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特表2024-530805歯科用ブリッジ並びにその製造及び設置のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】歯科用ブリッジ並びにその製造及び設置のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/271 20060101AFI20240816BHJP
   A61C 5/77 20170101ALI20240816BHJP
   A61C 13/15 20060101ALI20240816BHJP
   A61C 5/30 20170101ALI20240816BHJP
【FI】
A61C13/271
A61C5/77
A61C13/15
A61C5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514501
(86)(22)【出願日】2022-09-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 IL2022050961
(87)【国際公開番号】W WO2023031937
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,949
(32)【優先日】2021-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524082270
【氏名又は名称】イヴァニア エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】IVENEER LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】ミカエロフ,イタイ
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159JJ16
4C159RR08
(57)【要約】
歯科用ブリッジを作製するためのマトリックスは、歯部分及びウイングの本体と、硬化可能流動性材料を受容するための本体の内部とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用マトリックスであって、
歯の形状に対応し、口腔歯列の空間に着座するための第1の部分と、
前記第1の部分の各横方向側面に配設された第2の部分であって、前記第2の部分の各々が、前記空間に隣接するそれぞれの歯の上に、ある長さまで延在する、第2の部分と、
前記第1及び第2の部分によって形成された内部空洞であって、前記第2の部分の各々の前記内部空洞が、前記空間に隣接する前記それぞれの歯と連通するための開放側面を含む、内部空洞と、
硬化可能材料を受容するための、前記第1又は第2の部分のうちのいずれか上の少なくとも1つのアパーチャと、を備える、歯科用マトリックス。
【請求項2】
前記第1及び第2の部分が、光半透明材料のものである、請求項1に記載の歯科用マトリックス。
【請求項3】
前記第1及び第2の部分が、紫外線(UV)光半透明材料のものである、請求項2に記載の歯科用マトリックス。
【請求項4】
前記第1及び第2の部分が、一体である、請求項1に記載の歯科用マトリックス。
【請求項5】
前記開放側面が、それぞれの隣接する歯に面するように構成されている、請求項1に記載の歯科用マトリックス。
【請求項6】
前記開放側面が、頬側面を含む、請求項5に記載の歯科用マトリックス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアパーチャが、前記内部空洞内に前記第1の部分を通って延在する、請求項1に記載の歯科用マトリックス。
【請求項8】
少なくとも前記第1の部分が、少なくとも2つのセクションに分離可能である、請求項1に記載の歯科用マトリックス。
【請求項9】
前記第2の部分が、実質的に長方形の形状であり、互いに同軸である、請求項1に記載の歯科用マトリックス。
【請求項10】
義歯を形成し、口腔歯列内に配置するための方法であって、前記方法は、
歯科用マトリックスであって、
歯の形状に対応し、前記口腔歯列の空間に着座するための第1の部分と、
前記第1の部分の各横方向側面に配設された第2の部分であって、前記第2の部分の各々が、前記空間に隣接するそれぞれの歯の上に、ある長さまで延在する、第2の部分と、
前記第1及び第2の部分によって形成された内部空洞であって、前記第2の部分の各々の前記内部空洞が、前記空間に隣接する前記それぞれの歯と連通するための開放側面を含む、内部空洞と、
硬化可能材料を受容するための前記第1又は第2の部分のうちのいずれか上の少なくとも1つのアパーチャと、を備える、歯科用マトリックスを取得することと、
前記第1の部分が、隣接する歯の間の空間に着座し、かつ前記第2の部分の前記開放側面が、前記空間に隣接する前記それぞれの歯と連通するように、前記歯科用マトリックスを前記口腔歯列内に配置することと、
前記内部空洞を硬化性材料で充填することと、
前記第2の部分の前記空洞を充填した前記材料がそれぞれの隣接する歯に接着しているように、前記硬化性材料を硬化させることと、を含む、方法。
【請求項11】
前記内部空洞を前記充填することが、第1の部分のアパーチャを通じて前記内部空洞内に前記硬化性材料を注入することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化性材料が、光硬化可能材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記硬化性材料を硬化させることが、前記内部空洞の前記光硬化可能材料に光を適用することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記光硬化可能材料が、紫外線光硬化可能材料を含み、前記光を前記適用することが、紫外線光を適用することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記材料が硬化した後に前記マトリックスを除去することを追加的に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化性材料を硬化させる前に、それぞれの前記第2の部分の前記内部空洞間の前記内部空洞に補強構造を提供することを追加的に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記補強構造が、ロッド、繊維、及び/又はスプリントのうちの1つ以上を含む、請求項16に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Dental Bridge And Methods For Its Manufacture And Installation」と題され、2021年9月5日に出願された共通所有の米国仮特許出願第63/240,949号に関連し、その優先権を主張するものであり、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、義歯科、具体的には、歯科用ブリッジに関する。
【背景技術】
【0003】
歯科用ブリッジは、典型的には、陶歯を必要とする。その結果、患者は歯について、印象などによって測定されなければならず、歯は実験室から、基本的なブリッジで、実験室で作製された歯で注文されなければならない。これらの製造プロセスは、ブリッジが口に設置されるまで、少なくとも数日間は時間がかかる。陶歯が歯空間に合わない場合は、プロセスを繰り返す必要があり、追加的な時間がかかる。いくつかのブリッジは、歯科医の診療所で作製されてもよいが、製造及び設置にはかなりの時間が必要であり、典型的には時間がかかり、時には複数の同様の長さの予約が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、メリーランドブリッジなどの歯科用ブリッジを作製するための方法及びシステムを提供する。これらのメリーランドブリッジは、隣接する歯の舌側面に取り付ける反対側に配設されたウイングを有する義歯を含む。義歯は、既存の隣接する歯の間の空間を充填し、以前の歯、除去された歯、又は欠落している歯を置き換える。
【0005】
本明細書で別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又は試験に使用され得るが、例示的な方法及び/又は材料が、以下に記載される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が支配する。加えて、材料、方法、及び実施例は、単に例示であり、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書に記載される。詳細な図面を具体的に参照すると、示される詳細は、例として、かつ本発明の実施形態の例示的な説明の目的のためであることが強調される。これに関して、図面でとられた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0007】
ここで、注意は図面に向けられ、同様の参照番号又は文字は、対応する構成要素又は同様の構成要素を示す。以下の図面である。
【0008】
図1A】開示された実施形態による、歯科用ブリッジの作成に使用するためのマトリックスの前面斜視図及び背面斜視図である。
図1B】開示された実施形態による、歯科用ブリッジの作成に使用するためのマトリックスの前面斜視図及び背面斜視図である。
図2図1Aの線2-2に沿った、マトリックスの断面図である。
図3A-1】図1Aの線3A-3Aに沿ってとられたマトリックスの側面断面図である。
図3A-2】マトリックスの分離可能な部分を示すために使用される、図1Aの線2-2に沿ったマトリックスの断面図である。
図3B図3A-1の線3B-3Bに沿った断面図である。
図4】マトリックスで作製されたブリッジを補強するためにマトリックス内に配置された繊維スプリントを示すマトリックスの断面図である。
図5】下部歯列(歯)の頬側面から見た、複合材料で充填される例示的なプロセスにおける例示的なマトリックスを示す。
図6】下部歯列(歯)の頬側面から見た、例示的なプロセスに従って硬化されている例示的なマトリックスの材料を示す。
図7】下部歯列(歯)の舌側面から見た、開示された実施形態に従った例示的なプロセスによって生成されたメリーランドブリッジを示す。
図8】下部歯列(歯)の舌側面から見た、一実施形態による完成した補強ブリッジを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この文書全体を通して、内向き、外向き、内側、外側、上部、下部、側面などの方向及び配向に言及する。これらの方向及び配向への言及は、本発明及びその実施形態について記載し、説明するための例示的なものであり、いかなる方法でも限定的ではない。
【0010】
本開示は、メリーランドブリッジなどの歯科用ブリッジを作製するための方法及びシステムを提供する。これらのメリーランドブリッジは、隣接する歯の舌側面に取り付ける反対側に配設されたウイングを有する義歯を含む。義歯は、既存の隣接する歯の間の空間を充填し、以前の歯、除去された歯、又は欠落している歯を置き換える。メリーランドブリッジは、置き換えられた歯の形状に対応するマトリックスから、置き換えられた歯を固定するために、それぞれの隣接する歯に取り付けるための側面(横方向に配設された)ウイングで形成される。マトリックスは、置き換えられる歯のスポットに位置決めされ、硬化可能材料で充填され、材料は、硬化される。硬化すると、マトリックスが除去され、例えば、切断され、義歯は、ここで、義(交換)歯を支持するために、ウイングが接触し、隣接する歯に接着されて、それが置き換える前の歯の空間にある。ウイングは、硬化する前に、マトリックス内に配置され、ウイングにまたがるロッド、繊維、スプリントなどによって補強されてもよく、硬化するとメリーランドブリッジと一体になる。全ての材料、すなわち、マトリックス、硬化可能材料、及び任意選択の補強は、歯科医又は他の医療従事者に利用可能であり、例えば、紫外線(UV)光を使用する硬化は、硬化可能材料がUV光の存在下で硬化するので)、典型的には、数秒から数分を要し、プロセス全体が短時間、例えば、約1時間で実行され、1回の診療所訪問のみを必要とする。
【0011】
図1A及び1Bは、本開示の主題の実施形態によるマトリックス100を示す。マトリックス100は、顔側面又は頬側面102f及び口蓋側面又は舌側面102rを有する本体102を含む。本体102は、歯の形状に成形され、寸法決定される。本体102は、中空の内部又は空洞104(図2)を含む。横方向に配設されたアーム106は、空洞106aを含み、空洞106aは、例えば、顔側面又は頬側面102fで開放され、口蓋側面又は舌側面102rで閉鎖される。中空の内部又は空洞104及び空洞106aは、マトリックス100の内部空洞を形成する。本体102は、内部104が横方向に配設されたアーム106のそれぞれの空洞106a内に開口するように、横方向開口部106xを含む。長方形、1つ以上として示される開口部106x、アーム106、及び空洞106aは、例えば、形成されるブリッジ200のウイング222に応じて、正方形、丸みを帯びた、三角形、それらの組み合わせ、又は任意の他の形状であってもよい。例えば、横方向に配設されたアーム106は、形成されたブリッジの一部として、歯(例えば、図8の置き換えられた歯又は義歯220)から延在するウイング222(図8)の形成を支持し、ウイングは、隣接する歯204(図8)に取り付けられ、接着され、又はそうでなければ結合する。マトリックス100は、例えば、軸AA-AAを中心に対称である。
【0012】
少なくとも1つのアパーチャ108は、本体102上、例えば、顔側面又は頬側面102f上に位置するが、舌側面又は口蓋側面102r又は横方向側面にもあり得る。アパーチャ108は、アパーチャ108を介してマトリックスに材料を送達するためにシリンジ210(図4)を収容するように寸法決定される。アパーチャ108は、円形の形状であるが、正方形、長方形、丸みを帯びた、楕円形、三角形、それらの組み合わせなどの他の形状も、それらがシリンジ、針、又は他の注入構造を収容する場合に好適である。単一のアパーチャ108が示されているが、本体102の複数の位置及び/又は複数の側面にある複数のアパーチャも許容可能である。
【0013】
マトリックス100は、例えば、下部切歯のためにブリッジが形成される配向で、歯肉に接触するための側面100a及び口の開口部(図1B)に面するための切歯側面100bを有する、例示的な配向で示される。このように、マトリックス100は、下部歯列(下歯)にメリーランドブリッジなどのブリッジを形成するために使用されるが、上部歯列(上歯)のメリーランドブリッジのために容易に再配向される。例えば、マトリックス100のポンティックデザインは、歯肉表面の形状に対応するように、サドル形状(例えば、リッジラップ、卵形、又は修正)であってもよい。
【0014】
図2、3A-1、及び3A-2に示されるように、マトリックス100、すなわち、本体102は、例えば、線112の周りで互いに分離可能、例えば、除去可能に取り付け可能な2つのセクション110a、110bから形成される。図3Bでは、例えば、セクション110a、110bの縁部112a、112bは、例えば、雄(112b)-雌(112a)フィットが、例えば、材料が硬化し、ブリッジが完了した後に、セクション110a、110bが手動で互いから分離され、口から除去されることを可能にしながら、例えば、内部104及び空洞106への(横方向開口部106xを通る)材料の充填、及び硬化などの注入中にセクションを接合されたままにするのに十分な摩擦力によって、接合力で互いに係合するように対応して構成されている。セクション110a、110bは、図2、3A-1、及び3A-2の本体102に対して非対称として示されるが、本体102のセクション110a、110bは、対称であり得る。
【0015】
あるいは、マトリックス100、例えば、本体102は、分離可能なセクション110a、110b内にある必要はなく、アーム106の有無にかかわらず、単一の部材であってもよい。この場合、ブリッジ200が作製され、硬化されると、マトリックスは、ブリッジ200から切断され、除去されてもよい。
【0016】
本体102は、典型的には、セクション110a、110bに形成され、1つのセクション110bは、例えば、アーム106と一体に形成される。マトリックス100は、図6に示すように、本体102が、例えば、ブリッジ200の歯220を形成するように寸法決定されており、アーム106は、ブリッジ200のウイング222を形成するように寸法決定されているようなものである。アーム106を含むセクション110a、110bは、例えば、マトリックス100への光の通過を可能にするために、半透明又は透明材料などの光透過性材料で作製されており、マトリックス100には、以下に詳述されるように、以前に注入された流動性複合材料を硬化させるための紫外線(UV)光などの光が通過する。半透明又は透明材料は、医療グレードのアクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS、ナイロン、ケイ素化ゴムなどの熱可塑性材料を含み、これらは生体適合性、不活性及び無毒である。熱可塑性材料は、本体102、特にアーム106が曲がるように可撓性であり、その結果、隣接する歯に押し付けて、舌表面/口蓋表面に沿って、隣接する歯の形状(例えば、曲率又は経路)に対応できるようなものである。
【0017】
マトリックス100の材料(例えば、本体102及びアーム106)は、例えば、約0.025mm~0.5mmのほぼ均一な厚さである。マトリックス100は、典型的には使い捨て(例えば、単回使用)であるが、複数の使用のためのものであってもよい。
【0018】
注入された材料は、例えば、UV光硬化可能複合材料(材料)、又は他の硬化性(例えば、歯科用グレード)材料(硬化すると、例えば、天然歯の硬度に、又はより硬く硬化する)などの流動性及び修復性材料である。例示的な材料には、3M(ミネソタ州セントポール)のESPE 6020A3 Filtek(登録商標)Z250 Universal Restorative Refill、及びKerrのHerculite(登録商標)Ultra Flow Nanohybrid Flowable CompositeなどのUV光硬化可能複合材料が含まれる。UV光硬化可能材料は、例えば、図4に示されるように、本体102のアパーチャ108を通じてシリンジ210によって内部104に注入され、開口部106xを通じてアーム106の空洞106a内に流れる。シリンジ210は、例えば、1~4グラムのシリンジであってもよい。
【0019】
シリンジ210による注入は、(シリンジプランジャーの)圧力下にあり、注入された複合材料内の気泡及び気隙を排除する様式で、内部104及びアーム106(アーム空洞106a)を充填する。全ての気泡及び気隙が除去される結果として、酸素は歯科用複合材料に到達することができず、非酸素阻害層が内部104及びアーム106に形成され、その開放領域は隣接する歯に対して密封され、複合材料が以下に詳述されるように十分に硬化されることを可能にし、かつ血液、唾液、体液、他の汚染物質などからの複合材料の汚染を回避する。注入は、例えば、複合材料がアパーチャ108を通じてマトリックス100から出るときに完了する。
【0020】
例えば、マトリックス100は、例えば、係合及び除去可能に取り付け可能な単一部材110a、110bから形成され、例えば、図5~7に示されるように、下部切歯などの特定の歯(並びに隣接する歯及び口蓋表面によって形成される曲率)のために成形される。しかしながら、歯科の全ての歯は、本明細書に開示される方法でメリーランドブリッジの一部として生成されてもよい。
【0021】
図4は、ブリッジ200がロッド130、繊維、スプリント、又は他の補強構造によって補強されるマトリックス100を示す。ロッド130は、典型的には、アーム106の各々からまたがるように、マトリックス内に挿入される。流動性材料は、ロッド130が典型的には形成されたブリッジ200(図7及び8)を補強するように、空洞104及びアーム内に挿入される。例えば、ロッド130は、外科用グレードの金属、繊維などで作製されてもよいが、必要に応じて、本体102及びアーム106とともに曲がるように可撓性でなければならない。1つのロッド130が示されているが、複数のロッド、繊維、スプリント、又は他の補強構造も許容可能である。
【0022】
マトリックス100を使用して下歯202上にメリーランドブリッジ200、例えば、下部切歯を作製する例示的なプロセスが、例えば、図5、6及び7に示される。最初に、及び任意選択で、マトリックス100によって置き換えられる空間206に隣接する隣接する歯204、及び最終的には義歯220は、臨床医によって調製される。
【0023】
得られた義歯220(マトリックス100によって作製された)は、例えば、図5~8に示され、以下に詳述されるように、歯列の各(横方向)側面で隣接する歯204の隣に、それが置き換えようとしている歯の空間206に着座する。図5に示されるように、歯204の頬側面からの図では、マトリックス100は、102を有する本体が2つの隣接する(及び既存の)歯204と空洞106aの開放された頬側面102f(マトリックス100の頬(顔)側面又は前部102f側面)との間の空間206内に着座し、例えば、各隣接する歯204の舌側面(口蓋)又は内側面の各隣接する歯204に対して平坦になるように位置決めされている。マトリックス100は、接着剤などによって、臨床医による器具を用いて手動で、又は両方の組み合わせによって、隣接する歯204に対して保持されてもよい。
【0024】
マトリックス100が歯列(例えば、下部歯列)にしっかりと配置された状態で、複合材料は、例えば、図6に示されるように、アパーチャ108(歯の頬側面に面して、歯の頬側面からアクセスされる)を通じて、シリンジ210によってマトリックス100内に配置され、材料は内部104及び空洞106aを充填する(対角線に示される材料)。シリンジ210は、充填プロセス中に気泡が防止されるように、圧力下で動作する。複合材料は、本体102の内部104内に、開口部106xを通じて、それぞれのアーム106内の空洞106a内に流入し、流動性及び硬化可能材料(硬化性材料)は、隣接する歯204の内側(舌側面又は口蓋)表面上で接触している。例えば、気泡などがないように、マトリックス100が充填された状態で、光源212からの紫外線(UV)光(波長、パルス長)などの硬化光が、マトリックス100の材料を硬化させるために、例えば、図6に示すように、両側面102f、102r内でマトリックス100に適用される。
【0025】
UV光によって活性化された複合材料は、硬化する時間がある。硬化すると、マトリックス100は、セクション内に切断され、除去されることを含む器具を使用して、臨床医によって(線112の周りに分離することによって)セクション110a、110b内に分離される。2つのセクション110a、110bは、一度口から除去されると、図7に示すように、歯220及びウイング222を含むブリッジ200を露出させ、これらは現在、隣接する歯204に取り付けられており、例えば、取り付けは、材料の硬化によって引き起こされ、ブリッジ200の反対側面に配設されている。
【0026】
ここで、ブリッジ200の歯220は、成形、研磨、再表面処理、及び/又は研削器具を使用して臨床医によって成形されてもよく、歯220を既存の歯204に接合するためのウイング222(ブリッジ部分)も、研磨、成形、再表面処理などを行うことができる。補強部材、ロッド130、ストリップなどの1つ以上はまた、図8に示されるように、ブリッジ部分(ウイング)222にまたがるように、ブリッジ200内に配置されてもよい。
【0027】
マトリックス100及びその使用方法は、ヒトの歯について本明細書に示され、説明されているが、開示されたマトリックス及びその使用方法は、動物の歯にも好適である。
【0028】
開示の主題は、歯科用マトリックスを対象とする。歯科用マトリックスは、歯の形状に対応し、口腔歯列の空間に着座するための第1の部分と、第1の部分の各横方向側面に配設された第2の部分であって、第2の部分の各々が、空間に隣接するそれぞれの歯の上にある長さまで延在する、第2の部分と、第1及び第2の部分によって形成された内部空洞であって、第2の部分の各々の内部空洞が、空間に隣接するそれぞれの歯と連通するための開放側面を含む、内部空洞と、硬化可能材料を受容するための第1の部分又は第2の部分のうちのいずれか上の少なくとも1つのアパーチャと、を備える。
【0029】
任意選択で、歯科用マトリックスは、第1及び第2の部分が光半透明材料のものであるようなものである。
【0030】
任意選択で、歯科用マトリックスは、第1及び第2の部分が紫外線(UV)光半透明材料のものであるようなものである。
【0031】
任意選択で、歯科用マトリックスは、第1第2の部分が一体であるようなものである。
【0032】
任意選択で、歯科用マトリックスは、開放側面がそれぞれの隣接する歯に面するように構成されているようなものである。
【0033】
任意選択で、歯科用マトリックスは、開放側面が頬側面を含むようなものである。
【0034】
任意選択で、歯科用マトリックスは、少なくとも1つのアパーチャが内部空洞内に第1の部分を通って延在するようなものである。
【0035】
任意選択で、歯科用マトリックスは、少なくとも第1の部分が少なくとも2つのセクションに分離可能であるようなものである。
【0036】
任意選択で、歯科用マトリックスは、第2の部分が実質的に長方形の形状であり、互いに同軸であるようなものである。
【0037】
本開示は、義歯を形成し、口腔歯列に配置するための方法を対象とする。方法は、歯科用マトリックスを取得することであって、歯科用マトリックスが、歯の形状に対応し、口腔歯列の空間に着座するための第1の部分と、第1の部分の各横方向側面に配設された第2の部分であって、第2の部分の各々が、空間に隣接するそれぞれの歯の上にある長さまで延在する、第2の部分と、第1及び第2の部分によって形成された内部空洞であって、第2の部分の各々の内部空洞が、空間に隣接するそれぞれの歯と連通するための開放側面を含む、内部空洞と、硬化可能材料を受容するための第1の部分又は第2の部分のうちのいずれか上の少なくとも1つのアパーチャと、を備える、取得することを含む。歯科用マトリックスは、第1の部分が隣接する歯の間に着座し、かつ第2の部分の開放側面がそれぞれの歯と連通するように、口腔歯列内に配置されている。次のステップは、マトリックスの内部空洞を硬化性材料で充填すること、及び第2の部分の空洞を充填する材料がそれぞれの隣接する歯に接着するように、硬化性材料を硬化させることを含む。
【0038】
任意選択で、方法は、内部空洞を充填することが、第1の部分のアパーチャを通じて内部空洞内に硬化性材料を注入することを含むようなものである。
【0039】
任意選択で、方法は、硬化性材料が光硬化可能材料を含むようなものである。
【0040】
任意選択で、方法は、硬化性材料を硬化させることが、内部空洞の光硬化可能材料に光を適用することを含むようなものである。
【0041】
任意選択で、方法は、光硬化可能材料が紫外線光硬化可能材料を含み、光を適用することが紫外線光を適用することを含むようなものである。
【0042】
任意選択で、方法は、材料が硬化した後にマトリックスを除去することを追加的に含むようなものである。
【0043】
任意選択で、方法は、硬化性材料を硬化させる前に、それぞれの第2の部分の内部空洞間の内部空洞に補強構造を提供することを追加的に含むようなものである。
【0044】
任意選択で、方法は、補強構造がロッド、繊維、及び/又はスプリントのうちの1つ以上を含むようなものである。
【0045】
上記の説明は、例としてのみ機能することを意図しており、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で他の多くの実施形態が可能であることが理解されるであろう。
図1A
図1B
図2
図3A-1】
図3A-2】
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】