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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】発電機の熱管理のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20240816BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240816BHJP
【FI】
B60K11/04 K
B60K11/04 Z
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512014
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022075346
(87)【国際公開番号】W WO2023028484
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/235,948
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500461125
【氏名又は名称】プラグ パワー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ラリー
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AA10
3D038AB01
3D038AC08
3D038AC11
3D235AA01
3D235BB36
3D235BB45
3D235CC14
3D235CC23
3D235CC24
3D235DD34
3D235FF25
(57)【要約】
車両用の発電システムには、電流を生産するための発電機を有する車両が含まれる。この車両はファン及び放熱器を有する空洞部を有する。放熱器は、発電機の温度を制御することが可能となるように発電機と流体連通している。空気入口通路が車両の壁を通って伸び、かつ車両の走行時に放熱器の入口側の空気の静圧が周囲気圧と比較して高くなるように空気を車両の外から放熱器の入口側に向かって方向付けるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流を生産するための発電機を有する車両と:
車両はファン及び放熱器を有する空洞部を有することと;
放熱器は、発電機の温度を制御することが可能となるように発電機と流体連通していることと;
車両の走行時に放熱器の入口側の空気の静圧が周囲気圧と比較して高くなるように、空気を車両の外から放熱器の入口側に向かって方向付けるように構成された、車両の壁を通り抜ける空気入口通路と
を具備する車両用の発電システム。
【請求項2】
通路は、壁の外側表面に第1の端部及び内部の空洞部に第2の端部を具備し、第1の端部は第2の端部よりも小さく第1の端部から第2の端部へ流れる空気の静圧が増大かつ動圧が低下するようになっている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ファン及び放熱器は互いに接続され、かつファンは空気が放熱器を通るように方向付けるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
通路は、車両の壁を通って伸びる複数のルーバーのうち第1のルーバーを具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
車両は、発電機、放熱器及びファンを受承するルーフ空洞部を有するルーフを具備する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
ルーフ空洞部に受承され、かつ発電機と流体連通している燃料源をさらに具備する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
壁は車両上部の側面長手方向壁を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
車両上部に取り付けられた、燃料源を覆うカバーをさらに具備する、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
空気を車両の前方端部から内部の空洞部の中へ燃料源の後ろに位置する放熱器に向けて車両の後方端部の方へ方向付けるために、燃料源の両側の長手方向面に壁及び燃料源によって境界された側通路をさらに具備する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
壁は車両上部に取り付けられたカバーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
壁はルーフの下方の車両の側面を含む、請求項1のシステム
【請求項12】
発電機の温度を制御する方法であって、
発電機と放熱器との間に流体連通を提供して放熱器が発電機と放熱器との間の流体の流れにより発電機を冷却することを可能にするために、車両内の発電機を車両内の放熱器へ導管を介して接続するステップと;
車両の走行時に放熱器の入口側の空気の静圧が周囲気圧と比較して高くなるように、車両の外から放熱器の入口側へと車両の空気入口通路を通じて空気を流すステップと
を含む方法。
【請求項13】
通路は、壁の外側表面に第1の端部及び車両の内側に第2の端部を具備し、第1の端部は第2の端部よりも小さく第1の端部から第2の端部へ流れる空気の静圧が増大かつ動圧が低下するようになっている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ファンと放熱器とが互いに接続され、かつファンは空気が放熱器を通るように方向付けるように構成されている、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
通路は、車両の壁を通って伸びる複数のルーバーのうち第1のルーバーを具備する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
車両は、発電機、放熱器及びファンを受承するルーフ空洞部を有するルーフを具備する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ルーフ空洞部に受承され、かつ発電機と流体連通している燃料源をさらに具備する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
空気を車両の前方端部から燃料源の後ろに位置する放熱器に向けて車両の後方端部の方へ方向付けるために、燃料源の両側の長手方向面に車両の壁及び燃料源によって境界された側通路を通るように空気を方向付けるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
発電機の温度を制御するためのシステムであって、
発電機と放熱器との間に流体連通を提供して放熱器が発電機と放熱器との間の流体の流れにより発電機を冷却することを可能にするために、導管を介して車両内の発電機に結合された車両内の放熱器と;
車両の走行時に放熱器の入口側の空気の静圧が周囲気圧と比較して高くなるように、空気を車両の外から放熱器の入口側へ方向付けるように構成された、車両の空気入口通路と
を具備するシステム。
【請求項20】
空気を放熱器の入口側へ方向付けるために車両内で放熱器の前に位置付けられたファンをさらに具備する、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年8月23日に出願された米国仮特許出願第63/235,948号に基づく優先権を主張し、米国仮特許出願第63/235,948号は参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、電流源を熱管理するための方法及びシステムに関し、より具体的には、車両に動力を供給するための燃料電池システム及びバッテリーシステムの温度を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
気候変動の緩和を含む様々な理由で、バッテリー及び電気化学的燃料電池によって動力が供給されるものなど電気車両の生産は増大してきた。そのような電気車両は、従来の化石燃料を動力とする車両とは異なる方式で稼働し、かつ異なる熱要件を有している。
【0004】
従来型の車両は、そのような車両の前部に位置付けられた内燃エンジンを備え、乗員室は該エンジンに対して後部に位置している。放熱器は車両の最前端に位置していて、空気が該放熱器を通り抜けてエンジンと流体接続かつ熱接続している液体を冷却することができるようになっており、その結果放熱器及びエンジンを通って流れるそのような液体によってエンジンが冷却されるようになっていてよい。
【0005】
電気車両はエンジンが何らかの特定の場所に位置することを必要とせず、車両の前部は第2の収納室すなわち「フランク」を備えることが可能である。電気モータは車両のホイール内又はホイール付近に位置してもよく、バッテリーは車両のシャーシ又はフレームを含む車内の様々な場所に位置することができる。
【0006】
燃料電池車両は、車両の様々な部分、例えば車両の、従来型の前方部分、後方部分又はルーフに位置付けられた、電気エネルギーを生成するための燃料電池を有することができる。水素燃料貯蔵容器が上記の場所のうちいずれかに位置することも可能である。
【0007】
燃料電池車両の燃料電池は稼働中に熱を生じる可能性があり、効率的な稼働を促進するためにそのような燃料電池の温度を制御することが必要であるかもしれない。車両における燃料電池の温度制御は、車両の走行中に燃料電池上を通る周囲空気の流れによって、及び/又は、燃料電池の内部又は外部及び放熱器と流体連通している液体によって、行うことが可能である。
【0008】
よって、電流源を熱管理するためのシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、第1の態様において、電流を生産するための発電機を有する車両を含む、車両のための発電システムを提供する。該車両は、ファン及び放熱器を有する空洞部を有する。放熱器は、発電機の温度を制御することが可能となるように発電機と流体連通している。空気入口通路が車両の壁を通り抜けて伸び、かつ該空気入口通路は、車両の走行時に放熱器の入口側の空気の静圧が周囲気圧と比較して高くなるように空気を車両の外から放熱器の入口側に向かって方向付けるように構成されている。
【0010】
本発明は、第2の態様において、発電機の温度を制御する方法であって、発電機と放熱器との間の流体の流れによって放熱器が発電機を冷却するのを可能にするために、発電機と放熱器との間の流体連通を提供するため導管によって車両内の発電機を車両内の放熱器に接続することを含む方法を提供する。空気は車両の外から車両の空気入口通路を通して放熱器の入口側へと流れて、車両の走行時に放熱器の入口側の空気の静圧を周囲気圧と比較して高くする。
【0011】
本発明は、第3の態様において、発電機と放熱器との間の流体の流れによって放熱器が発電機を冷却するのを可能にするために、発電機と放熱器との間に流体連通を提供するため導管を介して車両内の発電機に連結された車両内の放熱器を備えた、発電機の温度を制御するためのシステムを提供する。車両の空気入口通路は、車両の走行時に放熱器の入口側の空気の静圧が周囲気圧と比較して高くなるように、空気を車両の外から放熱器の入口側に向かって方向付けるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
発明と見なされる対象については、本明細書の最後に特許請求の範囲において具体的に指摘かつ明確に主張されている。本発明の先述及びその他の特徴及び利点は、添付図面を併用した好ましい実施形態についての以降の詳細な説明から、容易に理解されるであろう。
【0013】
図1】発電機及び該発電機の温度を制御するためのシステムを有する車両の上側部を示す斜視図。
【0014】
図2図1の車両の上側部を示す上面図。
【0015】
図3図1の車両の上側部を通り抜けて伸びるルーバーを示す、該上側部の水平断面図。
【0016】
図4図1の発電機の温度を制御するためのシステムの放熱器‐ファンアセンブリを示す斜視図。
【発明の詳細な説明】
【0017】
本発明について、添付図面を参照しながら本発明による様々な例示の実施形態に関して以下に詳細に議論する。以降の詳細な説明において、本発明の完全な理解のために数多くの具体的詳細が示される。しかしながら、本発明がそれらの具体的詳細を伴わずに実行されうることは当業者には明白であろう。他の例では、本発明を不必要に不明瞭とするのを回避するために周知の構造物については詳細に示されていない。
【0018】
したがって、以下に記載される実装は全て、当業者が本開示の実施形態を作製又は使用することを可能にするために提供される例示の実装であり、特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲を限定するようには意図されていない。本明細書中で使用されるように、「例示の」又は「例証の」という語は、「例、実例、又は例証としての役割を果たしている」ことを意味する。「例示の」又は「例証の」として本明細書中に記載されたいかなる実装も、必ずしも他の実装より好適又は有利であると解釈されるべきではない。さらに、本節の説明において、用語「上方」、「下方」、「左」、「後」、「右」、「前」、「垂直」、「水平」、及びこれらの派生語は、図1における配向の本発明に関するものとする。
【0019】
更に、先述の技術分野、背景、概要、又は以降の詳細な説明において提示されるどのような明示又は黙示の理論によっても拘束される意図は存在しない。また、添付図面において例証され、かつ以降の明細書中に記載される具体的なデバイス及び処理過程は、添付の特許請求の範囲において規定される本発明の概念の例示の実施形態にすぎないということも理解されるべきである。従って、本明細書中に開示された実施形態に関する具体的な寸法及びその他の物理的特性は、特許請求の範囲に別段の定めが明示されないかぎり、限定とみなされるべきではない。
【0020】
本発明のプリンシパル(principals)に従って、車両用の電流源を熱管理するためのシステム及び方法が提供される。図1~3に示された例示の実施形態において、車両10は、その上側部30に、発電機40及び該発電機のための燃料源50を受承するための空洞部20を備えることができる。
【0021】
発電機40は、車両10に動力を供給するための燃料電池スタック又はバッテリー、例えばリチウムイオンバッテリーであってよい。例えば、発電機40は、車両を動かすための1若しくは複数の駆動軸に接続された電動機に直接連結されてもよいし、又は発電機40は、車両を動かすための1若しくは複数の駆動軸に接続させることが可能な車両10の別の(例えば空胴部20の外側の)部分にある貯蔵デバイス(例えばバッテリー)に連結されてもよい。
【0022】
燃料源50には、発電機に水素を供給して該発電機による電気エネルギーの生産を可能にするための、発電機40(例えば燃料電池スタック)に接続された1以上の水素キャニスタを挙げることができる。
【0023】
カバー100が上側部30に接続されてもよく、かつ該カバーは、上側部30に接触しているカバー100の側縁部によって境界された側開口部分110及び後方開口部分120によって境界された、中央固体部分105を備えることができる。開口部分(例えば、側開口部分110及び後方開口部分120)は空気流が通り抜けるのを可能にする一方で、固体部分は任意のそのような空気流を抑止する。空気流は、後述のように放熱器内部の冷却材から周囲への熱放出によって発電機の冷却を可能にすることが望ましい。
【0024】
放熱器70の前面のファン進入空洞部43に空気を引き込むために、1又は複数のファン42(図1、4)が放熱器70の前方又は後方に位置することができる。そのようなファンは、発電機40の後方に位置して、発電機40の両側の入口41を介し、かつ発電機40の上面とカバー100との間の隙間を介して、空気を空洞部20及びファン進入空洞部43に引き込むように構成されることも考えられる。ファンは、発電機と流体連通している冷却材流体が放熱器70によって冷却された後で空気をファン進入空洞部43から後方へ放熱器70を通してファン退出空洞部45へと方向付けることにより、発電機の所望温度を維持することができる。加熱された空気はファン退出空洞部45から空洞部20を出ることができる。
【0025】
例えば、複数のファン42のうちファン46は、放熱器70に取り付けられて図4に示されるようなファン‐放熱器アセンブリ77を形成することができる。ファン‐放熱器アセンブリ77、又は放熱器70は、発電機40の後方位置72にあって(例えば、発電機40から間隔を置いて配置されて)、アセンブリ77又は放熱器70が例えば図1に示されるように車両10の長手方向寸法に対して発電機40から長手方向に間隔を置いて配置されるようになっていてもよい。放熱器70は、ファンの位置42及び後方端72と比べて燃料源50寄りに位置する発電機40の電気生成部分75(例えば燃料電池スタック)と流体連通している1以上の導管(図示せず)を備えることができる。冷却材流体は、冷却材がファンから放熱器70を通り抜ける空気の流れによって冷却されうるように、電気生成部分75から放熱器70へと冷却材導管(図示せず)を介して流れることができる。
【0026】
図4に示されるように、アセンブリ77は、発電機から導管を通って放熱器70へと流れる冷却材の温度を制御する(例えば冷却する)ために、冷却材の流れが放熱器70を通るように導管が放熱器70に接続するのを可能にする冷却材接続部78を備えることができる。
【0027】
別の例では、放熱器アセンブリ77又は放熱器70は、上側部30の代わりに別の場所に位置していてもよい。例えば、アセンブリ77は、空気流を方向付けるための導管又はその他の通路を介して放熱器70を通るように空気流を方向付けることが可能な、車両(例えば車両10)の場所又はコンパートメントに位置していてもよい。そのようなアセンブリを車両(例えば車両10)の前部から離れた所に位置付けて、車両の走行時にアセンブリが周囲条件と比べてより低い動圧かつより高い静圧となるように、導管、開口部、及び/又はルーバー(例えばルーバー250)を利用して空気をアセンブリへと方向付けることができるようになっていることも考えられる。
【0028】
一例では、車両10が前進するとともに空気はカバー100(図2)の側部分110を通って燃料源50の両側にある側空洞部26に入ることが可能であり、かつさらに空気は図1~2に示されるような後方部分120を通して空洞部20に流入することもできる。車両が走行することにより、そのような空気の流れが、空気を空洞部20の中へ、ファン進入空洞部43の中へ、及びファン退出空洞部45に向けて引き込んでいるファン(例えばファン42)と共に促進されて、放熱器70を通る空気流によって、放熱器70を通って流れている冷却材流体を冷却することができる。例えば、空気は、車両10の長手方向寸法に対して長手方向に、側部分110に沿っているか又は後方部分120の上のどこかの進入地点から発電機40の両側の入口41へと流れることができる。
【0029】
上述のように、空気は入口41を介してファン進入空洞部43に流入することができる。発電機40は、該発電機の(車両10の長手方向寸法を基準として)長手方向の側面に入口41を、かつ空洞部43への上部入口44を備えて図示されており、空気がそのような側面の入口41又は上部入口44を介して空洞部43に入ることがありうるようになっている。さらに、空気は、カバー100の前面の開口部(図示せず)から、車両10の前面の開口部(図示せず)を通して、又は燃料源50のタンク(例えば水素貯蔵タンク)の間の側部分110から上部入口44へと流れることも考えられる。図示されていない別の例では、発電機(例えば発電機40)が上部入口44を覆う蓋を有していて、空気が入口41を介して空洞部43に入ることしかできないようになっていることも考えられる。
【0030】
さらに、車両10は、車両10の長手方向寸法を基準として上側部30の両側の側方長手方向面200すなわち壁に、空気進入側部分210を備えることができる。側方面200は空洞部20の境界を形成する内表面205を有して、周囲環境から側方面200のうち一方の外表面207を過ぎて空洞部20の中に入る空気の流れを通気部分210が可能にするようになっていてもよい。周囲環境から通気部分210を通るそのような空気流により、カバー100を通る空気流に関して上述したような発電機40の温度の制御を可能にすることができる。
【0031】
一例において、通気部分210は図3に示されるようなルーバー250を備えていてもよく、空気は車両10の走行時にルーバーを通して空洞部20に流入することができる。例えば、ルーバー250のうち第1のルーバー251は、進入口255、通路部分260及び出口270を備えて進入口255が出口270よりも狭くなっており、空気は第1のルーバー251を通って流れるにつれて速度を落とすことができる。さらに、ルーバーを通って流れた後は、より低い動圧及びより高い静圧が生じうる。空気捕集器及び運動エネルギー拡散器として働くそのようなルーバー(例えばルーバー250)の大きさ及び寸法は、車両の走行速度、ファン及び放熱器の大きさ及び性能、並びにレイアウトなどのような適用パラメータに基づいて最適化することが可能である。さらに、ルーバーを接続して空気をファン進入空洞部43へとさらに方向付けるプレナム(図示せず)があってもよい。
【0032】
図3に示されるように、進入口255の軸線は車両10の長手方向寸法に対してずらして(例えば30~45度で)位置調整されて、車両の動きが進入口255を通り空洞部20に入る空気の進入を最も効率的な方法で促進しうるようになっていてもよい。例えば、進入口255の軸線は車両の長手方向寸法に対して約30度に位置調整されることが可能であり、出口270の軸線は、最良の運動エネルギー変換のために、かつ空気流を最も効率的な方法でファン入口へ誘導するために、車両の長手方向寸法に対してより垂直に近い(例えば60~75度である)ことが可能である。第1のルーバー251については上述したが、ルーバー250のうち他のルーバーもこれに類似しているか又は同一であってよい。
【0033】
上記に示すように、車両10の動きにより、カバー100及び/又はルーバー250を通って発電機40のファンへ向かう空気流をもたらすことができる。ルーバー250は上側部30の側方面200に図示されているが、そのようなルーバーは、空洞部20と流体連通するように車両10の他の部分に、例えばカバー100に位置することも考えられる。そのようなルーバーが利用されている場合、車両の移動による運動エネルギーは、走行中の車両を通り過ぎる高速空気流の運動エネルギーの一部を、ファン(例えばファン42)の前部(例えばファン進入空洞部41又は特別に設計されたプレナム)における静圧に変換することができる。その結果、したがってファン入口の空気の静圧及び密度は、例えば、車両10の側方面207及び/又は上部カバー100にルーバー(例えばルーバー250)も他の空気動圧変換開口部も存在しない状況に対して、非走行中の車両を走行中の車両と比較する状況かつさらにルーバー(例えばルーバー250)が存在する場合においては、増大する可能性がある。よってファンは、空気が車両の側面又は上面を通り抜けるように方向付ける(それによりそのようなファンの流入側の空気の圧力及び密度を増大させる)ルーバー(例えばルーバー250)を有する走行中の車両の状況では、そのようなルーバーが存在しない場合よりも、より少ない体積流量の空気しか放熱器(例えば放熱器70)を通るように方向付けることを必要とされないことになる、というのも、ルーバーはそのようなルーバーを欠く場合と比較してファンの前部(例えばファン進入空洞部41又は特別に設計されたプレナム)において高い静圧を提供するからである。空気捕集器及び運動エネルギー拡散のために利用されるそのようなルーバー(例えばルーバー250)の大きさ及び寸法は、例えば車両の走行速度、ファン及び放熱器の大きさ及び性能、並びに上述のシステム構成要素のレイアウトのような適用パラメータに基づいて最適化することが可能である。
【0034】
さらに、ファン‐放熱器アセンブリ77の前部及び後部の追加の空間は、ファン‐放熱器アセンブリを通る空気流量をより多くすることを可能とし、かつ放熱器から環境への熱放出を高める(すなわちより優れた燃料電池電力性能を可能にする)ことができる。上記に示されるように、冷却材は該冷却材が加熱される発電機40から流出し、放熱器に(例えば冷却材接続部78を介して)進入し、放熱器を通って流れる空気へと熱を渡す(すなわち放出する)。高密度の空気(例えば高圧の空気)は上述のようにして空洞部20に進入し、放熱器を通って流れる時に単位時間当たりに放熱器から、低密度又は低圧の空気と比較してより多くの熱伝達を行わせることが可能であり、これが放熱器及び発電機の効率を促進する。
【0035】
さらに、発電機(例えば発電機40)が必要とする既定の熱放出については、ファンの大きさは、上述のようにルーバー(例えばルーバー250)が備えられている場合、必要とされる体積流量が同じ質量流量を維持するために入口空気密度の増大により低減されるので、そのようなルーバーを欠く場合と比較して小さくすることができる。(1又は複数の)ファン全体の(例えばファンの位置42における)必要な静圧は、ファン入口の静圧の増大により低減される可能性がある。その結果、ファンの大きさ及び出力は従って、通気部分210(例えばルーバー250を備えているもの)が利用される状況では低減される可能性がある。
【0036】
本発明のいくつかの態様について本明細書中に説明及び図示してきたが、同じ目的を成し遂げるために当業者は別例の態様をとることもできる。従って、本発明の真の趣旨及び範囲に含まれるそのような別例の態様全てを対象とすることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】