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特表2024-530726イントロデューサ構成要素、アセンブリ、及びそれらの方法
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  • 特表-イントロデューサ構成要素、アセンブリ、及びそれらの方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】イントロデューサ構成要素、アセンブリ、及びそれらの方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240816BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20240816BHJP
   A61M 39/06 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61B17/34
A61M25/09 530
A61M25/09
A61M39/06 122
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512100
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 US2022041368
(87)【国際公開番号】W WO2023028138
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,578
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
【テーマコード(参考)】
4C066
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C066KK08
4C160FF49
4C160MM33
4C267AA28
4C267BB04
4C267BB33
4C267BB40
4C267CC08
4C267HH08
(57)【要約】
イントロデューサ構成要素、イントロデューサアセンブリ及び方法が開示される。例えば、イントロデューサアセンブリは、シリンジに流体接続される針アセンブリに装着されるアクセスガイドワイヤを備える。針アセンブリは、針と、針上に位置する弁とを備える。針は、針管腔を含む針シャフト、針シャフトの近位部分に位置する針スロット、及び針シャフトの近位部分の上だが針スロットの近位側に位置する針ハブを備える。弁は、針スロットの上に位置する。弁は、針スロットと位置合わせされた弁ポートを備える。アクセスガイドワイヤは、イントロデューサアセンブリの留置準備完了(ready-to-deploy)状態において、針管腔に装着されると共に、弁ポートによって針管腔にシールされる。このように、アクセスガイドワイヤは、針アセンブリで患者の血管内腔への針経路を確立すると直ちに患者の血管内腔内に前進させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イントロデューサアセンブリであって、
真空発生装置と、
真空発生装置に流体接続される針アセンブリと、
アクセスガイドワイヤとを備え、
針アセンブリは、
針と、
針スロット上に位置する弁と、を備え、
針は、針管腔を含む針シャフト、針シャフトの近位部分に位置する針スロット、及び針シャフトの近位部分の上だが針スロットの近位側に位置する針ハブを備え、
弁は、針スロットと位置合わせされた弁ポートを有するエラストマースリーブを備え、
アクセスガイドワイヤは、イントロデューサアセンブリの留置準備完了(ready-to-deploy)状態において、針管腔に装着されると共に、弁ポートによってアクセスガイドワイヤの外径周りで針管腔にシールされる、イントロデューサアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
エラストマースリーブは、針スロットの上で針シャフトに付着されている、イントロデューサアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁ポートは、エラストマースリーブに針スロットと位置合わせされた孔を備え、
孔は、アクセスガイドワイヤの外径より小さな内径を有する、イントロデューサアセンブリ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁ポートは、エラストマースリーブにスリットを備え、スリットは、針スロットと位置合わせされている、イントロデューサアセンブリ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁ポートは、エラストマースリーブに複数の交差スリットを備え、交差スリットは、針スロットと位置合わせされている、イントロデューサアセンブリ。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁は、エラストマースリーブ上に剛性ハウジングをさらに備える、イントロデューサアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁ポートは、剛性ハウジングに貫通孔をさらに備え、剛性スリーブの貫通孔は、針スロットと位置合わせされている、イントロデューサアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁ポートは、貫通孔に配置された「O」-リングをさらに備え、「O」-リングは、アクセスガイドワイヤの外径より小さな内径を有する、イントロデューサアセンブリ。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
アクセスガイドワイヤは、イントロデューサアセンブリの留置準備完了状態では真っ直ぐになった状態となる「J」形のガイドワイヤ先端部を備え、ガイドワイヤ先端部がイントロデューサアセンブリの留置状態において針シャフトの遠位端部を越えて前進させられる場合には湾曲した状態となる、イントロデューサアセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
アクセスガイドワイヤは、裸線部分と、裸線部分の近位側に巻線部分とを備え、裸線部分は、少なくともイントロデューサアセンブリの留置準備完了状態において弁ポートを通って遠位方向に延在する、イントロデューサアセンブリ。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
アクセスガイドワイヤは、イントロデューサアセンブリの留置準備完了状態において弁ポートから近位方向に延在する近位部分を備え、アクセスガイドワイヤの近位部分は、アクセスガイドワイヤの無菌状態を維持するように構成された滅菌バリア内に配置される、イントロデューサアセンブリ。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
針ハブは、針ハブ接続部をさらに備え、針ハブ接続部は、針ハブの近位部分において針ハブ穴を備え、真空発生装置としてのシリンジは、針ハブ穴に配置されるシリンジ先端部を有することで、イントロデューサアセンブリの留置準備完了状態において針アセンブリを真空発生装置に流体接続する、イントロデューサアセンブリ。
【請求項13】
針アセンブリであって、
針と、弁と、を備え、
針は、
針管腔を含む針シャフト、
針シャフトの近位部分に位置する針スロット、及び
針シャフトの近位部分の上だが針スロットの近位側に位置する針ハブを備え、
弁は、針スロットル上にエラストマースリーブを有し、かつ針スロットと位置合わせされた弁ポートを備える、イントロデューサアセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
エラストマースリーブは、針スロットの上で針シャフトに付着されている、イントロデューサアセンブリ。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁ポートは、エラストマースリーブにスリットを備え、スリットは、針スロットと位置合わせされている、イントロデューサアセンブリ。
【請求項16】
請求項13又は14に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁ポートは、エラストマースリーブに複数の交差スリットを備え、交差スリットは、針スロットと位置合わせされている、イントロデューサアセンブリ。
【請求項17】
請求項13~16のうちいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁は、エラストマースリーブ上に剛性ハウジングをさらに備える、イントロデューサアセンブリ。
【請求項18】
請求項17に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
弁ポートは、剛性ハウジングに貫通孔をさらに備え、剛性スリーブの貫通孔は、針スロットと位置合わせされている、イントロデューサアセンブリ。
【請求項19】
請求項13~18のうちいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリにおいて、
針ハブは、針ハブ接続部をさらに備え、針ハブ接続部は、針ハブの近位部分において針ハブ穴を備え、針ハブ穴は、針アセンブリをシリンジに流体接続するために針ハブ穴に挿入されるシリンジのシリンジ先端部を受け入れるように構成されている、イントロデューサアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イントロデューサ構成要素、アセンブリ、及びそれらの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドワイヤは、典型的には、中心静脈カテーテル(central venous catheter、「CVC」)などをガイドワイヤ上で血管内に挿入する前に、イントロデューサアセンブリを用いて血管内に配置される。イントロデューサアセンブリは、典型的には、シリンジに接続された針を含む。針で血管にアクセスしたら、ガイドワイヤを、針の針ハブを通して針内に挿入し、続いて血管内に挿入できるように、針をシリンジから接続解除する必要がある。針をシリンジから接続解除すること、並びに針内にガイドワイヤを挿入することは、針の過剰な取り扱いにより血管の後壁を穿刺するか、血管へのアクセスを失うか、又はその両方を引き起こす虞がある。必要とされているのは、ガイドワイヤを血管内に挿入するためにシリンジから針を接続解除する必要のないイントロデューサアセンブリである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書に開示されるのは、上記に対処するイントロデューサ構成要素、イントロデューサアセンブリ及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、いくつかの実施形態において、真空発生装置と、真空発生装置に流体接続される針アセンブリと、針アセンブリに装着されるアクセスガイドワイヤとを具備するイントロデューサアセンブリが開示される。針アセンブリは、針と、針上に位置する弁とを備える。針は、針管腔を含む針シャフト、針シャフトの近位部分に位置する針スロット、及び針シャフトの近位部分の上だが針スロットの近位側に位置する針ハブを備える。弁は、針スロットの上に位置する。弁は、針スロットと位置合わせされた弁ポートを備える。アクセスガイドワイヤは、イントロデューサアセンブリの留置準備完了(ready-to-deploy)状態において、針管腔に装着され、弁ポートによって針管腔にシールされる。
【0005】
いくつかの実施形態において、弁は、エラストマースリーブを備える。
いくつかの実施形態において、エラストマースリーブは、針スロットの上で針シャフトに付着されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、弁ポートは、エラストマースリーブに針スロットと位置合わせされた孔を備える。孔は、アクセスガイドワイヤの外径より小さな内径を有する。
いくつかの実施形態において、弁ポートは、エラストマースリーブにスリットを備える。スリットは、針スロットと位置合わせされている。
【0007】
いくつかの実施形態において、弁ポートは、エラストマースリーブに複数の交差スリットを備える。交差スリットは、針スロットと位置合わせされている。
いくつかの実施形態において、弁は、エラストマースリーブ上に剛性ハウジングをさらに備える。
【0008】
いくつかの実施形態において、弁ポートは、剛性ハウジングに貫通孔をさらに備える。剛性スリーブの貫通孔は、針スロットと位置合わせされている。
いくつかの実施形態において、弁ポートは、貫通孔に配置された「O」-リングをさらに備える。「O」-リングは、アクセスガイドワイヤの外径より小さな内径を有する。
【0009】
いくつかの実施形態において、アクセスガイドワイヤは、イントロデューサアセンブリの留置準備完了状態では真っ直ぐになった状態となる「J」形のガイドワイヤ先端部を備える。加えて、ガイドワイヤ先端部は、ガイドワイヤ先端部がイントロデューサアセンブリの留置状態において針シャフトの遠位端部を越えて前進させられた場合には湾曲した状態となる。
【0010】
いくつかの実施形態において、アクセスガイドワイヤは、裸線(bare-wire)部分と、裸線部分の近位側に巻線(wound-wire)部分とを備える。裸線部分は、少なくともイントロデューサアセンブリの留置準備完了状態において弁ポートを通って遠位方向に延在する。
【0011】
いくつかの実施形態において、アクセスガイドワイヤは、イントロデューサアセンブリの留置準備完了状態において弁ポートから近位方向に延在する近位部分を備える。アクセスガイドワイヤの近位部分は、アクセスガイドワイヤの無菌状態を維持するように構成された滅菌バリア内に配置される。
【0012】
いくつかの実施形態において、針ハブは、針ハブ接続部をさらに備える。針ハブ接続部は、針ハブの近位部分において針ハブ穴を備える。真空発生装置としてのシリンジのシリンジ先端部は、針ハブ穴に配置され、それによりイントロデューサアセンブリの留置準備完了状態において針アセンブリを真空発生装置に流体接続する。
【0013】
本明細書では、いくつかの実施形態において針と針上に位置する弁とを具備する針アセンブリも開示される。針は、針管腔を含む針シャフト、針シャフトの近位部分に位置する針スロット、及び針シャフトの近位部分の上だが針スロットの近位側に位置する針ハブを備える。弁は、針スロットの上にエラストマースリーブを備える。弁は、針スロットと位置合わせされた弁ポートを備える。
【0014】
いくつかの実施形態において、エラストマースリーブは、針スロットの上で針シャフトに付着されている。
いくつかの実施形態において、弁ポートは、エラストマースリーブにスリットを備える。スリットは、針スロットと位置合わせされている。
【0015】
いくつかの実施形態において、弁ポートは、エラストマースリーブに複数の交差スリットを備える。交差スリットは、針スロットと位置合わせされている。
いくつかの実施形態において、弁は、エラストマースリーブ上に剛性ハウジングをさらに備える。
【0016】
いくつかの実施形態において、弁ポートは、剛性ハウジングに貫通孔をさらに備える。剛性スリーブの貫通孔は、針スロットと位置合わせされている。
いくつかの実施形態において、針ハブは、針ハブ接続部をさらに備える。針ハブ接続部は、針ハブの近位部分において針ハブ穴を備える。針ハブ穴は、針アセンブリをシリンジに流体接続するために針ハブ穴に挿入されるシリンジのシリンジ先端部を受け入れるように構成されている。
【0017】
本明細書では、血管アクセスを確保する方法も開示される。本方法は、いくつかの実施形態において、イントロデューサアセンブリ取得ステップと、針経路確立ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップとを含む。イントロデューサアセンブリ取得ステップは、イントロデューサアセンブリを取得することを含む。イントロデューサアセンブリは、シリンジと、シリンジに流体接続される針アセンブリと、針アセンブリに装着されるアクセスガイドワイヤとを具備する。針アセンブリは、針シャフトの近位部分に位置する針スロットと、針スロットの上に位置する弁とを備える。弁は、針シャフトの近位部分上で針ハブの遠位側に位置する。アクセスガイドワイヤは、針シャフトの針管腔に装着され、弁の弁ポートによって針管腔にシールされる。針経路確立ステップは、針アセンブリで患者の皮膚領域から血管内腔への針経路を確立することを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、血管アクセスを確保するために、アクセスガイドワイヤの少なくともガイドワイヤ先端部を血管内腔内に前進させることを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、本方法は、イントロデューサアセンブリ調整ステップをさらに含む。イントロデューサアセンブリ調整ステップは、イントロデューサアセンブリがその留置準備完了状態となるようにイントロデューサアセンブリを調整することを含む。イントロデューサアセンブリの留置準備完了状態において、アクセスガイドワイヤのガイドワイヤ先端部は、針シャフトの遠位部分において針先端部のすぐ近位側に位置する。これにより、針経路確立ステップにおいて針経路が確立すると直ちに、アクセスガイドワイヤ前進ステップに従ってアクセスガイドワイヤを血管内腔内に前進させることが可能となる。
【0019】
いくつかの実施形態において、アクセスガイドワイヤ前進ステップは、手の親指と1本以上の指とでアクセスガイドワイヤを把持して、弁ポートを通じてアクセスガイドワイヤを針スロットに押し込むことを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、弁は、エラストマースリーブを備える。加えて、弁ポートは、エラストマースリーブに針スロットと位置合わせされた1つ以上のスリットを備える。
【0021】
いくつかの実施形態において、弁は、エラストマースリーブ上に剛性ハウジングをさらに備える。加えて、弁ポートは、剛性ハウジングに針スロットと位置合わせされた貫通孔をさらに備える。
【0022】
いくつかの実施形態において、アクセスガイドワイヤ前進ステップにより、アクセスガイドワイヤのガイドワイヤ先端部が、針シャフト内で真っ直ぐになった状態から血管内腔内で湾曲した状態に移行することが可能となる。
【0023】
いくつかの実施形態において、本方法は、プランジャ引き出しステップをさらに含む。プランジャ引き出しステップは、針経路確立ステップにおいて血管内腔に到達する前に、プランジャをシリンジのバレルから引き出して若干の真空を生じさせることを含む。若干の真空により、針経路確立ステップにおいて針経路の確立を確認するために血液が少なくともシリンジ先端部に流入することが保証される。
【0024】
いくつかの実施形態において、本方法は、血液吸引ステップをさらに含む。血液吸引ステップは、針経路確立ステップにおいて針経路の確立を確認するためにシリンジで血液を吸引することを含む。弁ポートは、血液吸引ステップ中に真空を維持するために、アクセスガイドワイヤの裸線部分のまわりに流体密封シールを形成する。
【0025】
いくつかの実施形態において、本方法は、針アセンブリ引き抜きステップをさらに含む。針アセンブリ引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤを血管内腔内に残して、針アセンブリを患者から引き抜くことを含む。針アセンブリを患者から引き抜くことは、アクセスガイドワイヤの近位端部が針シャフトから離脱するまで、針アセンブリをアクセスガイドワイヤの近位部分の上から引き抜くことを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、針アセンブリ引き抜きステップは、針アセンブリをアクセスガイドワイヤの近位部分の上から引き抜く間に、アクセスガイドワイヤを、針経路を含む皮膚領域又はその近くの適所に保持することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、本方法は、イントロデューサアセンブリ分離ステップをさらに含む。イントロデューサアセンブリ分離ステップは、針アセンブリ引き抜きステップの前に、針アセンブリをシリンジから分離することを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、本方法は、エアーブリーディングステップをさらに含む。エアーブリーディングステップは、針アセンブリ引き抜きステップにおいて針アセンブリを患者から引き抜く間に、空気を弁ポートに流すことを含む。エアーブリーディングステップは、アクセスガイドワイヤを弁ポートの側面に押し付けることを含む。空気を弁ポートに流すことにより、イントロデューサアセンブリ分離ステップでのように針アセンブリをシリンジから分離することが不要となる。
【0029】
本明細書で提供される概念のこれらの特徴及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付図面及び以下の説明を考慮すると当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】いくつかの実施形態によるイントロデューサアセンブリの側面図。
図2】いくつかの実施形態によるイントロデューサアセンブリの分解組立図。
図3】いくつかの実施形態による針アセンブリの長手方向断面図。
図4】いくつかの実施形態による、アクセスガイドワイヤが内部に配置された針アセンブリの長手方向断面図。
図5】いくつかの実施形態による針アセンブリの弁を示す図。
図6】いくつかの実施形態による針アセンブリの別の弁を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、又は置換することができる特徴を有することが可能であることも理解されたい。
【0032】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3、等)は、一般に、複数の特徴又は複数のステップの群内の異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用され、連続的な限定又は数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、及び「第3」の特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴又はステップに限定される必要はない。加えて、前述のいずれの特徴又はステップも、別段に示さない限り、1つ以上の特徴又はステップを更に含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表示は、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表示は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、及び「その」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0033】
「近位」に関して、例えば、カテーテルの「近位部分」又は「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0034】
「遠位」に関して、例えば、カテーテルの「遠位部分」又は「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、又は患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0035】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
上述したように、ガイドワイヤは、典型的には、CVCなどをガイドワイヤ上で血管内に挿入する前に、イントロデューサアセンブリを用いて血管内に配置される。イントロデューサアセンブリは、典型的には、シリンジに接続された針を含む。針で血管にアクセスしたら、ガイドワイヤを、針の針ハブを通して針内に挿入し、続いて血管内に挿入できるように、針をシリンジから接続解除する必要がある。針をシリンジから接続解除すること、及び針内にガイドワイヤを挿入することは、針の過剰な取り扱いにより血管の後壁を穿刺するか、血管へのアクセスを失うか、又はその両方を引き起こす虞がある。必要とされているのは、ガイドワイヤを血管内に挿入するためにシリンジから針を接続解除する必要のないイントロデューサアセンブリである。
【0036】
本明細書では、典型的なイントロデューサアセンブリのように、血管内にガイドワイヤを挿入するため、シリンジや他のあらゆる真空発生装置から針を接続解除する必要のないイントロデューサ構成要素、イントロデューサアセンブリ及び方法が開示される。このようなイントロデューサ構成要素、イントロデューサアセンブリ及び方法は、過剰な取り扱いにより、血管の後壁を穿刺するか又は血管へのアクセスを失うという同様の虞がないという点で、好都合である。一実施例では、真空発生装置に流体接続される針アセンブリに装着されるアクセスガイドワイヤを備えるイントロデューサアセンブリが開示される。針アセンブリは、針と、針上に位置する弁とを備える。針は、針管腔を含む針シャフト、針シャフトの近位部分に位置する針スロット、及び針シャフトの近位部分の上だが針スロットの近位側に位置する針ハブを備える。弁は、針スロットの上に位置する。弁は、針スロットと位置合わせされた弁ポートを備える。アクセスガイドワイヤは、イントロデューサアセンブリの留置準備完了(ready-to-deploy)状態において、針管腔に装着され、弁ポートによって針管腔にシールされる。このように、アクセスガイドワイヤは、針アセンブリで患者の血管内腔への針経路を確立すると直ちに患者の血管内腔内に前進させることができる。別の実施例では、前述のイントロデューサアセンブリを用いた血管アクセスを確保するための方法が開示される。この場合もまた、これらの特徴及び他の特徴は、特定の実施形態をより詳細に説明する添付図面及び以下の説明を考慮するとより明らかになるであろう。
【0037】
イントロデューサアセンブリ
図1及び図2は、いくつかの実施形態によるイントロデューサアセンブリ100の異なる図を示す。
【0038】
示したように、イントロデューサアセンブリ100は、真空発生装置用のシリンジ102と、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態においてシリンジ102に流体接続される針アセンブリ104とを備える。加えて、イントロデューサアセンブリ100は、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において針アセンブリ104に装着されるアクセスガイドワイヤ106を備えることができる。以下に記載するように、アクセスガイドワイヤ106は、このようなイントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において、針管腔152に装着され、弁ポート166によって針管腔152にシールされる。加えて、アクセスガイドワイヤ106のガイドワイヤ先端部172は、有利には、針先端部146のすぐ近位側の針管腔152内に延在する。このように、アクセスガイドワイヤ106は、針138で患者の血管内腔への針経路を確立すると、直ちに直接患者の血管内腔内に前進させることができる。
【0039】
シリンジ102は、シリンジハブ108と、バレル110と、少なくともイントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態においてバレル110内に配置されるプランジャ112とを備える。
【0040】
シリンジハブ108は、バレル110の遠位部分(例えば遠位端部)から延びるシリンジ先端部114を備える。加えて、シリンジハブ108は、バレル110の遠位部分(例えば遠位端部)からシリンジ先端部114のまわりに延びるねじ付きカラー116を備えることができる。
【0041】
シリンジ先端部114は、シリンジ102を針アセンブリ104に流体接続するために針ハブ144の針ハブ接続部の針ハブ穴160に挿入するように構成されている。実際、シリンジ先端部114は、針ハブ穴160に挿入するように構成されたルアーテーパ(例えば6%テーパ)を有することができ、針ハブ穴160は以下に記載するように相補的に構成される。
【0042】
ねじ付きカラー116は、以下に記載の針ハブ144の任意選択の針ハブフランジと螺合するように構成された雌ねじ118を備える。存在する場合、シリンジハブ108のねじ付きカラー116は、有利には、不注意による分離に対する安全性を、他のルアースリップ式接続によって提供されるそれよりも高めるために、針ハブ144の針ハブフランジとのいわゆるルアーロック式接続を提供する。
【0043】
バレル110は、バレル壁120と、バレル壁120によって画定されたバレルチャンバ122と、バレル110又はバレル壁120の近位部分(例えば近位端部)から外側に延び、以下に記載のプランジャフランジ130、プランジャカラーなどとともにシリンジ102を作動させるように構成されたバレルフランジ124、バレルカラーなどとを備える。
【0044】
バレルチャンバ122は、プランジャ112を内部に挿入されたときに受け入れるように構成されている。実際、バレルチャンバ122は、バレル110の閉鎖端であるバレル110の遠位端部(シリンジ先端部114を除く)から、プランジャ112を挿入することができるバレル110の開放端であるバレル110の近位端部まで延びている。
【0045】
プランジャ112は、一部品のプランジャシャフト126と、プランジャシャフト126の遠位部分(例えば遠位端部)上に取り付けられたピストン128と、ブランジャ112の近位部分(例えば近位端部)から外側に延び、バレルフランジ124、バレルカラーなどとともにシリンジ102を作動させるように構成されたプランジャフランジ130、プランジャカラーなどとを備える。
【0046】
プランジャシャフト126は、プランジャシャフト126の中心軸線で自身の長手端縁に沿って合流する直交支柱132を備えることができる。しかしながら、プランジャシャフト126は他の形態をとることができ、そのためプランジャシャフト126は直交支柱132に限定されない。
【0047】
一体のエラストマーピストンとすることができるピストン128は、バレル壁120と1つ以上のシールをそれぞれ形成するように構成された1つ以上のリングを備える。1つ以上のリングは、バレル壁120とシールを形成するように構成された先頭リング134を少なくとも含む。1つ以上のリングはまた、図2に示すように後続リング136を含むこともできる。先頭リング134と同様に、後続リング136は、バレル壁120とシールを形成するように構成されている。実際、後続リング136は、存在する場合、バレル壁120とのバックアップシールを提供する。全体として、先頭リング134及び後続リング136は、シリンジ102が作動される間、ピストン128とバレル壁120との間のシール(例えば、先頭リング134、後続リング136、又は先頭リング134及び後続リング136の双方によって提供されるシール)が損なわれずに保たれることを保証し、それによりプランジャ112がバレル110から引き出されるときにシリンジ102が血液などの液体を一貫して吸引できるようにする。
【0048】
図3及び図4は、いくつかの実施形態による針アセンブリ104の異なる図を示す。
針アセンブリ104は、針138と、針138上に位置する弁140とを備える。
針138は、針シャフト142と、針シャフト142の近位端部を含む針シャフト142の近位部分上に位置する針ハブ144とを備える。
【0049】
針シャフト142は、針シャフト142の遠位部分に位置する針先端部146と、針ハブ144の近位で針シャフト142の近位部分に位置する針スロット148と、針シャフト142の全体を通って延在する針シャフト管腔150とを備える。注目すべきことに、以下に記載の針シャフト管腔150及び針ハブ管腔158はともに針管腔152を形成する。
【0050】
針スロット148は、アクセスガイドワイヤ106が、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において、針スロット148を通って針シャフト管腔150又は針管腔152に装着され、弁ポート166によってこれらの管腔にシールされ得るように、針シャフト142の側面を通って延びる針貫通孔である。実際、弁140は、アクセスガイドワイヤ106が針シャフト管腔150又は針管腔152に装着され、弁ポート166によってこれらの管腔にシールされ得るように、弁ポート166が針スロット148と位置合わせされた状態で、針スロット148の上に位置する。
【0051】
針ハブ144は、首部154と、針ハブ144の近位部分に針ハブ接続部156とを備える。
首部154は、針シャフト142の全体を通って延在する針ハブ管腔158の首部分を含む。針ハブ管腔158の残部は、針ハブ穴160、特にイントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態においてシリンジ先端部114によって占有されない針ハブ穴160によって形成される。注目すべきことに、上述した針ハブ管腔158及び針シャフト管腔150はともに針管腔152を形成する。
【0052】
針ハブ接続部156は、針ハブ穴160と、針ハブ接続部156のまわりに任意選択の針ハブフランジとを備える。
針ハブ穴160は、針アセンブリ104をシリンジ102に流体接続するためにシリンジ先端部114を内部に受け入れるように構成されている。実際、針ハブ160は、シリンジ先端部114を内部に受け入れるように構成されたルアーテーパ(例えば6%テーパ)を有することができ、シリンジ先端部114は上述したように相補的に構成される。
【0053】
示していないが、任意選択の針ハブフランジは、シリンジハブ108のねじ付きカラー116の雌ねじ118と螺合するように構成される。存在する場合、針ハブフランジは、有利には、不注意による分離に対する安全性を、他のルアースリップ式接続によって提供されるそれよりも高めるために、シリンジハブ108のねじ付きカラー116の雌ねじ118とのいわゆるルアーロック式接続を提供する。
【0054】
図5及び図6は、いくつかの実施形態による針アセンブリ104の異なる弁を示す。
示したように、弁140は、エラストマースリーブ162と、エラストマースリーブ162上に位置する任意選択の剛性ハウジング164とを備えることができる。以下に記載の弁ポート166と針シャフト142の針スロット148との間の位置合わせを維持するために、弁140を針シャフト142に付着させることができる。例えば、エラストマースリーブ162を針シャフト142に付着させることができるが、特に、エラストマースリーブ162と針シャフト142との間の摩擦がこれらの間の嵌め合いから弁ポート166と針スロット148との間の位置合わせを維持するために十分である場合には、エラストマースリーブ162を針シャフト142に付着させなくてもよい。
【0055】
弁140は、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において弁140の下に位置する針シャフト142の針スロット148と位置合わせされた弁ポート166を備える。弁140がエラストマースリーブ162を備える場合、弁ポート166は、エラストマースリーブ162に針スロット148と位置合わせされた孔(例えば穿刺孔)又は1つ以上のスリット168を備えることができる。孔に関して、孔はアクセスガイドワイヤの外径より小さな内径を有する。1つ以上のスリット168に関して、エラストマースリーブ162に弁ポート166用のスリットが2つ以上ある場合には、複数の交差スリットがエラストマースリーブ162に存在し、交差スリットの各スリットは、これらの交差スリットの交点が針スロット148と位置合わせされるように、交差スリットの他のすべてのスリットと交差する。弁140が剛性ハウジング164を備える場合、弁ポート166は、剛性ハウジング164に針スロット148と位置合わせされた貫通孔170をさらに備えることができる。示していないが、貫通孔170には「O」-リングを配置することができ、「O」-リングはアクセスガイドワイヤの外径より小さな内径を有する。
【0056】
繰り返しになるが、イントロデューサアセンブリ100は、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において針アセンブリ104に装着されるアクセスガイドワイヤ106を備えることができる。アクセスガイドワイヤ106は、このようなイントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において、針管腔152に装着され、弁ポート166によって針管腔152にシールされる。加えて、アクセスガイドワイヤ106のガイドワイヤ先端部172は、有利には、針先端部146のすぐ近位側の針管腔152内に延在する。アクセスガイドワイヤ106は、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において存在する場合には針アセンブリ104内に摺動可能に配置されるため、アクセスガイドワイヤ106は、針138で患者の血管内腔への針経路を確立すると、直ちに直接患者の血管内腔内に前進させることができる。
【0057】
アクセスガイドワイヤ106は、血管の後壁を穿刺するのを防止するように構成された「J」形のガイドワイヤ先端部の形態にあるガイドワイヤ先端部172を備えることができる。このようなガイドワイヤ先端部は、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態では真っ直ぐになった状態となり、ガイドワイヤ先端部172がイントロデューサアセンブリ100の留置状態において針先端部146を越えて前進させられる場合には湾曲した状態となる。
【0058】
アクセスガイドワイヤ106は、裸線部分174と、裸線部分174の遠位側、裸線部分174の近位側、又はそれらの双方に巻線部分176とをさらに備えることができる。裸線部分174は、流体密封シールを形成するために、少なくともイントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において弁ポート166を通って遠位方向に延在する。実際、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分を血管内腔内に前進させるときであっても流体密封シールを維持するために、裸線部分174は、イントロデューサアセンブリ100の1つ以上の留置状態においても弁ポート166を通ってさらに遠位方向に延在することができる。注目すべきことに、アクセスガイドワイヤ106は、裸線部分174と巻線部分176とを有さなくてもよい。少なくとも前述の裸線部分174は、代わりに、アクセスガイドワイヤ106のフラットワウンド(flat-wound)部分又はグラウンドワウンド(ground-wound)部分であってもよく、フラットワウンド部分は、丸線の代わりにテープの巻線(windings)を含み、グラウンドワウンド部分は、巻線を平らにするために研磨された丸線の巻線を含む。
【0059】
注目すべきことに、アクセスガイドワイヤ106は、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において弁ポート166から近位方向に延在する近位部分を備える。示していないが、アクセスガイドワイヤ106の近位部分は、アクセスガイドワイヤ106の無菌状態を維持するように構成された滅菌バリア(例えば滅菌バッグ)内に配置され得る。
【0060】
方法
方法は、血管アクセスを確保する方法を少なくとも含む。このような方法は、イントロデューサアセンブリ取得ステップと、イントロデューサアセンブリ調整ステップと、針経路確立ステップと、プランジャ引き出しステップと、血液吸引ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、イントロデューサアセンブリ分離ステップと、エアーブリーディングステップと、針アセンブリ引き抜きステップとから選択される1つ以上のステップを含む。
【0061】
イントロデューサアセンブリ取得ステップは、イントロデューサアセンブリ100を取得することを含む。上述したように、イントロデューサアセンブリ100は、シリンジ102と、シリンジ102に流体接続される針アセンブリ104と、針アセンブリ104に装着されるアクセスガイドワイヤ106とを備える。針アセンブリ104は、針シャフト142の近位部分に位置する針スロット148と、針スロット148の上に位置する弁140とを備える。弁140は、針シャフト142の近位部分上で針ハブ144の遠位側に位置する。アクセスガイドワイヤ106は、針シャフト142の針管腔152に装着され、弁140の弁ポート166によって針管腔152にシールされる。
【0062】
イントロデューサアセンブリ調整ステップは、イントロデューサアセンブリ100が、イントロデューサアセンブリ取得ステップを実施する際にまだ留置準備完了状態ではない場合には、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態となるように、イントロデューサアセンブリ100を調整することを含む。繰り返しになるが、イントロデューサアセンブリ100の留置準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106のガイドワイヤ先端部172は、針シャフト142の遠位部分において針先端部146のすぐ近位側に位置する。これにより、針経路確立ステップにおいて針経路が確立すると直ちに、アクセスガイドワイヤ前進ステップに従ってアクセスガイドワイヤ106を血管内腔内に前進させることが可能となる。
【0063】
針経路確立ステップは、針アセンブリ104の針138で患者の皮膚領域から血管内腔への針経路を確立することを含む。
プランジャ引き出しステップは、針経路確立ステップにおいて血管内腔に到達する前に、プランジャ112をシリンジ102のバレル110から引き出して若干の真空を生じさせることを含む。若干の真空により、針経路確立ステップにおいて針経路の確立を確認するために血液が少なくともシリンジ先端部114に流入(フラッシュバック)することが保証される。
【0064】
血液吸引ステップは、針経路確立ステップにおいて針経路の確立を確認するためにシリンジ102で血液を吸引することを含む。弁ポート166は、血液吸引ステップ中に真空を維持するために、アクセスガイドワイヤ106の裸線部分174のまわりに流体密封シールを形成する。
【0065】
アクセスガイドワイヤ前進ステップは、血管アクセスを確保するために、アクセスガイドワイヤ106の少なくともガイドワイヤ先端部172を血管内腔内に前進させることを含む。ガイドワイヤ先端部172を血管内腔内に前進させることは、手の親指と1本以上の指とでイントロデューサアセンブリ100の外側においてアクセスガイドワイヤ106の近位部分を把持して、弁140の弁ポート166を通じてアクセスガイドワイヤ106を針シャフト142の針スロット148に押し込むことを含む。繰り返しになるが、弁140は、エラストマースリーブ162を備えることができ、いくつかの実施形態ではエラストマースリーブ162上に剛性ハウジング164を備えることができる。加えて、弁ポート166は、エラストマースリーブ162に1つ以上のスリット168を備えることができ、剛性ハウジング164が存在する場合にはエラストマースリーブ162上の剛性ハウジング164に貫通孔170を備えることができ、弁ポート166は針シャフト142の針スロット148と位置合わせされている。アクセスガイドワイヤ前進ステップにより、アクセスガイドワイヤ106のガイドワイヤ先端部172が、針シャフト142の針シャフト管腔150内で真っ直ぐになった状態から血管内腔内で湾曲した状態に移行することが可能となる。
【0066】
イントロデューサアセンブリ分離ステップは、針アセンブリ引き抜きステップを実施する前に、針アセンブリ104をシリンジ102から分離することを含む。しかしながら、エアーブリーディングステップが実施される場合には、イントロデューサアセンブリ分離ステップは実施されなくてもよい。
【0067】
針アセンブリ引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤ106を血管内腔内に残して、針アセンブリ104を患者から引き抜くことを含む。針アセンブリ104を患者から引き抜くことは、アクセスガイドワイヤ106の近位端部が針シャフト142から離脱するまで、針アセンブリ104をアクセスガイドワイヤ106の近位部分の上から引き抜くことを含む。注目すべきことに、針アセンブリ引き抜きステップは、針アセンブリ104をアクセスガイドワイヤ106の近位部分の上から引き抜く間に、アクセスガイドワイヤ106を、針経路を含む皮膚領域又はその近くの適所に保持することを含む。
【0068】
エアーブリーディングステップは、アクセスガイドワイヤ106を弁ポート166の側面に押し付けることによって、針アセンブリ引き抜きステップを実施している間に空気を弁ポート166に流すことを含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、針ハブ144は、エアーブリーディングステップのために、針ハブ144の別の側面に押しボタン式のブリード弁を備える。空気を弁ポート166に流すことにより、針アセンブリ104をシリンジ102から分離するイントロデューサアセンブリ分離ステップが不要となる。とは言え、いくつかの実施形態では、イントロデューサアセンブリ分離ステップ及びエアーブリーディングステップの双方を実施することができる。
【0069】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。さらなる適合又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】