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特表2024-530685スペクトログラムに基づいてレーザ加工プロセスを分析する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】スペクトログラムに基づいてレーザ加工プロセスを分析する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/096 20230101AFI20240816BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240816BHJP
【FI】
G06N3/096
B23K26/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508672
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022072721
(87)【国際公開番号】W WO2023017178
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021121112.3
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516234100
【氏名又は名称】プレシテック ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ ヨアヒム
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD00
4E168AD07
4E168BA00
4E168BA83
4E168BA87
4E168CA05
4E168CB22
(57)【要約】
開示されるのは、レーザ加工プロセスを分析するための方法であり、その方法は、連続する時点におけるプロセス放出の複数のスペクトルを取得するステップと、取得されたスペクトルに基づいて少なくとも1つのスペクトログラムを作成するステップと、訓練済みニューラルネットワークを使用して、物理量の少なくとも1つの予測値を確認し、かつ/又はレーザ加工プロセスの少なくとも1つの分類を確認するステップであって、ニューラルネットワークが、スペクトログラムを入力テンソルとして受け取り、物理量及び/又はレーザ加工プロセスの分類を出力テンソルとして出力する、ステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工プロセスを分析するための方法であって、前記方法が、
- 連続する時点におけるプロセス放出の複数のスペクトル(3)を検出するステップ(110)と、
- 前記検出されたスペクトルに基づいて少なくとも1つのスペクトログラム(5)を生成するステップ(120)と、
- ニューラルネットワークによって、物理量の少なくとも1つの値を決定し、かつ/又は前記レーザ加工プロセスのうちの少なくとも1つの分類を決定するステップ(130)と、
を含み、
前記ニューラルネットワークが、前記スペクトログラム(5)を入力テンソルとして受け取り、前記物理量及び/又は前記レーザ加工プロセスの前記分類を出力テンソルとして出力することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スペクトル(3)の各々を検出するステップが、前記それぞれの時点における波長の関数として前記プロセス放出(13)の強度を検出するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出された強度が生データであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
スペクトル(3)の前記検出された強度が同時に検出され、かつ/又は各スペクトル(3)の前記検出が検出器における局所的なスペクトル分割を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセス放出(13)が、被加工物(12)の表面から反射される温度放射、プラズマ放射、及び/又はレーザ放射を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスペクトログラム(5)を生成するステップが、
第1の時間間隔に対する第1のスペクトログラム(5)を生成し、第2の時間間隔に対する第2のスペクトログラム(5)を生成するステップであって、前記第2の時間間隔が前記第1の時間間隔と重なり、かつ/若しくは前記第1の時間間隔の直後に続く、ステップ、及び/又は、
前記複数のスペクトルを時系列に組み立てるステップ、
を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記物理量が、引張強度と、圧縮強度と、導電率と、キーホール深さと、溶接深さと、前記レーザ加工プロセスによって接合された2つの被加工物間の隙間サイズと、前記レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁の粗さと、前記レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁のバリと、前記レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁のバリ高さと、前記切断前面の峻度と、前記レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁の直角度と、のうちの少なくとも1つを含み、かつ/又は、
前記被加工物(12)の前記分類が、誤差クラスへの分類に対応し、隙間、オフセット、溶け込み及び/又は溶接の不足、除去不良、切断品質並びに合金品質のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記スペクトル(3)が、約100Hzから100kHzの間、又は約800Hzから10kHzの間、又は約900Hzから2kHzの間のサンプリングレートで検出されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記スペクトル(3)が、約100nmから約1500nmの間、若しくは約130nmから1300nmの間、若しくは約150nmから1050nmの間、若しくは約340nmから850nmの間の波長範囲で検出され、かつ/又は、
前記スペクトル(3)が、約0.1nmから1nmの間、若しくは約0.2nmから0.8nmの間、若しくは約0.4nmから0.6nmの間のスペクトル分解能で検出されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記物理量の前記予測値及び/又は前記分類がリアルタイムで決定され、それに基づいて、制御データが前記レーザ加工プロセスを実行するレーザ加工システムに出力されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ニューラルネットワークが、転移学習による訓練データによって適応され得る訓練済みニューラルネットワークであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
レーザ加工プロセスを分析するためのシステムであって、前記システムが、
- 連続する時点におけるプロセス放出(13)の複数のスペクトル(3)を検出するように配置されている少なくとも1つのセンサユニットと、
- 前記検出されたスペクトルに基づいて、少なくとも1つのスペクトログラム(5)を入力テンソルとして生成するように配置されている少なくとも1つの計算ユニット(18)と、
- 前記入力テンソルに基づいて、物理量の少なくとも1つの値及び/又は前記レーザ加工プロセスの分類を出力テンソルとして出力するように配置されているニューラルネットワークと、
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項13】
前記センサユニットが少なくとも1つの分光計又はMEMS分光計を有することを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの計算ユニット(18)が、制御データに基づいて前記レーザ加工プロセスを制御するように設計されていることを特徴とする、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
加工レーザビームによって被加工物を加工するためのレーザ加工システムであって、前記レーザ加工システムが、
- 前記加工レーザビーム(16)を前記被加工物(12)に照射するためのレーザ加工ヘッド(24)と、
- 請求項12、13又は14のうちの1つに記載のシステムと、
を備える、レーザ加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザ加工プロセスを分析するための方法、並びに特にスペクトログラムに基づいて、レーザ加工プロセスを分析するためのシステム及びレーザ加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工プロセスでは、被加工物、特に金属被加工物が加工レーザを使用して加工される。加工には、例えばレーザ切断、レーザはんだ付け、及び/又はレーザ溶接が含まれる。レーザ加工システムは、例えばレーザ加工ヘッドを含むことができる。
【0003】
レーザ加工プロセスは多くの場合、品質管理の対象となる。特に、被加工物をレーザ溶接する又はレーザはんだ付けするときに、得られた接合の品質が確認される。レーザ溶接、レーザはんだ付け、又はレーザ切断中のプロセス監視と品質査定のための現在の監視システムは、通常、プレプロセス、インプロセス、及び/又はポストプロセス監視システムに基づいている。プレプロセス監視システムは、通常、レーザ加工プロセスの前に接合隙間を検出又は測定するタスクを有して、レーザビームを適切な位置に誘導し、接合パートナーのオフセットを決定する。ほとんどの場合、この目的のために三角測量システムが使用される。
【0004】
インプロセス及びポストプロセス監視システムは、レーザ加工プロセスを監視し、得られた接合の品質を管理及び保証するために定期的に使用される。レーザ加工プロセスの結果、例えば、完成し冷却された溶接シームは、適用可能な規格(例えば、SEL100)に従って検査及び測定されることができるため、特にポストプロセス監視が、品質監視によく使用される。ポストプロセス監視又はポスト検査は、プラントエンジニアリングに多大な労力を必要とする。多くの場合、ポストプロセス監視用に別の測定セルが設置されなければならない。
【0005】
インプロセス監視システム(インライン又はオンラインプロセス監視システムとも呼ばれる)は、通常、レーザ加工プロセスによって放出される放射線の少なくとも一部を検出するように設計されている。多くの場合、インプロセス監視システムを使用して、すべての信号を周波数及び空間分解能で記録及び処理することはできない。そのため、このような監視システムに基づいて、誤差クラスに分類できるような品質監視を実現するのは難しい。レーザ加工プロセスでは、放射線は通常、約400nmから850nmの可視範囲で溶融プールから、約400nmから1100nmの範囲でプラズマから、約900nmから1100nmの範囲で加工レーザからの後方散乱光から放出され、かつ1000nmを超える範囲で温度放射が行われる。言い換えれば、レーザ加工プロセスでは、約400nmから1800nmの広い範囲で放射線を放出する。この放射線はプロセス放出又はプロセス放射とも呼ばれる。
【0006】
用途によっては、例えば、あるスペクトル放射範囲、例えば、温度放射が、関心のある品質特性に関する情報を含んでいないことが、用途における試験で示された場合、スペクトル検出を特定の波長範囲に制限することができる。異なる金属間の接合の場合、プロセス放出の周波数関連又は周波数依存の強度を得ることが特に有利であり、これは、例えば、オーバーラップ溶接の場合、両方の接合パートナーのスペクトル線がスペクトル中に存在するかどうかをスペクトルで証明できるためである。プロセス放出のスペクトルは、合金中の変化を示すこともある。このような変化は、例えば、異なる製造業者からの材料を使用することによって引き起こされ得る。合金中の変化は、接合、切断、及びレーザ印刷プロセスに影響を与える可能性がある。レーザ除去中、コーティングが実際に除去されているのか、あるいはコーティング下の材料がレーザによって加熱されているのか又はプラズマに変換されているのかをスペクトルで示すことができる。
【0007】
既存のインプロセス監視システムでは、通常はダイオードがプロセス放射の分析に使用され、放射は狭い帯域で検出される。原則として、感度の異なるフォトダイオードが使用される。例えば、Siダイオードは約400nmから800nmの範囲を検出でき、InGaAsダイオードは約800nmから1200nmの範囲を検出でき、別のInGaAs又はGerダイオードは約1200nmから2000nmの範囲を検出できる。プロセスによっては、適切な光学フィルタを使ってこれらの波長範囲から領域を切り出し得る。例えば、加工レーザによっては、後方散乱レーザ放射の領域を約1020nmから1090nmに減少させることができる。ダイオードと光学フィルタのこれらの検出範囲外の波長は検出されない。狭い波長範囲の強度成分は、広い波長範囲の統合強度ではもはや見えない。
【0008】
このようなダイオードを用いてこの方法で記録された強度曲線は、通常、フィルタにかけられ、計算された又は指定された閾値を超えていないか確認される。フィルタのパラメータ及び閾値は、各信号、すなわちそれぞれの波長範囲に対して個別に設定される。したがって、単一のダイオードの観測と評価は、個別のセンサシステムに相当する。
【0009】
品質監視のために、記録された多くの信号曲線から基準曲線も形成されることができ、いわゆる包絡曲線がこれらの基準曲線の周りに配置されることができる。包絡曲線は、溶接の各時点における閾値を表している。レーザ加工プロセス中に信号が包絡曲線の値を上回ったり、あるいは下回ったりすると、あらかじめ規定された誤差基準を使用して、誤差メッセージが表示されるか又は出力される。基準は、例えば、包絡曲線の信号の積分値、又は包絡曲線を超える信号の値であることができる。このようなシステムの一例が、Precitec社のLWM製品である。
【0010】
スペクトルの評価、及びスペクトルに基づく分類又は回帰は、特徴ベースの手法では満足に実現されることができない。特に、ある種の誤差について確実に結論づけることはできない。
【0011】
他の解決策は、画像センサに基づくことができ、画像処理は、例えば、溶融プールとキーホールの分析及び/又は測定に使用されて、この方法で得られた測定データで品質記述がなされることを可能にする。
【0012】
InGaAsセンサを使用すると、例えば、特許文献1に開示されているように、通常、約1200nmを超える範囲内の熱プロファイルのみが評価され、この特許文献1には、溶接シーム及び溶接装置の非破壊品質判定方法及び装置が記載されている。
【0013】
更に、約450nmから800nmの範囲のCMOSセンサで輝度プロファイルを記録することができ、これらの輝度プロファイルは想定モデルと比較され、品質特徴が認識される。特許文献2には、レーザ加工プロセス中の誤差を認識するためのこのような方法が記載されている。
【0014】
強度対周波数の記録とスペクトルの評価が、例えば特許文献3に記載されている。いずれの場合も、評価は単一のスペクトルのデータを参照し、スペクトルの様々な特徴を用いてレーザプロセスを評価する。特許文献4では、レーザ加工プロセスにとって重要な周波数成分がユーザによって選択される。分光計を使用すると、構造的な大きさ及び必要とされる精度のために大規模な統合作業が必要となり、この技術を大量生産に使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008058187号明細書
【特許文献2】独国特許発明第102011078276号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014149075号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102008043820号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102020112116号明細書
【特許文献6】中国特許出願公開第111426639号明細書
【特許文献7】中国特許出願公開第103878479号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第102018129441号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の課題は、レーザ加工の品質を確実に査定するためにレーザ加工プロセスを分析する方法及びシステムを提供することである。更に、複雑なパラメータ化プロセスを経ずに、加工誤差を確実かつ迅速に検出することも本発明の課題である。
【0017】
更に、本発明の課題は、レーザ加工の品質査定と加工誤差の検出を自動化し、したがって、プロセス監視、特にオンラインプロセス監視を可能にすることである。
【0018】
予測値及び/又は分類に基づいてレーザ加工プロセスの条件又はパラメータを調整することは、本発明の更なる課題である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの課題の1つ又は複数は、独立請求項の特徴によって解決される。
【0020】
一態様によれば、レーザ加工プロセスを分析するための方法は、連続する時点又は期間において、それぞれプロセス放出の複数のスペクトルを検出するステップと、検出されたスペクトルに基づいて少なくとも1つのスペクトログラムを生成するステップと、訓練済みニューラルネットワークによって、物理量若しくは物理特性の少なくとも1つの値若しくは予測値を決定し、かつ/又はレーザ加工プロセスの少なくとも1つの分類を決定するステップであって、ニューラルネットワークが、スペクトログラムを入力テンソルとして受け取り、物理量及び/又はレーザ加工プロセスの分類を出力テンソルとして出力する、ステップと、を含む。レーザ加工プロセスは、例えば、レーザ切断、レーザ溶接、レーザはんだ付け、又はレーザ除去プロセスであることができる。
【0021】
言い換えれば、レーザ加工プロセスの少なくとも1つの値及び/又は少なくとも1つの分類は、訓練済みニューラルネットワークによって形成された伝達関数によって、少なくとも1つのスペクトログラムに基づいて決定され得る。
【0022】
ニューラルネットワークは、誤差フィードバック又は誤差逆伝播学習法によって教育され得る。ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク及び/又は深層ニューラルネットワーク、例えば深層畳み込みニューラルネットワーク又は畳み込みネットワークであってもよい。畳み込みネットワークは、少なくとも1つのいわゆる「完全接続」層を有してもよい。
【0023】
本発明による方法は、検出されたデータを処理し、それを従来の特徴分析によってコンピュータの支援を受けて個別に分析する必要なく、特定の種類の誤差又は特定の分類について効率的に結論を導くことを可能にする。ニューラルネットワーク、特に畳み込みニューラルネットワークを使用することにより、スペクトログラムの特徴を知り、あるいは抽出する必要なく、特定の誤差に関してスペクトログラムを分析し、物理量又は物理特性を分類及び/又はマッピングすることを可能にする。このような誤差は、例えば、異なる材料を溶接する際の不良な溶接、又は溶接部におけるコーティングの含有などであり得る。そのため、加工誤差は、複雑なパラメータ化プロセスを行うことなく確実かつ迅速に特定され得る。言い換えれば、特に効率的で自動化された単純な品質保証プロセスは、加工された被加工物ごとに実施されることができる。また、ニューラルネットワークは特に感度が高く、訓練次第で、わずかな変化若しくは認識しにくい欠陥、又は加工誤差が識別されることができる。
【0024】
少なくとも1つのスペクトログラムは、訓練済みニューラルネットワークの入力データセット又は入力テンソルとして機能する。検出又は記録された複数のスペクトルは、スペクトログラムとして組み合わせられて、ニューラルネットワークの入力テンソルを形成し得る。好ましくは、生成された各スペクトログラムは、別々の入力テンソルを形成し得る。スペクトログラムは、個々の周波数からのプロセス放出の組成を経時的に表し得る。したがって、スペクトログラムは、例えば短時間フーリエ変換を用いて、プロセス放出の周波数分布の時間変動を表現することができる。
【0025】
訓練済みニューラルネットワークは、少なくとも1つの物理特性又は分類の値を出力テンソルとして出力する。ニューラルネットワークはまた、複数の物理特性及び/又は分類の値を同時に決定し、それらを出力テンソルとして出力し得る。加工結果の複数の物理特性及び/又は分類を同時に定量化することは、レーザ加工プロセスをより確実かつ正確に監視できることを意味する。
【0026】
特に、レーザ加工プロセスの品質は、加工されたばかりの被加工物を評価することによって査定され得る。このことから、加工作業が加工プロセス又は被加工物の所望の基準につながるかどうか、又は加工誤差が発生するかどうかを推測し得る。少なくとも1つの値又は予測値の決定、特に加工誤差の検出を自動化することができ、したがって、プロセス監視、特にオンラインプロセス監視を可能にすることができる。
【0027】
レーザ加工プロセスは、少なくとも1つの被加工物、特に、例えば純金属及び/又は合金製の金属被加工物に対して実施され得る。特に、1つの被加工物が複数の複合初期被加工物を含むことがある。言い換えれば、同じ材料又は異なる材料で作られた2つの金属部品又は初期被加工物が、レーザ加工プロセスによって、例えば溶接などの方法で接合されることができる。
【0028】
プロセス放出は、例えばレーザ加工中、すなわちレーザ加工中又はレーザ加工直後に被加工物上に生成され、検出器又はセンサ、特に分光計の検出器によって少なくとも部分的に検出される。
【0029】
少なくとも1つのスペクトログラムは、実行中のレーザ加工プロセス中に検出され得る。同様に、物理特性の値は、レーザ加工プロセスの実行中に、又はレーザ加工プロセスの終了後にも決定され得る。したがって、本発明による方法は、特にインプロセス方法として形成され得る。それゆえ、少なくとも1つの物理特性及び/又はレーザ加工プロセスの分類の決定は、特にリアルタイムで行われることができる。
【0030】
本発明による方法は、レーザ加工プロセス中に連続的及び/又は反復的に実施され得る。言い換えれば、スペクトル及び/又はスペクトログラムが連続的及び/又は反復的に検出されることができ、少なくとも1つの物理特性及び/又は分類の値がその都度決定される可能性がある。
【0031】
スペクトログラムの生成は、検出された複数のスペクトルの少なくとも一部又はいくつかの時系列的な組み立てを有することがあり、各スペクトルは、それが検出された時点又は時間間隔に割り当てられるか、又は割り当てられる可能性がある。検出されたスペクトルは、連続した時点で記録される。例えば、記録には数ナノ秒から数ミリ秒かかることがあり、そのためスペクトルが記録される時点が実際には短い期間に対応することがある。しかしながら、ある時点は近似され得る。例えば、スペクトルは、スペクトルの検出又は記録が開始される時点に割り当てられることがある。
【0032】
したがって、本発明は、ニューラルネットワークを使用して、物理特性の値及び/又は加工結果の分類を指定する、すなわち物理特性の定量化及び/又はレーザ加工プロセス若しくは加工結果の分類を行うという考え方に基づいており、ニューラルネットワークは、レーザ加工プロセスについて記録された少なくとも1つのスペクトログラムを入力データセットとして使用する。それゆえ、本発明による方法を使用して、非破壊的な手法で、物理特性の値及び/又はレーザ加工プロセスの加工結果の分類を決定することが可能である。物理特性は、加工結果の品質特徴であることができ、例えば、材料特性などに関する標準又は規格で指定されることがある。したがって、例えば、溶接シーム又ははんだシーム及び切断縁のような加工結果の品質は、定量化されるか又は量的に記述され、かつ物理特性の決定値に基づいて評価されて、溶接シーム又ははんだシーム及び切断縁並びにそれに対応するレーザ加工プロセスを分析するきめ細かい評価測定基準を指定することができる。
【0033】
要約すると、本発明による方法は、機械学習方法によるスペクトログラムから、レーザ加工プロセス、特にレーザ切断、レーザ溶接、レーザはんだ付け、又はレーザ除去プロセスの監視、特にリアルタイム監視を可能にする。
【0034】
スペクトルの各々の検出は、それぞれの時点における波長の関数としてプロセス放出の強度を検出することを含み得る。プロセス放出の強度の代わりに、吸収、例えば赤外線吸収も検出されることができる。スペクトルは通常、強度を波長にプロットしたもの又は割り当てたものを含み、波長は通常、ナノメートル単位で指定される。あるいは、波長に対する強度のプロット又は割り当ては、周波数に対する強度のプロット又は割り当てに置き換えられることもでき、周波数はHz単位で指定される。
【0035】
検出された強度は生データであり得る。したがって、レーザ加工プロセスの品質査定及び加工された被加工物、特に被加工物表面の加工誤差の検出は、記録された生データに基づいて実施され得る。これは「エンドツーエンド」処理又は分析と呼ばれる。生データを分析することで、レーザ加工プロセスの分析に必要なステップ数を減らすことができ、特に効率的な方法が提供されることができる。そのため、複雑な前処理又はデータ準備が省略され得る。特に、検出された強度及び検出されたスペクトルを分析するために、プログラム又はユーザが数学的演算を行う必要はない。これにより、プロセスが特に単純になり、時間的にもコスト的にも効率的になる。生データは、例えば、センサ又は検出器からの電気信号に基づいて決定される強度を含む。生データは特に、フィルタリング、平滑化、正規化など、検出後に更なる数学的処理又は演算を経ていないデータであり得る。
【0036】
特にインプロセス監視システムでは、特に迅速かつ効率的にリアルタイムで分析又は評価を行えるように、生データを使用してレーザ加工プロセスを分析し得る。
【0037】
検出された単一のスペクトルの強度は、基本的に同時に記録され得る。スペクトルの異なる波長の強度を同時に検出することにより、被加工物の特定の状態に対するすべての強度をある時点で検出できるようになり、これにより、その状態が完全かつ確実にマッピングされることができる。更に、スペクトルの強度を同時に検出することは、特に効率的である。
【0038】
各スペクトルの検出には、検出器での局所的なスペクトル分割を伴うことがある。検出器で又はその直前でのスペクトル分割は、例えば、回折格子及び/又はプリズムによって行われることができる。しかしながら、好ましくは、スペクトル分割は反射によって行われる。回折格子は、「反射で」機能し、材料を通してスペクトル放出のいかなる部分も吸収せず、したがって信号又はスペクトルを歪ませることがないため、好まれ得る。特に、スペクトル分割は、スペクトルの強度のすべて又は少なくとも一部を同時に記録することを可能にする。
【0039】
プロセス放出は、例えば、被加工物表面から反射される温度放射、プラズマ放射、及び/又はレーザ放射を含む。物理量の予測値及び/又はレーザ加工プロセスの分類は、前述のプロセス放出、特に特徴的なスペクトル範囲又は波長範囲から導き出され得る。特に、そのプロセス放出は、加工誤差の指標を提供する。
【0040】
特に、少なくとも1つのスペクトログラムを生成することは、第1の時間間隔に対する第1のスペクトログラムを生成し、第2の時間間隔に対する第2のスペクトログラムを生成することを含み、第2の時間間隔は、第1の時間間隔と重なり、かつ/又は第1の時間間隔の直後に続いてもよい。
【0041】
スペクトログラムが時間的に重なる場合、例えば、約0msから500msまでのスペクトルから第1のスペクトログラムが生成されることがあり、約400msから900msまでのスペクトルから第2のスペクトログラムが生成されることがある。このオーバーラップは、誤差の大きさと加工速度、すなわちスペクトルを横断して重要な特徴が形成される時間に依存する可能性がある。特に、2つ以上の生成されたスペクトログラムの時間間隔は、スペクトログラムが時間的に重なるかどうかに関係なく、同じ長さであり、かつ/又は同じ数のスペクトルを有する。あるいは、時間間隔の長さが異なることもある。
【0042】
特に、物理量は、引張強度と、圧縮強度と、導電率と、キーホール深さと、溶接深さと、レーザ加工プロセスによって接合された2つの被加工物間の隙間サイズと、レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁の粗さと、レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁のバリと、レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁のバリ高さと、切断前面の峻度と、レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁の直角度と、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。被加工物の分類は、誤差クラスへの分類、特に、隙間、オフセット、溶け込み及び/又は溶接の不足、除去不良、切断品質並びに合金品質のうちの少なくとも1つへの分類を含み得る。
【0043】
また、その物理量に基づいて分類が決定されることもできる。特に、分類は、被加工物が良好な溶接に対応するか、又は不良な溶接に対応するかを表すことができ、良好な溶接は、所定の基準を満たす溶接結果であり、不良な溶接は、所定の基準を満たさない溶接結果である。
【0044】
スペクトルは、例えば、約100Hzから100kHzの間、好ましくは約800Hzから10kHzの間、特に約900Hzから2kHzの間のサンプリングレートで検出されることができる。高いサンプリングレートは、スペクトログラムの高い時間分解能につながる。
【0045】
特に、スペクトルは、約100nmから約1500nmの間、好ましくは約130nmから1300nmの間、特に好ましくは約150nmから1050nmの間、とりわけ約340nmから850nmの間の波長範囲で検出され得る。レーザ加工プロセスの物理的な値又は分類のほとんどは、その波長範囲のスペクトルから導き出され得る。
【0046】
スペクトルは、約0.1nmから1nmの間、好ましくは約0.2nmから0.8nmの間、特に好ましくは約0.4nmから0.6nmの間のスペクトル分解能で検出され得る。スペクトル分解能は、特に検出器で、又はその直前でのスペクトル分割に起因する。回折格子又は他の分散光学素子での分割が強いほど、検出器がこれを許容する限り、より高いスペクトル分解能が実現され得る。
【0047】
物理量の値若しくは予測値及び/又は分類は、リアルタイムで決定され得る。これに基づいて、閉ループ制御データ及び/又は制御データは、レーザ加工プロセスを実行するレーザ加工システムに出力され得る。したがって、物理特性の値及び/又は分類は、特にそれぞれの値がレーザ加工プロセスの実行中に決定される場合、レーザ加工プロセスを閉ループ制御するために使用され得る。例えば、レーザ加工プロセスは、現在の加工結果又は後続の加工結果の物理特性の決定値又は実測値と目標値との差が減少するように閉ループ制御されることができる。例えば、物理特性が被加工物の溶接深さであり、かつ溶接深さの決定値が溶接深さの目標値から乖離している場合、レーザ加工プロセスは、溶接深さの決定値と現在の目標値との差が後続のレーザ加工プロセスで減少するように適合され得る。レーザ加工プロセスの閉ループ制御は、焦点位置、レーザビームの焦点径、レーザ出力、及び/又はレーザ加工ヘッドの距離の調整を含み得る。
【0048】
特に、レーザ加工プロセスは、予測値及び/又は分類に基づいて自動的に制御及び/又は閉ループ制御され得る。例えば、物理量の予測値は、加工レーザのレーザ出力を制御又は閉ループ制御するための基盤を形成することができる。特に、これは加工誤差の発生を防ぐことができる。更に、被加工物の加工誤差は、閉ループ制御及び/又はレーザ加工プロセスの制御によっても修正され得る。更に、このような方法は、レーザ加工プロセスによって生成される所望の物理特性を有する被加工物をもたらすことができ、それによって非常に高い品質基準を満たし得る。特に、レーザ加工プロセスの条件は、予測値及び/又は分類に基づいて調整され得る。
【0049】
その結果、加工誤差による被加工物の不良品を減少させ又は回避することができ、このことは、経済的及び環境的な観点から非常に高品質な被加工物にとっては特に重要である。更に、被加工物は、既知のレーザ加工プロセスによって製造された他の被加工物と比較して、最適化されたレーザ加工プロセスによって改善されることができ、すなわち、本発明による加工された被加工物の物理特性は、特に高い品質要件を満たすことができる。例えば、電気接点は、最適化されたレーザ加工プロセスにより、基本的に欠陥がなく、耐用年数が特に長く、特に優れた導電性を有することができる。
【0050】
被加工物について検出されたデータ、特にスペクトログラムと、そこから決定された予測値及び/又は分類は、例えば保証の目的で、製品データシートに記録され、保存され、製品に添付されることもできる。このことは、非常に高品質な被加工物又は高い安全基準を満たさなければならない被加工物にとって特に関心深い。
【0051】
訓練済みニューラルネットワークは、転移学習を通じて訓練データによって適応され得る。特に、ニューラルネットワークは、例えば、わずかに異なる材料組成を有する新しい被加工物のバッチによるプロセス条件の変化に適応され得る。転移学習を通じて訓練データによって(再)訓練され得る適応可能なニューラルネットワークは、特に柔軟性があり、汎用性があり、ユーザフレンドリーである。
【0052】
レーザ加工プロセス及び得られた被加工物に対する要件は、多様で多岐にわたり得る。例えば、ユーザが被加工物の非常に特定の物理的パラメータに関心を持つ可能性があり、というのも、これによって、ユーザが関心を持つ被加工物の非常に特定の特性をマッピングすることができるようになるためである。
【0053】
転移学習は、例えば、ニューラルネットワークが誤った予測値又は分類を出力した場合に、ニューラルネットワークを再訓練するために使われ得る。転移学習では、訓練データは、訓練用に特別に加工されている被加工物で作成され得る。スペクトルが訓練目的で加工された被加工物のために検出され、スペクトログラムが生成され、これらは、物理量のそれぞれの測定値及び/又は専門家による分類(いわゆる「グランドトゥルース」値)とともに、ニューラルネットワークの訓練データとして使用される。物理量の測定又は専門家による分類は、加工された被加工物に基づいて行われ、必要に応じて破壊的手法も用いられる。
【0054】
転移学習は、変更された状況又は変更されたレーザ加工プロセスにニューラルネットワークを適応させるために使用され得る。変更された状況とは、例えば、加工されるべき被加工物が異なる材料、汚染度、及び/若しくは厚さを有すること、又はレーザ加工のパラメータが変更されることであり得る。転移学習では、ニューラルネットワークの訓練又は教育に使用される訓練データセットに、新たな例が追加され得る。したがって、転移学習用に設定された訓練済みニューラルネットワークの使用は、変更された状況に、特に変更されたレーザ加工プロセスにシステムが迅速に調整され得るという利点を有する。
【0055】
ニューラルネットワークは、CNNであり得て、完全連結層を含むことができ、LSTM(「長・短期記憶(long short term memory)」)層及び/又は少なくとも1つのGRU(「ゲート付き回帰型ユニット(gated recurrent units)」)層を含むことができる。これにより、ニューラルネットワークの性能を向上させ得る。
【0056】
更なる態様によれば、レーザ加工プロセスを分析するシステムが開示される。本システムは、本方法、特に本方法の実施形態を実行するために適応され得る。本システムは、連続する時点におけるプロセス放出の複数のスペクトルを検出するように配置された、好ましくはセンサフィールドを有する少なくとも1つのセンサ又はセンサユニットと、検出されたスペクトルに基づいて、少なくとも1つのスペクトログラムを入力テンソルとして生成するように配置された少なくとも1つの計算ユニット(コントローラとも呼ばれる)と、入力テンソルに基づいて、物理量若しくは特性の少なくとも1つの値若しくは予測値及び/又はレーザ加工プロセスの分類を出力テンソルとして計算するように配置されたニューラルネットワークと、を備える。ニューラルネットワークは、計算ユニットに内蔵又は実装され得る。あるいは、ニューラルネットワークは、サーバ又はクラウドで提供され得る。この場合、ニューラルネットワークは、データ交換のために計算ユニットに無線で接続され得る。
【0057】
レーザ加工プロセスを分析するシステムは、本方法にも、特に本方法の1つ又は複数の実施形態にも適用されるすべての利点を実現する。
【0058】
プロセス放出のスペクトルは、レーザ加工プロセスを行うための加工レーザのビーム経路と少なくとも部分的に同軸で検出され得る。これにより、本システムを特に省スペースで効率的に設計することが可能になる。そのため、光学素子が効率的に活用されることができ、非同軸ビーム経路に必要な追加の光学素子を省略することができる。
【0059】
計算ユニットは、リアルタイムで値を決定し、かつ/又はレーザ加工プロセスを実行するレーザ加工システムに閉ループ制御データを出力するように適合され得る。
【0060】
センサ又はセンサユニットは、少なくとも1つの分光計、特にMEMS分光計を有し得る。MEMS(微小電気機械システム)は特にコスト効率が高く、省スペースであるため、レーザ加工ヘッドへの組み込み又は搭載が容易である。MEMS装置は、「オンチップ」分光計で使用され得る。これにより、これらの小型化された分光計をレーザ材料加工ヘッドに組み込むことができるようになる。特に、センサ又はセンサユニットは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、又はそれ以上のMEMS分光計を有し得る。
【0061】
計算ユニットは、閉ループ制御データ及び/又は制御データに基づいて、レーザ加工プロセスを閉ループ制御及び/又は制御するように適応され得る。
【0062】
このようなシステムは、自律的に、すなわちユーザの介入なしに、高品質の被加工物を生成し得る。そのため、加工誤差が生じたレーザ加工プロセスを修正又は中止して、被加工物がユーザの個々の品質要件を満たすことを保証することができる。特に、レーザ加工プロセスの様々なパラメータを制御かつ/又は閉ループ制御して、被加工物が本質的に加工誤差を有さないことを保証することができる。
【0063】
更なる態様によれば、加工レーザビームによって被加工物を加工するためのレーザ加工システムは、加工レーザビームを被加工物に照射するためのレーザ加工ヘッドと、本開示によるレーザ加工プロセスを分析するためのシステム、特にその実施形態と、を備える。
【0064】
被加工物を加工するためのレーザ加工システムもまた、本方法にも、特に本方法の実施形態のうちの1つにも適用されるすべての利点を実現する。
【0065】
本発明の実施形態は、図面を参照して以下で詳細に説明される。図には実施形態の様々な特徴が描写されているが、特徴は実施形態のみに限定されるものではない。むしろ、相互に排他的でないすべての特徴は互いに組み合わせられることもでき、又は本発明を実施するのに不可欠でない限り、特徴は実施形態から削除されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】ある時点tにおけるレーザ加工プロセス中の例示的なスペクトルを示す図である。
図2】レーザ加工プロセスの例示的なスペクトログラムを示す図である。
図3】一実施形態による分光計の機能原理を示す概略図である。
図4】一実施形態による分光計を備えたレーザ加工ヘッドの概略図である。
図5】一実施形態によるレーザ加工プロセスの分析方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、ある時点tにおける、鋼材へのアルミニウムのレーザ溶接プロセスの例示的なスペクトル3である。強度Iは垂直軸にプロットされ、波長λは水平軸にプロットされる。その結果が、示されているスペクトル3である。
【0068】
スペクトル3は分光計によって検出された。分光計によって、光の強度、特にプロセス放出の強度を、波長又は周波数の関数として決定することが可能になる。金属被加工物及びそのコーティング並びにレーザ加工プロセスにとって重要なプロセス放出の特徴的な線は、プロセス放出のスペクトルの一部のみを選択的に見た場合に起こり得るような、品質又は回帰割り当てに影響を与えない放出によってマスクされることはない。したがって、これにより、全体像が把握でき、より信頼性の高い品質分析が可能になる。
【0069】
図1のスペクトル3の主要部分、すなわちスペクトルの最高強度は、光の可視スペクトル波長範囲2、すなわち約400nmから約730nmの間にある。
【0070】
図2は、約0.2秒間のレーザ加工プロセスの例示的なスペクトログラム5である。スペクトログラム5は、多数の個々のスペクトル3から組み立てられ、時間軸に沿って時間に対してプロットされる。言い換えれば、個々のスペクトル3はスペクトログラム5に配置され、したがって、経時的に視覚化され得る。スペクトルを組み合わせて画像を形成することは、画像の各線がスペクトルの強度から成ることによって達成される。
【0071】
スペクトルは、例えば、約1秒間に約1KHzのレートで記録され、時間的に配置され得て、1000本の線のスペクトログラム又は画像が生成される。線の長さは分光計の分解能に由来する。例えば、約150nmから1050nmまでの波長範囲で、約0.5nmの分解能の場合、これにより1800の強度値の線の長さが生じる。個々のデータポイントの分解能は、例えば16ビットである。
【0072】
図3は、分光計の動作原理を示す概略図である。プロセス放出の一部は、入射光11として隙間9又はスリットを通り、回折格子チップ7の反射凹面回折格子8に入射する。光は回折格子8で分光され、センサ10、特にセンサフィールドに照射される。
【0073】
図3に示す分光計6は、特にMEMS分光計であることができ、これは特にコスト効率が高く、レーザ加工ヘッドへの組み込みが容易である。MEMS分光計をベースとした「オンチップ」分光計の開発により、この技術をレーザ材料加工ヘッドに統合することが可能である。特に、ラインセンサは、検出器又はセンサ10として使用されることができ、その上に分光した光が入射するか、又は結像される。データは、例えば16ビットの分解能でセンサ10から読み出されることができる。データレートは、スペクトル当たりkHzの範囲で実現され得る。
【0074】
約340nmから850nmの範囲で約15nmのスペクトル分解能を有するHamamatsu社のMEMS分光計(C12666MA)が、分光計6の例として挙げられている。異なる波長範囲に対応する複数のMEMS分光計の使用は、個々に検出されたスペクトルを組み合わせてスペクトログラムに配置することによって、容易に行うことができる。波長範囲は互いに直接隣り合うか、又は小さな領域で重なり合うことが好ましい。
【0075】
次に、データ又はスペクトル、特に波長依存強度が読み出され、図2に例として示すように、スペクトログラム5を形成するために結合される。例えば、第1のスペクトログラム5は、約0msから500msのスペクトル3から生成されることができ、第2のスペクトログラム5は、約400msから900msのスペクトル3から生成されることができる、などである。この場合、誤差の大きさ及び溶接速度、すなわちスペクトル全体で重要な特徴が形成される時間に依存するオーバーラップが存在する。
【0076】
スペクトログラム5内のスペクトル3の数は、用途に応じて、例えば溶接などの加工プロセスの長さ又は時間、及びMEMS装置内のラインセンサの十分な露出に応じて選択されることができる。
【0077】
ニューラルネットワークの使用により、スペクトログラム5内の特徴を知り、あるいは抽出する必要なく、スペクトログラム5を誤差に応じて分類し、かつ/又は物理量にマッピングすることができるようになる。この目的のために、個々のスペクトル3又はスペクトログラム5のデータには誤差が定義されておらず、これはいわゆるグランドトゥルースを表すが、溶接された被加工物が、グランドトゥルースを決定するために使用される。
【0078】
入力データの品質クラスへの分類若しくは回帰、又は強度若しくは導電率などの物理量の値へのマッピングのために、溶接された接合などの加工結果は、力測定又は導電率測定などの測定の対象となる。これは、溶接シームが裂かれる力、又は接合材料間に生じた導電率を物理的に決定するために使用され得る。
【0079】
これらの値は、ニューラルネットワーク、特に畳み込みニューラルネットワークを訓練又は調整するためのグランドトゥルースとして使用され得る。それゆえ、個々のスペクトル3における強度分布及びその経時的な進行を、ユーザは知る必要がない。
【0080】
スペクトログラム5は、ニューラルネットワーク、特に深層ニューラルネットワーク、典型的には畳み込みニューラルネットワークの入力テンソルを形成し、ニューラルネットワークはスペクトログラム5を、例えば誤差の種類によって分類する。ニューラルネットワークは、例えば、XCeptionアーキテクチャのネットワークを有することができる。
【0081】
隙間、オフセット、溶け込みや溶接の不足、及び除去不良などの典型的な誤差クラスに分類するには、これらの典型的な誤差を有する大量の訓練データを生成する必要がある。それゆえ、溶接は誤差の種類ごとに生成されなければならない。強度、導電率、又はその他の物理量は、どのクラスに分類するか、又はどの物理量をマッピングするかによって、溶接ごとに決定されなければならない。これにより、グランドトゥルースにデータの明確な割り当てを提供する。それゆえ、スペクトログラム5からの重要な特徴を決定する煩雑さが省略され得る。
【0082】
異なる材料を溶接する場合、スペクトログラム5は、接合プロセスにおける接合パートナーの割合によって変化する。異なる材料のオーバーラップ接合の溶接深さの値への回帰は、スペクトログラム5を入力テンソルとして使用することで可能になる。
【0083】
中でも、材料の合金変化に起因する切断品質の違いは、スペクトログラム5に基づいて認識され得る。切断品質への分類は、スペクトログラム5を入力テンソルとして使用することで可能になる。
【0084】
図4は、一実施形態によるレーザ加工ヘッドの一例として、分光計22、23を備えたレーザ溶接ヘッド24の概略図である。加工レーザビーム16のビーム経路は、コリメート光学系17、ビームスプリッタ15、及び集光光学系14を介して、加工されている被加工物12に照射される。加工中、例えば熱放射、プラズマ放射、及び/又は被加工物表面から反射されるレーザ放射などのプロセス放出13が生成される。プロセス放出13の一部は、被加工物表面から2つの分光計22、23のうちの1つへと、少なくとも部分的に加工ビーム16のビーム経路に対して同軸に又は平行に導かれる。プロセス放出13はビームスプリッタ20で分割される。プロセス放出13の一部は、結像光学系19を介してビームスプリッタ20により分光計23に反射され、この分光計23は、例えば、約300nmから1050nmの間の波長を検出することができる。プロセス放出13の別の一部は、結像光学系21を介してビームスプリッタ20を通って分光計22に透過され、この分光計22は、例えば、約1000nmから1400nmの間の波長を検出することができる。
【0085】
レーザ溶接ヘッド24は、計算ユニット18に接続されており、この計算ユニット18は、計算操作を実行し、特にスペクトル3をスペクトログラム5に組み立て、物理量及び/又は分類を決定し、特に加工誤差を識別するためにニューラルネットワークを備え又は使用する。
【0086】
図5は、一実施形態によるレーザ加工プロセスの分析方法の概略図を示す。ステップ110では、プロセス放出の複数のスペクトルが、連続する時点又は期間において分光計によって検出される。言い換えれば、分光計は、決定された時点又は決定された期間において、異なる波長における強度を検出し、ここで強度と関連する波長のデータセットはスペクトルを表す。ステップ120では、スペクトログラムが、検出されたスペクトルに基づいて生成される。スペクトログラムは、複数のスペクトルを、それらが検出された時間tに対して時間軸に沿ってプロットすることによって生成される。ステップ130では、ニューラルネットワークが使用されて、物理量の値及び/又はレーザ加工プロセスの分類を決定する。ニューラルネットワークは、スペクトログラムを入力テンソルとして受け取り、物理量の値及び/又はレーザ加工プロセスの分類を出力テンソルとして生成する。
【0087】
ニューラルネットワークは特に畳み込みニューラルネットワークであり、例えばXCeptionネットワークから成ることができる。入力層はスペクトログラムの次元に合わせて調整され得る(例えば、2315×500×1)。後者の次元は、例えば、隙間、溶け込み又は溶接の不足、及びオフセットなど、分類が行われるクラスについて予測される確率に起因する。
【0088】
本明細書で記述するレーザ加工プロセスには、被加工物の接合若しくは接続、又は材料の分離若しくは除去を含み得る。レーザ加工プロセスは、レーザ切断プロセス、レーザ除去プロセス、レーザ溶接プロセス、又はレーザはんだ付けプロセスであり得るか、あるいはこれらを含み得る。レーザ加工プロセスの加工結果は、切断され、接合され、又は接続された、すなわち溶接され、又ははんだ付けされ、又は切断された被加工物を含み得る。特に、この場合の加工結果は、接合された被加工物間の溶接された接合又ははんだ付けされた接合を示し得る。溶接された接合又ははんだ付けされた接合は、溶接シームによって形成され得る。言い換えれば、この場合の加工結果は、溶接シーム又ははんだ付けされたシームを指定し得る。加工結果は、溶接された接合又は溶接されたシームの一部又は領域を示すこともある。レーザ加工プロセスによって接合される被加工物間には隙間が生じることがあり、これは溶接結果に影響を及ぼす。隙間は、突合せ溶接の場合には、接合されるべき被加工物の2つの対向面間の空間として、又はオーバーラップ溶接の場合には、接合されるべき被加工物間の空間として説明され得る。接合された被加工物の対向面間の距離は隙間サイズと呼ばれ得る。大きすぎる隙間は、レーザ加工プロセスにおける加工誤差を表し得る。突合せ接合溶接の場合、隙間はプレプロセス、すなわち溶接前に決定され、オーバーラップ溶接の場合、隙間はクランプ技術を使用して決定される。
【0089】
レーザ加工プロセスの加工結果は、レーザ加工プロセスの中間結果、すなわちレーザ加工プロセスの実行中に(も又は唯一)存在する特徴も含み得る。特に、加工結果は、「キーホール」としても知られる蒸気毛細管及び/又は溶融プールを含んでもよい。キーホール深さは、蒸気毛細管の底面と、レーザビームが照射される被加工物表面との間の距離として規定され得る。溶接深さは、キーホール深さから推定され得る。
【0090】
加工結果の物理特性の値は、加工結果の物理特性の測定値として予測される値に対応し得る。言い換えれば、物理特性の値の決定は、物理特性の測定値の予測と見なされ得る。
【0091】
加工結果の少なくとも1つの物理特性は、レーザ加工プロセスによって製造された溶接された接合又ははんだ付けされた接合の強度、特に引張強度、圧縮強度及び/又はせん断強度と、レーザ加工プロセスによって製造された溶接された接合又ははんだ付けされた接合の導電率と、キーホール深さと、被加工物の溶接深さと、レーザ加工プロセスによって接合された2つの被加工物間の隙間サイズと、レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁の粗さと、レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁のバリ又はバリ高さと、切断前面の峻度と、レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁の直角度と、のうちの少なくとも1つを含んでもよい。キーホール深さ又は切断前面の峻度が、本発明に従う方法を用いて決定又は予測される場合、別の測定装置、例えば、光干渉断層撮影装置が、レーザ加工プロセスを実行するためのレーザ加工システムにおいて省略され得る。他方で、引張強度の値を決定することは、突合せ接合された被加工物に特に関連する。レーザ切断中の加工結果は、切断縁の粗さ、又は切断縁のバリ若しくはバリ高さ、又は切断縁の直角度のような物理特性によって記述され得る。
【0092】
物理特性の値は、物理単位で、例えば「SI単位」(国際単位系)で決定され得る。例えば、強度はニュートン(N)若しくは面積当たりニュートン(N/m)、溶接深さはμm、隙間サイズはμm、及び導電率はジーメンス(S)で決定されることができる。切断縁の粗さは、例えば、μm単位で決定されることができる。
【0093】
本明細書で提示されるすべての離散値は、その仕様から最大約10%、特に最大約5~7%逸脱する可能性がある。したがって、その仕様はあくまでもおおよその値として理解されたい。
【符号の説明】
【0094】
3 スペクトル
5 スペクトログラム
6 センサ又は分光計装置
7 回折格子チップ
8 反射凹面回折格子
9 隙間
10 センサフィールド
11 入射光
12 被加工物
13 プロセス放出
14 集光光学系
15 ビームスプリッタ
16 加工ビーム
17 コリメート光学系
18 計算ユニット
19 結像光学系
20 ビームスプリッタ
21 結像光学系
22 分光計
23 分光計
24 レーザ溶接ヘッド
110 分光計で複数のスペクトルを検出する
120 検出されたスペクトルに基づいて、少なくとも1つのスペクトログラムを生成する
130 訓練済みニューラルネットワークによって、物理量の少なくとも1つの予測値を決定し、かつ/又はレーザ加工プロセスの少なくとも1つの分類を決定する
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工プロセスを分析するための方法であって、前記方法が、
- 連続する時点におけるプロセス放出の複数のスペクトル(3)を検出するステップ(110)と、
- 前記検出されたスペクトルに基づいて少なくとも1つのスペクトログラム(5)を生成するステップ(120)と、
- ニューラルネットワークによって、物理量の少なくとも1つの値を決定し、かつ/又は前記レーザ加工プロセスのうちの少なくとも1つの分類を決定するステップ(130)と、
を含み、
前記ニューラルネットワークが、前記スペクトログラム(5)を入力テンソルとして受け取り、前記物理量及び/又は前記レーザ加工プロセスの前記分類を出力テンソルとして出力することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スペクトル(3)の各々を検出するステップが、前記それぞれの時点における波長の関数として前記プロセス放出(13)の強度を検出するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出された強度が生データであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
スペクトル(3)の前記検出された強度が同時に検出され、かつ/又は各スペクトル(3)の前記検出が検出器における局所的なスペクトル分割を含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセス放出(13)が、被加工物(12)の表面から反射される温度放射、プラズマ放射、及び/又はレーザ放射を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスペクトログラム(5)を生成するステップが、
第1の時間間隔に対する第1のスペクトログラム(5)を生成し、第2の時間間隔に対する第2のスペクトログラム(5)を生成するステップであって、前記第2の時間間隔が前記第1の時間間隔と重なり、かつ/若しくは前記第1の時間間隔の直後に続く、ステップ、及び/又は、
前記複数のスペクトルを時系列に組み立てるステップ、
を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記物理量が、引張強度と、圧縮強度と、導電率と、キーホール深さと、溶接深さと、前記レーザ加工プロセスによって接合された2つの被加工物間の隙間サイズと、前記レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁の粗さと、前記レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁のバリと、前記レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁のバリ高さと、前記切断前面の峻度と、前記レーザ加工プロセスによって切断された被加工物の切断縁の直角度と、のうちの少なくとも1つを含み、かつ/又は、
前記被加工物(12)の前記分類が、誤差クラスへの分類に対応し、隙間、オフセット、溶け込み及び/又は溶接の不足、除去不良、切断品質並びに合金品質のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記スペクトル(3)が、約100Hzから100kHzの間、又は約800Hzから10kHzの間、又は約900Hzから2kHzの間のサンプリングレートで検出されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記スペクトル(3)が、約100nmから約1500nmの間、若しくは約130nmから1300nmの間、若しくは約150nmから1050nmの間、若しくは約340nmから850nmの間の波長範囲で検出され、かつ/又は、
前記スペクトル(3)が、約0.1nmから1nmの間、若しくは約0.2nmから0.8nmの間、若しくは約0.4nmから0.6nmの間のスペクトル分解能で検出されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記物理量の前記予測値及び/又は前記分類がリアルタイムで決定され、それに基づいて、制御データが前記レーザ加工プロセスを実行するレーザ加工システムに出力されることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ニューラルネットワークが、転移学習による訓練データによって適応され得る訓練済みニューラルネットワークであることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
レーザ加工プロセスを分析するためのシステムであって、前記システムが、
- 連続する時点におけるプロセス放出(13)の複数のスペクトル(3)を検出するように配置されている少なくとも1つのセンサユニットと、
- 前記検出されたスペクトルに基づいて、少なくとも1つのスペクトログラム(5)を入力テンソルとして生成するように配置されている少なくとも1つの計算ユニット(18)と、
- 前記入力テンソルに基づいて、物理量の少なくとも1つの値及び/又は前記レーザ加工プロセスの分類を出力テンソルとして出力するように配置されているニューラルネットワークと、
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項13】
前記センサユニットが少なくとも1つの分光計又はMEMS分光計を有することを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの計算ユニット(18)が、制御データに基づいて前記レーザ加工プロセスを制御するように設計されていることを特徴とする、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
加工レーザビームによって被加工物を加工するためのレーザ加工システムであって、前記レーザ加工システムが、
- 前記加工レーザビーム(16)を前記被加工物(12)に照射するためのレーザ加工ヘッド(24)と、
- 請求項12又は13に記載のシステムと、
を備える、レーザ加工システム。
【国際調査報告】