性界面活性剤を含まない同等の組成物と比較した場合、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20重量%減少される、態様1~5のいずれか一態様に記載の使用。
[態様7]
アニオン性界面活性剤を含む組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させる方法であって、前記方法が、
a)ソホロ脂質界面活性剤を前記組成物中に含めるステップと、
b)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤を前記組成物中に含めるステップと、
を含み、
前記組成物によって可溶化される前記ゼインタンパク質の量が、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20重量%減少される、方法。
[態様8]
前記組成物が、グリシネート界面活性剤、スルホスクシネート界面活性剤、脂肪アシルイセチオネート又はこれらの混合物を含まない、態様7に記載の方法。
[態様9]
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:3.1である、態様7又は8に記載の方法。
[態様10]
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記双性イオン性界面活性剤に対する重量比が、1:8~1:1.5である、態様7~9のいずれか一態様に記載の方法。
[態様11]
前記組成物が、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤、好ましくはパーソナルケア製剤である、態様7~10のいずれか一態様に記載の方法。
[態様12]
前記組成物が、少なくとも1つの追加のヘアケア成分を含むヘアケア製剤である、態様7~10のいずれか一態様に記載の方法。
[態様13]
前記組成物が、少なくとも1つの追加のスキンケア成分を含むスキンケア製剤である、態様7~10のいずれか一態様に記載の方法。
[態様14]
a)ソホロ脂質界面活性剤と、
b)アニオン性界面活性剤と、
c)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される3~7重量%の双性イオン性界面活性剤であって、重量%が前記組成物の総重量に基づく、双性イオン性界面活性剤と、
を含む組成物であって、
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:2であり、
前記組成物が遊離脂肪酸を含まない、組成物。
[態様15]
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:3.1である、態様14に記載の組成物。
[態様16]
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記双性イオン性界面活性剤に対する重量比が、1:8~1:1.5である、態様14又は15に記載の組成物。
[態様17]
前記組成物が、グリシネート界面活性剤、スルホスクシネート界面活性剤、脂肪アシルイセチオネート又はこれらの混合物を含まない、態様14~16のいずれか一態様に記載の組成物。
[態様18]
前記アニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びラウリルサルコシン酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、態様14~17のいずれか一態様に記載の組成物。
[態様19]
前記アニオン性界面活性剤がサルフェート含有化合物を含まない、態様14~17のいずれか一態様に記載の組成物。
[態様20]
ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される前記双性イオン性界面活性剤が、ラウリルアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタイン及びコカミドプロピルヒドロキシスルタインのうちの少なくとも1つを含む、態様14~19のいずれか一態様に記載の組成物。
[態様21]
前記ソホロ脂質界面活性剤が、前記組成物中のソホロ脂質の総重量に基づいて、少なくとも55重量%の酸型ソホロ脂質と、最大で45重量%のラクトン型ソホロ脂質とを含む、態様14~20のいずれか一態様に記載の組成物。
[態様22]
態様14~21のいずれか一態様に記載の組成物を含む、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤。
[態様23]
態様14~21のいずれか一態様に記載の組成物と、少なくとも1つの追加のヘアケア成分とを含む、ヘアケア製剤。
[態様24]
態様14~21のいずれか一態様に記載の組成物と、少なくとも1つの追加のスキンケア成分とを含む、スキンケア製剤。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載されるように測定される、組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させることにより前記組成物の皮膚に対する穏やかさを改善するための、前記組成物におけるソホロ脂質界面活性剤と、ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤との組み合わせの使用であって、前記組成物がアニオン性界面活性剤を含む、使用。
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤が、グリシネート、スルホスクシネート又はこれらの混合物を含まない、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記組成物が、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤、好ましくはパーソナルケア製剤である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記組成物が、少なくとも1つの追加のヘアケア成分を含むヘアケア製剤である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
前記組成物が、少なくとも1つの追加のスキンケア成分を含むスキンケア製剤である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量が、前記ソホロ脂質界面活性剤及び前記双性イオン性界面活性剤を含まない同等の組成物と比較した場合、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20重量%減少される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項7】
アニオン性界面活性剤を含む組成物によって可溶化されるゼインタンパク質の量を減少させる方法であって、前記方法が、
a)ソホロ脂質界面活性剤を前記組成物中に含めるステップと、
b)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される双性イオン性界面活性剤を前記組成物中に含めるステップと、
を含み、
前記組成物によって可溶化される前記ゼインタンパク質の量が、本明細書に記載されるように測定して、少なくとも20重量%減少される、方法。
【請求項8】
前記組成物が、グリシネート界面活性剤、スルホスクシネート界面活性剤、脂肪アシルイセチオネート又はこれらの混合物を含まない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:3.1である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記双性イオン性界面活性剤に対する重量比が、1:8~1:1.5である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤、好ましくはパーソナルケア製剤である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、少なくとも1つの追加のヘアケア成分を含むヘアケア製剤である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、少なくとも1つの追加のスキンケア成分を含むスキンケア製剤である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項14】
a)ソホロ脂質界面活性剤と、
b)アニオン性界面活性剤と、
c)ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される3~7重量%の双性イオン性界面活性剤であって、重量%が前記組成物の総重量に基づく、双性イオン性界面活性剤と、
を含む組成物であって、
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:2であり、
前記組成物が遊離脂肪酸を含まない、組成物。
【請求項15】
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記アニオン性界面活性剤に対する重量比が、1:20~1:3.1である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物中の前記ソホロ脂質界面活性剤の前記双性イオン性界面活性剤に対する重量比が、1:8~1:1.5である、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、グリシネート界面活性剤、スルホスクシネート界面活性剤、脂肪アシルイセチオネート又はこれらの混合物を含まない、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項18】
前記アニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びラウリルサルコシン酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項19】
前記アニオン性界面活性剤がサルフェート含有化合物を含まない、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項20】
ベタイン及びヒドロキシスルタインからなる群から選択される前記双性イオン性界面活性剤が、ラウリルアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルタイン及びコカミドプロピルヒドロキシスルタインのうちの少なくとも1つを含む、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項21】
前記ソホロ脂質界面活性剤が、前記組成物中のソホロ脂質の総重量に基づいて、少なくとも55重量%の酸型ソホロ脂質と、最大で45重量%のラクトン型ソホロ脂質とを含む、請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項22】
請求項14又は15に記載の組成物を含む、パーソナルケア製剤又はホームケア製剤。
【請求項23】
請求項14又は15に記載の組成物と、少なくとも1つの追加のヘアケア成分とを含む、ヘアケア製剤。
【請求項24】
請求項14又は15に記載の組成物と、少なくとも1つの追加のスキンケア成分とを含む、スキンケア製剤。
【国際調査報告】