IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァイセンボルン アクティーゼルスカブの特許一覧

特表2024-530747欄干システム、欄干システムを組み立てる方法、及び欄干システムの使用
<>
  • 特表-欄干システム、欄干システムを組み立てる方法、及び欄干システムの使用 図1
  • 特表-欄干システム、欄干システムを組み立てる方法、及び欄干システムの使用 図2
  • 特表-欄干システム、欄干システムを組み立てる方法、及び欄干システムの使用 図3
  • 特表-欄干システム、欄干システムを組み立てる方法、及び欄干システムの使用 図4
  • 特表-欄干システム、欄干システムを組み立てる方法、及び欄干システムの使用 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】欄干システム、欄干システムを組み立てる方法、及び欄干システムの使用
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20240816BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20240816BHJP
【FI】
E04F11/18
F03D13/25
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513321
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 DK2021050263
(87)【国際公開番号】W WO2023030596
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524069950
【氏名又は名称】ヴァイセンボルン アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】WEISSENBORN A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】メラー、ピーター
【テーマコード(参考)】
2E301
3H178
【Fターム(参考)】
2E301FF00
2E301GG01
2E301HH03
2E301JJ02
2E301KK02
2E301LL15
2E301MM01
3H178AA03
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67Z
(57)【要約】
洋上施設(2)のための欄干システム(1)が開示される。欄干システム(1)は、2本以上の手摺子(3)であって、手摺子(3)を洋上施設(2)に接続するための接続手段(4)を含む、2本以上の手摺子(3)と、2つ以上の長手方向レール面(5)を備える少なくとも1本のレール(11)であって、2つ以上の長手方向レール面(5)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのT字形スロット(7)を備えるT字形スロット面(6)である、少なくとも1本のレール(11)と、を備える。欄干システム(1)はまた、レール(11)のT字形スロット面(6)が手摺子(3)の第1の側(9)に押し付けられるように、少なくとも1本のレール(11)を2本以上の手摺子(3)に接続するように配置された少なくとも2つの固定装置(8)であって、少なくとも2つの固定装置(8)の各々が、ピン部(12)及び頭部(13)を含むボルト手段(10)を含み、頭部(13)が、ピン部(12)の一端部に配置され、頭部(13)が、少なくとも1つのT字形スロット(7)に配置され、ピン部(12)が、手摺子(3)のオリフィス(14)を通って延在し、固定装置(8)が、手摺子(3)の第2の側(17)上のピン部(12)を取り囲むカラー(15)を更に含み、第1の側(9)が、第2の側(17)の反対側にあり、カラー(15)が、圧縮ジョイント(18)によってピン部(12)に接続され、2本以上の手摺子(3)、少なくとも1本のレール(11)、及び少なくとも2つの固定装置(8)が、アルミニウムで作製されている、少なくとも2つの固定装置(8)、も備える。洋上施設(2)上に欄干システム(1)を組み立てるための方法、及び欄干システム(1)の使用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上施設(2)のための欄干システム(1)であって、前記欄干システム(1)が、
2本以上の手摺子(3)であって、前記手摺子(3)を前記洋上施設(2)に接続するための接続手段(4)を含む、2本以上の手摺子(3)と、
2つ以上の長手方向レール面(5)を含む少なくとも1本のレール(11)であって、前記2つ以上の長手方向レール面(5)のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのT字形スロット(7)を含むT字形スロット面(6)である、少なくとも1本のレール(11)と、
前記レール(11)の前記T字形スロット面(6)が前記手摺子(3)の第1の側(9)に押し付けられるように、前記少なくとも1本のレール(11)を前記2本以上の手摺子(3)に接続するように配置された少なくとも2つの固定装置(8)であって、前記少なくとも2つの固定装置(8)の各々が、ピン部(12)及び頭部(13)を含むボルト手段(10)を含み、前記頭部(13)が、前記ピン部(12)の一端部に配置され、前記頭部(13)が、前記少なくとも1つのT字形スロット(7)に配置され、前記ピン部(12)が、前記手摺子(3)のオリフィス(14)を通って延在し、前記固定装置(8)が、前記手摺子(3)の第2の側(17)の前記ピン部(12)を取り囲むカラー(15)を更に含み、前記第1の側(9)が、前記第2の側(17)の反対側にあり、前記カラー(15)が、圧縮ジョイント(18)によって前記ピン部(12)に接続されている、少なくとも2つの固定装置(8)と、を備え、
前記2本以上の手摺子(3)、前記少なくとも1本のレール(11)、及び前記少なくとも2つの固定装置(8)が、アルミニウムで作製されている、欄干システム(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのT字形スロット(7)が、前記少なくとも1本のレール(11)の全長(L)にわたって延在している、請求項1に記載の欄干システム(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのT字形スロット(7)が、前記2つ以上の長手方向レール面(5)のうちの第1の長手方向レール面(19)に配置され、追加のT字形スロット(20)が、前記2つ以上の長手方向レール面(5)のうちの第2の長手方向レール面(21)に配置されている、請求項1又は2に記載の欄干システム(1)。
【請求項4】
照明手段(22)が、前記追加のT字形スロット(20)に配置されている、請求項3に記載の欄干システム(1)。
【請求項5】
前記第1の長手方向レール面(19)が、前記第2の長手方向レール面(21)に隣接している、請求項3又は4に記載の欄干システム(1)。
【請求項6】
前記追加のT字形スロット(20)が、前記少なくとも1本のレール(11)の全長(L)にわたって延在している、請求項3~5のいずれか一項に記載の欄干システム(1)。
【請求項7】
前記ピン部(12)が、円筒形であり、前記ピン部(12)の円筒面(23)が、いくつかのくぼみ(24)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の欄干システム(1)。
【請求項8】
前記くぼみ(24)が、前記ピン部(12)の縦方向範囲に沿っていくつかの半径方向の環状堕落間に形成されている、請求項7に記載の欄干システム(1)。
【請求項9】
前記圧縮ジョイント(18)が、前記くぼみ(24)内へ突出する前記カラー(15)を含む、請求項7又は8に記載の欄干システム(1)。
【請求項10】
前記接続手段(4)が、前記2本以上の手摺子(3)の各々の第1の長手方向手摺子端部(25)に配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の欄干システム(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1本のレール(11)が、前記2本以上の手摺子(3)の第2の長手方向手摺子端部(27)に配置された手摺(26)を含み、前記第2の長手方向手摺子端部(27)が、前記第1の長手方向手摺子端部(25)の反対側にある、請求項10に記載の欄干システム(1)。
【請求項12】
前記欄干システム(1)が、前記少なくとも2つの固定装置(8)のうちの少なくとも2つの固定装置(8)によって、前記接続手段(4)と前記手摺(26)との間の前記2本以上の手摺子(3)に接続された中央レール(28)を更に備える、請求項10又は11に記載の欄干システム(1)。
【請求項13】
前記手摺(26)及び前記中央レール(28)が平行である、請求項11及び12に記載の欄干システム(1)。
【請求項14】
前記欄干システム(1)が、
前記手摺(26)及び前記中央レール(28)の第1の長手方向レール端部(30)を覆う第1の端部カバー(29)であって、前記第1の端部カバー(29)が、前記手摺(26)及び前記中央レール(28)の前記第1の長手方向レール端部(30)の間にも延在している、第1の端部カバー(29)と、
前記手摺(26)及び前記中央レール(28)の第2の長手方向レール端部(32)を覆う第2の端部カバー(31)であって、前記第2の端部カバー(31)が、前記手摺(26)及び前記中央レール(28)の前記第2の長手方向レール端部(32)の間にも延在している、第2の端部カバー(31)と、を更に備える、請求項11~13のいずれか一項に記載の欄干システム(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1本のレール(11)が、前記少なくとも1本のレール(11)の長手方向範囲が前記2本以上の手摺子(3)の前記長手方向範囲に対して実質的に垂直であるように、前記2本以上の手摺子(3)に接続されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の欄干システム(1)。
【請求項16】
前記圧縮ジョイント(18)が、前記ピン部(12)の長手方向の変位に抗して前記カラー(15)及び前記ピン部(12)を■合わせる噛み合いジオメトリを有する前記カラー(15)及び前記ピン部(12)を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の欄干システム(1)。
【請求項17】
洋上施設(2)上に欄干システム(1)を組み立てるための方法であって、前記方法が、
・2本以上のアルミニウム手摺子(3)を前記洋上施設(2)に接続するステップと、
・第1のアルミニウムボルト手段(10)及び第2のアルミニウムボルト手段(10)の頭部(13)をアルミニウムレール(11)のT字形スロット面(6)に配置されたT字形スロット(7)内に配設するステップであって、前記レール(11)が、一方が前記T字形スロット面(6)である2つ以上の長手方向レール面(5)を備え、前記第1のボルト手段(10)及び前記第2のボルト手段(10)の各々が、ピン部(12)及び頭部(13)を備え、前記頭部(13)が、前記ピン部(12)の一端部に配置されている、配設するステップと、
・前記第1のボルト手段(10)の前記ピン部(12)が前記2本以上の手摺子(3)のうちの第1の手摺子のオリフィス(14)を通って延在するように、及び前記第2のボルト手段(10)の前記ピン部(12)が前記2本以上の手摺子(3)のうちの第2の手摺子のオリフィス(14)を通って延在するように、前記レール(11)の前記T字形スロット面(6)を前記手摺子(3)の第1の側(9)に対して配設するステップと、
・第1のカラー(15)が前記第1のボルト手段(10)の前記ピン部(12)を取り囲むように、前記第1の手摺子の第2の側(17)の前記第1のボルト手段(10)の前記ピン部(12)に前記第1のカラー(15)を配設し、第2のカラー(15)が前記第2のボルト手段(10)の前記ピン部(12)を取り囲むように、前記第2の手摺子の第2の側(17)上の前記第2のボルト手段(10)に前記第2のカラー(15)を配設するステップであって、前記第1の側(9)が、前記第2の側(17)の反対側にある、配設するステップと、
・前記第1のカラー(15)を前記第1のボルト手段(10)の前記ピン部(12)に対して押しつぶし、前記第2のカラー(15)を前記第2のボルト手段(10)の前記ピン部(12)に対して押しつぶすことによって形成された圧縮ジョイント(18)によって、前記第1のカラー(15)を前記第1のボルト手段(10)の前記ピン部(12)に接続し、前記第2のカラー(15)を前記第2のボルト手段(10)に接続するステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記圧縮ジョイント(18)が形成される間、前記第1のボルト手段(10)及び前記第2のボルト手段(10)の前記ピン部(12)が、前記第2の側(17)から離れる方向に引っ張られ、前記第1のカラー(15)及び前記第2のカラー(15)が、前記第2の側(17)に押し付けられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のカラー(15)を前記第1のボルト手段(10)の前記ピン部(12)に対して押しつぶすことが、前記第1のカラー(15)を前記第1のボルト手段(10)の前記ピン部(12)のくぼみ(24)内に半径方向に変形させ、前記第2のカラー(15)を前記第2のボルト手段(10)の前記ピン部(12)に対して押しつぶすことが、前記第2のカラー(15)を前記第2のボルト手段(10)の前記ピン部(12)のくぼみ(24)内に半径方向に変形させる、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、前記第1のボルト手段(10)及び前記第2のボルト手段(10)を前記T字形スロット(7)の位置に摺動させることであって、第1のアルミニウムボルト手段(10)及び第2のアルミニウムボルト手段(10)の前記頭部(13)を前記T字形スロット(7)内に配設した後、前記第1のボルト手段(10)と前記第2のボルト手段(10)との間の距離が前記2本以上の手摺子(3)のうちの前記第1の手摺子と第2の手摺子との間の距離と同じになる、摺動させることを更に含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、請求項1~16のいずれか一項に記載の欄干システム(1)によって実行される、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
洋上風力タービン(36)の基礎(34)とタワー(35)との間に配置されたトランジションピース(33)上での、請求項1~16のいずれか一項に記載の欄干システム(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上施設のための欄干システムであって、2本以上の手摺子及び少なくとも1本のレールを備える、欄干システムに関するものである。本発明はまた、洋上施設上に欄干システムを組み立てる方法、及びウインチシステムの使用にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に、油田掘削装置、洋上風力タービン、波力エネルギープラント、などの洋上施設に関して、悪天候時に要員が移動するときに、施設から落下するのを防止するために、及びつかまるものを提供するために、全てのプラットフォーム、デッキ、通路、などには欄干が設けられていることが重要である。
【0003】
したがって、設置する前に溶接の徹底した品質検査を実行しなければならないという点で、欄干を陸上で溶接することによって組み立てることが知られている。欄干セクションは、検査後に洋上施設へ輸送され、そこで施設に接続される。しかしながら、予め製造した欄干セクションを輸送するには場所をとり-したがって費用がかかり-また、その欄干セクションが適合しなかった場合には、任意の誤りを補正するために非常に手間及び費用がかかる。
【0004】
したがって、欧州特許出願第2116676(A1)号から、2つの異形材の溝内に配設されたクロスヘッドアセンブリによって接続された溝付き管状金属異形材によって欄干を形成することが知られている。しかしながら、この解決策は、複雑かつ高価であり、また、周囲が塩水であるため、洋上施設では大きな問題であるガルバニック腐食の影響を受けやすい。更に、洋上施設上の欄干は、風及び波両方の影響、並びに-風力タービンなどの-機械が誘導する典型的には大きい振動の影響により、陸上の欄干よりもはるかに大きい振動に晒され、欧州特許出願第EP2116676(A1)号に記載される解決策は、振動によりそれ自体が緩んでしまう、更には分解するリスクが高い。
【0005】
したがって、本発明の目的は、洋上施設のための欄干システムを形成するための好都合な技術を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、洋上施設のための欄干システムを提供する。欄干システムは、手摺子を洋上施設に接続するための接続手段を含む2本以上の手摺子と、2つ以上の長手方向レール面を備える少なくとも1本のレールであって、2つ以上の長手方向レール面のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのT字形スロットを備えるT字形スロット面である、少なくとも1本のレールと、を備える。欄干システムはまた、レールのT字形スロット面が手摺子の第1の側に押し付けられるように、少なくとも1本のレールを2本以上の手摺子に接続するように配置された少なくとも2つの固定装置であって、少なくとも2つの固定装置の各々が、ピン部及び頭部を含むボルト手段を含み、頭部が、ピン部の一方の端部に配置され、頭部が、少なくとも1つのT字形スロットに配置され、ピン部が、手摺子のオリフィスを通って延在し、固定装置が、手摺子の第2の側上のピン部を取り囲むカラーを更に含み、第1の側が、第2の側の反対側にあり、カラーが、圧縮ジョイントによってピン部に接続され、2本以上の手摺子、少なくとも1本のレール、及び少なくとも2つの固定装置が、アルミニウムで作製されている、少なくとも2つの固定装置、も備える。
【0007】
固定装置によって欄干を組み立てることは、溶接が回避され得ることを可能にすることにより、欄干部品を分解した状態で建設現場に輸送することができる-それによって、輸送コストを低減することができる-ことを意味するという点で好都合である。更に、例えば、現場で手摺子間の距離を変更することが容易であり、これは、予め溶接された欄干ではほぼ不可能である。また、固定装置のカラー及びピン部を圧縮ジョイントによって接続することは、ピン部の周りにカラーを押し付けることによって、組み立て工程を元に戻すことができず、したがって、固定装置が振動により経時的に分解されない、という点で好都合である。また、欄干部品を全てアルミニウムで形成することによって、ガルバニック腐食のあらゆるリスクが回避される。更に、アルミニウムは、取り扱い及び輸送が容易であり、一般的には現場での機械加工及び作業が容易であり、洋上での耐久性を有するための表面コーティングを必要とせず、洋上施設の欄干システムを理想的にする。
【0008】
この文脈では、「接続手段」という用語は、手摺子を洋上施設に接続するのに好適であるあらゆる種類のコネクタ又はコネクタの一部として理解されるべきであることに留意されるべきである。したがって、この文脈では、この用語は、その目的に好適である他の装置のための任意の種類の1つ又は複数のボルト孔、任意の種類のクランプ、任意の種類のねじ付きピン、フック、などを含む。
【0009】
また、この文脈では、「ボルト手段」という用語は、頭部がピン部の一端部に配置されたピン部を有する任意の種類のねじ無しボルトとして理解されるべきであり、頭部は、ボルト手段の長手方向に見たときにピン部よりも大きい直径又は断面範囲を有することにも留意されたい。したがって、この文脈では、この用語は、ピンの一端部により大きい頭部を有する任意の種類のピン、任意の種類の釘状の装置、一端部がより大きい任意の種類のロッド、などを含む。
【0010】
更に、この文脈では、「圧縮ジョイント」という用語は、圧縮ジョイントの一部が圧縮されることによって、その一部が恒久的に変形して、噛み合いジオメトリ又は摩擦を通して圧縮ジョイントの別の一部に接続するように形成される、任意の種類の接続として理解されるべきであることに留意されるべきである。すなわち、圧縮ジョイントは、ジョイント部品のうちの少なくとも1つを破壊することによってだけしかジョイント部品を再度分離させることができない、不可逆的な接続タイプである。すなわち、この文脈では、カラーは、ピン部の周りに圧縮され、それにより、カラーを恒久的に変形させてカラーがピン部の周りを圧迫し、ピン部に対する変位に抗してカラーをロックし、カラーは、鋸で切断するか、又は大きい力を使用してカラーを引っ張る-したがって、カラー及び/又はピン部を破壊する-ことによってだけしか取り外すことができない。
【0011】
本発明の一態様では、少なくとも1つのT字形スロットが、少なくとも1本のレールの全長にわたって延在している。
【0012】
レールの全長にわたって延在するT字形スロットを形成することは、システムの用途をより広くするという点で、及びボルト手段をレールの両端部からT字形スロット内へ摺動させることができることを可能にし、かつ安価で効率的である押し出し加工によってレールが製造され得ることを可能にするという点で好都合である。
【0013】
本発明の一態様では、少なくとも1つのT字形スロットが、2つ以上の長手方向レール面のうちの第1の長手方向レール面に配置され、追加のT字形スロットが、2つ以上の長手方向レール面のうちの第2の長手方向レール面に配置されている。
【0014】
追加のT字形スロットを備えたレールを形成することは、追加的な特徴、取り付け具、機器、などを、簡単で多用途の様式でレールに容易に接続することができる、という点で好都合である。
【0015】
本発明の一態様では、照明手段が、追加のT字形スロットに配置されている。
【0016】
洋上施設上の欄干は、ほぼ必ずプラットフォームの外縁部などに配設され、したがって、要員が誤って欄干を越えてしまう場合は非常に危険である。したがって、追加のT字形スロット内に照明手段を配置して、荒天時に要員を欄干へと誘導して確実に保持するものを提供すること、及び少なくともプラットフォームの外周を照らし出すこと、の両方を行うことが好都合である。更に、追加のT字形スロット内に照明手段を配設することは、これがストラップ、衣服、などが照明手段に引っ掛かることを防止し、かつ照明手段がより良好に保護される、という点で好都合である。
【0017】
この文脈では、「照明手段」という用語は、あらゆる種類の光源又は照明装置として理解されるべきであることに留意されるべきである。したがって、この文脈では、この用語は、あらゆる種類のランプ、スポット、発光ダイオード、白熱電球、ハロゲン、など、若しくはこれらの任意の組み合わせ、又は任意の他の種類の発光体を含む。
【0018】
本発明の一態様では、第1の長手方向レール面が、第2の長手方向レール面に隣接している。
【0019】
第1の長手方向レール面は、T字形スロットを含み、したがって、手摺子に面している。第2の長手方向レール面を-例えば、第2の長手方向レール面が第1の長手方向レール面に対して実質的に垂直であるように-第1の長手方向レール面と接触させることによって、追加のT字形スロットに、追加的な特徴、取り付け具、機器、などを後付けすること、及び例えば、追加のT字形スロットに配置される照明手段に欄干の下方及び前方を照明させることがより容易になる。
【0020】
本発明の一態様では、追加のT字形スロットが、少なくとも1本のレールの全長にわたって延在している。
【0021】
レールの全長にわたって延在する追加のT字形スロットを形成することは、システムの用途をより広くするという点で、及びボルト手段、取り付け具、機器、コネクタ、などをレールの両端部から追加のT字形スロット内へ摺動させることができることを可能にし、かつ安価で効率的である押し出し加工によってレールが製造され得ることを可能にするという点で好都合である。
【0022】
本発明の一態様では、ピン部が、円筒形であり、ピン部の円筒面は、いくつかのくぼみを備える。
【0023】
くぼみを備えたピン部の円筒面を形成することは、ピン部の周りにカラーを圧縮することによって圧縮ジョイントが形成されたときにカラーがくぼみに変形し、それによって、ピンの長手方向から見たときに噛み合いジオメトリを形成するという点で好都合である。
【0024】
本発明の一態様では、くぼみが、ピン部の縦方向範囲に沿っていくつかの半径方向の環状堕落間に形成される。
【0025】
ピン部の縦方向-すなわち、長手方向-範囲に沿って半径方向の環状堕落の間に形成された谷部としてくぼみを形成することは、圧縮ジョイントが形成されたときに強い保持を確実にし、かつピン部の全周に均一に分散された保持を確実にするという点で好都合である。
【0026】
本発明の一態様では、ピン部が、ピン部の縦方向範囲に沿っていくつかの山部及び谷部を形成するコルゲート表面を有する。
【0027】
コルゲート表面の谷部としてくぼみを形成することは、圧縮ジョイントが形成されたときに強い保持を確実にし、かつピン部の全周に均一に分散された保持を確実にするという点で好都合である。
【0028】
この文脈では、「ピン部の縦方向範囲に沿って」という用語は、ピン部の縦方向範囲の少なくとも一部として理解されるべきであることに留意されるべきである。すなわち、半径方向の環状堕落及び/又はコルゲート表面は、ピン部の全縦方向範囲にわたって延在している必要はない。
【0029】
本発明の一態様では、圧縮ジョイントが、くぼみ内へ突出するカラーを含む。
【0030】
カラーの一部がくぼみ内へ突出しているように圧縮ジョイントを形成することは、振動による影響を受けない非常に強い保持を提供する噛み合いジオメトリを形成するという点で好都合である。
【0031】
本発明の一態様では、接続手段が、2本以上の手摺子のうちの第1の長手方向手摺子端部に配置されている。
【0032】
手摺子の各々の一端部に接続手段を形成することは、材料の使用量を削減し、手摺子が上方に突出するように、例えば、手摺子が取り付けられる洋上施設の上面に対して垂直に突出するように手摺子を接続することができることを確実にするという点で好都合である。
【0033】
本発明の一態様では、少なくとも1本のレールが、2本以上の手摺子のうちの第2の長手方向手摺子端部に配置された手摺を含み、第2の長手方向手摺子端部が、第1の長手方向手摺子端部の反対側にある。
【0034】
手摺を手摺子の頂部に配設することは、手摺に手を伸ばして使用することをより容易にし、かつストラップ、衣服、などが、突出している手摺子の上端部に引っ掛かるリスクを低減するという点で好都合である。
【0035】
本発明の一態様では、欄干システムが、少なくとも2つの固定装置のうちの少なくとも2つの固定装置によって、接続手段と手摺との間の2本以上の手摺子に接続された中央レールを更に備える。
【0036】
接続手段と手摺との間に中央レールを提供することは、要員が手摺の下に落下することによって、洋上施設から落下するリスクを冒すことなく、手摺が好適な高さに配置され得ることを可能にするという点で好都合である。また、固定装置によって中央レールを手摺子に接続することは、溶接が回避され得ることを可能にし、例えば、現場で手摺子間の距離を変更することが容易であるという点で好都合であり、また、圧縮ジョイントによって接続を形成する固定装置を使用することは、ピン部の周りにカラーを圧縮することによって、組み立て工程を元に戻すことができなくなり、したがって、振動により固定装置が経時的に分解され得ないという点で好都合である。
【0037】
本発明の一態様では、手摺及び中央レールは、平行である。
【0038】
手摺及び中央レールを平行に形成することは、洋上での欄干の設計に関する規則及び規制を遵守するのをより容易にし、かつ手摺及び中央レールを器具、機器、ポスト、などに接続するのをより容易にするという点で好都合である。
【0039】
本発明の一態様では、欄干システムが、手摺及び中央レールの第1の長手方向レール端部を覆っている第1の端部カバーであって、手摺及び中央レールの第1の長手方向レール端部の間にも延在している、第1の端部カバーと、
手摺及び中央レールの第2の長手方向レール端部を覆う第2の端部カバーであって、手摺及び中央レールの第2の長手方向レール端部の間にも延在している、第2の端部カバーと、を更に備える。
【0040】
手摺及び中央レールの開放端部を覆うことは、経時的にレールの劣化又は衛生的な問題につながり得る、水、埃、などが流入するリスクを低減するという点で好都合である。また、各端部において端部カバーを手摺と中央レールとの間に延在させることによって、ストラップ、衣服、などが自由端に引っ掛かるリスクが低減される。
【0041】
本発明の一態様では、少なくとも1本のレールが、少なくとも1本のレールの長手方向範囲が実質的に2本以上の手摺子の長手方向範囲に対して垂直であるように、2本以上の手摺子に接続される。
【0042】
1本又は複数本のレールを手摺子の長手方向範囲に対して実質的に垂直に延在させることは、より単純な欄干設計を可能にし、かつ手摺子の長さを低減し、それによって、コストを低減するという点で好都合である。
【0043】
本発明の一態様では、圧縮ジョイントが、ピン部の長手方向の変位に抗してカラー及びピン部を■合わせる噛み合いジオメトリを有するカラー及びピン部を備える。
【0044】
ピン部の周りにカラーを圧縮することによって圧縮ジョイントが形成されるときに、カラーがピン部の孔、溝、スリット、などに恒久的に変形して、カラーとピン部との間に噛み合いジオメトリを形成することは、噛み合いジオメトリが、振動などによる影響を受けない非常に耐久性及び安全性のある接続を形成するという点で好都合である。
【0045】
本発明はまた、洋上施設上に欄干システムを組み立てるための方法であって、本方法は、
・2本以上のアルミニウム手摺子を洋上施設に接続するステップと、
・第1のアルミニウムボルト手段及び第2のアルミニウムボルト手段の頭部をアルミニウムレールのT字形スロット面に配置されたT字形スロット内に配設するステップであって、レールが、一方がT字形スロット面である2つ以上の長手方向レール面を備え、第1のボルト手段及び第2のボルト手段の各々が、ピン部及び頭部を備え、頭部が、ピン部の一端部に配置されている、配設するステップと、
・第1のボルト手段のピン部が2本以上の手摺子のうちの第1の手摺子のオリフィスを通って延在するように、及び第2のボルト手段のピン部が2本以上の手摺子のうちの第2の手摺子のオリフィスを通って延在するように、レールのT字形スロット面を手摺子の第1の側に対して配設するステップと、
・第1のカラーが第1のボルト手段のピン部を取り囲むように、第1の手摺子の第2の側の第1のボルト手段のピン部に第1のカラーを配設し、第2のカラーが第2のボルト手段のピン部を取り囲むように、第2の手摺子の第2の側上の第2のボルト手段に第2のカラーを配設するステップであって、第1の側が、第2の側の反対側にある、配設するステップと、
・第1のカラーを第1のボルト手段のピン部に対して押しつぶし、第2のカラーを第2のボルト手段のピン部に対して押しつぶすことによって形成された圧縮ジョイントによって、第1のカラーを第1のボルト手段のピン部に接続し、第2のカラーを第2のボルト手段に接続するステップと、を含む、方法も提供される。
【0046】
現場で欄干システムを組み立てることは、簡素化して、輸送コストを低減するという点で好都合である。また、レールのT字形スロット内のボルト手段によって手摺子にレールを接続することは、柔軟で用途の広い組み立て方法を確実にする。更に、圧縮ジョイントによってボルト手段のピン部にカラーを接続することは、振動によって接続が緩まないこと、又は元に戻らないことを確実にする、手摺子にレールを接続する高速で効率的な方法であるという点で好都合である。全ての部品をアルミニウムで作製することは、ガルバニック腐食のリスクが低減されるという点で好都合である。
【0047】
本発明の一態様では、圧縮ジョイントが形成される間、第1のボルト手段及び第2のボルト手段のピン部が第2の側から離れる方向に引っ張られ、第1のカラー及び第2のカラーが第2の側に押し付けられる。
【0048】
カラーをピン部の周りにしっかりときつく押しつぶすことによって圧縮ジョイントが形成されるときに、カラーを手摺子に押しながらピン部を手摺子から離れるように引っ張ることは、圧縮ジョイントが形成された後にレールが手摺子に対してしっかりと保持されるという点で好都合である。
【0049】
本発明の一態様では、第1のカラーを第1のボルト手段のピン部に対して押しつぶすことが、第1のカラーを第1のボルト手段のピン部のくぼみ内に半径方向に変形させ、第2のカラーを第2のボルト手段のピン部に対して押しつぶすことが、第2のカラーを第2のボルト手段のピン部のくぼみ内に半径方向に変形させる。
【0050】
圧縮ジョイントを形成するときにピン部のくぼみに変形するようにカラーを押しつぶすことは、カラー及びピン部が、洋上施設及び/又は欄干がどれだけ激しく振動しても実質的に影響を受けないままにする強固な接続を形成する、重なり噛み合いジオメトリを形成するという点で好都合である。
【0051】
本発明の一態様では、本方法が、第1のボルト手段及び第2のボルト手段をT字形スロットの位置に摺動させることであって、第1のアルミニウムボルト手段及び第2のアルミニウムボルト手段の頭部をT字形スロット内に配設した後、第1のボルト手段と第2のボルト手段との間の距離が2本以上の手摺子のうちの第1の手摺子と第2の手摺子との間の距離と同じになる、摺動させることを更に含む。
【0052】
レールを手摺子に取り付ける前にボルト手段をT字形スロット内の正しい位置に摺動させることは、組み立て工程を簡素化する。
【0053】
本発明の一態様では、本方法が、上で論じた欄干システムのいずれかによる欄干システムによって実行される。
【0054】
これによって、本発明の好都合な実施形態を達成する。
【0055】
更に、本発明は、洋上風力タービンの基礎とタワーの間に配置された、上で論じた欄干システムのいずれかによるトランジションピース上での欄干システムの使用を提供する。
【0056】
ほぼ全ての最新の洋上風力タービンは、基礎(モノポール、トライポッド、ジャケット、又は同様の基礎、など)と風力タービンタワーとの間に配置されたトランジションピースを備える。かかるトランジションピースは、海面の直上に位置付けられ、したがって、風力タービンからの相当な振動に加えて、海水、波、荒天、に晒される。したがって、特に、かかるトランジションピースに、本発明による欄干システムを使用することが好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明の一実施形態を、非限定的な実施例として、図面を参照しながら以下に説明する。
図1】欄干システムを含む洋上風力タービンの斜視図を例示する。
図2】欄干システムの一セクションの斜視図を例示する。
図3】欄干システムの一セクションの正面図を例示する。
図4】レールの側面図を例示する。
図5】固定装置を通して手摺子に接続されたレール1の側断面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、欄干システム1を含む洋上風力タービン36の斜視図を例示する。
【0059】
この実施形態では、欄干システム1は、基礎34-この場合は、ジャケット基礎-と洋上風力タービン36のタワー35との間に位置付けられたトランジションピース33の形態で、洋上施設2上に配置されている。すなわち、この実施形態では、欄干システム1は、トランジションピース33の上面に形成された上部プラットフォームの外周に沿って配置されている。トランジションピース33は、通常、海面の直上に位置付けられ、したがって、荒天時には波に打たれ得る。この実施形態では、トランジションピース33は、非常に簡素化されて示されており、通常、トランジションピース33はまた、本発明による欄干システム1が備え得る階段、船着き場、ヘリポート、追加のプラットフォーム、なども備える。
【0060】
別の実施形態では、欄干システム1は、油田掘削装置、洋上エネルギー変換プラント、洋上精油所、又は別のタイプの洋上施設2に装着することができる。
【0061】
図2は、欄干システム1の一セクションの斜視図を例示し、図3は、欄干システム1の一セクションの正面図を例示する。
【0062】
この実施形態では、欄干システム1は、3本のレール11が接続された2本の手摺子3-すなわち、2本の垂直又は実質的に垂直のポスト、ポール、又は支持体-を備える。この実施形態では、レール11は、手摺子3の上端部-すなわち、第2の長手方向手摺子端部27-に配置された上部手摺26と、手摺子3の下端部付近-すなわち、第1の長手方向手摺子端部25-に配置された下部キックプレート37(キックレールとも称される)と、上部手摺26と下部キックプレート37との間に配置された中央レール28と、を備える。別の実施形態では、欄干システム1は、更なるレール11-4本、5本、6本、又はそれ以上のレール11など-を備えることができ、又は欄干システム1は、手摺26及び中央レール28若しくはキックプレート37だけ、又は手摺26だけ、などの、より少ないレール11を備えることができる。別の実施形態では、欄干システム1は、3本、4本、6本、又はそれ以上の手摺子3を備えることができ、及び/又はレール11を手摺子3のうちのいくつかだけに接続することができる。この実施形態では、全てのレール11及び全ての手摺子3は、完全にアルミニウムで作製されるが、別の実施形態では、追加の表面コーティング-ラバーコーティング、表面塗装、など-を、欄干システム部品3、8(図5を参照されたい)、11のうちの1つ以上に提供することができる。
【0063】
この実施形態では、手摺子3の各々は、貫通孔の形態の接続手段4を備え、この接続手段によって、ボルトなどを使用して第1の長手方向手摺子端部25を洋上施設2の外側の垂直面に接続することができる。しかしながら、別の実施形態では、接続手段4はまた、又は代わりに、手摺子2を水平面に接続するためのフットプレートを含むことができ、接続手段4はまた、又は代わりに、ねじ孔、ねじ付きスタッド、クラップ、などを含むことができる。
【0064】
この実施形態では、手摺子3は、アルミニウムアングル異形材から作製されるが、別の実施形態では、手摺子3は、パイプ、ロッド、T字形異形材、スロット付き異形材、などから作製することができる。
【0065】
この実施形態では、手摺26、中央レール28、及びキックプレート37は、平行であり、レール11、26、28、37の長手方向範囲が手摺子3の長手方向範囲に対して実質的に垂直であるように装着される。しかしながら、別の実施形態では、-例えば、欄干システム1が階段の欄干として使用される場合-、レール11のうちの2本以上は平行ではなく、及び/又はレール11のうちの1本以上は、手摺子3に対して垂直ではない。
【0066】
この実施形態では、欄干システム1は、手摺26及び中央レール28の第1の長手方向レール端部30を覆う第1の端部カバー29と、手摺26及び中央レール28の第2の長手方向レール端部32を覆う第2の端部カバー31と、を更に備える。この実施形態では、第1の端部カバー29及び第2の端部カバー31もまたレール端部30、32の間に垂直に延在しているが、別の実施形態では、レール端部30、32の各々は、個々の端部カバー29、31を備えることができる-すなわち、別の実施形態では、欄干システム1は、4つの端部カバー29、31を備えることができる-。この実施形態では、端部カバー29、31は、ねじによってレール26、28に接続されるが、別の実施形態では、端部カバー29、31は、ボルト、リベット、接着剤、溶接、などによってレール26、28に接続することができる。
【0067】
この実施形態では、レール11は、図5に関してより詳細に論じられる固定装置(図示せず)によって手摺子3に接続される。
【0068】
この実施形態では、欄干システム1は、現場で予め組み立てられて、この時点で、洋上施設2に取り付ける準備ができている。しかしながら、より一般的な実施形態では、2本の手摺子3の各々の第1の長手方向手摺子端部25が最初に洋上施設2に接続され、その後に、レール11、26、28、37が、図5に関してより詳細に論じられる固定装置(図示せず)によって手摺子3に接続される。この実施形態では、最後のステップは、横方向端部カバー29、31を手摺26及び中央レール28のレール端部30に接続することである。
【0069】
図4は、レール11の側面図を例示する。
【0070】
この実施形態では、レール11は、レール11を手摺子3に接続するための面にT字形スロット7を備える手摺26である。T字形スロット7は、-図から分かるように-口部が最も幅が狭い溝であり、それにより、スリット頭部から突出しているピン部よりも幅が広い頭部を備えた装置を、T字形スロット7内に-T字形スロット7から突出するピン部によって-保持することができるが、それでも、スロットの長手方向において変位し得る。T字形スロット7はまた、ダブテールトラック、接続スロット、異形材スロットなど、とも称される。
【0071】
この実施形態では、T字形スロット7は、レール11の長手方向レール面5の第1の長手方向レール面19-すなわち、T字形スロット面6-に配置され、この実施形態では、レール11にはまた、長手方向レール面5の第2の隣接する長手方向レール面21に配置された追加のT字形スロット20も提供されている。しかしながら、別の実施形態では、レール11は、単一のT字形スロットだけを備えるか、又はレール11は、2つを超えるT字形スロット7、20を備えることができ、及び/又はT字形スロット7、20は、同じ長手方向レール面5に、若しくは他の長手方向レール面5に配置することができる。
【0072】
この実施形態では、レール11は、押し出し加工されたアルミニウム異形材であるが、別の実施形態では、レールは、管又はロッドを機械加工すること、1つを超える管及び/又は異形材を接続すること、などによって形成することができる。
【0073】
この実施形態では、T字形スロット7及び追加のT字形スロット20は、レール11の全長L(図3を参照されたい)にわたって延在しているが、別の実施形態では、T字形スロット7及び/又は追加のT字形スロット20は、レール11の長さL(図3を参照されたい)の一部にだけ延在している-すなわち、別の実施形態では、T字形スロット7、20は、それらが使用される領域の周りの長手方向にだけ延在する。
【0074】
この実施形態では、照明手段22-この場合は、LEDストリップランプの形態-が追加のT字形スロット20に配置されている。この実施形態では、照明手段22は、レール11の実質的に全長L(図3を参照されたい)にわたって延在しているが、別の実施形態では、照明手段22は、追加のT字形スロットの適切な場所の周囲に配設された個々の光源として形成される。別の実施形態では、照明手段22はまた、又は代わりに、レール11のT字形スロット7及び/又は他の表面に位置付けられる。更に、別の実施形態では、看板、ポール、スクリーン、ストラット、ヒンジ、取り付け具、などの追加の機器を、T字形スロット7及び/又は追加のT字形スロット20によって欄干システム1に接続することができる。
【0075】
図5は、固定装置8を通して手摺子3に接続されたレール1の側断面図を例示する。
【0076】
この実施形態では、固定装置8は、より幅の広い頭部13を有するボルト手段10を備え、頭部13は、より幅の狭い細長いピン部12の一端部に配置されている。この実施形態では、ピン部12は円筒形であり、ピン部12の円筒面23には、ピン部12の縦方向範囲の一部に沿っていくつかの半径方向の環状堕落間の谷部に形成されたいくつかのくぼみ24が提供される。しかしながら、別の実施形態では、くぼみ24は、円筒面23の孔内に、表面くぼみ、表面バーブ、などとして形成することができ、及び/又はくぼみ24は、ピン部12の縦方向範囲の全体にわたって形成することができる。
【0077】
この実施形態では、固定装置8は、カラー15を備え、このカラーは、ピン部を取り囲み、この場合はツールによって形成された圧縮ジョイント18によってピン部12に接続され、同時にピン部12を引っ張り、かつカラー15を押しつぶし、次いでその後に、カラー15をピン部12の周りに押し付け、それにより、カラー15がピン部12のくぼみ24に恒久的に変形する。したがって、この実施形態では、カラー15の中心孔の直径は、カラー15をピン部12上へ容易に摺動させることができるように、圧縮ジョイント18が形成される前に、ピン部12の最大外径よりも大きい。圧縮ジョイント18が形成された後、カラーの中心孔の最小内径はピン部12の最大外径より小さく、それにより、カラー15及びピン部12の中心軸16(又は回転軸)に平行な方向に見たときに、カラー15の材料がピン部12の材料に重なって、カラー15及びピン部12を幾何学的に■合わせる-すなわち、カラー15及び/又はピン部12が(好ましい実施形態では)回転対称である場合、中心軸16が対称軸と一致する-。しかしながら、別の実施形態では、圧縮ジョイント18は、摩擦によってカラー15をピン部12に係止するように、カラー15をピン部12の周りに押しつぶすだけである。
【0078】
また、別の実施形態では、圧縮ジョイント18は、カラー15が所定の位置にあるときに、別個の工程で形成することができる。
【0079】
したがって、この実施形態では、欄干システム1は、最初に、上で論じたように、2本の手摺子3を洋上施設2に接続し、その後に、以下の方法で、レール11、26、28、37を固定装置8によって手摺子3に接続することによって形成される。
【0080】
最初に、ボルト手段10の頭部13をレール11のT字形スロット7内に摺動させ、その後に、ボルト手段10のピン部12が手摺子3のオリフィス14を通って延在するように、レール11のT字形スロット面6を手摺子3の第1の側9に対して保持する。次いで、カラー15がピン部12を取り囲むように、カラー15を手摺子3の第2の側17上のボルト手段10のピン部12に配設する。レール11及びカラー15が手摺子3を挟んで両側に配設されるように、手摺子3の第1の側9が第2の側17の反対側にあることに留意されたい。次いで、第1のカラー15が、カラー15をピン部12に対して押しつぶすことによって形成された圧縮ジョイント18によってピン部12に接続される。明らかに、本方法は、上で説明したように、レール11、又はレール11、26、28の全てを固定装置8によって固有欄干システム1の手摺子3の各々に接続することを含む。
【0081】
この実施形態では、欄干システム1の手摺子3、レール11、固定装置8の全てがアルミニウムで作製されている。このようにして、絶縁ワッシャ、インサート、スペーサ、などによるガルバニック絶縁を回避することができるので、ガルバニック腐食が簡単な方法で回避され、欄干システムのアセンブリを非常に早く作製することができる。しかしながら、別の実施形態では、更なる部品を欄干システム1に接続又は加えることができ、これらの部品は、必ずしもアルミニウムで作製する必要はない。
【0082】
本発明を、手摺子3、レール11、固定装置8、などの特定の実施例を参照しながら上に例示してきた。しかしながら、本発明は、上で説明した特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内の多数の変形例に設計及び変更され得ることが理解されるべきである。
【0083】
リスト
1. 欄干システム
2. 洋上施設
3. 手摺子
4. 接続手段
5. 長手方向レール面
6. T字形スロット面
7. T字形スロット
8. 固定装置
9. 手摺子の第1の側
10. ボルト手段
11. レール
12. ピン部
13. 頭部
14. オリフィス
15. カラー
16. カラー及びピン部の中心軸
17. 手摺子の第2の側
18. 圧縮ジョイント
19. 第1の長手方向レール面
20. 追加のT字形スロット
21. 第2の長手方向レール面
22. 照明手段
23. ピン部の円筒面
24. くぼみ
25. 第1の長手方向手摺子端部
26. 手摺
27. 第2の長手方向手摺子端部
28. 中央レール
29. 第1の端部カバー
30. 第1の長手方向レール端部
31. 第2の端部カバー
32. 第2の長手方向レール端部
33. トランジションピース
34. 基礎
35. 風力タービンタワー
36. 洋上風力タービン
37. キックプレート
L. レールの長さ
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】