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特表2024-530732ホワイトノイズを用いた画像の制約付き再構築のシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ホワイトノイズを用いた画像の制約付き再構築のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61B5/055 376
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513007
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2021048044
(87)【国際公開番号】W WO2023027732
(87)【国際公開日】2023-03-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520030132
【氏名又は名称】スピンテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】コケニー ポール デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ハーケ エワート マーク
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA03
4C096AA04
4C096AA05
4C096AB07
4C096AD07
4C096AD13
4C096BA06
4C096BB10
4C096DB07
(57)【要約】
磁気共鳴撮像(MRI)システムは、プロセッサ及びメモリを含むことができる。プロセッサは、第1の信号対ノイズ比(SNR)を有する取得された磁気共鳴(MR)データセットを受信することができる。プロセッサは、取得されたMRデータセットから、第2のSNRを有する第1の変数に対応する値の第1のセット、及び第2の変数に対応する値の第2のセットを抽出することができる。プロセッサは、第1の変数及び第2の変数の関数を含む、制約関数を適用することができる。プロセッサは、制約関数に従ってコスト関数を最小化して、コスト関数解を生成することができる。プロセッサは、第1の変数及び第2の変数をコスト関数解に入力して、第3のSNRを有する修正された第1の変数を生成することができ、第3のSNRは、第2のSNRよりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴撮像(MRI)システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
コンピュータコード命令が記憶されたメモリであって、前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
第1の信号対ノイズ比(SNR)を有する、取得された磁気共鳴(MR)データセットを受信することと、
前記取得されたMRデータセットから、第2のSNRを有する第1の変数に対応する値の第1のセット、及び第2の変数に対応する値の第2のセットを抽出することと、
前記第1の変数及び前記第2の変数の関数を含む、制約関数を適用することと、
前記制約関数に従ってコスト関数を最小化して、コスト関数解を生成することと、
前記第1の変数及び前記第2の変数を前記コスト関数解に入力して、第3のSNRを有する修正された第1の変数を生成することであって、前記第3のSNRが、前記第2のSNRよりも大きい、生成することと、を行わせる、メモリと、を備える、磁気共鳴撮像(MRI)システム。
【請求項2】
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記取得されたMRデータセットから、第3の変数に対応する値の第3のセットを抽出することと、
前記第1の変数、前記第2の変数、及び前記第3の変数の関数を含む、前記制約関数を適用することと、を行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項3】
前記取得されたMRデータセットが、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含み、
前記取得されたMRデータセットが、少なくとも1つのエコー時間を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得される、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項4】
前記第1の変数が、スピン密度の逆数に対応しており、前記第2の変数が、T1の逆数に対応している、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項5】
前記第1の変数が、感受性に対応しており、前記第2の変数が、R2*に対応している、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項6】
前記第1の変数が、スピン密度の逆数に対応しており、前記第2の変数が、R2*に対応している、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項7】
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記修正された第1の変数及び前記第2の変数を使用して、任意のフリップ角度についてのシミュレーションされたデータセットを生成することを行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項8】
前記取得されたMRデータセットが、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含み、
前記取得されたMRデータセットが、少なくとも2つのエコー時間を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得され、
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
R2*に対応する第3の変数の第1の計算された値を生成することであって、前記第3の変数が第4のSNRを有する、生成することと、
前記修正された第1の変数を使用して、修正された第3の変数の第2の計算された値を生成することであって、前記修正された第3の変数が第5のSNRを有し、前記第5のSNRが、前記第4のSNRよりも大きい、生成することと、を行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項9】
前記取得されたMRデータセットが、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含み、
前記取得されたMRデータセットが、少なくとも2つのエコー時間を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得され、
前記修正された第1の変数が、第1の修正された第1の変数であり、
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
R2*に対応する第3の変数の第1の計算された値を生成することであって、前記第3の変数が第4のSNRを有する、生成することと、
前記少なくとも2つのエコー時間の各々における前記第1の修正された第1の変数、及び前記第3の変数を使用して、第2の修正された第1の変数を生成することと、
前記少なくとも2つのエコー時間の各々における前記第2の修正された第1の変数、及び前記第2の変数を前記コスト関数解への入力として使用して、第6のSNRを有する第3の修正された第1の変数を生成することであって、前記第6のSNRが、前記第3のSNRよりも大きい、生成することと、を行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項10】
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
R2*に対応する前記第3の変数の第2の計算された値を生成することであって、前記第3の変数が第7のSNRを有し、前記第7のSNRが前記第4のSNRよりも大きい、生成することを行わせる、請求項9に記載のMRIシステム。
【請求項11】
前記制約関数が、組織内の鉄の存在を説明するコンポーネントを含む、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項12】
前記制約関数が、各エコー時間を説明するコンポーネントを含む、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項13】
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記修正された第1の変数を使用して、第8のSNRを有するシミュレーションされたMRデータセットを生成することであって、前記第8のSNRが、前記第1のSNRよりも大きい、生成することを行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項14】
前記取得されたMRデータセットが、エコー時間の第1のセットを含み、
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記修正された第1の変数及び前記第2の変数並びに修正された第3の変数を使用して、エコー時間の第2のセットを含むシミュレーションされたMRデータセットを生成することであって、エコー時間の前記第2のセットが、エコー時間の前記第1のセットとは異なる、生成することを行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項15】
位置のセットで前記取得されたMRデータセットに対応する値の第3のセットであって、前記値の第3のセットのサブセットが、所定の閾値を満たし、前記値の第3のセットの前記サブセットが、前記位置のセットのサブセットを含む、第3のセットと、
前記位置のセットの前記サブセットにおける値の第4のセットを含む、シミュレーションされたMRデータセットと、を更に含み、
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記位置のセットでの前記値の第4のセットを、前記位置のセットでの前記値の第3のセットの前記サブセットと置き換えることを行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項16】
前記取得されたMRデータセットが、複数のエコー時間のための第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含み、
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記複数のエコー時間にわたって、前記第1の変数及び前記修正された第1の変数のうちの少なくとも1つに対する重み付け平均値を生成することを行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項17】
前記コンピュータコード命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
スピン密度画像を生成することを行わせる、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項18】
磁気共鳴撮像(MRI)の方法であって、
少なくとも1つのプロセッサによって、第1の信号対ノイズ比(SNR)を有する取得された磁気共鳴(MR)データセットを受信することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記取得されたMRデータセットから、第2のSNRを有する第1の変数に対応する値の第1のセット、及び第2の変数に対応する値の第2のセットを抽出することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記第1の変数及び前記第2の変数の関数を含む、制約関数を適用することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記制約関数に従ってコスト関数を最小化して、コスト関数解を生成することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記第1の変数を前記コスト関数解に入力して、第3のSNRを有する修正された第1の変数を生成することであって、前記第3のSNRが、前記第2のSNRよりも大きい、生成することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、かつ前記修正された第1の変数及び前記第2の変数を使用して、任意のフリップ角度についてのシミュレーションされたデータセットを生成することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記取得されたMRデータセットが、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含み、前記取得されたMRデータセットが、少なくとも2つのエコー時間を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得され、前記方法が、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、R2*に対応する第3の変数の第1の計算された値を生成することであって、前記第3の変数が、第4のSNRを有する、生成することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、かつ前記修正された第1の変数を使用して、修正された第3の変数の第2の計算された値を生成することであって、前記修正された第3の変数が、第5のSNRを有し、前記第5のSNRが、前記第4のSNRよりも大きい、生成することと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記取得されたMRデータセットが、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含み、前記取得されたMRデータセットが、少なくとも2つのエコー時間を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得され、前記修正された第1の変数が、第1の修正された第1の変数であり、前記方法が、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、R2*に対応する第3の変数の第1の計算された値を生成することであって、前記第3の変数が、第4のSNRを有する、生成することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記少なくとも2つのエコー時間の各々における前記第1の修正された第1の変数、及び前記第3の変数を使用して、第2の修正された第1の変数を生成することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記少なくとも2つのエコー時間の各々における前記第2の修正された第1の変数、及び前記第2の変数を前記コスト関数解への入力として使用して、第6のSNRを有する第3の修正された第1の変数を生成することであって、前記第6のSNRが、前記第3のSNRよりも大きい、生成することと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのプロセッサによって、かつ前記修正された第1の変数を使用して、第8のSNRを有するシミュレーションされたMRデータセットを生成することであって、前記第8のSNRが、前記第1のSNRよりも大きい、生成することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
磁気共鳴撮像法(MRI)は、ヒト体内並びに動物及びいくつかの材料における軟組織を撮像するために許容されるモダリティである。MRIは、室温で利用可能な磁化が制限されるという点で、本質的に非効率的である。分極することができるスピンが多いほど、撮像の信号対ノイズ比(SNR)が高くなる。このため、MRIフィールドは、高視野ヒト撮像の限界を3Tから7Tへ、更に最近ではほぼ12Tに押し上げている。磁場を増加させる理由には、より良好なSNR、より良好な解像度、より速い撮像、新しいコントラストメカニズム、及びより良好なスペクトル解像度が含まれ得る。しかしながら、高磁場での撮像の問題には、高コスト、電力堆積の増加、及び所与のエコー時間に対する感受性効果の低下が含まれ得る。これは、悪い局所フィールドを補うために、より大きい勾配強度に対する必要性につながる可能性がある。これらの条件下では、SNRは、主電界強度の平方根でのみ増加することが予想され得る。今日のMRI研究の主な目標の1つは、信号処理手段を介してSNRを増加させ、より高い磁場強度とそれに関連付けられたより高い費用に対する必要性を回避する方式を見つけることである。
【発明の概要】
【0002】
ホワイトノイズを用いた画像の制約付き再構築(CROWN)のためのシステム及び方法は、SNRを改善することを目的とするほとんどの他の方法の場合と同様に、画像構造を修正又はぼかすことなくSNRを改善するための強力な解決策を提供することができる。CROWNは、プロトンスピン密度(PD)推定、任意のフリップ角度の画像、並びにT1、PD、及びT2*の知識から導出することができる任意の他のMRIパルス配列の画像についての改善されたSNRをもたらすことができる。CROWNは、戦略的に取得された勾配エコー(STAGE)撮像、任意の他のマルチフリップ角度アプローチ、又はスピン密度マップ及びT1マップの両方を生成する任意の方法と併せて動作することができる。CROWNは、SNRが本質的に制限される低電界強度用途に使用することができる。CROWNはまた、2つの変数が関連する任意のシステムに適用することができる。
【0003】
本開示の少なくとも1つの態様は、磁気共鳴撮像(MRI)システムを対象とする。MRIシステムは、プロセッサ及びメモリを含むことができる。プロセッサは、第1の信号対ノイズ比(SNR)を有する取得された磁気共鳴(MR)データセットを受信することができる。プロセッサは、取得されたMRデータセットから、第2のSNRを有する第1の変数に対応する値の第1のセット、及び第2の変数に対応する値の第2のセットを抽出することができる。プロセッサは、第1の変数及び第2の変数の関数を含む、制約関数を適用することができる。プロセッサは、制約関数に従ってコスト関数を最小化して、コスト関数解を生成することができる。プロセッサは、第1の変数及び第2の変数をコスト関数解に入力して、第3のSNRを有する修正された第1の変数を生成することができ、第3のSNRは、第2のSNRよりも大きい。
【0004】
本開示の別の態様は、磁気共鳴撮像の方法を対象とする。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、第1のSNRを有する取得されたMRデータセットを受信することを含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、取得されたMRデータセットから、第2のSNRを有する第1の変数に対応する値の第1のセット、及び第2の変数に対応する値の第2のセットを抽出することを含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、第1の変数及び第2の変数の関数を含む、制約関数を使用することを含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、制約関数に従ってコスト関数を最小化して、コスト関数解を生成することを含むことができる。方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、第1の変数をコスト関数解に入力して、第3のSNRを有する修正された第1の変数を生成することであって、第3のSNRが第2のSNRよりも大きい、生成することを含むことができる。
【0005】
当業者は、概要は、例示的であるにすぎず、いかなる形であれ限定することを意図するものではないことを理解するであろう。本明細書に説明されるデバイス及び/又はプロセスの他の態様、本発明の特徴、及び利点は、特許請求の範囲によってのみ定義されるように、本明細書に記載され、添付の図面と併せて捉えられる詳細な説明において明らかになるであろう。
【0006】
本明細書に説明される主題の1つ以上の実装形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に明示されている。本主題の他の特徴、態様、及び利点は、本明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による、1点に対するコスト関数の最小化のプロットを例示する。
【0008】
図2】一実施形態による、複数の点に対するコスト関数の最小化のプロットを例示する。
【0009】
図3A】一実施形態による、STAGEを使用してR2*を計算するためのフローチャートを例示する。
【0010】
図3B】一実施形態による、STAGEを使用してρを計算するためのフローチャートを例示する。
【0011】
図3C】一実施形態による、STAGEを使用してT1を計算するためのフローチャートを例示する。
【0012】
図4】一実施形態による、CROWN処理を使用してρCROWN及び
【数1】
を計算するためのフローチャートを例示する。
【0013】
図5】一実施形態による、CROWN処理を使用してρAVG-CROWNを計算するためのフローチャートを例示する。
【0014】
図6】一実施形態による、CROWN処理を使用してR2* AVG-CROWNを計算するためのフローチャートを例示する。
【0015】
図7】一実施形態による、CROWN処理を使用してρAVG-CROWN 2を計算するためのフローチャートを例示する。
【0016】
図8】一実施形態による、CROWN処理を使用してR2* AVG-CROWN 2を計算するためのフローチャートを例示する。
【0017】
図9A】一実施形態による、図3A図3C及び図4図8に描示されるρeffマップ及びρマップを例示する。
図9B】一実施形態による、図3A図3C及び図4図8に描示されるρeffマップ及びρマップを例示する。
図9C】一実施形態による、図3A図3C及び図4図8に描示されるρeffマップ及びρマップを例示する。
図9D】一実施形態による、図3A図3C及び図4図8に描示されるρeffマップ及びρマップを例示する。
図9E】一実施形態による、図3A図3C及び図4図8に描示されるρeffマップ及びρマップを例示する。
【0018】
図10】一実施形態による、シミュレーションで使用されるテスト画像を例示する。
【0019】
図11】一実施形態による、CROWN処理についてのシミュレーション結果を例示する。
【0020】
図12】一実施形態による、複数STAGE PDマップ上で実施されるCROWN処理の実施例を示す。
【0021】
図13】一実施形態による、STAGE及びCROWN処理されたマップの異なる組み合わせについてのR1値対β値の散布図を示す。
【0022】
図14A】一実施形態による、フォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を例示する。
図14B】一実施形態による、フォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を例示する。
図14C】一実施形態による、フォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を例示する。
図14D】一実施形態による、フォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を例示する。
図14E】一実施形態による、フォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を例示する。
図14F】一実施形態による、フォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を例示する。
図14G】一実施形態による、フォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を例示する。
図14H】一実施形態による、フォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を例示する。
【0023】
図15】一実施形態による、ρ及びR2*マップを生成する異なる方法の実施例を示す。
【0024】
図16A】一実施形態による、鉄のT1還元性質を除去するためのR1値の補正を例示する。
図16B】一実施形態による、鉄のT1還元性質を除去するためのR1値の補正を例示する。
【0025】
図17A】一実施形態による、鉄補正の前後のR1の実施例、及びCROWNから生成された結果として生じるPDマップを例示する。
図17B】一実施形態による、鉄補正の前後のR1の実施例、及びCROWNから生成された結果として生じるPDマップを例示する。
図17C】一実施形態による、鉄補正の前後のR1の実施例、及びCROWNから生成された結果として生じるPDマップを例示する。
図17D】一実施形態による、鉄補正の前後のR1の実施例、及びCROWNから生成された結果として生じるPDマップを例示する。
図17E】一実施形態による、鉄補正の前後のR1の実施例、及びCROWNから生成された結果として生じるPDマップを例示する。
【0026】
図18】一実施形態による、磁気共鳴撮像の方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
様々な図面における同様の参照番号及び指定は、同様の要素を示している。
【0028】
以下は、ホワイトノイズを用いた画像の制約付き再構築のための方法、装置、及びシステムに関連する様々な概念、及びそれらの実装形態のより詳細な説明である。上で紹介し、以下で更に詳しく考察される様々な概念は、実装形態のいかなる特定の様式にも限定されないため、多くの方式の実装形態のいずれかで実施され得る。特定の実装形態及び用途の例は、主に例示目的のために提供される。
【0029】
SNRを改善するための1つの方式は、データを平均化することである。しかしながら、データをN回取得すると、N倍の時間がかかる可能性があるが、
【数2】
のSNRが向上するだけである。したがって、MRIスキャンに時間がかかるため、臨床的にスキャンすることができる患者は少なくなる。SNRを改善するための別の方式は、データをフィルタリングすることである。例えば、ハニングフィルタは、ギブスの呼び出し音を除去し、SNRを改善することができる。しかしながら、このアプローチは、画像のぼかし(例えば、解像度の損失)をもたらす。SNR、したがって、プロセス内の解像度を破壊することなく画像品質を改善するための通常の(例えば、従来の)アプローチは、エッジ保持フィルタを使用することを含むことができる。これは、画像内の高空間周波数コンポーネントを維持するための様々な方式で達成することができる。ハニングフィルタで行われるように、高いk空間信号を抑制することは望ましくない場合がある。異方性拡散フィルタ(ADF)を使用して、SNRを改善することができる。ADFは、SNRが高いときにエッジを保持することができるが、ADFは、依然として画像をある程度ぼかす。いくつかの技術は、異なるモデルを訓練することによってノイズを低減するために人工知能を使用する。しかしながら、これらのモデルは、単一のタイプのコントラストを使用して訓練され、そのコントラストにのみ機能し得る。これらのモデルは、コントラストが変更されるたびに数百又は数千のケースで訓練する必要がある場合がある。これらのアルゴリズムは、元のデータに対して残存ぼかしとして認識可能である画像のある程度の劣化を引き起こす可能性がある。
【0030】
本開示では、ホワイトノイズを用いた画像の制約付き再構成(例えば、CROWN、CROWN処理など)のためのシステム及び方法が説明される。CROWNは、制約を使用することによって、詳細を失うことなく、強化された(例えば、改善された)SNRを可能にすることができる。CROWNは、以下に説明される戦略的に取得された勾配エコー(STAGE)撮像と共に使用することができる。しかしながら、CROWNは、スピン密度(例えば、水分)及びT1マップを生成することができる、任意のアプローチのために使用することができる。より一般的には、CROWNは、2つ以上の変数を介して互いに機能的に関連する2つ以上の画像を収集する任意のシステム及び/又は方法のために使用することができる。CROWNは、画像解像度を損なうことなくSNRを改善するために使用することができる。
【0031】
STAGE撮像は、高速、マルチコントラスト、マルチエコー、勾配エコー撮像方法を含むことができる。少なくとも2つのフリップ角度を使用して、プロトンスピン密度(PD)及びT1(例えば、縦方向緩和時間)マップを推定することができる。一般に、MRIでは、水分(例えば、PD)がT1及びT2*を駆動する。したがって、水分とT1との間の関係又は水分とT2*との間の関係(例えば、線形関係)を決定(例えば、書かれた、指定された、形成されたなど)することができる。この関係は、PD画像内のノイズレベルを低減し、かつ/又は所与のエコー時間の任意のフリップ角度についてより高品質のシミュレーションされた画像を生成するために使用することができる。CROWNは、低SNRを有するデータに適用することができ、高い並列撮像加速度係数、高解像度、又は少数のチャネルを有する高周波受信コイル(例えば、RFコイル)から収集されたデータを改善することができる。加えて、CROWN処理は、従来の方法と比較して非常に高速であり得、一般に、エッジ又は画像の詳細を劣化させることなく、ホワイトノイズレベルを低減することができる。
【0032】
変数間の関係は、ノイズを低減する方式でデータ(例えば、MRIデータ)を制約するために使用することができる。例えば、これは、スピン密度
【数3】
と縦方向の弛緩時間
【数4】
との関係を含むことができる。スピン密度とT1との関係は、ノイズを低減する方式でデータを制約するために使用することができる。
【0033】
例えば、式1によって説明される以下の線形関係を考慮する。
R1=αβ+b (1)
【0034】
STAGEは、2つのデータセットを収集することができる。データセットの各々はノイズを有し得る。これにより、スピン密度マップ及びT1マップの両方でノイズが生成される可能性がある。多くの場合、スピン密度マップは、特に、ノイズを含む別のT2*マップを使用してT2*(1/R2*)を補正した後、非常にノイズが多い場合がある。マップ(例えば、スピン密度マップ、T1マップなど)は、画像全体の点における変数(例えば、スピン密度、T1など)の値のセットを含むことができる。例えば、スピン密度マップは、各ピクセルにおけるスピン密度の値を示すことができる。
【0035】
スピン密度画像のSNRは、CROWN処理を使用して高めることができる。これを達成するために、式2に記載される以下のコスト関数を決定して、測定されたデータ(R1’、β’)から推定される点(R1est、βest)を計算することができる。
C(β,R1)=min((β-β’)2+(R1-R1’)2)(2)
【0036】
式1からR1を置換すると、式3が得られる。
C(β,R1)=min((β-β’)2+((αβ+b)-R1’)2)(3)
【0037】
βに対するC(β、R1)の導関数をとり、それをゼロに等しく設定すると、式4及び式5が得られる。
【数5】
(4)
【数6】
(5)
【0038】
これらの予測値(例えば、βest及びR1est)は、式1で表される線に当たる値(R1’、β’)の(R1、β)への投影を含むことができる。(R1est、βest)のこれらの新しい値は、新しいCROWN値を表す。R1(1/T1)とβ(1/ρ)との間の関係は、異なるTEに対して修正することができる。TEが変化するにつれて、式6に記載される「有効な」スピン密度ρeffは、それに応じて変化する。
ρeff(TE)=ρ・e-TE R2*(6)
【0039】
1点に対する最小化の効果は、図1にグラフィカルに/幾何学的に示される。図1は、1点に対するコスト関数の最小化のプロットを示す。コスト関数(例えば、式2)の最小化のグラフィカルな表現が示される。βとR1との間の線形関係が決定されると、線の外側にあるノイズ(β’、R1’)を有する任意の測定点は、式2のコスト関数への提案された解(例えば、コスト関数解)を使用して、その推定値(βest、R1est)にマッピングすることができる。
【0040】
複数の点に対する最小化の効果は、図2にグラフィカルに/幾何学的に示される。図2は、複数の点に対するコスト関数の最小化のプロットを示す。式1を表すR1とβとの間の線形関係と、CROWN処理後の線へのそれらの推定値(円)へのノイズの多い測定値(十字)の投影のグラフィカルな表現を示す。
【0041】
CROWNを適用するために、式1からの線形係数a及びbを決定することができる。脳の白質(WM)、灰白質(GM)、及び脳脊髄液(CSF)におけるT1、スピン密度、及びT2*(例えば、有効なスピン密度が望まれる場合)の組織パラメータに関する仮定を行うことができる。3Tの電界強度に使用される値を表1に示す。
【表1】
【0042】
表1は、CROWN係数を決定するための3Tにおける想定される組織パラメータ値を示す。
【0043】
これらの値は、(β、R1)軸上に3つのサンプル点を提供することができ、これは、線形回帰を実施し、スロープa及びインターセプトbを抽出するために使用することができる。この場合、線は、回帰線を、CSFを表す点を通過させることによって適合させることができる。TE=0ms(例えば、T2*効果なし)では、係数a及びbは、それぞれ、2.03/秒及び-1.81/秒であり得る。T2*効果を考慮に入れるために、スピン密度の値は、係数E2*=e(-TE/T2*)によって調整することができ、表2に示される異なるTEについての新しい係数を使用して線形回帰を再実施することができる。
【表2】
【0044】
表2は、異なるエコー時間に対するR1とβとの間の関係を示す。R1とβとの間の線形関係は、マルチエコーSTAGE画像のエコー時間に基づいて選択することができる。
【0045】
CROWNを適用する前に対処することができる問題は、STAGEから生成されたスピン密度マップ値が任意にスケーリングされる一方で、CROWN係数は、スピン密度を0から1のスケールで単位なしのパーセンテージとして表すことによって決定することができることである。したがって、スピン密度マップは、CSFに対して正規化することができ、CSFは、単一のスピン密度を有すると仮定することができる(例えば、最大スピン密度は、水であると仮定され、1.0に正規化される)。CROWNを適用する前に対処することができる別の問題は、STAGEからのT1及びスピン密度マップの両方のCSF値がノイズを伴う可能性があることである。これは、これらのマップを生成するために2つのフリップ角度(例えば、一方のフリップ角度がCSFのエルンスト角度にほぼ等しく、他方のフリップ角度が当該エルンスト角度よりも大きい)のみを使用した副産物であり得る。以下の手順はこれらの問題に対処することができる。
【0046】
CSFは、スピン密度を0~1のスケールで単位のない水の尺度に正規化するために使用することができる(CSFは100%水であるため)。必要なスケール値を決定し、かつPDマップ全体を正規化するために、心室内のCSFピクセルの位置は、T1マップを使用して決定することができる。これは、以下のアプローチによって達成することができる。第1に、視野(FOV)の中央スラブ内のCSFのT1閾値は、これを行うために使用することができる。3Dデータセット全体ではなくスラブを使用することで、データ全体にわたるスピン密度のグローバルな変動を回避することができる。スラブは、心室がその中に存在することを効果的に保証するのに十分なスライスで構成することができる。256mm×192mm×128mmの典型的なSTAGE脳スキャンFOVの場合、対象が正しく中央に位置すると仮定すると、FOVの中央20mmは心室を捕捉することができる。有効スピン密度の全体的な変動を低減し、CSFスピン密度が脳全体で統一されることを確実にするために、無線周波数(RF)貫通効果及びRF受信コイル効果は、STAGEを使用して除去することができる。代替のアプローチとして、スピン密度を正規化するために使用される領域が可能な限り最高の信号対ノイズを有することを確実にするために、3Dオブジェクトを寸法a×b×c(例えば、式中、a×bが20mm×20mmであり得、cが10mmであり得る)と相関させる合計の最大値を決定することができ、各ピクセルは、中心スライスの上下の垂直方向又はオブジェクト全体にわたってT1マップとの統一の値を有する。このプロセスは、CSFで最も多くのピクセルを有する関心領域(ROI)(例えば、心室を中心としたROI)を選択することができる。このアプローチは、心室のみが捕捉され、皮質CSFのいずれもが捕捉されないことを確実にすることができる。数学的には、これは、式7で表すことができ、
csf=argmaxr{W(r)*T1(r)}(7)
式中、W(r)は、a×b×c 3D矩形ボックスを表し、内側の値は1、外側の値は0であり、T1(r)は、T1マップであり、*は、畳み込み演算子であり、argmaxrは、括弧内の値を最大化するrの値を返す。したがって、rcsfは、畳み込みの最大値を提供するボックスの位置であり得、これは、ボックスがそれら全てを含むのに十分な大きさであると仮定して、主に心室を表すと予想される。
【0047】
CSF-MIDは、条件{(4300ms-ΔT1CSF)<T1(ri,j,k)<(4300ms+ΔT1CSF)}をも満たすスラブ内又は選択されたROI内のピクセル位置のセットri,j,kであり得、式中、ΔT1CSFは、CSF T1ウィンドウの幅を変更するように調整することができる。ΔT1CSFは、500msであり得る。SCSF-MIDのこれらのピクセルのほとんどは心室内にある可能性がある。ピクセルセットSCSF-MIDにわたる平均PD値は、式8によって説明されるPDスケール値を表すものと捉えることができ、
【数7】
(8)
式中、Nは、SCSF-MID内のピクセル位置の数である。正規化されたPDマップは、式PDnorm=PD/PDscaleから計算することができる。
【0048】
動作不良なCSF値は、T1及びPDマップの両方で識別され、かつ置き換えられ得る。これを行うために、T1マップ閾値を再び使用することができる。しかしながら、不良ピクセルを識別するだけでなく、できるだけ多くのCSFピクセルを捕捉し、それらを既知のCSF値といくらかのノイズで置き換えることが容易であり得る。T1マップのローパスフィルタを使用して、ノイズのためにT1値が非常に低い心室内のピクセル位置の一部を捕捉するのにも役立ち得る。SCSFは、条件{T1(ri,j,k)>(4300ms-|オフセット|)又はLP{T1}(ri,j,k)>(4300ms-|オフセット|)}を満たすピクセル位置ri,j,kのセットであり得、式中、LPは、ローパス平均フィルタを表し、「オフセット」は、他の組織を含むリスクでCSFのより多くを捕捉するように調整することができる。最終的なT1及びPDマップは、式9及び式10によって説明することができ、
【数8】
(9)
【数9】
(10)
式中、
【数10】
は、平均M及び標準偏差σを有する正規分布乱数変数を表す。σT1及びσPDの値は、各対応するマップの残りのノイズに最適に一致するように選択することができる。σT1及びσPDの50ms及び0.03の値は、それぞれ、異なるスキャナからの様々なSTAGEデータでうまく機能することができる。これらの値は、合成ノイズからの結果が不自然に見える場合、SNRが非常に高い又は非常に低いデータの調整を必要とする場合がある。この同じプロセスはまた、例えば、SNRを増加させるための入力として、カーネルサイズ3×3×1の元のT1及びPDデータ上の平均フィルタを使用して適用することができる。CROWNが補正及び正規化されたデータに対して実施された後、新しいスピン密度マップは、下付きCROWN(例えば、ρeff-CROWN)でラベル付けすることができる。このCROWN PD結果、ρeff-CROWNは、ゼロとユニティとの間の値を有することができる。最終的なCROWN PD結果、ρCROWNは、ゼロとユニティとの間の値を有することができる。
【0049】
改善されたρ及びR2*は、CROWNを使用して生成することができる。改善されたρマップ(例えば、R2*重み付けなしで)及びR2*マップは、様々な異なる方式で生成することができる。これらのマップを生成する従来のSTAGE方法と、CROWNを用いて改善されたρ及びR2*マップを生成する3つの異なる方法が説明される。
【0050】
いくつかのアプローチでは、STAGEは、複数のフリップ角度及びエコーからのデータを利用して、PD、T1、及びR2*のマップを生成することができる。M個のフリップ角度とN個のエコーの場合、使用されるデータセットの総数は、M×Nにすることができる。M個のフリップ角度の各々について、最小二乗適合をN個のエコーにわたって実施して、R2*のマップを生成することができる。これにより、最終STAGE R2*マップのために一緒に平均化することができるM個のR2*マップが生じる可能性がある。その後、各エコーについて、M個のフリップ角度のセットにわたって最小二乗適合を実施して、N個のT1マップ及び有効PDマップ(T2*重み付け)、ρeffを生成することができる。N個のT1マップは、最終STAGE T1マップのために一緒に平均化することができる。STAGE R1マップは、この平均化されたT1マップの逆数であり得る。次に、N個の有効PDマップの各々を、STAGE R2*マップを使用して補正して、N個のPDマップ(TE=0msでの)を生成することができる。N個のPDマップは、最終STAGE PDマップ(ρAVG)のために一緒に平均化することができる。これらのステップは、図3A図3Cにデータフロー図として提示される。図3Aは、STAGEを使用してR2*を計算するためのフローチャートを示す。図3Bは、STAGEを使用してρを計算するためのフローチャートを示す。図3Cは、STAGEを使用してT1を計算するためのフローチャートを示す。
【0051】
ホワイトノイズを用いた画像の制約付き再構築(CROWN)は、磁気共鳴撮像システムを含むことができる。MRIシステムは、少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。MRIシステムは、その上に記憶されたコンピュータコード命令を有するメモリを含むことができる。コンピュータコード命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、取得されたMRデータセットを受信させ得る。取得されたMRデータセットは、第1のSNRを有することができる。第1のSNRは、取得されたMRデータセットのSNRを含むことができる。
【0052】
プロセッサは、取得されたMRデータセットから、第1の変数に対応する値の第1のセットを抽出することができる。第1の変数は、第2のSNRを有することができる。第2のSNRは、第1の変数のSNRを含むことができる。第1の変数は、例えば、スピン密度、β、感受性、又は別の変数を含む(例えば、それに対応する)ことができる。第1の変数は、スピン密度の逆数(1/β)に対応することができる。第1の変数は、感受性に対応することができる。取得されたデータは、第1の変数に対応する値を含むことができる。取得されたデータを処理して、第1の変数を生成することができる。
【0053】
プロセッサは、取得されたMRデータセットから、第2の変数に対応する値の第2のセットを抽出することができる。第2の変数は、例えば、T1、R1、T2*、又は別の変数を含む(例えば、それに対応する)ことができる。第2の変数は、T1の逆数に対応することができる。第2の変数は、R2*に対応することができる。第2の変数は、第1の変数に関連する(例えば、機能的に関連する)ことができる。例えば、T1の逆数は、関係(例えば、線形関係)を介してスピン密度の逆数に関連することができる。R2*は、関係(例えば、線形関係)を介して感受性に関連することができる。R2*は、関係(例えば、線形関係)を介してスピン密度の逆数に関連することができる。2つ以上の変数間の関係は、制約関数を導出するために使用することができる。取得されたデータは、第2の変数に対応する値を含むことができる。取得されたデータを処理して、第2の変数を生成することができる。
【0054】
プロセッサは、制約関数(例えば、関係、線形関係、関連など)を適用(例えば、使用、確立、識別、実装、実行など)することができる。制約関数は、第1の変数及び第2の変数の関数を含むことができる。制約関数は、式1によって説明することができる。制約関数は、組織内の鉄の存在を説明するコンポーネントを含むことができる。例えば、2つ以上の変数間の関係は、鉄の存在を説明し、かつそれを補正するために使用することができる。制約関数は、各エコー時間(例えば、TE1、TE2、TE3など)を説明するコンポーネントを含むことができる。
【0055】
コンピュータコード命令は、少なくとも1つのプロセッサに、制約関数に従ってコスト関数(例えば、コスト)を最小化させて、コスト関数解を生成させることができる。コスト関数は、式2によって説明することができる。コスト関数解は、式4及び式5によって説明される予測値を含むことができる。
【0056】
プロセッサは、第1の変数及び第2の変数をコスト関数解に入力して、第3のSNRを有する修正された第1の変数を生成することができる。第3のSNRは、第2のSNRよりも大きい場合がある。第3のSNRは、修正された第1の変数のSNRを含むことができる。プロセッサは、任意のフリップ角度(例えば、0°、3°、6°、9°、12°、15°、18°、21°、24°など)のシミュレーションされたデータセットを生成することができる。例えば、プロセッサは、修正された第1の変数及び第2の変数を使用して、任意のフリップ角度についてのシミュレーションされたデータセットを生成することができる。任意のフリップ角度で1つ以上の画像を作成することができる。また、任意のMRIパルスシーケンスに対して1つ以上の画像を作成することができる。
【0057】
プロセッサは、取得されたMRデータセットから、第3の変数に対応する値の第3のセットを抽出することができる。第3の変数は、例えば、R1*又はT2*を含むことができる。プロセッサは、制約関数を適用(例えば、使用)することができる。制約関数は、第1の変数、第2の変数、及び第3の変数の関数であり得る。MRIデータセットは、4つ以上の変数(例えば、複数の変数)を含むことができる。制約関数は、複数の変数又は複数の変数のサブセットの関数であり得る。2つの変数間の線形関係の場合、制約関数は、式:y=mx+bで表すことができる。複数の変数間の線形関係の場合、制約関数は、次の式で表すことができる:
【数11】
【0058】
ホワイトノイズを用いた画像の制約付き再構築(CROWN)は、様々なアプローチを含むことができる。例えば、第1のアプローチ(例えば、アプローチ1、CROWNアプローチ1など)では、CROWNは、各有効スピン密度マップを改善するために使用することができ、各TEでρeff-CROWNを与える。CROWNが各有効スピン密度マップを改善するために使用されると、式
【数12】
はピクセルごとに適合させることができる。この式は、-R2*としてのTEの関数としての信号のスロープ、及びρCROWN及び
【数13】
の値を得ることができるln ρCROWNとしてのインターセプトを与えることができる。これらの新しい画像ρCROWN及び
【数14】
は、画像ρ及びR2*のSNRと比較して高いSNRを有することができる。複数のエコーCROWNデータを使用して、ρCROWN及び
【数15】
を生成することができる。第1のアプローチは、以下のステップを含むことができる:(1)エコーごとにρeff-CROWNを生成するステップ、(2)これらのデータの対数にわたって最小二乗適合を実施するステップ、(3)インターセプトを使用して、ρCROWNを決定するステップ、及び(4)スロープを使用して、
【数16】
を決定するステップ。図4は、CROWN処理を用いて、ρCROWN及び
【数17】
を計算するためのフローチャートを示す。
【0059】
取得されたMRデータセットは、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応するデータを含むことができる。例えば、第1のフリップ角度は、低いフリップ角度(例えば、エルンスト角度よりも小さい角度)を含むことができる。エルンスト角度(θE)は、cos(θE)=exp(-TR/T1)を介して定義される。エルンスト角度は、所与のTR及びT1の任意のフリップ角度に対する最大信号強度を与える特定のスピンの励起のためのフリップ角度(例えば、先端角度、ナチュレーション角度など)を含むことができる。第2のフリップ角度は、高いフリップ角度(例えば、エルンスト角度よりも大きい角度)を含むことができる。取得されたMRデータセットは、少なくとも1つのエコー時間(例えば、TE1、TE2、TE3等)を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得することができる。
【0060】
第2のアプローチ(例えば、アプローチ2、CROWNアプローチ2など)では、R2*は、CROWN処理を使用して、元のマルチエコーSTAGEデータの適合から、又はアプローチ1から決定することができる。R2*が決定されると、式6、ρ=ρeff/e-TE R2*を再配列することによって、各エコーからの有効スピン密度を補正して、R2*重み付けなしのρマップを生成することができる。CROWN R2*を使用すると、これらのρマップの各々が相当なノイズになる可能性があるが、CROWN処理を使用すると、SNRを劇的に向上させることができる。これの1つの実装形態は、a及びbに対して、それぞれ2.03/秒及び-1.81/秒の係数を使用し、次いで、最終的なCROWNρマップ、ρAVG-CROWNに対する結果の画像を平均化することである。これは、ρCROWNを生成するためのアプローチ1の代替案を提供することができる。
【0061】
改善されたR2*マップを更に生成するために、平均ゼロエコー時間スピン密度を有するSTAGEからの元の有効スピン密度マップの比率の対数をとって、ln[ρeff/ρavg-CROWN]=-TE R2*を得ることができる。TEが知られているので、R2*マップは、各エコーから計算され、次に、再び、最終的な
【数18】
マップのために平均化することができる。
【0062】
第2のアプローチは、以下のステップを含むことができる:(1)従来のSTAGEアプローチを使用して各エコーについてρeffを生成するステップ、(2)従来のSTAGEアプローチを使用してSTAGE R2*を生成するステップ、(3)ρeff及びSTAGE R2*を有する式6を使用して、各エコー(例えば、ρTE1、ρTE2など)についてρを決定するステップ、(4)各ρにCROWNを適用して、各エコー(例えば、ρTE1-CROWN、ρTE2-CROWNなど)についてρCROWNを取得するステップ、(5)これらを一緒に平均して、ρAVG-CROWNを取得するステップ、(6)ρeff及びρAVG-CROWNを有する式6を使用して、各エコーについて新しいR2*を決定するステップ、(7)これらを一緒に平均して、最終的な
【数19】
を取得するステップ。図5は、CROWN処理を使用して、ρAVG-CROWNを計算するためのフローチャートを示す。図6は、CROWN処理を使用して、R2* AVG-CROWNを計算するためのフローチャートを示す。
【0063】
第2のアプローチでは、取得されたMRデータセットは、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含むことができる。取得されたMRデータセットは、少なくとも1つのエコー時間(例えば、TE1、TE2、TE3等)を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得することができる。プロセッサは、第3の変数の第1の計算された値を生成することができる。第3の変数は、R2*に対応することができる。第3の変数は、第4のSNRを有することができる。プロセッサは、修正された第1の変数を使用して、修正された第3の変数の第2の計算された値を生成することができる。修正された第3の変数は、
【数20】
を含むことができる。修正された第3の変数は、第5のSNRを有することができる。第5のSNRは、第4のSNRよりも大きい場合がある。
【0064】
一部の実施形態では、取得されたMRデータセットは、複数のエコー時間のための第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含むことができる。プロセッサは、複数のエコー時間にわたって、第1の変数及び修正された第1の変数のうちの少なくとも1つに対する重み付け平均値を生成することができる。例えば、プロセッサは、スピン密度(例えば、ρAVG-CROWN)又はR2*(例えば、
【数21】
)の重み付け平均を生成することができる。
【0065】
第3のアプローチ(例えば、アプローチ3、CROWNアプローチ3など)は、PD及びR2*を改善するためにρeffではなくρeff-CROWNで開始することを除いて、第2のアプローチと同様であり得る(例えば、ρeff-CROWN/e-TE R2*を使用して、ρavg-CROWNを取得し、次いでln[ρeff-CROWN/ρavg-CROWN]を取得して、
【数22】
を取得する)。第3のアプローチは、以下のステップを含むことができる:(1)各エコーについてρeff-CROWNを生成するステップ、(2)従来のSTAGEアプローチを使用して、STAGE R2*を生成するステップ、(3)ρeff-CROWN及びSTAGE R2*を有する式6を使用して、各エコーについてρCROWN(例えば、ρTE1|CROWN、ρTE2|CROWNなど)を決定するステップ、(4)各ρCROWNにCROWNを再度適用して、各エコーについてρCROWN 2(例えば、ρTE1-CROWN 2、ρTE2-CROWN 2など)を取得するステップ、(5)これらを平均して、ρAVG-CROWN 2を取得するステップ、(6)ρeff-CROWN及びρAVG-CROWN 2を有する式6を使用して、各エコーについて新しいR2*を決定するステップ、(7)これらを平均して、最終的な
【数23】
を取得するステップ。図7は、CROWN処理を使用してρAVG-CROWN 2を計算するためのフローチャートを例示している。図8は、CROWN処理を使用してR2* AVG-CROWN 2を計算するためのフローチャートを例示する。
【0066】
第3のアプローチの一部の実施形態では、取得されたMRデータセットは、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含むことができる。取得されたMRデータセットは、少なくとも1つのエコー時間(例えば、TE1、TE2、TE3等)を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得することができる。修正された第1の変数は、第1の修正された第1の変数を含むことができる。第1の修正された第1の変数は、有効なスピン密度(例えば、ρeff)を含むことができる。プロセッサは、第3の変数の第1の計算された値を生成することができる。第3の変数は、R2*に対応することができる。第3の変数は、第4のSNRを有することができる。プロセッサは、少なくとも2つのエコー時間の各々における第1の修正された第1の変数、及び第3の変数を使用して、第2の修正された第1の変数を生成することができる(例えば、ρTE1|CROWN、ρTE2|CROWN、ρTE3|CROWNなど)。プロセッサは、第6のSNRを有する第3の修正された第1の変数(例えば、ρTE1-CROWN 2、ρTE2-CROWN 2、ρTE3-CROWN 2など)を生成するために、少なくとも2つのエコー時間の各々における第2の修正された第1の変数、及び第2の変数をコスト関数解への入力として使用する(例えば、適用する)ことができる。第6のSNRは、第3のSNRよりも大きい場合がある。
【0067】
第3のアプローチの一部の実施形態では、プロセッサは、第3の変数の第2の計算された値(例えば、R2* TE1-CROWN 2、R2* TE2-CROWN 2、R2* TE3-CROWN 2など)を生成することができる。第3の変数は、R2*に対応することができる。第3の変数は、第7のSNRを有することができる。第7のSNRは、第4のSNRよりも大きい場合がある。
【0068】
一部の実施形態では、取得されたMRデータセットは、複数のエコー時間のための第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含むことができる。プロセッサは、複数のエコー時間にわたって、第1の変数及び修正された第1の変数のうちの少なくとも1つに対する重み付け平均値を生成することができる。例えば、プロセッサは、スピン密度(例えば、ρAVG-CROWN 2)又はR2*(例えば、R2* AVG-CROWN 2)の重み付け平均を生成することができる。一部の実施形態では、プロセッサは、スピン密度画像(例えば、TE=0、真のスピン密度画像など)を生成することができる。
【0069】
アプローチ2と比較して、アプローチ3のいくつかの中間ステップにはいくつかのわずかに異なる表記を使用することができる。アプローチ3では、(ρeff-CROWNを生成するために)R2*を補正する前にCROWNが適用されるため、R2*補正後のこれらのρマップをρTEi|CROWNと呼ぶことができる。次に、CROWNが2回目に適用された後、表記CROWN 2を使用することができる。説明を伴う用語の表を表3に示す。
【表3】
【0070】
表3は、本開示に説明されている図3A図3C及び図4図8で使用されている異なる用語の説明を示す。表3は、用語がどのアプローチで使用されるか、及び/又はどのアプローチから生成されるかを示す。例えば、ρAVGは、従来のSTAGEアプローチで生成することができるが、アプローチ1~3のいずれにも使用されない。一方で、ρTEi-CROWNは、アプローチ2で生成され、その中でそれを更に使用して、最終的なρAVG-CROWN及びR2* AVG-CROWNを生成することができる。
【0071】
プロセッサは、第8のSNRを有するシミュレーションされたMRデータセットを生成することができる。第8のSNRは、第1のSNRよりも大きい場合がある。プロセッサは、修正された第1の変数を使用することによって、シミュレーションされたMRデータセットを生成することができる。シミュレーションされたMRデータセットは、取得されたデータセットのSNRよりも大きいSNRを有することができる。
【0072】
一部の実施形態では、取得されたMRデータセットは、エコー時間の第1のセットを含む。プロセッサは、シミュレーションされたMRデータセットを生成することができる。シミュレーションされたMRデータセットは、エコー時間の第2のセットを含むことができる。エコー時間の第2のセットは、エコー時間の第1のセットとは異なることができる。プロセッサは、修正された第1の変数及び第2の変数、並びに修正された第3の変数を使用することによって、シミュレーションされたMRデータセットを生成することができる。
【0073】
図9A図9Eは、図3A図3C及び図4図8に描示されるρeffマップ及びρマップを示す。ρeffマップ及びρマップは、7.5msのエコー時間で単一のエコーに対応することができる。図9Aは、いずれかのCROWNが実施される前のρeff(TE1)を描示し、図3Bに対応する。図9Cは、任意のCROWNが実施される前のρTE1を描示し、図5に対応する。図9Bは、ρeff-CROWN(TE1)を描示し、その使用方法は、図4図7、及び図8に見ることができる。図9Dは、ρTE1-CROWNを描示し、これは、図9CのρTE1上でCROWNが実施された結果であり得る。黒質(SN)及び赤核(RN)のコントラストは、CROWN後に増加するように見えることがあり、これは、鉄のR1マップを補正しないことに起因する可能性がある。図9Eは、図7からのρTE1-CROWN 2を描示し、R2*についてρeff-CROWN(TE1)を補正した後、2回目のCROWNを適用した結果である。
【0074】
新しい画像は、CROWN PD及びT1マップから生成することができる。CROWN画像はまた、元のフリップ角度で画像をシミュレーションし、元の収集されたものよりも高品質の画像を作成するために使用することができる。所与の組織パラメータT1、ρ、及びT2*について、撮像パラメータTR、TE、及びフリップ角度θと共に、損なわれたGREスキャンからの予測信号Sは、式11として得られる。
【数24】
(11)
【0075】
これらのCROWN処理されたマップは、それらを作成するために使用された損なわれたGREデータセットを再生成するために、式11に入力することができる。結果のSNRは、元の画像と比較することができる。更に、T1、PD、及びT2*の関数として、数学的によく理解された信号挙動を有する任意のスキャンは、任意の撮像パラメータでシミュレーションすることができる。これは、実際のシーケンスを使用して取得されたものよりも優れたSNRを提供することができ、CROWN処理は、元々収集されたデータであってもSNRを改善するための強力なツールになる。
【0076】
図10は、シミュレーションで使用されるテスト画像を例示している。シミュレーションでは、5つの異なる組織タイプを使用することができる。各環状領域は、1つの組織タイプを表すことができる。強度のない背景正方形を外側領域として追加することができる。テスト画像は、各環状の領域が1つの組織タイプを表す、埋め込まれた正方形のセットから構築することができる。第1に、元の信号強度は、式11を使用して計算することができる。シミュレーションには、0.6、0.7、0.8、0.9、及び1の範囲のスピン密度値を有する5つのタイプの組織を使用することができ、対応するT1値は、R1=2.03/秒*β-1.81/秒を使用して計算することができる。25msのTR及び0msのTEは、6°及び24°のデータの両方を生成するために使用することができる。外側境界領域は、ゼロの信号強度を有するように設定することができる。6°及び24°のマグニチュード画像の最終値を表4に示す。
【表4】
【0077】
表4は、従来のCROWN PD及びT1マップを生成するための領域1~5のMRIマグニチュードのシミュレーションで使用される初期信号を示す。
【0078】
例証的な場合として、次いで、ガウスノイズを元の信号に追加することができる。ノイズの量は、6°のマグニチュード画像で領域1からの信号の10%に設定することができる。第2に、PDマップ及びT1マップは、式11の線形変換に基づいて生成することができる。最後に、CROWNをPDマップ及びT1マップに適用して、ノイズを除去することができる。6°及び24°のマグニチュード画像を再現して、結果を元のデータと比較することができる。CROWN処理のシミュレーション結果を図11に示す。より現実的な状況をシミュレーションするために、10%ガウスノイズ(例えば、6°のマグニチュードの画像の中心正方形の信号に対する)を各画像に追加することができる。PD及びT1マップは、6°及び24°のマグニチュード画像を使用して生成することができ、次に、CROWNプロセスを両方のマップに適用することができる。CROWN処理されたPDマップ及び元のT1マップを使用して、6°及び24°のマグニチュード画像を再現することができる。
【0079】
撮像アプローチとしては、2つの異なるMRIスキャナ上の2つの異なる個体から2セットのSTAGEデータを収集することができる。STAGEデータの第1のセットは、以下の撮像パラメータを使用して、64チャネルのヘッド/ネックコイルを備えた3T Siemens Prismaスキャナ上で収集することができる:0.67mm×1mm×1.34mmの解像度、FOV=256mm×192mm(最終マトリックス384×288)、TE1=7.5ms、TE2=15ms、及びTE3=22.5ms、TR=29ms、帯域幅=180Hz/ピクセル、FA=6°及び27°、PFP=7/8、楕円サンプリングを使用すること、軸撮像平面、及び平行加速度係数=3。総撮像時間は、6分42秒であり得る。
【0080】
STAGEデータの第2のセットは、以下の撮像パラメータを使用して、16チャネルのヘッド/ネックコイルを備えた3T Siemens Skyra上で収集することができる:0.67mm×1mm×1.34mmの解像度、FOV=256mm×192mm(最終マトリックス384×288)、TE1=7.5ms、TE2=12.5ms、及びTE3=17.5ms、TR=25ms、帯域幅=220Hz/ピクセル、FA=6°及び24°、部分フーリエ係数=7/8、楕円サンプリングを使用すること、及び平行加速度係数=2。総撮像時間は、8分30秒であり得る。取得後、STAGEデータを処理して、T1及び有効スピン密度マップを生成することができ、両方とも、B1送信/受信不均一性について補正される。
【0081】
図12は、複数STAGE PDマップ上で実施されるCROWN処理の実施例を示す。STAGE PDマップは、3T Siemens Prisma STAGEデータから作成することができる。STAGE行(例えば、最上位行)のゼロ(TE=0ms)のエコー時間は、(例えば、ρeff-CROWNではなくρeffを使用することを除いて、アプローチ1に類似している)3つの有効なSTAGE PDマップにわたる線形適合のインターセプトから決定することができる。使用されるCROWN係数は、表2からのものであり得る。CROWN行(例えば、最下位行)が示される。ノイズ低減の最も劇的な効果は、初期推定値が最もノイズの多いゼロ(TE=0ms)のエコー時間で見ることができる。TE=60msのPDマップは、R2*マップ及びρAVGマップ(例えば、CROWN及びSTAGEバージョンの両方)の両方を使用してシミュレーションされて、ユニークなT2*コントラストを作成するために生成することができるエコー時間の長さを示すことができる。
【0082】
図13は、図12(TE=0ms)に示す同じスライスからのピクセルを使用したSTAGE及びCROWN処理マップの異なる組み合わせのR1値対β値の散布図を例示している。CROWN処理の効果は、CROWN前の点のノイズ分布(STAGE R1対STAGEβ)から、最初に式4(STAGE R1対CROWNβ)を使用してCROWNをβ値のみに適用することから見られるより緊密な分布、最後に式5(CROWN R1対CROWNβ)を使用してCROWNβ値からR1を再計算することから見られる完全な線形分布まで、段階的に見ることができる。
【0083】
図14A図14Hは、3T Siemens Skyra STAGEデータを使用したフォワードシミュレーションデータのためのCROWN処理の有効性を示す。CROWNシミュレーション画像は、式11への入力として、STAGE T1、ρAVG-CROWN、及びR2* AVG-CROWNを使用して生成することができる。Skyraからの元のデータは、図14A図14C図14E、及び図14Gにおいて見ることができ、それぞれ、図14B図14D図14F、及び図14Hにおいて、CROWNからのそれらの対応するフォワードシミュレーションデータと共に見ることができる。図14A図14B図14C、及び図14Dは、6°STAGEデータを示しており、図14E図14F図14G、及び図14Hは、24°STAGEデータを示している。図14A図14B図14E、及び図14Fは、TE=7.5msからのものであり、図14C図14D図14G、及び図14Hは、TE=22.5msからのものである。低フリップ角度(FA=6°)画像は、図14A及び図14Cに示されるように、非常にノイズが多く、受信電界の不均一性に苦しむ可能性があるが、CROWN/STAGEのシミュレーションされたFA=6°画像は、図14B及び図14Dに示されるように、SNR及び均一性を著しく改善している。
【0084】
図14Aは、CROWN処理の前(例えば、その前)の短いエコー時間(TE)を有するスピン密度重み付け画像を示す。図14Bは、図14Aを生成するために使用されるデータのCROWN処理後(例えば、ポスト)の短いエコー時間を有するスピン密度重み付け画像を示す。図14A及び図14Bは、破線円によって包含される領域(例えば、同じ領域)を描示する。図14Bは、周囲の組織から区別可能(例えば、視覚的に区別可能、区別可能)である不均一性(例えば、腫瘍)を示すCROWNシミュレーション画像を描示する。この画像では、CROWN処理された画像は、CROWN処理前の画像(例えば、STAGE画像、前処理された画像)よりも高い信号対ノイズ比を有するため、不均一性が周囲の組織から区別することができる。図14Aは、破線円によって包含される対応する領域を描示する。この画像では、不均一性は、画像が図14Bのものよりも低い信号対ノイズ比を有するため、周囲の組織から明確に区別できない場合がある。
【0085】
図14Cは、CROWN処理前の長いエコー時間(例えば、図14A及び図14Bに示される画像のエコー時間と比較して長い)を有するスピン密度重み付け画像を示す。図14Dは、図14Cを生成するために使用されるデータのCROWN処理後の長いエコー時間を有するスピン密度重み付け画像を示す。図14Eは、CROWN処理前の短いエコー時間を有するT1重み付け画像を示す。図14Fは、図14Eを生成するために使用されるデータのCROWN処理後の短いエコー時間を有するT1重み付け画像を示す。図14Gは、CROWN処理前の長いエコー時間(例えば、図14E及び図14Fに示される画像のエコー時間と比較して長い)を有するT1重み付け画像を示す。図14Hは、図14Gを生成するために使用されるデータのCROWN処理後の長いエコー時間を有するT1重み付け画像を示す。
【0086】
MRIシステムは、位置のセットで取得されたMRデータセットに対応する値の第3のセットを含むことができる。位置のセットは、マップ(例えば、スピン密度マップ)に対応することができる。値の第3のセットのサブセットは、所定の閾値を満たすことができる。例えば、値の第3のセットのサブセットは、所定の閾値よりも大きいか、又は所定の閾値よりも小さい場合がある。値の第3のセットのサブセットは、位置のセットのサブセットを含むことができる。位置のセットのサブセットは、血管の場所に対応することができる。MRIシステムは、シミュレーションされたMRデータセットを含むことができる。シミュレーションされたMRデータセットは、位置のセットのサブセットにおける値の第4のセットを含むことができる。値の第4のセットは、血管の場所における値を含むことができる。位置のセットのサブセットは、血管の場所を含むことができる。プロセッサは、位置のセットでの値の第4のセットを、位置のセットでの値の第3のセットのサブセットと置き換えることができる。例えば、プロセッサは、元のスピン密度マップからの血管の画像を改善されたスピン密度マップにオーバーレイすることができる。改善されたスピン密度マップは、元のスピン密度マップのSNRよりも大きいSNRを有することができる。
【0087】
図15は、Prismaデータセットからρマップ及びR2*マップを生成する異なる方法の実施例を示す。表3並びに図3A図3C及び図4図8に描示される表記を使用して、左から右へ、上の行は、STAGE R2*、R2* CROWN、R2* AVG-CROWN、及びR2* AVG-CROWN 2を描示する。下の行は、ρAVG、ρCROWN、ρAVG-CROWN、及びρAVG-CROWN 2を描示する。アプローチ2と3は、ρでうまく機能することができる。アプローチ3は、R2*でうまく機能することができる。
【0088】
CROWN処理の有効性は、シミュレーション結果については図10及び図11に、インビボ結果については図12図13図14A図14H、及び図15に示すことができ、ここで、元のノイズの多いスピン密度マップ、R2*マップ、及び低フリップ角度画像は、有意に改善されたことを見ることができる。
【0089】
図2に示されるように、シミュレーションにおける領域1からの(β、R1)の値をプロットして、CROWN前後のβ及びR1の変化を比較することができる。βの範囲は、[1.25、2.2]から[1.5、1.82]に低減することができ、これは、スピン密度マップのノイズが減少するべきであり、したがって、スピン密度マップのSNRが増加するべきであることを示唆し得る。しかしながら、R1の範囲は、[1.4、1.8]から[1.25、2.0]に増加させることができ、これは、T1マップにおけるノイズが減少せず、CROWN処理後にT1マップのSNRが改善されない場合があることを示唆し得る。この同じ効果は、図13に示されるように、インビボデータで見ることができる。これらの予測は、表5に示されるシミュレーションで検証することができ、ここで、各領域のスピン密度マップのSNRは、CROWN処理後に増加し得ることが分かる。しかしながら、領域1、2、及び3のT1マップのSNRは、CROWN後に低下する可能性がある。この効果を念頭に置いて、元のT1マップは、CROWN処理されたT1マップの代わりに使用されて、新しいCROWN6°(図14D)及び24°マグニチュード画像を再現することができる。
【表5】
【0090】
表5は、CROWN処理前後のシミュレーションデータのSNR値を示す。6°マグニチュード画像についての領域1からの信号の10%のガウスノイズは、6°及び24°の生成されたマグニチュード画像内の全ての領域に使用することができる。
【0091】
図11に示すように、ノイズは、スピン密度マップのCROWN処理後に大幅に減少し得る。SNRは、全ての領域について著しく改善することができるが、表5の領域4及び5において劇的に改善され得る。CROWN後の6°及び24°のマグニチュード画像、特に表5の領域1~4のノイズを大幅に低減することができる。CSFを表す領域5のSNRは、有意に改善しない場合がある。これは、元のT1マップからの領域5の低SNR、及び6°がCSFのエルンスト角度を下回らないという事実の結果であり得る。2°又は何らかの他の角度などの、6°未満のフリップ角度データセットもまた収集されていた場合には、SNR効果の同様の改善が見られていたであろう。図11に示されるボックスは、異なる組織特性(例えば、スピン密度値、T1値など)を有することができる。組織特性は、互いに関連することができる。
【0092】
CROWNは、SNRを改善することを目的とするほとんどの他の方法の場合と同様に、画像構造を修正又はぼかすことなくSNRを改善するための強力なツールを提供することができる。CROWN処理は、元のPD推定だけでなく、元の低及び高フリップ角度画像並びに任意のフリップ角度又は任意の他のMRIパルスシーケンスからの画像についての任意の他の画像についても、改善されたSNRをもたらすことができる。CROWN処理は、STAGE撮像、任意の他のマルチフリップアングルアプローチ、又はスピン密度マップ及びT1マップの両方を生成する任意の方法と併せて機能することができる。CROWN処理は、2つの別々のスキャナからの2つの別々のインビボデータセットに正常に適用されることによって、「スキャナに依存しない」ことができる。しかしながら、他の磁場強度については、組織のT1値が異なる磁場強度について変化し得るため、新しい係数を決定することができる。CROWN処理は、SNRが本質的に悪化する低電界強度用途に使用することができる。
【0093】
鉄含有量のT1への影響を補正することができる。R1対β=1/ρの関係は、組織中に鉄が存在しない場合に合理的に良好に挙動することができる。しかしながら、鉄は、組織のR1値を変化させる可能性がある。CROWN処理のための線形係数a及びbを決定するために使用される異なる組織のR1値は、鉄が存在しないという仮定の下であり得る。不適切な関係が組織に強制された場合、期待される結果を修正することができ、正しい組織特性が失われ、画像のコントラストが失われる可能性がある。異なる組織の鉄含有量は、CROWNを適用する前に、R1の測定値を補正するために使用することができる。図16A及び図16Bに示される実施例では、健康な成人ボランティアからの1セットのデータを3Tスキャナ上で取得して、異なる深部GMの水分の関数としてR1値を計算することができる。感受性(例えば、定量的感受性)、T1、及びプロトン密度は、異なる深部GM構造の各々について測定することができる。R1値を補正して、組織内の常磁性造影剤のように作用することができる鉄のT1還元性を除去し、R1と水分との間の原始的な関係を見つけることができる。制約関数は、組織内の鉄の存在を説明するコンポーネントを含むことができる。例えば、2つ以上の変数間の関係は、鉄の存在を説明し、かつそれを補正するために使用することができる。
【0094】
T1短縮に対する鉄の効果を補正するために、R1と感受性との間の関係を評価することができる。図16Aに示されるように、R1と深部GMの3Tでの感受性との間の関係は、R1=1.37/秒/ppm*χ(ppm)+0.86/秒であり得る。この線形関係から、組織から組織へのR1における変化は、ΔR1=1.37/秒/ppm*Δχ(ppm)を介した感受性における変化に関連することができる。補正されたR1は、測定されたR1からΔR1を減算することによって計算することができる。鉄の存在は、T1値を低下させる可能性があるが、プロトン密度は、影響を受けない。したがって、R1と感受性との間の関係は、鉄のT1還元効果を補正するために使用することができる。
【0095】
図16Bは、鉄分補正後、R1対βのスロープが2.42/秒~2.01/秒に、インターセプトが2.19/秒~1.78/秒に低下したことを示す。表1に適合し、同様にWMを含む結果は、R1=2.03/秒*β-1.81/秒という以前の式につながり、皮質GMのT1により適合することができる。CROWNを使用する場合、感受性効果を含むR1の式は、R1ironfree=R1meas-ΔR1=2.03/秒*β-1.81/秒になる。
【0096】
鉄補正の前後のR1の実施例が、CROWNから生成されて得られたPDマップと共に、図17A図17Eに示されている。鉄について補正されていないR1マップ(図17A)を使用してCROWN PDマップ(図17D)を生成することと、鉄について補正されたR1マップ(図17C)を使用してCROWN PDマップ(図17E)を生成することとの比較。図5に描示されるアプローチ2は、これらのPDマップを生成するために使用することができる。R1マップは、図3Cに描示されるSTAGE T1マップの逆数であり得る。補正マップ、ΔR1=1.37/秒/ppm*Δχ(ppm)は、20ppbの閾値を使用して、図17Bにおいて見ることができる。3T Siemens Prismaデータセットを使用することができる。
【0097】
閾値を下回る場合には感受性がゼロであると仮定する閾値を設定することができる。これは、例えば、閾値が25ppbである場合、R1に0.035/秒のみの変化をもたらす非常に小さな効果を有することができる。この閾値は、QSMデータセット内の固有のSNRに基づいて選択することができる。所与のノイズレベル(例えば、白質又は視床領域で決定されるなど)について、閾値をノイズレベルの2倍になるように選択することは、許容可能であり得るが、3倍は、鉄含有量からのT1変化の推定に対するノイズの影響が少ないより控えめなアプローチであろう。鉄のT1還元効果を補正した後の感受性、T1、及びβ、並びにR1及びT1値の初期測定値を表6に示す。
【表6】
【0098】
表6は、鉄のT1還元効果を補正した後の感受性、T1、及びβ、並びにR1及びT1値の初期測定値を示す。
【0099】
図18は、磁気共鳴撮像(MRI)の方法を示す。要約すると、方法1800は、取得された磁気共鳴(MR)データセットを受信することを含むことができる(ブロック1805)。方法1800は、値の第1のセット及び値の第2のセットを抽出することを含むことができる(ブロック1810)。方法1800は、制約関数を適用することを含むことができる(ブロック1815)。方法1800は、コスト関数を最小化することを含むことができる(ブロック1820)。方法1800は、第1の変数をコスト関数に入力することを含むことができる(ブロック1825)。
【0100】
方法1800は、取得されたMRデータセットを受信することを含むことができる(ブロック1805)。取得されたMRデータセットは、第1のSNRを有することができる。取得されたMRデータセットは、第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含むことができる。取得されたMRデータセットは、少なくとも1つのエコー時間を使用して解剖学的領域を撮像することによって取得することができる。
【0101】
方法1800は、値(例えば、値の第1のセット及び値の第2のセット)を抽出することを含むことができる(ブロック1810)。値の第1のセットは、第1の変数に対応することができる。第1の変数は、第2のSNRを有することができる。値の第2のセットは、第2の変数に対応することができる。方法1800は、取得されたMRデータセットから、値の第3のセットを抽出することを含むことができる。値の第3のセットは、第3の変数に対応することができる。第1の変数は、スピン密度の逆数に対応することができ、第2の変数は、T1の逆数に対応することができる。第1の変数は、感受性に対応することができ、第2の変数は、R2*に対応することができる。第1の変数は、スピン密度の逆数に対応することができ、第2の変数は、R2*に対応することができる。
【0102】
方法1800は、制約関数を適用することを含むことができる(ブロック1815)。制約関数は、第1の変数及び第2の変数の関数であり得る。制約関数は、第1の変数、第2の変数、及び第3の変数の関数であり得る。制約関数は、複数の変数の関数であり得る。制約関数は、組織内の鉄の存在を説明するコンポーネントを含むことができる。制約関数は、各エコー時間を説明するコンポーネントを含むことができる。制約関数は、式1によって説明される制約関数を含むことができる。
【0103】
方法1800は、コスト関数を最小化することを含むことができる(ブロック1820)。コスト関数は、制約関数に従って最小化して、コスト関数解を生成することができる。コスト関数は、式2によって説明されるコスト関数を含むことができる。
【0104】
方法1800は、変数(例えば、第1の変数)をコスト関数に入力することを含むことができる(ブロック1825)。第1の変数をコスト関数解に入力して、第3のSNRを有する修正された第1の変数を生成することができる。第3のSNRは、第2のSNRよりも大きい場合がある。方法1800は、修正された第1の変数及び第2の変数を使用して、任意のフリップ角度についてのシミュレーションされたデータセットを生成することを含むことができる。
【0105】
一部の実施形態では、方法1800は、R2*に対応する第3の変数の第1の計算された値を生成することを含むことができる。第3の変数は、第4のSNRを有することができる。方法1800は、修正された第1の変数を使用して、修正された第3の変数の第2の計算された値を生成することを含むことができる。修正された第3の変数は、第5のSNRを有することができる。第5のSNRは、第4のSNRよりも大きい場合がある。
【0106】
一部の実施形態では、方法1800は、R2*に対応する第3の変数の第1の計算された値を生成することを含むことができる。第3の変数は、第4のSNRを有することができる。方法1800は、少なくとも2つのエコー時間の各々における第1の修正された第1の変数、及び第3の変数を使用して、第2の修正された第1の変数を生成することを含むことができる。方法1800は、第6のSNRを有する第3の修正された第1の変数を生成するために、少なくとも2つのエコー時間の各々における第2の修正された第1の変数、及び第2の変数をコスト関数解への入力として使用すること(例えば、適用すること)を含むことができる。第6のSNRは、第3のSNRよりも大きい場合がある。
【0107】
一部の実施形態では、方法1800は、R2*に対応する第3の変数の第2の計算された値を生成することを含むことができる。第3の変数は、第7のSNRを有することができる。第7のSNRは、第4のSNRよりも大きい場合がある。一部の実施形態では、方法1800は、修正された第1の変数を使用して、第8のSNRを有するシミュレーションされたMRデータセットを生成することを含むことができる。第8のSNRは、第1のSNRよりも大きい場合がある。
【0108】
一部の実施形態では、取得されたMRデータセットは、エコー時間の第1のセットを含む。方法1800は、修正された第1の変数及び第2の変数、並びに修正された第3の変数を使用して、シミュレーションされたMRデータセットを生成することを含むことができる。シミュレーションされたMRデータセットは、エコー時間の第2のセットを含むことができる。エコー時間の第2のセットは、エコー時間の第1のセットとは異なることがある。
【0109】
一部の実施形態では、取得されたMRデータセットは、複数のエコー時間のための第1のフリップ角度及び第2のフリップ角度に対応する、データを含む。方法1800は、複数のエコー時間にわたって、第1の変数及び修正された第1の変数のうちの少なくとも1つに対する重み付け平均値を生成することを含むことができる。一部の実施形態では、方法1800は、スピン密度画像を生成することを含むことができる。
【0110】
本明細書に説明される主題の実施形態及び動作は、デジタル電子回路の中に、又はコンピュータソフトウェアの中に、ファームウェア、又は本明細書に開示された構造物及びそれらの構造的等価物を含むハードウェア、又はそれらの1つ以上の組み合わせで、実装することができる。本明細書に説明される主題は、1つ以上のコンピュータプログラムとして、例えば、データ処理装置による実行、又はデータ処理装置の動作を制御するために、1つ以上のコンピュータ記憶媒体に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上の回路として、実装することができる。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝搬信号上に、例えば、データ処理装置による実行のために好適な受信装置に送信するための情報を符号化するために生成される、機械生成の電気、光、又は電磁信号上に符号化することができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムアクセス若しくはシリアルアクセスメモリアレイ若しくはデバイス、又はそれらの1つ以上の組み合わせの中に含めることができるか、又は含められる。更に、コンピュータ記憶媒体は、伝搬信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号中に符号化されたコンピュータプログラム命令のソース又は送信先とすることができる。コンピュータ記憶媒体はまた、1つ以上の別個の構成要素又は媒体(例えば、複数のCD、ディスク、又は他の記憶デバイス)の中に含めることができるか、又は含められる。
【0111】
本明細書に説明される動作は、1つ以上のコンピュータ可読記憶デバイスに記憶された、又は他のソースから受信されたデータに対してデータ処理装置によって実施することができる。「データ処理装置」又は「コンピューティングデバイス」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステム、若しくはこれらの複数のもの、又は前述の組み合わせを含む、データを処理するための様々な装置、デバイス、及びマシンを包含する。装置は、特殊用途の論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。装置はまた、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムの実行環境を構築するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームのランタイム環境、仮想マシン、又はそれらの1つ以上の組み合わせを構成するコード、を含むことができる。装置及び実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティング、及びグリッドコンピューティングインフラストラクチャなどの様々な異なるコンピューティングモデルインフラストラクチャを実現することができる。
【0112】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られる)は、コンパイルされる言語又は解釈される言語、宣言的又は手続き的言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記述することができ、それは、スタンドアロンプログラムとして、あるいは回路、コンポーネント、若しくはサブルーチン、オブジェクト、又はコンピューティング環境において使用に好適な他のユニットを含む、任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、必要ではないが、ファイルシステムにおけるファイルに対応し得る。プログラムは、他のプログラム若しくはデータ(例えば、マークアップ言語文書に記憶された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部分に、問題のプログラム専用の単一のファイルに、又は複数のコーディネートされたファイル(例えば、1つ以上の回路、サブプログラム、又はコードの一部分を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのサイトに位置するか、又は複数のサイトにわたって分散され、かつ通信ネットワークによって相互接続される1つのコンピュータ又は複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0113】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサは、例として、マイクロプロセッサ、及びデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信することができる。コンピュータの要素は、命令に従ってアクションを実行するプロセッサ、及び命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスである。コンピュータは、データを格納するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスク、からデータを受信するため、又はデータを転送するため、あるいはその両方を行うために、それらを含むことができるか、又は動作可能に連結することができる。コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。更に、コンピュータは、他のデバイス、例えば、ごく一部ながら例を挙げれば、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、全地球測位システム(GPS)受信機、又は携帯記憶デバイス、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブに組み込むことが可能である。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに好適なデバイスは、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスを含み、例として半導体メモリデバイス、例えばEPROM、EEPROM及びフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば内蔵ハードディスク又は取り外し可能ディスク;光磁気ディスク;及びCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、特殊用途の論理回路によって補足するか、又は特殊用途の論理回路に組み込むことができる。
【0114】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に説明される主題の実装形態は、ユーザに情報を表示するための表示デバイス、例えば、CRT(カソードレイチューブ)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、並びにユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボード及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボールを有するコンピュータ上で実装することができる。他の種類のデバイスは、ユーザとの相互作用を提供するためにも使用することができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどの、任意の形態の感覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響、スピーチ、又は触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。
【0115】
本明細書に説明される実装形態は、例えば、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを使用することを含む多くの方式のうちのいずれかで実装することができる。ソフトウェアに実装されている場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータに提供されているか、又は複数のコンピュータに分散されているかにかかわらず、任意の好適なプロセッサ又はプロセッサの集合体で実行することができる。
【0116】
また、コンピュータは、1つ以上の入力デバイス及び出力デバイスを有し得る。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインターフェースを提示するために使用することができる。ユーザインターフェースを提供するために使用することができる出力デバイスの例は、出力及びスピーカの視覚的提示のためのプリンタ若しくはディスプレイ画面、又は出力の可聴提示のための他の音生成デバイスを含む。ユーザインターフェースに使用することができる入力デバイスの例は、キーボード、並びにマウス、タッチパッド、及びデジタル化タブレットなどのポインティングデバイスを含む。別の例として、コンピュータは、音声認識を介して、又は他の可聴フォーマットで入力情報を受信し得る。
【0117】
そのようなコンピュータは、ローカルエリアネットワーク又は企業ネットワークなどのワイドエリアネットワーク、及びインテリジェントネットワーク(IN)又はインターネットを含む、任意の好適な形態の1つ以上のネットワークによって相互接続され得る。そのようなネットワークは、任意の好適な技術に基づき得、任意の好適なプロトコルに従って動作し得、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバネットワークを含み得る。
【0118】
本明細書に説明される機能の少なくとも一部分を実装するために採用されるコンピュータは、メモリ、1つ以上の処理ユニット(本明細書では単に「プロセッサ」とも称される)、1つ以上の通信インターフェース、1つ以上の表示ユニット、及び1つ以上のユーザ入力デバイスを備え得る。メモリは、任意のコンピュータ可読媒体を備え得、本明細書に説明される様々な機能を実装するためのコンピュータ命令(本明細書では「プロセッサ実行可能命令」とも称される)を記憶し得る。処理ユニットは、命令を実行するために使用され得る。通信インターフェースは、有線又は無線ネットワーク、バス、又は他の通信手段に結合され得、したがって、コンピュータが他のデバイスに通信を送信するか、又は他のデバイスから通信を受信することを可能にし得る。表示ユニットは、例えば、ユーザが命令の実行に関連して様々な情報を見ることを可能にするように提供され得る。ユーザ入力デバイスは、例えば、ユーザが、手動調整を行うこと、選択を行うこと、データ又は様々な他の情報を入力すること、又は命令の実行中にプロセッサと様々な様式のいずれかで相互作用することを可能にするために提供され得る。
【0119】
本明細書に概説される様々な方法又はプロセスは、様々なオペレーティングシステム又はプラットフォームのうちのいずれか1つを採用する1つ以上のプロセッサ上で実行可能であるソフトウェアとしてコード化され得る。加えて、そのようなソフトウェアは、多数の好適なプログラミング言語又はプログラミング若しくはスクリプトツールのうちのいずれかを使用して記述され得、また、フレームワーク又は仮想マシン上で実行される実行可能な機械言語コード又は中間コードとしてコンパイルされ得る。
【0120】
この点で、様々な発明の概念は、1つ以上のコンピュータ又は他のプロセッサ上で実行されたときに、上で考察された解決策の様々な実施形態を実装する方法を実施する1つ以上のプログラムで符号化されたコンピュータ可読記憶媒体(又は複数のコンピュータ可読記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイス内の回路構成、又は他の非一時的媒体若しくは有形コンピュータ記憶媒体)として具体化され得る。コンピュータ可読媒体(1つ又は複数)は、上で考察されたように、本解決策の様々な態様を実装するために、その上に記憶されたプログラム(1つ又は複数)を、1つ以上の異なるコンピュータ又は他のプロセッサにロードすることができるように、移送可能であり得る。
【0121】
「プログラム」又は「ソフトウェア」という用語は、本明細書において、上で考察されたような実施形態の様々な態様を実装するように、コンピュータ又は他のプロセッサをプログラムするために採用することができる、任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能命令のセットを指すように使用される。実行されたときに本解決策の方法を実施する1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に存在する必要はないが、本解決策の様々な態様を実装するために、いくつかの異なるコンピュータ又はプロセッサの中にモジュラー方式で分散され得る。
【0122】
コンピュータ実行可能命令は、プログラムモジュールなどの多くの形態であり得、1つ以上のコンピュータ又は他のデバイスによって実行され得る。プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するか、又は特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、又は他のコンポーネントを含むことができる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で所望に応じて組み合わせ又は分散させることができる。
【0123】
また、データ構造は、任意の好適な形態でコンピュータ可読媒体に記憶され得る。例示を簡略化するために、データ構造は、データ構造内の位置を通して関連付けられるフィールドを有するように示され得る。そのような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝達するコンピュータ可読媒体内の位置を有するフィールドのためのストレージを割り当てることによって達成され得る。しかしながら、任意の好適なメカニズムを使用して、ポインタ、タグ、又はデータ要素間の関係を確立する他のメカニズムの使用を含む、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立し得る。
【0124】
単数形で本明細書において言及されるシステム及び方法の実装形態又は要素又は行為への任意の言及は、複数のこれらの要素を含む実装形態を含むことができ、複数形での本明細書の任意の実装形態又は要素又は行為への任意の言及は、単一の要素のみを含む実装形態を含むことができる。単数形又は複数形での言及は、本明細書で開示されているシステム又は方法、それらの構成要素、作用、又は要素を単数形又は複数形の構成に限定することを意図しない。任意の情報、行為、又は要素に基づいている任意の行為又は要素への言及は、行為又は要素が任意の情報、行為、又は要素に少なくとも部分的に基づいている実装形態を含み得る。
【0125】
本明細書に開示される任意の実装形態は、任意の他の実装形態と組み合わされ得、「ある実装形態」、「一部の実装形態」、「代替の実装形態」、「様々な実装形態」への言及は、必ずしも互いに排他的ではなく、実装形態に関連して説明される特定の機能、構造、又は特徴が少なくとも1つの実装形態に含まれ得ることを示すことが意図される。本明細書で使用される場合、かかる用語は、必ずしも全て同じ実装形態を指すものではない。任意の実装形態は、本明細書に開示される態様及び実装形態と一致する任意の様式で、包括的又は排他的に任意の他の実装形態と組み合わされ得る。
【0126】
「又は」への言及は、「又は」を使用して説明された任意の用語が、説明された用語の単一、複数、及び全てのいずれかを示すことができるように、包括的であると解釈され得る。用語の接続詞リストのうちの少なくとも1つへの言及は、説明された用語の単一、複数、及び全てのうちのいずれかを示す包含的な「又は(OR)」として解釈され得る。例えば、「『A』及び『B』のうちの少なくとも1つ」への言及は、『A』のみ、『B』のみ、並びに『A』及び『B』の両方を含むことができる。「A」及び「B」以外の要素もまた、含むことができる。
【0127】
本明細書に説明されるシステム及び方法は、その特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。前述の実装形態は、説明されたシステム及び方法を限定するのではなく、例示的である。
【0128】
図面、詳細な説明、又は任意の請求項における技術的特徴の後に参照符号が付されている場合、参照符号は、図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲の明瞭性を増加させるために含まれている。したがって、参照符号があってもなくても、いかなる請求項の要素の範囲に対しても何ら限定的な効果を有しない。
【0129】
本明細書に説明されるシステム及び方法は、その特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。前述の実装形態は、説明されたシステム及び方法を限定するのではなく、例示的である。したがって、本明細書に説明されるシステム及び方法の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲内に入る変更は、その中に包含される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18
【国際調査報告】