(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ステープルカートリッジアセンブリ、ステープルヘッドおよび医療用ステープラー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513548
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2022116032
(87)【国際公開番号】W WO2023030355
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111013470.8
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111015381.7
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122086338.1
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515172670
【氏名又は名称】天臣国▲際▼医▲療▼科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Touchstone International Medical Science Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】278 Dongping Street,Suzhou Industrial Park,Suzhou,Jiangsu,215123 China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】単 ▲騰▼
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC22
(57)【要約】
本発明は、ステープルカートリッジアセンブリと、ステープルヘッドと、医療用ステープラーとを提供し、ステープルカートリッジアセンブリは、ステープルバンド2とステープルカートリッジカバー1とを含み、ステープルバンド2は、少なくとも1つのステープルバンド本体21と、複数のステープラー用ステープル22とを含み、ステープラー用ステープル22は、ステープル接続部221によってステープルバンド本体21に回転可能に接続され、ステープルカートリッジカバー1は、ステープルバンド本体21の外部にスリーブされ、ステープルカートリッジカバー1は、ステープラーの軸方向に沿って延びる少なくとも1つの折り曲げ部18を含み、少なくとも1つの折り曲げ部18は、複数のステープルホール14を含み、ステープルホール14は、軸方向に沿って延びる第1のホール壁141と第2のホール壁142とを含み、第1のホール壁141の高さは、第2のホール壁142の高さよりも高い。本発明では、ステープルカートリッジカバー1の折り曲げ部18にステープルホール14を設け、第2のホール壁142の高さを第1のホール壁141の高さよりも低くし、ステープルホール14を部分的に高さを低くすることにより、閉鎖後にステープラー用ステープルをステープルカートリッジカバーから離脱させ易くすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ステープラーに用いられるステープルカートリッジアセンブリであって、
前記ステープルカートリッジアセンブリは、ステープルバンドとステープルカートリッジカバーとを含み、
前記ステープルバンドは、少なくとも1つのステープルバンド本体と、複数のステープラー用ステープルとを含み、前記ステープラー用ステープルは、ステープル接続部によって前記ステープルバンド本体に回転可能に接続され、
前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンド本体の外部にスリーブされ、前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープラーの軸方向に沿って延びる少なくとも1つの折り曲げ部を含み、前記少なくとも1つの折り曲げ部には、複数のステープルホールが設けられ、前記ステープルホールは、前記軸方向に沿って延びる第1のホール壁と第2のホール壁とを含み、前記第1のホール壁の高さは、前記第2のホール壁の高さよりも高い、ことを特徴とするステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、前記ステープルカートリッジカバーの上板と側板との間に接続され、前記ステープルホールは、連通された第1のセグメントと第2のセグメントとを含み、前記ステープルホールの前記第1のセグメントと前記第2のセグメントは、前記ステープルカートリッジカバーの上板と側板にそれぞれ開設され、前記ステープルホールの第1のセグメントは、前記第2のセグメントから離れた側に前記第1のホール壁を有し、前記ステープルホールの第2のセグメントは、前記第1のセグメントから離れた側に前記第2のホール壁を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のホール壁は、前記ステープルカートリッジカバーの側板と平行であり、前記第2のホール壁は、前記ステープルカートリッジカバーの上板と平行である、ことを特徴とする請求項2に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項4】
前記ステープル接続部の最高点の高さは、前記ステープルホールの前記第1のホール壁の最高点の高さより低い、及び/または、前記ステープル接続部の最低点の高さは、前記ステープルホールの前記第2のホール壁の最高点の高さより低い、ことを特徴とする請求項2に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項5】
前記ステープルカートリッジカバーの側板における前記ステープル接続部の投影は、前記ステープルカートリッジカバーの側板における前記ステープルホールの投影と少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項2に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項6】
前記ステープルホールの第1のホール壁と第2のホール壁との横方向上の距離は、前記ステープラー用ステープルの両側の横方向上の距離よりも大きい、ことを特徴とする請求項2に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項7】
前記ステープルカートリッジカバーの上板における前記ステープラー用ステープルの投影は、前記ステープルカートリッジカバーの上板における前記ステープルホールの投影のカバレッジ範囲内に入る、ことを特徴とする請求項6に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項8】
前記第2のホール壁の遠位端および/または近位端には、凹弧が設けられており、該凹弧の最低点は、前記第2のホール壁の高さよりも低い、ことを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項9】
前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンドの両側に位置された2つの前記折り曲げ部を含み、2つの前記折り曲げ部には、それぞれ複数の前記ステープルホールが設けられており;または、
前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンドの片側に位置された1つの前記折り曲げ部を含み、前記折り曲げ部は、前記ステープルバンドの内側または外側に位置される、ことを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項10】
前記折り曲げ部の表面は滑らかな円弧面である、ことを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項11】
支持部材をさらに備え、前記ステープラー用ステープルの回転中、前記ステープラー用ステープルの側壁が少なくとも部分的に前記支持部材および前記ステープルカートリッジカバーの側板の内壁に同時に突き当たる、ことを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項12】
前記ステープラー用ステープルは、前記ステープル接続部に接続されたステープルクラウン部をさらに備え、前記ステープルクラウン部は、前記ステープラー用ステープルが閉鎖成形された後、前記軸方向とほぼ平行な位置まで回転され、前記第2のホール壁の最高点は、前記ステープルクラウン部の最低点よりも高い、ことを特徴とする請求項11に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項13】
前記ステープルクラウン部にはバーブが設けられ、前記第2のホール壁は、初期回転状態において前記バーブよりも高い、ことを特徴とする請求項12に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項14】
発射ブロックをさらに含み、前記ステープルバンド本体は、前記支持部材の片側に取付られ、前記ステープルバンド本体は、前記支持部材から離れた第1の表面を含み、
前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンド本体の第1の表面と対向する第2の表面を含み、前記ステープルバンド本体の第1の表面と前記ステープルカートリッジカバーの前記第2の表面との間に第1の隙間を有し、
前記発射ブロックは、前記ステープルカートリッジカバーの底部に可動に設けられ、前記軸方向に移動可能であり、前記発射ブロックは、ステープル切断部を含み、前記ステープル切断部の最高点の高さは、前記ステープルバンド本体の第1の表面の高さよりも高い、ことを特徴とする請求項11に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項15】
前記発射ブロックの前記ステープル切断部の最低点の高さは、前記ステープルバンド本体の第1の表面の高さよりも低く、前記発射ブロックの前記ステープル切断部は、前記軸方向において前記ステープル接続部と少なくとも部分的に整列している、ことを特徴とする請求項14に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項16】
少なくとも1つのステープルカートリッジ突起部をさらに含み、前記ステープルカートリッジ突起部は、前記ステープルバンド本体の第1の表面と前記ステープルカートリッジカバーの前記第2の表面との間に位置する第1の部分を含み、前記ステープルカートリッジ突起部の前記第1の部分の高さは、前記第1の隙間の高さに等しい、ことを特徴とする請求項14に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項17】
前記支持部材の表面に少なくとも1つの第1のステープルカートリッジ突起部が設けられ、前記支持部材から離れた側の前記第1のステープルカートリッジ突起部の表面の高さは、前記ステープルバンド本体の第1の表面の高さよりも高く、前記支持部材から離れた側の前記第1のステープルカートリッジ突起部の表面は、前記ステープルカートリッジカバーの前記第2の表面に突き当たる、ことを特徴とする請求項16に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項18】
前記第1のステープルカートリッジ突起部の内側面と外側面との間の横方向上の距離は、前記ステープルバンド本体の内側面と外側面との間の横方向上の距離よりも小さく、前記ステープルバンド本体の表面に少なくとも1つの取付孔を設け、前記第1のステープルカートリッジ突起部は、前記取付孔を貫通して設けられ、または
前記ステープルカートリッジアセンブリは、複数のステープルバンドを含み、前記複数のステープルバンドは、前記軸方向に沿って配列され、前記第1のステープルカートリッジ突起部は、隣接する2つの前記ステープルバンドのステープルバンド本体の間に位置される、ことを特徴とする請求項17に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項19】
前記ステープルバンド本体の第1の表面には、少なくとも1つの第3のステープルカートリッジ突起部が設けられ、前記ステープルバンド本体から離れた側の前記第3のステープルカートリッジ突起部の表面は、前記ステープルカートリッジカバーの第2の表面に突き当たる、および/または、前記ステープルカートリッジカバーの前記第2の表面には、前記ステープルバンドに向かって延びる第4のステープルカートリッジ突起部が設けられ、前記ステープルバンド本体に対向する側の前記第4のステープルカートリッジ突起部の表面は、前記ステープルバンド本体の第1の表面に突き当たる、ことを特徴とする請求項16に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項20】
前記ステープラー用ステープルは、生体適合性を有する分解性ステープラー用ステープルであり、および/または、前記ステープラー用ステープルは、生体適合性を有する生体吸収性ステープラー用ステープルである、ことを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項21】
前記ステープラー用ステープルの表面には、生体適合性を有する分解性且つ生体吸収性のコーティングが設けられ、および/または、前記ステープラー用ステープルの表面には、外部の磁場の作用下で前記ステープラー用ステープルを磁化するための磁性コーティングが設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項22】
ステープルアンビルと請求項1ないし21のいずれかの1項に記載のステープルカートリッジアセンブリとを含むステープルヘッドであって、
前記ステープルアンビルは、前記ステープルカートリッジアセンブリに面する側がステープルアンビル面であり、前記ステープルアンビルには、ステープルアンビルカッター走行溝が開設され、前記ステープルアンビル面は、前記ステープルアンビルカッター走行溝の少なくとも片側に前記ステープルカートリッジアセンブリに向かって突出するステープルアンビル突出部を有し;前記ステープルカートリッジアセンブリには、ステープルカートリッジカッター走行溝が開設され、前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルカートリッジカッター走行溝に接近する側に前記折り曲げ部を設ける、ことを特徴とするステープルヘッド。
【請求項23】
前記ステープルアンビル面は、前記ステープルアンビルカッター走行溝の両側に前記ステープルアンビル突出部をそれぞれ設け、前記ステープルカートリッジアセンブリの前記ステープルカートリッジ走行溝の両側には、少なくとも1つの前記ステープルカートリッジカバーがそれぞれ設けられる、ことを特徴とする請求項22に記載のステープルヘッド。
【請求項24】
前記ステープルアンビル突起部は、前記軸方向に延びるリブを含み、または、前記ステープルアンビル突起部は、複数の突起を含み、前記複数の突起は、前記軸方向に沿って配列される、ことを特徴とする請求項22に記載のステープルヘッド。
【請求項25】
前記ステープルヘッドは、第1の状態および第2の状態を有し、前記ステープルアンビルの遠位端側は、前記ステープルヘッドが前記第1の状態、前記第2の状態にあるとき、それぞれ前記ステープルカートリッジアセンブリから相対的に離れ、前記ステープルカートリッジアセンブリに相対的に近づき、
前記ステープルヘッドが前記第2の状態にあるとき、前記ステープルアンビル突起部の最低点と前記ステープルカートリッジカバーの上面との間に高さ方向の第2の隙間を有し、前記ステープルアンビル突起部の外側壁と前記ステープルカートリッジカバーの内側壁との間に幅方向の第3の隙間を有する、ことを特徴とする請求項22に記載のステープルヘッド。
【請求項26】
前記ステープルアンビル突起部は、前記ステープルアンビルと一体的に形成されている、ことを特徴とする請求項22に記載のステープルヘッド。
【請求項27】
前記ステープルアンビル突起部の外側と、前記ステープルアンビル面との接続部には、内側向きに凹んだ円弧面を設ける、ことを特徴とする請求項22に記載のステープルヘッド。
【請求項28】
前記ステープルアンビル突起部の遠位端面および/または近位端面は、ガイド面である、ことを特徴とする請求項22に記載のステープルヘッド。
【請求項29】
請求項1~21のいずれかの1項に記載のステープルカートリッジアセンブリまたは請求項22~28のいずれかの1項に記載のステープルヘッドを含む、ことを特徴とする医療用ステープラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の技術分野に関し、特に、ステープルカートリッジアセンブリ、ステープルヘッドおよび医療用ステープラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、医療用ステープラーは、一般に、機器プラットフォームと、機器プラットフォームに移動可能に接続された発射ハンドルと、機器プラットフォームに取付られたステープルヘッドとを含む。ステープルヘッドは、手術部位に接近して手術を行うために、ピアッサーによって身体の小さな切口を通すことができる。前記ステープルヘッドは、対向して配置されたステープルカートリッジアセンブリとステープルアンビルとを含む。前記ステープルカートリッジアセンブリは、ステープルバンドと、前記ステープルバンドを支持する支持部材と、前記ステープルバンドおよび支持部材を収容するステープルカートリッジカバーとを含み、前記ステープルカートリッジカバーは、近位端側に発射ブロックを備える。ステープラーが発射されるとき、カッターはカッタープッシャバーによって遠位端側に移動するように駆動され、カッターは発射ブロックをステープラーの遠位端側の方向に移動するように駆動し、発射ブロックはステープルバンド本体に回転可能に接続されたステープラー用ステープルを外側に押し出し、発射ブロックのステープル切断部は、ステープラー用ステープルをステープルバンド本体から分離するように駆動し、カッターは、ステープルカートリッジアセンブリとステープルアンビルとの間に配置された組織を切断して、ステープラーの発射を実現する。
【0003】
既存のステープルカートリッジアセンブリでは、ステープルカートリッジカバーの上板には、ステープラー用ステープルに対応するステープルホールが形成されているが、ステープルカートリッジカバーの上板の高さが高いため、ステープラー用ステープルが閉鎖された後、ステープラー用ステープルがステープルカートリッジカバーから完全に外れないことがあり、手術効果に影響を及ぼす。
【0004】
本発明において、遠位端側と近位端側とは、作業者に対して相対するものであり、作業者に近い端を近位端側とし、作業者から遠い端、すなわち手術位置に近い端を遠位端側とする。ステープラーにおいて、内側と外側とは、ステープラーの軸心に対するものであり、軸心に近い側が内側であり、軸心から遠い側が外側である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の問題点に鑑みて、本発明の目的は、ステープラー用ステープルが閉鎖され後にステープルカートリッジカバーからより容易に外れるような、ステープルカートリッジアセンブリ、ステープルヘッド、および医療用ステープラーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例は、ステープルバンドとステープルカートリッジカバーとを含むステープルカートリッジアセンブリを提供し、
前記ステープルバンドは、少なくとも1つのステープルバンド本体と、複数のステープラー用ステープルとを含み、前記ステープラー用ステープルは、ステープル接続部によって前記ステープルバンド本体に回転可能に接続され、
前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンド本体の外部にスリーブされ、前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープラーの軸方向に沿って延びる少なくとも1つの折り曲げ部を含み、少なくとも1つの折り曲げ部には、複数のステープルホールが設けられ、前記ステープルホールは、前記軸方向に沿って延びる第1のホール壁と第2のホール壁とを含み、前記第1のホール壁の高さは、前記第2のホール壁の高さよりも高い。
【0007】
幾つかの実施例において、前記折り曲げ部は、前記ステープルカートリッジカバーの上板と側板との間に接続され、前記ステープルホールは、連通された第1のセグメントと第2のセグメントとを含み、前記ステープルホールの前記第1のセグメントと前記第2のセグメントは、前記ステープルカートリッジカバーの前記上板と前記側板にそれぞれ開設され、前記ステープルホールの前記第1のセグメントは、前記第2のセグメントから離れた側に前記第1のホール壁を有し、前記ステープルホールの前記第2のセグメントは、前記第1のセグメントから離れた側に前記第2のホール壁を有する。
【0008】
幾つかの実施例において、前記第1のホール壁は、前記ステープルカートリッジカバーの側板と平行であり、前記第2のホール壁は、前記ステープルカートリッジカバーの上板と平行である。
【0009】
幾つかの実施例において、前記ステープル接続部の最高点の高さは、前記ステープルホールの前記第1のホール壁の最高点の高さより低い、及び/または、前記ステープル接続部の最低点の高さは、前記ステープルホールの前記第2のホール壁の最高点の高さより低い。
【0010】
幾つかの実施例において、前記ステープルカートリッジカバーの側板における前記ステープル接続部の投影は、前記ステープルカートリッジカバーの側板における前記ステープルホールの投影と少なくとも部分的に重なる。
【0011】
幾つかの実施例において、前記ステープルホールの第1のホール壁と第2のホール壁との横方向上の距離は、前記ステープラー用ステープルの両側の横方向上の距離よりも大きい。
【0012】
幾つかの実施例において、前記ステープルカートリッジカバーの上板における前記ステープラー用ステープルの投影は、前記ステープルカートリッジカバーの上板における前記ステープルホールの投影のカバレッジ範囲内に入る。
【0013】
幾つかの実施例において、前記第2のホール壁の遠位端および/または近位端には、凹弧が設けられており、該凹弧の最低点は、前記第2のホール壁の高さよりも低い。
【0014】
幾つかの実施例において、前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンドの両側に位置された2つの前記折り曲げ部を含み、2つの前記折り曲げ部には、それぞれ複数の前記ステープルホールが設けられており;または、
前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンドの片側に位置された1つの前記折り曲げ部を含み、前記折り曲げ部は、前記ステープルバンドの内側または外側に位置される。
【0015】
幾つかの実施例において、前記折り曲げ部の表面は、滑らかな円弧面である。
【0016】
幾つかの実施例において、支持部材をさらに備え、前記ステープラー用ステープルの回転中、前記ステープラー用ステープルの側壁が少なくとも部分的に前記支持部材および前記ステープルカートリッジカバーの側板の内壁に同時に突き当たる。
【0017】
幾つかの実施例において、前記ステープラー用ステープルは、前記ステープル接続部に接続されたステープルクラウン部をさらに備え、前記ステープルクラウン部は、前記ステープラー用ステープルが閉鎖成形された後、前記軸方向とほぼ平行な位置まで回転され、前記第2のホール壁の最高点は、前記ステープルクラウン部の最低点よりも高い。
【0018】
幾つかの実施例において、前記ステープルクラウン部にはバーブが設けられ、前記第2のホール壁は、初期回転状態において前記バーブよりも高い。
【0019】
幾つかの実施例において、発射ブロックをさらに含み、前記ステープルバンド本体は、前記支持部材の片側に取付られ、前記ステープルバンド本体は、前記支持部材から離れた第1の表面を含み;
前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンド本体の第1の表面と対向する第2の表面を含み、前記ステープルバンド本体の第1の表面と前記ステープルカートリッジカバーの前記第2の表面との間に第1の隙間を有し;
前記発射ブロックは、前記ステープルカートリッジカバーの底部に可動に設けられ、前記軸方向に移動可能であり、前記発射ブロックは、ステープル切断部を含み、前記ステープル切断部の最高点の高さは、前記ステープルバンド本体の第1の表面の高さよりも高い。
【0020】
幾つかの実施例において、前記発射ブロックの前記ステープル切断部の最低点の高さは、前記ステープルバンド本体の第1の表面の高さよりも低く、前記発射ブロックの前記ステープル切断部は、前記軸方向において前記ステープル接続部と少なくとも部分的に整列している。
【0021】
幾つかの実施例において、少なくとも1つのステープルカートリッジ突起部をさらに含み、前記ステープルカートリッジ突起部は、前記ステープルバンド本体の第1の表面と前記ステープルカートリッジカバーの前記第2の表面との間に位置する第1の部分を含み、前記ステープルカートリッジ突起部の前記第1の部分の高さは、前記第1の隙間の高さに等しい。
【0022】
幾つかの実施例において、前記支持部材の表面に少なくとも1つの第1のステープルカートリッジ突起部が設けられ、前記支持部材から離れた側の前記第1のステープルカートリッジ突起部の表面の高さは、前記ステープルバンド本体の第1の表面の高さよりも高く、前記支持部材から離れた側の前記第1のステープルカートリッジ突起部の表面は、前記ステープルカートリッジカバーの前記第2の表面に突き当たる。
【0023】
幾つかの実施例において、前記第1のステープルカートリッジ突起部の内側面と外側面との間の横方向上の距離は、前記ステープルバンド本体の内側面と外側面との間の横方向上の距離よりも小さく、前記ステープルバンド本体の表面に少なくとも1つの取付孔を設け、前記第1のステープルカートリッジ突起部は、前記取付孔を貫通して設けられており、または、
前記ステープルカートリッジアセンブリは、複数のステープルバンドを含み、前記複数のステープルバンドは、前記軸方向に沿って配列され、前記第1のステープルカートリッジ突起部は、隣接する2つの前記ステープルバンドのステープルバンド本体の間に位置される。
【0024】
幾つかの実施例において、前記ステープルバンド本体の第1の表面には、少なくとも1つの第3のステープルカートリッジ突起部が設けられ、前記ステープルバンド本体から離れた側の前記第3のステープルカートリッジ突起部の表面は、前記ステープルカートリッジカバーの第2の表面に突き当たる、および/または、前記ステープルカートリッジカバーの前記第2の表面には、前記ステープルバンドに向かって延びる第4のステープルカートリッジ突起部が設けられ、前記ステープルバンド本体に対向する側の前記第4のステープルカートリッジ突起部の表面は、前記ステープルバンド本体の第1の表面に突き当たる。
【0025】
幾つかの実施例において、前記ステープラー用ステープルは、生体適合性を有する分解性ステープラー用ステープルであり、および/または、前記ステープラー用ステープルは、生体適合性を有する生体吸収性ステープラー用ステープルである。
【0026】
幾つかの実施例において、前記ステープラー用ステープルの表面には、生体適合性を有する分解性且つ生体吸収性のコーティングが設けられており、および/または、前記ステープラー用ステープルの表面には、外部の磁場の作用下で、前記ステープラー用ステープルを磁化するための磁性コーティングが設けられる。
【0027】
幾つかの実施例において、ステープルアンビルと前記ステープルカートリッジアセンブリとを含むステープルヘッドを提供し、前記ステープルアンビルは、前記ステープルカートリッジアセンブリに面する側がステープルアンビル面であり、前記ステープルアンビルには、ステープルアンビルカッター走行溝が開設され、前記ステープルアンビル面は、前記ステープルアンビルカッター走行溝の少なくとも片側に前記ステープルカートリッジアセンブリに向かって突出するステープルアンビル突出部を有し;前記ステープルカートリッジアセンブリには、ステープルカートリッジカッター走行溝が開設され、前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルカートリッジカッター走行溝に接近する側に前記折り曲げ部を設ける。
【0028】
幾つかの実施例において、前記ステープルアンビル面は、前記ステープルアンビルカッター走行溝の両側に前記ステープルアンビル突出部をそれぞれ設け、前記ステープルカートリッジアセンブリの前記ステープルカートリッジ走行溝の両側には、少なくとも1つの前記ステープルカートリッジカバーがそれぞれ設けられる。
【0029】
幾つかの実施例において、前記ステープルアンビル突起部は、前記ステープラーに沿って延びるリブを含む;または、前記ステープルアンビル突起部は、複数の突起を含み、前記複数の突起は、前記軸方向に沿って配列される。
【0030】
幾つかの実施例において、前記ステープルヘッドは、第1の状態および第2の状態を有し、前記ステープルアンビルの遠位端側は、前記ステープルヘッドが前記第1の状態、前記第2の状態にあるとき、それぞれ前記ステープルカートリッジアセンブリから相対的に離れ、前記ステープルカートリッジアセンブリに相対的に近づき;
前記ステープルヘッドが前記第2の状態にあるとき、前記ステープルアンビル突起部の最低点と前記ステープルカートリッジカバーの上面との間に高さ方向の第2の隙間を有し、前記ステープルアンビル突起部の外側壁と前記ステープルカートリッジカバーの内側壁との間に幅方向の第3の隙間を有する。
【0031】
幾つかの実施例において、前記ステープルアンビル突起部は、前記ステープルアンビルと一体的に形成されている。
【0032】
幾つかの実施例において、前記ステープルアンビル突起部の外側と、前記ステープルアンビル面との接続部には、内側向きに凹んだ円弧面を設ける。
【0033】
幾つかの実施例において、前記ステープルアンビル突起部の遠位端面および/または近位端面は、ガイド面である。
【0034】
本発明の実施例は、ステープルカートリッジアセンブリまたはステープルヘッドを含む医療用ステープラーをさらに提供している。
【発明の効果】
【0035】
本発明により提供されるステープルカートリッジアセンブリ、ステープルヘッドおよび医療用ステープラーは、以下の利点を有する:
本発明は、医療用ステープラーに用いられるステープルカートリッジアセンブリを提供し、ステープルカートリッジカバーの折り曲げ部にステープルホールを設け、第2のホール壁の高さを第1のホール壁の高さよりも低くし、ステープルホールの高さを部分的に低くすることにより、閉鎖後にステープラー用ステープルをステープルカートリッジカバーから離脱させ易くし、同時に、組織をステープラー用ステープルの開口により入り込ませ、成型のために組織を穿刺しやすくなり、手術効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の他の特徴、目的および利点は、以下の添付図面を参照して非限定的な実施例の詳細な説明を読むことにより、より明らかになるであろう。
【
図1】本発明の第1の実施例のステープルカートリッジアセンブリの構造の概略図である。
【
図3】
図1のA1-A1方向における断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施例のステープルカートリッジカバーの構造を示す概略図である。
【
図5】本発明の第1の実施例のステープルカートリッジカバーの正面図である。
【
図6】
図5におけるA2-A2方向の断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施例のステープルカートリッジアセンブリにおいて、片側のステープルカートリッジカバーが取り外された構造の概略図である。
【
図8】本発明の第1の実施例のステープルカートリッジアセンブリにおいて、ステープルカートリッジカバーの片側部を取り外した側面図である。
【
図9】本発明の第1の実施例の発射ブロックの構造を示す概略図である。
【
図10】本発明の第2の実施例のステープルカートリッジアセンブリにおいて、片側のステープルカートリッジカバーが取り外した構造の概略図である。
【
図11】本発明の第2の実施例のステープルバンドと発射ブロックが協力する部分構造の概略図である。
【
図12】本発明の第2の実施例のステープルカートリッジカバーとステープルバンド本体とが協力する構造の概略図である。
【
図13】本発明の第3の実施例のステープルカートリッジカバーとステープルバンド本体とが協力する構造の概略図である。
【
図14】本発明の第4の実施例のステープルカートリッジカバーの構造を示す概略図である。
【
図15】本発明の第4の実施例のステープルカートリッジカバーと発射ブロックとが協力する構造の概略図である。
【
図16】本発明の第5の実施例のステープルカートリッジアセンブリにおいて、片側のステープルカートリッジカバーが取り外された構造の概略図である。
【
図18】本発明の第6の実施例のステープルカートリッジアセンブリの部分的な構造の概略図である。
【
図19】様々な実施例におけるステープラー用ステープルとステープルカートリッジカバーとが協力する概略図である。
【
図20】様々な実施例におけるステープラー用ステープルとステープルカートリッジカバーとが協力する概略図である。
【
図21】本発明の第7の実施例のステープルヘッドが第1の状態にある構造の概略図である。
【
図22】本発明の第7の実施例のステープルヘッドが第2の状態にある構造の概略図である。
【
図24】本発明の第7の実施例の組織を縫合する概略図である。
【
図25】本発明の第7の実施例のステープルカートリッジホルダーの構造を示す概略図である。
【
図26】本発明の第7の実施例のステープルアンビルの構造を示す概略図である。
【
図29】本発明の第7の実施例のステープルカートリッジアセンブリの構造の概略図である。
【
図31】本発明の第7の実施例のステープルカートリッジカバーとステープルバンドとが協力する構造の概略図である。
【
図32】本発明の第7の実施例のステープルカートリッジカバーとステープルバンドとが協力する部分構造の概略図である。
【
図33】本発明の第7の実施例のステープルカートリッジカバーとステープルバンドとが協力する正面図である。
【
図35】本発明の第7の実施例のステープルカートリッジカバーとステープルバンドとが協力する部分構造を示す概略図である。
【
図36】本発明の第7の実施例のステープルカートリッジカバーとステープルバンドとが協力し、一つのステープラー用ステープルが閉鎖されたときの部分構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、例示的な実施形態について、添付図面を参照してより詳細に説明する。しかしながら、例示的な実施形態は、様々な形態で実施可能であり、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない;むしろ、これらの実施形態は、本発明が包括的かつ完全なものとなり、例示的な実施形態の思想が当業者に十分に伝わるように提供される。図面中の同一の添付符号は、同一または類似の構造を示すので、それらの繰り返しの説明は省略する。
【0038】
本発明は、ステープルカートリッジアセンブリおよびそれを含む医療用ステープラーを提供する。前記医療用ステープラーは、機器プラットフォームと、前記機器プラットフォームに移動可能に接続された発射ハンドルと、前記機器プラットフォームに取り付けられたステープルヘッドとを備え、前記ステープルヘッドは、対向して配置されたステープルカートリッジアセンブリとステープルアンビルとを備える。前記ステープルカートリッジアセンブリは、ステープルバンドとステープルカートリッジカバーとを含み、前記ステープルバンドは、少なくとも1つのステープルバンド本体と、複数のステープラー用ステープルとを含み、前記ステープラー用ステープルは、ステープル接続部によって前記ステープルバンド本体に回転可能に接続され、前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルバンド本体の外部にスリーブされ、前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープラーの軸方向に沿って延びる少なくとも1つの折り曲げ部を含み、前記折り曲げ部は、複数のステープルホールを設け、前記ステープルホールは、前記軸方向に沿って延びる第1のホール壁と第2のホール壁とを含み、前記第1のホール壁の高さは、前記第2のホール壁の高さよりも高くて、手術時に組織をステープラー用ステープルの開口により入り込ませ、ステープラー用ステープルが成型のために組織を穿刺しやすくなり、同時に、前記ステープルホールの高さを部分的に低くすることにより、閉鎖後にステープラー用ステープルをステープルカートリッジカバーから離脱させ易くなり、手術効果が向上する。
【0039】
以下、本発明の各具体的な実施例のステープルカートリッジアセンブリの構造を添付図面と併せて詳細に説明するが、各具体的な実施例は本発明の保護範囲を限定するものとして捉えられるものではないことが理解される。
【0040】
図1~
図9に示すように、本発明の第1の実施例のステープルカートリッジアセンブリの構造を示す概略図が示されている。前記ステープルカートリッジアセンブリは、ステープルバンド2と、前記ステープルバンド2を担持するための支持部材3と、前記ステープルバンド2及び支持部材3を収容するためのステープルカートリッジカバー1とを備える。前記ステープルバンド2は、少なくとも1つのステープルバンド本体21と、複数のステープラー用ステープル22とを含み、前記ステープラー用ステープル22は、ステープル接続部221によって前記ステープルバンド本体21に回転可能かつ着脱可能に接続される。前記ステープルカートリッジカバー1は、前記ステープルバンド本体21の外部にスリーブされ、前記ステープルバンド本体21の上面を少なくとも部分的に覆っている。前記ステープルカートリッジアセンブリは、近位端側に発射ブロック4をさらに備え、前記発射ブロック4は、前記ステープルカートリッジカバー1の底部に位置し、前記軸方向に移動可能である。初期状態では、前記発射ブロック4は、前記ステープルカートリッジアセンブリの近位端側に位置し、前記ステープラーが発射されると、前記発射ブロック4は、前記ステープルカートリッジアセンブリの遠位端側に向かって移動し、前記ステープラー用ステープル22に接触し、前記ステープラー用ステープル22を回転駆動してステープルアンビル部位で閉鎖成型し、前記ステープラー用ステープル22を駆動して前記ステープルバンド本体21およびステープルカートリッジカバー1から離脱させる。この実施例において、2つの支持部材3、2つのステープルバンド2及び2つのステープルカートリッジカバー1が設けられ、ステープルバンド2は対応する支持部材3にそれぞれ設けられ、前記ステープルバンド2の両側にステープラー用ステープル22が設けられ、前記ステープルカートリッジカバー1は前記支持部材3及び前記ステープルバンド2の外側にスリーブされ、すなわち、2つのステープルバンド2及び支持部材3はそれぞれ前記軸方向に関して対称に設けられる。他の代替実施形態では、前記支持部材3、ステープルバンド2及びステープルカートリッジカバー1の数は、図面に示すものに限定されることなく、必要に応じて変えることができ、ステープルバンド2は、片側のみにステープラー用ステープル22を設けることができ、これらは全て本発明の保護範囲に属する。この実施例において、前記ステープラー用ステープル22の回転中、前記ステープラー用ステープル22の側壁は、少なくとも部分的に前記支持部材3および前記ステープルカートリッジカバー1の側板の内壁に同時に突き当たるので、前記ステープラー用ステープル22の側壁は、常に位置制限され、前記ステープラー用ステープル22が、回転中に内側または外側を向かってオフセットされないように保持する。
【0041】
図1~
図6に示すように、前記ステープルカートリッジカバー1は、前記軸線方向に延びる折り曲げ部18を含み、前記折り曲げ部18には、複数のステープルホール14が設けられ、前記ステープルホール14は、前記軸線方向に延びる第1のホール壁141と第2のホール壁142とを含み、前記第1のホール壁141と前記第2のホール壁142とは、異なる平面に位置している。具体的には、前記第1のホール壁141は前記ステープルカートリッジカバー1の上板に位置し、前記第2のホール壁142は前記ステープルカートリッジカバー1の側板に位置する。前記第1のホール壁141の高さは、前記第2のホール壁142の高さよりも高いので、前記ステープルホール14の高さの一部は陥没し、前記ステープルカートリッジカバー1の上板から陥没して前記ステープルカートリッジカバー1の側板までに延びて、ここで、形成されたステープルホール14は、立体的なステープルホールとなり、前記ステープルカートリッジカバー1に、より大きい露出空間を与え、すなわち、前記ステープルホール14は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板に向かって下方に凹陥している。これにより、ステープラー用ステープル22により多くの露出空間が与えられ、閉鎖時に組織が前記ステープラー用ステープル22の輪郭内に十分に入り込み、ステープラー用ステープル22が組織をより良好に穿刺して吻合を達成することができ、同時に、閉鎖後にステープラー用ステープル22がステープルホール14を上方に通過してステープルカートリッジカバー1から外れやすくなる。
【0042】
本発明において、遠位端側と近位端側とは、作業者に対する相対的なものであり、作業者に近い端が近位端側であり、作業者から遠い端、すなわち手術位置に近い端が遠位端側であり、前記ステープラーの軸心に沿った方向は、軸方向、すなわちステープラーの遠位端側から近位端側に向かう方向、またはステープラーの近位端側から遠位端側に向かう方向である。例えば、
図1の視野において、ステープルカートリッジカバー1は、その遠位端側11が右側であり、その近位端側12が左側である。
図10の視野において、支持部材3については、その遠位端側31が右側であり、その近位端側32が左側である。本発明では、部材について、内側と外側はその軸心に対して相対的であり、軸心に近い側が内側であり、軸から離れた側が外側である。本発明において、
図1における方向S1は、ステープラーの近位端側から遠位端側への方向であり、方向S1または方向S1と反対の方向をステープラーの軸方向として定義する。
図3および
図6における方向S2は、高さ方向、すなわち、縦方向として定義され、ステープルカートリッジカバー1の上板がステープルバンド本体21の上方に位置する。
図3におけるS3方向は、幅方向、すなわち横方向と定義され、ステープルカートリッジカバー1の上板の左右両側はそれぞれ折り曲げ部18によって側板に接続され、ステープラー用ステープル22はステープルバンド本体21の左右両側に位置する。
図22の視野において、ステープルアンビル7については、その遠位端側71が左側であり、近位端側72が右側である。
図25の視野において、ステープルカートリッジホルダー8については、その遠位端側81が左側であり、近位端側82が右側である。
【0043】
前記折り曲げ部18は、
図1~
図3に示すように、前記ステープルカートリッジカバー1の前記上板と前記側板との間に接続され、前記ステープルホール14は、連通された第1のセグメント143と第2のセグメント144を含み、前記ステープルホール14の第1のセグメント143は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板に開設し、前記ステープルホール14の第2のセグメント144は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板に開設し、前記第2のセグメント144から離れた前記ステープルホール14の第1のセグメント143の片側には、前記第1のホール壁141を有し、前記第1の部分143から離れた前記ステープルホール14の第2のセグメント144には、前記第2のホール壁142を有する。前記第1のホール壁141は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板と平行であり、前記第2のホール壁142は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板と平行である。この実施例において、前記ステープラー用ステープル22のステープル接続部221の最高点の高さは、前記ステープルホール14の前記第1のホール壁141の最高点の高さよりも低い。すなわち、前記ステープル接続部221の最高点は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板から突出しない。その結果、前記ステープル接続部221は、前記ステープラーが発射されていないときに組織と接触することはない。前記ステープラー用ステープル22の前記ステープル接続部221の最低点の高さは、前記ステープルホール14の前記第2のホール壁142の最高点の高さよりも低いので、前記ステープル接続部221は、初期状態において、前記ステープルホール14から完全に露出することがなく、前記ステープラー用ステープル22が、発射されていない時におけるステープルホール14内での安定性を向上させる。
【0044】
図3に示すように、この実施例において、前記ステープルカートリッジカバー1の側板における前記ステープル接続部221の投影は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板における前記ステープルホール14の投影と少なくとも部分的に重なる。前記ステープラーが発射されると、前記ステープラー用ステープル22は、閉鎖成形された後、前記ステープルカートリッジカバー1からより容易に離脱される。
図3を例に挙げると、前記ステープルカートリッジカバー1の左側板における前記ステープル接続部221の投影は、前記ステープルカートリッジカバー1の左側板における前記ステープルホール14の投影と少なくとも部分的に重なる。
【0045】
図1~
図3に示すように、この実施例において、前記ステープラー用ステープル22のステープル足222の高さは、前記ステープルホール14の第2のホール壁142の最低点の高さよりも低い。それにより、ステープラーが発射されてないとき、前記ステープラー用ステープル22のステープル足222が前記ステープルホール14から露出しないことが保証され、前記ステープラー用ステープル22のステープル足222による組織の削り傷を回避する。
図7に示すように、前記ステープラー用ステープル22は、ステープルクラウン部223をさらに備え、前記ステープルクラウン部223は、前記ステープル接続部221に接続され、前記ステープルクラウン部223は、遠位端側を向く側にバーブ2231を備え、前記第2のホール壁142は、初期回転状態において、前記バーブ2231よりも高く設定され、初期状態において、前記バーブ2231が前記ステープルホール14から露出することにより、組織が削れるのを回避する。
【0046】
図3に示すように、前記ステープルホール14の第1のホール壁141と第2のホール壁142との横方向(S3方向)上の距離は、前記ステープラー用ステープル22の横方向上の両側の距離よりも大きくなっている。すなわち、前記ステープルホール14の幅は、前記ステープラー用ステープル22の幅よりも大きく、ステープラーが発射されるとき、前記ステープラー用ステープル22が詰まることなく前記ステープルホール14を完全に通過できることを保証する。好ましくは、前記ステープルカートリッジカバー1の上板における前記ステープラー用ステープル22の投影は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板における前記ステープルホール14の投影のカバレッジ範囲内に入るので、発射ブロック4がステープラー用ステープル22を上方に駆動するとき、ステープラー用ステープル22は、ステープルホール14のホール壁によって妨げられることもなく、ステープルホール14内で詰まることもなく、ステープルホール14をより円滑に通過することができる。
【0047】
図6に示すように、前記ステープルカートリッジカバー1は、前記ステープルバンド2の両側に位置する2つの前記折り曲げ部18を含み、すなわち、
図6の視野において、前記ステープルカートリッジカバー1の上板の左側辺と右側辺のそれぞれに一つの折り曲げ部18が設けられている。一つの折り曲げ部18は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板と左側板とを接続し、もう一つの折り曲げ部18は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板と右側板とを接続し、前記折り曲げ部18の表面は、滑らかな円弧面である。この実施例において、前記ステープルカートリッジカバー1の片側の前記折り曲げ部18に、前記ステープルホール14が設けられていることだけが例示的に示されている。右側の側板に接近するステープルカートリッジカバー1の上板の位置に、別のタイプのステープルホールが設けられており、このステープルホールは、前記ステープルカートリッジカバー1の上板において完全に開設している。別の代替実施形態では、2つの前記折り曲げ部18のそれぞれに複数の前記ステープルホール14を設けることも可能であり、すなわち、右側の側板に接近するステープルカートリッジカバー1の上板の位置のステープルホールは、ステープルカートリッジカバー1の上板と右側の側板の両方に設けられ、前記ステープルカートリッジカバー1に設けられた2列のステープルホール14は、前記ステープルカートリッジカバー1の中心線に関して対称である。
【0048】
図7~
図9に示すように、ステープルカートリッジカバー1の内面は、ステープルバンド本体21の上面に密着している。前記発射ブロック4は、ステープル押し部42とステープル切断部41とを含む。ステープラー発射の時、前記発射ブロック4は、前記ステープルカートリッジアセンブリの近位端側から前記ステープルカートリッジアセンブリの遠位端側に向かって方向S1に移動する。前記発射ブロック4のステープル押し部42は、まず、ステープラー用ステープル22のステープルクラウン部223に接触し、ステープラー用ステープル22のステープル足222がステープル接続部221を中心に回転するように駆動し、ステープルホール14から上方に延出し、ステープルアンビルの作用によりD字状に閉鎖され、ステープル切断部41は、ステープル接続部221を切断し、ステープラー用ステープル22は、ステープルバンド本体21から離脱し、上方に移動してステープルホール14を貫通して組織に閉鎖され、ステープルカートリッジカバー1から離脱することができる。
【0049】
図10~
図12に示すように、本発明の第2の実施例のステープルカートリッジアセンブリの構造を示す概略図である。この実施例が第1の実施例と異なる点は、前記ステープルバンド本体21の上面と、前記ステープルバンド本体21の上面に対向する前記ステープルカートリッジカバー1の側面との間に第1の隙間6が形成されている点である。前記支持部材3から背反する側の前記ステープルバンド本体21の表面を第1の表面211(すなわち、前記ステープルバンド本体21の上面)と定義し、前記ステープルバンド本体21の前記第1の表面211とは反対側の前記ステープルカートリッジカバー1の表面を第2の表面13(すなわち、前記ステープルカートリッジカバー1の上板の内面)と定義し、前記第1の表面211と前記第2の表面13との間に該第1の隙間6が形成されている。
【0050】
前記ステープルバンド本体21は、
図12では箱状に示されており、前記支持部材3の本体構造は省略され、第1のステープルカートリッジ突起部33と、ステープルバンド本体21と、ステープルカートリッジカバー1との協力関係のみが例示的に示されている。前記ステープルバンド本体21の第1の表面211と前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13との間には、第1の隙間6があり、この第1の隙間6の高さは、h1である。この第1の隙間6の高さh1は、ステープルカートリッジアセンブリの寸法によって変化し、異なる値を取り得る。
図11に示すように、前記ステープル切断部41の最高点の高さP1は、前記ステープルバンド本体21の第1の表面211の高さP2よりも高く、発射ブロック4のステープル切断部41がステープラー用ステープル22をステープルバンド2から分離ように駆動することを容易にし、これにより、ステープラーが発射されたときに、発射ブロック4がステープラー用ステープル22をステープルアンビルに向かって押し出して組織上で閉鎖するように保証することができる。
【0051】
この実施例において、前記発射ブロック4のステープル切断部41の最高点は、前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13に突き当り、前記発射ブロック4のステープル切断部41は、ステープラー用ステープル22をステープルバンド2からより良く離脱させために、第1の隙間6を最大限に利用することができる。
図11に示すように、この実施例において、前記発射ブロック4のステープル切断部41の最低点の高さP3は、前記ステープルバンド本体21の第1の表面211の高さP2よりも低い。前記発射ブロック4の前記ステープル切断部41は、前記軸方向において前記ステープル取付部221と少なくとも部分的に整列していることにより、ステープラーが発射されたときに、ステープラー用ステープル22がステープルバンド本体21から完全に離脱され、組織に吻合されることが保証される。
【0052】
図10から
図12に示すように、この実施例において、前記支持部材3の表面には、少なくとも1つの第1のステープルカートリッジ突起部33が設けられており、前記支持部材3から離れる側の前記第1のステープルカートリッジ突起部33の表面(すなわち、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の上面)の高さは、前記ステープルバンド本体21の第1の表面211の高さよりも高く、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の上面は、前記ステープルカートリッジカバー1に突き当っており、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の突き当り作用によって、前記ステープルバンド本体21の第1の表面211と前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13との間に前記第1の隙間6を有する。前記第1のステープルカートリッジ突起部33は、前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13と前記ステープルバンド本体21の第1の表面211との間に配置される第1の部分と、前記ステープルバンド本体21の第1の表面211と前記支持部材3の上面との間に配置される第2の部分とを含み、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の前記第1の部分の高さは、前記第1のステープルカートリッジ突起部33が前記ステープルバンド本体21の第1の表面211から突出する部分の高さであり、該高さは、前記第1の隙間6の高さh1に等しい。
【0053】
図10及び
図11に示すように、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の内側面と外側面との間の横方向上の距離は、前記ステープルバンド本体21の内側面と外側面との間の横方向上の距離よりも小さく、すなわち、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の横方向の幅は、前記ステープルバンド本体21の横方向の幅よりも小さく、前記ステープルバンド本体21の表面には、少なくとも1つの取付孔212が設けられ、前記第1のステープルカートリッジ突起部33は、前記取付孔212に設けられる。この実施例において、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の上面と前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13とは平行であり、かつ互いに密着しているので、前記第1のステープルカートリッジ突起部33と前記ステープルバンド本体21との間の協力の安定性を高めることができる。前記第1のステープルカートリッジ突起部33は、例えば、前記取付孔212に溶接により固定的に接続して、協力安定性を向上させてもよい。
【0054】
図11に示すように、該実施例において、前記第1のステープルカートリッジ突起部33はボスであり、前記ステープルバンド本体21の前記第1の表面211における前記ボスの投影は、角が丸い矩形であり、すなわち、前記ボスの全ての角には、円弧を持つガイド面が設けられており、ステープルバンド2を支持部材3に組み付ける際に、円弧のガイド面が前記ボスを前記取付ホール212により良好にガイドすることができる。ここで、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の形状は、例示的なものに過ぎず、他の代替的な実施例において、前記第1のステープルカートリッジ突起部33は、他の形状をとることもでき、例えば、前記ステープルバンド本体21の前記第1の表面211における前記第1のステープルカートリッジ突起部33の投影は、矩形、または三角形、菱形、台形等である。また、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の上面の面積と下面の面積は異なっていてもよく、例えば、前記第1のステープルカートリッジ突起部33は、下面の面積が大きく、上面の面積が小さい椎骨構造であってもよく、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0055】
この実施例において、前記支持部材3の表面は、2つの第2のステープルカートリッジ突起部34をさらに備え、前記2つの第2のステープルカートリッジ突起部34は、前記支持部材3の近位端側32および遠位端側31にそれぞれ位置し、前記第2のステープルカートリッジ突起部34は、前記支持部材3から離れた側の表面(すなわち、前記第2のステープルカートリッジ突起部34の上面)の高さが、前記ステープルバンド本体21の第1の表面211の高さよりも高く、前記第2のステープルカートリッジ突起部34の上面は、前記ステープルカートリッジカバー1の前記第2の表面13と突き当っている。前記第1のステープルカートリッジ突起部33の上面は、前記第2のステープルカートリッジ突起部34の上面と同じ高さである。この実施例において、前記第2のステープルカートリッジ突起部34の横幅は、前記ステープルバンド本体21の横幅に等しい。前記第2のステープルカートリッジ突起部34は、例えば、溶接によって前記ステープルバンド本体21に固定的に接続されてもよく、前記支持部材3と前記ステープルバンド2との間の協力の安定性を向上させる。
【0056】
この実施例において、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の数と配列形態は、所望に応じて選択することができ、前記支持部材3の表面上に前記軸方向に沿って均一にまたは不均一に分布させることができ、別の代替的な実施例では、前記支持部材3の表面には、第1のステープルカートリッジ突起部33のみを設け、第2のステープルカートリッジ突起部34を設けないこともでき、さらなる代替的な実施例では、前記支持部材3の表面には、第2のステープルカートリッジ突起部34のみを備え、第1のステープルカートリッジ突起部33を備えないことができる。さらなる代替的な実施例において、前記第2のステープルカートリッジ突起部34は、支持部材3の遠位端側のみに設けられてもよいし、支持部材3の近位端側のみに設けられてもよい;さらなる別の代替的な実施例では、前記第2のステープルカートリッジ突起部34は、第1のステープルカートリッジ突起部33と同じ形状およびサイズであってもよい。
【0057】
図13に示すように、本発明の第3の実施例のステープルカートリッジアセンブリの構造の概略図を示す。この実施例において、前記ステープルバンド本体21の上面には、第3ステープルカートリッジ突起部213が設けられている。前記第3のステープルカートリッジ突起部213の上面は、前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13と突き当り、前記ステープルバンド本体21の第1の表面211と前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13との間に第1の隙間6を形成する。前記第3のステープルカートリッジ突起部213の高さは、前記第1の隙間6の高さh1に等しい。この実施例において、前記第3のステープルカートリッジ突起部213の上面は、前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13と平行且つ互いに密着し、協力安定性を向上させる。前記第3のステープルカートリッジ突起部213の形状、サイズ、数、配列形態は、図面に示すものに限定されることなく、所望に応じて選択して設定できる。この実施例の採用によっても同様に、発射ブロック4のステープル切断部41を駆動してステープラー用ステープル22をステープルバンド2から離脱し易くする目的を達成できる。
【0058】
図14及び
図15は、本発明の第4の実施例のステープルカートリッジアセンブリの構造を示す図である。この実施例が第2の実施例と異なる点は、前記支持部材3が、その表面に第1のステープルカートリッジ突起部33及び第2のステープルカートリッジ突起部34を備えておらず、前記ステープルカートリッジカバー1の前記第2の表面13に、前記ステープルバンド2に向かって延びる第4のステープルカートリッジ突起部17を備えており、前記第4のステープルカートリッジ突起部17は、前記ステープルバンド本体21に向かう側の表面(即ち、前記第4のステープルカートリッジ突起部17の下面)が、前記ステープルバンド本体21の前記第1の表面211と突き当りいる点である。前記第4のステープルカートリッジ突起部17の高さは、前記第1の隙間6の高さh1と等しい。前記第4のステープルカートリッジ突起部17の下面は、前記ステープルバンド本体21の第1の表面211と平行且つお互いに密着し、協力安定性を向上させる。前記第4のステープルカートリッジ突起部17の形状、サイズ、数及び配列は、図面に示すものに限定されることなく、所望に応じて選択して設定できる。この実施例の採用によっても同様に、発射ブロック4のステープル切断部41がステープラー用ステープル22を駆動してステープルバンド2から離脱し易くするという目的を達成できる。
【0059】
上述の第2の実施例、第3の実施例および第4の実施例におけるステープルカートリッジ突起部は、それぞれ支持部材3、ステープルバンド本体21またはステープルカートリッジカバー1に設けられ、ステープルバンド本体21の第1の表面211とステープルカートリッジカバー1の第2の表面13との間に第1の隙間6を実現する。他の代替的な実施例では、上記3つの実施例を組み合わせて使用することができ、例えば、第1のステープルカートリッジ突起部33、第2のステープルカートリッジ突起部34、第3のステープルカートリッジ突起部213、および第4のステープルカートリッジ突起部17のうちの2つまたは複数を同時に設けることができ、これらはすべて本発明の保護範囲内に属する。
【0060】
図16および
図17は、本発明の第5の実施例のステープルバンドと支持部材とが協力する概略図である。この実施例は、第2の実施例と同様に、前記支持部材3の表面に第1のステープルカートリッジ突起部33と2つの第2のステープルカートリッジ突起部34とを設けたものである。前記2つの第2のステープルカートリッジ突起部34は、前記支持部材3の遠位端側31及び近位端側32にそれぞれ位置し、前記第1のステープルカートリッジ突起部33は、前記2つの第2のステープルカートリッジ突起部34の間に位置し、前記第1のステープルカートリッジ突起部33及び前記第2のステープルカートリッジ突起部34の上面は、前記ステープルカートリッジカバー1の第2の表面13に突き当たる。第5の実施例が第2の実施例と異なる点は、この実施例において、前記ステープルカートリッジアセンブリが複数のステープルバンド2を含み、前記複数のステープルバンド2が前記軸方向に沿って配列され、前記第1のステープルカートリッジ突起部33が、隣接する2つの前記ステープルバンド2のステープルバンド本体21の間に配置されることである。前記2つの第2のステープルカートリッジ突起部34は、それぞれ、最も遠いステープルバンド2の遠位端側および最も近いステープルバンド2の近位端側に位置される。前記第1のステープルカートリッジ突起部33および/または前記第2のステープルカートリッジ突起部34は、例えば、溶接によって前記ステープルバンド2に固定的に接続され、前記支持部材3と前記ステープルバンド2との間の協力安定性を向上させることができる。
【0061】
図16~
図17に示すように、この実施例において、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の内側面と外側面との間の横方向上の距離は、前記ステープルバンド本体21の内側面と外側面との間の横方向上の距離と等しく、すなわち、前記第1のステープルカートリッジ突起部33の横方向の幅は、前記ステープルバンド本体21の横方向の幅と等しく、これにより、複数のステープルバンド2の取り付けの位置決めがより良好となり、ステープルバンド2の安定性がより良好に保持される。他の代替的な実施例では、第1のステープルカートリッジ突起部33の内側面と外側面との間の横方向上の距離も、前記ステープルバンド本体21の内側面と外側面との間の横方向上の距離よりも小さくすることができ、例えば、第2の実施例の第1のステープルカートリッジ突起部33の形状及びサイズと同様のものを用いることができ、これも本発明の保護範囲に属する。
【0062】
第5の実施例も同様に、多くの変形例を有することができるが、これらはすべて本発明の保護範囲に属する。第5の実施例における第1のステープルカートリッジ突起部33及び第2のステープルカートリッジ突起部34の数、サイズ、形状及び配列形態は、図面に示すものに限定されない。ステープルバンド2の軸方向に沿った長さ及びステープルバンド2の数も、図面に示すものに限定されず、所望に応じて選択して調整できる。代替の実施例において、第2のステープルカートリッジ突起部34を設けずに第1のステープルカートリッジ突起部33のみを設けること、または第1のステープルカートリッジ突起部33を設けずに第2のステープルカートリッジ突起部34のみを設けることも可能である。
【0063】
図18に示すように、本発明の第6の実施例のステープルカートリッジアセンブリの部分構造の概略図を示す。この実施例が第1の実施例と異なる点は、前記ステープルホール14の第2のホール壁142の遠位端及び近位端に凹弧1421が設けられ、前記凹弧1421の最低点が該第2のホール壁142の表面高さより低いことである。ステープルホール14の第2のホール壁142は、
図18において、凹弧1421を備えることが例示的に示されているが、他の実施例において、ステープルホール14の第2のホール壁142の全てが凹弧1421を備えること、またはステープルホール14の第2のホール壁142の一部が凹弧1421を備えることが可能である。ステープルホール14については、その遠位端と近位端の両方に凹弧1421を設けてもよいし、遠位端と近位端の一方のみに凹弧1421を設けてもよい。前記凹弧1421を設けることにより、ステープラー用ステープル22が成形された後にステープルホール14から離脱しやすくなる。好ましくは、初期状態において、前記凹弧1421の最低点は、前記ステープラー用ステープル22の前記ステープル接続部221の最低点よりも高く、前記ステープル接続部221が前記ステープルホール14の外部に完全に露出することを回避し、ステープラーが発射されていないとき、ステープルホール14におけるステープラー用ステープル22の安定性を向上させる。
【0064】
図19および
図20は、ステープルカートリッジカバーとステープラー用ステープルとの協力を例示的に示している。ステープルカートリッジカバー1とステープラー用ステープル22との協力をより明確に示すために、
図19及び
図20のステープルカートリッジカバーは透視の形態をとり、支持部材及びステープルバンド本体は省略されている。
図19及び
図20におけるステープルカートリッジカバーとステープラー用ステープルとの協力形態は、上述した第1の実施例~第6の実施例のいずれにも適用可能であり、すなわち、第1の実施例~第5の実施例のステープルホール14(凹弧1421なし)を用いたステープルカートリッジカバー1とステープラー用ステープル22との協力に適用してもよいし、第6の実施例のステープルホール14(凹弧1421あり)を用いたステープルカートリッジカバー1とステープラー用ステープル22との協力に適用してもよい。
【0065】
図19に示すように、初期状態において、ステープラー用ステープル22のステープル足222、ステープルクラウン部223及びバーブ2231の高さのいずれは、ステープルホール14の第2のホール壁142の最高点よりも低く、ステープル接続部221の最高点は、ステープルホール14の第2のホール壁142の最高点よりも高いが、ステープルホール14の第1のホール壁141の最高点よりも低い。ステープル接続部221の最低点は、ステープルホール14の第2のホール壁142よりも低い。凹弧1421を有する実施例では、ステープル接続部221の最低点は、凹弧1421の最低点よりも低い。
図20に示すように、ステープラー用ステープル22を閉鎖形成した後、前記ステープルクラウン部223を軸方向とほぼ平行な位置まで回転させ、前記第2のホール壁142の最高点を前記ステープルクラウン部223の最低点よりも高くすることにより、前記ステープルクラウン部223の側面にストッパーを形成し、前記ステープラー用ステープル22がステープルホール14から上方に押し出される際に外側にオフセットしようにする。
【0066】
ステープラーを使用して組織を縫合したり切断したりする場合、カッター走行溝と内側ステープラー用ステープルとの間の組織にリップエッジが形成されることにより、ステープラー用ステープルが組織の縁で不用意に滑り落ちることが防止される。しかし、既存のステープラーでは、組織を縫合して切断した後に形成されるリップエッジの幅が小さく、リップエッジとしての機能が十分に発揮できてない。
【0067】
そこで、本発明は、ステープルヘッド及び該ステープルヘッドを含む医療用ステープラーを提供するものであり、ステープルアンビルにステープルアンビル突起部を設け、ステープルホールの形状を設計することにより、組織を吻合後に幅広のリップエッジが得られ、ステープラー用ステープルが不用意に滑り落ちることをより良好に防止することができる。具体的には、前記ステープルヘッドは、対向して配置されたステープルアンビルとステープルカートリッジアセンブリとを含み、前記ステープルアンビルは、前記ステープルカートリッジアセンブリに面する側にステープルアンビル面を有し、前記ステープルアンビルは、ステープルアンビルカッター走行溝を有し、前記ステープルアンビル面は、前記ステープルアンビルカッター走行溝の少なくとも片側にステープルアンビル突起部を有し、前記ステープルアンビル突起部は、前記ステープルカートリッジアセンブリに向かって突出している。前記ステープルカートリッジアセンブリは、少なくとも1つのステープルカートリッジカバーを含み、前記ステープルカートリッジアセンブリには、ステープルカートリッジカッター走行溝を形成し、前記ステープルカートリッジカバーは、前記ステープルカートリッジカッター走行溝に接近する側に軸方向に延びる折り曲げ部を備え、前記折り曲げ部は、複数のステープルホールを備え、前記ステープルホールは、前記軸方向に延びる第1のホール壁と第2のホール壁とを含み、前記第1のホール壁の高さは、前記第2のホール壁の高さよりも高い。従って、このステープルヘッドでは、ステープルアンビル突起部がステープルアンビルに設けられ、ステープルホールの形状に対して設計を行い、ステープルホールがステープルカートリッジカバーのステープルカートリッジカッター走行溝に面する側の折り曲げ部に設けられ、第2のホール壁の高さが第1のホール壁の高さより低く、ステープルホールの高さの一部が陥没し、ステープラーが組織を縫合して切断するとき、組織がステープルアンビル突起部によって下方に折り曲げられ、現在の技術より広いリップエッジを形成し、ステープラー用ステープルの偶発的な滑り落ちをよりよく防止することができる。
【0068】
図21~
図36は、本発明の第7の実施例のステープルヘッドの構造を示す概略図である。
図21および
図22に示すように、この第7の実施例では、前記ステープルヘッドは、ステープルアンビル7と、ステープルカートリッジアセンブリとを含んでいる。前記ステープルカートリッジアセンブリは、ステープルカートリッジホルダー8と、前記ステープルカートリッジホルダー8の内部に収容されたステープルカートリッジカバー1と、前記ステープルカートリッジカバー1の内部に少なくとも部分的に配置されたステープルバンド2とを含む。前記ステープルカートリッジアセンブリの構造については、添付図面に関連して後に詳述する。前記ステープルヘッドは、第1の状態と第2の状態とを有する。
図21に示すように、前記ステープルヘッドが前記第1の状態にある時、前記ステープルアンビル7は前記ステープルカートリッジアセンブリに対して開いている、すなわち前記ステープルアンビル7の遠位端側71が前記ステープルカートリッジアセンブリから相対的に離れている。
図22に示すように、前記ステープルヘッドが前記第2の状態にあるとき、前記ステープルアンビル7は前記ステープルカートリッジアセンブリに対して閉鎖されている、すなわち、前記ステープルアンビル7の遠位端側71が前記ステープルカートリッジアセンブリに相対的に接近している。前記ステープルカートリッジホルダー8の近位端側82は、前記ステープルアンビル7に回転可能に接続されている。具体的には、
図21及び
図22に示すように、前記ステープルアンビル7の近位端側72には、斜め溝76が設けられ、
図25に示すように、前記ステープルカートリッジホルダー8の近位端側82には、軸方向に延びる長溝83が設けられ、前記斜め溝76及び前記長溝83の両方に接続ピン(図示せず)が貫通しており、これにより前記ステープルカートリッジホルダー8と前記ステープルアンビル7とが回転可能に接続されている。
図29及び
図30に示すように、前記ステープルカートリッジカバー1の内部には、ステープルバンド2と、前記ステープルバンド2を支持する支持部材3とが収容されており、前記ステープルバンド2は、前記支持部材3の上方に配置されたステープルバンド本体21と、前記支持部材3の側面の少なくとも一部に配置されたステープラー用ステープル22とを含んでいる。
図29に示すように、この実施例のカッター5は、上横梁51と、下横梁53と、上横梁51と下横梁53との間に接続されたカッター接続部52とを含む工字型カッターである。カッター接続部52の上部は、ステープルアンビルカッター走行溝74に入り、カッター接続部52の下部は、ステープルカートリッジカッター走行溝60に入る。前記ステープルヘッドが第1の状態にあるとき、カッター5と発射ブロック4はいずれも近位端の初期位置にある。カッタープッシャバー(図示せず)によりカッター5を初期位置から遠位端側方向に駆動すると、発射ブロック4が遠位端側方向に押される。これと同時に、カッター5は、ステープルアンビル7を駆動し、上横梁51とステープルアンビル7との協力によってステープルカートリッジアセンブリに対して徐々に閉鎖され、第2の状態に入る。このとき、カッター5がカッタープッシャバーによって遠位端側へ移動するように押され続けると、カッター5は発射ブロック4を遠位端側方向へ移動するように押し続け、発射ブロック4はステープラー用ステープル22を押して組織の縫合を行う一方、カッター5は組織を切断して、ステープラーの発射を実現する。
【0069】
図23および
図26に示すように、前記ステープルアンビル7は、前記ステープルカートリッジアセンブリに面する側にステープルアンビル面(すなわち、
図23の視野では、前記ステープルアンビル7の下面)を備え、前記ステープルアンビル面は、複数のアンビルホール73を備え、前記アンビルホール73の位置は、前記ステープルカートリッジアセンブリ内の前記ステープラー用ステープル22に対応する。前記ステープルアンビル7は、ステープルアンビルカッター走行溝74を開設し、前記ステープルアンビル面は、前記ステープルアンビルカッター走行溝74の少なくとも片側にステープルアンビル突起部75を備え、前記ステープルアンビル突起部75は、前記ステープルカートリッジアセンブリに向かって延びている。この実施例において、前記ステープルアンビル面は、前記ステープルアンビルカッター走行溝74の両側に前記ステープルアンビル突起部75をそれぞれ備え、前記ステープルアンビル突起部75は、前記ステープラーに沿って軸方向に延びるリブを含む。前記リブは、前記ステープルアンビル7と一体成形されていてもよく、あるいは、前記リブは、前記ステープルアンビル7と別個に成形された2つの部材であって、溶接等によって互いに固定的に接続されていてもよい。
図23に示すように、前記ステープルアンビル突起部75の外側は、前記ステープルアンビル面と接続する位置に、内側向きに凹んだ円弧面751が設けられている。組織をクランプするためにステープルアンビル7がステープルカートリッジアセンブリに対して閉鎖されるとき、前記ステープルアンビル突起部75の外側の組織との接触面は、直角面ではなく円弧状面751であり、組織の損傷を回避する。
図26から
図28に示すように、この実施例において、前記ステープルアンビル突起部75の遠位端面は、第1のガイド面752となっており、前記第1のガイド面752の近位端側辺は遠位端側辺に比べて近位方向に傾斜している。前記第1のガイド面752と前記ステープルアンビル突起部75の下面との間は、好ましくは円滑な移行である。前記第1のガイド面752および前記第2のガイド面753を設けることにより、前記ステープルアンビル突起部75は、前記ステープルアンビル7が開いた状態から徐々に閉鎖さられるとき、組織とよりよく協力し、ステープルアンビル7とステープルカートリッジアセンブリとの間に組織をよりよく収容できる。
【0070】
図29及び
図32に示すように、前記ステープルカートリッジアセンブリには、ステープルカートリッジカッター走行溝60が形成され、前記ステープルカートリッジアセンブリの前記ステープルカートリッジカッター走行溝60の両側に前記ステープルカートリッジカバー1を設け、前記ステープルカートリッジカバー1は、前記ステープルカートリッジカッター走行溝60に対して対称に配置される。前記各ステープルカートリッジカバー1に設けられるステープルバンド2は、軸方向に延びる長尺状のものであってもよいし、軸方向に沿って順次配列された複数のステープルバンド2であってもよい。この実施例において、前記ステープルバンド本体21の両側にステープラー用ステープル22の列が設けられ、2列のステープラー用ステープル22が軸方向に沿って互いにずらして設けられている。他の代替的な実施例では、前記ステープラー用ステープル22を前記ステープルバンド本体21の片側のみに設けることも可能である。前記ステープルカートリッジカバー1は、前記ステープルカートリッジカッター走行溝60に近い側(前記ステープルカートリッジカバー1の内側)に前記軸方向に延びる折り曲げ部18を設け、前記折り曲げ部18は、平坦で滑らかな表面を有する。前記折り曲げ部18は、複数のステープルホール14を備え、前記ステープルホール14は、前記軸方向に延びる第1のホール壁141と第2のホール壁142とを含み、前記第1のホール壁141の高さは、前記第2のホール壁142の高さよりも高く、すなわち、前記第2のホール壁142は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板上に延在しつつ、前記第1のホール壁141に対して高さ方向に陥没している。前記第1のホール壁141と前記第2のホール壁142とは、異なる平面に位置している。具体的には、前記第1のホール壁141は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板に位置し、前記第2のホール壁142は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板に位置する。
図23、
図24及び
図29と合わせて分かるように、ステープルアンビル7にステープルアンビル突起部75を設け、ステープルホール14がステープルカートリッジカバー1のステープルカートリッジカッター走行溝60に面する側の折り曲げ部18に設けられるようにステープルホール14の形状を設計することにより、第2のホール壁142の高さが第1のホール壁141の高さよりも低く、ステープルホール14の高さの一部が陥没ので、ステープラーが組織91を縫合するときと切断する際に、前記組織91が前記ステープルホール14の開放空間により多く入り込み、前記組織91が下方に折り曲がって先行技術と比較してより広いリップエッジを形成し、ステープラー用ステープル22の偶発的な滑り落ちをより良好に防止する。
【0071】
図23に示すように、この実施例において、前記ステープルヘッドが前記第2の状態にあるとき、前記ステープルアンビル突起部75の最低点と前記ステープルカートリッジカバー1の上面との間に、高さ方向(S2方向)の第2の隙間92を有し、該第2の隙間92の高さはh2である。前記ステープルアンビル突起部75の外側壁と、前記ステープルカートリッジカバー1の内側壁(前記ステープルカートリッジカッター走行溝60近い側の前記ステープルカートリッジカバー1の側壁)との間に幅方向(S3方向)に第3の隙間93を有し、前記第3の隙間93の幅をw1とする。この第2の隙間92と第3の隙間93を設けることにより、前記ステープルアンビル7と前記ステープルカートリッジアセンブリとの間に組織をクランプする時、組織を収納するのに十分なスペースを有することが可能となり、組織を前記ステープルカートリッジカッター走行溝60の方向に折り曲げて、リップエッジの幅を大きくすることができる。
【0072】
図29および
図30に示すように、前記ステープラー用ステープル22は、ステープル接続部221を含み、前記ステープラー用ステープル22は、ステープル接続部221を介して前記ステープルバンド本体21に回転可能に接続される。前記第1のホール壁141と前記第2のホール壁142とは、同一平面上にないので、形成されるステープルホール14は、立体的なステープルホール14となり、前記ステープルカートリッジカバー1に大きな露出空間を与え、すなわち、前記ステープルホール14は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板まで下方に凹んでいる。これにより、閉鎖時に組織が前記ステープラー用ステープル22の輪郭内に十分に入り込み、ステープラー用ステープル22が組織をより良好に穿刺して吻合を達成することができる。また、閉鎖後にステープラー用ステープル22がステープルホール14を上方に通過してステープルカートリッジカバー1から離脱しやすくなる。
【0073】
図29に示すように、前記発射ブロック4は、ステープル押し部42とステープル切断部41とを含む。ステープラーを発射する時、前記発射ブロック4は、前記ステープルカートリッジアセンブリの近位端側から遠位端側に向かって移動する。前記発射ブロック4のステープル押し部42は、まず、ステープラー用ステープル22のステープルクラウン部223に接触し、ステープラー用ステープル22のステープル足222をステープル接続部221の周りに回転させるように駆動し、ステープルホール14から上方に延びて、ステープルアンビル7の作用によりD字形に閉鎖される。ステープル切断部41は、ステープル接続部221を切断し、ステープラー用ステープル22は、ステープルバンド本体21から離脱され、ステープルホール14を通って上方に移動して組織に閉鎖され、ステープルカートリッジカバー1から離脱することができる。
図29および
図30に示すように、前記ステープラー用ステープル22の回転中、前記ステープラー用ステープル22の側壁は、少なくとも部分的に前記支持部材3および前記ステープルカートリッジカバー1の側板の内壁に同時に突き当たっているので、前記ステープラー用ステープル22の側壁は常に位置制限され、前記ステープラー用ステープル22が回転中に内側または外側にオフセットされないように保持される。
【0074】
図29及び
図30に示すように、前記ステープルカートリッジカバー1は、前記ステープルバンド2の両側に位置する2つの前記折り曲げ部18を含む。一方の前記折り曲げ部18は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板と左側板とを接続し、他方の前記折り曲げ部18は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板と右側板とを接続し、前記折り曲げ部18の表面は、平坦で滑らかな円弧面となっている。前記ステープルバンド2の両側の折り曲げ部18のステープルホール14とも、同一平面上にない2つのホール壁を有する立体的なステープルホール14である。前記ステープルバンド2の両側において、前記ステープルホール14は、陥没した構造に形成されているので、前記ステープルカートリッジカバー1の両側において、組織は、前記ステープルホール14の開口内により多く入り込み、ステープラー用ステープル22は、成形のために、より容易に組織を穿刺すると同時に、前記ステープルホール14は部分的に高さが陥没しているので、ステープラー用ステープル22は閉鎖後にステープルカートリッジカバー1からより容易に離脱することができ、これにより手術効果が向上する。また、別の代替的な実施例では、前記ステープルカートリッジカバー1の内側(ステープルカートリッジカッター走行溝60に近い側)の折り曲げ部18のみに、同一平面上にない2つのホール壁を有する立体的なステープルホール14を設ける一方、前記ステープルカートリッジカバー1の外側(ステープルカートリッジカッター走行溝60から離れた側)のステープルホールは、同一平面上に設けられており、すなわち、前記ステープルカートリッジカバー1の上板の外側には、別の種類のステープルホールが設けられており、この別の種類のステープルホールの第1のホール壁及び第2のホール壁は、ステープルカートリッジカバー1の上板に開設されている。
【0075】
図29及び
図30に示すように、この実施例において、前記折り曲げ部18は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板と側板との間に接続され、前記ステープルホール14は、連通された第1のセグメント143と第2のセグメント144とを含み、前記ステープルホール14の第1のセグメント143は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板に開設し、前記ステープルホール14の前記第2のセグメント144は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板に開設し、前記ステープルホール14の第1の部分143は、前記第2の部分144から離れた側に前記第1のホール壁141を有し、前記ステープルホール14の前記第2の部分144は、前記第1の部分143から離れた側に前記第2のホール壁142を有する。この実施例において、前記第1のホール壁141は、前記ステープルカートリッジカバー1の側板と平行であり、前記第2のホール壁142は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板と平行である。この実施例において、前記ステープラー用ステープル22のステープル接続部221の最高点の高さは、前記ステープルホール14の前記第1のホール壁141の最高点の高さよりも低い。すなわち、前記ステープル接続部221の最高点は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板から突出しない。その結果、前記ステープル接続部221は、前記ステープラーが発射されていないときに組織と接触しない。また、前記ステープラー用ステープル22の前記ステープル接続部221の最低点の高さは、前記ステープルホール14の前記第2のホール壁142の最高点の高さよりも低いので、初期状態において、前記ステープル接続部221が前記ステープルホール14の外部に完全に露出することがなく、前記ステープラーが発射されてない時、ステープラー用ステープル22がステープルホール14内での安定性が向上する。
図33および
図35に示すように、この実施例において、前記ステープル接続部221の最高点は、前記第2のホール壁142の高さより低い。別の代替的な実施例において、前記ステープル接続部221の最高点も、前記第2のホール壁142の高さより高く、第1のホール壁141の高さより低くてもよく、前記ステープル接続部221が前記ステープルホール14に部分的に露出されるが、完全には露出されず、ステープラー用ステープル22が回転して閉鎖された後にステープルホール14の上方からより容易に離脱できる。
【0076】
図32及び
図34に示すように、前記ステープルホール14の第1のホール壁141と第2のホール壁142との間の横方向(S3方向)上の距離は、前記ステープラー用ステープル22の両側間の横方向(S3方向)上の距離よりも大きく、すなわち、前記ステープルホール14の幅は、前記ステープラー用ステープル22の幅よりも大きく、ステープラーが発射されたとき、前記ステープラー用ステープル22が詰まることなく前記ステープルホール14を完全に通過できることを保証する。この実施例において、前記ステープルカートリッジカバー1の上板における前記ステープラー用ステープル22の投影は、前記ステープルカートリッジカバー1の上板における前記ステープルホール14の投影の範囲内に入るので、発射ブロック4がステープラー用ステープル22を上方に駆動するとき、ステープラー用ステープル22は、ステープルホール14の壁に妨げられることなく、またステープルホール14内に詰まることなく、よりスムーズにステープルホール14を通過することができる。
【0077】
図35および
図36に示すように、前記ステープラー用ステープル22は、ステープルクラウン部223およびステープル足222をさらに含み、前記ステープルクラウン部223は、前記ステープル接続部221に接続され、前記ステープルクラウン部223は、遠位端に向かう側にバーブ2231を備える。なお、
図35及び
図36においては、ステープルカートリッジカバー1とステープルバンド2との関係をより明確に示すために、ステープルカートリッジカバー1を透視的に扱い、その構成線のみを示している。
図35に示すように、初期状態においては、前記第2のホール壁142は、初期状態において前記バーブ2231が前記ステープルホール14に露出されて組織を傷付けることを避けるために、前記バーブ2231よりも高く設定され、前記ステープル足222の最高点の高さも、初期状態において前記ステープル足222が前記ステープルホール14に露出されて組織を傷付けることを避けるために、前記第2のホール壁142の高さよりも低く設定されている。
図36に示すように、前記ステープラー用ステープル22が閉鎖成形された後、前記ステープルクラウン部223は軸方向と平行に近い位置まで回転され、前記第2のホール壁142は、前記ステープルクラウン部223の最低点よりも高く、それにより、前記ステープルクラウン部223は側面にストッパーが形成され、前記ステープラー用ステープル22が前記ステープルホール14から上方に押し出される間に外側にオフセットされないようにする。
【0078】
前記実施例において、前記ステープルアンビル面に設けられた前記ステープルアンビル突起部75は、前記ステープラーの軸方向に延びるリブを含む。別の代替的な実施例において、前記ステープルアンビル突起部75は、複数の突起を含んでもよく、前記複数の突起は、前記ステープラーの軸方向に沿って配列される。前記突起は、例えば、リブ、丸状ボス、角状ボス、テーパー状ボス等であってよい。
【0079】
上記の各実施例において、前記ステープルテープ2は、生体適合性材料を満足するステープルテープ2である。好ましい実施例において、前記ステープルテープ本体21と前記ステープラー用ステープル22とは、異なる材料で作られてもよい。例えば、いくつかの実施例において、前記ステープルバンド本体21は、チタン、チタン合金およびステンレス鋼のような非吸収性、非分解性材料で作られており、前記ステープラー用ステープル22は、好ましくは、分解性材料である生体適合性を有するステープラー用ステープル、または生体分解性および生体吸収性の生体適合性を有するステープラー用ステープルであってよく、前記ステープラー用ステープル22が組織に縫合された後、その後のステープル除去は必要としない。例えば、前記ステープラー用ステープル22は、マグネシウム、マグネシウム合金、分解性高分子材料等からなるが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに、前記ステープラー用ステープル22の表面には、生体適合性を有する分解性および生体吸収性のコーティングが塗布されていてもよい。このようなコーティングにより、ステープラー用ステープル22の硬度をさらに高めることができ、ステープラー用ステープル22の分解速度を調節することができる。該コーティングは、例えば、吸収性材料のポリ‐L‐乳酸(PLLA)および/またはポリ-D,L-乳酸(PDLLA)コーティング等であってもよいが、本発明はこれに限定されない。ステープラー用ステープル22の全体的な分解速度は、コーティングの厚さを調節することによって調節することができる。あるいは、コーティングは、吻合時の出血を改善し得る凝固効果を有する薬剤等であってもよい。幾つかの他の実施例において、前記ステープラー用ステープル22の表面は、磁性コーティングを備えていてもよく、外部磁場がアクセスされる時、前記コーティングは磁化され、吻合の強度を高める効果を有することができる。外部磁場は、電磁場であってもよく、磁場の強さは、吻合の必要性に応じて調整することができるが、永久磁場であってもよい。
【0080】
以上は、特定の好ましい実施例に関連して本発明をさらに詳細に説明したものであり、本発明の特定の実施例がこれらの説明のみに限定されると結論づけることはできない。本発明が属する技術分野における通常の技術者にとって、本発明の着想から逸脱しないことを前提に、多くの簡単な推論または置換を行うことができ、これらはすべて本発明の保護範囲に属するものとみなされるべきである。
【国際調査報告】