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特表2024-530816低温でボードを乾燥させるための乾燥機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】低温でボードを乾燥させるための乾燥機
(51)【国際特許分類】
   F26B 15/12 20060101AFI20240816BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20240816BHJP
   F26B 23/02 20060101ALI20240816BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
F26B15/12 B
F26B3/04
F26B23/02 A
F26B25/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515057
(86)(22)【出願日】2022-09-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022025424
(87)【国際公開番号】W WO2023036470
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021004578.5
(32)【優先日】2021-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520344556
【氏名又は名称】グレンツェバッハ ビーエスエイチ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストレットマンズ、クリストフ
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA03
3L113AB02
3L113AC04
3L113AC67
3L113BA26
3L113CA04
3L113CB03
3L113CB24
3L113DA02
(57)【要約】
乾燥機(1)を通じて搬送されるボードを、前記長手方向に互いに前後して延在し各々が複数の階層を有する複数の区間(3)内で、130℃未満の温度である加熱媒体を使用して乾燥させるための乾燥機(1)であって、前記ボードは、前記乾燥プロセス中に、前記階層の間を流れる暖かい空気を用いて前記ボードの前記長手方向に及び前記搬送方向に第1の区域(3)内で加熱され、前記ボードは、1つの又は第1の複数の区域内で第1の加熱器によって生成された暖かい空気によって、130℃未満の温度まで前記ボードの前記長手方向に及び前記搬送方向に第1の区域(3)内で加熱され得ること、及び前記空気は、前記ボードから水分を吸収した後に、少なくとも1つの第1の熱交換器(5)を通じて前記搬送方向と反対向きに前記乾燥機(1)から排出され得ることを特徴とする、乾燥機(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥機を通じて搬送されるボードを、長手方向に互いに前後して延在し各々が複数の階層を有する複数の区間内で、130℃未満の温度である加熱媒体を使用して乾燥させるための乾燥機であって、前記ボードは、乾燥プロセス中に、前記複数の階層の間を流れる暖かい空気を用いて前記ボードの前記長手方向に及び前記搬送方向に第1の区域内で乾燥され、前記ボードは、1つの区間内で又は第1の複数の区間内で第1の加熱器によって生成された暖かい空気を用いて、130℃未満の温度まで前記ボードの前記長手方向に及び前記搬送方向に第1の区域内で加熱され得ること、及び前記空気は、前記ボードから水分が吸収された後に、前記搬送方向と反対向きに少なくとも1つの第1の熱交換器を通じて前記乾燥機から排出され得る、乾燥機。
【請求項2】
前記少なくとも第1の熱交換器は、第1の管束によって形成されており、前記第1の管束の中で、前記暖かい空気が流れて通るにつれて前記ボードから水分を吸収した前記暖かい空気から水分が凝縮され得る、請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記ボードは、前記第1の区域の後に長手方向に延在しまた単一の区間又は第2の複数の区間を備える第2の区域内で、第2の加熱器によって加熱され得る、請求項1又は2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記暖かい乾燥機の空気は、それが前記第1の区域内で前記ボードから水分を吸収した後に前記第2の区域内で偏向され得、前記第1の熱交換器を通じて前記乾燥機から排出され得る、請求項3に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記第2の区域に隣接する第3の区域内の前記乾燥プロセス中に、前記第2の区域に隣接し単一の区間又は複数の区間を備える区域は、1つの区間又は複数の区間内で前記ボードの前記搬送方向に反して棚の間を流れる暖かい空気を用いて第3の加熱器によって前記長手方向に加熱され得ること、及び前記暖かい空気は、前記ボードからの水分の前記吸収の後に少なくとも1つの第2の熱交換器を通じて移送方向に前記乾燥機から排出され得る、請求項3に記載の乾燥機。
【請求項6】
前記少なくとも第2の熱交換器は、第2の管束によって形成されており、前記第2の管束の中で、前記第3の区域を通じて流れるときに前記ボードから水分を吸収した前記暖かい空気からの水分が凝縮され得る、請求項5に記載の乾燥機。
【請求項7】
前記乾燥機は、100℃未満の温度で低温乾燥機として使用され得る、請求項1又は2に記載の乾燥機。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の乾燥機を備える設備であって、前記設備はエネルギーを生成するための装置、特に光起電力システム又は風力発電システム又はヒートポンプ、又は再生エネルギーを生成するための別の装置を備え、その前記エネルギーは、乾燥対象の前記ボードを前記乾燥機を通じて駆動するために、及び/又はファンを動作させるために、及び/又は加熱手段によって前記ボードを加熱するために使用され得る、設備。
【請求項9】
乾燥機内でボードを乾燥させるための方法であって、前記ボードが、それらが130℃未満の温度で加熱手段を使用して長手方向に前記乾燥機を通じて搬送されている間に、複数の階層の間で流れる暖かい空気を用いて前記ボードの前記長手方向に及び前記搬送方向に第1の区域内で、第1の加熱器によって生成された暖かい空気を用いて130℃未満の温度まで前記ボードの前記長手方向に及び前記搬送方向に第1の区域内で加熱されること、及び前記空気は、前記ボードから水分を吸収した後に、前記搬送方向に反して少なくとも1つの第1の熱交換器を通じて前記乾燥機から排出される、方法。
【請求項10】
前記ボードは、前記第1の区域の後に前記長手方向に延在する第2の区域内で、第2の加熱器によって、特にガスヒーターによって加熱される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
乾燥プロセス中に、前記ボードは、1つの区間又は複数の区間内で前記ボードの前記搬送方向に反して前記複数の階層の間を流れる、第3の加熱器による暖かい空気を用いて、前記第2の区域に前記長手方向に隣接する第3の区域内で加熱されること、及び前記暖かい空気は、前記ボードからの水分の前記吸収の後に、少なくとも1つの第2の熱交換器を通じて移送方向に前記乾燥機から排出される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記暖かい空気は、ファンによって渦形状に前記乾燥機を通過する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のボードを乾燥するための乾燥機に関する。
【0002】
乾燥対象のボード、例えば石膏プラスターボード、石膏繊維ボード、又は他の鉱物接合ボード又はベニヤ板は、コンベヤシステムによって乾燥機を通じて搬送される。
【0003】
石膏プラスターボードは、表面及び長手方向側をボール紙で覆われている石膏芯材から本質的になる。石膏芯材は、石膏、及び防火性又は耐湿性などの技術的な特性をボードにもたらす様々な添加剤からなる。
【0004】
石膏焼成工場において、石膏はスタッコプラスタへと焼き上げられる。このプロセス中に、結晶体の水は熱によって除去され、これが石膏を凝固プラスタへと再結晶化させる。プラスターボードの生産のための後続の工場において、プラスタは、ミキサ内で様々な添加剤及び水と混ぜられる。液状プラスタ懸濁液は、それから均一に基部ボードへ適用される。ボード下部の縁部は折り返される。それからボード頂部が上方から糊付けされる。次に、その周りにボール紙が糊付けされた石膏プラスターボードのストランドが長い結合テープへ適用され、その上でそれが凝固し;連続的なストランドがそれから所望の長さへと切断される。湿ったプラスターボードは、それから裏返され、階層フィーダを介して乾燥機内の複数の階層へと搬送され、そこでそれらは複数の階層、典型的には8~14階層上で水平な姿勢で乾燥される。プラスターボードが必要な残留水分含有量に達するとすぐに、それらは加工及びスタックされて、送出の準備が整う。
【0005】
乾燥機は、例えば、ボードが通過する方向に同様の又は同一の様式で乾燥機内で繰り返される、乾燥チャンバ、区間又は同じ長さの区間からなる。乾燥機は、ボード、特にプラスターボードがそれを通過した後に乾燥したボードとして退出する、連続的に動作する連続的な乾燥機である。
【0006】
DE 10 2009 059 822 B4は、その中でボードが階層内の乾燥チャンバを通じて誘導されるボードを乾燥させるための乾燥機を開示し、ボードは衝突ジェット換気によって乾燥用空気と接触させられ、衝突ジェット換気は通風ノズルボックスによって確実にされる。
【0007】
WO 2019/105888 A1は、ボード、特にプラスターボードを乾燥させるための方法を開示し、この方法では、乾燥機を通じて移動するボードを乾燥させるために、第1の乾燥用媒体は第1の加熱手段を介して140℃を超える温度まで加熱され、それから加熱された第1の乾燥用媒体は熱い乾燥区域内のボード上へ誘導され;2つ又はそれより多くの熱回収手段が、熱い乾燥区域の排気ガス乾燥用媒体から熱を回収し、追加の加熱手段なく第2の乾燥用媒体を第1の乾燥用媒体の温度未満の温度まで加熱するために回収熱を活用するために設けられる。加熱された第2の乾燥用媒体は、その熱い乾燥区域の下流の複数の熱い乾燥区域内のボードへ誘導され、冷えた排気乾燥用媒体は下流の回収手段を介して上流の熱回収手段から誘導され;2つ又はそれより多くの熱回収手段の各々に関して、回収熱は、その熱回収手段に関連する1つ又は複数の熱い乾燥区域へと誘導される。
【0008】
低温範囲、すなわち150℃又はそれより低い温度において、特に100℃未満の温度において、標的化衝突ジェット換気のためのノズルボックスは、ここでは不均一な乾燥のリスクが存在せずしたがって不均一な乾燥によってボードが損傷され得ないので必要ない。この理由から、低温乾燥機におけるノズルボックスの使用は必要なく;乾燥対象のボードを長手方向及び/又は横断方向に暖かい空気を用いて換気すれば十分である。
【0009】
低温乾燥の利点は、それが好ましくは熱交換器又は暖かい空気を活用するための他の概念と組み合わせ得ることである。低温乾燥は多くの場合、環境にやさしい又はエネルギーを節約する方策と併せて実装される。この理由は、低温は低発熱熱源がエネルギーを生成するために使用され得るということを意味するからである。この例は、太陽熱収集器、又は他の工場構成要素からのプロセス排気であり、これらはこの領域において非常に効率的に使用される。
【0010】
それによってボードが低温で乾燥されることも可能な乾燥機を作成することが本発明の目的である。
【0011】
本発明に係り、この目的は特許請求項1において詳述されるように解決される。
【0012】
乾燥プロセス中に、ボードは、階層間を流れる第1の加熱器によって生成された暖かい空気を用いて、1つの区間内で又は第1の複数の区間内で好ましくは130℃未満の温度までボードの長手方向に及び搬送方向に第1の区域内で加熱され、その空気は、ボードから水分を吸収した後に搬送方向と反対方向に少なくとも1つの第1の熱交換器を通じて乾燥機から排出される。
【0013】
本発明はしたがって、本来であれば用いられる通常の200~300℃の代わりに、好ましくは100℃未満、特に50~90℃の乾燥温度を用いる低温乾燥機を有する乾燥概念に関する。しかしながら、本発明に係る低温乾燥機は、最大150℃までの温度においても使用され得る。そのような低温において、太陽熱収集器又はシステムの他の部分からのプロセス排気などの低発熱熱源を使用することが可能である。しかしながら、ボード、特に石膏プラスターボードの乾燥時間はより低い乾燥温度において長くなる。本発明に係る乾燥機は、通風されている。平坦なボード、例えばプラスターボードは、低温乾燥機内で水平方向に乾燥される。
【0014】
乾燥対象のボード、特に石膏プラスターボードの乾燥時間は数倍長いので、本発明は、それを通じてボードが水平方向に移送される少量の空間だけを占有する移送手段、特に小さな直径を有する移送ローラによって、乾燥機の床のルームユニットごとの乾燥対象のボードのための広い空間を生み出すことによって、現行技術と比較してより多数のボード、特に石膏プラスターボードがルームユニットごとに乾燥及び移送されることを可能にする石膏プラスターボードを乾燥するためのシステムを作成する。シート材料を乾燥する代わりに、本発明に係る乾燥機は、乾燥対象の材料のエンドレスのストランドを乾燥することにも好適である。
【0015】
低温で動作する乾燥機に、及び多数の階層、例えば40個の階層にわたって同時に低温乾燥機内で加工される多数のボード、特にプラスターボードに適合した乾燥システムが作成される。互いに上下に配置されている最大60個までの棚を備える低温乾燥機も、本発明によれば実現され得る。この場合、棚の高さは90及び150mmの間、例えば100mmである。乾燥対象のボードは、6~25mmの厚さを有する。ボードは、ローラコンベヤを形成し好ましい実施形態においてそのうちの全て又は少なくとも半分が駆動される移送ローラを介して搬送される。代替的な実施形態において、乾燥機は、内部でシートがコンベヤベルトを介して搬送されるベルト乾燥機である。
【0016】
このタイプの乾燥機は、例えば従来の高温乾燥器よりも30%少ないエネルギーを消費する。
【0017】
本発明に係る駆動システムと併せて多数の棚を使用することによって、ボード、特にプラスターボードのより長い滞在時間が、高温乾燥器の場合と同じ乾燥機の長さを有する低温乾燥機において実現され得る。
【0018】
本発明の有利な更なる実施形態も、特に図面と併せて、従属請求項及び説明から明らかである。
【0019】
本発明は、間接加熱を用いる低温乾燥機を提供する。好ましい実施形態において、この間接加熱は、乾燥チャンバへと導入されている管束を活用して実行され、当該乾燥チャンバの中で乾燥対象のボードから放出された水分が、水分で飽和した空気の形で凝縮する。潜熱として放出された凝縮熱が間接的に乾燥機内でボードを加熱する。間接加熱中に、乾燥対象の物品、特にボードは、移送の方向に対して横断方向に、乾燥機の少なくとも1つの区域内で換気されている。横断換気は、ボードからの水分の放出をサポートする。
【0020】
ここで、少なくとも第1の熱交換器は、第1の管束によって形成されており、当該管束の中で、暖かい空気が流れて通るにつれてボードから水分を吸収した当該暖かい空気から水分が凝縮する。本質的に水である凝縮した液体は、それから管束を通じて乾燥機の領域から流出し、それをボードを製造するプロセスへと、例えばミキサへと、フィードバックすることによって、又はボードの製造プロセスのために必要な化学物質の調製のために再利用され得る。
【0021】
この理由のみから、第1の区域内で又は第1の区域の上流の領域内で、熱交換器によって形成される第1の間接加熱器に加えて更なる加熱器によってボードを能動的に加熱することは概して必要ない。ボードは、例えば、水がミキサ内で石膏又はセメントに加えられた後の石膏又はセメントボードの場合と同様に、水和熱を放出し、この水和熱は、ボードが水分を含有するペースト状の石膏又はセメント塊から既に形成された後でも依然として放出され;したがって、水和熱は、同じく残留熱を表す第1の区域内の暖かい空気内に含有される水分の凝縮中に放出される潜熱と同じ方式で残留熱として活用され得る。
【0022】
したがって通常は、ボードの能動的加熱が第1の区域に続く第2の区域において提供される場合、乾燥プロセスを最適化すれば十分である。第2の区域は第1の区域の後に長手方向に延在し、また単一の区間又は第2の複数の区間を備える。第2の加熱器は、この第2の区域内に設けられ、これは例えば、1つのガスバーナ又は複数のガスバーナによって形成されている。
【0023】
ボードを更に加熱することに加えて、第2の区域の主な機能は、第1の区域内の空気がボードから水分を吸収した後の第1の区域からの暖かい空気の気流を偏向することである。好ましくは水分で飽和した空気は、それがここでボードの上方で第1の区域内のボードの流れの方向に反して熱交換器内に戻されるように、第2の区域内で熱交換器へと偏向される。これは、暖かい空気を冷やし;それが含有する水分のかなりの割合が熱交換器内で凝縮する。この相移行中に放出された熱は、第1の区域内で加熱のために再使用され得、これによりボードの乾燥を促進する。凝縮中に生産された水は、排水される。
【0024】
最後に、第3の区域が好ましくは、ボードの搬送方向に第2の区域に続いて設けられ、その中でボードの乾燥プロセスが継続される。第2の区域に隣接し、単一の区間又は複数の区間を備えるこの第3の区域内で、暖かい空気は、ボードの搬送方向に反して乾燥機の棚の間を流れ、第3の加熱器によって加熱され;この暖かい空気は、したがって第2の区域へと流れ、ボードから水分を吸収した後に、第1の熱交換器と同様に乾燥機の棚の上方に延在する少なくとも1つの第2の熱交換器によって搬送方向に乾燥機から排出される。
【0025】
少なくとも第2の熱交換器は、第2の管束によって形成されており、当該管束の中で、暖かい空気が第3の区域を通じて流れるにつれてボードから水分を吸収した当該暖かい空気から水分が凝縮し;この場合、同じく凝縮した液体が排出される。凝縮中に放出された潜熱は、第3の区域内のボードの更なる乾燥をサポートする。
【0026】
本発明に係る乾燥機は、100℃未満の温度で低温乾燥機として使用され得るが、より高い温度、例えば150℃未満でも使用され得る。
【0027】
公知の高温乾燥器と対照的に、本発明に係る低温乾燥機は、冷却区域の別個の使用を必要としない。
【0028】
高温乾燥器を使用する従来の乾燥において、高温は、システムの凝固ライン上で凝固中に反応によって形成されたばかりのいくらかの二水石膏の脱水につながる。硫酸カルシウム半水和物が再び形成される。これは望ましくない構造上の損傷であるが、これもまた本発明に係る低温乾燥機を用いて回避される。
【0029】
代わりに、生産されるボードにおける石膏又はセメントの緩やかな凝固が実現される。低温に好適であり、接着効果を生む加工でんぷんがここで使用される。
【0030】
熱交換器は、好ましくは管束によって形成され、これは必要な熱を提供しなければならない。乾燥機の熱要件に基づいて、乾燥機における管束からプラスターボードへの熱伝達が決定される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、滑らかな表面を有する管を備える管束及びリブ付き表面を有する管を備える管束の両方が使用される。これらのフィンは、例えばディスクフィンであり;しかしながら、管束の表面を大きくするための他の手段も実装され得る。
【0032】
本発明に係り使用される熱交換器は、したがって空気-空気熱交換器である。
【0033】
好ましくは、ファンが3つ全ての区域内に、ただし少なくとも第1の及び第3の区域内に存在し、これらが圧力勾配及びしたがってボードの搬送によって決定される主な流れ方向である長手方向の流れに対して横断方向である気流を生成し、その結果渦又は螺旋形の気流が2つの流れ方向の重ね合わせによって形成される。
【0034】
長手方向の流れに対する横断の流れの割合、つまり渦ピッチ角度は、乾燥機における空気の滞在時間に影響する。この角度、又は、代替的に又は更に、乾燥機内で計測される水分は、そのタスク変数が、乾燥対象のシート又は連続的な材料内の乾燥機の終端部で維持されるべき水分である制御回路における基準変数として好適である。
【0035】
第1の区域内の空気は、第1の区域の空気-空気熱交換器において最大60~90℃まで加熱される。第2の区域において、乾燥用空気は複数のガスバーナを使用して約90~95℃まで加熱される。水分のほとんどが、この区域内でボードから蒸発する。湿り空気はそれから、第1の区域内の熱交換器の内側を通じてボードの進行方向に反して流れる。フィン付き管内の排気は冷え、それが含有する水のおよそ48%が凝縮する。プロセス中に放出される熱は、未使用の乾燥用空気を加熱するために再び使用される。
【0036】
再循環される凝縮熱は、例えば、第1の区域内の熱の総量の三分の一よりも多くの割合を占める。
【0037】
第2の区域内の少なくとも1つのファンは、連続的な陰圧を生成し、これにより第1の熱交換器へと気流を方向転換するために使用される。
【0038】
したがって、再循環ファンとして機能する少なくとも1つのファンは、区域ごとに設けられる。これは、ボードの搬送方向に対して横断する二次的な流れを生成する。二次的な流れは、管束における熱伝達をサポートし、乾燥対象のボードの周りの集約的な流れ及びそこでのより良好な熱伝達を確実にもする。熱い空気の乾燥温度は60℃である。空気は、1回の流れの通過の後には、例えば45℃まで冷えていることが仮定される。ボードの温度は、その時、例えば40℃である。
【0039】
熱交換器、特に管束内での圧力損失を把握することは、乾燥用空気の流れを生成及び分散するファンモータの設計を決定することを可能にする。
【0040】
圧力勾配が水分を除去するために乾燥機内で生成され;好ましくは、この圧力勾配は、第2の区域内に配置された圧力側ファンによって第1の区域内で、特に第1の区域の熱交換器の階層において実現され、湿り空気を熱交換器へと押しやる。代替的に又は更に、熱交換器内の除湿済み空気は、乾燥機の入口側及びしたがって第1の区域上に配置されているファンによって引き出される。
【0041】
入口側のファンに加えて、又はその代替として、煙突が入口領域に設けられ、これは同じく陰圧を生成し、除湿済み空気を乾燥機から外に誘導する。
【0042】
湿った空気を第2の区域から第1の区域へと方向を変えるために、特に少なくとも1つのファンがそこに、特にその付近に存在する場合、誘導又は偏向手段、特に誘導プレート、スロットルプレート、バッフルプレート、又は偏向プレートがそこに配置される。同じことが、第2の区域から第3の区域への空気の偏向に当てはまる。少なくとも1つのファンが同じくこのために第2の区域内で使用され、これがボードの移送方向に反して第3の区域から引き入れられた空気をボードの移送方向にある熱交換器へと押しやる。代替的に又は更に、乾燥機の出口側で、追加のファンが乾燥機から外に流れる空気を吸引する。
【0043】
本発明はまた、上記で説明された乾燥機を備えるシステムに関する。システムは、それがエネルギーを生成するための装置、特に光起電力システム又は風力発電システム又はヒートポンプ、又は再生エネルギーを生成するための別の装置を備え、そのエネルギーは、乾燥対象のボードを乾燥機を通じて駆動するために、及び/又はファンを動作させるために、及び/又は加熱手段によってボードを加熱するために使用され得ることを特徴とする。
【0044】
本発明はまた、乾燥機内のボードを乾燥させるための方法に関する。この方法は、ボードが、それらが加熱手段を使用して130℃未満の温度で長手方向に乾燥機を通じて搬送されている間に、1つの区間内で又は第1の複数の区間内で棚間を流れる第1の加熱器によって生成された暖かい空気を用いて、130℃未満の温度までボードの長手方向に及び搬送方向に第1の区域内で加熱されること、及びその空気が、ボードから水分を吸収した後に、搬送方向と反対方向に少なくとも1つの第1の熱交換器を通じて乾燥機から排出されることを特徴とする。
【0045】
本発明は、実施形態例を参照して下記でより詳細に説明される。それは以下を示す:
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】ボードを乾燥させるための3つの区域を有する乾燥機の概略図である。
図2】第1の又は第3の区域内の乾燥機を通しての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ボード2を乾燥するための乾燥機1(図1図2)は、公知の様式で複数のフィールド又は区間3へと分割され、その長さは加工されるボード2の長さにおおよそ対応する。例えば、石膏ボードを乾燥するための乾燥機は、石膏ボード2の長さに対応する2400mmの長さを有する区間3を有する。
【0048】
区間3の第1のグループは、第1の区域4を形成し、その中でボード2は、最初に乾燥機1の搬送方向Rに60及び75℃の間の温度で暖かい空気に曝され、当該暖かい空気は区域4の上方に位置し、例えば管束によって形成される熱交換器5によって提供される。暖かい空気は、ボード2の上方を搬送方向Rに通過し、当該ボードは、互いに上下に重なる例えば40個の階層内に配置されている。
【0049】
同じく複数のボード2を包含する第2の区域6において、この気流は、搬送方向Rに反して矢印P1の方向に熱交換器5へと偏向され、その中で区域4内でボード2から水分を吸収した暖かい空気がこの水分のいくらかを凝縮を通じて再び失い;区域4内で放出された潜熱は、熱交換器5から棚へ戻ってボード2に戻され、一方で熱交換器5内で凝縮した液体は乾燥機1から排出される。
【0050】
区域6は、ボード2を90及び95℃の間の温度まで加熱するためにも使用される。この目的のために、例えばガスバーナの形の加熱器41、42、43が、区域6内に設けられている。
【0051】
区域6に区域8が続き、当該区域8は区域4と同様に熱交換器7を備え付けられ;区域8において、ボード2の上方の暖かい空気の温度は60及び75℃の間の温度まで下がり、それによって空気は再びボード2から水分を吸収し、矢印R1の方向にボード2の搬送方向Rに反して流れ、それが水分で飽和した後に、その水分を凝縮によって熱交換器7へと区域6の領域内で再び放出し、それによってその空気が矢印P2の方向に熱交換器7へと流れ、その結果それはこの中をボード2の搬送方向に流れる。
【0052】
熱交換器5、7の両方が、好ましくは管束9(図2)として設計される。好ましくは乾燥機1の長さ全体にわたって延在しているファン10は、渦又は螺旋形の気流を生成するための再循環ファンとして設計されており;ファン10は、ボード2から水分を吸収した空気をボード2を移送するための棚の側部に配置されているチャンバ11を介して熱交換器5、7の管束9を経由して誘導し、その空気を誘導してチャンバ12を通じてボード2へ戻す。
【0053】
図1中で示されるファン13などのファンも、好ましくは、入口及び出口側で乾燥機1から外に空気を誘導するために、及び熱交換器5、7からそれを吸い出すために乾燥機1の正面端部に配置される。
【0054】
ファン10は、好ましくは、内部でボード2がローラコンベヤによって棚上で移送されるフィールド3の上方の天井ボックス内に配置されている。チャンバ11、12は、フィールド3の側部に設けられ、その内部で暖かい空気が渦状に流れ、一方でそれは同時に乾燥機1を通じて誘導される。
図1
図2
【国際調査報告】