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特表2024-530688レーザー透過性組成物およびそれから作製された成形品
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  • 特表-レーザー透過性組成物およびそれから作製された成形品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】レーザー透過性組成物およびそれから作製された成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20240816BHJP
   C08K 5/1545 20060101ALI20240816BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20240816BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20240816BHJP
   B29C 65/16 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C08L67/02
C08K5/1545
C08K5/521
C08K7/14
B29C65/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508721
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 CN2021112422
(87)【国際公開番号】W WO2023015542
(87)【国際公開日】2023-02-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512225379
【氏名又は名称】セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ホンギュ
(72)【発明者】
【氏名】タオ,ファンファン
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエルス,ウーター
(72)【発明者】
【氏名】ツィーラー,ディルク
【テーマコード(参考)】
4F211
4J002
【Fターム(参考)】
4F211AA24
4F211AG03
4F211TA01
4F211TC03
4F211TD11
4F211TN27
4J002CF071
4J002DL006
4J002EG077
4J002EL087
4J002EW047
4J002FA046
4J002FD016
4J002FD020
4J002FD030
4J002FD040
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD098
4J002FD170
4J002FD207
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
1種又はそれより多くの核剤及び任意に強化用繊維を含むポリエステルポリマー組成物が記載される。ポリエステルポリマーは例えばポリブチレンテレフタレートであってもよい。ポリマー組成物は特定には特定の光の波長で実質的に透過性となように配合される。結果としてポリエステルポリマー組成物は、レーザー光線がポリマー組成物を通過し、隣接する表面に溶接を形成するレーザー透過溶接での使用によく適している。一形態において透過特性をさらに改善するために黒色の顔料のマスターバッチが組成物に添加されてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルポリマーを含むポリマー組成物を含むレーザー透過性組成物であって、
該ポリエステルポリマーは、ポリブチレンテレフタレートポリマーを含み、該ポリマー組成物は、強化用繊維および少なくとも1種の核剤をさらに含み、該強化用繊維は、約5~約55重量%の量で該ポリマー組成物中に存在し、該少なくとも1種の核剤は、安息香酸塩、カルボン酸の塩、ソルビトール、リン化合物のナトリウム塩またはそれらの混合物を含み、該ポリマー組成物は、980nmの波長および1.5mmの厚さで測定された際、少なくとも40%のレーザー透過性を有する、上記レーザー透過性組成物。
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、核剤の混合物を含有する、請求項1に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項3】
前記ポリマー組成物が、安息香酸塩およびカルボン酸の塩を含有する、請求項1または2に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項4】
前記ポリマー組成物が、カルボン酸の塩を含有し、該カルボン酸は、約14個の炭素原子~約50個の炭素原子の炭素鎖の長さを有する脂肪族カルボン酸を含み、前記カルボン酸の塩は、カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項5】
前記カルボン酸の塩が、カルボン酸のナトリウム塩である、請求項4に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項6】
前記ポリマー組成物が、前記安息香酸塩を含有し、前記安息香酸塩が、安息香酸ナトリウムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項7】
前記ポリマー組成物中に存在する各核剤が、約0.001重量%より多く、かつ約1.5重量%未満の量で前記組成物中に含有され、前記カルボン酸の塩が、前記安息香酸塩に対して、約4:1~約1:1の重量比で、例えば約3:1~約1.5:1の重量比で前記組成物中に存在する、請求項3~6のいずれか一項に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項8】
前記ポリマー組成物が、1.5mmの厚さで少なくとも45%のレーザー透過性を示し、1mmの厚さで少なくとも50%のレーザー透過性を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項9】
前記ポリマー組成物が、約75MPaより大きく、例えば約120MPaより大きく、例えば約130MPaより大きく、かつ、一般的に約400MPa未満の引張強度を示す、請求項1~8のいずれか一項に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項10】
前記ポリマー組成物が、前記ポリブチレンテレフタレートポリマーを約55重量%~約90重量%の量で含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項11】
着色剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項12】
前記着色剤が、黒色の着色剤を含み、該黒色の着色剤は、約0.1~約0.8重量%の量で前記ポリマー組成物中に存在する、請求項11に記載のレーザー透過性組成物。
【請求項13】
前記強化用繊維が、ガラス繊維を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のレーザー溶接可能な組成物。
【請求項14】
前記強化用繊維が、約10重量%~約35重量%の量で前記ポリマー組成物中に存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載のレーザー溶接可能な組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマー組成物から形成された成形物品。
【請求項16】
請求項16に記載の成形物品を含む組み立て体であって、該成形物品は、隣接する部品にレーザー溶接されている、上記組み立て体。
【請求項17】
ハウジングを含むセンサーであって、該ハウジングは、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマー組成物から作製される、上記センサー。
【請求項18】
請求項17に記載のセンサーを含む先進ドライバー補助システム。
【請求項19】
ポリマー物品を隣接する表面に取り付けるための方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載のレーザー透過性組成物から作製された成形物品をレーザー光線と接触させる工程を含み、
該レーザー光線は、該成形物品を通って伝播し、レーザー溶接可能なポリマー組成物から形成された隣接する表面と接触し、該隣接する表面で、該隣接する表面が成形物品に溶接されるのに十分な程度の局所的な温度上昇を生じさせる、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]エンジニアリング熱可塑性物質およびエラストマー材料は、成形部品や成形製品を生産するために数多くの多様な用途にしばしば用いられる。例えば、ポリエステルポリマーおよびポリエステルエラストマーは、あらゆる様々なタイプの成形製品、例えば射出成形製品、吹込成形製品などを生産するのに使用される。ポリエステルポリマー組成物は、例えば、化学物質耐性にし、優れた強度特性を付与するために配合することができ、さらに、ポリエステルエラストマーを含有する場合、フレキシブルにすることができる。特に有利なことに、ポリエステルポリマーは、その熱可塑性の性質のために溶融加工できることである。加えて、ポリエステルポリマーは、再利用や再加工が可能である。
【0002】
[0002]ポリエステルポリマーは、あらゆる好適な形状または寸法の成形品を生産するのに特によく適している。このような成形品は、射出成形、熱成形、または他のあらゆる好適な溶融加工方法を介して作製することができる。多くの用途において、成形された物品は次いで、製品またはシステムに組み込むに、隣接する材料に接着される。接着は、接着剤の使用、超音波エネルギーの使用を介して、または機械的な留め具を使用して、行うことができる。特定の用途において、2つの部品を共に接着させたりまたは取り付けたりするのに好ましい方法は、レーザー溶接である。レーザー溶接の使用は、比較的簡単なだけでなく、極めて正確であり、典型的には部品に対していかなる構造的なダメージも引き起こさない。
【0003】
[0003]レーザー透過溶接(laser transmission welding)としばしば称される1つの特定のタイプのレーザー溶接では、2つのポリマー物品を互いに接触して置き、レーザーエネルギーを第1の成形物品に透過および通過させ、次いでこれを第2の物品によって吸収させることで、溶接の形成が起こる。このタイプの溶接において、例えば第1の成形物品は、レーザー透過性になるように配合される。例えば、第1の成形物品は、レーザー光のかなりの部分が物品を通過することを許容し、次いで第2の成形物品によって吸収されなければならない。レーザーのエネルギーが第2の成形物品に接すると、第2の成形物品はエネルギーを吸収して、局所的な温度上昇が生じ、これによって第2の成形物品を形成するのに使用されたポリマー材料が軟化し流動する。次いで溶接が形成されることで、レーザー透過性成形物品をレーザー吸収性成形物品に接着させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]レーザー透過溶接を成功させるために、レーザー透過性成形物品は、レーザー光線が作動する波長で相対的に高いレーザー透過性を有しなければならない。これまでに高いレーザー透過性を有するポリエステルポリマーから成形品を生産するための様々な努力がなされてきた。しかしながら、特にポリエステルポリマー組成物が強化用繊維を含有する場合、十分なレーザー透過性を有するポリエステルポリマー物品を生産できるかということにおいて問題が生じた。強化用繊維は、例えば、著しい光散乱を引き起こす可能性があり、これが溶接プロセスを不都合に妨害する。したがって、望ましい波長で光に対して透過性でもある繊維強化ポリエステルポリマー組成物についての必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]一般的に、本発明の開示は、光の特定の波長で優れた透過特性を有する強化用繊維を含有するポリエステルポリマー組成物に向けられる。例えば、本開示のポリマー組成物は、レーザー透過溶接手順における使用のためにレーザー透過性となるように配合することができる。
【0006】
[0006]一実施態様において、本開示は、少なくとも1種のポリエステルポリマーを含むレーザー透過性組成物に向けられる。ポリエステルポリマーは、ポリブチレンテレフタレートポリマーを含んでいてもよい。ポリブチレンテレフタレートポリマーは、例えば、約40重量%より多くの量で、例えば約50重量%より多くの量で、例えば約60重量%より多くの量で、また、一般的に約85重量%未満の量でポリマー組成物中に存在していてもよい。ポリマー組成物はは、強化用繊維をさらに含有する。強化用繊維は、約5%~約55重量%の量で、例えば約10%~約38重量%の量でポリマー組成物中に存在していてもよい。強化用繊維は、ガラス繊維を含んでいてもよい。
【0007】
[0007]本開示によれば、ポリマー組成物は、少なくとも1種の核剤をさらに含有する。少なくとも1種の核剤は、安息香酸塩、カルボン酸の塩、またはそれらの混合物を含んでいてもよい。ポリマー組成物は、980nmの波長および1.5mmの厚さで測定されたとき、少なくとも40%のレーザー透過性を有していてもよい。加えて、ポリマー組成物は、約75MPaより大きい引張強度を有していてもよい。
【0008】
[0008]一実施態様において、レーザー透過性組成物は、少なくとも2種の核剤を含有する。第1の核剤は安息香酸塩を含んでいてもよく、第2の核剤はカルボン酸の塩を含んでいてもよい。カルボン酸の塩は、約16~約50個の炭素原子、例えば約18~約30個の炭素原子の炭素鎖長を有する脂肪族カルボン酸の塩であってもよい。カルボン酸の塩は、カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩であってもよい。一形態において、第2の核剤は、モンタン酸のナトリウム塩であってもよい。一方で安息香酸塩はまた、安息香酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩を含んでいてもよい。例えば、一実施態様において、第1の核剤は、安息香酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0009】
[0009]一形態において、ポリマー組成物に含有される各核剤は、約1.5重量%未満の量で、また、一般的に約0.001重量%より多い量で存在していてもよい。安息香酸塩とカルボン酸の塩とが共に存在する場合、安息香酸塩とカルボン酸の塩との重量比は、約1:1~約1:4であり、例えば約1:1.5~約1:3である。
【0010】
[0010]一形態において、ポリマー組成物は、980nmの波長でのレーザー透過性が、1.5mmの厚さで測定された際、約40%またはそれより大きくてもよく、1mmの厚さで測定された際、50%またはそれより大きくてもよい。ポリマー組成物は、約75MPaより大きく、例えば約100MPaより大きく、例えば約120MPaより大きく、また、一般的に約400MPa未満の引張強度を有していてもよい。
【0011】
[0011]一実施態様において、ポリマー組成物はまた、着色剤を含有していてもよい。例えば、ポリマー組成物は、黒色の顔料または色素を含有していてもよく、優れたレーザー透過特性を保持しながらも黒色の外観を有していてもよい。黒色の顔料または色素は、約0.1~約4重量%の量でポリマー組成物中に存在していてもよい。
【0012】
[0012]本発明の開示はまた、上述したようにポリマー組成物から形成された成形品にも向けられる。成形物品は、隣接する表面または部材にレーザー溶接されていてもよい。一形態において、成形物品は、センサーのためのハウジングである。センサーは、例えば、先進ドライバー補助システムの一部であってもよい。
【0013】
[0013]本発明の開示はまた、隣接する表面にポリマー物品を取り付けるための方法にも向けられる。本方法は、上述したようにレーザー透過性組成物から作製された成形物品をレーザー光線と接触させることを含む。レーザー光線は成形物品を通って伝播し、レーザー溶接可能なポリマー組成物から形成された隣接する表面と接触する。レーザー光線は、溶接を形成する隣接する表面で局所的な温度上昇を生じさせる。一形態において、溶接は、成形物品を隣接する表面に取り付ける。
【0014】
[0014]本開示の他の特徴および形態は、以下でより詳細に論じられる。
[0015]添付の図面への参照を含む明細書の残りの部分において、本発明の完全かつ実現可能な開示をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示に従って行うことができるレーザー溶接プロセスを例示する斜視図である。
図2図2は、レーザー透過の決定を標準化するために作成される成形されたポリマープラークを例示する斜視図である。図2は、試験されることとなる最小の異なるサンプル配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0016]本明細書および図面における参照記号の繰り返しの使用は、本発明の同じまたは類似した特徴または要素を表すことが意図されている。
[0017]本発明の議論は、単なる例示的な実施態様の説明であり、本開示のより広い形態を限定するものとしては意図されていないことが当業者によって理解されるであろう。
【0017】
[0018]ポリエステルポリマー組成物、特定には繊維強化ポリブチレンテレフタレート組成物は、多様な望ましい物理特性、機械特性、および電気特性と、優れた化学物質耐性および環境耐性とを併せ持つ。ポリエステル組成物は全ての様々なタイプの用途で使用され、先進ドライブ補助システムを生産することにおける使用のための急成長中の市場の代表である。ポリエステル組成物は、例えば、あらゆる異なるタイプの電気的なセンサーを生産するのによく適している。これらの用途において、異なる部材を組み立てるための好ましい方法は、レーザー溶接(laser welding)を使用することである。例えば、近年、レーザー透過溶接(laser transmission welding)の使用は、大いに普及しつつある。レーザー透過溶接の間に、2つの合体させるパートナーを接触させ、一緒に保持する。組み立て体は、上部部品と下部部品とを含む。組み立て体の上部部品は、照射レーザーが作動する波長に対して透過性になるように配合される。しかしながら、下部部品は、レーザー吸収性になるように配合される。この方式で、レーザーは、上部部品を通過して、下部部品に吸収させることができ、これは、2つの部品の境界で局所的な加熱をもたらし、熱伝導による両方の部品の融解をもたらす。
【0018】
[0019]本開示は、特定には、レーザー透過性であり、任意選択で強化用繊維を含有していてもよいポリエステル組成物を配合することに向けられる。ポリブチレンテレフタレートポリマーなどのポリエステルは優れた望ましい物理的特性を有するが、これらのポリマーは、近赤外領域における光への透過性が他の多くの熱可塑性ポリマーと比較して著しく低い。結果として、これまでに、レーザー透過用途におけるポリエステル組成物の使用は、特に部品の厚さが増加する場合、いくらか限定されてきた。加えて、強化用繊維の添加は、ポリマーのレーザー透過性をさらに低減させる。しかしながら、本発明の開示によれば、ポリエステルポリマー組成物に1種またはそれより多くの核剤を添加することは、劇的に、かつ意外なことに、そのような組成物から作製される成形部品のレーザー透過特性を改善できることが発見された。明らかではないが、核剤は、近赤外光の通過を可能にするより小さい球晶(spherulites)を生産すると考えられる。しかしながら、核剤は、様々なポリエステルポリマーの機械特性に対して有害な作用を有する可能性がある。結果として、本開示は、ポリマー組成物の強度を劣化させることなくレーザー透過性を増加させる特定の量で、特定の核剤を選択することに向けられる。
【0019】
[0020]本開示のポリマー組成物は、一般的に、少なくとも1種のポリエステルポリマー、任意に強化用繊維、および1種またはそれより多くの核剤を含有する。ポリエステルポリマーは、ポリブチレンテレフタレートポリマーであってもよい。ポリブチレンテレフタレートポリマーは、一般的に約40重量%より多い量で、例えば約50重量%より多い量で、例えば約55重量%より多い量で、例えば約60重量%より多い量で、例えば約65重量%より多い量で、また、一般的に約95重量%未満の量で、例えば約90重量%未満の量で、例えば約80重量%未満の量でポリマー組成物中に存在していてもよい。
【0020】
[0021]一実施態様において、ポリマー組成物は、ポリブチレンテレフタレートポリマーである単一のポリエステルポリマーのみを含有する。代替として、他のポリエステルポリマーがポリマー組成物中に存在していてもよい。例えば、一形態において、ポリブチレンテレフタレートポリマーは、ポリエチレンテレフタレートポリマーと組み合わせることができる。ポリマー組成物は、少なくとも1種のポリエステルポリマーに加えて、任意選択で、強化用繊維、例えばガラス繊維を含有していてもよい。本開示によれば、ポリマー組成物は、1種またはそれより多くの核剤をさらに含有する。核剤は、ポリマー組成物から作製される成形品の機械特性に有害作用を与えることなく、レーザー溶接を助長する波長でポリマー組成物の透過特性を劇的に改善することが見出されている。
【0021】
[0022]本開示のポリマー組成物は、例えば、980nmの波長および1.5mmの厚さで測定される場合、少なくとも約40%のレーザー透過性を有していてもよい。レーザー透過性を測定するための標準化した試験は、まずポリマー組成物を用いて60mm×60mm×1mmまたは1.5mmの寸法を有するプラークを成形することによって実行される。LPKF TMG-3モデル透過率測定デバイスによって980nmの波長が生産され、レーザー光が透過する軌道を遮蔽する障害物がない場合、100%のレーザー透過率を有するとみなされる。ポリマー組成物のレーザー透過率を決定するために、レーザー検出器上にポリマーのプラークを置き、少なくとも5つの異なる配置で透過を試験する。入口に近い少なくとも2つの配置、中央の1つの配置、および入口から離れた2つの配置が全てレーザー透過に関して測定され、配置の全てを平均して、ポリマー組成物の最終的なレーザー透過率を決定する。
【0022】
[0023]例えば、ポリマー組成物は、980nmの波長および1.5mmの厚さで、少なくとも40%、例えば少なくとも42%、例えば少なくとも45%、例えば少なくとも48%の透過性を示し得る。1mmの厚さで測定される場合、本発明の開示のポリマー組成物は、980nmの波長で、約50%より大きい、例えば約55%より大きい、例えば約60%より大きい、例えば約62%より大きい透過性を示し得る。ポリマー組成物は、優れた引張強度を有しながらも、上記の透過特性を示し得る。引張強度は、ポリマー組成物中に存在する強化用繊維の量に基づき変更したり制御したりすることができる。一般的に、ポリマー組成物は、約75MPaより大きい引張強度を示し得る。例えば、引張強度は、約100MPaより大きく、例えば約120MPaより大きく、例えば約125MPaより大きく、例えば約130MPaより大きく、例えば約135MPaより大きく、例えば約140MPaより大きく、例えば約145MPaより大きく、また、一般的に約300MPa未満、例えば約200MPa未満であってもよい。
【0023】
[0024]図1を参照して、単なる説明の目的で、透過溶接プロセスを示す図が提示される。図1を参照すると、組み立て体は、第2の成形部品20に隣接して置かれた第1の成形部品10を含むことが示される。レーザー光線40を放出するレーザーデバイス30も例示される。図1で示されるように、この実施態様において、レーザー30は、第1の成形部品10と第2の成形部品20の幅にわたり移動する。第1の成形部品10は、レーザー光線40に対して相対的に透過性であり、一方で第2の成形部品20は、レーザー光線を吸収するように配合される。この方式で、図1で示されるように、レーザー光線40のかなりの部分が第1の成形部品10を通過し、第2の成形部品20と接触する。次いで第2の成形部品20は、レーザーエネルギーを吸収し、局所的な温度上昇を受け、この温度上昇が、第1の成形部品10と第2の成形部品20の両方を溶融させて一緒に接着させる。
【0024】
[0025]図1で例示される実施態様において、第1の成形部品10は、レーザー透過プロセスをよりよく例示するために、半透明となるように示される。しかしながら、本開示により配合されるポリマー組成物は、黒色など、どのような好適な色を有していてもよい。
【0025】
[0026]上述したように、ポリマー組成物は、一般的に熱可塑性ポリマーを含有し、特定にはポリエステルポリマーを含有する。本明細書における使用に好適なポリエステルは、2~約10個の炭素原子を含有する脂肪族もしくは脂環式ジオール、またはそれらの混合物、および芳香族ジカルボン酸、すなわちポリアルキレンテレフタレートから誘導される。
【0026】
[0027]脂環式ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導されるポリエステルは、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノールのシスまたはトランス異性体のいずれか(またはそれらの混合物)を芳香族ジカルボン酸と縮合することによって調製される。
【0027】
[0028]芳香族ジカルボン酸の例としては、イソフタル酸またはテレフタル酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルなど、およびこれらの混合物が挙げられる。これらの酸は全て、少なくとも1つの芳香族核を含有する。縮合環はまた、例えば1,4-または1,5-または2,6-ナフタレンジカルボン酸に存在していてもよい。一実施態様において、ジカルボン酸は、テレフタル酸、またはテレフタル酸とイソフタル酸との混合物である。
【0028】
[0029]ポリマー組成物において使用することができるポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、それらの混合物、およびそれらのコポリマーが挙げられる。
【0029】
[0030]一形態において、ポリエステルポリマー、例えばポリブチレンテレフタレートポリマーは、相対的に最小の量のカルボキシル末端基を含有する。例えば、ポリエステルポリマーは、カルボキシル末端基を、約20mmol/kg未満、例えば約18mmol/kg未満、例えば約15mmol/kg未満であり、また、一般的に約1mmol/kgより大きい量で含有していてもよい。カルボキシル末端基の量は、様々な技術を使用して、ポリエステルポリマーにおいて最小化することもできる。例えば、一実施態様において、ポリエステルポリマーは、カルボキシル末端基、またはエポキシ樹脂、例えば、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパンおよび類似の異性体との2,2-ビス(p-グリシジルオキシフェニル)プロパンの縮合生成物、2,2’-[(1-メチルエチリデン)ビス(4,1-フェニレンオキシメチレン)]ビス(オキシラン)との、それぞれフェノールである4,4’-(1-メチルエチリデン)ビスポリマーの縮合生成物、の量を減少させるために、アルコール、例えばベンジルアルコールと接触させてもよい。
【0030】
[0031]ポリエステルポリマーまたはポリブチレンテレフタレートポリマーは、250℃および2.16kgの負荷で試験した場合、一般的に、約9cm/10分より大きく、例えば約15cm/10分より大きく、例えば約20cm/10分より大きく、また、一般的に約120cm/10分未満、例えば約100cm/10分未満、例えば約70cm/10分未満、例えば約50cm/10分未満のメルトフローレートを有していてもよい。
【0031】
[0032]ポリマー組成物はまた、熱可塑性ポリマーマトリックス中に分散された強化用繊維を含有していてもよい。有利に使用され得る強化用繊維は、鉱物繊維、例えばガラス繊維またはポリマー繊維、特定には有機高弾性繊維、例えばアラミド繊維である。
【0032】
[0033]これらの繊維は、変性形態または非変性形態であってもよく、例えば、プラスチックへの接着を改善するために、サイジングが施されていたり、または化学的に処理されたりしていてもよい。ガラス繊維が特に好ましい。
【0033】
[0034]強化用繊維、例えばガラス繊維は、繊維を保護するため、さらに、繊維とマトリックス材料との間の接着を改善するために、サイジング組成物でコーティングされていてもよい。サイジング組成物は、通常、シラン、フィルム形成剤、潤滑剤、湿潤剤、接着剤、任意選択で静電防止剤および可塑剤、乳化剤、ならびに任意選択でさらなる添加剤を含む。
【0034】
[0035]シランの具体的な例は、アミノシラン、例えば3-トリメトキシシリルプロピルアミン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシ-シラン、N-(3-トリメトキシシラニルプロピル)エタン-1,2-ジアミン、3-(2-アミノエチル-アミノ)プロピルトリメトキシシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタン-ジアミンである。
【0035】
[0036]フィルム形成剤は、例えばポリビニルアセテート、ポリエステル、およびポリウレタンである。
[0037]強化用繊維に適用されるサイジング組成物は、シランサイジング剤を含有するだけでなく、耐加水分解剤も含有していてもよい。耐加水分解剤は、例えば、グリシジルエステル型のエポキシ樹脂であってもよい。例えば、グリシジルエステル型のエポキシ樹脂は、モノグリシジルエステルまたはジグリシジルエステルであってもよい。使用可能なグリシジルエステル型のエポキシ樹脂の例としては、アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、メチルテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0036】
[0038]一形態において、サイジング組成物は、シラン、グリシジルエステル型のエポキシ樹脂、第2のエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、潤滑剤、および静電防止剤を含有する。第2のタイプのエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であってもよい。サイジング組成物中に、耐加水分解剤が、シランサイジング剤に対して約5:1~約1:1の重量比で、例えば約4:1~約2:1の重量比で存在していてもよい。
【0037】
[0039]強化用繊維は、例えば押出機またはニーダーでポリマーマトリックスに混和することができる。
[0040]繊維直径は、使用される特定の繊維に応じて、さらに、繊維が細断された形態かまたは連続的な形態かのいずれかに応じて、様々であってもよい。繊維は、例えば、約5μm~約100μmの直径を有していてもよく、例えば約5μm~約50μm、例えば約5μm~約12μmの直径を有していてもよい。繊維の長さは、特定の用途に応じて様々であってもよい。繊維は、例えば、約0.5mmより大きい平均長さを有していてもよく、例えば約1mmより大きい、例えば約1.5mmより大きい、例えば約2.5mmより大きい平均長さを有していてもよい。繊維の長さは、一般的に、約8mm未満であってもよく、例えば約7mm未満、例えば約5.5mm未満、例えば約4mm未満であってもよい。
【0038】
[0041]一般的に、強化用繊維は、ポリマー組成物中に、組成物の引張強度を増加させるのに十分な量で存在する。強化用繊維は、例えば、ポリマー組成物中に、約2重量%より多い量で存在していてもよく、例えば約5重量%より多い量で、例えば約10重量%より多い量で、例えば約15重量%より多い量で、例えば約20重量%より多い量で存在していてもよい。強化用繊維は、一般的に、約55重量%未満の量で存在し、例えば約50重量%未満の量で、例えば約45重量%未満の量で、例えば約40重量%未満の量で、例えば約35重量%未満の量で、例えば約30重量%未満の量で存在する。
【0039】
[0042]1種またはそれより多くの熱可塑性ポリマーおよび任意の強化用繊維に加えて、本開示のポリマー組成物は、1種またはそれより多くの核剤を含有する。例えば、本開示のポリマー組成物での使用に特によく適していることが見出されている1種の核剤は、安息香酸塩であり、特定には安息香酸塩である。安息香酸塩は、例えば、安息香酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩であってもよい。一形態において、核剤は、安息香酸ナトリウムであってもよい。
【0040】
[0043]本開示での使用に特によく適していることが見出されている別の核剤は、1種またはそれより多くのカルボン酸の塩、例えば1種またはそれより多くの脂肪酸の塩である。例えば、核剤は、1種またはそれより多くの脂肪族カルボン酸の塩を含んでいてもよい。カルボン酸は、相対的に長い炭素鎖の長さを有していてもよい。例えば、カルボン酸は、約14個の炭素原子~約50個の炭素原子の炭素鎖長を有していてもよく、例えば約24個の炭素原子~約34個の炭素原子の炭素鎖長を有していてもよい。カルボン酸は、脂肪族カルボン酸や直鎖状カルボン酸であってもよい。カルボン酸の塩は、アルカリまたはアルカリ土類金属塩であってもよい。
【0041】
[0044]1つの特定の実施態様において、核剤は、モンタン酸の塩であってもよく、例えばモンタン酸のナトリウム塩および/またはモンタン酸のカルシウム塩であってもよい。モンタン酸としては、約24個の炭素原子~約34個の炭素原子、例えば約28個の炭素原子~約32個の炭素原子の炭素鎖長を有するカルボン酸のブレンドを挙げることができる。
【0042】
[0045]一実施態様において、核剤は、リン化合物のナトリウム塩である。好適なタイプのナトリウム塩核剤としては、2,4,8,10-テトラ(tert-ブチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン6-オキシド、ナトリウム塩が挙げられる。このような好適なナトリウム塩の商業的に入手可能な例は、アデカ(Adeka)社からADK STAB NA-11という名称で入手することができ、以下の一般的な構造を有する:
【0043】
【化1】
【0044】
[0046]一形態において、核剤は、ソルビトールタイプの核剤を含んでいてもよい。ソルビトールベースの核剤としては、1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4ジ(エチルベンジリデン)ソルビトール、および1,3:2,4ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールが挙げられる。好適なソルビトールタイプの核剤としては、ミリケン・ケミカル(Miliken Chemical)社から商業的に入手可能な、ミリケンNX8000i(Miliken NX8000i)を挙げることができる。
【0045】
[0047]各核剤は、約3重量%未満の量で、例えば約1.5重量%未満の量で、例えば約1.2重量%未満の量で、例えば約0.8重量%未満の量で、また、一般的に約0.05重量%より多い量で、例えば約0.1重量%より多い量で、例えば約0.15重量%より多い量でポリマー組成物中に存在していてもよい。
【0046】
[0048]1つの特定の実施態様において、ポリマー組成物は、1種より多くの核剤を含有する。例えば、ポリマー組成物は、安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウムを、上述したように1種またはそれより多くのカルボン酸の塩と組み合わせて含有していてもよい。一形態において、1種またはそれより多くのカルボン酸の塩は、存在する安息香酸ナトリウムの量より多い量でポリマー組成物中に存在していてもよい。例えば、1種またはそれより多くのカルボン酸の塩と安息香酸ナトリウムとの重量比は、約4:1~約1:1、例えば約3:1~約1.5:1であってもよい。1つの特定の実施態様において、1種またはそれより多くのカルボン酸の塩と安息香酸ナトリウムとの比率は、約2.5:1~約1.5:1である。
【0047】
[0049]一形態において、ポリエステルポリマー組成物は、カルボジイミド化合物を含有していてもよい。カルボジイミド化合物は、分子中にカルボジイミド基(-N=C=N-)を有していてもよい。カルボジイミド化合物は、加水分解耐性を提供することができる。適用できるカルボジイミド化合物としては、脂肪族主鎖を有する脂肪族カルボジイミド化合物、脂環式主鎖を有する脂環式カルボジイミド化合物、および芳香族主鎖を有する芳香族カルボジイミド化合物が挙げられる。
【0048】
[0050]脂肪族カルボジイミド化合物の例としては、ジイソプロピルカルボジイミド、ジオクチルデシルカルボジイミドなどが挙げられる。脂環式カルボジイミド化合物の例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどが挙げられる。
【0049】
[0051]芳香族カルボジイミド化合物の例としては、モノまたはジカルボジイミド化合物、例えばジフェニルカルボジイミド、ジ-2,6-ジメチルフェニルカルボジイミド、N-トリル-N’-フェニルカルボジイミド、ジ-p-ニトロフェニルカルボジイミド、ジ-p-アミノフェニルカルボジイミド、ジ-p-ヒドロキシフェニルカルボジイミド、ジ-p-クロロフェニルカルボジイミド、ジ-p-メトキシフェニルカルボジイミド、ジ-3,4-ジクロロフェニルカルボジイミド、ジ-2,5-ジクロロフェニルカルボジイミド、ジ-o-クロロフェニルカルボジイミド、p-フェニレン-ビス-ジ-o-トリルカルボジイミド、p-フェニレン-ビス-ジシクロヘキシルカルボジイミド、p-フェニレン-ビス-ジ-p-クロロフェニルカルボジイミド、またはエチレン-ビス-ジフェニルカルボジイミド;およびポリカルボジイミド化合物、例えばポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,5’-ジメチル-4,4’-ビフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,5’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(1,3-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1-メチル-3,5-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリエチルフェニレンカルボジイミド)、またはポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)が挙げられる。これらの化合物は、これらのうち2種またはそれより多くの組合せで使用することができる。これらのなかでも、使用され得る特に好ましいものは、ジ-2,6-ジメチルフェニルカルボジイミド、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(フェニレンカルボジイミド)、およびポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)である。
【0050】
[0052]一形態において、カルボジイミド化合物は、ポリカルボジイミドである。例えば、ポリカルボジイミドは、約10,000g/molまたはそれより大きく、一般的に約100,000g/mol未満の重量平均分子量を有していてもよい。ポリカルボジイミドの例としては、ランクセス(Lanxess)によるスタバクゾールKE9193(Stabaxol KE9193)およびスタバクゾールP100、ならびにシェッフェ・アディティブ・システムズ(Schaeffe Additive Systems)によるルビオAS3-SP(Lubio AS3-SP)が挙げられる。
【0051】
[0053]カルボジイミド化合物は、約0.3重量%より多くの量で、例えば約0.8重量%より多くの量で、また、一般的に約4重量%未満の量で、例えば約3重量%未満の量で、例えば約1.8重量%未満の量でポリマー組成物中に存在していてもよい。
【0052】
[0054]特定の利点のなかでも、本開示のポリマー組成物は、1種またはそれより多くの着色剤を含有していてもよく、それでもなお望ましいレーザー透過特性を保持することができる。着色剤は、色素、顔料、またはそれらの組合せであってもよい。ポリマー組成物は、あらゆる好適な色を有するように配合することができる。一形態において、例えば、ポリマー組成物は、黒色の色または黒色の外観を有するように配合することができる。
【0053】
[0055]一実施態様において、1種またはそれより多くの着色剤は、マスターバッチとしてポリマー組成物に添加されてもよい。一形態において、マスターバッチは、黒色の色素を約30~約70重量%の量で含有していてもよい。黒色の色素は、あらゆる好適な黒色の着色剤であってもよく、その例としては、クラリアント(Clariant)のRENOL NB93447125が挙げられる。マスターバッチへの黒色の着色剤の添加は、レーザー透過性を劣化させない。着色剤は、マスターバッチとしてポリマー組成物に添加される場合、担体ポリマーなどの担体と組み合わせることができる。一形態において、担体は、コポリエステルエラストマーであってもよい。
【0054】
[0056]各着色剤は、一般的に約3重量%未満の量で、例えば約2重量%未満の量で、例えば約1重量%未満の量で、また、一般的に約0.01重量%より多くの量で、例えば約0.1重量%より多くの量でポリマー組成物中に存在していてもよい。マスターバッチは、マスターバッチとして添加される場合、一般的に約1~約5重量%の量でポリマー組成物に添加されてもよい。
【0055】
[0057]ポリマー組成物はまた、1種またはそれより多くの潤滑剤を含有していてもよい。例えば、脂肪酸エステルは、潤滑剤として存在していてもよい。脂肪酸エステルは、粗製の天然ワックスの酸化漂白と、それに続く脂肪酸のアルコールでのエステル化によって得ることもできる。アルコールは、典型的には、1~4個のヒドロキシル基および2~20個の炭素原子を有する。アルコールが多官能性である(例えば、2~4個のヒドロキシル基を有する)場合、2~8の炭素原子数が特に望ましい。特に好適な多官能性アルコールとしては、二価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールおよび1,4-シクロヘキサンジオール)、三価アルコール(例えば、グリセロールおよびトリメチロールプロパン)、四価アルコール(例えば、ペンタエリスリトールおよびエリスリトール)、などを挙げることができる。芳香族アルコールもまた好適な場合があり、その例としては、例えば、o-、m-およびp-トリルカルビノール、クロロベンジルアルコール、ブロモベンジルアルコール、2,4-ジメチルベンジルアルコール、3,5-ジメチルベンジルアルコール、2,3,5-クモベンジルアルコール(cumobenzyl alcohol)、3,4,5-トリメチルベンジルアルコール、p-クミルアルコール、1,2-フタリルアルコール、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、プソイドクメニルグリコール、メシチレングリコールおよびメシチレングリセロールが挙げられる。本発明で使用するための特に好適な脂肪酸エステルは、モンタン酸ワックスから誘導される。例えば、モンタン酸は、ブチレングリコールで部分的にエステル化されていてもよく、モンタン酸は、水酸化カルシウムで部分的に鹸化されていてもよい。一形態において、潤滑剤は、モンタン酸のエステルとポリオールとの組合せであってもよい。
【0056】
[0058]他の公知のワックスも潤滑剤として採用することができる。例えば、脂肪酸と2~18個、特に2~8個の炭素原子を有するモノアミンまたはジアミン(例えば、エチレンジアミン)との反応によって形成されるアミドワックスが採用される可能性がある。例えば、エチレンビスアミドワックスは、エチレンジアミンと脂肪酸とのアミド化反応(amidization reaction)によって形成され、これが採用される可能性がある。脂肪酸は、C12~C30の範囲であってもよく、例えば、ステアリン酸(C18脂肪酸)であってもよく、エチレンビスステアルアミドワックスを形成してもよい。エチレンビスステアルアミドワックスは、ロンザ社(Lonza, Inc.)からアクラワックス(Acrawax)(登録商標)Cという名称で商業的に入手可能であり、これは142℃の個別の溶融温度を有する。他のエチレンビスアミドとしては、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、オレオステアリン酸(oleostearic acid)、ミリスチン酸およびウンデカリン酸(undecalinic acid)から形成されたビスアミドが挙げられる。さらに他の好適なアミドワックスは、N-(2-ヒドロキシエチル)12-ヒドロキシステアルアミド、およびN,N’-(エチレンビス)12-ヒドロキシステアルアミドであり、これらは、ラザフォード・ケミカルズLLC(Rutherford Chemicals LLC)の一部門であるキャスケム(CasChem)からそれぞれパリシン(Paricin)(登録商標)220およびパリシン(登録商標)285という名称で商業的に入手可能である。使用することができる他のワックスとしては、ポリエチレンワックスが挙げられる。
【0057】
[0059]1種またはそれより多くの潤滑剤は、一般的に約0.1重量%より多くの量で、例えば約0.2重量%より多くの量で、例えば約0.8重量%より多くの量で、例えば約1重量%より多くの量でポリマー組成物中に存在していてもよい。1種またはそれより多くの潤滑剤は、一般的に、約5重量%未満の量で、例えば約4重量%未満の量で、例えば約3.5重量%未満の量で存在する。
【0058】
[0060]本開示のポリマー組成物は、様々な他の添加剤を含有していてもよい。例えば、ポリマー組成物は、少なくとも1種の安定剤を含有していてもよい。安定剤は、抗酸化剤、光安定剤、例えば紫外光安定剤、熱安定剤などを含んでいてもよい。
【0059】
[0061]立体障害性フェノール系抗酸化剤が、組成物中に採用されてもよい。このようなフェノール系抗酸化剤の例としては、例えば、カルシウムビス(エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート)(イルガノックス(Irganox)(登録商標)1425);テレフタル酸1,4-ジチオ-,S,S-ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)エステル(シアノックス(Cyanox)(登録商標)1729);トリエチレングリコールビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルヒドロシンナメート);ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート(イルガノックス(登録商標)259);1,2-ビス(3,5,ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジド(イルガノックス(登録商標)1024);4,4’-ジ-tert-オクチルジフェナミン(ナウガルブ(Naugalube)(登録商標)438R);ホスホン酸(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-,ジオクタデシルエステル(イルガノックス(登録商標)1093);1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’ヒドロキシベンジル)ベンゼン(イルガノックス(登録商標)1330);2,4-ビス(オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン(イルガノックス(登録商標)565);イソオクチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス(登録商標)1135);オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(イルガノックス(登録商標)1076);3,7-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-10H-フェノチアジン(イルガノックス(登録商標)LO3);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)モノアクリレート(イルガノックス(登録商標)3052);2-tert-ブチル-6-[1-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)エチル]-4-メチルフェニルアクリレート(スミライザー(Sumilizer)(登録商標)TM4039);2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート(スミライザー(登録商標)GS);1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール(スミライザー(登録商標)MB);2-メチル-4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール(イルガノックス(登録商標)1520);N,N’-トリメチレンビス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド(イルガノックス(登録商標)1019);4-n-オクタデシルオキシ-2,6-ジフェニルフェノール(イルガノックス(登録商標)1063);2,2’-エチリデンビス[4,6-ジ-tert-ブチルフェノール](イルガノックス(登録商標)129);N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナムアミド)(イルガノックス(登録商標)1098);ジエチル(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート(イルガノックス(登録商標)1222);4,4’-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン(イルガノックス(登録商標)5057);N-フェニル-1-ナフタレンアミン(イルガノックス(登録商標)L05);トリス[2-tert-ブチル-4-(3-ter-ブチル-4-ヒドロキシ-6-メチルフェニルチオ)-5-メチルフェニル]ホスフィット(ホスタノックス(Hostanox)(登録商標)OSP1);亜鉛ジノニルジチオカルバメート(ホスタノックス(登録商標)VP-ZNCS1);3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(スミライザー(登録商標)AG80);ペンタエリスリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス(登録商標)1010);エチレン-ビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)-プロピオネート(イルガノックス(登録商標)245);3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(ローイノックスBHT(Lowinox BHT)、ケムチュラ(Chemtura))などが挙げられる。
【0060】
[0062]本発明の組成物における使用のための好適な立体障害性フェノール系抗酸化剤の一部の例は、以下の一般式を有するトリアジン抗酸化剤である:
【0061】
【化2】
【0062】
式中、Rは、それぞれ独立して、フェノール基であり、フェノール基は、C~Cアルキルまたはエステル置換基を介してトリアジン環に結合していてもよい。好ましくは、各Rは、以下の式(I)~(III)の1つである:
【0063】
【化3】
【0064】
[0063]このようなトリアジンベースの抗酸化剤の商業的に入手可能な例は、アメリカン・シアナミド(American Cyanamid)からシアノックス(登録商標)1790(式中、各R基は、式IIIによって表される)という名称で得ることができ、また、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)からイルガノックス(登録商標)3114(式中、各R基は、式Iによって表される)、およびイルガノックス(登録商標)3125(式中、各R基は、式IIによって表される)という名称で得ることができる。
【0065】
[0064]立体障害性フェノール系抗酸化剤は、安定化されたポリマー組成物全体の、約0.01wt.%~約3wt.%を構成していてもよく、一部の実施態様において、約0.05wt.%~約1wt.%、一部の実施態様において、約0.05wt.%~約0.1wt.%を構成していてもよい。一実施態様において、例えば、抗酸化剤は、ペンタエリスリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを含む。
【0066】
[0065]ヒンダードアミン光安定剤(「HALS」)は、ポリエステル組成物の劣化を阻害することでその耐久性を延長するために組成物中に採用されてもよい。好適なHALS化合物は、置換されたピペリジン、例えばアルキルで置換されたピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、アルコキシピペリジニル化合物などから得てもよい。例えば、ヒンダードアミンは、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジニルから得てもよい。ヒンダードアミンは、その由来となる化合物に関係なく、典型的には、約1,000またはそれより高い数平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマー性の化合物であり、一部の実施態様において、約1000~約20,000、一部の実施態様において、約1500~約15,000、一部の実施態様において、約2000~約5000の数平均分子量を有するオリゴマーまたはポリマー性の化合物である。このような化合物は、典型的には、ポリマー反復単位1個当たり、少なくとも1個の2,2,6,6-テトラアルキルピペリジニル基(例えば、1~4個)を含有する。
【0067】
[0066]理論によって限定されることは意図しないが、高分子量ヒンダードアミンは、比較的熱安定性であり、したがって押出し条件に晒された後でさえも光劣化を阻害することができると考えられる。1つの特に好適な高分子量ヒンダードアミンは、以下の一般的な構造を有する:
【0068】
【化4】
【0069】
式中、pは4~30であり、一部の実施態様において4~20、一部の実施態様において4~10である。このオリゴマー化合物は、クラリアントからホスタビン(Hostavin)(登録商標)N30という名称で商業的に入手可能であり、1200の数平均分子量を有する。
【0070】
[0067]別の好適な高分子量ヒンダードアミンは、以下の構造を有する:
【0071】
【化5】
【0072】
式中、nは、1~4であり、R30は、独立して水素またはCHである。このようなオリゴマー化合物は、アデカ・パルマロールSAS(Adeka Palmarole SAS)(アデカ(Adeka)社とパルマロール(Palmarole)グループとの合弁事業)から、ADK STAB(登録商標)LA-63(R30は、CHである)およびADK STAB(登録商標)LA-68(R30は、水素である)という名称で商業的に入手可能である。
【0073】
[0068]好適な高分子量ヒンダードアミンの他の例としては、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸とのオリゴマー(チバ・スペシャルティ・ケミカルズからのチヌビン(Tinuvin)(登録商標)622、MW=4000);シアヌル酸とN,N-ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ヘキサメチレンジアミンとのオリゴマー;ポリ((6-モルホリン-S-トリアジン-2,4-ジイル)(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-イミノヘキサメチレン-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-イミノ)(サイテック(Cytec)からのシアソルブ(Cyasorb)(登録商標)UV3346、MW=1600);ポリメチルプロピル-3-オキシ-[4(2,2,6,6-テトラメチル)-ピペリジニルシロキサン(グレートレイクスケミカル(Great Lakes Chemical)からのウバシル(Uvasil)(登録商標)299、MW=1100~2500);α-メチルスチレン-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)マレイミドと、N-ステアリルマレイミドとのコポリマー;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸を有する2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノールテトラメチルポリマーなどが挙げられる。さらに他の好適な高分子量ヒンダードアミンは、Malikらの米国特許第5,679,733号およびSassiらの米国特許第6,414,155号に記載されており、これらは、あらゆる目的のために参照により本明細書にそれらの全体が組み入れられる。
【0074】
[0069]高分子量ヒンダードアミンに加えて、低分子量ヒンダードアミンも組成物中に採用されてもよい。このようなヒンダードアミンは、一般的にモノマーの性質を有し、約1000またはそれ未満の分子量を有し、一部の実施態様において約155~約800、一部の実施態様において約300~約800の分子量を有する。
【0075】
[0070]このような低分子量ヒンダードアミンの具体的な例としては、例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズからのチヌビン(登録商標)770、MW=481);ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-(3,5-ジtert.ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ブチル-プロパンジオエート;セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル);8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ-(4,5)-デカン-2,4-ジオン、ブタン二酸-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)エステル;テトラキス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ(5.1.11.2)ヘネイコサン-20-プロパン酸、2,2,4,4-テトラメチル-21-オキソ、ドデシルエステル;N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-N’-アミノ-オキサミド;o-t-アミル-o-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)モノペルオキシカーボネート;β-アラニン、N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)、ドデシルエステル;エタンジアミド、N-(1-アセチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル)-N’-ドデシル;3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-ピロリジン-2,5-ジオン;3-ドデシル-1-(1-アセチル,2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ピロリジン-2,5-ジオン(クラリアントからのサンドバル(Sanduvar)(登録商標)3058、MW=448.7);4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;1-[2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシ)エチル]-4-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニルプロピオニルオキシ)-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン;2-メチル-2-(2”,2”,6”,6”-テトラメチル-4”-ピペリジニルアミノ)-N-(2’,2’,6’,6’-テトラ-メチル-4’-ピペリジニル)プロピオニルアミド;1,2-ビス(3,3,5,5-テトラメチル-2-オキソ-ピペラジニル)エタン;4-オレオイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;およびそれらの組合せを挙げることができる。他の好適な低分子量ヒンダードアミンは、Malikらの米国特許第5,679,733号に記載されている。
【0076】
[0071]ヒンダードアミンは、望ましい特性を達成するためのあらゆる量で、単独で、または組み合わせて採用することができるが、ヒンダードアミンは、典型的には、ポリマー組成物の約0.01wt.%~約4wt.%を構成する。
【0077】
[0072]UV吸収剤、例えばベンゾトリアゾールまたはベンゾフェノン(benzopheones)は、紫外光エネルギーを吸収するために、組成物中に採用されてもよい。好適なベンゾトリアゾールとしては、例えば、2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(サイテックからのシアソルブ(登録商標)UV5411);2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾ-トリアゾール;2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール;2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール;2,2’-メチレンビス(4-tert-オクチル-6-ベンゾ-トリアゾリルフェノール);2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル;2-[2-ヒドロキシ-3-(2-アクリロイルオキシエチル)-5-メチルフェニル]-ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル]ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-オクチルフェニル]ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-3-(2-メタクリロイルオキシエチル)-5-tert-ブチルフェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-3-tert-アミル-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール;およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0078】
[0073]同様に、例示的なベンゾフェノン光安定剤としては、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン;2-(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート(サイテックからのシアソルブ(登録商標)UV209);2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシ)ベンゾフェノン(サイテックからのシアソルブ(登録商標)531);2,2’-ジヒドロキシ-4-(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(サイテックからのシアソルブ(登録商標)UV314);ヘキサデシル-3,5-ビス-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(サイテックからのシアソルブ(登録商標)UV2908);2,2’-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)-n-ブチルアミンニッケル(II)(サイテックからのシアソルブ(登録商標)UV1084);3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシケイ皮酸、(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)エステル(サイテックからのシアソルブ(登録商標)712);4,4’-ジメトキシ-2,2’-ジヒドロキシベンゾフェノン(サイテックからのシアソルブ(登録商標)UV12);およびそれらの組合せを挙げることができる。
【0079】
[0074]UV吸収剤は、採用される場合、ポリマー組成物全体の約0.01wt.%~約4wt.%を構成していてもよい。
[0075]ポリマー組成物が形成されたら、ポリマー組成物を、多種多様の異なる用途での使用のために形作られた部品に成形することができる。例えば、形作られた部品は、乾燥させ予熱したプラスチック顆粒を型に注入することができる射出成形プロセスを使用して成形することができる。
【0080】
[0076]ポリマー組成物および/または形作られた成形部品は、様々な用途で使用することができる。例えば、成形部品は、照明組み立て体、電池システム、センサーおよび電子部品、携帯電子デバイス、例えばスマートフォン、MP3プレーヤー、携帯電話、コンピューター、テレビ、自動車部品などで採用することができる。1つの特定の実施態様において、成形部品は、カメラモジュール、例えばワイヤレスコミュニケーションデバイス(例えば、携帯電話)で一般的に採用されるもので採用することができる。例えば、カメラモジュールは、ベース、ベースにマウントされたキャリア組み立て体、キャリア組み立て体にマウントされたカバーなどを採用することができる。ベースは、約500マイクロメートルまたはそれ未満の厚さを有していてもよく、一部の実施態様において約10~約450マイクロメートル、一部の実施態様において約20~約400マイクロメートルの厚さを有していてもよい。同様に、キャリア組み立て体は、約500マイクロメートルまたはそれ未満の壁厚さを有していてもよく、一部の実施態様において約10~約450マイクロメートル、一部の実施態様において約20~約400マイクロメートルの壁厚さを有していてもよい。
【0081】
[0077]一形態において、本開示のポリマー組成物は、電子デバイスのためのハウジングを生産するのに使用することができる。例えば、ポリマー組成物は、センサーのためのハウジングであってもよい。1つの特定の実施態様において、センサーは、先進ドライバー補助システムの一部であってもよい。
【0082】
[0078]上述したように、本開示に従って作製されたポリマー物品は、レーザー透過溶接が利用される用途での使用に特によく適している。本開示に従って作製されたポリマー物品は、例えば、レーザーが作動する波長で高い透過特性を有する。例えば、レーザー溶接中に、レーザー光線は、本開示に従って作製された成形品を通過して、溶接を形成するために隣接する表面と接触することができる。レーザー光線は、隣接する表面で局所的な温度上昇を生じさせ、それによりポリマー融解を生じさせて、溶接の形成をもたらす。特定の利点のなかでも、本開示に従って作製された成形品は、レーザー透過性であることに加えて、優れた機械特性も有する。レーザー透過プロセス中に、あらゆる様々なタイプのレーザー光線を使用することができる。レーザーは、例えば、レーザーダイオードであってもよい。
【0083】
[0079]レーザー光線は、例えば、約400nmより大きく、例えば約600nmより大きく、例えば約800nmより大きく、また、一般的に約2000nm未満、例えば約1800nm未満の光の波長で作動することができる。
【0084】
[0080]本発明の開示は、以下の実施例を参照しながらよりよく理解することができる。
【実施例
【0085】
[0081]様々な異なるポリマー組成物を配合し、レーザー透過および引張強度に関して試験した。引張強度は、ISO試験527-2/1Aに従って5mm/分の速度で測定した(破断点引張応力)。
【0086】
[0082]以下のサンプル配合物を試験し、以下の結果を得た。
【0087】
【表1】
【0088】
[0083]上記の配合物を試験プラークに成形し、以下の結果を得た。
【0089】
【表2】
【0090】
[0084]
本発明へのこれらのおよび他の改変およびバリエーションは、添付の特許請求の範囲により詳細に記載される本発明の本質および範囲から逸脱することなく、当業者によって行うことができる。加えて、様々な実施態様の形態は、全体的または部分的のいずれでも交換できることが理解されるものとする。さらに、当業者は、前述の説明は単なる一例であり、このような添付の特許請求の範囲にさらに記載される発明を限定することは意図されないことを理解しているであろう。
【符号の説明】
【0091】
10 第1の成形部品
20 第2の成形部品
30 レーザーデバイス
図1
図2
【国際調査報告】