(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】多層クッション層を含む吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/53 20060101AFI20240816BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61F13/53 100
A61F13/514 320
A61F13/53 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513544
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022076018
(87)【国際公開番号】W WO2023039401
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】アビシェーク、プラカシュ、スルシェ
(72)【発明者】
【氏名】エルネスト、ガブリエル、ビアンチ
(72)【発明者】
【氏名】バルター、ピーター、ヘンドリク、ラウレンティウス、バン、デア、クルフト
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA01
3B200BA08
3B200BB17
3B200DA16
3B200DB01
3B200DD01
3B200DD07
(57)【要約】
吸収性物品(20)は、液体透過性トップシート(24)と、液体不透過性バックシート(25)と、吸収性コア(28)と、吸収性コア(28)とバックシート(25)との間のクッション層(60)と、を備える。クッション層は、少なくとも2つのサブ層(61、62、63..)を備える。サブ層は、有利には、異なる幅を有するか、又は1つ以上の長手方向に延在する取り付けエリア(70)によって互いに結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向中心線(80)及び横断方向中心線(90)を有する個人衛生用の吸収性物品(20)であって、
-液体透過性トップシート(24)と、
-液体不透過性バックシート(25)と、
-前記トップシートと前記バックシートとの間の吸収性コア(28)であって、前記吸収性コアが、コアラップを形成する上部基材層(45)と下部基材層(46)との間に配設された吸収性材料(30)を含み、
前記吸収性材料が、任意選択的に、セルロース繊維と混合された、前記吸収性材料の少なくとも50重量%の超吸収性ポリマーを含む、吸収性コア(28)と、
前記吸収性コア(28)と前記バックシート(25)との間に配設されたクッション層(60)であって、前記クッション層(60)が、少なくとも2つのサブ層(61、62、63..)を備える、クッション層(60)と、を備える、吸収性物品(20)。
【請求項2】
前記サブ層の少なくとも一部若しくは全部が、積層された個々のサブ層(61、62)であり、及び/又は前記サブ層の少なくとも一部若しくは全部が、単一のクッション材料層を折り畳むことによって、特に、Z折り(63)若しくはオメガ折り(64)構成で形成されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記クッション層が、2つ、3つ、又は4つのサブ層を備える、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記サブ層が、同じ長さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性材料が、セルロース繊維を含まない超吸収性ポリマー粒子の少なくとも1つの層を含み、前記超吸収性ポリマー粒子が、接着剤又は熱可塑性ポリマーの繊維状ネットによって固定されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記サブ層が、同じ坪量及び/又はキャリパを有し、特に、前記サブ層(61、62)が、同じクッション材料から作製されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記サブ層の各々が、本明細書において説明されるキャリパ測定方法に従って、0.85kPaの圧力で測定される際に、少なくとも0.2mmのキャリパ、及び/又は少なくとも12gsmの坪量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記サブ層のうちの少なくとも2つが、異なる幅を有し、そのため、前記クッション層が、中心エリア(60a)の横方向に配設された側方エリア(60b)の坪量よりも高い坪量を有する、長手方向に延在する前記中心エリア(60a)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記クッション層全体(60)の前記幅対前記中心エリア(60a)の前記幅の比が、1.10~3.0、特に1.4~2.5の範囲内に含まれる、請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記中心エリア(60a)の前記坪量対前記側方エリア(60b)における前記坪量の比が、4/3~4/1の範囲内に含まれる、請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
2つの垂直方向に隣接するサブ層が、1つ以上の長手方向に延在する取り付けエリア(70、70’、70’’)によって、好ましくは、接着剤取り付けを介して、互いに部分的に取り付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記部分的な長手方向に延在する取り付けエリア(70)が、前記吸収性物品の前記長手方向軸と位置合わせされた長手方向に延在する中心であり、そのため、前記クッション層が、この中心取り付けエリアの横方向外側に配設された2つの横方向非取り付けエリアを備え、前記サブ層が、互いに分離されている、請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記サブ層のうちの少なくとも1つ、好ましくは、全てが、不織布、特に、カーディングされた不織布である、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
最も厚い領域(60a)における前記クッション層の前記キャリパが、本明細書において説明されるキャリパ測定方法に従って、0.85kPaの圧力で測定される際、少なくとも0.4mm、任意選択的に、最大4mmであり、及び/又は、このより厚い領域における前記クッション層の前記坪量が、24g/m
2~100g/m
2の範囲内に含まれる、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記コアラップの前記クッション層(60)及び前記下部基材層(46)が、それらの境界面(100)において互いに部分的にのみ結合され、特に、前記結合部分が、長手方向に延在する結合部分(110)と、任意選択的に、1つ以上の角部結合部分(111)又は1つ以上の横方向結合縁部分(112)と、を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳児用おむつ、及び成人用失禁製品などの個人衛生用吸収性物品に関する。吸収性物品は、吸収性コアとバックシートとの間に配設されたクッション層を備える。
【背景技術】
【0002】
おむつなどの個人用吸収衛生物品は、乳児、幼児、又は成人失禁者が、ベッド又は衣類を汚さないようにするために使用される。長年にわたる継続的な改善により、今日では使用するのに快適であり、漏れを防止するのに非常に効率的であるおむつがもたらされた。物品内の吸収性コアは、体液を吸収し貯蔵する吸収性材料を含む。セルロース繊維と混合された超吸収性ポリマー(superabsorbent polymers、SAP)は、吸収性材料として産業において広く使用されているが、吸収性コアから吸収性パルプ繊維を低減させるか、更には除去する傾向がある。
【0003】
高比率のSAPを含み、セルロース繊維をほとんど又は全く含まないコアの1つの欠点は、介護者が、バックシートを通して個々の超吸収性粒子を感じ得ることである。これは、ザラザラした感触としてユーザによって好ましくないと知覚される場合がある。米国特許出願公開第2019/0374397(A1)号は、このザラザラした感触を回避するために、吸収性コアとバックシートとの中間に少なくとも部分的に位置決めされたマスキング材料を使用することを開示する。マスキング材料は、依然として、吸収性物品が可撓性のままであり、着用者に適合することを可能にするのに十分に低い剛性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0374397(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い吸収特性と柔軟性とを兼ね備えた吸収性物品に対する継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、個人衛生用吸収性物品に関する。吸収性物品は、液体透過性トップシートと、液体不透過性バックシートと、トップシートとバックシートとの間に吸収性材料を含む吸収性コアと、吸収性コアとバックシートとの間に配設されたクッション層と、を備える。吸収性材料は、少なくとも50重量%の超吸収性ポリマーを含み、任意選択的に、セルロース繊維と混合される。本発明によれば、クッション層は、少なくとも2つのサブ層を備える。サブ層は、積層された個々の層であり得、又はサブ層は、クッション層材料の層を折り畳むことによって形成され得、折り目がサブ層を形成する。
【0007】
第1の態様では、サブ層は、クッション層が長手方向に延在する中心エリアにおいて、この中心エリアの横方向外向きに配設された側方エリアに対してより高い坪量を有するように配置される。このように、クッション層は、それが最も必要とされる物品のこの中心エリアにおいて増加したクッション性を提供する。これは、異なる幅を有する少なくとも2つのサブ層を提供することによって取得することができる。
【0008】
第2の態様では、クッション層を形成する少なくとも2つの垂直方向に隣接するサブ層は、中央の長手方向に延在する取り付けエリアに沿ってそれらの境界面において互いに取り付けられるが、中央取り付けエリアの横方向外向きに配設された横方向非取り付けエリアに沿って互いに取り付けられていない。これは、特に横方向の圧縮を受けたときに、クッション層のより良好な可撓性を提供する。
【0009】
第3の態様では、コアラップのクッション層及び下部基材層は、それらの境界面で互いに部分的にのみ結合され、特に、結合部分は、長手方向に延在する結合部分、及び任意選択的に、1つ以上の角部結合部分又は1つ以上の横方向結合縁部分を備える。
【0010】
態様のうちのいずれかは、当然のことながら、他のいずれかと組み合わされ得、例えば、第1の態様は、第2の態様と組み合わされ得、第2の態様は、第3の態様と組み合わされ得、及び/又は第1、第2及び第3の態様は、吸収性物品内で組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書は、本発明を詳細に示しかつ明確に特許請求する「特許請求の範囲」をもって結論とするが、添付図面とともに以下の説明を読むことにより、本明細書の内容がよりよく理解されると考えられる。
【
図1】いくつかの層が部分的に除去された状態のテープ式おむつの形態の例示的な吸収性物品の上面図である。
【
図3A】
図1の線3-3に沿った概略分解断面図である。
【
図3B】
図3Aのコアラップとクッション層との間の接着剤パターンを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書において使用される際、「吸収性物品」は、着用者の身体に対して又は近接して配置されて、身体から排泄された様々な排泄物を吸収して閉じ込めるデバイスを指す。吸収性物品としては、おむつ(乳児及び幼児用おむつ並びに成人失禁用おむつ)、吸収性インサート(おむつ又はパンツを形成するために外側カバーに挿入されることが意図される)、(生理用ナプキン及びパンティライナーなどの)女性用ケア吸収性物品などが挙げられる。本発明は、使い捨てテープ式おむつ及び使い捨てパンツ型おむつの形態の吸収性物品において使用するのに特に好適である。本明細書で使用される場合、用語「排泄物」は、限定するものではないが、尿、血液、膣排泄物、汗、及び糞便を含む。
【0013】
本明細書で使用される場合、「おむつ」とは、概して、乳児、幼児及び成人失禁者によって、着用者の腰及び脚を取り囲むように胴体下部の周囲に着用され、特に、尿及び糞便排泄物を受容し閉じ込めるように適合されている吸収性物品を指す。おむつは、概して、テープ式おむつ又はパンツ型おむつとして特徴付けることができる。テープ式おむつでは、おむつの後半分は、テープシステムによって前半分に取り外し可能に取り付けることができる。パンツ型おむつでは、腰部開口部及び脚部開口部は、おむつパンツの縁部において左シーム及び右シームによって事前形成される。おむつパンツでは、介護者(又は可能な場合には着用者自身)は、着用者の足及び脚を脚開口部に挿入し、次いでパンツおむつを着用者の胴体下部の周りの位置に摺動させる。パンツ型おむつは、限定するものではないが、再締着可能な結合剤及び/又は再締着不可能な結合剤(例えば、シーム、溶接、接着剤、粘着性結合剤、締着具など)を使用して吸収性物品の部分を互いに接合することを含む任意の好適な手法によって、事前形成され得る。パンツ型おむつは、物品の外周に沿った任意の位置(例えば、側部締着、前側腰部締着)で事前形成され得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、「不織布」、「不織布ウェブ」、及び「不織層」という用語は、互換的に使用される。不織布は、織ること、編むこと又は製紙することを除く、物理的及び/又は化学的手段によって設計されたレベルの構造的一体性が与えられている、主に平面状の人工繊維アセンブリとして広く定義される。繊維は、綿若しくは竹繊維などの天然由来のものであるか、又は人工由来のものであり得る。合成繊維は、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン又はそれらの組み合わせ及び混合物など)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、co-PET、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリヒドロキシアルカノイド(polyhydroxy alkanoid、PHA)又はそれらの混合物若しくは組み合わせからなる群から選択され得る。繊維は、ステープル繊維(例えば、カーディングされた不織布ウェブ/層)又は連続繊維(例えば、スパンボンド又はメルトブローン不織布ウェブ/層)であり得る。
【0015】
不織布ウェブ/層は、メルトブロー、スパンレイ、溶媒紡糸、電界紡糸及びカーディングなどの多くのプロセスによって形成することができ、繊維は、例えば、水流交絡(スパンレース不織布ウェブ/層において)、エアスルー接着(厚さ方向に繊維層を通って吹き込まれる熱空気を使用)、針パンチ、局所的な圧縮及び/又は熱若しくは超音波エネルギーの適用によって生成される1つ以上の接着のパターン及び接着部圧痕、又はそれらの組み合わせによって固結され得る。繊維は、代替的に又は追加的に、結合剤の使用によって固結され得る。結合剤は、結合剤繊維(これは続いて溶融される)の形態で提供されるか、又はスチレンブタジエン結合剤などの液体で提供され得る。液体結合剤は、(例えば、噴霧、印刷又は発泡体塗布によって)繊維に提供され、続いて硬化されて固化する。不織布の坪量は通常、1平方メートル当たりのグラム(g/m2)で表される。
【0016】
不織布材料は、様々な繊維材料(PP、PE、PET、coPET、二成分、及びこれらの混合物)によって形成することができ、場合によっては、繊維又は不織布を処理して、流体透過性又は流体バリア特性などの特定の流体処理特性を向上させることができる。
【0017】
「dtex」とは、本明細書で使用するとき、フィラメント/繊維の繊度を示すために使用される単位を指す。この単位は、長さ10,000メートル当たりのグラムでフィラメント/繊維の質量を表す。
【0018】
「親水性の」は、これらの基材に堆積された水性流体(例えば、水性体液)によって湿らせることができる基材の表面を説明するものである。親水性及び湿潤性は、典型的には、流体の接触角、及び流体の染み出し時間、例えば不織布を通る染み出し時間により定義される。これに関しては、「Contact Angle,Wettability and Adhesion」と題する、Robert F.Gouldにより編集された、American Chemical Societyの刊行物(Copyright 1964)に詳細に考察されている。基材の表面は、流体と表面との間の接触角が90°未満の場合、又は流体が基材の表面にわたって自然に広がる傾向がある場合のいずれかにおいて(通常、両条件は共存する)、流体によって濡れた(すなわち、親水性)と言われる。逆に、接触角が90°より大きい場合及び流体が繊維の表面全体に自然に広がらない場合は、基材は「疎水性」とみなされる。
【0019】
「長手方向」は、物品の腰部縁部の中央から対向する腰部縁部の中央まで垂直に延びる方向を指し、概念的には、長手方向中心線と定義される。吸収性物品は、この長手方向中心線に対して対称に構成される。「横断方向」とは、長手方向と垂直な方向を指す。本明細書で使用される場合、「長手方向に延在する」とは、横方向よりも長手方向に少なくとも2倍延在する物品の特徴を指す。
【0020】
「身体に面する」及び「衣類に面する」とはそれぞれ、要素、又は要素の表面、又は要素の群の相対位置を指す。「身体に面する」とは、要素又は表面が、同じ構成要素の別の要素よりも、着用中に着用者により近いことを意味する。「衣類に面する」とは、要素又は表面が、同じ構成要素の別の要素よりも、着用中に着用者からより遠く離れていることを意味する。衣類に面する表面は、着用者の別の衣類、又は寝具などの他のアイテム、又は大気に面し得る。
【0021】
「含む、備える(comprise、comprising、comprises)」は、非限定的な用語であり、各々が、続いて記載される特徴(例えば、構成要素)の存在を特定するが、他の特徴(例えば、当該技術分野において既知の、又は本明細書に開示される要素、工程、構成要素)の存在を除外しない。動詞「含む、備える(comprise)」に基づくこれらの用語は、特徴がその機能を発揮する様式に実質的に影響を及ぼすような、言及されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する、より狭義の用語「から本質的になる」、及び指定されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する用語「からなる」を包含する。
【0022】
例示的なおむつ20の概説
図1は、おむつの構造をより明確に示すためにおむつの部分を切り欠いている、平らに広げた状態の例示的なテープ式おむつ20の平面図である。おむつ20は、例解のみの目的で示されている。本発明の構造体は、多種多様な他の吸収性物品、例えば、事前形成された側部シームを有する吸収性おむつパンツに使用することができる。パンツ物品の側部シームは、パンツを平らに広げた構成に配置することが所望される場合、切断又は他の方法によって開放することができる。
【0023】
図1~
図2に例解されるように、吸収性物品は、トップシート24、バックシート25、及びトップシート24とバックシート25との間に位置決めされた吸収性コア28を備える。吸収性コア28は、平らに広げられたときに、物品によって形成される平面において所定の形状を有する堆積エリアを有する吸収性材料30を含む。吸収性材料30の堆積エリアの形状は、
図1に例解されるように実質的に矩形であり得るか、又は砂時計形状のような先細りの輪郭などの別の形状を有し得る。吸収性コア28は、吸収性物品の長さに沿った流体の分配を容易にするために、吸収性材料を実質的に含まないエリアである長手方向に延在するチャネル26を任意選択的に備え得る。物品の要素の垂直位置を考察する場合、「上」又は「上部」は、トップシートにより近い配向又は方向を指し、「下」又は「底部」は、バックシートにより近い配向又は方向を指す。
【0024】
図1~
図2に例解されるおむつ20などの吸収性物品は、典型的には、トップシートの直下に捕捉層52を備える。捕捉層は、例えば、界面活性剤処理された、ラテックス結合不織布捕捉層であり得る。分配層54は、捕捉層と吸収性コアとの間に更に任意選択的に存在し得る。分配層54は、例えば、架橋セルロース繊維からなり得る。先行技術は、多くのタイプの捕捉-分配層を開示しており、例えば、国際公開第2000/59430号、国際公開第95/10996号、米国特許第5700254号、国際公開第02/067809号を参照されたい。
【0025】
吸収性物品20はまた、内側バリアレッグカフ32及び外側レッグカフ34を備え得る。内側バリアカフ34は、排泄物の保持を提供するために物品の表面から上向きに延在することができ、一方、外側カフ33は、典型的には、当該技術分野において既知であるように、トップシート及びバックシートによって画定されるような物品のシャーシの平面内に形成される。これらのカフは、好ましくは、当該技術分野において既知であるように、例えば、図に表されるような弾性糸33、35を使用して弾性化される。更に、吸収性物品は、ランディングゾーン44(例えば、フックアンドループ締着具システムにおけるループを提供する不織布ウェブ)と協働する、接着テープタブ、又はフック要素を備えるテープタブなどの、後側耳部40上に配設されたテープタブ42を備えることができる、接着締着具システム又はフックアンドループ締着具部材などの、締着具システムを更に備え得る。テープ式おむつは、典型的には、後側耳部40及び前側耳部46を備えるが、これらは、典型的には、事前形成された側部シームを有するパンツ型吸収性物品には存在しない。
【0026】
前側耳部41及び/又は後側耳部40は、吸収性物品のシャーシに取り付けられた別個の構成要素であるか、又はその代わりに、これらの部分が、トップシート及び/又はバックシートの部分と連続し得、そのため前側耳部及び/又は後側耳部41、40の全部又は一部を形成する。上述の組み合わせもまた可能であり、そのため前側耳部及び/又は後側耳部は、トップシート及び/又はバックシートの部分によって形成され、その一方で、追加の材料が、前側耳部及び/又は後側耳部全体を形成するために取り付けられる。前側耳部及び/又は後側耳部は、弾性又は非弾性であり得る。また、前側耳部40は、吸収性物品に取り付けられた別個の構成要素として適用され得、一方、後側耳部(又はその部分)46は、バックシート及び/又はトップシートの部分と連続的であり得るか、又はその逆であり得る。
【0027】
吸収性物品は、テープ式おむつ又はパンツ型おむつにかかわらず、前側腰部領域36(使用時に着用者の腹部に向かって配向される)、前側腰部領域36の反対側の後側腰部領域38(着用者の背中に向かって配向される)、及び前側腰部領域36と後側腰部領域38との間に位置する股部領域37に概念的に分割することができる。股部領域、前側腰部領域、及び後側腰部領域は、各々、長手方向中心線80に沿って測定したとき、吸収性物品の3分の1を表す。長手方向中心線80は、物品をその長さに沿って2等分する想像線である。横断中心線90は、平らに広げられたおむつの平面内の長手方向中心線80に対して垂直で、物品の長さの中央を通る想像線である。おむつ20の周辺は、おむつの外縁部によって画定される。両長手方向縁部13は、おむつ20の長手方向中心線80に対して略平行に延び得、前側腰縁部10及び後側腰縁部12は、典型的に、長手方向縁部に接合し、物品20の横断中心線90に対して略平行である。
【0028】
更に、吸収性物品は、弾性後側腰部特徴部、前側腰部弾性特徴部、トップシートの身体に面する表面上に適用されたローション、又は尿と接触したときに色が変化するバックシートの内側に配設された尿インジケータなどの、簡略化のために表されていない他の任意選択的であるが従来の要素を備え得る。
【0029】
トップシート24、バックシート25、吸収性コア28、及び他の物品の構成要素は、別途示されない限り、特に、糊剤接着、熱エンボス加工、超音波接着又はこれらの組み合わせによって、様々な周知の構成において組み立てられ得る。例示的なおむつ構成は、米国特許第3,860,003号、米国特許第5,221,274号、米国特許第5,554,145号、米国特許第5,569,234号、米国特許第5,580,411号及び米国特許第6,004,306号に概説されている。
【0030】
トップシート24は、着用者の皮膚に接触する、吸収性物品20の部分である。トップシートの少なくとも一部分又はその全体は、液体透過性であり、これにより液状の身体の排泄物がその厚みを通して容易に浸透する。好適なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、織布材料、不織布材料、天然繊維(例えば、木材繊維若しくは綿繊維)、合成繊維又はフィラメント(例えば、ポリプロピレン繊維、若しくは二成分PE/PP繊維、又はこれらの混合物)、あるいは天然繊維と合成繊維との組み合わせの、織布材料又は不織布材料などの、幅広い範囲の材料から製造され得る。トップシートは、1つ以上の層を有し得る。トップシートは、有孔であるか、又は無孔であり得、任意の好適な三次元特徴部を有し得、及び/又は、複数のエンボス部(例えば、ボンドパターン)を有し得る。トップシートの任意の部分は、スキンケア組成物、抗菌剤、界面活性剤、及び/又は他の有益な薬剤でコーティングされ得る。トップシートは、親水性若しくは疎水性であり得るか、あるいは親水性部分若しくは親水性層及び/又は疎水性部分若しくは疎水性層を有し得る。トップシートが疎水性である場合、身体の排泄物がトップシートを通過し得るように、典型的には孔が存在することになる。
【0031】
バックシート25は、概して、吸収性物品の衣類に面する表面の全部又は一部を構成する吸収性物品20の部分である。バックシート25は、当業者に既知の任意の取り付け方法によって、トップシート24、吸収性材料30、基材層46、又はクッション層60に少なくとも部分的に接合され得る。バックシート25は、吸収性材料30内に吸収され閉じ込められた身体排泄物が、ベッドシーツ、下着、及び/若しくは衣服などの物品を汚すことを防止するか、又は少なくとも抑制する。バックシートは典型的には、液体不透過性であるか、又は少なくとも実質的に液体不透過性である。
【0032】
バックシート25は、典型的に、約0.01mm~約0.05mmの厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄い不透過性プラスチックフィルムからなる。バックシート材料は、吸収性物品から蒸気を逃がすことを可能にする一方で、依然として、身体の排泄物がバックシートを通過することを防止するか、又は少なくとも抑制する、通気性であり得る。通気性バックシートは、実験が23℃±2℃及び50%RH±2%RHで制御された実験室で行われ、計器細胞は37.8℃(100°F)まで加熱されるという仕様を用いて、不織標準手順NWSP 70.4.R0(15)に従って、PERMATRAN-W Model 101K(Mocon,Inc.、Minneapolis,MN)又は同等品を使用して測定して、1,000~15,000g/m2/24時、又は1,000~10,000g/m2/24時、又は1,500~10,000g/m2/24時の水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate、WVTR)を有し得る。
【0033】
バックシート25はまた、バックシート不織布外側カバー(図示せず)を備え得る。バックシート不織布外側カバーは、典型的には、バックシートフィルムの外側表面にラミネート加工された薄い不織布材料である。外側カバー不織布は、このためバックシートの最も外側の衣類に面する表面を形成し得る。バックシート不織布外側カバーは、結合パターン、開口部、及び/又は三次元特徴部を備え得、バックシートの感触を改善し得る。
【0034】
バックシートの着用者に面する側は、典型的には、広い接着剤被覆75が適用され、これは、典型的には、当該技術分野において既知であるように、らせん状の糊の塗布によって適用され得る。この接着剤被覆75は、クッション層60をバックシート25に固定するために使用され得る。
【0035】
吸収性材料30は、吸収性材料の少なくとも50重量%の超吸収性ポリマー粒子と、好ましくは、より多くを含む。好適な超吸収体ポリマーは、当該技術分野において既知であるように、大量の流体を吸収することができる任意の非水溶性、水膨潤性ポリマーである。「超吸収性ポリマー」という用語は、本明細書では、遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity、CRC)試験(EDANA法WSP241.2.R3(12))を使用して測定されたときに、それらの重量の少なくとも10倍の0.9%生理食塩水を吸収し得る、吸収性材料、典型的には架橋ポリマー材料を指す。この超吸収性ポリマーは、具体的には、CRC値が20g/g超、又は24g/g超、又は20~50g/g、又は20~40g/g、又は24~35g/gであり得る。
【0036】
吸収性材料は、吸収性材料の総重量の少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の超吸収性ポリマー粒子を更に含み得る。吸収性材料の残りは、超吸収性ポリマー粒子と混合されるセルロース繊維又は合成繊維であり得る。吸収性材料は、セルロース繊維を完全に含まない場合があるか、又はセルロース繊維を含まない超吸収性ポリマー粒子の1つの層を少なくとも含む。セルロース繊維を含まないかかる吸収性コアは、当該技術分野においてエアフェルトフリーコアと称される。超吸収性粒子は、特に、当該技術分野において既知であるように、接着剤又は熱可塑性ポリマーのマイクロファイバーネットによって固定され得るか、又は代替的に、高ロフトの多孔質不織布内に支持され得る。エアフェルトフリーコアでは、SAP粒子は、ポケット内に封入され得るか、例えば、米国特許第5,433,715号(Tanzer et al.)、国際公開第2012/052172号(Van Malderen)を参照されたく、又は接着性繊維の繊維網によって固定され得るか(例えば、米国特許出願公開第2008/312617号、Hundorf et al.)、又は高ロフト不織布の細孔内に固定され得る(例えば、国際公開第2016/06021号、Bianchi et al.を参照)。
【0037】
吸収性材料30は、典型的には、
図1に示されるような吸収性物品の平面で考えるとき、所定の形状を有する堆積エリアを画定する。堆積エリアは、任意の形状、特に
図1に例解されるような矩形形状を有し得るが、物品の股領域においてテーパを有するドッグボーン又は砂時計形状などの他の形状が一般的である。
【0038】
吸収性材料30は、トップシートに向かって配向された上部基材層45とバックシートに向かって配向された下部基材層46との間に配設される。これらの基材層は、吸収性材料を挟持し、ともに吸収性コア28を形成する。上部基材層及び下部基材層は、ともにコアラップと称される。上部基材層45及び下部基材層46は、吸収性材料に対する支持を提供することができる任意の材料であり得る。基材層は、典型的には、不織布ウェブからなるが、紙などの他の好適な材料が可能である。基材層は、低い坪量(典型的には、20gsm未満、特に14gsm未満)を有する。好ましい基材材料は、当該技術分野で既知のように、SMS不織布(Spunbond-Meltblown-Spunbond、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンドラミネート)であり得る。上部捕捉-分配層又はシステム52、54を必要としない吸収性物品に関して、上部基材層45は、トップシート24と吸収性材料30との間に直接提供することができる。
【0039】
吸収性コアは、吸収性材料30に面する上部基材及び/又は下部基材の内側表面上に、補助糊と称される接着剤72の層を含み得る。この接着剤は、典型的には、当該技術分野において既知であるように、一連の長手方向に延在するスロット内にスロットコーティングによって適用され得る。接着剤は、吸収性材料をコアラップ内に固定することに更に役立つ。補助接着剤72はまた、吸収性材料を含まないチャネル26を通して、上部基材と下部基材との間にチャネル結合を形成する役割を果たし得る。
【0040】
上部基材層45及び下部基材層46は、図に例解されるように、例えば、Cラップ構成で互いに部分的に結合される2つの別個の材料片から作製され得る代替的に、コアラップは、上部基材層及び下部基材層を形成する単一の材料片によって形成され得る。上部及び下部基材層は、同じ又は異なる材料、すなわち、同じ又は異なる特性を有する2つの不織布ウェブから作製され得る。基材層45、46は、好ましくは、例えば、長手方向側部接着剤73を使用して、吸収性材料が横方向に解放されるのを防止するために長手方向に結合される。基材層はまた、任意選択的に、吸収性コアの前側及び後側で横方向に結合され得る。基材層は、少なくとも長手方向に向かい合わせで接着され得るが、他の接着構成、特に、
図2に例解されるように、フラップが吸収性材料の周りに折り畳まれ、他方の基材に取り付けられ得るように、上部又は底部基材層のうちの一方が他方よりも大きいCラップ構成が可能である。上部基材層45の部分は、これらの部分が吸収性材料の衣類に面する表面上に位置決めされるように、吸収性材料の層の長手方向縁部上に折り畳まれ得る。代替的に、又は追加的に、下部基材層46の長手方向縁部にある部分及びそこに隣接する部分は、これらの部分が吸収性材料の身体に面する表面上に位置決めされるように、吸収性材料の層の長手方向縁部上に折り畳まれ得る。
【0041】
吸収性コアは、任意選択的に、場合によっては偶発的な個別の汚染は別として、吸収性材料が実質的に存在しない吸収性材料内のエリアである1つ以上のチャネル26を備え得る。「チャネル」という用語は、簡略化のために「少なくとも1つ以上のチャネル」を指すために以下で使用される。チャネルは、好ましくは、吸収性コアの側面のいずれにも延在せず、このため、チャネルの少なくともいくつかは、吸収性材料によって完全に包囲される。チャネルは、典型的には、長手方向に細長い。チャネルは、(長手方向中心線80に沿って測定される際)吸収性物品の長手方向寸法の10%~80%、又は20%~70%、又は30%~60%の長さを有し得る。チャネルは、直線状、湾曲状、又はこれらの組み合わせであり得る。チャネルは、典型的には、長手方向軸に対して対称に配設され、
図1に例解されるように、別のチャネルから分離され得、代替的に、チャネルは、U又はO形状を形成するように、それらの先端の一方又は両方で接続され得る。かかるチャネルは、例えば、国際公開第2012170778(A1)号、国際公開第2012170781号(Kreuzer et al)に更に詳細に開示される。吸収性コアは、物品20の股部領域37に少なくとも部分的に存在し、任意選択的に、前側及び後側腰部領域36、38に延在するか、又は前側腰部領域若しくは後側腰部領域のみに延在する、1つ以上のチャネルを備え得る。任意のチャネル形状が可能であり、例えば、一対の長手方向に延在する中央チャネルはまた、略U又はO形状を形成するように、それらの先端で接合され得る。
【0042】
吸収性コアの上部基材層45及び下部基材層46は、チャネルの長さの少なくとも一部分を通して互いに結合され得る。このチャネル結合は、乾燥状態及び湿潤状態におけるチャネルの構造的一体性を提供する。当該技術分野において既知の任意の既知の結合技術、特に接着剤結合、熱接着、機械的接着、超音波接着、又はそれらの任意の組み合わせから選択される結合を使用して、この結合部が提供され得る。接着剤72は、例えば、典型的には、スロット糊適用又は任意の他の手段によって、コアラップの上部基材側の内側及び/又は下部基材の内側のチャネルのエリアに適用され得、その後、チャネルのエリアに圧力を適用して、これらのエリアに良好な接着剤結合を提供する。かかる接着剤結合プロセスの例示的な特許開示は、エアフェルト又はエアフェルトフリー吸収性コアについて国際公開第2012/170,798(A1)号(Jackels et al.)、欧州特許第2,905,000号(Jackels et al.)及び欧州特許第2,905,001号(Armstrong-Ostle et al.)で見出すことができる。
【0043】
熱接着、機械的接着、超音波接着などの他の接着もまた、追加の接着又は代替的な接着として使用され得る。例えば、接着剤結合は、熱接着、機械的接着、又は超音波接着によって補強され得る。かかる熱接着、機械的接着、又は超音波接着は、コアラップ基材の外側を通るチャネル上に適用することができる。
【0044】
典型的には、結合は、概して、それらが収容されるチャネル26と同じ輪郭及び形状を有し得るが、最適な位置合わせからのいくらかの偏差が高速プロセス中に起こり得るため、安全マージン(例えば、数mmだけ)を可能にするためにわずかに小さくなり得る。チャネルはまた、結合されていない場合があるか、又は結合されている1つ以上のセクションと、結合されていない1つ以上のセクションと、を有する場合がある。
【0045】
クッション層60
上述したように、吸収性材料30は、相対的に高い割合の超吸収性ポリマー粒子を有する。結果として生じる吸収性材料30の層は、より高い量のセルロース繊維を含む、従来の吸収性コアと比較して、乾燥状態において低減された厚さを有する。低減された厚さは、着用者に対する吸収性物品のフィット感及び快適性を改善することに役立つ。しかしながら、超吸収性粒子はセルロース繊維とほとんど又は全く混合されていないので、超吸収性粒子は、物品の着用者に面する側で、バックシートを通して触れると硬く、ザラザラした感触を与える場合がある。
【0046】
この問題に対処するために、クッション層60が、吸収性コア28とバックシート25との間に配設される。クッション層60は、SAP粒子と吸収性物品の衣類に面する側との間の分離を提供する。クッション層60は、有利には、この機能を提供するために十分な厚さ及び坪量を有する。クッション層は、吸収性コアと同じ寸法を有するように横断方向及び長手方向に延在することが望ましいが、これは、実質的な材料のコストアップを意味する。更に、かかる大きいクッション層は、物品の可撓性を低減させ得る。
【0047】
本発明によれば、クッション層60は、有利には少なくとも2つのサブ層を備えることが見出された。サブ層は、別個のサブ層61、62を積層することによって、又はクッション層材料を折り畳むことによって提供され得、その場合、各サブ層は、クッション層材料の1つ以上の折り畳みによって形成される。これは、以下の実施例及び本発明の異なる態様を説明する添付の図面において更に例解される。
【0048】
発明の第1の態様
本発明の第1の態様によれば、クッション層のこの多層構造は、坪量の最適化を可能にし、異なる幅のサブ層を積層することを可能にし、物品の中心エリアにより多くのキャリパを作り出す。物品の中心は、典型的には、SAPの濃度が、その領域においてより高く、また、柔軟性は、多くの場合、横方向側部又は長手方向側部ではなく、物品の中心において評価されるため、クッション性が最も必要とされるエリアであることが見出された。このため、物品の中心により多くのクッション材料を提供することが有利であることが見出された。
【0049】
したがって、本発明のこの第1の態様では、クッション層は、第2のサブ層よりも小さい幅を有する少なくとも1つの第1のサブ層を備える。第1の態様の単一の実施が、
図3Aに例解されており、第1のサブ層61が、より大きいサブ層62の上部に積層される。第1のサブ層61及び第2のサブ層62は、クッション層60を形成する。サブ層は、図に示すように、長手方向中心線に対して対称に配設されるように、長手方向軸と位置合わせされる。
【0050】
異なる幅の2つのサブ層を提供することによって、より狭いサブ層61の幅に対応するより高い坪量の中心エリア60aを含むクッション層60が提供される。中心エリア60aの横方向外向きに配設された2つの側方エリア60bは、中心エリア60aよりも低い坪量を有する。この構造は、クッション層の側面に使用されるクッション材料が少ないので、材料が経済的であるという利点を有する。また、物品の可撓性は、側方エリアにおけるクッション層のより低い坪量に起因して、物品の側面において改善される。
【0051】
サブ層は、有利には、同じクッション材料で作製される。異なるサブ層はまた、有利には、(長手方向中心線80に沿って測定される)同じ長さを有し、これは、ほぼ吸収性コアの長さであり得るか、又は吸収性コアの長さよりも短くあり得る。サブ層の長さは、吸収性コアの長さの40%~100%、例えば、吸収性コアの長さの50%~90%の範囲内に含まれ得る。
【0052】
同じ長さのサブ層を有することは、物品の構造を単純化する。クッション材料の単一ウェブは、単一ウェブを長手方向に連続的にスリットを入れ、サブ層ウェブを形成し、次いでこれらを横方向に切断し、これらを積層させて、クッション層を形成することによって、いくつかのサブ層に分割することができる。
【0053】
別個のサブ層を積層させる代替として、クッション材料の元の単一ウェブを折り畳んで、(
図13~
図15に例示されるように)異なる坪量のエリアを有する同様のクッション層構造を達成し得る。クッション材料は、当該技術分野において既知であるように、製造中に巻き戻される材料のロールとして変換ライン上に提供され得る。単一のロールを使用して、サブ層を作製することは、より安定したプロセスを提供し(ロールが大きいほどより安定である)、一方でロールを交換する前により長い実行時間を提供する。
【0054】
図3Aの例に示されるように、クッション層の中心エリア60aは、2つのサブ層61、62から構成され得るが、側方エリア60bは、単一のサブ層62からなる。したがって、中心エリア60aは、側方エリア60bと比較して、2倍の厚さ及び坪量を有し得る。サブ層が積層される順序は、重要ではない。例えば、狭いサブ層61は、
図3A及び
図4Aに例解されるように、より大きいサブ層62の上方に配設され得るか、又は逆に、狭いサブ層61は、
図9に例解されるように、より大きいサブ層62の下に配設され得る。
【0055】
より大きいサブ層62とより狭いサブ層61との間の幅の差は、所望に応じて選択され得る。全体としてのクッション層の幅(すなわち、積層された層については、より大きい層62の幅)対より狭いサブ層61の幅の比は、例えば、1.10~3.0、特に、1.4~2.5の範囲であり得る。これは、全体的なクッション性と材料使用との間の良好なバランスを提供することができる。例えば、通常の乳児用おむつの場合、より大きい層62の幅は90mmであり得、及びより狭い層61の幅は50mmであり得、その結果、比は1.8となる。
【0056】
他の実施形態も当然のことながら可能であり、例えば、クッション層は、3つ以上のサブ層を備え得る。クッション層は、2つの狭い層61と、1つの広い層62と、を備え得る。クッション層中心エリア60aは、次いで、側方エリア60bと比較して3倍の坪量及び厚さを有する。これは、例えば、
図5及び
図10に例解される。より大きいクッション層は、
図5に表されるように、積層体の底部に配設され得るか、又は
図10に表されるように、2つのより狭いサブ層61の間に挟持され得る。
【0057】
図11及び
図12は、クッション層が1つの狭いサブ層61及び2つのより大きいサブ層62を含む、更なる代替的な積層構成を示す。これは、中心エリア60aの坪量及び厚さが側方エリア60bの坪量及び厚さの3/2であるクッション層を提供する。
図11は、狭いサブ層61が積層体の上部に配設される例を示し、一方で
図12は、狭いサブ層61が積層体の底部に配設される例を示す。
【0058】
概して、クッション層の中心エリア60aにおける坪量及び厚さ対側方エリア60bにおける坪量及び厚さの比Rは、狭いサブ層の数n1及び大きい層の数n2によって、次式に従って定義される:
R=(n1+n2)/n2
【0059】
比Rは、典型的には、4/3~4/1、特に3/2~3/1の範囲内にあり得る。
【0060】
これまで考察してきた例は、サブ層が、典型的には、製作中にクッション層材料の単一の連続ウェブを長手方向にスリットを入れることによって形成されたとしても、個々のサブ層の積層体を形成することによって構築されたものである。クッション層60はまた、クッション層材料の単一ウェブを折り畳むことによって提供され得、そのため長手方向のスリット入れは必要ではない。2つの折り畳みパターンは、特に、
図13~
図14に例解されるようないわゆるZ折り、及び
図15に例解されるようないわゆるオメガ折りが特に考慮され得る。Z折りでは、クッションウェブ材料63は、側方エリア60bの坪量の3倍を有する中心エリア60aを形成するように、2つの長手方向に延在する折り線に沿って折り畳まれる。オメガ折り構成では、クッションウェブ材料64は、4つの長手方向に延在する折り線に沿って折り畳まれ、また側方エリア60bの坪量の3倍を有する中心エリア60aをもたらす。当然のことながら、他の折り畳み構造も可能であり、例えば、Z折りは、2つの追加の折り線が提供され得、中心エリアが側方エリア60bの坪量の5倍となるようにし得る。
【0061】
上記で開示した本発明の第1の態様は、以下で更に詳細に説明する、本発明の第2の態様と組み合わされ得るか、又は独立して実施され得る。
【0062】
本発明の第2の態様
第1の態様と組み合わされ得る本発明の第2の態様によれば、少なくとも2つのサブ層が、部分的にのみ互いに取り付けられ、そのため、サブ層は、依然として相対的に安定した位置に維持されながら、部分的に分離することができる。取り付けエリアは、実施において、吸収性物品の長手方向軸に沿って位置合わせされ得る。
【0063】
サブ層が部分的にのみ互いに取り付けられているとき、多層クッション層の剛性が低減され、そのためサブ層が互いに対して少なくとも部分的に自由に移動することが見出された。股領域におけるより高い剛性は、フィット性に影響を与え、股の嵩高さの知覚を増加させ、したがって、股の柔軟性がより望ましい。「単純化された」幾何学形状では、材料の曲げ剛性はキャリパの立方体とともに変化するが、非結合層(摩擦がない場合)では、曲げ剛性の増加は、層の数とともに線形に増大すると考えられる。したがって、結合されていないより薄い層の集合を曲げることは「より容易」である。しかしながら、完全に結合されていないサブ層は、吸収性物品の一体性及びフィット性を大幅に低減させるので、望ましくない。
【0064】
取り付けエリアは、当該技術分野で既知の、既知の取り付け手段によって提供され得る。接着剤結合は、典型的には、2つの隣接するサブ層を結合するために使用され得る。
図3aに例解されるように、サブ層61、62は、長手方向に延在する中央取り付けエリア70に沿って、一連の長手方向に延在する糊ストライプによって、別のサブ層に接着によって取り付けられ得る。チャネルは、当該技術分野において既知であるように、スロット糊付けによって提供され得る。例えば、通常のおむつでは、スロット間に1mmの間隙を有し、各々が1mm幅を有する6つのストライプが、11mmの合計中央取り付けエリア幅に対して使用され得る。
【0065】
2つより多くのサブ層が存在する場合、
図5、
図8、
図10、
図11、
図12に例示的に示されるように、部分的取り付けエリア70が、隣接するサブ層の各対の間に存在し得る。サブ層が個々の積層された層である場合、中央に位置合わせされた部分的取り付けエリアは、中央取り付けエリア70の外側の側方エリアに対する移動自由度を提供するので、特に有用である。
【0066】
サブ層がZ折り構成によって提供される場合、取り付けエリア70’、70’’は、折り目が所定の位置に固定され、吸収性物品の製造中又は着用中に開くことができないように、折り目と位置合わせされ、隣接し得る。
図13は、Z状に折り畳まれたクッション層構成を示し、折り畳みは、中心エリア60a(例えば、50mm幅)における坪量の3倍を可能にし、一方、折り畳まれたクッション層の全幅は90mmである。少量の長手方向に適用された糊70’が、プロセスの実現可能性を可能にするために使用される。
図14は、使用中に折り目が損傷を受けていないことを確実にするために、より広い糊スロット70’’が使用される、同様のZ折りクッション層構成を示す。
【0067】
オメガ折り構成では、長手方向に配向された中央取り付けエリア70もまた使用され得る。取り付けエリアは、典型的には、サブ層の長さとほぼ同じ長さであり得るか、又は所望であればより短くあり得る。糊の適用は、当該技術分野で既知のように、連続的又は断続的であり得る。
【0068】
オメガ折りクッション層構成では、オメガ折りはまた、側方エリア60b(例えば、90mm幅)と比較して、中心エリア60a(例えば、50mm幅)において3倍の坪量を可能にする。オメガ折りクッション層の底部において長手方向に配向された中央糊エリア70、110は、サブ層間の部分的な取り付け、及びコアラップの下部基材46への部分的な取り付けを同時に提供するために使用され得る。Z折り及びオメガ折り構成は、クッション材料ウェブのスリット入れを必要としないという点で、比較的単純なプロセスの観点によって提供することができる。
【0069】
第3の態様:クッション層-吸収性コア結合パターン
上で開示された第1若しくは第2の態様と組み合わされ得るか、又は組み合わされない可能性のある、本発明の第3の態様によれば、クッション層60の着用者に面する側及びコアラップの下部基材層46は、それらの界面100で互いに部分的にのみ結合される。可能な部分的結合パターンは、それぞれ、
図3b及び
図4bに例解される。
【0070】
このため、クッション層60と下部基材46との間の境界面100は、層が互いに結合される結合部分110、111と、クッション層がコアラップの下部基材に結合されない非結合部分120と、を含み得る。結合部分では、2つの層は、好ましくは、接着によって結合される。本発明者らは、クッション層を吸収性コアにそれらの界面で完全に糊付けすることと比較して、部分的な結合が物品の横方向剛性を低減し得ることを見出した。
【0071】
結合部分及び非結合部分は、各々いくつかの別個のゾーンを備え得る。結合部分は、特に、物品の長手方向中心線と少なくとも部分的に重なり合う、長手方向に延在する中央ゾーン110を備え得る。結合部分はまた、
図3Bに例解されるように、境界面の各角部に配設された最大4つの角部結合ゾーン111、又は
図4Bに例解されるように、それぞれ、境界面100の前縁部及び後縁部に隣接して配設された1つ若しくは2つの横方向結合ゾーン112を備え得る。
図3Bの結合パターンは、
図4~
図15に部分的に表されているが、
図4Bの結合パターン又は長手方向に延在する中央ゾーン110のみを含む結合パターンなどの別の結合パターンもまた、これらの例において使用され得る。
【0072】
図7は、本発明の第3の態様の代替的な実施形態を示しており、ここでは、2つの等しい大きさのサブ層が積層され、広い取り付けエリア71によって、例えば、スパイラル糊付け又はスロットコーティングによって、ともに向かい合った関係で広く取り付けられる。この実施形態は、上で説明された第1及び第2の態様の利点を有しないが、それでも、クッション層の上側と下部基材コアラップとの間の界面100における部分的結合パターンに起因して、改善された可撓性を有する物品を依然として提供する。
【0073】
クッション層材料
クッション層60を形成する材料は、不織布層から構成されるか、又は不織布層からなり得るが、他の材料も除外されない。不織布層は、一般的に、吸収性物品内に使用され、従来の技術を使用して吸収性物品内に長手方向にスリットを入れ、横断方向に切断し、配設し、及び取り付けることができる。
【0074】
一般的に使用される繊維材料(PE、PP、PET、coPET、Bico、又はこれらの繊維を他の繊維と混合したもの)が使用され得る。所望であれば、個々の繊維又は不織布全体を処理して、流体透過性層又は流体不透過性バリアなどの特定の流体処理特性を向上させることができる。
【0075】
クッション層はまた、吸収性材料の層の吸収性材料によって十分に急速に吸収されなかったため、吸収性材料を通って流れた液体のための一時的なリザーバとして、又は下部捕捉及び分配層として機能し得る。代替的に、クッション層を形成する材料は、実質的に液体不透過性(疎水性)であるように選択されて、物品の衣類に面する側上に更なる液体バリアを提供し得る。
【0076】
吸収性物品に提供される追加の層は、概して、物品の厚さ及びバルクを増加させ、そのため着用者の快適性を低減させる。また、特に着用者の脚の間でのバルクの増加は、一般に望ましくない。したがって、本明細書において説明されたキャリパ測定方法に従って、0.85kPaの圧力で測定した際、0.4mm~最大4mmの範囲内、例えば、0.5mm~2mmの範囲内にあるようにクッション層のキャリパを制限することが望ましい場合がある。キャリパは、クッション層の最も厚い領域で測定され、これは典型的には、積層体又は折り畳まれた層のいずれかとして最大数のサブ層が存在する中央領域60aである。
【0077】
サブ層の坪量は、典型的には、各サブ層に関して同じであるが、他の構成も可能である。典型的には、各サブ層は、10g/m2~40g/m2の範囲内に含まれる坪量を有し得る。積層体又は折り畳まれた層のいずれかとして最大数のサブ層が存在するクッション層の坪量は、典型的には、24g/m2~100g/m2の範囲内にあり得るが、他の値、例えば、30g/m2~80g/m2も可能である。
【0078】
サブ層の坪量は、典型的には、クッション層の長さ及び幅全体にわたって(すなわち、長手方向及び横方向に)均質である。材料の坪量は、典型的には、使用されるクッション材料の供給業者から既知である。未知の材料が使用される場合、それは、当該技術分野で既知であるように、クッション層の重量を考慮されるエリアに対してその表面によって除算することによって計算することができる。
【0079】
クッション層は、好ましくは、超吸収性ポリマー粒子を含まない。カーディングされた不織布(ステープル繊維から作製された)が特に好適であることが見出された。カーディングされた不織布は、当該技術分野において既知であるように、カレンダー結合又はエアスルー接着され得る。不織布層はまた、スパンボンド若しくはメルトブローン不織布ウェブ(連続繊維から作製された)、又はスパンボンド及びメルトブローン層を有する不織布(例えば、SMS、SMMS、SMSS、SSS、SSSSなど)であり得る。
【0080】
エアスルー接着不織布は、概して、高いロフトを有する。したがって、それらは、液体を吸収及び一時的に保持するための空隙容積を提供するための多孔質構造を有する。同時に、それらは、柔らかさを提供し、過度に高い曲げ剛性を有しない。
【0081】
クッション層は、クッション層の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、任意選択的に、少なくとも50重量%、最大100重量%の捲縮繊維を含み得る。捲縮繊維は、二次元捲縮、三次元捲縮、又は二次及び三次元捲縮の組み合わせを有し得る。典型的には、カーディングプロセスでは、全て又はほとんどの繊維が、二次元的に捲縮される(ジグザグ)のに対して、偏心二成分繊維は、典型的には、三次元捲縮され得る。捲縮繊維は、不織布の嵩高さ及び空隙容量を駆動するのに役立ち得る。
【0082】
クッション層、特にその構成サブ層は、合成繊維から作製されるか、又は合成繊維からなり得る。特に、好適な剛性繊維は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はそれらの混合物若しくは組み合わせ)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、co-PET、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノイド(PHA)、又はこれらの組み合わせ若しくは混合物から作製される。繊維は、連続又はスパンボンド繊維であり得る。繊維は、単成分繊維又は二成分繊維などの多成分繊維であり得る。クッション層に含まれる繊維が二成分繊維である場合、それらはコアシース構成を有し、コア構成要素は、シース構成要素よりも高い融点を有する。
【0083】
クッション層に含まれる繊維は、好ましくは、ステープル繊維である。連続繊維で作製された不織布ウェブと同様に、ステープル繊維の不織布ウェブは、好ましくは、エアスルー接着されたものである。水流交絡(スパンレース)又はエアスルー接着に加えて、ステープル繊維の不織布ウェブは、熱及び/若しくは圧力(例えば、点結合/カレンダー結合)でいくらかの局所的結合を受けるか、又は受けない可能性があり、繊維が互いに融合される局所的な結合領域を導入する。
【0084】
不織布ウェブが連続繊維又はステープル繊維で作製されているかどうかに関係なく、局所的結合は、しかしながら、過度に大きい表面積に結合し、このため不織布ウェブのロフト及び空隙容積に悪影響を及ぼしてはならない。好ましくは、(水流交絡又はエアスルー接着に加えて)熱及び/又は圧力での局所的結合によって得られる総結合面積は、不織布ウェブの総表面積の20%より大きい、又は15%より大きい、又は10%より大きくあるべきではない。
【0085】
スルーエア接着(「エアスルー接着」という用語と交換可能に使用される)は、空気を不織布ウェブに押し通すことによって、ステープル繊維又は連続繊維を接着するプロセスを意味し、空気が、繊維のポリマーを溶融する(若しくは少なくとも部分的に溶融する、若しくは繊維の表面が十分にべとついた状態になるまで溶融する)のに十分に高温であるか、又は繊維が多成分繊維である場合、空気が、不織布ウェブの繊維が作製されるポリマーのうちの1つを溶融する(若しくは少なくとも部分的に溶融する、若しくは繊維の表面が十分にべとついた状態になるまで溶融する)のに十分に高温である。空気速度は、典型的には、毎分30~90メートルであり、滞留時間は、最長6秒であり得る。ポリマーの溶融及び再固化は、異なる繊維間の結合を提供する。
【0086】
熱空気は、ステープル若しくは連続繊維、又は多成分繊維の場合、繊維の低融点ポリマー成分を溶融し、それによってステープル繊維間に結合を形成して、ステープル繊維の層をウェブに固結及び統合する。
【0087】
クッション層に含まれるか、又はクッション層を形成する不織布層は、多成分繊維を含み得る。不織布の繊維は、下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも90重量%、又は100重量%の多成分繊維を含み得る。多成分繊維は、コアシース又は並列二成分繊維などの、二成分繊維であり得る。
【0088】
代替的に、不織布層は、単成分繊維を含み得る。下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の繊維は、下部捕捉及び分配層に含まれる不織布の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも90重量%、又は100重量%の単成分繊維を含み得る。クッション層に含まれるか、又はクッション層を形成する不織布ウェブは、単成分繊維と多成分繊維との混合物を含み得る。
【0089】
クッション層は、下部捕捉及び分配層として使用される場合、特にクッション層が本質的に疎水性である合成繊維を含むか又はそれからなる場合、親水性剤を含み得る。親水性剤を提供する任意の従来の親水性処理を使用することができる。典型的には、不織布などのウェブは、界面活性剤によって直接、又は油/エマルジョンを介して外側をコーティングされ得る。代替的に、当該技術分野で知られているように、親水性溶融添加剤を、繊維を作製するために使用されるポリマー溶融物中に添加することができる。親水性溶融添加剤は、親水性頭部及び疎水性尾部を有する両親媒性分子である。親水性頭部は、接着剤の表面に向かって配向され、したがって、接着剤の親水性特徴を提供し、一方、疎水性頭部は、ポリマーマトリックス中に留まっている。下部捕捉及び分配層60、並びに下部基材層46は、有利には、両方とも親水性であり得る。下部捕捉及び分配層は、任意選択的に、下部基材層よりも低い親水性であり得る。
【0090】
他の考慮事項
スホールとしてのクッション層60は、典型的には、コアラップの表面と同じか又はそれよりも小さい全表面を有し得る。クッション層は、有利には、吸収性コアを完全に被覆する代わりに、吸収性コアの選択されたエリア、特に、吸収性物品の股領域の少なくとも一部分を被覆するように配設され得る。クッション層は、典型的には、コアラップ層の坪量と少なくとも等しい、典型的には、それよりも高い坪量を有する。第1の態様によれば、クッション層は、20g/m2超の坪量を有し得る。更なる態様によれば、クッション層の衣類に面する側の表面の少なくとも50%は、特に、チャネル26に垂直に対応するエリアにおいて、バックシートに直接又は間接的に結合され得る。
【0091】
吸収性コアは、任意選択的に、吸収性材料を実質的に含まない吸収性層内に少なくとも1つのチャネルを含み得る。チャネルは、吸収層が尿などの液体を吸収した後に膨潤する場合、使用時に三次元チャネルを形成する。吸収性コアラップの上部基材45及び下部基材46側は、特に、チャネルエリアにおいて互いに結合され得る。クッション層は、有利には、チャネルエリアにおいてコアラップ下部基材46から分離され得る。
【0092】
パッケージ
本発明による複数の物品は、輸送及び販売のためにパッケージに包装され得る。パッケージ内の物品の少なくとも50%、好ましくは全ての物品は、本発明によるものであり得る。物品は、当該技術分野において既知であるように、折り畳まれて包装され得る。パッケージは、例えば、プラスチックバッグ又は段ボール箱であり得る。おむつは、包装される前に、典型的には横断方向軸線に沿って2つに折り畳まれ、耳部は内向きに折り畳まれ得る。吸収性物品は、パッケージのサイズを低減する一方で、1パッケージ当たりに適切な数の吸収性物品を提供するように、圧縮下で包装することができる。吸収性物品を圧縮下で包装することにより、介護者はパッケージを容易に扱い、保管することができると同時に、パッケージのサイズによる流通コストの削減を製造者にもたらし得る。
【0093】
したがって、吸収性物品は、少なくとも10%、特に10%~50%、特に20%~40%のバッグ内圧縮率で圧縮され、包装され得る。本明細書で使用される「バッグ内圧縮率」は、1から、10個の折り畳まれた物品をバッグ内の圧縮下で測定した積層体の高さ(「バッグ内積層体高さ」)を10個の折り畳まれた同じタイプの物品の圧縮前の積層体高さで除算した数を引いてから100倍した数であり、すなわち、(1-バッグ内積層体高さ/圧縮前積層体高さ)×100を百分率として報告したものである。当然のことながら、バッグ内積層体は、厳密に10個の物品を有する必要がなく、パッケージ内の物品の積層体高さについて測定された値を、積層体内の物品数で乗算し、次いで10倍した数である。バッグ内積層体高さを測定するために使用される方法は、試験手順において更に詳細に説明される。圧縮前の物品は、折り畳みユニットと積層体包装ユニットとの間の生産ラインからサンプリングされる。圧縮前の積層体高さは、圧縮及び包装前に10個の物品を取り、IBSHについて示されるようにそれらの積層体高さを測定することによって測定される。
【0094】
本開示の吸収性物品のパッケージは、特に、本明細書で説明するバック内積層体高さ試験により、110mm未満、105mm未満、100mm未満、95mm未満、90mm未満、具体的には指定される範囲、及び指定される範囲内に又は指定される範囲によって形成される全ての範囲内の0.1mm刻みの増分が全て列挙されるバッグ内積層体高さを有し得る。前の文で示された値の各々に関して、60超、又は70mm超、又は75mm超、又は80mm超のバッグ内積層体高さを有することが望ましい場合がある。代替的に、本開示の吸収性物品のパッケージは、本明細書において説明されるバック内積層体高さ試験に従って、60mm~110mm、65mm~110mm、70mm~110mm、75mm~105mm、又は80mm~100mm、具体的には、指定される範囲、及び指定される範囲内に又は指定される範囲によって形成される全ての範囲内の0.1mm刻みの増分が全て列挙されるバッグ内積層体高さを有し得る。
【0095】
リサイクルに適したバイオベースの吸収性物品
本明細書に記載の吸収性物品の構成要素は、それらがリサイクル可能な材料から少なくとも部分的に形成されているかどうかにかかわらず、他の用途のためにリサイクルされ得る。リサイクルすることができる吸収性物品材料の例は、不織布、フィルム、フラッフパルプ、及び超吸収性ポリマーである。リサイクルプロセスは、吸収性物品を滅菌するためにオートクレーブを使用し得、その後、吸収性物品は、細断され、異なる副生成物流に分離され得る。例示的な副生成物流は、プラスチック、超吸収性ポリマー、及びパルプなどのセルロース繊維を含み得る。これらの副生成物流は、肥料、プラスチック製造物品、紙製品、ビスコース、建築材料、ペット用若しくは病院用ベッドの吸収性パッドの製造において、及び/又は他の用途のために使用することができる。リサイクルを助ける吸収性物品、リサイクルしやすいおむつの設計、並びにリサイクルしやすく、かつバイオベースの構成要素のおむつの設計に関する更なる詳細は、2019年6月27日に公開された、米国特許出願公開第2019/0192723号に開示される。
【0096】
試験方法
キャリパ測定方法
クッション層などの層のキャリパは、キャリパ測定方法を使用して決定される。キャリパ測定方法では、2つの平坦な平行表面が、基材試験片の両側に一方向の圧力を適用するために使用され、結果として生じる平行表面間の分離が測定される。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験片は、試験前に少なくとも2時間、この環境で馴化される。
【0097】
キャリパ法で使用するための装置の1つの好適な例は、インジケータゲージの移動シャフトの端部に4.0cmの直径を有する円形の平坦な「フット」が取り付けられたMitutoyo Digimaticシリーズ543ID-Cデジタルインジケータ(Mitutoyo America Corp.、Aurora,Illinois,USA)、又は同等品である。インジケータは、インジケータゲージのシャフトが垂直方向に配向され、円形フットの平面が花崗岩基盤と平行になるように、水平に花崗岩基盤に取り付けられる。円形のフットを、フットの質量とインジケータシャフトとに関連付けられた重力を一緒に円形フットの面積で割った値が、花崗岩基盤の円形フットからの0.85kPaの下向きの圧力をなすようにサイズ決定及び重量測定する。円形フットと花崗岩基盤との間で、少なくとも円形フットと同じ大きさの試験片を分析する。円形フットが試験片と接触した後、キャリパを20秒測定する。所与の材料に関して、10個の試験片を測定し、平均値を材料のキャリパとして報告した。
【0098】
バッグ内積層体高さ試験
吸収性物品のパッケージのバッグ内積層体高さは、以下のように測定する。
【0099】
機器
平坦な剛性の水平スライディングプレートを備えた厚さ試験機を使用する。厚さ試験機は、水平スライディングプレートが平坦な剛性の水平ベースプレートのすぐ上で水平の向きに常に維持された状態で、水平スライディングプレートが垂直方向に自由に移動するように構成されている。厚さ試験機は、水平スライディングプレートと水平ベースプレートとの間の間隙を+0.5mm以内で測定するのに好適なデバイスを含む。水平スライディングプレート及び水平ベースプレートは、各プレートと接触する吸収性物品パッケージの表面よりも大きい(すなわち、各プレートは全ての方向において吸収性物品パッケージの接触表面を越えて延在する)。水平スライディングプレートは、吸収性物品パッケージに下方への力850±1重量グラム(8.34N)を加えるが、これは、スライディングプレートの合計質量に付加重量を足して850±1グラムとなるように、水平スライディングプレートのパッケージに接触しない上部表面の中央に好適な重しを置くことによって達成し得る。
【0100】
試験手順
吸収性物品パッケージを、測定前に、23±2℃及び50±2%の相対湿度で平衡化する。
【0101】
水平スライディングプレートを上げ、パッケージ内の吸収性物品が水平の配向となるようにして吸収性物品パッケージを水平スライディングプレート下で中心に配置する(
図14の国際公開第2021118904(A1)号参照)。プレートのいずれかに接触するであろうパッケージの表面上にある任意のハンドル又は他のパッケージング機構を、パッケージの表面に対して平坦に折り重ねることで、測定に対する影響を最小限にする。水平スライディングプレートを、パッケージの上部表面に接触するまでゆっくり下げてから、解放する。水平スライディングプレートを解放してから10秒後に、水平プレート間の間隙を+0.5mm以内になるように測定する。5つの同じパッケージ(同じサイズのパッケージ及び同じ吸収性物品数)を測定し、算術平均をパッケージ幅として報告する。「バッグ内積層体高さ」=(パッケージ幅/積層体当たりの吸収性物品数)×10を計算し、+0.5mm以内で報告する。
【0102】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指定のない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向中心線(80)及び横断方向中心線(90)を有する個人衛生用の吸収性物品(20)であって、
-液体透過性トップシート(24)と、
-液体不透過性バックシート(25)と、
-前記トップシートと前記バックシートとの間の吸収性コア(28)であって、前記吸収性コアが、コアラップを形成する上部基材層(45)と下部基材層(46)との間に配設された吸収性材料(30)を含み、
前記吸収性材料が、任意選択的に、セルロース繊維と混合された、前記吸収性材料の少なくとも50重量%の超吸収性ポリマーを含む、吸収性コア(28)と、
前記吸収性コア(28)と前記バックシート(25)との間に配設されたクッション層(60)であって、前記クッション層(60)が、少なくとも2つのサブ層(61、62、63..)を備える、クッション層(60)と、を備える、吸収性物品(20)。
【請求項2】
前記サブ層の少なくとも一部若しくは全部が、積層された個々のサブ層(61、62)であり、及び/又は前記サブ層の少なくとも一部若しくは全部が、単一のクッション材料層を折り畳むことによって、特に、Z折り(63)若しくはオメガ折り(64)構成で形成されている、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記クッション層が、2つ、3つ、又は4つのサブ層を備える、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記サブ層が、同じ長さを有する、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性材料が、セルロース繊維を含まない超吸収性ポリマー粒子の少なくとも1つの層を含み、前記超吸収性ポリマー粒子が、接着剤又は熱可塑性ポリマーの繊維状ネットによって固定されている、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記サブ層が、同じ坪量及び/又はキャリパを有し、特に、前記サブ層(61、62)が、同じクッション材料から作製されている、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記サブ層の各々が、本明細書において説明されるキャリパ測定方法に従って、0.85kPaの圧力で測定される際に、少なくとも0.2mmのキャリパ、及び/又は少なくとも12gsmの坪量を有する、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記サブ層のうちの少なくとも2つが、異なる幅を有し、そのため、前記クッション層が、中心エリア(60a)の横方向に配設された側方エリア(60b)の坪量よりも高い坪量を有する、長手方向に延在する前記中心エリア(60a)を備える、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記クッション層全体(60)の前記幅対前記中心エリア(60a)の前記幅の比が、1.10~3.0、特に1.4~2.5の範囲内に含まれる、請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記中心エリア(60a)の前記坪量対前記側方エリア(60b)における前記坪量の比が、4/3~4/1の範囲内に含まれる、請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
2つの垂直方向に隣接するサブ層が、1つ以上の長手方向に延在する取り付けエリア(70、70’、70’’)によって、好ましくは、接着剤取り付けを介して、互いに部分的に取り付けられている、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記部分的な長手方向に延在する取り付けエリア(70)が、前記吸収性物品の前記長手方向軸と位置合わせされた長手方向に延在する中心であり、そのため、前記クッション層が、この中心取り付けエリアの横方向外側に配設された2つの横方向非取り付けエリアを備え、前記サブ層が、互いに分離されている、請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記サブ層のうちの少なくとも1つ、好ましくは、全てが、不織布、特に、カーディングされた不織布である、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項14】
最も厚い領域(60a)における前記クッション層の前記キャリパが、本明細書において説明されるキャリパ測定方法に従って、0.85kPaの圧力で測定される際、少なくとも0.4mm、任意選択的に、最大4mmであり、及び/又は、このより厚い領域における前記クッション層の前記坪量が、24g/m
2~100g/m
2の範囲内に含まれる、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記コアラップの前記クッション層(60)及び前記下部基材層(46)が、それらの境界面(100)において互いに部分的にのみ結合され、特に、前記結合部分が、長手方向に延在する結合部分(110)と、任意選択的に、1つ以上の角部結合部分(111)又は1つ以上の横方向結合縁部分(112)と、を備える、請求項1
又は2に記載の吸収性物品。
【国際調査報告】