(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】RIC細胞、その調製方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/078 20100101AFI20240816BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20240816BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240816BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20240816BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240816BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20240816BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240816BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240816BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240816BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240816BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240816BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240816BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240816BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240816BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240816BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240816BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240816BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20240816BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C12N5/078
C12N5/0735
C12N5/10
A61K35/15
A61K35/17
A61K35/545
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/107
A61K9/48
A61K9/06
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/04
A61P37/02
A61P31/12
A61P11/00
A61P31/18
A61P35/02
A61P15/00
A61P1/16
A61P25/00
A61P1/18
A61P31/16
A61P31/22
A61P31/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531561
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 CN2022104873
(87)【国際公開番号】W WO2023011114
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110903886.0
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524050006
【氏名又は名称】インスティテュート オブ ズーロジー,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシズ
(71)【出願人】
【識別番号】523115405
【氏名又は名称】ベイジン インスティテュート フォー ステム セル アンド リジェネレイティブ メディシン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ワン チンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン トーハオ
(72)【発明者】
【氏名】リー チエンホアン
(72)【発明者】
【氏名】フー ファンシアオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン トンチエ
(72)【発明者】
【氏名】シア チョンシアン
(72)【発明者】
【氏名】フー パオヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハオ チエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン レイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン リウ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
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4C076AA01
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4C076BB32
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC27
4C076CC35
4C087AA01
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4C087BB37
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4C087MA67
4C087NA14
4C087ZA01
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4C087ZA81
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB31
4C087ZB33
4C087ZC55
(57)【要約】
RIC細胞、並びにその調製方法及びその使用を提供する。本発明は特に、多能性又は万能性幹細胞の系統特異的分化、具体的には、幹細胞から分化させたRIC細胞、並びにその調製方法及びその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RIC細胞集団であって、そのNKG2-Eの平均発現レベルが、初代免疫細胞のそれの少なくとも約10倍である、前記RIC細胞集団。
【請求項2】
前記RIC細胞集団のSELL及びCD2の発現レベルが、初代免疫細胞のそれより少なくとも約10倍少ない、請求項1に記載のRIC細胞集団。
【請求項3】
前記RIC細胞集団が、遺伝子デリバリーベクターによって標的CARを導入されるか、又は遺伝子を編集することによって標的CARを連続的に若しくは条件により発現し、かつ、CARの発現率が60%~100%である、請求項1又は2に記載のRIC細胞集団。
【請求項4】
前記RIC細胞集団がまた、以下の特徴:
(1) 活性化受容体NCR1、NCR2、NCR3、KLRC2、KLRK1及びSLAMF7のうちの任意の3つ以上を有し;及び/又は
(2) 抑制性受容体KLRB1、KLRC1、LAIR1、SIGLEC7及びCD96のうちの任意の3つ以上を有する、
を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のRIC細胞集団。
【請求項5】
以下の特徴:≧80%の細胞がCD45とCD56の両方を発現する、を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のRIC細胞集団。
【請求項6】
前記RIC細胞集団が、幹細胞から作り出され;
好ましくは、該幹細胞が、全能性幹細胞又は多分化能性幹細胞であり、さらに好ましくは、該幹細胞が多分化能性幹細胞であり、さらに好ましくは、該多分化能性幹細胞が、胚幹細胞、単数体幹細胞、及び誘導された多分化能性幹細胞から成る群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載のRIC細胞集団。
【請求項7】
以下のステップ:
(1) 幹細胞を培養して、側板中胚葉細胞を形成させ;
(2) 側板中胚葉細胞を誘導して、造血前駆細胞に分化させ;
(3) 造血前駆細胞を誘導して、RIC細胞に分化させること、
を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団を製造する方法。
【請求項8】
前記ステップ(2)が:RICカプセルを調製し、そして、そのRICカプセルを培養培地中で培養すること、を含み、該RICカプセルが、以下の特徴:それがステップ(1)由来の側板中胚葉細胞と栄養芽層細胞で構成され、かつ、側板中胚葉細胞が栄養芽層細胞と1:5~1:200の範囲に及ぶ比で混合される、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記RICカプセルの栄養芽層細胞が、AFT024、OP9、MS5、HS-5及び他のストロマ細胞から選択される1若しくは複数のものであり、そして好ましくは、以下の遺伝子:DLL1、DLL4、IL7、IL15、IL3及びFlt3Lのうちの少なくとも1つ、2つ又は3つを発現する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つのRICカプセルの細胞総数が0.2~1000万細胞の範囲内にあり、かつ、それぞれのRICカプセルによって占有される培養面積が1~10cm
2の範囲内にあり、そして、好ましくは、該RICカプセルが、ステップ(2)の培地条件下で10~18日間にわたり継続的に培養され、次に、ステップ(3)の培地条件下で7~14日間にわたり継続的に培養される、請求項8~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(1)における側板中胚葉細胞を形成させるための幹細胞の培養が、培地Iを使用することによるものであり、そして、培地Iが、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、並びにBMP4、ACTIVIN A、bFGF、Wnt作動薬及びPI3K阻害剤を補った基礎培地である、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(1)における側板中胚葉細胞を形成させるための幹細胞の培養が、培地IIをさらに追加することによるものであり、そして、培地IIが、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、BMP4、TGF-β阻害剤及びWnt阻害剤を補った基礎培地である、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(2)における造血前駆細胞への分化のための側板中胚葉細胞の誘導が、培地IIIを使用することによるものであり、そして、培地IIIが、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、並びにサイトカイン(例えば、Flt3L、TPO、SCF、EGF、VEGF、bFGF及びIGF-1から成る群から選択される1つ、2つ又は複数)を補った基礎培養培地である、請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(3)におけるRIC細胞への分化のための造血前駆細胞の誘導が、培地IVを使用するのによるものであり、そして、培地IVが、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、並びに細胞成長因子(例えば、IL-3、SCF、IL-7、IL-15及びFlt3Lから成る群から選択される1つ、2つ又は複数)を補った基礎培養培地である、請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記培地IVが、β-メルカプトエタノールをさらに含み;好ましくは、β-メルカプトエタノールの含有量が、0.1%~0.5%(v/v)である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記血清代替物が、任意の組み合わせの、KOSR、B27、無血清添加剤、Ultroser(商標)G、及びSUPERGROWから成る群から選択される1若しくは複数のものである、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(1)が、培養のために1~3日間続き、ステップ(2)が培養のために10~18日間続き、及びステップ(3)が培養のために7~14日間続く、請求項7~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(1)の培養をマトリックス中で実施し、かつ、該マトリックスが、
糖タンパク質(例えば、ビトロネクチン(VTN)、フィブロネクチン)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、及びコンドロイチン硫酸から成る群から選択される1若しくは複数のものを含む、請求項7~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項8~10のいずれか1項に記載のRICカプセルの特徴を有する、RICカプセル。
【請求項20】
請求項7~18のいずれか1項に記載の方法のステップ(1)によって製造された側板中胚葉細胞など、幹細胞を培養することによって形成された側板中胚葉細胞を含み、
好ましくは、該側板中胚葉細胞の65%超がAPLNR+細胞であり、さらに好ましくは、65%超がAPLNR+HAND1+細胞である、中間細胞の組み合わせ物。
【請求項21】
請求項7~18のいずれか1項に記載の方法のステップ(2)で製造された造血前駆細胞と、他の免疫始原細胞(例えば、骨髄細胞)とを含み、
好ましくは、該造血前駆細胞の65%超がCD45+CD43+CD34+CD235a-細胞である、中間細胞の組み合わせ物。
【請求項22】
キメラ抗原受容体(CAR)を発現する、請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団から形成されるCAR-RIC細胞集団である、改変RIC細胞集団。
【請求項23】
請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団と培養培地を含む、培養物。
【請求項24】
培養培地中で請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団を培養することによってもたらされる、培養上清。
【請求項25】
請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団、請求項23に記載の培養物、又は請求項24に記載の培養上清、及び担体又は賦形剤を含む組成物であって;
好ましくは、注射剤、マイクロインジェクション剤、粘膜パッチ、浣腸剤、坐剤、ゲル剤、経口剤、エアゾール剤、ドロップ剤、軟膏、インプラント、カプセル剤又はエアゾールであり;
好ましくは、注射剤であり;
好ましくは、医薬として許容される滅菌等張水性若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液を含み;
好ましくは、医薬組成物である、前記組成物。
【請求項26】
培地I、II、III、IVのうちの1つ、2つ又はそれ以上を含み、そして、該培地I、II、III及びIVが、請求項7~18のいずれか1項の記載で定義されるとおりのものである、キット。
【請求項27】
対象の疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の製造における、請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団、請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団由来の細胞集団、請求項23に記載の培養物、請求項24に記載の培養上清、又は請求項25に記載の組成物の使用であって、ここで、該疾患が、癌、感染性疾患、免疫不全、免疫欠陥、自己免疫疾患又は免疫退行性疾患から成る群から選択される、前記使用。
【請求項28】
前記疾患が、ウイルス性肺炎、AIDS、リンパ腫、白血病、乳癌、卵巣癌、肝臓癌、神経膠腫、膵臓癌、ヒトHIVウイルス、ライノウイルス、サイトメガロウイルスCMV、B型肝炎ウイルスHBV、単純ヘルペスウイルスHSV、帯状疱疹ウイルスから成る群から選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
疾患を予防及び/又は治療する方法であって、それを必要としている対象に、予防的及び/又は治療的有効量の、請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団、請求項1~6のいずれか1項に記載のRIC細胞集団由来の細胞集団、請求項23に記載の培養物、請求項24に記載の培養上清、又は請求項25に記載の組成物を投与するステップを含み、ここで、該疾患が、癌、感染性疾患、免疫不全、免疫欠陥、自己免疫疾患又は免疫退行性疾患から成る群から選択される、前記方法。
【請求項30】
前記疾患が、ウイルス性肺炎、AIDS、リンパ腫、白血病、乳癌、卵巣癌、肝臓癌、神経膠腫、膵臓癌、ヒトHIVウイルス、ライノウイルス、サイトメガロウイルスCMV、B型肝炎ウイルスHBV、単純ヘルペスウイルスHSV、帯状疱疹ウイルスから成る群から選択される、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日2021年8月6日、CN出願番号第202110903886.0号の出願に基づくものであり、その優先権を主張する。本CN出願の開示内容を、全体として本明細書に援用する。
技術分野
本願は、幹細胞生理学の分野、特にRIC細胞及びその調製方法、並びにその適用、特に多能性又は万能性幹細胞の系統特異的分化、特に幹細胞から分化させたRIC細胞、並びにその調製方法及び適用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
多分化能性幹細胞は、外胚葉、内胚葉、及び中胚葉のすべての誘導細胞を含めた、ほとんどの細胞型に分化できる。マウス又はヒト骨髄又はヒト臍帯血(UCB)又は末梢血から単離した造血細胞集団から開始したリンパ球産生プロセスが報告された。しかしながら、
リンパ球への多分化能性幹細胞のインビトロにおける分化に関してはほとんど知られておらず、そして、その技術はまだ成熟していない。同時に、リンパ系に由来する本来の免疫細胞が、近年、癌患者の腫瘍治療に使用されているが、斯かる細胞の高能率製造は、依然として大きな課題のままである。
【発明の概要】
【0003】
本発明の内容
用語の定義
文脈の中で、別段に明記しない限り、使用される科学技術用語は、当業者が一般的に理解している意味を有する。そのうえ、本明細書に使用される分子遺伝学、核酸化学、細胞培養、生化学、細胞生理学などの操作手順は、対応する分野で広く用いられる所定の手順である。一方で、本発明をより十分に理解するために、関連用語に関する定義及び説明を以下に提供する。
【0004】
本明細書に使用される場合、「胚幹細胞」という用語は、胚から単離され、そしてインビトロ細胞培養で維持された多分化能性幹細胞を指し得る。これらの細胞は、培養胚から単離された、急速に分裂する、そして多分化能を維持する培養細胞である。胚幹細胞は、支持細胞と共に又はそれなしに培養できる。胚幹細胞は、これだけに限定されるものではないが、胚盤胞期胚とプレ胚盤胞期胚を含めた初期胚から単離される。胚幹細胞は、円形の細胞形態を有し、そして、支持細胞層上の円形の細胞塊として増殖できる。胚幹細胞は、当業者にとって周知である。それらの起源は、ヒトのものであっても、又は非ヒト動物のものであってもよい。ヒト胚性幹細胞は、インビボ発生を受けていない、受精14日以内のヒト胚から単離された細胞に限定される。
【0005】
本明細書に使用される場合、「インビトロ」という用語は、人工的な環境、並びにその中でのプロセス及び反応を指す。インビトロ環境は、試験管や細胞培養によって例示されるが、これだけに限定されるものではない。
本明細書に使用される場合、「インビボ」という用語は、自然環境(すなわち、動物又は細胞)、並びにその中でのプロセス及び反応を指す。
本明細書に使用される場合、「培養物」という用語は、培養培地中で細胞(例えば、本発明のRIC細胞集団)を培養することによって得られる生成物を指す。
【0006】
本明細書に使用される場合、「培養上清」という用語は、細胞(例えば、本発明のRIC細胞集団)を培養することによって得られ、かつ、細胞自体を含まない培養液を指す。そのため、例えば、本発明で使用できる培養上清は、培養後に細胞成分を分離し、そして取り除くことによって得ることができる。培養上清はまた、例えば遠心分離、濃縮、溶媒置換、透析、冷凍、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩、保管などの他の処理を受けることもできる。
【0007】
本明細書に使用される場合、「医薬として許容される担体又は賦形剤」という用語は、対象や有効成分と薬理学的及び/又は生理的に適合可能な担体及び/又は賦形剤を指し、かつ、該担体及び/又は賦形剤は、当該技術分野において周知されており(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences. Edited by Gennaro AR, 19th ed. Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1995を参照のこと)、そして、これだけに限定されるものではないが、pH調節剤、界面活性剤、イオン強度増強剤、浸透圧維持剤、吸収遅延剤、希釈剤、アジュバント、保存料などが挙げられる。例えば、pH調節剤としては、これだけに限定されるものではないが、リン酸緩衝液が挙げられる。界面活性剤としては、これだけに限定されるものではないが、カチオン性、アニオン性又は非イオン性界面活性剤、例えばTween(登録商標)-80などが挙げられる。イオン強度増強剤としては、これだけに限定されるものではないが、塩化ナトリウムが挙げられる。浸透圧維持剤としては、これだけに限定されるものではないが、糖、NaClなどが挙げられる。遅延吸収剤としては、これだけに限定されるものではないが、モノステアラートやゼラチンが挙げられる。希釈剤としては、これだけに限定されるものではないが、水、水性緩衝液(例えば、緩衝生理的食塩水)、アルコール類及びポリオール類(例えば、グリセロール)などが挙げられる。アジュバントとしては、これだけに限定されるものではないが、アルミニウムアジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、フロイントアジュバント(例えば、完全フロイントアジュバント)などが挙げられる。保存料としては、これだけに限定されるものではないが、チメロサール、2-フェノキシエタノール、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌及び抗真菌剤が挙げられる。特定の実施形態において、医薬として許容される担体又は賦形剤は、滅菌等張水性溶液又は非水性溶液(例えば、平衡塩類溶液又は生理的食塩水)、分散液、懸濁液、又は乳濁液である。
【0008】
本明細書に使用される場合、「予防」という用語は、対象における疾患、障害又は症状の発症を予防若しくは遅延させる、或いは起こるのであれば、その影響を最小にするために実施される方法を指す。「治療」という用語は、有益な又は所望の臨床結果を得るために実施される方法を指す。有益な又は所望の臨床結果としては、これだけに限定されるものではないが、検出可能であるか又は検知可能でないかにかかわらず、疾病進行速度の減速、疾病状態の改善又は緩和、並びに予後の退縮又は改善が挙げられる。任意の特定の疾患の症状を緩和するのに有効な治療薬の量は、例えば患者の病状、年齢や重量、及び対象において期待応答を引き出す薬物の能力などの要因によって変化する。病徴の軽減は、任意の臨床測定によって評価され得、そして、これらの測定は典型的に、医師又は他の医療従事者によって使用されて、症状の重症度又は進行を評価する。
【0009】
本明細書に使用される場合、「有効量」という用語は、期待される効果を、少なくとも一部、達成するのに十分な量を指す。例えば、疾患を予防するための有効量は、疾患の出現を予防するか、停止させるか、又は遅延させるのに十分な量を指す;疾患を治療するための有効量は、既に疾患に罹患している患者の疾患及びその合併症を回復するか又は少なくとも部分的に停止させるのに十分な量を指す。斯かる有効量を決定することは、十分に当業者の能力の範囲内にある。例えば、治療用途のための有効量は、治療される疾患の重症度、患者自身の免疫系の総合的な状態、患者の全身状態、例えば年齢、重量及び性別など、本剤の投与経路、及び並行して投与される他の治療などに依存する。
【0010】
本明細書に使用される場合、「対象」という用語はとしては、これだけに限定されるものではないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、齧歯動物(例えば、マウス又はラット)、そして、ヒト以外の霊長目動物(例えば、マカク又はカニクイザル)、或いはヒトなどの哺乳動物なぞのいろいろな動物が挙げられる。
【0011】
本明細書に使用される場合、「増殖」又は「増加」という用語は、細胞又は細胞集団の数が増える能力を指す。
本明細書に使用される場合、「精製した細胞集団」を含有する組成物又は「精製した細胞組成物」という用語は、その組成物中に少なくとも30%、50%、60%、通常少なくとも70%、そしてより好ましくは80%、90%、95%、98%、99%又はそれ以上の細胞が同定されるタイプの組成物であることを意味する。
【0012】
本明細書に使用される場合、「初代免疫細胞」という用語は、身体から採取された組織(例えば、臍帯血、末梢血、又は骨髄)から直接分離したナチュラルキラー細胞を指す。
本明細書に使用される場合、「CAR」という用語は、キメラ抗原受容体を指す。
本明細書に使用される場合、「発現率」という用語は、特定のタンパク質の発現に対する細胞の陽性率を指す。例えば、「80%のCAR発現率」は、80%の細胞がCARを発現することを意味する。
【0013】
本明細書に使用される場合、「RICカプセル」という用語は、そこからRIC細胞が産生されるカプセル様の構造を指す。
本明細書に使用される場合、「RIC細胞」という用語は、本発明の免疫細胞又は細胞集団を指し、そしてその特徴は、本明細書に規定される。
本明細書に使用される場合、「シード細胞」という用語は、成熟細胞を形成することができる未熟細胞を指す。
【0014】
本明細書に使用される場合、「X+細胞」という用語は、X陽性であるか、又はX遺伝子を発現する細胞を指す。例えば、CD34+細胞は、CD34を発現する細胞である。Xの発現は、既存の技術を使用して検出されることができる。
本明細書に使用される場合、「X-細胞」という用語は、X陰性であるか、又はX遺伝子を発現しない細胞を指す。例えば、CD34-細胞は、CD34を発現しない細胞である。Xの発現は、既存の技術を使用して検出されることができる。
【0015】
本明細書に使用される場合、「NKp30/NCR3」という用語は、IgSFファミリーのメンバーを指し、休止及び活性化NK細胞に分布する天然の細胞傷害性受容体であり、及びITAM含有DAP12の形質導入によってシグナルを活性化し;そしてNKp46と連携して、NK細胞の殺滅効果を媒介する。
本明細書に使用される場合、「NKp44/NCR2」という用語は、IgSFファミリーのメンバーを指し、活性化NK細胞で発現される天然の細胞傷害性受容体であり、及びITAM含有DAP12によるNK細胞の殺滅活性の媒介に関与する。
【0016】
本明細書に使用される場合、「NKG2C/KLRC2」という用語は、非古典的HLAクラスI分子HLA-Eに結合できる受容体を指し、及び活性化シグナルを伝達する。NKG2Cは、HCMVに感染している細胞でHLA-Eによって提示されるUL40のペプチドを認識し、そしてIFNγの放出を促進できる。
本明細書に使用される場合、「NKG2D/KLRK1」という用語は、ヒトナチュラルキラー細胞上に発現される活性化受容体を指し、及びDAP10は、NKG2Dの細胞内ドメインだけに結合して、活性化シグナルを受け渡す。それは、自然免疫において重要な役割を果たし、かつ、ウイルス感染細胞の認識と腫瘍細胞の殺滅にかかわる。
【0017】
本明細書に使用される場合、「SLAMF7/CS1」という用語は、(ナチュラルキラー細胞の表面に発現される)シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリーメンバー7を指す。ヒトCS1分子の2種類のバリアント、すなわち、長型CS1-L及び短型CS1-S、が存在し、その両方がNK細胞で発現されることができ、そしてそこでは、CS1-LがNK活性化受容体であるのに対して、CS1-Sは、NK細胞を活性化することができない。
【0018】
本明細書に使用される場合、「KLRB1/CD161」という用語は、キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーBメンバー1を指し、そしてそれは、NK細胞抑制性受容体に属する。
本明細書に使用される場合、「KLRC1/NKG2A」という用語は、非古典的HLAクラスI分子HLA-Eに結合して、抑制性シグナルを伝達することができる受容体を指す。子宮のNK細胞は、NKG2Aを高度に発現する。正常な生理的条件下では、胎盤栄養膜細胞はHLA-Eを発現し、そしてそれは、NKG2Aと相互作用し、子宮の復調NK細胞の殺滅効果を阻害し、及び胎盤の免疫寛容性を維持する。しかしながら、病的状態下では、腫瘍細胞が、HLA-E分子を上方制御し、NK細胞による殺滅を免れることができる。
【0019】
本明細書に使用される場合、「LAIR1」という用語は、NK細胞抑制性受容体に属する白血球結合免疫グロブリン様受容体1を指す。
本明細書に使用される場合、「SIGLEC7」という用語は、シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン7を指す。
本明細書に使用される場合、「CD96」及びTIGITという用語は、CD155及びCD112にも結合できる、NK細胞抑制性受容体であり、ここで、CD155はDNAM-1のリガンドである。これらの2つの抑制性受容体とDNAM-1は、TIGIT-CD226-CD96受容体ファミリーを形成する。
【0020】
本明細書に使用される場合、「NCAM1/CD56」という用語は、免疫細胞の中のNK又はNKT細胞で主として発現される、神経系細胞接着分子1を指す。
本明細書に使用される場合、「KLRD1/CD94」という用語は、ヒトキラー細胞レクチン様受容体D1を指す。CD94分子は、NKG2Aと共に二量体を形成し、HLA-E分子を認識し、そして抑制シグナルを伝達する。
【0021】
本明細書に使用される場合、「CD69」という用語は、II型膜貫通タンパク質であり、及び活性化T細胞及びNK細胞で発現されることができる。
本明細書に使用される場合、「TNSFSF10/TRAIL」という用語は、アポトーシスの媒介に関与する、ヒト腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンドを指す。
本明細書に使用される場合、「FASLG」という用語は、アポトーシスの媒介に関与する、Fasリガンドを指す。
【0022】
本明細書に使用される場合、「PRF1/パーフォリン」という用語は、標的細胞膜を破壊できる、パーフォリンを指す。
本明細書に使用される場合、「GZMA/グランザイムA」という用語は、パーフォリンによって作られた細孔を通って標的細胞に入り、そしてカスパーゼ非依存性細胞死を誘発する、グランザイムAを指す。
【0023】
この項目で使用される場合、「GZMB/グランザイムB」という用語は、グランザイムの主なエフェクター分子である、グランザイムBを指す。標的細胞に入った後に、それはカスパーゼカスケード反応を活性化することができ、その結果、標的細胞のアポトーシスを急速に誘導する。
【0024】
本明細書に使用される場合、「治療的有効性」という用語は、癌などの疾患に関連している症状、又は感染症関連症状などの状態を治療するか、改善するか、又は何らかの形で軽減するのに十分なRIC細胞の量を指す。方法に関して使用されるとき、その方法は、疾患又は状態に関連している症状を治療するか、改善するか、又は何らかの形で緩和するのに十分に効果的である。例えば、疾患に関する有効量は、疾患の発症を停止又は予防するのに、;或いは疾患の病理が既に始まっている場合には、疾患の進行を緩和、改善、安定化、逆転又は減速する、或いは疾患の病理的帰結を軽減するのに十分な量である。どのような場合でも、有効量は、単回投与又は分割投与の投与によって達成されてもよい。
【0025】
本明細書に使用される場合、「医薬組成物」という用語は、医薬として許容される組成物を指し、ここで、該組成物は、RIC細胞を含み、そして、いくつかの実施形態において、医薬として許容される担体をさらに含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、組み合わせであってもよい。
【0026】
本明細書に使用される場合、「組み合わせ」という用語は、RIC細胞と組み合わせパートナー(例えば、「治療薬」又は「補助薬剤」としても知られている、以下で説明する別の薬物)が同時又は時間間の範囲内で別々に投与され得る、投薬単位剤形で存在する固定された組み合わせ、又は併用投与のための部品のキットを指す。場合によっては、組み合わせパートナーは、シナジーなどの相乗効果を示す。
【0027】
本明細書に使用される場合、「同時投与」又は「併用投与」などの用語は、それを必要としている一人の対象に、選択された組み合わせパートナーの投与を包含することを意図する、及びそこではそれらが同じ経路又は同時に投与されることを必要としない、治療レジメンを包含することを意図する。
【0028】
本明細書に使用される場合、ゲノム編集ツールとしては、(例えば、特定の遺伝子のDNA配列を付加、破壊、又は変更するために)さまざまな生物体で使用できる、クラスター化され、規則的に間隔が空いている短いパリンドロームの反復(CRISPR)システム、TALEN編集ツールなどが挙げられる。本明細書に使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体又はT細胞受容体に特異的に結合することができる抗原の任意のタンパク質決定部位を含む。エピトープ決定部位は、典型的に、アミノ酸又は糖側鎖などの化学的に活性な分子表面基から成り、かつ、特定の三次元構造特性、並びに比電荷特徴を有することが多い。
【0029】
本明細書に使用される場合、「抗体」という用語は、それらが着目の標的抗原性部位及び同類のものに結合するのに必要とされる生物的に活性な能力を示す限り、(完全長のモノクローナル抗体を含めた)モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)及び抗体断片を包含する。「抗体断片」という用語は、完全長の抗体の一部を包含し、典型的に、その抗原結合性領域、可変領域又は定常領域である。本明細書に使用される場合、「抗体」という用語は、任意の種及び起源に由来する任意の抗体を包含し、そして、これだけに限定されるものではないが、ヒト抗体、ラット抗体、マウス抗体、ウサギ抗体などが挙げられ、かつ、合成によって調製されても又は天然に発生してもよい。
【0030】
本明細書に使用される場合、「分化」という用語は、それによって、特殊化がそれほどではない細胞がより特殊化された細胞になって、同じ条件下で分化しないよりむしろ、培養中又はインビボにおいて少なくとも1つの新しい細胞型の子孫を形成する、プロセスを指す。一定の条件下で、新しい細胞型の特徴を有する子孫の割合は、少なくとも約1%、5%、25%、又はそれ以上になって、優先度を増すことができる。
【0031】
RIC細胞集団
第一の態様において、本発明は、RIC細胞集団を提供し、ここで、(例えば、遺伝的修飾を伴わない)RIC細胞のNKG2E遺伝子の平均発現レベルは、初代免疫細胞のものの少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約150倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍)である。
特定の実施形態において、RIC細胞集団のSELL及びCD2の発現レベルは、初代免疫細胞のものより少なくとも約10倍(例えば、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約150倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍)低い。
RIC細胞集団では、RIC細胞の含有量が、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上である。
【0032】
特定の実施形態において、RIC細胞集団は、活性化受容体NCR1、NCR2、NCR3、KLRC2、KLRK1、及びSLAMF7のうちの任意の3つ以上、4つ、又はそのすべてを有し;同数の初代免疫細胞と比較して有意差はない。特定の実施形態において、RIC細胞集団は、抑制性受容体KLRB1、KLRCl、LAIR1、SIGLEC7、及びCD96のうちの任意の3つ以上、4つ、又はそのすべてを有し、同数の初代免疫細胞と比較して有意差はない。
【0033】
特定の実施形態において、RIC細胞集団は、活性化受容体NCR1、NCR2、CD96、KLRC2、及びKLRK1のうちの任意の3つ以上、4つ、又はそのすべてを有し;同数の初代免疫細胞と比較して有意差はない。特定の実施形態において、RIC細胞集団は、抑制性受容体KLRB1、KLRCl、LAIR1、及びSIGLEC7のうちの任意の3つ以上、4つ、又はそのすべてを有し、同数の初代免疫細胞と比較して有意差はない。
特定の実施形態において、RIC細胞集団は、受容体NCR1、NCR2、CD96、KLRC2、及びKLRK1のうちの任意の3つ以上、4つ、又はそのすべてを有し、同数の初代免疫細胞と比較して有意差はない。特定の実施形態において、RIC細胞集団は、受容体KLRB1、KLRCl、LAIR1、及びSIGLEC7のうちの任意の3つ以上、4つ、又はそのすべてを有し、同数の初代免疫細胞と比較して有意差はない。
【0034】
いくつかの実施形態において、RIC細胞集団は、遺伝子デリバリーベクターによって標的CARを導入されるか、又は遺伝子を編集することによって標的CARを連続的に若しくは条件により発現するが、ここで、CARの発現率は60%~100%、好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%である。任意選択で、CD19標的化CARの発現率は、60%~100%、好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。
本明細書に使用される場合、発現は、完全長のmRNA、mRNA断片、遺伝子の完全長のタンパク質又はタンパク質断片のレベルを計測することによって観察されてもよい。よって、特定の実施形態において、発現レベルは、mRNAレベル又はタンパク質レベルである。
【0035】
いくつかの実施形態において、発現は、遺伝子のmRNA転写物の発現を分析することによって評価される。例えば、細胞集団における上記遺伝子の発現は、RT-PCRによるTBXT、APLNR、HAND1、CD2、SELL、NKG2-E、SLAMF7、NCR2、NCR3、CD96、KLRC2、KLRK1、KLRB1、KLRCl、LAIR1又はSIGLEC7のmRNAの存在又は含有量を計測することによって測定される。
他の実施形態において、発現は、遺伝子のタンパク質産物の発現を分析することによって評価される。例えば、細胞集団における上記遺伝子の発現は、免疫学的検出によって細胞集団の細胞膜上のタンパク質BRACHYURY、APLNR、CD45、CD43、CD34又はCD56の発現を計測することによって測定される。
【0036】
特定の実施形態において、RIC細胞は、遺伝子組み換えされていない状態下で先に記載した遺伝子発現特性のうちの1若しくは複数を保有する。「遺伝子組み換えされていない」という用語は、それらが、DNA又はRNAの形態で外来性遺伝物質が細胞の全体の遺伝物質に導入されるというプロセスを経ていないことを意味し、ここで、「外来性遺伝物質」という用語は、遺伝子組み換えされていない細胞に対して外来性である人工的に導入したヌクレオチド配列を指し得る。「遺伝子組み換えされていない」という上記の用語が、本発明のRIC細胞集団が上記の遺伝子発現特性のうちの1若しくは複数を有する状態を説明するためだけに使用され、かつ、本発明のRIC細胞集団が遺伝的修飾を含有できないことを限定するために使用されないことは、容易に理解される。よって、特定の実施形態において、本発明のRIC細胞は、1若しくは複数の遺伝的修飾を含んでもよい。
【0037】
特定の実施形態において、RIC細胞集団は、幹細胞から作り出される。好ましくは、幹細胞は、全能性幹細胞又は多分化能性幹細胞であり、さらに好ましくは、幹細胞は多分化能性幹細胞であり、さらに好ましくは、多分化能性幹細胞は、胚幹細胞、単数体幹細胞、及び誘導された多分化能性幹細胞から成る群から選択される。
【0038】
特定の実施形態において、RIC細胞集団は、インビトロにおいて作り出される。
特定の実施形態において、RIC細胞集団中、≧80%(例えば、≧85%、≧90%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、又は100%)の細胞が、CD45とCD56の両方を発現する。
【0039】
本発明のRIC細胞集団は、医薬組成物として処方及び投与され得る。斯かる医薬組成物は、医療用分野で知られているあらゆる形態、好ましくは(注入液と凍結乾燥粉末を含めた)注射形態である。特定の実施形態において、医薬組成物は、医薬として許容される滅菌等張水性若しくは非水性溶液(例えば、平衡塩類溶液又は生理的食塩水)、分散液、懸濁液、又は乳濁液を含む。医薬組成物を処方するための一般原理は、"Cell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy", edited by G. Morstyn and W. Sheridan, Cambridge University Press, 1996; and "Hematopoietic Stem Cell Therapy", E. D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000に見ることもできる。
【0040】
RIC細胞集団を製造する方法
第二の態様において、本発明は、第一の態様に記載したRIC細胞集団を製造する方法を提供し、そしてそれは、以下のステップ:
(1) 幹細胞を培養して、側板中胚葉細胞を形成させ;
(2) 側板中胚葉細胞を誘導して、造血前駆細胞に分化させ;
(3) 造血前駆細胞を誘導して、RIC細胞に分化させること、
を含む。
【0041】
側板中胚葉細胞の65%超は、APLNR+細胞である。例えば、細胞の70%超は、APLNR+細胞である。例えば、細胞の75%超は、APLNR+細胞である。例えば、細胞の80%超は、APLNR+細胞である。例えば、細胞の85%超は、APLNR+細胞である。例えば、細胞の90%超は、APLNR+細胞である。例えば、細胞の95%超は、APLNR+細胞である。
【0042】
側板中胚葉細胞の65%超は、APLNR+HAND1+細胞である。例えば、細胞の70%超は、APLNR+HAND1+細胞である。例えば、細胞の75%超は、APLNR+HAND1+細胞である。例えば、細胞の80%超は、APLNR+HAND1+細胞である。例えば、細胞の85%超は、APLNR+HAND1+細胞である。例えば、細胞の90%超は、APLNR+HAND1+細胞である。例えば、細胞の95%超は、APLNR+HAND1+細胞である。例えば、99%より大の細胞はAPLNR+HAND1+細胞である。
【0043】
側板中胚葉細胞の65%超は、APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-細胞である。例えば、細胞の70%超は、APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-細胞である。例えば、細胞の75%超は、APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-細胞である。例えば、細胞の80%超は、APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-細胞である。例えば、細胞の85%超は、APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-細胞である。例えば、細胞の90%超は、APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-細胞である。例えば、細胞の95%超は、APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-細胞である。例えば、細胞の99%超は、APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-細胞である。
【0044】
造血前駆細胞の65%超は、CD45+CD43+CD34+CD235a-細胞である。例えば、細胞の70%超は、CD45+CD34+CD43+CD235a-細胞である。例えば、細胞の75%超は、CD45+CD43+CD34+CD235a-細胞である。例えば、細胞の80%超は、CD45+CD43+CD34+CD235a-細胞である。例えば、細胞の85%超は、CD45+CD43+CD34+CD235a-細胞である。例えば、細胞の90%超は、CD45+CD43+CD34+CD235a-細胞である。例えば、細胞の95%超は、CD45+CD43+CD34+CD235a-細胞である。
【0045】
RIC細胞は、ステップ(3)の誘導によって得ることができる。単層誘導プロトコールを採用して、高純度かつ高収率でRIC細胞を誘導し、そして得ることができ、ここで、RIC細胞は、少なくとも60%以上、70%以上、80%以上、90%以上又は95%以上を占める。
本発明のRIC細胞集団を製造するプロセスの間、スピン重合は必要でなく、またスピン胚様体又はEB(胚様体)は生じない。
【0046】
汎化全般のスキームでは、本発明のステップ(1)は、単層誘導によって多分化能性幹細胞を側板中胚葉細胞(LM)に分化させる。或いは、2つの無血清培地I及びIIが、マトリックスの有無にかかわらず連続して使用される。このステップには2~3日かかる。ステップ(1)ではスピン重合を実施する必要はなく、胚様体(EB)が生じることはない。本発明のステップ(2)は、RICカプセルを調製するために特定の遺伝子の組み合わせを発現する栄養芽層細胞と、ソーティングも又は濃縮もなしに、生じた側板中胚葉細胞を直接混合することものである。RICカプセルの培養物は、対応したLM及び造血前駆細胞に分化させるための連続した2種類の異なる培地(III、IV)中でのゆるやかな培養誘導を受け、そしてそこでは、LMから造血前駆細胞への段階に10~18日かかり;そして、ステップ(3)は、RIC(再生免疫細胞、略してRIC)に造血前駆細胞を誘導する段階であり、RICの発生には7~14日かかる。或いは、RICはまた、造血前駆細胞の段階で栄養芽層細胞を取り除き、次に、単層誘導を実施することによっても得ることができる。RICカプセルの培養全体には合計で17~32日かかる。
【0047】
いくつかの実施形態において、ステップ(1)の側板中胚葉細胞は、多分化能性幹細胞の単層誘導によって得られたAPLNR+HAND1+細胞である。
上記のステップは、以下の技術的解決策を採用してもよい:
(1) 培地I及びIIを、幹細胞を培養するのに使用して、側板中胚葉細胞を形成させ;ここで、培地Iは、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、並びにBMP4、ACTIVIN A、bFGF、Wnt作動薬(例えば、小分子化合物CHIR-99021)及びPI3K阻害剤(例えば、小分子化合物PIK-90、LY294002)を補って得られた基礎培地であり;培地IIは、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、BMP4、TGF-β阻害剤(例えば、小分子化合物A-83-01、SB431542)、及びWnt阻害剤(例えば、小分子化合物C59、IWR-1-エンド)を補った基礎培地であり;
【0048】
いくつかの実施形態において、培地Iは、1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、並びにBMP4、ACTIVIN、bFGF、CHIR-99021、及びPIK-90を補った基礎培地であり;培地IIは、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、BMP4、A-83-01、及びC59を補った基礎培地であり;
【0049】
(2) 培地IIIは、造血前駆細胞への側板中胚葉細胞の分化を誘導するのに使用され;ここで、培地IIIは、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、TGF-β阻害剤(例えば、小分子化合物A-83-01、SB431542)、ヒドロコルチゾン、アスコルビン酸、及び、例えばFlt3L、TPO、SCF、EGF、VEGF、bFGF及びIGF-1から成る群から選択される1つ、2つ又は複数の細胞成長因子を補った基礎培養培地であり;いくつかの実施形態において、培地IIIは、1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、並びに、例えばFlt3L、TPO、SCF、EGF、VEGF、bFGF及びIGF-1から成る群から選択される1つ、2つ又は複数の細胞成長因子を補った基礎培地であり;
【0050】
(3) 培地IVは、RIC細胞への造血前駆細胞の分化を誘導するのに使用され;ここで、培地IVは、以下の物質:1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、亜セレン酸ナトリウム、エタノールアミン、アスコルビン酸、及び、例えばIL-3、SCF、IL-7、IL-15及びFlt3Lから成る群から選択される1つ、2つ又は複数の細胞成長因子を補った基礎培養培地である。特定の実施形態において、培地IVは、β-メルカプトエタノールをさらに含む。特定の実施形態において、β-メルカプトエタノールの含有量は、0.1~0.5%(v/v)、例えば約0.1%(v/v)、約0.2%(v/v)、約0.3%(v/v)、約0.4%(v/v)、又は約0.5%(v/v)などである。
【0051】
いくつかの実施形態において、培地IVは、1若しくは複数の血清代替物、1若しくは複数の非必須アミノ酸、グルタミン、L-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチド、並びに、例えばIL-3、SCF、IL-7、IL-15、及びFlt3Lから成る群から選択される1つ、2つ又は複数の細胞成長因子を補った基礎培地である。特定の実施形態において、培地IVは、β-メルカプトエタノールをさらに含む。特定の実施形態において、β-メルカプトエタノールの含有量は、0.1~0.5%(v/v)、例えば約0.1%(v/v)、約0.2%(v/v)、約0.3%(v/v)、約0.4%(v/v)、又は約0.5%(v/v)などである。
【0052】
本明細書に使用される場合、「基礎培地」という用語は、典型的に、無機塩、ビタミン、グルコース、バッファー及び必須アミノ酸を含有し、かつ、典型的に、約280~330mOsmolの浸透圧力を有する、細胞増殖を支援できる任意の培地を指す。例えば、Essential 6、DMEM-高グルコース、DMEM/F12、α-MEM、F-12、EBM2、MEM、BME、RPMI 1640、G-MEM、及び任意のそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0053】
いくつかの実施形態において、ステップ(1)に記載の幹細胞は、全能性幹細胞又は多分化能性幹細胞であり、さらに好ましくは、幹細胞は多分化能性幹細胞であり、そして、さらに好ましくは、多分化能性幹細胞は、胚幹細胞、単数体幹細胞、誘導された多分化能性幹細胞から成る群から選択される。
【0054】
特定の実施形態において、ステップ(1)に記載の培養は、マトリックス中で実施される。特定の実施形態において、マトリックスは、細胞外マトリックスを含む。特定の実施形態において、マトリックスは、Growth Factor Reduced Matrigel(GR-MTG材)、糖タンパク質(例えば、これだけに限定されるものではないが、ビトロネクチン(VTN)、フィブロネクチン)、ヒアルロン酸、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、エラスチン、ヘパラン硫酸、デキストラン、硫酸デキストラン、及びコンドロイチン硫酸から成る群から選択される1若しくは複数のものを含む。好ましくは、マトリックスは、糖タンパク質である。好ましくは、マトリックスは、ビトロネクチン(VTN)及び/又はフィブロネクチンである。好ましくは、マトリックスは、ビトロネクチン(VTN)である。
【0055】
特定の実施形態において、ステップ(2)で製造された細胞は:側板中胚葉細胞、造血剤内皮細胞、造血幹/始原細胞、及び免疫始原細胞を含み;ステップ(2)は:RICカプセルと培地III、IV、好ましくは培地IIIを含み、そして、培養を実施するのに使用される。好ましくは、RICカプセルは培養器に取り付けられる。
【0056】
特定の実施形態において、培地I、II、III、IVは、以下の特性のうちの1若しくは複数を有する:
(i) 1若しくは複数の血清代替物の総含有量は、2%~30%(v/v)、例えば3%~30%(v/v)、約2%(v/v)、約3%(v/v)、約5%(v/v)、約8%(v/v)、約10%(v/v)、約12%(v/v)、約15%(v/v)、約18%(v/v)、約20%(v/v)、約22%(v/v)、約25%(v/v)、約28%(v/v)、又は約30%(v/v)であり;
(ii) 1若しくは複数の非必須アミノ酸のそれぞれの含有量は、0.1~0.5mM、例えば約0.1mM、約0.2mM、約0.3mM、約0.4mM又は約0.5mMなどであり;
(iii) グルタミン又はL-アラニル-L-グルタミンの安定化ジペプチドの含有量は、1~5mM、例えば約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、又は約5mMなどであり;
【0057】
(iv) BMP4、ACTIVIN、bFGF、Flt3L、TPO、SCF、EGF、VEGF、bFGF、IGF-1、IL-3、IL-7、及びIL-15のそれぞれの因子の含有量は、独立して1~100ng/mL、例えば2~100ng/mL、2~50ng/mL、5~100ng/mL、5~50ng/mL、又は5~20ng/mLなどであり;例えば約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約5ng/mL、約8ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mL、約60ng/mL、約65ng/mL、約70ng/mL、約75 ng /mL、約80ng/mL、約85ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、又は約100ng/mLなどである。
【0058】
(v) Wnt作動薬、PI3K阻害剤、TGF-β阻害剤、及びWnt阻害剤のそれぞれの小分子の含有量は、10nM~100μM、例えば10nM~30nM、10nM~50nM、10nM~80nM、10nM~100nM、100nM~1μM、1μM~10μM、10μM~30μM、10μM~50μM、10μM~80μM、30μM~100μMなどであってもよい。
特定の実施形態において、培地I、II、III、IVは、以下の特性のうちの1若しくは複数を保有する:
(a) 血清代替物は無血清添加剤であり、具体的には、KOSR、B27、Ultroser(商標)G、SUPERGROW、及び任意のそれらの組み合わせから成る群から選択され;好ましくは、血清代替物は、SUPERGROW(Dakewe, 6122011)(以降、SUPERGROWとも呼ばれる)、B27(Gibco 17504-044)であり;
(b) 非必須アミノ酸は、グリシン、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、L-プロリン、L-セリン、及び任意のそれらの組み合わせから成る群から選択され;
(c) 基礎培地は、Essential 6、DMEM-高グルコース、DMEM/F12、α-MEM、F-12、EBM2、MEM、BME、RPMI1640、G-MEM、及び任意のそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0059】
特定の実施形態において、培地I、II、III、IVは、以下の特性のうちの1若しくは複数を保有する:
培地I:BMP4、ACTIVIN A、bFGF、CHIR-99021及びPIK-90を含有するEssential 6培地。
培地II:BMP4、A-83-01、及びC59を含有するEssential 6培地。
培地III:SB431542、ヒドロコルチゾン、Flt3L、TPO、SCF、EGF、VEGF、bFGF、IGF-1、アスコルビン酸、及びSUPERGROW細胞培養サプリメント(Dakewe, 6122011)を含有するEssential 6培地。
培地IV:DMEM-高グルコース、DMEM/F12、SUPERGROW細胞培養サプリメント(Dakewe, 6122011)、GlutaMAX(商標)、β-メルカプトエタノール、亜セレン酸ナトリウム、エタノールアミン、アスコルビン酸、ペニシリン-ストレプトマイシン溶液、IL-3、SCF、IL-7、IL-15、及びFlt3L。
【0060】
特定の実施形態において、培地Iは、40ng/mLのBMP4、30ng/mLのACTIVIN A、20ng/mLのbFGF、6μMのCHIR-99021、及び100nMのPIK-90を含有するEssential 6培地である。
特定の実施形態において、培地IIは、30ng/mLのBMP4、1μMのA-83-01、及び1μMの C59を含有するEssential 6培地である。
特定の実施形態において、培地IIIは、10μMのSB431542、10μMのヒドロコルチゾン、5ng/mLのFlt3L、5ng/mLのTPO、50ng/mLのSCF、50ng/mLのEGF、50ng/mLのVEGF、50ng/mLのbFGF、50ng/mLのIGF-1、50μg/mLのアスコルビン酸、及び2%のSUPERGROW Cell Culture Supplement(Dakewe, 6122011)を含有するEssential 6培地である。
【0061】
特定の実施形態において、培地IVは:55%のDMEM-高グルコース、30%のDMEM/F12、15%のSUPERGROW Cell Culture Supplement(Dakewe, 6122011)、2mMのGlutaMAX(商標)、1μMのβ-メルカプトエタノール、5ng/mLの亜セレン酸ナトリウム、50μMのエタノールアミン、20μg/mLのアスコルビン酸、1%のペニシリン-ストレプトマイシン溶液、5ng/mLのIL-3、20ng/mLのSCF、20ng/mLのIL-7、10ng/mLのIL-15、及び10ng/mLのFlt3Lを含有する。
【0062】
本文脈において、「細胞培養ディッシュ」という用語は、そこでのコーティングが培養ディッシュの表面上のタンパク質吸着を予防し、これにより培養器への単層細胞の接着を最小化できる、その表面にコーティングを有する培養ディッシュを指す。斯かる細胞培養ディッシュは、当業者にとって周知であり、これだけに限定されるものではないが、Corningの低付着培養ディッシュ(Cat、No.3262)が挙げられる。
【0063】
特定の実施形態において、ステップ(1)における培養は、1~3日間、例えば約1日間、約1.5日間、約2日間、約2.5日間、約3日間などにわたり実施される。
特定の実施形態において、ステップ(2)における培養は、10~18日間、例えば約11日間、約12日間、約13日間、約14日間、約15日間、約16日間、約17日間などにわたり実施される。
特定の実施形態において、ステップ(3)における培養は、7~14日間、例えば約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間、約14日間などにわたり実施される。
【0064】
いくつかの実施形態において、ステップ(2)は、約1RICカプセル/1~10cm2のプラナー密度にて、ステップ(1)由来の側板中胚葉細胞と栄養芽層細胞から構成されたRICカプセルを培養器に植え付けることを含み、ここで、該側板中胚葉細胞は、選別も濃縮もされる必要がない。特定の実施形態において、単一のRICカプセルの全細胞ロード量は、200,000~10,000,000細胞の範囲内にある。特定の実施形態において、側板中胚葉細胞と栄養芽層細胞の混合比は、1:5~1:200の範囲内にある。特定の実施形態において、RICカプセルの栄養芽層細胞は、AFT024、OP9、MS5、HS-5又は他のストロマ細胞から成る群から選択される1若しくは複数であり、そしてそれは、好ましくは、以下の遺伝子:DLL1、DLL4、IL7、IL15、IL3及びFlt3Lのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、それより多く又はそのすべてが発現される。さらに好ましくは、RICカプセルの栄養芽層細胞は、OP9-DLL1、OP9-DLL4、又はOP9-DLL1-DLL4である。
【0065】
特定の実施形態において、ステップ(2)及び(3)の培養は、17~32日間、例えば約17日間、約18日間、約19日間、約20日間、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間、約25日間、約26日間、約27日間、約28日間、約29日間、約30日間、約31日間、又は約32日間にわたり実施される。
特定の実施形態において、ステップ(2)及び(3)は、毎日又は1~7日毎(例えば、1、2、3、4、5、6又は7日毎)に新しい培養培地に置換することを含む。
幹細胞からRIC細胞への培養プロセス全体は、19~34日間、例えば約19日間、約20日間、約21日間、約22日間、約23日間、約24日間、約25日間、約26日間、約27日間、約28日間、約29日間、約30日間、約31日間、約32日間、約33日間又は約34日間などかかる。
【0066】
特定の実施形態において、ステップ(1~3)では、培養条件は、37℃及び5%のCO2である。特定の実施形態において、ステップ(1)~(3)では、培養は、37℃及び5%のCO2のインキュベータ内で実施される。
【0067】
第三の態様において、本発明はまた、第二の態様の方法によって製造されるRIC細胞集団に関する。
特定の実施形態において、RIC細胞集団は、第一の態様で定義されるとおりのものである。
【0068】
第四の態様において、本発明はまた、中間細胞の組み合わせ物にも関し、そしてそれは、幹細胞を培養することによって形成された側板中胚葉細胞、例えばRIC細胞集団の製造のための前述の方法のステップ(1)で製造された側板中胚葉細胞など、を含む。特定の実施形態において、側板中胚葉細胞の65%超がAPLNR+細胞であり、好ましくは65%超がAPLNR+HAND1+細胞である。
【0069】
第五の態様において、本発明はまた、中間細胞の組み合わせ物にも関し、そしてそれは、RIC細胞集団、及び他の免疫始原細胞(例えば、骨髄細胞)を製造するための前述の方法のステップ(2)で製造される造血前駆細胞を含む。特定の好ましい実施形態において、造血前駆細胞の65%超が、CD45+CD43+CD34+CD235a-細胞である。
【0070】
RICカプセル
第五の態様において、本発明はまた、RICカプセルにも関し、そしてそれは、先のステップ(1)からの側板中胚葉細胞と栄養芽層細胞で構成される。いくつかの実施形態において、側板中胚葉細胞対栄養芽層細胞の比は、1:5~1:200の範囲内、例えば1:15、1:10、1:20、1:30、1:40、1:60、1:90、1:100、1:110、1:120、1:130、1:140、1:150、1:160、1:170、1:180、1:190又は1:200などである。栄養芽層細胞は、好ましくは:AFT024、OP9、MS5、HS-5又は他のストロマ細胞であり、そしてそれは、好ましくは、以下の遺伝子:DLL1、DLL4、IL7、IL15、IL3及びFlt3Lのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、それより多く又はそのすべてが発現される。RICカプセルの成分の相乗効果は、方向性のある誘導及び側板中胚葉細胞の分化を強力に促進する。RICカプセルは、経時的に動的に変化し、かつ、平滑縁及び一定の密度状態から分散状態に徐々に変更し、そして、中心から縁へと広がり、そしてそれは、
図6に明確に示されている。いくつかの実施形態において、1つのRICカプセルが誘導されて、1×10
6、2×10
6、3×10
6、4×10
6、5×10
6、6×10
6、7×10
6、8×10
6、9×10
6又は1×10
7個のRIC細胞を得る。
【0071】
単体のRICカプセルの細胞の総数は、200,000~1000万細胞の範囲、例えば250,000、300,000、400,000、600,000、800,000、100万、150万、180万、200万、300万、400万、500万、600万、700万、800万、900万などであり得る。培養した各RICカプセルは、1~10cm2の範囲の領域を占める。RICカプセルは、継続的に10~18日間にわたり培地III中で、次に、7~14日間にわたり培地IV中で培養できる。
【0072】
キット
第六の態様において、本発明は、別々に提供される培地I、II、III、及びIVのうちの1、2、3又は4つを含む、キットを提供する。
【0073】
本発明の培養物は、医薬組成物として処方及び投与され得る。斯かる医薬組成物は、医療用分野で知られているあらゆる形態、好ましくは(注入液と凍結乾燥粉末を含めた)注射形態である。特定の好ましい実施形態において、医薬組成物は、医薬として許容される滅菌等張水性若しくは非水性溶液(例えば、平衡塩類溶液又は生理的食塩水)、分散液、懸濁液、又は乳濁液を含む。医薬組成物を処方するための一般原理は、"Cell Therapy: Stem Cell Transplantation, Gene Therapy, and Cellular Immunotherapy", edited by G. Morstyn and W. Sheridan, Cambridge University Press, 1996; and "Hematopoietic Stem Cell Therapy", E. D. Ball, J. Lister & P. Law, Churchill Livingstone, 2000に見ることもできる。
【0074】
本発明では、本発明のRIC細胞集団は、免疫細胞培養に使用されることができる、当該技術分野で知られている任意の培養培地及び培養条件を使用して培養されることができる。
【0075】
疾患の予防及び/又は治療のための使用
第七の態様において、本発明は、疾患を予防及び/又は治療するための、対象における、又は対象の疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の製造における、RIC細胞集団、及び/又は改変RIC細胞由来細胞集団、或いは本明細書に記載のRIC細胞集団及びその派生細胞集団を含有している医薬組成物の使用、並びに(本発明のRIC細胞集団及び/又は改変RIC細胞由来細胞集団、或いはRIC細胞集団とその派生細胞集団を含んでいる医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む)対象の疾患を予防及び/又は治療する方法に関する。
【0076】
特定の実施形態において、対象は、ヒトなどの哺乳動物である。
特定の実施形態において、対象で予防及び/又は治療される疾患としては、癌、感染性疾患、ウイルス性肺炎、AIDS、免疫不全、免疫欠陥又は自己免疫性疾患が挙げられる。
【0077】
本発明の各態様の実施形態において、癌の例としては、これだけに限定されるものではないが、リンパ腫、血液学的悪性、慢性又は急性白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病を含む)、多発性骨髄腫、リンパ球性リンパ腫、乳癌、卵巣癌、肝臓癌、神経膠腫、膵臓癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、黒色腫、腎癌、膀胱癌、頭頚部癌、胃体癌、上咽頭癌、喉頭癌、子宮頚癌、子宮体部腫瘍、骨肉腫、骨癌、皮膚癌、前立腺癌、子宮癌、肛門部癌、精巣癌、卵管癌、子宮内膜癌、腟癌、外陰部癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児固形腫瘍、膀胱癌、腎臓又は尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)腫瘍、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、脳下垂体腺腫、カポジ肉腫、表皮癌、扁平上皮癌、T細胞性悪性リンパ腫、環境誘発癌、アスベスト誘発癌、及び任意のそれらの組み合わせ、が挙げられる。
【0078】
本発明の各態様の実施形態において、感染性疾患は、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物又は原生動物から選択される病原菌によって引き起こされ得、そして、これだけに限定されるものではないが、以下の:ヒトHIVウイルス、免疫不全ウイルス、灰白髄炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、サイトメガロウイルスCMV、B型肝炎ウイルスHBV、単純ヘルペスウイルスHSV、帯状疱疹ウイルス、コロナウイルス、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス、パピローマウィルス、ポリオーマウイルス;パスツレラ属(Pasteurella)、スタフィロコッカス属(Staphylococci)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルモネラ属(Salmonella)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyloris)、ミコバクテリア属(Mycobacteria)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、ストレプトコッカス属(Streptococcus,)、豚丹梅菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringers)、破傷風菌(Clostridium tetani)、エンテロバクター・アエロジェネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニア(Klebsiellapneumoniae)、パスツレラ菌(Pasturella multocida)、レプトスピラ属(Leptospira)及びリケッチア属(Rickettsia);カンジダ属(Candida)、アスペルギルス属(Aspergillus)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、ヒストプラスマ属(Histoplasma)、ニューモシスチス属(Pneumocystis)及びコクシジオイデス属(Coccidioides);ウシバベシア原虫(Babeosis bovis)、マラリア原虫(Plasmodium)、リーシュマニア属種(Leishmania spp.)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、及びトリパノソーマ・クルーズ(Trypanosoma cruzi)が挙げられる。
【0079】
特定の実施形態において、RIC細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含有しているRIC細胞(CAR-RIC細胞)である。
いくつかの実施形態において、CARは、例えば細胞外抗原結合性ドメインなどの抗原結合性ドメインを含有している。いくつかの実施形態において、抗原結合性ドメインは、感染症を引き起こす病原菌の抗原に対して特異的である。いくつかの実施形態において、抗原結合性ドメインは、腫瘍関連抗原に対して特異的である。
【0080】
腫瘍関連抗原としては、これだけに限定されるものではないが、ジシアロガングリオシドGD2、上皮成長因子受容体(EGFR)、EGFRバリアントIII(EGFRvIII)、CD19、CD20、BCMA(CD269、TNFRSF17)、NY ESO-1、CD16、CD64、CD78、CD96、CLL1、CD116、CD117、CD71、CD45、CD71、CD123、CD138、ErbB2(HER2/neu)、癌胎児性抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、CD30、CD40、管上皮ムチン、gp36、TAG-72、糖スフィンゴ脂質、グリオーマ関連抗原、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、α-フェトグロビン(AFP)、レクチン応答型AFP、チログロブリン、RAGE-1、MN-CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、M-CSF、プロスターゼ(prostase)、プロスターゼ特異的抗原(PSA)、PAP、NY ESO-1、LAGA-1a、p53、Prostein、PSMA、生存とテロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原1(PCTA-1)、MAGE、ELF2M、好中球顆粒球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF1)-I、IGF-II、IGFI受容体、メソテリン、腫瘍特異性ペプチドエピトープ分子を提示する主要組織適合性複合体(MHC)、5T4、ROR1、NKp30、腫瘍間質抗原、フィブロネクチンの追加ドメインA(EDA)と追加ドメインB(EDB)、テネイシンCのA1ドメイン(TnC A1)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、CD3、CD4、CD8、CD24、CD25、CD33、CD34、CD133、CD138、Foxp3、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、GM-CSF、サイトカイン受容体、内皮因子、主要組織適合性複合体(MHC)分子、TNFRSF17(UNIPROT Q02223)、SLAMF7(UNIPROT Q9NQ25)、GPRC5D(UNIPROT Q9NZD1)、FKBP11(UNIPROT Q9NYL4)、KAMP3、ITGA8(UNIPROT P53708)、及びFCRL5(UNIPROT Q68SN8)、が挙げられる。
【0081】
本発明の各態様の実施形態において、抗原結合性ドメインは、例えば、モノクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、単一ドメイン抗体、ナノボディ、抗体一本鎖可変領域(scFV)、又はその抗原結合性断片であってもよい。いくつかの好ましい実施形態において、抗原結合ドメインはscFVである。
【0082】
本発明では、RIC細胞集団及び/又は改変RIC細胞由来細胞、RIC細胞集団とその派生細胞集団を含んでいる医薬組成物、或いは本明細書に記載したRIC細胞集団又は培養物を含んでいる医薬組成物は、様々な好適な方法で対象に投与できる。特定の実施形態において、本明細書に記載したRIC細胞集団及び/又は改変RIC細胞由来細胞、或いは医薬組成物は、局所注入による移植(例えば、定位脳内注入移植若しくは脊髄注入移植、固形物腫瘍内への注入)、循環血液経路による移植(例えば、静脈内注入移植又は動脈内注入移植)、又は脳脊髄液経路による移植(例えば、腰椎穿刺くも膜下注入移植)或いは他の経路によって対象に投与できる。当業者は、病巣の位置と性質に基づいて適切な細胞移植経路を選択する方法を知っている。
【0083】
特定の実施形態において、薬剤は単位剤形で存在し、そして、薬剤の単位用量は、1×104/ml以上(例えば、1×104/ml以上、3×104/ml以上、5×104/ml以上、7×104/ml以上、1×105/ml以上、3×105/ml以上、5×105/ml以上、7×105/ml以上、1×106/ml以上、3×106/ml以上、5×106/ml以上、7×106/ml以上、1×107/ml以上、3×107/ml以上、5×107/ml以上、7×107/ml以上、1×108/ml以上、3×108/ml以上、5×108/ml以上、7×108/ml以上、1×109/ml以上、3×109/ml以上、5×109/ml以上、7×109/ml以上、1×1010/ml以上、3×1010/ml以上、5×1010/ml、又は7×1010/ml以上)の量でRIC細胞集団及び/又は改変RIC細胞由来細胞集団を含有している。いくつかの実施形態において、薬剤の単位用量は、1×104~1×1010(例えば、1×106~1×108、1×106~1×107、又は1×106~5×106)の量でRIC細胞集団及び/又は改変RIC細胞由来細胞集団を含有している。
【0084】
本明細書に記載した図面は、本発明の更なる理解を提供し、かつ、本願の一部を構成するために使用される。本発明に関する説明に役立つ実例とそれらの説明は、本発明について説明するのに使用されるものであって、本発明の不適当な制限を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】
図1は、PSCのRICへの誘導分化のフローチャートを示し、そこでは、PSCはESCとiPSCを含む;PS、原始線条;LM、側板中胚葉;造血前駆細胞、造血前駆細胞;RIC、誘導性RIC細胞。
【
図2】
図2は、実施例1における胚幹細胞の分化の異なる段階ノードでの細胞形態を示す。
【
図3】
図3は、実施例1における胚幹細胞の、原始線条(TBXT+)と側板中胚葉細胞(APLNR+、HAND1+)への分化を示す。Y軸値は、関連遺伝子のmRNA発現における差に関するqPCR分析の結果を示す。内部標準遺伝子はACTINであり、及び標的遺伝子は、TBXT、APLNR、HAND1、MSGN1及びOSR1である。TBXTは原始線条に特異的なマーカー遺伝子であり、APLNRとHAND1は側板中胚葉細胞に特異的なマーカー遺伝子であり、MSGN1は傍軸中胚葉に特異的なマーカー遺伝子であり、及びOSR1は中間中胚葉に特異的なマーカー遺伝子である。解析方法は2
-ΔCt法、すなわち、内部標準遺伝子に対する標的遺伝子の相対発現である。
【
図4】
図4は、実施例1における原始線条(BRACHYURY+)と側板中胚葉(APLNR+)のマーカータンパク質のフローサイトメトリー分析を示す。BRACHYURYはTBXT遺伝子によってコードされたタンパク質であり、原始線条の識別マーカーである。APLNRは、側板中胚葉の識別マーカーである。
【
図5】
図5は、実施例1におけるフローサイトメトリー解析図を示す。フローサイトメトリー分析は、GR-MTGを使用した分化と比較して、VTNを使用して分化させたESC由来の側板中胚葉のAPLNRの発現強度がより高かったことを示した。VTNはビトロネクチンであり、GR-MTGは成長因子削減マトリゲルである。
【
図6】
図6は、立体鏡を用いて撮影した、実施例2における多能性幹細胞分化の異なる段階ノードでのRICカプセルの形態を示す。
【
図7】
図7は、RICカプセルが効果的にCD45+CD34+CD43+CD235a-造血前駆細胞を製造するできたことを示す。
【
図8】
図8は、実施例3における20日目、24日目、及び27日目の成熟に関するRICの変化を示す。
【
図9】
図9は、20日目、24日目、及び27日目のRIC細胞数における変化を示す。
【
図10】
図10は、D27において、GFP+栄養芽層細胞が見えなくなり、そして、RIC細胞が高純度を示したことを示す。
【
図11】
図11は、RICカプセルから単離した(D20)造血前駆細胞の単層誘導によって得られたRIC細胞の収率統計(D27)を示す。
【
図12】
図12は、RICカプセル造血前駆細胞を移植した受容マウスにおける誘導再生によって得られた成熟RIC細胞を示し、ここで、BMは骨髄を指し、PBは末梢血を指し、及びSPは脾臓を指す。
【
図13】
図13は、ESC-RICが活性化受容体を発現することを示し、ここで、遺伝子NCR2、NCR3、KLRC2、KLRK1及びSLAMF7は、それぞれ、活性化受容体タンパク質NKp44、NKp30、NKG2C、NKG2D及びCS1をコードする。
【
図14】
図14は、そのRIC細胞が抑制性受容体を発現することを示し、ここで、遺伝子KLRB1、KLRC1、LAIR1、SIGLEC7及びCD96は、それぞれ、抑制性受容体タンパク質がCD161、NKG2A、LAIR-1、SIGLEC7及びCD96をコードする。
【
図15】
図15は、遺伝子NCAM1及びKLRD1が、それぞれ、タンパク質CD56及びCD94をコードし、その両方がRIC細胞の成熟化に主に関連していることを示す;CD69、TNFSF10、FASLG、PRF1、GZMA及びGZMB遺伝子は、それぞれ、CD69、TRAIL、FasL、Perforin、Granzyme A及びGranzyme Bをコードし、そのすべてがRIC細胞の活性化と天然の殺滅機能に関連している。
【
図16】
図16は、初代免疫細胞と比較した、(ESC由来)RICの独特な発現遺伝子パターンを示す。RICはNKG2-Eを高度に発現し、その発現レベルは、初代免疫細胞のそれの400倍超に達する場合がある;それは、SELLとCD2を低度にしか発現せず、その発現レベルは初代免疫細胞のそれの1/50未満であった。
【
図17】
図17は、多分化能性幹細胞(ESC)由来のRIC細胞による、リンパ腫細胞株Nalm-6由来の腫瘍細胞のインビトロにおける殺滅を示す。ESC-1-2-3 4-5:National Stem Cell Resource CenterからもたらされたESC細胞クローンの5つの菌株。X軸、E:T比(RICエフェクター細胞:腫瘍細胞)。Y軸、遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。生存細胞の絶対数を、6時間の共インキュベーション後に検出した。
【
図18】
図18は、ESC-RIC細胞がインビトロにおいてAML細胞THP-1とMolm13を効率的に殺滅することを示す。X軸、E:T比(RICエフェクター細胞:腫瘍細胞)。Y軸、腫瘍細胞殺滅のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【
図19】
図19は、多分化能性幹細胞(ESC)由来のRIC細胞による、卵巣癌細胞株A1847由来の腫瘍細胞のインビトロにおける殺滅を示す。ESC-1-2-3 4-5:National Stem Cell Resource CenterからもたらされたESC細胞クローンの5つの菌株。X軸、E:T比(RIC細胞:腫瘍細胞)。Y軸、最初の注入腫瘍細胞に対するパーセンテージとしての遺残腫瘍細胞。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【
図20】
図20は、多分化能性幹細胞(ESC)由来のRIC細胞による、Bリンパ腫細胞株Rajiの殺滅は、ADCC効果によって高められることを示す。リツキシマブは抗CD20リツキシマブである。X軸、E:T比(RIC細胞:腫瘍細胞)。Y軸、腫瘍細胞殺滅のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【
図21】
図21は、(ESC由来)RICによるA1847卵巣癌腫瘍細胞のインビボにおける殺滅を示す。a:処置の流れと検出ダイアグラム;b~c:RIC処置群における腫瘍量及び腫瘍量対照群の動的インビボ撮像の検出。n=5、統計的方法:一元配置ANOVAとクラスカル-ウォリス検定。NS、有意差なし。d:生存曲線分析。n=5、統計的方法:ログ-ランク検定。e:0日目と35日目の処置群と対照群における癌担持マウスの体重。n=5、統計的方法:対応のない両側t-検定。
【
図22】
図22は、(ESC由来)RICによるHL60急性骨髄性白血病細胞のインビボにおける殺滅を示す。a:処置の流れと検出ダイアグラム;b~c:RIC処置群における腫瘍量及び腫瘍量対照群の動的インビボ撮像の検出。n=5、統計的方法:対応のない両側t-検定。d:生存曲線分析。n=5、統計的方法:ログ-ランク検定。e:0日目と28日目の処置群と対照群における癌担持マウスの体重。n=5、統計的方法:対応のない両側t-検定。NS、有意差なし。
*:p<0.05、
**:p<0.01、
***:p<0.001。
【
図23】
図23は、感染症によるRIC細胞のCD19-CARの発現率を示す。初代免疫細胞と比べて、CD19-CARを担持するウイルスによる感染後のRIC細胞(MOI=20)のCD19-CARの発現率は、82.4%に達するほど高かったが、その一方で、天然の免疫細胞(MOI=35)の発現率は14.9%にすぎなかった。
【
図24】
図24は、CD19-CAR-ESC-RICが効率的にALL急性リンパ芽球性白血病患者の原発性腫瘍細胞を殺滅することを示す。CD19-CARを担持したRIC細胞を、6時間にわたり1:1の比で2人のALL患者由来の原発性腫瘍細胞(CD19+B細胞)とインビトロにおいて共インキュベートし、次に、CD19+B細胞数を検出した。Y軸、最初の注入腫瘍に対する遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。
【
図25】
図25は、誘導多分化能性幹細胞の分化の異なる段階ノードでの細胞形態を示す。
【
図26】
図26は、原始線条(TBXT+)と側板中胚葉細胞(APLNR+HAND1+)に分化した誘導多分化能性幹細胞の特異的な細胞マーカーの検出を示す。Y軸値は、関連遺伝子のmRNA発現における差に関するqPCR分析の結果を示す。内部標準遺伝子はACTINであり、及び標的遺伝子は、TBXT、APLNR、HAND1、MSGN1及びOSR1である。TBXTは原始線条に特異的なマーカー遺伝子であり、APLNRとHAND1は側板中胚葉細胞に特異的なマーカー遺伝子であり、MSGN1は傍軸中胚葉に特異的なマーカー遺伝子であり、及びOSR1は中間中胚葉に特異的なマーカー遺伝子である。解析方法は2
-ΔCt法、すなわち、内部標準遺伝子に対する標的遺伝子の相対発現である。
【
図27】
図27は、原始線条(BRACHYURY+)と側板中胚葉(APLNR+)のマーカータンパク質のフローサイトメトリー分析を示す。BRACHYURYはTBXT遺伝子によってコードされたタンパク質であり、原始線条の識別マーカーである。APLNRは、側板中胚葉の識別マーカーである。
【
図28】
図28は、GR-MTG材を使用した分化と比較して、VTNを使用して分化させたiPSC由来の側板中胚葉のAPLNRの発現強度がより高かったことを示した、フローサイトメトリー解析を示す。VTNはビトロネクチンであり、及びGR-MTGは成長因子削減マトリゲルである。
【
図29】
図29は、20日目、24日目、及び27日目の成熟に関するRICの変化を示す。
【
図30】
図30は、20日目、24日目、及び27日目のRIC細胞数における変化を示す。
【
図31】
図31は、D27における、GFP+栄養芽層細胞の消失を示す。
【
図32】
図32は、RICカプセルから単離した(D20)造血前駆細胞の単層誘導によって得られたRIC細胞の収率(D27)を示す。
【
図33】
図33は、iPSC-RICが活性化受容体を発現することを示し、ここで、遺伝子NCR2、NCR3、KLRC2、KLRK1及びSLAMF7は、それぞれ、活性化受容体タンパク質NKp44、NKp30、NKG2C、NKG2D及びCS1をコードする。
【
図34】
図34は、iPSC-RIC細胞が抑制性受容体を発現することを示し、ここで、遺伝子KLRB1、KLRC1、LAIR1、SIGLEC7及びCD96は、それぞれ、抑制性受容体タンパク質がCD161、NKG2A、LAIR-1、SIGLEC7及びCD96をコードする。
【
図35】
図35は、遺伝子NCAM1及びKLRD1が、それぞれ、タンパク質CD56及びCD94をコードすることを示す;CD69、TNFSF10、FASLG、PRF1、GZMA及びGZMB遺伝子は、それぞれ、CD69、TRAIL、FasL、Perforin、Granzyme A及びGranzyme Bをコードする。
【
図36】
図36は、初代免疫細胞と比較した、(iPSC由来)RICの独特な発現遺伝子パターンを示す。RICはNKG2-Eを高度に発現し、その発現レベルは、初代免疫細胞のそれの400倍超に達する場合がある;それは、SELLとCD2を低度にしか発現せず、その発現レベルは初代免疫細胞のそれの1/50未満であった。
【
図37】
図37は、多分化能性幹細胞(iPSC)由来のRIC細胞による、リンパ腫細胞株Nalm-6由来の腫瘍細胞のインビトロにおける殺滅を示す。X軸、E:T比(RICエフェクター細胞:腫瘍細胞)。Y軸、遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。生存細胞の絶対数を、6時間の共インキュベーション後に検出した。
【
図38】
図38は、多分化能性幹細胞(iPSC)由来のRIC細胞による、卵巣癌細胞株A1847由来の腫瘍細胞のインビトロにおける殺滅を示す。X軸、E:T比(RIC細胞:腫瘍細胞)。Y軸、最初の注入腫瘍細胞に対する遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【
図39】
図39は、多分化能性幹細胞(iPSC)由来のRIC細胞による、Bリンパ腫細胞株Rajiの殺滅は、ADCC効果によって高められることを示す。リツキシマブは抗CD20リツキシマブである。X軸、E:T比(RIC細胞:腫瘍細胞)。Y軸、腫瘍細胞殺滅のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【
図40】
図40は、(iPSC由来)RICによるA1847卵巣癌腫瘍細胞のインビボにおける殺滅を示す。a:処置の流れと検出ダイアグラム;b~c:RIC処置群における腫瘍量及び腫瘍量対照群の動的インビボ撮像の検出。n=5、統計的方法:一元配置ANOVAとクラスカル-ウォリス検定。NS、有意差なし。d:生存曲線分析。n=5、統計的方法:ログ-ランク検定。e:0日目と35日目の処置群と対照群における癌担持マウスの体重。n=5、統計的方法:対応のない両側t-検定。
【
図41】
図41は、感染症によるRIC細胞のCD19-CARの発現率を示す。初代免疫細胞と比べて、CD19-CARを担持するウイルスによる感染後のRIC細胞(MOI=20)のCD19-CARの発現率は、83.0%に達するほど高かったが、その一方で、天然の免疫細胞(MOI=35)の発現率は33.4%にすぎなかった。
【
図42】
図42は、CD19-CAR-iPSC-RICが効率的にALL急性リンパ芽球性白血病患者の原発性腫瘍細胞を殺滅することを示す。CD19-CARを担持したRIC細胞を、6時間にわたり1:1の比で2人のALL患者由来の原発性腫瘍細胞(CD19+B細胞)とのインビトロにおける共インキュベートし、次に、CD19+B細胞数を検出した。Y軸、最初の注入腫瘍に対する遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。
【発明を実施するための形態】
【0086】
本発明を実施するための具体的なモデル
本発明の実施形態における技術的解決策を、添付した図面と本発明に関する実施例を参照することによって、以下で明確、かつ、完全に記載する。明らかに、記載した実施例は、すべての実施例というよりむしろ、本発明に関する実施例のうちのいくつかにすぎない。少なくとも1つの例示的な実施例に関する以下の説明は、実際には単に説明に役立っているだけで、いかなる形であっても、本発明、その適用又は使用を限定することを意図するものではない。本発明に関する実施例に基づいて、創意工夫なしに当業者によって得られた他のすべての実施例が、本発明の保護の範囲内にある。
【0087】
以下の実施例において具体的条件を示さなかった実験法は、従来の方法及び条件、又は製品仕様に従って選択されなければならない。本発明に使用される試薬及び原料は、すべて市販のものであった。
【0088】
PSCを、
図1に準拠して誘導して、RICに分化させたが、ここで、
図1のそれぞれの記号の意味と培養培地の組成は、以下のとおりであった:
PSCはESCとiPSCを含み;PSは原始線条を指し;LMは側板中胚葉を指し;造血シード細胞は、すなわち、造血前駆細胞であり;RICは誘導RIC細胞を指す。
【0089】
培地I:40ng/mLのBMP4(R&D Systems, 314-BP-010)、30ng/mLのACTIVIN A(PeproTech, 120-14P)、20ng/mLのbFGF(PeproTech, 100-18B)、6μmのCHIR-99021(Selleck, S1263)及び100nMのPIK-90(Selleck, S1187)を補った、Essential 6培地(Gibco, A1516401又はSTEMCELL Technologies, 05946)。
培地II:30ng/mLのBMP4(R&D Systems, 314-BP-010)、1μMのA-83-01(Selleck, S7692)、1 μMのC59(Selleck, S7037) を補った、Essential 6培地。
培地III:10μMのSB431542(selleck、S1067)、10μMのヒドロコルチゾン(selleck、S1696)、5ng/mLのFlt3L(PeproTech, 300-19)、5ng/mLのTPO(PeproTech, 300-18)、50ng/mLのSCF(PeproTech, 300-07)、50ng/mLのEGF(PeproTech, 100-47)、50ng/mLのVEGF(R&D System, 293-VE-010)、50ng/mLのbFGF(PeproTech, 100-18B)、50ng/mLのIGF-1(PeproTech, 100-11)、50μg/mLのアスコルビン酸及び2%のSUPERGROW細胞培養サプリメント(Dakewe, 6122011)を補った、Essential 6培地。
【0090】
培地IV:55%のDMEM-高グルコース(Hyclone, SH30022.01B)、30%のDMEM/F12(Hyclone, SH30023.01B)、15%のSUPERGROW細胞培養サプリメント(Dakewe, 6122011)、2mMのGlutaMAX(商標)(Gibco, 35050061)、1μMのβ-メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich, M3148)、5ng/mLの亜セレン酸ナトリウム(Sigma-Aldrich, S5261)、50μMのエタノールアミン(Sigma-Aldrich, 15014)、20μg/mLのアスコルビン酸(Sigma-Aldrich, A-5960)、1%のペニシリン-ストレプトマイシン溶液(Hyclone, SV30010)、5ng/mLのIL-3(PeproTech, 200-03)、20ng/mLのSCF、20ng/mLのIL-7(PeproTech, 200-07)、10ng/mLのIL-15(PeproTech, 200-15)及び10ng/mLのFlt3L(PeproTech, 300-19)。
【実施例】
【0091】
本発明を実施するための具体的なモデルは、以下のとおりであった:
実施例1:(ESC由来)多分化能性幹細胞の側板中胚葉への分化
80%の接着密度まで単層中で培養した(ESC由来)多分化能性幹細胞を、Accutase(Sigma-Aldrich, A6964)で1分間消化し、ncTarget培地(Zhongsheng Suyuan、RP01020)で単独細胞懸濁液へと再懸濁し、2μMのROCK阻害剤チアゾビビン(Selleck, S1459)を加え、次に、VTN(Animal Free Human Vitronectin Matrix、PeproTech, AF-VMB-220)で覆った細胞培養ディッシュに移し、そしてインキュベータ内で24時間培養した(この時点を誘導プログラムの0日目と定義した)。培養ディッシュ内のncTarget培地をピペッティングによって捨て、培地Iを加え、そしてインキュベータ内で24時間培養を続けた(この時点を誘導プログラムの1日目と定義した)。培地Iをピペッティングによって捨て、培地IIを加えた、そして培養を24時間続けた(この時点を誘導プログラムの2日目と定義した)。細胞をそれぞれ0日目、1日目及び2日目に写真撮影し(
図2)、そしてqPCRを使用して、原始線条(BRACHYURY+、そのコード遺伝子はTBXTであった)及び側板中胚葉(APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-)の識別マーカーを検出し(
図3)、そしてフローサイトメトリーを使用して、原始線条と側板中胚葉への誘導の効率を検出した(
図4)。VTNを選択した理由は、GR-MTG(Growth Factor Reduced Matrigel)と比べて、他の条件を変更しないままにしたとき、側板中胚葉を得る際に、VTNがより効果的であったからであった(
図5)。
【0092】
実施例2:RICカプセルの培養-(ESC由来)造血前駆細胞-段階の誘導
具体的なステップは、以下のとおりである:
側板中胚葉細胞を、消化し、単独細胞懸濁液に調製し、そしてOP9-DLL1/DLL4栄養芽層細胞と混合したが、その2種類の細胞の混合比は1:5~1:200の範囲内であり得、かつ、細胞の総数を、RICカプセルを調製するための培養ディッシュの細孔径に従って0.2~1000万個に調整した。それぞれのRICカプセルは、1~10cm
2の培養表面積を占有した。誘導を、10~18日間にわたり培地III中で継続したが、培地を1~3日毎に交換し、及びRICカプセルユニットの形態学的変化を、9日目と16日目に写真撮影によって記録した(
図6)。16日目のRICカプセルを、単独細胞フローサイトメトリー向けに選択して、造血前駆細胞(CD45+CD34+CD43+CD235a-)を検出し、そして、この誘導方法は、CD34+表現型を有する造血前駆細胞を得るためのLMの直接単層細胞誘導より効果的であった(
図7)。
【0093】
実施例3:RICカプセルによる(ESC由来)RICの製造
培地IIIを培地IVに置換し、そしてRICカプセルを7~14日間にわたり継続的に培養し、かつ、培地を1~3日毎に交換した。RICカプセルを、20日目と27日目に写真撮影し、及び記録した(
図6)。20日目、24日目及び27日目に、RICカプセルを取り出して、ESC-RIC細胞(CD45+CD56+)を検出するためフローサイトメトリー向けの単独細胞懸濁液を調製し、そして細胞収率の統計のためにサンプル調製した(
図8及び9)。加えて、GFP+栄養芽層細胞は、27日目にはもう検出不可能だったので(
図10)、27日目に採集したESC-RIC細胞を写真撮影した(
図2)。
【0094】
実施例4:(ESC由来)RICの単層誘導
選択的に、培地III中で培養した20日目のRICカプセルを取り出し、単独細胞懸濁液に調製した。栄養芽層細胞+GFPを選別し、そして、残った造血前駆細胞と免疫始原細胞の混合物に培地IVを加え、そして単層培養のために培養ディッシュに移した、培地を2日毎に交換し、そして、誘導のために培養を7~14日にわたり続けて、成熟RIC細胞を得た。この単層誘導プロトコールはまた、高純度かつ高収率でRIC細胞を得るための誘導にも使用される場合がある(
図11)。
【0095】
実施例5:(ESC由来)RICのインビボにおける誘導
20日目のRICカプセル中の造血前駆細胞を、単離し、そして受容マウスに移植した。12日後には、検出は、成熟RIC細胞が骨髄(BM)、末梢血(PB)及び脾臓(SP)で効率的に再生されることを示した(
図12)。
【0096】
実施例6:単独細胞シークエンシングによる(ESC由来)RICのトランスクリプトーム特徴
臍帯血由来の単一のRIC細胞と単一の初代免疫細胞を、ディープシングルセルRNAシークエンシングにかけた(初代免疫細胞数が32であり、ESC-RIC細胞数が41である、シークエンシングモード:Smartseq2)。さらに、シークエンシングデータを比較分析にかけ、そしてその結果は、初代免疫細胞と類似しており、RIC細胞が活性化受容体NKp30、NKp44、NKG2C、NKG2D、CS1など(
図13)、抑制性受容体KLRB1、KLRC1、LAIR1、CD96SIGLEC7など(
図14)、表面マーカー及び機能的な活性関連タンパク質CD56、CD94、CD69、TRAIL、FasL、Perforin、Granzyme A及びGranzyme Bなど(
図15)を発現することを示した。しかしながら、RIC細胞は天然の初代免疫細胞と有意に異なり、そしてそれは、RICの独特な遺伝子発現特性に反映された。例えば、天然の初代免疫細胞と比べて、RIC細胞はNKG2-Eのより高度な発現、及びSELLとCD2より低度な発現を有した(
図16)。
【0097】
実施例7:(ESC由来)RICによるNalm-6腫瘍細胞のインビトロにおける殺滅
(ESC由来)RIC細胞を、Nalm-6腫瘍細胞株と共インキュベートして、RIC細胞の天然の腫瘍細胞殺滅活性を試験した。
図17は:多分化能性幹細胞(ESC由来)由来のRIC細胞が、リンパ腫細胞株Nalm-6由来の腫瘍細胞をインビトロにおいて殺滅し得ること、を示した。ESC-1-2-3 4-5:National Stem Cell Resource CenterからもたらされたESC細胞クローンの5つの菌株。X軸、E:T比(RICエフェクター細胞:腫瘍細胞)。Y軸、遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。生存細胞の絶対数を、6時間の共インキュベーション後に検出した。
【0098】
実施例8:(ESC由来)RICによる急性骨髄性白血病(AML)細胞のインビトロにおける効果的な殺滅
特に
図18を参照することによって、多分化能性幹細胞(ESC由来)のRIC細胞が、インビトロにおいてAML細胞株THP-1とMolm13を効率的に殺滅することを示す。X軸、E:T比(RICエフェクター細胞:腫瘍細胞)。Y軸、腫瘍細胞殺滅のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【0099】
実施例9:(ESC由来)RICによるA1847卵巣癌腫瘍細胞のインビトロにおける殺滅
特に
図19を参照することによって、多分化能性幹細胞(ESC由来)由来のRIC細胞は、インビトロにおいて卵巣癌細胞株A1847由来の腫瘍細胞を殺滅し得る。ESC-1-2-3 4-5:National Stem Cell Resource CenterからもたらされたESC細胞クローンの5つの菌株。X軸、E:T比(RIC細胞:腫瘍細胞)。Y軸、最初の注入腫瘍細胞に対する遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【0100】
実施例10:モノクローナル抗体と組み合わせた(ESC由来)RICによるADCC効果による抗腫瘍性活性の媒介と増強
特に
図20を参照することによって、(ESC由来)RIC細胞によるBリンパ腫細胞株Rajiの殺滅は、ADCC効果によって増強される場合がある。リツキシマブは抗CD20リツキシマブである。X軸、E:T比(RIC細胞:腫瘍細胞)。Y軸、腫瘍細胞殺滅のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【0101】
実施例11:(ESC由来)RICによるA1847卵巣癌腫瘍細胞のインビボにおける殺滅
最初に、A1847卵巣癌腫瘍マウスモデルを樹立した。6~8週齢のNSGマウス(RIC、T、B免疫細胞をもたない免疫不全マウス)それぞれに、腹腔内注射によって2×10
5個のA1847-ルシフェラーゼ+(ルシフェラーゼ陽性)細胞を植え付けた。腫瘍細胞接種の1日後に、腫瘍モデルを生体撮像(IVIS Spectrum、PerkinElmer)に供した。次に、各マウスに、1~1.5×10
7個のRIC細胞(500μL)を腹腔内注射によって移植することで処置を実施した。注入を、1週間毎に1回実施し、そして2週間継続した。IL-2(10000U/マウス)を、処置後21日以内に、2日毎に1回注射した。マウスを、3~4日毎に生体撮像に供して、腫瘍量の変化を分析した。ESC-RICは、インビボにおいてA1847卵巣癌細胞を効果的に殺滅し得る(
図21)。
【0102】
実施例12:(ESC由来)RICによるAML細胞のインビボにおける殺滅
最初に、HL60 AMLマウスモデルを樹立した。6~8週齢のNSGマウス(RIC、T、B免疫細胞をもたない免疫不十分マウス)それぞれに、腹腔内注射によって1×10
6個のHL60-ルシフェラーゼ+(ルシフェラーゼ陽性)細胞を植え付けた。腫瘍細胞植菌の3日後に、腫瘍モデルを生体撮像(IVIS Spectrum、PerkinElmer)に供した。次に、各マウスに、1~1.5×10
7個のRIC細胞(200μL)を尾静脈注射によって移植することで処置を実施した。注入を、1週間毎に3回実施し、そして2~3週間継続した。マウスを、7日間毎に生体撮像に供して、腫瘍量の変化を分析した。ESC-RICは、HL60 AML細胞を効果的に殺滅し得る(
図22)。
【0103】
実施例13:(ESC由来)CD19-CAR-ESC-RICによるALL急性リンパ芽球性白血病患者の原発性腫瘍細胞の殺滅
最初に、CD19-CARレンチウイルスを、臍帯血由来の初代免疫細胞とESC-RIC細胞を感染させるのに使用した。5×10
6個の初代免疫細胞とESC-RIC細胞に、それぞれCD19-CARレンチウイルスを遠心感染によって感染させた(初代免疫細胞:MOI=35、ESC-RIC細胞:MOI=20)。細胞を感染させた48時間後に、フローサイトメトリーを使用して、感染効率を検出した。最初に、少量の細胞(各種類の細胞について2×10
5個)を取り出し、CD56-APC及び抗マウスFMC63 scFvモノクローナル抗体、PE(CD19-CAR-PE)抗体と共にインキュベートし;インキュベーション後に、フローサイトメトリーを使用して、感染効率を検出した、ここで、非感染初代免疫細胞(NC)とESC-RIC(NC)を、CD19-CARの陽性率を検出するための陰性対照として使用した。CD19-CAR-初代免疫細胞の感染効率は14.9%であり、CD19-CAR-ESC-RICのそれは82.4%に達するほど高かった(
図23)。CD19-CAR発現後のRICは、インビトロにおいて急性リンパ芽球性白血病を患っている患者でB細胞を効率的に殺滅し得る(
図24)。
図24:CD19-CAR-ESC-RICは、ALL急性リンパ芽球性白血病患者の原発性腫瘍細胞を効率的に殺滅し得る。CD19-CARを担持したRIC細胞を、6時間にわたり1:1の比で2人のALL患者由来の原発性腫瘍細胞(CD19+B細胞)とインビトロにおいて共インキュベートし、次に、CD19+B細胞数を検出した。Y軸、最初の注入腫瘍に対する遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。
【0104】
実施例14:(iPSCs由来)多分化能性幹細胞の側板中胚葉への分化
80%の接着密度まで単層中で培養した(iPSCs由来)多分化能性幹細胞を、Accutase(Sigma-Aldrich, A6964)で1分間消化し、ncTarget培地(Zhongsheng Suyuan、RP01020)で単独細胞懸濁液へと再懸濁し、2μMのROCK阻害剤チアゾビビン(Selleck, S1459)を加え、次に、VTN(Animal Free Human Vitronectin Matrix、PeproTech, AF-VMB-220)で覆った細胞培養ディッシュに移し、そしてインキュベータ内で24時間培養した(この時点を誘導プログラムの0日目と定義した)。培養ディッシュ内のncTarget培地をピペッティングによって捨て、培地Iを加え、そしてインキュベータ内で24時間培養を続けた(この時点を誘導プログラムの1日目と定義した)。培地Iをピペッティングによって捨て、培地IIを加えた、そして培養を24時間続けた(この時点を誘導プログラムの2日目と定義した)。細胞をそれぞれ0日目、1日目及び2日目に写真撮影し(
図25)、そしてqPCRを使用して、原始線条(BRACHYURY+、そのコード遺伝子はTBXTであった)及び側板中胚葉(APLNR+HAND1+MSGN1-OSR1-)の識別マーカーを検出し(
図26)、そしてフローサイトメトリーを使用して、原始線条と側板中胚葉への誘導の効率を検出した(
図27)。VTNを選択した理由は、GR-MTG(Growth Factor Reduced Matrigel)と比べて、他の条件を変更しないままにしたとき、側板中胚葉を得る際に、VTNがより効果的であったからであった(
図28)。
【0105】
実施例15:(iPSC由来)RICカプセルによるRICの製造
実施例1~4の方法を参照して、iPSC由来のRIC細胞を、培地I、II、III、及びIVの誘導下で入手し得る。RICカプセルを、それぞれ、20日目、24日目及び27日目に取り出して、iPSC-RIC細胞(CD45+CD56+)を検出するためのフローサイトメトリー向けの単独細胞懸濁液を調製し、そして細胞収率の統計のためにサンプル調製した(
図29及び30)。加えて、GFP+栄養芽層細胞は、27日目にはもう検出不可能であった(
図31)。
【0106】
実施例16:(iPSCs由来)RICの単層誘導
選択的に、培地III中で培養した20日目のRICカプセルを取り出し、単独細胞懸濁液に調製した。栄養芽層細胞+GFPを選別した。残った造血前駆細胞と免疫始原細胞の混合物に培地IVを加え、そして単層培養のために培養ディッシュに移した、培地を2日毎に交換し、そして、誘導のために培養を7~14日にわたり続けて、成熟RIC細胞を得た。この単層誘導プロトコールはまた、高純度かつ高収率でRIC細胞を得るための誘導にも使用される場合がある(
図32)。
【0107】
実施例17:単独細胞シークエンシングによる(iPSCs由来)RICのトランスクリプトーム特徴
臍帯血由来の単一のRIC細胞と単一の初代免疫細胞を、ディープシングルセルRNAシークエンシングにかけた(初代免疫細胞数が32であり、iPSCs-RIC細胞数が41である、シークエンシングモード:Smartseq2)。さらに、シークエンシングデータを比較分析にかけ、そしてその結果は、初代免疫細胞と類似しており、RIC細胞が活性化受容体NKp30、NKp44、NKG2C、NKG2D、CS1など(
図33)、抑制性受容体KLRB1、KLRC1、LAIR1、CD96SIGLEC7(
図34)、表面マーカー及び機能的な活性関連タンパク質CD56、CD94、CD69、TRAIL、FasL、Perforin、Granzyme A及びGranzyme Bなど(
図35)を発現することを示した。しかしながら、RICは天然のRICと有意に異なり、そしてそれは、RICの独特な遺伝子発現特性に反映された。例えば、天然の初代免疫細胞と比べて、RICはNKG2-Eのより高度な発現、及びSELLとCD2より低度な発現を有した(
図36)。
【0108】
実施例18:(iPSCs由来)RICによるNalm-6腫瘍細胞のインビトロにおける殺滅
(iPSCs由来)RICを、Nalm-6腫瘍細胞株と共インキュベートして、RICの天然の腫瘍細胞殺滅活性を検出した。
図37は:多分化能性幹細胞(iPSCs由来)由来のRIC細胞が、リンパ腫細胞株Nalm-6由来の腫瘍細胞をインビトロにおいて殺滅すること、を示した。X軸、E:T比(RICエフェクター細胞:腫瘍細胞)。Y軸、遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。生存細胞の絶対数を、6時間の共インキュベーション後に検出した。
【0109】
実施例19:(iPSCs由来)RICによるA1847卵巣癌腫瘍細胞のインビトロにおける殺滅
図39は:多分化能性幹細胞(iPSCs由来)由来のRIC細胞は、インビトロにおいて卵巣癌細胞株A1847由来の腫瘍細胞を殺滅すること、を示す。X軸、E:T比(RIC細胞:腫瘍細胞)。Y軸、最初の注入腫瘍細胞に対する遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【0110】
実施例20:モノクローナル抗体と組み合わせた(iPSCs由来)RICによるADCC効果による抗腫瘍性活性の媒介と増強
特に
図39を参照することによって、iPSCs-RIC細胞によるBリンパ腫細胞株Rajiの殺滅は、ADCC効果によって増強される場合がある。リツキシマブは抗CD20リツキシマブである。X軸、E:T比(RIC細胞:腫瘍細胞)。Y軸、腫瘍細胞殺滅のパーセンテージ。検出を、4時間の共インキュベーション後に実施した。
【0111】
実施例21:(iPSCs由来)RICによるA1847卵巣癌腫瘍細胞のインビボにおける殺滅
最初に、A1847卵巣癌腫瘍マウスモデルを樹立した。6~8週齢のNSGマウス(RIC、T、B免疫細胞をもたない免疫不全マウス)それぞれに、腹腔内注射によって2×10
5個のA1847-ルシフェラーゼ+(ルシフェラーゼ陽性)細胞を植え付けた。腫瘍細胞接種の1日後に、腫瘍モデルを生体撮像(IVIS Spectrum、PerkinElmer)に供した。次に、各マウスに、1~1.5×10
7個のRIC細胞(500μL)を腹腔内注射によって移植することで処置を実施した。注入を、1週間毎に1回実施し、そして2週間継続した。IL-2(10000U/マウス)を、処置後21日以内に、2日毎に1回注射した。マウスを、3~4日毎に生体撮像に供して、腫瘍量の変化を分析した。iPSCs-RICは、インビボにおいてA1847卵巣腫瘍細胞を効果的に殺滅し得る。
図40は:(iPSC由来)RICが、インビボにおいてA1847卵巣腫瘍細胞を殺滅することを示し、ここで、Aは、処置の流れと検出の模式図を示し、Bは、RIC処置群と腫瘍量対照群における腫瘍量の動的生体撮像検出を示した。
【0112】
実施例22:(iPSCs由来)CD19-CAR-iPSCs-RICによるALL急性リンパ芽球性白血病患者の原発性腫瘍細胞の殺滅
最初に、CD19-CARレンチウイルスを、臍帯血由来の初代免疫細胞とiPSCs-RIC細胞を感染させるのに使用した。5×10
6個の初代免疫細胞とiPSCs-RIC細胞に、それぞれCD19-CARレンチウイルスを遠心感染によって感染させた(初代免疫細胞:MOI=35、iPSCs-RIC細胞:MOI=20)。細胞を感染させた48時間後に、フローサイトメトリーを使用して、感染効率を検出した。最初に、少量の細胞(各種類の細胞について2×10
5個)を取り出し、CD56-APC及び抗マウスFMC63 scFvモノクローナル抗体、PE(CD19-CAR-PE)抗体と共にインキュベートし;インキュベーション後に、フローサイトメトリーを使用して、導入効率を検出した、ここで、非感染初代免疫細胞(NC)とiPSCs-RIC(NC)を、CD19-CARの陽性率を検出するための陰性対照として使用した。
図41は、感染症によりCD19-CARを導入したRIC細胞の感染率を示す。初代免疫細胞と比べて、CD19-CARを担持するCD19-CARウイルスによる感染後のRIC細胞(MOI=20)の発現率は、83.0%に達するほど高かったが、その一方で、天然の免疫細胞(MOI=35)の発現率は33.4%にすぎなかった。
図42は、CD19-CAR-iPSC-RICがALL急性リンパ芽球性白血病患者の原発性腫瘍細胞を効率的に殺滅することを示す。CD19-CARを担持したRIC細胞を、6時間にわたり1:1の比で2人のALL患者由来の原発性腫瘍細胞(CD19+B細胞)とのインビトロにおける共インキュベートし、次に、CD19+B細胞数を検出した。Y軸、最初の注入腫瘍に対する遺残腫瘍細胞のパーセンテージ。
【0113】
本明細書に記載したものに加えて、本発明の様々な修飾が、先の説明から当業者にとって明らかになるので、斯かる修飾も添付の特許請求の範囲の範囲内にあることを意味する。
【国際調査報告】