(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】スピーカー及び巻取り可能な電子機器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20240820BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H04R1/02 101D
H04R1/02 101B
H04R1/28 310C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575681
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2022111791
(87)【国際公開番号】W WO2024021169
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】202221939666.X
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】楊虎虎
(72)【発明者】
【氏名】魏威
(72)【発明者】
【氏名】印兆宇
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AD17
(57)【要約】
【課題】本発明は、スピーカー及びこのスピーカーを備える巻取り可能な電子機器を提供する。
【解決手段】このスピーカーは、ハウジング、スピーカーユニット及びインバータチューブを備え、ハウジングには、収納チャンバが設けられ、収納チャンバの第1側壁には、第1放音孔が設けられ、第2側壁には、導通孔が設けられ、第1側壁は第2側壁に接続され、スピーカーユニットは、収納チャンバ内に設けられ、インバータチューブは、ハウジングの外に位置し、かつ第2側壁に接続され、インバータチューブは、第2側壁の長手方向に沿って延び、インバータチューブには、反転チャネル及び反転チャネルに連通する第2放音孔が設けられ、反転チャネルが導通孔を介して収納チャンバに連通し、第2放音孔は、第1放音孔の存在する側に向かい、または第1放音孔の存在する側から離れ、ンバータチューブは、インバータチューブを閉塞状態または導通状態とするように、第2側壁に近づく方向に沿って圧縮され、または第2側壁から離れる方向に沿って引張されることができる。このように設置することで、インバータチューブが引張されたり圧縮されたりすることにより、より良好な音響体験を実現できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(1)、スピーカーユニット(2)及びインバータチューブ(3)を備え、
前記ハウジング(1)には、収納チャンバ(11)が設けられており、前記収納チャンバ(11)の第1側壁(12)には、第1放音孔(121)が設けられており、前記収納チャンバ(11)の第2側壁(13)には、導通孔(13)が設けられており、前記第1側壁(12)は前記第2側壁(13)に接続され、
前記スピーカーユニット(2)は、前記収納チャンバ(11)内に設けられ、音波を発することができ、
前記インバータチューブ(3)は、前記ハウジング(1)の外に位置し、かつ前記第2側壁(13)に接続され、前記インバータチューブ(3)は、前記第2側壁(13)の長手方向(X)に沿って延び、前記インバータチューブ(3)には、反転チャネル(31)及び前記反転チャネル(31)に連通する第2放音孔(32)が設けられており、前記反転チャネル(31)が前記導通孔(13)を介して前記収納チャンバ(11)に連通し、前記第2放音孔(32)は、前記第1放音孔(121)の存在する側に向かい、または前記第1放音孔(121)の存在する側から離れており、
ここで、前記インバータチューブ(3)は、前記インバータチューブ(3)を閉塞状態または導通状態とするように、前記第2側壁(13)に近づく方向に沿って圧縮され、または前記第2側壁(13)から離れる方向に沿って引張されることができる、
ことを特徴とするスピーカー。
【請求項2】
前記インバータチューブ(3)の長手方向(X)に沿って、前記インバータチューブ(3)は、対向して設けられた第3側壁(33)と第4側壁(34)とを有し、前記第3側壁(33)は、前記第4側壁(34)よりも前記第1放音孔(121)に近接しており、
前記インバータチューブ(3)には、1つまたは複数の反転チャネル(31)が設けられており、前記インバータチューブ(3)に1つの前記反転チャネル(31)が設けられている場合、前記第2放音孔(32)は前記第3側壁(33)に設けられ、
前記インバータチューブ(3)に複数の前記反転チャネル(31)が設けられている場合、前記収納チャンバ(11)に隣接する前記反転チャネル(31)は、前記導通孔(131)を介して前記収納チャンバ(11)に連通しており、前記第2側壁(13)から遠ざかる方向において、最も外側に位置する前記反転チャネル(31)が前記第2放音孔(32)を介して外部に連通し、隣接する前記反転チャネル(31)が仕切板(35)によって仕切られ、前記仕切板(35)は、N個の第1仕切板(351)とM個の第2仕切板(352)と、を含み、ここで、N≧1、M≧0であり、前記第2側壁(13)から遠ざかる方向において、前記第1仕切板(351)と前記第2仕切板(352)とが順次交互に間隔をあけて設置されており、前記第1仕切板(351)は、その一端が前記第4側壁(34)に接続され、他端が前記第3側壁(33)と間隔を有し、前記第2仕切板(352)は、その一端が前記第3側壁(33)に接続され、他端が前記第4側壁(34)と間隔を有し、
ここで、N+M=Kであり、Kが奇数の場合、前記第2放音孔(32)は前記第4側壁(34)に設けられ、Kが偶数の場合、前記第2放音孔(32)が前記第3側壁(33)に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項3】
前記仕切板(35)は、前記第2側壁(13)の長手方向(X)に沿って延びている、
ことを特徴とする請求項2に記載のスピーカー。
【請求項4】
前記インバータチューブ(3)には、前記反転チャネル(31)に連通する連通孔(36)が設けられており、前記連通孔(36)は、前記インバータチューブ(3)と前記第2側壁(13)とが接続される箇所に設けられ、前記第2側壁(13)に垂直な方向において、前記反転チャネル(31)と前記収納チャンバ(11)とを連通させるように、前記連通孔(36)の投影が前記導通孔(131)の投影の少なくとも一部と重なっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項5】
前記第2側壁(13)の長さをL1とし、前記インバータチューブ(3)の長さをL2とし、L1=L2である、
ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項6】
前記インバータチューブ(3)は角管である、
ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項7】
前記第1側壁(12)には突出部(122)が設けられ、前記突出部(122)は前記収納チャンバ(11)の外へ突出しており、前記第1放音孔(121)が前記突出部(122)を貫通し、前記突出部(122)における前記収納チャンバ(11)から離れた側には、前記ハウジング(1)の高さ方向(Z)に対して傾斜する斜面(122a)が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項8】
前記第1放音孔(121)は、前記ハウジング(1)の高さ方向(Z)に沿って、間隔をあけて設けられた第1壁面(121a)と第2壁面(121b)とを有し、前記第1壁面(121a)及び前記第2壁面(121b)は、いずれも前記ハウジング(1)の頂壁面(14)に対して傾斜して設けられ、かつ、前記第1放音孔(121)が前記収納チャンバ(11)から離れる方向に沿って、前記第1壁面(121a)と前期第2壁面(121b)との間の距離が徐々に大きくなっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
【請求項9】
前記収納チャンバ(11)内には、前記スピーカーユニット(2)を取り付けて位置決めするための第1位置決め階段(15)が設けられており、
前記第1側壁(12)の長手方向(Y)に沿って、前記第1放音孔(121)は、対向して設置された第1壁体(121c)と第2壁体(121d)とを有し、前記第1位置決め階段(15)の一部を形成するように、前記第1壁体(121c)と前記第2壁体(121d)はいずれも前記収納チャンバ(11)内に延伸する、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のスピーカー。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のスピーカーと、
前記ハウジング(1)が取り付けられる固定部分と、
前記固定部分に巻取り収納され、または前記固定部分の外に引き出されることができる巻取り部分と、を備え、
前記インバータチューブ(3)は、前記巻取り部分に接続され、
前記インバータチューブ(3)を閉塞状態とするように、前記インバータチューブ(3)は、前記巻取り部分が前記固定部分に巻取り収納される過程で、前記巻取り部分によって動かされ、前記第2側壁(13)に近づく方向に沿って圧縮されることができ、
前記インバータチューブ(3)を導通状態とするように、前記インバータチューブ(3)は、前記巻取り部分が前記固定部分の外に引き出される過程で、前記巻取り部分によって動かされ、前記第2側壁(13)から離れる方向に沿って引張されることができる、
ことを特徴とする巻取り可能な電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子製品の技術分野に関し、特に、スピーカー及び巻取り可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の放送機能は、一般的にスピーカー構造により実現され、例えば、携帯電話や電子リーダ内にスピーカーが設けられている。従来のスピーカーは、音孔が固定されて音響性能も一定になっていたが、このようなスピーカーをリールタイプ(折りたたみ式)携帯電話やリールタイプ電子リーダなどの製品に適用した場合、ユーザがリール部を引き出して使用すると、電子製品の既存の体積が大きくなってしまうが、スピーカーの音響性能が一定で変更ないため、ユーザの音響体験に影響する。
【0003】
そのため、上記の技術的課題を解決するための新たなスピーカーを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、インバータチューブが引張されたり圧縮されたりすることができ、これによって、スピーカーの音響性能を変えることができ、さらに巻取り可能な電子機器がより良好な音響体験を実現するのに有利であるスピーカー及び巻取り可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術案は、以下の通りである。
【0006】
第1態様では、本発明によるスピーカーは、ハウジング、スピーカーユニット及びインバータチューブを備え、前記ハウジングには、収納チャンバが設けられており、前記収納チャンバの第1側壁には、第1放音孔が設けられており、前記収納チャンバの第2側壁には、導通孔が設けられており、前記第1側壁は前記第2側壁に接続され、前記スピーカーユニットは、前記収納チャンバ内に設けられ、音波を発することができ、前記インバータチューブは、前記ハウジングの外に位置し、かつ前記第2側壁に接続され、前記インバータチューブは、前記第2側壁の長手方向に沿って延び、前記インバータチューブには、反転チャネル及び前記反転チャネルに連通する第2放音孔が設けられており、前記反転チャネルが前記導通孔を介して前記収納チャンバに連通し、前記第2放音孔は、前記第1放音孔の存在する側に向かい、または前記第1放音孔の存在する側から離れており、ここで、前記インバータチューブは、前記インバータチューブを閉塞状態または導通状態とするように、前記第2側壁に近づく方向に沿って圧縮され、または前記第2側壁から離れる方向に沿って引張されることができる。
【0007】
一つの可能な設計において、前記インバータチューブの長手方向に沿って、前記インバータチューブは、対向して設けられた第3側壁と第4側壁とを有し、前記第3側壁は、前記第4側壁よりも前記第1放音孔に近接しており、
前記インバータチューブには、1つまたは複数の反転チャネルが設けられており、前記インバータチューブに1つの前記反転チャネルが設けられている場合、前記第2放音孔は前記第3側壁に設けられ、
前記インバータチューブに複数の前記反転チャネルが設けられている場合、前記収納チャンバに隣接する前記反転チャネルは、前記導通孔を介して前記収納チャンバに連通しており、前記第2側壁から遠ざかる方向において、最も外側に位置する前記反転チャネルが前記第2放音孔を介して外部に連通し、隣接する前記反転チャネルが仕切板によって仕切られ、前記仕切板は、N個の第1仕切板とM個の第2仕切板と、を含み、ここで、N≧1、M≧0であり、前記第2側壁から遠ざかる方向において、前記第1仕切板と前記第2仕切板とが順次交互に間隔をあけて設置されており、前記第1仕切板は、その一端が前記第4側壁に接続され、他端が前記第3側壁と間隔を有し、前記第2仕切板は、その一端が前記第3側壁に接続され、他端が前記第4側壁と間隔を有し、
ここで、N+M=Kであり、Kが奇数の場合、前記第2放音孔は前記第4側壁に設けられ、Kが偶数の場合、前記第2放音孔が前記第3側壁に設けられている。
【0008】
一つの可能な設計において、前記仕切板は、前記第2側壁の長手方向に沿って延びている。
【0009】
一つの可能な設計において、前記インバータチューブには、前記反転チャネルに連通する連通孔が設けられており、前記連通孔は、前記インバータチューブと前記第2側壁とが接続される箇所に設けられ、前記第2側壁に垂直な方向において、前記反転チャネルと前記収納チャンバとを連通させるように、前記連通孔の投影が前記導通孔の投影の少なくとも一部と重なっており、前記第3側壁の内壁の一部と前記第4側壁の内壁の一部とは、それぞれ、前記インバータチューブの長手方向における前記連通孔の両側内壁を形成する。
【0010】
一つの可能な設計において、前記第2側壁の長さをL1とし、前記インバータチューブの長さをL2とし、L1=L2である。
【0011】
一つの可能な設計において、前記インバータチューブは角管である。
【0012】
一つの可能な設計において、前記第1側壁には突出部が設けられ、前記突出部は前記収納チャンバの外へ突出しており、前記第1放音孔が前記突出部を貫通し、前記突出部における前記収納チャンバから離れた側には、前記ハウジングの高さ方向に対して傾斜する斜面が設けられている。
【0013】
一つの可能な設計において、前記第1放音孔は、前記ハウジングの高さ方向に沿って、間隔をあけて設けられた第1壁面と第2壁面とを有し、前記第1壁面及び前記第2壁面は、いずれも前記ハウジングの頂壁面に対して傾斜して設けられ、かつ、前記第1放音孔が前記収納チャンバから離れる方向に沿って、前記第1壁面と前期第2壁面との間の距離が徐々に大きくなっている。
【0014】
一つの可能な設計において、前記収納チャンバ内には、前記スピーカーユニットを取り付けて位置決めするための第1位置決め階段が設けられており、
前記第1側壁の長手方向に沿って、前記第1放音孔は、対向して設置された第1壁体と第2壁体とを有し、前記第1位置決め階段の一部を形成するように、前記第1壁体と前記第2壁体はいずれも前記収納チャンバ内に延伸する。
【0015】
第2態様では、本発明による巻取り可能な電子機器は、上述したスピーカーと、前記ハウジングが取り付けられる固定部分と、前記固定部分に巻取り収納され、または前記固定部分の外に引き出されることができる巻取り部分と、を備え、前記インバータチューブは、前記巻取り部分に接続され、前記インバータチューブを閉塞状態とするように、前記インバータチューブは、前記巻取り部分が前記固定部分に巻取り収納される過程で、前記巻取り部分によって動かされ、前記第2側壁に近づく方向に沿って圧縮されることができ、前記インバータチューブを導通状態とするように、前記インバータチューブは、前記巻取り部分が前記固定部分の外に引き出される過程で、前記巻取り部分によって動かされ、前記第2側壁から離れる方向に沿って引張されることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
【0017】
本発明によって提供されるスピーカー及び巻取り可能な電子機器では、このスピーカーは、ハウジング、スピーカーユニット及びインバータチューブを備え、スピーカーユニットは、ハウジング内に取り付けられ、ハウジングは互いに接続された第1側壁と第2側壁とを含み、第1側壁には、第1放音孔が設けられ、第2側壁には、導通孔が設けられ、インバータチューブは、第2側壁に接続され、かつ第2側壁の長手方向に沿って延び、インバータチューブには、反転チャネル及び前記反転チャネルに連通する第2放音孔が設けられ、反転チャネルが導通孔を介して収納チャンバに連通し、第2放音孔は、第1放音孔の存在する側に向かい、または第1放音孔の存在する側から離れ、インバータチューブは、インバータチューブを導通状態とするように、第2側壁から離れる方向に沿って引張されることができ、インバータチューブを閉塞状態とするように、第2側壁に近づく方向に沿って圧縮されることができ、第2放音孔が第1放音孔の存在する側に向かう場合、第2放音孔から伝搬した音波と第1放音孔から伝搬した音波は、ハウジングの同じ側に向かって外部に伝搬することができ、さらに音波の位相の反転を実現し、位相反転型スピーカーを形成し、低周波数特性を増加した。第2放音孔が第1放音孔の存在する側から離れる場合、第2放音孔から伝搬した音波と第1放音孔から伝搬した音波は、それぞれハウジングの対向する両側に向かって外部に伝搬することができ、対称ステレオ音響を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明によるスピーカーの一つの具体的な実施例における構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の底面図であり、ここで、インバータチューブが閉塞状態にある。
【
図3】
図3は、
図1の1つの具体的な実施例における正面図であり、ここで、インバータチューブは導通状態にあり、かつ1つの反転チャネルを有する。
【
図5】
図5は、
図1の別の具体的な実施例における正面図であり、ここで、インバータチューブは導通状態にあり、かつ2つの反転チャネルを有する。
【
図7】
図7は、
図1の別の具体的な実施例における正面図であり、ここで、インバータチューブは導通状態にあり、かつ3つの反転チャネルを有する。
【
図9】
図9は、
図1におけるインバータチューブの1つの具体的な実施例における構成を示す図である。
【
図11】
図11は、
図1の底面図であり、ここで、インバータチューブが導通状態にある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面および実施形態に基づいて本発明をさらに説明する。
【0020】
本実施例は、スピーカー及びこのスピーカーを備える巻取り可能な電子機器を提供し、スピーカーは、電気信号を音響信号に変換するトランスデューサであり、このような巻取り可能な電子機器は、リールタイプ(折りたたみ式)携帯電話、リールタイプ電子リーダなどであってもよい。
【0021】
図1~
図8に示すように、このスピーカーは、ハウジング1、スピーカーユニット2及びインバータチューブ3を備え、ハウジング1には、収納チャンバ11が設けられており、収納チャンバ11の第1側壁12には、第1放音孔121が設けられており、収納チャンバ11の第2側壁13には、導通孔13が設けられており、第1側壁12は第2側壁13に接続され、スピーカーユニット2は収納チャンバ11内に設けられ、音波を発することができ、インバータチューブ3は、ハウジング1の外に位置し、インバータチューブ3は、第2側壁13に接続され、かつ第2側壁13の長手方向Xに沿って延び、インバータチューブ3には、反転チャネル31及び反転チャネル31に連通する第2放音孔32が設けられており、反転チャネル31が導通孔13を介して収納チャンバ11に連通し、第2放音孔32は、第1放音孔121の存在する側に向かい、または第1放音孔121の存在する側から離れており、ここで、インバータチューブ3は、インバータチューブ3を閉塞状態または導通状態とするように、第2側壁13に近づく方向に沿って圧縮され、または第2側壁13から離れる方向に沿って引張されることができる。
【0022】
スピーカーユニット2が動作し、かつインバータチューブ3が導通状態となるように第2側壁13から離れる方向に沿って引張されると、スピーカーユニット2は音波を発することができ、音波は第1放音孔121を通じてハウジング1の外部へ伝搬し、音波は導通孔131を通じて反転チャネル31内に入り込むことも可能となり、インバータチューブ3の第2放音孔32が第1放音孔121の存在する側に向かう場合、第2放音孔32から伝搬した音波と第1放音孔121から伝搬した音波は、ハウジング1の同じ側に向かって外部に伝搬することができ、さらに音波の位相の反転を実現し、位相反転型スピーカーを形成し、低周波数特性を増加した。インバータチューブ3の第2放音孔32が第1放音孔121の存在する側から離れる場合、第2放音孔32から伝搬した音波と第1放音孔121から伝搬した音波は、それぞれハウジング1の対向する両側に向かって外部に伝搬することができ、対称ステレオ音響を実現することができる。
【0023】
インバータチューブ3は、フレキシブルチューブであり、インバータチューブ3が第2側壁13に近づく方向に沿って圧縮されたとき、インバータチューブ3は押しつぶされて平らになり、さらにインバータチューブ3を閉塞状態とすることができ、このとき、スピーカーユニット2から発せられた音波は、インバータチューブ3を介して伝搬することがなくなり、第1放音孔121のみから外部に伝搬し、すなわち、このときのスピーカーは密閉型スピーカーとなる。インバータチューブ3が第2側壁13から離れる方向に沿って引張された後、インバータチューブ3が押しつぶされる状態から正常な状態に切り換わり、即ちインバータチューブ3が導通状態にあるとき、スピーカーユニット2から発せられた音波は、インバータチューブ3に入り、第2放音孔32から外部に伝達することができ、音波は第1放音孔121から外部に伝達することもでき、ユーザの音響体験を向上させるのに有利となる。
【0024】
本実施例における巻取り可能な電子機器は、固定部分と巻取り部分とをさらに有し、巻取り部分は、固定部分に巻取り収納され、または固定部分の外に引き出されることができ、スピーカーのハウジング1は、固定部分に取り付けられ、インバータチューブ3は、巻取り部分に接続されている。巻取り部分を使用する必要があるときは、巻取り部分を固定部分の外に引き出し、この動作は、モータなどの駆動装置により操作したり、人力で引き出したりすることができ、巻取り部分が引き出されるにつれて、スピーカーのインバータチューブ3は、第2側壁13から離れる方向に沿って引張されることができ、これによりインバータチューブ3を導通状態とし、第2放音孔32が第1放音孔121の存在する側に向かう場合、スピーカーユニット2から発せられた音波は、インバータチューブ3を介して外部に伝達でき、低周波特性を増加して、巻取り可能な電子機器が引き抜かれて大きくなった後、より良好な音響体験を実現する。第2放音孔32が第1放音孔121の存在する側から離れる場合、第2放音孔32から伝搬した音波と第1放音孔121から伝搬した音波は、それぞれハウジング1の対向する両側に向かって外部に伝搬することができ、対称ステレオ音響を実現することができる。巻取り部分を使用する必要がないときは、巻取り部分が固定部分に巻取り収納されるように巻取り部分を押し戻し、この動作は、モータなどの駆動装置により操作したり、人力で引き出したりすることができ、巻取り部分が固定部分に巻取り収納されるにつれて、インバータチューブ3は、第2側壁13に近づく方向に沿って圧縮されることができ、これによりインバータチューブ3を閉塞状態とし、このとき、巻取り可能な電子機器は、変形していない状態に戻り、スピーカーユニット2から発せられた音波は、インバータチューブ3を通ることなく、ハウジング1の第1放音孔121を通って外部に伝達され、スピーカーが発する音は、巻取り可能な電子機器の変形していない状態での使用ニーズに応えることができる。
【0025】
また、スピーカーユニット2は、本分野の従来技術であり、その内部の具体的な構成については説明を省略する。
【0026】
具体的には、
図3~8に示すように、インバータチューブ3の長手方向Xに沿って、インバータチューブ3は、対向して設けられた第3側壁33と第4側壁34とを有し、第3側壁33は、第4側壁34よりも第1放音孔121に近接しており、インバータチューブ3には、1つまたは複数の反転チャネル31が設けられており、インバータチューブ3に1つの反転チャネル31が設けられている場合、第2放音孔32は第3側壁33に設けられ、インバータチューブ3に複数の反転チャネル31が設けられている場合、収納チャンバ11に隣接する反転チャネル31は、導通孔131を介して収納チャンバ11に連通しており、第2側壁13から遠ざかる方向において、最も外側に位置する反転チャネル31が第2放音孔32を介して外部に連通し、隣接する反転外部31が仕切板35によって仕切られ、仕切板35は、N個の第1仕切板351とM個の第2仕切板352と、を含み、ここで、N≧1、M≧0であり、第2側壁13から遠ざかる方向において、第1仕切板351と第2仕切板352とが順次交互に間隔をあけて設置されており、第1仕切板351は、その一端が第4側壁34に接続され、他端が第3側壁33と間隔を有し、第2仕切板352は、その一端が第3側壁33に接続され、他端が第4側壁34と間隔を有し、ここで、N+M=Kであり、Kが奇数の場合、第2放音孔32は第4側壁34に設けられ、Kが偶数の場合、第2放音孔32が第3側壁33に設けられている。
【0027】
例えば、
図3及び
図4において、インバータチューブ3に1つの反転チャネル31が設けられており、第2放音孔32は第3側壁33に設けられており、すなわち第2放音孔32は第1放音孔121に向かう側に設けられており、スピーカーユニット2が動作しかつ音波を発するときに、第2放音孔32から伝搬した音波と第1放音孔121から伝搬した音波は、ハウジング1の同じ側に向かって外部に伝搬することができ、さらに音波の位相の反転を実現することができる。
【0028】
例えば、
図5及び
図6において、インバータチューブ3に2つの反転チャネル31が設けられており、収納チャンバ11に隣接する反転チャネル31を第1反転チャネルと名付け、第1反転チャネルに隣接する反転チャネルを第2反転チャネルと名付け、第1反転チャネルは導通孔131を介して収納チャンバ11に連通し、第2反転チャネルは第2放音孔32を介して外部に連通し、第2放音孔32は第1放音孔31から離れる側に設けられており、第1反転チャネルと第2反転チャネルとの間は、第1仕切板351によって仕切られ、第1仕切板は、その一端が第4側壁34に接続され、他端が第3側壁33と間隔をあけて設けられている。スピーカーユニット2が動作しかつ音波を発するときに、音波は、導通孔131から第1反転チャネルに入り、その後、第1仕切板351と第3側壁33との間隔から第2反転チャネルに入り、最終的に第2放音孔32から外部に伝達され、これによって、第2放音孔32から伝搬した音波と第1放音孔121から伝搬した音波は、それぞれハウジング1の対向する両側に向かって外部に伝搬することができ、対称ステレオ音響を実現することができる。
【0029】
また、例えば、
図7及び
図8において、インバータチューブ3に3つの反転チャネル31が設けられており、第2側壁13から遠ざかる方向に沿って、3つの反転チャネル31をそれぞれ第1反転チャネル、第2反転チャネル及び第3反転チャネルと名付け、スピーカーユニット2が動作しかつ音波を発するときに、音波は、導通孔131から第1反転チャネルに入り、そして、第1仕切板351と第3側壁33との間隔から第2反転チャネルに入り、次に、第2仕切板352と第4側壁34との間隔から第3反転チャネルに入り、最終的に第2放音孔32から外部に伝達され、第2放音孔32から伝搬した音波と第1放音孔121から伝搬した音波は、ハウジング1の同じ側に向かって外部に伝搬することができ、さらに音波の位相の反転を実現することができる。
【0030】
より具体的には、
図4に示すように、仕切板35は、第2側壁13の長手方向Xに沿って延びており、これによって、インバータチューブ3の内部構造が簡単であり、インバータチューブ3の製造が容易になる。
【0031】
1つの具体的な実施例では、
図9に示すように、インバータチューブ3には、反転チャネル31に連通する連通孔36が設けられており、連通孔36は、インバータチューブ3と第2側壁13とが接続される箇所に設けられ、第2側壁13に垂直な方向において、反転チャネル31と収納チャンバ11とを連通させるように、連通孔36の投影が導通孔131の投影の少なくとも一部と重なっており、第3側壁33の内壁の一部と第4側壁34の内壁の一部とは、それぞれ、インバータチューブ3の長手方向Xにおける連通孔36の両側内壁を形成する。1つの具体的な実施例では、
図11に示すように、第2側壁13の長さをL1とし、インバータチューブ3の長さをL2とし、L1=L2であり、これによって、インバータチューブ3と第2側壁13との接続安定性を向上させることができる
【0032】
本実施例におけるインバータチューブ3は角管であり、圧縮時における閉塞状態と引張時における導通状態を比較的容易に実現する。他の実施例では、インバータチューブ3は円管であってもよい。1つの具体的な実施例では、
図1に示すように、ハウジング1は、互いに接続された第1部分18と第2部分19とを備え、第1放音孔121は第1部分18に設けられ、導通孔131は第2部分19に設けられ、すなわち、第2側壁13の一部が第1部分18に位置し、他の部分が第2部分19であり、第2部分19が第2側壁13の長手方向Xに沿って延びており、これによって、インバータチューブ3の長さが使用ニーズを容易に満たすことができる。
【0033】
一つの具体的な実施例では、
図1に示すように、第1側壁12には突出部122が設けられ、突出部122は収納チャンバ11の外へ突出しており、第1放音孔121が突出部122を貫通することで、第1放音孔121を通じて外部に音波が伝搬されるのを容易にし、ユーザの音響体験を向上させるのに有利となる。
【0034】
ここで、
図12に示すように、突出部122における収納チャンバ11から離れた側には、ハウジング1の高さ方向Zに対して傾斜する斜面122aが設けられ、かつ、第1放音孔121が突出部122を貫通しており、第1放音孔121から出た音波を所望の領域に集中的に伝搬させるのに有利となる。
【0035】
具体的には、
図12に示すように、第1放音孔121が収納チャンバ11から離れる方向に沿って、第1放音孔121の断面積が徐々に大きくなり、音波が第1放音孔121の内壁を介して反射でき、さらに音波の伝搬方向が比較的集中するようになる。
【0036】
より具体的には、第1放音孔121は、ハウジング1の高さ方向Zに沿って、間隔をあけて設けられた第1壁面121aと第2壁面121bとを有し、第1壁面121a及び第2壁面121bは、いずれもハウジング1の頂壁面14に対して傾斜して設けられ、かつ、第1放音孔121が収納チャンバ11から離れる方向に沿って、第1壁面121aと第2壁面121bとの間の距離が徐々に大きくなっており、音波が第1放音孔121に伝搬すると、音波は、第1壁面121a及び第2壁面121bによる反射を経て、その伝搬方向が比較的集中するようになる。
【0037】
一つの具体的な実施例では、
図10、
図12~
図14に示すように、ハウジング1の高さ方向Zに沿って、スピーカーユニット2を収納チャンバ11内に取り付けるのを容易にするために、収納チャンバ11内には、スピーカーユニット2を取り付けて位置決めするための第1位置決め階段15が設けられている。第1側壁12の長手方向Yに沿って、第1放音孔121は、対向して設置された第1壁体121cと第2壁体121dとを有し、第1位置決め階段15の一部を形成するように、第1壁体121cと第2壁体121dはいずれも収納チャンバ11内に延伸し、すなわち、収納チャンバ11の頂壁が収納チャンバ11内に向けて延びる部分と、第1壁体121cと第2壁体121dが収納チャンバ11内に向けて延びる部分とが、共同して第1位置決め階段15を構成している。スピーカーユニット2が第1位置決め階段15に当接すると、スピーカーユニット2は、対応する取付位置に到達し、第1放音孔121の第1壁体121cと第2壁体121dがいずれも収納チャンバ11内に延伸して第1位置決め階段15の一部を形成するので、スピーカーユニット2の取付位置を第1放音孔121により近づけることができ、スピーカーユニット2から発せられた音波を第1放音孔121から外部へ伝搬することがより容易になる。
【0038】
一つの具体的な実施例では、
図10に示すように、ハウジング1は、本体部16とカバープレート17とを備え、本体部16には開口が設けられ、スピーカーユニット2は開口を介して本体部16に入り込むことができ、カバープレート17は、本体部16に被せられ、本体部16に対して着脱可能に接続される。スピーカーユニット2の交換やメンテナンスが必要な場合には、カバープレート17を本体部16から取り外して、スピーカーユニット2の持ち出しを容易にすることができる。
【0039】
具体的には、
図13に示すように、カバープレート17の取り付けを容易にするために、本体部16の内壁には、カバープレート17を取り付けて位置決めするための第2位置決め階段161が設けられている。
【0040】
より具体的には、ハウジング1の高さ方向Zに沿って、第2位置決め階段161の投影は、カバープレート17の投影の辺縁形状と同じであり、すなわち、カバープレート17が本体部16に取り付けられると、カバープレート17の周囲に第2位置決め階段161が設けられることとなり、これによって、カバープレート17の取り付け安定性を向上させるのに有利である。
【0041】
以上に述べたのは、本発明の実施形態のみであり、ここでは、当業者にとっては、本発明の創造思想から逸脱することなく改良を行うことができるが、これらは全て本発明の保護範囲に属するものであることを指摘すべきである。
【符号の説明】
【0042】
1 :ハウジング
11 :収納チャンバ
12 :第1側壁
121 :第1放音孔
121a:第1壁面
121b:第2壁面
121c:第1壁体
121d:第2壁体
122 :突出部
122a:斜面
13 :第2側壁
131 :導通孔
14 :頂壁面
15 :第1位置決め階段
16 :本体部
161 :第2位置決め階段
17 :カバープレート
18 :第1部分
19 :第2部分
2 :スピーカーユニット
3 :インバータチューブ
31 :反転チャネル
32 :第2放音孔
33 :第3側壁
34 :第4側壁
35 :仕切板
351 :第1仕切板
352 :第2仕切板
36 :連通孔
【国際調査報告】