(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】局所麻酔剤-粘土複合組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240816BHJP
A61P 23/02 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/245 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/435 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/451 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20240816BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240816BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240816BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240816BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240816BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P23/02
A61K31/245
A61K31/435
A61K31/167
A61K31/451
A61K31/445
A61K31/381
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/08
A61K47/34
A61K47/06
A61K47/20
A61K47/12
A61K47/18
A61K9/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515474
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2021117393
(87)【国際公開番号】W WO2023035173
(87)【国際公開日】2023-03-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524088870
【氏名又は名称】アンドロス ファーマシューティカルズ シーオー.,エルティディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チァン,ヤン-チゥー
(72)【発明者】
【氏名】ロ,チー-シォン
(72)【発明者】
【氏名】イェン,メイ-ウェン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076BB11
4C076BB31
4C076CC01
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4C086MA05
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4C086MA66
4C086NA11
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4C206GA31
4C206KA01
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4C206MA47
4C206MA83
4C206MA86
4C206NA11
4C206ZA03
(57)【要約】
【解決手段】局所適用のための麻酔薬組成物は、(a)治療有効量の少なくとも1つの薬学的活性剤と、(b)少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルと、(c)少なくとも1つの粘土とを含み、前記薬学的活性剤は、エステル型麻酔剤またはアミド型麻酔剤である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所適用のための麻酔薬組成物であって、
(a)治療有効量の少なくとも1つの薬学的活性剤と、
(b)少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルと、
(c)少なくとも1つの粘土と
を含み、前記薬学的活性剤は、エステル型麻酔剤またはアミド型麻酔剤である、麻酔薬組成物。
【請求項2】
前記麻酔薬組成物は、半固形状であり、周囲温度で保存される、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項3】
前記エステル型麻酔剤は、前記麻酔剤組成物全体の重量に対して約1~10%の量である、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項4】
前記アミド型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して約1~10%の量である、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項5】
前記エステル型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して5%または7%の量である、請求項3に記載の麻酔薬組成物。
【請求項6】
前記アミド型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して5%または7%の量である、請求項4に記載の麻酔薬組成物。
【請求項7】
前記粘土は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して約5~60%に相当する、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項8】
前記粘土は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して13~56%に相当する、請求項7に記載の麻酔薬組成物。
【請求項9】
前記エステル型麻酔剤は、ベンゾカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカインからなる群から選択される、請求項3に記載の麻酔薬組成物。
【請求項10】
前記アミド型麻酔剤は、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブピバカイン、ロピバカインおよびアルチカインからなる群から選択される、請求項4に記載の麻酔薬組成物。
【請求項11】
前記粘土は、ナノシリケートプレートレット、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、ラポナイト、カオリン、タルク、ヒドロタルサイト、アタパルジャイト粘土、バーミキュライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、または層状複水酸化物からなる群から選択される、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項13】
薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルをさらに含み、担体は、メタノール、エタノール、プロピルグリコール、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、transcutol P、PEG300、PEG400、グリセロール、アセトン、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、シクロメチコン、塩化メチレン、ベンジルアルコール、アセトン、酢酸、炭酸プロピレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、テトラヒドロフラン、ドデカノール、水、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項14】
(a)1~10重量パーセントの麻酔剤、および
(b)5~60重量パーセントのタルク、および
(c)20~90重量パーセントの薬学的に許容可能なビヒクル、および/または
(d)1~5重量パーセントのHPC
を含む、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項15】
5重量パーセントのテトラカインと、56重量パーセントのタルクとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項16】
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項17】
5重量パーセントのテトラカインと、56重量パーセントのタルクと、35重量パーセントのDMSOと、1重量パーセントのHPCとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項18】
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクと、32重量パーセントのリン酸二カルシウムと、20重量パーセントのDMSOと、3重量パーセントのtranscutol Pと、1重量パーセントのHPCとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項19】
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクと、32重量パーセントのリン酸二カルシウムと、23重量パーセントのDMSOと、6重量パーセントのペトロラタムと、1重量パーセントのHPCとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項20】
1つ以上の薬学的活性剤を対象に投与する方法であって、
(a)請求項1~19のいずれかに記載の麻酔薬組成物を提供する工程と、
(b)皮膚の領域を前記麻酔薬組成物と接触させる工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学または生物薬学技術の分野に関し、具体的には、薬学的活性剤を必要とする哺乳動物への薬学的活性剤の局所投与のための組成物および方法に関する。より具体的には、本発明は適した送達ビヒクルに麻酔剤として麻酔剤-粘土複合物を含有する局所麻酔薬に関する。
【背景技術】
【0002】
外科技術の出現に伴い、より有効的な局所麻酔の必要性が高まり続けている。静脈穿刺または静脈内カテーテル挿入を受ける患者は、痛みを経験することが多い。したがって、速効的および持続的な局所麻酔製剤は、侵襲的な医療処置に伴う痛みを軽減する上で、かなりの臨床利益をもたらすものとなり得る。
【0003】
リドカイン、プリロカイン、メピバカイン、およびブピバカインなどの麻酔剤は、局所的麻酔効果を持つことが示されており、浸潤麻酔および神経ブロックの誘導に使用される。これらの薬物は、高濃度で投与しなければならず、毒性、皮膚刺激、および皮膚損傷のリスクを増加させるため、局所的麻酔薬としての使用に制限がある。
【0004】
エステル局所的麻酔薬はまた、テトラカインなどの強力な血管拡張薬である。血管拡張の有意な臨床効果は、血液中への局所的麻酔薬の吸収速度の増加であり、したがって、疼痛制御の持続時間および質を低下させながら、麻酔薬の血中濃度およびその過量投与の可能性を増加させる。したがって、局所的組織における麻酔薬の蓄積の増加は、局所的麻酔製剤の設計において重要な役割である。さらに、局所的麻酔エステルまたはエステル型局所的麻酔薬は、局所的麻酔薬の濃度の低下および/または特定の不純物の増加をもたらし得る化学分解を受けやすいことが知られている。テトラカインは、特に水性製剤において、長期安定させることが特に困難な局所的麻酔薬である。テトラカインは、水において難溶性であり、水への分散によっては一般的にpH8から11にし、これらのpH条件下で加水分解速度が高くなる。さらに、実際にはすべての組織がエステラーゼ酵素を含有するヒトの体内では、テトラカインは不安定である。
【0005】
いくつかの参考文献は、局所的麻酔薬組成物を開示する。例えば、特許文献1は、高分子量ポリ(エチレンオキシド)ホモポリマーおよびセルロースポリマーなどの水溶性粘膜付着剤を含む、テトラカインを輸送するためのビヒクルを開示した。ビヒクル(vehicle)は、浸透促進剤として機能し、(1)安定した形態でテトラカイン遊離塩基を送達すること、および(2)薬物が粘膜にわたってフラックスする(flux)ことに有利なpHで送達することに必須である、プロピレングリコールをさらに含む。テトラカインを粉砕して粉末にし、可塑化炭化水素ゲルに懸濁させ、ビヒクルを完成させる。
【0006】
特許文献2は、熱傷、刺激、水疱、発疹または他の同様の皮膚状態などの皮膚の患部に局所用組成物を適用することを含む、皮膚を処置する方法を開示した。局所用組成物は、活性成分として麻酔薬および界面活性剤を有する。麻酔薬は、好ましくは、約1重量%から2重量%までの濃度のテトラカインであり、界面活性剤は、好ましくは、約0.5重量%から約5.0重量%までの濃度のラウリル硫酸ナトリウムである。
【0007】
特許文献3は、イオン交換ポリマーなどの高表面積物質の上に吸収される、液体ビヒクルの中に分散することができる、高濃度テトラカインを有する組成物を開示した。組成物は、口内で薬物を放出する陽イオン交換によって、長期間歯肉を麻酔することができる。
【0008】
特許文献4は、(1)リドカインおよびテトラカインの少なくとも1つから選択される活性剤、(2)第一の化合物、および(3)第二の化合物を含み、第一の化合物と第二の化合物が異なり、それぞれN-ラウロイルサルコシン、オクチル硫酸ナトリウム、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、オレイン酸グリセリル、およびラウリルスルホ酢酸ナトリウムからなる群から選択される局所製剤を記載した。局所製剤は、治療活性剤のフラックスを改善することができる。
【0009】
特許文献5は、2%テトラカイン、メチルスルホニルメタン、およびエトキシジグリコールなどの、相乗的に有効な量のアミノ安息香酸局所的麻酔薬を含む、疼痛緩和のための組成物を開示した。痛みの領域の皮膚に組成物を適用し、神経信号を遮断することによって、痛みを処置する方法である。
【0010】
非特許文献1は、メントールを含むおよびメントールを含まない、カルボマービヒクルの中に4%テトラカインを含有する麻酔ゲルを調製したことを開示した。メントールを含むテトラカインゲルは、メントールを含まないテトラカインゲルよりも、全層のマウス皮膚にわたってテトラカインの著しく高い拡散を与えた。
【0011】
特許文献6は、皮膚反応を軽減し、さらには消滅させることができ、その成分の安定性を改善することができる組成物を開示した。組成物は、油相および水相を有するエマルジョンを含むことができ、油相は、テトラカインなどの少なくとも1つの麻酔薬化合物と、ブリモニジンなどの少なくとも1つのアドレナリン受容体作動薬との共融混合物である。
【0012】
特許文献7は、表面に埋め込まれるリン脂質の層を有する固形の水不溶性微粒子である局所的麻酔リポスフェアを開示した。リポスフェアのコアは、テトラカインなどの固形麻酔薬である。麻酔リポスフェアは、局所的麻酔薬の制御送達を提供して、固体疎水性コアから麻酔薬をゆっくりと放出することによって、痛みに対して長期的かつ有効な緩和を達成する。
【0013】
特許文献8は、皮膚または粘膜に適用されるとき、従来のビヒクルに組み込まれた同じ薬剤よりも強い局所的麻酔および鎮痛を提供した、テトラカインなどのリポソーム封入鎮痛剤を開示した。
【0014】
特許文献9は、塩の存在がテトラカインの分解速度を低下させるための決定的な因子であることが示されたことを開示した。
【0015】
特許文献10は、チロキサポールの存在がテトラカインの分解速度を阻害できることを表した。
【0016】
特許文献11は、概して、薬物の皮膚送達のために開発された系に関するものであった。より具体的には、本発明は、皮膚表面への適用に適した粘度を有し、皮膚上に持続的に薬物送達する接着性の固化剥離可能な層(a sustained drug-delivering adhesive solidified peelable layer)を形成する、接着性の外皮形成製剤(adhesive peel-forming formulations)に関する。
【0017】
特許文献12は、多重化分子浸透促進剤の局所製剤に関するものであった。特に好ましい実施形態では、本発明は、リドカインおよびテトラカインから選択される1つ以上の活性成分の局所または経皮投与のための多重化分子浸透促進剤の局所製剤に関する。
【0018】
特許文献13は、皮膚に噴霧するための、リドカインなどの鎮痛薬を含む親油性活性化合物と、0.5から25重量%までのシリコーン系接着性ポリマー組成物と、0から25重量%までの吸収増進剤と、揮発性シリコーンを含む25から95重量%までの揮発性溶媒と、0.5から50重量%までの加圧噴射剤ガスとを含む組成物を開示した。好ましくは、揮発性シリコーンは、組成物の50から~85重量%に相当する。さらに、組成物は、エタノールなどの揮発性溶媒を25%まで含む。
【0019】
特許文献14は、噴霧による投与のための、少なくとも1つの揮発性シリコーンおよび不揮発性油相を含むアルコール性ビヒクル中に含有する、リドカイン塩酸塩などの薬学的活性剤を開示した。揮発性シリコーンは、組成物の25と95重量%の間で存在する。好ましくは、アルコールは、少なくとも15%、好ましくは、少なくとも25%のエタノールの濃度で溶媒としても存在する。
【0020】
特許文献15の開示は、局所製剤、経皮系、および関連方法に関する。一実施形態では、局所的麻酔薬、第一の化合物、および第二の化合物を含む局所製剤が提供される。第一の化合物と第二の化合物が異なり、それぞれN-ラウロイルサルコシン、オクチル硫酸ナトリウム、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、オレイン酸グリセリル、およびラウリルスルホ酢酸ナトリウムからなる群から選択される
【0021】
特許文献16は、人体表面での薬物送達の装置および方法に関するものであった。製剤は、薬物と、製剤をより少ない固相から凝集性で柔らかい固相に変換可能な変換剤と、薬物および変換剤のためのビヒクル媒体または担体とを含む。薬物製剤は、固相未満でこの人体表面に適用され、続いて薬物が人体表面を通して送達されながら柔らかい固相に変換される。薬物の送達が完了した後、柔らかい固形製剤は、凝集性固形製剤として人体表面から除去または剥離することができる。
【0022】
特許文献17は、疼痛制御のための固形形成性局所的麻酔製剤(solid-forming local anesthetic formulation)は、リドカイン塩基およびテトラカイン塩基と、ポリビニルアルコールと、水と、乳化剤とを含むことができることを開示した。製剤は、皮膚表面への適用前に半固形状態であるように調製でき、適用後柔らかい固化層を形成でき、疼痛部位に近接する皮膚表面に適用されるとき、疼痛緩和をもたらすことができる。
【0023】
特許文献6は、その成分の分解速度を低下させ、および/または安定性を改善することができる組成物を記載した。組成物は、皮膚反応を軽減さらには消滅させることができ、油相および水相を有するエマルジョンを含むことができ、油相は、少なくとも1つの麻酔薬化合物と、少なくとも1つのアドレナリン受容体作動薬との共融混合物であり得る。このような組成物を使用する方法も記載される。
【0024】
多くの局所的麻酔薬組成物が提案されているが、薬学的に許容可能な担体への、麻酔剤用溶媒中の1つ以上の麻酔剤の組み込みは、水性製剤で麻酔剤を組織へより迅速に送達することを可能にし、これは局所的麻酔薬の濃度の低下、および/または特定の不純物の増加をもたらし得ることが発見されている。
【0025】
皮膚は、構造的に複雑で、比較的厚い膜である。環境から無傷の皮膚の中へおよびそれを通って移動する分子は、まず、角質層およびその表面上のあらゆる物質に浸透しなければならない。それらは、吸収されるように、次いで生存表皮、真皮乳頭層、および毛細血管壁に浸透し、血流またはリンパ管に入らなければならない、分子は、各種類の組織における浸透に対する異なる抵抗を克服しなければならない。皮膚は、外部環境からの望ましくない影響から体を保護するように設計された多層構造である。主なバリアは、皮膚の上層に位置する角質層であり、薬物の経皮および皮膚送達の主な問題である。この不透過性は、皮膚での正常な発育および生理学的変化によって作り出される、1つの非常に薄い層の性質に原因があり得る。細胞が基底層に形成された後、最終的に脱落するまで、皮膚表面に向かって遊走し始める。この遊走を経ると同時に、徐々により脱水化および角質化される。表面に到達すると、排出される直前に、およそ10ミクロンの厚さの、高密度で代謝的に不活性な細胞の薄い層を形成する。角質層を含む、細胞の高度な角質化の結果として、非常にすぐれたバリアが作り出される。角質層が存在しないため、粘膜表面を通した吸収は概して、効率的である。したがって、効率的な局所、経皮麻酔薬として利用される任意の製剤は、皮膚を通して簡単に吸収されることが可能でなければならない。
【0026】
皮膚閉塞は、皮膚を潤ったままにするため、軟膏および薬品を吸収する有効な手段である。パッチまたはプラスチックフィルム包帯を皮膚上に置いたままにすると、体からの水分の行き場がなく、余分な水和に取り込まれる。この過剰な水和は、活性成分または薬品が皮膚に透過することをより容易にし、例えば、Ametopゲルは、機能するために30~45分間プラスチックフィルム包帯で覆われなければならない。皮膚への活性成分または薬品の浸透を得る別の方法は、活性成分をワセリンなどの疎水性ビヒクルに製剤化することによって、閉塞をもたらすことである。しかし、ワセリンを含有する軟膏は、概して、適用後かなりの時間持続する、べたつくまたは脂ぎった感触を有する。軟膏などの従来の製剤の代替として、活性成分が組み込まれたフィルム形成性ポリマーを含有する組成物が開発されてきた。フィルム形成性組成物は主に、活性成分の経皮送達を提供するために、活性成分用の、経皮パッチ、または、より最近では、フィルム形成性ポリマー、可塑剤、および低分子揮発性溶媒から構成されるフィルム形成性溶液などとして使用されている。溶液が皮膚に適用されるとき、溶媒の蒸発後に薄いポリマーフィルムが形成される。例えば、特許文献11は、薬物、揮発性溶媒系、不揮発性溶媒系、および外皮形成剤を含む、薬物の皮膚送達のための接着性外皮形成製剤を開示した。外皮形成剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、ゼラチン、デキストリン、グアーガム、キサンタンガム、約5,000 Mwを超える重量平均分子量を有するポリエチレンオキシド、澱粉、セルロース誘導体からなる群から選択される。しかし、フィルム形成製剤は、溶媒の蒸発を待つ必要があるため、フィルム形成製剤が作用発現時間を達成するにはプラスチックフィルム包帯で覆われる製剤よりも長い時間がかかる。
【0027】
局所共融混合物、局所的麻酔薬EMLAクリーム(2.5%のリドカインおよび2.5%のプリロカインを含有するクリーム)は、臨床的に利用可能である。しかし、局所的麻酔薬EMLAクリームは最小麻酔作用発現時間および期間を必要とする。テトラカイン遊離塩基は、表面麻酔剤であり、より親油性である。テトラカイン遊離塩基はEMLAクリームよりも容易に角質層を通って浸透する(Romsing他、1999)。テトラカイン遊離塩基は、40mgの活性成分(4%、w/w)、水性ゲル化剤、および薬学的に許容可能な塩を含有する処方を用いた、エステル型の局所的麻酔薬である。AMETOPは、局所的麻酔の改善をもたらすであろうが、欠如しているのは、送達系においてテトラカイン遊離塩基を送達可能な貯蔵安定性製剤である。最近導入された局所麻酔薬は、TFDAおよび米国FDA認可の局所クリームにおいて入手可能な最高濃度の活性麻酔成分を含有し、7%リドカインと7%テトラカインクリームとの共融混合物である(Pliaglis-Galderma S.A.)。Pliaglisクリームは、空気に晒されると自己閉塞性フィルムを形成し、プラスチック閉塞を必要としないと言われている。Pliaglisは、およそ1mmの厚さ(10cm2あたりおよそ1.3gのクリーム)で異なる皮膚科学的処置において、30分間または60分間、無傷の皮膚に適用される。Pliaglisは、AMETOPと同じ保存安定性の問題を有し、2~8℃で保存しなければならない。
【0028】
土壌中の粘土は微視的であり、ほんの数個の原子の配置であり得る。粘土は非常に小さいので、大量の粘土が一緒になると大量の極めて小さな間隙を生み出す。砂などのより大きな土壌粒子は固形であるため、それらの間の空間の総体積は、等量の粘土粒子間の空間の体積よりも小さい。粘土粒子間の空間の量の増加は、水分子が付着できる膨大な表面積を生み出す。粘土は非常に細かく、単位体積あたり高い表面積を有するため、大量の水を吸収でき、より高い保水能力を有する。したがって、粘土は、粘土の水吸着能力によるテトラカインの分解程度を低下させ得るかもしれない。さらに、粘土はまた、粘土の閉塞効果および粘土の保水能力を形成することによって、水和効果を増加させ、活性成分の皮膚浸透を増加させ得る。
【0029】
要約すると、当該技術分野において新規な麻酔薬組成物のニーズがある。したがって、作用発現時間を短縮させる皮膚への効率的な薬物透過、および良好な貯蔵安定性は、理想的な局所麻酔製剤にとって必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第8968710B1号
【特許文献2】米国特許第6562326B1号
【特許文献3】米国特許出願第20070232695A1号
【特許文献4】米国特許第8513304B2号
【特許文献5】米国特許出願第20140163105A1号
【特許文献6】米国特許出願第20140205589A1号
【特許文献7】米国特許第5227165A号
【特許文献8】米国特許第4937078A号
【特許文献9】欧州特許第0522122B1号
【特許文献10】米国特許第3272700号
【特許文献11】米国特許第8907153B2号
【特許文献12】米国特許第9358219B2号
【特許文献13】米国特許第6325990号
【特許文献14】米国特許出願第20060147383号
【特許文献15】米国特許第9308181号
【特許文献16】米国特許第6528086B2号
【特許文献17】米国特許第9693976号
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】Liu(Liu他、International Journal of Pharmaceutics 305(1-2):31~36頁、2005年)
【発明の概要】
【0032】
本発明の目的は、テトラカインが著しく劣化せず、しかも組成物の貯蔵寿命にわたって化学的に安定なままである、麻酔剤-粘土複合組成物を提供することである。本発明の別の目的は、複合組成物の作用発現時間がフィルム形成組成物よりも短くなるように、麻酔剤が皮膚内に速やかに透過するのを助けることができる、自己閉塞効果のある麻酔剤-粘土複合組成物を開発することである。
【0033】
第1の態様において、本発明は、
(a)治療有効量の少なくとも1つの薬学的活性剤と、
(b)少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルと、
(c)少なくとも1つの粘土と
を含み、薬学的活性剤はエステル型麻酔剤またはアミド型麻酔剤である、局所適用のための麻酔薬組成物を提供する。
【0034】
好ましくは、薬学的活性剤は、粘土または担体と混合されるとき、薬剤が組成物中に微粒分散されるように、溶媒中に実質的に溶解される。
【0035】
好ましい実施形態では、組成物は半固形状であり、周囲温度で保存される。
【0036】
好ましい実施形態では、エステル型麻酔剤は、組成物全体の重量に対して約1~10%の量である。
【0037】
好ましい実施形態では、アミド型麻酔剤は、組成物全体の重量に対して約1~10%の量である。
【0038】
特定の好ましい実施形態では、エステル型麻酔剤は、組成物全体の重量に対して5%または7%の量である。
【0039】
特定の好ましい実施形態では、アミド型麻酔剤は、組成物全体の重量に対して5%または7%の量である。
【0040】
好ましい実施形態では、粘土は、組成物全体の重量に対して約5~60%に相当する。
【0041】
特定の好ましい実施形態では、粘土は、組成物全体の重量に対して13~56%に相当する。
【0042】
特定の好ましい実施形態では、麻酔剤は、ベンゾカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、およびアルチカインからなる群から選択される。
【0043】
別の特定の好ましい実施形態では、粘土は、ナノシリケートプレートレット、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、ラポナイト、カオリン、タルク、ヒドロタルサイト、アタパルジャイト粘土、バーミキュライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライトまたは層状複水酸化物からなる群から選択される。
【0044】
好ましい実施形態では、当該麻酔薬組成物は、少なくとも1つの賦形剤を含む。
【0045】
好ましい実施形態では、当該麻酔薬組成物は、薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルを含み、担体は、メタノール、エタノール、プロピルグリコール、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、transcutol P、PEG300、PEG400、グリセロール、アセトン、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、シクロメチコン、塩化メチレン、ベンジルアルコール、アセトン、酢酸、炭酸プロピレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、テトラヒドロフラン、ドデカノール、水またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0046】
特定の好ましい実施形態では、当該麻酔薬組成物は、
(a)1~10重量パーセントの麻酔剤と、
(b)5~60重量パーセントのタルクと、
(c)20~90重量パーセントの薬学的に許容可能なビヒクルと、
(d)1~5重量パーセントのHPCと
を含む。
【0047】
特定の好ましい実施形態では、当該麻酔薬組成物は、5重量パーセントのテトラカインと56重量パーセントのタルクとを含む。
【0048】
特定の好ましい実施形態では、当該麻酔薬組成物は、7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクとを含む。
【0049】
特定の好ましい実施形態では、当該麻酔薬組成物は、5重量パーセントのテトラカインと、56重量パーセントのタルクと、35重量パーセントのDMSO(ジメチルスルホキシド)と、1重量パーセントのHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)とを含む。
【0050】
特定の好ましい実施形態では、当該麻酔薬組成物は、7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクと、32重量パーセントのリン酸二カルシウムと、20重量パーセントのDMSOと、3重量パーセントのtranscutol Pと、1重量パーセントのHPCとを含む。
【0051】
特定の好ましい実施形態では、当該麻酔薬組成物は、7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクと、32重量パーセントのリン酸二カルシウムと、23重量パーセントのDMSOと、6重量パーセントのペトロラタムと、1重量パーセントのHPCとを含む。
【0052】
第2の態様において、本発明は、
(a)当該麻酔薬組成物を提供する工程と、
(b)皮膚の領域を麻酔薬組成物と接触させる工程と
を含む、1つ以上の薬学的活性剤を対象に投与する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】テトラカイン-粘土複合製剤およびテトラカイン-PEG製剤の有効性試験の結果を示す。テトラカイン-粘土複合製剤の皮膚透過がテトラカイン-PEG製剤よりも速かったことを表す。
【
図2】麻酔効果の持続時間の結果を示す。テトラカイン-粘土複合製剤の持続時間がテトラカイン-PEG製剤よりも長かったことを表す。
【
図3】テトラカイン-粘土複合製剤Mおよび市販品(AMETOP)の有効性試験の結果を示す。テトラカイン-粘土複合製剤Mの浸透量がAMETOPよりも高かったことを表す。
【
図4】テトラカイン-粘土複合製剤Mおよび市販品(AMETOP)の有効性試験の結果を示す。テトラカイン-粘土複合製剤Mの皮膚透過がAMETOPよりも速かったことを表す。
【
図5】麻酔効果の持続時間の結果を示す。テトラカイン-粘土複合製剤Mの持続時間が市販品(AMETOP)よりも長かったことを表す。
【
図6】テトラカイン/リドカイン-粘土複合製剤Nおよび市販品(Pliaglis)の有効性試験の結果を示す。テトラカイン-粘土複合処方NがPliaglisよりも速く皮膚に入ったことを表す。
【
図7】テトラカイン/リドカイン-粘土複合製剤Oおよび市販品(Pliaglis)の有効性試験の結果を示す。テトラカイン-粘土複合処方OがPliaglisよりも速く皮膚に入ったことを表す。
【
図8】テトラカイン-粘土複合製剤Pおよび市販品(EMLA)の有効性試験の結果を示す。テトラカイン-粘土複合製剤Pの浸透量がEMLAよりも高かったことを表す。
【
図9】テトラカイン-粘土複合製剤Qおよび市販品(EMLA)の有効性試験の結果を示す。テトラカイン-粘土複合製剤Qの浸透量がEMLAよりも高かったことを表す。
【発明の詳細な説明】
【0054】
広範および集中的な研究と広範なスクリーニングを通して、本発明者らは、作用発現時間を短縮させるべく皮膚に投与するために提供される局所麻酔剤組成物を予想外に得た。局所麻酔剤組成物は、医療処置の前に皮膚を麻痺させるように使用されてもよい。従来の局所麻酔薬と比較して、対象の麻酔剤組成物は、皮膚への麻酔剤の透過の増加および貯蔵寿命の改善が実証されている。
【0055】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。さもなければ、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記述される意味を有する。
【0056】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別途に規定しない限り、複数形の参照を含むことに留意されたい。
【0057】
別途記載のない限り、本明細書に記載される濃度または濃度範囲などの任意の数値は、すべての場合において「約(about)」という用語によって修飾されると理解される。したがって、数値は、一般的に、列挙された値の±10%を含む。例えば、1mg/mLの濃度は、0.9mg/mL~1.1mg/mLを含む。同様に、1%~10%(w/v)の濃度範囲は、0.9%(w/v)~11%(w/v)を含む。本明細書で使用される場合、数値範囲の使用は、文脈が明らかに別途に規定しない限り、すべての可能な部分範囲、その範囲内のすべての個々の数値(そのような範囲内の整数および値の分数を含む)を明示的に含む。
【0058】
別途の指示がない限り、一連の要素に先行する「少なくとも(at least)」という用語は、一連の要素のあらゆる要素を指すと理解される。当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態に対する多くの同等物を認識するか、または単なる日常的な実験を使用して確認することができる。そのような同等物は、本発明に包含されるように意図される。
【0059】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」または「含有する(containing)」という用語、もしくはそれらの任意の他の変形形態は、記載された整数または整数の群の包括を意味するが、任意の他の整数または整数の群の除外を意味しないと理解され、非排他的またはオープンエンドであるように意図される。例えば、様々な要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていない、もしくは、そのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有の、他の要素を含むことができる。さらに、反対のことが明示的に記載されていない限り、「または(or)」は、包括的な「または」を指し、排他的な「または」ではない。例えば、条件AまたはBは、以下、Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによって満たされる。
【0060】
本明細書で使用される場合、複数の列挙された要素の間の「および/または(and/or)」という連結的な用語は、個々の選択肢および組み合わされた選択肢の両方を包含すると理解される。例えば、2つの要素が「および/または(and/or)」によって結合される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしの第1の要素の適用性を指す。第2の選択肢は、第1の要素なしの第2の要素の適用性を指す。第3の選択肢は、第1の要素と第2の要素を合わせた適用性を指す。これらの選択肢のいずれか1つは、その意味の範囲内と理解され、したがって、本明細書で使用される「および/または(and/or)」という用語の要件を満たす。1つを超える選択肢の同時適用性も、その意味の範囲内と理解され、したがって、「および/または(and/or)」という用語の要件を満たす。
【0061】
本明細書で使用される場合、「からなる(consists of)」という用語、または、「からなる(consist of)」もしくは「からなる(consisting of)」などの変形形態は、本明細書および特許請求の範囲にわたって使用されるように、列挙された任意の整数または整数の群の包括を表すが、追加の整数または整数の群は、指定された方法、構造、または組成物に追加できない。
【0062】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consists essentially of)」という用語、または「から本質的になる(consists essentially of)」もしくは「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変形形態は、本明細書および特許請求の範囲にわたって使用されるように、列挙された任意の整数または整数の群の包括、および指定された方法、構造または組成物の、基本的または新規な特性を物質的に変更させない、任意の列挙された整数または整数の群の任意選択の包括を表す。M.P.E.P. §2111.03を参照されたい。
【0063】
本明細書で使用される場合、「対象(subject)」は、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用される「哺乳動物(mammal)」という用語は、任意の哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなどが挙げられ、より好ましくはヒトであるが、これらに限定されない。
【0064】
好ましい発明の構成要素の寸法または特徴を指すとき、本明細書で使用される「約(about)」、「およそ(approximately)」、「概ね(generally)」、「実質的に(substantially)」という用語、および同様の用語は、当業者に理解されるように、記載された寸法/特徴が厳密な境界またはパラメータではなく、機能的に同じまたは同様であるそれらの重要でない変動を除外しないことを表すことも理解されたい。最低限、数値パラメータを含むそのような参照は、当該技術分野で容認される数学的および工業的原理(例えば、丸み付け、測定または他の系統的誤差、製造公差など。)を使用して、最下位桁を変化させない変動を含む。
【0065】
「微粒分散(microdispersed)」という用語は、溶媒中、続いて担体中に、薬学的活性剤の結晶が25倍の倍率を有する顕微鏡を使用して検出できないような、分子またはイオンレベルでの薬学的活性剤の緊密な分散があることを意味することが意図される。
【0066】
「治療有効量(therapeutically effective amount)」という用語は、局所的に適用される場合、麻酔効果を生じるのに充分な薬物の量を意味することが意図される。これらの量は、当該技術分野において周知であるか、または当該技術分野において周知の方法によって決定されてもよく、選択される麻酔剤、および、皮膚または粘膜などの組織が作用部位であるかどうかに応じて、1回の適用あたりの麻酔剤では、一般的にはヒト成人あたり約1から~20,000mgまでの範囲、好ましくは約10~10,000mg、最も好ましくは約20から~5,000mgまでの範囲である。組成物中の麻酔薬の量において唯一の上限は、調製物が麻酔剤の結晶を実質的に含まず、使用される溶媒の量が定型組成物の接着特性に望ましくない影響を及ぼすほど充分でないことである。したがって、単成分麻酔剤は、治療有効量の麻酔剤を前述の範囲内で含有する。
【0067】
単位面積あたりの、すなわち平方または立方センチメートルあたりの、麻酔薬の濃度ならびに量は、所望の効果を達成するために独立して変化させることができる。より高い濃度の麻酔薬基剤が減少した厚さの剤形に含有されると、作用発現が速く持続時間が短い麻酔薬となる。高濃度の麻酔薬基剤(平方または立方センチメートルあたりの麻酔薬のより高いmg)が増加した厚さの剤形に含有されると、作用発現が速く持続時間が長い強力な麻酔となる。低濃度の麻酔薬基剤が減少した厚さの剤形中であると、作用発現が長く持続時間が短い緩やかな麻酔となる。低濃度の麻酔薬基剤が増加した厚さの剤形に含有されると、作用発現が長く持続時間が長い緩やかな麻酔となる。上記説明に示されるように、麻酔薬の濃度を組成物全体の非常に低い(約1%)から高い(40%以上)まで変化させることができるため、薄くまたは厚くコーティングできることと組み合わせて、本発明の実践者は、関心対象の特定の解剖学的部位に対して必要に応じて系の投与量を変化させることができる。
【0068】
原則として、所与の組織に対して麻酔薬物が選択された場合、適用の濃度および厚さ、ならびに持続時間は、麻酔薬の組織に浸透する能力、および約2~60分以内にピーク有効性となる能力に基づいて決定される。組織、例えば口腔粘膜、に対する麻酔薬の効果の持続時間は、選択される麻酔剤、麻酔薬の濃度および適用の厚さに応じて、約2~240分の間の範囲にする。当業者には明らかであるように、必要に応じて、より長いまたはより短い持続時間を選択することもできる。
【0069】
「麻酔の作用発現(onset of anesthesia)」という用語は、個々の神経に対するピーク効果までの時間を意味することが意図される。麻酔の作用発現は、主に、非イオン化形態の局所的麻酔薬の脂質溶解度、分子サイズ、および利用可能な量に応じて変わる。したがって、高い脂質溶解度または低いpKa、またはその両方を有する麻酔薬は、より迅速な、麻酔の作用発現を有する。
【0070】
本明細書で使用される「麻酔持続時間(duration of anesthesia)」という用語は、局所的麻酔薬が神経伝導を測定可能に遮断する間の期間を意味する。上記は、麻酔の作用発現について挙げられたすべての因子、ならびに麻酔剤のタンパク質結合の程度に応じて変わる。
【0071】
本発明の麻酔剤-粘土複合組成物は、1つ以上の麻酔剤と、1つ以上の粘土と、1つ以上の溶媒ビヒクルとを含む。溶媒ビヒクルは、1つ以上の溶媒を含むことができ、溶媒系は、麻酔剤のための操作可能な溶解度の範囲を提供する。粘土は、より高い水吸着能力を提供して、麻酔剤の分解の程度を減少させ、また、閉塞効果を形成し、保水能力を提供して、皮膚の水和効果を増加させる。
【0072】
粘土の添加は、麻酔薬の化学的な安定を改善し、薬物送達の速度を低下させないことが分かった。適切な粘土としては、タルク、ヘクトライト、アタパルジャイト粘土、ナノシリケートプレートレット、ラポナイト、マイカ、バーミキュライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、カオリン、例えばボアリナイト(boalinite)、アナウキサイト、ディッカイトおよびナクライト、モンモリロナイト、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、ボルデライト(bordellite)およびモントロナイト(montronite)、イライト/マスコバイト、例えばイライトおよびグロコナイト、クロライト、ポリゴルシテス(polygorshites)、例えばアタパルジャイト、ハロイサイト、メタボロイサイト(metabolloysite)、アロフェンおよび珪酸アルミニウム粘土、が挙げられる。スメクタイト粘土が特に有用である。ほとんどの製剤について、粘土の重量パーセンテージは、約5wt%から約60wt%までであり得る。
【0073】
本発明の麻酔剤は、当該技術分野で周知のもの、または周知の種類のものである。本発明の実践における使用に適した局所的麻酔剤としては、アミドおよびエステルが挙げられる。アミドの例は、リドカイン、プリロカイン、メピバカイン、ブピバカイン、ジブカイン、およびエチドカインである。エステルとしては、プロカイン、テトラカイン、プロポキシカイン、クロロプロカイン、ベンゾカイン、ピクリン酸ブタンベン、コカイン、ヘキシルカイン、ピペロカイン、オキシプロカイン、およびプロパラカインが挙げられる。本発明の実践における使用のための他の適切な局所的麻酔薬としては、シクロメチカイン、ジメチソキン、ケトカイン、ジペロドン、ジクロニン、およびプラモキシンが挙げられ、これらはすべて、一般的には酸添加塩酸塩または硫酸塩の形態で投与される。
【0074】
製剤中の麻酔剤の量は、所望の治療効果および必要な麻酔持続時間に応じて変化する。本発明において、麻酔剤の濃度は、有効投与量を送達するように組成物全体の1~10wt%である。
【0075】
局所的麻酔薬は、局所的に使用され得るか、または注射され得る。麻酔剤-粘土複合組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含有することができる。適切な賦形剤として、希釈剤、分散剤、溶解補助剤、界面活性剤、安定化剤、pH調整剤、着色剤、保存剤、および湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
上記成分に加えて、当業者が入手可能な様々な薬学的に許容可能な添加剤の中から選択される他の添加剤が組み込まれてもよい。これらの添加剤としては、結合剤、保存剤、香味剤、および色素が挙げられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、得られる混合物は、クリーム、ゲル、エマルジョン、ローション、油薬(salve)、プラスター、ペースト、軟膏、噴霧溶液または他の「無定形」組成物などの、半固形状である。本発明の組成物が適用される最終形態は、適用の解剖学的部位およびアクセスの容易さに応じて変わる。
【0078】
溶媒ビヒクルは、薬学的にまたは美容的に許容される溶媒から選択することができる。溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロピルグリコール、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、transcutol P、PEG300、PEG400、グリセロール、アセトン、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、シクロメチコン、塩化メチレン、ベンジルアルコール、アセトン、酢酸、炭酸プロピレン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、テトラヒドロフラン、ドデカノール、水などが挙げられる。さらに、これらの溶媒は、製剤の他の成分と適合するように選ばれ、組成物は、1つ以上の溶媒を含有することができる。ほとんどの製剤について、溶媒の重量パーセンテージは、約5wt%から約50wt%までであり得る。
【0079】
本発明の組成物は、押出、成形、溶媒キャスティング、コーティング、および定型または無定型担体中に薬物を分散させるように溶媒を用いる他のすべての方法を含む、微粒分散麻酔剤の達成を可能にする、当該技術分野で周知の多数の方法によって製造できる。麻酔剤-粘土複合組成物は、事実上任意の形態、例えば、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、ドロップ、坐剤、スプレー、液体、溶液、および粉末であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、「薬学的に許容可能な担体」という用語は、生体接着剤などの液体、半液体、または固形担体を含む、任意の適切な定型または無定型担体であることが意図される。したがって、活性剤は、非接着テープもしくは他の定型担体もしくは担体、または医薬送達の技術分野で周知の任意の他の「無定型」担体と混ぜられてもよい。例えば、無定型担体の基剤は、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、グリコール、高級脂肪酸、および高級アルコールであってもよい。
【0081】
本発明の主な利点は:
(a)比較的高い保存温度であっても、麻酔剤の分解のエステル型が低く、良好な保存安定性を呈すること、
(b)作用発現時間を短縮させるために、皮膚への麻酔剤の透過を増加させること、
(c)麻酔効果の持続時間を増加させること
が挙げられる。
【0082】
以下の実施例を参照して本発明をさらに説明する。以下の実施例は、単に本発明を説明するために使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例における実験方法は、その具体的な条件が表されないが、通常、従来の条件、または製造業者によって推奨される条件に従って行われる。別途に指定されない限り、パーセンテージおよび部は、重量パーセンテージおよび重量部を指す。
【実施例】
【0083】
実施例1 テトラカイン-タルク複合製剤の化学安定性
表1は、テトラカイン不純物の阻害における様々なタルク濃度の効果を示す。全体として、すべての製剤を後述のように製造した。テトラカイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロメチコン、および水の混合物を室温で混合することによって、液相を調製した。続いて、タルクを同じ温度で添加して、テトラカイン-タルク複合製剤を形成した。次いで、最終生成物を化学特性について試験し、適切な保存条件下に安定させて置いた。製剤の詳細および安定性実験の結果を表1に提示する。
【0084】
実施例1に記載される製剤のそれぞれを、40℃での保存後のテトラカインの化学安定性について試験した。テトラカインの不純物の発生に関して化学安定性を測定した。具体的には、テトラカインは分解することが公知であるため、数週間後、この不純物の濃度がより低いほど、テトラカインの安定性は経時的に高くなることが実証される。すべての製剤を加速条件で1か月試験した。
【0085】
製剤の化学安定性を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を使用して、テトラカインの濃度および不純物の形成を測定することによって評価した。HPLC法は、移動相グラジエントおよびC18分析カラムによるクロマトグラフ分離、ならびに紫外線(UV)検出器による各成分の定量化を含む。加速温度条件下での安定性の結果を表1に提供する。これらの結果は、タルクを含んだ場合の効果をさらに実証し、48%タルクを含有する製剤Aでは、40℃でのテトラカインの分解がわずか0.06%であるのに対し、それぞれ28%および13%タルクを含有する、製剤BおよびCでは分解が約1.86%および5.54%であった。40℃での分解速度に関するデータは、タルクの濃度が増加すると、テトラカインの分解生成物が減少することを示す。
【0086】
【0087】
実施例2 テトラカイン-ベントナイト複合製剤の化学安定性
表2は、テトラカイン不純物の阻害における様々なベントナイト濃度の効果を示す。全体として、すべての製剤を後述のように製造した。テトラカイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロメチコン、および水の混合物を室温で混合することによって、液相を調製した。続いて、ベントナイトを同じ温度で添加して、テトラカイン-ベントナイト複合製剤を形成した。次いで、最終生成物を化学特性について試験し、適切な保存条件下に安定させて置いた。製剤の詳細および安定性実験の結果を表2に提示する。
【0088】
実施例2に記載される製剤のそれぞれを、40℃での保存後のテトラカインの化学安定性について試験した。テトラカインの不純物の発生に関して化学安定性を測定した。具体的には、テトラカインは分解することが公知であるため、数週間後、この不純物の濃度が低くなるほど、テトラカインの安定性は経時的に高くなることが実証される。すべての製剤を加速条件で1か月試験した。
【0089】
製剤の化学安定性を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を使用して、テトラカインの濃度および不純物の形成を測定することによって評価した。HPLC法は、移動相グラジエントおよびC18分析カラムによるクロマトグラフ分離、ならびに紫外線(UV)検出器による各成分の定量化を含む。加速温度条件下での安定性の結果を表2に提供する。これらの結果は、ベントナイトを含んだ場合の効果をさらに実証し、13%ベントナイトを含有する製剤Dでは、40℃でのテトラカインの分解が9.97%であるのに対し、8%ベントナイトを含有する製剤Eでは分解が約11.48%であった。40℃での分解速度に関するデータは、ベントナイトの濃度が増加すると、テトラカインの分解生成物が減少することを示す。
【0090】
【0091】
実施例3 テトラカイン-カオリン複合製剤の化学安定性
表3は、テトラカイン不純物の阻害における様々なカオリン濃度の効果を示す。全体として、すべての製剤を後述のように製造した。テトラカイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロメチコン、および水の混合物を室温で混合することによって、液相を調製した。続いて、カオリンを同じ温度で添加して、テトラカイン-カオリン複合製剤を形成した。次いで、最終生成物を化学特性について試験し、適切な保存条件下に安定させて置いた。製剤の詳細および安定性実験の結果を表3に提示する。
【0092】
実施例3に記載される製剤のそれぞれを、40℃での保存後のテトラカインの化学安定性について試験した。テトラカインの不純物の発生に関して化学安定性を測定した。具体的には、テトラカインは分解することが公知であるため、数週間後、この不純物の濃度が低くなるほど、テトラカインの安定性は経時的に高くなることが実証される。すべての製剤を加速条件で1か月試験した。
【0093】
製剤の化学安定性を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を使用して、テトラカインの濃度および不純物の形成を測定することによって評価した。HPLC法は、移動相グラジエントおよびC18分析カラムによるクロマトグラフ分離、ならびに紫外線(UV)検出器による各成分の定量化を含む。加速温度条件下での安定性の結果を表3に提供する。これらの結果は、タルクを含んだ場合の効果をさらに実証し、28%カオリンを含有する製剤Fでは、40℃でのテトラカインの分解がわずか3.19%であるのに対し、13%カオリンを含有する製剤G、および8%カオリンを含有する製剤Hでは分解がそれぞれ約6.10%および7.77%であった。40℃での分解速度に関するデータは、カオリンの濃度が増加すると、テトラカインの分解生成物が減少することを示す。
【0094】
【0095】
実施例4 テトラカイン-粘土複合製剤の化学安定性
表4は、テトラカイン不純物の阻害における粘土の種類の効果を示す。全体として、すべての製剤を後述のように製造した。テトラカイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロメチコン、および水の混合物を室温で混合することによって、液相を調製した。続いて、ベントナイト、タルク、またはカオリンを同じ温度で添加して、テトラカイン-粘土複合製剤を形成した。次いで、最終生成物を化学特性について試験し、適切な保存条件下に安定させて置いた。製剤の詳細および安定性実験の結果を表4に提示する。
【0096】
実施例4に記載される製剤のそれぞれを、40℃での保存後のテトラカインの化学安定性について試験した。テトラカインの不純物の発生に関して化学安定性を測定した。具体的には、テトラカインは分解することが公知であるため、数週間後、この不純物の濃度が低くなるほど、テトラカインの安定性は経時的に高くなることが実証される。すべての製剤を加速条件で1か月試験した。
【0097】
製剤の化学安定性を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を使用して、テトラカインの濃度および不純物の形成を測定することによって評価した。HPLC法は、移動相グラジエントおよびC18分析カラムによるクロマトグラフ分離、ならびに紫外線(UV)検出器による各成分の定量化を含む。加速温度条件下での安定性の結果を表4に提供する。これらの結果は、ベントナイトを含んだ場合の効果をさらに実証し、13%ベントナイトを含有する製剤Dでは、40℃でのテトラカインの分解が9.97%であった。これらの結果は、タルクを含んだ場合の効果を実証し、13%タルクを含有する製剤Cでは、40℃でのテトラカインの分解が5.54%であった。これらの結果はまた、ベントナイトを含んだ場合の効果も実証し、13%カオリンを含有する製剤Gでは、40℃でのテトラカインの分解が6.10%であった。40℃での分解速度に関するデータは、テトラカイン-タルク製剤の分解生成物が、テトラカイン-ベントナイト製剤およびテトラカイン-カオリン製剤よりも少なかったことを示す。
【0098】
【0099】
実施例5 テトラカイン-粘土複合製剤およびテトラカイン-PEG製剤の化学安定性
本実験は、テトラカイン(TTC)に対するタルクおよびポリマーの安定性を評価することである。表5は、テトラカイン不純物の阻害における粘土の種類の効果を示す。全体として、すべての製剤を後述のように製造した。担体組成物の製剤Iに使用される基剤組成物は、テトラカイン、イソステアリルアルコール(ISAL)、エタノール、タルク、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および水を含む。テトラカイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソステアリルアルコール(ISAL)、エタノール、および水の混合物を室温(RT)で混合することによって、液相を調製した。続いて、タルクを同じ温度で添加して、テトラカイン-粘土複合製剤を形成した。担体組成物の製剤Jに使用される基剤組成物は、テトラカイン、イソステアリルアルコール(ISAL)、エタノール、ポリエチレングリコール6000(PEG6000)、ジメチルスルホキシド、および水を含む。テトラカイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソステアリルアルコール(ISAL)、エタノール、ポリエチレングリコール6000(PEG6000)、および水の混合物を50℃で混合することによって、製剤を調製した。次いで、混合物を室温に置いて軟膏を形成する。次いで、最終生成物を化学特性について試験し、適切な保存条件下に安定させて置いた。製剤の詳細および安定性実験の結果を表5に提示する。
【0100】
実施例5に記載される製剤のそれぞれを、室温での保存後のテトラカインの化学安定性について試験した。テトラカインの不純物の発生に関して化学安定性を測定した。具体的には、テトラカインは分解することが公知であるため、数週間後、この不純物の濃度が低くなるほど、テトラカインの安定性は経時的に高くなることが実証される。
【0101】
製剤の化学安定性を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を使用して、テトラカインの濃度および不純物の形成を測定することによって評価した。HPLC法は、移動相グラジエントおよびC18分析カラムによるクロマトグラフ分離、ならびに紫外線(UV)検出器による各成分の定量化を含む。室温条件下での安定性の結果を表5に提供する。これらの結果は、タルクを含んだ場合の効果をさらに実証し、28%タルクを含有する製剤Iでは、室温でのテトラカインの分解が2.12%であった。これらの結果は、PEG6000を含んだ場合の効果を実証し、28%PEG6000を含有する製剤Jでは、室温でのテトラカインの分解が6.93%であった。室温での分解速度に関するデータは、テトラカイン-タルク製剤の分解生成物が、テトラカイン-PEG6000製剤よりも少なかったことを示す。
【0102】
【0103】
実施例6 ベンゾカイン-粘土複合製剤およびベンゾカイン-PEG製剤の化学安定性
本実験は、ベンゾカイン(BZC)に対するタルクおよびポリマーの安定性を評価することである。表6は、ベンゾカイン不純物の阻害における粘土の種類の効果を示す。全体として、すべての製剤を後述のように製造した。担体組成物の製剤Rに使用される基剤組成物は、ベンゾカイン、ポリエチレングリコール4000(PEG4000)、ジメチルスルホキシド、水酸化ナトリウム、および水を含む。ベンゾカイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール4000(PEG4000)、水酸化ナトリウム、および水の混合物を50℃で混合することによって、製剤を調製した。担体組成物の製剤Sに使用される基剤組成物は、ベンゾカイン、タルク、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水酸化ナトリウム、および水を含む。ベンゾカイン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水酸化ナトリウム、および水の混合物を室温(RT)で混合することによって、液相を調製した。続いて、タルクを同じ温度で添加して、ベンゾカイン-粘土複合製剤を形成した。次いで、最終生成物を化学特性について試験し、適切な保存条件下に安定させて置いた。製剤の詳細および安定性実験の結果を表6に提示する。
【0104】
実施例6に記載される製剤のそれぞれを、60℃での保存後のベンゾカインの化学安定性について試験した。ベンゾカインの不純物の発生に関して化学安定性を測定した。具体的には、ベンゾカインは分解することが公知であるため、1週間後、この不純物の濃度が低くなるほど、ベンゾカインの安定性は経時的に高くなることが実証される。
【0105】
製剤の化学安定性を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法を使用して、ベンゾカインの濃度および不純物の形成を測定することによって評価した。HPLC法は、移動相グラジエントおよびC18分析カラムによるクロマトグラフ分離、ならびに紫外線(UV)検出器による各成分の定量化を含む。室温条件下での安定性の結果を表6に提供する。これらの結果は、PEG4000を含んだ場合の効果を実証し、30%PEG4000を含有する製剤Rでは、60℃でのベンゾカインの分解が6.6%であった。これらの結果は、タルクを含んだ場合の効果をさらに実証し、30%タルクを含有する製剤Sでは、60℃でのベンゾカインの分解が1.6%であった。室温での分解速度に関するデータは、ベンゾカイン-タルク製剤の分解生成物が、ベンゾカイン-PEG4000製剤よりも少なかったことを示す。
【0106】
【0107】
実施例7 テトラカイン-粘土複合製剤およびテトラカイン-PEG製剤の有効性試験
本実験は、テトラカイン(TTC)の有効性におけるタルクおよびポリマーの効果を評価することである。各Sprague Dawley(SD)ラット(雌ラット、BioLASCO Taiwan Co., Ltd.から入手)に製剤Kおよび製剤Lをそれぞれ適用した。薬物を適用した時間から適用時間を算出した。適用の30分後、試験領域中の薬物をガーゼで拭き取り、von Frey試験を実施した。
【0108】
この実験では、ラットの後足の機械的感受性をVon Freyアッセイによって検査して、麻酔効果を評価した。
【0109】
本実験で使用したvon Frey毛は、太さの異なる一組のナイロン針である。各von Frey毛は、穿刺時の強度が異なっており、弱いものから強いものまで順に4、6、8、10、15、26、60gの計7本のナイロン針であり、これらの針は、試験中の物理的刺激である。各ラットを個別に透明な給餌ケージに入れ、10分の順応時間にわたりステンレス鋼メッシュ(6.3×6.3mm)上に置いた後、von Frey毛の力を加えた。後足に対して垂直にステンレス鋼メッシュのすき間から後足を穿刺してvon Frey毛を5秒間湾曲状態に維持することを、刺激と称する。各強度は、後足のランダムな位置において5つの刺激を必要とする。異なる強度のvon Frey毛を弱いものから強いものまで試験する。強度試験の完了後、閾値が測定かつ記録されるまで強度を取り替える。
【0110】
各製剤の詳細および有効性試験の結果を表7、
図1、および
図2に提示する。
図1では、製剤Kが疼痛閾値の増加において製剤Lよりも有効であったことを確認できる。増加した閾値のパーセンテージは、40分で製剤Lの3.4倍である。この結果は、製剤Kの薬物が製剤Lよりも速やかに皮膚に入ったことを示した。
図2では、この結果はまた、製剤K群では応答比が100%で90分の時点において依然として麻酔効果が認められ、一方で製剤L群では応答比44.4%で依然として麻酔効果が認められることを示しており、製剤Kの持続時間は製剤Lよりも長いことが示される。
【0111】
【0112】
実施例8 テトラカイン-粘土複合製剤および市販品の皮膚透過性
製剤Mおよび市販の局所テトラカインAMETOPを、6mlのレセプターウェル体積を有するフランツ拡散セルを使用して、ブタ皮膚を通しての透過性について試験した。ブタ皮膚を剃毛して毛のない状態にし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、皮下脂肪を除去した。ドナーウェルは0.785cm2の面積を有していた。等張性PBSをドープしてレセプターウェルを満たした。フランツセルのフランジを、ピンチクランプを使用して均圧で一緒に締め付けた。フランツセルのレセプターウェルを、撹拌ブロック中で、撹拌子を用いて連続的に撹拌しながら32℃に維持した。皮膚サンプルを変更されたフランツ拡散セルに固定した。皮膚の真皮側をレセプター液に晒し、角質層をドナー区画と接触したままにした。正確に秤量した、21mgのテトラカインに対応する製剤M、および26mgのテトラカインに対応するAMETOPを、皮膚のドナー区画側に適用した。400マイクロリットルのアリコートを、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、および24時間の時間間隔で取り出した。各サンプリング後に同量のPBS溶液をレセプター区画に取り替えた。HPLC分析を使用してサンプルを定量した。
【0113】
各製剤の詳細およびフランツ拡散セル実験の結果を表8および
図3に提示する。表8を参照すると、製剤Mは、皮膚を通る透過フラックスにおいてAMETOPよりも有効であったことを確認できる。さらに、かつ驚くべきことに、製剤Mはまた、皮膚を通るテトラカインの透過フラックスにおいて、市販品AMETOPよりもおよそ3.8倍有効であった。
図3では、各回において製剤Mの浸透量はAMETOPよりも高かった。
【0114】
【0115】
実施例9 テトラカイン-粘土複合製剤および市販品の有効性試験
各Sprague Dawley(SD)ラット(雌ラット、BioLASCO Taiwan Co., Ltd.から入手)に製剤MおよびAMETOPをそれぞれ適用した。薬物を適用した時間から適用時間を算出した。適用の30分後、試験領域中の薬物をガーゼで拭き取り、von Frey試験を実施した。
【0116】
この実験では、ラットの後足の機械的感受性をVon Freyアッセイによって検査して、麻酔効果を評価した。
【0117】
本実験で使用したvon Frey毛は、太さの異なる一組のナイロン針である。各von Frey毛は、穿刺時の強度が異なっており、弱いものから強いものまで順に4、6、8、10、15、26、60gの計7本のナイロン針であり、これらの針は、試験中の物理的刺激である。各ラットを個別に透明な給餌ケージに入れ、10分の順応時間にわたりステンレス鋼メッシュ(6.3×6.3mm)上に置いた後、von Frey毛の力を加えた。後足に対して垂直にステンレス鋼メッシュのすき間から後足を穿刺してvon Frey毛を5秒間湾曲状態に維持することを、刺激と称する。各強度は、後足のランダムな位置において5つの刺激を必要とする。異なる強度のvon Frey毛を弱いものから強いものまで試験する。強度試験の完了後、閾値が測定かつ記録されるまで強度を取り替える。
【0118】
各製剤の詳細および有効性試験の結果を
図4および
図5に提示する。
図4では、製剤Mが疼痛閾値の増加においてAMETOPよりも有効であったことを確認できる。増加した閾値のパーセンテージは、40分でAMETOPの3.6倍である。この結果は、処方Mの薬物がAMETOPよりも速やかに皮膚に入ったことを示した。
図5では、この結果はまた、製剤M群では応答比が88.9%で90分の時点において依然として麻酔効果が認められ、一方でAMETOP群では応答比50.0%で依然として麻酔効果が認められることを示しており、製剤Mの持続時間はAMETOPよりも長いことが示される。
【0119】
実施例10 テトラカイン/リドカイン-粘土複合製剤および市販品の有効性試験
各Sprague Dawley(SD)ラット(雌ラット、BioLASCO Taiwan Co., Ltd.から入手)に製剤N、製剤Oおよび市販の局所リドカイン/テトラカインPliaglisをそれぞれ適用した。薬物を適用した時間から適用時間を算出した。適用の30分後、試験領域中の薬物をガーゼで拭き取り、von Frey試験を実施した。
【0120】
この実験では、ラットの後足の機械的感受性をVon Freyアッセイによって検査して、麻酔効果を評価した。
【0121】
本実験で使用したvon Frey毛は、太さの異なる一組のナイロン針である。各von Frey毛は、穿刺時の強度が異なっており、弱いものから強いものまで順に4、6、8、10、15、26、60gの計7本のナイロン針であり、これらの針は、試験中の物理的刺激である。各ラットを個別に透明な給餌ケージに入れ、10分の順応時間にわたりステンレス鋼メッシュ(6.3×6.3mm)上に置いた後、von Frey毛の力を加えた。後足に対して垂直にステンレス鋼メッシュのすき間から後足を穿刺してvon Frey毛を5秒間湾曲状態に維持することを、刺激と称する。各強度は、後足のランダムな位置において5つの刺激を必要とする。異なる強度のvon Frey毛を弱いものから強いものまで試験する。強度試験の完了後、閾値が測定かつ記録されるまで強度を取り替える。
【0122】
各製剤の詳細および有効性試験の結果を表9、
図6、および
図7に提示する。
図6では、製剤Nが疼痛閾値の増加においてPliaglisよりも有効であったことを確認できる。増加した閾値のパーセンテージは、40分でPliaglisの4.5倍である。この結果は、処方Nの薬物がPliaglisよりも速やかに皮膚に入ったことを示した。
図7では、製剤Oが疼痛閾値の増加においてPliaglisよりも有効であったことを確認できる。増加した閾値のパーセンテージは、40分でPliaglisの2.3倍である。この結果は、処方Oの薬物もPliaglisよりも速やかに皮膚に入ったことを示した。
【0123】
【0124】
実施例11 リドカイン-粘土複合製剤および市販品の皮膚透過性
製剤Pおよび市販の局所リドカイン/プリロカインEMLAを、6mlのレセプターウェル体積を有するフランツ拡散セルを使用して、ブタ皮膚を通しての透過性について試験した。ブタ皮膚を剃毛して毛のない状態にし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、皮下脂肪を除去した。ドナーウェルは0.785cm2の面積を有していた。等張性PBSをドープしてレセプターウェルを満たした。フランツセルのフランジを、ピンチクランプを使用して均圧で一緒に締め付けた。フランツセルのレセプターウェルを、撹拌ブロック中で、撹拌子を用いて連続的に撹拌しながら32℃に維持した。皮膚サンプルを変更されたフランツ拡散セルに固定した。皮膚の真皮側をレセプター液に晒し、角質層をドナー区画と接触したままにした。正確に秤量した、2.925mgのリドカインに対応する製剤P、および2.925mgのリドカインに対応するEMLAを、皮膚のドナー区画側に適用した。400マイクロリットルのアリコートを、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、および7時間の時間間隔で取り出した。各サンプリング後に同量のPBS溶液をレセプター区画に取り替えた。HPLC分析を使用してサンプルを定量した。
【0125】
各製剤の詳細およびフランツ拡散セル実験の結果を表10および
図8に提示する。表10を参照すると、製剤Pは、皮膚を通る透過フラックスにおいてEMLAよりも有効であったことを確認できる。さらに、かつ驚くべきことに、製剤Pはまた、皮膚を通るリドカインの透過フラックスにおいて、市販品EMLAよりもおよそ1.9倍有効であった。
図8では、各回において、製剤Pの浸透量はEMLAよりも高かった。
【0126】
【0127】
実施例12 プリロカイン-粘土複合製剤および市販品の皮膚透過性
製剤Qおよび市販の局所リドカイン/プリロカインEMLAを、6mlのレセプターウェル体積を有するフランツ拡散セルを使用して、ブタ皮膚を通しての透過性について試験した。ブタ皮膚を剃毛して毛のない状態にし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、皮下脂肪を除去した。ドナーウェルは0.785cm2の面積を有していた。等張性PBSをドープしてレセプターウェルを満たした。フランツセルのフランジを、ピンチクランプを使用して均圧で一緒に締め付けた。フランツセルのレセプターウェルを、撹拌ブロック中で、撹拌子を用いて連続的に撹拌しながら32℃に維持した。皮膚サンプルを変更されたフランツ拡散セルに固定した。皮膚の真皮側をレセプター液に晒し、角質層をドナー区画と接触したままにした。正確に秤量した、2.925mgのプリロカインに対応する製剤Q、および2.925mgのプリロカインに対応するEMLAを、皮膚のドナー区画側に適用した。400マイクロリットルのアリコートを、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、および7時間の時間間隔で取り出した。各サンプリング後に同量のPBS溶液をレセプター区画に取り替えた。HPLC分析を使用してサンプルを定量した。
【0128】
各製剤の詳細およびフランツ拡散セル実験の結果を表11および
図9に提示する。表11を参照すると、製剤Qは、皮膚を通る透過フラックスにおいてEMLAよりも有効であったことを確認できる。さらに、かつ驚くべきことに、製剤Qはまた、皮膚を通るプリロカインの透過フラックスにおいて、市販品EMLAよりもおよそ2.1倍有効であった。
図9では、各回において、製剤Qの浸透量はEMLAよりも高かった。
【0129】
【0130】
本発明で言及されるすべての文献は、あたかも個々の文献がそれぞれ参照により援用されるように具体的かつ個別に表されるのと同じ程度に、参照により本出願に援用される。さらに、本発明において教示される内容を読んだ後、当業者によって本発明に様々な修正および変更がなされ得、これらの同等物も特許請求の範囲によって定義される範囲に含まれることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所適用のための麻酔薬組成物であって、
(a)治療有効量の少なくとも1つの薬学的活性剤と、
(b)少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルと、
(c)少なくとも1つの粘土と
を含み、前記薬学的活性剤は、エステル型麻酔剤またはアミド型麻酔剤である、麻酔薬組成物。
【請求項2】
前記麻酔薬組成物は、半固形状であり、周囲温度で保存される、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項3】
前記エステル型麻酔剤は、前記麻酔
薬組成物全体の重量に対して約1~10%の量である、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項4】
前記アミド型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して約1~10%の量である、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項5】
前記エステル型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して5%または7%の量である、請求項3に記載の麻酔薬組成物。
【請求項6】
前記アミド型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して5%または7%の量である、請求項4に記載の麻酔薬組成物。
【請求項7】
前記粘土は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して約5~60%に相当する、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項8】
前記粘土は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して13~56%に相当する、請求項7に記載の麻酔薬組成物。
【請求項9】
前記エステル型麻酔剤は、ベンゾカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカインからなる群から選択される、請求項3に記載の麻酔薬組成物。
【請求項10】
前記アミド型麻酔剤は、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブピバカイン、ロピバカインおよびアルチカインからなる群から選択される、請求項4に記載の麻酔薬組成物。
【請求項11】
前記粘土は、ナノシリケートプレートレット、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、ラポナイト、カオリン、タルク、ヒドロタルサイト、アタパルジャイト粘土、バーミキュライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、または層状複水酸化物からなる群から選択される、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項13】
薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルをさらに含み、担体は、メタノール、エタノール、プロピルグリコール、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、transcutol P、PEG300、PEG400、グリセロール、アセトン、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、シクロメチコン、塩化メチレン、ベンジルアルコール、アセトン、酢酸、炭酸プロピレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、テトラヒドロフラン、ドデカノール、水、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項14】
(a)1~10重量パーセントの麻酔剤、および
(b)5~60重量パーセントのタルク、および
(c)20~90重量パーセントの薬学的に許容可能なビヒクル、および/または
(d)1~5重量パーセントのHPC
を含む、請求項1に記載の麻酔薬組成物。
【請求項15】
5重量パーセントのテトラカインと、56重量パーセントのタルクとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項16】
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項17】
5重量パーセントのテトラカインと、56重量パーセントのタルクと、35重量パーセントのDMSOと、1重量パーセントのHPCとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項18】
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクと、32重量パーセントのリン酸二カルシウムと、20重量パーセントのDMSOと、3重量パーセントのtranscutol Pと、1重量パーセントのHPCとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項19】
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクと、32重量パーセントのリン酸二カルシウムと、23重量パーセントのDMSOと、6重量パーセントのペトロラタムと、1重量パーセントのHPCとを含む、請求項14に記載の麻酔薬組成物。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載の麻酔薬組成物
を含む、対象に局所麻酔薬を投与するために使用する、麻酔薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
本発明で言及されるすべての文献は、あたかも個々の文献がそれぞれ参照により援用されるように具体的かつ個別に表されるのと同じ程度に、参照により本出願に援用される。さらに、本発明において教示される内容を読んだ後、当業者によって本発明に様々な修正および変更がなされ得、これらの同等物も特許請求の範囲によって定義される範囲に含まれることを理解されたい。
(付記)
(付記1)
局所適用のための麻酔薬組成物であって、
(a)治療有効量の少なくとも1つの薬学的活性剤と、
(b)少なくとも1つの薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルと、
(c)少なくとも1つの粘土と
を含み、前記薬学的活性剤は、エステル型麻酔剤またはアミド型麻酔剤である、麻酔薬組成物。
(付記2)
前記麻酔薬組成物は、半固形状であり、周囲温度で保存される、付記1に記載の麻酔薬組成物。
(付記3)
前記エステル型麻酔剤は、前記麻酔剤組成物全体の重量に対して約1~10%の量である、付記1に記載の麻酔薬組成物。
(付記4)
前記アミド型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して約1~10%の量である、付記1に記載の麻酔薬組成物。
(付記5)
前記エステル型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して5%または7%の量である、付記3に記載の麻酔薬組成物。
(付記6)
前記アミド型麻酔剤は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して5%または7%の量である、付記4に記載の麻酔薬組成物。
(付記7)
前記粘土は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して約5~60%に相当する、付記1に記載の麻酔薬組成物。
(付記8)
前記粘土は、前記麻酔薬組成物全体の重量に対して13~56%に相当する、付記7に記載の麻酔薬組成物。
(付記9)
前記エステル型麻酔剤は、ベンゾカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカインからなる群から選択される、付記3に記載の麻酔薬組成物。
(付記10)
前記アミド型麻酔剤は、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ブピバカイン、ロピバカインおよびアルチカインからなる群から選択される、付記4に記載の麻酔薬組成物。
(付記11)
前記粘土は、ナノシリケートプレートレット、モンモリロナイト、ベントナイト、マイカ、ラポナイト、カオリン、タルク、ヒドロタルサイト、アタパルジャイト粘土、バーミキュライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、または層状複水酸化物からなる群から選択される、付記1に記載の麻酔薬組成物。
(付記12)
少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、付記1に記載の麻酔薬組成物。
(付記13)
薬学的に許容可能な溶媒ビヒクルをさらに含み、担体は、メタノール、エタノール、プロピルグリコール、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、transcutol P、PEG300、PEG400、グリセロール、アセトン、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、シクロメチコン、塩化メチレン、ベンジルアルコール、アセトン、酢酸、炭酸プロピレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、テトラヒドロフラン、ドデカノール、水、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、付記1に記載の麻酔薬組成物。
(付記14)
(a)1~10重量パーセントの麻酔剤、および
(b)5~60重量パーセントのタルク、および
(c)20~90重量パーセントの薬学的に許容可能なビヒクル、および/または
(d)1~5重量パーセントのHPC
を含む、付記1に記載の麻酔薬組成物。
(付記15)
5重量パーセントのテトラカインと、56重量パーセントのタルクとを含む、付記14に記載の麻酔薬組成物。
(付記16)
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクとを含む、付記14に記載の麻酔薬組成物。
(付記17)
5重量パーセントのテトラカインと、56重量パーセントのタルクと、35重量パーセントのDMSOと、1重量パーセントのHPCとを含む、付記14に記載の麻酔薬組成物。
(付記18)
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクと、32重量パーセントのリン酸二カルシウムと、20重量パーセントのDMSOと、3重量パーセントのtranscutol Pと、1重量パーセントのHPCとを含む、付記14に記載の麻酔薬組成物。
(付記19)
7重量パーセントのテトラカインと、7重量パーセントのリドカインと、24重量パーセントのタルクと、32重量パーセントのリン酸二カルシウムと、23重量パーセントのDMSOと、6重量パーセントのペトロラタムと、1重量パーセントのHPCとを含む、付記14に記載の麻酔薬組成物。
(付記20)
1つ以上の薬学的活性剤を対象に投与する方法であって、
(a)付記1~19のいずれかに記載の麻酔薬組成物を提供する工程と、
(b)皮膚の領域を前記麻酔薬組成物と接触させる工程と
を含む、方法。
【国際調査報告】