(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】個別にアドレス指定可能、走査可能、及び統合可能なレーザエミッタを備えたライダー
(51)【国際特許分類】
G01S 17/42 20060101AFI20240816BHJP
G01S 7/484 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
G01S17/42
G01S7/484
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509527
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 CN2021113531
(87)【国際公開番号】W WO2023019513
(87)【国際公開日】2023-02-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カイ・スン
(72)【発明者】
【氏名】シュエチョウ・チュー
(72)【発明者】
【氏名】チエ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオチン・シアン
(72)【発明者】
【氏名】チン・ヤン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA10
5J084AC02
5J084BA04
5J084BA06
5J084BA07
5J084BA08
5J084BA35
5J084BA36
5J084BA39
5J084BA40
5J084BA49
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB15
5J084BB16
5J084BB20
5J084BB22
5J084BB23
5J084BB27
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA04
5J084EA22
5J084EA31
(57)【要約】
距離情報検出用ライダーは、距離情報を検出するためのレーザビームを発光し、垂直方向に沿って配置されて複数のバンクに分離され、それぞれが単一の半導体基板を有するレーザエミッタの第1のアレイを含む、発光モジュール、レーザエミッタの第1のアレイを水平方向に沿って走査させるように構成されるスキャナ、及びレーザエミッタの第1のアレイによって生成された戻りレーザビームを検出し、戻りレーザビームに基づいて距離情報を判定する検出モジュール、を含み、発光モジュールは、外部環境を走査するために複数のレーザエミッタを並行して作動するように構成され、複数のレーザエミッタは、レーザエミッタの第1のアレイの半分を超えない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離情報を検出するライダーシステムであって、
距離情報を検出するためのレーザ光を発光し、垂直方向に沿って配置されて複数のバンクに配備されたレーザエミッタの第1のアレイを含む、発光モジュールであって、前記垂直方向に沿って前記レーザビームを電子的に走査する、前記発光モジュール、
前記レーザエミッタの第1のアレイを水平方向に沿って走査させるように構成される機械式スキャナ、及び
前記レーザエミッタの第1のアレイによって生成された戻りレーザビームを検出し、戻りレーザビームに基づいて距離情報を判定する検出モジュール、を備え、
前記発光モジュールは、外部環境を検出するために複数のレーザエミッタを並行して作動するように構成され、前記複数のレーザエミッタは、前記レーザエミッタの第1のアレイの半分を超えない、前記ライダーシステム。
【請求項2】
垂直走査周波数は、前記水平走査の周波数より少なくとも100倍速い、請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項3】
前記発光モジュールは、同時発生するレーザビームによって引き起こされるクロストークを低減する発射のパターンに従って、前記垂直方向に沿って前記レーザエミッタの第1のアレイを走査するようにさらに構成される、請求項2に記載のライダーシステム。
【請求項4】
前記発光モジュールは、各バンク内部のレーザエミッタを順次走査するように構成される、請求項2に記載のライダーシステム。
【請求項5】
各バンク内部のレーザエミッタは個別にアドレス指定可能である、請求項4に記載のライダーシステム。
【請求項6】
前記ライダーシステムの前記垂直の視野は、前記レーザエミッタの第1のアレイによって形成される、請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項7】
前記レーザエミッタの第1のアレイの代わりとしてレーザエミッタの第2のアレイをさらに備える、請求項6に記載のライダーシステム。
【請求項8】
隣接するバンクが垂直方向及び水平方向の両方で互いにオフセットしている、請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項9】
レーザエミッタがバンク内部に均一に分散され、前記レーザエミッタの第1のアレイが前記垂直方向に沿って不均一に分散される、請求項8に記載のライダーシステム。
【請求項10】
レーザエミッタがバンク内部に不均一に分散され、前記レーザエミッタの第1のアレイが前記垂直方向に沿って不均一に分散される、請求項8に記載のライダーシステム。
【請求項11】
各バンクが同じ数のレーザエミッタを有する、請求項8に記載のライダーシステム。
【請求項12】
複数のレーザエミッタが並行で作動されるとき、前記作動されたレーザエミッタのうちの少なくとも1つは、他のレーザエミッタのレーザビームとは異なるレーザプロファイルに従って固有のレーザビームを発光する、請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項13】
前記レーザプロファイルは、単一の距離の測定に使用されるレーザパルスのシーケンスのパラメータを定める、請求項12に記載のライダーシステム。
【請求項14】
前記発光モジュールは、前記検出モジュールの検出結果に基づいて、リアルタイムで前記レーザプロファイルを調整するように構成される、請求項13に記載のライダーシステム。
【請求項15】
前記発光モジュールは、前記作動されたレーザエミッタの開始時間を調整するようにさらに構成される、請求項12に記載のライダーシステム。
【請求項16】
前記スキャナは回転ミラーを含む、請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項17】
前記回転ミラーは少なくとも2つの反射面を有する、請求項16に記載のライダーシステム。
【請求項18】
前記スキャナと前記発光モジュールとの間に配備され、前記発光モジュールによって生成されたレーザビームを前記スキャナに向けるように構成されたミラーをさらに備える、請求項1に記載のライダーシステム。
【請求項19】
前記ミラーは、戻りビームのスポットよりも小さいサイズを有し、前記戻りレーザビームのかなりの部分が、前記ミラーの周辺ゾーンを介して前記ミラーを迂回して、前記検出モジュールに当たる、請求項18に記載のライダーシステム。
【請求項20】
距離情報を検出するライダーの方法であって、
レーザエミッタの第1のアレイを垂直方向に沿って配置すること、
前記レーザの第1のアレイを複数のバンクに分離すること、
外部環境を走査するために複数のレーザエミッタを並行して作動させることであって、前記複数のレーザエミッタは、前記レーザエミッタの第1のアレイの半分を超えない、前記作動させること、
水平方向に沿って前記レーザエミッタの第1のアレイを走査すること、
前記レーザエミッタの第1のアレイによって生成された戻りレーザビームを検出すること、及び
戻りレーザビームに基づいて距離情報を判定すること、
を含む、前記方法。
【請求項21】
機械的移動部分の補助なしに、垂直方向に沿って前記レーザエミッタの第1のアレイを電子的に走査することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
同時発生するレーザビームによって引き起こされるクロストークを低減する発射のパターンに従って、前記レーザエミッタの第1のアレイを前記垂直方向に沿って走査することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
各バンク内部のレーザエミッタを順次走査すること、及び異なるバンクからの少なくとも2つのレーザエミッタを並行して作動させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記レーザエミッタの第1のアレイの代わりとして前記ライダーシステムのレーザエミッタの第2のアレイを配備することをさらに備える、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
隣接するバンクを垂直方向及び水平方向の両方にオフセットする、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
バンク内部にレーザエミッタを均一に配置し、前記レーザエミッタの第1のアレイを前記垂直方向に沿って不均一に配置する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
各バンク内部に同数のレーザエミッタを配備する、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも2つのレーザエミッタが一緒に作動されるとき、前記作動されたレーザエミッタのそれぞれに、他の作動されたレーザエミッタとは異なるレーザプロファイルを有するレーザビームを発光させることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記検出モジュールの検出結果に基づいて、リアルタイムで前記レーザプロファイルを調整することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記作動されたレーザエミッタの開始時間を調整することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、距離の測定を行うための光検出測距(ライダー)システムに関する。より具体的には、限定されたレーザエミッタを備えた発光モジュールを使用して、外部環境の3D高密度点群を生成できるライダーシステムである。
【背景技術】
【0002】
本明細書に提示されている背景説明は、本開示の内容を一般的に示すことを目的としている。この背景のセクションに記載されている内容は、明示的にも黙示的にも、本開示に対する先行技術として認められるものではない。
【0003】
ライダーは、自動走行車にとって重要で不可欠なテクノロジーとして広く認識されている。ライダーシステムは、環境にレーザビームを発射し、環境にある物体によって反射された戻りビームを検出することにより、点群とも呼ばれる、環境の形状の3Dの輪郭を表す大量の距離測定データをリアルタイムで生成できる。これにより、自動走行車が周囲の障害物を瞬時に認識できるようになる。安全上の理由から、自動走行車は多くの場合、任意の特定の視野に対して画像と同じ密度の点群を所望する。しかし、現在のライダーシステムによって生成される点群の密度は、垂直方向に沿って128個の検出チャネル(通常、各チャネルは視野角に対応し、レーザエミッタを備えている)までしか上げることができず、一般的なカメラの解像度(垂直方向に沿って1536ピクセルなど)より大幅にまばらである。したがって、現在のライダーシステムが点群密度を高めるには、まだ長い道のりがある。
【0004】
ライダーメーカーは、点群の密度や垂直方向に沿ったラインの数を増やすために、様々な方法を試みてきた。一部の製品は、製品の内部により多くのレーザエミッタを詰め込むことで、検出チャネルの数を増やしている。ただし、端面発光レーザなどの従来の半導体レーザを使用した場合でも、従来の半導体レーザエミッタは半導体の基板からダイシングしてから個別にプリント回路基板に組み立てる必要があるため、このアプローチでは必然的にライダーシステムのフォームファクターが増加する。そのような方法で作成されたライダーシステムは、点群の密度を上昇させるために多数のレーザエミッタが使用されるとき、通常かさばり、価格も高くなり、その両方は自動車用途には適していない。
【0005】
点群の密度を高めるもう1つの方法は、機械式スキャナを使用して、単一のレーザエミッタによって生成されたレーザビームを様々な方向に向けて、かようにして複数のレーザの効果を模倣することである。この方法では、少ないレーザエミッタでライダーの解像度を高めることができるが、機械式スキャナを使用すると、ライダーシステムの設計が複雑になり、製品のコストが増加し、追加の不具合のモードが発生する。
【0006】
フラッシュライダーシステムには、カメラのような機械的な可動部品はなく、レーザエミッタや光検出器などの主要なセンシングの構成要素がCMOSなどの商用ファウンドリプロセスで製造されている。このアプローチは、ライダーシステムの分解能を半導体製造プロセスの能力と合わせる見込みがあり、それにより解像度を継続的に向上できる可能性があると多くの人が信じている。この方法で作成された利用可能なライダーシステムには、いまだに多くの欠点がある。例えば、このようなライダーシステムは通常、数百のレーザエミッタを含むレーザエミッタの2Dアレイを備えている。レーザを生成するためにこれらのレーザエミッタすべてが作動するため、ライダーシステムは大量の電力を消費し、そのことは、車両での使用には適していない。さらに、このようなライダーシステムは、通常、製品の操作を容易にするためにすべてのレーザエミッタを同時に作動させる。その結果、これらのライダーシステムでは、多くのレーザビームが類似した時に受信されるため、光検出器で大きなクロストークが発生する。
【0007】
現在多くのライダーシステムが利用可能であることが事実であるにもかかわらず、自動走行車で使用されるライダーシステムの様々な重要な要件、例えば分解の能力、消費電力、フォームファクターのバランスをとれる体系的な設計は、まだ確立されていない。
【発明の概要】
【0008】
したがって、ライダーの分野では、高密度の点群を生成でき、低コストで小さなフォームファクターを備え、測定に比較的少量のパワーを使用できる系統的な構成が必要である。本願の目的は、消費電力を低減しながら高密度の点群を生成できる新規のライダーシステムを提供することである。本願によるライダーシステムは、約128、256、512、またはそれ以上のチャネル数の垂直解像度のパワーを有することができる。この新規ライダーシステムのアーキテクチャにより、消費電力を大幅に増加させることなく、垂直解像度のパワーを向上させることができる。一実施形態では、本ライダーシステムは、実質的に1Dアレイに配置された限られた数のレーザエミッタを含む。レーザエミッタの数は、垂直方向に沿った解像度のパワーによってほぼ決まる。例えば、垂直解像度のパワーが128チャネルで表される場合、現在のライダーシステムは、1Dアレイまたは2Dの配列で垂直方向に配置された128個のレーザエミッタを含む。レーザエミッタは、コストを下げ、組み立てを容易にし、測定点の密度を高めるために、単一の半導体基板の上にモノリシックなプロセスによって製造され得る。
【0009】
この出願では、垂直方向は一般に、ライダーシステムの機械式スキャナの回転軸を指す。水平方向は、垂直方向と直交する方向を指す。実施形態では、本開示によるライダーシステムは、レーザエミッタが垂直方向に沿って電子的に連続的に作動する一方で、水平方向に沿ってレーザビームを走査するための機械式スキャナを含む。この開示では、垂直方向及び水平方向を第1の方向または第2の方向と呼ぶこともある。
【0010】
ライダーで使用されるレーザエミッタは個別にアドレス指定でき、レーザエミッタを他のレーザエミッタから独立して作動させるまたはオフにすることができる。さらに、垂直方向などの配列方向に沿った1つまたは複数のレーザエミッタの選択的及び電気的作動が可能であり、これにより、ライダーシステムの電力消費及び光検出器間のクロストークが低減される。
【0011】
レーザエミッタは各々、それぞれのレーザプロファイルに従って、レーザビームを生成できる。例えば、パルスレーザビームの場合、各レーザエミッタは、異なるパルス数、パルス幅、パワー、及び隣接するパルス間の間隔を有する独自のレーザパルスのシーケンスを生成することができる。連続波レーザビームの場合、レーザプロファイルによって連続波の周波数と出力を定めることができる。さらに、レーザエミッタの所定のサブセットが同時に作動される場合、各レーザエミッタの開始時間は、各レーザビームをさらに区別するために、数ナノ秒など、相互にランダムなオフセットを有し得る。これらの機能により、現在のライダーシステムは、同じシステムまたは他の光源によって生成される同時発生するレーザビームによって引き起こされるクロストークを低減できる。
【0012】
本開示による新規のライダーシステムは、反射されたレーザ信号を検出するために、1Dまたは2Dアレイに配置された複数の光センサを有する検出モジュールを含むこともできる。複数の光センサは、モノリシックな製造プロセスを介して作製することもできる。複数の光センサはまた、個別にアドレス指定可能であるため、レーザエミッタの様々な配置での動作に適したものにすることができる。
【0013】
態様によれば、本願は、距離情報を検出するためのライダーを開示する。ライダーは、距離情報を検出するためのレーザビームを発光し、垂直方向に沿って配置されて複数のバンクに分離され、それぞれが単一の半導体基板を有するレーザエミッタの第1のアレイを含む、発光モジュール、レーザエミッタの第1のアレイを水平方向に沿って走査させるように構成されているスキャナ、及びレーザエミッタの第1のアレイによって生成された戻りレーザビームを検出し、戻りレーザビームに基づいて距離情報を判定する検出モジュール、を含み、発光モジュールは、外部環境を走査するために少なくとも2つのレーザエミッタを並行して共に作動するように構成され、少なくとも2つのレーザエミッタは、レーザエミッタの第1のアレイの半分を超えない。
【0014】
様々な実施形態によれば、発光モジュールは、機械的移動部分の補助なしに、レーザエミッタの第1のアレイを垂直方向に沿って電子的に走査し、クロスチャネル干渉によって引き起こされる検出モジュールでのクロストークを低減する発射のパターンに従い、垂直方向に沿ってレーザエミッタの第1のアレイを走査し、及び/または各バンク内部のレーザエミッタを順次走査し、異なるバンクからの少なくとも2つのレーザエミッタが一緒に作動されるように構成される。
【0015】
実施形態によれば、各バンク内部のレーザエミッタは個別にアドレス指定可能である。
【0016】
別の実施形態によれば、ライダーの垂直の視野は、レーザエミッタの第1のアレイの垂直の視野によって形成される。
【0017】
別の実施形態によれば、発光モジュールは、レーザエミッタの第1のアレイの代わりとしてレーザエミッタの第2のアレイをさらに含む。
【0018】
様々な実施形態によれば、隣接するバンクは垂直方向及び水平方向の両方で互いにオフセットされ、レーザエミッタはバンク内部に均一に分散され、レーザエミッタはバンク内部に不均一に分散され、レーザエミッタの第1のアレイは、垂直方向に沿って不均一に分散され、及び/または各バンクは同じ数のレーザエミッタを有する。
【0019】
様々な実施形態によれば、少なくとも2つのレーザエミッタが一緒に作動されると、作動されたレーザエミッタのそれぞれは、他の作動されたレーザエミッタとは異なるレーザプロファイルを有するレーザビームを発光する。レーザプロファイルは、単一の距離の測定に使用される複数のレーザパルスのパラメータを定める。発光モジュールは、検出モジュールの検出結果に基づいて、レーザプロファイルをリアルタイムで調整するように構成される。発光モジュールはさらに、作動されたレーザエミッタの開始時間を調整するように構成される。
【0020】
別の実施形態によれば、スキャナは、レーザエミッタの第1のアレイの垂直走査周波数よりも回転周波数が低い回転ミラーを含む。回転ミラーは少なくとも2つの反射面を有する。
【0021】
別の実施形態によれば、スキャナと発光モジュールとの間に配備され、発光モジュールによって生成されたレーザビームをスキャナに向けるように構成されたミラーをさらに備える。ミラーは、戻りビームのスポットよりも小さいサイズを有し、戻りレーザビームのかなりの部分が、ミラーの周辺ゾーンを介してミラーを迂回する。
【0022】
別の態様によれば、本願は、距離情報を検出するためのライダーの方法を開示する。方法は、レーザエミッタの第1のアレイを垂直方向に沿って配置すること、各々が基板に結合された複数のレーザエミッタを有する、レーザの第1のアレイを複数のバンクに分離すること、外部環境を走査するために並列で少なくとも2つのレーザエミッタを共に作動させることであって、少なくとも2つのレーザエミッタは、レーザエミッタの第1のアレイの半分を超えない、作動させること、水平方向に沿ってレーザエミッタの第1のアレイを走査すること、レーザエミッタの第1のアレイによって生成された戻りレーザビームを検出すること、及び戻りレーザビームに基づいて距離情報を判定すること、を含む。
【0023】
様々な実施形態によれば、方法は、機械的移動部分の補助なしに、レーザエミッタの第1のアレイを垂直方向に沿って電子的に走査すること、クロスチャネル干渉によって引き起こされる検出モジュールでのクロストークを低減する発射のパターンに従い、垂直方向に沿ってレーザエミッタの第1のアレイを走査すること、各バンク内部のレーザエミッタを順次走査すること、及び/または異なるバンクからの少なくとも2つのレーザエミッタを一緒に作動させること、をさらに含む。
【0024】
様々な実施形態によれば、方法は、レーザエミッタの第1のアレイの代わりとしてライダーのレーザエミッタの第2のアレイを配備すること、隣接するバンクを垂直方向及び水平方向の両方にオフセットすること、バンク内部にレーザエミッタを均一に配置すること、及び/またはレーザエミッタの第1のアレイを垂直方向に沿って不均一に配置し、各バンク内部に同数のレーザエミッタを配備することをさらに含む。
【0025】
様々な実施形態によれば、少なくとも2つのレーザエミッタが一緒に作動されるとき、方法は、作動されたレーザエミッタのそれぞれに、他の作動されたレーザエミッタとは異なるレーザプロファイルを有するレーザビームを発光させること、検出モジュールの検出結果に基づいて、リアルタイムでレーザプロファイルを調整すること、及び/または作動されたレーザエミッタの開始時間を調整することをさらに含む。
【0026】
本開示に記載されている様々な実施形態の上記及びその他の目的、特徴、ならびに利点は、添付の図面と併せることにより、以下の実施形態の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願のいくつかの実施形態によるライダーシステムのシステム設計を示す。
【
図2】本願のいくつかの実施形態によるライダーシステムの構成を示す。
【
図3a】本発明の実施形態によるライダーシステムの発光モジュール300の構成を示す。
【
図3b】本願の実施形態による発光モジュールの別の構成を示す。
【
図3c】本願の実施形態による複数のレーザエミッタによって形成される垂直の視野を示す。
【
図4】本願の実施形態によるレーザエミッタの発射のパターンを示す。
【
図5】本願の実施形態によるレーザエミッタによって生成されるレーザパルスの例示的なシーケンスを示す。
【
図6】本願の実施形態によるライダーシステムの発光モジュールを制御する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
前述の簡単な説明及び以下の詳細な説明は、本開示に記載される主題の例示的(すなわち、図示的)かつ説明的なものであり、それを制限すること、または様々な実装において本開示によって達成され得る利点を制限することを意図したものではない。
【0029】
本開示、特に特許請求の範囲及び/または段落において、「comprises(含む/備える)」、「comprised(含まれる/備えられる)」、「comprising(含む/備える)」などの用語は、米国特許法に帰属する意味を有し得る、例えば、それらが「includes(含む)」、「included(含まれる)」、「including(含む)」などを意味する場合があることに留意されたい。
【0030】
ライダーシステムの概要
図1は、本願の実施形態によるライダーシステム100のシステム設計を図示している。ライダーシステム100は、発光モジュール110、検出モジュール130、制御モジュール140、及び走査モジュール120を備える。発光モジュール110は、制御モジュール140により与えられる制御信号に従ってレーザビームを生成するように構成された複数のレーザエミッタを備える。レーザエミッタによって生成されたレーザビームは、環境における物体の距離及び/または速度の情報を検出するために、ライダーシステム100の外部の環境に向けられる。レーザエミッタによって生成されるレーザビームは、連続であってもパルスであってもよい。複数のレーザエミッタは、同じ周波数または異なる周波数のレーザビームを生成することができる。複数のレーザエミッタのそれぞれは、送信方向、ビームのサイズ、及びビームの発散など、生成されたレーザビームの特性に従って決定され得る所定の視野を含むように構成される。レーザエミッタの視野はスキャナによって調整することができ、複数のレーザエミッタの視野を組み合わせたものがライダーシステム100の視野を形成する。一般的に言えば、ライダーシステム100の視野は、水平の視野と垂直の視野によって特徴付けることができる。
【0031】
複数のレーザエミッタは、一次元のアレイまたは二次元のアレイに配置され得る。実施形態によれば、アレイのレーザエミッタは、個別にアドレス指定可能であり得る。レーザエミッタの個別アドレス指定に関するさらなる説明は、「Adaptive emitters and receiver for Lidar systems」と題する2020年3月23日に出願された米国特許第10,983,197号、係属番号第16/827,293号に見出され、その全体は、本明細書に参照として組み込まれる。発光モジュール110に対して任意の種類のレーザエミッタを使用することができるが、高出力のレーザビームを生成でき、また、ライダーシステムが長い検出範囲と小さなフォームファクターを有することができるように小型化されるレーザエミッタを使用することが好ましい。例えば、垂直共振器面発光型レーザダイオード(VCSEL)など、CMOSなどのファウンドリプロセスを介して半導体材料から作製されるレーザエミッタが好ましい。
【0032】
発光モジュール110は、エミッタアレイの複数のレーザ/エミッタを制御するように構成された駆動回路(
図1には示されていない)を備えることができる。実施形態によれば、発光モジュール110は、複数のレーザエミッタのサブセットを並行して作動させ、レーザエミッタのサブセットのそれぞれまたは少なくとも一部に、他の作動されたレーザエミッタとは異なる独特のレーザビームを発光させるように構成された、複数の駆動回路を含む。このようにすると、同時発生するレーザビームによるクロストークを低減することができる。複数のレーザエミッタのサブセットは、少なくとも2つのレーザエミッタを表すことができるが、複数のレーザエミッタの総数の16分の1、8分の1、4分の1、または2分の1を超えない。
【0033】
図1のライダーシステム100はまた、環境の物体によって後方散乱された戻りレーザビームを検出するための検出モジュール130を含み得る。
図1に示されるような検出モジュール130は検出器アレイを備え、それは例えば光センサの二次元のアレイまたは光センサの1つの線形のアレイであり得る。レーザエミッタと同様に、光センサも個別にアドレス指定可能であり得る。光センサの個別アドレス指定に関するさらなる説明は、「Adaptive emitters and receiver for Lidar systems」と題する2020年3月23日に出願された米国特許第10,983,197号、係属番号第16/827,293号に見出され、その全体は、本明細書に参照として組み込まれる。光センサは1つ以上の光検出器を含み得る。アバランシェフォトダイオード(APD)、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)、及びシリコン光電子増倍管(SiPM)などの任意の適切な光子感知センサを光検出器として使用することができる。実施形態によれば、各レーザエミッタは、光センサのそれぞれ1つと対にされる。別の実施形態によれば、各レーザエミッタは複数の光センサと対にされる。別の実施形態によれば、各光センサは、複数のレーザエミッタと対にされ得る。さらに別の実施形態によれば、レーザエミッタと光センサとの間のペアリングは動的であり、検出結果のリアルタイムの条件に基づいて、再構成可能である。さらに別の実施形態によれば、光センサは、レーザエミッタよりも大きな寸法を有するアレイに配置される。例えば、発光モジュールのレーザエミッタが1Dアレイに配置されている間に、光センサは2Dアレイに配置され得る。
【0034】
発光モジュール110及び検出モジュール130は、制御モジュール140に結合される。制御モジュール140は、発光モジュール110及び/または検出モジュール130へのコマンドまたは制御信号を生成し、検出モジュール130によって生成された出力信号を受信する。コマンドの例には、レーザエミッタの選択されたサブセットを作動または非作動にする、発光モジュールの発射のパターンを指定する、検出モジュールの検出パターンを指定する、またレーザエミッタ及び光センサの他の動作パラメータを決定するコマンドが含まれ得る。制御ユニット130はまた、出力信号をさらに処理するために検出モジュール130からセンサ出力信号を受信することができ、各測定値に対応する距離を判定することを含む。
【0035】
ライダーシステム100は、ソフトウェア、ハードウェアもしくはファームウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装することができる制御ユニット、機能、アルゴリズム、動作、回路または方法を含み得る。いくつかの実施形態では、制御ユニットは、1つまたは複数のプロセッサ、及びプログラム命令を格納するための少なくとも1つのメモリを備え得る。プロセッサは、ライダーシステム100の中に内的に配備され得る。あるいは、プロセッサは、ライダーシステムにとって外的であるが、ライダーシステムと通信するようにし得る。プロセッサ(複数可)は、特定の命令のセットを実行できる単一または複数のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはデジタルシグナルプロセッサ(DSP)であり得る。いくつかの実施形態によれば、コンピュータ可読命令は、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM(コンパクトディスク読み取り専用メモリ)、及びMO(光磁気)、DVD-ROM(デジタル多用途ディスク読み取り専用メモリ)、DVD RAM(デジタル多用途ディスクランダムアクセスメモリ)、または半導体メモリなどの有形の非一時的なコンピュータ可読媒体に設けられ、格納され得る。制御ユニットは、ライダーシステムと通信するスタンドアロンのデバイスまたはシステムであってもよい。あるいは、制御ユニットはライダーシステムの構成要素であり得る。リアルタイムの条件に応答して発光のパターンを生成する、及び/または感知のパターンを生成するといった、本明細書に開示されている方法は、例えば、ASIC、専用コンピュータ、または汎用コンピュータなどのハードウェア構成要素またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装することができる。
【0036】
図1のライダーシステム100はまた、各レーザエミッタが複数の視野を有し得るように、レーザエミッタによって生成されたレーザビームを外部環境に走査させるためのスキャナモジュール120を含み得る。スキャナモジュール120がなければ、レーザエミッタは静止した視野を有する。スキャナ120は、各レーザエミッタの視野を広げ、そのようにして、ライダーシステム100が、限られた数のレーザエミッタを使用して、外部環境の比較的広い領域を走査できるようにする。例えば、レーザエミッタが垂直方向に沿って1Dアレイに配置されている場合、それらを組み合わせた視野は外部環境の狭い垂直スライスのみを含んでいることがあり、移動している車両の前方にあるエリアの必要な視野を設けるには不十分である。それらはまた、車両の周囲全360度の認識をもたらすことができない。スキャナモジュール120がライダーシステム100に含まれる場合、レーザエミッタの視野を外部環境の様々な位置に向けることができる。実施形態によれば、スキャナは、発光モジュールと検出モジュールを垂直軸の周りで一緒に回転させるアクチュエータであってもよく、これにより、ライダーシステム100の周囲の視野を生成する。例えば、アクチュエータは、ブラシレス電気モータまたはいずれかの他の同様の機構であってもよい。別の実施形態によれば、スキャナは、MEMSミラーなどの振動式光学構成要素であってもよい。別の実施形態によれば、スキャナは、レーザビームを衝突方向とは異なる方向に方向転換する回転式光学構成要素であってもよい。例えば、回転式光学構成要素は、レーザエミッタのビームが、360度の円または水平方向に沿った部分的な円を走査するようにし得る。光学的な回転式光学構成要素は、プリズム、回転ミラー、振動ミラー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0037】
図2は、本願の実施形態によるライダーシステム100の例示的な構成を示す。
図1と同じ
図2の参照番号は同じ意味を有し、その説明は
図2に関して繰り返してはいない。発光モジュール110、検出モジュール130、制御モジュール140、及び走査モジュール120に加えて、
図2のライダーシステム100はさらに、スキャナ125、スキャナ制御ユニット121、スキャナ位置センサ123、及びレンズアセンブリ161、165及びミラー163などの複数の光学構成要素を示している。
図2に示すように、発光モジュール120によって生成された複数のレーザビーム11(それらは現在の観点から互いに重なり合っているため、それは1つのビームのように見える)は、まず、レーザビーム11をコリメート及び/または集束させるべくレンズアセンブリ161(例えば、コリメーションレンズ、コリメーションレンズアセンブリ)を通過し、次いでミラー163のアパーチャを通過する。レーザビーム11は、ミラー163のアパーチャを通過した後、スキャナ125の表面に当たり、それがレーザビーム11の方向を変え、それを外部スポットに向ける。物体がレーザビーム11の伝播経路内部に位置する場合、物体はレーザビーム11を反射する。特定の反射レーザビーム11は戻ってきてスキャナ125に当たる。戻ってきたレーザビーム131は、スキャナ125によって偏向された後、アパーチャを取り囲むミラー163の表面に当たり、その後、1つまたは複数の光学構成要素165を通過し得て、それにより、戻ってきた光ビームが方向付けられて、検出モジュール130の光センサの活性領域に焦点を合わせることができる。実施形態によれば、ライダーシステム100は、より多くのレンズ、ミラー、フィルタ(例えば、バンドパスフィルタまたは干渉フィルタ)、アパーチャ、ビームスプリッタ、偏光子、偏光ビームスプリッタ、波長板(例えば、半波長板、または4分の1波長板)、回折素子、またはホログラフィック素子、望遠鏡などの、出力ビーム11を所望のビーム径または発散に拡大、集束、またはコリメートすることを含む、出力レーザビーム11を調整することのための任意の他の適切な光学構成要素を含むことができる。実施形態によれば、戻りレーザビームを調整するために使用される1つまたは複数の光学構成要素は、例えば、戻ってきた光ビームを検出器に向けるための1つまたは複数のミラー(例えば、平面ミラー、凹面ミラー、凸面ミラー、放物面ミラー)またはレンズ/レンズアセンブリを含むことができる。
【0038】
ミラー163は、信号光11を通過させながら、戻ってきたレーザビーム131を検出モジュール130に向けるように構成されている。ミラー163は、レーザビーム11の通過を可能にする孔、スロット、またはアパーチャを中央領域に含み得る。戻りビーム131は、ミラー163のアパーチャよりも大きいサイズのビームスポットを有することができるため、戻りビーム131は、ミラー163によって少なくとも部分的に向きを変えることができる。別の実施形態によれば、戻りビーム131は、スキャナ125によって方向付けられた直後に、戻りビーム131がミラー163の反射面に実質的に当たるように調整され得る。受信された光信号は、検出モジュール130によって電気信号に変換され得て、その出力は、コントローラ140によって処理され得る。
【0039】
別の実施形態によれば、発光モジュール及び検出モジュールは、ミラー163に対するそれぞれの位置を切り替えることができ、レーザビーム11がミラー163により反射されて次いでスキャナ120に当たるようにし、一方で戻りビーム131はミラー163のアパーチャを通過して次いで光センサに到達するようにする。別の実施形態によれば、ミラー163は、ミラー163が出力ビーム11の方向を変更するために使用される場合、中央アパーチャまたは孔のない小さな表面領域を有するように構成される。出力ビーム12は通常、小さなビームのサイズにコリメートされるため、これらはミラー163の小さな中央領域に向けることができる。一方、長距離を移動した後の戻りビームは、通常、大きなビームのサイズを有し、そのため戻りレーザビーム131のかなりの部分がミラー163の周辺領域をバイパスとして使用できる。このようにすると、ミラー163の小さな中央領域によるいかなる遮断も、戻りレーザビームの検出可能性に影響を及ぼさない可能性がある。
【0040】
一実施形態によれば、スキャナ125は、レーザエミッタの配列の長手方向とは異なる方向に沿って出力ビーム11を走査させるように構成され得る。例えば、スキャナ125は、レーザビームを水平方向に沿って走査させ得るが、一方で、レーザエミッタは垂直方向に沿って配置されるように構成される。別の実施形態によれば、スキャナ125は、垂直方向と水平方向の両方などの2つの方向に沿って、出力ビーム11を走査するように構成され得る。いくつかの実施形態では、スキャナ125は、1つ以上の軸の周りで回転、振動、傾斜、旋回、または角度のある移動をするように構成された、1つ以上の走査ミラーを含み得る。走査ミラーは複数の反射面を有していてもよい。実施形態によれば、スキャナは、1つの軸の周りを回転するように駆動される少なくとも1つの回転ミラーを使用することができ、これは、5Hzから200Hzの範囲で調整可能な回転周波数を有することができる。実施形態によれば、スキャナ125の回転につき、より高い密度を測定することが望まれる場合、回転周波数を低減して、視野に対してより高い密度の測定を行えるようにすることができる。実施形態によれば、レーザエミッタの作動周波数も増加させることができる。別の実施形態によれば、スキャナ120は、100Hzから10,000Hzの間の振動周波数を有する共振ミラーであってもよい。
【0041】
スキャナ125は、例えば、検流計スキャナ、圧電アクチュエータ、多角形スキャナ、回転プリズムスキャナ、ボイスコイルモータ、電気モータ(例えば、DCモータ、ブラシレスDCモータ、同期電気モータ、ステッピングモータ)、または微小電気機械システム(MEMS)デバイスなどの任意の適切なアクチュエータまたは機構であり得る。
【0042】
実施形態によれば、スキャナ125は、スキャナ125のための駆動信号を生成するスキャナ制御ユニット121を含み得る。場合によっては、スキャナ125は、スキャナの角位置及び/または角運動を検出するように構成された1つまたは複数の位置センサ123をさらに含むことができる。位置信号150は、スキャナ125の動作パラメータを決定するために、コントローラ140に送信され得る。任意の適切なセンサを使用して、走査ミラーの運動または角位置を検出することができる。例えば、ピエゾ抵抗、光検出器、光学位置センサ(OPS)、位置感知検出器(PSD)、またはその他のセンサを使用して、動きや位置を感知できる。場合によっては、PSDを使用してスキャナ125の角位置を測定することができる。実施形態によれば、位置センサ123によって生成された位置信号150は、レーザスキャナの作動及びスキャナ125の動きを調整するために制御モジュール140によって使用され得、したがって、測定値または点群の分布または解像度を、ライダーシステムの視野全体にわたって、調整することができる。
【0043】
発光モジュールの構成
本願による発光モジュールは、単一の次元に沿って電子的に走査する(「1Dソリッドステート電子走査」)のに適したソリッドステートエミッタの構成を含む。この構成は、視野の垂直方向などの第1の方向に沿って配置された複数のソリッドステートレーザエミッタを含む。複数のソリッドステートレーザエミッタの数は、第1の方向の視野及び解像度によって決定される。距離の測定中、複数のレーザエミッタは、第1の方向に沿って視野全体を照らすために、順次及び電気的に作動されるかまたはオフにされ、一方、第2の方向の視野の走査は、機械式回転などの別の機構によって実行される。第1の方向に沿った複数のレーザエミッタの配置は、1Dアレイ、実質的な1Dの形状を有する複数の列、2Dマトリックス、または解像度の要件に適合する他の任意の形状などの、任意の形状とすることができる。さらに、複数のレーザエミッタは、ライダーシステムの送信光学系の焦点面に沿って配備され、十分にコリメートされたレーザビームを生成する。1Dのソリッドステートのe-スキャンに関して、ライダーシステムは外部環境をスライスごとにスキャンし、一方向の視野を含むのに十分なレーザエミッタのみを必要とする。したがって、このようなライダーシステムは、特定の用途に合わせてレーザエミッタの配置を調整し、コストを制御し、システムの電力消費を低減する上で、より高い柔軟性を有する。
【0044】
図3aは、本発明の実施形態によるライダーシステムの発光モジュール300の構成を示す。発光モジュール300は、複数のレーザエミッタLE1...LE15、複数の駆動回路D1...D6、及び半導体基板301を含む。実施形態によれば、複数のレーザエミッタLE1...LE15及び複数の駆動回路D1...D6は、モノリシック製造プロセスを介して、同じ半導体基板301に集積される。例えば、VCSELレーザエミッタと駆動回路は両方とも、半導体処理技術によって製造することができ、同じ基板上に統合することができる。別の実施形態によれば、レーザエミッタLE1...LE15のそれぞれは、それ自体の半導体基板301を有し、その後、すべてのレーザエミッタLE1...LE15が、垂直方向に沿って取り付けられる。
【0045】
実施形態によれば、レーザエミッタLE1...LE15、またはレーザエミッタLE1...LE15のいくつかの群が、ライダーの垂直方向の視野全体を形成する。一般的に言えば、レーザエミッタの数は、ライダーシステムのチャネルまたはラインの数として当業者に理解され得て、それはライダーシステムの解像度を決定する。
図3cに示すように、レーザエミッタLE1...LE15は、光学システム340を介して、異なる角度方向に沿って外部環境にレーザビームを送信するように構成されている。
図3cに示すように、垂直方向の視野(VFOV)342は、複数のレーザエミッタによる垂直方向の角度範囲を表す。例えば、2つの最も外側のレーザビーム344及び346の間の角度ゾーンは、レーザエミッタLE1~LE15によってカバーされる垂直方向の視野を表す。固定の角度ゾーンの場合、2つのビーム344と346の間に配置されるレーザビームの数が多くなるほど、隣接する2つのレーザビーム間の角度の隔たりが小さくなり、垂直方向の視野に沿った解像度が高くなることが明らかである。視野に対してより高い密度のレーザビームが必要な場合、スキャナの使用の有無にかかわらず、より多くのレーザエミッタを使用するのが一般的である。このような従来の方法は、レーザエミッタの2Dアレイを使用してレーザビームを生成する場合に、欠点がある。具体的には、任意の1つの方向に沿った解像度を高めるには、いくつかの列またはラインのレーザエミッタを追加する必要があり、これによりライダーシステムのコストが大幅に増加する可能性がある。
【0046】
別の実施形態によれば、
図3aに示されるようなレーザエミッタLE1...LE15は、発光モジュールのレーザエミッタのサブセットを表し、1つまたは複数の駆動回路によって制御され得る単一の照明バンクを形成する。本願によるライダーシステムは、複数の照明バンクを有することができる。バンクを使用してレーザエミッタを制御すると、組み立てのプロセスを容易にすることができ、レーザエミッタをより柔軟に配置できるようになり、クロストークを低減することができる。照明バンクについてのさらなる説明は、
図3bに関連してなされる。
【0047】
図3aに示すような複数のレーザエミッタLE1...LE15は、所定の分布のパターンに従って、1Dアレイに配置される。例えば、
図3aは、レーザエミッタLE1...LE15が垂直方向に沿って不均一に配置されていることを示している。一般に、VFOVの中央領域は車両の進行方向のゾーンを表し、より高い解像度が必要になるが、一方、VFOVの周辺ゾーンは車両の移動経路の上または下のゾーンを表し、中央ゾーンよりも低い解像度を有し得る。したがって、VFOVの周辺領域を含むように設計されたレーザエミッタLE1、LE2、及びLE3は、VFOVの中心領域を含むように設計されたレーザエミッタLE6~LE9(図示せず)よりも、まばらに配置される。したがって、レーザエミッタLE1~LE3間のピッチ(隣接するレーザエミッタ間の間隔)は、レーザエミッタLE6~LE9よりも大きい。レーザエミッタLE3~LE6のピッチは、LE1~LE3のピッチとLE6~LE9のピッチの間にある。別の実施形態によれば、レーザエミッタは、特定の用途に適した任意の分布のパターンに従って配置され得る。例えば、複数のレーザエミッタは、照明バンクにおいて均一に分散され得る。別の実施形態によれば、周辺ゾーンは、用途に応じて、より高い解像度を有することができる。例えば、航空の用途では、ドローンなどの航空機の下のゾーンには、より高い解像度が必要な場合があり、レーザエミッタを高密度に分散するべきである。複数のレーザエミッタLE1...LE15は単なる例であり、レーザエミッタの総数は、15を超えてもよく、例えば128、256、512、あるいはそれ以上であってもよい。
【0048】
図3aは、レーザエミッタが垂直方向に沿って1Dアレイを形成していることを示しているが、レーザエミッタは複数の列に配置することもでき(特に、垂直方向に沿ったレーザエミッタの数が20を超える場合)、この場合各々の列は、水平方向に沿ってオフセットさせている。例えば、レーザエミッタLE1...LE15に2つの列がある場合がある。第1の列は、レーザエミッタLE1~LE3(照明バンク320)、LE10~LE12(照明バンク324)によって形成され、第2の列は、LE4~LE9(照明バンク322)、LE13~LE15(照明バンク326)によって形成され、これは、
図3bの第1のアレイ328として示される配置と同様である。2つの列は、レーザエミッタLE1からLE3間のピッチなど、小さな水平のオフセットを有するが、依然として実質的に1Dの配置を示している。垂直の寸法と水平の寸法の間のアスペクト比を使用して、レーザエミッタが1Dアレイを形成するかどうかを判定することができる。例えば、レーザエミッタによって形成される形状のアスペクト比が3より大きい場合、レーザエミッタは1Dアレイを形成するとみなされ得る。
【0049】
従来の技術とは異なり、本願で説明されているようなライダーシステムは、点群を生成するためにレーザエミッタの二次元アレイを必要としない。本願の実施形態によれば、ライダーシステムは、レーザエミッタの一次元アレイをスキャナと組み合わせて、所望の二次元の視野をカバーすることができる。本願のライダーシステムに含まれるレーザエミッタの数は、ライダーシステムのチャネルまたはラインの数とほぼ同じであってもよい。例えば、VFOVが60度、解像度が0.3度の場合、ライダーシステムに含まれるレーザエミッタの数は200個になる(60/0.3=200)。別の例では、VFOVが60度、解像度が0.1度の場合、ライダーシステムに含まれるレーザエミッタの数は600個になる(60/0.1=600)。環境の距離情報を検出するために使用されるレーザエミッタに加えて、本願のライダーシステムは、様々な目的のために、追加のレーザエミッタを含むことができる。例えば、自己診断、較正、または背景光の測定のために、より多くのレーザエミッタを含めることができる。別の例では、ライダーシステムから数メートル以内にあるゾーンなどの近接場ゾーンにある物体の距離情報を検出するために、追加のレーザエミッタが含まれてもよい。これらの追加のレーザエミッタは、距離を測定するものに隣接して配備でき、レーザエミッタの一般的な1D配置は変更されない。本願の別の実施形態によれば、ライダーシステムは、他のレーザエミッタが故障したときのバックアップのエミッタとして使用される、冗長レーザエミッタを含むことができる。例えば、レーザエミッタの数はチャネルまたはラインの数を2倍にし得、2つの1Dアレイに分割される。第1の1Dアレイは距離の測定に使用され、一方で第2の1Dアレイは冗長光源として使用される。このようにして、第1のアレイのレーザエミッタに障害が発生した場合、ライダーシステムは第2のアレイの冗長レーザエミッタを作動させることができる。冗長レーザエミッタに関するより詳細な説明は、
図3bに関連させてなされる。
【0050】
別の実施形態によれば、発光モジュール300のレーザエミッタは、個別にまたは群として制御され得る。駆動回路302、316は、1つまたは複数のレーザエミッタを制御することができる。一例によれば、駆動回路は、1つの群のレーザエミッタを制御することができ、これにより、発光モジュールの駆動回路の数を減らし、制御動作を簡素化することができる。
図3aに示すように、発光モジュール300は、6つの駆動回路と15個のレーザエミッタを含む。したがって、駆動回路D1は、レーザエミッタLE1及びLE2を制御するように構成されている。駆動回路D2は、レーザエミッタLE3~LE5を制御するように構成されている。また、駆動回路D3は、レーザエミッタLE6~LE9を制御するように構成されている。
【0051】
図3bは、本願の実施形態による発光モジュール303の別の構成を示す。発光モジュール303は、プリント回路基板などの支持構造339と、複数のレーザバンク320、322、324、及び326によって形成されるレーザエミッタの第1のアレイ328と、レーザエミッタの第2のアレイ338と、複数の駆動回路302...316とを有する。レーザエミッタの第1のアレイ328は、垂直方向の視野に沿って必要な解像度を生成するために必要なレーザエミッタを表す。例えば、垂直方向に128個のチャネルまたはラインが必要な場合、128個のレーザエミッタが第1のアレイ328に含まれる。レーザエミッタの第2アレイ338は、第1のアレイ328に対するバックアップのレーザエミッタとして発光モジュールに含まれている。実施形態によれば、第1のアレイ328の全レーザエミッタは、第2のアレイ338の対になったレーザエミッタを有し、第2のアレイの視野は、第1のアレイ328の視野と実質的に同一である。
【0052】
実施形態によれば、第1のアレイ328の複数のレーザエミッタは、複数のバンク320...326の上にさらに配備され、各バンクは単一の半導体基板を有する。例えば、発光モジュール303は、第1のアレイに対して128個のレーザエミッタを有し、128個のレーザエミッタを4つのバンク320、322、324、及び326に分割して配置することができ、それぞれが単一の基板の上に統合された32個のレーザエミッタを有する。別の実施形態によれば、128個のレーザエミッタのそれぞれが独自の半導体基板を有することができ、その後、レーザエミッタの群が、バンクを形成するように取り付けられる。レーザエミッタを保持及び制御するために個別のバンクを使用することには、多くの利点がある。まず、ライダーシステムのレーザエミッタのサブセットのみを保持することで、バンクは、単一のバンクがすべてのレーザエミッタを保持するよりも寸法が短くなり、熱サイクルによって引き起こされるレーザエミッタの指向方向のシフトを軽減することができる。さらに、複数のより小さなバンクを使用することで、PCB339に、さらに柔軟に配置できるようになる。
図3bに示すように、4つのバンク320、322、324、及び326のそれぞれは、PCBに配置されるとき、それぞれの水平及び垂直なピッチを有し、それらは互いに同一であっても、そうでなくてもよい。
【0053】
実施形態によれば、レーザエミッタ320、322、324、及び326の各バンクは、均一に分布した視野を生成するために、同じ数のレーザエミッタ、及びレーザエミッタ間での同一のピッチを有し得る。別の実施形態によれば、垂直方向の視野に沿ったレーザエミッタの不均一な分布が望ましい場合、バンク320、322、324、及び326は、ゾーンが重なるようにPCBに配置されて、レーザエミッタの不均一な分布を作り出すことができる。別の実施形態によれば、レーザエミッタの各バンクは、異なるピッチを有する異なる数のレーザエミッタを有することができ、レーザエミッタの不均一な分布、したがって不均一なVFOVを作り出すさらに大きな柔軟性をもたらす。
【0054】
図3bに示すように、発光モジュール303は、330、332、334、及び336のバンクによって形成されるレーザエミッタの第2のアレイ338をさらに含む。レーザエミッタの第2のアレイ338は、第1のアレイ328の代替として機能するように意図されているため、バンク330のレーザエミッタは、バンク320のレーザエミッタと実質的に同一の視野を有するように構成される。同様に、バンク332、334、及び336は、それぞれバンク322、324、326と同様の視野を有する。レーザエミッタはライダーシステムの他の構成要素よりも先に故障する傾向があるため、レーザエミッタの第2の及び冗長アレイ338は、いずれかの修理または交換が必要になる前に、ライダーの動作寿命を延ばすことができる。
【0055】
図3bに示すように、発光モジュール303は、レーザエミッタの複数のバンクを駆動するための複数の駆動回路302、304、...、316をさらに有する。駆動回路は、各バンクの各レーザエミッタを個別に制御できる。実施形態によれば、レーザエミッタのバンクと駆動回路は1対1の対応を有する。レーザエミッタは個別にアドレス指定できるため、これらは駆動回路によって順番に、または任意の組み合わせで、作動させることができる。別の実施形態によれば、各バンクは2つ以上の駆動回路によって制御され得る。このようにして、同じバンクの複数のレーザエミッタが同時に作動されると、それぞれが異なる駆動回路に従って光パルスを生成できる。
【0056】
駆動回路302、304、...316のそれぞれは、制御されたレーザエミッタにレーザビームの固有のパターンを生成させることができる。実施形態によれば、各駆動回路は、レーザパルスを生成するための複数のパルスプロファイルを格納する。パルスプロファイルは、レーザパルスの複数のパラメータを指定する。レーザパルスのパラメータには、パルス数、各パルスのパワーと幅、隣接するパルス間の間隔などが含まれ得る。レーザパルスのプロファイルは、天候、交通状況、GPSの位置、車両の速度などの、検出モジュール、または他のセンサまたはモジュールから入力されたデータから得られた検出結果に従って、測定ごとに切り替えたり、動的に調整したりすることができる。別の実施形態によれば、駆動回路は、レーザエミッタを作動させるための開始時間を調整することがさらにでき、各レーザエミッタによって生成されるレーザパルスをさらに区別することができる。レーザエミッタによって生成されるレーザビームがそれ自体独自のパターンを備えている場合、同時発生するレーザビームによって引き起こされる検出モジュールでのクロスチャネル干渉を、大幅に軽減できる。
【0057】
レーザエミッタの動作
A.レーザエミッタの選択的作動
本願の発光モジュールは、複数のレーザエミッタを並行して作動させるように構成されている。便宜上、レーザエミッタのカラムの列全体またはレーザエミッタ全体を作動させる他の方法とは異なり、発光モジュールは、複数のレーザエミッタを選択的に作動させて、クロスチャネル干渉により検出モジュールで発生する可能性のあるクロストークを低減する。
図4に示される例では、本願の発光モジュールは、各バンクのレーザエミッタを作動させることができる。例えば、バンク320のレーザエミッタ400、バンク322のレーザエミッタ403、バンク324のレーザエミッタ404、及びバンク326のレーザエミッタ406は、実質的に同時に作動され、レーザビーム410、412、414、及び416をそれぞれ生成する。レーザエミッタ400、402、404、及び406の視野は、分離が大きく重なりがほとんどないため、それらの戻ってくるレーザビームは、光センサにおいてほとんどまたはまったく重なり合わず、したがって検出モジュールでのクロストークが低減される。実施形態によれば、発光モジュールは、レーザエミッタによって生成されたレーザビームの送信方向に基づいて、並行して作動されるレーザエミッタを選択する。実施形態によれば、発光モジュールは、これらのレーザエミッタ間の距離に基づいて、並行して作動されるレーザエミッタを選択する。その結果、発光モジュールは、並行して作動するために各バンクからレーザエミッタを1つだけ選択する必要がない。発光モジュールは、それらのレーザエミッタが重複する視野を有していない、または物理的に離れていない限り、同じバンクの複数のレーザエミッタをアクティブにすることができる。また、隣接する時間に光を発するレーザエミッタは、視野が重なり合ったり、可能な限り離れたりしないようにするべきある。
【0058】
実施形態によれば、並行して作動されるレーザエミッタの数は、垂直方向などの所定の方向に沿った解像度を生成するのに必要なレーザエミッタの総数の8分の1を超えない、またはその16分の1を超えない、またはその32分の1を超えないものに設定される。例えば、垂直解像度に128個のレーザエミッタが必要な場合、並列でアクティブになるレーザエミッタは16、6、または4個を超えないレーザエミッタになり得、これは、128個のレーザエミッタのうち、それぞれ1/8、1/16、または1/32に相当する。所定の方向は、発光モジュールがそのレーザエミッタを電子的に走査する方向として理解され得る。例えば、
図3a及び
図4に示されるレーザエミッタは、垂直方向に沿って電子的及び連続的に作動させることができるが、一方で、それらを水平に走査するために機械的作動が使用される。このような構成では、垂直方向が所定の方向を表す。
【0059】
レーザエミッタが実質的に1Dアレイに配置されるため、これらは垂直方向に沿って狭い視野を照明することができ、水平での走査を使用して、本願のライダーシステムの視野を拡大することができる。実施形態によれば、水平方向の走査は、モータまたは回転ミラーなどの機械式スキャナによって実行される。水平方向の走査周波数は5~20Hzであってもよく、これは垂直での走査の周波数より遅く、水平での走査よりも10、100、200、500、または1000、2000、または3000倍速くてもよい。
【0060】
実施形態によれば、レーザエミッタは、発射のパターンに従って作動され得る。発射のパターンは、レーザエミッタ間の発射周波数とシーケンスを定め、検出結果に従って、リアルタイムで調整できる。例えば、レーザエミッタは、まず、所定の発射のパターンに従って作動され得る。車両の前方にある障害物などの関心領域が検出されると、制御モジュールは、関心領域をカバーするレーザエミッタに、より高い周波数で作動してより高密度のデータポイントを生成するよう指示することができる。別の例では、移動している物体が検出されると、制御モジュールは、移動している物体に対してより多くのデータポイントを生成するように、レーザエミッタの発射シーケンスを構成することができる。
【0061】
B.各レーザエミッタから生成される独自のレーザビーム
本願の発光モジュールは、同じライダーシステムまたは他の照明源のいずれかによって生成される同時発生するレーザビームによって引き起こされる干渉を低減するための追加の措置を実装することができる。実施形態によれば、並行して作動されるレーザエミッタの場合、それらのそれぞれまたは少なくとも一部は、固有のまたは異なるレーザプロファイルを生成することができ、その結果、検出モジュールは、検出された戻りレーザビームが正しいチャネルから送信されているかどうかを判定するために、固有のレーザプロファイルに依存し得る。例えば、
図4に示すように4つのレーザエミッタが作動する場合、駆動回路は、各レーザエミッタに4つの異なるレーザプロファイルに従ってレーザビームを生成させることができる。前のセクションで説明したように、レーザプロファイルには、様々な種類のレーザビームのパラメータが含まれ得る。パルスレーザビームの場合、レーザパルスの数、各パルスの幅、各パルスのパワー、及び隣接するパルス間の時間間隔などのパラメータが、生成されるレーザパルスを定めるためにレーザプロファイルによって使用される。連続波レーザビームの場合、周波数と振幅を使用してレーザ波を定める。
【0062】
図5は、本願の実施形態によるレーザプロファイルによって定められるレーザパルスの例示的なシーケンスを示す。レーザパルスのシーケンス500は、3つのパルス502、504、506を含む。
図5には3つのパルスのみが示されているが、より多くのまたはより少ない数のパルスをレーザプロファイルによって定め得る。レーザプロファイルは、各レーザパルスのピークパワーP502、P504、及びP506をさらに定められる。実施形態によれば、第1のパルス506は、同様のピークパワーを有し得る後続のパルス502及び504よりも低いパワーP506を有し得る。隣接するパルス間の時間間隔Δt1とΔt2も、レーザプロファイルによって調整できる。例えば、パルス506とパルス504の間の時間間隔Δt2は、パルス504とパルス502の間の時間間隔Δt1より短い。さらに、各パルスの幅も、レーザプロファイルによって調整可能である。これらのパラメータを調整することで、レーザプロファイルは、レーザエミッタによって生成されるパルスシーケンスの多くのパターンを定めることができるため、同時発生する各レーザビームが独自のプロファイルを有し、他のレーザビームと区別できることを確実にする。
【0063】
発光モジュールの動作
図6は、本願の実施形態によるライダーシステムの発光モジュールを制御する方法を示す。制御方法600は、開始及び自己診断ステップ602で始まり、その間に電力が駆動回路に供給され、発光モジュールが自己診断プロセスをたどる。自己診断は、各レーザエミッタの出力レベルや操作性など、装置の何らかの問題や発光モジュールの不具合を発見することを目的としている。自己診断ステップが何の問題も報告しない場合、ステップ604で、発光モジュールは制御モジュールにメッセージを送信し、他のセンサから制御信号及びデータを受信する。制御信号には、垂直の視野に沿った走査周波数と、並行して作動されるレーザエミッタの数とが含まれ得る。他のセンサからのデータには、温度、気象条件、背景光のレベルが含まれ得る。ステップ606で、発光モジュールは、レーザエミッタの発射のパターン及び各レーザエミッタのレーザプロファイルを判定する。ステップ608で、発光モジュールは、1、2、3、4、5nsなどの所定のオフセットで、各レーザエミッタの開始時間をランダムに調整する。ステップ610で、レーザエミッタは、ステップ608で判定された発射のパターン、レーザプロファイル、及び開始時間に従って作動される。第1のセットのレーザエミッタが作動した後、ステップ614でレーザビームの発光を停止する必要があるかどうかが判定される。停止信号が受信された場合、制御方法はステップ620に進み、レーザエミッタがレーザビームを発光するのを停止する。実施形態によれば、ステップ614は、すべてのレーザエミッタが作動された後に実行され得る。
【0064】
ステップ616では、リアルタイムの検出結果に従って、発射のパターン及びレーザプロファイルが調整される。実施形態によれば、視野にある障害物などの関心領域は、検出結果に基づいて判定され得、より高い密度の測定値を取得するために、より多くのレーザビームがその関心領域に向けられ得る。別の実施形態によれば、発光されるレーザパルスの出力は、信号対雑音比を増加させ、検出器の盲目化を回避し、または人間の目にいずれかの潜在的な危害をも避けるように調整される。現在のチャネルのレーザ出力の調整は、同じチャネルまたは異なるチャネルのいずれかの、前のチャネルの検出結果に基づいて行うことができる。垂直方向に沿ったレーザエミッタの電子走査は、200マイクロ秒、100マイクロ秒、またはさらに短い周期など非常に短いため、同じチャネルの検出結果、または現在のチャネルの直前に作動されたチャネルの検出結果が、現在のチャネルによって検出される物体の情報を示し得る。同じチャネルの検出結果を使用してレーザパワーを調整する場合、現在のチャネルから1または2周期以内に検出結果を取得する必要がある。異なるチャネルの検出結果が使用される場合、これら2つのチャネルの視野の間の分離は、垂直方向に沿って0.5、1、または2度などの所定のしきい値以内である必要がある。レーザパワーの調整に使用できる検出結果のパラメータには、距離、反射率、背景光のレベル、光検出器の飽和レベルなどが含まれる。発射のパターン及びレーザプロファイルが調整されると、プロセスはステップ608に進み、レーザエミッタの作動を継続する。
【0065】
実行可能プログラムを格納するために本願で使用される非一時的記憶媒体には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュまたはEEPROM、SDSC(標準容量)カード(SDカード)、または半導体メモリなど、デジタルデータを記憶するのに適した任意の媒体が含まれ得る。記憶媒体は、記憶媒体に記憶されたデータが他の電子デバイスによってアクセス及び/または実行され得るように、別の電子デバイスと結合するためのインターフェースを有することもできる。
【0066】
本発明を上で概説した特定の実施形態に関連して説明してきたが、当業者にとって多くの代替、修正、及び変形が明白であることは、明らかである。したがって、上述した本発明の実施形態は、例示を目的とするものであり、限定するものではない。以下の特許請求の範囲に定義されている本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得る。
【国際調査報告】