(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】マルチパートダイアライザ
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61M1/16 101
A61M1/16 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508337
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 EP2022072426
(87)【国際公開番号】W WO2023017073
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021121108.5
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521508885
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・アヴィトゥム・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】B.Braun Avitum AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】マンドリー,ペーター
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077KK17
4C077LL05
4C077LL13
4C077LL15
4C077PP14
4C077PP16
(57)【要約】
本発明は、中空繊維束(6)、中空繊維束(6)の外周に巻かれた液体透過性シース(10)、中空繊維束(6)の軸方向端部(12、16)に設けられた鋳造要素(14、18)、および体外血液循環(102、104、126)に接続するために鋳造要素(14、18)に固定された端部キャップ(20、22)を含む、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2);ハウジングを有し、閉鎖、開放および再使用が可能な第2のダイアライザ要素(48);ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)およびハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)を含むダイアライザ(80);機械全面(90)およびハウジングを有し機械全面(90)に堅固に固定される第2のダイアライザ要素(48)を含む血液処理装置(92);および血液治療後にハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)を再処理する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)であって、
第1の軸方向端部(12)と第2の軸方向端部(16)とを含む中空繊維束(6);
中空繊維束(6)の周囲に周方向に巻かれた液体透過性シース(10);
中空繊維束(6)の第1の軸方向端部(12)に設けられた第1の鋳造要素(14)および中空繊維束(6)の第2の軸方向端部(16)に設けられた第2の鋳造要素(18);および、
第1の鋳造要素(14)に取り付けられた第1の端部キャップ(20)および第2の鋳造要素(18)に取り付けられた第2の端部キャップ(22);を含み、
ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)は、体外血液回路(102、104、126)に接続可能である、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)。
【請求項2】
シース(10)は織物表面構造として形成され、特に粗目織物または不織布から形成され、および/または網状構造を有する請求項1に記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)。
【請求項3】
殺菌包装(4)の中に無菌状態で包装されている請求項1または2に記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)。
【請求項4】
第1の端部キャップ(20)は、外周に第1のシール面(44)または第1のシール要素(82)を有し、第2の端部キャップ(22)は、外周に第2のシール面(46)または第2のシール要素(84)を有する請求項1~3の1項に記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)。
【請求項5】
閉鎖可能、開放可能、および再使用可能なハウジング(50)として形成されるか、またはそのようなハウジングを含む、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)であって、
開放状態および閉鎖状態にされるように構成された第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)を含み、
第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)は、特に請求項1~4の1つに記載の、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)を開放状態で受容するように構成され、
第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)は、閉鎖状態で互いにロック可能であり、そして、
ハウジング(50)は、透析液回路(98、100、120)に接続可能である、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項6】
血液処理装置(92)に、特に透析装置に、堅固かつ恒久的に取り付けられるように構成された請求項5に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項7】
第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)を開放状態および閉鎖状態に移動させるために、第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)がその回りで回動可能であるヒンジ(56)をさらに含む請求項5または6に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項8】
第1のハウジング部分(52)の上および/または第2のハウジング部分(54)上に配置され、これを介して第1のハウジング部分(52)と第2のハウジング部分(54)とが互いにロック可能である少なくとも1つの閉鎖要素(58)をさらに含む請求項5~7の1つに記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項9】
ハウジング(50)の第1の軸方向端部(64)またはその近傍の第3のシール要素(70)または第3のシール面(86)と、ハウジング(50)の第2の軸方向端部(72)またはその近傍の第4のシール要素(78)または第4のシール面(88)とをさらに含む請求項5~8の1つに記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項10】
ハウジング(50)から分離されたハウジングインサート(110)、および/またはハウジング(50)の上に挿入されたセンサ(106)をさらに含む請求項5~9の1つに記載のハウジングを有する第2ダイアライザ要素(48)。
【請求項11】
請求項1~4の1つに記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)と、請求項5~10の1つに記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)とを含むダイアライザ(80)。
【請求項12】
ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)にはめ込まれ、
ハウジングを有する第2ダイアライザ要素(48)の閉鎖状態において、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)は、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)を完全に包囲し、そして、
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)と、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)とは、特に対応するシール要素(70、78、82、84)およびシール面(44、46、86、88)を介して互いにシールされる請求項11に記載のダイアライザ(80)。
【請求項13】
血液処理装置(92)、特に透析装置であって、
機械前部(90)と、請求項5~10の1つに記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)とを含み、
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)は、機械前部(90)に堅固に取り付けられるかまたは挿入される血液処理装置(92)。
【請求項14】
特に請求項5~10の1つに記載の、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)を血液処理療法後に再処理する方法であって、
a)特に請求項1~4の1項に記載の、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)を、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)から取り外す工程;および、
b)ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)を洗浄および/または消毒する工程、を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
c)第1の封止栓(132)および第2の封止栓(134)を、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)に挿入する工程を含み、
工程c)は、工程a)と工程b)との間に実行される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチパートダイアライザ(透析器)に関する。特に、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素またはそれぞれダイアライザ部品、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素またはそれぞれダイアライザ部品、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素およびハウジングを有する第2のダイアライザ要素を含むダイアライザ、機械前部およびハウジングを有する第2のダイアライザ要素を含む血液処理装置、ならびに血液処理治療後にハウジングを有する第2のダイアライザ要素を再処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアライザは、基本的に、中空繊維束を形成する複数の中空繊維を有する。中空繊維束は、公知の方法で鋳造または鋳造化合物中に埋め込まれる(例えばEP 0 844 015 B1参照)。鋳造化合物とともに、中空繊維束はダイアライザの組み立て中に円筒形(ダイアライザ)ハウジングに挿入され、例えばポリウレタンを用いてこのハウジングに接着される。最後に、中空繊維束はダイアライザの軸方向両端にある2つのキャップを介して閉じられる。
【0003】
この際、ダイアライザの製造または生産中に、中空繊維束を紙またはプラスチック製のシースフィルムで包むことが、例えばDE 198 06 293 A1から知られている。このシースフィルムは、中空繊維を一緒に保持し、特に、中空繊維束をハウジングに挿入する際に外側の中空繊維を損傷から保護する。中空繊維束がハウジングに挿入された後、シースフィルムは、透析液の流れまたは透析流れを妨げ、従って血液処理療法の文脈でダイアライザが意図されたとおりに使用されるときに中空繊維の周りの均一な流れを妨げるので、通常は再び除去される。
【0004】
中空繊維束が挿入される円筒形(ダイアライザ)ハウジングは、通常、一体型(中空)の円筒形ハウジング部分である。しかし、EP 1 466 657 B1から、中空繊維束がはめ込まれている場合、溶接または接着によって開閉不能に閉じられる2部品ハウジングも知られている。
【0005】
血液処理療法/透析の後、血液に接触するすべての部品、従ってダイアライザ全体は、通常廃棄され、従って破壊される。通常、透析液流運搬部品または透析液運搬部品だけが消毒され再利用される。その結果、大量のプラスチック廃棄物が発生する。このような背景から、一般に、血液処理療法後に廃棄しなければならないプラスチック廃棄物の量を減らすか、またはプラスチック廃棄物をできるだけ出さないようにすることが望まれる。
【0006】
血液処理療法の一部としてダイアライザを使用した後にダイアライザを再処理することは、例えばCN 201044830 YまたはEP 0 864 334 B1などの従来技術から既に知られている。しかしながら、ダイアライザ全体の再処理は、時間と労力を要し、微生物学的および衛生学的なリスクおよび問題を伴うことが証明されている。
【発明の概要】
【0007】
このような背景から、本開示の目的は、従来技術の欠点を回避するか、または少なくとも低減することである。特に、プラスチック廃棄物を削減することによって、透析の持続可能性を改善することである(キーワード:グリーン透析)。さらに、透析患者が、まだ汚染されている可能性のある再処理されたダイアライザで危険にさらされないようにすることである。
【0008】
この目的は、請求項1に記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素またはそれぞれダイアライザ部品、請求項5に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素またはそれぞれダイアライザ部品、請求項11に記載のダイアライザ、請求項13に記載の血液処理装置、および請求項14に記載の血液処理療法後にハウジングを有する第2のダイアライザ要素を再処理する方法によって解決される。
【0009】
有利な実施形態は、従属請求項に請求され、および/または以下に説明される。
【0010】
本開示は、複数の部分、特に2つの部分を有するダイアライザを形成または構築するという核心的思想に基づいている。特に、本開示によれば、ダイアライザの血液運搬または血液接触部品/部分/領域は、第1の部品、すなわち本開示によるハウジングを有さない第1のダイアライザ要素またはそれぞれダイアライザ部品に組み合わされるか、または第1の構成要素により形成され、ダイアライザの透析液流運搬部/透析液運搬部または透析液接触部/透析液接触部分/透析液接触部/領域は、第2の構成要素、すなわち、本開示によるハウジングを有する第2のダイアライザ要素またはそれぞれダイアライザ部品に組み合わされるか、または第2の構成要素によって形成される。ダイアライザの血液運搬部分がダイアライザの透析液運搬部分とは別個に構成される場合、透析液運搬部分、すなわちハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、有利には、血液処理療法後に血液処理装置/ダイアライザ上に残ることができ、消毒および/または洗浄、すなわち再使用のための再処理が可能である。すなわち、再使用のために再処理することができ、ダイアライザの血液運搬部品、すなわち、第1のダイアライザ要素またはそれぞれハウジングを有しないダイアライザ部品は、取り外して廃棄することができる。
【0011】
換言すれば、本開示によれば、ダイアライザのハウジングは、ダイアライザの血液運搬部分と分離不能に接続されているため、血液と接触することはないものの、血液処理治療後、通常、ダイアライザ全体とともに廃棄された。このような背景から、本開示によれば、ダイアライザのハウジング(ハウジングを有する第2のダイアライザ要素)は、血液運搬部品(ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素)から分離可能である。従って、ダイアライザにおけるプラスチック廃棄物を大幅に低減することができる。
【0012】
本開示は、第1に、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素/ダイアライザ部品であって、以下の物:第1の軸方向端部および第2の軸方向端部(第1の軸方向端部の反対側)を含む中空繊維束;中空繊維束の周りに巻かれた(従って、中空繊維束を包む)液体透過性/流体透過性シース/シースフィルム/スリーブ(周方向に);中空繊維束の第1の軸方向端部に設けられた第1の鋳造要素/鋳造キャップおよび中空繊維束の第2の軸方向端部に設けられた第2の鋳造要素/鋳造キャップ;および第1の鋳造要素に取り付けられた第1の端部キャップ/血液キャップおよび第2の鋳造要素に取り付けられた第2の端部キャップ/血液キャップを含み、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素、特に第1の端部キャップおよび第2の端部キャップは、体外血液回路に接続されるように準備され、提供される。
【0013】
本開示によれば、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、ハウジングを有さない。換言すれば、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の製造において、ハウジングは省略される。本開示によれば、ハウジングとは、液体などの環境の影響から(ハウジングの)内容物を保護する固体のシースを意味すると理解される。液体透過性であり、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素が意図されるように使用される場合に液体を通過させることも意図されるため、本開示のシース/シースフィルム/スリーブはハウジングとはみなされない。この文脈において、シースまたはシースフィルムは、血液処理療法の文脈におけるハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の意図された使用の間、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素上に残り、DE 198 06 293 A1のように意図された使用の前に再び除去されないことにも留意すべきである。
【0014】
このことは、実質的に円筒状または回転対称なハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の意図された使用/使用の直前に、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の軸方向端部の2つの端部キャップおよび液体透過性シースが、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の環境に対する界面またはインターフェイスを表すことを意味する。
【0015】
シースは、好ましくは、透析液流または透析液の流れを通すように形成または構成される。換言すれば、シースは、好ましくは、透析液の流れまたは透析液に対して無視できる抵抗を有し、すなわち、特に透析液の流れまたは透析液のような液体が実質的に妨げられずにそれを通過することを可能にする。
【0016】
さらに、シースは、好ましくは、中空繊維束の中空繊維が円周方向に一緒に保持されるように、すなわち、シースによって円周方向に固定されるように、中空繊維束に巻き付けられる。これにより、中空繊維の確実な束ねが保証され、または可能になり、特に、例えば、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素をハウジングを有する別個の第2のダイアライザ要素(ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素とは別個である)に挿入する際に、外側の中空繊維が好適に保護される。
【0017】
有利な態様では、シースは中空繊維束の周囲に少なくとも1回、好ましくは2回巻き付けられる。換言すれば、シース/シースフィルムは、少なくとも断面的に重なり合う部分を有する。
【0018】
シースが溶着可能な材料でできていると特に有利である。これにより、追加の接着ストリップなしでシースを確実に閉鎖することができる。例えば、シースの重なり部分を溶接することができる。
【0019】
特に好ましい構成例は、シースの内側端部/内側層と、外側端部/外側層とが重なり、シースの中間層が設けられ、シース/シースフィルムの少なくとも断面的に3つの層が重ね合わされることを特徴とする。この構成例によれば、シースの2つの外側層は好ましくは溶着され、シースの内側層は繊維の保護層として機能する。
【0020】
シースは、好ましくは繊維表面構造/繊維構造として、すなわち二次元繊維製品として形成される。シースは、特に好ましくは、粗目織物または不織布から形成され、および/またはネット状構造を有する。
【0021】
織物表面構造(例えば、粗目織物または不織布またはネット状構造)は、好ましくは、それを通る透析液の流れ/透析の流れを可能にし、同時に中空繊維を確実に束ねるように構成または形成される。さらに、好ましくは溶接可能である。換言すれば、本開示によれば、織物表面構造、すなわち特に粗いメッシュの織物/不織布/網状構造の特性および材料は、記載された要件を満たすために好適に決定される。例えば、粗目織物のメッシュサイズは、透析液の流れ/透析液に対して無視できる程度の抵抗を有するように定義または選択することができる。また、ネット/網状構造の網目や開口部も適宜設定することができる。不織布の場合、例えば、得られる不織布が液透過性を有するように不織布の補強を行うことができる。さらに、不織布は、所望の特性を提供するために、対応する大きなメッシュサイズを有する少なくともほぼネット状であってもよい。繊維表面構造のための1つの可能な材料は、溶接可能なプラスチック材料である。当業者は、本開示に従って、所望の液体透過性、中空繊維の確実な束ね、および溶着性を提供するために、選択された繊維表面構造の特性または材料を調整または決定するであろう。
【0022】
Low&Bonar B.V.から、Colback(登録商標)WA30の商品名で販売されているEP 3 017 100 B1に開示されている不織布材料は、シースに特に好ましい繊維表面構造であることが証明されている。
【0023】
第1の鋳造要素/第1の鋳造キャップおよび第2の鋳造要素/第2の鋳造キャップは、好ましくはそれぞれ、鋳造化合物を介して中空繊維束をその第1の軸方向端部および第2の軸方向端部で鋳造/成形し、次いでそれを切断することによって製造される。特に、シースの織物表面構造も鋳造化合物に対して無視できる抵抗を有すると、この文脈において有利である。
【0024】
鋳造化合物は、好ましくはポリウレタンまたはシリコーン化合物であり、すなわち、鋳造要素/鋳造キャップは、好ましくはポリウレタンまたはシリコーン製である。しかしながら、個々の中空繊維間、すなわち中空繊維間のクリアランスにおける血流を防止するのに適した他の材料も可能である。特に、従来のダイアライザと比較して、鋳造要素が(ダイアライザ)ハウジングと接着結合を形成する必要がなく、従って特別な接着特性を有する必要がないため、他の材料、例えば水ガラスなどの生体適合性硬化液体を考慮することができる。
【0025】
有利な態様では、端部キャップを鋳造要素に好適に取り付けるために、第1の端部キャップは第1の鋳造要素に接着され、および/または第2の端部キャップは第2の鋳造要素に接着される。
【0026】
好ましくは、第1の端部キャップは第1の(管)端子からなり、第2の端部キャップは第2の(管)端子からなり、第1の端子は第1の(血液運搬)管に接続されるように設けられ、第2の端子は第2の(血液運搬)管に接続されるように設けられる。特に好ましくは、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、正確に2つの端子、すなわち第1の端子および第2の端子を有し、これにより、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、第1の端子および第2の端子を介してのみ/排他的に体外血液回路/血液運搬管に接続されるように準備または構成される。換言すれば、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、好ましくは、透析液端子/透析物端子を有さない、すなわち、透析液回路/透析物回路に接続されるように準備され、構成され、または提供される端子を有さない。
【0027】
好ましくは、血液処理療法の間、患者の体外血液は、第1の端部キャップの第1の端子を介してハウジングを有しない第1のダイアライザ要素に入り、中空繊維を通って流れ、第2の端部キャップの第2の端子を介してハウジングを有しない第1のダイアライザ要素から出る。従って、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、好ましくは、ダイアライザの血液運搬部品/部分/要素である。換言すれば、血液は、好ましくは、端部キャップおよび中空繊維を介してハウジングを有しない第1のダイアライザ要素を通って流れ、すなわち、個々の中空繊維の間またはシースを通っては流れない。
【0028】
好ましくは、端部キャップはそれぞれ少なくとも1つの(中空の)円筒形/スリーブ形部分を有する。好ましくは、(中空の)円筒形部分は、(その部分の長さにわたって)一定の内径と一定の外径を有する部分である。(中空)円筒状部分の内径は、特に好ましくは、実質的に円筒状の鋳造要素の直径に実質的に対応し、鋳造要素を端部キャップの(中空)円筒状部分に挿入して、特に接着剤で端部キャップの内面に取り付けることができるようにする。
【0029】
端部キャップはそれぞれ、第1の端子または第2の端子に向かって先細になる部分を有することもできる。しかし、代わりに(中空の)円筒部分と第1の端子または第2の端子との間に段差状の移行部を設けてもよい。他の移行部も考えられる。
【0030】
第1の端子および第2の端子は、好ましくは、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の軸方向に延び、すなわち中空繊維束と平行に整列される。しかしながら、端部キャップは、基本的に、血液供給および血液排出が横方向に、例えば90°の角度で行われるように形成することもできる。
【0031】
本開示によれば、端部キャップは、同一形状である必要はないが、少なくとも両方とも、適切な方法で鋳造要素に取り付けられるべきであり、好ましくは、血液運搬管用の適切な端部を有するべきである。
【0032】
好ましくは、第1の端部キャップは、外周、すなわちその外径に第1のシール面または第1のシール要素を有し、および/または第2の端部キャップは、外周、すなわちその外径に第2のシール面または第2のシール要素を有する。
【0033】
換言すれば、本開示によれば、シール要素またはシール面に関して、2つの端部キャップ、すなわち第1の端部キャップおよび/または第2の端部キャップについて、2つの好ましい実施形態が考えられる。第1の実施形態によれば、端部キャップは、シール要素、例えば、特に成形または接着されたシールリングを有することができ、このシールリングは、ハウジングを有する別個の第2のダイアライザ要素に設けられたシール面とシール様式で相互作用するように構成または設けられている。あるいは、すなわち、第2の実施形態によれば、端部キャップは、ハウジングを有する別個の第2のダイアライザ要素に設けられたシール要素とシール様式で相互作用するように構成または設けられたシール面を有することができる。本開示によれば、シール面は、基本的にシール要素とシール様式で相互作用するのに適した面、すなわち、特に滑らかで平坦な面、好ましくは、シール要素がシールリングである場合には円筒状の側面として理解される。
【0034】
原理的には、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、血液運搬し、交換可能なカセットに接続することもでき、このカセットは、患者から来た血液を患者に戻すための端子を有する。この実施形態によれば、端部キャップまたは端部キャップの端子は、血液運搬し交換可能カセットを介して体外血液回路に接続される。
【0035】
好ましくは、ハウジングを有しない(中実ハウジングを有しない)第1のダイアライザ要素は、無菌包装される。換言すれば、中空繊維束、シース、2つの鋳造要素、および2つの端部キャップを含むハウジングを有しないの第1のダイアライザ要素は、滅菌包装されている。ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の利用/使用の前に、無菌包装から開梱され、好ましくは、後述するハウジングを有する別個の第2のダイアライザ要素にはめ込まれ/挿入される。
【0036】
従って、本開示は、さらに、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素に関し、このハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、閉鎖可能、開放可能、かつ再使用可能なハウジングとして形成され、開放状態/位置および閉鎖状態/位置にもたらされるように構成されている第1のハウジング部分および第2のハウジング部分を含み、第1のハウジング部分および第2のハウジング部分は、開放状態において、特に上述のように、ハウジングを有しないの第1のダイアライザ要素を受容するように構成されており、第1のハウジング部分および第2のハウジング部分は、閉鎖状態において互いにロック可能であり、ハウジングは、透析液回路/透析液運搬/透析液運搬管に接続されるように構成され、準備される。
【0037】
第1のハウジング部分は、好ましくは第1のハーフシェルとして形成される。第2のハウジング部分は、好ましくは、第2のハーフシェルとして形成される。従って、第1のハウジング部分および第2のハウジング部分は、好ましくは、閉じた状態で(中空の)円筒形ハウジングを形成する。
【0038】
ハウジングは、好ましくは透明、すなわち透明材料で作られるように構成される。代替的または付加的に、ハウジングは、数回の消毒サイクルに耐えることができることが望ましいので、消毒剤に安定な材料から形成することができる。特に、ハウジングの材料として、熱可塑性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレン-アクリロニトリルコポリマー(SAN)、ポリカーボネートとのブレンドなどのポリマーを使用することができる。基本的に無害であれば、透明でない材料も考えられる。原則的には、例えば金属もハウジングの材料として考えられる。
【0039】
有利な態様では、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、血液処理装置、特に透析装置にしっかりと永久的に取り付けられるように構成されている。従って、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、血液処理装置に恒久的に残ることができ、血液処理療法の前に取り付けられて血液処理療法の後に取り外される必要はない。
【0040】
好ましくは、ハウジング/ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、第3の端子および第4の端子を含み、第3の端子および第4の端子は、透析液回路/透析回路に接続されるように準備され、構成され、または提供される。特に好ましくは、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、正確に2つの端子、すなわち第3の端子および第4の端子を有し、これにより、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、第3の端子および第4の端子を介してのみ/排他的に透析液回路/透析回路に接続されるように準備または構成される。換言すれば、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、好ましくは血液接続部を有さない、すなわち、体外血液回路に接続されるように準備され、構成され、または提供される端子を有さない。従って、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、好ましくは、ダイアライザの透析液運搬部/透析運搬部/透析液接触部として形成される。
【0041】
有利な態様では、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の2つの端子、すなわち第3の端子および第4の端子は、2つのハウジング部分の一方に設けられている。すなわち、好ましくは、第3の端子および第4の端子の両方が第1のハウジング部分に設けられ/配置され、または第3の端子および第4の端子の両方が第2のハウジング部分に設けられ/配置される。
【0042】
好ましくは、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、少なくとも透析端子/透析液端子を介して、すなわち第3の端子および第4の端子を介して、血液処理装置に(その機械前面に)堅固かつ恒久的に取り付けられる。換言すれば、第3の端子および第4の端子は、従って、好ましくは透析液回路/透析回路に恒久的に接続または連結される。このことは、血液処理療法の前に透析端子/透析液端子を連結する必要がないという利点を有する。
【0043】
好ましい構成例によれば、第1のハウジング部分および第2のハウジング部分を開放状態/位置および閉鎖状態/位置に移動させるために、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、第1のハウジング部分および/または第2のハウジング部分がその周囲で回動可能であるヒンジを含む。好ましくは、一方のハウジング部分は回動可能であり、他方のハウジング部分は血液処理装置に固定的に取り付けられている。例えば、第1のハウジング部分は血液処理装置に固定的に取り付けられ、一方、第2のハウジング部分はヒンジの周囲で回動可能である。あるいは、第2のハウジング部分は血液処理装置に固定的に取り付けられ、一方、第1のハウジング部分はヒンジの周囲で回動可能である。
【0044】
さらに、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、好ましくは、少なくとも1つの閉鎖要素/閉鎖装置、例えば閉鎖ラッチを含み、この閉鎖装置は、第1のハウジング部分上および/または第2のハウジング部分上に配置され、この閉鎖ラッチを介して第1のハウジング部分と第2のハウジング部分とが互いにロック可能である。2つのハウジング部分は、例えば、テンションロック、トグルロックなどを用いて互いに閉鎖またはロックすることができる。原理的には、操作が簡単で安全である限り、他の閉鎖も考えられる。
【0045】
好ましくは、少なくとも1つの閉鎖要素は、透析端子/透析液端子も配置されるハウジング部分に配置される。しかし、他のハウジング部分に配置してもよい。さらに、複数の閉鎖要素、例えば2つ、3つ、4つ、5つなどを設けることもできる。複数の閉鎖要素は、1つの同じハウジング部分に配置されてもよいが、例えば、少なくとも1つの閉鎖要素が第1のハウジング部分に配置され、少なくとも1つの閉鎖要素が第2のハウジング部分に配置されるように、両方のハウジング部分に配置されてもよい。
【0046】
閉鎖体/閉鎖要素は、特に好ましくは、血液処理装置/ダイアライザによってロックされ、血液治療治療中に誤って開くことがないようにする。
【0047】
有利な構成例は、このように、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素がヒンジを介して開閉可能であり、閉鎖要素/閉鎖装置を介して閉鎖またはロック可能であることを特徴とする。ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の再利用性は、このように、好ましくは、ヒンジおよび閉鎖要素/閉鎖装置を介して可能にされる。
【0048】
好ましくは、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、ハウジングの第1の軸方向端部またはその近傍に第3の密封要素または第3の密封面を備え、ハウジングの第2の軸方向端部またはその近傍に第4の密封要素または第4の密封面を備える。
【0049】
換言すれば、本開示によれば、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素について、シール要素またはシール面に関して2つの好ましい実施形態が考えられる。第1の実施形態によれば、ハウジングは少なくとも2つのシール要素を有することができ、これらのシール要素は、例えば、特に射出成形または接着剤付けシールリングとして形成され、ハウジングを有しないの別個の第1のダイアライザ要素に設けられたシール面とシール様式で相互作用するように構成または設けられている。従って、ハウジングは、その第1の軸方向端部/その近傍に第3のシール要素を有し、その第2の軸方向端部/その近傍に第4のシール要素を有することができる。代替えとして、すなわち第2の実施形態によれば、ハウジングは、ハウジングを有しない別個の第1のダイアライザ要素に設けられたシール要素とシール様式で相互作用するように構成または設けられた少なくとも2つのシール面を有することができる。特に、シール面は、ハウジングの滑らかで平坦な内側(円筒状)側面によって実現することができる。換言すれば、ハウジングは、その第1の軸方向端部/その近傍に第3のシール面を、第2の軸方向端部/その近傍に第4のシール面を、交互に有することができる。
【0050】
2つのダイアライザ要素によって形成されるダイアライザの軸方向端部近傍の相互作用するシール要素およびシール面を介して、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素を、好ましくはその中にはめ込まれ/挿入される、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素にシールすることによって、血液処理療法中に透析液がハウジングを有する第2のダイアライザ要素の端子(例えば第3の端子)を介してダイアライザに入ることが達成され、その後、中空繊維を通って流れる血液を浄化するために、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の液体透過性シースを通って流れ、ダイアライザの軸方向端部でダイアライザから流出することが阻止され、使用済みの透析液流または透析液は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の端子(例えば第4の端子)を介してのみダイアライザから流出することができる。
【0051】
従って、シール要素に関しては、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素が2つのシール要素を有するか、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素が2つのシール要素を有することが好ましい。換言すれば、ハウジングの/ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の両端の内側の半径方向に、2つのシール要素を取り付けることができる。あるいは、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の端部キャップに、2つのシール要素を半径方向外側に取り付けることもできる(端部キャップ1つにつき1つのシール要素)。本開示によるシール要素は、好ましくは弾性材料からなる。シリコーンは、その優れた生体適合性により特に好適である。しかし、フッ素樹脂、ポリアリールエーテルケトン、ポリアミド、ポリアセテートおよびポリエチレンのような他の材料も可能である。
【0052】
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素/そのハウジングは、空気透過性かつ液体不透過性/液密性を有する開口部を有することができる。この開口部は、特に好ましくは、進行中の血液処理療法中にハウジングの上部に配置される。この開口部は、有利には、重炭酸塩のアウトガスに起因して血液処理療法中に生じる気泡の完全な通気および除去を可能にする。開口部は、第1のハウジング部分または第2のハウジング部分に設けることができる。
【0053】
さらに、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素とともに透析液回路を洗浄/消毒する前に、ハウジングをその軸方向端部で液密に封止するためにハウジングにはめ込むことができる、少なくとも2つの封止栓/充填栓が設けられていてもよい。封止栓/充填栓は、ハウジングに恒久的に接続し、ハウジングにはめ込み/挿入してもよく、また必要に応じて再度取り外してもよい。あるいは、封止栓/充填栓は、血液処理装置の機械前面、特に機械前面に永久的に取り付けられたハウジングを有する第2ダイアライザ要素の近傍に、永久的に固定することもできる。しかしながら、封止栓/充填栓を、血液処理装置のハウジングおよび機械前部の両方とは別個に、特に別個の個々の構成要素として形成することも考えられる。
【0054】
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、ハウジング/2つのハウジング部分とは別個のハウジングインサートを含んでもよく、このハウジングインサートは、第3のハウジング部分とも称することができる。
【0055】
このようなハウジングインサートは、特に、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素のハウジングとハウジングを備えない第1のダイアライザ要素のシースとの間の潜在的なクリアランス中で、特にハウジングの軸方向において、透析液の流れ/透析の流れを妨げるように形成され得る。その結果、より高い充填密度、より高い内部または内部濾過、従ってより高い透析性能/除去を有利な方法で達成することができる。これはまた、中空繊維束の繊維表面をより小さしても十分であることを可能にする。
【0056】
ハウジングインサートが弾性材料で作られ、その後、第1のハウジング部分および第2のハウジング部分の硬い形状に押し込まれると有利である。透析性能/除去は、ハウジングインサートの弾性材料と、こうして改善された中空繊維束の/毛細管の改良された圧縮によって、さらに改善される可能性がある。しかし、代替的に、ハウジングインサートは、熱可塑性プラスチックのような硬質材料または固体材料で作られてもよい。
【0057】
好ましい構成例によれば、特にダイアライザの中間部で特に強い圧縮を達成するために、ハウジングインサートは(軸方向の)中間部に高さ/障壁を有することができる。これにより、透析液流/透析液の流動抵抗がさらに増大し、対流交換が増大し、高分子の除去が増大する。
【0058】
ハウジング備えた第2のダイアライザ要素は、ハウジング上に設置された少なくとも1つのセンサを有しても良い。例えば、診断に関連するマーカーを測定するように構成されたセンサをハウジングに取り付けても良い。特に、少なくとも1つの圧力センサをハウジング内に取り付けても良い。例えば、高さ/障壁を有するハウジングインサートがハウジング内に設けられている場合、障壁の前と障壁の後の2つの圧力センサがハウジング内に設置されてもよい。これらの圧力センサによって測定された圧力値を用いて、ダイアライザ内の対流交換に関する結論を導き出すことができる。
【0059】
原則として、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、血液処理装置の機械ハウジングに常設された透析液収容/透析液収容カセットに接続することもでき、このカセットは、流入する透析液および流出/排出される透析液流/透析液用の端子を備えている。この実施形態によれば、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、好ましくは、このカセットを介して透析液回路/透析回路に接続される。
【0060】
さらに、本開示は、上述のようなハウジングを有しない第1のダイアライザ要素/部分と、上述のようなハウジングを有する第2のダイアライザ要素/部分とを含むダイアライザに関する。好ましくは、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素およびハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、別個の/分離した構成要素であり、それぞれ本開示のマルチパートダイアライザの構成要素である。
【0061】
好ましくは、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素にはめ込まれ/挿入される。特に、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、血液処理療法の直前または寸前にのみ、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素にはめ込まれる。
【0062】
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の閉鎖状態において、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、好ましくは、ハウジングを有しないの第1のダイアライザ要素を完全に取り囲む。
【0063】
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素およびハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、好ましくは、特に対応するシール要素およびシール面を介して、互いにシールされる。シーリングは、好ましくは、ダイアライザの(2つの)軸方向端部で/その近傍で行われる。
【0064】
シーリングは、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の端部キャップ上の(半径方向外側の)シーリング要素を介して行われてもよく、このシーリング要素は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の2つのハウジング部分の閉鎖状態において、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の内側の側面表面/円周表面/シーリング表面に対してシールする。
【0065】
代替えとして、シーリングは、ハウジング/2つのハウジング部分上の(半径方向内側の)シーリング要素を介して行われることもあり、このシーリング要素は、ハウジングを有する第2ダイアライザ要素の2つのハウジング部分の閉鎖状態において、ハウジングを有しないの第1ダイアライザ要素の端部キャップの外側側面表面/円周表面/シーリング表面に対してシールする。
【0066】
有利な態様において、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素/部品は、体外回路に接続されるように構成/準備されており、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素/部品は、透析液回路に接続されるように構成/準備されている。この文脈において、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素/部品は、好ましくは、第1の端子(第1の軸方向端部)および第2の端子(第2の軸方向端部)を有し、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素/部品は、好ましくは、第3の端子および第4の端子(2つのハウジング部分の一方において)を有する。
【0067】
さらに、本開示は、上述のような機械前部およびハウジングを有する第2のダイアライザ要素を含む血液処理装置、特にダイアライザに関し、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素は、機械前部に固定的に取り付けまたは設置される。ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の機械前面への固定的な取り付けまたは設置は、好ましくは、透析液端子/透析端子を介して行われる。
【0068】
特に好ましいのは、血液処理装置/機械前面に設けられ、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の閉鎖装置/閉鎖要素をロックすることを可能にする手段であり、これにより、進行中の処理中にハウジングが偶発的に開くことを排除できる。
【0069】
原則として、本開示によれば、ハウジングを有する複数の第2のダイアライザ要素が血液処理装置に恒久的に取り付けられるか、または設置されることも提供され得る。例えば、ハウジングを有する複数の第2のダイアライザ要素をタレット状に配置し、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素を挿入するために、使用者が手前に回転させることができるようにしてもよい。特に、ハウジングを有しない複数の第1のダイアライザ要素を、対応するハウジングを有する第2のダイアライザ要素に予め挿入しておけば、例えば、患者から患者への準備時間を短縮することができる。さらに、この実施形態では、異なるサイズのダイアライザも実現することができる。
【0070】
さらに、本開示は、血液処理療法後に、特に上述のようなハウジングを有する第2のダイアライザ要素を再処理するための方法であって、a)ハウジングを有する第2のダイアライザ要素から、特に上述のようなハウジングを有しないの第1のダイアライザ要素を取り外すステップと、b)ハウジングを有する第2のダイアライザ要素を洗浄および/または消毒するステップと、を含む方法に関する。
【0071】
好ましくは、本方法は、以下のステップをさらに含む:c)第1の封止栓/充填栓および第2の封止栓/充填栓を、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素に挿入するステップ;ここで、ステップc)は、ステップa)とステップb)との間に実行される。
【0072】
特に、本開示によれば、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、好ましくは血液処理装置に取り付けられるハウジングを有する第2のダイアライザ要素に挿入またははめ込まれる。ハウジングを有する第2のダイアライザ要素を閉じるかまたはロックすることによって、2つのダイアライザ要素によって形成されるダイアライザの軸方向端部において、2つのダイアライザ要素の対応するシール要素およびシール面を介した互いへのシールが、好ましくは自動的に行われる。血液処理療法は、好ましくはこの状態で実施される。血液処理療法中、血液はハウジングを有しない第1のダイアライザ要素、特に端部キャップおよび中空繊維束を通って流れる。透析液流は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の端子の1つ、例えば第3の端子を介してハウジングに流入し、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素のシースを通って中空繊維束の個々の中空繊維間のクリアランスに流入し、中空繊維を流れる血液を浄化することができる。使用済みの透析液/透析液は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の端子の1つ、例えば第4端子を介してハウジングから流出する。血液処理療法の後、ハウジング内に残っている透析液は、好ましくはハウジングから可能な限り吸い出される。
【0073】
この「ハウジング/ハウジングを有する第2のダイアライザ要素/部分からの透析液流/透析液の吸引」は、好ましくは、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素を再処理するための本開示による方法の第1のステップを表す。
【0074】
第2のステップ「ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の開放」において、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の閉鎖部は有利には開放され、ハウジング部分の一方は、ヒンジを中心としてハウジング部分の開放状態に回動される。
【0075】
この第2のステップに続いて、第3のステップで、上記で定義したステップa)が実施され、第4のステップで、上記で定義したステップc)が実施される。第5のステップ「ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の閉鎖」において、ハウジング部分の1つが、有利には、ヒンジを中心としてハウジング部分の閉鎖状態に回動され、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素の閉鎖が再び閉鎖される。最後に、第6のステップにおいて、上で定義したステップb)が続く。ステップb)の文脈において、機械側で消毒サイクル/洗浄サイクルが開始され、透析液回路/透析回路が、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素とともに消毒される。
【0076】
要約すると、本開示は、以下の:
中空繊維束と、中空繊維束の周囲に周方向に巻かれた液体透過性シースと、中空繊維束の軸方向端部に設けられた鋳造要素と、体外血液回路に接続するために鋳造要素に取り付けられた端部キャップとを含むハウジングを有しない第1のダイアライザ要素;
ハウジングを有する、ロック可能で、開閉可能で、再使用可能な第2のダイアライザ要素;
ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素とハウジングを有する第2のダイアライザ要素とを含むダイアライザ;
機械前面と、機械前面に固定的に取り付けられたハウジングを有する第2のダイアライザ要素とを含む血液処理装置;および、
血液処理療法後にハウジングを有する第2のダイアライザ要素を再処理するための方法、に関する。
【0077】
本開示は、以下の全体的な利点を提供する:再使用可能なハウジング(ハウジングを有する第2のダイアライザ要素)を提供することによって、実際に血液で汚染されたダイアライザの構成要素(ハウジングを有しない第1のダイアライザ部分)のみが廃棄される(予定である)ので、プラスチック廃棄物を低減することができる。ハウジング/ハウジングを有する第2のダイアライザ部は、透析装置/血液処理装置にしっかりと取り付けられたままであるため、血液治療前に透析液端子/透析端子を接続する必要がない。透析液流/透析液の流れを妨げるインサートをハウジングに設けるか、または準備することにより、より高い内部濾過を達成することができる。古典的なダイアライザと比較して、より高い充填密度を達成することができ、これはより高いクリアランス(血液中の尿素含有量の減少)に関連する。従って、中空繊維束の繊維表面をより小さくすれば十分である可能性もある。さらに、(ハウジングに恒久的に設置された)センサを使用して、ハウジング内またはハウジング上、従ってダイアライザ内で、診断に関連するマーカーを測定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本開示を、図を用いて以下にさらに説明する。
【0079】
【
図1】本開示の第1の実施形態にかかるハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の縦断面図である。
【
図2】
図1の線A-Aにおける、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素の断面図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態にかかるハウジングを有する第2のダイアライザ要素の斜視図である。
【
図4】本開示の第2の実施形態にかかる、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素がハウジングを有する第2のダイアライザ要素に挿入されたダイアライザの断面図である。
【
図5】本開示にかかるハウジングインサートの斜視図である。
【
図6】血液を運搬する交換可能なカセットおよび透析液流を運搬する/透析液を運搬する常設のカセットを有するカセットシステムの概略図である。
【
図7】血液処理療法後にハウジングを有する第2のダイアライザ要素を再処理するための、本開示にかかる方法のフローチャートを示す。
【
図8】再処理工程中のハウジングを有する第2のダイアライザ要素の断面図である。
【0080】
図は、本質的に単なる概略図であり、本開示の理解を向上させることのみを意図している。同一の要素には同一の参照符号が付されている。個々の実施形態/実施例の特徴は入れ替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1は、無菌包装4に包装された、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素またはそれぞれダイアライザ部分2を示す。ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2は、実質的に回転対称の円筒形状を有する。ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素は、複数の中空繊維8からなる中空繊維束6を有する。中空繊維束6は、シース/シースフィルム10によって周方向に包まれ、このようにして包装される。中空繊維束6の第1の軸方向端部12には、第1の鋳造要素/第1の鋳造キャップ14が設けられている。第2の鋳造要素/第2の鋳造キャップ18は、中空繊維束6の第2の軸方向端部16に設けられる。第1の鋳造要素14および第2の鋳造要素18は、好ましくは、ポリウレタンまたはシリコーンからなる鋳造化合物を用いて、中空繊維束6をその軸方向端部12、16においてシース10と共に鋳造または注型し、次いで切断することにより製造される。第1の端部キャップ/血液キャップ20が、特に接着剤による接着によって、第1の鋳造要素14に取り付けられる。第2の端部キャップ/血液キャップ22は、特に接着剤による接着によって、第2の鋳造要素18に取り付けられる。
【0082】
シース10は織物表面構造として、好ましくは粗目織物、不織布またはネットとして形成される。シース10は、中空繊維8を中空繊維束6に束ね、周方向側で一緒に保持する。シース10は液透過性であり、特に透析液流または透析液を通過させることができる。また、鋳造化合物を通過させることもできる。
図2からわかるように、シース10は、好ましくは中空繊維束6の周りに1回以上巻かれる。シースの確実な閉鎖は、溶接24によって達成される。
図2では、シース10の内層26と外層28が重なっている。さらに、シース10の中間層30が設けられており、断面上、シース10の3つの層26、28、30が重なっている。溶接24は、外層28と中間層30との間に設けられている。内層26は、中空繊維束6の中空繊維8の保護層として機能する。
【0083】
第1の端部キャップ20は、第1の端子32を有する。第2の端部キャップ22は、第2の端子34を有する。第1の端子32および第2の端子34は、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2を体外血液回路の血液運搬管に接続する役割を果たす。血液処理療法中、患者の体外血液は、第1の端部キャップ20の第1の端子32を介してハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2に流入し、中空繊維8を通って流れ、第2の端部キャップ22の第2の端子34を介してハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2から出る。第1の端部キャップ20は、第1の中空円筒部36と、第1の端子32に向かって延びる第1の先細り部38とを有する。従って、第1の中空円筒部36の直径は、第1の端子32の直径よりも大きい。第2の端部キャップ32は、第2の中空円筒部40と、第2の端子34に向かって延びる第2の先細り部42とを有する。従って、第2の中空円筒部40の直径は、第2の端子34の直径よりも大きい。第1の鋳造要素14は、第1の中空円筒部36に挿入され、特に接着剤で固定される。第2の鋳造要素18は、第2の中空円筒部40に挿入され、特に接着剤で固定される。
【0084】
第1の端部キャップ20は、第1の中空円筒部36の外周に第1のシール面44を有する。第2の端部キャップ22は、第2の中空円筒部40の外周に第2のシール面46を有する。第1のシール面44および第2のシール面46は、不変の外径を有する滑らかで平坦な面、すなわち滑らかで平坦な円筒状の側方面であることが特徴であり、シールリングとして形成されたシール要素とシール状に相互作用するのに特に適している。
【0085】
図3は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素またはそれぞれダイアライザ部品48を示す。ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48は、本実施例では、閉鎖可能で、開放可能で、従って再使用可能なハウジング50から形成される。ハウジング50は、ハーフシェルとして形成された第1のハウジング部分52と、ハーフシェルとして形成された第2のハウジング部分54とを有する。2つのハウジング部分52、54は、ヒンジ56を中心に互いに相対的に回動可能である。
図3は、2つのハウジング部分52、54の開放状態を示している。
図3に示す状態では、
図1に示すハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2を、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48に挿入することができる。例えば、
図3に示す状態から、第2のハウジング部分54を、ヒンジ56を中心に回動させると、2つのハウジング部分52、54は、中空円筒形のハウジング50を形成する閉じた状態にすることができる。閉鎖状態では、2つのハウジング部分52、54は、第1のハウジング部分52に取り付けられた2つの閉鎖要素58を介してロックすることができる。さらに、2つの端子、すなわち第3の端子60および第4の端子62が、第1のハウジング部分52上に配置されており、これらの端子は、第1のハウジング部分52の半径方向において互いに平行に第1のハウジング部分52から離れて延びている。
【0086】
ハウジング50の第1の軸方向端部64またはその近傍において、第1のハウジング部分52は第1のシールハーフリング66を有し、第2のハウジング部分54は第2のシールハーフリング68を有する。2つのハウジング部分52、54の閉鎖状態において、第1のシールハーフリング66と第2のシールハーフリング68は、一緒になって、円周方向に途切れのないシールリング70を形成する。ハウジング50の第2の軸方向端部72またはその近傍において、第1のハウジング部分52は第3のシールハーフリング74を有し、第2のハウジング部分54は第4のシールハーフリング76を有する。2つのハウジング部分52、54の閉鎖状態では、第3のシール用ハーフリング74と第4のシール用ハーフリング76とが一緒になって、円周方向に途切れのない第2のシールリング78を形成する。
【0087】
図1に示すハウジングを有さない第1のダイアライザ要素2が、
図3に示すハウジングを有するの第2のダイアライザ要素48にはめ込まれ、ハウジングを有するの第2のダイアライザ要素48のハウジング50の2つのハウジング部分52、54が閉鎖状態にあり、閉鎖要素58を介してロックされると、第1のシールリング70は第1のシール面44とシール状に相互作用し、第2のシールリング78は第2のシール面46とシール状に相互作用する。
【0088】
図1に示すハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2と、
図3に示す第2のダイアライザ要素48とは、第1の実施形態にかかるダイアライザ80を共に形成し、この実施形態によれば、シール要素、この場合シールリング70、78は、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48に設けられ、シール面、この場合シール面44、46は、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2に設けられる。
【0089】
図4は、第2の実施形態にかかるダイアライザ80を示す。このダイアライザ80は、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2と、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48とを備えている。ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2およびハウジングを有する第2のダイアライザ要素48に関する前述の説明は、
図4に示す実施形態に実質的に準用されるので、繰り返さない。しかしながら、
図4に示す第2の実施形態によれば、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2は、ここではシールリング82、84として形成されるシール要素を含み、第3のシールリング82は第1の端部キャップ20上に成形または接着され、第4のシールリング84は第2の端部キャップ22上に成形または接着される。
図4に示す第2の実施形態によれば、シール面86、88がハウジングを有する第2のダイアライザ要素48に設けられており、このシール面は、ダイアライザ80の組み立て状態でシールリング82、84と相互作用する。
【0090】
図4において、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48は、機械前面90に設けられた対応する受け凹部92、94に端子60、62を差し込むことによって、機械前面90にしっかりと取り付けられる。このようにして、第3の端子60は、透析液入口管/透析液入口ライン98に接続される。第4の端子62は、透析液排出管/透析液排出ライン100に接続される。
図4からも分かるように、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2の第1の端部キャップ20の第1の端子32は、血液入口管/血液入口ライン102に接続され、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2の第2の端部キャップ22の第2の端子34は、血液出口管ブ/血液出口ライン104に接続されている。
【0091】
血液処理療法中、患者の血液は、血液入口管102から第1の端部キャップ20に流入し、中空繊維束6の中空繊維8を通って流れ、第2の端部キャップ22を介してハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2から血液出口管104に流出する。透析液は、透析液入口管98から第3の端子60に流入し、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2の液体透過性シース10を通って中空繊維束6の中空繊維8間のクリアランスに流入し、中空繊維8を流れる血液を浄化することができる。最後に、使用済みの透析液流または透析液は、第4の端子62を介してハウジングを有する第2のダイアライザ要素48のハウジング50から透析液排出管100に流出する。
【0092】
ハウジング50内に設置された圧力センサ106は、血液処理療法中に、ハウジング50内の圧力を測定することができる。ハウジング50、すなわち2つのハウジング部分52、54の一方には、
図4に破線で示す空気透過性および液体不透過性の開口部107も設けられており、この開口部107によって、血液処理療法中に重炭酸塩のガス抜きによって生じる気泡の通気および除去が可能になる。この開口部107は、ハウジング50のダイアライザ92/ハウジング50の上部に、垂直方向(すなわち、
図4に示す断面平面に垂直な方向)に位置している。さらに、
図4に破線で示す回動可能でロック可能なカバー108も、ダイアライザ92の機械全面90に設けられ、血液治療治療中に第2のダイアライザ要素48の閉鎖要素58をハウジングで覆い、不用意に開かないようにする。従って、閉鎖要素58は、ダイアライザ92のロック可能なカバー108によって、使用者がアクセスできない、すなわちロックされる。
【0093】
図5に示すハウジングインサート110を、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48のハウジング50にはめ込むことができ、このハウジングインサート110は、ハウジング50とシース10との間のクリアランス112を埋めることができる。ハウジングインサート110は、
図5に示すようにハーフシェル状であってもよいが、代替的に円筒状とすることもできる。ハウジング50に2つのハーフシェル状のハウジングインサート110を挿入することも考えられる。ハウジングインサート110は、弾性または剛性のあるプラスチック材料で作ることができ、入口開口部114および出口開口部116を有する。ハウジングインサート110は、好ましくは、ハウジングインサート110が透析液の流入および透析液の流出を妨げないように、入口開口部114が第3の端子60に隣接して設けられ、第3の端子60と整列し、出口開口部116が第4の端子62に隣接して設けられ、第4の端子62と整列するように、ハウジング50内に配置される。従って、入口開口部114および出口開口部116は、好ましくは、ハウジングインサート110の軸方向端部の近傍に配置される。ハウジングインサート110の中央部分において、これは高台または突起または障壁118を有する。
【0094】
図6から分かるように、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48は、ダイアライザ92に常設された透析液運搬部/透析液運搬カセット120にも接続することができ、このカセットは、透析液流および透析液を流入させるための端子122、124を有し、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2は、交換可能な血液運搬カセット126にも接続することができ、このカセットは、順に、血液を流入および流出させるための端子128、130を有する。
【0095】
図7のフローチャートは、血液処理療法後にハウジングを有する第2のダイアライザ要素48を再処理するための本開示による方法をより詳細に示す。工程順序は以下の通りである。
A:ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48から透析液流または透析液を吸引する。
B:ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48を開く。
C:ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素2を、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48から取り外す。
D:第1の封止栓/充填栓132および第2の封止栓/充填栓134を、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48に挿入する。
E:ハウジングを有する第2ダイアライザ要素48を閉じる。
F:ハウジングを有する第2ダイアライザ要素48を洗浄および/または消毒する。
【0096】
図8は、封止栓/充填栓132、134がはめ込まれたハウジングを有する第2のダイアライザ要素48を示す。封止栓132、134は、ここではハウジング50と封止的に相互作用し、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48がその軸方向端部64、72で封止されるようになっている。この状態で、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素48を洗浄または消毒して再処理するために、機械側で洗浄または消毒サイクルを開始することができる。
【符号の説明】
【0097】
2 ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素/部分
4 殺菌包装
6 中空繊維束
8 中空繊維
10 シース/シースフィルム
12 第1の軸方向端部
14 第1の鋳造要素/第1の鋳造キャップ
16 第2の軸方向端部
18 第2の鋳造要素/第2鋳造キャップ
20 端部キャップ
22 第2の端部キャップ
24 溶接
26 内層
28 外層
30 中間層
32 第1の端子
34 第2の端子
36 第1の中空円筒部
38 第1の先細り部
40 第2の中空円筒部
42 第2の先細り部
44 第1のシール面
46 第2のシール面
48 ハウジングを有する第2のダイアライザ要素/部分
50 ハウジング
52 第1のハウジング部分
54 第2のハウジング部分
56 ヒンジ
58 閉鎖要素
60 第3の端子
62 第4の端子
64 第1の軸方向端部
66 第1のシールハーフリング
68 第2のシールハーフリング
70 シールリング
72 第2の軸方向端部
74 第3のシールハーフリング
76 第4のシールハーフリング
78 第2シールリング
80 ダイアライザ
82 第3のシールリング
84 第4のシールリング
86 第3のシール面
88 第4のシール面
90 機械前面
92 透析装置
94 受け凹部
96 受け凹部
98 透析液入口管/ライン
100 透析液排出管/ライン
102 血液入口管/ライン
104 血液排出管/ライン
106 圧力センサ
107 開口部
108 カバー
110 ハウジングインサート
112 クリアランス
114 入口開口部
116 出口開口部
118 障壁
120 透析液運搬部/透析液運搬カセット
122 端子
124 端子
126 血液運搬カセット
128 端子
130 端子
132 第1の封止栓
134 第2の封止栓
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)であって、
第1の軸方向端部(12)と第2の軸方向端部(16)とを含む中空繊維束(6);
中空繊維束(6)の周囲に周方向に巻かれた液体透過性シース(10);
中空繊維束(6)の第1の軸方向端部(12)に設けられた第1の鋳造要素(14)および中空繊維束(6)の第2の軸方向端部(16)に設けられた第2の鋳造要素(18);および、
第1の鋳造要素(14)に取り付けられた第1の端部キャップ(20)および第2の鋳造要素(18)に取り付けられた第2の端部キャップ(22);を含み、
ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)は、体外血液回路(102、104、126)に接続可能である、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)。
【請求項2】
シース(10)は織物表面構造として形成され
る請求項1に記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)。
【請求項3】
殺菌包装(4)の中に無菌状態で包装されている請求項
1に記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)。
【請求項4】
第1の端部キャップ(20)は、外周に第1のシール面(44)または第1のシール要素(82)を有し、第2の端部キャップ(22)は、外周に第2のシール面(46)または第2のシール要素(84)を有する請求項
1に記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)。
【請求項5】
閉鎖可能、開放可能、および再使用可能なハウジング(50)として形成されるか、またはそのようなハウジングを含む、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)であって、
開放状態および閉鎖状態にされるように構成された第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)を含み、
第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)は
、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)を開放状態で受容するように構成され、
第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)は、閉鎖状態で互いにロック可能であり、そして、
ハウジング(50)は、透析液回路(98、100、120)に接続可能である、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項6】
血液処理装置(92)に
、堅固かつ恒久的に取り付けられるように構成された請求項5に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項7】
第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)を開放状態および閉鎖状態に移動させるために、第1のハウジング部分(52)および第2のハウジング部分(54)がその回りで回動可能であるヒンジ(56)をさらに含む請求項5または6に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項8】
第1のハウジング部分(52)の上および/または第2のハウジング部分(54)上に配置され、これを介して第1のハウジング部分(52)と第2のハウジング部分(54)とが互いにロック可能である少なくとも1つの閉鎖要素(58)をさらに含む請求項
5に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項9】
ハウジング(50)の第1の軸方向端部(64)またはその近傍の第3のシール要素(70)または第3のシール面(86)と、ハウジング(50)の第2の軸方向端部(72)またはその近傍の第4のシール要素(78)または第4のシール面(88)とをさらに含む請求項
5に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)。
【請求項10】
ハウジング(50)から分離されたハウジングインサート(110)、および/またはハウジング(50)の上に挿入されたセンサ(106)をさらに含む請求項
5に記載のハウジングを有する第2ダイアライザ要素(48)。
【請求項11】
請求項
1に記載のハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)と、請求項
5に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)とを含むダイアライザ(80)。
【請求項12】
ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)は、ハウジングを有するの第2のダイアライザ要素(48)にはめ込まれ、
ハウジングを有する第2ダイアライザ要素(48)の閉鎖状態において、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)は、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)を完全に包囲し、そして、
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)と、ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)とは
、対応するシール要素(70、78、82、84)およびシール面(44、46、86、88)を介して互いにシールされる請求項11に記載のダイアライザ(80)。
【請求項13】
血液処理装置(92
)であって、
機械前部(90)と、請求項
5に記載のハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)とを含み、
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)は、機械前部(90)に堅固に取り付けられるかまたは挿入される血液処理装置(92)。
【請求項14】
ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)を血液処理療法後に再処理する方法であって、
a
)ハウジングを有しない第1のダイアライザ要素(2)を、ハウジングを有するの第2のダイアライザ要素(48)から取り外す工程;および、
b)ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)を洗浄および/または消毒する工程、を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
c)第1の封止栓(132)および第2の封止栓(134)を、ハウジングを有する第2のダイアライザ要素(48)に挿入する工程を含み、
工程c)は、工程a)と工程b)との間に実行される方法。
【国際調査報告】