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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-26
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 15/00 20060101AFI20240819BHJP
   B63H 21/32 20060101ALI20240819BHJP
   B63B 11/04 20060101ALI20240819BHJP
   B63B 25/02 20060101ALI20240819BHJP
   B63B 25/04 20060101ALI20240819BHJP
   B63J 99/00 20090101ALI20240819BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B63B15/00 Z
B63H21/32 Z ZAB
B63B11/04 B
B63B25/02 101
B63B25/04 101
B63J99/00 A
F01N11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503677
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 AU2022051022
(87)【国際公開番号】W WO2023023794
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2021221776
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】10202109291T
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524024063
【氏名又は名称】フォーテスキュー エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】コールマン デイヴィッド ヒュー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トマール パラヴィーン シング
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA16
3G091AA18
3G091AA21
3G091DB10
3G091EA33
(57)【要約】
【課題】 アンモニアを動力源とする船舶を提供する。
【解決手段】 船舶は、船体と、上甲板と、上甲板上に延びる収納構造と、アンモニアを燃料とする推進システムと、推進システムに供給するアンモニアを貯蔵するタンクとを備え、前記タンクは収納構造の後方にされる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
上甲板と、
前記上甲板の上に延在する収納構造と、
燃料としてアンモニアを用いて動力を供給する推進システムと、
前記推進システムに供給するためのアンモニアを貯蔵するタンクと、
を備え、
前記タンクは、前記収納構造の後方に設置される、船舶。
【請求項2】
前記タンクは、前記収納構造の完全に後方に設置される、
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記タンクは、5,000m以上の容量を有する、
請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記タンクは、10,000m以上の容量を有する、
請求項3に記載の船舶。
【請求項5】
前記タンクは、約11,000mの容量を有する、
請求項4に記載の船舶。
【請求項6】
前記船舶は、バルク品を輸送するための運送船である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項7】
前記船舶は、ドライバルク品を輸送するための運送船である、
請求項6に記載の船舶。
【請求項8】
前記船舶は、ウェットバルク品を輸送するための運送船である、
請求項6に記載の船舶。
【請求項9】
前記船舶は、鉱石を輸送するための運送船である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項10】
前記タンクは、前記上甲板の上にある上部と、前記上甲板の下にある下部とを有する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項11】
前記船舶は、ツインスケグ船である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項12】
前記船舶は、シングルスケグ船である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項13】
前記タンクは、前記船舶のエンジンルームに埋め込まれる、
請求項1から12のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項14】
前記タンクは、前記タンクの最長寸法が前記船舶の横方向を向くように横方向に設置される、
請求項1から13のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項15】
前記船舶は、補助動力として1つ以上のアンモニア燃料電池を含む、
請求項1から14のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項16】
主エンジン、及び1つ以上の補助エンジンからの熱回収を含む排気ガスボイラーを有する、
請求項1から15のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項17】
前記船舶は、電力を供給するためのバッテリーエネルギー貯蔵システムを含む、
請求項1から16のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項18】
前記船舶は、高電圧陸上電力システムを含む、
請求項1から17のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項19】
前記高電圧陸上電力システムは、6.6kVの陸上電力システムである、
請求項18に記載の船舶。
【請求項20】
前記船舶は、船上排出物監視システムを含む、
請求項1から19のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項21】
前記船上排出物監視システムは、二酸化炭素、NOx、SOx、及び/又はメタンを監視するためのものである、
請求項20に記載の船舶。
【請求項22】
前記船上排出物監視システムは、排出物が所定のレベルを超えた場合に作動する警報を有する、
請求項20又は請求項21に記載の船舶。
【請求項23】
1つ以上の二軸スクリューエンジンを含む、
請求項1から22のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項24】
シャフトジェネレータを含む、
請求項1から23のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項25】
前記シャフトジェネレータは、動力取出/動力取込(PTO/PTI)技術を有する、
請求項24に記載の船舶。
【請求項26】
前記シャフトジェネレータは、前記船舶の主エンジンから動力を生成する、
請求項25に記載の船舶。
【請求項27】
前記収納構造は、収納ブロックの形態である、
請求項1から26のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項28】
前記船舶は、9つの貨物倉を含む、
請求項1から27のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項29】
船体と、
上甲板と、
前記上甲板の上に延在する収納構造と、
燃料としてアンモニアを用いて動力を供給する推進システムと、
前記推進システムに供給するためのアンモニアを貯蔵するタンクと、
を備える、船舶。
【請求項30】
前記タンクは、前記収納構造の後方に設置される、
請求項29に記載の船舶。
【請求項31】
前記タンクは、前記収納構造の下方、右舷、左舷、又は前方に設置される、
請求項29に記載の船舶。
【請求項32】
前記タンクは、前記甲板内に埋め込まれている、
請求項29から31のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項33】
前記タンクは、前記甲板上に固定される、
請求項29から31のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項34】
バルク品を輸送するための船舶であって、前記船舶は、
船体と、
上甲板と、
前記上甲板の上に延在する収納構造と、
燃料としてアンモニアを用いて動力を供給する推進システムと、
前記推進システムに供給するためのアンモニアを貯蔵するように構成されたタンクと、
を含み、
前記タンクは、前記収納構造の後方に設置され、前記上甲板の上にある上部及び前記上甲板の下にある下部を含む、船舶。
【請求項35】
前記タンクは、前記収納構造の完全に後方に設置される、
請求項34に記載の船舶。
【請求項36】
バルク品を輸送するための船舶であって、前記船舶は、
燃料としてアンモニアを用いて動力を供給する推進システムと、
前記燃料を貯蔵するように構成されたタンクと、
を含み、
前記タンクは、前記船舶の後端に設置され、前記船舶の上甲板を通って船体まで伸びており、それによって前記船舶が必要とするバラスト水の量を削減させるバラストとして機能する、船舶。
【請求項37】
前記タンクは、その耐久性を高めるために複数の補強板を備える、
請求項34から36のいずれか1項に記載の船舶。
【請求項38】
前記タンクは、前記船舶のエンジンルーム内に少なくとも部分的に埋め込まれている、
請求項34から37のいずれか1項に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関し、より具体的には、アンモニアを動力源とする船舶に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
バルク品輸送船によってバルク品を国際的に輸送することが知られている。
【0003】
本出願人は、既存のバルク品輸送船が通常、ディーゼル、船舶用軽油、バンカー油、及び/又はその他の再生不可能な燃料によって動力が供給されていることを確認した。特に大型船は、汚染性が高く、健康リスクが指摘されているバンカー油のような低品質燃料油で運航されることが多いため、エンジンの稼働による大気汚染は、バルク品輸送船にとって深刻な懸念事項である。
【0004】
本出願人は、そのような船舶が再生可能燃料を動力源とすることが有利であることを確認した。しかしながら、本出願人は、再生可能燃料を動力源とする適切な船舶を開発する際、特に、適切な航続距離を与えるのに十分な燃料を供給する際、及び必要な部品を収納するために船舶の大きさに合わせて梱包する際に、困難に直面した。
【0005】
本発明の例は、既存の船舶の1つ以上の欠点を取り除く、又は少なくとも軽減する、改良されたバルク品輸送船を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、船体と、上甲板と、前記上甲板の上に延在する収納構造と、燃料としてアンモニアを用いて動力を供給する推進システムと、前記推進システムに供給するためのアンモニアを貯蔵するタンクと、を備え、前記タンクは、収納構造の後方に配置される船舶が提供される。
【0007】
好ましくは、前記タンクは、前記収納構造の完全に後方に設置される。
【0008】
好ましくは、前記タンクは、5,000m以上の容量を有する。より好ましくは、前記タンクは、10,000m以上の容量を有する。さらにより好ましくは、前記タンクは、約11,000m、又は12,500mの容量を有する。
【0009】
好ましい形態では、前記船舶は、バルク品を輸送するための運送船である。より好ましくは、前記船舶は、ドライバルク品を輸送するための運送船である。あるいは、前記船舶は、ウェットバルク品を輸送するための運送船である。一形態では、前記船舶は、鉱石を輸送するための運送船である。
【0010】
好ましくは、前記タンクは、上甲板の上にある上部と、上甲板の下にある下部とを有する。
【0011】
一形態では、前記船舶は、ツインスケグ船である。
【0012】
別の形態では、前記船舶は、シングルスケグ船である。
【0013】
好ましくは、前記タンクは、前記船舶のエンジンルームに埋め込まれている。
【0014】
前記タンクは、前記タンクの最長寸法が前記船舶の横方向を向くように横方向に設置されてもよい。
【0015】
一形態では、前記船舶は、補助動力として1つ以上のアンモニア燃料電池を含む。
【0016】
前記船舶は、主エンジン及び1つ以上の補助エンジンからの熱回収を含む排気ガスボイラーを有していてもよい。
【0017】
好ましくは、前記船舶は、電力を供給するためのバッテリーエネルギー貯蔵システムを含む。
【0018】
好ましい形態では、前記船舶は、高電圧陸上電力システムを含む。より好ましくは、前記高電圧陸上電力システムは、6.6kVの陸上電力システムである。
【0019】
好ましくは、前記船舶は、船上排出物監視システムを含む。より好ましくは、前記船上排出物監視システムは、二酸化炭素、NOx、SOx、及び/又はメタンを監視するためのものである。さらにより好ましくは、前記船上排出物監視システムは、排出物が所定のレベルを超えた場合に作動する警報を有する。
【0020】
前記船舶には、1つ以上の二軸スクリューエンジンが含まれてもよい。
【0021】
好ましくは、前記船舶は、シャフトジェネレータを含む。より好ましくは、前記シャフトジェネレータは、動力取出/動力取入(PTO/PTI)技術を有する。さらにより好ましくは、前記シャフトジェネレータは、前記船舶の主エンジンから動力を生成する。
【0022】
好ましい形態では、前記収納構造は、収納ブロックの形態である。
【0023】
好ましくは、前記船舶は、9つの貨物倉を含む。
【0024】
本発明の別の態様によれば、船体と、上甲板と、前記上甲板の上に延在する収納構造と、燃料としてアンモニアを用いて動力を供給する推進システムと、前記推進システムに供給するためのアンモニアを貯蔵するタンクと、を備える船舶が提供される。
【0025】
好ましくは、前記タンクは、前記収納構造の後方に配置される。
【0026】
前記タンクは、前記収納構造の下部、右舷、左舷、又は前方に配置されてもよい。
【0027】
好ましくは、前記タンクは、前記甲板内に埋め込まれる。
【0028】
あるいは、前記タンクは前記甲板上に固定される。
【0029】
本発明の別の態様によれば、バルク品を輸送するための船舶であって、前記船舶は、船体と、上甲板と、前記上甲板の上に延在する収納構造と、燃料としてアンモニアを用いて動力を供給する推進システムと、前記推進システムに供給するためのアンモニアを貯蔵するように構成されたタンクと、を含み、前記タンクは、前記収納構造の後方に設置され、前記上甲板の上にある上部、及び前記上甲板の下にある下部を含む船舶が提供される。
【0030】
好ましくは、前記タンクは、前記収納構造の完全に後方に設置される。
【0031】
本発明の別の態様によれば、バルク品を輸送するための船舶であって、前記船舶は、燃料としてアンモニアによって動力とする推進システムと、前記燃料を貯蔵するように構成されたタンクと、を含み、前記タンクは、前記船舶の後端に設置され、前記船舶の上甲板を通って船体まで延びており、それによって前記船舶が必要とするバラスト水の量を削減させるバラストとして機能する、船舶が提供される。
【0032】
好ましくは、前記タンクは、その耐久性を高めるために複数の補強板を備える。
【0033】
好ましい形態では、前記タンクは、前記船舶のエンジンルーム内に少なくとも部分的に埋め込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の好ましい実施形態を、非限定的な例として添付の図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1図1は、本発明の一例による船舶の斜視図である。
図2図2は、図1の船舶の背面斜視図である。
図3図3は、図1の船舶の側面図である。
図4図4は、図1の船舶の上面、側面、及び底面の透視図である。
図5図5は、本発明の別の例の船舶の斜視図である。
図6図6は、図5の船舶の背面斜視図である。
図7図7は、図5の船舶の側面図である。
図8図8は、図5の船舶の上面、側面、及び底面の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1から図8を参照して、本出願人は、バルク品の輸送用の船舶であって、船舶は、アンモニア燃料を動力源とし、また、船舶が航行距離において有効な範囲を有することを可能にするのに十分なアンモニアを収容するための燃料タンクを備える船舶を有することが有利であると確認した。本出願人は本発明をなし、また、シングルスケグ形式のニューキャッスルマックス船舶、ツインスケグ形式のニューキャッスルマックス船舶、シングルスケグ形式の超大型鉱石専用船(VLOC)船舶(図面には示されていない)、及びツインスケグ形式の超大型鉱石専用船(VLOC)船舶(図面には示されていない)に関する実施例の概念で本発明を具体化した。
【0037】
図1~4はシングルスケグ形式のニューキャッスルマックス船舶の実施例を示し、また、図5~8はツインスケグ形式のニューキャッスルマックス船舶の実施例を示す。
【0038】
図1から図4を参照すると、船体12、上甲板14、及び上甲板14の上に延びる収納構造16を含む船舶10が与えられている。船舶10はまた、燃料としてアンモニアを動力源とする推進システム18と、推進システム18に供給するためのアンモニアを貯蔵するタンク20とを含む。タンク20は、収納構造16の後方に設置される。一形態では、アンモニアタンク20は、タンク20の高さの約60%が上甲板14よりも上にあり、タンク20の高さの約40%が上甲板14よりも下にあるように延在してもよい。また、1つの特定の実施例において、タンク20の前底端は面取りされていてもよい。タンク20のこの面取りによって、船舶10のエンジンルームの実装を容易にできる。上甲板14の下にある収納構造16の底部は、アンモニアタンク20に支持を与えるように、対応する角度で外側に向かって先細りにされていてもよい。このようにして、収納構造16の後部の最下部は、アンモニアタンク20の最前部の壁の後ろに延在していてもよい。
【0039】
一実施例において、タンク20は、収容構造16の完全に後方に配置されてもよい。タンク20は、5,000m以上の容量を有していてもよい。より具体的には、より長い航続距離が望まれる場合、タンク20は10,000m以上の容量を有してもよい。より好ましい本発明の実施例では、タンク20は約11,000m、又は12,500mの容量を有する。タンク20は、船舶10に約16,000海里の航続距離を与え、これは例えば、オーストラリアと中国との間の2往復をまかなうことができる。これは、他の目的地への移動を容易にする場合や、比較的安価な場所での給油を利用することで最も経済的な方法で給油を行う場合に特に有用であると考えられる。ベースとなる船舶の具体的なモデルは様々であり、また、非限定的な例として、ニューキャッスルマックス(図面に示す)又はVLOC(超大型鉱石運搬船)であってもよい。
【0040】
実施例では、船舶10は、バルク品を輸送するための運送船である。船舶10は、乾燥バルク品を輸送するための運送船であってもよい。あるいは、船舶10は、ウェットバルク品を輸送するための運送船であってもよい。一形態では、船舶10は、鉱石を輸送するための運送船であってもよい。
【0041】
図4を見れば明らかであるが、タンク20は、上甲板14の上にある上部22と、上甲板14の下にある下部24とを有する。図1から図4で示される実施例では、船舶10はシングルスケグ船舶である。
【0042】
別の形態(図5~8を参照)では、船舶10はツインスケグ船舶である。
【0043】
図4の側面図を参照すると、タンク20は、船舶10のエンジンルーム26内に格納されていてもよい。
【0044】
図4の上面図を見れば明らかであるが、タンク20は、タンク20の最長寸法が船舶10の横方向を向くように横方向に設置されてもよい。
【0045】
船舶10は、補助電力として1つ以上のアンモニア燃料電池を含んでいてもよい。
【0046】
船舶10は、主エンジン及び1つ以上の補助エンジンからの熱回収を含む排気ガスボイラーを有していてもよい。
【0047】
船舶10は、電力を供給するためのバッテリーエネルギー貯蔵システムを含んでいてもよい。
【0048】
一形態では、船舶10は高電圧陸上電力システムを含む。高電圧陸上電力システムは、6.6kVの陸上電力システムの形態であってもよい。
【0049】
船舶は、船上排出物監視システムを含んでいてもよい。船上排出物監視システムは、二酸化炭素、NOx、SOx、及び/又はメタン排出物を監視するように構成されていてもよい。特に、船上排出物監視システムは、排出物が所定のレベルを超えた場合に作動する警報を有していてもよい。
【0050】
船舶10は、1つ以上の二軸スクリューエンジンを含んでいてもよい。
【0051】
一形態では、船舶10はシャフトジェネレータを含む。シャフトジェネレータには、動力取出/動力取込(PTO/PTI)技術が搭載されていてもよい。シャフトジェネレータは、船舶10の主エンジン28から動力を生成するように構成されてもよい。
【0052】
シングルスケグ形式(図1図4参照)では、主エンジン28は、アンモニアを主燃料として使用する2ストローク式主エンジンの形態であってもよい。1つの特定の実施例では、主エンジン28は、72rpmで約17,000kWの定格出力を有していてもよい。エンジン28は、アンモニアでも船舶用軽油(MGO)でも作動できるデュアル燃料エンジンであってもよい。アンモニアの1日あたりの燃料消費量は約132トンであるのに対し、船舶用軽油の1日あたりの燃料消費量は約60トンであると考えられる。
【0053】
ツインスケグ形式(図5から図8を参照)では、推進は、それぞれが主燃料源としてアンモニアを使用する2つの主エンジン28を含んでいてもよい。エンジン28のそれぞれは、約8350kWから9800kWの定格出力を有してもよい。アンモニアの1日の消費量は約130~150トンであるのに対し、船舶用軽油の1日の燃料消費量は約57~67トンであると考えられる。ツインスケグの存在により、操縦性、推進効率、安全性が向上することが期待される。操縦性の向上は、特定の港に接岸するときに特に有利となると考えられる。
【0054】
実施例の形態では、収納構造16はデッキハウスの形態であってもよい。より具体的には、収納構造16は収納ブロックの形態であってもよい。
【0055】
船舶10は、複数の貨物倉30からなる貨物エリアを含んでもよい。例えば、ニューキャッスルマックス形式では、船舶10は9つの貨物倉30を含むことができるが、VLOC形式では、船舶10は7つの貨物倉を含むことができる。船舶10は、穀物、鉄鉱石、石炭、ボーキサイト、及び/又は他の製品などの乾燥バルク貨物を運ぶのに適していると考えられる。一形態では、貨物倉の総容積は約230,000mであってもよい。有利な点は、貨物容積が大きく複数の貨物倉があることにより、積載に柔軟性が与えられることである。
【0056】
船舶10は、電力供給を生成用の複数の補助エンジンを有していてもよい。発電用のエンジンは、主燃料としてアンモニアを使用してもよく、また、副燃料として低硫黄船舶用軽油で継続的に運転することもできてもよい。それぞれの発電用のエンジンは、約720rpmの速度で約1400kWの出力を有してもよい。
【0057】
アンモニアタンクの構造
アンモニアタンク20はスチール製であってもよい。スチール材のグレードは、アンモニア貯蔵温度であるマイナス33℃に適合するように選択される。タンク20は、横方向のウェブフレームによって支持された縦方向に強化されたプレートから構成されてもよい。適切な耐久性を保証するために、独自の設計が組み込まれてもよい。
【0058】
アンモニアタンク20は第2のバリアで囲まれていてもよい。第2のバリア、及びタンク接続スペースを除く他のすべてのスペースの間に、コファダム形式の囲いが設けられてもよい。第2のバリア及びコファダムは、横方向のウェブによって支持された縦方向に強化されたスチールプレート構造を組み込んでいてもよい。
【0059】
画期的な進歩
本出願人は、船舶の設計において、以下を含むがこれらに限定されない多くの画期的な進歩を遂げた。
1. 浅い喫水と広いビーム。
2. 例えばポートヘッドランドのような特定の港で、操縦性の安全性を支援するツインスケグ。
3. エンジンルーム内に埋め込まれ、収納ブロックの後部に横方向に配置されたアンモニアA型タンク。
4. 液化天然ガス(LNG)とのブリッジはない。
5. 詳細設計段階でB型タンクに実施される耐久性を考慮して選定されたA型タンク。
6. たるみを軽減するための7ホールド7ハッチの超大型鉱石専用船(VLOC)。
7. 積載時の荷物の広がりが考慮された、ハッチカバーの開口部のサイズの拡大。
8. エネルギー効率設計指標(EEDI)フェーズ3のベースラインを86%下回るエネルギー効率設計指標。
9. 空気力学的収納ブロックの形態である収納構造16。
10. アンモニア燃料電池用のスペース確保。
11. 85%負荷時に2台の補助エンジンからの熱回収のための追加部分を備えた排気ガスボイラー。
12. 大気中に放出されるアンモニアの潜在的な毒性に対処するための追加の安全機能。
13. 可変周波数ドライブの設置。
14. サイクル寿命の長い約850kWhのバッテリーエネルギー貯蔵システム。
15. 高電圧陸上電力システム。
16. 船上排出物監視システム。
17. エンジンの小型化により二軸スクリューエンジンによる燃料消費量を削減し、比較的低いエネルギー消費で推進力を最大限に高める。
18. シャフトジェネレータは、動力取出/動力取入(PTO/PTI)技術を有する。
【0060】
上記から理解されるように、本出願人は、適切な船舶を設計する際に多くの困難に取り組んだ。例えば、比較的大きなアンモニアタンクを収容するために船舶を適合させるのは困難であった。本出願人は、大型のアンモニア燃料タンクが船体中央の収容スペースの前方に配置された場合、船舶の貨物積載能力を失うことになると認識していた。
【0061】
設計中に直面したその他の困難は以下のとおりである。
1. 2往復の航海を完遂するための船舶の耐久性。
2. タンク内の燃料のスロッシング。
3. 船舶の耐久性を得るためのタンクの高さによる視界の制限。
4. ムアリングウインチ及びエンジンルーム内の機器の移設。
5. 主エンジンのメンテナンスの高さ制限。
6. タンク20の重量及びタンク20の構造強度。
7. 緊急時の救命ボートへの経路、その他の安全対策の実施。
【0062】
有利なことに、本出願人は、既存の液化天然ガス(LNG)設備からのブリッジング技術に頼るのではなく、アンモニア推進船として直接船舶10を設計することが有益であることを明らかにした。
【0063】
アンモニアを燃料として使用するための規則が、どの旗国、及び/又は船級協会によっても確立されていないため、本発明者らは、アンモニアを燃料として安全に使用するための船舶の適切なレイアウトを設計するために、創意工夫を凝らす必要があった。
【0064】
同等の航行条件では、大まかに言えば、本発明の一例による船舶10は、既存の船舶において必要とされる量と比較して約20,000m少ないバラスト水を使用できると考えられる。
【0065】
本発明の様々な実施形態を上記で説明したが、それらは例としてのみ提示されたものであり、これらに限定するものではないことを理解されたい。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細にさまざまな変更を加えることが可能であることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0066】
この明細書における先行文献(又はそこから得られた情報)又は公知事項への言及は、その先行文献(又はそこから得られた情報)又は公知事項が、本明細書に関連する技術分野における一般的な知識の一部を形成していることを認定、又は容認するものではなく、また、示唆するものでもない。
【符号の説明】
【0067】
10 船舶
12 船体
14 上甲板
16 収納構造
18 推進システム
20 タンク
22 上部
24 下部
26 エンジンルーム
28 主エンジン
30 貨物倉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】