(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】陰極線管紫外光光源
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61N5/06 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024514078
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022042180
(87)【国際公開番号】W WO2023034399
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524078572
【氏名又は名称】ブレートシュナイダー,エリック,シー.
【氏名又は名称原語表記】BRETSCHNEIDER,Eric,C.
【住所又は居所原語表記】2709 Northview Court Flower Mound,TX 75022 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブレートシュナイダー,エリック,シー.
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA03
4C082PA03
4C082PE02
4C082PG11
4C082PG15
4C082PG17
(57)【要約】
【要約】
光透過窓を備えた金属ハウジングと、該金属ハウジング内に配置されたヒートシンクと、第1の表面及び該第1の表面とは反対側にある第2の表面を有する蛍光体であって、該蛍光体の第2の表面がヒートシンクに熱的に接触している、蛍光体と、該蛍光体の第1の表面に衝突する電子ビームを発生させることが可能な電子銃とを含み、蛍光体の第2の表面から放出された光は、光透過窓を通して導かれる、陰極線管紫外光光源。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過窓が設けられた真空の金属ハウジングと、
前記金属ハウジング内に配置されたヒートシンクと、
前記金属ハウジング内に配置されたゲッター材料と、
第1の表面及び前記第1の表面とは反対側にある第2の表面を有する蛍光体であって、該蛍光体の前記第2の表面が前記ヒートシンクに熱的に接触している、蛍光体と、
前記蛍光体の前記第1の表面に衝突する電子ビームを発生させることが可能な電子銃とを含み、
前記蛍光体の前記第1の表面から放出された光は、前記光透過窓を通して導かれる、陰極線管紫外光光源。
【請求項2】
前記金属ハウジング内に配置され、前記蛍光体の前記第1の表面から放出された光を前記光透過窓を通して導く反射体をさらに含む、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項3】
前記反射体は、前記光透過窓を通して導かれる光をコリメートする、請求項2に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項4】
前記反射体は、前記蛍光体上に焦点を有する放物面状である、請求項3に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項5】
前記反射板には、前記電子ビームの通過を許容する開口が設けられている、請求項4に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項6】
前記金属ハウジングは、非導電性材料で少なくとも部分的に被覆された金属を含む、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項7】
前記金属ハウジングは、磁器で被覆された鋼を含む、請求項6に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項8】
前記金属ハウジングは、ポリマーで被覆された鋼を含む、請求項6に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項9】
前記光透過窓は、石英、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム及びサファイアのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項10】
前記ヒートシンクは、前記光透過窓に隣接する前記金属ハウジングの一部を含む、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項11】
前記放出された光は、190~230nmの範囲の波長を有する、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項12】
前記反射体の一部上に設けられたゲッター材料をさらに含む、請求項2に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項13】
前記蛍光体に隣接する前記ヒートシンクの一部が反射体として構成されている、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項14】
前記金属ハウジング内に配置された前記電子ビームの集光機構をさらに含む、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項15】
前記金属ハウジング内に配置された前記電子ビームのための偏向機構をさらに含む、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項16】
前記金属ハウジング内に配置されたゲッター材料を蒸発させるための抵抗加熱器をさらに含む、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項17】
前記蛍光体は、前記ヒートシンクに熱的に接触している複数の蛍光体のうちの1つである、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項18】
前記金属ハウジング内に延びている複数の導電性ピンが設けられた非導電性ベースをさらに含む、請求項1に記載の陰極線管紫外光光源。
【請求項19】
ゲッター材料が設けられた真空の金属ハウジング内において電子ビームを蛍光体の第1の表面へと導くステップであって、前記蛍光体は、ヒートシンクに熱的に接触している第2の表面を有する、ステップと、
前記蛍光体の前記第2の表面から放出された光を、前記真空の金属ハウジングの光透過窓を通して反射させるステップと
を含む、陰極線管紫外光光源を動作させる方法。
【請求項20】
前記電子ビームを、前記蛍光体の前記第1の表面上に集光させることをさらに含む、請求項19に記載の陰極線管紫外光光源を動作させる方法。
【請求項21】
前記蛍光体の前記第1の表面を横切るように前記電子ビームを操縦することをさらに含む、請求項19に記載の陰極線管紫外光光源を動作させる方法。
【請求項22】
前記蛍光体は、複数の蛍光体のうちの1つであり、前記電子ビームは、前記複数の蛍光体のうちの1つ又は複数を横切るパターンで操縦される、請求項21に記載の陰極線管紫外光光源を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
紫外(UV)光は、約10ナノメートル(nm)~400nmの波長を備えた電磁波である。紫外光の波長は、可視光線より短いが、X線よりは長い。短波長の紫外光は、DNAを損傷し、接触した表面を殺菌する。人体にとって、日焼け(suntan)や紅斑(sunburn)は、紫外光への皮膚の曝露による身近な影響であり、皮膚がんのリスクが高くなる。
【0002】
大気の吸収のため、約280nm以下の紫外光の自然発生源は存在しない。そのような自然発生源には、190nm~280nmのUVCスペクトルが含まれており、殺菌に使用することができる。UVC光は、核酸に強く吸収されて、DNA及びRNAを損傷し得るためである。しかしながら、哺乳類のDNAは細胞核に閉じ込められているため、細胞質内のタンパク質が、哺乳類の核DNAを230nm以下の紫外光から効果的に遮蔽する。したがって、190~230nmの波長を備えたUVC光源は、周辺の人体に危険を及ぼすことなく表面を殺菌するのに効果的である。190nm未満のUV光は、人体に有害な影響を与えることが知られているオゾンを大量に発生させることになる。
【0003】
約280nm未満の光は大気に吸収されるため、このスペクトル部分はソーラーブラインド帯とも称される。280nm未満の波長を備えたUV光は、大気に吸収されるため、透過する範囲が制限されており、また、エアロゾル及び分子によって大気へと効率的に散乱される。これらの要因から、280nmの波長を備えた光は、非視線方向(NLOS)隠蔽通信システムにも使用されることがある。
【0004】
低圧水銀蒸気ランプは、殺菌用のUVCを生成するために使用されてきた。このようなランプは、エネルギー効率が高くコスト効率も高いが、環境破壊物質であって人体にも有毒であり得る水銀を使用するといった問題がある。近年、環境保護及び健康への懸念から、低圧水銀蒸気ランプの使用を避けようとする運動が起こっている。
【0005】
発光ダイオードもまた、UVC光の生成に使用されてきた。それらは水銀や他の重金属を含まないが、効率がさほど高くなく、他のUVC光技術に比べて相対的に低容量である。
【0006】
パルスキセノンランプは、広いスペクトルの紫外光を生成するが、他の技術に比べて比較的高価である。紫外光のスペクトルは非常に広いため、このランプの出力には、190~230nmの範囲外の波長を減衰させるためのフィルターが必要である。
【0007】
従来技術におけるこれらの及び他の制限は、以下の説明を読解し、かつ、図面におけるいくつかの図を検討することによって、当業者にとって明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0008】
陰極線管紫外光光源は、光透過窓を備えた金属ハウジングと、該金属ハウジング内に配置されたヒートシンクと、第1の表面及び該第1の表面とは反対側にある第2の表面を有する蛍光体であって、該蛍光体の第2の表面がヒートシンクに熱的に接触している、蛍光体と、該蛍光体の第1の表面に衝突する電子ビームを発生させることが可能な電子銃とを含み、蛍光体の第1の表面から放出された光は、光透過窓を通して導かれる。特定の実施形態では、反射体が金属ハウジング内に配置され、該反射体は、蛍光体の第2の表面から放出された光を光透過窓を通して導く。
【0009】
陰極線管紫外光光源を動作させる方法は、電子ビームを蛍光体の第1の表面へと導くステップであって、前記蛍光体は、ヒートシンクに熱的に接触している第2の表面を有する、ステップと、前記蛍光体の前記第2の表面から放出された光を、光透過窓を通して反射させるステップとを含む。特定の実施形態では、電子ビームの焦点及び/又は蛍光体の第1の表面上における電子ビームの走査が、光源によって放出された光の角度放出特性を変化させるために使用される。別の実施形態では、複数の蛍光体もまた、放出された光のスペクトル特性を変化させるために使用される。
【0010】
様々な実施形態の利点は、水銀のような危険で環境に優しくない重金属を使用することなく、UVC光を効率的かつ費用効果の高い方法で生成できることである。
【0011】
これら及び他の実施形態、特徴及び利点は、以下の説明を読解し、かつ、図面におけるいくつかの図を検討することによって、当業者にとって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここで、いくつかの例示的な実施形態について、図面を参照して説明するが、該図面では、同様の構成要素には同様の参照数字が付されている。これらの例示的な実施形態は、本発明を説明することを意図したものであって、限定することを意図したものではない。該図面は、以下の図を含む。
【0013】
【
図1】
図1は、陰極線管紫外光光源の第1の例示的な実施形態である。
【0014】
【
図1A】
図1Aは、放射線シールドを備えたヒートシンクの例の斜視図である。
【0015】
【
図2】
図2は、陰極線管紫外光光源の第2の例示的な実施形態である。
【0016】
【
図3】
図3は、陰極線管紫外光光源の第3の例示的な実施形態である。
【0017】
【
図4】
図4は、陰極線管紫外光光源の第4の例示的な実施形態である。
【0018】
【
図5】
図5は、陰極線管紫外光光源の第5の例示的な実施形態である。
【0019】
【
図6】
図6は、複数の蛍光体を用いた陰極線管紫外光光源の第1のスペクトル調整方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、陰極線管紫外光光源10の第1の例示的な実施形態であり、光透過窓(例えば、透明な窓)14を備えた金属ハウジング12と、ヒートシンク16と、第1の表面20及び該第1の表面20とは反対側にある第2の表面22を有する蛍光体18であって、ヒートシンク16に熱的に接触している、蛍光体18と、蛍光体18の第1の表面20に衝突する電子ビーム26を発生させることが可能な電子源又は電子「銃」24とを含む。蛍光体の第1の表面20から放出された光28は、第1の表面32、第2の表面34及び電子ビーム26が通過し得る開口36を含む反射体30によって、光透過窓14を通して放出光29として導かれる。この光源は、電子ビーム26を妨げずに光源の部品の寿命を延ばすために、真空下に置かれている。
【0021】
この第1の例示的な実施形態では、反射体30は放物面状であって、第1の表面32上に反射アルミニウム膜が設けられている。ゲッター材料38は、反射体30の第2の表面34及び金属ハウジング12の内部にフィルムとして付与されている。蛍光体18が反射体30の焦点に位置するように鏡を設計することによって、放出される紫外光29は、図示のようにコリメートされる。
【0022】
金属ハウジング12は、典型的な陰極線管(CRT)のガラス外囲器の代替となる。これは、例えば、電子ビーム26が蛍光体18に衝突することによって発生するX線のシールドを提供するといった点や、ガラス外囲器よりもかなり薄くかつ耐久性に優れることができるといった点において有利である。したがって、外囲器が爆縮する可能性を減少させるという点において、より安全である。金属ハウジング12は、好ましくは、少なくとも部分的に非導電性材料で被覆され、それによって地絡の機会を低減させると共に、追加の回路及びデバイスを取り付けるための非導電性表面を提供する。例えば、金属ハウジング12は、磁器で被覆された鋼又はポリマーで被覆された鋼を含み得る。他の金属や金属合金もまた、金属ハウジングに使用するのに適している。
【0023】
光透過窓14は、容易に入手可能かつ価格も手頃であるガラス質石英より簡便に作製され得る。適切な他の材料としては、フッ化マグネシウムガラス、及び、フッ化カルシウムガラスが含まれる。ハイエンドの用途では、平坦なサファイアもまた適している。好ましくは、光透過窓は、190~230nmの波長に対して高い透明性を有する。
【0024】
この例示的な実施形態では、ヒートシンク16は、光透過窓14を金属ハウジング12の残りの部分に接続するためのフランジ又はフレームとして形成されている。このように、ヒートシンク16の一部が金属外囲器12の外側に延びており、一部が材料のウェブの形状で金属ハウジング12の内側を横切って延びており、それによって蛍光体18の支持を提供している。したがって、電子ビーム26が蛍光体18に衝突することによって発生した熱は、ヒートシンク16へと伝達されて、対流及び放射によって周囲環境へと放散されるように金属ハウジング12の外部へと熱伝導される。金属ハウジング12はまた、光源10から余分な熱を除去するヒートシンクとしても機能する。
【0025】
図1Aでは、ヒートシンク16’及び補助的な放射線シールド15’の例を示す。例示的なヒートシンク16’は車輪形状であり、中央ハブ17’と、3本の放射状スポーク19’と、複数のヒートフィン23’が設けられた円形リム21’とを含む。ヒートシンク16’は、例えば
図1の金属ハウジング12と光透過窓14との間に挟まれるように設計されており、適切なガスケット(図示しない)により高圧シールを形成する。放射線シールド15’は、ハブ17’の凹部25’内へと嵌め込まれ、好ましくは、熱伝導性接着剤によって及び/又は機械的に、所定の位置に保持される。電子ビームが蛍光体(この図には示されていない)に衝突することによって生じた熱は、ハブ17’から放射状アーム19’を通ってリム21のヒートフィン23’へと熱伝導され得る。放射線シールド15’は、X線等の蛍光体の高エネルギー放出に対する放射線の遮蔽を高めるために、モリブデン等の高密度金属から作製されることが好ましい。
【0026】
引き続き
図1を参照して、前述のように、ゲッター材料38は、好ましくはUV光源10内に設けられ、例えば、反射体30の一部及び金属ハウジング12の内面の少なくとも一部に設けられる。ゲッターは、例えば、バリウム又はバリウム合金であり得、金属ハウジング内からガス状汚染物質を除去するために設けられる。典型的には、ゲッターは、光源10が真空下に置かれた後、抵抗加熱器42によってバリウム40のディスク又はリングを蒸発加熱すること等により付与される。抵抗加熱器42のためのワイヤ44は、ピンとして、例えばガラスから作製されたエンドプラグ46を通って延在し得る。エンドプラグ46を通る他のピンは、電子源24及び/又はUV光源10の他の内部コンポーネントに電力供給してそれらを制御するために使用され得る。
【0027】
図2は、第1の例の光源10と類似した陰極線管紫外光光源10’の第2の例の実施形態であり、同様の参照数字は同様の構成要素又は要素を示す。
図1の実施形態と
図2の実施形態との主要な違いは、ヒートシンク16’が、放出光29として窓14を通過する前に、放出光28を二次反射体30’に集光する一次反射体部分48を含むことである。これにより、二次反射体30’の直径を、反射体30よりも小さくすることができる。
【0028】
図3は、UV光29の軸外放出を有する陰極線管紫外光光源10’’の第3の例示的な実施形態であり、
図1及び
図2に関して使用されたものと同様の参照数字は同様の構成要素又は要素を示す。この実施形態では、電子銃24の電子ビーム26は、反射光学系30’’の開口36’’を通過して、実質的に金属製のハウジング12’’の一部を形成するヒートシンク16’’の蛍光体18に衝突する。ヒートシンク16’’は、蛍光体によって放出された紫外光28を反射光学系30’’の方へと導くと共にそこから窓14’’の外へと導く反射光学系として機能する区域50を有する。窓14’’は、この例では電子ビーム26に対して略直角である放出光29をコリメートすること、あるいは形作ることを補助する屈折光学系として機能してもよいことに留意されたい。
【0029】
図4は、電子銃24’’’及び電子ビーム用湾曲経路26’’’に顕著な変更のある陰極線管紫外光光源10’’’の第4の例示的実施形態であり、同様の参照数字は前記の実施形態における同様の構成要素を示す。この第4の例示的な実施形態は、曲がったビーム経路を備えたコンパクトな電子源を提供し、それによって金属ハウジング12’’’の全体的なサイズが縮小されている。この実施形態では、一連の集光及び偏向装置によって電子ビーム26’’’が曲げられ、それによって蛍光体18に衝突する角度で反射体30’’’の開口36’’’を通過する。蛍光体18によって放出されたUV光は、反射体30’’’によって、ヒートシンク16’’’によって支持された透明窓14’’’を通して放出光29として反射される。
【0030】
図5は、ヒートシンク区域16’’’’を備えた金属ハウジング12’’’’を有する陰極線管紫外光光源10’’’’の第5の例示的な実施形態である。この実施形態では、電子銃24は、光28’’’’が窓14’’’’から放出されるような角度で蛍光体18’’’’に衝突する電子ビーム26を生成する。これは、蛍光体18’’’によって放出された光28’’’の方向を変える又はコリメートするために反射体を使用しない最初の実施形態であることに留意されたい。しかしながら、この例示的な実施形態は、設計が単純であり、他の例示的な実施形態の特定のものよりも製造コストを低くすることができる。
【0031】
光源10の発光波長は、照射されている蛍光体材料によって決定される。例えば、AlNは、210nmのUVC光を放出し得る材料である。別の例として、AlGaNは、異なる(より長い)波長にて放出し得る。AlGaNについては、ガリウムの量が発光波長を決定することになり、この発光波長は、合金に添加されるガリウムの量に伴って増加することになる。さらに、AlN又はAlGaNにドーパントを添加することによって、発光波長を変えることもできる。さらに別の例として、六方晶窒化ホウ素は、210~220nmの範囲のUVC光を放出する。
【0032】
190~280nmのUV光を放出する他の蛍光体材料には、以下が含まれる:
>LuF3:Nd
>Sr(Al,Mg)12O9:Pr
>CaAl2Si2O7:Pr
>YSiO5:Pr
>Lu2SiO5:Pr
>Ca2P2O7:Pr
>LaPO4:Pr
>(Lu,Y,Sc)3(Al,Ga)5O12
>(Lu,Y,Sc)(Al,Ga)O3:Pr
>(Y,Lu)3(Al,Ga)5O12:La
>YBO3:Pr
>Sr3Y2Si6O18:Pr
【0033】
好ましい電子ビームエネルギーは、6,000~34,000Vである。ビーム電流は、1μA~5mAであり得る。多くの用途では、直径0.1~1.0mmのスポットサイズが適している。他の用途では、直径5mm以下のスポットサイズが適していることがある。
【0034】
人間の視覚系は、約360nm未満の波長の光を検出することができないため、いくつかの実施形態では、装置が動作していることを視覚的に示すため、約190nm~約280nmの波長範囲を放出する蛍光体材料と共に、約450nm~約650nmの波長範囲を放出する蛍光体材料が組み込まれていてもよい。
【0035】
図6は、複数の蛍光体を用いた陰極線管紫外光光源の第1のスペクトル調整方法を示す図である。この例では、4つの異なる蛍光体が2x2のグリッド70内に配置されており、材料A、材料B、材料C及び材料Dを含んでいる。70Aに見られるように、材料A上の「スピログラフ」タイプの電子ビーム(「eビーム」)パターン72Aは、放出スペクトル74Aを生成する。70Bに見られるように、材料C及び材料D上のスピログラフタイプのeビームパターン72Bは、異なる放出スペクトル74Bを生成する。
【0036】
特定の用語及び装置を用いて様々な実施形態を説明してきたが、そのような説明は、例示のみを目的としたものである。使用されている言葉は、限定ではなく説明の言葉である。変更及び変形は、記載の開示及び図面によってサポートされる様々な発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、当業者によって行われ得ることを理解されたい。加えて、他の様々な実施形態の態様は、全部又は一部が交換されてもよいことを理解されたい。したがって、特許請求の範囲は、限定又は禁反言によらず、本発明の真の趣旨及び範囲に従って解釈されることが意図されている。
【国際調査報告】