(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーと、シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとするコポリマーとを含むケア及び/又はメイクアップ組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/892 20060101AFI20240816BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240816BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K8/892
A61Q1/00
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515478
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022074346
(87)【国際公開番号】W WO2023041343
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・ケルゴシアン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・デュ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AC012
4C083AC912
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC02
4C083CC11
4C083EE07
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚をケア及び/又はメイクアップするための組成物であって、好ましくは生理学的に許容される媒体中において、a)カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーと;b)シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとする少なくとも1種のコポリマーとを含む組成物に関する。本発明は、ケラチン物質をコーティングする、より特に皮膚などのケラチン物質をメイクアップ及び/又はケアする方法において、上記で定義されたようなエマルジョンの、ケラチン物質への適用を含むことを特徴とする方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、特に皮膚をケア及び/又はメイクアップするための組成物であって、好ましくは生理学的に許容される媒体中において、
a)カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーと;
b)シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとする少なくとも1種のコポリマーと
を含む組成物。
【請求項2】
無水であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の質量に対して2~25質量%の範囲、好ましくは5質量%~15質量%の範囲の含有量の、カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーの活性物質を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
カルボン酸官能基を含有する前記シリコーンエラストマーは、以下の式(I):
【化1】
(式中、
基Xは、以下の式(i)
【化2】
又は以下の式(i’)
【化3】
に対応し、式中、
W及びW*は、独立して、酸素原子(O)又はN-R基を表し、各R基は、独立して、水素原子(H)又はR
1基を表し;
Yは、二価基であり;
R
1、R
11、R
4、R
14、R
5及びR
15は、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基を表し;
R
3及びR
13は、独立して、二価基を表し;
w及びwwは、独立して、0~1000の範囲の整数であり;
x及びxxは、独立して、1~100の範囲の整数であり;
y及びyyは、独立して、0~1000の範囲の整数であり;
好ましくは、w及びyは、同時に0に等しいことはなく、且つww及びyyは、同時に0に等しいことはない)
に対応するものから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
式(1)の前記シリコーンエラストマーは、以下の化合物1~12:
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
カルボン酸官能基を含有する前記シリコーンエラストマーは、化合物11である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
カルボン酸官能基を含有する前記シリコーンエラストマーは、INCI名:(ヘキシル/コハク酸ジメチコン)クロスポリマーを有するものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
カルボン酸官能基を含有する前記シリコーンエラストマーは、少なくとも1種の油中の分散系におけるものであり、且つゲル形態であり;好ましくは揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン油、非揮発性炭化水素油、非揮発性シリコーン油及びそれらの混合物から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーの前記油性分散系は、前記油性分散系の総質量に対して10質量%~40質量%、より優先的には20質量%~35質量%のシリコーンエラストマー活性物質を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
カルボン酸官能基を含有する前記シリコーンエラストマーは、イソドデカン中の分散系におけるものであり、且つゲル形態である、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
カルボン酸官能基を含有する前記シリコーンエラストマーは、請求項4に記載の化合物1、4及び11、好ましくは化合物11から選択され、より特に、化合物11は、30質量%の活性物質含有量を有する、イソドデカンをベースとする前記分散系中に存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
INCI名:イソドデカン(及び)(ヘキシル/コハク酸ジメチコン)クロスポリマーを有する、イソドデカン中の分散系であって、より特に前記イソドデカンベースの分散系中に30質量%の含有量の活性物質を有する、イソドデカン中の分散系においてゲル形態で少なくとも1種のシリコーンエラストマーを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとする前記コポリマーは、前記組成物の総質量に対して1質量%超~最大で40質量%、好ましくは1.5質量%~20質量%の範囲、より優先的には1.5質量%~15質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとする前記コポリマーは、INCI名:(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマーを有するものから選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
特にイソプロパノール、エタノール及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種のC
2~C
6モノアルコールを追加的に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
モノアルコールの量は、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%で変動する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
好ましくは、酸化鉄、二酸化チタン及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の顔料を追加的に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記顔料は、特に、シリコーン表面剤;フッ素化表面剤;フルオロシリコーン表面剤;金属石鹸;N-アシル化アミノ酸又はその塩;レシチン及びその誘導体;イソプロピルトリイソステアリルチタネート;セバシン酸イソステアリル;天然植物又は動物ワックス;極性合成ワックス;脂肪エステル;リン脂質;並びにそれらの混合物から選択される、より優先的にはフルオロシリコーン表面剤から選択される、更により特にパーフルオロアルキルトリアルコキシシランから選択される少なくとも1種の疎水性又は親油性化合物によってコーティングされる、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物の総質量に対して少なくとも5質量%の顔料、より優先的には5質量%~40質量%の顔料、特に10質量%~30質量%、より特に10質量%~20質量%の顔料を含む、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項20】
ケラチン物質をコーティングする、より特に皮膚などのケラチン物質をメイクアップ及び/又はケアする方法において、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物の、前記ケラチン物質への適用を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚のケア及び/又はメイクアップの分野のために、カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーと、シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとする少なくとも1種のコポリマーとを含む新規組成物を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
化粧品メイクアップ組成物は、皮膚などのケラチン物質に魅力的な色を付与するためのみならず、マーク及び色素異常症を隠すことを可能にすることにより、ムラのある皮膚の美しさを高め、且つ毛穴及びシワなどの除去の不完全さの視認性を低下させるためにも慣用されている。多くの配合物がこれまでに開発されている。長年にわたり、消費者は、組成物をあまりにも頻繁に再適用する必要性を回避することができるように、経時的にメイクアップ効果の良好な摩耗特性を提供する組成物を求めている。
【0003】
良好な摩耗特性を得るために先行技術によって提案された解決策の1つは、組成物が、適用されると、乾燥後により粘着性、接着性及び持続性の皮膜を支持体上に形成させる皮膜形成剤の使用である。しかしながら、皮膜形成剤の使用は、そのような試剤で遭遇する問題の1つが、それが使用されるとき、とりわけ組成物を延展する際の困難さによってもたらされる不快感を引き起こすという事実にあるため、完全に満足のいくものではない。
【0004】
カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーをベースとするメイクアップ組成物は、公開文献(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)、(非特許文献1)、(非特許文献2)で既に提案されており、それらの組成物は、摩耗特性及び耐久性の観点から良好な性能を有する。しかしながら、これらのポリマーは、摩擦への耐性の観点から完全に満足のいくものではない。更に、カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーは、一般に、取り上げること及び適用することが困難であるテキスチャーを有し、且つ不十分に流動性である柔軟及び均質な稠度により、生成物を取り上げ、且つ皮膚上に容易に延展することを可能にしないメイクアップ組成物を与える傾向を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015066161号パンフレット(米国特許出願公開第20160200876号明細書)
【特許文献2】国際公開第2015066165号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2015066199号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2015167963号パンフレット
【特許文献5】国際公開第20180165434号パンフレット(米国特許第10918587B2号明細書)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IPCOM000250448D
【非特許文献2】IPCOM000250657D
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための組成物であって、摩擦に実質的により耐性を示す堆積物を有する処方を得るために、カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーを含む組成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための組成物であって、取り上げられ、皮膚上に容易に延展されるのに十分に流動性であり、滑らかであり、柔軟であり且つ均質な稠度を有する、カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーを含む組成物を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その調査研究中、本出願人は、ケラチン物質、とりわけ皮膚をケア及び/又はメイクアップするための組成物であって、好ましくは生理学的に許容される媒体中において、
a)カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーと;
b)シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとする少なくとも1種のコポリマーと
を含む組成物でこれらの目的を達成できることを意外にも発見した。
【0010】
この発見は、本発明の基礎を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚をケア及び/又はメイクアップするための組成物であって、好ましくは生理学的に許容される媒体中において、
a)カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーと;
b)シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとする少なくとも1種のコポリマーと
を含む組成物に関する。
【0012】
好ましい実施形態によれば、本組成物は、無水である。
【0013】
本発明は、ケラチン物質をコーティングする、より特に皮膚などのケラチン物質をメイクアップ及び/又はケアする方法において、上記で定義されたようなエマルジョンの、ケラチン物質への適用を含むことを特徴とする方法にも関する。
【0014】
本発明は、より特に、皮膚をメイクアップ及び/又はケアする方法において、上記で定義されたような組成物の、皮膚への適用を含むことを特徴とする方法に関する。
【0015】
定義
本発明に関連して、「ケラチン物質」という用語は、皮膚及びより具体的には顔、頬、手、胴体、肢及び大腿などの領域、眼の周辺領域並びに眼瞼を意味する。
【0016】
「生理学的に許容される」という用語は、皮膚及び/又はその外皮と適合性を有し、好感を覚える色、匂い及び感触を有し、消費者にこの組成物の使用を敬遠させがちな許容できない不快感(ヒリつき、つっぱり又は発赤)を引き起こさないことを意味する。
【0017】
本発明の目的のために、「無水」という用語は、組成物が前記組成物の総質量に対して2質量%以下、好ましくは1質量%以下、より優先的には0.5質量%未満の含水量を含むこと又は更に水を含まないことを意味する。適切な場合、そのような少量の水は、とりわけ、残留量の水を含有する可能性がある組成物の原料によって導入され得る。
【0018】
カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマー
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための本発明による組成物は、カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーを含む。
【0019】
「オルガノポリシロキサンエラストマー」という用語は、粘弾性特性と、とりわけスポンジ又は柔軟な球体の稠度とを有する柔軟で変形可能なオルガノポリシロキサンを意味する。その弾性率は、この材料が変形に耐え、制限されたストレッチ性及び収縮性を有するようなものである。この材料は、ストレッチ後にその元の形状を取り戻すことができる。一般に、それは、部分的又は完全に架橋されており、環状ではない。
【0020】
「カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマー」という用語は、その構造中において、少なくとも1つの-COOH官能基を有する少なくとも2つのカルボン酸基を含むオルガノポリシロキサンエラストマーを意味する。
【0021】
本発明による組成物は、有利には、組成物の質量に対して2質量%~25質量%の範囲のカルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーの活性物質の含有量を有する。好ましくは、この含有量は、組成物の質量に対して5質量%~15質量%の範囲である。
【0022】
本発明の組成物に使用することができるカルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーは、公開文献国際公開第2015066161号パンフレット(米国特許出願公開第20160200876号明細書)、国際公開第2015066165号パンフレット、国際公開第2015066199号パンフレット、国際公開第2015167963号パンフレット、国際公開第20180165434号パンフレット(米国特許第10918587B2号明細書)、IPCOM000250448D、IPCOM000250657Dに記載されているものから選択することができる。
【0023】
特定の一実施形態によれば、カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーは、以下の式(I):
[化学式1]
【化1】
(式中、
基Xは、以下の式(i)
[化学式2]
【化2】
又は以下の式(i’)
[化学式3]
【化3】
に対応し、式中、
W及びW*は、独立して、酸素原子(O)又はN-R基を表し、各R基は、独立して、水素原子(H)又はR1基を表し;
Yは、二価基であり;
R
1、R
11、R
4、R
14、R
5及びR
15は、独立して、置換又は非置換ヒドロカルビル基を表し;
R
3及びR
13は、独立して、二価基を表し;
w及びwwは、独立して、0~1000の範囲の整数であり;
x及びxxは、独立して、1~100の範囲の整数であり;
y及びyyは、独立して、0~1000の範囲の整数であり;
好ましくは、w及びyは、同時に0に等しいことはなく、且つww及びyyは、同時に0に等しいことはない)
に対応するものから選択される。
【0024】
「置換された」という用語は、ヒドロカルビル基の1つ以上の水素原子が、水素以外の原子(すなわちハロゲン)によって置き換えられているか、又はさもなければ1つ以上の炭素原子が、ヘテロ原子、例えば酸素、硫黄又は窒素などの炭素原子以外の原子によって置き換えられていることを意味する。
【0025】
式(I)では、下部及び上部は、同一であるか又は異なるシロキサンである。ある種の特定の実施形態によれば、各シロキサン鎖は、それらのそれぞれの骨格にシロキサン結合(Si-O-Si)を含む。各シロキサン鎖は、1つ以上の二価基、例えば-CH2-連結基によって分離されたシロキサン結合を含み得る。二価基の他の例として、ポリエーテル基:例えば、-CH2CH2O-(すなわちエチレンオキシド基)、-CH(CH3)CH2O-(すなわちプロピレンオキシド)等の連結基が挙げられ得る。異なる二価基の組合せがそれらのそれぞれの骨格中に存在し得る。二価基のそれぞれは、単一であるか又は繰り返され得、すなわち2回、5回、10回又は更に10回超であり得る。ある種の実施形態によれば、シロキサンは、いかなるポリエーテル基も含有しない。
【0026】
様々な実施形態では、1つ又は両方のシロキサンは、少なくとも1つの[SiR1R2-O-]単位(「D」又はR*2SiO2/2単位)を含み得る。典型的には、各シロキサンは、シロキサンの線状部分を一般に構成する、D単位の繰り返しを有する。シロキサンは、典型的には、末端R*3SiO1/2単位(「M」単位)も有する。
【0027】
ある種の特定の実施形態では、2つのシロキサンの1つ又は両方のシロキサンは、任意選択的に、分岐しており、部分的に分岐しており、且つ/又は3次元構造ネットワークを有する樹脂部分を含み得る。そのような場合、対応するシロキサンは、R*SiO3/2単位(「T」単位)及び/又はSiO4/2単位(「Q」単位)を追加的に含み得る。シロキサンの分岐又は樹脂特質は、T及び/又はQ単位の存在に起因し得る。シロキサンの分岐特質は、1つ以上のD単位の側基に起因し得る。特定の実施形態によれば、シロキサンの1つ又は両方のシロキサンは、T単位及び/又はQ単位を欠き得る。2つのシロキサンは、同一であるか又は異なり得る。すなわち、1つが線状であり、他が分岐しているか、又はさもなければ両方のシロキサンが線状である。
【0028】
ある種の特定の実施形態によれば、R1基は、独立して、アルキル、アリール、アルケニル、アルカリール又はアラルキル基を表す。より具体的には、R1基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなど、好ましくは1~20、1~15、1~10、1~6、1~4又は1若しくは2つの炭素原子を有するアルキル基を表す。より特に、R1基の全ては、メチル基(すなわち-CH3)を表す。
【0029】
好ましくは、R3基は、ヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン又はオルガノヘテリレン基である。特に、R3は、(CH2)n基であり、nは、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5又は1~3の範囲の整数であり、より特に3に等しい。
【0030】
様々な特定の実施形態によれば、R4及びR5基のそれぞれは、独立して、とりわけR1基に関して上記で定義されたものから選択される置換又は非置換のヒドロカルビル基を表し得る。
【0031】
ある種の実施形態によれば、各R4基は、独立して、アルキル、アリール(すなわちフェニル)基又は(R6O)m基を表す。R4が(R6O)m基である場合、R6は、好ましくは、アルキル又はアリール(すなわちフェニル)基であり、mは、1~50、1~25、1~10、1~5の範囲の整数又は1である。(R6O)m基は、ポリエーテル基(すなわちエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位の)であり得る。特定の実施形態によれば、R4基は、シロキサンのシリコーン側鎖の二価基であり得る。
【0032】
特定の実施形態によれば、R
4は、式(1)
[化学式4]
【化4】
(式中、R
3は、前に示されたものと同じ定義を有する)
の酸無水物基を表し得る。好ましくは、R
4基は、アルキル基又はポリエーテル基を表す。
【0033】
好ましくは、各R5基は、R1基である。例えば、各R5及びR1基は、アルキル基、すなわちメチルである。
【0034】
好ましくは、R11は、R1と同一であるか又は異なり、R14は、R4と同一であるか又は異なり、R15は、R5と同一であるか又は異なる。優先的には、R5基は、R1を表し、及び/又はR15基は、R11を表す。
【0035】
好ましくは、wは、0~1000、0~950、0~750、0~500、0~400、1~350、1~300、25~250、50~200、50~150、75~125、90~110、90~100、90~95の範囲の整数であり、より特に93に等しい。
【0036】
好ましくは、xは、1~100、1~75、1~50、1~25、1~20、1~10又は1~5の整数であり、より特に3に等しい。
【0037】
好ましくは、yは、0~1000、0~950、0~750、0~500、0~400、1~350、1~300、1~250、1~200、1~150、1~100、1~75、1~50、1~25、1~20、1~15、1~10又は1~5の範囲の整数である。
【0038】
様々な実施形態によれば、w及びyは、同時に0に等しいことはない。ある種の実施形態によれば、合計w+xz+yは、25~1500、25~1000、25~900、25~800、25~700、25~600、25~500、25~400、25~300、50~200、75~150、85~125又は90~110で変動する。
【0039】
ある種の実施形態では、xは、少なくとも1に等しく、少なくとも10に等しく、少なくとも25に等しく、少なくとも50に等しく、少なくとも75に等しく又は少なくとも5に等しい。
【0040】
特定の実施形態によれば、wwは、wと同一であるか又は異なり得、xxは、xと同一であるか又は異なり得、yyは、yと同一であるか又は異なり得る。式(I)の単位、とりわけ、下付けw、ww、x、xx、y又はyyのブラケット間に表されるものは、任意の順に、ランダムに又はブロック形態で存在し得る。
【0041】
ある種の特定の実施形態によれば、同一であるか又は異なり得るR11基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の基など、線状、分岐又は環状C1~C20、C1~C15、C1~C10、C1~C6、C1~C4又はC1~C2アルキル基を表す。より優先的には、R11基は、メチル基である。
【0042】
ある種の特定の実施形態によれば、同一であるか又は異なり得るR14基は、アルキル又はアリール(すなわちフェニル)基又は(R16O)mmを表す。R14が(R16O)mm基である場合、R16は、アルキル又はアリール(すなわちフェニル)基を表し、mmは、1~50、1~25、1~10、1~5の範囲の整数又は1である。(R16O)mm基は、ポリエーテル基(すなわちエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位の)であり得る。
【0043】
特定の実施形態によれば、R14基は、独立して、2~20、2~15、2~10、2~5又は2つの炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0044】
他の特定の実施形態によれば、R14は、シロキサンのシリコーン側鎖の二価結合基であり得る。
【0045】
特定の実施形態によれば、R
14は、式(1)
【化5】
(式中、R
3は、前に示されたものと同じ定義を有する)
の酸無水物基を表し得る。
【0046】
好ましくは、R14基は、アルキル基又はポリエーテル基を表す。
【0047】
好ましくは、wwは、0~1000、0~950、0~750、0~500、0~400、1~350、1~300、25~250、50~200、50~150、75~125、90~110、90~100、90~95の範囲の整数であり、より特に93である。
【0048】
好ましくは、xxは、1~100、1~75、1~50、1~25、1~20、1~10又は1~5の範囲の整数であり、より特に3である。
【0049】
好ましくは、yyは、0~1000、0~950、0~750、0~500、0~400、1~350、1~300、1~250、1~200、1~150、1~100、1~75、1~50、1~25、1~20、1~15、1~10又は1~5の範囲の整数である。
【0050】
様々な実施形態では、ww及びyyは、同時に0に等しいことはない。ある種の特定の実施形態によれば、合計ww+xx+yyは、25~1500、25~1000、25~900、25~800、25~700、25~600、25~500、25~400、25~300、50~200、75~150、85~125又は90~110で変動する。
【0051】
ある種の特定の実施形態によれば、xxは、少なくとも1に等しく、少なくとも10に等しく、少なくとも25に等しく、少なくとも50に等しく、少なくとも75に等しく又は少なくとも85に等しい。
【0052】
式(I)の中間部分Xは、以下の一般式(i)
【化6】
又は以下の式(i’)
【化7】
に対応し、式中、
- 各W及びW*基は、独立して、酸素原子(O)又はN-R基を表し、Rは、水素原子(H)又はR1基を表し;好ましくは、Rは、Hであり;
- R
13は、二価基、好ましくはヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン又はオルガノヘテリレンであり;特に、R13は、(CH
2)
nn基(ここで、nnは、1~30、1~20、1~15、1~10、1~5、1~3の整数、より特に3である)を表し;R
13がR3に対して同一であるか又は異なり得;
- 各Y基は、二価基であり、とりわけヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン又はオルガノヘテリレンを表し;特に、Yは、1~50、1~40、1~20、1~10、1~5、1若しくは2つの炭素原子を有するヒドロカルビレン基であるか、又は以下の式(ii)
[化学式5]
【化8】
(式中、
- 各R
8、R
9は、独立して、とりわけ、アルキル基(すなわちメチル)、アリール基(すなわちフェニル)から選択される置換又は非置換ヒドロカルビル基、ポリエーテル基(すなわちエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位の)を表し;
- 各R
10基は、独立して、R
1及びR
4に関して前に定義された基などの置換又は非置換ヒドロカルビル基を表し;特に、R
10は、1~20個の炭素原子を有するアルキル基若しくはポリエーテル基又はシロキサンの側鎖の二価連結基であり得;
- 各Z基は、独立して、少なくとも1つのヒドロカルビレン、ヘテロヒドロカルビレン又はオルガノヘテリレン基を含み、特に1~20、1~10、1~5又は1つの炭素原子を有するヒドロカルビレン基であり;特にZは、1つ以上の二価基、例えば-CH
2-連結基で分離されたシロキサン結合を含み得;二価基の他の例として、ポリエーテル基:例えば、-CH
2CH
2O-(すなわちエチレンオキシド基)、-CH(CH
3)CH
2O-(すなわちプロピレンオキシド)連結基が挙げられ;
- aは、0~1000、0~950、0~750、0~500、0~400、0~300、0~200、0~100、0~75、0~50、0~25、0~20の範囲の整数であり;又は-bは、1~1000、1~950、1~750、1~500、1~400、1~300又は1~200の範囲の整数であり;
- cは、0~1000、0~950、0~750、0~500、0~400、0~300、0~200、0~100の範囲の整数であり;
- 各dは、0又は1に等しい。特に、dの少なくとも1つが1に等しいか、又は両方が1に等しく;
下付きa、b又はc付きのブラケット間に表される式(ii)の単位は、任意の順に、ランダムに又はブロック形態で存在する)
の基を表し得る。
【0053】
特定の形態によれば、式(ii)のシロキサンは、式R*sSiO(4-s)/2の樹脂であり得る。好ましくは、シリコーン樹脂は、その鎖に沿って、M単位及び任意選択的にD単位と共にT及び/又はQ単位を有する。R*基は、置換ヒドロカルボニル基(すなわちヒドロキシル、アミン官能基)又は非置換ヒドロカルボニル基から独立して選択され得、sは、0~3で変動する。使用することができるR*基は、R8、R9及びR10基に関して前に記載されたものであり得る。そのような基の様々な組合せが存在し得る。これらの特定の場合によれば、シリコーン樹脂は、M、D、T及び/又はQ単位の組合せを含む。それは、とりわけ、MDT樹脂、MT樹脂、MDQ樹脂、MQ樹脂又はMDTQ樹脂であり得る。M、D及びT単位のそれぞれは、異なるR*基を含有し得る。樹脂は、800~500000の範囲の数平均分子量などの様々な分子量を有することができる。
【0054】
本発明の特定の形態によれば、カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーは、100~50000、500~10000又は500~5000の範囲のカルボキシル当量を有する。
【0055】
式(I)のカルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーは、文献国際公開第2015066161号パンフレット(米国特許出願公開第20160200876号明細書)に記載される合成方法の1つに従って得ることができる。
【0056】
合成方法の第1の変形形態によれば、カルボン酸官能基を含有するある種のシリコーンエラストマーは、1)ペンダント酸無水物基を有する第1のシロキサンと、2)ペンダント酸無水物基を有する第2のシロキサンと、3)有機ポリオールとの反応によって得ることができる。特定の実施形態によれば、3つの先行反応剤は、最初の2つと異なる1種以上のシロキサンと反応させることができる。
【0057】
合成方法の第2の変形形態によれば、カルボン酸官能基を含有するある種のシリコーンエラストマーは、1)ペンダント酸無水物基を有する第1のシロキサンと、2)ペンダント酸無水物基を有する第2のシロキサンと、3)有機ポリアミンとの反応によって得ることができる。特定の実施形態によれば、3つの先行反応剤は、最初の2つと異なる1種以上の追加のシロキサンと反応させることができる。
【0058】
合成方法の第3の変形形態によれば、カルボン酸官能基を含有するある種のシリコーンエラストマーは、1)ペンダント酸無水物基を有する第1のシロキサンと、2)ペンダント酸無水物基を有する第2のシロキサンと、3)少なくとも2つのヒドロキシル基を有する第3のシロキサンとの反応によって得ることができる。特定の実施形態によれば、3つの先行反応剤は、最初の2つと異なる1種以上の追加のシロキサンと反応させることができる。
【0059】
合成方法の第4の変形形態によれば、カルボン酸官能基を含有するある種のシリコーンエラストマーは、1)ペンダント酸無水物基を有する第1のシロキサンと、2)ペンダント酸無水物基を有する第2のシロキサンと、3)ペンダントアミン基及び/又は末端アミン基を有する第3のシロキサンとの反応によって得ることができる。特定の実施形態によれば、3つの先行反応剤は、最初の2つと異なる1種以上の追加のシロキサンと反応させることができる。
【0060】
合成方法の第5の変形形態によれば、カルボン酸官能基を含有するある種のシリコーンエラストマーは、1)ペンダントヒドロキシル基を有する第1のシロキサンと、2)ペンダントヒドロキシル基を有する第2のシロキサンと、3)少なくとも2つの末端酸無水物基を有する第3のシロキサンとの反応によって得ることができる。特定の実施形態によれば、3つの先行反応剤は、最初の2つと異なる1種以上の追加のシロキサンと反応させることができる。
【0061】
合成方法の第6の変形形態によれば、カルボン酸官能基を含有するある種のシリコーンエラストマーは、1)ペンダントアミン基を有する第1のシロキサンと、2)ペンダントアミン基を有する第2のシロキサンと、3)少なくとも2つの末端酸無水物基を有する第3のシロキサンとの反応によって得ることができる。特定の実施形態によれば、3つの先行反応剤は、最初の2つと異なる1種以上の追加のシロキサンと反応させることができる。
【0062】
合成方法の第7の変形形態によれば、カルボン酸官能基を含有するある種のシリコーンエラストマーは、1)第1の有機アルコールと、2)第2の有機アルコールと、3)末端酸無水物基を有するシロキサンとの反応によって得ることができる。特定の実施形態によれば、3つの先行反応剤は、最初の2つと異なる1種以上の追加の有機アルコールと反応させることができる。
【0063】
式(I)のカルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーの中でも、出願国際公開第2015066161号パンフレットの実施例4、5及び7~16にそれぞれ記載されるような以下の化合物1~12が挙げられ得る。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【0064】
特定の形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも、前に定義されたような化合物11を含有する。
【0065】
本発明の組成物に使用することができるカルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーの中で、INCI名:(ヘキシル/コハク酸ジメチコン)クロスポリマーのシリコーンエラストマーも挙げられ得る。
【0066】
特定の形態によれば、カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーは、固体形態である。それらは、とりわけ、前に定義されたような化合物2及び3から選択され得る。
【0067】
別の特定の形態によれば、カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーは、少なくとも1種の油中の分散系にあり、ゲルの形態である。
【0068】
「油」という用語は、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg、すなわち105Pa)で液体である脂肪物質を意味すると理解される。
【0069】
油は、揮発性油及び/又は不揮発性油から選択され得る。
【0070】
「不揮発性油」という用語は、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)で少なくとも数時間、ケラチン物質上に留まり、且つ特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味すると理解される。
【0071】
「揮発性油」という用語は、皮膚と接触すると、室温及び大気圧下において1時間未満で蒸発することが可能である油を意味すると理解される。揮発性油は、とりわけ、室温及び大気圧で非ゼロ蒸気圧を有する、とりわけ2.66Pa~40000Pa、特に2.66Pa~13000Pa、より特に2.66Pa~1300Paの蒸気圧を有する、室温及び大気圧で液体の揮発性化粧品である。
【0072】
油は、炭化水素系油、シリコーン油及びそれらの混合物から選択され得る。
【0073】
本発明の目的のために、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子及び特に少なくとも1つのSi-O基を含む油、より特にオルガノポリシロキサンを意味すると理解される。
【0074】
「炭化水素油」という用語は、主に炭素及び水素原子並びに任意選択的にヒドロキシル、エステル、エーテル又はカルボキシル官能基から選択される1つ以上の官能基を含む油を意味すると理解される。
【0075】
カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーの油性分散系に使用することができる揮発性炭化水素油の例として、8~16個の炭素原子を有する炭化水素油、特に石油由来のC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン及びイソヘキサデカンなど、例えば商品名Isopar又はPermethylで販売されている油、分岐C8~C16エステル、ネオペンタン酸イソヘキシル並びにそれらの混合物が挙げられ得る。他の揮発性炭化水素油、例えば石油蒸留物、特にShellによって名称Shell Soltで販売されているもの;揮発性線状アルカン、例えばCognis製の特許出願独国10 2008 012 457号明細書に記載されているものなども使用することができる。より特にイソドデカンが使用されるであろう。
【0076】
組成物中に使用することができる揮発性シリコーン油の中でも、例えば、揮発性線状又は環状シリコーン油、特に8センチストークス(8×10-6m2/s)以下の粘度を有し、且つ特に2~7つのケイ素原子を有するものが挙げられ得、これらのシリコーンは、任意選択的に、1~10個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基を含む。
【0077】
本発明で使用することができる揮発性線状シリコーン油として、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0078】
本発明で使用することができる揮発性環状シリコーン油として、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン及びそれらの混合物などのシクロメチコンが挙げられ得る。
【0079】
不揮発性線状シリコーン油の例として、ポリジメチルシロキサン(ジメチコンとしても知られる);アルキルジメチコン;ビニルメチルメチコン並びに脂肪族基及び/又は官能基、例えばヒドロキシル、チオール、カルボン酸及び/又はアミン基などによって修飾されたポリジメチルシロキサンが挙げられ得る。
【0080】
非揮発性線状炭化水素油の例として、
- 合成エステル、例えば、式R1COOR2(式中、R1及びR2鎖の炭素原子の数の合計が10以上であることを条件として、R1は、1~40個の炭素原子を含む線状若しくは分岐脂肪酸の残基を表し、R2は、炭化水素鎖、特に1~40個の炭素原子を含有する分岐炭化水素鎖を表す)の油など;エステルは、特に、脂肪酸とアルコールとのエステル、例えばオクタン酸セトステアリルなど、イソプロピルアルコールのエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はパルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル又はイソステアリン酸イソプロピルなど、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル又はヒドロキシステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタノエート、特にヘプタン酸イソステアリル、アルコール又はポリアルコールオクタノエート、デカノエート又はリシノレエート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、オクタン酸セチル又はオクタン酸トリデシル、2-エチルヘキシル4-ジヘプタノエート及びパルミチン酸2-エチルヘキシル、アルキルベンゾエート、ポリエチレングリコールジヘプタノエート、ポリプロピレングリコール2-ジエチルヘキサノエート並びにそれらの混合物、C12~C15アルコールベンゾエート、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル及びリンゴ酸ジイソステアリル;より特にネオペンタン酸イソデシル;
- 2つのアルキル鎖が場合により同一であるか又は異なる、ジアルキルカーボネート、例えばCognisによって名称Cetiol CC(登録商標)で販売されているジカプリリルカーボネートなど;
- 10~40個の炭素原子を有する合成エーテル、例えば、ジカプリリルエーテルなど
が挙げられ得る。
【0081】
好ましい形態によれば、カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーの油性分散系は、油性分散系の総質量に対して10質量%~40質量%、より優先的には20質量%~35質量%のシリコーンエラストマー活性物質を含む。
【0082】
好ましい形態によれば、本発明の組成物は、カルボン酸官能基を含有する少なくとも1種のシリコーンエラストマーをイソドデカン中の分散系において且つゲル形態で含む。特に、前記シリコーンエラストマーは、前に定義されたような化合物1及び4~11から選択される。
【0083】
特定の好ましい一形態によれば、本発明の組成物は、イソデカン中の分散系において且つゲル形態で、より特に分散系の総質量に対して30質量%に等しい活性物質の含有量で化合物11を含む。
【0084】
別の特に好ましい形態によれば、本発明の組成物は、カルボン酸官能基を含有するシリコーンエラストマーを、INCI名:イソドデカン(及び)(ヘキシル/コハク酸ジメチコン)クロスポリマーのイソデカン中の分散系において且つゲル形態で、より特に30質量%の前記シリコーンの活性物質を含むDow Corning によって販売されている市販製品DOWSIL EL-7314 SILICONE ELASTOMER BLEND(登録商標)など、分散系の総質量に対して30質量%に等しい活性物質の含有量で含む。
【0085】
シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとするコポリマー
本組成物は、シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとする少なくとも1種のコポリマーを含む。
【0086】
そのようなコポリマーは、例えば、“Silicone Pressure Sensitive Adhesives”,Sobieski and Tangney,Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(D.Satas Ed.),Van Nostrand Reinhold,New Yorkに記載されている。
【0087】
コポリマーにおいて、シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンの百分率の合計が100に等しい状態で、シリコーン樹脂は、45%~75%(シリコーンの総質量に対して)の含有量で存在し、ジメチコノール型のシリコーンは、25%~55%の含有量で存在する。好ましくは、シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンの百分率の合計が100に等しい状態で、シリコーン樹脂は、55%~65%(シリコーンの総質量に対して)の含有量で存在し、ジメチコノール型のシリコーンは、35%~45%の含有量で存在する。
【0088】
好ましくは、本発明によるシリコーン樹脂は、SiO2基とR3(SiO)1/2(トリオルガノシリル)基との縮合生成物であり、それに関して、各R基は、メチル、エチル、プロピル又はビニル基から独立して選択され、それに関して、シリコーン樹脂のSiO2官能基とR3(SiO)1/2官能基との間の比は、0.6~0.9の範囲である。
【0089】
シリコーン樹脂を形成するために使用することができるトリオルガノシリル基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルメチルプロピルシリル又はジメチルビニルシリル単位及びそれらの混合物であり得る。トリメチルシリル基は、本発明に関連して好ましい基である。
【0090】
好ましくは、本発明によるジメチコノール型のシリコーンは、25℃で100~100000cStの粘度を有し、それに関して、ジオルガノポリシロキサンの置換基がメチル、エチル、プロピル及びビニル基から独立して選択される、末端OH官能基を有するジオルガノポリシロキサンである。ジオルガノポリシロキサンは、好ましくは、線状ポリマーである。ジオルガノポリシロキサンの例は、限定なしに、ポリジメチルシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとのコポリマー及びそのようなポリマー又はOH末端を有するコポリマーの混合物であり得る。好ましいジオルガノポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンである。
【0091】
そのようなコポリマーの合成の例は、例えば、米国特許第5 162 410号明細書又はカナダ国特許第711756号明細書に記載されている。
【0092】
本発明によるコポリマーは、したがって、以下の混合物:
- SiO2とR3(SiO)1/2単位との縮合生成物であり、それに関して、各R基がメチル、エチル、プロピル及びビニル基から独立して選択され、それに関して、シリコーン樹脂のSiO2官能基とR3(SiO)1/2官能基との間の比が0.6~0.9の範囲である、45質量%~75質量%のシリコーン樹脂;
- 25℃で100~100000cStの粘度を有し、それに関して、ジオルガノポリシロキサンの置換基がメチル、エチル、プロピル及びビニル基から独立して選択される、末端OH官能基を有する25質量%~55質量%のジオルガノポリシロキサン;
- 好ましくは一級アミン、二級アミン、三級アミン、上述のアミンのカルボン酸塩及び四級アンモニウム塩から好ましくは選択される有機脂肪族アミン化合物である、0.001%~5%の好適な触媒
を加熱することによって調製され得る。
【0093】
混合物は、得られるシリコーンコポリマーの接着特性が得られるまで80℃~160℃の温度で加熱される。
【0094】
本発明による好ましいコポリマーは、INCI名(トリメチルシロキシケイ酸/ジメチコノール)クロスポリマーを有するもの、例えば参照記号DOWSIL FC 5002 ID RESIN GUM(登録商標)、DOWSIL FC-5001 CM RESIN GUM(登録商標)、DOWSIL FC 5004 RESIN GUM(登録商標)、DOWSIL FC 5002 ID RESIN GUM(登録商標)(Dow Corning Chemical Company)でDow Corningによって販売されている製品;より特にDOWSIL FC 5002 ID RESIN GUM(登録商標)/DOW CORNINGである。
【0095】
本発明による組成物は、有利には、組成物の質量に対して0.2質量%~60質量%の範囲のシリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとするコポリマーの含有量を有する。好ましくは、この含有量は、組成物の総質量に対して1質量%~30質量%の範囲である。
【0096】
より特に、シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとするコポリマーは、とりわけ、組成物の総質量に対して1.0質量%超~最大で40質量%、好ましくは1.5質量%~20質量%の範囲、優先的には1.5質量%~15質量%の範囲の含有率で本発明による組成物中に存在し得る。
【0097】
モノアルコール
本発明の特定の形態によれば、本発明の組成物は、2~6つの炭素原子、特に2~4つの炭素原子を含有する少なくとも1種の線状若しくは分岐のモノアルコールを追加的に含む。
【0098】
本発明の組成物は、1種以上のモノアルコールを含むことができる。
【0099】
このモノアルコールは、例えば、式RaOH(式中、Raは、2~6つの炭素原子を含む線状又は分岐アルキル基を表す)で表すことができる。
【0100】
モノアルコールとして、エタノール、イソプロパノール、プロパノール又はブタノールが挙げられ得る。
【0101】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、イソプロパノール、エタノール及びそれらの混合物を含む。
【0102】
有利な実施形態によれば、モノアルコールの量は、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~10質量%、好ましくは1質量%~5質量%で変動する。
【0103】
顔料
本発明の特定の形態によれば、本組成物は、少なくとも1種の顔料を追加的に含む。
【0104】
「顔料」という用語は、水性媒体に不溶であり、且つ得られる組成物及び/又は堆積物を着色し、且つ/又は不透明にすることを意図する白色又は有色の無機又は有機粒子を意味する。これらの顔料は、白色又は有色であり得、無機及び/又は有機であり得る。
【0105】
好ましくは、本組成物は、前記組成物の総質量に対して少なくとも5質量%の顔料、より優先的には5質量%~40質量%の顔料、特に10質量%~30質量%、好ましくは10質量%~20質量%の顔料を含む。
【0106】
特定の実施形態によれば、本発明に従って使用される顔料は、無機顔料から選択される。
【0107】
「無機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaの無機顔料に関する章の定義を満たす任意の顔料を意味する。本発明に有用である無機顔料の中でも、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム及びまた酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色若しくは赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、二酸化チタン並びに金属粉、例えばアルミニウム粉及び銅粉が挙げられ得る。以下の無機顔料:Ta2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、TiO2との混合物としてのZrO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、ZnSも使用され得る。
【0108】
本発明に関連して有用である顔料のサイズは、一般に100nm超であり、最大で10μm、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲であり得る。
【0109】
本発明の特定の形態によれば、顔料は、100nm超、場合により最大で10μm、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲のD[50]で特徴付けられるサイズを有する。
【0110】
サイズは、Malvern製の市販のMasterSizer 3000(登録商標)粒径分析装置を用いて静的光散乱によって測定され、その分析装置は、0.01μm~1000μmに広がる可能性がある幅広い範囲にわたって粒子の全ての粒度分布を測定することを可能にする。データは、Mie散乱理論に基づいて処理される。この理論は、サブミクロン~数ミクロンの範囲の粒度分布に最も好適であり;それは、「有効」粒子径が測定されることを可能にする。この理論は、とりわけ、Van de Hulst,H.C.,Light Scattering by Small Particles,Chapters 9 and 10,Wiley,New York,1957による刊行物に説明されている。
【0111】
D[50]は、50体積%の粒子が有する最大サイズを表す。
【0112】
本発明に関連して、無機顔料は、より特に酸化鉄及び/又は二酸化チタンである。
【0113】
本発明に使用され得る無機顔料として、真珠母も挙げられ得る。
【0114】
「真珠母」という用語は、虹色であっても又はなくてもよく、とりわけある種の軟体動物によってそれらの外殻中に産生されるか又は代替的に合成され、且つ光干渉によって色効果を有する任意の形態の着色粒子を意味すると理解されるべきである。
【0115】
真珠母は、酸化鉄で覆われた酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマスで覆われた酸化チタン被覆雲母、酸化クロムで覆われた酸化チタン被覆雲母、有機染料で覆われた酸化チタン被覆雲母及びまたオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料などの真珠光沢顔料ール顔料から選択することができる。それらは、雲母粒子の表面で金属酸化物及び/又は有機着色剤の少なくとも2つの連続層が重ね合わされている雲母粒子でもあり得る。
【0116】
同様に言及され得る真珠母の例として、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料又はオキシ塩化ビスマスで覆われた天然雲母が挙げられる。
【0117】
市場で入手可能な真珠母の中でも、Engelhard社によって販売されている真珠母Timica(登録商標)、Flamenco(登録商標)及びDuochrome(登録商標)(雲母をベースとする)、Merck社によって販売されているTimiron(登録商標)真珠母、Eckart社によって販売されているPrestige(登録商標)雲母ベースの真珠母並びにSun Chemical社によって販売されているSunshine(登録商標)合成雲母ベースの真珠母が挙げられ得る。
【0118】
真珠母は、より特に、黄色、ピンク色、赤色、青銅色、橙色、褐色、金色及び/又は銅色又は光輝を有し得る。
【0119】
本発明に関連して使用され得る真珠母の実例として、名称Brilliant Gold 212G(登録商標)(Timica)、Gold 222C(登録商標)(Cloisonne)、Sparkle Gold(登録商標)(Timica)、Gold 4504(登録商標)(Chromalite)及びMonarch Gold 233X(登録商標)(Cloisonne)でEngelhard社によってとりわけ販売されている金色着色の真珠母;名称Bronze Fine(登録商標)(17384)(Colorona)及びBronze(登録商標)(17353)(Colorona)でMerck社によって並びに名称Super Bronze(Cloisonne)でEngelhard社によってとりわけ販売されている青銅色真珠母;名称Orange 363C(登録商標)(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)でEngelhard社によって並びに名称Passion Orange(登録商標)(Colorona)及びMatte Orange(17449)(登録商標)(Microna)でMerck社によってとりわけ販売されている橙色真珠母;名称Nu-Antique Copper 340XB(登録商標)(Cloisonne)及びBrown CL4509(登録商標)(Chromalite)でEngelhard社によってとりわけ販売されている褐色付き真珠母;名称Copper 340A(登録商標)(Timica)でEngelhard社によってとりわけ販売されている銅光輝を有する真珠母;名称Sienna Fine(登録商標)(17386)(Colorona(登録商標))でMerck社によってとりわけ販売されている赤色光輝を有する真珠母;名称Yellow(4502)(登録商標)(Chromalite)でEngelhard社によってとりわけ販売されている黄色光輝を有する真珠母;名称Sunstone G012(登録商標)(Gemtone)でEngelhard社によってとりわけ販売されている金色光輝を有する赤色付き真珠母;名称Tan Opale G005(登録商標)(Gemtone)でEngelhard社によってとりわけ販売されているピンク色真珠母;名称Nu Antique Bronze 240 AB(登録商標)(Timica)でEngelhard社によってとりわけ販売されている金色光輝を有する黒色真珠母、名称Matte Blue(登録商標)(17433)(Microna)でMerck社によってとりわけ販売されている青色真珠母、名称Xirona Silver(登録商標)でMerck社によってとりわけ販売されている銀色光輝を有する白色真珠母及び名称Indian Summer(登録商標)(Xirona)でMerck社によってとりわけ販売されている金色-緑ピンク色-橙色真珠母並びにそれらの混合物が挙げられ得る。
【0120】
本発明に従って使用され得る顔料の中で、単純な従来の着色効果、すなわち例えば単色顔料などの従来の着色剤によってもたらされるような単一化及び安定化された効果と異なる光学効果を有するものも挙げられ得る。本発明の目的のために、「安定化された」という用語は、観察の角度で又は温度変化に対応した色の変動性の影響がないことを意味する。
【0121】
例えば、この材料は、金属光輝を有する粒子、ゴニオクロマチック着色剤、回折顔料、熱変色性剤、光学的光沢剤及びまた繊維、特に干渉繊維から選択することができる。当然のことながら、これらの様々な材料は、2つの効果の、実に本発明に従った新規効果さえの同時表示を提供するように組み合わせることができる。
【0122】
本発明で使用することができる金属光輝を有する粒子は、特に、
- 少なくとも1種の金属の及び/又は少なくとも1種の金属誘導体の粒子、
- 少なくとも1種の金属及び/又は少なくとも1種の金属誘導体を含む金属光輝を有する少なくとも1つの層で少なくとも部分的に覆われた、単一材料又はマルチ材料の有機又は無機基材を含む粒子、及び
- 前記粒子の混合物
から選択される。
【0123】
前記粒子中に存在し得る金属の中でも、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te及びSe並びにそれらの混合物又は合金が挙げられ得る。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、Mo、Cr及びそれらの混合物又は合金(例えば、青銅及び真ちゅう)が好ましい金属である。
【0124】
「金属誘導体」という用語は、金属から誘導された化合物、特に酸化物、フッ化物、塩化物及び硫化物を表す。
【0125】
これらの粒子の実例として、アルミニウム粒子、例えばSilberlineによって名称Starbrite 1200EAC(登録商標)において且つEckartによってMetalure(登録商標)において販売されているものなどが挙げられ得る。
【0126】
銅の又は合金混合物の金属粉末、例えばRadium Bronze社によって販売されている参照記号2844など、金属顔料、例えばアルミニウム又は青銅、例えばEckart社から名称Rotosafe 700(登録商標)で販売されているもの、Eckart社から名称Visionaire Bright Silver(登録商標)で販売されているシリカ被覆アルミニウム粒子及び金属合金粒子、例えばEckart社から名称Visionaire Bright Natural Gold(登録商標)で販売されているシリカ被覆青銅(銅と亜鉛との合金)粉末も挙げられ得る。
【0127】
それらは、ガラス基材を含む粒子、例えば名称Microglass Metashine(登録商標)で日本板硝子社によって販売されているものでもあり得る。
【0128】
ゴニオクロマチック着色剤は、例えば、多層干渉構造体及び液晶着色剤から選択され得る。
【0129】
本発明に従って製造される組成物に使用することができる対称性多層干渉構造体の例は、例えば、以下の構造体:Al/SiO2/Al/SiO2/Al(この構造を有する顔料は、DuPont de Nemours社によって販売されている);Cr/MgF2/Al/MgF2/Cr(この構造を有する顔料は、Flex社によって名称Chromaflai(登録商標)で販売されている);MoS2/SiO2/Al/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3及びFe2O3/SiO2/Fe2O3/SiO2/Fe2O3(これらの構造を有する顔料は、BASF社によって名称Sicopearl(登録商標)で販売されている);MoS2/SiO2/雲母-酸化物/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/雲母-酸化物/SiO2/Fe2O3;TiO2/SiO2/TiO2及びTiO2/Al2O3/TiO2;SnO/TiO2/SiO2/TiO2/SnO;Fe2O3/SiO2/Fe2O3;SnO/雲母/TiO2/SiO2/TiO2/雲母/SnO(これらの構造を有する顔料は、Merck社(Darmstadt)によって名称Xirona(登録商標)で販売されている)である。例として、これらの顔料は、Merck社によって名称Xirona Magic(登録商標)で販売されているシリカ/酸化チタン/酸化スズ構造の顔料、Merck社によって名称Xirona Indian Summer(登録商標)で販売されているシリカ/褐色酸化鉄構造の顔料及びMerck社によっての名称Xirona Caribbean Blue(登録商標)で販売されているシリカ/酸化チタン/雲母/酸化スズ構造の顔料であり得る。資生堂からのInfinite Colors顔料も挙げられ得る。異なる効果が、様々な層の厚さ及び特質に応じて得られる。したがって、Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3構造を使って、色は、320~350nmのSiO2層については緑金色から赤灰色に変化し;380~400nmのSiO2層については赤色から金色に変化し;410~420nmのSiO2層については紫色から緑色に変化し;430~440nmのSiO2層については銅色から赤色に変化する。
【0130】
ポリマー多層構造を有する顔料の例として、名称Color Glitter(登録商標)で3Mによって販売されているものが挙げられ得る。
【0131】
液晶ゴニオクロマチック粒子として、例えば、Chenixによって販売されているもの及びWackerによって名称Helicone(登録商標)HCで販売されているものが使用され得る。
【0132】
疎水性コーティングされた顔料
本発明の特性の形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性又は疎水性化合物でコーティングされた、特に以下に詳細に記載されるような少なくとも1種の顔料を含む。
【0133】
このタイプの顔料は、多量の水と一緒に多量と考えられ得る限り、特に有利である。更に、それらが疎水性化合物で処理されている限り、それらは、油性相に対して顕著な親和性を示し、その結果それらを搬送することができる。
【0134】
当然のことながら、本発明による組成物は、コーティングされていない顔料を同時に含有し得る。
【0135】
コーティングは、少なくとも1種の追加の非親油性化合物も含み得る。
【0136】
本発明の目的のために、本発明による顔料の「コーティング」は、一般的に、前記顔料上に吸収されるか、吸着されるか又は前記顔料にグラフトされる表面剤での顔料の全体的又は部分的な表面処理を表す。
【0137】
表面処理された顔料は、当業者に周知である化学的、電子的、機械化学的又は機械的特質の表面処理技術に従って調製することができる。市販品を使用することもできる。
【0138】
表面剤は、溶媒の蒸発、化学反応及び共有結合の生成により、顔料上に吸収させるか、吸着させるか又は顔料にグラフトさせることができる。
【0139】
一代替形態によれば、表面処理は、顔料のコーティングからなる。
【0140】
コーティングは、コーティングされる顔料の総質量に対して0.1質量%~20質量%、特に0.5質量%~5質量%を表し得る。
【0141】
コーティングは、例えば、メイクアップ又はケア組成物の他の原料中への粒子の組入れの前に、任意選択的に加熱しながら、固体粒子と液体表面剤とを撹拌しながら単純に混合することによる固体粒子の表面上への前記液体表面剤の吸着によってもたらされ得る。
【0142】
コーティングは、例えば、表面剤と固体顔料粒子の表面との化学反応及び表面剤と粒子との間の共有結合の生成によってもたらされ得る。この方法は、とりわけ、米国特許第4 578 266号明細書に記載されている。
【0143】
化学的表面処理は、表面剤を揮発性溶媒に希釈することと、顔料をこの混合物中に分散させることと、次いで揮発性溶媒をゆっくりと蒸発させることとを含み得、その結果、表面剤は、顔料の表面上に堆積する。
【0144】
親油性又は疎水性処理剤
本発明の特定の実施形態によれば、顔料は、本発明に従って、シリコーン表面剤;フッ素化表面剤;フルオロシリコーン表面剤;金属石鹸;N-アシルアミノ酸若しくはそれらの塩;レシチン及びその誘導体;イソプロピルトリイソステアリルチタネート;セバシン酸イソステアリル;天然の植物又は動物ワックス;極性合成ワックス;脂肪エステル;リン脂質;並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物でコーティングすることができる。
【0145】
シリコーン表面剤
特定の実施形態によれば、顔料は、シリコーン性の化合物で完全又は部分的に表面処理することができる。
【0146】
シリコーン表面剤は、オルガノポリシロキサン、シラン誘導体、シリコーン-アクリレートコポリマー、シリコーン樹脂及びそれらの混合物から選択することができる。
【0147】
「オルガノポリシロキサン化合物」という用語は、交互のケイ素原子と酸素原子とを含み、且つケイ素原子に結合する有機基を含む構造を有する化合物を意味すると理解される。
【0148】
非エラストマー性オルガノポリシロキサン
特に、非エラストマー性オルガノポリシロキサンとして、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン及びポリアルコキシジメチルシロキサンが挙げられ得る。
【0149】
アルコキシ基は、Rが、メチル、エチル、プロピル、ブチル若しくはオクチル、2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル若しくは3,3,3-トリフルオロプロピル基、アリール基、例えばフェニル、トリル若しくはキシリルなど、又は置換アリール基、例えばフェニルエチルなどを表すようなものであるR-O-基で表すことができる。
【0150】
顔料をポリメチルヒドロシロキサンで表面処理することを可能にする1つの方法は、顔料を有機溶媒中に分散させることと、次いでシリコーン化合物を添加することとを含む。混合物を加熱すると、共有結合がシリコーン化合物と顔料の表面との間にもたらされる。
【0151】
好ましい実施形態によれば、シリコーン表面剤は、特にポリジメチルシロキサンから選択される非エラストマー性オルガノポリシロキサンであり得る。
【0152】
アルキルシラン及びアルコキシシラン
アルコキシ官能性を有するシランは、特に、A Silane Primer,Chemistry and Applications of Alkoxysilanes,Journal of Coatings Technology,65,822,pages 57-60,1993にWituckiによって記載されている。
【0153】
参照記号Milquet A-137(登録商標)(OSI Specialities)及びProsil 9202(登録商標)(PCR)で販売されているアルキルトリエトキシシラン及びアルキルトリメトキシシシランなどのアルコキシシランを、顔料をコーティングするために使用することができる。
【0154】
アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ又はイミノなど、反応性末端基を有するアルキルポリシロキサンの使用は、特開平07-196946号公報に記載されている。それらは、顔料を処理するためにも好適である。
【0155】
シリコーン-アクリレートポリマー
米国特許第5 725 882号明細書、米国特許第5 209 924号明細書、米国特許第4 972 037号明細書、米国特許第4 981 903号明細書、米国特許第4 981 902号明細書、米国特許第5 468 477号明細書に並びに米国特許第5 219 560号明細書及び欧州特許第0 388 582号明細書に記載されているような、シリコーン骨格を有するグラフト化シリコーン-アクリルポリマーが使用され得る。
【0156】
他のシリコーン-アクリレートポリマーは、それらの構造中、以下の式(II):
[化学式4]
【化21】
(式中、同一であるか又は異なるG
1基は、水素又はC
1~C
10アルキル基又はさもなければフェニル基を表し;同一であるか又は異なるG
2基は、C
1~C
10アルキレン基を表し;G
3は、少なくとも1種のエチレン性不飽和アニオン性モノマーの(ホモ)重合から生じるポリマー残基を表し;G4は、少なくとも1種のエチレン性不飽和の疎水性モノマーの(ホモ)重合から生じるポリマー残基を表し;m及びnは、0又は1に等しく;aは、0~50の範囲の整数であり;bは、10~350であり得る整数であり、cは、0~50の範囲の整数であり;ただし、パラメータa及びcの1つは0以外であることを条件とする)
の単位を含むシリコーンポリマーであり得る。
【0157】
好ましくは、上記の式(I)の単位は、以下の特徴:
- G1基は、アルキル基、好ましくはメチル基を表すこと;
- nは、非ゼロであり、G2基は、二価のC1~C3基、好ましくはプロピレン基を表すこと;
- G3は、エチレン性不飽和カルボン酸型の少なくとも1種のモノマー、好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸の(ホモ)重合から生じるポリマー基を表すこと;
- G4は、(C1~C10)アルキル(メタ)アクリレート型の、好ましくはイソブチル又はメチル(メタ)アクリレート型の少なくとも1種のモノマーの(ホモ)重合から生じるポリマー基を表すこと
の少なくとも1つ、より優先的には更に全てを示す。
【0158】
式(I)に対応するシリコーンポリマーの例は、特に、ポリ(メタ)アクリル酸型の及びポリメチル(メタ)アクリレート型の混合ポリマー単位がチオプロピレン型連結リンクを介してそれにグラフトされているポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0159】
式(I)に対応するシリコーンポリマーの他の例は、特に、ポリイソブチル(メタ)アクリレート型のポリマー単位がチオプロピレン型連結リンクを介してそれにグラフトされるポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0160】
シリコーン樹脂
シリコーン表面剤は、シリコーン樹脂から選択され得る。
【0161】
「樹脂」という用語は、3次元構造を意味すると理解される。
【0162】
シリコーン樹脂は、シリコーン油に可溶性である又は膨潤可能であり得る。これら樹脂は、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーである。
【0163】
シリコーン樹脂の命名法は、名称「MDTQ」で知られており、樹脂は、それが含む様々なシロキサンモノマー単位応じて記載され、文字「MDTQ」のそれぞれは、単位の一タイプを特徴付ける。
【0164】
文字Mは、式(CH3)3SiO1/2の一官能性単位を表し、ケイ素原子は、この単位を含むポリマー中で1つのみの酸素原子に連結されている。
【0165】
文字Dは、ケイ素原子が2つの酸素原子に連結されている二官能性単位(CH3)2SiO2/2を意味する。
【0166】
文字Tは、式(CH3)SiO3/2の三官能性単位を表す。
【0167】
上記で定義された単位M、D及びTにおいて、メチル基の少なくとも1つは、メチル基以外のR基、例えば2~10個の炭素原子を有する炭化水素(特にアルキル)基若しくはフェニル基又は代わりにヒドロキシル基などによって置き換えることができる。
【0168】
最後に、文字Qは、四官能性単位SiO4/2を意味し、ケイ素原子は、4つの酸素原子に結合し、酸素原子自体は、ポリマーの残りの部分に結合している。
【0169】
異なる特性を有する様々な樹脂は、これらの異なる単位から得ることができ、これらのポリマーの特性は、モノマー(又は単位)のタイプ、置き換えられた基のタイプ及び数、ポリマーの鎖長、分岐度及びペンダント鎖のサイズに応じて変動する。
【0170】
これらのシリコーン樹脂の例として、
- 式[(CH3)3SiO1/2]x(SiO4/2)y(MQ単位)(式中、x及びyは、50~80の範囲の整数である)のトリメチルシロキシシリケートであり得る、シロキシシリケート;
- 式(CH3SiO3/2)x(T単位)(式中、xは、100超であり、そのメチル基の少なくとも1つは、上記で定義されたようなR基によって置き換えることができる)のポリシルセスキオキサン;
- メチル基のいずれも別の基によって置き換えられていないポリシルセスキオキサンである、ポリメチルシルセスキオキサン
が挙げられ得る。
【0171】
そのようなポリメチルシルセスキオキサンは、文献米国特許第5 246 694号明細書に記載されている。
【0172】
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、
- 参照記号Resin MK(登録商標)、例えばBelsil PMS MK(登録商標):最大で1質量%の(CH3)2SiO2/2単位(D単位)をも含み得、約10000の平均分子量を有する、CH3SiO3/2繰り返し単位(T単位)を含むポリマーなどでWacker社によって販売されているもの;
- (式CH3SiO3/2のT単位から構成され、Si-OH(シラノール)末端基を有する、参照記号KR-220L(登録商標)で、98%のT単位及び2%のジメチルD単位を含み、Si-OH末端基を有する、参照記号KR-242A(登録商標)で、又はさもなければ88%のT単位及び12%のジメチルD単位を含み、Si-OH末端基を有する、参照記号KR-251(登録商標)で信越によって販売されているもの
が挙げられ得る。
【0173】
シロキシシリケート樹脂として、任意選択的に粉末形態のトリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂が挙げられ得る。そのような樹脂は、General Electric社によって参照記号SR1000(登録商標)、E 1 170-002(登録商標)若しくはSS 4230(登録商標)において又はWacker Silicone Corporation社によって参照記号TMS 803(登録商標)、Wacker 803(登録商標)及び804(登録商標)において販売されている。
【0174】
信越によって名称KF-7312J(登録商標)において且つDow CorningによってDC 749(登録商標)及びDC 593(登録商標)において販売されている、シクロメチコンなどの溶媒中で販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂も挙げられ得る。
【0175】
シリコーン化合物で処理された顔料の商業参照記号の例として、
- 三好化成社によって参照記号SA-C 338075-10(登録商標)で販売されている赤酸化鉄/ジメチコン;及び
- 参照記号Gransil GCM(登録商標)でColeticaによって販売されている、シリコーン化合物(それは、D5及びポリシリコーン-11の混合物である)でのDC Red 7の処理によって得られる顔料
が挙げられ得る。
【0176】
フッ素化表面剤
本顔料は、フッ素化性の化合物で完全又は部分的に表面処理することができる。
【0177】
フッ素化表面剤は、パーフルオロアルキルホスフェート、パーフルオロポリエーテル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド又はパーフルオロアルキル基若しくはパーフルオロポリエーテルを含むポリオルガノシロキサンから選択することができる。
【0178】
「パーフルオロアルキル基」という用語は、水素原子が全てフッ素原子で置き換えられているアルキル基を意味すると理解される。
【0179】
パーフルオロポリエーテルは、特に特許出願欧州特許第0 486 135号明細書に記載されており、Montefluosによって商品名Fomblin(登録商標)で販売されている。
【0180】
パーフルオロアルキルホスフェートは、特に、特公平05-86984号公報に記載されている。参照記号Asahi Guard AG530(登録商標)で旭硝子によって販売されているパーフルオロアルキルホスフェートジエタノールアミンを使用することができる。
【0181】
パーフルオロアルカンの中でも、パーフルオロシクロアルカン、パーフルオロ(アルキルシクロアルカン)、パーフルオロポリシクロアルカン、過フッ素化芳香族炭化水素(パーフルオロアレーン)及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むオルガノ過フッ素化炭化水素化合物が挙げられ得る。
【0182】
パーフルオロアルカンの中でも、一連の線状アルカン、例えばパーフルオロオクタン、パーフルオロノナン又はパーフルオロデカンなどが挙げられ得る。
【0183】
パーフルオロシクロアルカン及びパーフルオロ(アルキルシクロアルカン)の中でも、Rhodiaによって名称Flutec PP5 GMP(登録商標)で販売されている、パーフルオロデカリン;パーフルオロ(メチルデカリン)又はパーフルオロ((C3~C5)アルキルシクロヘキサン)、例えばパーフルオロ(ブチルシクロヘキサン)などが挙げられ得る。
【0184】
パーフルオロポリシクロアルカンの中でも、ビシクロ[3.3.1]ノナン誘導体、例えばパーフルオロトリメチルビシクロ[3.3.1]ノナンなど、アダマンタン誘導体、例えばパーフルオロジメチルアダマンタンなど、及び水素化フェナントレンの過フッ素化誘導体、例えばテトラコサフルオロテトラデカヒドロフェナントレンなどが挙げられ得る。
【0185】
パーフルオロアレーンの中でも、ナフタレンの過フッ素化誘導体、例えばパーフルオロナフタレン及びパーフルオロ-1-メチルナフタレンなどが挙げられ得る。
【0186】
フッ化化合物で処理された顔料の商業参照記号の例として、
- 大東化成によって参照記号PF 5 Yellow 601(登録商標)で販売されている黄色酸化鉄/パーフルオロアルキルホスフェート;
- 大東化成によって参照記号PF 5 Red R 516L(登録商標)で販売されている赤色酸化鉄/パーフルオロアルキルホスフェート;
- 大東化成社によって参照記号PF 5 Black BL100(登録商標)で販売されている黒色酸化鉄/パーフルオロアルキルホスフェート;
- 大東化成によって参照記号PF 5 TiO2 CR 50(登録商標)で販売されている二酸化チタン/パーフルオロアルキルホスフェート;
- Toshiki社によって参照記号Iron Oxide Yellow BF-25-3(登録商標)で販売されている鉄黄/パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル;
- Cardre Inc.社によって参照記号D&C Red 7 FHC(登録商標)で販売されているDC Red 7/パーフルオロポリメチルイソプロピルエーテル;及び
- Warner-Jenkinson社によって参照記号T 9506(登録商標)で販売されているDC Red 6/PTFE
が挙げられ得る。
【0187】
フルオロシリコーン表面剤
本顔料は、フルオロシリコーン性の化合物で完全又は部分的に表面処理することができる。
【0188】
フルオロシリコーン化合物は、パーフルオロアルキルジメチコン、パーフルオロアルキルシラン及びパーフルオロアルキルトリアルコキシシランから選択することができる。
【0189】
パーフルオロアルキルシランとして、信越シリコーンによって販売されている、製品LP-IT(登録商標)及びLP-4T(登録商標)が挙げられ得る。
【0190】
パーフルオロアルキルジメチコンは、以下の式:
[化学式5]
【化22】
(式中、
- Rは、1~6つの炭素原子を有する線状若しくは分岐の二価のアルキル基、好ましくは二価のメチル、エチル、プロピル又はブチル基を表し;
- Rfは、1~9つの炭素原子、好ましくは1~4つの炭素原子を有するパーフルオロアルキル基を表し;
- mは、0~150、好ましくは20~100から選択され;
- nは、1~300、好ましくは1~100から選択される)
で表すことができる。
【0191】
フルオロシリコーン化合物で処理された顔料の商業参照記号の例として、Advanced Dermaceuticals International Inc.によって参照記号Fluorosil Titanium Dioxide 100TA(登録商標)で販売されている、二酸化チタン/フルオロシリコーンが挙げられ得る。
【0192】
より特に、パーフルオロアルキルトリアルコキシシラン化合物、例えばパーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン及びパーフルオロオクチルトリエトキシシランで処理された顔料の商品記号の例として、以下のコーティングされた酸化鉄顔料及びコーティングされた二酸化チタン顔料:
- 二酸化チタン(及び)水酸化アルミニウム(及び)パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン/CI77891(及び)水酸化アルミニウム(及び)パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(FHS-3 TiO2CR-50(登録商標)、大東化成工業);
- 酸化鉄(及び)パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン/CI77492(及び)パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(FHS-5 Sunpuro Yellow C33-9001(登録商標)、大東化成工業);
- 酸化鉄(及び)パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン/CI77491(及び)パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(FHS-5 Sunpuro Red C33-8001(登録商標)、大東化成工業);
- 酸化鉄(及び)パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン/CI77499(及び)パーフルオロオクチルトリエトキシシラン(FHS-5 Sunpuro Black C33-7001(登録商標)、大東化成工業)
が挙げられ得る。
【0193】
他の親油性表面剤
疎水性処理剤は、
i)金属石鹸、例えばジミリスチン酸アルミニウム及び水素化牛脂グルタミン酸のアルミニウム塩など
から選択することもできる。
【0194】
特に、金属石鹸として、12~22個の炭素原子を有する脂肪酸の金属石鹸、特に12~18個の炭素原子を有するものが挙げられ得る。
【0195】
金属石鹸の金属は、特に亜鉛又はマグネシウムであり得る。
【0196】
金属石鹸として、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛及びそれらの混合物が使用され得る。
【0197】
疎水性処理剤は、ii)脂肪酸、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸又はパルミチン酸から選択することもできる。
【0198】
疎水性処理剤は、iii)8~22個の炭素原子を有するアシル基、例えば2-エチルヘキサノイル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル又はココイル基などを含むことができる、N-アシル化アミノ酸又はそれらの塩から選択することもできる。
【0199】
アミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン酸又はアラニンであり得る。
【0200】
これらの化合物の塩は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、ナトリウム又はカリウム塩であり得る。
【0201】
したがって、特に好ましい実施形態によれば、N-アシルアミノ酸誘導体は、特にグルタミン酸誘導体及び/又はその塩、より特にステアロイルグルタメート、例えばステアロイルグルタミン酸アルミニウムであり得る。
【0202】
疎水性処理剤は、iv)レシチン及びその誘導体から選択することもできる。
【0203】
疎水性処理剤は、v)イソプロピルトリイソステアリルチタネートでもあり得る。
【0204】
イソプロピルトリイソステアリルチタネート(ITT)処理顔料の例として、Kobo社によって商業参照記号BWBO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77499及びイソプロピルトリイソステアリルチタネート)、BWYO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77492及びイソプロピルトリイソステアリルチタネート)並びにBWRO-I2(登録商標)(酸化鉄CI77491及びイソプロピルトリイソステアリルチタネート)で販売されているものが挙げられ得る。
【0205】
疎水性処理剤は、vi)セバシン酸イソステアリルでもあり得る。
【0206】
疎水性処理剤は、viii)脂肪エステル、特にホホバエステルから選択することもできる。
【0207】
疎水性処理剤は、ix)リン脂質から選択することもできる。
【0208】
上記で引用された化合物において言及されたワックスは、後で定義されるように、化粧品分野で一般に使用されているものであり得る。
【0209】
それらは、特に、任意選択的にエステル又はヒドロキシル官能基を含む炭化水素、シリコーン及び/又はフッ素化であり得る。それらは、天然又は合成由来のものでもあり得る。
【0210】
「極性ワックス」という用語は、少なくとも1つの極性基を含む化合物を含有するワックスを意味すると理解される。極性基は、当業者に周知であり;それらは、例えば、アルコール、エステル又はカルボン酸基であり得る。ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、微結晶ワックス、オゾケライト又はフィッシャー-トロプシュワックスは、極性ワックスの中に含まれない。
【0211】
特に、極性ワックスは、δa>0(J/cm
3)
1/2、更により良好にはδa>1(J/cm
3)
1/2のような25℃での平均Hansen(ハンセン)溶解度パラメータδa:
【数1】
(式中、δp及びδhは、それぞれハンセン溶解度パラメータへの極性の寄与及び特異的な相互作用のタイプの寄与である)
を有する。
【0212】
ハンセンによる3次元溶解度空間における溶媒の定義は、C.M.Hansen,The three-dimensional solubility parameters,J.Paint Technol.,39,105(1967)に記載されている:
- δhは、特定の相互作用(水素結合、酸/塩基又は供与体/受容体等)の力を特徴付ける。
- δpは、永久双極子間のDebye相互作用力及びまた誘起双極子と永久双極子との間のKeesom相互作用力も特徴付ける。
【0213】
パラメータδp及びδhは、(J/cm3)1/2で表される。
【0214】
極性ワックスは、とりわけ、それらの化学構造中に炭素及び水素原子以外に、ヘテロ原子(例えばO、N及びPなど)を含む分子から構成される。
【0215】
とりわけ、これらの極性ワックスの非限定的な実例として、天然極性ロウ、例えばミツロウ、ラノリンロウ、オレンジロウ、レモンロウ及びイボタロウ、コメヌカロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、オウリキュリーロウ、コルク繊維ロウ、サトウキビロウ、木ロウ(Japan wax)、木ロウ(sumac wax)又はモンタンロウなどが挙げられ得る。
【0216】
特定の実施形態によれば、顔料は、シリコーン表面剤;フッ素化表面剤;N-アシル化アミノ酸又はそれらの塩;イソプロピルトリイソステアリルチタネート;パーフルオロアルキルトリアルコキシシラン;天然の植物又は動物ワックス;脂肪エステル;及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物でコーティングすることができる。
【0217】
特定の実施形態によれば、顔料は、N-アシル化アミノ酸及び/又はその塩、特にグルタミン酸誘導体及び/又はその塩、とりわけステアロイルグルタメート、例えばステアロイルグルタミン酸アルミニウムでコーティングすることができる。より特に、本発明によるコーティングされた顔料の例として、例えば三好化成によって参照記号NAI(登録商標)で販売されている、ステアロイルグルタミン酸アルミニウムでコーティングされた二酸化チタン及び酸化鉄が挙げられ得る。
【0218】
特に好ましい一実施形態によれば、顔料は、パーフルオロアルキルトリアルコキシシラン、例えばパーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン及びパーフルオロオクチルトリエトキシシランなどでコーティングされる。より特に、本発明によるコーティングされた顔料の例として、例えば大東化成工業社によって参照記号FHS-5 Sunpuro(登録商標)で販売されている、パーフルオロヘキシルエチルトリエトキシシラン又はパーフルオロオクチルトリエトキシシランでコーティングされた二酸化チタン及び酸化鉄が挙げられ得る。
【0219】
疎水性化合物でコーティングされていない顔料
上記で述べたように、組成物は、親油性又は疎水性化合物でコーティングされていない顔料を追加的に含有することができる。
【0220】
これらの他の顔料は、親水性化合物でコーティングされても又はされなくてもよい。
【0221】
これらの顔料は、特に上記で定義されたような無機顔料であり得る。
【0222】
これらの顔料は、有機顔料でもあり得る。
【0223】
「有機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaの有機顔料に関する章での定義を満たす任意の顔料を指す。有機顔料は、とりわけ、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択され得る。
【0224】
有機顔料は、例えば、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Color Indexにおいて参照記CI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160で分類されている青色顔料、Color Indexにおいて参照記号CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005で分類されている黄色顔料、Color Indexにおいて参照記号CI 61565、61570及び74260で分類されている緑色顔料、Color Indexにおいて参照記号CI 11725、15510、45370及び71105で分類されている橙色顔料、Color Indexにおいて参照記号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470で分類されている赤色顔料並びに仏国特許第2 679 771号明細書に記載されているようなインドール又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択され得る。
【0225】
これらの顔料は、欧州特許第1 184 426号明細書に記載されているなどの複合顔料の形態でもあり得る。これらの複合顔料は、とりわけ、有機顔料で少なくとも部分的に覆われた無機コアと、有機顔料をコアに固定するための少なくとも1種のバインダーとを含む粒子から構成され得る。
【0226】
顔料は、レーキでもあり得る。「レーキ」という用語は、不溶性粒子上に吸着された不溶化染料を意味し、こうして得られた集合体は、使用中に不溶性のままである。
【0227】
染料がその上に吸着される無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0228】
有機染料の中で、コチニールカルミンが挙げられ得る。以下の名称:D&C Red 21(CI 45 380)、D&C Orange 5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green(CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)、D&C Blue 1(CI 42 090)で知られる製品も挙げられ得る。
【0229】
レーキの例として、名称D&C Red 7(CI 15 850:1)で知られる製品が挙げられ得る。
【0230】
添加物
本発明による組成物は、ケア及び/又はメイクアップ製品に一般に使用される添加物、例えばUV日焼け止め剤;保湿剤、例えばグリセロール、プロパンジオール若しくはペンチレングリコールなどのポリオール;充填剤;脂溶性着色剤;増粘剤又はゲル化剤;防腐剤;香料;並びにそれらの混合物を追加的に含むことができる。
【0231】
充填剤
本発明に従った組成物は、向上した安定性、耐摩耗性、カバレージ及び/又は艶消し性の追加の特性をそれらに付与することを特に可能にする、有機又は無機性の少なくとも1種の充填剤を含むこともできる。
【0232】
「充填剤」という用語は、組成物の媒体に不溶であり、分散されている形態である、任意の形状の無色又は白色の固形粒子を意味すると理解されるべきである。無機又は有機性の、これらの粒子は、剛さ若しくは堅さを組成物に与え、且つ/又は柔らかさ及び一様性をメイクアップに与える。
【0233】
本発明による組成物に使用される充填剤は、層状、球形若しくは球状の形態、繊維の形態又はこれらの定義された形態間の任意の他の中間形態であり得る。
【0234】
本発明による充填剤は、表面コーティングされても又はされなくてもよく、特に、それらは、シリコーン、アミノ酸、フルオロ誘導体又は組成物中の充填剤の分散性及び相溶性を促進する任意の他の物質で表面処理され得る。
【0235】
無機充填剤の例として、タルク、雲母、シリカ、中空シリカ微小球、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、シリカの及び二酸化チタンの複合材、例えば日本板硝子によって販売されているTSG(登録商標)シリーズ又は疎水性シリカエアロゲルが挙げられ得る。
【0236】
言及され得る有機充填剤の例として、ポリアミド粉末(Atochem製のNylon(登録商標)Orgasol)、ポリエチレン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))粉末、アクリル酸コポリマー粉末(Dow Corning社製のPolytrap(登録商標))、ラウロイルリジン、中空ポリマーマイクロスフェア、例えばポリビニリデンクロリド/アクリロニトリルのもの、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie)、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマー粉末(Toshiki製のPlastic Powder(登録商標))、シリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば東芝製のTospearl(登録商標))、合成又は天然の微粉化ワックス、8~22個の炭素原子、好ましくは12~18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウム、Polypore L 200(登録商標)(Chemdal Corporation)又は例えば米国特許第5 538 793号明細書に記載されているようなシリコーン樹脂、とりわけシルセスキオキサン樹脂でコーティングされた架橋エラストマー性オルガノポリシロキサン粉末が挙げられ得る。充填剤は、セルロース粉末、例えばCellulobeads範囲で大東によって販売されているものなどでもあり得る。
【0237】
追加の着色剤
本発明による組成物は、好ましくは、組成物の総質量に対して少なくとも0.01質量%の割合で少なくとも1種の追加の着色剤も含み得る。
【0238】
明らかな理由から、この量は、所望の色効果の強度及び考慮中の着色剤によって与えられる色強度に関して大きく変化しやすく、その調整は、明らかに、当業者の能力の範囲内である。
【0239】
本発明に好適である追加の着色剤は、脂溶性であり得る。
【0240】
本発明の目的のために、「脂溶性着色剤」という語は、油性相中又は溶媒中に可溶であり、脂肪質物質と混和性であり、且つ色を付与することができる、任意の天然又は合成の、一般には有機化合物を意味することを意図する。
【0241】
特に、本発明に好適な脂溶性染料として、例えば、DC Red 17、DC Red 21、DC Red 27、DC Green 6、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、Sudan Red、カロテン(β-カロテン、リコペン)、キサントフィル(カプサンシン、カプソルビン、ルテイン)、パーム油、Sudan brown、キノリンイエロー、アナトー又はクルクミンなどの合成又は天然の脂溶性色染料が挙げられ得る。
【0242】
化粧用組成物
本発明は、生理学的に許容される媒体中において、上記で定義されたような組成物を含む化粧用組成物にも関する。
【0243】
「生理学的に許容される媒体」という用語は、本発明の組成物の皮膚への適用に特に好適である媒体を表すと理解される。
【0244】
生理学的に許容される媒体は、一般に、組成物がその上に適用される支持体の特質及び組成物がその中にパッケージされる形態にも適合される。
【0245】
適用
一実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、胴体の又は顔の、特に顔の皮膚をケアするための組成物の形態で提供することができる。
【0246】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、有利には、ケラチン物質、特に胴体の又は顔の、特に顔の皮膚をメイクアップするための組成物の形態で提供することができる。
【0247】
したがって、この実施形態のサブ様式によれば、本発明の組成物は、有利には、メイクアップのためのベース組成物の形態で提供することができる。
【0248】
本発明の組成物は、有利には、ファンデーションの形態で提供することできる。
【0249】
この実施形態の別のサブ様式によれば、本発明の組成物は、有利には、皮膚及び特に顔をメイクアップするための組成物の形態で提供することができる。したがって、それは、アイシャドー又はフェイスパウダーであり得る。
【0250】
そのような組成物は、とりわけ、当業者の一般知識に従って調製される。
【0251】
特許請求の範囲を含む、本説明の全体にわたって、「含む」という用語は、特に明記しない限り、「少なくとも1つを含む」と同義であると理解されるべきである。
【0252】
「...~...」及び「...~...の範囲の」という表現は、特に明記しない限り、限界点が含まれることを意味すると理解されるべきである。
【0253】
本発明は、以下に示される実施例及び図によってより詳細に例示される。特に明記しない限り、表示される量は、質量百分率として表される。
【実施例】
【0254】
実施例A(発明)及び実施例B(発明外)
以下の組成物を調製した。
【0255】
【0256】
手順
相Aの構成成分を主ビーカー中に量り取り、1500rpmで15分間解膠羽根車付きのVMI Turbotest EVO(登録商標)ホモジナイザーに入れた。相Bの構成成分を量り取り、完全に可溶化するまで混合した。相Cの構成成分を量り取り、完全に分散するまで混合した。相B、次いでCを、その後、相A中に導入した。混合物を1500rpmで15分間撹拌するままにした。
【0257】
実施例A及びBに関して行う評価は、処方物の製造の少なくとも24時間後に実施した。
【0258】
実施例1:トライボロジー
試料調製
25μmの通気性のあるポリウレタン皮膜に接合された、生体適合性の11 Shoreのシリコーンゲル(SkinAbs、Prevent Transformation(登録商標))でコーティングされたLycra(登録商標)布地から構成される支持体上に延展機を用いて50μmの厚さの堆積物をもたらした。堆積物を完全乾燥のために25℃で24h保管した。
【0259】
40mm半径の乾燥堆積物の球体を、トライボメーター測定を実施するために切り取った。
【0260】
摩擦及び摩耗次元
この体外動的摩擦試験の目的は、ファンデーションの摩耗特性を定量化することである。
【0261】
そうするために、正規化された「Skinabs(登録商標)」支持体上にもたらされたファンデーションの堆積物であって、乾燥した又は攻撃因子を含浸させた堆積物を摩擦試験に供した。「Skinabs(登録商標)」の特質を以下に説明する。
【0262】
使用された装置は、2部:
- その上に正規化「Skinabs(登録商標)」支持体が置かれた静的上部、
- 円運動を行い、乾燥した又は攻撃因子を含浸させた、ファンデーションの堆積物を含有する正規化「Skinabs(登録商標)」をその上に取り付けられている下部
からなるCSM(登録商標)ピン.オン.ディスクトライボメーターであった。トライボメーターは、平面に垂直の力及び運動の速度を加えることを可能にする。
【0263】
回転運動中に発生する摩擦は、堆積物の抵抗に応じて摩耗現象を生じさせ得る。これらは、下部の「Skinabs(登録商標)」上の材料の大なり小なりの損失をもたらす。
【0264】
摩耗特性は、摩擦前後のファンデーションで構成された「Skinabs(登録商標)」上の材料の損失の観測結果によって定量化される。
【0265】
25μmの通気性のあるポリウレタン皮膜に接合され、且つトライボメーターの金属部分への粘着を促進する生体適合性の11 Shore 00のシリコーンゲルでコーティングされたLycra(登録商標)布である「Skinabs(登録商標)」上に堆積物を調製する。
【0266】
この「バイオスキン」は、2つの利点を有する:
- それは、延展機を用いる標準化適用を可能にする。得られた堆積物の均質性は、ファンデーションの場合に完全に満足できるものである。
- 54mN.m-1と評価されている、皮膚のものに類似する43mN.m-1の表面張力。
【0267】
1パスを実施することによる50μmの標準化厚さで機械延展機を用いてファンデーションを塗布した。開放空気中で24h乾燥させた後、堆積物が完全に乾いていると判断したとき、5cmの直径の既製Skinabs(登録商標)のディスクを、一定処方の切取りによって引き起こされる損傷に注意しながら、パンチを用いて切り取った。次いで、この一片をトライボメーターの下部に接合する。
【0268】
同じように、トライボメーターの上部上のSkinabs(登録商標)の一片を1.8cm直径ディスクとして切り取り、それを圧粉カップ型の同じ直径の金属支持体上に接合した。
【0269】
摩擦半径を8mmに、回転速度を、3cm/sの線速度と同等である36rpmに設定した。停止基準は、5回繰り返し可能な1ターンである。1Nの課せられる定格負荷は、生体内のものを代表する低い接触圧を有しながら、試験されるファンデーションの領域での識別を可能にした。
【0270】
画像の取得を各摩擦ターン後の写真によって実施し、観察を摩擦前後の堆積物の状態を比較することによって目測で実施する。
【0271】
堆積物を各パス後に評価し、分解(脱離、菲薄化、変色)の程度を分析の全体にわたって評価した。
【0272】
考察及び結果
DOWSIL FC 5002 IDD RESIN GUM(登録商標)、Dow Corningの異なる濃度(0%、10%活性物質)での処方の挙動を解析した。
【0273】
【0274】
本発明による組成物Aは、シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとするコポリマーを含有しない本発明外の組成物Bよりも摩擦に耐性を示した。
【0275】
実施例2:レオロジー解析
レオロジー測定を強制応力レオメーター(RheoStress 600(登録商標)、Haake)で実施した。剪断応力の及び速度勾配の測定を、0.105mmギャップ及び測定プレート(MPC 35;222-1549;35mm直径、サンドブラストで磨いた)を有する、コーンセンサー(C35/2°Ti L;222-1871;35mm直径、2°角度)を用いて実施した。ギャップの温度を、Eheim Pro 3600/2075020(登録商標)水圧循環ポンプ及びHaake Universal Temperature Controler System(登録商標)(UTC)6001温度制御システムを用いて制御する。
【0276】
蒸発防止ベルを、測定中、コーンの及びプレートの平面の上方に配置した。
【0277】
ギャップの温度を25±0.5℃に設定した。この温度での120秒の等温線を各測定の前に適用した。振幅掃引ありの上向き振動曲線を、50ステップの1Hzに設定された周波数において10-3~103Paの範囲の応力ランプで課した。
【0278】
考察及び結果
処方A及びBのレオロジー挙動を解析した。貯蔵弾性率G’及び損失又は消散弾性率G’’の測定は、複素弾性率G*及びまた応力と歪みとの間の相シフトδを決定することを可能にした。これらのデータを剪断応力の関数として解析する。
【0279】
レオロジー曲線の挙動は、高い十分な応力がそれらに加えられた場合、それらが単に流れる材料であることを示す。
【0280】
曲線の破壊に先行する平坦域での複素弾性率G*の値は、静止時の生成物の稠度という考えを与える。
【0281】
3つの処方のレオロジーデータを下の表に記載する。
【0282】
【0283】
測定範囲の全体にわたってより低い複素弾性率G*は、加えられる力に関係なく、より流動性があり、より柔軟であり、且つより均質である処方を示す。塗布中により迅速に起こる弾性状態から粘性状態への変化は、皮膚上でのより容易な延展を意味する。
【0284】
本発明による組成物Aは、シリコーン樹脂及びジメチコノール型のシリコーンをベースとするコポリマーを含有しない本発明外の組成物Bよりも流動性があり、柔軟であり、且つ均質であった。
【国際調査報告】