(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】少なくとも1つの容器性質を有する容器を乾燥させるための乾燥装置および方法
(51)【国際特許分類】
F26B 15/00 20060101AFI20240816BHJP
F26B 9/00 20060101ALI20240816BHJP
F26B 25/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F26B15/00 Z
F26B9/00 E
F26B25/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509446
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 DE2022100568
(87)【国際公開番号】W WO2023020652
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121585.4
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514117427
【氏名又は名称】ベルヴァック・プロダクション・マシーナリー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BELVAC PRODUCTION MACHINERY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルコ・ハルムス
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ラインハルト
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AA08
3L113AC21
3L113AC36
3L113AC52
3L113BA12
3L113DA02
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの容器性質を有する容器(1)を乾燥させるための乾燥装置(100、200)であって、容器(1)が冷却され得る冷却部分(142、230)と、冷却部分(142、230)の中で容器(1)に流体流れ(150、150'、262)を適用するように配置および設計される流体流れデバイス(144、218)と、容器(1)が流体流れによって冷却されるような方法で、少なくとも1つの容器性質に応じて流体流れデバイス(144、218)を制御するように設計される制御デバイス(140、222)とを備える乾燥装置(100、200)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの容器性質を有する容器(1)を乾燥させるための乾燥装置(100、200)であって、
前記容器(1)が冷却され得る冷却部分(142、230)と、
前記冷却部分(142、230)の中で前記容器(1)に流体流れ(150、150'、262)を適用するように配置および設計される流体流れデバイス(144、218)と、
前記容器(1)が前記流体流れ(150、150'、262)で冷却されるような方法で、前記少なくとも1つの容器性質に応じて前記流体流れデバイス(144、218)を制御するように設計される制御デバイス(140、222)と
を備える乾燥装置(100、200)。
【請求項2】
前記容器(1)を運搬速度において前記冷却部分(142、230)を通じて移動させることができるコンベヤユニット(112、202)を備え、
前記少なくとも1つの容器性質は前記運搬速度である、請求項1に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項3】
前記運搬速度を検出するために、信号技術によって前記制御デバイス(140、222)に連結される速度センサ(152)を備える、請求項1または2に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの容器性質は前記容器(1)の容器温度および/または熱容量である、請求項1から3のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの容器性質は、前記容器(1)から所定の距離における空気温度である、請求項1から4のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項6】
前記容器温度および/または前記空気温度を検出するために前記制御デバイス(140、222)に連結される少なくとも1つの温度センサ(172、174、248、250)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの容器性質は前記容器(1)の輸送密度である、請求項1から6のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項8】
前記輸送密度を検出するための輸送密度センサ(130、240)を備え、好ましくは前記輸送密度センサは前記冷却部分(142、230)の中に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの容器性質は前記容器(1)の容器形状である、請求項1から8のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項10】
前記容器形状を検出するための形状センサ(174)を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項11】
前記制御デバイス(140、222)は、前記流体流れ(150、150'、262)の単位時間あたりの流体量、流体速度、および/または流体圧力が前記容器(1)を前記流体流れ(150、150'、262)で冷却するために設定されるような方法で、前記少なくとも1つの容器性質に応じて前記流体流れデバイス(144、218)を制御するように設計される、請求項1から10のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項12】
前記流体流れデバイス(144、218)は、前記流体流れ(150、150'、262)を発生させるための回転速度で回転可能である流体流れ要素(146)を備え、
前記制御デバイス(140、222)は、前記容器性質に応じて前記流体流れ要素(146)の前記回転速度を制御するように設計される、請求項1から11のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項13】
前記冷却部分(142、230)は流体出口を備え、前記流体流れ要素は、前記流体出口から所定の流体流れ(150、150'、262)をもたらすように配置および構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項14】
前記乾燥装置(100、200)は、ピンオーブンおよび/またはベルト乾燥機である、または、ピンオーブンおよび/またはベルト乾燥機を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の乾燥装置(100、200)。
【請求項15】
少なくとも1つの容器性質を有する容器(1)を乾燥させる方法であって、
前記容器(1)の容器性質を決定するステップと、
前記容器(1)を流体流れ(150、150'、262)で加圧するステップと、
前記容器(1)を冷却するために、前記容器性質に応じての前記流体流れ(150、150'、262)の調整のステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を乾燥させるための乾燥装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥装置が一般的に知られている。乾燥装置は、例えば、コンベヤベルトによる連続的なオーブンとして提供され、そこでは、缶として設計されている容器が、コンベヤベルトを用いてオーブンを通じて移動させられ、この過程の間に高温空気に曝される。さらに、乾燥装置は缶を運搬するためのピンを伴うチェーンを有し得る。このような乾燥装置はピンオーブンとして知られてもいる。
【0003】
典型的には、このようなオーブンは、後ろへと連なって配置されるいくつかの乾燥室を有し、乾燥室では水が蒸発し、缶は目標温度まで加熱され、水を缶から除去するために、および、被覆の重合、具体的にはラッカーの重合を確保するために、目標温度において所定の時間の期間にわたって留まる。
【0004】
このような乾燥装置は、具体的には缶の内部被覆および/または外部被覆を乾燥および/または重合するために設計される塗料乾燥オーブンとも称される。さらに、このような乾燥装置は、洗浄過程の後に缶を乾燥させるための連続乾燥機であり得る。缶は、乾燥室を通過した後、高い温度を有する。この高い温度は、乾燥装置の周囲の領域における温度を上昇させる。また、缶の高い温度は、下流の製造過程において悪影響を有する可能性がある。缶の温度を低下させるために、冷却部分が乾燥室の下流にしばしば設けられる。
【0005】
冷却部分において、缶は、缶の温度が低下させられるような方法で流体に曝される。確実な冷却を確保するために、送風機が流体流れを提供するように所定の値に設定される。この値は、提供される実際の冷却能力とは無関係に設定され、具体的には、冷却される最大の缶の体積に基づいて設定される。
【0006】
缶を冷却することは大量のエネルギーを必要とする。一般に、冷却部分において提供される流体流れは、確実な冷却を確保するために過剰にされる。実際に必要とされる流体流れと設定された流体流れとの間の差は、エネルギーの無駄を表している。
【0007】
このような乾燥装置が最低の可能なエネルギー消費を有することは、産業上の要件である。具体的には生体学的境界条件に関する増加する要件のため、目的は、このような乾燥装置のエネルギー効率をより良くすることである。これは、各々の缶のエコロジカルフットプリントも向上させ、そのため、1年間に10億個を超える缶の能力を伴う世界中の600を超えるラインで生産される数千億個の年間の缶の量を考慮すると、エコロジカルフットプリントにおいて大きな影響があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、上記の欠点のうちの1つまたは複数を低減または排除する乾燥容器のための乾燥装置および方法を提供することが、本発明の課題である。具体的には、具体的には缶である容器のよりエネルギー効率の良い生産を可能にする解決策を提供することが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題は、独立特許請求項の特徴による乾燥装置および方法で解決される。これらの態様のさらなる有利な実施形態が、それぞれの従属特許請求項において指示されている。特許請求項および本記載において個々に列記されている特徴は、本発明のさらなる実施形態が示される任意の技術的に意味する方法で互いと組み合わせることができる。
【0010】
第1の態様によれば、問題は、少なくとも1つの容器性質を伴う容器を乾燥させるための乾燥装置であって、容器が冷却され得る冷却部分と、冷却部分の中の流体流れで容器に作用するように配置および設計される流体流れデバイスと、容器が流体流れで冷却されるような方法で、少なくとも1つの容器性質に応じて流体流れデバイスを制御するように設計される制御デバイスとを備える乾燥装置によって解決される。
【0011】
数ある中でも、本発明は、容器を冷却するための流体流れが、容器の効率的な冷却を可能とするような方法で、容器性質に応じて調整され得ることの実現に基づかれる。具体的には、少なくとも1つの容器性質への依存は、流体流れが過度に大きく設定されることを防止する。したがって、容器は、明確に調整された流体流れによって正確に冷却できる。これは、設定された流体流れが、容器を冷却するために実際に必要とされる流体流れより相当に大きく設定されることも防止する。
【0012】
具体的には、乾燥装置は塗料乾燥オーブンであり得る。例えば、乾燥装置は、ラッカーなど、容器における被覆を乾燥させるために設計され得る。さらに、この被覆は容器の内側または外側に配置され得る。
【0013】
容器は、例えば飲料および/または食品を保存するために使用され得る。具体的には、容器は飲料缶などの缶であり得る。容器は、鋼鉄および/またはアルミニウムから作られ得る、または、鋼鉄および/またはアルミニウムから成り得る。
【0014】
具体的には、冷却部分は三次元空間であり得る。冷却部分は、例えば本質的に包囲された空間であり得る。容器を加熱するために、冷却部分が容器の移動の方向において乾燥室の下流に配置されることも、好ましい。
【0015】
流体流れデバイスは、冷却部分の中の流体流路で容器を加圧するように配置および設計される。流体流れデバイスは、具体的には、流体流れを提供するために設計される。流体流れデバイスは、例えば、乾燥装置の環境からの空気を冷却部分へと運搬させる1つ、2つ、またはより多くの送風機を有し得る。具体的には、流体流れデバイスは、流体流れが容器に向けて方向付けられ得るような方法で配置および設計される。流体流れで容器を加圧することは、例えば、容器の空洞、基部といった凹んだ容器部分、および/または容器の側面が流体流れで加圧されることを意味する。
【0016】
制御デバイスは、容器が流体流れで冷却されるような方法で、少なくとも1つの容器性質に応じて流体流れデバイスを制御するように設計される。具体的には、これは、流体流れデバイスによって提供される流体流れが容器性質に応じて調整されることを意味する。例えば、容器温度と流体流れの時間あたりの量または流体圧力との間の機能的関係が考慮され得る。別の言い方をすれば、容器の温度がより高くなると、流体流れに必要な時間あたりの量が、例えば容器の定められた冷却を可能とするために、より高くなる。
【0017】
容器が流体流れで所定の温度以下へと冷却されることが、特に好ましいとされる。所定の温度は、好ましくは、120℃以下、110℃以下、100℃以下、95℃以下、90℃以下、75℃以下であり、具体的には、50℃以下および/または25℃以下である。
【0018】
容器の容器性質は、動的な容器性質、材料特有の容器性質、および/または形状の容器性質であり得る。後でより詳細に説明されているように、容器性質は、運搬速度、容器温度、熱容量、容器から所定の距離における空気温度、輸送密度、および/または容器形状であり得る。
【0019】
乾燥装置の好ましい実施形態が、容器が運搬速度で冷却部分を通じて移動させることができるコンベヤユニットを備え、ここで、少なくとも1つの容器性質は運搬速度である。容器は、具体的にはコンベヤなどで、水平方向において冷却部分を通じて移動させることができる、および/または、ピンチェーンなどで、蛇行する手法で移動させることができる。
【0020】
容器が冷却部分の中に位置付けられる滞留時間と、所定の流体流れにおける冷却効果との間に機能的な関係があるため、流体流れデバイスを制御するときに運搬速度を考慮することは有利である。冷却部分を通る運搬速度がより高く設定されるにつれて、冷却部分における滞留時間はより短くなり、設定される流体流れはより大きくなる。運搬速度は、容器運搬方向における上流で乾燥室を通る容器の必要な運搬速度にも通常は依存するため、流体流れデバイスを調整し、本質的には運搬速度を調整しないことが、通常は有利である。
【0021】
乾燥装置のさらなる好ましい実施形態は、コンベヤユニットが、具体的にピンチェーンであるチェーンまたはコンベヤベルトである、または、チェーンまたはコンベヤベルトを備えるという事実によって、特徴付けられる。具体的にピンチェーンであるチェーンであれば、容器は、蛇行する手法で冷却部分を通じて有利に運搬され得る。
【0022】
乾燥装置のさらなる好ましい実施形態が、運搬速度を検出するために、信号技術を用いて制御デバイスに連結される速度センサを備える。速度センサが冷却部分の中に配置されることが、特には好ましいとされる。運搬速度は乾燥装置の設定変数であるが、冗長であり、そのため信頼できる運搬速度の検出を可能にするために、運搬速度を速度センサで検出することが有利である。速度センサが冷却部分の容器入口に配置されることが、特に好ましいとされる。
【0023】
さらなる好ましい実施形態が、少なくとも1つの容器性質が容器温度および/または容器の熱容量であることにおいてさらに特徴付けられる。容器温度は、具体的には、容器が冷却部分に入るときの容器の温度である。高い容器温度は、より大きな冷却の労力をもたらし、そのため、概してより大きい必要な流体流れをもたらす。
【0024】
制御デバイスは、好ましくは、容器重量に基づいて容器の熱容量を決定するように設計される。容器重量は、例えば、容器生産バッチの重量に基づいて制御デバイスによって決定され得る。さらに、容器重量は、同じ種類の容器が通常は乾燥装置で生産されるため、分かることができる。この値は、例えば制御デバイスによって使用され得る。容器重量が制御デバイスに提供されることは、好ましい。さらに、制御デバイスが容器材料を考慮して熱容量をさらに決定するように設計されることが、好ましいとされる。
【0025】
乾燥装置のさらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの容器性質が、容器から所定の距離における空気温度であることが提供される。容器温度は空気温度に基づいて決定できる。これは、容器温度がより容易および/またはより安価に決定できることを意味する。空気温度が冷却部分の中で決定されることが、特には好ましいとされる。
【0026】
乾燥装置のさらに好ましい実施形態では、乾燥装置が、容器温度および/または空気温度を検出するために制御デバイスに連結される少なくとも1つの温度センサを備えることが、提供される。空気温度は、具体的には、容器から所定の距離における空気温度に言及している。温度センサは、例えば赤外線センサであり得る。
【0027】
温度センサは、例えば、冷却部分の容器入口および/または容器出口に配置され得る。乾燥装置が、温度の冗長な測定を可能とするために、および、温度勾配を決定するためにも、冷却部分の中に2つ以上の温度センサを有することも、好ましいとされる。
【0028】
さらに、少なくとも1つの容器性質が容器の輸送密度であることが、好ましいとされ得る。具体的には、輸送密度は、冷却部分に入る、冷却部分を通じて移動させられる、および/または冷却部分を出る単位時間あたりの容器の数である。
【0029】
他の好ましい実施形態は、乾燥装置が輸送密度を検出するための輸送密度センサを有するという事実によって特徴付けられる。輸送密度センサは、好ましくは冷却部分の内側に位置付けられる。輸送密度センサは、例えば光バリアであり得る。
【0030】
さらに、少なくとも1つの容器性質が容器の容器形状であることが、さらに好ましいとされる。容器形状は、例えば、容器高さ、容器直径、および/または容器体積であり得る。好ましくは、乾燥装置は容器形状を検出するための形状センサを備え、形状センサは好ましくは冷却部分の内側に配置される。形状センサは、例えば1つ、2つ、またはより多くの光バリアとして設計され得る。
【0031】
乾燥装置のさらなる好ましい実施形態では、制御デバイスは、流体流れの単位時間あたりの流体量、流体速度、および/または流体圧力が容器を流体流れで冷却するために設定されるような方法で、少なくとも1つの容器性質に応じて流体流れデバイスを制御するように設計されることが、提供される。さらに、流体流れの単位時間あたりの流体量、流体速度、および/または流体圧力は、容器が所定の温度以下へと冷却されるような方法で設定されることが、好ましいとされる。乾燥装置は、流体流れの流体圧力を決定するように設計される流体圧力センサを有することも、好ましいとされる。
【0032】
さらなる好ましい実施形態では、流体流れデバイスは、流体流れを発生させるために回転速度で回転させられ得る流体流れ要素を有し、制御デバイスは、容器性質に応じて流体流れ要素の回転速度を制御するように設計されることが、提供される。具体的には、流体流れ要素は羽根車であり得る。羽根車は送風機と称することもできる。
【0033】
制御デバイスを介して流体流れ要素を制御することで、制御デバイスは、流体流れ要素を直接的に制御することができ、それによって流体流れを調整することができ、具体的には、単位時間あたりの流体量、流体速度、および/または流体圧力を調整することができる。
【0034】
乾燥装置のさらなる好ましい実施形態は、冷却部分が流体出口を備え、流体流れ要素が所定の流体流れを流体出口からもたらすように配置および設計されることにおいて特徴付けられる。流体流れは、例えば、流体流れの単位時間あたりの流体量、流体速度、および/または流体圧力によって定められ得る。
【0035】
流体流れ要素が流体出口の中で作用することも、好ましいとされる。代替または追加で、流体流れ要素は、流体出口に隣接して配置され得る。流体出口は、例えば、流体流れ要素が中に配置される通路または管として設計され得る。流体圧力センサは、好ましくは、流体出口に隣接して配置される。流体圧力センサが通路または管の内側に配置されることも、好ましいとされる。
【0036】
乾燥装置のさらなる好ましい実施形態は、乾燥装置が、具体的には容器の内部被覆を乾燥させるために、ピンオーブンおよび/またはベルト乾燥機である、または、ピンオーブンおよび/またはベルト乾燥機を備えることにおいて、特徴付けられる。ピン炉はピンオーブンとしても知られている。具体的には、ピンオーブンは、容器の空洞へと突出するピンによって容器が保持されるため、容器の外面における塗料を乾燥させるように設計される。ベルト乾燥機は、IBOまたは内部ベーキングオーブンとしても知られている。このようなIBOは、具体的には、容器の内面における塗料を乾燥させるために提供される。さらに、乾燥装置は、洗浄機としてもされる水などでの洗浄過程の後に容器を乾燥させるための連続的な乾燥器である、またはそのような連続的な乾燥機を備えることが、好ましいとされる。
【0037】
さらなる態様によれば、初めに言及された課題は、容器の容器性質を決定するステップと、流体流れを容器に適用するステップと、容器を冷却するために容器性質に応じて流体流れを調整するステップとを含む、少なくとも1つの容器性質で容器を乾燥させるための方法によって解決される。具体的には、搭載ステップと設定ステップとが、並行して完全または部分的に行われ得る。
【0038】
容器性質は、例えば測定によって決定され得る。追加または代替で、決定は、少なくとも1つの容器性質を特徴付けるデータの受信であってもよい。流体流れの単位時間あたりの流体量、流体速度、および/または流体圧力が設定されることが、特に好ましいとされる。
【0039】
さらに、流体流れを発生させるための流体流れ要素の回転速度が容器性質に応じて制御されることは、好ましいとされる。
【0040】
方法およびその可能な実施形態が、それらを乾燥装置およびその実施形態との使用に特に適したものにする特徴または方法ステップを有する。
【0041】
方法およびその可能な実施形態のさらなる利点、実施形態の変形、および実施形態の詳細のために、乾燥装置の対応する特徴および実施形態の以前の記載も参照される。
【0042】
好ましい例示の実施形態が、添付の図を参照して、例を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】乾燥装置の例示の実施形態の概略的な二次元の図である。
【
図2】乾燥装置のさらなる例示の実施形態の概略的な二次元の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図では、同一の要素または本質的に機能性が同一もしくは同様の要素は、同じ符号で指示されている。
【0045】
図1は、第1の乾燥室102と、第2の乾燥室104と、第3の乾燥室106とを伴う乾燥装置100を示している。さらに、乾燥装置100は冷却部分142を備える。コンベヤユニット112が乾燥室102、104、106および冷却部分142を通じて延びている。容器1は、コンベヤユニット112を用いて、乾燥装置100を通じて移動させられる。
【0046】
乾燥室102、104、106は同様の構造を呈しており、そのため乾燥室102だけが詳細に以下で詳細に記載されており、これらの説明は、必要な変更を伴って、乾燥室104および乾燥室106にも当てはまる。乾燥室102は、容器1が乾燥室102に入る入口側108から、容器1が乾燥室102を再び出る出口側110へと、水平方向に延びている。
【0047】
さらに、乾燥装置100は、乾燥室102に流体的に連結されている第1の流体流れデバイス114を有する。さらに、乾燥装置100は、乾燥室104に流体的に連結されている第2の流体流れデバイス168と、乾燥室106に流体的に連結されている第3の流体流れデバイス170とを有する。
【0048】
第1の流体流れデバイス114は、この場合には空気である処理流体が第1の流体流れデバイス114に通って入ることができる流体入口116を有する。流体入口116の下流の流体流れ方向において、供給空気送風機118が、第1の流体流れデバイス114へと流れる空気を加熱デバイス120へと方向付けるために配置されている。代替で、供給空気送風機118はフラップとして構成されてもよい。加熱デバイス120は、例えばガスバーナであり得る。
【0049】
加熱デバイス120の下流には、乾燥室102への流体流れを引き起こす再循環空気送風機122が配置されている。この目的のために、再循環空気送風機122が流体ダクト124を用いて乾燥室102に流体的に連結されている。
【0050】
乾燥装置の中では、空気流れによる均一性の問題がしばしば起こり、容器1へと空気をできるだけ均一に方向付けることが目的である。この目的のために、第1の流体流れデバイス114は、ここでの場合ではV字形のオリフィスとして設計されている第1の流体分配ユニット126を有する。処理流体のさらなる最適な分配を確保する第2の流体分配ユニット128が下流に設けられる。第2の流体分配ユニット128は多孔板として構成されている。そこから、空気は、コンベヤユニット112を用いて流体流れユニット114の下で移動させられる容器1に到達する。
【0051】
コンベヤユニット112は、空気に対して透過性となるように好ましくは構成される。結果として、空気が容器1を通過した後、空気はコンベヤユニット112の下へと通り、そこで流体回収通路138にぶつかる。流体回収通路138は、再巡回空気ダクト131を用いて、処理流体を加熱デバイス120へと戻す。このような再循環空気の使用は、流体流れデバイス114のエネルギー要求を低減する。
【0052】
乾燥室102における溶媒含有量の最大値を実質的に超えないようにするために、処理流体の一部分が乾燥室102の外へと流れるべきである。この目的のために、第1の流体流れデバイス114は、排気送風機134に流体的に連結されている流体出口132を有する。さらに、乾燥室102から流れ出る流体流れを、例えば1時間あたりの立方メートルなどで測定するように配置および構成されている流体流れ測定ユニット136が、流体出口132に配置されている。
【0053】
また、乾燥装置100は、単位時間あたりに乾燥室102に入る容器1を決定するための輸送密度センサ130を有する。さらに、少なくとも1つの容器の品質が決定できる品質測定ユニット133が設けられている。
【0054】
制御デバイス140が、決定された溶媒入力に基づいて第1の流体流れデバイス114を制御するように設計されている。具体的には、制御デバイス140は、溶媒入力に応じて、乾燥室102から排出される目標流体流れを決定するように、および、乾燥室102から排出する流体流れが目標流体流れに少なくとも対応するような方法で第1の流体流れデバイス114を制御するように、設計されている。例えば、目標流体流れは、乾燥室102における溶媒含有量が実質的に所定の値を超えないように選択される最小流体流れとなり得、好ましくは、所定の値は爆発限界を表す。
【0055】
具体的には、制御デバイス140は、単位時間あたりに乾燥室102に入る容器1を表す輸送密度に基づいて、および/または、容器1あたりの溶媒量に基づいて、溶媒入力を決定するように設計されている。輸送密度は、制御デバイス140の値として、具体的には、塗装システムなど、乾燥装置100の上流に配置されているデバイスによって、提供されてもよい。
【0056】
制御デバイス140は、具体的には、制御デバイス140が、輸送密度センサ130および品質測定ユニット133からの測定値に基づいて溶媒入力を決定することができるように、信号技術を用いて、輸送密度センサ130および品質測定ユニット133と連結されている。また、輸送密度センサ130の測定値と、先に記載されているようにして提供される輸送密度とは、冗長性を用いた高いレベルの安全性を確保するために考慮されてもよい。
【0057】
乾燥装置は、容器1が意図された動作の間に冷却される冷却部分142をさらに備える。さらに、乾燥装置100は、流体流れを冷却部分142の中の容器1に適用するように配置および構成されている流体流れデバイス144を備える。制御デバイス140は、流体流れデバイス144によってもたらされる流体流れ150、150'を、容器性質に応じて制御するように配置されている。
【0058】
流体流れデバイス144は、冷却部分142の流体出口に配置されている流体流れ要素146を備える。流体流れ要素146は、例えば送風機であり得る。または、流体流れデバイス144は、冷却部分142の流体入口に配置されている流体入口フラップ148を備える。流体流れ150は、冷却部分142から流出する流体流れである。流体流れ150'は、冷却部分142に流入する流体流れである。
【0059】
また、冷却部分142を通る容器1の運搬速度を検出するように設定された速度センサ152が、冷却部分142に配置されている。また、容器1の輸送密度を決定することができる輸送密度センサ153が配置されている。輸送密度センサ153は、例えば、光バリアとして設計され得る。さらに、容器1の温度を検出するための温度センサ172と、容器1の形状を検出するための形状センサ174とが、冷却部分142の中に配置されている。
【0060】
センサ152、153、172、174の配置は概略的である。センサは、コンベヤユニット112の上方または下方にそれぞれ配置でき、さらに、冷却部分142の容器入口および/もしくは容器出口に、または、容器入口と容器出口との間に配置できる。
【0061】
図2はピンオーブン200を示している。ピンオーブン200は、チェーンとして設計されているコンベヤユニット202を備える。ピン炉200は、安定化ユニット210と、再循環空気流体ユニット212と、流体流れユニット215と、冷却流体ユニット218と、容器取り外しユニット220とをさらに備える。
【0062】
容器1は、ピンオーブン200に含まれない印刷デバイス234で、具体的には溶媒を含むラッカーで、被覆される。容器1は印刷デバイス234からピンオーブン200へと輸送される。印刷デバイス234とピンオーブン200とは、印刷デバイス234がコンベヤユニット202を駆動するような方法で互いに連結され得る。
【0063】
容器1は事前乾燥フレーム224に初めに配置される。安定化ユニット210は、事前乾燥フレーム224において、容器1をコンベヤユニット202における流体流れで安定化させるように作用する。安定化ユニット210は、制御デバイス222に連結されており、容器1が容器性質に応じて輸送ピン204、204'、204"において安定化させられるような方法で、制御デバイス222によって設定される。また、コンベヤユニット202が所定の引っ張りを有するようにコンベヤユニット202のチェーンを引っ張るチェーンテンショナ254が、事前乾燥フレーム224の中に設けられる。
【0064】
ピンオーブン200は、単位時間あたりにピンオーブンに入る容器1を測定する輸送密度センサ240も有する。輸送密度センサ240は、輸送密度の冗長性測定を可能にするために、2つ以上の個別のセンサを有し得る。また、ピン式炉200は、容器1がピン式炉200を通じて運搬される運搬速度を測定する速度測定ユニット242を有する。さらに、ピンオーブン200は、少なくとも1つの容器性質を測定するように設計されている容器測定ユニット244を有する。
【0065】
事前乾燥フレーム224の下流では、ピンオーブン200は底塗工機226を有する。底塗工機226の下流では、ピンオーブン200はオーブンユニット228を有する。オーブンユニット228は、少なくとも0.5秒間にわたる180℃超など、容器1が高温へと加熱されるオーブン室252を形成する。この目的のために、オーブンユニット228は加熱ユニット214を有する。加熱ユニット214は、例えばガスバーナであり得る。加熱ユニット214は再循環空気流体ユニット212に連結されており、再循環空気流体ユニット212は、流体流れを流体流れ方向216において移動させ、つまり、流体流れを初めにオーブン室252から加熱ユニット214へと移動させ、次に再循環空気流体ユニット212へと移動させ、次にオーブン室252へと戻すように移動させる。この方法では、加熱された流体流れはオーブン室252に利用可能とされる。
【0066】
オーブンユニット228は流体流れユニット215へとさらに連結されている。流体流れユニット215は、ピンオーブン200の環境からの流体をオーブンユニット228に提供するように、および、流体をオーブンユニット228の外へ供給するように、配置および構成されている。この目的のために、ピン式炉は流体入口デバイス236と流体出口デバイス238とを有する。流体出口デバイス238は、流体流れを測定するように設計されている流体流れセンサ246にさらに連結されている。
【0067】
また、冷却部分230の中の容器1の容器温度を検出するように設計されている第1の温度センサ248および第2の温度センサ250が、冷却部分230に配置されている。制御デバイス222は、容器1の温度プロファイルを決定するように好ましくは設計される。さらに、例えば、詳細な温度曲線を決定するために、3つ以上の温度センサを配置し、具体的に複数の温度センサを配置することが、好ましい可能性がある。
【0068】
冷却部分230は、そこで容器1が冷却され得るような方法で設計されている。さらに、ピン炉200は、流体流れ262を冷却部分230の中の容器1に適用するように配置および構成されている流体流れデバイス218を備える。制御デバイス222は、流体流れデバイス218によってもたらされる流体流れ262を、容器性質に応じて制御するように設計されている。さらに、冷却部分230は、先に記載されている乾燥装置100の冷却部分142と本質的に同じ要素および機能を有し得る。
【0069】
図3は方法の概略図を示している。ステップ300では、容器1の容器性質が決定される。容器性質は、例えば、容器温度、運搬速度、熱容量、容器から所定の距離における空気温度、輸送密度、および/または容器形状であり得る。ステップ302では、容器1は流体流れで加圧される。流体流れは、好ましくは、定められた性質、具体的には、単位時間あたりの流体量、流体速度、および/または流体圧力を有する。ステップ304では、流体流れは、容器1を冷却するために、容器性質に応じて調整される。具体的には、先に言及された流体流れの性質が設定される。ステップ302および304は、時間において部分的または完全に並行して進んでもよい。
【0070】
先に記載されている乾燥装置、および、少なくとも1つの容器性質で容器1を乾燥させるための方法であれば、具体的には缶である容器1のエネルギー効率の良い生産が可能とされる。容器1は、具体的には、乾燥装置100、200の冷却部分142、230の領域におけるより大きいエネルギー節約効果のため、より小さいエネルギー入力で生産できる。
【0071】
結果として、単一の管を生産するために必要とされるエネルギーが低減でき、それによって各々の個々の缶のエコロジカルフットプリントを小さくする。数千億個の缶が毎年世界中で生産されていることを考慮すれば、本発明は地球規模のエネルギー消費に大きな節約の効果を有する。
【符号の説明】
【0072】
1 容器
100 乾燥装置
102 第1の乾燥室
104 第2の乾燥室
106 第3の乾燥室
108 入口側
110 出口側
112 コンベヤユニット
114 第1の流体流れデバイス
116 流体入口
118 供給空気送風機
120 加熱デバイス
122 再循環空気送風機
124 流体ダクト
126 第1の流体分配ユニット
128 第2の流体分配ユニット
130 輸送密度センサ
131 再循環空気ダクト
132 流体出口
133 条件測定ユニット
134 排気通風機
136 流体流れ測定ユニット
138 流体回収通路
140 制御デバイス
142 冷却部分
144 流体流れデバイス
146 流体流れ要素
148 流体入口ラップ
150、150' 流体流れ
152 速度センサ
153 輸送密度センサ
168 第2の流体流れデバイス
170 第3の流体流れデバイス
172 温度センサ
174 形状センサ
200 ピンストッパ
202 コンベヤユニット
210 安定化ユニット
212 再循環空気流体ユニット
214 加熱ユニット
215 流体流れユニット
216 流体流れ方向
218 流体流れデバイス
220 容器取り外しユニット
222 制御デバイス
224 事前乾燥フレーム
226 床塗工機
228 オーブンユニット
230 冷却部分
234 印刷デバイス
236 流体入口デバイス
238 流体出口デバイス
240 輸送密度センサ
242 速度測定ユニット
244 容器測定ユニット
246 流体流れセンサ
248 第1の温度センサ
250 第2の温度センサ
252 オーブン室
254 チェーンテンショナ
262 流体流れ
【国際調査報告】