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特表2024-530820消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/38 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H01H50/38 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515409
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2022116780
(87)【国際公開番号】W WO2023036062
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202122196800.3
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215954
【氏名又は名称】シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Xiamen Hongfa Electric Power Controls Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.93 Yinong Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361027,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ウェングアン
(72)【発明者】
【氏名】ス,リジ
(72)【発明者】
【氏名】シエ,フォンジュ
(57)【要約】
消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーであって、2つの固定接点引出端及び1つの可動接触子を含み、可動接触子は、2つの固定接点引出端の下方に配置され、且つ可動接触子の両端は、可動接点として、2つの固定接点引出端の固定接点としての底端にそれぞれ対応して協働し、可動接触子の長手方向の両端の外側において可動接点と固定接点との接触位置に対応して第1永久磁石がそれぞれ配置され、第1永久磁石の極性を有する面は対応する可動接点に向き、可動接触子の上において、2つの固定接点引出端の間の位置には、各可動接点と固定接点との接触位置に対応してさらに1つの第2永久磁石がそれぞれ設けられ、且つ第2永久磁石の極性を有する面は対応する第1永久磁石の極性を有する面に向き、その極性を第1永久磁石の可動接点に向かう面の極性と逆にする。本発明は、引出端での磁場強度を強化させることができ、これにより、製品の消弧能力を増強し、製品の消弧効果を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの固定接点引出端及び1つの可動接触子を含み、前記可動接触子は、2つの固定接点引出端の下方に配置され、且つ前記可動接触子の両端は、可動接点として、2つの固定接点引出端の固定接点としての底端にそれぞれ対応して協働し、前記可動接触子の長手方向の両端の外側において前記可動接点と前記固定接点との接触位置に対応して第1永久磁石がそれぞれ配置され、且つ2つの前記第1永久磁石の極性を有する面は対応する前記可動接点と前記固定接点との接触位置にそれぞれ向く消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーであって、
前記可動接触子の上において、2つの前記固定接点引出端の間の位置には、各前記可動接点と前記固定接点との接触位置に対応してさらに1つの第2永久磁石がそれぞれ設けられ、前記第2永久磁石の極性を有する面は対応する前記第1永久磁石に向き、且つ前記第2永久磁石の極性を有する面の極性を、前記第1永久磁石の前記可動接点と前記固定接点との接触位置に向かう面の極性と逆にする
ことを特徴とする消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項2】
前記第2永久磁石の磁極面は、前記第1永久磁石の磁極面より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項3】
前記可動接触子は、前記第1永久磁石の高さ方向の中間位置に対応する
ことを特徴とする請求項2に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項4】
2つの前記第2永久磁石は、それぞれ前記可動接触子の長手方向の中心線の両側に対称に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項5】
前記第2永久磁石は、前記可動接触子の上面又は下面に貼着固定される
ことを特徴とする請求項4に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項6】
前記可動接触子の上面又は下面には、下向き又は上向きに凹んだ凹溝が設けられ、前記第2永久磁石の少なくとも一部は、前記凹溝に嵌め込まれる
ことを特徴とする請求項4に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項7】
前記2つの第2永久磁石は2つの単独の部品であり、前記2つの第2永久磁石の間に所定のピッチを有する
ことを特徴とする請求項4に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項8】
前記2つの第2永久磁石は一体に接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項9】
前記高圧直流リレーは、前記2つの第1永久磁石にそれぞれ配置される2つの第1U型ヨークをさらに含み、前記2つの第1U型ヨークのU型の底壁は、対応する前記第1永久磁石の対応する前記可動接点に背向する面にそれぞれ接触し、前記2つの第1U型ヨークのU型の両側壁は、前記可動接触子の幅方向の両側にそれぞれ配置され、且つ対応する前記可動接点に対向する
ことを特徴とする請求項1に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項10】
前記可動接触子の長手方向の中間位置には、短絡抵抗構造がさらに取り付けられ、前記短絡抵抗構造は、所定のピッチを有するように前記2つの第2永久磁石の間に位置する
ことを特徴とする請求項7に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項11】
前記短絡抵抗構造は、短絡防止リングである
ことを特徴とする請求項10に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【請求項12】
前記短絡防止リングは、2つの一字型上部アーマチュアと2つのU型下部アーマチュアが協働して形成され、前記可動接触子の長手方向の中間には前記可動接触子の厚さを貫通する貫通孔が設けられ、前記2つの一字型上部アーマチュアは前記高圧直流リレーのプッシュロッド部材のU型ブラケットの頂部に固定され、前記2つのU型下部アーマチュアは前記可動接触子にそれぞれ固定され、且つ前記2つのU型下部アーマチュアの側壁は前記可動接触子の貫通孔を貫通し、前記2つのU型下部アーマチュアの頂端はいずれも前記可動接触子の上表面から露出し、前記2つの一字型上部アーマチュアにそれぞれ対応して協働し、前記可動接触子が通電して生成した環状磁場を利用して、前記一字型上部アーマチュアと前記U型下部アーマチュアとから形成された環状部材において閉磁気回路を形成する
ことを特徴とする請求項11に記載の消弧能力を向上させることができる高圧直流リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本発明は、2021年9月10日に出願された出願番号が202122196800.3である中国特許出願の優先権を主張するものであり、当該中国特許出願の開示全体をここに参照のために組み込む。
【0002】
本発明は、リレー技術分野に関し、特に消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーに関する。
【背景技術】
【0003】
高圧直流リレーは、高電力を処理する能力を持つリレーであり、高圧、大電流などの過酷な条件下でも従来のリレーとは比較にならない信頼性と使用寿命が長いなどの特徴があり、新エネルギー自動車分野などのさまざまな分野に広く応用されている。従来技術における高圧直流リレーは、可動接触子直動式構造を採用しており、その接触部分は2つの固定接点及び1つの可動接触子を用い、2つの固定接点は、セラミックカバー(又はケース)の頂部に取り付けられ、2つの固定接点(即ち固定接点引出端)の底端はセラミックカバー内に延長され、可動接触子は直動式でセラミックカバー内に分布し、可動接触子の両端は可動接点として2つの固定引出端の固定接点としての底端とそれぞれ合わせ、可動接触子の両端の可動接点が2つの固定接点の底端の固定接点と接触する場合、電流はその中の1つの固定接点から流入し、可動接触子を通過した後に他の固定接点から流出する。可動接触子は、プッシュロッド部材の一端に取り付けられ、プッシュロッド部材の他端は磁気回路部分の可動鉄心に接続され、コイルに電流を流してプッシュロッド部材を上向きに移動させる場合、可動接触子の両端は2つの固定接点にそれぞれ接触し、負荷がオンされ、コイルの電流が遮断される場合、プッシュロッド部材はリターンスプリングの作用を受けて下向きに移動し、可動接触子の両端は2つの固定接点からそれぞれ分離し、負荷がオフされる。従来技術において、このような高圧直流リレーは一般的に永久磁石を用いて消弧し、最も典型的な永久磁石の配置手段は可動接触子の長手方向の両端の外側にそれぞれ1つの永久磁石を配置することであり、2つの永久磁石を利用して消弧を実現する。従来技術において、このような二重永久磁石による消弧手段はアークフローの方向が良好であり、無極性の要件を達成するが、磁場強度が弱く、特に、アーク発生箇所(即ち、引出端の中心箇所)は、引出端に近づくほど磁気誘導強度が次第に弱くなるようになり、大負荷製品に対して、セラミックキャビティがより大きく、消弧部分がアーク発生箇所に到達する磁場強度がより小さく、消弧効果がよくなく、新エネルギー自動車、エネルギー貯蔵アイテムのシステム負荷に対する向上ニーズを満たすことができない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーを提供することであり、構造改善により、引出端での磁場強度を強化させることができ、これにより、製品の消弧能力を増強し、製品の消弧効果を向上させる。
【0005】
本発明は、その技術的問題を解決するために用いられる技術的解決手段は以下の通りである:消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーであって、2つの固定接点引出端及び1つの可動接触子を含み、前記可動接触子は、2つの固定接点引出端の下方に配置され、且つ前記可動接触子の両端は、可動接点として、2つの固定接点引出端の固定接点としての底端にそれぞれ対応して協働し、前記可動接触子の長手方向の両端の外側において可動接点と固定接点との接触位置に対応して第1永久磁石がそれぞれ配置され、且つ2つの前記第1永久磁石の極性を有する面は対応する可動接点にそれぞれ向き、可動接触子の上において、2つの固定接点引出端の間の位置には、各可動接点と固定接点との接触位置に対応してさらに1つの第2永久磁石がそれぞれ設けられ、前記第2永久磁石の極性を有する面は対応する前記第1永久磁石に向き、且つ前記第2永久磁石の極性を有する面の極性を、前記第1永久磁石の可動接点に向かう面の極性と逆にする。
【0006】
前記第2永久磁石の磁極面は、前記第1永久磁石の磁極面より小さい。
【0007】
前記可動接触子は、第1永久磁石の高さ方向の中間位置に対応する。
【0008】
前記2つの第2永久磁石は、それぞれ前記可動接触子の長手方向の中心線の両側に対称に設けられている。
【0009】
前記第2永久磁石は、前記可動接触子の上面又は下面に貼着固定される。
【0010】
前記可動接触子の上面又は下面において、前記第2永久磁石に対応する位置には下向き又は上向きに凹んだ凹溝が設けられ、前記第2永久磁石の少なくとも一部は、前記凹溝に嵌め込まれる。
【0011】
前記2つの第2永久磁石は2つの単独の部品であり、2つの第2永久磁石の間に所定のピッチを有する。
【0012】
前記2つの第2永久磁石は一体に接続されている。
【0013】
前記高圧直流リレーは、2つの第1永久磁石にそれぞれ配置される2つの第1U型ヨークをさらに含み、2つの第1U型ヨークのU型の底壁は、対応する第1永久磁石の対応する可動接点に背向する面にそれぞれ接触し、2つの第1U型ヨークのU型の両側壁は、可動接触子の幅方向の両側にそれぞれ配置され、且つ前記対応する可動接点に対向する。
【0014】
前記可動接触子の長手方向の中間位置には、短絡抵抗構造がさらに取り付けられ、前記短絡抵抗構造は、所定のピッチを有するように2つの第2永久磁石の間に位置する。
【0015】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0016】
1、本発明は、可動接触子の上面において、2つの固定接点引出端の間の位置には、各可動接点と固定接点との接触位置に対応してさらに1つの第2永久磁石がそれぞれ設けられ、且つ第2永久磁石の極性を有する面は対応する第1永久磁石の極性を有する面に向き、その極性を第1永久磁石の可動接点に向かう面の極性と逆にする。本発明のこのような構造は、第2永久磁石が位置する特定の位置を利用して第1永久磁石の水平磁場の可動接点と固定接点との接触位置での強度を増強し、特に引出端の中心箇所(即ちアーク発生箇所)の磁場強度を増強し、アーク発生瞬間の磁気吹き消弧の速度を加速させることができる。
【0017】
2、本発明は、可動接触子の長手方向の中間位置に短絡抵抗構造がさらに取り付けられることにより、前記短絡抵抗構造は、所定のピッチを有するように2つの第2永久磁石の間に位置する。本発明のこのような構造は、短絡抵抗構造と2つの大きい永久磁石(即ち第1永久磁石)とを合わせた中間位置に2つの小さい永久磁石(即ち第2永久磁石)が挿入されることに相当し、短絡抵抗構造と大きい永久磁石との間に小さい永久磁石が挿入されていない場合、大きい永久磁石の磁場は、短絡抵抗構造による短絡抵抗効果に影響を与えるが、小さい永久磁石が挿入された場合、小さい永久磁石は、大きい永久磁石の磁場に対して磁気吸引作用を有し、大きい永久磁石の磁場の短絡抵抗構造への影響を阻止する。
【0018】
以下では図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明に係る消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーは実施例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面を参照しながら、例示的な実施形態を詳細に説明し、本発明の上記及び他の特徴とメリットは、より明瞭となる。
図1】本発明に係る消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーの実施例1の一部分の構造の斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の上面図である。
図4図3のA-A線に沿う断面図である。
図5】本発明に係る消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーの実施例2の一部分の構造の斜視図である。
図6図5の正面図である。
図7図5の上面図である。
図8図6のB-B線に沿う断面図である。
図9図7のC-C線に沿う断面図である。
図10】本発明の実施例2における永久磁石と短絡防止リングとの作用を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して、例示的な実施形態についてより詳細に説明する。しかしながら、例示的な実施形態は様々な形態で実施することができ、本明細書で説明する実施形態に限定されると理解されるべきではない。本明細書では、アイコンの1つのコンポーネントの他のコンポーネントに対する相対的な関係を記述するために「上」、「下」などの相対的な用語を使用しているが、これらの用語は、本明細書では便宜上、例えば図面に記載された例に従った方向にのみ使用される。アイコンのデバイスを上下逆に反転させると、「上」に述べたコンポーネントが「下」にあるコンポーネントになることが理解できる。他の相対的な用語、例えば「頂」、「底」なども同様の意味を持つとしている。構造物が他の構造物に「上」にある場合、構造物が他の構造物に一体的に形成されていることを意味したり、構造物が他の構造物に「直接」設置されていることを意味したり、構造物が他の構造物に「間接的」に設置されていることを意味したりすることがある。
【0021】
実施例1
図1図4に示すように、本発明に係る消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーは、2つの固定接点引出端1及び1つの可動接触子2を含む。前記可動接触子2は、2つの固定接点引出端1の下方に配置され、且つ可動接触子2の両端は、可動接点として、2つの固定接点引出端1の固定接点としての底端にそれぞれ対応して協働する。可動接触子2の長手方向の両端の外側において可動接点と固定接点との接触位置に対応して第1永久磁石3がそれぞれ配置され、且つ2つの第1永久磁石3の極性を有する面は対応する可動接点にそれぞれ向く。可動接触子2の上において、2つの固定接点引出端1の間の位置には、各可動接点と固定接点との接触位置に対応してさらに1つの第2永久磁石4がそれぞれ設けられ、第2永久磁石4の極性を有する面は対応する第1永久磁石3の極性を有する面に向き、第2永久磁石4の可動接点に向かう面の極性を第1永久磁石3の可動接点に向かう面の極性と逆にする。
【0022】
本実施例において、図3図4に示すように、可動接触子2の一端(左端)に対応する第1永久磁石3の可動接点に向かう面(即ち右に向かう面)の磁気極性をN極とし、可動接触子2の他端(右端)に対応する第1永久磁石3の可動接点に向かう面(即ち左に向かう面)の磁気極性もN極とし、可動接触子2の一端(左端)に対応する第2永久磁石4の極性を有する面(即ち左に向かう面)は、対応する第1永久磁石3の極性を有する面(即ち右に向かう面)に向き、第2永久磁石4の左に向かう面の極性を第1永久磁石3の右に向かう面の極性と逆にし、可動接触子2の左端の第2永久磁石4の左に向かう面の磁気極性をS極とする。同様に、可動接触子2の他端(右端)に対応する第2永久磁石4の右に向かう面の磁気極性をS極とする。可動接触子2の左端については、第1永久磁石3の磁力線は、右方向へ発散し、左側の固定接点引出端1の右側に第2永久磁石4のS極を有するので、第1永久磁石3の磁力線は、左側の固定接点引出端1の中心箇所へ集まって、第1永久磁石3の磁場の可動接点と固定接点との接触位置での強度を増強することができ、特に引出端の中心箇所(即ちアーク発生箇所)の磁場強度を増強し、アーク発生瞬間の磁気吹き消弧の速度を加速させ、同様に、可動接触子2の右端については、第1永久磁石3の磁力線は、左方向へ発散し、右側の固定接点引出端1の左側に第2永久磁石4のS極を有するので、第1永久磁石3の磁力線は、右側の固定接点引出端1の中心箇所へ集まる。
【0023】
本実施例において、前記第2永久磁石4の磁極面は、前記第1永久磁石3の磁極面よりも小さく、即ち、第1永久磁石3は、大きい永久磁石であり、第2永久磁石4は、小さい永久磁石である。
【0024】
本実施例において、前記可動接触子2は、第1永久磁石3の高さ方向の中間位置に対応する。
【0025】
本実施例において、前記2つの第2永久磁石4は、前記可動接触子2の長手方向の中心線の両側に対称に設けられている。
【0026】
本実施例において、前記第2永久磁石4は、前記可動接触子2の上面に貼着固定される。勿論、前記可動接触子の上面において、前記第2永久磁石に対応する位置には下向きに凹んだ凹溝が設けられ、第2永久磁石の底部の一部が前記凹溝に嵌め込まれるという構成としてもよい。また、第2永久磁石4が前記可動接触子2の下面又は前記可動接触子の下面に貼着固定され、前記第2永久磁石に対応する位置には上向きに凹んだ凹溝が設けられ、第2永久磁石の頂部の一部が前記凹溝に嵌め込まれるという構成としてもよい。
【0027】
本実施例において、前記2つの第2永久磁石4は、2つの単独の部品であり、2つの第2永久磁石4の間に所定のピッチを有する。
【0028】
本実施例において、前記高圧直流リレーは、2つの第1永久磁石3にそれぞれ配置される2つの第1U型ヨーク5をさらに含み、2つの第1U型ヨーク5のU型の底壁51は、対応する第1永久磁石3の対応する可動接点に背向する面にそれぞれ接触し(本実施例では第1永久磁石3のS極)、2つの第1U型ヨーク5のU型の両側壁52は、可動接触子2の幅方向の両側にそれぞれ配置され、且つ対応する可動接点に対向する。
本発明に係る消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーは、可動接触子2の上において、2つの固定接点引出端1の間の位置には、各可動接点と固定接点との接触位置に対応してさらに1つの第2永久磁石4がそれぞれ設けられ、且つ第2永久磁石4の極性を有する面は対応する第1永久磁石3の極性を有する面に向き、その極性を第1永久磁石3の可動接点に向かう面の極性と逆にする。本発明のこのような構造によれば、第2永久磁石4が位置する特定の位置を利用して、第1永久磁石3の水平磁場の可動接点と固定接点との接触位置での強度(即ち元の磁場の向きを変える)を増強することができ、特に引出端の中心箇所(即ちアーク発生箇所)の磁場強度を増強することができ、これにより、アーク発生瞬間の磁気吹き消弧の速度を加速させる。
【0029】
実施例2
図5図10に示すように、本発明に係る消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーと実施例1と異なることは、前記可動接触子2の長手方向の中間位置に短絡抵抗構造がさらに取り付けられること、及び前記短絡抵抗構造が所定のピッチを有するように2つの第2永久磁石4の間に位置することである。
【0030】
本実施例において、短絡抵抗構造は、短絡防止リング6であり、短絡防止リング6は、2つの一字型上部アーマチュア61と2つのU型下部アーマチュア62が協働して形成される。可動接触子2の長手方向の中間には可動接触子2の厚さを貫通する貫通孔が設けられ、2つの一字型上部アーマチュア61は一般的にリベット締め又は溶接方式でリレーのプッシュロッド部材のU型ブラケット7の頂部に固定され、2つのU型下部アーマチュア62はリベット締め方式で前記可動接触子2にそれぞれ固定され、且つ2つのU型下部アーマチュア62の側壁は可動接触子2の貫通孔を貫通し、2つのU型下部アーマチュア62の頂端はいずれも前記可動接触子の上表面に露出し、2つの一字型上部アーマチュア61にそれぞれ対応して協働し、可動接触子が通電して生成した環状磁場を利用して、一字型上部アーマチュア61とU型下部アーマチュア62とから形成された環状部材において閉磁気回路を形成し、吸引力を生成して可動接触子2に作用し、電動反発力に抵抗するという目的を達成する。本実施例の短絡防止リング6は、2つの磁気回路を有し、磁気回路が飽和しにくく、接点圧力の増加がより大きく、磁気回路が生成する吸引力がより大きい。
【0031】
本実施例において、図10に示すように、短絡防止リング6の近傍に第2永久磁石4を有するので、第2永久磁石4の磁場への作用には二面性があり、短絡防止リング6の吸引力(図10における2つの短絡防止リング6の左側に現れる)を高める一方で、第2永久磁石4の反発力によって短絡防止リング6の吸引力(図10における2つの短絡防止リング6の右側に現れる)を弱める。
【0032】
本発明に係る消弧能力を向上させることができる高圧直流リレーは、可動接触子2の長手方向の中間位置には、短絡抵抗構造、即ち短絡防止リング6がさらに取り付けられ、前記短絡防止リング6は、所定のピッチを有するように2つの第2永久磁石4の間に位置する。本発明のこのような構造によれば、短絡抵抗構造6と2つの大きい永久磁石3(即ち第1永久磁石)の中間に小さい永久磁石4(即ち第2永久磁石)が挿入され、小さい永久磁石がない場合、大きい永久磁石の磁場は、短絡抵抗構造による短絡抵抗効果に影響を与えるが、小さい永久磁石が設けられた場合、小さい永久磁石は、大きい永久磁石の磁場に対して磁気吸引作用を有し、大きい永久磁石の磁場の短絡抵抗構造への影響を阻止する。
【0033】
本発明は、本明細書で提案された構成要素の詳細な構造及び配置方法に適用を限定しないことが理解されるべきである。本発明は他の実施形態を有することができ、様々な方法で実現し、実行することができる。前述の変形形態及び変形形態は、本発明の範囲内にある。本明細書に開示され限定された本発明は、文中及び/又は図面に記載されているか、又は明らかな2つ以上の別個の特徴のすべての代替的な組み合わせに拡張されていることが理解されるべきである。これらの異なるすべての組み合わせは、本発明の複数の代替可能な態様を構成する。本明細書に記載の実施形態は、本発明を実現するための最良の方法が知られており、当業者が本発明を利用できるようにすることを説明する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】