(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】噴霧器の電極アセンブリ用の洗浄装置、関連する運転方法、及び対応する電極アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510400
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2022071518
(87)【国際公開番号】W WO2023020820
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121552.8
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】ベルント、サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ブック、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェルフェルダー、マンフレード
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB33
3B201AB51
3B201BB23
3B201BB92
3B201BB98
(57)【要約】
本発明は、噴霧器(1)、特に、回転噴霧器(1)上の静電外部帯電用の複数のフィンガー状の外部電極(4)を有する電極アセンブリ(3)を洗浄するための洗浄装置であって、洗浄プロセス中に電極アセンブリ(3)のフィンガー状の外部電極(4)のうち1つを受け入れるための挿入開口部を有する第1の洗浄チャンバ(7)を有する洗浄装置に関する。本発明は、洗浄プロセス中に電極アセンブリ(3)のフィンガー状の外部電極(4)のうち1つを受け入れるための挿入開口部を有する第2の洗浄チャンバ(8~10)を少なくとも提供し、電極アセンブリ(3)のフィンガー状の外部電極(4)のうち少なくとも2つが、洗浄プロセス中に同時に洗浄され得る。さらに、本発明は、そのような洗浄装置のための対応する運転方法を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧器(1)、特に回転噴霧器(1)における静電外部帯電のための複数のフィンガー状の外部電極(4)を有する電極アセンブリ(3)を洗浄するための洗浄装置であって、
(a)洗浄プロセス中に前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち1つを受け入れるための挿入開口部を有する第1の洗浄チャンバ(7)を有し、
(b)前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち少なくとも2つが前記洗浄プロセス中に同時に洗浄され得るように、前記洗浄プロセス中に前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち1つを受け入れるための挿入開口部を有する少なくとも1つの第2の洗浄チャンバ(8~10)を有すること
を特徴とする、
洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄チャンバ(7~10)は、全て、互いに平行に整列されており、前記電極アセンブリ(3)の平行な前記フィンガー状の外部電極(4)を受け入れることを特徴とする、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
(a)各前記洗浄チャンバ(7~10)の前記挿入開口部にシールが設けられており、前記シールは、洗浄プロセス中に前記洗浄チャンバ(7~10)から洗浄流体が漏れることを防止すること、
(b)前記洗浄チャンバ(7~10)の前記挿入開口部にある前記シールは、任意で、
(b1)接触式に、特に、前記洗浄プロセス中に洗浄対象の前記外部電極(4)を環状に囲み、洗浄対象の前記外部電極(4)の外側に当接し、好ましくは、接触力を伴って弾性的に当接する環状シールリップとして、又は、
(b2)非接触式に、特に、前記挿入開口部を横切ってエアカーテンを吹き出す吹き出しエアリング(15、24、25)として
設計されていること
を特徴とする、
請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
(a)前記洗浄チャンバ(7~10)のうち少なくとも1つに、少なくとも1つの第1のスプレーノズル(16)が配置されており、前記少なくとも1つの第1のスプレーノズル(16)が、前記洗浄プロセス中に前記フィンガー状の外部電極(4)の外面に前記洗浄流体を吹き付けること、及び/又は、
(b)前記洗浄プロセス中に前記外部電極(4)の自由端に前記洗浄流体を軸方向に、特に、洗浄対象の前記外部電極(4)に関して前方から軸方向に吹き付けるために、少なくとも1つの第2のスプレーノズル(17)が、前記洗浄チャンバ(7~10)のうち少なくとも1つに配置されていること
を特徴とする、
請求項1から3の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
(a)前記少なくとも1つの第1のスプレーノズル(16)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)内で、前記挿入開口部付近の上側に、特に、前記洗浄チャンバ(7~10)の上部4分の1若しくは5分の1に配置されていること、
(b)前記第1のスプレーノズル(16)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸に対して垂直な断面内で放射状に整列されていること、及び/又は、
(c)前記第1のスプレーノズル(16)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)の前記挿入開口部から離れる方向に、特に、前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸に対して0°~60°、5°~50°、若しくは10°~30°の角度で傾斜していること、
(d)前記第1のスプレーノズル(16)は、任意で、
(d1)前記洗浄流体のフラットジェットを放出するフラットジェットノズルとして、若しくは、
(d2)前記洗浄流体の円錐状の対称ジェットを放出するフルコーンジェットノズルとして
設計されていること
を特徴とする、
請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
(a)前記第2のスプレーノズル(17)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)内で底面に配置されており、前記第2のスプレーノズル(17)は、前記洗浄プロセス中に洗浄対象の前記外部電極(4)の下に位置すること、及び/又は、
(b)前記第2のスプレーノズル(17)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)内で中心に配置されていること、及び/又は、
(c)前記第2のスプレーノズル(17)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸に対して平行に整列されており、前記洗浄流体を、各前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸(18)に沿って、洗浄対象の前記外部電極(4)の方向へ上向きに吹き付けること
を特徴とする、
請求項4又は5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
(a)前記洗浄プロセスの後に、洗浄対象の前記外部電極(4)に圧縮空気を吹き付けるか、又は、洗浄対象の前記外部電極(4)から圧縮空気を吸引し、それによって洗浄対象の前記外部電極(4)を乾燥させるために、前記洗浄チャンバ(7~10)のうち少なくとも1つに乾燥ノズルが配置されていること、
(b)前記乾燥ノズルは、洗浄対象の前記外部電極(4)に付着している洗浄流体を下向きに剥がすために、圧縮空気を、下向きに、好ましくは、各前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸に対して斜めに吹き付けること、
(c)前記乾燥ノズルは、任意で、
(c1)好ましくは乾燥対象の前記外部電極(4)に対してエアカーテンを吹き付ける環状循環スロットノズルとして、若しくは、
(c2)各前記洗浄チャンバ(7~10)の周囲に環状に分散配置され、好ましくは、圧縮空気を、乾燥対象の前記外部電極(4)に対して、何れの場合にも内向きに吹き付ける複数の個々のノズルとして
設計されていること
を特徴とする、
請求項1から6の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項8】
(a)何れの場合にも外部電極(4)を受け入れて洗浄するための、一列に配置された少なくとも2つの洗浄チャンバ(7、8)を有する第1の洗浄モジュール(5)であって、前記第1の洗浄モジュール(5)内の前記2つの洗浄チャンバ(7、8)は、平行に整列されている、第1の洗浄モジュール(5)と、
(b)何れの場合にも1つの外部電極(4)を受け入れて洗浄するための一列に配置された少なくとも2つの洗浄チャンバ(9、10)を有する第2の洗浄モジュール(6)であって、前記2つの洗浄チャンバ(9、10)は、前記第2の洗浄モジュール(6)内で平行に整列されている、第2の洗浄モジュール(6)と、
を備え、
(c)前記洗浄モジュール(5、6)は、任意で、互いに平行に整列されており、前記2つの洗浄モジュール(5、6)内の前記洗浄チャンバ(7~10)の列は、互いに平行すること
を特徴とする、
請求項1から7の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項9】
(a)前記2つの洗浄モジュール(5、6)は、前記洗浄チャンバ(7~10)が全て平行に整列されるように、互いに対向して配置されていること、
(b)前記2つの洗浄モジュール(5、6)は、噴霧器(1)に取り付けられた複数の外部電極(4)が前記洗浄チャンバ(7~10)に挿入されているときに前記噴霧器(1)を受け入れるための空間(13)を前記2つの洗浄モジュール(5、6)の間に囲んでいること
を特徴とする、
請求項8に記載の洗浄装置。
【請求項10】
(a)洗浄液を供給するための洗浄剤供給装置と、
(b)圧縮空気を供給するための圧縮空気供給装置と、
(c)前記フィンガー状の外部電極(4)に前記洗浄液と前記圧縮空気との混合物を吹き付けるための少なくとも1つのスプレーノズルと、
(d)入口側で前記洗浄剤供給装置及び前記圧縮空気供給装置に接続されており、出口側で前記少なくとも1つのスプレーノズルに接続されている弁装置と、
を備え、
(e)前記弁装置は、
(e1)混合位置であって、前記混合位置において、前記弁装置が前記圧縮空気を前記洗浄液に混合し、混合物を前記スプレーノズルへ通過させる混合位置と、
(e2)乾燥位置であって、前記乾燥位置において、前記弁装置が前記圧縮空気のみを選別し、前記外部電極(4)を乾燥させるために前記洗浄液を伴わずに前記圧縮空気を前記スプレーノズルへ通過させる乾燥位置と、
のうち少なくとも1つの弁位置を有すること
を特徴とする、
請求項1から9の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項11】
(a)前記洗浄チャンバ(7~10)のうち少なくとも1つが、前記洗浄チャンバ(7~10)から媒体を受け取り、気体媒体から液体媒体を分離する分離装置に出口側で接続されていること、及び/又は、
(b)前記分離装置は、出口側で廃棄システムに、特に、前記洗浄チャンバ(7~10)から液体媒体を受け取る収集容器に接続されていること、及び/又は、
(c)前記分離装置から前記収集容器への流出を弁制御する制御可能弁、特に、ボール弁が、前記分離装置と前記廃棄システムとの間に配置されていること、及び/又は、
(d)前記分離装置は、出口側で開通しており、好ましくは、前記分離装置の下に配置された漏斗へ開通していること
を特徴とする、
請求項1から10の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項12】
(a)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)は、それぞれ、液体媒体を何れの場合にも個々の廃棄システムへ廃棄する分離装置を有すること、又は、
(b)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)は、それぞれ、液体媒体を共通の廃棄システムに廃棄する分離装置を有すること、又は、
(c)前記洗浄チャンバ(7~10)は、液体媒体を共通の廃棄システムに廃棄する共通の分離装置を有すること
を特徴とする、
請求項11に記載の洗浄装置。
【請求項13】
(a)前記外部電極(4)に洗浄流体を吹き付けるために複数のスプレーノズル(16、17)が設けられていること、
(b)前記スプレーノズル(16、17)に、共通の分配器リングから前記洗浄流体が供給されること、及び、
(c)洗浄動作後に前記洗浄流体が独立して前記分配器リングから流れ出るように前記分配器リングが設計されていること
を特徴とする、
請求項1から12の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項14】
(a)前記洗浄装置は、前記洗浄装置を台座上に弾性的に取り付けるための、特に、洗浄対象の前記電極アセンブリ(3)と前記洗浄装置との間の衝突を防止するためのばね(20)を有するばねサスペンションを有していること、及び/又は、
(b)前記フィンガー状の外部電極(4)を洗浄するための前記洗浄チャンバに加えて、別個の洗浄チャンバ(7~10)が前記噴霧器(1)を洗浄するために設けられており、前記外部電極(4)と前記噴霧器(1)とは、同時に洗浄され得ること、及び/又は、
(c)前記洗浄チャンバ(7~10)は、前記噴霧器(1)が、前記噴霧器(1)の外部電極(4)を前記洗浄装置の両側から前記洗浄チャンバ(7~10)に挿入し得るように、前記洗浄装置内で略中心に配置されていること、及び/又は、
(d)前記洗浄チャンバ(7~10)は、液密、並びに/若しくは、気密な壁を有すること、及び/又は、
(e)前記外部電極(4)の平行な端部は、少なくとも1cm、2cm、若しくは3cmの長さであること、及び/又は、
(f)前記洗浄流体は、圧縮空気と洗浄液との混合物であること
を特徴とする、
請求項1から13の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項15】
(a)前記洗浄チャンバ(7~10)は、異なる回転位置の間で回転軸(32)の周りに回転され得る回転機構(27)上に一緒に配置されており、前記洗浄チャンバ(28~31)は、好ましくは、前記回転軸(32)に対して平行に整列されており、前記回転位置のそれぞれにおいて、何れの場合にも、複数のフィンガー状の外部電極(34~41)が、同時に洗浄され得ること、
(b)任意で、前記洗浄チャンバ(28~31)を前記挿入方向に沿って一緒に持ち上げ、それによって洗浄対象の前記フィンガー状の外部電極(34~41)を前記洗浄チャンバ(28~31)に挿入するか、又は、洗浄対象の前記フィンガー状の外部電極(34~41)を前記洗浄チャンバ(28~31)から取り外すために、昇降機構が設けられていること
を特徴とする、
請求項1から14の何れか一項に記載の洗浄装置。
【請求項16】
噴霧器(1)における静電外部帯電のための複数のフィンガー状の外部電極(4)を有する電極アセンブリ(3)を洗浄するための洗浄装置、特に、請求項1から15の何れか一項に記載の洗浄装置の運転方法であって、
(a)前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち1つを前記洗浄装置の第1の洗浄チャンバ(7~10)に挿入するステップを含み、
(b)前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち他の1つを前記洗浄装置の第2の洗浄チャンバ(7~10)に挿入するステップ、
(c)前記洗浄装置の前記洗浄チャンバにおいて前記フィンガー状の外部電極(4)を同時に洗浄するステップ
を特徴とする、
運転方法。
【請求項17】
前記フィンガー状の外部電極(4)を洗浄するためのステップである、
(a)前記洗浄チャンバ内の前記フィンガー状の外部電極(4)に、何れの場合にも、前記フィンガー状の外部電極(4)の外面に向けられた少なくとも1つの第1のスプレーノズル(16)により洗浄流体を吹き付けるステップ、及び、
(b)前記洗浄チャンバ内の前記フィンガー状の外部電極(4)に、何れの場合にも、略軸方向に前記フィンガー状の外部電極(4)の端面上に向けられた少なくとも1つの第2のスプレーノズル(17)により洗浄流体を吹き付けるステップ
を特徴とする、
請求項16に記載の運転方法。
【請求項18】
(a)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)の前記スプレーノズル(16、17)は、一緒に制御され、前記洗浄流体を同時に送出すること、又は、
(b)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)の前記スプレーノズル(16、17)は、互いに独立して制御され、前記洗浄流体は、様々な前記洗浄チャンバ(7~10)において時間遅れを伴って送出され得ること
を特徴とする、
請求項17に記載の運転方法。
【請求項19】
(a)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)において、前記第1のスプレーノズル(16)と前記第2のスプレーノズル(17)とが一緒に制御され、前記洗浄流体が、同時に送出されること、又は、
(b)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)において、前記第1のスプレーノズル(16)と前記第2のスプレーノズル(17)とが互いに独立して制御され、前記洗浄流体が、前記第1のスプレーノズル(16)と前記第2のスプレーノズル(17)とにより時間遅れを伴って送出され得ること
を特徴とする、
請求項17又は18に記載の運転方法。
【請求項20】
(a)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)において、前記第1のスプレーノズル(16)用の前記洗浄流体は、前記第2のスプレーノズル(17)用の前記洗浄流体とは独立して選別されること、
(b)任意で、前記第1のスプレーノズル(16)は、空気を洗浄流体として前記フィンガー状の外部電極(4)の外面上に放出すること、
(c)任意で、前記第2のスプレーノズル(17)は、リンス流体と空気との混合物を洗浄流体として前記フィンガー状の外部電極(4)の端面上に吐出すること
を特徴とする、
請求項17から19の何れか一項に記載の運転方法。
【請求項21】
(a)洗浄プロセスに先立って、個々の前記フィンガー状の外部電極(4)の汚れの度合いを判定するステップであって、前記汚れの度合いは、任意で、オペレータ又は測定装置によって判定されるステップ、
(b)各前記洗浄チャンバ(7~10)に導入された前記フィンガー状の外部電極(4)の前記汚れの度合いに応じて、特に、前記洗浄流体の運転変数である
(b1)前記リンス流体と空気との混合物である前記洗浄流体中の前記リンス流体の濃度と、
(b2)洗浄プロセス中に吐出された洗浄流体の量と、
(b3)吹き付け圧力であって、当該吹き付け圧力により前記洗浄流体が吹き付けられる吹き付け圧力と、
のうち1つを調整することによって個々の前記洗浄チャンバ内の前記洗浄流体を調整するステップ
を特徴とする、
請求項16から20の何れか一項に記載の運転方法。
【請求項22】
塗装剤の静電外部帯電用の噴霧器(1)、特に、回転噴霧器(1)のための電極アセンブリ(3)であって、
(a)前記塗装剤の静電外部帯電用の複数のフィンガー状の外部電極(4)を有し、
(b)前記フィンガー状の外部電極(4)は、少なくともその端部において互いに平行に整列されていることを特徴とする、
電極アセンブリ(3)。
【請求項23】
(a)前記電極アセンブリ(3)は、前記噴霧器に取り付けるための環状の取り付けリングを有していること、
(b)前記フィンガー状の外部電極(4)は、前記環状の電極アセンブリの円周上に、特に、等間隔で分散配置されていること、
(c)前記フィンガー状の外部電極(4)は、少なくともその平行な端部が前記取り付けリングに対して垂直になるように整列されていること、
(d)前記フィンガー状の外部電極(4)のそれぞれは、電気絶縁材料、特に、プラスチックの外装を有すること、及び/又は、
(e)前記フィンガー状の外部電極(4)それぞれの自由端において、電極の先端が、前記外装から軸方向に突出していること
を特徴とする、
請求項22に記載の電極アセンブリ(3)。
【請求項24】
噴霧器(1)、特に、回転噴霧器(1)であって、
(a)噴霧器中心軸、特に、ベルカップ(2)の回転軸であって、前記噴霧器(1)は、塗装剤の飛沫を前記噴霧器中心軸に沿って放出する噴霧器中心軸と、
(b)前記塗装剤の静電外部帯電用の複数のフィンガー状の外部電極(4)を有する電極アセンブリ(3)と、
を有し、
(c)前記電極アセンブリ(3)は、請求項22又は23に従って設計されていることを特徴とする、
噴霧器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧器(例えば、回転噴霧器)における静電外部帯電のための複数のフィンガー状の外部電極(「フィンガー電極」)を有する電極アセンブリを洗浄するための洗浄装置に関する。さらに、本発明は、そのような洗浄装置のための対応する運転方法に関する。さらに、本発明は、噴霧器(例えば、回転式噴霧器)における静電外部帯電のために対応して適合された電極アセンブリにも関する。
【背景技術】
【0002】
車体部品を塗装するための現代の塗装設備では、多軸塗装ロボットによって動かされる回転噴霧器が塗布装置として通常使用される。塗布効率(吹き出された塗料の量に対する車体部品上に堆積される塗料の量の比率)を高めるため、又は、邪魔なオーバースプレーを減らすために、静電塗料帯電が通常使用され、すなわち、塗布された塗料が静電帯電される一方、塗装対象の車体部品が電気的に接地され、これにより、静電帯電された塗料が、電気的に接地された車体部品上に主に堆積し、これは、望ましいことである。この静電塗料帯電の一変形例では、フィンガー状の外部電極が使用され、このフィンガー状の外部電極は、回転噴霧器の噴霧器ハウジングから斜め前方へ、且つ、外向きに突出しており、回転噴霧器によって放出された塗料のスプレージェットを静電帯電させる。ここでの問題は、塗料がフィンガー状の外部電極上にも堆積する可能性があることであり、これは、高電圧干渉に、ひいては塗装プロセスの中断につながるため、望ましくないことである。このため、そのような電極アセンブリのフィンガー状の外部電極を洗浄することが従来技術から知られている。この目的のために、個々の複数のフィンガー状の外部電極が洗浄装置へ順々に挿入され得、この洗浄装置内で外部電極が洗浄流体(例えば、リンス流体、空気とリンス流体との混合物)で洗浄される。
【0003】
ここでの欠点は、個々のフィンガー状の外部電極を順々にしか洗浄できないため、電極アセンブリを洗浄するために必要な時間が比較的長くなるという事実である。
【0004】
既知の洗浄装置の別の欠点は、フィンガー状の外部電極が正確に洗浄装置に挿入されるように塗装ロボットをプログラムしなければならないことである。このために必要な運動シーケンスは比較的複雑であるため、洗浄プロセスのためのロボット動作のプログラミングもそれに応じて複雑になる。
【0005】
本発明の技術的背景については、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3も参照されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10110098号明細書
【特許文献2】国際公開第2020/021109号
【特許文献3】独国特許出願公開第102019135360号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、噴霧器の電極アセンブリ用の、対応して改良された洗浄装置を作成するという課題に基づいている。さらに、本発明は、そのような洗浄装置のための、対応する運転方法を特定するという課題に基づいている。さらに、本発明は、静電外部帯電に適した電極アセンブリを作成するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明に係る洗浄装置、及び、独立請求項に係る対応する運転方法によって解決される。
【0009】
まず、既知の洗浄装置に従って、本発明に係る洗浄装置は、従来技術に関して既に上述したように、洗浄プロセス中に電極アセンブリのフィンガー状の外部電極のうち1つを受け入れるための挿入開口部を有する第1の洗浄チャンバを備える。
【0010】
本発明に係る洗浄装置は、1つの洗浄チャンバが設けられているのみならず、電極アセンブリのフィンガー状の外部電極のうち少なくとも2つが洗浄プロセス中に同時に洗浄され得るように、洗浄プロセス中にフィンガー状の外部電極のうち1つを受け入れるための挿入開口部を有する少なくとも1つの第2の洗浄チャンバが設けられていることを特徴とする。
【0011】
従って、本発明に係る洗浄装置は、個々のフィンガー状の外部電極に対して少なくとも2つの洗浄チャンバを有し、これにより、対応する数の電極アセンブリのフィンガー状の外部電極が同時に洗浄され得る。これにより、洗浄プロセスに必要な時間が対応して短縮される。例えば、本発明に係る洗浄装置は、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は、さらには8つの洗浄チャンバを有してもよい。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、本発明に係る洗浄装置の洗浄チャンバは、全て、これらの洗浄チャンバの挿入方向に関して互いに平行に整列されている。これは、洗浄対象の電極アセンブリが、フィンガー状の外部電極を有し、これらのフィンガー状の外部電極も、少なくともこれらのフィンガー状の外部電極の自由端に関して互いに平行に整列されている場合に特に有利である。この場合、電極アセンブリのフィンガー状の外部電極が、対応する洗浄チャンバへ同時に挿入され得る。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、周囲の汚染につながる可能性がある、洗浄プロセス中に洗浄流体(例えば、リンス液、リンス液と空気との混合物)が洗浄チャンバから漏れることを防止するために、個々の洗浄チャンバそれぞれの挿入開口部にシールが設けられている。このシールの構造的設計に関しては、本発明の範囲内で様々な可能性が存在する。
【0014】
シールを構造的に実現する可能性の1つは、接触式シールを提供し、ここで、この接触式シールは、例えば、洗浄プロセス中に洗浄対象の外部電極を環状に囲み、洗浄対象の外部電極の外面に対して外側に、且つ、好ましくは、特定の接触圧力を伴って当接する環状シールリップであり得る。
【0015】
挿入開口部のシールを構造的に実現する別の方法は、非接触式シールであり、例えば、それ自体が従来技術から知られているように、挿入開口部を横切ってエアカーテンを吹き出す吹き出しエアリングの形態である。
【0016】
電極アセンブリのフィンガー状の外部電極の実際の洗浄は、個々の洗浄チャンバの内部で行われる。この目的のために、スプレーノズルが洗浄チャンバ内に配置され、洗浄プロセス中にフィンガー状の外部電極にそれぞれの洗浄流体を吹き付け得る。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、洗浄チャンバのそれぞれに異なる種類のスプレーノズルが配置される。第1のスプレーノズルは、好ましくは、洗浄プロセス中にフィンガー状の外部電極の外面に洗浄流体を吹き付けるために使用される。一方、第2のスプレーノズルは、好ましくは、洗浄プロセス中に外部電極の自由端(すなわち、端面)に洗浄流体を軸方向に吹き付けるために使用される。洗浄対象のフィンガー状の外部電極が洗浄チャンバへ上から下向きに挿入される場合、この第2のスプレーノズルは、好ましくは、洗浄対象の外部電極の下に位置している。
【0018】
フィンガー状の外部電極の外側面に吹き付けるための第1のスプレーノズルは、好ましくは、各洗浄チャンバ内で、挿入開口部付近の上側に、例えば洗浄チャンバの上部4分の1又は上部5分の1に配置されている。
【0019】
さらに、フィンガー状の外部電極の外側面に吹き付けるための第1のスプレーノズルは、好ましくは、各洗浄チャンバの中心軸に対して垂直な断面内で放射状に整列されていることに言及しなければならない。
【0020】
フィンガー状の外部電極の外面に吹き付けるための第1のスプレーノズルは、好ましくは、洗浄チャンバの各挿入開口部から離れる方向に、特に洗浄チャンバの中心軸に対して0°~60°、5°~50°、又は10°~30°の角度で傾斜していることにも言及しなければならない。この第1のスプレーノズルの傾斜は、可能であれば洗浄流体が挿入開口部から漏れないようにするのに役立つ。
【0021】
例えば、フィンガー状の外部電極の外面に吹き付けるための第1のスプレーノズルは、洗浄流体のフラットジェットを放出するフラットジェットノズルとして設計され得る。但し、代替的に、フィンガー状の外部電極の外面に吹き付けるための第1のスプレーノズルを、洗浄流体の円錐状の対称ジェットを放出するフルコーンジェットノズルとして設計することも可能である。さらに、少なくとも1つの第1のスプレーノズルが、回転ノズルであってもよい。
【0022】
フィンガー状の外部電極の先端表面に吹き付けるための第2のスプレーノズルは、好ましくは、各洗浄チャンバ内で底面に配置されており、第2のスプレーノズルは、洗浄プロセス中に洗浄対象の外部電極の下に位置する。
【0023】
従って、フィンガー状の外部電極の端面に吹き付けるための第2のスプレーノズルは、各洗浄チャンバ内で中心に配置され得る。
【0024】
この場合、第2のスプレーノズルは、各洗浄チャンバの中心軸に対して平行に整列され、洗浄流体を、各洗浄チャンバの中心軸に沿って、洗浄対象の外部電極の方向へ上向きに吹き付け得る。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、洗浄プロセスの後に、洗浄対象の外部電極に圧縮空気を吹き付け、それによって洗浄対象の外部電極を乾燥させるために、少なくとも1つの乾燥ノズルが、好ましくは、各洗浄チャンバに配置されている。乾燥ノズルは、好ましくは、洗浄対象の外部電極に付着している洗浄流体を剥がすために、圧縮空気を、下向きに、各洗浄チャンバの中心軸に対して斜めに吹き付ける。
【0026】
例えば、この乾燥ノズルは、乾燥対象の外部電極に対してエアカーテンを吹き付ける環状スロットノズルとして設計され得る。但し、代替的に、乾燥ノズルが、各洗浄チャンバの周囲に環状に分散配置され、圧縮空気を、内向きに、乾燥対象のフィンガー状の外部電極に対して吹き付ける複数の個々のノズルから構成されることも可能である。
【0027】
乾燥ノズルに関しては、乾燥が、必ずしも圧縮空気を吹き付けることによって行われるわけではないことに言及しなければならない。むしろ、乾燥ノズルを吸引ノズルとして設計し、空気、又は、空気、塗料、及び/若しくは、リンス剤の混合物を吸引して乾燥を行うことも可能である。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、洗浄チャンバは、複数の洗浄モジュールにわたって分散され、各洗浄モジュールは、複数の洗浄チャンバを含む。例えば、第1の洗浄モジュールは、一列に配置された2つの洗浄チャンバを有し得、第1の洗浄モジュール内の2つの洗浄チャンバは、好ましくは、平行に整列されている。第2の洗浄モジュールも、好ましくは、一列に配置された少なくとも2つの洗浄チャンバを有し、これらもまた、好ましくは、互いに平行に整列されている。2つの洗浄モジュールは、好ましくは、互いに平行に整列されており、2つの洗浄モジュール内の洗浄チャンバの列は、互いに平行である。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、洗浄モジュールは、洗浄チャンバが全て平行に整列されるように、互いに対向して配置されている。ここで、対向する洗浄モジュールは、それらの間に、噴霧器に取り付けられた複数の外部電極が洗浄チャンバに挿入されているときに噴霧器を収容するための空間を含み得る。従って、噴霧器(例えば、回転噴霧器)は、電極アセンブリのフィンガー状の外部電極が洗浄モジュールの個々の洗浄チャンバに挿入された状態で、2つの対向する洗浄モジュールの間の空間内の噴霧器の噴霧器ハウジングに進入し(immersed with)得る。
【0030】
洗浄液は、好ましくは、洗浄剤供給装置により供給される。さらに、本発明に係る洗浄装置は、好ましくは、洗浄プロセスでも使用される圧縮空気を供給するための圧縮空気供給装置を有する。この場合、フィンガー状の外部電極を洗浄するために、洗浄液と圧縮空気との混合物がスプレーノズルを介して吹き出され得る。ここで、弁装置が設けられ得、この弁装置は、入力側で洗浄剤供給装置及び圧縮空気供給装置に接続され、出力側で少なくとも1つのスプレーノズルに接続されている。弁装置は、複数の異なる機能を果たす異なる弁位置をとり得る。混合位置では、弁装置は、圧縮空気を洗浄液に混合し、この混合物をスプレーノズルへ通過させ得る。一方、乾燥位置では、弁装置は、圧縮空気のみを選別し、外部電極を乾燥させるために洗浄液を伴わずに圧縮空気をスプレーノズルへ通過させる。
【0031】
個々の洗浄チャンバは、出口側で分離装置に接続され得、この分離装置は、洗浄チャンバから媒体(例えば、塗料残留物、リンス液、圧縮空気)を受け取り、気体媒体(例えば、圧縮空気)から液体媒体(例えば、リンス液)を分離する。
【0032】
このような分離装置は、出口側で廃棄システム(例えば、収集容器)に接続され得、この廃棄システムは、洗浄チャンバから液体媒体を受け取る。
【0033】
制御可能弁(例えば、ボール弁)が、分離装置と廃棄システム(例えば、収集容器)との間に配置され得、この制御可能弁は、分離装置から収集容器への流出を制御する。
【0034】
さらに、本発明の範囲内で、分離装置が、出口側で開通しており、例えば、分離装置の下に配置された漏斗へ開通していてもよい。
【0035】
洗浄チャンバへの分離装置の配置に関しては、本発明の範囲内で様々な可能性が存在し、これらについて以下に簡潔に説明する。本発明の一変形例では、各洗浄チャンバが、独自の分離装置を有し、この分離装置が、液体媒体を独自の廃棄システムに廃棄する。本発明の別の変形例では、洗浄チャンバが、それぞれ独自の分離装置を有するものの、液体媒体は、共通の廃棄システムに廃棄される。最後に、洗浄チャンバが、共通の分離装置を有し、この分離装置が、液体媒体を共通の廃棄システムに廃棄するという代替的な可能性もある。
【0036】
外部電極に洗浄流体を吹き付けるために、洗浄チャンバ内にスプレーノズルが設けられ得ることは既に上述した。本発明の好ましい実施形態では、そのようなスプレーノズルが複数設けられ、この複数のスプレーノズルに共通の分配リングから洗浄流体が供給される。この場合、洗浄プロセス後に洗浄流体が分配器リングから自動的に流れ出るように分配器リングが設計されていると有利である。これは、乾燥したり垂れ落ちたりする可能性のある洗浄流体が分配器リング内に残らないため、有利である。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、洗浄装置は、洗浄装置を台座上に弾性的に取り付けるための少なくとも1つのばねを有するばねサスペンションを有する。これは、一方の洗浄対象の電極アセンブリと他方の洗浄装置との間の衝突を緩衝するのに有利である。従って、ばねサスペンションは、弾性的に取り付けられた洗浄装置が、衝突が起こった際に避けることを可能にし、電極アセンブリ及び洗浄装置への損傷をほぼ防止することができる。さらに、ばねサスペンションは、シールポイントへの圧力を維持するために強固なシールを提供する機能も果たす。
【0038】
電極アセンブリの個々のフィンガー状の外部電極の洗浄についてのみ上述した。これに加えて、噴霧器又は噴霧器ハウジングを洗浄する必要もある。この目的のために、上述した個々のフィンガー状の外部電極用の洗浄チャンバに加えて、別個の洗浄チャンバが設けられ得、この別個の洗浄チャンバ内で噴霧器を洗浄するために、噴霧器が、この別個の洗浄チャンバに挿入され得る。ここで、電極アセンブリのフィンガー状の外部電極用の洗浄装置は、噴霧器ハウジング用の洗浄装置の周囲に構築され得る。
【0039】
フィンガー状の外部電極を洗浄するための洗浄チャンバは、好ましくは、洗浄装置内で略中心に配置されており、噴霧器は、その外部電極を洗浄装置の両側から洗浄チャンバに挿入し得る。それに対し、洗浄チャンバが中心から大きくずれて配置されている場合、噴霧器の外部電極を洗浄するために、噴霧器を、洗浄装置の、中心からずれた洗浄チャンバに近い側に位置させる必要がある。
【0040】
さらに、洗浄チャンバは、好ましくは、液密、及び/又は、気密な壁を有することに言及しなければならない。
【0041】
洗浄対象の電極アセンブリの外部電極の平行な端部は、好ましくは、少なくとも1cm、2cm、又は3cmの長さである。フィンガー状の外部電極のこの平行な整列は、この場合、フィンガー状の外部電極が、単一の直線運動の一部として洗浄装置の各洗浄チャンバに一緒に挿入され得るため、有利である。
【0042】
さらに、洗浄流体が圧縮空気と洗浄液との混合物であり得ることは、既に簡潔に上述した。この混合液中の洗浄流体の濃度は、後に詳述するように、フィンガー状の外部電極の汚れの度合いに応じて調整され得る。洗浄は、吹き付けには限定されない。洗浄は、乾式で、又は、乾式若しくは湿式のブラシを使用して、又は、乾式若しくは湿式の繊維布を使用して行うこともできる。
【0043】
本発明の一実施形態において、洗浄チャンバは、異なる回転位置の間で回転軸の周りで回転可能な回転機構上に一緒に配置されており、洗浄チャンバは、好ましくは、回転軸に対して平行に整列されており、各回転位置において、複数のフィンガー状の外部電極が、同時に洗浄され得る。例えば、洗浄対象の電極アセンブリは、8つのフィンガー状の外部電極を有していてもよい。この場合、洗浄装置は、例えば、回転機構上に配置された4つの洗浄チャンバを有し得る。これは、4つのフィンガー状の外部電極が同時に洗浄され得ることを意味する。他の4つのフィンガー状の外部電極を洗浄するには、洗浄チャンバが他のフィンガー状の外部電極の延長線上に整列するように回転機構を少し回転させるだけでよい。フィンガー状の外部電極は、例えば塗装ロボットによって、又は、洗浄チャンバを上昇若しくは下降させる別個の昇降機構によって、挿入されるか、又は、洗浄チャンバから引き抜かれ得る。
【0044】
上述した本発明に係る洗浄装置に加えて、本発明は、対応する運転方法も含む。本発明に係る運転方法は、複数の外部電極が洗浄装置の対応する洗浄チャンバに挿入され、これにより、同時に洗浄されることを特徴とする。
【0045】
フィンガー状の外部電極の外面又は先端表面に洗浄流体を吹き付けるために、個々の洗浄チャンバに異なる種類のスプレーノズルが配置され得る。
【0046】
さらに、個々の洗浄チャンバのスプレーノズルが一緒に制御され得、これにより、洗浄流体を同時に送出できることに言及しなければならない。代替的に、様々な洗浄チャンバでの洗浄プロセスを時間的にずらすこともできる。この目的のために、個々の洗浄チャンバ内のスプレーノズルは、相互に独立して、順々に制御される。
【0047】
フィンガー状の外部電極の外面の吹き付け及び先端表面の吹き付けは、同時に、又は、順々に行われ得ることにも言及しなければならない。
【0048】
本発明は、洗浄プロセスを個々のフィンガー状の外部電極の汚れの度合いに適合させることも可能にする。例えば、外部電極がひどく汚れている場合、それに応じて強力な洗浄プロセスが必要とされる。これに対し、外部電極がわずかに汚れているだけであれば、それに応じて穏やかな洗浄プロセスで十分である。従って、本発明は、好ましくは、個々のフィンガー状の外部電極の汚れの度合いを判定することを提供し、これは、例えば、オペレータによる目視検査の一部として、又は、測定装置を用いて自動的に行われ得る。但し、静電塗装剤帯電の変数(例えば、電流、電圧)を評価することによって汚れの度合いを判定することも可能である。この場合、ソフトウェアが、判定された汚れの度合いに応じて最適な洗浄時間を決定し得る。この場合、判定された汚れの度合いに応じて洗浄流体が調整される。例えば、洗浄流体中のリンス液の濃度が、この目的のために調整され得る。汚れがひどい場合には、それに応じて良好な洗浄効果を実現するために、比較的高濃度のリンス液が選択される。さらに、洗浄プロセス中に送出される洗浄流体の量が、汚れの度合いに応じて、又は、吹き付け圧力であって、この吹き付け圧力により洗浄流体が吹き付けられる吹き付け圧力に応じて調整され得る。
【0049】
上述した洗浄装置と、同じく上述した対応する運転方法とに加えて、本発明は、塗装剤(例えば、塗料)の静電外部帯電用の、対応して適合された電極アセンブリの保護も請求する。
【0050】
本発明に係る電極アセンブリは、冒頭で説明した、噴霧器における静電外部帯電用の既知の電極アセンブリに従って、吹き付けられた塗装剤(例えば、塗料)を静電的に帯電させるように機能する複数のフィンガー状の外部電極を有する。
【0051】
本発明に係る電極アセンブリは、フィンガー状の外部電極が、少なくともその端部において互いに平行に整列されていることを特徴とする。これは、平行な外部電極が、互いに平行に整列された複数の洗浄チャンバ内へ一緒に導入され得るため有利である。
【0052】
ここで、フィンガー状の外部電極は、その全長に亘って互いに平行に整列されている必要はないことに言及しなければならない。むしろ、フィンガー状の外部電極を、端部においてのみ互いに平行に整列させることも可能である。
【0053】
本発明の好ましい実施形態において、電極アセンブリは、噴霧器に取り付けるための環状の取り付けリングを有する。この場合、環状の取り付けリングは、例えば、回転噴霧器の噴霧器ハウジングに単純に差し込まれ得、それにより、電極アセンブリが、差し込まれた状態で噴霧器に固定され得る。
【0054】
さらに、フィンガー状の外部電極は、好ましくは、環状の電極アセンブリの円周上に分散配置されており、個々のフィンガー状の外部電極の配置は、好ましくは、等間隔であることに言及しなければならない。
【0055】
この場合、個々のフィンガー状の外部電極は、それらの平行な端部が、好ましくは、取り付けリングに対して垂直になるように整列され得る。
【0056】
さらに、フィンガー状の外部電極のそれぞれは、電気絶縁材料(例えば、プラスチック)で構成された外装を有し得、それにより、実際の電極の先端が、外装に挿入され、外装から軸方向に突出し得ることにも言及しなければならない。
【0057】
さらに、本発明に係る電極アセンブリは、好ましくは、交換可能であることに言及しなければならない。これにより、異なる塗布状況のための異なる電極アセンブリを交換することが可能になる。例えば、外装塗装用の電極アセンブリを内装塗装用の電極アセンブリに交換することができる。さらに、静電塗装剤帯電を行わずに塗装を行う場合には、静電外部帯電用の電極アセンブリをカバー(ダミー)に置き換えることもできる。さらに、内装塗装と外装塗装との両方に使用される汎用充電リングを代わりに取り付けてもよい。
【0058】
最後に、本発明は、本発明に係るこのような電極アセンブリを有する噴霧器(例えば、回転噴霧器)の保護も請求する。
【0059】
本発明の他の有利なさらなる実施形態が、従属請求項において示されるか、又は、図面を参照して本発明の好ましい実施形態の説明と共に以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】
図1は、それぞれが2つの洗浄チャンバを有する2つの洗浄モジュールを備えた本発明に係る洗浄装置の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、洗浄装置の変形実施形態の斜視図を示す。
【
図5】
図5は、洗浄装置のモジュールに挿入された電極アセンブリを備えた回転噴霧器の斜視図を示す。
【
図8】
図8は、ばねサスペンションを備えた本発明に係る洗浄装置の側面図を示す。
【
図9】
図9は、本発明に係る洗浄装置の洗浄チャンバの断面斜視図を示す。
【
図10】
図10は、本発明に係る洗浄装置の洗浄チャンバの断面側面図を示す。
【
図11】
図11は、洗浄プロセス中の回転噴霧器の2つの可能な位置を示す側面図を示す。
【
図12】
図12は、洗浄装置であって、この洗浄装置において、洗浄プロセス中に回転噴霧器が特定の位置をとる必要がある洗浄装置の側面図を示す。
【
図13】
図13は、本発明に係る動作手順を図示するフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下では、まず、
図1及び
図2に示す、本発明に係る洗浄装置の実施形態について説明する。
【0062】
図面は、回転噴霧器1を示し、この回転噴霧器1は、塗装ロボットによって動かされ、塗装ロボットは図示されていない。回転噴霧器1は、塗布要素としてベルカップ2を有し、このベルカップ2は、従来技術から知られているように、動作中に高速で回転する。回転噴霧器1は、吹き付けられた塗料の静電外部帯電のための取り外し可能な電極アセンブリ3を有し、電極アセンブリ3は、合計8つのフィンガー電極4を有し、これらのフィンガー電極4は、電極アセンブリ3の円周上に等間隔で分散配置され、平行な端部を有する。
【0063】
この実施形態において、本発明に係る洗浄装置は、2つの洗浄モジュール5、6を備え、この洗浄モジュール5、6は、それぞれ、2つの洗浄チャンバ7、8と、2つの洗浄チャンバ9、10と、を含む。従って、洗浄モジュール5内で、2つのフィンガー電極4が同時に洗浄され得る。同様に、フィンガー電極4のうち2つも、他方の洗浄モジュール6内で同時に洗浄され得る。
【0064】
2つの洗浄モジュール5、6は、垂直取り付け板11、12の外側にそれぞれ取り付けられており、2つの取り付け板11、12は、中間空間13を囲んでいる。洗浄プロセス中、噴霧器ハウジング14を備えた回転噴霧器1は、2つの洗浄モジュール5、6の間の中間空間13に進入し得、これにより、フィンガー電極4が、対応する洗浄チャンバ7~10に挿入される。
【0065】
この実施形態では、洗浄プロセス中に8つのフィンガー電極4のうち4つが同時に洗浄され得る。電極アセンブリ3の他の4つのフィンガー電極4を洗浄するには、回転噴霧器1を、塗装ロボットによって、それに応じて再配置しなければならない。しかし、冒頭で説明した従来の洗浄装置では8回の洗浄プロセスが必要であったのに対し、2回の洗浄プロセスで済む。
【0066】
図3~
図6は、本発明に係る洗浄装置の変形実施形態を示しており、これは、上述した、
図1及び
図2に示す洗浄装置に概ね対応しており、繰り返しを避けるために上記の説明が参照され、対応する細部については同一の参照符号が使用されている。
【0067】
この実施形態の特別な特徴は、2つの洗浄モジュール5、6が、2つの取り付け板11、12の外側に取り付けられるのではなく、2つの取り付け板11、12の内側に取り付けられていることである。
【0068】
図6は、ブローエアリング15が、洗浄チャンバ9内で、挿入開口部付近の上側に配置されていることをさらに示しており、このブローエアリング15は、エアカーテンを挿入開口部に対して横方向に吹き付け、それによって、洗浄プロセス中に洗浄剤又は塗料残留物が洗浄チャンバ9から漏れることを防止する。従って、ブローエアリング15は、洗浄チャンバ9の挿入開口部の非接触式シールを形成する。
【0069】
さらに、複数のスプレーノズル16が、洗浄チャンバ9内で円周上に分散して配置されていることが図面から見てとれ、この実施形態では、これらのスプレーノズル16は、フラットスプレーノズルとして設計されており、フィンガー電極4の外側面に洗浄流体を吹き付ける。
【0070】
さらに、スプレーノズル17が、洗浄チャンバ9の底面で中心に配置されており、このスプレーノズル17は、軸方向上向きに整列されており、フィンガー電極4の下端面に洗浄流体を吹き付けることも図面から見てとれる。
【0071】
図7は、洗浄プロセス中の回転噴霧器1の配置を示す。この目的のために、洗浄対象のフィンガー電極4がそれぞれの洗浄チャンバ7に進入されるように、回転噴霧器1が上から下に動かされる。ここで、洗浄チャンバ7は、洗浄モジュール5内で略中心に配置されていることに言及しなければならない。これは、洗浄チャンバ7の中心軸18と洗浄モジュール6の側方外側輪郭との間に、それぞれ、距離ba及び距離biがあり、2つの距離ba、biが、ほぼ等しいことを意味する。
【0072】
さらに、回転噴霧器1は、噴霧器ハウジング14の外側輪郭とフィンガー電極4との間にクリア幅lwを有し、このクリア幅lwは、距離ba、biよりも大きいことに言及しなければならない。これにより、回転噴霧器1が、図示したように洗浄モジュール5の右側に位置させる以外の方法で位置され得るため、これは有利である。代替的に、洗浄プロセス中に回転噴霧器1を洗浄モジュール5の左に位置させることも可能である。
【0073】
図8は、洗浄装置のばねサスペンションを示す図である。洗浄装置は、渦巻ばね20によって台座19上にばね懸架されている。洗浄装置のばね懸架は、回転噴霧器1又は電極アセンブリ3と洗浄装置との間で衝突が起こった場合、懸架の渦巻きばね20が、洗浄装置が避けることを可能にし、それによって、電極アセンブリ3又は洗浄装置への損傷をほぼ防止することができるため、特に有利である。
【0074】
さらに、排出漏斗21、22が、2つの洗浄チャンバ7、8の底面に配置され、この排出漏斗21、22が、共通の廃棄システム23に流入することが図面から見てとれる。従って、洗浄プロセス中、塗料の残留物、リンス剤、及び圧縮空気が、矢印で示すように、排出漏斗21、22を通って共通の廃棄システム23へ排出され得る。
【0075】
さらに、ブローエアリング24、25に、共通の圧縮空気供給装置26から圧縮空気が供給されることが図面から見てとれる。
【0076】
図10は、スプレーノズル16がフルコーンスプレーノズルとして設計されている、上述の実施形態の変形例を示す。
【0077】
図11及び
図12は、洗浄モジュール5上での回転噴霧器1の配置を再び示す。
図11に係る変形例では、洗浄チャンバ7が中心に配置されているため、回転噴霧器1は、洗浄プロセス中に所望に応じてどちらの側にも配置され得る。一方、
図12に係る変形例では、洗浄チャンバ7が中心からずれて配置されているため、洗浄プロセス中、回転噴霧器1を、図中の右側にしか配置することができず、他のフィンガー電極4を洗浄する際、回転噴霧器1を再配置しなければならず、これには時間がかかる。
【0078】
以下では、本発明に係る運転方法の一例を説明する
図13に係るフローチャートについて説明する。
【0079】
最初のステップS1では、電極アセンブリの個々のフィンガー状の外部電極(「フィンガー電極」)の汚れの度合いがまず判定される。これは、オペレータによって行われてもよいし、測定装置によって自動化されてもよい。
【0080】
次のステップS2では、電極アセンブリのフィンガー状の外部電極が、洗浄装置の個々の洗浄チャンバに導入される。
【0081】
さらなるステップS3では、洗浄パラメータが、各フィンガー状の外部電極の汚れの度合いに応じて、個々の洗浄チャンバについて個別に設定される。例えば、ひどく汚れたフィンガー状の外部電極を洗浄するために、高濃度のリンス剤が使用され得る。これに対し、少ししか汚れていないフィンガー状の外部電極の洗浄については、低濃度のリンス剤が使用され得る。
【0082】
次のステップS4では、フィンガー状の外部電極の外側面及び端面に洗浄流体が吹き付けられる。これは、例えば、洗浄流体と圧縮空気との混合物であり得る。
【0083】
次のステップS5では、フィンガー状の外部電極が、例えば、このフィンガー状の外部電極に圧縮空気を吹き付けることによって乾燥され得る。
【0084】
次のステップS6では、フィンガー状の外部電極が、洗浄装置の洗浄チャンバから引き抜かれる。
【0085】
最後に、
図14は、回転機構27を備えた、本発明に係る洗浄装置の概略図を示しており、ここで、4つの洗浄チャンバ28~31が、回転機構27上に配置されている。洗浄チャンバ28~31は、回転機構27によって、回転軸32の周りで回転され得る。
【0086】
さらに、電極アセンブリ33が示されており、この電極アセンブリ33は、静電外部帯電の機能を果たし、8つのフィンガー電極34~41を有する。図示した回転機構27の回転位置では、フィンガー電極35、37、39、41が、それぞれ、対応する洗浄チャンバ28、29、30、31内に位置し、同時に洗浄され得る。他のフィンガー電極34、36、38、40を洗浄するには、まず、電極アセンブリ33全体を洗浄装置から引き抜かなければならない。これは、洗浄ロボットによって、又は、別個の昇降機構によって、行われ得る。続いて、回転機構27が両矢印の方向に回転され、すると、他のフィンガー電極34、36、38、40が、洗浄チャンバ28~31内に進入されて、この洗浄チャンバ28~31内で洗浄され得る。
【0087】
本発明は、上述の好ましい実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は、本発明の概念を同じく利用し、従って保護の範囲内に含まれる様々な変形及び変更も包含する。特に、本発明は、参照される各請求項とは独立して、特に主請求項の特徴も伴わずに、従属請求項の主題及び特徴の保護も請求する。従って、本発明は、互いに独立して保護を享受する本発明の様々な態様を含む。
【0088】
(付記)
(付記1)
噴霧器(1)、特に回転噴霧器(1)における静電外部帯電のための複数のフィンガー状の外部電極(4)を有する電極アセンブリ(3)を洗浄するための洗浄装置であって、
(a)洗浄プロセス中に前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち1つを受け入れるための挿入開口部を有する第1の洗浄チャンバ(7)を有し、
(b)前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち少なくとも2つが前記洗浄プロセス中に同時に洗浄され得るように、前記洗浄プロセス中に前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち1つを受け入れるための挿入開口部を有する少なくとも1つの第2の洗浄チャンバ(8~10)を有すること
を特徴とする、
洗浄装置。
【0089】
(付記2)
前記洗浄チャンバ(7~10)は、全て、互いに平行に整列されており、前記電極アセンブリ(3)の平行な前記フィンガー状の外部電極(4)を受け入れることを特徴とする、
付記1に記載の洗浄装置。
【0090】
(付記3)
(a)各前記洗浄チャンバ(7~10)の前記挿入開口部にシールが設けられており、前記シールは、洗浄プロセス中に前記洗浄チャンバ(7~10)から洗浄流体が漏れることを防止すること、
(b)前記洗浄チャンバ(7~10)の前記挿入開口部にある前記シールは、任意で、
(b1)接触式に、特に、前記洗浄プロセス中に洗浄対象の前記外部電極(4)を環状に囲み、洗浄対象の前記外部電極(4)の外側に当接し、好ましくは、接触力を伴って弾性的に当接する環状シールリップとして、又は、
(b2)非接触式に、特に、前記挿入開口部を横切ってエアカーテンを吹き出す吹き出しエアリング(15、24、25)として
設計されていること
を特徴とする、
付記1又は2に記載の洗浄装置。
【0091】
(付記4)
(a)前記洗浄チャンバ(7~10)のうち少なくとも1つに、少なくとも1つの第1のスプレーノズル(16)が配置されており、前記少なくとも1つの第1のスプレーノズル(16)が、前記洗浄プロセス中に前記フィンガー状の外部電極(4)の外面に前記洗浄流体を吹き付けること、及び/又は、
(b)前記洗浄プロセス中に前記外部電極(4)の自由端に前記洗浄流体を軸方向に、特に、洗浄対象の前記外部電極(4)に関して前方から軸方向に吹き付けるために、少なくとも1つの第2のスプレーノズル(17)が、前記洗浄チャンバ(7~10)のうち少なくとも1つに配置されていること
を特徴とする、
付記1から3の何れか一つに記載の洗浄装置。
【0092】
(付記5)
(a)前記少なくとも1つの第1のスプレーノズル(16)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)内で、前記挿入開口部付近の上側に、特に、前記洗浄チャンバ(7~10)の上部4分の1若しくは5分の1に配置されていること、
(b)前記第1のスプレーノズル(16)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸に対して垂直な断面内で放射状に整列されていること、及び/又は、
(c)前記第1のスプレーノズル(16)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)の前記挿入開口部から離れる方向に、特に、前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸に対して0°~60°、5°~50°、若しくは10°~30°の角度で傾斜していること、
(d)前記第1のスプレーノズル(16)は、任意で、
(d1)前記洗浄流体のフラットジェットを放出するフラットジェットノズルとして、若しくは、
(d2)前記洗浄流体の円錐状の対称ジェットを放出するフルコーンジェットノズルとして
設計されていること
を特徴とする、
付記4に記載の洗浄装置。
【0093】
(付記6)
(a)前記第2のスプレーノズル(17)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)内で底面に配置されており、前記第2のスプレーノズル(17)は、前記洗浄プロセス中に洗浄対象の前記外部電極(4)の下に位置すること、及び/又は、
(b)前記第2のスプレーノズル(17)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)内で中心に配置されていること、及び/又は、
(c)前記第2のスプレーノズル(17)は、各前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸に対して平行に整列されており、前記洗浄流体を、各前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸(18)に沿って、洗浄対象の前記外部電極(4)の方向へ上向きに吹き付けること
を特徴とする、
付記4又は5に記載の洗浄装置。
【0094】
(付記7)
(a)前記洗浄プロセスの後に、洗浄対象の前記外部電極(4)に圧縮空気を吹き付けるか、又は、洗浄対象の前記外部電極(4)から圧縮空気を吸引し、それによって洗浄対象の前記外部電極(4)を乾燥させるために、前記洗浄チャンバ(7~10)のうち少なくとも1つに乾燥ノズルが配置されていること、
(b)前記乾燥ノズルは、洗浄対象の前記外部電極(4)に付着している洗浄流体を下向きに剥がすために、圧縮空気を、下向きに、好ましくは、各前記洗浄チャンバ(7~10)の中心軸に対して斜めに吹き付けること、
(c)前記乾燥ノズルは、任意で、
(c1)好ましくは乾燥対象の前記外部電極(4)に対してエアカーテンを吹き付ける環状循環スロットノズルとして、若しくは、
(c2)各前記洗浄チャンバ(7~10)の周囲に環状に分散配置され、好ましくは、圧縮空気を、乾燥対象の前記外部電極(4)に対して、何れの場合にも内向きに吹き付ける複数の個々のノズルとして
設計されていること
を特徴とする、
付記1から6の何れか一つに記載の洗浄装置。
【0095】
(付記8)
(a)何れの場合にも外部電極(4)を受け入れて洗浄するための、一列に配置された少なくとも2つの洗浄チャンバ(7、8)を有する第1の洗浄モジュール(5)であって、前記第1の洗浄モジュール(5)内の前記2つの洗浄チャンバ(7、8)は、平行に整列されている、第1の洗浄モジュール(5)と、
(b)何れの場合にも1つの外部電極(4)を受け入れて洗浄するための一列に配置された少なくとも2つの洗浄チャンバ(9、10)を有する第2の洗浄モジュール(6)であって、前記2つの洗浄チャンバ(9、10)は、前記第2の洗浄モジュール(6)内で平行に整列されている、第2の洗浄モジュール(6)と、
を備え、
(c)前記洗浄モジュール(5、6)は、任意で、互いに平行に整列されており、前記2つの洗浄モジュール(5、6)内の前記洗浄チャンバ(7~10)の列は、互いに平行すること
を特徴とする、
付記1から7の何れか一つに記載の洗浄装置。
【0096】
(付記9)
(a)前記2つの洗浄モジュール(5、6)は、前記洗浄チャンバ(7~10)が全て平行に整列されるように、互いに対向して配置されていること、
(b)前記2つの洗浄モジュール(5、6)は、噴霧器(1)に取り付けられた複数の外部電極(4)が前記洗浄チャンバ(7~10)に挿入されているときに前記噴霧器(1)を受け入れるための空間(13)を前記2つの洗浄モジュール(5、6)の間に囲んでいること
を特徴とする、
付記8に記載の洗浄装置。
【0097】
(付記10)
(a)洗浄液を供給するための洗浄剤供給装置と、
(b)圧縮空気を供給するための圧縮空気供給装置と、
(c)前記フィンガー状の外部電極(4)に前記洗浄液と前記圧縮空気との混合物を吹き付けるための少なくとも1つのスプレーノズルと、
(d)入口側で前記洗浄剤供給装置及び前記圧縮空気供給装置に接続されており、出口側で前記少なくとも1つのスプレーノズルに接続されている弁装置と、
を備え、
(e)前記弁装置は、
(e1)混合位置であって、前記混合位置において、前記弁装置が前記圧縮空気を前記洗浄液に混合し、混合物を前記スプレーノズルへ通過させる混合位置と、
(e2)乾燥位置であって、前記乾燥位置において、前記弁装置が前記圧縮空気のみを選別し、前記外部電極(4)を乾燥させるために前記洗浄液を伴わずに前記圧縮空気を前記スプレーノズルへ通過させる乾燥位置と、
のうち少なくとも1つの弁位置を有すること
を特徴とする、
付記1から9の何れか一つに記載の洗浄装置。
【0098】
(付記11)
(a)前記洗浄チャンバ(7~10)のうち少なくとも1つが、前記洗浄チャンバ(7~10)から媒体を受け取り、気体媒体から液体媒体を分離する分離装置に出口側で接続されていること、及び/又は、
(b)前記分離装置は、出口側で廃棄システムに、特に、前記洗浄チャンバ(7~10)から液体媒体を受け取る収集容器に接続されていること、及び/又は、
(c)前記分離装置から前記収集容器への流出を弁制御する制御可能弁、特に、ボール弁が、前記分離装置と前記廃棄システムとの間に配置されていること、及び/又は、
(d)前記分離装置は、出口側で開通しており、好ましくは、前記分離装置の下に配置された漏斗へ開通していること
を特徴とする、
付記1から10の何れか一つに記載の洗浄装置。
【0099】
(付記12)
(a)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)は、それぞれ、液体媒体を何れの場合にも個々の廃棄システムへ廃棄する分離装置を有すること、又は、
(b)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)は、それぞれ、液体媒体を共通の廃棄システムに廃棄する分離装置を有すること、又は、
(c)前記洗浄チャンバ(7~10)は、液体媒体を共通の廃棄システムに廃棄する共通の分離装置を有すること
を特徴とする、
付記11に記載の洗浄装置。
【0100】
(付記13)
(a)前記外部電極(4)に洗浄流体を吹き付けるために複数のスプレーノズル(16、17)が設けられていること、
(b)前記スプレーノズル(16、17)に、共通の分配器リングから前記洗浄流体が供給されること、及び、
(c)洗浄動作後に前記洗浄流体が独立して前記分配器リングから流れ出るように前記分配器リングが設計されていること
を特徴とする、
付記1から12の何れか一つに記載の洗浄装置。
【0101】
(付記14)
(a)前記洗浄装置は、前記洗浄装置を台座上に弾性的に取り付けるための、特に、洗浄対象の前記電極アセンブリ(3)と前記洗浄装置との間の衝突を防止するためのばね(20)を有するばねサスペンションを有していること、及び/又は、
(b)前記フィンガー状の外部電極(4)を洗浄するための前記洗浄チャンバに加えて、別個の洗浄チャンバ(7~10)が前記噴霧器(1)を洗浄するために設けられており、前記外部電極(4)と前記噴霧器(1)とは、同時に洗浄され得ること、及び/又は、
(c)前記洗浄チャンバ(7~10)は、前記噴霧器(1)が、前記噴霧器(1)の外部電極(4)を前記洗浄装置の両側から前記洗浄チャンバ(7~10)に挿入し得るように、前記洗浄装置内で略中心に配置されていること、及び/又は、
(d)前記洗浄チャンバ(7~10)は、液密、並びに/若しくは、気密な壁を有すること、及び/又は、
(e)前記外部電極(4)の平行な端部は、少なくとも1cm、2cm、若しくは3cmの長さであること、及び/又は、
(f)前記洗浄流体は、圧縮空気と洗浄液との混合物であること
を特徴とする、
付記1から13の何れか一つに記載の洗浄装置。
【0102】
(付記15)
(a)前記洗浄チャンバ(7~10)は、異なる回転位置の間で回転軸(32)の周りに回転され得る回転機構(27)上に一緒に配置されており、前記洗浄チャンバ(28~31)は、好ましくは、前記回転軸(32)に対して平行に整列されており、前記回転位置のそれぞれにおいて、何れの場合にも、複数のフィンガー状の外部電極(34~41)が、同時に洗浄され得ること、
(b)任意で、前記洗浄チャンバ(28~31)を前記挿入方向に沿って一緒に持ち上げ、それによって洗浄対象の前記フィンガー状の外部電極(34~41)を前記洗浄チャンバ(28~31)に挿入するか、又は、洗浄対象の前記フィンガー状の外部電極(34~41)を前記洗浄チャンバ(28~31)から取り外すために、昇降機構が設けられていること
を特徴とする、
付記1から14の何れか一つに記載の洗浄装置。
【0103】
(付記16)
噴霧器(1)における静電外部帯電のための複数のフィンガー状の外部電極(4)を有する電極アセンブリ(3)を洗浄するための洗浄装置、特に、付記1から15の何れか一つに記載の洗浄装置の運転方法であって、
(a)前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち1つを前記洗浄装置の第1の洗浄チャンバ(7~10)に挿入するステップを含み、
(b)前記電極アセンブリ(3)の前記フィンガー状の外部電極(4)のうち他の1つを前記洗浄装置の第2の洗浄チャンバ(7~10)に挿入するステップ、
(c)前記洗浄装置の前記洗浄チャンバにおいて前記フィンガー状の外部電極(4)を同時に洗浄するステップ
を特徴とする、
運転方法。
【0104】
(付記17)
前記フィンガー状の外部電極(4)を洗浄するためのステップである、
(a)前記洗浄チャンバ内の前記フィンガー状の外部電極(4)に、何れの場合にも、前記フィンガー状の外部電極(4)の外面に向けられた少なくとも1つの第1のスプレーノズル(16)により洗浄流体を吹き付けるステップ、及び、
(b)前記洗浄チャンバ内の前記フィンガー状の外部電極(4)に、何れの場合にも、略軸方向に前記フィンガー状の外部電極(4)の端面上に向けられた少なくとも1つの第2のスプレーノズル(17)により洗浄流体を吹き付けるステップ
を特徴とする、
付記16に記載の運転方法。
【0105】
(付記18)
(a)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)の前記スプレーノズル(16、17)は、一緒に制御され、前記洗浄流体を同時に送出すること、又は、
(b)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)の前記スプレーノズル(16、17)は、互いに独立して制御され、前記洗浄流体は、様々な前記洗浄チャンバ(7~10)において時間遅れを伴って送出され得ること
を特徴とする、
付記17に記載の運転方法。
【0106】
(付記19)
(a)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)において、前記第1のスプレーノズル(16)と前記第2のスプレーノズル(17)とが一緒に制御され、前記洗浄流体が、同時に送出されること、又は、
(b)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)において、前記第1のスプレーノズル(16)と前記第2のスプレーノズル(17)とが互いに独立して制御され、前記洗浄流体が、前記第1のスプレーノズル(16)と前記第2のスプレーノズル(17)とにより時間遅れを伴って送出され得ること
を特徴とする、
付記17又は18に記載の運転方法。
【0107】
(付記20)
(a)個々の前記洗浄チャンバ(7~10)において、前記第1のスプレーノズル(16)用の前記洗浄流体は、前記第2のスプレーノズル(17)用の前記洗浄流体とは独立して選別されること、
(b)任意で、前記第1のスプレーノズル(16)は、空気を洗浄流体として前記フィンガー状の外部電極(4)の外面上に放出すること、
(c)任意で、前記第2のスプレーノズル(17)は、リンス流体と空気との混合物を洗浄流体として前記フィンガー状の外部電極(4)の端面上に吐出すること
を特徴とする、
付記17から19の何れか一つに記載の運転方法。
【0108】
(付記21)
(a)洗浄プロセスに先立って、個々の前記フィンガー状の外部電極(4)の汚れの度合いを判定するステップであって、前記汚れの度合いは、任意で、オペレータ又は測定装置によって判定されるステップ、
(b)各前記洗浄チャンバ(7~10)に導入された前記フィンガー状の外部電極(4)の前記汚れの度合いに応じて、特に、前記洗浄流体の運転変数である
(b1)前記リンス流体と空気との混合物である前記洗浄流体中の前記リンス流体の濃度と、
(b2)洗浄プロセス中に吐出された洗浄流体の量と、
(b3)吹き付け圧力であって、当該吹き付け圧力により前記洗浄流体が吹き付けられる吹き付け圧力と、
のうち1つを調整することによって個々の前記洗浄チャンバ内の前記洗浄流体を調整するステップ
を特徴とする、
付記16から20の何れか一つに記載の運転方法。
【0109】
(付記22)
塗装剤の静電外部帯電用の噴霧器(1)、特に、回転噴霧器(1)のための電極アセンブリ(3)であって、
(a)前記塗装剤の静電外部帯電用の複数のフィンガー状の外部電極(4)を有し、
(b)前記フィンガー状の外部電極(4)は、少なくともその端部において互いに平行に整列されていることを特徴とする、
電極アセンブリ(3)。
【0110】
(付記23)
(a)前記電極アセンブリ(3)は、前記噴霧器に取り付けるための環状の取り付けリングを有していること、
(b)前記フィンガー状の外部電極(4)は、前記環状の電極アセンブリの円周上に、特に、等間隔で分散配置されていること、
(c)前記フィンガー状の外部電極(4)は、少なくともその平行な端部が前記取り付けリングに対して垂直になるように整列されていること、
(d)前記フィンガー状の外部電極(4)のそれぞれは、電気絶縁材料、特に、プラスチックの外装を有すること、及び/又は、
(e)前記フィンガー状の外部電極(4)それぞれの自由端において、電極の先端が、前記外装から軸方向に突出していること
を特徴とする、
付記22に記載の電極アセンブリ(3)。
【0111】
(付記24)
噴霧器(1)、特に、回転噴霧器(1)であって、
(a)噴霧器中心軸、特に、ベルカップ(2)の回転軸であって、前記噴霧器(1)は、塗装剤の飛沫を前記噴霧器中心軸に沿って放出する噴霧器中心軸と、
(b)前記塗装剤の静電外部帯電用の複数のフィンガー状の外部電極(4)を有する電極アセンブリ(3)と、
を有し、
(c)前記電極アセンブリ(3)は、付記22又は23に従って設計されていることを特徴とする、
噴霧器(1)。
【符号の説明】
【0112】
1 回転噴霧器
2 回転噴霧器のベルカップ
3 静電外部帯電用の電極アセンブリ
4 電極アセンブリのフィンガー電極
5、6 洗浄装置の洗浄モジュール
7~10 洗浄装置の洗浄チャンバ
11、12 洗浄モジュールを取り付けるための取り付け板
13 洗浄モジュールの間の空間
14 回転噴霧器の噴霧器ハウジング
15 洗浄チャンバの挿入開口部を封止するためのブローエアリング
16 洗浄チャンバの側面にあるスプレーノズル
17 洗浄チャンバの底面にあるスプレーノズル
18 洗浄チャンバの中心軸
19 洗浄装置を支持する台座
20 洗浄装置を台座上に弾性的に支持するためのコイルばね
21、22 洗浄チャンバの底面にある排出漏斗
23 廃棄物処理システム
24、25 ブローエアリング
26 ブローエアリング用の共通の圧縮空気供給装置
27 回転機構
28~31 洗浄チャンバ
32 回転機構の回転軸
33 静電外部帯電用の電極アセンブリ
34~41 電極アセンブリのフィンガー電極
lw フィンガー電極の平行な端部と噴霧器ハウジングとの間のクリア幅
ba 挿入されたフィンガー電極と洗浄モジュールの外壁との間の幅
bi 挿入されたフィンガー電極と洗浄モジュールの内側外壁との間の構造幅
【国際調査報告】