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特表2024-530746ディフューザアセンブリ、電動ファン及び掃除機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ディフューザアセンブリ、電動ファン及び掃除機器
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
F04D29/58 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513283
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2022079370
(87)【国際公開番号】W WO2023029421
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111040484.9
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122146156.9
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517413993
【氏名又は名称】広東威霊電机制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG WELLING MOTOR MANUFACTURING CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.27 XINGYE ROAD,INDUSTRIAL PARK,BEIJIAO TOWN,SHUNDE DISTRICT,FOSHAN,GUANGDONG 528311,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】金毅
(72)【発明者】
【氏名】呂琢
(72)【発明者】
【氏名】丁栄
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC21
3H130BA33A
3H130BA66A
3H130CA08
3H130CA26
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DG02X
3H130EA02A
(57)【要約】
ディフューザアセンブリを提供する。ディフューザアセンブリは、内ケース(310)と、外ケース(320)と、ディフューザ羽根とを含み、外ケース(320)と内ケース(310)とは、間隔をおいて設置され、外ケース(320)と内ケース(310)との間にディフューザ通路が形成され、ディフューザ羽根は、ディフューザ通路内に設けられ、且つ内ケース(310)の周方向に沿って配置され、内ケース(310)の軸方向においてディフューザ羽根の末端が内ケース(310)の末端よりも突出する。電動ファン及び掃除機器をさらに提供する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内ケースと、
前記内ケースと間隔をおいて設置され、前記内ケースとの間にディフューザ通路を形成する外ケースと、
前記ディフューザ通路内に設けられ、且つ前記内ケースの周方向に沿って配置されるディフューザ羽根と、を含み、
前記内ケースの軸方向において前記ディフューザ羽根の末端が前記内ケースの末端よりも突出する、ディフューザアセンブリ。
【請求項2】
前記内ケースの軸方向において、前記ディフューザ羽根の高さをh1とし、前記内ケースと前記ディフューザ羽根の吸気端との嵌合箇所から前記内ケースの末端までの高さをh2としたとき、前記h1と前記h2は、0.4≦h2/h1≦0.8を満たす、請求項1に記載のディフューザアセンブリ。
【請求項3】
前記内ケースの内部は、固定子を収納するために用いられ、前記固定子の外周壁と前記内ケースの内周壁とは、間隔をおいて設置される、請求項1に記載のディフューザアセンブリ。
【請求項4】
前記ディフューザアセンブリは、固定子を取り付けるための取り付け部をさらに含み、前記取り付け部は、前記ディフューザ羽根の、前記内ケースの軸方向における末端に設けられる、請求項1に記載のディフューザアセンブリ。
【請求項5】
前記ディフューザ羽根は、複数の第一の羽根と複数の第二の羽根とを含み、前記内ケースの軸方向において、前記第一の羽根と前記取り付け部との間は、滑らかに移行して接続され、前記第二の羽根は、隣接する前記第一の羽根の間に設けられる、請求項4に記載のディフューザアセンブリ。
【請求項6】
前記第一の羽根と前記取り付け部とは、一体成形である、請求項5に記載のディフューザアセンブリ。
【請求項7】
前記第一の羽根は、6個設けられ、前記第一の羽根と前記第二の羽根は、前記内ケースの周方向に沿って均一に分布して設置される、請求項5に記載のディフューザアセンブリ。
【請求項8】
前記取り付け部は、ネジ穴であり、前記固定子は、ネジによって前記取り付け部に固定して接続される、請求項4に記載のディフューザアセンブリ。
【請求項9】
内部に固定子を収納するための収容キャビティを形成する内ケースと、
前記内ケースと間隔をおいて設置され、前記内ケースとの間にディフューザ通路を形成する外ケースと、
前記ディフューザ通路内に設けられ、且つ前記内ケースの周方向に沿って配置されるディフューザ羽根と、を含み、
前記内ケースの軸方向における末端に切り欠き溝が設けられ、前記切り欠き溝は、前記ディフューザ通路と前記収容キャビティとを連通させる、ディフューザアセンブリ。
【請求項10】
前記内ケースの軸方向において、前記ディフューザ羽根の末端は、前記切り欠き溝の底壁よりも突出する、請求項9に記載のディフューザアセンブリ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のディフューザアセンブリを含む、電動ファン。
【請求項12】
請求項11に記載の電動ファンを含む、掃除機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年9月6日に提出された、出願番号が202111040484.9であり、名称が「ディフューザアセンブリ、電動ファン及び掃除機器」である中国特許出願、及び2021年9月6日に提出された、出願番号が202122146156.9であり、名称が「ディフューザアセンブリ、電動ファン及び掃除機器」である中国実用新案登録出願の優先権を主張しており、同出願の内容のすべては、援用で本出願に取り込まれる。
【0002】
本開示は、電動ファンの技術分野に関し、特にディフューザアセンブリ、電動ファン及び掃除機器に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術では、ハンドヘルド型集塵器内の電動ファンは体積が小さく、回転速度が速い。電動ファンのモータがインペラを回転駆動すると、シュラウドの入口で真空度が大きくなり、気流は、シュラウドの開口部より吸い込まれ、インペラの流路を通って比較的大きな運動エネルギーを得てから、後部のディフューザを介して流出する。電動ファンの体積が小さく、出力が高く、且つディフューザの気流がモータを通らないため、モータの放熱状況が比較的悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、従来技術における技術的課題の少なくとも一つを解決することを目的とする。そのために、本開示は、一部のディフューザ気流を導いてモータを放熱させることによって放熱効率を向上させることができるとともに、ディフューザ気流に対する干渉が比較的小さいディフューザアセンブリを提供する。
【0005】
本開示は、上記ディフューザアセンブリを備える電動ファンをさらに提供する。
【0006】
本開示は、上記電動ファンを備える掃除機器をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第一の態様の実施例によるディフューザアセンブリは、内ケースと、前記内ケースと間隔をおいて設置され、前記内ケースとの間にディフューザ通路を形成する外ケースと、前記ディフューザ通路内に設けられ、且つ前記内ケースの周方向に沿って配置されるディフューザ羽根とを含み、前記内ケースの軸方向において前記ディフューザ羽根の末端が前記内ケースの末端よりも突出する。
【0008】
本開示の実施例によるディフューザアセンブリは、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、内ケース、外ケース及びディフューザ羽根から形成されるディフューザ通路を設けるとともに、ディフューザ羽根の末端を内ケースの軸方向において内ケースの末端よりも突出させることによって、ディフューザ通路の一部の気流を内ケースの内部へ導いて、内ケースのモータ付近の空気の流れを強め、モータの放熱を速め、モータの温度を下げることができる。そして、ディフューザ通路の排気端で一部のディフューザ気流を分流させてモータの放熱に使用することは、ディフューザ効果への影響が比較的小さく、ひいてはディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータの放熱を強化する。
【0009】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記内ケースの軸方向において、前記ディフューザ羽根の高さをh1とし、前記内ケースと前記ディフューザ羽根の吸気端との嵌合箇所から前記内ケースの末端までの高さをh2としたとき、前記h1と前記h2は、0.4≦h2/h1≦0.8を満たす。
【0010】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記内ケースの内部は、固定子を収納するために用いられ、前記固定子の外周壁と前記内ケースの内周壁とは、間隔をおいて設置される。
【0011】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記ディフューザアセンブリは、固定子を取り付けるための取り付け部をさらに含み、前記取り付け部は、前記ディフューザ羽根の、前記内ケースの軸方向における末端に設けられる。
【0012】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記ディフューザ羽根は、複数の第一の羽根と複数の第二の羽根とを含み、前記内ケースの軸方向において、前記第一の羽根と前記取り付け部との間は、滑らかに移行して接続され、前記第二の羽根は、隣接する前記第一の羽根の間に設けられる。
【0013】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記第一の羽根と前記取り付け部とは、一体成形である。
【0014】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記第一の羽根は、6個設けられ、前記第一の羽根と前記第二の羽根は、前記内ケースの周方向に沿って均一に分布して設置される。
【0015】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記取り付け部は、ネジ穴であり、前記固定子は、ネジによって前記取り付け部に固定して接続される。
【0016】
本開示の第二の態様の実施例によるディフューザアセンブリは、内部に固定子を収納するための収容キャビティを形成する内ケースと、前記内ケースと間隔をおいて設置され、前記内ケースとの間にディフューザ通路を形成する外ケースと、前記ディフューザ通路内に設けられ、且つ前記内ケースの周方向に沿って配置されるディフューザ羽根と、を含み、前記内ケースの軸方向における末端に切り欠き溝が設けられ、前記切り欠き溝は、前記ディフューザ通路と前記収容キャビティとを連通させる。
【0017】
本開示の実施例によるディフューザアセンブリは、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、内ケース、外ケース及びディフューザ羽根から形成されるディフューザ通路を設けるとともに、内ケースの軸方向における末端に、固定子を収納するための収容キャビティに連通する切り欠き溝を設けることによって、ディフューザ通路の一部の気流を収容キャビティ内へ導いて、固定子付近の空気の流れを強め、モータの放熱を速め、モータの温度を下げることができ、それによって電動ファンの信頼性と作動効率を向上させる。そして、切り欠き溝をディフューザ通路の排気端に設置することによって一部のディフューザ気流を分流させてモータの放熱に使用することは、ディフューザ効果への影響が比較的小さく、ひいてはディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータの放熱を強化する。
【0018】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記ディフューザ羽根の末端は、前記切り欠き溝の底壁よりも突出する。
【0019】
本開示の第三の態様の実施例による電動ファンは、以上の実施例に記載のディフューザアセンブリを含む。
【0020】
本開示の実施例による電動ファンは、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、以上の実施例のディフューザアセンブリを採用し、ディフューザアセンブリは、内ケース、外ケース及びディフューザ羽根から形成されるディフューザ通路を設けるとともに、ディフューザ羽根の末端を内ケースの軸方向において内ケースの末端よりも突出させることによって、ディフューザ通路の一部の気流を内ケースの内部へ導いて、内ケースのモータ付近の空気の流れを強め、モータの放熱を速め、モータの温度を下げることができ、それによって電動ファンの信頼性と作動効率を向上させる。そして、ディフューザ通路の排気端で一部のディフューザ気流を分流させてモータの放熱に使用することは、ディフューザ効果への影響が比較的小さく、ひいてはディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータの放熱を強化する。
【0021】
本開示の第四の態様の実施例による掃除機器は、以上の実施例に記載の電動ファンを含む。
【0022】
本開示の実施例による掃除機器は、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、第三の態様の実施例の電動ファンを採用し、電動ファンは、ディフューザアセンブリを含み、ディフューザアセンブリは、内ケース、外ケース及びディフューザ羽根から形成されるディフューザ通路を設けるとともに、ディフューザ羽根の末端を内ケースの軸方向において内ケースの末端よりも突出させることによって、ディフューザ通路の一部の気流を内ケースの内部へ導いて、内ケースのモータ付近の空気の流れを強め、モータの放熱を速め、モータの温度を下げることができ、それによって電動ファンの信頼性と作動効率を向上させる。そして、ディフューザ通路の排気端で一部のディフューザ気流を分流させてモータの放熱に使用することは、ディフューザ効果への影響が比較的小さく、ひいてはディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータの放熱を強化する。
【0023】
本開示の追加の態様と利点は、部分的に以下の記述において与えられ、部分的に以下の記述から明らかになるか、又は本開示の実践により理解される。
【0024】
以下、図面と実施例を結び付けながら本開示をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の実施例による電動ファンの断面概略図である。
図2】本開示の実施例による電動ファンの分解概略図である。
図3】本開示の実施例による固定インペラとケーシングアセンブリの分解図である。
図4図3におけるケーシングアセンブリの構造概略図である。
図5図4の断面概略図である。
図6図4の底面概略図である。
図7】本開示の実施例による電動ファンにおけるh1/h2と巻線温度及びファン効率との関係図である。
図8】本開示の別の実施例によるケーシングアセンブリの構造概略図である。
図9】本開示の別の実施例によるケーシングアセンブリの外ケースを外した構造概略図である。
図10a図9における第一の羽根の気流の概略図である。
図10b】従来技術におけるリブの気流の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施例を詳細に説明する。前記実施例の例は、図面において示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一若しくは類似の要素又は同一若しくは類似の機能を有する要素を示す。以下、図面を参照して記述している実施例は、例示的なもので、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本開示に対する制限と理解されるべきではない。
【0027】
本開示の記述において、方向に関する記述、例えば上下などで指示される方向や位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、単に本開示の説明の便宜上、説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は要素が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されなければならないことを指示又は示唆するものではなく、本開示に対する制限と理解されるべきではない。
【0028】
本開示の記述において、複数とは、二つ以上を意味する。第一や第二という記述は、技術的特徴を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は示唆するもの、又は指示される技術的特徴の数を暗黙的に示すもの、又は指示される技術的特徴の前後関係を暗黙的に示すものとして理解されるべきではない。
【0029】
本開示の記述において、特に明確に限定しない限り、設置、取り付け、接続などの用語は、広義に理解されるべきであり、当業者であれば、技術案の具体的な内容と結び付けて上記用語の、本開示における具体的な意味を合理的に決定してもよい。
【0030】
図1図2を参照すると、本開示の実施例の電動ファン1000は、集塵器などの掃除機器、特に小型化が要求されるハンドヘルド型集塵器又はロボット掃除機などの携帯型機器に用いられてもよい。本開示の実施例の電動ファン1000は、シュラウド100と、可動インペラ200と、ケーシング300と、固定インペラ400と、モータ500とを含む。シュラウド100の一端に吸気口(図示せず)が設けられ、シュラウド100の他端は、ケーシング300に接続される。可動インペラ200は、シュラウド100内に設けられ、シュラウド100が可動インペラ200の径方向の外側を覆い、シュラウド100との間に吸気通路が形成される。
【0031】
図3を参照すると、本開示の実施例のディフューザアセンブリは、ケーシング300と固定インペラ400とを含み、ケーシング300と固定インペラ400は、吸気通路の排気端に連通するディフューザ通路を形成する。ディフューザ通路は、気流の運動エネルギーを気圧エネルギーに変換して、気流の減速増圧を実現し、さらに電動ファン1000の効率を向上させる。図4図5を参照すると、本開示の実施例のケーシング300は、内ケース310、外ケース320、及び内ケース310と外ケース320との間に位置する二次ディフューザ羽根330を含む。内ケース310と外ケース320とは、間隔をおいて設置され、内ケース310と外ケース320との間に第二のディフューザ通路が形成され、二次ディフューザ羽根330は、内ケース310の周方向に沿って配置される。
【0032】
図3図4を参照すると、ケーシング300は、取り付けハブ340をさらに含み、取り付けハブ340は、内ケース310に固定して接続され、取り付けハブ340は、内ケース310の固定インペラ400に面した端部に位置する。固定インペラ400は、支持ホルダ410と、支持ホルダ410の外周に接続される一次ディフューザ羽根420とを含み、支持ホルダ410は、取り付けハブ340に取り付けられる。支持ホルダ410と、一次ディフューザ羽根420と、外ケース320との間に第一のディフューザ通路が形成される。第一のディフューザ通路は、第二のディフューザ通路と吸気通路との間に位置し、第一のディフューザ通路と第二のディフューザ通路とは、電動ファン1000のディフューザ通路を形成する。
【0033】
図1図5を参照すると、内ケース310の内部に収容キャビティ311が形成されている。収容キャビティ311内は、モータ500を収納するために用いられ、モータ500は、固定子510と、回転子520と、回転軸530とを含む。固定子510は、収容キャビティ311内に固定され、回転子520は、回転軸530に取り付けられ、回転軸530は、軸受によって取り付けハブ340の取り付け位置341内に取り付けられる。回転軸530の端部は、可動インペラ200に接続されて、可動インペラ200を回転駆動する。気流は、可動インペラ200から運動エネルギーを得て、第一のディフューザ通路を通って第二のディフューザ通路に入って、最後に電動ファン1000から流出する。
【0034】
図2を参照すると、本開示の実施例の電動ファン1000は、回路基板600をさらに含み、回路基板600は、ケーシング300に固定して接続され、回路基板600は、モータ500の後端、即ち可動インペラ200から離れた端部に位置する。具体的に、ケーシング300に接続アーム350が設けられ、接続アーム350は、シュラウド100から離れる方向に沿って延在する。接続アーム350は、外ケース320に接続して一体構造として設置されてもよく、それによって接続アーム350の構造強度を高める。そして接続アーム350は、外ケース320に設置されることで、固定子510との干渉が発生しにくく、それによって固定子510とケーシング300の取り付け利便性を向上させる。接続アーム350は、三つ設けられ、三つの接続アーム350は、外ケース320の周方向に沿って間隔をおいて設置され、回路基板600は、ネジ止めによって三つの接続アーム350に固定して接続され、それによって回路基板600の安定的な取り付けを実現する。
【0035】
図6を参照すると、第二のディフューザ通路の気流方向に沿って、二次ディフューザ羽根330の、内ケース310の軸方向における末端が内ケース310の末端よりも突出し、ディフューザ通路の一部の気流を収容キャビティ311へ導いて、内ケース310のモータ500付近の空気の流れを強め、モータ500の放熱を速め、モータ500の温度を下げることができ、それによって電動ファン1000の信頼性を向上させ、そして電動ファン1000の作動効率を向上させる。そして、本開示の実施例は、第二のディフューザ通路の排気端で一部のディフューザ気流を分流させてモータ500の放熱に用いて、ディフューザアセンブリのディフューザ効果への影響が比較的小さく、さらにディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータ500の放熱を強化し、それによって電動ファン1000の性能を向上させる。
【0036】
図6図7を参照すると、本開示の実施例のケーシング300において、二次ディフューザ羽根330の、内ケース310の軸方向における高さがh1であると定義し、内ケース310と二次ディフューザ羽根330の吸気端との嵌合箇所から内ケース310の末端までの軸方向の高さがh2であると定義する。二次ディフューザ羽根330の高さh1と内ケース310の高さh2との間は、関係式、0.4≦h2/h1≦0.8を満たす。図7から分かるように、パラメータh2/h1が0.4から0.8の範囲内にある場合、電動ファン1000の効率が比較的高く、そしてモータ500の巻線温度上昇が比較的低く、ディフューザアセンブリのディフューザ効果への影響が比較的小さいことを実現できる。ひいてはディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータ500の放熱を強化し、モータ500の信頼性を向上させ、それによって電動ファン1000の性能を向上させる。しかし、パラメータh2/h1が0.4よりも低くなる場合、モータ500の巻線温度上昇はやや低くなるが、電動ファン1000の効率は顕著に低下してしまう。h2/h1が0.8よりも高くなる場合、電動ファン1000の効率はやや上がるが、モータ500の巻線温度上昇は比較的高く、降温効果は比較的悪い。
【0037】
電動ファン1000のディフューザ効果をさらに向上させ、衝撃損失を低減させるために、二次ディフューザ羽根330の入口側と一次ディフューザ羽根420の出口側とは、向きが同じであり、且つ一次ディフューザ羽根420の入口側の接線と二次ディフューザ羽根330の出口側の接線の方向の間の角度は、10度よりも小さく設定される。それによって、ディフューザ気流の流れ方向に適合して、ディフューザの効果を向上させることができる。
【0038】
図1図5を参照すると、内ケース310の内部に収容キャビティ311が設けられ、収容キャビティ311は、固定子510を収納するために用いられる。そして固定子510と内ケース310とが間隔をおいて設置されることは、固定子510の外周壁と内ケース310の内周壁との間が隙間嵌めであること、又は固定子510の外周壁の一部と内ケース310の内周壁の一部との間が隙間嵌めであることとして理解されてもよい。それによって、隙間を形成し、モータ500付近の気流の流速をさらに速め、モータ500の放熱を速め、モータ500の温度を下げ、電動ファン1000の信頼性をさらに向上させ、電動ファン1000の作動効率を向上させる。
【0039】
図8を参照すると、ケーシング300にリブ360が設けられ、リブ360は、固定子510の取り付けブラケット(図示せず)との固定に用いられ、例えばリブ360にネジ穴などが開設され、それによって固定子510との安定的な取り付けを実現する。リブ360は、内ケース310の、ディフューザ気流の流れ方向における末端に設置されるが、外ケース320の、ディフューザ気流の流れ方向における末端に設置されてもよい。内ケース310の軸方向に沿って、リブ360を二次ディフューザ羽根330の末端に接続することで、リブ360のディフューザ気流に対する遮断面積を減少させることができ、それによってリブ360のディフューザ通風路に対する遮断を低減させ、ディフューザ通路の流動損失を減少させ、電動ファン1000の効率を向上させる。なお、リブ360は、他の形式の取り付け部であってもよく、ここでは具体的に限定しない。
【0040】
図9を参照すると、ケーシング300は、複数の第一の羽根370と複数の第二の羽根380とを含み、第一の羽根370と第二の羽根380は、いずれも第二のディフューザ通路内に設けられ、且つ内ケース310の周方向に沿って配置される。ディフューザ気流の方向における第一の羽根370の末端の厚さは、第二の羽根380の末端の厚さよりも大きい。第二の羽根380は、通常の二次ディフューザ羽根330である。第一の羽根370は、二次ディフューザ羽根330をリブ360の構造に適応させて設計した構造であり、又はリブ360と一体に結合しやすい羽根構造である。第一の羽根370は、ディフューザ気流の方向に沿って厚さが次第に増加する構造であってもよい。本開示の実施例は、従来の構造におけるディフューザ通風路を遮蔽するリブ360と第一の羽根370とを一体に融合することができ、リブ360のディフューザ通風路に対する遮断をさらに低減させ、ディフューザ気流に対する遮断を大幅に低減させ、電動ファン1000の効率を向上させる。それとともに二次ディフューザ羽根330は、リブ360の位置を利用しており、リブ360と二次ディフューザ羽根330とを一体に融合することで電動ファン1000のスペースを節約し、軸方向の取り付けスペースを追加して設置する必要がなく、電動ファン1000の効率を向上させる。
【0041】
図9を参照すると、内ケース310の軸方向に沿って、第一の羽根370とリブ360との間は、滑らかに移行して接続される。リブ360と第一の羽根370とを滑らかに移行させるために、第一の羽根370は、気流の方向に沿って厚さが次第に増加する二次ディフューザ羽根330を形成する。図10aと図10bを参照すると、図10aは、本実施例の第一の羽根370の気流概略図であり、図10bは、従来技術の従来の構造においてリブ360がディフューザ通風路を遮蔽する気流概略図である。その比較から分かるように、従来の構造は、気流の還流を引き起こし、エネルギーの損失をもたらし、電動ファン1000の効率を低減させることがある。実験の試算によると、第一の羽根370を採用する電動ファン1000の効率は、48%であり、従来の構造における第一の羽根370を採用していない電動ファン1000の効率は、46%であり、本実施例の第一の羽根370の設計が電動ファン1000の効率を効果的に向上できることを証明している。
【0042】
図9を参照すると、第一の羽根370とリブ360とは、一体成形され、加工がより容易であり、構造強度がより高い。なお、本開示の実施例は、リブ360を設けずに、第一の羽根370を延伸してリブ360機能を備える取り付け部を形成することとして理解されてもよい。例を挙げると、第一の羽根370にネジ穴などの取り付け部が設けられ、固定子510は、ネジによって取り付け部に固定して接続され、組み立てがしやすく、組み立て効率を向上させる。
【0043】
図10aを参照すると、本開示の実施例の第一の羽根370であって、この第一の羽根370の構造は、ディフューザ気流の方向に沿って順次本体部371と増厚部372とを含む。増厚部372と本体部371との接続部は、第一の羽根370の弦長の0.5~0.8倍の位置にある。第一の羽根370の内ケース310から離れた側の端部は、外縁である。本体部371の外縁の厚さは、第一の羽根370の弦長の0.1~0.3倍の位置から、ディフューザ気流の方向に沿って次第に増加し、それによって、第一の羽根370の吸気端と第二の羽根380の吸気端との厚さが同じになり、ディフューザ通路の吸気効率を向上させるとともに、第一の羽根370のディフューザ効果を保証し、流動損失を低減させる。増厚部372の外縁の厚さは、ディフューザ気流の方向に沿って変化せず、それによって増厚部372にネジ穴などの取り付け部を設置できることを保証し、固定子510の取り付けの信頼性を保証する。
【0044】
図9を参照すると、第二の羽根380は、複数設けられる。複数の第二の羽根380は、隣接する第一の羽根370の間に均一に分布して設けられ、第一の羽根370と第二の羽根380との間、又は第二の羽根380と第二の羽根380との間に、多段階のディフューザ通路が形成される。それによって、ディフューザアセンブリのディフューザ効果を保証し、そしてディフューザアセンブリの効果的な騒音低減に役立つ。
【0045】
別の実施例として、第一の羽根370は、6個設けられ、第二の羽根380は、9個設けられる。第一の羽根370の末端にいずれも取り付け部が設置され、即ち6個の取り付け部は、同時に固定子の固定に用いられ、それによって固定子の取り付けは、より安定する。6個の第一の羽根370と9個の第二の羽根380は、内ケース310の周方向において均一に分布して設置され、ディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証する。第一の羽根370と第二の羽根380の配列順序は、様々な形態があってもよく、ここでは具体的に限定しない。
【0046】
上記実施例の内ケース310は、軸方向において内ケース310を一周切り取って形成された構造として理解されてもよく、それによって二次ディフューザ羽根330の末端は、内ケース310の末端よりも突出するようになる。なお、上記実施例は、一体成形を採用して構造の加工を実現してもよく、二次加工で一部の内ケース310を切除する方式を採用して加工してもよく、ここでは具体的に限定しない。
【0047】
本開示の別の実施例のケーシング300は、内ケース310と、外ケース320と、二次ディフューザ羽根330とを含む。本開示の実施例のケーシング300は、上記実施例のケーシング300と本質的に同じであり、その相違点は、本実施例の内ケース310の軸方向における末端に切り欠き溝が設けられ(図示せず)、切り欠き溝がディフューザ通路と収容キャビティ311とを連通できることである。なお、切り欠き溝は、貫通穴に置き換えられてもよく、ここでは具体的に限定しない。切り欠き溝は、複数設置されてもよく、複数の切り欠き溝は、内ケース310の周方向において間隔をおいて設置される。
【0048】
切り欠き溝は、ディフューザ通路の一部の気流をディフューザ通路から収容キャビティ311へ導いて、モータ500付近の空気の流れを強め、モータ500の放熱を速め、モータ500の温度を下げることができ、それによって電動ファン1000の信頼性を向上させ、そして電動ファン1000の作動効率を向上させる。そして、切り欠き溝を内ケース310のディフューザ気流に沿う末端に設置することで、一部のディフューザ気流を分流させてモータ500の放熱に使用することを実現し、ディフューザアセンブリのディフューザ効果への影響が比較的小さく、さらにディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータ500の放熱を強化し、それによって電動ファン1000の性能を向上させる。
【0049】
内ケース310の軸方向において、二次ディフューザ羽根330の末端は、切り欠き溝の底壁よりも突出し、それによってディフューザ気流をさらに二次ディフューザ羽根330から順調にモータ500の表面へ導くことができ、モータ500の放熱をさらに強化し、電動ファン1000の信頼性と性能をさらに向上させる。
【0050】
図1を参照すると、本開示の実施例の電動ファン1000は、以上の実施例のディフューザアセンブリを含む。本開示の実施例の電動ファン1000は、上記実施例のディフューザアセンブリを採用し、ディフューザアセンブリは、内ケース310、外ケース320及び二次ディフューザ羽根330から形成されるディフューザ通路を設けるとともに、二次ディフューザ羽根330の末端を内ケース310の軸方向において内ケース310の末端よりも突出させることによって、ディフューザ通路の一部の気流を内ケース310の内部へ導いて、内ケース310のモータ500付近の空気の流れを強め、モータ500の放熱を速め、モータ500の温度を下げることができ、それによって電動ファン1000の信頼性と作動効率を向上させる。そして、ディフューザ通路の排気端で一部のディフューザ気流を分流させてモータ500の放熱に使用することは、ディフューザ効果への影響が比較的小さく、さらにディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータ500の放熱を強化する。
【0051】
電動ファン1000は、上記実施例のディフューザアセンブリのすべての技術案を採用しているため、少なくとも上記実施例の技術案によりもたらされるすべての有益な効果を有し、ここでは説明を省略する。
【0052】
本開示の実施例の掃除機器は、以上の実施例の電動ファン1000を含む。本開示の実施例の掃除機器は、上記実施例の電動ファン1000を採用し、電動ファン1000は、ディフューザアセンブリを含み、ディフューザアセンブリは、内ケース310、外ケース320及び二次ディフューザ羽根330から形成されるディフューザ通路を設けるとともに、二次ディフューザ羽根330の末端を内ケース310の軸方向において内ケース310の末端よりも突出させることによって、ディフューザ通路の一部の気流を内ケース310の内部へ導いて、内ケース310のモータ500付近の空気の流れを強め、モータ500の放熱を速め、モータ500の温度を下げることができ、それによって電動ファン1000の信頼性と作動効率を向上させる。そして、ディフューザ通路の排気端で一部のディフューザ気流を分流させてモータ500の放熱に使用することは、ディフューザ効果への影響が比較的小さく、さらにディフューザアセンブリのディフューザ性能を保証すると同時にモータ500の放熱を強化する。
【0053】
掃除機器は、上記実施例のディフューザアセンブリのすべての技術案を採用しているため、少なくとも上記実施例の技術案によりもたらされるすべての有益な効果を有し、ここでは説明を省略する。
【0054】
以上は、図面を結び付けながら本開示の実施例を記述したが、本開示は、上記実施例に限らず、当業者の有する知識の範囲内で、本開示の趣旨から逸脱することなく様々な変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0055】
電動ファン…1000、シュラウド…100、可動インペラ…200、ケーシング…300、内ケース…310、収容キャビティ…311、外ケース…320、二次ディフューザ羽根…330、取り付けハブ…340、取り付け位置…341、接続アーム…350、リブ…360、第一の羽根…370、本体部…371、増厚部…372、第二の羽根…380、固定インペラ…400、支持ホルダ…410、一次ディフューザ羽根…420、モータ…500、固定子…510、回転子…520、回転軸…530、回路基板…600。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
【国際調査報告】