(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】オシメルチニブの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 403/04 20060101AFI20240816BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240816BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C07D403/04
A61K31/506
A61P11/00
A61P35/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513834
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022074288
(87)【国際公開番号】W WO2023031316
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516053888
【氏名又は名称】シントン・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】SYNTHON B.V.
【住所又は居所原語表記】Microweg 22, NL-6545 CM Nijmegen, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビクリッキー、ライボー
(72)【発明者】
【氏名】ザバダル、ミロスラフ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA04
4C086BC42
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZC41
(57)【要約】
この発明は、薬学的に有用な、式(1)
【化1】
で表されるオシメルチニブの新規な製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
【化1】
a. 溶媒中、触媒の存在下で、式(2)で表される化合物をヒドラジン又はギ酸アンモニウムと反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程、
【化2】
b. 式(3)で表される化合物を式(1)で表される化合物に変換する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記触媒はPd、Pt、Fe、Ru又はRhから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒はPd、Pt又はFeから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒はPd又はPtから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒はPd/C又はPt/Cから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ヒドラジンはヒドラジン水和物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記式(2)で表される化合物とヒドラジン又はギ酸アンモニウムとのモル比は、1:3~1:20である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記比は1:10~1:15である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒は、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アルコール又はジメチルホルムアミドから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記アルコールは、メタノール、エタノール又はプロパノールから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記式(3)で表される化合物は、
a 式(3)で表される化合物を式(4)で表される化合物と反応させる工程、又は
【化3】
b 式(3)で表される化合物を式(5)で表される化合物と反応させて式(6)で表される化合物を得、式(6)で表される化合物を式(1)で表される化合物に変換する工程、
【化4】
によって、式(1)で表される化合物に変換される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式(1)で表される化合物は塩に変換される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩はメタンスルホン酸塩である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オシメルチニブ又はその塩の改善された製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オシメルチニブ、化学的には式(1)
【化1】
で表されるN-(2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル](メチル)アミノ]-4-メトキシ-5-[[4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル]アミノ]フェニル)アクリルアミドは、進行性の非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に使用するEGFR阻害剤である。オシメルチニブは、AstraZeneca社から商品名Tagrissoでメタンスルホン酸塩として上市されている。オシメルチニブは、国際公開第2013/014448号で初めて開示された。オシメルチニブを製造するいくつかの方法が先行技術に記載されている。オシメルチニブ製造の重要な工程は、式(2)で表される化合物を還元して式(3)で表される化合物を製造することである。
【化2】
【0003】
国際公開第2013/014448号に記載の方法は、式(2)で表される化合物を還元して式(3)で表される化合物にするために、鉄をNH4Clと共に使用する。この還元は、生成物の精製においてイオン交換クロマトグラフィーを行う必要があるので、大規模生産には適していない。国際公開第2017/134051号は、酸の存在下、加圧装置(オートクレーブ)中で式(2)で表される化合物を水素ガスで還元して式(3)で表される化合物を製造する方法を記載している。その後、化学量論量の酸をNaOHで中和して除去する必要があり、そのため新たな廃棄物が生じる。加えて、高圧の水素ガスの使用は、安全上の問題が生じる可能性がある。
【0004】
したがって、オシメルチニブと、その重要な中間体である式(3)で表される化合物を製造する改善された方法であって、大規模生産に適しており、危険な水素ガスを使用しない方法を見いだすことが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
この発明は、式(1)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
【化3】
a.溶媒中、触媒の存在下で、式(2)で表される化合物をヒドラジン又はギ酸アンモニウムと反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程:
【化4】
b.式(3)で表される化合物を式(1)で表される化合物又はその塩に変換する工程:
を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
この発明は、式(1)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
【化5】
a 溶媒中、触媒の存在下で、式(2)で表される化合物をヒドラジン又はギ酸アンモニウムと反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程、
【化6】
b 式(3)で表される化合物を式(1)で表される化合物又はその塩に変換する工程、
を含む方法に関する。
【0007】
反応工程aにおける触媒は、Pd、Pt、Fe、Ni、Ru又はRhから選択でき、好ましくは、Pd、Pt又はFeから選択され、より好ましくは、Pd(0)炭素(Pd/C)又はPt(0)炭素(Pt/C)が用いられる。好ましい態様では、触媒は、好ましくは濃度5~10%のPd/C又はPt/Cが用いられる。反応工程aは、溶媒、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン若しくは2-メチルテトラヒドロフランなどのエーテル、メタノール、エタノール若しくはプロパノールなどのアルコール、ジメチルホルムアミド又は水、中で行うことができ、好ましくは、2-メチルテトラヒドロフランが用いられる。溶媒中の式(2)で表される化合物の濃度は、0.04g/ml~0.1g/mlの可能性があり、好ましくは、0.05g/ml~0.08g/mlである。式(2)で表される化合物とヒドラジンのモル比は、1:3~1:20の可能性があり、好ましくは1:10~1:15であり、より好ましくは1:11~1:13である。式(2)で表される化合物とギ酸アンモニウムのモル比は、1:3~1:20の可能性があり、好ましくは1:10~1:15であり、より好ましくは1:11~1:13である。式(2)で表される化合物と触媒のモル比は、20:1~2000:1の可能性があり、好ましくは50:1~200:1であり、より好ましくは195:1~200:1である。
【0008】
好ましくは、反応工程は保護雰囲気下、例えば窒素又はアルゴン下で行われる。
【0009】
式(2)で表される化合物は溶媒と混合する。混合物に触媒を加える。混合物を60℃~90℃に加熱する。混合物にヒドラジン、好ましくはヒドラジン水和物、又はギ酸アンモニウムを加える。混合物を60℃~90℃で10~25時間撹拌する。反応の進行は、適切な分析手段、例えばHPLC又はGCで監視できる。
【0010】
反応の終了後、混合物を20℃~25℃に冷却する。混合物に水を加える。加えた水と工程aで使用する溶媒の体積比は、1:0.5~1:1の可能性があり、好ましくは1:0.6~1:0.8である。混合物を5~10分間撹拌する。混合物をろ過し、相を分離する。有機相を水洗し、相を分離する。水洗工程は、例えば、2、3、4又は5回繰り返すことができる。有機相はブラインで洗浄でき、相を分離する。次いで、有機相を例えばMgSO4で乾燥させ、蒸発させて、式(3)で表される化合物を得る。
【0011】
式(3)で表される化合物の固体は、
a 2-メチルテトラヒドロフランに、式(3)で表される化合物を溶解する;
b メチルtert-ブチルエーテルを加える;
c 式(3)で表される化合物の固体を単離する;
を含む工程で、製造できる。
【0012】
2-メチルテトラヒドロフラン中の式(2)で表される化合物の濃度は、0.005g/ml~0.5g/mlの可能性があり、好ましくは、0.1g/ml~0.3g/mlである。式(3)で表される化合物を、必要に応じて高温(例.40~80℃)で、2-メチルテトラヒドロフランに溶解する。溶液に、メチルtert-ブチルエーテルを加える。2-メチルテトラヒドロフランとメチルtert-ブチルエーテルの体積比は、2:1~3:1の可能性があり、好ましくは2.2:1~2.6:1である。混合物を1.5~4時間撹拌する。得られた固体をろ過する。必要に応じてメチルtert-ブチルエーテルで洗浄できる。
【0013】
式(3)で表される化合物は、従来公知の方法、
a 溶媒中で、式(3)で表される化合物をハロゲン化アクリロイル(式(4)で表される化合物)と反応させて式(1)で表される化合物を得る工程、
【化7】
b 必要に応じて式(1)で表される化合物を塩に変換する工程;
又は、
a 溶媒中で、式(3)で表される化合物を3-ハロプロパノイルハロゲン化物(式(5)で表される化合物)と反応させて式(6)で表される化合物を得る工程;
【化8】
b 式(6)で表される化合物を式(1)で表される化合物に変換する工程;
c 必要に応じて式(1)で表される化合物をその塩に変換する工程;
を含む方法、によって、式(1)で表される化合物又はその塩に変換できる。
【0014】
式(3)で表される化合物をハロゲン化アクリロイル(式(4)で表される化合物)と反応させる場合、溶媒中の式(3)で表される化合物の濃度は、0.02g/ml~0.07g/mlの可能性があり、好ましくは0.04g/ml~0.06g/mlである。溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トリクロロメタン若しくはテトラクロロメタンなどの塩素化溶媒、又は、ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン若しくはテトラヒドロフランなどのエーテルから選択でき、好ましくは、2-メチルテトラヒドロフランである。式(3)で表される化合物とハロゲン化アクリロイル(式(4)で表される化合物)のモル比は、1:1~1:2の可能性があり、好ましくは1:1.3~1:1.5である。反応は塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウムなどの炭酸塩、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩、若しくは、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの水酸化物といった無機塩、又は、トリエチルアミンなどの有機塩基が使用できる。塩基と式(3)で表される化合物のモル比は、1.5:1~2.2:1の可能性がある。式(3)で表される化合物は溶媒と混合し、必要に応じて混合物に塩基を加える。塩基は、必要に応じて、溶媒中の溶液の形態で、例えば水溶液として使用できる。混合物にハロゲン化アクリロイルを1~10分間かけて加える。混合物を、0℃~30℃で1~3時間撹拌する。反応の進行は、適切な分析手段、例えばHPLC又はGCで監視できる。反応の完了後、相を分離し、有機相を、例えば水又はブラインで洗浄する。洗浄工程は、例えば、2、3、4又は5回繰り返すことができる。有機相を例えばMgSO4を使用して乾燥させ、ろ過し、濃縮して、式(1)で表される化合物を得る。
【0015】
式(3)で表される化合物を3-ハロプロパノイルハロゲン化物(式(5)で表される化合物)と反応させる場合、溶媒中の式(3)で表される化合物の濃度は、0.02~0.07g/mlの可能性があり、好ましくは0.04g/ml~0.06g/mlである。溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トリクロロメタン若しくはテトラクロロメタンなどの塩素化溶媒、又は、ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン若しくはテトラヒドロフランなどのエーテルから選択でき、好ましくは、2-メチルテトラヒドロフランである。式(3)で表される化合物と3-ハロプロパノイルハロゲン化物のモル比は、1:1~1:3の可能性があり、好ましくは1:2.5~1:2.7である。反応は、塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウムなどの炭酸塩、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩、若しくは、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの水酸化物といった無機塩、又は、トリエチルアミンなどの有機塩基が使用できる。塩基と式(3)で表される化合物のモル比は、1.5:1~2.2:1の可能性がある。式(3)で表される化合物は溶媒と混合し、必要に応じて混合物に塩基を加える。塩基は、必要に応じて、溶媒中の溶液の形態で、例えば水溶液として使用できる。混合物に3-ハロプロパノイルハロゲン化物を1~10分間かけて加える。混合物を、0℃~30℃で1~3時間撹拌する。反応の進行は、適切な分析手段、例えばHPLC又はGCで監視できる。反応の完了後、相を分離し、有機相を、例えば水又はブラインで洗浄する。洗浄工程は、例えば、2、3、4又は5回繰り返すことができる。有機相を例えばMgSO4を使用して乾燥させ、ろ過し、濃縮して、式(6)で表される化合物を得る。式(6)で表される化合物は、先行技術、例えば国際公開第2017/134051号に記載の方法を使用して、式(1)で表される化合物に変換できる。
【0016】
式(1)で表される化合物は、適切な溶媒、例えば、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トリクロロメタン若しくはテトラクロロメタンなどの塩素化溶媒、又は、ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン若しくはテトラヒドロフランなどのエーテル、好ましくは2-メチルテトラヒドロフラン中で、適切な酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、安息香酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸、好ましくはメタンスルホン酸と反応させることでその塩に変換できる。
【0017】
式(2)で表される化合物は、先行技術に開示された方法で、又は、適切な溶媒中で式(7)で表される化合物と式(8)で表される化合物を反応させる方法で、製造できる。
【化9】
【0018】
溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トリクロロメタン若しくはテトラクロロメタンなどの塩素化溶媒、又は、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン若しくはテトラヒドロフランなどのエーテルがあり、好ましくは1,4-ジオキサンである。反応は、水酸化ナトリウムとホウ酸の存在下、pH9以上で行う。溶媒中の式(7)で表される化合物の濃度は、0.15g/ml~0.5g/mlの可能性がある。溶媒中の式(8)で表される化合物の濃度は、0.05g/ml~0.1g/mlの可能性がある。式(7)で表される化合物と式(8)で表される化合物のモル比は、1:1.3~1:1.7の可能性がある。式(7)で表される化合物は、溶媒及び緩衝液と混合する。混合物に式(8)で表される化合物を加える。混合物を100℃~110℃に加熱し、この温度で5~12時間撹拌する。反応の進行は、適切な分析手段、例えばHPLC又はGCで監視できる。反応の完了後、水と塩基の飽和水溶液を加える。塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウムなどの炭酸塩、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩、若しくは、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの水酸化物といった無機塩、又は、トリエチルアミンなどの有機塩基が使用できる。加える水と、式(7)で表される化合物及び式(8)で表される化合物の反応で使用する溶媒の体積比は、1:0.8~1:1.1の可能性がある。加える塩基の飽和水溶液と、式(7)で表される化合物及び式(8)で表される化合物の反応で使用する溶媒の体積比は、1:0.8~1:1.1の可能性がある。混合物を100℃~110℃に加熱し、この温度で15~60分間撹拌する。混合物を20℃~25℃に冷却し、この温度で5~15時間撹拌して懸濁液を得る。得られる式(2)で表される化合物の固体をろ過し、必要に応じて水洗し、乾燥させる。
【0019】
式(8)で表される化合物は市販されている。
【0020】
式(7)で表される化合物は、先行技術に開示された方法で、又は、適切な溶媒中で式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物を反応させる方法で、製造できる。
【化10】
【0021】
溶媒は、例えば、ジメチルホルムアミド、又は、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン若しくはテトラヒドロフランなどのエーテルから選択できる。溶媒中の式(9)で表される化合物の濃度は、0.05g/ml~0.1g/mlの可能性がある。溶媒中の式(10)で表される化合物の濃度は、0.07g/ml~0.12g/mlの可能性がある。式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物のモル比は、1:1.5~1:2.5の可能性があり、好ましくは1:1.5~1:2である。反応は、酸、例えばp-トルエンスルホン酸又はメタンスルホン酸の存在下で行う。酸と式(10)で表される化合物のモル比は、1:1~2:1の可能性がある。
【0022】
式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物は溶媒と混合する。混合物を10~60分間撹拌し、混合物に酸を加える。混合物を10~60分間撹拌する。混合物を、3~10時間、80℃~使用する溶媒の還流温度に加熱し、次いで、45℃~55℃に冷却する。混合物のpHが8以下の場合、混合物に、塩基、例えば、25%アンモニア水溶液、又はジメチルアミン若しくはトリエチルアミンなどの有機アミンを加える。塩基は、好ましくは少しずつ、例えば2回、3回、4回、5回又は6回に分けて加え、より好ましくは滴下する。混合物を80℃~90℃に加熱し、混合物に水を加える。加えた水と、式(9)で表される化合物及び式(10)で表される化合物の反応で使用する溶媒の体積比は、1:2.5~1:3.5の可能性があり、好ましくは1:2.8~1:3.1である。水は、好ましくは少しずつ、例えば2回、3回、4回、5回又は6回に分けて加え、より好ましくは滴下する。混合物を、20℃~25℃で1~5時間撹拌し、懸濁液を得る。式(7)で表される化合物の固体をろ過し、必要に応じて水又はアセトニトリルと水の混合物で洗浄し、乾燥させる。
【0023】
式(9)で表される化合物は市販されている。
【0024】
式(10)で表される化合物は、先行技術に開示された方法で、又は、適切な溶媒中で式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物を反応させる方法で、製造できる。
【化11】
【0025】
溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トリクロロメタン若しくはテトラクロロメタンなどの塩素化溶媒、又は、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン若しくはテトラヒドロフランなどのエーテル、好ましくは、ジメトキシエタンが用いられる。溶媒中の式(11)で表される化合物の濃度は、0.1g/ml~0.2g/mlの可能性がある。溶媒中の式(12)で表される化合物の濃度は、0.1g/ml~0.2g/mlの可能性がある。式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物のモル比は、1:1~1:1.2の可能性がある。反応は、AlCl3の存在下で行う。式(11)で表される化合物とAlCl3のモル比は、1:1~1:1.3の可能性があり、好ましくは1:1~1:1.1である。
【0026】
式(11)で表される化合物は溶媒と混合し、-10℃~5℃に冷却する。混合物にAlCl3を加える。AlCl3は、少しずつ、例えば2回、3回、4回、5回又は6回に分けて加えることができる。AlCl3の添加中、混合物を30℃未満に維持する。次いで、混合物を30℃未満で20~60分間撹拌する。混合物に式(12)で表される化合物を加える。混合物を70℃~90℃に加熱し、この温度で2~5時間撹拌する。反応の進行は、適切な分析手段、例えばHPLC又はGCで監視できる。反応の完了後、混合物を0℃~10℃に冷却する。混合物に水を加える。水と、式(11)で表される化合物及び式(12)で表される化合物の反応で使用する溶媒の体積比は、9:1~12:1の可能性がある。混合物を1~6時間撹拌する。式(10)で表される化合物の固体をろ過し、必要に応じて水又はアセトニトリルと水の混合物で洗浄し、乾燥させる。ろ過した混合物のろ過性を改善するために、酸の溶液、例えば塩酸をろ過した混合物に添加できる。
【0027】
固体の式(10)で表される化合物は、
a 式(10)で表される化合物をアセトニトリルと接触させ;
b 混合物を70℃~混合物の還流温度に加熱し;
c 水を加え、ここで、アセトニトリルと水の体積比は5:1~8:1、好ましくは6:1~7:1の可能性があり;
d 固体の式(10)で表される化合物を単離する
を含む方法で精製できる。
【0028】
アセトニトリル中の式(10)で表される化合物の濃度は、0.1g/ml~0.2g/mlの可能性がある。式(10)で表される化合物をアセトニトリルと混合する。混合物を70℃~混合物の還流温度に加熱し、この温度で1.5~4時間撹拌する。混合物に水を加え、ここで、アセトニトリルと水の体積比は5:1~8:1、好ましくは6:1~7:1の可能性がある。混合物を20℃~25℃に冷却し、この温度で1~5時間撹拌する。次いで、混合物を-10℃~10℃、好ましくは0℃~5℃に冷却し、この温度で20~60分間撹拌する。得られる式(10)で表される化合物の固体をろ過し、必要に応じてアセトニトリルと水の混合物、例えばアセトニトリル:水が70:30(体積:体積)の混合物で洗浄し、乾燥させる。
【0029】
この発明を、以下の実施例を参照に更に説明する。
【実施例】
【0030】
実施例1 3-(2-クロロピリミジン-4-イル)-1-メチル-1H-インドール、式(10)で表される化合物の製造
【化12】
【0031】
式(11)で表される化合物56.80gを、無水ジメトキシエタン400mlに溶解し、溶液を0~5℃に冷却した。次いで、粒状AlCl3 55.9gを溶液に30℃未満で少しずつ加え(氷浴上で17分間かけて6回)、懸濁液を30分間撹拌した。次に、式(12)で表される化合物50.0gを加え、懸濁液を85℃で2時間撹拌し、次いで冷蔵庫(0~5℃)で12時間放置した。
【0032】
溶液を水4000mlに注ぎ、混合物を1時間撹拌した。固体をろ過した。混合物のろ過性を改善するために、混合物に1M HCl200mlを加えることができる。ろ過した塊を水500ml及びアセトニトリル-水混合物(170:30)500mlで洗浄した。固体を風乾して、純度93.6%の式(10)で表される化合物76.57g(理論収率の82%)を得た。
【0033】
実施例2 式(10)で表される化合物の製造
式(10)で表される化合物76.57gを、アセトニトリル460mlと混合した。混合物を加熱還流し、この温度で1時間撹拌した。混合物に水69mlを還流しながら加えた。混合物を20℃~25℃に冷却し、1時間撹拌した。次いで、混合物を5℃で30分間撹拌し、固体をろ過し、アセトニトリル/水(70:30、体積比)25mlで4回洗浄し、真空中50℃で乾燥させて、純度97%(HPLC(IN))のものを71.17g(理論収率の77%)得た。
【0034】
実施例3 N-(4-フルオロ-2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-アミン(式(7)で表される化合物)の製造
【化13】
【0035】
反応はアルゴン雰囲気下で行った。式(10)で表される化合物25gと式(9)で表される化合物19.10gを、1,4-ジオキサン290mlと混合した。懸濁液を20℃~25℃で15分間撹拌した。次いで、p-トルエンスルホン酸一水和物19.51gを加え、懸濁液を20℃~25℃で15分間撹拌した。懸濁液を85℃で4時間撹拌した。次いで、混合物を還流下(100℃)で30分間加熱し、次に、1時間かけて50℃まで冷却した。25%アンモニア水溶液20mlを混合物に15分間かけて滴下した。次いで、温度を85℃まで上昇させ、水100mlを15分間かけて滴下した。懸濁液を20℃~25℃で1時間撹拌した。生成物をろ過し、水100ml及びアセトニトリル-水混合物(1:1、体積比)100mlで2回洗浄した。生成物を50℃、100mbarで乾燥させて、純度99%(HPLC(IN))の式(7)で表される化合物の固体37.75g(理論収率の94%)を得た。
【0036】
実施例4 N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)-2-ニトロベンゼン-1、 4-ジアミン(式(2)で表される化合物)の製造
【化14】
【0037】
反応はアルゴン雰囲気下で行った。ホウ酸1.485g及び水酸化ナトリウム0.961gを水17.50mlに溶解した。混合物に、1,4-ジオキサン175ml、式(7)で表される化合物35g及びN1,N1,N2-トリメチルエタン-1,2-ジアミン(式(8)で表される化合物)13.64gを加えた。混合物を100~105℃(還流)で6時間撹拌した。混合物に、水175ml及びNaHCO3の飽和溶液1750mlを105℃で加え、混合物を105℃で20分間撹拌した。次いで、混合物を1時間かけて20℃~25℃まで冷却し、この温度で一晩撹拌した。生成物をろ過し、水100mlで3回洗浄し、乾燥させ(100mbar、50℃)、純度94.6%(HPLC(IN))の式(2)で表される化合物41.696g(理論収率の99%)を得た。
【0038】
実施例5 N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4 -トリアミン(式(3)で表される化合物)の製造
【化15】
【0039】
反応はアルゴン雰囲気下で行った。
【0040】
式(2)で表される化合物1gを5%パラジウム炭素(Pd/C)0.05gと混合した。混合物に2-メチルテトラヒドロフラン15mlを加えた。次いで、混合物を85℃に加熱した。ヒドラジン水和物1.228mlを加えた。混合物を20時間撹拌し、次いで、20℃~25℃に冷却した。混合物に水10mlを加えた。混合物をろ過した。相を分離し、有機相を水で3回、ブラインで1回洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。次いで、残留物に2-メチルテトラヒドロフラン6mlを加えて、50~70℃に加熱することで、溶解させた。混合物を20℃~25℃に冷却し、この温度で撹拌して、結晶化を開始させた。結晶ができ始めた後、混合物にメチルtert-ブチルエーテル2.5mlを加え、混合物を氷浴に入れた。2時間後に固体をろ過し、メチルtert-ブチルエーテル5mlで洗浄した。次いで固体を吸引乾燥し、続いて40℃で1時間真空乾燥して、純度994.1%の式(2)で表される化合物0.803g(理論収率の79%)を得た。
【0041】
実施例6 N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4 -トリアミン(式(3)で表される化合物)の製造。
【化16】
【0042】
式(2)で表される化合物0.095g、鉄トリ(4-メトキシペント-3-エン-2-オン)0.003g、メタノール2ml及びヒドラジン水和物0.017mlを、10mlのマイクロ波バイアルに入れた。次いで、混合物をマイクロ波反応装置を使用して150℃で10分間加熱した。
【0043】
この反応混合物を使用して、式(1)で表される化合物を製造した。
【0044】
実施例7 N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4 -トリアミン(式(3)で表される化合物)の製造
【化17】
【0045】
式(2)で表される化合物0.095g、鉄トリ(4-メトキシペント-3-エン-2-オン)0.003g、メタノール1.5ml及びヒドラジン水和物0.017mlを混合した。次いで、混合物を72時間、加熱還流(86℃の油浴)した。混合物を20℃~25℃に冷却した。
【0046】
メタノールを蒸発させた。2-メチルテトラヒドロフラン1.5mlを加えた。混合物を濃縮した。残留物を2-メチルテトラヒドロフラン1.5mlに溶かした。この混合物を使用して、式(1)で表される化合物を製造した。
【0047】
実施例8 N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4-トリアミン(式(3)で表される化合物)の製造
【化18】
【0048】
式(2)で表される化合物1gを、5%パラジウム炭素(Pd/C)0.05g及びギ酸アンモニウム1.59gと混合した。固体を不活性雰囲気下に置き、2-メチルテトラヒドロフラン15mlを加えた。反応混合物を加熱還流(85℃)し、この温度で23時間撹拌した。
【0049】
室温まで冷却し、触媒をろ過し、有機溶液を、水15mlで3回、次いでブライン15mlで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮して濃縮溶液6gを得た。この濃縮溶液を氷浴上で2時間撹拌し、ろ過した。ろ過ケーキをメチルtert-ブチルエーテル5mlで洗浄し、40℃で1時間真空乾燥して、純度97.3%の式(3)で表される化合物0.72g(収率68%)を得た。
【0050】
実施例9 N1-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-メトキシ-N1-メチル-N4-(4-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ベンゼン-1,2,4 -トリアミン(式(3)で表される化合物)の製造
【化19】
【0051】
反応はアルゴン雰囲気下で行った。
【0052】
式(2)で表される化合物1gを、5%Pt/C0.05gと混合した。混合物に2-メチルテトラヒドロフラン15mlを加えた。次いで、混合物を85℃に加熱した。ヒドラジン水和物1.228mlを加えた。混合物を20時間撹拌し、次いで、20℃~25℃に冷却した。混合物に水10mlを加えた。混合物をろ過した。相を分離し、有機相を水で3回、ブラインで1回洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させた。次いで、残留物に2-メチルテトラヒドロフラン6mlを加えて、50~70℃に加熱することで、溶解させた。混合物を20℃~25℃に冷却し、この温度で撹拌して、結晶化を開始させた。結晶ができ始めた後、混合物にメチルtert-ブチルエーテル2.5mlを加え、混合物を氷浴に入れた。2時間後に固体をろ過し、メチルtert-ブチルエーテル5mlで洗浄した。次いで固体を吸引乾燥し、続いて40℃で1時間真空乾燥して、純度92%の式(2)で表される化合物0.83g(理論収率の82%)を得た。
【0053】
実施例10 比較例
本発明により、式(2)で表される化合物を還元して式(3)で表される化合物を得た結果を、先行技術(国際公開第2017/134051号の実施例1)に開示された方法の結果と比較した。
【0054】
【0055】
Pd/C又はPt/Cをヒドラジン又はギ酸アンモニウムと組み合わせて使用することにより、式(3)で表される化合物の収率及び純度が改善されると結論付けることができる。
【0056】
実施例11 オシメルチニブメタンスルホン酸塩、すなわち式(1)で表される化合物のメタンスルホン酸塩の製造
【化20】
【0057】
反応はアルゴン雰囲気下で行った。式(3)で表される化合物0.79gを、2-メチルテトラヒドロフラン16mlと混合した。混合物に7%炭酸水素ナトリウム水溶液2.92mlを加えて溶液を得た。混合物に塩化アクリロイル0.157mlを20℃~25℃で1分間かけて加えた。混合物を30分間撹拌し、7%炭酸水素ナトリウム水溶液0.585ml、続いて、塩化アクリロイル0.026mlを加えた。混合物を1.25時間撹拌した。相を分離し、水相を捨て、有機相を水で3回、ブラインで1回洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、蒸発させて、式(1)で表される化合物0.635gを得た。残留物をアセトニトリル8mlに溶かし、20℃~25℃の水浴に入れた。混合物にアセトニトリル1ml中のメタンスルホン酸0.105mlを加えた。混合物を20℃~25℃で12時間撹拌して懸濁液を得た。懸濁液を氷浴上0℃~5℃で30分間撹拌した。固体をろ過し、ろ滓(filter cake)をアセトニトリル2mlで洗浄し、吸引乾燥し、続いて40℃で真空乾燥して、純度94.5%の式(1)で表される化合物のメタンスルホン酸塩0.683g(理論収率の64.4%)を得た。
【0058】
本発明を説明してきたが、この明細書に記載した概念と態様の実際の実施における更なる変更及び修正は、特許請求の範囲で特定するこの発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、容易に行うことができ、又は本発明の実施によって習得できることが、当業者には容易に明らかになる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
【化1】
a. 溶媒中、触媒の存在下で、式(2)で表される化合物をヒドラジン又はギ酸アンモニウムと反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程、
【化2】
b. 式(3)で表される化合物を式(1)で表される化合物に変換する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記触媒はPd、Pt、Fe、Ru又はRhから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒はPd、Pt又はFeから選択される、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒はPd又はPtから選択される、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒はPd/C又はPt/Cから選択される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
ヒドラジンはヒドラジン水和物である、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒は、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アルコール又はジメチルホルムアミドから選択される、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルコールは、メタノール、エタノール又はプロパノールから選択される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(3)で表される化合物は、
a 式(3)で表される化合物を式(4)で表される化合物と反応させる工程、又は
【化3】
b 式(3)で表される化合物を式(5)で表される化合物と反応させて式(6)で表される化合物を得、式(6)で表される化合物を式(1)で表される化合物に変換する工程、
【化4】
によって、式(1)で表される化合物に変換される、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記式(1)で表される化合物は塩に変換される、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記塩はメタンスルホン酸塩である、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記式(2)で表される化合物とヒドラジン又はギ酸アンモニウムとのモル比は、1:3~1:20である、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記比は1:10~1:15である、請求項
12に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
本発明を説明してきたが、この明細書に記載した概念と態様の実際の実施における更なる変更及び修正は、特許請求の範囲で特定するこの発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、容易に行うことができ、又は本発明の実施によって習得できることが、当業者には容易に明らかになる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載した発明を付記する。
[1] 式(1)で表される化合物又はその塩の製造方法であって、
【化21】
a. 溶媒中、触媒の存在下で、式(2)で表される化合物をヒドラジン又はギ酸アンモニウムと反応させて、式(3)で表される化合物を得る工程、
【化22】
b. 式(3)で表される化合物を式(1)で表される化合物に変換する工程、
を含む方法。
[2] 前記触媒はPd、Pt、Fe、Ru又はRhから選択される、[1]に記載の方法。
[3] 前記触媒はPd、Pt又はFeから選択される、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記触媒はPd又はPtから選択される、[1]~[3]のいずれか一つに記載の方法。
[5] 前記触媒はPd/C又はPt/Cから選択される、[1]~[4]のいずれか一つに記載の方法。
[6] ヒドラジンはヒドラジン水和物である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の方法。
[7] 前記式(2)で表される化合物とヒドラジン又はギ酸アンモニウムとのモル比は、1:3~1:20である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の方法。
[8] 前記比は1:10~1:15である、[7]に記載の方法。
[9] 前記溶媒は、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アルコール又はジメチルホルムアミドから選択される、[1]~[8]のいずれか一つに記載の方法。
[10] 前記アルコールは、メタノール、エタノール又はプロパノールから選択される、[9]に記載の方法。
[11] 前記式(3)で表される化合物は、
a 式(3)で表される化合物を式(4)で表される化合物と反応させる工程、又は
【化23】
b 式(3)で表される化合物を式(5)で表される化合物と反応させて式(6)で表される化合物を得、式(6)で表される化合物を式(1)で表される化合物に変換する工程、
【化24】
によって、式(1)で表される化合物に変換される、[1]~[10]のいずれか一つに記載の方法。
[12] 式(1)で表される化合物は塩に変換される、[11]に記載の方法。
[13] 前記塩はメタンスルホン酸塩である、[12]に記載の方法。
【国際調査報告】