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特表2024-530762少なくとも1つのパワー半導体を備えた電子モジュール及びその製造方法
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  • 特表-少なくとも1つのパワー半導体を備えた電子モジュール及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】少なくとも1つのパワー半導体を備えた電子モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/40 20060101AFI20240816BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20240816BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L23/40 E
H01L23/46 Z
H05K7/20 B
H05K7/20 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513524
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022071347
(87)【国際公開番号】W WO2023030789
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021209482.1
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キエドロフスキ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムート ワヤンド
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス メックバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス レーバー
(72)【発明者】
【氏名】アルネ シュテフェン フィッシャー
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA10
5E322AA11
5E322BA05
5E322DA00
5F136BB13
5F136BC03
5F136CB06
5F136DA27
5F136EA36
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
本発明は、接触接続アレイ(20)に電気的に接続された少なくとも1つのパワー半導体(10)と、少なくとも1つのパワー半導体(10)の少なくとも間接的な冷却のための少なくとも1つの冷却素子(32,34,36)とを備えた電子モジュール(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触接続アレイ(20)に電気的に接続された少なくとも1つのパワー半導体(10)と、前記少なくとも1つのパワー半導体(10)の少なくとも間接的な冷却のための少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)とを備えた電子モジュール(100)において、
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、加法的製造方法により製造された冷却要素(32,34,36)として形成され、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、前記少なくとも1つのパワー半導体(10)と前記接触接続アレイ(20)との間に配置され、前記少なくとも1つのパワー半導体(10)を前記接触接続アレイ(20)に電気的に接続することを特徴とする、電子モジュール(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、複数の層(41,42,43)から構築され、前記層(41,42,43)は、冷却媒体を案内するための少なくとも1つのチャネル(45)を形成する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、前記パワー半導体(10)の表面に対して垂直に延在する方向においては、前記パワー半導体(10)の表面に対して平行に延在する方向よりも低い剛性を有する、請求項1又は2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、相対向する面にそれぞれ全面的に形成された第1及び第3の層(41,43)を有し、前記第1及び第3の層(41,43)は、前記パワー半導体(10)又は前記接触接続アレイ(20)と電気的に接続され、前記全面的に形成された第1及び第3の層(41,43)には直接第2の層(42)がそれらに続き、前記層によって、前記冷却媒体を案内するための少なくとも1つのチャネル(45)が形成される、請求項2又は3に記載のモジュール。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパワー半導体(10)の相対向する2つの面にそれぞれ少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)が配置される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパワー半導体(10)は、接触接続層(12,14,16)を用いて前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)に接続され、前記接触接続層(12,14,16)の材料は、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)の材料と種類が同一である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項7】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)及び前記少なくとも1つのパワー半導体(10)は、冷却媒体を収容するハウジング(50)の内部に配置され、及び/又は、前記接触接続アレイ(20)は、前記ハウジング(50)の外部に配置され、前記ハウジング(50)内に形成され、好適には封止された開口部(54)を介し、接続要素(56)を介して、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)に接続されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項8】
前記接続要素(56)は、前記冷却要素(32,34,36)のモノリシックな構成要素として形成される、請求項7に記載のモジュール。
【請求項9】
好適には請求項1乃至8のいずれか一項に記載のように構成された電子モジュール(100)を製造するための方法であって、
少なくとも以下のステップ、すなわち、
少なくとも1つの接触接続層(12,14,16)を有するパワー半導体(10)を準備するステップと、
少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)を、加法的製造方法により前記少なくとも1つの接触接続層(12,14,16)の表面に形成するステップと、
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)を、前記パワー半導体(10)とは反対側において接触接続アレイ(20)に少なくとも間接的に接続するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)を前記接触接続アレイ(20)に少なくとも間接的に接続する前に、前記少なくとも1つのパワー半導体(10)を配置し、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)をハウジング(50)の内部に配置し、前記接触接続アレイ(20)をハウジング(50)の外部に配置する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)の加法的形成は、選択的溶融と、それに続くレーザビームを用いた粉末層の凝固とによって行われ、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)の下方の層を形成する際の前記レーザビームの溶接深さ及び/又はエネルギ導入が低減される、請求項9又は10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却要素を用いて同時に冷却され、電気的に接触接続可能な少なくとも1つのパワー半導体を備えた電子モジュールに関する。さらに、本発明は、電子モジュールを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人による独国特許出願公開第102014221147号明細書からは、請求項1の上位概念に記載の特徴を有する少なくとも1つのパワー半導体を備えた電子モジュールが公知である。公知の電子モジュールは、相対向する面に多層積層構造を介してパワー半導体と作用結合するように配置された冷却体を有し、これらの冷却体が、パワー半導体からの熱を放出させている。予め作製された構成部品として形成され、専らパワー半導体の冷却のために用いられる冷却要素は、結合層を介してパワー半導体と熱的に結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014221147号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
請求項1に記載の特徴を有する少なくとも1つのパワー半導体を備えた本発明に係る電子モジュールは、特に好適な手法により冷却要素をモジュールの多層積層構造に統合することを可能にし、その際には、冷却要素が同時にパワー半導体と接触接続アレイとの電気的な接触接続にも用いられるという利点を有する。この接触接続アレイを介して、パワー半導体の駆動制御又は回路への結合が行われる。その上さらに、電子モジュールは、その都度の用途のために最適化された冷却要素を特に簡単な手法により提供することを可能にする。
【0005】
本発明の根底にある思想は、冷却要素を、詳細には、それがパワー半導体と接触接続アレイとの間の電気的な接触接続に用いられる介在要素として配置されるように生産的又は加法的製造方法によって形成することにある。
【0006】
それゆえ、上記の説明を背景として、請求項1に記載の少なくとも1つのパワー半導体を備えた本発明に係る電子モジュールを、少なくとも1つの冷却要素が加法的製造方法により製造された冷却要素として形成され、少なくとも1つの冷却要素が少なくとも1つのパワー半導体と接触接続アレイとの間に配置され、少なくとも1つのパワー半導体を接触接続アレイに電気的に接続するように形成することが提案される。
【0007】
少なくとも1つのパワー半導体を備えた本発明に係る電子モジュールの好適な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明に係るモジュールの特に際だって好適な発展形態においては、少なくとも1つの冷却要素が、複数の層から構築され、これらの層が、冷却媒体を案内するためのチャネルを形成することが想定される。したがって、この種の構成は、特に、冷却媒体を案内するための閉成された横断面を提供すること、又は、相応のチャネルを形成することを可能にする。ここでは、冷却媒体として特にガスが挙げられるが、代替的には冷却液も挙げられる。
【0009】
パワー半導体の領域において熱機械的な応力又はモジュールの負荷を低減するための構造的に特に好適なさらなる実施形態においては、少なくとも1つの冷却要素は、パワー半導体の表面に対して垂直に延在する方向においては、パワー半導体の表面に対して平行に延在する方向よりも低い剛性を有することが想定される。換言すれば、このことは、冷却要素が、パワー半導体の表面に対して垂直な前述の応力を補償するために、パワー半導体の表面に対して垂直に延在する方向にある程度の柔軟性を有することを意味する。したがって、理想的には、冷却要素は、一種のばね要素を形成する。しかしながら、冷却要素は、パワー半導体の平面に対して平行に延在する他の方向においても、この方向に延在する機械的な応力を補償するためにある程度の弾性又はばね作用を有する。最終的に、冷却要素の幾何学形状又はその剛性の形成は、それぞれの用途に最適化され得、又は、剛性が方向に依存して最適化され得る。
【0010】
冷却要素の構造的に特に好適な実施形態においては、少なくとも1つの冷却要素は、相対向する面にそれぞれ全面的に形成された第1及び第3の層を有し、これらの第1層及び第3の層は、パワー半導体又は接触接続アレイと電気的に接続され、全面的に形成された第1及び第3の層には直接第2の層がそれらに続き、これらの層によって、冷却媒体を案内するための少なくとも1つのチャネルが形成されることが想定される。
【0011】
その上さらに、特に好適には、冷却を最適化するために、又は、パワー半導体を、異なる面から電気的に接触接続することができるようにするために、少なくとも1つのパワー半導体の相対向する2つの面にそれぞれ少なくとも1つの冷却要素が配置される。
【0012】
冷却要素とパワー半導体との間の接合を改善するために、又は、接続を保証するために、少なくとも1つのパワー半導体は、接触接続層を用いて少なくとも1つの冷却要素に接続され、接触接続層の材料は、冷却体の材料と種類が同一である。冷却体及び接触接続層(これらは、例えば、両方ともそれぞれアルミニウム若しくは銅から成り又はそれらを含有し得る)の材料の種類が同一であることにより、特に、冷却体の材料が加法的に構築又は溶融され、それに続いて凝固される場合(加法的構築が、金属粉末から成る、レーザビームを用いて溶融される複数の層を介して行われる場合)、接触接続層と冷却体の材料との間の素材結合を可能にさせることが可能になる。
【0013】
冷却作用を最適化するためのモジュールのさらなる好適な実施形態においては、少なくとも1つの冷却要素及び少なくとも1つのパワー半導体が、冷却媒体を収容するハウジングの内部に配置され、接触接続アレイは、ハウジングの外側に配置され、ハウジング内に形成された、好適には封止された開口部を介し、接続要素を介して少なくとも1つの冷却要素に接続されていることが想定される。
【0014】
この提案の好適な発展形態においては、接続要素は、冷却要素のモノリシックな構成要素として形成されることが想定される。したがって、冷却要素の一部である又は冷却要素と共に加法的方法により製造される接続要素は、本来の冷却に用いられる冷却要素と、接触接続アレイとの間の領域を橋絡する。
【0015】
さらに本発明は、好適には、上述の説明に応じて構成された電子モジュールを製造するための方法に関し、ここで、本発明に係る方法は、少なくとも以下のステップを含む。すなわち、最初に、少なくとも1つの接触接続層を有するパワー半導体を準備するステップが行われる。それに続いて、少なくとも1つの冷却要素を、加法的製造方法により少なくとも1つの接触接続層の表面に形成するステップが行われる。最後に、少なくとも1つの冷却要素を、パワー半導体とは反対側において接触接続アレイに少なくとも間接的に接続するステップが行われる。
【0016】
本方法の好適な発展形態においては、少なくとも1つの冷却要素を接触接続アレイに少なくとも間接的に接続する前に、少なくとも1つのパワー半導体を配置し、少なくとも1つの冷却要素をハウジングの内部に配置し、接触接続アレイをハウジングの外部に配置することが想定される。
【0017】
冷却要素の形成に関して、好適には、少なくとも1つの冷却要素の加法的形成が、レーザビームを用いた粉末層の選択的溶融と、それに続く凝固とによって行われ、パワー半導体に面する冷却要素の下層又は第1の層の形成の際に、レーザビームの溶接深さ及び/又はエネルギ導入が低減されることが想定されている。これにより、特に、パワー半導体の熱的過負荷又は損傷が回避される。ここでは、溶接深さの低減は、プロセスパラメータ(例えばレーザ出力、レーザ走行速度等)の調整によってある程度可能である。代替的又は付加的に、冷却体の材料の溶融に、いわゆる超短パルスレーザの使用を用いることも考えられる。このパルスレーザビームは、一方では、(冷却体の起点材料の溶融に必要である)高い吸収強度を可能にし、その際には同時に、(パワー半導体への所望の低い熱導入のために必要である)比較的低い吸収平均出力を可能にすることができる。多くの(1MHzから100MHzまでの間の領域にある)非常に弱いパルスにより、非常に正確で、特に非常にわずかな溶接深さを達成することができる。また、このプロセスを可能にするために、(0.1μmから5μmまでの間の)より小さいサイズへの粉末サイズ分布の調整も必要である。したがって、これにより達成可能な層厚も同様に同等の程度を達成するので、比較的わずかな構築速度が達成可能である。冷却体のある程度の構造高さ(例えば10μmから100μmまでの間)に達すると直ちに、プロセスを従来方式に切り替えることができる。
【0018】
製造プロセスの考えられるさらなる調整には、LIFT(LIFT=Laser-Induced-Forward-Transfer)法のさらなる発展形態であるいわゆるLTM法(LTM=レーザ転写メタライゼーション)の使用が挙げられよう。LTM法においては、冷却要素の構築すべき材料からなる犠牲膜が、基板又はパワー半導体の上方で溶融される。この溶融された材料は、パワー半導体の上に沈降し、冷却要素の構築すべき構造体の基準層を形成し、次いで、この基準層上では、冷却要素を従来の粉末床法により構築することができる。
【0019】
代替的に、冷却要素が構築されるパワー半導体における接触接続層に、従来技術に比較して拡大された厚さ又は高さを持たせることによって、冷却要素の加法的構築の際のパワー半導体の熱負荷を低減することが想定されるものとしてもよい。従来技術に比較して、数マイクロメートル規模の金属化部の増加は、既に結果として、加法的プロセスのためのプロセス窓の著しい拡大につながっている。これは、場合によってはむしろ、上述したエネルギ導入の低減のための手段を省略することができるくらいの大きさであるものとしてもよい。また、金属化部の材料の調整により、冷却要素の層構築の際の熱負荷を低減することも考えられる。基本的には、基板又はパワー半導体の調整も、金属化部の層系全体に関して考えられる。
【0020】
好適には、粉末は、金属粉末である。この金属粉末は、銅及び/又はアルミニウム及び/又は銅合金及び/又はアルミニウム合金から成り又はこれらを含有する。代替的又は付加的に、金属粉末は、炭素を含有する複合材を含む。特に好適には、異なる合金を溶融過程によって生成するために、加法的構築により、上記の材料を粉末混合物に混合することが可能になる。
【0021】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、本発明の好適な実施形態の以下の説明及び図面に基づいて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】加法的製造方法により製造され、接触接続アレイに接続された2つの冷却要素を使用したパワー半導体を備えた電子モジュールの簡略化された縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の実施形態
図1に示されている電子モジュール100は、動作時に熱を発生するパワー半導体10を有し、このパワー半導体10は、特に一般的な手法により基板として構成されている。パワー半導体10の相対向する2つの表面には、例えば印刷により通常の手法により銅又はアルミニウムから形成された金属から成るコンタクトパッドの形態の接触接続層12,14及び16が設けられている。これらの接触接続層12,14,16は、パワー半導体10と、導体路、打抜き格子体などの要素を有する接触接続アレイ20との電気的な接触接続に用いられ、ここで、接触接続アレイ20は、各接触接続領域12,14及び16について、それぞれ1つの接続要素22,24,26を有する。
【0024】
接触接続領域12,14,16と、接触接続アレイ20の接続要素22,24,26との間の接続は、例示的な3つの冷却要素32,34,36を介して行われ、これらの冷却要素32,34,36は、それぞれ加法的製造方法により製造されている。
【0025】
例示的に、冷却要素32,34,36は、それぞれ少なくとも1つの、典型的には複数の第1の層41を有し、これらの第1の層41は、接触接続層12,14,16と全面的に重なって配置され、これらの層12,14,16に接続されている。そこには多数の第2の層42が続いており、これらの第2の層42は、相応に図1に示されており、純粋に例示的にヘリンボーンパターンの形態で、チャネル45の構成要素として空洞44を形成する。その上さらに、ここでは実質的に、第2の層42が、次のように配置又は形成されている。すなわち、例示的に、パワー半導体10の表面の平面に対して垂直に延在する方向において、双方向矢印46に応じて冷却要素32,34,36が、パワー半導体10の表面に対して平行に延在する方向よりも高い弾性又は低い剛性を有するように配置又は形成されている。しかしながら、冷却要素32,34,36は、パワー半導体10の表面の平面に対して平行に延在する方向においても、中実材料(すなわち、空洞44なしの材料)から形成された冷却要素32,34,36よりも低い剛性を有する。したがって、第2の層42は、二重の機能を有し、すなわち、一方では、第2の層42は、冷却要素32,34,36の方向依存性の剛性又は弾性をそれぞれの用途事例に調整することを可能にし、他方では、第2の層42は、冷却媒体が周囲を流動し、空洞44による表面拡大の結果として特に良好な熱伝達を行うことができる冷却の構成要素である。
【0026】
第2の層42には、複数の第3の層43が続いており、これらの第3の層43は、全面的に(すなわち、隙間なしで)形成された層として、例えば第1の層41と重なって配置され、又は、第1の層41の面を有する。
【0027】
これまでに説明してきた冷却要素32,34,36は、パワー半導体10と共にハウジング50の内部に配置されている。好適には閉成されて形成されているハウジング50は、液状媒体として又はガス状媒体として設けられ得る、冷却に用いられる媒体により充填されている。好適には、媒体の通流又は循環は、通流矢印52に応じて行われ、詳細には冷却要素32,34,36がチャネル45の横断面領域において媒体により通流されるように行われる。
【0028】
ハウジング50は、各冷却要素32,34,36に割り当てられた接続要素56により貫通されているそれぞれ1つの貫通開口54を有する。接続要素56は、冷却要素32,34及び36のモノリシックな構成要素であり、すなわち、冷却要素32,34,36は、各接続要素56と共に、単一の製造プロセスにおいて製作される。
【0029】
ハウジング50の外部においては、接続要素56は、特に、冷却要素32,34,36と同種の材料から形成されたさらなる接触接続層58を介して接続要素22,24,26に接続されている。
【0030】
これまでに説明してきたモジュール100は、本発明の考察から逸脱することなく多岐にわたる手法により変更又は修正することが可能である。そのため、例えば、ハウジング50を省略し、パワー半導体10の冷却を空気循環によって行うことも考えられる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触接続アレイ(20)に電気的に接続された少なくとも1つのパワー半導体(10)と、前記少なくとも1つのパワー半導体(10)の少なくとも間接的な冷却のための少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)とを備えた電子モジュール(100)において、
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、加法的製造方法により製造された冷却要素(32,34,36)として形成され、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、前記少なくとも1つのパワー半導体(10)と前記接触接続アレイ(20)との間に配置され、前記少なくとも1つのパワー半導体(10)を前記接触接続アレイ(20)に電気的に接続することを特徴とする、電子モジュール(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、複数の層(41,42,43)から構築され、前記層(41,42,43)は、冷却媒体を案内するための少なくとも1つのチャネル(45)を形成する、請求項1に記載の電子モジュール(100)
【請求項3】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、前記パワー半導体(10)の表面に対して垂直に延在する方向においては、前記パワー半導体(10)の表面に対して平行に延在する方向よりも低い剛性を有する、請求項に記載の電子モジュール(100)
【請求項4】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)は、相対向する面にそれぞれ全面的に形成された第1及び第3の層(41,43)を有し、前記第1及び第3の層(41,43)は、前記パワー半導体(10)又は前記接触接続アレイ(20)と電気的に接続され、前記全面的に形成された第1及び第3の層(41,43)には直接第2の層(42)がそれらに続き、前記層によって、前記冷却媒体を案内するための少なくとも1つのチャネル(45)が形成される、請求項2又は3に記載の電子モジュール(100)
【請求項5】
前記少なくとも1つのパワー半導体(10)の相対向する2つの面にそれぞれ少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)が配置される、請求項に記載の電子モジュール(100)
【請求項6】
前記少なくとも1つのパワー半導体(10)は、接触接続層(12,14,16)を用いて前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)に接続され、前記接触接続層(12,14,16)の材料は、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)の材料と種類が同一である、請求項に記載の電子モジュール(100)
【請求項7】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)及び前記少なくとも1つのパワー半導体(10)は、冷却媒体を収容するハウジング(50)の内部に配置され、及び/又は、前記接触接続アレイ(20)は、前記ハウジング(50)の外部に配置され、前記ハウジング(50)内に形成され、好適には封止された開口部(54)を介し、接続要素(56)を介して、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)に接続されている、請求項に記載の電子モジュール(100)
【請求項8】
前記接続要素(56)は、前記冷却要素(32,34,36)のモノリシックな構成要素として形成される、請求項7に記載の電子モジュール(100)
【請求項9】
子モジュール(100)を製造するための方法であって、
少なくとも以下のステップ、すなわち、
少なくとも1つの接触接続層(12,14,16)を有するパワー半導体(10)を準備するステップと、
少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)を、加法的製造方法により前記少なくとも1つの接触接続層(12,14,16)の表面に形成するステップと、
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)を、前記パワー半導体(10)とは反対側において接触接続アレイ(20)に少なくとも間接的に接続するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)を前記接触接続アレイ(20)に少なくとも間接的に接続する前に、前記少なくとも1つのパワー半導体(10)を配置し、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)をハウジング(50)の内部に配置し、前記接触接続アレイ(20)をハウジング(50)の外部に配置する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)の加法的形成は、選択的溶融と、それに続くレーザビームを用いた粉末層の凝固とによって行われ、前記少なくとも1つの冷却要素(32,34,36)の下方の層を形成する際の前記レーザビームの溶接深さ及び/又はエネルギ導入が低減される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記電子モジュール(100)は、請求項1に記載の電子モジュール(100)である、請求項9に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【国際調査報告】