IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーエスベー・アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特表-スプラッシュリング 図1
  • 特表-スプラッシュリング 図2
  • 特表-スプラッシュリング 図3
  • 特表-スプラッシュリング 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】スプラッシュリング
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/06 20060101AFI20240816BHJP
   F04D 1/08 20060101ALI20240816BHJP
   F16C 19/54 20060101ALI20240816BHJP
   F16N 7/18 20060101ALI20240816BHJP
   F16N 7/20 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F04D29/06
F04D1/08 Z
F16C19/54
F16N7/18
F16N7/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513233
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2022071802
(87)【国際公開番号】W WO2023025551
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】102021122207.9
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ベーム,ユルク・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ノーベル,タムズ
【テーマコード(参考)】
3H130
3J701
【Fターム(参考)】
3H130AA04
3H130AB22
3H130AB48
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB68
3H130AC01
3H130BA56E
3H130BA93Z
3H130DB08Z
3H130DD01Z
3H130DF02Z
3H130EC12Z
3H130EC15Z
3H130EC16Z
3H130EC17Z
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA43
3J701AA52
3J701AA54
3J701AA62
3J701EA67
3J701FA31
3J701GA29
(57)【要約】
本発明は、シャフト(3)によって駆動される少なくとも1つのインペラ(2)を有する遠心ポンプ(1)に関する。シャフト(3)は、軸受(4)によって回転可能に支持される。分配アセンブリ(5)がシャフト(3)に動作可能に接続され、この分配アセンブリ(5)は、潤滑手段(6)内に部分的に浸漬される。分配アセンブリ(5)は、少なくとも2つの要素(8)からなる構造体(7)の形態で設計される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(3)によって駆動される少なくとも1つのインペラ(2)を備える遠心ポンプ(1)であって、
前記シャフト(3)は、軸受(4)によって回転可能に支持され、
潤滑手段(6)内に浸漬される分配機構(5)が、前記シャフト(3)に動作可能に接続され、
前記分配機構(5)は、少なくとも2つの要素(8)から形成される構造体(7)として設計されることを特徴とする、遠心ポンプ。
【請求項2】
前記構造体(7)の複数の前記要素(8)は、互いに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
複数の前記要素(8)は、互いに対して少なくとも部分的に移動可能になるように配置されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の遠心ポンプ。
【請求項4】
複数の前記要素(8)は、少なくとも部分的に相互係合されることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
【請求項5】
前記要素(8)は、空洞(9)を有することを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
【請求項6】
前記要素(8)は、リングとして設計されることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記要素(8)は、搬送部材(10)として設計されることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
【請求項8】
前記分配機構(5)は、2つの軸受(4)の間に配置されることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
【請求項9】
前記潤滑手段(6)は、リザーバ(11)内に配置されることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
【請求項10】
前記分配機構(5)は、シリンダ形接触要素(12)を備えることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
【請求項11】
前記分配機構(5)は、付加製造されることを特徴とする、請求項1~請求項10のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
【請求項12】
ターボ機械のシャフト(3)上の前記軸受(4)を潤滑するための請求項1~請求項11のいずれか1つに記載の分配機構(5)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトによって駆動される少なくとも1つのインペラを備える遠心ポンプであって、シャフトは、軸受によって回転可能に支持され、潤滑手段内に浸漬される分配機構が、シャフトに動作可能に接続される、遠心ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
遠心ポンプは、一様に回転するインペラにより、インペラを通して流れる流体に対してもたらされるトルクの結果として渦流を変化させることによって、エネルギーを流体に伝達する動作原理に基づくものである。遠心ポンプは、エネルギー流の方向に従う作業機であり、エネルギー変換のタイプに従うターボ機械であり、流体のタイプに従う液圧式(例えば油圧式)ターボ機械である。
【0003】
遠心ポンプは、概して、シャフト上に配置され、1つ以上の電気モータによって駆動される1つ以上のインペラを備える。電気モータは、回転速度を調節し、かつ、周波数を変換する電子機器によって制御される。
【0004】
シャフトとは、回転運動及びトルクを伝達するために使用される、細長い円筒形の回転機械要素である。シャフトは、通常、機械フレームワーク内の少なくとも2つの軸受(ベアリング)によって支援される。軸受は、アキシャル軸受及び/又はラジアル軸受として設計することができる。
【0005】
軸受とは、互いに対して移動可能な構成要素をガイドする機械要素を指す。軸受により、所望の自由度での移動が可能になり、不所望の自由度での移動が防止される。軸受において、互いに対して移動可能な部品は、互いに接触しているか、又は潤滑膜によって互いから幾分は分離される。この潤滑膜がないと、軸受はすぐに欠陥品になり得る。
【0006】
遠心ポンプシャフトを支持する軸受の潤滑のために、通常、ルーズリング又はディスクがシャフトに押し込まれる。シャフトの回転運動により、通常、潤滑膜はすぐ近くに制御されずに分配され、その結果、周囲に配置される軸受も潤滑されることがある。しかしながら、長期的に見ると、そのようなリング及びディスクは、シャフトに「食い」込むため、シャフトを壊してしまう。
【0007】
欧州特許出願公開第1396610号明細書は、機械要素を回転させる軸受アセンブリを開示している。このアセンブリは、軸受ハウジングと、第1のシールアセンブリ受け面を有する第1のハウジング部と、第2のシール機構受け面を有すると共に潤滑剤の液溜めを形成する第2のハウジング部と、これら受け面と少なくとも部分的に接触するように配置されるシール機構とを備える。更に、このアセンブリは、第1のハウジング部が第2のハウジング部と係合することによってハウジング内にシールされる軸受セットと、機構の動作中に液溜めから潤滑剤を取り出すためにハウジング内に配置される潤滑リングとを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、遠心ポンプ内のインペラシャフトの軸受に潤滑剤(例えば潤滑油)を信頼性高く狙って供給する分配機構(分配アセンブリ)を提供することである。分配機構は、シャフト及び軸受を損傷から保護すると共に、自身の損傷を引き起こさないものとするべきである。分配機構は、個別かつ顧客志向的に構成可能とするべきである。また、分配機構は、単純にかつ費用効果高く実装可能とするべきである。更に、分配機構は、組立てが可能な限り単純に、また、使用後のリサイクルが簡単であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明に従う、少なくとも1つのインペラ(羽根車)を備える遠心ポンプによって達成される。好ましい変形形態は、従属項、説明及び図面に見ることができる。
【0010】
本発明によれば、分配機構は、少なくとも2つの要素から形成される構造体として設計される。
【0011】
要素は、構造体の基本的な構成要素であり、その特性を失うことなく更に分割することができない。本発明によれば、要素は、リング及び/又は部材として、スリーブ及び/又は小穴あきプレート及び/又は円錐形中空体として設計することができる。
【0012】
構造体の複数の要素は、少なくとも部分的に互いに接続されるが、互いに対して移動可能になるように配置されることが有利である。そのような接続は、例えば、相互連結リングの形態で、直接もたらされることが好ましい。このように接続される複数の要素の構成により、シート様構造、好ましくは要素チェーン及び/又は要素メッシュが形成される。
【0013】
本発明の1つの有利な変形形態において、構造体の複数の要素は、互いに接続される。この接続は、隣接する要素同士の間にもたらされることが好ましく、この場合、少なくとも2つの隣接する要素を伴う。加えて、3つ、好ましくは4つ、特に5つの、隣接する要素が、共通の要素に接続されることで、スレッド様(糸様)又はシート様構造を生み出すことも可能である。
【0014】
本発明の1つの好ましい変形形態において、全ての要素が全ての他の要素に接続されるとは限らない。個別の要素は、1つ又は2つの周囲要素のみに接続されることが好ましい。これにより、分配機構の複数の要素のチェーン様構造が生み出される。1つの特に好ましい変形形態において、分配機構は、周辺に配置されるインペラシャフトの軸受に潤滑剤を特に有利で狙って搬送する複数のチェーン様構造を有する。
【0015】
理想的には、静止状態において、複数の要素の少なくとも1つの開放チェーン(開鎖)は、潤滑剤に浸かり、更に、潤滑剤を軸受に向かって移動させる。本発明の1つの代替的な変形形態において、分配機構は、スレッド様(糸様)及び/又は螺旋状設計を有する。
【0016】
構造体の複数の要素は、互いに対して少なくとも部分的に移動可能になるように配置され、これにより、分配機構の柔軟性が特に促進され、結果として、潤滑剤の搬送も促進されることが好ましい。
【0017】
本発明の1つの有利な変形形態において、構造体の複数の要素は相互係合され、結果として、分配機構は、特に柔軟な構成を有する。柔軟な接続により、複数の要素の互いに対する配置は、特に回転運動の形態である外力に基づいて影響される可能性があり、その結果、潤滑剤をシャフト軸受に狙って(的を絞って)供給することができる。
【0018】
有利には、構造体の要素は、空洞を有する。潤滑剤は空洞を通して流れ、潤滑剤の狙った適用のために要素の回転運動によって運ばれ得る。要素の構成に応じて、空洞は、より大きい又は小さいため、潤滑剤の所望の移送のために構成可能である。
【0019】
少なくともいくつかの要素は、リング及び/又は中空部材として設計されることが好ましい。結果として、分配機構の構造は、特にフィリグリーかつ柔軟な設計を有する。要素のそのような構成は、特に少ない材料使用量で生産することができると同時に、潤滑対象の箇所に潤滑剤を特に効率的に搬送する分配機構を達成する。
【0020】
本発明の1つの特に有利な変形形態において、少なくとも1つの要素は、搬送部材として設計される。例えば、バケツ又はスコップ(手桶又は柄杓)の形態であるそのような搬送部材は、少なくとも1つの更なる要素に接続され、従って、分配機構に接続される。搬送部材は、特に大量の潤滑剤を狙って移動させることができる部品形状を有する。
【0021】
分配機構は、分配機構が2つの軸受間に配置されるとき、遠心ポンプ内のインペラシャフトの軸受を特に効率的に潤滑する。分配機構の特定の設計により、少なくとも2つの軸受を1つの分配機構だけで狙って潤滑することが可能になる。
【0022】
潤滑手段は、リザーバ(貯留部)、特にトラフ(凹部)内に配置され、ここで、分配機構は、アイドル状態では浸漬され、分配機構は、移動状態ではリザーバを通して摺動することが好ましい。これと要素の特定の設計との結果として、分配機構は、インペラシャフト自体に損傷を引き起こすことなく、インペラシャフトを潤滑する潤滑剤を特に有利に搬送する。
【0023】
本発明の1つの有利な設計変形形態において、分配機構は、シャフトに動作可能に接続されるシリンダ形接触要素(円筒形接触要素)を備える。結果として、分配機構は、一体回転可能に(相対回転不能に)シャフトに接続されることが好ましい。接触要素は、構造体の少なくとも1つの要素が相互係合によって接続される、少なくとも1つのアンカー要素(固定要素)を含むことが好ましい。
【0024】
理想的には、分配機構を形成する構造体の複数の要素が付加製造される。この特定の製造技術によって、材料使用量を最小限にして非常に迅速に構造体を柔軟に製造することができる。特に、互いに対して部分的に移動可能になるように同時に配置される複数の要素の相互接続は、付加製造技術(additive manufacturing technology)を使用することでしか達成することができない。
【0025】
少なくとも2つの要素から形成される、付加製造された構造体は、付加製造プロセスを使用して生成されたものである。「付加製造プロセス」という用語は、材料を層ごとに堆積させ、その結果として、三次元要素を生産する、全ての製造プロセスを含む。コンピュータを使用することで、1つ以上の液体材料又は固体材料の層ごとの構築を既定の寸法及び形状に従って制御する。構築中、物理的又は化学的な硬化又は溶融プロセスが行われる。3Dプリンティングの典型的な材料は、プラスチック材料、合成樹脂、セラミックス、金属、カーボン材料(炭素材料)及びグラファイト材料(黒鉛材料)である。
【0026】
生成的(generative)製造プロセス又は付加製造プロセスとは、要素から形成される三次元構造体を生産するために材料を層ごとに堆積させるプロセスを意味するものと理解される。本発明によれば、分配機構は、少なくとも2つの要素から形成される、付加製造された構造体として設計される。特に、選択的レーザ溶融及びクラッディング(これは堆積溶接としても知られている)は、要素を形成するために使用される。本発明の1つの代替的な変形形態において、可溶プラスチック材料の堆積と組み合わせた押出成形も、使用することができるプロセスである。
【0027】
選択的レーザ溶融の場合、構造体の要素は、構築材料の層を最初に基板に適用するプロセスによって生産される。要素を生産するための構築材料は、金属粉末粒子であることが好ましい。本発明の1つの変形形態において、このために鉄含有及び/又はコバルト含有粉末粒子が使用される。これらは、クロミウム、モリブデン又はニッケル等の添加物を含有することができる。金属構築材料の薄層を粉末形態でプレートに適用する。次いで、粉末状材料をそれぞれの所望の箇所で放射線によって局所的に完全に溶融させ、固化後、固体材料層が形成される。その後、基板を一層分の厚さだけ降下させ、粉末をもう一度堆積させる。層の全てが生産されるまでこのサイクルを繰り返し、その結果、完成した要素が形成される。本発明によれば、これにより、特にフィリグリーであると共に、分配機構として最適化された構造体の要素が生産される。従来のプロセスを使用して要素を生産することは技術的に不可能である。
【0028】
使用される放射線は、例えば、個別の粉末層から要素を生成するレーザビームとすることができる。レーザビームを誘導するデータは、3D-CAD体に基づくソフトウェアによって生産される。選択的レーザ溶融の代替として、電子ビーム(EBN)を使用してもよい。
【0029】
堆積溶接又はクラッディングの場合、要素は、溶接によって初期部片(初期ピース)を被覆する(コーティングする)プロセスによって生産される。ワイヤ又は粉末の形態である溶接フィラー材料(溶接充填材料)によって、堆積溶接は、特にフィリグリーであると共に最適化された要素の形態を達成する体積体を構築する。
【0030】
従来式に又は生成的に製造することができる接触要素を有する構成により、分配機構は特に組立てが容易になる。分配機構の材料は、遠心ポンプにおいて使用した後にリサイクルすることによって、材料サイクルに戻すことができる。
【0031】
本発明の1つの代替的な変形形態において、複数の要素は、環状の構造体を形成するように設計される。要素自体は、相互係合されて組み合わされることで大リングを形成する小リングとして設計され、大リングは、一体回転可能にシャフトに接続されないことが好ましい。
【0032】
分配機構の特定の構造体は、周囲空間内で潤滑剤の均一な分配を達成し、インペラシャフトの軸受に潤滑剤を特に信頼性高く供給する。これにより、遠心ポンプの連続的で持続的な(長期にわたる)動作が可能になる。
【0033】
相互係合されて互いに対して移動可能になるように配置される構造体の要素と、要素の空洞とが、シャフトの回転運動と組み合わされることにより、構造体内の内部ダクトを介して潤滑剤も搬送されることが好ましい。最終要素(端の要素)の有利な設計により、潤滑剤の最適な射出角度がもたらされ、その結果、分配機構の周辺に取り付けられる軸受は、狙って安全かつ十分に潤滑される。
【0034】
本発明の別の変形形態において、分配機構を有する潤滑剤リザーバが、インペラシャフトの各軸受に設けられる。
【0035】
本発明の1つの特に有利な実施形態において、構造体の複数の要素は、選択的レーザ溶融によってマクロ細孔(macroporosity)を有して狙って形成される。要素のこの細孔と、シャフトの回転運動とにより、分配機構内の内部ダクトを介した潤滑剤の移送と、軸受の信頼性高い潤滑とが達成される。
【0036】
本発明によれば、分配機構は、ターボ機械のシャフト上、特に少なくとも1つのインペラを有する遠心ポンプ上の軸受を潤滑するために使用される。
【0037】
本発明の更なる特徴及び利点は、図面を参照しながら例示的な実施形態の説明から、また、図面自体から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】従来技術における多段遠心ポンプの断面図である。
図2】従来技術における潤滑剤リザーバを有する遠心ポンプの詳細の図である。
図3】分配機構の設計変形形態を示す図である。
図4】複数の搬送部材を有する分配機構の設計変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、例として、従来技術における、水平であり、軸方向に分割され、単一流(シングルフロー)、多段であり、両側で支持され、単一のハウジング及び複数の逆回転インペラ(counter-rotating impellers)2を有する渦巻ハウジングポンプの形態である遠心ポンプ1を示している。高圧ポンプは、軸方向スラストの補償を目的として部分的に逆回転(相反転)するように配置される9つのインペラ2を有する。シャフト3は、複数の軸受4によって両端が支持される。軸受4は、この実施形態においては、ころ軸受機構として設計される。ポンプの高稼働率を確実にするために、ころ軸受は、潤滑手段6によって連続的に潤滑される。潤滑手段6は、リザーバ(貯留部)11内に収容される。
【0040】
図2は、潤滑剤リザーバ11を有する既知の遠心ポンプ1のシャフト軸受機構の詳細を示している。シャフト3は、3つの軸受4によって回転可能に支持される。この変形形態において、分配機構(分配アセンブリ)5は、シャフト3に緩く取り付けられるディスクとして設計される。ディスクは、リザーバ11内に収容される潤滑手段6に浸漬される。シャフト3の回転運動により、ディスクはシャフト3と共に回転し、更に、潤滑剤6は方向付けのないまま分配される(分散される)。そのため、周囲の軸受4にも潤滑剤6が供給される。
【0041】
図3は、分配機構5の設計変形形態を示している。分配機構5は、接触要素12によって一体回転可能にシャフト3に接続される。この設計変形形態において、接触要素12は、シリンダ形スリーブ(円筒形スリーブ)として設計される。この例示的な実施形態において、構造体7は、分配機構5の開放チェーン(開鎖)として形成される2つのスレッド様(糸様)要素8によって形成される。複数の要素8は、互いに対して部分的に接続され、互いに対して緩くなるように部分的に配置される、生成的に製造された複数のリングとして生産される。各リングは、潤滑剤の分配を改善する空洞9をそれぞれ有する。構造体7は、潤滑剤リザーバ(この図には示さず)内に浸漬され、潤滑手段6をシャフト軸受機構の複数の軸受4(図示せず)に向かって狙って分配する。潤滑対象の軸受4の配置に応じて、構造体7は、接触要素12上の別の位置を取ることができる。同様に、軸受4の位置に従って、接触要素12を相応してシャフト上に配置することができる。加えて、複数の要素8の接続は、潤滑剤6が軸受4に向かって直接搬送されるように構成することができる。
【0042】
図4は、複数の搬送部材10を有する分配機構5の設計変形形態を示している。分配機構5は、接触要素12によって一体回転可能にシャフト3に接続される。この設計変形形態において、接触要素12は、シリンダ形スリーブ(円筒形スリーブ)として設計される。構造体7は、それぞれにおいて、付加製造された複数の要素8の2つの開放チェーン(開鎖)を備え、複数の要素8は、互いに接続され、部分的に移動可能になるように配置され、その間では、それぞれにおいて、個別の生成的に製造された搬送部材10が移動可能になるように配置される。そのような構造体7を2つ又は3つ又は4つ又は複数、それぞれにおいて、接触要素12上でオフセットして(ずらして)配置することが可能である。構造体7の台形の形状により、分配機構5の隣に(付近に)配置される軸受4への潤滑手段6の安全で信頼性高く狙った分配が促進される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(3)によって駆動される少なくとも1つのインペラ(2)を備える遠心ポンプ(1)であって、
前記シャフト(3)は、軸受(4)によって回転可能に支持され、
潤滑手段(6)内に浸漬される分配機構(5)が、前記シャフト(3)に動作可能に接続され、
前記分配機構(5)は、少なくとも2つの要素(8)から形成される構造体(7)として設計されることを特徴とする、遠心ポンプ。
【請求項2】
前記構造体(7)の複数の前記要素(8)は、互いに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
複数の前記要素(8)は、互いに対して少なくとも部分的に移動可能になるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項4】
複数の前記要素(8)は、少なくとも部分的に相互係合されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項5】
前記要素(8)は、空洞(9)を有することを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項6】
前記要素(8)は、リングとして設計されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記要素(8)は、搬送部材(10)として設計されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項8】
前記分配機構(5)は、2つの軸受(4)の間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項9】
前記潤滑手段(6)は、リザーバ(11)内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項10】
前記分配機構(5)は、シリンダ形接触要素(12)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項11】
前記分配機構(5)は、付加製造されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項12】
ターボ機械のシャフト(3)上の前記軸受(4)を潤滑するための請求項1に記載の分配機構(5)の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
図4は、複数の搬送部材10を有する分配機構5の設計変形形態を示している。分配機構5は、接触要素12によって一体回転可能にシャフト3に接続される。この設計変形形態において、接触要素12は、シリンダ形スリーブ(円筒形スリーブ)として設計される。構造体7は、それぞれにおいて、付加製造された複数の要素8の2つの開放チェーン(開鎖)を備え、複数の要素8は、互いに接続され、部分的に移動可能になるように配置され、その間では、それぞれにおいて、個別の生成的に製造された搬送部材10が移動可能になるように配置される。そのような構造体7を2つ又は3つ又は4つ又は複数、それぞれにおいて、接触要素12上でオフセットして(ずらして)配置することが可能である。構造体7の台形の形状により、分配機構5の隣に(付近に)配置される軸受4への潤滑手段6の安全で信頼性高く狙った分配が促進される。
尚、出願当初の請求項は以下の通りであった。
[請求項1]
シャフト(3)によって駆動される少なくとも1つのインペラ(2)を備える遠心ポンプ(1)であって、
前記シャフト(3)は、軸受(4)によって回転可能に支持され、
潤滑手段(6)内に浸漬される分配機構(5)が、前記シャフト(3)に動作可能に接続され、
前記分配機構(5)は、少なくとも2つの要素(8)から形成される構造体(7)として設計されることを特徴とする、遠心ポンプ。
[請求項2]
前記構造体(7)の複数の前記要素(8)は、互いに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
[請求項3]
複数の前記要素(8)は、互いに対して少なくとも部分的に移動可能になるように配置されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の遠心ポンプ。
[請求項4]
複数の前記要素(8)は、少なくとも部分的に相互係合されることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
[請求項5]
前記要素(8)は、空洞(9)を有することを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
[請求項6]
前記要素(8)は、リングとして設計されることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
[請求項7]
少なくとも1つの前記要素(8)は、搬送部材(10)として設計されることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
[請求項8]
前記分配機構(5)は、2つの軸受(4)の間に配置されることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
[請求項9]
前記潤滑手段(6)は、リザーバ(11)内に配置されることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
[請求項10]
前記分配機構(5)は、シリンダ形接触要素(12)を備えることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
[請求項11]
前記分配機構(5)は、付加製造されることを特徴とする、請求項1~請求項10のいずれか1つに記載の遠心ポンプ。
[請求項12]
ターボ機械のシャフト(3)上の前記軸受(4)を潤滑するための請求項1~請求項11のいずれか1つに記載の分配機構(5)の使用。
【国際調査報告】