(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】作業機械用の冷却用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240816BHJP
B25D 17/20 20060101ALI20240816BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20240816BHJP
B23B 47/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25D17/20
B23Q11/10 F
B23B47/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024510611
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2022075568
(87)【国際公開番号】W WO2023041604
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021210224.7
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニーナ アッペンカンプ
(72)【発明者】
【氏名】アクセル ロスバッハ
【テーマコード(参考)】
2D058
3C036
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA15
2D058CA03
2D058DA25
3C036LL05
3C064AA01
3C064AA03
3C064AA04
3C064AA20
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA06
3C064BB43
3C064BB80
3C064CB36
3C064CB37
3C064CB39
3C064CB91
(57)【要約】
本発明は、作業機械(200)に解離可能に取り付けるための冷却用アタッチメント(100)であって、作業機械(200)は軸部(210)を有し、この軸部(210)内に棒状の工具(300)が回転式またはハンマ打撃式にガイドされていて、軸部から自由端部で進出している、冷却用アタッチメント(100)に関する。この冷却用アタッチメントはハウジング(110)を有し、このハウジング(110)は、作業機械(200)、特にその軸部と、そこで進出した工具(300)とを取り囲んでいるものの、後者は部分的にしか取り囲まれていない。ハウジングの内部には、冷媒を流入開口から、ハウジング軸部の自由端部(114)から進出した工具に案内するための第1の冷却通路(120)が形成されている。特に工具の冷却を改善すると同時に、この工具により加工すべき工作物を一緒に冷却しないようにするために、本発明は、ハウジング軸部の自由端部で第1の冷却通路(120)と第2の冷却通路(130)との間に、冷媒を第1の冷却通路から第2の冷却通路に変向させるための少なくとも1つの接続孔(150)が設けられていることを提案している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械(200)に解離可能に取り付けるための冷却用アタッチメント(100)であって、
前記作業機械(200)は軸部(210)を有し、該軸部(210)内に棒状の工具(300)が回転式またはハンマ打撃式にガイドされていて、前記軸部から自由端部で進出しており、
前記冷却用アタッチメント(100)は、前記作業機械の前記軸部(210)に解離可能に装着するためのハウジング軸部(112)を備えたハウジング(110)を有し、前記ハウジング軸部は、前記作業機械の前記軸部の前記自由端部と、そこで進出した前記工具(300)とを少なくとも部分的に取り囲む自由端部(114)を有し、
前記ハウジングの内部に、冷媒を、前記ハウジング(110)の作業機械近傍の端部(116)に設けられた流入開口(122)から前記ハウジング軸部の前記自由端部に案内し、そこで前記棒状の工具(300)を冷却するための、前記ハウジングの長手方向に延在する第1の冷却通路(120)が形成されている、
冷却用アタッチメント(100)において、
前記ハウジングの内部に、前記冷媒を前記ハウジング軸部の前記自由端部(114)から、同じく前記ハウジングの前記作業機械近傍の端部(116)に形成された少なくとも1つの流出開口(126)に案内するための、前記ハウジング(110)の長手方向に延在する第2の冷却通路(130)が形成されており、
前記ハウジング軸部(112)の前記自由端部で両方の前記冷却通路(120,130)の間に、前記冷媒を前記第1の冷却通路から前記第2の冷却通路に変向させるための少なくとも1つの接続孔(150)が設けられている
ことを特徴とする、冷却用アタッチメント(100)。
【請求項2】
前記第1の冷却通路(120)と前記第2の冷却通路(130)とは、それぞれ環状通路として形成されていて、好ましくは互いに同軸に延在していることを特徴とする、請求項1記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項3】
前記第1の冷却通路(120)は、前記ハウジング(110)の外壁の内部に形成されており、前記第2の冷却通路(130)は、前記第1の冷却通路(120)よりも半径方向でより内側に位置して前記ハウジング(110)の内部に形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項4】
前記第2の冷却通路(130)は、前記ハウジングの長手方向軸線(L)から半径方向に離された、前記ハウジングの一部としての壁によって一部で画定されているにすぎず、半径方向でより内側に位置する別の部分で前記ハウジングの前記長手方向軸線(L)に向かって開放していることを特徴とする、請求項3記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項5】
前記冷却用アタッチメントは、前記作業機械(200)の少なくとも一部、特に前記軸部(210)を収容しかつ前記工具(300)を前記ハウジング軸部(112)の前記自由端部(114)において通過させるための中空室(160)を有し、前記少なくとも1つの接続孔(150)は、外側の第1の環状通路から前記中空室の縁部の接線方向に向けられて形成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項6】
前記ハウジング(110)の全周にわたって複数の前記流出開口(126)が分配されて配置されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの流出開口(126)は円錐形に形成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項8】
前記ハウジング軸部(112)の前記自由端部は、前記ハウジングの長手方向軸線(L)に向かって円錐形に先細りに形成されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項9】
装置(400)であって、
軸部(210)を備えた作業機械(200)であって、前記軸部(210)内に棒状の工具(300)が回転式またはハンマ打撃式にガイドされており、該棒状の工具は、前記作業機械の前記軸部(210)の自由端部から進出している、作業機械(200)と、
前記作業機械(200)の前記軸部に解離可能に装着するためのハウジング軸部(112)を備えたハウジング(110)を有する冷却用アタッチメント(100)であって、前記ハウジング軸部(112)は、前記作業機械の前記軸部(210)の前記自由端部と、そこで進出した前記工具(300)とを少なくとも部分的に取り囲むための自由端部(114)を有する、冷却用アタッチメント(100)と
を有する、装置(400)において、
前記冷却用アタッチメント(100)は、請求項1から8までのいずれか1項に従って形成されていることを特徴とする、装置(400)。
【請求項10】
前記作業機械(200)の少なくとも一部が、前記冷却用アタッチメント(200)の中空室(160)内に収容されていることを特徴とする、請求項9記載の装置(400)。
【請求項11】
前記中空室(160)は、前記ハウジング軸部の前記自由端部において、そこで進出した前記工具(300)の横断面に実質的に相当する横断面を有する孔(162)によって形成されていることを特徴とする、請求項10記載の装置(400)。
【請求項12】
前記ハウジング軸部の前記自由端部(114)における両方の前記冷却通路(120,130)の間の前記接続孔(150)は、好ましくは、前記作業機械(200)の前記軸部(210)から進出した前記工具(300)の接線方向に向けられていることを特徴とする、請求項11記載の装置(400)。
【請求項13】
前記工具(300)が前記作業機械の前記軸部(210)から進出している限り、前記第2の冷却通路(130)の壁の半径方向でより内側に位置する部分が、前記作業機械(200)の外壁と前記工具(300)とによって形成されていることを特徴とする、請求項9から12までのいずれか1項記載の装置(400)。
【請求項14】
請求項9から13までのいずれか1項記載の装置(400)を作動させる方法において、
- 前記冷媒、例えば空気を、前記冷却用アタッチメント(100)の前記ハウジング(110)に設けられた前記流入開口(122)を通して前記第1の冷却通路(120)内に導入するステップ
を含み、
前記冷媒を前記第1の冷却通路を通して、前記作業機械の前記軸部(210)から進出した前記工具(300)に向けて案内し、そこで前記第2の冷却通路(130)内に変向させて、前記工具と前記作業機械(200)とを冷却し、前記第2の冷却通路(130)から、前記ハウジング(110)の作業機械側の前記端部(116)に設けられた前記少なくとも1つの流出開口(126)から流出させることを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記冷媒はその返送中に前記第2の冷却通路(130)内で乱流で流れることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記冷媒は、少なくとも前記第2の冷却通路(130)内で円錐形の前記少なくとも1つの流出開口(126)に向かって吸い込まれることを特徴とする、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
請求項1から8までのいずれか1項記載の冷却用アタッチメント(100)を製造する方法において、
前記冷却用アタッチメントを3Dプリント法で製造することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に解離可能に取り付けるための冷却用アタッチメントであって、作業機械は軸部を有し、この軸部内に棒状の工具が回転式またはハンマ打撃式にガイドされていて、軸部から自由端部で進出している、冷却用アタッチメントに関する。さらに、本発明は、本発明に係る冷却用アタッチメントと組み合わせられた作業機械から成る装置ならびに前記装置を作動させる方法に関する。本発明の意味での作業機械は、特に、簡略化されたトレーサビリティの目的のために形成された、データマトリックスもしくはコードを工作物、特に鍛造された工作物に鍛造過程後に刻み込むドット式刻印機である。しかしながら、本発明の意味での作業機械は、典型的に交換可能な工具、例えばねじ回し、バイトまたは刻印スタンプを駆動するドリルマシンまたは充電式ドライバであってもよい。工具に応じて、作業機械は、回転式の作業モードで作動させられてもよいし、ハンマ打撃式の作業モードで作動させられてもよい。バイトまたは刻印スタンプは、典型的にはハンマ打撃式に作動させられるのに対して、ねじ回しは、典型的には回転式に作動させられる。
【0002】
作業機械用の冒頭に記載した冷却用アタッチメントは、先行技術において、例えば独国特許出願公開第19703094号明細書に基づき基本的に公知である。同明細書に開示された冷却用アタッチメントは、特に手持ち式工作機械を冷却する、特に、手持ち式工作機械の軸部から進出した、工作物の表面に刻印するかまたは表面を除去加工するために使用される鋼製ピンを冷却するために用いられる。同明細書に開示された冷却用アタッチメントは、請求項1の前提部に記載の全ての特徴を有している。具体的には、同明細書に開示された冷却用アタッチメントは、冷媒を流出もしくは流入させるための連続したスリットが配置された外側のハウジングを有している。このハウジングは、好ましくは、相対的に劣熱伝導性の材料、特にプラスチックから形成されている。冷却用アタッチメントは、外側のハウジングのほかに、内側のハウジングも有している。この内側のハウジングは作業機械の作業領域を取り囲んでいる。この作業機械の作業領域には、作業機械の打撃作動中、この作業機械の加熱に関与する摩擦熱を発生させる打撃伝達要素である打撃ピンが収納されている。内側のハウジングは、作業機械の前記作業領域からの摩擦熱の十分な導出を保証する相対的に良熱伝導性の材料から製造されている。
【0003】
同明細書に基づき公知の冷却用アタッチメントは、冷媒をハウジングの作業機械近傍の端部から自由端部に案内し、そこで、冷却すべき工具に案内するかまたは逆方向に案内するように構成されているにすぎない。このことは、冷却作用が特に高くないという欠点を有している。さらに、冷媒は、冷却すべき工具に案内されると、加工すべき工作物の近くで冷却用アタッチメントから流出し、工作物を冷却してしまう。
【0004】
本発明の根底にある課題は、作業機械用の公知の冷却用アタッチメント、本発明に係る冷却用アタッチメントを備えた作業機械から成る公知の装置、前記装置を作動させるための公知の方法ならびに冷却用アタッチメントを製造する方法を改良して、作業機械と、この作業機械により駆動される工具との冷却が改善されるかもしくは効率化されると同時に、加工すべき工作物の冷却が可能な限り阻止されるようにすることである。
【0005】
この課題は、本発明に係る冷却用アタッチメントについては、請求項1の対象によって解決される。本発明に係る冷却用アタッチメントは、ハウジングの内部に、冷媒をハウジング軸部の自由端部から、同じくハウジングの作業機械近傍の端部に形成された少なくとも1つの流出開口に案内するための、ハウジングの長手方向に延在する第2の冷却通路が形成されており、ハウジング軸部の自由端部で両方の冷却通路の間に、冷媒を第1の冷却通路から第2の冷却通路に変向させるための少なくとも1つの接続孔が設けられていることを特徴としている。
【0006】
「自由端部で/において/における」という表現は、「自由端部の領域で/において/における」を意味している。
【0007】
請求している二重の通路案内と、一方が、冷却すべき工具への冷媒用の送り管路として使用され、他方が、冷媒用の戻し管路として使用される両方の通路の間の接続孔とにより、有利には、送り管路内の冷媒の流れによって戻し管路内の冷媒の流れに影響を与えることができ、有利には、戻し管路内の冷媒の流れを渦動させることができる。これによって、工具、つまり、特に刻印機ピンに対する流れの冷却作用が改善される。この場合、これによって、工具の摩耗も減じられ、工具の使用年数もしくは寿命も延長される。
【0008】
工具、例えばドット式刻印機のピンは、まだ熱を帯びている鍛造された工作物の加工時に数100℃に加熱されてしまう。したがって、工具に特に強力な冷却が必要となるため、本発明により請求している二重の通路案内と変向とにより改善された冷却作用を有する、好ましくは渦動させられた冷媒が、まずは、冷却すべき工具に案内され、その後初めて、冷却すべき作業機械に案内されると有利である。第2のもしくは(戻し)通路によって、冷媒は、有利には作業機械の、加熱された駆動装置が装着されている領域の傍らでも案内され、こうして、作業機械が冷却される。
【0009】
請求している変向は、前記渦動に加えて、冷媒が、冷却すべき工具の領域で、少なくとも小さな漏れ損失は別として、冷却用アタッチメントから流出し、そこで、加工された工作物が望ましくない形で冷却されるのでなく、冷媒がスムーズに戻し管路内に変向させられるという顕著な利点を有している。戻し管路、つまり、第2の冷却通路は、少なくとも1つの流出開口で終端している。この流出開口は、本発明によれば、ハウジングの作業機械近傍の端部、つまり、自由端部と反対側に形成されていて、ひいては、加工すべき、場合により高温の工作物から十分に離間させられて形成されている。この限りにおいて、そこに流出開口が形成されていることによって、工作物の望ましくない冷却が効果的に阻止される。
【0010】
本発明の一実施例によれば、冷媒の有利な前記渦動は、本発明によれば、前記変向に加えて、有利には、少なくとも1つの接続孔が、好ましくは、ほぼ冷却用アタッチメントの中心の長手方向軸線に向けられているのではなく、それぞれ冷却用アタッチメントのハウジングに設けられた、工具を冷却用アタッチメントの外側に向かって進出させる孔の縁部の接線方向に向けられた環状に配置された複数のノズル開口の形態で形成されていることによって達成される。このことは、冷媒の円形の渦巻き状の流れを発生させる。これによって、冷媒の冷却作用が改善される。熱を工具から吸収した後、こうして加熱された冷媒は、第2の冷却通路の内部で流出開口に流れる。
【0011】
本発明の別の有利な実施例によれば、流出開口に可能な限り大きな横断面を実現するために、ハウジングの全周にわたって複数の流出開口が分配されて配置されている。大きな横断面は、特に少なくとも1つの流出開口の円錐形の構成に相俟って有利であり、これによって、加熱された冷媒が、第1および第2の冷却通路を通して吸い込まれ、冷却用アタッチメントの外側に向かって搬出される。流出開口のこの円錐形の構成の場合、冷媒を流入開口を通して冷却通路内に導入するかまたは冷媒を流入開口を通して冷却通路内に吸い込むためのブロワは、有利には不要となる。第2の冷却通路を通って流れる冷媒によって、有利には、1つには、作業機械、つまり、例えばドット式刻印機が、場合によりまだ高温の工作物、特に鍛造部材の放射熱に対して断熱され、もう1つには、冷媒のこの内側の流れによって、冷却用アタッチメント自体も前記放射熱に対して防護される。
【0012】
ハウジング軸部の自由端部がハウジングの長手方向軸線に向かって円錐形に先細るようなハウジング軸部の本発明による構成によって、また、冷媒がこの領域において、半径方向でより外側に位置する冷却通路から少なくとも1つの接続孔を通ってハウジングの長手方向軸線ひいては作業機械の軸部から進出した冷却すべき工具にも向けられるという利点が提供される。ハウジング軸部の円錐形の端部のこの作用によって、接続孔が相応に方向付けられていれば、冷媒が、冷却すべき工具の接線方向に向けられていることは妨げられない。
【0013】
上述した課題は、さらに、作業機械と本発明に係る冷却用アタッチメントとの組合せに関する請求項10記載の装置によって解決される。この装置の利点は、請求している冷却用アタッチメントに関して上述した利点と基本的に同じである。
【0014】
装置の有利な実施例によれば、本発明に係る冷却用アタッチメントは、作業機械の少なくとも一部を収容するための中空室を有している。この中空室は、ハウジングの自由端部において、そこで進出した工具の横断面に実質的に相当する横断面を有する孔によって形成されている。この言い回しは、孔が、工具を摩擦なしに孔を通して運動させることができる程度しか工具の横断面よりも大きくなく、それでいて、不必要なほどに大きくはないということを意味している。本発明によれば、工具と冷却用アタッチメントのハウジングとの間に可能な限り小さな間隙しか残さないことが望ましく、これによって、可能な限り僅かな冷媒しかこの間隙を通ってハウジングから流出することができないことが確保される(上記参照:漏れ損失)。間隙を通る冷媒の流出は、この冷媒の、上述した円形の渦巻き状の流れと、冷却用アタッチメントの上側の領域に設けられた円錐形の大きな流出開口により発生させられる吸引とによっても確保される。したがって、本発明によれば、工具により加工される工作物、例えばまだ熱を帯びている鍛造部材の温度が望ましくない形で減じられるのではなく、その代わりに、工具と、この工具を駆動する作業機械とが十分に冷却されることが多様な形態で保証される。
【0015】
最後に、本発明の課題は、本発明に係る装置を作動させるための請求項14記載の方法および本発明に係る冷却用アタッチメントを製造するための請求項17記載の方法によって解決される。本発明に係る冷却用アタッチメントはその複雑なジオメトリのため、特に有利には3Dプリント法で製造される。幾何学的には、冷却用アタッチメントは、付加プロセス制約/付加製造制約に相応して最適化されて構成されているため、プリンタから、いわば直接使用することができる。このことは、事後的に手間をかけて取り除かれなければならない支持構造体が不要となり、機械的な後加工部として、空気接続部用のねじ山付き孔しか必要とならないことを意味している。その他の点では、方法の利点は、請求している冷却用アタッチメントおよび請求している装置に関して前述した利点に相当している。
【0016】
本発明に係る冷却用アタッチメント、本発明に係る装置ならびに装置を作動させるための本発明に係る方法の有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0017】
本発明には、4つの図面が添付してある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る冷却用アタッチメントの斜視的な外面図である。
【
図3】
図2の本発明に係る装置の自由端部の拡大図である。
【0019】
以下に、これらの図面を参照しながら本発明を実施例の形態で詳細に説明する。全ての図面において、同一の技術的な要素には同一の符号が付してある。
【0020】
図1には、本発明に係る冷却用アタッチメント100が斜視的な外面図で示してある。この冷却用アタッチメントは、軸部112を備えたハウジング110を有している。ハウジング軸部を備えたハウジングは、典型的に同じく軸部210を備えた作業機械200(
図2参照)を解離可能に収容するための中空室160を有して形成されている。ハウジング軸部112はその自由端部において、好ましくは、冷却用アタッチメントの長手方向軸線Lに向かって円錐形に先細るように形成されている。冷却用アタッチメント100のハウジング110は、自由端部114と反対側に離間させられて位置する作業機械近傍の端部116に、場合により収容されている作業機械200と、この作業機械の軸部210およびハウジング軸部112から進出した棒状の工具300(
図2参照)とを冷却するための冷媒用の1つの流入開口122および好ましくは複数の流出開口126を有している。
【0021】
図2には、本発明に係る装置400が示してある。この装置400は、本発明に係る冷却用アタッチメント100が作業機械200に装着されているときには冷却用アタッチメント100を見せている。言い換えると、装置400は、作業機械200が冷却用アタッチメント100の中空室160内に収容されているときには作業機械200を意味している。この場合には、作業機械200の軸部210もハウジング110の軸部112によって収容されていて、作業機械200により駆動される工具300が、ハウジング軸部112の自由端部114において、そこに設けられた孔162から進出している。工具300は、作業機械200によって回転駆動されるかまたは作業機械の軸部210の長手方向軸線に合致するハウジング110の長手方向軸線Lに沿ってハンマ打撃式に昇降運動させられる。
【0022】
図2に示した装置400の縦断面図に認めることができるように、同図では、例えば冷却用アタッチメントのハウジング110の外壁内に、冷却剤を、作業機械近傍の端部116に設けられた流入開口122からハウジング軸部の自由端部114に案内し、そこで棒状の工具300を冷却するための、ハウジングの長手方向に延在する第1の冷却通路120が形成されている。ハウジング軸部112の自由端部の内側には、少なくとも1つの接続孔150が配置されている。この少なくとも1つの接続孔150は、好ましくは、環状に配置された複数のノズル開口の形態で形成されており、これによって、到来した冷媒が、そこで、冷却すべき工具300への衝突後に第2の冷却通路130内に変向させられる。ノズル開口は、好ましくは、ハウジングもしくは工具300の長手方向軸線Lに向かって中心に向けられているのではなく、孔162の縁部の接線方向もしくは工具300、例えばドット式刻印機のピンの接線方向に向けられている。ノズル開口ひいては冷却剤流を接線方向に向けることによって、この冷却剤流の渦動ひいては有利には改善された冷却作用が達成される。第2の冷却通路130は、冷媒を自由端部114からハウジング110の作業機械近傍の端部116に返送し、これによって、そこで、冷媒が流出開口126から流出することができる。流出開口126は、冷媒を流入開口122と第1の冷却通路120とを通して第2の冷却通路130内に吸い込むために、好ましくは円錐形に形成されている。
【0023】
図2に認めることができるように、第1の冷却通路120と第2の冷却通路130とは、好ましくはそれぞれ環状通路として形成されていて、好ましくは互いに同軸に延在している。第1の冷却通路120が、完全にハウジング110の壁の内部に形成されているのに対して、第2の冷却通路130は、ハウジング110の長手方向軸線Lから半径方向に離された、ハウジング110の一部としての壁によって部分的に画定されているにすぎない。半径方向でより内側に位置する他方の部分では、冷却用アタッチメントの第2の冷却通路はハウジングの長手方向軸線Lに向かって開放している、つまり、ハウジング110自体によって画定されていない。その代わりに、そこでは、第2の冷却通路の画定部が、作業機械200の外側の表面と、特に作業機械200の軸部210自体とによって形成される。つまり、冷媒が第2の冷却通路130内で流出開口126に流れる間、冷媒は、作業機械200およびその軸部210に沿って自動的に流れ、こうして、これらの部分を冷却する。
【0024】
図3には、
図2に示したハウジング軸部の自由端部114が拡大図で示してある。工作物500を加工するために、工具300が、ハウジング軸部の自由端部114からどのように進出しているのかを認めることができる。
【0025】
図3および
図4に認めることができるように、孔162は、そこを通過する工具300の横断面に実質的に相当する横断面を有している。工具300と孔162の縁部との間の間隙は、本発明によれば、この間隙を通って冷媒が流出してしまうことが可能な限り阻止されるように、可能な限り小さく形成されていることが望ましい。こうして、本発明によれば、特に、加工すべき工作物500の望ましくない冷却が阻止される。
【0026】
図4には、環状通路として形成された第1の冷却通路120内への流入開口122を通した冷媒の導入が示してある。
図4の中央に認めることができるように、ハウジング110の軸部112の自由端部114に設けられた環状に配置された接続孔もしくはノズル開口150は、ハウジングの長手方向軸線Lに向かって正確に半径方向に向けられているのではなく、孔162の縁部もしくは工作物300の縁部の接線方向に向けられており、これによって、そこで、冷媒の所望の渦動が達成される。これに関して、
図4には、本発明に係る冷却用アタッチメントの横断面が、流入開口122の高さにおけるハウジングの作業機械近傍の端部116の領域の一平面だけでなく、ハウジング軸部112の自由端部114の一平面でも示してある。
【符号の説明】
【0027】
100 冷却用アタッチメント
110 ハウジング
112 ハウジング軸部
114 ハウジング軸部の自由端部
116 冷却用アタッチメントの作業機械近傍の端部
120 第1の冷却通路
122 流入開口
126 流出開口
130 第2の冷却通路
150 接続孔
160 中空室
162 孔の縁部
200 作業機械
210 作業機械の軸部
300 棒状の工具
400 装置
500 工作物
L ハウジングの長手方向軸線
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械(200)に解離可能に取り付けるための冷却用アタッチメント(100)であって、
前記作業機械(200)は軸部(210)を有し、該軸部(210)内に棒状の工具(300)が回転式またはハンマ打撃式にガイドされていて、前記軸部から自由端部で進出しており、
前記冷却用アタッチメント(100)は、前記作業機械の前記軸部(210)に解離可能に装着するためのハウジング軸部(112)を備えたハウジング(110)を有し、前記ハウジング軸部は、前記作業機械の前記軸部の前記自由端部と、そこで進出した前記工具(300)とを少なくとも部分的に取り囲む自由端部(114)を有し、
前記ハウジングの内部に、冷媒を、前記ハウジング(110)の作業機械近傍の端部(116)に設けられた流入開口(122)から前記ハウジング軸部の前記自由端部に案内し、そこで前記棒状の工具(300)を冷却するための、前記ハウジングの長手方向に延在する第1の冷却通路(120)が形成されている、
冷却用アタッチメント(100)において、
前記ハウジングの内部に、前記冷媒を前記ハウジング軸部の前記自由端部(114)から、同じく前記ハウジングの前記作業機械近傍の端部(116)に形成された少なくとも1つの流出開口(126)に案内するための、前記ハウジング(110)の長手方向に延在する第2の冷却通路(130)が形成されており、
前記ハウジング軸部(112)の前記自由端部で両方の前記冷却通路(120,130)の間に、前記冷媒を前記第1の冷却通路から前記第2の冷却通路に変向させるための少なくとも1つの接続孔(150)が設けられている
ことを特徴とする、冷却用アタッチメント(100)。
【請求項2】
前記第1の冷却通路(120)と前記第2の冷却通路(130)とは、それぞれ環状通路として形成されていて、好ましくは互いに同軸に延在していることを特徴とする、請求項1記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項3】
前記第1の冷却通路(120)は、前記ハウジング(110)の外壁の内部に形成されており、前記第2の冷却通路(130)は、前記第1の冷却通路(120)よりも半径方向でより内側に位置して前記ハウジング(110)の内部に形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項4】
前記第2の冷却通路(130)は、前記ハウジングの長手方向軸線(L)から半径方向に離された、前記ハウジングの一部としての壁によって一部で画定されているにすぎず、半径方向でより内側に位置する別の部分で前記ハウジングの前記長手方向軸線(L)に向かって開放していることを特徴とする、請求項3記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項5】
前記冷却用アタッチメントは、前記作業機械(200)の少なくとも一部、特に前記軸部(210)を収容しかつ前記工具(300)を前記ハウジング軸部(112)の前記自由端部(114)において通過させるための中空室(160)を有し、前記少なくとも1つの接続孔(150)は、外側の第1の環状通路から前記中空室の縁部の接線方向に向けられて形成されていることを特徴とする、請求項1
または2記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項6】
前記ハウジング(110)の全周にわたって複数の前記流出開口(126)が分配されて配置されていることを特徴とする、請求項1
または2記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの流出開口(126)は円錐形に形成されていることを特徴とする、請求項1
または2記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項8】
前記ハウジング軸部(112)の前記自由端部は、前記ハウジングの長手方向軸線(L)に向かって円錐形に先細りに形成されていることを特徴とする、請求項1
または2記載の冷却用アタッチメント(100)。
【請求項9】
装置(400)であって、
軸部(210)を備えた作業機械(200)であって、前記軸部(210)内に棒状の工具(300)が回転式またはハンマ打撃式にガイドされており、該棒状の工具は、前記作業機械の前記軸部(210)の自由端部から進出している、作業機械(200)と、
前記作業機械(200)の前記軸部に解離可能に装着するためのハウジング軸部(112)を備えたハウジング(110)を有する冷却用アタッチメント(100)であって、前記ハウジング軸部(112)は、前記作業機械の前記軸部(210)の前記自由端部と、そこで進出した前記工具(300)とを少なくとも部分的に取り囲むための自由端部(114)を有する、冷却用アタッチメント(100)と
を有する、装置(400)において、
前記冷却用アタッチメント(100)は、請求項
1に従って形成されていることを特徴とする、装置(400)。
【請求項10】
前記作業機械(200)の少なくとも一部が、前記冷却用アタッチメント(
100)の中空室(160)内に収容されていることを特徴とする、請求項9記載の装置(400)。
【請求項11】
前記中空室(160)は、前記ハウジング軸部の前記自由端部において、そこで進出した前記工具(300)の横断面に実質的に相当する横断面を有する孔(162)によって形成されていることを特徴とする、請求項10記載の装置(400)。
【請求項12】
前記ハウジング軸部の前記自由端部(114)における両方の前記冷却通路(120,130)の間の前記接続孔(150)は、好ましくは、前記作業機械(200)の前記軸部(210)から進出した前記工具(300)の接線方向に向けられていることを特徴とする、請求項11記載の装置(400)。
【請求項13】
前記工具(300)が前記作業機械の前記軸部(210)から進出している限り、前記第2の冷却通路(130)の壁の半径方向でより内側に位置する部分が、前記作業機械(200)の外壁と前記工具(300)とによって形成されていることを特徴とする、請求項9
または10記載の装置(400)。
【請求項14】
請求項
9記載の装置(400)を作動させる方法において、
- 前記冷媒、例えば空気を、前記冷却用アタッチメント(100)の前記ハウジング(110)に設けられた前記流入開口(122)を通して前記第1の冷却通路(120)内に導入するステップ
を含み、
前記冷媒を前記第1の冷却通路を通して、前記作業機械の前記軸部(210)から進出した前記工具(300)に向けて案内し、そこで前記第2の冷却通路(130)内に変向させて、前記工具と前記作業機械(200)とを冷却し、前記第2の冷却通路(130)から、前記ハウジング(110)の作業機械側の前記端部(116)に設けられた前記少なくとも1つの流出開口(126)から流出させることを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記冷媒はその返送中に前記第2の冷却通路(130)内で乱流で流れることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記冷媒は、少なくとも前記第2の冷却通路(130)内で円錐形の前記少なくとも1つの流出開口(126)に向かって吸い込まれることを特徴とする、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
請求項1
または2記載の冷却用アタッチメント(100)を製造する方法において、
前記冷却用アタッチメントを3Dプリント法で製造することを特徴とする、方法。
【国際調査報告】