(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】高透過性テクスチャ加工用ベルト
(51)【国際特許分類】
D21F 7/08 20060101AFI20240816BHJP
D04H 1/4374 20120101ALI20240816BHJP
【FI】
D21F7/08 A
D21F7/08 Z
D04H1/4374
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513983
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022042146
(87)【国際公開番号】W WO2023034376
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591097414
【氏名又は名称】アルバニー インターナショナル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】レバイン,マーク・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】カンポネスキ ブラザーサン,エリン・リン
【テーマコード(参考)】
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
4L047AA13
4L047AA19
4L047AA21
4L047AA23
4L047AA25
4L047CA01
4L047CA09
4L047CA12
4L047CA15
4L047CC08
4L055CE36
4L055CF26
4L055EA15
4L055FA11
4L055FA30
4L055GA39
(57)【要約】
本発明は、テクスチャ加工製品を製造するための産業用ファブリックであって、織基布などの第1の層と、第1の層の上面の少なくとも一部の上に延在するフィルムなどの第2の層とを有する、産業用ファブリックに関する。第2の層はマクロボイドとマイクロボイドを有する。特定の実施形態では、マクロボイドは、産業用ファブリック上で製作された繊維製品にテクスチャを与え、マイクロボイドは、マイクロボイドへの製品の繊維の貫入を制限または防止すると同時に、産業用ファブリックの透過性を高める。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクスチャ加工された製品を製造するための産業用ファブリックであって、
(i)第1の層と、
(ii)前記第1の層の上面の少なくとも一部の上に延在する第2の層とを含み、
前記第2の層が複数のマクロボイドとマイクロボイドを含み、前記マクロボイドがその上で製作される前記製品にテクスチャを与え、前記マイクロボイドが前記マクロボイドへの製品繊維の貫入を制限する、産業用ファブリック。
【請求項2】
請求項1に記載の産業用ファブリックであって、前記マイクロボイドが前記産業用ファブリックの透過性を高める、産業用ファブリック。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記テクスチャ加工製品の前記繊維が前記マクロボイド内に伸展および/または屈曲する、産業用ファブリック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記テクスチャ加工製品の前記繊維が、スパンボンド繊維と、短繊維と、メルトブロー繊維と、スパンレース繊維と、ウェットレイド繊維と、熱接合繊維と、天然繊維と、合成繊維と、これらの組合せとからなるグループから選択される、産業用ファブリック。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第2の層が不織布層である、産業用ファブリック。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第2の層が、エンジニアドポリマーと、熱可塑性プラスチックと、熱可塑性ポリウレタンと、エラストマーと、架橋プラスチックと、ゴムと、ポリアミドと、ポリエステルと、コポリエステルと、EVA(エチレン-ビニルアセテート)と、これらの組合せとからなるグループから選択される材料を含む、産業用ファブリック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第1の層が、織布と、不織布と、マシン方向糸配列と、クロスマシン方向糸配列と、編組と、一連の独立したリングと、スパイラルリンクと、押出成形メッシュと、ニット構造とからなるグループから選択された基布である、産業用ファブリック。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第2の層における前記マクロボイドおよび/または前記マイクロボイドの少なくとも一部が、円形と、楕円形と、多角形と、葉状とからなるグループから選択された形状である、産業用ファブリック。
【請求項9】
請求項8に記載の産業用ファブリックであって、前記多角形形状が、三角形と、矩形と、正方形と、台形とからなるグループから選択される、産業用ファブリック。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第2の層が前記第1の層の全長および/または全幅にわたって延在する、産業用ファブリック。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記産業用ファブリックの透過性が少なくとも300CFMである、産業用ファブリック。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第1の層の前記上面が基布の成形側の上面である、産業用ファブリック。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第2の層が前記第1の層にラミネートされている、産業用ファブリック。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第2の層がフィルムである、産業用ファブリック。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第1の層と前記第2の層が熱と圧力を使用して互いにラミネートされている、産業用ファブリック。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記マクロボイドと前記マイクロボイドがレーザ形成ボイドおよび/またはドリル穿孔ボイドである、産業用ファブリック。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第2の層がフィルムであり、前記フィルムが、エンジニアドポリマーと、熱可塑性プラスチックと、熱可塑性ポリウレタンと、エラストマーと、架橋プラスチックと、ゴムと、ポリアミドと、ポリエステルと、コポリエステルと、EVAと、これらの組合せとからなるグループから選択された化合物を含む、産業用ファブリック。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記マクロボイドが、前記第2の層のトポグラフィ的特徴であり、前記テクスチャ加工製品における所望のテクスチャに対して相補的である、産業用ファブリック。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記マクロボイドが6mmから12mmの範囲の直径を有する、産業用ファブリック。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記マイクロボイドが1mmから5mmの範囲の直径を有する、産業用ファブリック。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記マクロボイドが50mm
3から90mm
3の範囲のボイド容積を有する、産業用ファブリック。
【請求項22】
請求項1から21のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記マイクロボイドが20mm
3から50mm
3の範囲のボイド容積を有する、産業用ファブリック。
【請求項23】
請求項1から22のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、約5%から約95%の閉領域を含む、産業用ファブリック。
【請求項24】
請求項1から23のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、約5%から約95%の実効閉領域を含む、産業用ファブリック。
【請求項25】
請求項1から24のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記マイクロボイドが前記マイクロボイド中への前記テクスチャ加工製品の実質的な繊維貫入を防ぐ、産業用ファブリック。
【請求項26】
請求項1から25のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記テクスチャ加工製品繊維が前記マイクロボイドに架橋する、産業用ファブリック。
【請求項27】
テクスチャ加工製品を製造する方法であって、
産業用ファブリックによって製品をテクスチャ加工するステップを含み、前記産業用ファブリックが、
(i)第1の層と、
(ii)前記第1の層の上面の少なくとも一部の上に延在する第2の層とを含み、
前記第2の層が複数のマクロボイドとマイクロボイドを含み、前記マクロボイドがその上で製作される前記製品にテクスチャを与え、前記マイクロボイドが前記マクロボイドへの製品繊維の貫入を制限する、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記テクスチャ加工製品の前記繊維が前記マクロボイド内に伸展および/または屈曲する、方法。
【請求項29】
請求項27から28のいずれかに記載の方法であって、前記テクスチャ加工製品の前記繊維が、スパンボンド繊維と、短繊維と、メルトブロー繊維と、スパンレース繊維と、ウェットレイド繊維と、熱接合繊維と、天然繊維と、合成繊維と、これらの組合せとからなるグループから選択される、方法。
【請求項30】
請求項27から29のいずれかに記載の方法であって、前記第2の層が不織布層である、方法。
【請求項31】
請求項27から30のいずれかに記載の方法であって、前記マイクロボイドが前記産業用ファブリックの透過性を高める、方法。
【請求項32】
請求項27から31のいずれかに記載の方法であって、前記産業用ファブリックの透過性が少なくとも300CFMである、方法。
【請求項33】
請求項27から32のいずれかに記載の方法であって、前記第2の層がフィルムである、方法。
【請求項34】
請求項27から33のいずれかに記載の方法であって、前記マクロボイドが、前記第2の層のトポグラフィ的特徴であり、前記テクスチャ加工製品における所望のテクスチャに対して相補的である、方法。
【請求項35】
請求項27から34のいずれかに記載の方法であって、前記マクロボイドが6mmから12mmの範囲の直径を有する、方法。
【請求項36】
請求項27から35のいずれかに記載の方法であって、前記マイクロボイドが1mmから5mmの範囲の直径を有する、方法。
【請求項37】
請求項27から36のいずれかに記載の方法であって、前記マクロボイドが50mm
3から90mm
3の範囲のボイド容積を有する、方法。
【請求項38】
請求項27から37のいずれかに記載の方法であって、前記マイクロボイドが20mm
3から50mm
3の範囲のボイド容積を有する、方法。
【請求項39】
請求項27から38のいずれかに記載の方法であって、約5%から約95%の実効閉領域を含む、方法。
【請求項40】
請求項27から39のいずれかに記載の方法であって、前記マイクロボイドが前記マイクロボイド中へのテクスチャ加工製品の実質的な繊維貫入を防ぐ、方法。
【請求項41】
請求項27から40のいずれかに記載の方法であって、前記第2の層が前記第1の層の全長および/または全幅にわたって延在する、方法。
【請求項42】
請求項1から26のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第1の層が、織布と不織布とからなるグループから選択される、産業用ファブリック。
【請求項43】
請求項1から26および42のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記第1の層が機械側面を含む、産業用ファブリック。
【請求項44】
請求項1から26および42から43のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記産業用ファブリックが製紙ファブリックである、産業用ファブリック。
【請求項45】
請求項1から26および42から44のいずれかに記載の産業用ファブリックであって、前記産業用ファブリックがテクスチャ加工用ベルトまたは加工用ベルトである、産業用ファブリック。
【請求項46】
請求項27から41のいずれかに記載の方法であって、前記産業用ファブリックが製紙ファブリックである、方法。
【請求項47】
請求項27から41および46のいずれかに記載の方法であって、前記産業用ファブリックがテクスチャ加工用ベルトまたは加工用ベルトである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用などの製紙分野および不織加工において、その上で製作される製品に3次元構造を形成するために使用されるテクスチャ加工用ベルトなどの産業用ファブリックに関する。
【背景技術】
【0002】
製紙加工時、抄紙機の成形セクションにおいて移動フォーミングファブリック上への繊維スラリーの堆積、たとえばセルロース繊維の水分散液によって、繊維ウェブが形成される。スラリーからフォーミングファブリックを通して大量の水が排出され、フォーミングファブリックの表面にセルロース繊維ウェブが残る。
【0003】
新たに形成されたセルロース繊維ウェブは、成形セクションから一連のプレスニップを含むプレスセクションに進む。セルロース繊維ウェブは、プレスファブリックによって支持されたプレスニップ、または多くの場合、2枚のそのようなプレスファブリックの間を通過する。プレスニップにおいて、セルロース繊維ウェブは、セルロース繊維ウェブから水を絞り、セルロース繊維ウェブを紙シートにするようにウェブ内のセルロース繊維を互いに接着する、圧縮力を受ける。水は、1枚または複数のプレスファブリックによって受け入れられ、理想的には紙シートには戻らない。
【0004】
紙シートは最終的に、内部で蒸気によって加熱される少なくとも一連の回転可能乾燥機ドラムまたはシリンダを含む乾燥機セクションに進む。新たに形成された紙シートは、紙シートをドラムの表面に対してぴったりと保持する乾燥機ファブリックによって一連のドラムのそれぞれに順次に巻き付いて蛇行路で送られる。加熱されたドラムは蒸発によって紙シートの含水率を所望のレベルまで低減する。
【0005】
フォーミングファブリック、プレスファブリックおよび乾燥機ファブリックはすべて抄紙機上でエンドレスループの形態をとり、コンベヤ式に機能することを理解されたい。製紙は、かなりの速度で進行する連続プロセスであることも理解されたい。すなわち、繊維スラリーは成形セクションにおいてフォーミングファブリック上に連続的に堆積される一方、新たに製造された紙シートが乾燥機セクションから出た後でロールに連続的に巻き付けられる。
【0006】
織布は多くの異なる形態をとる。たとえば、織布はエンドレスに織られるか、または平織りされ、その後、継ぎ目のあるエンドレス形態にされる場合がある。あるいは、そのマシン方向(MD)の糸を使用して基布の幅方向の縁に継ぎ合わせループが備えられる、モディファイドエンドレス織と一般に呼ばれるプロセスによって製造される場合がある。このプロセスでは、MD糸がファブリックの幅方向縁の間を連続的に往復して織り進み、各縁で逆戻りし、継ぎ合わせループを形成する。このようにして製造された基布は、抄紙機での取り付け時にエンドレス形態とされ、そのためオンマシン継ぎ合わせ可能ファブリック(on-machine seamable fabric)と呼ばれる。このようなファブリックをエンドレス形態にするために、2つの幅方向の縁が互いに継ぎ合わされる。継ぎ合わせを容易にするために、多くの現在のファブリックは、ファブリックの2端の横方向の縁に継ぎ合わせループを有する。継ぎ合わせループ自体は、ファブリックのMD糸によって形成されることが多い。継ぎ目は、プレスファブリックの2端をつなぎ合わせること、ファブリックの2端において継ぎ合わせループを互いに噛み合わせること、および、いわゆるピンまたはピントルを、ファブリックの2端を互いにロックするように噛み合わされた継ぎ合わせループによって画定された通路に通すことによって、形成されることが多い。
【0007】
製紙分野におけるテクスチャ加工用ベルトは、3次元不織布、ティッシュおよびタオル構造を作るために使用される。典型的には、これらのベルトは、製紙プロセスの成形セクションで採用され、その際、ベルトのキャリパーの増大が、巻物などの製造されたテクスチャ加工製品に直接、キャリパー、バルクおよび3次元パターン形成を与え得る。この種のテクスチャ加工用ベルトの場合、通常、たとえば寸法安定性および耐荷重特性のためのベース織が存在する。多くの場合、これらのベルトは、具体的にはキャリパー、テクスチャ、パターンおよびバルクを与えるためにベース織に付加された第2の層の上面を有する。この上面は、熱可塑性または熱硬化性材料からなることができ、化学形態で直接塗布されるか、またはまずシートとして製造され、その後、ベルトの基布の表面に接合される場合がある。接合は化学接合または熱接合あるいはその組合せとすることができる。
【0008】
しかし、これらのベルトには、たとえば、ベルトのベース織の有意な部分が第2の材料によって被われる場合に起こる透過性の損失を含む、いくつかの問題がある。透過性は、第2の材料が、ベース織のそれがなければ開放されている領域を被い、遮断するために失われる。ベルトの透過性低下の結果として、ベルトのテクスチャ加工面に繊維を引き込むためと取り外しの前に繊維を所定位置に保持するために真空が使用されるときに、成形時のシートの制御が低下する。
【0009】
透過性低下とそれに付随する問題に対処する1つの選択肢は、乱流を回避し、シートを所定位置に保持するようにベルトの速度を低下させることである。しかし、速度の低下は、製造時間を増大させるという悪影響がある。ベルトの速度低下の他の悪影響には、製造品のコストの増大と、機械の全体的生産能力の低下が含まれる。当技術分野で実施されてきた第2の選択肢は、真空レベルを高くすることである。しかし、これは、たとえばベルト中へとベルトを通過する繊維の損失が増える結果となるという悪影響を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、テクスチャ加工された製品を製造するための産業用ファブリックに関する。この産業用ファブリックは、第1の層と第2の層を含む。第2の層は、第1の層の上面の少なくとも一部の上に延在する。第2の層は、複数のマクロボイドおよびマイクロボイドを含む。マクロボイドは、その上で製造される製品にテクスチャを与える。マイクロボイドは、マイクロボイド中への製品繊維の繊維貫入を制限する。
【0011】
特定の実施形態では、マイクロボイドは産業用ファブリックの透過性を高くする。
【0012】
他の実施形態では、テクスチャ加工製品の繊維がマクロボイド中に伸展および/または屈曲する。
【0013】
実施形態によっては、テクスチャ加工製品の繊維が、スパンボンド繊維と、短繊維と、メルトブロー繊維と、スパンレース繊維と、ウェットレイド繊維と、熱接合繊維と、天然繊維と、合成繊維と、これらの組合せとからなるグループから選択される。
【0014】
さらに他の実施形態では、第2の層が不織布層である。
【0015】
特定の他の実施形態では、第2の層が、エンジニアドポリマーと、熱可塑性プラスチックと、熱可塑性ポリウレタンと、エラストマーと、架橋プラスチックと、ゴムと、ポリアミドと、ポリエステルと、コポリエステルと、EVA(エチレン-ビニルアセテート)と、これらの組合せとからなるグループから選択される材料を含む。
【0016】
実施形態によっては、第1の層は基布である。他の一部の実施形態では、第1の層は、織布と、不織布と、マシン方向糸配列/アレイと、クロスマシン方向糸配列/アレイと、編組と、一連の独立したリングと、スパイラルリンクと、押出成形メッシュと、ニット構造とからなるグループから選択された基布である。
【0017】
他の実施形態では、第2の層におけるマクロボイドおよび/またはマイクロボイドの少なくとも一部が、円形と、楕円形と、多角形と、葉状とからなるグループから選択された形状である。
【0018】
特定の実施形態では、多角形形状が、三角形と、矩形と、正方形と、台形とからなるグループから選択される。
【0019】
実施形態によっては、第2の層が第1の層の全長および/または全幅にわたって延在する。
【0020】
他の実施形態では、産業用ファブリックの透過性が少なくとも300CFMである。
【0021】
さらに他の実施形態では、第1の層の上面が基布の成形側の上面である。
【0022】
特定の実施形態では、第2の層が第1の層にラミネートされている。
【0023】
さらに他の実施形態では、第2の層がフィルムである。
【0024】
実施形態によっては、第1の層と第2の層が熱と圧力を使用して互いにラミネートされている。
【0025】
さらに他の実施形態では、マクロボイドとマイクロボイドがレーザ形成ボイドおよび/またはドリル穿孔ボイドである。
【0026】
特定の実施形態では、第2の層がフィルムであり、フィルムは、エンジニアドポリマーと、熱可塑性プラスチックと、熱可塑性ポリウレタンと、エラストマーと、架橋プラスチックと、ゴムと、ポリアミドと、ポリエステルと、コポリエステルと、EVAと、これらの組合せとからなるグループから選択された化合物を含む。
【0027】
他の実施形態では、マクロボイドが、第2の層のトポグラフィ的特徴であり、テクスチャ加工製品における所望のテクスチャに対して相補的である。
【0028】
一部の他の実施形態では、マクロボイドが6mmから12mmの範囲の直径を有する。さらに他の実施形態では、マイクロボイドが1mmから5mmの範囲の直径を有する。特定の実施形態では、マクロボイドが50mm3から90mm3の範囲のボイド容積を有する。他の実施形態では、マイクロボイドが20mm3から50mm3の範囲のボイド容積を有する。
【0029】
特定の実施形態では、産業用ファブリックに約5%から約95%の閉領域がある。
【0030】
他の実施形態では、産業用ファブリックに約5%から約95%の実効閉領域がある。
【0031】
実施形態によっては、マイクロボイドがマイクロボイド中へのテクスチャ加工製品の実質的な繊維貫入を防ぐ。
【0032】
さらに他の特定の実施形態では、テクスチャ加工製品繊維がマイクロボイドに架橋する。
【0033】
特定の実施形態では、産業用ファブリックの第1の層が織布と不織布から選択される。
【0034】
他の実施形態では、産業用ファブリックの第1の層が機械側面を含む。
【0035】
実施形態によっては、産業用ファブリックは製紙ファブリックである。特定の実施形態では、産業用ファブリックはテクスチャ加工用ベルトまたは加工用ベルトである。
【0036】
本発明は、さらに、テクスチャ加工製品の製造方法に関する。方法は、産業用ファブリックによって製品をテクスチャ加工することを含み、産業用ファブリックは基布などの第1の層と、第1の層の上面の少なくとも一部の上に延在するフィルムなどの第2の層とを含む。第2の層は複数のマクロボイドおよびマイクロボイドを含む。マクロボイドは、その上で製作される製品にテクスチャを与える。マイクロボイドは、マイクロボイド中への製品繊維の貫入を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1(A)および
図1(B)は、本発明による、基布などの第1の層の上の第2の層として使用するためのテクスチャ加工用フィルムの上面図である。第2の層は、基布表面の上で使用するための有孔フィルムである。フィルムはマクロボイドとマイクロボイドを有する。
図1(C)は、基布などの第1の層の上の第2の層として使用するための従来のテクスチャ加工用フィルムの上面図である。第2の層は、基布表面の上で使用するための有孔フィルムである。フィルムはマクロボイドのみを有する。
図1(D)は、基布などの第1の層の上の第2の層として使用するための別の従来のテクスチャ加工用フィルムの上面図である。フィルムはマクロボイドのみを有する。
【
図3】
図3(A)は、第1の層として使用するための織基布の上面図である。
図3(B)は、
図3(A)の織基布の拡大図を示す図である。
図3は、本明細書において
図3(A)と
図3(B)の両方を指すために使用される。
【
図4】
図3の基布の上にラミネートされた
図2のフィルムを示す図である。
図4は、幅0.30mmのMD方向の基布の糸と、幅0.33mmのクロスマシン方向(CD)の基布の糸とを示している。
【
図5】マイクロボイドリングパターンを有する、
図3の基布の上にラミネートされた
図2のフィルムを示す図である。第1のマイクロボイドは1.26mmの直径を有し、第2のマイクロボイドは1.45mmの直径を有し、第3のマイクロボイドは1.23mmの直径を有し、第4のマイクロボイドは1.41mmの直径を有する。
図5は、マイクロボイドリングパターンの断面直径を4.73mmとして示している。
【
図6】クロスマシン方向の第1のマクロボイドと第2のマクロボイドとの間の測定値が7.48mmである、
図3の基布の上にラミネートされた
図2のフィルムを示す図である。マシン方向では、第1のマクロボイドと第2のマクロボイドとの間に6.99mmの距離がある。第1のマクロボイドの内部中心から第2のマクロボイドの内部中心までを測定すると、測定値は14.81mmである。
【
図7】
図2のラミネートフィルムにおける単一のマクロボイドを囲むマイクロボイドを有する、
図3の基布の上にラミネートされた
図2のフィルムを示す図である。
図2のマイクロボイドの公称直径は1.40mmである。マクロボイドの直径は8.00mmである。
【
図8】
図2のフィルムが
図3の基布の上にラミネートされている、本発明のベルトの断面図である。
【
図11】0.85mmの厚さを有する織基布と、2.93mmの厚さを有するラミネートフィルムの測定値とともに、
図8のベルトの拡大断面図である。
【
図12】本発明のベルトと相互作用する不織布製品繊維を示す図である。
【
図13】本発明のベルトと相互作用する不織布製品繊維を示す図である。
【
図14】本発明のベルトと相互作用する不織布製品繊維の断面図である。
【
図15】本発明のベルトと相互作用する不織布製品繊維の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示における「含む(comprising)」および「含んでいる(comprises)」という用語は、「含む(including)」および「含んでいる(includes)」を意味し得るか、または米国特許法において「comprising」もしくは「comprises」という用語に一般に与えられている意味を有し得る。「特許請求の範囲」で使用されている場合、「基本的に~からなる(consisting essentially of)」または「基本的に~からなっている(consists essentially of)」という用語は、米国特許法でこれらの用語の意味とされる意味を有する。本発明のその他の態様は、以下の開示(および本発明の範囲内で)で説明されているかまたは明らかになる。
【0039】
以下の開示における「糸(yarn)」または複数形の「糸(yarns)」という用語は、モノフィラメント、マルチフィラメント糸、撚り糸、テクスチャ加工糸、被覆糸、複合糸、および、当業者に知られている任意の材料の牽切繊維からなる糸を指し得る。糸は、炭素、ナイロン、レーヨン、繊維ガラス、綿、セラミック、アラミド、ポリエステル、金属、ポリエチレンガラス、ポリアミド、ポリプロピレン、および/または所望の物理的、熱的、化学的特性もしくはその他の特性を示すその他の材料からなることができる。適切な化合物のさらなる例には、たとえば、ポリシクロヘキシレンジメチレン・テレフタレート(PCT)、シクロヘキサンジメタノール・テレフタル酸(PCTA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)が含まれる。一般に、本発明の産業用ファブリックの第1の層のいずれの糸も、不織布である第2の(たとえば最上部)層に接合するのに適合するかまたは適合するようにすることができる任意の市販材料からなることができる。
【0040】
「ボイド」または複数形の「ボイド」という用語は、その従来の通常の意味を有する。したがって、これらの用語は、たとえば、それがなければ中実または半中実の物質内の空洞または空所、あるいは物質、たとえば空気または水を通すことができる、穴または間隙を指し得る。これらの用語は、これには限定されないが孔または空洞などの記述用語とも理解することができる。
【0041】
以下の開示における「マクロボイド」は、ボイドの少なくとも一部に部分的または完全な繊維貫入を可能にするのに十分に大きく、「マイクロボイド」より大きい、材料の層のシート接触または成形側の面におけるボイドを意味する。
【0042】
以下の開示における「マイクロボイド」は、ボイドへの繊維貫入を制限する材料の層のシート接触または成形側の面におけるボイドを意味する。「マイクロボイド」は「マクロボイド」より小さい。マイクロボイドは、典型的には、マイクロボイドのボイド領域への繊維の完全、有意、または実質的な侵入または貫入を防ぐ。実施形態によっては、マイクロボイドの結果として、マイクロボイドのボイド領域への部分的な繊維侵入または貫入が生じ得る。
【0043】
「ラミネーション」、「ラミネーティング」、「ラミネートする」または「ラミネートされた」は、以下の開示では交換可能に使用され、従来の通常の意味を有する。したがって、これらの用語は、たとえば樹脂および/または熱を使用して、2つ以上の層をたとえば互いにしっかりと貼り付けることを指し得る。互いに接合される材料は、同じかまたは異なる材料とすることができる。ラミネーションは、たとえば、第2の層の上に事前形成層を重ねることによって、または第2の層の上に粘着性のある材料を塗布し、粘着層を中実もしくは半中実状態に硬化させることによって、実現可能である。
【0044】
以下の開示で使用される「閉領域(Closed Area)」または「CA」は、たとえば、フィルムなどの本発明の産業用ファブリックの第2の層の、いかなるマクロボイドまたはマイクロボイドもない部分または一部である。たとえば、フィルムである第2の層において、「閉領域」はそのフィルムの中実領域となる。
【0045】
以下の開示で使用される「実効閉領域(Effective Closed Area)」または「ECA」は、たとえば、フィルムなどの本発明の産業用ファブリックの第2の層の、マクロボイドを含まない部分または一部である。したがって、「実効閉領域」は閉領域とマイクロボイドを含む部分または一部を指す。たとえば、フィルムである第2の層において、「実効閉領域」はフィルムの中実領域にマイクロボイドを加えた領域になる。「実効閉領域」という語句は、マイクロボイドが繊維製品の嵩高性を増すことができ、シート成形を向上させることができるが、必ずしも完成繊維製品において一貫した画定パターンを形成しないため、使用される。
【0046】
以下の開示で使用される「マシン方向(machine direction)」(MD)および「クロスマシン方向(cross-machine direction)」(CD)という用語は、当技術分野においてよく理解されている意味に従って使用されている。すなわち、ベルトなどの産業用ファブリックのMDは、たとえばティッシュ/タオルまたは不織布製造プロセスにおいて産業用ファブリックが移動する方向を指し、一方、CDは、産業用ファブリックのMDに垂直な方向を指す。
【0047】
以下の開示で使用される「通気性」という用語は、当技術分野でよく理解されている意味に従って使用されている。たとえば、米国試験材料協会(「ASTM」)は「通気性」という用語を、材料の2つの面の間の所定の空気圧差の下で既知の領域を垂直に通過する気流の流量と定義している。これは、一般に、1.27cm(0.5インチ)のファブリックにわたる水圧降下をft3/分/ft2で表したものであり、またはCFM(「毎分立方フィート」)と略される。
【0048】
本発明は、特に、ベルトの基布の少なくとも一部を被う材料の層を有するテクスチャ加工用ベルトにおける透過性の損失に付随する上記の問題を解決する。具体的には、本発明は、織布などの第1の層に付着させたフィルムなどの第2の層を有するベルトなどの産業用ファブリックであって、第2の層が異なる大きさのボイド、すなわち「マクロ」および「マイクロ」ボイドを有する産業用ファブリックを提供する。「マクロ」ボイドは、産業用ファブリック上で製作されるテクスチャ加工製品に、所望のテクスチャ、パターンおよびバルクを与える。「マイクロ」ボイドは、典型的にはマイクロボイド内への実質的な繊維貫入を防ぎ、回避する一方、第1の層(たとえば織基布)の上にある第2の層(たとえばフィルム)の中実な閉領域を実質的に維持するのに十分に小さい。言い換えると、マクロボイドは産業用ファブリック上で製作される繊維製品にテクスチャを与え、マイクロボイドは、産業用ファブリックを通る流体の流れ(たとえば空気および/または水)を最大化する一方、製造プロセス中にテクスチャ加工製品の繊維損失(無駄)を制限する。繊維損失は、引っ張られてラミネートベルト構造体を完全に通過し、最終製品の一部にはならない、たとえば廃棄物となる繊維と理解される。
【0049】
典型的には、マイクロボイドはその上で製作される繊維製品におけるテクスチャ加工の量を制限する。たとえば、実施形態によっては、マイクロボイドは繊維製品においていかなるパターンも与えない。他の実施形態では、マイクロボイドは、繊維製品に背景パターンを与えることができるが、繊維製品においてマクロボイドによって与えられたパターンに実質的に支障を来さない。
【0050】
したがって「マクロ」ボイドと「マイクロ」ボイドの組合せは、テクスチャ加工繊維製品のキャリパー、テクスチャ、パターンおよびバルクを犠牲にせずに産業用ファブリック(たとえばベルト)の透過性を可能にし、維持する。本発明のベルトは、ベルト速度を低下させた場合に発生する製造時間の増大という悪影響がない。本発明によるベルトは、テクスチャを与えながら、製品、たとえば巻物の製造がテクスチャ加工用ベルトの使用の前に可能だったのと同じ加工速度で行われることができるようにする透過性の保持を可能にする。また、本発明によるベルトは、たとえば空気流または通気性を増すことによって、シート押さえおよびシート品質をよりよく維持する。本発明によるベルトは、繊維貫入がないように閉じたベルトの領域が、それにもかかわらずマイクロボイドを通した空気(または水)の貫通を可能にするという利点を有する。
【0051】
本発明の産業用ファブリックは、シート接触側または成形側と、機械側の両方を有するファブリックである。成形側は、製造プロセス中に繊維のシートまたはウェブと接触する、ベルトなどの産業用ファブリックの上側と当技術分野で認識されることになる側であり、一方、機械側は、製造プロセス中に繊維のシートまたはウェブと接触しない、ベルトなどの産業用ファブリックの下側と理解されることになる。
【0052】
本発明の産業用ファブリックは、少なくとも第1の層と第2の層を含む。第2の層は、シート接触側または成形側、すなわちその上で製作される繊維ベースの製品と接触する面を含む。第1の層も、シート接触側または成形側、すなわちその上で製作される繊維ベースの製品と接触する面を含むことができる。実施形態によっては、第1の層はさらに機械側の面を含む。他の実施形態では、産業用ファブリックは2層より多い、たとえば3層以上の層を含む。特定の実施形態では、第1の層の成形側または機械側に詰め物層をさらに付けることができる。詰め物層は、たとえば細い不織布繊維材料からなることができる。
【0053】
本発明は、テクスチャ加工不織布製品などのテクスチャ加工製品を製造するためのベルトなどの産業用ファブリックに関する。特定の実施形態では、テクスチャ加工不織布製品は、天然繊維または合成繊維あるいはその何らかの組合せからなる。
【0054】
特定の実施形態では、本発明は、成形側と機械側とを備えた基布を有するベルトなどの産業用ファブリックに関する。基布はさらに、成形側の少なくとも一部の上に延在する材料の層を有する。基布は、ベルトの第1の層を構成し、基布の成形側の少なくとも一部の上に延在する材料の層は、ベルトの第2の層を構成し、第2の層はラミネートされた層とすることができる。この第2の層は、マクロボイドとマイクロボイドの両方を有する。マクロボイドは、第2の層のトポグラフィ的特徴であり、たとえばその上で製作される繊維ベースの製品の所望のテクスチャに対して相補的である。マイクロボイドは、たとえば、基布である第1の層中への、および第1の層を貫通する繊維の貫入を防ぐことができる。マイクロボイドは、繊維の種類、たとえば不織布繊維、紙繊維、ガラス繊維、合成繊維、非合成繊維、および/または金属繊維に関して、製品繊維が第1の層まで第2の層を通過するのを防ぐのに十分に小さくすることができる。
【0055】
本発明は、少なくとも、最上部面層(たとえばベルトの最上部の成形側またはシート接触側の面)がマクロボイドのみを有するテクスチャ加工用ベルトにおける透過性の損失の解決策であるために有利である。たとえば、本発明は、他にも利点はあるが特に、テクスチャ加工用ベルトにおける透過性の保持を可能にするとともに、ベルト上で製作される製品にテクスチャを与え、巻物製造が、従来技術におけるテクスチャ加工用ベルトの使用前に可能であったのと同じ加工速度で動作することを可能にする。
【0056】
たとえば、スパンボンド不織布製造では、空気吸引が繊維をファブリックのマクロボイド中に追い込むため、製品の繊維構造に影響を与える。当業者は、スパンボンド不織布では、製造指示またはマージ(1つの不織布製品の製造から異なる不織布製品の製造への切り換え)ごとに繊維が連続的に紡糸されることがわかるであろう。たとえば、スパンボンド不織布の加工では、スパンボンド繊維が急冷室内において冷却空気中で急冷され、その後(または同時に)急冷室を出てテクスチャ加工用ベルト(当業者にはスピンベルトとも呼ばれることがある)にウェブの形態で載りながら延伸される。マクロボイドの分散はボイドにおける繊維密度を高くすることができるが、一方、通例、繊維密度は真空空気吸引速度によって影響を受けない。特定の実施形態では、真空は流入延伸給気を単に除去するだけである。すなわち、当業者は、この実施形態における真空の主な機能は流入空気を除去することであることがわかるであろう。延伸を終えて真空から出る空気の量は、典型的には、(理想的には)等しくなるように設計され、ベルトの孔が局所速度を制御することができ、それによってシートに密度差を生じさせる。ファブリックにおける直径の大きいボイドは、真空吸引中により多くの繊維を堆積させるきわめて局在化された流れを生じさせることができる。ボイドのない場所では、繊維密度が最も低い。より小さいボイドは堆積させる繊維がより少ないが、これらの領域における通気性によりマイクロボイド間の密度の勾配をより小さくすることができ、それによってたとえば製造されたシートのマシン方向(MD)とクロスマシン方向(CD)の全体的引っ張り強度を向上させる。したがって、延伸空気を全部除去するためと、それと同時に、受容可能な引っ張り特性を有するファブリックの表面上の繊維製品シートを維持するために典型的に必要な全体的透過性は、400~700CFMの透過性範囲である。透過性が低すぎると、シートを乱す延伸領域のあふれを生じさせ、より高速な吸引速度を必要とし、それによって繊維製品の構造がより圧縮され/明確でなくなり、製造中およびその後の後処理中に密度勾配に起因してより弱くなる。より高い初期透過性は、繊維製品の最終構造において嵩高性を増す結果となる吸引値の低下を可能にする。
【0057】
したがって、一般に、製造を通して繊維製品を扱うベルトなどの産業用ファブリックの所要透過量は典型的には約400~700CFMと認められることになる。
【0058】
特定の実施形態では、本発明は、紙、ティッシュ、タオルおよび/または不織布加工において3次元構造を形成するための、ベルトなどの産業用ファブリックに関する。実施形態によっては、基布である第1の層の上に部分的または全体に延在する第2の層、たとえばフィルムに、異なる大きさおよび/または直径のボイドを形成するために、レーザまたはその他の機構が使用される。特定の実施形態では、形成されるボイドはマクロボイドとマイクロボイドである。
【0059】
第1の層(たとえば基布)の上の第2の層(たとえばフィルム)のマクロボイドは、繊維製品に所望のテクスチャ、パターンおよび/またはバルクを与えることができ、一方、マイクロボイドは、繊維の貫入を回避し、透過性を強化しながら第1の層の上の第2の層の中実な閉領域を実質的に維持するように、第2の層に分散される。例として、スパンボンド不織布製造では、マクロボイドは、スパンボンド繊維が本発明のベルト上に置かれると、たとえば真空の空気吸引の助けにより、繊維がマクロボイド内で屈曲し、伸展するように、直径が十分に大きい。実施形態によっては、繊維はまとまってマクロボイドの形態をとるかまたは持つようになるようにマクロボイド内で屈曲し、伸展する。繊維は空気吸引によってマクロボイド内に引き込まれる。それに対して、スパンボンド繊維がマイクロボイドを有するベルトの部分に置かれると、ボイド径は、繊維が間隙に「架橋」し、たとえば真空によってマイクロボイド内に引き込まれないような直径である。さらなる例として、不織布の別の製造は、短繊維の使用を含む場合がある。当業者は、これらの短繊維も同様に空気吸引の助けにより屈曲または伸展することになる長い長さを有することができ、マクロボイドの形状を持つようになるかまたはマクロボイドを満たすことができるとともに、短繊維がマイクロボイドの間隙に架橋することになることがわかるであろう。
【0060】
マクロボイドとマイクロボイドの直径を含む厳密な大きさは異ならせることができ、産業用ファブリック上で繊維ベースの製品を形成するために使用される繊維径と繊維長とに関係し得る。マクロボイドとマイクロボイドの直径は、ボイドの最上部からボイドの底部まで異なることもでき、たとえば円錐形を有することができる。典型的には、マクロボイドは、たとえばマクロボイドへの繊維の貫入を可能にすることによってテクスチャを与えることができ、一方、マイクロボイドは繊維をまったく貫入させないかまたは限定された/最小の繊維貫入を可能にし、そのような貫入にもかかわらず産業用ファブリックの透過性を強化し、その上で製作される繊維製品にテクスチャをほとんどまたはまったく与えない。
【0061】
マクロボイドとマイクロボイドの深さは異なることができ、産業用ファブリックにおける第1の層(たとえば基布)上の第2の層(たとえばフィルム)の深さに関係する。マクロボイドおよびマイクロボイドは、典型的には、フィルムの下の第1の層、たとえば織布を露出させ、たとえば産業用ファブリックの上面から見たときに見えるように、第2の層、たとえばフィルムの層全体を貫通する。
【0062】
マクロボイドとマイクロボイドのパターンは、任意の所望のパターンとすることができる。パターンは形状の任意の組合せを含むことができる。形状には、円、線、ドット、波、スリット、描画、ロゴ、商標または所望の任意のランダムもしくは規則的パターンが含まれるがこれらには限定されない。特定の実施形態では、マクロボイドおよび/またはマイクロボイドは、格子パターンまたは配置を有することができる。他の実施形態では、マクロボイドおよび/またはマイクロボイドはパターンを有していなくてもよく、産業用ファブリックの第2の層に完全にランダムに位置するかまたは配置可能である。
【0063】
マクロボイドは、直径、面積および/またはボイド容積が異なっていてもよく、ベルトなどの単一産業用ファブリック全体にわたって同じ値を有している必要はない。同様に、マイクロボイドは、直径、面積および/またはボイド容積が異なっていてもよく、ベルトなどの単一産業用ファブリック全体にわたって同じ値を有している必要はない。たとえば、単一のベルトにおいて、1つのマクロボイドの直径が8mmである一方で別のマクロボイドの直径が9mmであってもよい。同様に、この同じベルトにおいて、1つのマイクロボイドの直径が2mmである一方で別のマイクロボイドの直径が3mmであってもよい。さらに、個々のマイクロボイド直径測定値のばらつきは、たとえば製造技術の結果である場合もある。
【0064】
特定の実施形態では、マイクロボイド構造はマクロボイドによって製品に与えられるテクスチャ特徴を妨げも変更もしない。さらに他の実施形態では、マイクロボイド構造は、産業用ファブリックにおいて第2の層から第1の層まで流体(たとえば空気および/または水)を流れさせるのに十分に大きい。さらに他の実施形態では、マイクロボイド構造は、たとえば不織布、紙またはガラスなど繊維の種類に応じて、繊維が第2の層から第1の層まで通過するのを防ぐのに十分に小さい。特定の実施形態では、マイクロボイドはその上で製作される繊維製品に嵩高性を与える。
【0065】
産業用ファブリックにおける第1の層は、織布または不織布であってもよい。第1の層が織布である実施形態では、織布は複雑または単純、単層または多層、たとえば平織または繻子織など、様々な織パターンで織られることがある。織布は、モノフィラメント糸、モノフィラメント撚糸、マルチフィラメント糸またはマルチフィラメント撚糸で織られてもよく、単層、多層またはラミネート状とすることができる。織布のための糸は、機械衣料品技術分野における業者によってこの目的のために使用される、ポリアミドおよびポリエステル樹脂などのいくつかの合成ポリマー樹脂のうちのいずれか1つから押出成形されてもよい。
【0066】
他の実施形態では、産業用ファブリックにおける第1の層は透過性不織布である。特定の実施形態では、不織布は、押出成形メッシュ、ニット構造、MDおよび/もしくはCD糸配列、編組、一連の独立したリング、または、フォイル、フィルムもしくはスパンボンド、梳毛、エアレイド、メルトブローもしくはウェットレイドなどのその他の不織製品から選択される。
【0067】
本発明の特定の実施形態では、産業用ファブリックの第1の層、たとえば織基布に、材料のシートまたは成形側層である、第2の層が付けられる。実施形態によっては、この第2の層は、接着剤、糸、ねじ、樹脂またはその他の物理、化学もしくは熱接合技術あるいはこれらの組合せを使用して第1の層に付けられる。
【0068】
特定の実施形態では、産業用ファブリックの第2の層は、第1の層に付けられたポリマー層である。たとえば、第2の層は、たとえば化学または機械的手段によって第1の層の成形側(たとえば基布の成形側)にたとえばポリマー層として付けるかまたは結合することができる。第2の層は、第1の層の成形側に、ラミネートフィルム状シートまたはラミネートフィルム層として付けることもできる。第1の層の成形側に付けられる材料の第2の層に使用可能な材料の例には、熱可塑性材料が含まれる。これらの熱可塑性材料は、第1の層(たとえば基布)の全体に、または第1の層の選択された部分または領域に、ラミネートすることができる。たとえば、必要であれば、基布である第1の層の成形側の半分のみにラミネートフィルム層を付けることができる。実施形態によっては、第2の層は熱および/または圧力を使用して第1の層にラミネートされる。
【0069】
他の実施形態では、産業用ファブリックの第2の層は、産業用ファブリックの第1の層にラミネートされる前に、まずフィルム状シートまたはフィルム層として形成される。
【0070】
特定の実施形態では、産業用ファブリックの第2の層はフィルムであり、接着剤、糸、ねじ、樹脂またはその他の物理、化学もしくは熱接合技術あるいはこれらの組合せを使用して基布などの第1の層に付けられる。特定の実施形態では、フィルムの一部または全部を基布の一部または全部に浸透させることができる。特定の実施形態では、フィルムは、いずれのマクロボイドまたはマイクロボイドもないフィルム領域において産業用ベルトの成形(表)側に実質的に平坦な表面を形成する。
【0071】
基布などの第1の層上のフィルムなどの産業用ファブリックの第2の層の形成には、任意の適切な材料を使用することができる。第2の層が含むことができる適切な材料の例には、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、EVA(エチレン-ビニルアセテート)、PE(ポリエチレン)、ポリプロピレン(PP)、またはPU(ポリウレタン)、ポリアミド、ポリエステル、コポリエステル、熱可塑性プラスチック、熱可塑性ポリウレタン、エラストマー、架橋プラスチック、ゴム、およびその他のエンジニアドポリマーが含まれる。
【0072】
特定の実施形態では、産業用ファブリックの第2の層におけるマクロボイドおよびマイクロボイドは、円形形状を形成する。しかし、マクロボイドおよびマイクロボイドは、あらゆる形状および/または大きさまたは混合とすることができる。たとえば、マクロボイドおよび/またはマイクロボイドは、円形、正方形、針状、矩形、卵形、MDもしくはCD向きアイコン、スリット、非多角形、三角形、楕円形、多角形、台形、および/または葉状の形状とすることができる。さらに、マクロボイドおよび/またはマイクロボイドの形状は、第2の層の上面領域から第2の層の下面領域まで第2の層を通して異なっていてもよい。たとえば、ボイドは第2の層の上面領域において円形を有し得るが、第2の層の底面領域では卵形になるように第2の層を通して形態を変化または部分的に変化させてもよい。
【0073】
また、マクロボイドおよびマイクロボイドは、産業用ファブリックにおける第2の層、たとえばラミネートフィルム層において多様な大きさおよび/または形状とすることができる。すなわち、ラミネートフィルム層において一部のマクロボイドおよび/またはマイクロボイドが円形形状を有し、その層の他のボイドが三角形状を有し、さらに他のボイドが葉状形状を有してもよい。また、マクロボイドおよび/またはマイクロボイドはすべて同じ形状、たとえば円形形状であるが、大きさが異なっていてもよく、たとえば1つまたは複数の円形マクロボイドが4mmの直径を有し、1つまたは複数の円形マクロボイドが8mmの直径を有し、さらに1つまたは複数の円形マクロボイドが12mmの直径を有してもよい。他の実施形態では、その上に製品を製作するために11mmの繊維が使用される場合、第2の層がたとえば12mmのマクロボイドと9mmのマイクロボイドを有してもよい。
【0074】
本発明は、テクスチャ加工繊維製品の製造のための産業用ファブリックであって、少なくとも第1の層と第2の層とを含み、第2の層が産業用ファブリックの上面であり、少なくとも2つの異なる大きさのボイドを含み、マイクロボイドが、(i)マクロボイドより小さい開放領域を有し、(ii)マクロボイドによって製品に与えられたテクスチャ特徴を変化させず、(iii)第2の層から第1の層に流体(たとえば空気および/または水)を流れさせるのに十分に大きく、ならびに/または(iv)繊維の種類、たとえば不織布繊維、紙繊維、ガラス繊維、合成繊維、非合成繊維および/もしくは金属繊維に関して、製品繊維が第2の層を通って第1の層まで貫通するのを防ぐのに十分に小さい、産業用ファブリックを包含する。
【0075】
実施形態によっては、産業用ファブリックの不織布の第2の層は、マクロボイドおよびマイクロボイドを除き、空気および/または水を通さない。実施形態によっては、不織布である第2の層は、産業用ファブリックの基布とすることができる第1の層の少なくとも一部に貫入するかまたは混じる。他の実施形態では、不織布の第2の層は、第1の層のいずれの部分にも貫入せず、混じらない。
【0076】
特定の実施形態では、マクロボイドおよび/またはマイクロボイドの形状は、可変であり、最終製品設計の考慮すべき事柄(たとえば本発明の産業用ファブリック上で生産されるペーパータオル製品の所望のパターン)および/または繊維ベースの製品の製造のための様々な成形プロセスにおいて使用される繊維径および/または繊維長に応じた形状である。例として、マクロボイドの大きさおよび/または分散は、繊維製品の特定の設計上の選好、たとえばトイレットペーパーまたはお尻ふきの特定のテクスチャに基づいて選択することができ、一方、マイクロボイドは、製品が本発明のベルト上で形成されるときにベルトを通る空気流を向上させるように分散される。当業者は、マイクロボイドは、マイクロボイドの特性、たとえば大きさおよび/または分散が、本発明の産業用ファブリックの閉領域において同等の空気流を生じさせるようにして決定され得るように、マクロボイド構造全体に関係することがわかるであろう。さらなる例として、本発明のベルトにおいて、マクロボイドは繊維を貫入させるのに十分な大きさとなり、それと同時に、ベルトにおけるマイクロボイドは繊維の貫入を防ぐ大きさを有することになる。一実施例では、繊維ベースの不織布製品が4mmの長さを有する繊維からなる場合がある。マクロボイドは直径8mmとすることができ、一方、マイクロボイドは直径3mmとすることができ、したがってマクロボイドへの繊維貫入を可能にすると同時にマイクロボイドへの繊維貫入を防ぐ。ベルトの第2の層におけるマイクロボイドとマクロボイドの配置は、ランダム化またはパターン化することができ、あるいはこれらの何らかの組合せとすることができる。
【0077】
本発明の産業用ファブリックの第2の層におけるマクロボイドおよびマイクロボイドは、レーザ、ドリル穿孔、またはたとえば機械穿孔、エンボス加工、モールド成形などのその他の化学的もしくは機械的手段、あるいは第2の層を含む材料に穴をあけることができる任意のその他の適切な手段の使用など、任意の適切な手段によって形成または作製することができる。マクロボイドおよびマイクロボイドを形成するためのレーザ、ドリル穿孔、またはその他の化学的もしくは機械的手段の使用は、産業用ファブリックの製造の異なる段階で行うことができる。たとえば、フィルムである第2の層が製造され、その後、そのフィルムに穴をあけるためにレーザが使用されてもよい。フィルムに穴があけられた後、次にフィルムが第1の層、たとえば織基布にラミネートされてもよい。または、フィルムが製造され、次に、基布にラミネートされてもよい。ラミネート後、レーザまたはその他の手段を使用してフィルムに穿孔してもよい。
【0078】
本発明の産業用ファブリックの第2の層における穿孔は、たとえば空気の透過性を可能にする。たとえば、繊維のウェットパルプが本発明のベルト上でウェブを形成するテクスチャ加工製品の製造領域の形成時、真空吸引を使用することができる。これらの実施形態では、第2の層の穿孔は、真空から空気がマイクロボイドの少なくとも一部を通過することを可能にすることができ、したがって全体的なベルト透過性およびウェブまたはシート押さえを増すことができる。
【0079】
本発明と、本発明の使用によって得られる本発明の利点および目的とをよりわかりやすくするために、本発明の非限定的実施形態が添付図面に示されており、対応する構成要素が同じ参照番号で識別されている添付の説明資料を参照する。当業者は、産業用ファブリック上で製作される繊維ベースの製品に支持、制御およびテクスチャを与える一方で空気除去を可能にする備えがなければならないため、産業用ファブリックの設計と透過性が重要であることがわかるであろう。
【0080】
【0081】
図1Aに、本発明によるテクスチャ加工製品を製造するための産業用ファブリック(たとえばベルト)における第2の層として使用するためのフィルム(101)の上面図を示す。この図では、押出成形によって熱可塑性フィルム(101)が形成されている。フィルム(101)が製作された後、フィルム(101)にマクロボイド(102)とマイクロボイド(103、104)を穿孔するためにレーザが使用されている。レーザはフィルム(101)に円形マクロボイド(102)と円形マイクロボイド(103、104)の両方を穿孔している。レーザは、フィルム(101)に特殊化パターンで穿孔している。たとえば、直径8mmのマクロボイド(102)が、各マクロボイドを囲む直径1mmのマイクロボイド(103)のリングとともに形成されている。直径1mmのマイクロボイド(103)の4つの隣接リングの間に、4つの直径2mmのマイクロボイド(104)の正方形状パターンが配置されている。
【0082】
有孔フィルム(例示の第2の層)(101)は、織基布(例示の第1の層)にラミネートされている。
図1Aのフィルム(すなわちフィルムのみ)が1170のCFMを有する。
図1Aのフィルム(101)がラミネートされた基布(すなわち基布のみ)は916のCFMを有する。
図1Aの有孔フィルムは、ECA(フィルムの閉領域にマイクロボイドを加えた領域)を約60.7%と、CA(フィルムの中実領域のみ)を約38.6%有する。完成ベルト、すなわちフィルムと織基布は、643のCFMを有する。通気性CFM値は、TexTestモデルFX3360 PortAir Portable Air
【0083】
Permeability and Thickness Testerによって判定された。
【0084】
図1Bに、本発明によるテクスチャ加工製品を製造するための産業用ファブリック(たとえばベルト)における第2の層として使用するためのフィルム(105)の上面図を示す。この実施形態では、レーザがフィルム(例示の第2の層)に円形マクロボイド(106)と円形マイクロボイド(107、108)の両方を穿孔している。レーザは、フィルム(105)に特殊化パターンで穿孔している。たとえば、直径8mmのマクロボイド(106)が、各マクロボイドを完全に囲む1mmのマイクロボイド(107)のリングとともに形成されている。1mmのマイクロボイドの4つの隣接するリングの間に、8つの1mmのマイクロボイド(108)のリングパターンが、その8つの1mmのマイクロボイド(108)のリングパターンの中心にある1つの単一1mmマイクロボイド(116)とともに穿孔されている。この有孔フィルムは、ECAを約60.7%とCAを約42.9%有する。
図1Bの有孔フィルム(すなわちフィルムのみ)は948CFMを有する。フィルムがラミネートされた基布(例示の第1の層)(すなわち基布のみ)は、916CFMを有する。完成ベルト、すなわちフィルムと基布は538CFMを有する。
【0085】
図1Cに、テクスチャ加工製品の製造において使用するための、マイクロボイドのないフィルム(109)の上面図を示す。レーザがフィルム(109)に円形マクロボイド(110)を穿孔している。レーザは、フィルムに特殊化パターンで穿孔している。たとえば、直径8mmのマクロボイドが形成されている。
図1Cのフィルムは、CAを約60.7%有する。完成ベルト、すなわちフィルムと基布は343CFMを有する。
【0086】
図1Dに、テクスチャ加工製品の製造において使用するための、マイクロボイドのないフィルム(111)の上面図を示す。レーザがフィルム(111)に円形マクロボイド(112)を穿孔している。レーザは、特殊化パターンでフィルムに穿孔している。たとえば、直径5mmのマクロボイドが形成されている。
図1Dのフィルムは約60.7%のCAを有する。完成ベルト、すなわちフィルムと基布は313CFMを有する。
【0087】
図1Aおよび
図1Bは、
図1Cおよび
図1Dとの比較例として、本発明により製作されたテクスチャ加工用ベルトにおいて使用するためのフィルムの設計を示している。すなわち、
図1Aおよび
図1Bによるフィルムを使用して製作されたベルトのそれぞれを、
図1Cおよび
図1Dによって表されたフィルムを使用して製作された従来の方式で製作されたベルトと比較した。比較CFM値は、本発明による、フィルムにおけるマクロボイドに加えてマイクロボイドを追加する効果が、
図1Cのフィルムおよび完成ベルトの値によって表される従来のベルトと比較して約300CFM(
図1A)および約200CFM(
図1B)だけ透過性を向上させたことを示している。
図1Dに、CFM値が、本発明による、フィルムにおけるマクロボイドに加えてマイクロボイドを加えた効果が、
図1Dのフィルムおよび完成ベルトの値によって表された従来のベルトと比較して約300CFM(
図1A)および約200CFM(
図1B)だけ透過性を向上させたことを示している、比較例をさらに示す。
【0088】
【0089】
図3Aおよび
図3Bに、織基布(113)(Albany International Corp.Prolux N005ファブリック)を示す。
図3Bは、
図3Aの基布(113)の拡大部分を示す。基布は875CFM目標値を有する。目標CFMは、たとえば特定のデザイン、糸径、織パターンおよび/または熱処理条件などの要因を考慮に入れた場合の所望の目標CFMに基づくことができる。目標CFMは、以前の製造および測定の知識にも基づくことができる。
【0090】
図4~
図12に、
図3の基布(例示の第1の層)にラミネートされたときの
図2の有孔フィルム(例示の第2の層)の異なる測定値を示す。
【0091】
より具体的には、
図4は、MDおよびCD方向に通り、0.30mmの公称直径を有する基布の糸を示す上面図である。たとえば、0.30mmの直径を有するMD方向(114)に通る基布の糸が示されている。
図4は、直径0.33mmを有するCD方向(115)に通る基布の糸を示している。基布(
図3)は、この上面図では
図2のラミネートフィルムにおけるマクロボイドを通して見える。
【0092】
図5は、
図2のラミネートフィルムにおいてリングを形成する8つのマイクロボイド(108)の測定値を示す上面図である。リングの内部に単一マイクロボイド(116)がある。(リングの内部のマイクロボイドを備えたマイクロボイドのリングの)このマイクロボイドパターンは、4つのマクロボイドの間に配置されている。第1のマイクロボイドは1.26mmの直径を有する。第2のマイクロボイドは1.45mmの直径を有する。第3のマイクロボイドは1.23mmの直径を有する。第4のマイクロボイドは1.41mmの直径を有する。このマイクロボイドリングパターンの直径は、4.73mmである。
図3の基布は、この図においてマクロボイドを通して見える。
【0093】
図6は、
図2のラミネートフィルムにおけるマクロボイド間の間隔の測定値を示す上面図である。ここでは、クロスマシン方向において、第1のマクロボイド(117)と第2のマクロボイド(118)との間の距離は7.48mmである。マシン方向において、第1のマクロボイド(119)と第2のマクロボイド(120)の間の距離は6.99mmである。第1のマクロボイド(121)の内部中心から第2のマクロボイド(122)の内部中心まで測定すると、測定値は14.81mmである。
図3の基布(113)は、この図ではマクロボイドを通して見える。
【0094】
図7は、
図2のラミネートフィルムにおける単一マクロボイドを囲むマイクロボイドの測定値を示す上面図である。この図は、マイクロボイドによって囲まれたマクロボイド(106)の直径も示している。なお、
図3の基布(113)はこの図においてマクロボイドを通して見ることができる。ここで、第1のマイクロボイド(123)は直径1.43mmである。第2のマイクロボイド(124)は直径1.44mmである。第3のマイクロボイド(125)は直径1.34mmである。第4のマイクロボイド(126)は直径1.36mmである。第5のマイクロボイド(127)は直径1.32mmである。第6のマイクロボイド(128)は直径1.51mmである。この実施形態では、目標または公称マイクロボイド径は1.40mmである。取り囲む8つのマイクロボイドのリングの内部のマクロボイド(106)の直径は、8.00mmである。
【0095】
図8に、マクロボイド(106)とマイクロボイド(108)とを有し、
図3の織基布(113)の上にラミネートされた
図2のフィルム(105)の断面図を示す。
図9および
図10に、
図8のファブリックの拡大部分を示す。
図10は、
図8のファブリックの閉領域(CA)の拡大部分である。
【0096】
図11に、
図8のファブリックの閉領域(CA)(129)の断面図を示す。
図11は、基布(113)が0.85mmの厚さを有するものとして示している。
図11は、2.93mmの厚さを有するラミネートフィルム(105)を示している。
図11に示すベルト部分における第2の層(フィルム)にはマクロボイドもマイクロボイドも存在しない。
【0097】
図12および
図13に、
図3の基布(113)にラミネートされた
図2のフィルム(105)を有するベルトと相互作用する不織布製品繊維(130)の上面図を示す。
【0098】
図14および
図15に、
図3の基布(113)にラミネートされた
図2のフィルム(105)を有するベルトと相互作用する不織布製品繊維(130)の断面図を示す。ここでは、ベルト上で製作された不織布製品の繊維が、ラミネートフィルム層のマクロボイド(106)内に引き込まれ、侵入しているが、ラミネートフィルムのマイクロボイド(108)に架橋している様子が見える。ここでは、繊維は、マイクロボイドの一方の側からマイクロボイドの他方の側までボイドをわたって延びることによってマイクロボイドに架橋している。場合によっては、マイクロボイド空間にはいずれの繊維も貫入せずに、繊維がボイドに完全に架橋する。他の場合には、繊維の一部であるが実質的ではない一部がマイクロボイド空間に侵入する場合があるが、残りの部分はマイクロボイドの一方の側からマイクロボイドの他方の側まで延びる。
【0099】
上記に対する修正が当業者には明らかであろうが、本発明を本発明の範囲を越えて修正させることにはならない。以下の特許請求の範囲は、そのような状況を含むものと解釈されるべきである。
【国際調査報告】