(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】水耕栽培システム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20240816BHJP
【FI】
A01G31/00 611Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508918
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2022075964
(87)【国際公開番号】W WO2023039366
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520028531
【氏名又は名称】デュポン セイフティー アンド コンストラクション インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】500207899
【氏名又は名称】パイオニア ハイ-ブレッド インターナショナル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】チェルクパリ スリニヴァス
(72)【発明者】
【氏名】ブラッブス ノエル スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ガイクワード ナラヤン パンドゥラン
(72)【発明者】
【氏名】マンジャラムカール ヴィレンドラ ガンガラム
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314NA02
2B314NA25
2B314NA33
2B314NC08
2B314NC49
2B314ND04
2B314ND10
2B314ND19
2B314ND27
2B314ND32
2B314ND50
2B314PB02
2B314PC08
2B314PC24
2B314PC29
2B314PC30
2B314PC32
(57)【要約】
植物を生長させるための水耕栽培システム及び方法。システムは、1つ又は複数の植物支持構造物(112、212、412、512)、1つ又は複数の筐体膜(114、414、514)及び1つ又は複数のフレーム(416、516)を含む。1つ又は複数の植物支持構造物(112、212、412、512)は、植物(118、218、518)を保持し、且つ1つ又は複数の穴を有する。1つ又は複数の筐体膜(114、414、514)は、通気性及び耐水性であり、溶液(122、222、322、422、522)及び1つ又は複数の植物支持構造物(112、212、412、512)の少なくとも一部を収容し、且つ1つ又は複数の植物支持構造物(112、212、412、512)の少なくとも一部が適合する1つ又は複数の開口部(124、224、2、424、524)を有する。1つ又は複数のフレーム(416、516)は、1つ又は複数の筐体膜(114、414、514)を支持する。植物を生長させる方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水耕栽培システムであって、
植物を保持する1つ又は複数の植物支持構造物であって、1つ又は複数の穴を有する1つ又は複数の植物支持構造物と、
通気性及び耐水性であり、溶液及び前記1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を収容し、且つ前記1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部が適合する1つ又は複数の開口部を有する1つ又は複数の筐体膜と、
前記1つ又は複数の筐体膜を支持する1つ又は複数のフレームと
を含む水耕栽培システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数の植物支持構造物は、無土壌植物培地を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ又は複数の植物支持構造物は、前記1つ若しくは複数の筐体膜又は前記1つ若しくは複数のフレームに接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ又は複数の筐体膜は、空気100cc当たり約1~約100秒のガーリー・ヒル多孔度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の筐体膜は、空気100cc当たり約10~約50秒のガーリー・ヒル多孔度を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数の筐体膜は、約50~約1000cmH
2Oの耐透水性を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ又は複数の筐体膜は、約100~約500cmH
2Oの耐透水性を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つ又は複数の筐体膜は、約80%よりも大きい全反射率を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ又は複数の筐体膜は、約400~約3500g/m
2/日の水蒸気透過率を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ又は複数の筐体膜は、約750~約2000g/m
2/日の水蒸気透過率を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ又は複数の筐体膜は、約40%未満の最大伸張を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ又は複数の筐体膜は、ポリオレフィンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ又は複数の筐体膜は、ポリエチレンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ又は複数の筐体膜は、ポリプロピレンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ又は複数の筐体膜は、ポリエチレンの不織フラッシュ紡糸プレキシフィラメントシートである、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ又は複数の筐体膜の少なくとも1つは、1つの構成要素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ又は複数の筐体膜の少なくとも1つは、2つ以上の構成要素を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ又は複数の筐体膜は、少なくとも10の筐体膜である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
水耕栽培システムであって、
植物を保持する1つ又は複数の植物支持構造物と、
通気性及び耐水性であり、溶液及び前記1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を収容し、且つ前記1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部が適合する1つ又は複数の開口部を有する1つ又は複数の筐体膜と、
前記1つ又は複数の筐体膜を支持する1つ又は複数のフレームと
を含み、
前記1つ又は複数の植物支持構造物は、無土壌植物培地を含み、且つ前記1つ又は複数の植物支持構造物の側面又は底部に1つ又は複数の穴を有し、
前記1つ又は複数の筐体膜は、ポリオレフィンであり、且つ空気100cc当たり約1~約100秒のガーリー・ヒル多孔度、約100~約500cmH
2Oの耐透水性及び約400~約3500g/m
2/日g/m
2/日の水蒸気透過率を有し、
前記溶液は、水及び栄養分を含む、水耕栽培システム。
【請求項20】
水耕栽培システムであって、
植物を保持するための1つ又は複数の植物支持構造物、
溶液及び前記1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を収容するための1つ又は複数の筐体膜、
前記1つ又は複数の筐体膜を支持するための1つ又は複数のフレーム
を含み、
前記1つ又は複数の植物支持構造物は、溶液が前記1つ若しくは複数の植物支持構造物の内部の前記植物に到達するか、又は前記植物の根が前記1つ若しくは複数の植物支持構造物の外側で前記筐体膜内に延びることを可能にするための1つ又は複数の穴を有し、
前記1つ又は複数の筐体膜は、通気性であり、耐水性であり、且つ前記1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部が適合する1つ又は複数の開口部を有する、水耕栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、概して、水耕栽培に関し、より詳細には、効率的な水耕栽培のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水耕栽培は、含酸素水性高栄養分溶液において、主に土壌なしで植物を生長させる方法である。水耕栽培システムは、温室及び屋外環境を含む種々の環境で植物を生長させるために使用され得る。1つの周知のタイプの水耕栽培システムは、薄膜水耕、即ちNFTシステムである。NFTシステムでは、含酸素水性高栄養分溶液の浅い流れが、プラスチック又は耐水性非通気性ポリマーシートで作られたチャネル、例えばパイプ又は溝を通して連続して流れる。植物は、チャネルの上に懸架され、植物の根は、連続して流れる溶液中に部分的に吊り下げられる。
【0003】
水耕栽培システムの別の周知のバージョンは、深層水耕栽培、即ちDWCシステムである。DWCシステムでは、含酸素水性高栄養分溶液が、プラスチック又は耐水性非通気性ポリマーシートから作られた槽又は容器、例えば桶又は長尺状トラフ内に維持される。植物は、桶又は長尺状トラフの上に懸架され、植物の根は、溶液に一部又は完全に浸漬される。
【0004】
しかしながら、そのような周知の水耕栽培システムは、(i)植物の根にわたって十分な量の溶液及び/又は溶液の連続流を維持し、(ii)溶液中において必要な酸素レベルを維持し、且つ/又は(iii)新鮮な溶液を植物の根に提供するために、ポンプ、エアレータ、モータ及びパドルに大きく依存する。そのような周知の水耕栽培システムは、電子デバイスにかなり依存するため、電源喪失等のこれらのデバイスへのいかなる妨げもシステム全体の即時の機能停止を生じさせる恐れがあり、植物の大きい損傷又は植物の喪失に繋がる恐れがある。加えて、そのようなデバイスの動作に必要な電力は、これらの水耕栽培システムの動作において大きい費用負担であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、より生産性が高く、効率的であり、信頼性が高く、費用効率的な水耕栽培システム及び方法が必要とされ、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、水耕栽培システムを提供する。本システムは、植物を保持する1つ又は複数の植物支持構造物を含む。1つ又は複数の植物支持構造物は、1つ又は複数の穴を有する。本システムは、通気性及び耐水性であり、溶液及び1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を収容し、且つ1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部が適合する1つ又は複数の開口部を有する1つ又は複数の筐体膜も含む。本システムは、1つ又は複数の筐体膜を支持する1つ又は複数のフレームを更に含む。
【0007】
一実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を収容する。別の実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物は、無土壌植物培地を更に含む。別の実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物は、1つ若しくは複数の筐体膜又は1つ若しくは複数のフレームに接続される。
【0008】
一実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、空気100cc当たり約1~約100秒のガーリー・ヒル多孔度を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、空気100cc当たり約10~約50秒のガーリー・ヒル多孔度を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約50~約1000cmH2Oの耐透水性を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約100~約500cmH2Oの耐透水性を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約80%よりも大きい全反射率を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約400~約3500g/m2/日の水蒸気透過率を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約750~約2000g/m2/日の水蒸気透過率を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約40%未満の最大伸張を有する。
【0009】
一実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、ポリオレフィンである。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、ポリエチレンである。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、ポリプロピレンである。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、ポリエチレンの不織フラッシュ紡糸プレキシフィラメントシートである。
【0010】
一実施形態では、1つ又は複数の筐体膜の少なくとも1つは、1つの構成要素である。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜の少なくとも1つは、2つ以上の構成要素を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、少なくとも10の筐体膜である。
【0011】
別の態様では、本開示は、水耕栽培システムを提供する。本システムは、植物を保持する1つ又は複数の植物支持構造物を含む。本システムは、通気性及び耐水性であり、溶液及び1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を収容し、且つ1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部が適合する1つ又は複数の開口部を有する1つ又は複数の筐体膜も含む。本システムは、1つ又は複数の筐体膜を支持する1つ又は複数のフレームを更に含む。1つ又は複数の植物支持構造物は、無土壌植物培地を含み、且つ1つ又は複数の植物支持構造物の側面又は底部に1つ又は複数の穴を有する。1つ又は複数の筐体膜は、ポリオレフィンであり、且つ空気100cc当たり約1~約100秒のガーリー・ヒル多孔度、約100~約500cmH2Oの耐透水性及び約400~約3500g/m2/日g/m2/日の水蒸気透過率を有する。溶液は、水及び栄養分を含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、水耕栽培システムを提供する。本システムは、植物を保持するための1つ又は複数の植物支持構造物と、溶液及び1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を収容するための1つ又は複数の筐体膜と、1つ又は複数の筐体膜を支持するための1つ又は複数のフレームとを含む。1つ又は複数の植物支持構造物は、溶液が1つ若しくは複数の植物支持構造物の内部の植物に到達するか、又は植物の根が1つ若しくは複数の植物支持構造物の外側で筐体膜内に延びることを可能にするための1つ又は複数の穴を有する。1つ又は複数の筐体膜は、通気性であり、耐水性であり、且つ1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部が適合する1つ又は複数の開口部を有する。
【0013】
別の態様では、本開示は、水耕栽培方法を提供する。本方法は、1つ又は複数の穴を有する1つ又は複数の植物支持構造物に植物を挿入することを含む。本方法は、1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を1つ又は複数の筐体膜の1つ又は複数の開口部に配置することも含む。1つ又は複数の筐体膜は、通気性であり、耐水性であり、且つ1つ又は複数のフレームによって支持される。本方法は、溶液を1つ又は複数の筐体膜に提供して、静水面を作成することを更に含む。
【0014】
一実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物は、無土壌植物培地を更に含む。別の実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物は、1つ若しくは複数の筐体膜又は1つ若しくは複数のフレームに接続される。
【0015】
一実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、空気100cc当たり約1~約100秒のガーリー・ヒル多孔度を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、空気100cc当たり約10~約50秒のガーリー・ヒル多孔度を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約50~約1000cmH2Oの耐透水性を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約100~約500cmH2Oの耐透水性を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約80%よりも大きい全反射率を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約400~約3500g/m2/日の水蒸気透過率を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約750~約2000g/m2/日の水蒸気透過率を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、約40%未満の最大伸張を有する。
【0016】
一実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、ポリオレフィンである。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、ポリエチレンである。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、ポリプロピレンである。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、ポリエチレンの不織フラッシュ紡糸プレキシフィラメントシートである。
【0017】
一実施形態では、1つ又は複数の筐体膜の少なくとも1つは、1つの構成要素である。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜の少なくとも1つは、2つ以上の構成要素を有する。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、少なくとも10の筐体膜である。別の実施形態では、1つ又は複数の筐体膜は、少なくとも100の筐体膜である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】例示的な一実施形態による水耕栽培システムの側面断面図である。
【
図2】例示的な一実施形態による、複数の植物支持構造物を有する水耕栽培システムの斜視図である。
【
図3】例示的な一実施形態による、複数の植物を保持する1つの植物支持構造物を有する水耕栽培システムの斜視図である。
【
図4】例示的な一実施形態による、垂直に配置された複数の筐体膜を有する水耕栽培システムの正面図である。
【
図5】例示的な一実施形態による、水平及び垂直に配置された複数の筐体膜を有する水耕栽培システムの側面図である。
【
図6】例示的な一実施形態による、植物を生長させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部をなし、本発明の特定の実施形態を示す添付図面を参照する。これらの実施形態について、当業者が実施形態を作成し、使用できるようにするのに十分に詳細に説明する。本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される特定の実施形態に対する構造、論理又は手順上の変更形態がなされ得ることも理解される。
【0020】
図1は、植物を生長させる例示的な水耕栽培システム110を示す。水耕栽培システム110は、1つ又は複数の植物支持構造物112、筐体膜114及びフレーム116を含む。
【0021】
図1に示されるように、1つ又は複数の植物支持構造物112は、植物118を保持する容器である。1つ又は複数の植物支持構造物112は、限定ではなく、プラスチック、発泡体、ゴム、ガラス、セラミック、金属、合金、セルロース又は他の植物由来材料及びそれらの複合体を含め、当技術分野で既知の任意の適した材料の1つ又は複数から、限定ではなく、剛性材料、可撓性材料、織物、不織布、カラー及びネットを含め、当技術分野で既知の任意の適した形態の材料の1つ又は複数で構築され得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「保持する」は、直接又は間接的に支持、保持及び/又は収容することを意味する。また、本明細書で使用される場合、「植物」は、1つ又は複数の種、挿し木又は植物を指し、多孔性材料のシードプラグ又は自立ブロックを含んでも又は含まなくてもよい。多孔性材料のシードプラグ又は自立ブロックは、限定ではなく、連続気泡ポリマー発泡体、鉱物綿、岩綿、圧縮ココナッツ繊維及びピートモスを含め、当技術分野で既知の任意の適した材料の1つ又は複数であり得る。1つ又は複数の植物支持構造物112は、任意の適した形状又はサイズであり得る。
【0023】
図1に示されるように、1つ又は複数の植物支持構造物112は、1つ又は複数の植物支持構造物112の側面及び/又は底部に1つ又は複数の穴を有する。1つ又は複数の植物支持構造物112の穴は、溶液122が1つ又は複数の植物支持構造物112の内部の植物118に到達することを可能にし、且つ植物118の根120が1つ又は複数の植物支持構造物112の外側で筐体膜114内に延びることを可能にし、筐体膜114において、根120が生長し、水及び栄養分を溶液122から更に吸収することができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物112は、無土壌植物培地を含み得る。無土壌植物培地は、限定ではなく、ココナッツコイア、軽量膨張粘土骨材(LECA)、岩綿、パーライト、バーミキュライト、砂、砂利、グロストーン、籾殻、ピートモス又は培地の任意の組合せを含め、当技術分野で既知の水耕栽培システムの任意の培地であり得る。
【0025】
図1に示されるように、筐体膜114は、1つ又は複数の植物支持構造物112及び溶液122を収容する。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、1つ又は複数の植物支持構造物112を完全に収容し得、他の実施形態では、筐体膜114は、1つ又は複数の植物支持構造物112を部分的に収容し得る。1つ又は複数の植物支持構造物112は、筐体膜114に沿って任意の場所に任意の様式において、例えばランダムに又は列において位置し得る。
図1に示されるように、筐体膜114は、三角錐の形状である。しかしながら、幾つかの実施形態では、筐体膜114は、任意の適した形状又はサイズであり得る。筐体膜114は、1つ又は複数の植物支持構造物112が完全又は部分的に適合する1つ又は複数の開口部124を含む。1つ又は複数の開口部124は、任意の適した形状又はサイズであり得、筐体膜114上の任意の場所に任意の様式において、例えばランダムに又は列において位置し得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物112は、当技術分野で既知の任意の適した様式で筐体膜114及び/又はフレーム116に接続され得る。本明細書で使用される場合、「接続される」は、直接又は間接的に固定、取り付け、接続、保持及び/又は支持されることを意味する。他の実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物112は、筐体膜114及び/又はフレーム116に接続されなくてよく、代わりに当技術分野で既知の任意の適した様式で筐体膜114の上及び/又はその中に別個に懸架され得る。他の実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物112は、筐体膜114及び/又はフレーム116に接続されなくてよく、代わりに筐体膜114内の溶液122上を浮遊し得る。
【0026】
図1に示されるように、1つ又は複数の植物支持構造物112の上部は、筐体膜114の上部と平行であり、且つ同一平面にある。しかしながら、幾つかの実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物112の上部は、筐体膜114の上部の上又は下にあり得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物112は、筐体膜114の上部に対して任意の角度且つ任意の方向に位置し得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の植物支持構造物112は、筐体膜114内の容積の約80%未満を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の約50%未満を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の約20%未満を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の約10%未満を占める。
【0027】
筐体膜114は、通気性及び耐水性である、当技術分野で既知の任意の適した材料の1つ又は複数から構築され得る。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、通気性及び耐水性であるポリオレフィン、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアクリル酸塩、ポリ(テトラフルオロエチレン)、テトラフルオロエチレンを含むコポリマー若しくは他のフッ素化ポリマー並びに/又はそれらのハイブリッド及び混合物であり得る。
【0028】
本明細書で用いられる場合、「ポリオレフィン」は、炭素及び水素のみから構成される一連の主に飽和した任意の高分子炭化水素を意味することが意図される。典型的なポリオレフィンは、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンの他、モノマーのエチレン、プロピレン及びメチルペンテンの種々の組合せを含むコポリマーを含む。
【0029】
本明細書で用いられる場合、「ポリエチレン」は、エチレンのホモポリマーだけでなく、例えばエチレンとアルファ-オレフィンとのコポリマー等、反復単位の少なくとも85%がエチレン単位であるコポリマーも包含することが意図される。好ましいポリエチレンは、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含む。
【0030】
本明細書で用いられる場合、「ポリプロピレン」は、プロピレンのホモポリマーだけでなく、反復単位の少なくとも85%がプロピレン単位であるコポリマーも包含することが意図される。好ましいポリプロピレンポリマーは、アイソタクチックポリプロピレン及びシンジオタクチックポリプロピレンを含む。
【0031】
筐体膜114の通気性は、筐体膜114内に酸素が入り、筐体膜114から二酸化炭素を出ることを可能にする。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、ISO 5636-5に従い、空気100cc当たり約1000秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約500秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約100秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約50秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約10秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約1秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約0.5~約1000秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約1~約500秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約1~約100秒未満、他の実施形態では空気100cc当たり約10~約50秒未満のガーリー・ヒル多孔度を有する。この多孔度は、定義された空気量が、特定の圧力勾配が存在する多孔性材料の領域を通過するのにかかる時間の尺度であり、したがって、数が小さいほど、材料の通気性が高いことを意味し、数が大きいほど、材料の通気性が低いことを意味する。筐体膜114の耐水性は、溶液122が漏れずに筐体膜114内にとどまることを可能にする。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、EN 20811に従い、約50cmH2O、他の実施形態では約100cmH2O超、他の実施形態では約50cmH2O~約1000cmH2O、他の実施形態では約100~約500cmH2O、他の実施形態では約100~約350cmH2O及び他の実施形態では約100~約200cmH2Oの、Textest Instruments(スイス国チューリッヒ)からのFX 3000として入手可能な静水圧テスタを使用して測定される耐透水性(即ち静水頭)を有する。
【0032】
幾つかの実施形態では、筐体膜114は、光反射性である、当技術分野で既知の任意の適した材料の1つ又は複数から構築され得る。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、反射バリアとしても機能し得、内部に透過しなかった入射光の部分が、材料自体に吸収されるのではなく、表面から反射されることを意味する。材料による太陽放射線の反射は、筐体膜114の外部が過熱されることを防ぎ、それにより溶液122及び無土壌植物培地(使用される場合)をより低温に保つのに役立つ。Sattelmacherら及びDuらによる研究により、根が高温になると、根の生長が減退し、続けて葉の増大が低下することが示されている。(Sattelmacher,B.,Gerendas,J.,Thoms,K.,Brueck,H.,&Bagdady,N.H.(1993),Interaction Between Root Growth and Mineral Nutrition.Environmental and Experimental Botany,Vol.33,No.1,pp.63-73;Du,Y.C.&Tachibana,S.(1994).Effect of Supraoptimal Root Temperature on the Growth,Root Respiration and Sugar Content of Cucumber Plants.Scientia Horticulturae,Vol.58,pp.289-301)。加えて、栄養分溶液中の酸素溶解度も温度の増大に伴って低下し、植物の生長に悪影響を及ぼし得る。(Du et al.,Effect of Supraoptimal Root Temperature on the Growth,Root Respiration and Sugar Content of Cucumber Plantsを参照されたい)。更に、筐体膜114から反射された光合成有効光は、植物118の葉による吸収に利用可能であり、植物の生長を更に促進する。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、350~1050nm範囲において、ASTM E1164-02により、例えばPerkinElmer(米国マサチューセッツ州ウォルサム)からのLambda 650UV/Vis分光計として入手可能な分光計を使用して測定される、約65%を超える、幾つかの実施形態では約80%を超える、幾つかの実施形態では約90%を超える、幾つかの実施形態では約95%を超える全反射率を有する。
【0033】
幾つかの実施形態では、筐体膜114は、ATSM E96により、例えばTextest Instruments(スイス国チューリッヒ)からのFX 3150を使用して測定される、100g/m2/日(1日当たりの1平方メートル当たりのグラム数)を超える、他の実施形態では400g/m2/日を超える、他の実施形態では1000g/m2/日を超える、他の実施形態では約100~約8000g/m2/日、他の実施形態では約400~約3500g/m2/日、他の実施形態では約750~約2000g/m2/日の水蒸気透過率(MVTR)を有する。
【0034】
幾つかの実施形態では、筐体膜114は、低弾性を有し、筐体膜114が溶液122で部分的又は完全に充填されているとき、フレーム116と直接接触しない領域でその形状を維持することができる。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、標準引張特性試験法EN 12311-1により、EN ISO 534によって特定される厚さから計算される断面積を使用して測定される、約50MPaを超える、他の実施形態では約100MPaを超える、他の実施形態では約200MPaを超える、他の実施形態では約300MPaを超える弾性係数を有する。他の実施形態では、EN 12311-1による筐体膜114の最大伸張は、約40%未満であり、他の実施形態では約30%未満であり、他の実施形態では約20%未満である。
【0035】
筐体膜114は、限定ではなく、シート、織物、薄膜、微多孔性薄膜、膜、ラミネート又はそれらの組合せを含め、任意の適した形態の当技術分野で既知の材料の1つ又は複数であり得る。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、織られた、不織の若しくは編まれた布若しくはシート、それらの組合せ又はそれらの被覆変形形態(例えば、通気性コーティングで被覆される)であり得る。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、SMS(スパンボンド-メルトブロー-スパンボンド)不織布であり得る。
【0036】
幾つかの実施形態では、筐体膜114は、ポリエチレンの不織フラッシュ紡糸プレキシフィラメントシートである。そのようなシートは、デラウェア州ウィルミントンに所在のDuPontからの商標名Tyvek(登録商標)で入手可能である。本明細書で用いられる場合、「プレキシフィラメント」は、不規則な長さの複数の薄いリボン状の薄膜フィブリル要素の三次元一体網目構造又はウェブを意味する。典型的には、これらは、約4マイクロメートル未満の平均薄膜厚さ及び約25マイクロメートル未満のメジアンフィブリル幅を有する。平均薄膜フィブリル断面積は、数学的に円形面積に変換される場合、約1マイクロメートル~25マイクロメートルの有効直径をもたらす。プレキシフィラメント状構造物では、薄膜フィブリル要素は、構造物の長さ、幅及び厚さの全体にわたる種々の場所において、不規則な間隔で不連続に結合及び分離して連続した三次元網目構造を形成する。プレキシフィラメント状ウェブの例は、米国特許第3,081,519号明細書(Bladesら)、米国特許第3,169,899号明細書(Steuber)、米国特許第3,227,784号明細書(Bladesら)、米国特許第3,851,023号明細書(Brethauerら)に記載のフラッシュ紡糸法によって製造されるものであり、これらの内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0037】
筐体膜114は、1つの構成要素又は限定ではなく、それぞれ同じ材料若しくは異なる材料で構成され得る上部及び下部(
図1に示されるように)を含む複数の構成要素から構築され得る。幾つかの実施形態では、筐体膜114は、いかなる接合部又は封止も有さず、他の実施形態では、筐体膜114は、1つ又は複数の接合部又は封止を含み得る。
【0038】
フレーム116は、構造的支持及びバランスを筐体膜114に提供する。フレーム116は、任意の適した形状又はサイズであり得、任意のパターンで配置され得る。フレーム116は、限定ではなく、天然又は合成の繊維(例えば、ロープ/ネット)、ゴム、ウレタン、プラスチック、ガラス、セラミック、金属、合金及びそれらの複合体を含め、当技術分野で既知の任意の適した材料の1つ又は複数から構築され得る。フレーム116は、好ましくは、耐腐食性材料である。フレーム116は、1つの構成要素又はそれぞれ同じ材料若しくは異なる材料で構成され得る複数の構成要素から構築され得る。幾つかの実施形態では、フレーム116は、当技術分野で既知の任意の適した様式によって地面/道路の高さに存在又は位置し得、他の実施形態では、限定ではなく、ロープ、チェーン、棚等を含め、当技術分野で既知の任意の適した様式によって地面/道路の高さよりも上に/離れて保持又は位置し得る。
【0039】
筐体膜114内の溶液122は、筐体膜114の上部と同じ高さを含め、筐体膜114内で種々の高さであり得る水面を作成する。幾つかの実施形態では、溶液122は、筐体膜114内の容積の少なくとも約5%を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の少なくとも約10%を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の少なくとも約20%を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の少なくとも約50%を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の少なくとも約80%を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の少なくとも約90%を占め、他の実施形態では筐体膜114内の容積の100%を占める。溶液122は、限定ではなく、水、栄養分、殺菌剤、殺虫剤、成長調節物質又は酵素、pH調整剤、肥料及びそれらの変形形態を含む溶液を含め、植物の生長に使用される当技術分野で既知の任意の溶液であり得る。栄養分は、限定ではなく、N(窒素)、P(リン)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、Cl(塩素)、Cu(銅)、Fe(鉄)、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、S(硫黄)、B(ホウ素)、Zn(亜鉛)及びそれらの変形形態を含め、植物の生長に使用される当技術分野で既知の任意の栄養分の1つ又は複数を含み得る。
【0040】
幾つかの実施形態では、例えば少なくとも10の筐体膜、少なくとも25の筐体膜、少なくとも50の筐体膜、少なくとも100の筐体膜、少なくとも500の筐体膜、少なくとも1000の筐体膜、少なくとも2000の筐体膜、少なくとも3000の筐体膜、少なくとも4000の筐体膜、少なくとも5000の筐体膜及び少なくとも10,000の筐体膜を含む複数の筐体膜114が水耕栽培システム110に含まれ得る。筐体膜114は、同じ形状であるか又は異なる形状であり得、不規則に又は任意の構成で垂直若しくは水平に配置され得る。例えば、複数の筐体膜114は、互い又は両方の上下に位置する隣接列で整列して、複数列及び/又は複数高さの水耕栽培システム110を形成し得る。
【0041】
幾つかの実施形態では、複数の植物支持構造物112は、例えば、少なくとも10の植物支持構造物、少なくとも25の植物支持構造物、少なくとも50の植物支持構造物、少なくとも100の植物支持構造物、少なくとも500の植物支持構造物、少なくとも1000の植物支持構造物、少なくとも2000の植物支持構造物、少なくとも3000の植物支持構造物、少なくとも4000の植物支持構造物、少なくとも5000の植物支持構造物及び少なくとも10,000の植物支持構造物を含む水耕栽培システム110に含まれ得る。
【0042】
幾つかの実施形態では、システム110は、可搬性であり得る。
【0043】
図2は、複数の植物支持構造物212を有する例示的な水耕栽培システム210を示す。水耕栽培システム210は、植物218を保持する複数の植物支持構造物212と、複数の植物支持構造物212及び溶液222(図示せず)を収容する筐体膜214と、フレーム216とを含む。筐体膜214は、1つ又は複数の植物支持構造物212が適合する複数の開口部224を含む。
【0044】
図2に示されるように、フレーム216は、筐体膜214の側面に沿ってシェブロンパターンで配置されることを含め、支持するために筐体膜214の部分に隣接する。しかしながら、幾つかの実施形態では、フレーム216は、任意の位置、配置、パターン、サイズ又は形状を含む任意の適した様式で設計及び構築されて、筐体膜214の少なくとも一部で通気を可能にしながら、筐体膜214に支持を提供することができる。
【0045】
図3は、複数の植物318を保持する1つの植物支持構造物312と共に筐体膜314を含む例示的な水耕栽培システム310を示す。水耕栽培システム310は、植物318を保持する植物支持構造物312と、植物支持構造物312及び溶液322(図示せず)を収容する筐体膜314と、フレーム316とを含む。筐体膜314は、植物支持構造物312が適合する開口部324を含む。
図3に示されるように、植物支持構造物312及び開口部324は、長尺状楕円形競馬場のような形状である。しかしながら、幾つかの実施形態では、植物支持構造物312及び開口部324は、任意の適した形状又はサイズであり得、筐体膜314上の任意の場所に位置し得る。
【0046】
図3に示されるように、フレーム316は、筐体膜314の側面に沿ってシェブロンパターンで配置されることを含め、支持するために筐体膜314の部分に隣接する。幾つかの実施形態では、フレーム316は、任意の位置、配置、パターン、サイズ又は形状を含む任意の適した様式で設計及び構築されて、筐体膜314の少なくとも一部で通気を可能にしながら、筐体膜314に支持を提供することができる。
【0047】
図4は、垂直に配置された複数の筐体膜414を有する例示的な水耕栽培システム410を示す。水耕栽培システム410は、複数の筐体膜414及び複数のフレーム416を含む。複数の筐体膜414は、1つ又は複数の植物支持構造物412(図示せず)及び溶液422(図示せず)を収容する。複数の筐体膜414は、1つ又は複数の植物支持構造物412が適合する1つ又は複数の開口部424(図示せず)を含む。1つ又は複数の植物支持構造物412(図示せず)は、植物418を保持する。
【0048】
図5は、水平及び垂直に配置された複数の筐体膜514を有する例示的な水耕栽培システム510を示す。水耕栽培システム510は、複数の筐体膜514及び複数のフレーム516を含む。複数の筐体膜514は、1つ又は複数の植物支持構造物512(図示せず)及び溶液522を収容する。複数の筐体膜514は、1つ又は複数の植物支持構造物512が適合する1つ又は複数の開口部524を含む。1つ又は複数の植物支持構造物512は、植物518を保持する。1つ又は複数の植物支持構造物512は、1つ又は複数の植物支持構造物512の側面及び/又は底部に1つ又は複数の穴を有して、溶液522を植物518及び/又は植物518の根520に供給できるようにする。
【0049】
図6は、例えば、
図1に示されるような水耕栽培システム110と併用し得る、植物を生長させる方法600の一実施形態のフローチャートを示す。方法600は、1つ又は複数の植物支持構造物112の側面及び/又は底部に1つ又は複数の穴を有する1つ又は複数の植物支持構造物112に植物118を挿入するステップ602を含む。
【0050】
方法600は、1つ又は複数の植物支持構造物112の少なくとも一部を1つ又は複数の筐体膜114の1つ又は複数の開口部124内に配置するステップ604を更に含む。
【0051】
方法600は、植物118及び/又は植物118の根120に供給するための静水面を作成するように、1つ又は複数の筐体膜114内に溶液122を提供するステップ606を更に含む。
【0052】
重要なことに、ステップは、任意の順序で実行することができる。例えば、植物を生長させる方法600を実行するとき、1つ又は複数の植物支持構造物112の側面及び/又は底部に1つ又は複数の穴を有する1つ又は複数の植物支持構造物112に植物118を挿入するステップ602は、1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を1つ又は複数の筐体膜114の1つ又は複数の開口部124内に配置するステップ604後及び/又は静水面を作成するように溶液122を1つ又は複数の筐体膜114に提供するステップ606後に行われ得る。同様に、静水面を作成するように溶液122を1つ又は複数の筐体膜114に提供するステップ606は、1つ又は複数の穴を有する1つ又は複数の植物支持構造物112に植物118を挿入するステップ602前及び/又は1つ又は複数の植物支持構造物の少なくとも一部を1つ又は複数の筐体膜114の1つ又は複数の開口部124内に配置するステップ604前に行われ得る。植物を生長させる方法600に追加のステップが含まれ得る。
【0053】
試験方法
水蒸気透過率をATSM E96に従って測定した。
【0054】
ガーリー・ヒル多孔度をISO 5636-5に従って測定した。
【0055】
耐透水性をEN 20811に従って測定した。
【0056】
最大伸張をISO 12311-1に従って測定した。
【0057】
EN ISO 534によって特定された厚さから計算された断面積を使用して、弾性率をEN 12311-1に従って計算した。
【0058】
全反射率をASTM E1164-02に従って測定した。
【0059】
濁度をIS 3025-Part 16に従って測定した。
【0060】
溶存酸素(mg/L)をAPHA 23nd ed 4500-O-Cに従って測定した。
【0061】
25℃におけるpHを23nd ed 4500-H+(B)に従って測定した。
【0062】
全容解固形物(mg/L)をAPHA 23nd ed 2540-Solid(C)に従って測定した。
【0063】
総懸濁固体量(mg/L)をAPHA 23nd ed 2540-Solid(D)に従って測定した。
【0064】
25℃における導電率(μS/cm)を23nd ed 2510 Bに従って測定した。
【0065】
全有機炭素(ppb)をAPHA 23nd ed 5310-TOC-(B)に従って測定した。
【0066】
生菌総数(cfu/ml)をIS:5402:2012に従って測定した。
【0067】
大腸菌群(cfu/100ml)をIS:15185:2002に従って測定した。
【0068】
酵母及びカビ(cfu/100ml)をIS 5403:1999(Reaffirmed-2009)に従って測定した。
【0069】
藻類(100ml中の有無)をAPHA 22nd ed 10200 F(呈色法)に従って測定した。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例証するために与えられ、決してそれを限定すると解釈されるべきでない。
【0071】
実施例1
温室(28℃、相対湿度65%)内でTyvek(登録商標)1073B筐体膜を使用して水耕栽培セットアップを準備した。金属から5m長のフレームを逆三角形断面(V字形:高さ15cm、底部25cm)の形状で構築して、構造的支持及びバランスを筐体膜に提供した。Tyvek(登録商標)1073Bから筐体膜を構築し、フレームの全縁部に沿って配置し、接着テープを使用してフレームに繋いだ。筐体膜の平坦上面は、直径2インチ(約5cm)で12インチ(約30.5cm)離間された開口部を含み、穴を有し、土壌40gに稲を含む植物支持構造物(即ちこの場合にはシードカップ)を開口部に挿入した。植物支持構造物は、高さ3インチ(約7.6cm)、直径2インチ(約5cm)であった。栄養分溶液が植物支持構造物と常に直接接触するように、約12.5cmの高さまで筐体膜に約65Lの栄養分溶液を充填した。実験中、定期的に追加の栄養分溶液を追加して、約12.5cmの高さを維持した。栄養分溶液の組成は、以下の通りであった。
【0072】
【0073】
植物の根を植物支持構造物の外側で栄養分溶液中に生長させた状態で植物を高さ約1mまで生長させた。60日後の水質を試験するために、50ccの水サンプルを水面の嵩から(即ち水面下の水から)試験管に集めた。試験管を密閉封止し、24時間以内に水質試験に送った。
【0074】
比較例2
温室(28℃、相対湿度65%)内でPVCパイプを使用して水耕栽培セットアップを準備した。PVCパイプは、長さ5m直径5インチ(約12.7cm)であった。PVCパイプの上側は、12インチ(約30.5cm)ごとに一列に形成された2インチ(約5cm)開口部を含み、穴を有し、土壌40g中に稲を含む植物支持構造物(即ちこの場合にはシードカップ)を開口部に挿入した。植物支持構造物は、高さ3インチ(約7.6cm)、直径2インチ(約5cm)であった。植物支持構造物は、栄養分溶液と常に直接接触していた(実施例1と同じ)。栄養分溶液は、常に流れており、流入口は、PVCパイプの一端部にあり、流出口は、他端部にあった。流出流は、繊維強化プラスチックタンク中に約1フィート(約30cm)落ち、モータが水を繊維強化プラスチック開放タンクから流入パイプまで水を圧送した。これにより、十分な酸素をエアレーションから取り込むことができた。実施例1と同様に、植物の根を水面中に生長させた状態で植物を高さ1mまで生長させた。60日後の水質を試験するために、植物の根の隣の平均水質状況を表す繊維強化プラスチック開放タンクから50ccの水サンプルを試験管に集めた。試験管を密閉封止し、24時間以内に水質試験に送った。
【0075】
比較例3
4kgの土壌を有するポットにおける発芽した稲を使用して、温室(28℃、相対湿度65%)内で従来の土壌栽培セットアップを準備した。水及び肥料を一定間隔で提供し、稲の根を土壌中に生長させた状態で稲を約1mの高さまで生長させた。60日後、ポット中の水質を試験するために、50ccの水サンプルを集めた。試験管を密閉封止し、24時間以内に水質試験に送った。
【0076】
【0077】
【0078】
表1A及び表1Bに示されるように、実施例の水質分析は、実施例1が比較例2及び比較例3よりも低い濁度、総懸濁固体量、全有機物量及び生菌総数(即ち細菌数)を有することを示す。実施例1における溶存酸素濃度は、エアレーションを通した機械的な追加がないにも関わらず、比較例2と同等であった。
【0079】
実施例4
実施例1に記載のように、温室(28℃、相対湿度65%)内でTyvek(登録商標)1073B筐体膜を使用して水耕栽培セットアップを準備した。播種日から約90日後の収穫段階において、植物当たりの分げつ数及び種子総重量を測定することにより植物生産性を監視した。植物当たりの結実数及び種子の85%成熟日数(播種日から開始)を含む他の生産性出力パラメータも測定した。
【0080】
比較例5
比較例3に記載のように、4kgの土壌を有するポットにおける発芽した稲を使用して、温室(28℃、相対湿度65%)内で従来の土壌栽培セットアップを準備した。実施例4に記載の生産性パラメータを測定した(実施例4と同じ播種日及び収穫日)。実施例4及び比較例5で測定された生産性パラメータの比較を表2に示す。
【0081】
【0082】
表2は、比較例5と比べて実施例4での植物生産性が改善したことを示す。実施例4は、成熟が6日早く、生産性の32.6%増大を示している。
【0083】
比較例6
比較例2に記載のように、PVCパイプを使用して温室(28℃、相対湿度65%)内で水耕栽培セットアップを準備した。1HPモータを使用して、PVCパイプを通して曝気水を連続して循環させた。表3は、比較例6と実施例1との消費電力比較を示す。
【0084】
【0085】
明らかに、消費電力量は、電力を必要としないシステムと比べて、連続エアレーションを用いるPVCパイプベースの水耕栽培システムで劇的に高い。
【0086】
論理的実施例 - 実施例7、比較例8及び実施例9
実施例1、比較例2及び実施例4からの水耕栽培セットアップは、各事例で植物支持構造物における土壌が無土壌培地で置換されることを除き、実施例7、比較例8及び実施例9で別個にそれぞれ準備される。
【0087】
実施例7、比較例8及び比較例3を比べた場合、実施例は、実施例1、比較例2及び比較例3について表1A及び表1Bに示されている結果と同様の結果(物理的パラメータ及び生物学的パラメータ)を示す。実施例の水質分析は、実施例7が比較例8及び比較例3よりも低い濁度、総懸濁固体量、全有機物量及び生菌総数(即ち細菌数)を有することを示す。実施例7における溶存酸素濃度は、エアレーションを通した機械的な追加がないにも関わらず、比較例8と同等である。
【0088】
比較例9を比較例5と比べる場合、例は、実施例4及び比較例5について表2に示されている結果と同様の結果(植物生産性)を示す。実施例9は、比較例5と比べて改善した植物生産性を示す。実施例9は、比較例5と比べた場合、成熟が早い有意の生産性の向上も示す。
【0089】
実施例7を比較例6と比べた場合、実施例は、実施例1及び比較例6について表3に示されている結果と同様の結果(消費電力)を示す。比較例6は、消費電力量が実施例7よりも劇的に高いことを示す。
【0090】
結論
したがって、本明細書に記載の植物を生長させる水耕栽培システムには、エネルギーコストの低減、物理的パラメータ及び生物学的パラメータの改善、生産性の改善(例えば、植物の早期成熟及び植物当たりの収量増大)、キャピタルコストの低減、維持費の低減及びより効率的に耕作する能力における多くの利点がある。一定水面の存在下で根の酸素要件をサポートする能力は、水産養殖業、植物灌漑、一般建築水塊等の他の多くの用途で適用することもできる。
【0091】
本発明の種々の実施形態について上述したが、限定ではなく、例として提示されていることを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部における種々の変更形態がなされ得ることが当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明について、例示的な上記の実施形態を参照して説明したが、他の実施形態も特許請求の範囲内であることを理解されたい。更に、本明細書に記載の例示的な実施形態を組み合わせて他の実施形態を形成し得ることを理解されたい。上記の説明を読んだ後、本発明を代替の実施形態で実施する方法が当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明は、例示的な上述の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【国際調査報告】