(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】原動機付き車両用の冷却システム及び原動機付き車両
(51)【国際特許分類】
F01P 3/20 20060101AFI20240820BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20240820BHJP
F01P 3/18 20060101ALI20240820BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20240820BHJP
F02B 29/04 20060101ALI20240820BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
F01P3/20 L
B60H1/22 651A
F01P3/18 Q
F01P3/20 F
F01P7/16 504B
F02B29/04
B60K11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571352
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2022068738
(87)【国際公開番号】W WO2023011830
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】102021120350.3
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコプ・ベルント
【テーマコード(参考)】
3D038
3L211
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA21
(57)【要約】
【課題】コスト、重量及び構造空間について有利な態様で冷却を実現することができる、原動機付き車両用の冷却システム及びこのような冷却システムを有する原動機付き車両を提供する。
【解決手段】第1の冷却回路2と、第1の冷却回路2に配置された駆動機械3と、第1の冷却回路2に配置された第1の冷却器4と、第2の冷却回路5と、第2の冷却器11が配置された、流れ分岐部10とを有する冷却システム1において、弁装置17が設けられており、該弁装置が、
-第1の冷却回路2を通流する冷却媒体が、第2の冷却器11を通ることができるとともに、第2の冷却器11を用いて冷却されることが可能である、第1の切換状態と、
-第2の冷却回路5を通流する冷却媒体が、第2の冷却器11を通ることができるとともに、第2の冷却器11を用いて冷却されることが可能である、第2の切換状態と
の間で切換可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両用の冷却システム(1)であって、
冷却媒体が通流可能な第1の冷却回路(2)と、
該第1の冷却回路(2)に配置されこれにより冷却媒体を用いて冷却可能であるとともに原動機付き車両を駆動可能な少なくとも1つの駆動機械(3)と、
第1の冷却回路(2)に配置された、第1の冷却回路(2)を通流する冷却媒体を冷却する第1の冷却器(4)と、冷却媒体が通流可能な第2の冷却回路(5)と、
流れ分岐部(10)を通流可能な冷却媒体を冷却する第2の冷却器(11)が配置された、冷却媒体が通流可能な流れ分岐部(10)と
を有する前記冷却システムにおいて、
弁装置(17)が設けられており、該弁装置が、
-第1の冷却回路(2)が弁装置(17)を介して流れ分岐部(10)に連通しており、これにより、第1の冷却回路(2)を通流する冷却媒体の少なくとも一部が、第2の冷却器(11)を通ってガイドされることができるとともに、第2の冷却器(11)を用いて冷却されることが可能である、第1の切換状態と、
-第2の冷却回路(5)が弁装置(17)を介して流れ分岐部(10)に連通しており、これにより、第2の冷却回路(5)を通流する冷却媒体の少なくとも一部が、第2の冷却器(11)を通ってガイドされることができるとともに、第2の冷却器(11)を用いて冷却されることが可能である、第2の切換状態と
の間で切換可能であることを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
-第1の冷却器(4)が、空気が周囲を流れることが可能な第1の周囲空気冷却器として形成されており、第1の冷却回路(2)を通流する冷却媒体が、第1の周囲空気冷却器を介して、第1の周囲空気冷却器の周囲を流れる空気を用いて冷却されることが可能であること、及び
-第2の冷却器(11)が、空気が周囲を流れることが可能な第2の周囲空気冷却器として形成されており、第2の冷却回路(5)を通流する冷却媒体が、第2の周囲空気冷却器を介して、第1の周囲空気冷却器の周囲を流れる空気を用いて冷却されることが可能であること
を特徴とする請求項1に記載の冷却システム(1)。
【請求項3】
冷却回路(2,5)のうち1つと連通しこれにより冷却回路(2,5)を通流する冷却媒体の少なくとも前記一部又は少なくとも別の部分が通流可能な、冷却器(4,11)に加えて設けられた少なくとも1つの熱交換器(13)が設けられており、該熱交換器が、別の流体が通流可能な流体回路(12)に配置されており、これにより、別の流体によって通流されることができ、これによって、別の流体と熱交換器(13)を通流する冷却媒体との間で熱交換器(13)を介して熱を交換可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却システム(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの熱交換器(13)が冷却要素として形成されており、別の流体を冷却するために、冷却要素を介して、別の流体から少なくとも1つの熱交換器(13)を通流する冷却媒体へ熱を伝達可能であることを特徴とする請求項3に記載の冷却システム(1)。
【請求項5】
他の冷却回路(2,5)及び別の流体が通流可能な流体回路(12)に配置され、これにより、他の冷却回路(2,5)を通流する冷却媒体も、また別の流体も通流可能な、少なくとも1つの熱交換器(13)に加えて設けられた第2の熱交換器(14)も設けられており、該第2の熱交換器を介して、第2の熱交換器(14)を通流する冷却媒体と別の流体との間で熱を伝達可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の冷却システム(1)。
【請求項6】
第2の熱交換器(14)が冷却装置として形成されており、第2の熱交換器(14)を通流する冷却媒体を冷却するために、冷却装置を介して、第2の熱交換器(14)を通流する冷却媒体から別の流体へ熱を伝達可能であることを特徴とする請求項5に記載の冷却システム(1)。
【請求項7】
流体回路(12)が、圧縮低温機械として動作可能な空調装置の低温媒体回路であり、別の流体が低温媒体として空調装置の低温媒体回路(12)を通流可能であることを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の冷却システム(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの熱交換器(13)が低温媒体を凝縮させる凝縮器(13)として形成されていることを特徴とする請求項7に記載の冷却システム(1)。
【請求項9】
流れ通路(15)が設けられており、該流れ通路が、第1の冷却回路(2)を通流する冷却媒体の流れ方向において第1の冷却器(4)の下流かつ駆動機械(3)の上流に配置された第1の接続箇所(V1)において、及び第1の冷却回路(2)を通流する冷却媒体の流れ方向において駆動機械(3)の下流かつ第1の冷却器(4)の上流に配置された第2の接続箇所(V2)において、冷却回路(2,5)のうち1つである第1の冷却回路(2)に連通しており、これにより、第1の冷却回路(2)を通流する冷却媒体の少なくとも一部を通流させることが可能であり、少なくとも1つの熱交換器(13)が、流れ通路(15)においても、また別の流体が通流可能な流体回路(12)においても配置され、これにより、流れ通路(15)と通流する冷却媒体も、また別の流体も通流させることが可能であり、第1の切換状態では、流れ分岐部(10)が、弁装置(17)を介して流れ通路(15)に連通しているとともに、流れ通路(15)を介して第1の冷却回路(2)に連通しており、これにより、第1の冷却回路(2)を通流する冷却媒体の少なくとも前記部分が、流れ通路(15)を介して、第2の冷却器(11)を通ってガイドされることが可能であるとともに、第2の冷却器(11)を用いて冷却されることが可能であることを特徴とする請求項3~7のいずれか1項に記載の冷却システム(1)。
【請求項10】
駆動機械(3)に加えて設けられた少なくとも1つの熱源(6)が第2の冷却回路(5)に配置されており、該熱源は、第2の冷却回路(5)を通流する冷却媒体を用いて冷却されることが可能であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の冷却システム(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの熱源(6)が電気エネルギーを貯蔵する電気的なエネルギー貯蔵部であることを特徴とする請求項10に記載の冷却システム。
【請求項12】
少なくとも1つの熱源(6)が、少なくとも1つの圧縮機を用いて圧縮され原動機付き車両の少なくとも1つの燃焼室へ供給されるべき空気を冷却する給気冷却器であることを特徴とする請求項10に記載の冷却システム。
【請求項13】
弁装置(17)が、切換状態のうち少なくとも1つから他の切換状態へ電気的に切換可能であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の冷却システム(1)。
【請求項14】
弁装置(17)を他の切換状態から1つの切換状態へ切換可能なバネ装置(26)が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の冷却システム(1)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の冷却システム(1)を有する原動機付き車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による原動機付き車両用、特に自動車用の冷却システムに関するものである。さらに、本発明は、このような冷却システムを有する原動機付き車両、特に自動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、低温を有する側におけるポンプを有する低温回路装置が開示されている。特許文献2から車両用の熱管理システムが公知であると考えられる。さらに、特許文献3にも、同様に原動機付き車両用の熱管理システムが開示されている。そのほか、原動機付き車両を駆動するための電気的なエネルギー貯蔵部を有する原動機付き車両用の冷却システムが特許文献4から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第112015002902号明細書
【特許文献2】特開2014-201224号公報
【特許文献3】独国特許出願公開第102019132688号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102017220376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、特にコスト、重量及び構造空間について有利な態様で特に有利な冷却を実現することができるように、原動機付き車両用の冷却システム及びこのような冷却システムを有する原動機付き車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当該課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する冷却システムによって、及び請求項15の特徴を有する原動機付き車両によって解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項の対象である。
【0006】
本発明の第1の態様は、冷却装置とも呼ばれるか、又は冷却装置として形成される、原動機付き車両用の、好ましくは乗用車として形成された自動車用の冷却システムに関するものである。これは、好ましくは自動車として、特に乗用車として形成された原動機付き車両が、その完全に製造された状態において、特に原動機付き車両の装置である冷却システムを備えていることを意味している。冷却システムは、冷却媒体(冷媒)が通流可能な第1の冷却回路を備えている。さらに、冷却システムは、第1の冷却回路に配置された少なくとも1つの駆動機械を備えており、当該駆動機械を用いて原動機付き車両を駆動可能である。駆動機械が第1の冷却回路に配置されていることで、駆動機械は、第1の冷却回路を通流する好ましくは液体状の冷却媒体を用いて冷却されることが可能である。好ましくは、冷却媒体は、少なくとも水、特に少なくとも主に水を含んでいるため、冷却媒体は、例えば水又は冷却水とも呼ばれる。駆動機械は、例えば、内燃エンジンとも呼ばれる内燃機関であり、当該内燃機関を用いて原動機付き車両を内燃エンジン式に駆動可能である。したがって、原動機付き車両は、従来のように駆動可能な、したがって内燃エンジン式に、すなわち内燃エンジンを用いて駆動可能な原動機付き車両であってよいか、又は原動機付き車両は、例えば、例えば内燃機関及び少なくとも1つの電気機械を用いて駆動可能なハイブリッド車両である。また、駆動機械は、電気機械、特に、原動機付き車両を特に純粋に電気的に駆動可能な上述の電気機械であってよい。したがって、原動機付き車両は、例えば、電動車両、特にバッテリ電気式の車両(BEV)として形成されることが可能である。好ましくは、電気機械は、高電圧構成要素であり、その電圧、特に動作電圧又は定格電圧は、好ましくは50Vより大きく、特に60Vより大きく、非常に好ましくは数百ボルト(V)である。これにより、特に大きな電気的な出力(電力)を特に純粋に原動機付き車両の電気的な駆動のために実現することが可能である。第1の冷却回路には、第1の冷却回路を通流する冷却媒体を冷却する第1の冷却器が配置されている。
【0007】
そのほか、冷却システムは、冷却媒体が通流可能な第2の冷却回路を備えている。そのほか、冷却システムは、冷却媒体が通流可能な流れ分岐部を備えている。流れ分岐部には、第1の冷却器に加えて設けられる、流れ分岐部を通流する冷却媒体を冷却する第2の冷却器が配置されている。好ましくは、冷却器は、互いに別々に形成された、特に互いに分離して、又は離間して配置された構成要素である。特に、第1の冷却器は第2の冷却器の外部に配置されており、第2の冷却部は第1の冷却部の外部に配置されている。
【0008】
好ましくは、第1の冷却回路は、高温循環部(HT循環部)とも呼ばれる高温回路(HT回路)である。さらに、好ましくは、第2の冷却回路は、低温循環部(NT循環部)とも呼ばれる低温回路(NT回路)である。ここで、冷却媒体は、第1の温度をもって第1の冷却回路を通流し、第1の温度よりも低い第2の温度をもって第2の冷却回路を通流すると理解されるべきである。例えば、第2の温度は、ちょうど10℃又は少なくとも10℃、特に少なくとも20℃又はちょうど20℃であり、第1の温度よりも低い。換言すれば、例えば、駆動機械は、冷却媒体の第1の温度レベルを用いて、特に冷却媒体の第1の温度を用いて冷却され、例えば、第2の冷却回路に配置されこれにより第2の冷却回路を通流する冷却媒体を用いて冷却され得る、特に駆動機械に加えて設けられる熱源が、冷却媒体の第2の温度レベルを用いて、特に冷却媒体の第2の冷却温度を用いて冷却され、第2の温度レベルは、第1の温度レベルよりも低い。また、換言すれば、例えば、冷却媒体は、冷却システムの動作中に、第1の冷却回路においては最大で第1の温度あるいは第1の温度レベルを有し、第2の冷却回路においては最大で第2の温度あるいは第2の温度レベルを有している。
【0009】
特にコスト、重量及び構造空間に有利な態様で特に有利な冷却又は冷却能力を実現することができるように、本発明によれば、冷却システムが、少なくとも1つの第1の切換状態と少なくとも1つの第2の切換状態の間で切換可能な弁装置を備えるようになっている。例えば、弁装置は、第1の切換状態をもたらすか、又は設定する少なくとも1つの第1の切換位置と、第2の切換状態をもたらす少なくとも1つの第2の切換位置との間で移動可能、特に回転式及び/又は並進式に移動可能である。換言すれば、例えば、弁装置は、特に弁装置の弁ハウジングに対して相対的に切換位置間で特に並進式及び/又は回転式に移動可能な弁要素を備えている。このとき、弁要素は、少なくとも部分的に弁ハウジングに配置されている。
【0010】
第1の切換状態では、第1の冷却回路は弁装置を介して流れ分岐部に連通しており、これにより、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも一部が、第2の冷却器を通ってガイドされることができるとともに、第2の冷却器を用いて冷却されることが可能である。換言すれば、弁装置が第1の切換状態にある間に冷却媒体が第1の冷却回路を流れると、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも上述の部分が、弁装置によって、流れ分岐部と、第2の冷却器とを通流し、第2の冷却器を用いて冷却される。したがって、第1の切換状態において、又は第1の切換状態によって、第2の冷却器が第1の冷却回路に割り当てられているか、又は接続されているため、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも一部は、第1の冷却器を用いても、また第2の冷却器を用いても冷却される。このとき、特に、第1の切換状態では、流れ分岐部ひいては第2の冷却器が、特に弁装置を用いて第2の冷却回路から流体的に分離されていること、及び/又は第1の切換状態では、第2の冷却器を用いてもたらされる、第2の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも1つの主な部分の冷却がなされないことを設定することが可能である。換言すれば、第1の切換状態では、第2の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも主な部分、すなわち少なくとも半分より多くが第2の冷却器によって冷却されないことが考えられる。なぜなら、第2の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも主な部分は、第1の切換状態において流れ分岐部、したがって第2の冷却器を通流しないか、又は通流することができず、好ましくは流れ分岐部及び第2の冷却器をう回するためである。
【0011】
第2の切換状態では、第2の冷却回路は弁装置を介して流れ分岐部に連通しており、これにより、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも一部が、第2の冷却器を通ってガイドされることができるとともに、第2の冷却器を用いて冷却されることが可能である。換言すれば、弁装置が第2の切換状態にある間に冷却媒体が第2の冷却回路を流れると、第2の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも上述の部分が、弁装置によって、流れ分岐部と、第2の冷却器とを通流し、第2の冷却器を用いて冷却される。したがって、第2の切換状態において、又は第2の切換状態によって、第2の冷却器が第2の冷却回路に割り当てられているか、又は接続されているため、第2の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも一部は、第2の冷却器を用いて冷却される。このとき、特に、第2の切換状態では、流れ分岐部ひいては第2の冷却器が、特に弁装置を用いて第2の冷却回路から流体的に分離されていること、及び/又は第2の切換状態では、第2の冷却器を用いてもたらされる、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも1つの主な部分の冷却がなされないことを設定することが可能である。換言すれば、第2の切換状態では、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも主な部分、すなわち少なくとも半分より多くが第2の冷却器によって冷却されないことが考えられる。なぜなら、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも主な部分は、第2の切換状態において流れ分岐部、したがって第2の冷却器を通流しないか、又は通流することができず、好ましくは流れ分岐部及び第2の冷却器をう回するためである。
【0012】
全体的に、第2の冷却器を、選択的に、したがって必要に応じて第1の冷却回路又は第2の冷却回路に結合するために、すなわち、選択的に、したがって必要に応じて第1の冷却回路又は第2の冷却回路に接続するために、弁装置が第1の切換状態と第2の切換状態の間で切り換えられることができることが分かる。
【0013】
特に高い冷却性能を実現することができるように、本発明の一実施形態では、第1の冷却器が、空気、特に周囲空気が周囲を流れることが可能な第1の周囲空気冷却器として形成されており、第1の冷却回路を通流する冷却媒体が、第1の周囲空気冷却器を介して、第1の周囲空気冷却器の周囲を流れる空気を用いて冷却されることが可能であるように構成されている。このとき、第2の冷却器は、空気、特に周囲空気が周囲を流れることが可能な第2の周囲空気冷却器として形成されており、第2の冷却回路を通流する冷却媒体が、第2の周囲空気冷却器を介して、第1の周囲空気冷却器の周囲を流れる空気を用いて冷却されることが可能である。好ましくは、周囲空気冷却器はそれぞれ個別の構成要素であり、第1の周囲空気冷却器は、第2の周囲空気冷却器に関して外部の追加的な冷却器であり、あるいはその逆である。各周囲空気冷却器を、例えば、原動機付き車両の走行時、特に前進走行時に走行風、したがって空気、特に周囲空気が周囲で流れることが可能である。特に、各周囲空気冷却器を通流する冷却媒体から各周囲空気冷却器を介して各周囲空気冷却器の周囲を流れる空気へ熱が移動することで、各冷却回路を通流し、したがって各周囲空気冷却器を通流する冷却媒体は、各周囲空気冷却器を介して、各周囲空気冷却器の周囲を流れる空気を用いて冷却されることが可能である。
【0014】
別の一実施形態は、第1の熱交換器とも呼ばれる少なくとも1つの熱交換器によって特徴付けられており、当該熱交換器は、冷却回路のうち1つに連通しているとともに、これにより、冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも上述の部分又は少なくとも1つの別の部分によって通流されることが可能である。少なくとも1つの熱交換器が好ましくは冷却器の外部に配置されるとともに、好ましくは冷却器が熱交換器の外部に配置されるように、少なくとも1つの熱交換器が冷却器に加えて設けられている。少なくとも1つの熱交換器は、別の流体が通流可能な流体回路にも配置されており、これにより、別の流体によって通流されることができ、これにより、少なくとも1つの熱交換器を介して、別の流体と少なくとも1つの熱交換器を通流する冷却媒体との間の熱を交換可能である。好ましくは、流体回路は、1つの冷却回路から、及び好ましくは他の冷却回路からも流体的に分離されている。換言すれば、好ましくは、流体回路が両冷却回路から流体的に分離されるように構成されている。特に、流体回路は、冷却回路に加えて設けられている。例えば、1つの冷却回路は第1の冷却回路であるため、他の冷却回路は第2の冷却回路である。例えば、1つの冷却回路が第2の冷却回路であれば、他の冷却回路は第1の冷却回路である。
【0015】
少なくとも1つの熱交換器が、流体的に1つの冷却回路に連通し、また、特に冷却回路に加えて設けられる、流体循環部とも呼ばれる流体回路に配置されるため、少なくとも1つの熱交換器を、冷却媒体の一部又は別の部分も、また流体回路を通流する別の流体も通流可能である。少なくとも1つの熱交換器を介して、少なくとも1つの熱交換器を通流する別の流体と少なくとも1つの熱交換器を通流する冷却媒体との間で熱を伝達することが可能であり、すなわち熱を交換することが可能である。例えば、少なくとも1つの熱交換器は、例えば低温媒体として形成される別の流体を冷却する冷却器である。特に、少なくとも1つの熱交換器は、例えば低温媒体として形成される別の流体を凝縮させる凝縮器である。
【0016】
冷却システムの特に良好な冷却性能を全体的に実現することができるように、本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの熱交換器が冷却要素として形成されており、別の流体を冷却するために、冷却要素を介して、別の流体から少なくとも1つの熱交換器を通流する冷却媒体へ熱を伝達可能である。
【0017】
本発明の特に有利な一実施形態では、他の冷却回路及び別の流体が通流可能な流体回路に配置され、これにより、他の冷却回路を通流する冷却媒体も、また別の流体も通流可能な、少なくとも1つの熱交換器に加えて設けられた第2の熱交換器も設けられており、該第2の熱交換器を介して、第2の熱交換器を通流する冷却媒体と別の流体との間で熱を伝達可能である。これにより、特に良好な冷却を行うことが可能である。
【0018】
このとき、第2の熱交換器が冷却装置として形成されており、第2の熱交換器を通流する冷却媒体を冷却するために、冷却装置を介して、第2の熱交換器を通流する冷却媒体から別の流体へ熱を伝達可能であれば、特に有利であることが分かった。第2の熱交換器は、チラーとも呼ばれる。第2の冷却回路を通流する冷却媒体を冷却するために、第2の熱交換器を用いて、別の流体を利用することが可能であり、これにより、例えば、別源を特に効果的かつ効率的に冷却することが可能である。
【0019】
本発明の特に有利な別の一実施形態では、流体回路は、圧縮低温機械として動作可能であるとともに空調機とも呼ばれる空調装置の低温媒体回路であり、低温媒体としての別の流体が空調装置の低温媒体回路を通流可能である。これにより、特に有利な冷却を行うことが可能である。
【0020】
このとき、少なくとも1つの熱交換器(第1の熱交換器)が低温媒体を凝縮させる凝縮器として形成されていれば特に有利であることが分かった。これにより、特に効果的かつ効率的な冷却を実現することが可能である。
【0021】
本発明の特に有利な別の構成では、冷却システムが流れ通路を備えており、当該流れ通路は、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の流れ方向において第1の冷却器の下流かつ駆動機械の上流に配置された第1の接続箇所において第1の冷却回路に連通している。このとき、第1雄冷却回路が1つの冷却回路であるため、第2の冷却回路は他の冷却回路である。さらに、流れ通路は、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の流れ方向において駆動機械の下流かつ第1の冷却器の上流に配置された第2の接続箇所において第1の冷却回路に連通している。これにより、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも一部が流れ通路を通流可能である。さらに、熱交換器(第1の熱交換器)は、流れ通路においても、また別の流体が通流可能な流体回路においても配置されているため、流れ通路を通流する冷却媒体によっても、また別の流体によっても通流されることが可能である。第1の切換状態では、流れ分岐部は、弁装置を介して流れ通路に連通しており、流れ通路を介して第1の冷却回路に連通しているため、例えば、第1の切換状態では、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも一部を、少なくとも弁装置の流れ通路の部分範囲を介して供給可能であるとともに、弁装置を介して流れ分岐部へ導入可能である。したがって、第1の切換状態では、少なくとも第1の冷却回路を通流する冷却媒体の一部が、流れ通路を介して第2の冷却器を通ってガイドされることができるとともに、第2の冷却器を用いて冷却されることが可能である。これにより、特に良好な冷却を行うことが可能である。特に、流れ通路は、冷却回路に加えて、及び流れ分岐部に加えて設けられることが可能である。
【0022】
弁装置が切換状態間で切換可能であることにより、流れ分岐部は、特に従来の解決手段に比して、第1又は第2の冷却回路の固定された構成部材及び流れ通路の固定された構成部材ではなく、流れ分岐部は、選択的に、したがって必要に応じて特に流れ通路を介して第1の冷却回路又は第2の冷却回路に結合されることができ、したがって、選択的に第1の冷却回路又は第2の冷却回路に連通されることが可能である。
【0023】
例えば、第1の接続箇所では、第1の冷却回路を通流する冷却媒体の少なくとも一部が第1の冷却回路から分岐することができ、流れ通路に導入されることができ、そして、流れ通路を通流することができ、したがって、第1の接続箇所から第2の接続箇所へ流れることができる。第2の接続箇所では、分岐されて流れ通路を通流する冷却媒体が流れ通路から流出し、(再び)第1の冷却回路へ流入し、したがって導入されることが可能である。第1の接続箇所が第1の冷却器の下流かつ駆動機械の上流に配置され、第2の接続箇所が駆動機械の下流かつ第1の冷却器の上流に配置されているため、流れ通路ひいては流れ通路を通流する冷却媒体は、駆動機械をう回する。これは、流れ通路を通流する冷却媒体が第1の接続箇所から第2の接続箇所へのその経路において、駆動機械を通流しない、すなわち駆動機械をう回することを意味する。
【0024】
単に弁とも呼ばれる弁装置は、例えば、流れ通路において少なくとも1つの熱交換器の上流に配置されている。これは、弁装置が、流れ通路を通流する冷却媒体の流れ方向において、少なくとも1つの熱交換器の上流かつこの場合第1の接続箇所の下流に配置され得ることを意味している。
【0025】
特に、第2の切換状態において、流れ分岐部が弁装置を介して、すなわち弁装置を用いて第2の冷却回路と連通するように構成されることが可能であり、これにより、第2の冷却器が第2の冷却回路に配置されている。したがって、第2の冷却回路を通流する冷却媒体は、第2の冷却回路を通るその経路において、第2の冷却器と、例えば熱源とを通流し、したがって、第2の切換状態では、特に第2の冷却器を用いても冷却される。したがって、例えば第2の切換状態では、すなわち第2の切換状態によって、第2の冷却回路を通流する冷却媒体、したがって例えば熱源の強い冷却を実現することが可能である。
【0026】
例えば、第2の切換状態では、流れ通路を通流する冷却媒体が第2の冷却器をう回しつつ第1の接続箇所から第2の接続箇所へのその経路において、第1の接続箇所から弁装置及び特に少なくとも1つの熱交換器を介して第2の接続箇所へ案内されることが可能であり、したがって流れるように、流れ分岐部は、弁装置を用いて流れ通路から流体的に分離されている。換言すれば、流れ通路を通流する冷却媒体は、第2の冷却器を通流することなく、したがって第2の冷却器を用いて冷却されることなく、第1の接続箇所から第2の接続箇所へのその経路において、第1の接続箇所から弁装置を介して特に少なくとも1つの熱交換器へ、及び例えば少なくとも1つの熱合喚起を介して第2の接続箇所へ流れる。換言すれば、流れ通路を通流する冷却媒体は、第1の接続箇所から第2の接続箇所へのその経路において、第1の接続箇所から弁装置を通して通流し、そして、例えば少なくとも1つの熱交換器を通流し、その後、第2の接続箇所へ流れ、流れ通路を通流する冷却媒体は、第1の接続箇所から第2の接続箇所へのその経路において、第2の冷却器をう回し、したがって、第2の冷却器を通流せず、流れ通路を通流する冷却媒体は、第1の接続箇所から第2の接続箇所へのその経路において第2の冷却回路を通っても流れない。これは、第2の切換状態では第2の周囲空気冷却器が接続箇所間の流れ通路に配置されていないことも意味する。
【0027】
第1の切換状態では、流れ通路は、弁装置を介して、すなわち弁装置を用いて流れ通路に連通しており、これにより、第2の冷却器は、流れ通路において、第1の接続箇所の下流かつ例えば少なくとも1つの熱交換器の上流及び第2の接続箇所の上流に配置されている。したがって、第1の切換状態では、流れ通路を通流する冷却媒体は、第1の接続箇所から、流れ通路を通流する冷却媒体の流れ方向において第1の接続箇所の下流に配置された第2の接続箇所へのその経路において、第2の冷却器によっても、しかも好ましくは流れ通路を通流する冷却媒体が少なくとも1つの熱交換器を通流する前に流れる。換言すれば、流れ通路を通流する冷却媒体は、第1の接続箇所から第2の接続箇所へのその経路において、例えば、まず、第2の周囲空気冷却器を通って流れ、したがって、まず、第2の周囲空気冷却器を用いて冷却される。その後、流れ通路を通流する冷却媒体は、第1の接続箇所から第2の接続箇所へのその経路において、例えば、少なくとも1つの熱交換器を通して流れ、すると、例えば、流れ通路を通流する冷却媒体が、第2の接続箇所へ流れるとともに、第2の接続箇所において第1の冷却回路へ導入される。
【0028】
第1の切換状態では、例えば、第1の切換状態において第2の例約回路を通流する冷却媒体の少なくとも1つの主な部分、したがって少なくとも半分、特に第2の冷却回路を通流する冷却媒体全部が流れ分岐部、したがって第2の周囲空気冷却器を通流しないように、第2の冷却回路が流れ分岐部から分離されている。したがって、第1の切換状態では、第2の冷却回路を通流する冷却媒体は、少なくとも主要部分については、第2の冷却器を用いずに(及び例えば第1の冷却器も用いずに)冷却される。
【0029】
例えば、第1の切換状態では第2の冷却器が流れ通路において少なくとも1つの熱交換器の上流に配置されているため、第1の切換状態では、少なくとも1つの熱交換器についての予冷却が設定されている。なぜなら、流れ通路を通流する冷却媒体がまずは第2の冷却器を用いて冷却され、その後、少なくとも熱交換器を通流するためである。これにより、流れ通路を通流する冷却媒体が少なくとも1つの熱交換器を通流する場合には、流れ通路を通流する冷却媒体は、有利には低い温度を有し得る。つづいて、別の流体は、例えば少なくとも1つの熱交換器を用いて、特に、少なくとも1つの熱交換器を介して別の流体から流れ通路を通流し第2の冷却器を用いて冷却される冷却媒体への熱移動によって、特に有利に冷却されることが可能である。これにより、別の流体を特に強く冷却することが可能である。
【0030】
したがって、単に弁とも呼ばれる弁装置によって、特に熱源の上述の予冷却と直接冷却の間で切り換えることが可能であることが分かる。また、第1の冷却器に加えて設けられる第2の冷却器が、弁装置を用いて、必要に応じて、すなわち選択的に第2の冷却回路ひいては例えば熱源(第2の切換状態)又は流れ通路ひいては少なくとも1つの熱交換器(第1の切換状態)に割り当てられるか、又は結合されることが可能であることが分かる。
【0031】
弁装置が選択的に、したがって必要に応じて切換状態間で切り換えられることが可能であることにより、追加的な熱交換器又は冷却器を回避することが可能であるか、あるいはこのような冷却器又は熱交換器の数を特に少なく維持することが可能である。換言すれば、流れ通路又は第1の冷却回路にも、また第2の冷却回路にもそれぞれ固有の別々の冷却器を割り当てる必要がないため、冷却システムの部品点数ひいては重量、コスト及び構造空間を特に少なく維持することが可能である。特に、冷却面の数及び大きさを小さく維持することができるため、特に原動機付き車両の有利な流体力学的特性が得られる。特に走行状況又は負荷状況に応じて選択的に、第2の冷却器を用いて、第2の冷却回路を通流する冷却媒体又は第1の冷却回路及び/若しくは流れ通路を通流する冷却媒体を冷却することができるため、有利な冷却性能が同時に得られる。
【0032】
特に良好な冷却を実現することができるように、別の一実施形態では、少なくとも1つの、駆動機械に加えて設けられる熱源が第2の冷却回路に配置されており、当該熱源は、第2の冷却回路を通流する冷却媒体を用いて冷却されることができる。
【0033】
このとき、少なくとも1つの熱源が電気エネルギーを特に電気化学的に貯蔵する電気的なエネルギー貯蔵部であれば特に有利であることが分かった。例えば、電気的なエネルギー貯蔵部は、バッテリ、特に二次バッテリ(二次電池)である。好ましくは、電気的なエネルギー貯蔵部は、高電圧構成要素であり、その電圧、特に動作電圧又は定格電圧は、好ましくは50Vより大きく、特に60Vより大きく、非常に好ましくは数百ボルト(V)である。例えば、電気的なエネルギー貯蔵部は、高電圧バッテリ(HVバッテリ)である。電気的なエネルギー貯蔵部は好ましくは高電圧構成要素として形成されているため、電気的なエネルギー貯蔵部は、高電圧貯蔵部(HVS)とも呼ばれる。例えば、原動機付き車両を特に純粋に電気的に駆動するために設けられ、あるいは形成された上述の電気機械は、モータ動作において、したがって電気モータとして動作することができ、当該電気モータを用いて、原動機付き車両を特に純粋に電気的に駆動可能である。電気機械をモータ動作において動作させるために、電気機械には、エネルギー貯蔵部に貯蔵された電気エネルギーが供給される。電気的なエネルギー貯蔵部が第2の冷却回路に配置されており、第2の冷却回路を冷却媒体が通流可能であるため、電気的なエネルギー貯蔵部は、第2の冷却回路を通流する冷却媒体を用いて冷却されることが可能である。
【0034】
別の実施形態は、少なくとも1つの熱源が給気冷却器(インタークーラ)であり、当該給気冷却器を用いて、少なくとも1つの圧縮機を用いて圧縮されるか、又は圧縮された燃焼空気又はチャージエアとも呼ばれ、原動機付き車両の内燃機関の少なくとも1つの燃料室へ供給される空気を冷却することが可能であることを特徴としている。したがって、内燃機関がより長い時間にわたって高い性能を提供すれば、圧縮された空気は、特に第2の切換状態において特に良好に冷却されることが可能である。
【0035】
特に有利な冷却を必要に応じて得ることができるよう、特に必要に応じて、及び迅速に切換状態間で切り換えることができるように、本発明の別の形態では、弁装置が、切換状態のうち少なくとも1つから他の切換状態へ電気的に、すなわち電気的なエネルギーあるいは電流を用いて切換可能であるように構成されている。
【0036】
必要に応じて、並びにコスト及び重量について有利に切換状態間で切り換えることができるように、本発明の別の形態では、弁装置を他の切換状態から1つの切換状態へ切換可能な、好ましくは機械的なバネとして形成されているか、又は少なくとも1つの機械的なバネを含むバネ装置が設けられている。
【0037】
特に有利な冷却を実現するために、本発明の別の形態では、少なくとも1つの熱交換器が、流体回路を通流する別の流体の流れ方向において、流体回路における第2の熱交換器の上流に配置されるようになっている。
【0038】
好ましくは、流体回路を通流する別の流体は、当該別の流体の液体状の状態において、第2の熱交換器を通流するようになっている。したがって、好ましくは、第2の熱交換器は、液体状の冷却媒体と、少なくとも第2の熱交換器では液体状の別の流体との間で熱を伝達することが可能な液体-液体-熱交換器である。
【0039】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による冷却システムを備えた、好ましくは自動車、特に自家用車両として形成された原動機付き車両に関するものである。本発明の第1の態様の利点及び有利な構成は、本発明の第2の態様の利点及び有利な構成とみなすことができ、またその逆も同様である。
【0040】
本発明の更なる詳細は、関連する図による好ましい実施例の以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】原動機付き車両用の冷却システムの第1の実施形態を概略的に示す図であり、冷却システムの弁装置は第1の切換状態にある。
【
図2】第1の実施形態による冷却システムを概略的に示す図であり、弁装置は第2の切換状態にある。
【
図3】冷却システムの第2の実施形態を概略的に示す図である。
【
図4】第2の実施形態による冷却システムのオプションの部分を概略的に示す図である。
【
図5】冷却システムの第3の実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
各図では、同一又は機能的に同一の要素には同一の参照符号が付されている。
【0043】
図1及び
図2には、好ましくは自動車、特に乗用車として形成された原動機付き車両用の冷却システム1の第1の実施形態がそれぞれ概略的に示されている。冷却システム1は、好ましくは液体状の冷却媒体(冷媒)が通流可能な第1の冷却回路2を備えている。第1の冷却回路2には、原動機付き車両を駆動可能な駆動機械3が配置されている。駆動機械3は、例えば、内燃エンジン、又は例えば原動機付き車両を特に純粋に電気的に駆動可能な電気機械である。加えて、駆動機械3の部分範囲を、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体が通流することができ、これにより、駆動機械3は、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体を用いて冷却されることが可能である。駆動機械3は、特に、熱が駆動機械3から第1の冷却回路ひいては駆動機械3を通流する冷却媒体へ駆動機械3から熱が伝達されることで冷却されることが可能である。特に、冷却回路2は、高温冷却回路(HT冷却回路)である。
【0044】
冷却システム1は第1の周囲空気冷却器4を備えており、当該第1の周囲空気冷却器は、第1の冷却器であって、第1の冷却回路2に配置されているため、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体が当該第1の周囲空気冷却器を通流可能である。第1の周囲空気冷却器4は、高温冷却器(HT冷却器)とも呼ばれる。第1の周囲空気冷却器4は第1の冷却器とも呼ばれるとともに、空気、特に周囲空気は、第1の周囲空気冷却器4を通流可能である。これは、特に、原動機付き車両の走行時、特に前進走行時に、第1の周囲空気冷却器4の周囲を流れ得る空気、特に周囲空気、走行風が形成されることを意味している。周囲空気冷却器4を通流する冷却媒体は、周囲空気冷却器4を介して、周囲空気冷却器4の周囲を流れる空気を用いて冷却されることが可能である。
【0045】
冷却システム1は、そのほか、冷却媒体が通流する第2の冷却媒体回路5を備えており、当該第2の冷却媒体回路は、例えば、低温回路(NT回路)として形成されている。第2の冷却回路5には、電気的なエネルギー貯蔵部6が配置されている。したがって、例えば、エネルギー貯蔵部6の少なくとも1つの部分範囲を、冷却回路5を通流する冷却媒体が通流することができるため、エネルギー貯蔵部6は、冷却回路を通流する冷却媒体を用いて冷却されることが可能である。このことは、特に、冷却回路5ひいてはエネルギー貯蔵部6を通流する冷却媒体へのエネルギー貯蔵部からの熱移動によって行われる。
図1に示された実施例では、冷却システム1は、冷却回路2,5に共通な補整容器である補整容器7を備えている。補整容器7には、
図1において符号8で示される量の冷却媒体が収容されている。補整容器7を用いて、特に補整容器7に少なくとも一時的に収容される量8を用いて、冷却回路2,5における冷却媒体の量変動及び/又は体積変動を補償、すなわち補整することが可能である。このために、補整容器7は、冷却回路2に特に直接接続されていることから、冷却媒体は、冷却回路2から補整容器7へ、及び補整容器7から冷却回路2へ流れることが可能である。第2の補整容器を用いる必要がないように、非常に薄く、したがって絞りとして機能し、及び/又は絞りを備える供給管路9が設けられており、当該供給管路を介して、冷却回路2,5が互いに連通されることが可能であるように設定されており、特に、及び好ましくは、供給管路9及び冷却回路2を介して、補整容器7を用いて、及び補整容器7に収容された冷却媒体の量8を用いて、冷却回路5における冷却媒体の体積変動及び/又は量変動を補償することができるように設定されている。
【0046】
冷却システム1は、更に、冷却媒体が通流可能な流れ分岐部10を備えている。流れ分岐部10には、空気、特に周囲空気が周囲を流れることが可能な第2の周囲空気冷却器11が配置されており、当該第2の周囲空気冷却器は、第2の冷却器であり、周囲空気冷却器4に加えて設けられている。周囲空気冷却器11も、原動機付き車両の上述の走行時、特に前進走行時に、走行風ひいては走行風を形成する空気が周囲を流れるため、流れ分岐部10を通流する冷却媒体が、周囲空気冷却器11を介して、冷却され得るか、あるいは冷却される。
【0047】
各図に示された実施例では、冷却システム1は、冷却回路2,5に加えて設けられた、低温媒体回路12の形態の流体回路を備えており、当該流体回路は、低温回路とも呼ばれる。低温媒体回路12を、低温媒体の形態の別の流体が通流可能である。低温媒体は、特に、原動機付き車両の内部空間へ供給されるか、あるいは供給され得る空気を冷却するために用いられる。このために、低温媒体回路12は、凝縮器13として形成された第1の熱交換器が配置されており、当該第1の熱交換器は、低温媒体の冷却、及びこれによる低温媒体の凝縮のために形成されている。例えば、低温媒体は、低温媒体の液体状の状態で凝縮器13の少なくとも1つの部分範囲を通って流れ、及び/又は低温媒体は、低温媒体の液体状の状態で凝縮器13から流出する。なぜなら、低温媒体は、凝縮器13を用いて凝縮され、したがって液化されるためである。
【0048】
低温媒体回路12には第2の熱交換器が配置されており、当該第2の熱交換器はチラー14とも呼ばれる。凝縮器13が、低温媒体回路12を通流する低温媒体の流れ方向においてチラー14の上流に配置されていることが
図1から見て取れる。
【0049】
特にコスト、重量及び構造空間にとって有利な態様で特に有利な冷却を実現することができるように、冷却システム1は流れ通路15を備えており、当該流れ通路は、第1の接続箇所V1及び第2の接続箇所V2において第1の冷却回路2と連通している。接続箇所V1は、冷却回路2を通流する冷却媒体の流れ方向において、周囲空気冷却器4の下流かつ駆動機械3の上流に配置されている。冷却回路2にはポンプ16が配置されており、冷却媒体は、当該ポンプを用いて、冷却回路2を通って搬送されることができるか、又は搬送される。ポンプ16が周囲空気冷却器4の下流かつ駆動機械3の上流に配置されていることが
図1から分かり、接続箇所V1は、ポンプ16の下流かつ駆動機械3の上流に配置されている。接続箇所V2は、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体の流れ方向において、駆動機械3の下流かつ第1の周囲空気冷却器4の上流に配置されている。このとき、凝縮器13(少なくとも1つの熱交換器)は、低温媒体回路12においても、また流れ通路15においても配置されているため、凝縮器13を、低温媒体も、また流れ通路15を通州する好ましくは液体状の冷却媒体も通流可能である。低温媒体は、凝縮器13を用いて、特に、凝縮器13を通流する低温媒体から凝縮器13を通流する冷却媒体へ熱が凝縮器13を介して移動するように冷却され、これにより凝縮され得る。これにより、凝縮器13は、低温媒体(他の流体)を冷却する冷却要素として機能し、又は動作する。凝縮器13は流れ通路15に配置されているため、凝縮器13は、流れ通路15を通流する冷却媒体の流れ方向において、接続箇所V1の下流かつ接続箇所V2の上流に配置されている。流れ通路15を用いて、冷却回路2を通流する冷却媒体の少なくとも一部を冷却回路2から分岐させ、流れ通路15へ導入することが可能であり、冷却媒体の分岐された部分は、流れ通路15を通流し、その際、接続箇所V1及び接続箇所V2から流れることが可能である。接続箇所V2では、流れ通路15を通流する冷却媒体、すなわち分岐された部分は、再び冷却回路2へ導入され、すると、当該部分は、冷却回路2を通流する特にその他の冷却媒体と共に再び周囲空気冷却器4へ流れ、これを通流することが可能である。
【0050】
また、流れ通路15を通流する冷却媒体が駆動機械3をう回し、したがって駆動機械3を通流しないため、流れ通路15が、流れ技術的に駆動機械3と並列に接続されていることが考えられる。
【0051】
冷却システム1は、単に弁とも呼ばれ、例えば6ポート2位置切換弁として形成された弁装置17を備えており、当該弁装置は、切換弁とも呼ばれる。弁装置17は、
図1に図示された少なくとも1つの第1の切換状態と
図2に示された少なくとも1つの第2の切換状態との間で切換可能である。弁装置17は、流れ通路15を通流する冷却媒体の流れ方向において、凝縮器13の上流かつ接続箇所V1の下流に配置されている。
【0052】
図2に示された第2の切換状態では、流れ分岐部10が弁装置17を介して第2の冷却回路5に連通しており、第2の切換状態では、第2の周囲空気冷却器11が第2の冷却回路5に配置されている。特に、第2の切換状態では、流れ通路15を通流する冷却媒体が第2の周囲空気冷却器11をう回しつつ接続箇所V1から接続箇所V2へのその経路において、第1の接続箇所V1から弁装置17及び凝縮器13を介して第2の接続箇所V2へ案内されることが可能であるか、あるいは流れるように、流れ分岐部10は、弁装置17を用いて流れ通路15から分離されている。
【0053】
チラー14が低温媒体回路12にも、また第2の冷却回路5にも配置されており、したがって、低温媒体も、また冷却回路5を通流する冷却媒体もチラーを通流可能であることが
図1及び
図2から更に見て取れる。第2の切換状態では、第2の周囲空気冷却器11がチラー14の上流かつ第2の冷却回路5における電気的なエネルギー貯蔵部6の下流に配置されていることが見て取れ、チラー14は、第2の冷却回路5を通流する冷却媒体の流れ方向において、エネルギー貯蔵部6の上流に配置されている。これは、第2の切換状態では、第2の周囲空気冷却器11がチラー14の上流かつ電気的なエネルギー貯蔵部6の下流で第2の冷却回路5に配置されるように、流れ分岐部10が弁装置17を介して第2の冷却回路5に連通していることを意味している。特に、チラー14は冷却装置として機能し、チラー14を通流する冷却媒体からチラー14を通流する低温媒体へチラー14を介して熱が移動するように、冷却回路5を通流する冷却媒体が、冷却装置を用いて冷却され得るか、又は冷却される。チラー14の後には、特にチラー14を用いて冷却された冷却媒体がエネルギー貯蔵部6を通流し、これにより、エネルギー貯蔵部6が有利に冷却されることが可能である。特に第2の切換状態では、冷却媒体がエネルギー貯蔵部6を通流した後、冷却媒体は、第2の周囲空気冷却器11を通流し、したがって、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却され、すると、冷却媒体は、チラー14へ、及びチラー14を通って流れることができるか、又は流れる。
【0054】
第1の切換状態では、流れ通路15を通流する冷却媒体の流れ方向において、第2の周囲空気冷却器11が第1の接続箇所V1の下流かつ流れ通路15における凝縮器13の上流に配置されるように、流れ分岐部10は、弁装置17を介して流れ通路15に連通している。周囲空気冷却器4に加えて設けられる周囲空気冷却器11が、弁装置17を用いて必要に応じて、したがって選択的に冷却回路5ひいてはエネルギー貯蔵部6及びチラー又は流れ通路15ひいては凝縮器13へ割り当てられることができるか、配分されることができるか、又は接続されることができることが
図1及び
図2から見て取れる。特に、第1の切換状態では、周囲空気冷却器11を用いて、凝縮器13のための予冷却を実現することが可能である。
【0055】
図1に示された第1の切換状態では、第2の冷却回路5を通流する冷却媒体の少なくとも主要な部分が流れ通路10ひいては第2の周囲空気冷却器11を通流しないように、第2の冷却回路5は、弁装置17を用いて流れ通路10から分離されている。
【0056】
弁装置17の切換状態は、特に、少なくとも、供給管路9を通る冷却媒体の流れがなされないままである、すなわち補整容器7を用いた体積変動及び/又は量変動の補整がなされないままであるこのような各状態に関するものである。換言すれば、両切換状態においては供給管路9の考察がなされない。
【0057】
低温媒体回路12は、圧縮低温機械として形成され、又は動作可能な原動機付き車両の空調装置の低温媒体回路である。このとき、低温媒体回路12には低温媒体圧縮機18が配置されており、当該低温媒体圧縮機を用いて、低温媒体は、低温媒体回路12を通って搬送されることが可能である。そのほか、提案媒体圧縮機18を用いて低温媒体を圧縮することが可能である。低温媒体圧縮機18は、低温媒体回路12を通流する低温媒体の流れ方向において、チラー14の下流かつ凝縮器13の上流に配置されている。低温媒体回路12では、例えば別の凝縮器19が凝縮器13の上流かつ低温媒体圧縮機18の下流に配置されており、当該別の凝縮器は、ヒートポンプ凝縮器とも呼ばれるか、又はヒートポンプ凝縮器として形成されている。
【0058】
低温媒体回路12では、蒸発器20が凝縮器13の下流に配置されており、当該蒸発器は、流れ技術的にチラー14に対して並列に接続されている。低温媒体は、蒸発器20を用いて蒸発され、これにより、例えば蒸発器20の周囲を流れ、及び/又は通流する空気が冷却される。蒸発器20を用いて冷却される空気は、例えば原動機付き車両の内室へ供給される。凝縮器13の下流かつ蒸発器20の上流には、低温媒体を膨張させる膨張弁21が配置されている。このとき、凝縮器13の下流かつチラー14の上流に別の膨張弁22を配置することが考えられ、低温媒体は、当該別の膨張弁を用いて膨張されることが可能である。膨張弁21は、流れ技術的にチラー14及び膨張弁22に対して並列に接続されているため、膨張弁22は、流れ技術的に蒸発器20及び膨張弁21に対して並列に接続されている。低温媒体圧縮機18は、蒸発器20及びチラー14の下流に配置されている。
【0059】
そのほか、低温媒体回路12には内部の熱交換器23を配置することができ、当該内部の熱交換器は、部分的には低温媒体圧縮機18の上流かつチラー14及び蒸発器20の下流に、部分的には凝縮器13の下流かつチラー14及び蒸発器20の上流に配置されている。熱交換器23を用いて、例えば、凝縮器13からチラー14及び蒸発器20へ流れる低温媒体から蒸発器20及びチラー14から低温媒体圧縮機18へ流れる低温媒体へ熱を伝達することが可能である。これにより、空調装置の特に効率的な動作を実現することが可能である。
【0060】
さらに、冷却回路5にはポンプ16に加えて設けられたポンプ24が配置されており、冷却媒体は、当該ポンプを用いて、第2の冷却回路5を通って搬送されることができるか、又は搬送される。ポンプ16及び/又はポンプ24が電気的に動作可能なポンプとして形成されていることが考えられる。
【0061】
さらに、ファンとも呼ばれる送風装置25が少なくとも周囲空気冷却器4に割り当てられており、当該送風装置を用いて、空気を搬送することが可能である。送風装置25を用いて搬送される空気は周囲空気冷却器4の周囲を流れ、これにより、原動機付き車両が停止しているか、又はゆっくりと走行しているときに、周囲空気冷却器4を通流する冷却媒体も周囲空気冷却器4を用いて冷却されることが可能である。特に、周囲空気冷却器4,11のうち1つが車両長手方向において前方へ向けてそれぞれ他の周囲空気冷却器11あるいは4によって少なくとも部分的に重なるように、周囲空気冷却器4,11が車両長手方向において互いに、あるいは互いに連続して配置されることが考えられる。好ましくは、送風装置25は、電気的な送風装置、したがって電気的に動作可能な送風装置である。
【0062】
例えば、弁装置17は、電気的に、第1の切換状態から第2の切換状態へ切換可能であるとともに、例えば第2の切換状態に保持されることができる。このとき、例えばバネ装置26が設けられており、当該バネ装置を用いて、弁装置17は第2の切換状態から第1の切換状態へ切換可能である。
【0063】
図3には、冷却システム1の第2の実施形態が概略的に図示されている。冷却回路2に互いに別々に形成され、したがって個別の2つの熱源Q1,Q2を配置することが考えられ、熱源Q1,Q2は、流れ技術的に、すなわち冷却回路2を通流する冷却媒体の流れ方向において、互いに並列に配置又は接続されている。このために、例えば熱源Q1は冷却回路2の第1の分岐部S1に配置され、熱源Q2は冷却回路2の第2の分岐部S2に配置されており、分岐部S1,S2は、流れ技術的に互いに並列に接続又は配置されている。特に、熱源Q1,Q2のうち1つ、特に熱源Q2が例えば電気機械として形成された駆動機械3であることが考えられる。さらに、熱源Q1,Q2のうち他方のもの、特に熱源Q1が、駆動機械3に加えて設けられた原動機付き車両を駆動可能な第2の駆動機械であることが考えられ、第2の駆動機械は、原動機付き車両を特に純粋に電気的に駆動する特に別の電気機械であってよく、第2の電気機械は、内燃エンジンである。また、熱源Q1が駆動機械3であることが考えられ、その場合、熱源Q2が第2の駆動機械であることが考えられる。
【0064】
冷却回路2が、特に熱源Q1,Q2の上流かつ周囲空気冷却器4の下流に配置された分岐箇所Aにおいて、合流箇所Zで再び合流する流れ分岐部S1,S2(内)へ分岐することが考えられる。合流箇所Zは、熱源Q1,Q2の下流かつ周囲空気冷却器4の上流に配置されている。したがって、例えば、冷却媒体が冷却回路2を通流するときには、冷却回路2を通流する冷却媒体の第1の部分が分岐部S1を通って流れ、したがって、熱源Q1を通って流れ、冷却回路2を通流する冷却媒体の第2の部分は、分岐部S2を通って流れ、したがって熱源Q2を通って流れる。したがって、熱源Q1は、冷却回路2を通流する冷却媒体の第1の部分を用いて冷却され、熱源Q2は、冷却回路2を通流する冷却媒体の第2の部分を用いて冷却される。特に、分岐箇所Aでは、第1の部分及び第2の部分を含み全流とも呼ばれる冷却回路2を通流する冷却媒体の流れも第1の部分及び第2の部分に分割され、合流箇所Zでは、第1の部分及び第2の部分が特に全流へ再び合流される。特に、全流又は全流の少なくとも一部、特に少なくとも主要な部分が、周囲空気冷却器4を通流し、周囲空気冷却器4を用いて冷却されることが可能であることが考えられる。
【0065】
図3では、第1の冷却回路2が特に分岐部S2を通して弁装置17を介して流れ分岐部10に連通している第1の状態に弁装置17があり、これにより、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体の少なくとも一部、特に第1の冷却回路2を通流する冷却媒体の第1の部分が、第2の周囲空気冷却器11を通流可能であるとともに、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却されることができ、したがって、第2の周囲空気冷却器2を通流するとともに、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却される。冷却回路2を通流する冷却媒体の第2の部分が周囲空気冷却器11を用いて冷却された後、流れ分岐部10を通流する冷却媒体、すなわち冷却媒体の第2の部分が、弁装置17を介して流れ分岐部10から流出し、冷却回路2、特に分岐部S2へ流入し、周囲空気冷却器11を用いて冷却された冷却媒体は、熱源Q2を通流してこれにより冷却する。弁装置17が分岐部S2を通流する冷却媒体の流れ方向において熱源Q2の上流かつ特に分岐箇所Aの下流に配置されるように、弁装置17が流れ分岐部10及び分岐部S2に配置されていることが見て取れる。
【0066】
第2の実施形態では、熱源Q1,Q2に加えて設けられた熱源Q3が第2の冷却回路5に配置されている。熱源Q1,Q2,Q3は、それぞれ互いの外部に配置されている。特に、熱源Q3は、電気的なエネルギー貯蔵部6である。換言すれば、エネルギー貯蔵部6は、第2の冷却回路5を通流する冷却媒体を用いて冷却され得る、すなわち冷却される熱源であり、第2の実施形態では、第2の冷却回路5に配置され第2の冷却回路5を通流する冷却媒体を用いて冷却され得る熱源が熱源Q3である。
【0067】
図3に示された第1の切換状態では、冷却回路5を通流する冷却媒体は、熱源Q3からチラー14へのその経路において、弁装置17を通って流れるとともに、周囲空気冷却器11をう回する。換言すれば、冷却回路5を通流する冷却媒体は、熱源Q3からチラー14へのその経路において、第1の切換状態では周囲空気冷却器11を通らずに流れ、したがって、周囲空気冷却器11を用いて冷却されない。チラー14に代えて、他の熱交換器、特に他の蒸発器を設けることが可能である。
【0068】
弁装置17が第2に切換状態にあれば、第2の冷却回路5が弁装置17を介して流れ分岐部10に連通しており、これにより、第2の冷却回路5を通流する冷却媒体の少なくとも一部、特に第2の冷却回路2を通流する冷却媒体の全ての冷却媒体が第2の周囲空気冷却器11を通流可能であるとともに、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却されることができ、したがって、第2の周囲空気冷却器11を通流し、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却される。弁装置17が第2に切換状態にあれば、弁装置17が冷却回路5において熱源Q3の下流かつチラー14の上流に配置されているため、冷却媒体は、熱源Q3からチラー14へのその経路において、冷却回路5から分岐され、弁装置17を介して流れ分岐部10へ導入され、すると、冷却媒体は、流れ分岐部10ひいては周囲空気冷却器11を通流し、周囲空気冷却器11を用いて冷却される。その後、流れ分岐部10を通流する冷却媒体は、弁装置17を介して再び冷却回路5へ導入され、すると、周囲空気冷却器11を用いて冷却される冷却媒体が冷却回路5を通流することができ、特にチラー14を通流することが可能である。チラー15及びこのとき冷却回路を通流する冷却媒体は、周囲空気冷却器11に加えてチラー14を用いて冷却されることができるため、熱源Q3の効果的かつ効率的な冷却を実現することが可能である。
【0069】
第1の実施形態のように、第2の実施形態においても、供給管路9は任意(オプション)であるため、供給管路9を省略することが可能である。特に供給管路9が省略されるときに設けられる補整容器29もオプションで設けられている。そして、特に、冷却回路5における冷却媒体の体積変動及び/又は量変動を補整容器26を用いて補整するために、補整容器26を第2に冷却回路5に割り当てることが可能である。例えば、供給管路9が設けられていれば、他負えば補整容器7,26のうち1つで、冷却回路2,5における冷却媒体の体積変動及び/又は量変動を補整容器7あるいは26を用いて補整することを可能とするのに十分である。当然、ポンプ16,24の配置、熱源Q1,Q2,Q3の配置並びにヒートシンクである周囲空気冷却器4,11及びチラー14の配置を変更することが可能である。第2の実施形態においても、必要に応じて、熱源Q2又は熱源Q3あるいは熱源Q1,Q2及び熱源Q3の特に効果的かつ効率的な冷却を実現するために、周囲空気冷却器11は、弁装置17を用いて、冷却回路2又は冷却回路5に選択的に結合されることができ、したがって、冷却回路2又は冷却回路5に選択的に接続されることが可能である。
【0070】
図4には、
図3に示された第2に実施形態による冷却システム1の構成要素であり得るとともにオプションで設けられる低温媒体回路12が概略的に示されている。これは、低温媒体回路12が場合によっては省略され得ることを意味する。熱源Q2が低温媒体回路12に配置されていることが見て取れる。冷却媒体回路12において、熱源Q2は、冷却媒体回路12を通流する冷却媒体の流れ方向において、冷却媒体圧縮機18の下流かつ膨張弁22の上流に配置されている。特に、熱源Q2を介して低温媒体回路12を通流する低温媒体と冷却回路2、特に分岐部S2を通流する冷却媒体との間で熱を交換可能であるように、特に、熱源Q2を介して低温媒体から冷却回路2、特に分岐部S2を通流しこれにより熱源Q2を通流する冷却媒体へ熱を伝達可能であるように、特に、熱源Q2は、冷却媒体を凝縮する凝縮器であり得るか、又は冷却媒体を凝縮する凝縮器として機能若しくは動作することが可能である。これにより、低温媒体は、熱源Q2を介して冷却されることが可能である。
【0071】
図3に示された第2の実施形態では、第2の切換状態において、冷却回路5を通流する冷却媒体は、熱源Q3からチラー14へのその経路において、弁装置17を介して冷却回路5から分岐し、流れ分岐部10へ導入され、したがって、周囲空気冷却器11を通ってガイドされ、周囲空気冷却器11を用いて冷却され、すると、流れ分岐部10を通流する冷却媒体は、弁装置17を介して再び流れ通路10から導出され、冷却回路5へ導入され、すると、周囲空気冷却器11を用いて冷却される冷却媒体は、チラー14へ、及びチラー14を通って流れることが可能である。第2の切換状態では、冷却回路2を通流する冷却媒体は、分岐箇所Aから合流箇所Zへのその経路において、流れ分岐部10及び周囲空気冷却器11をう回し、したがって、分岐箇所Aから合流箇所Zへのその経路において、及びそのとき熱源Q2を通り、周囲空気冷却器11を用いて冷却されない。
【0072】
最後に、
図5には、冷却システム1の第3の実施形態が示されている。例えば、冷却システムの第1の実施形態及び/又は第2の実施形態が、電動車両、特にバッテリ電気式の車両、すなわちハイブリッド車両又は純粋に電気的に駆動可能な車両において用いられることが考えられる。その場合、特に、
図5に示された冷却システムの第3の実施形態は、従来の、したがって純粋に内燃エンジンにより駆動可能な車両において用いられることが考えられる。
【0073】
第3の実施形態による冷却システム1を備えた車両は、例えば、駆動機械3として上述の内燃エンジンを備えているとともに、内燃エンジンを用いて駆動可能である。内燃エンジンは、内燃エンジンの燃焼動作中に燃焼過程が進行する少なくとも1つ又は複数の燃焼室を備えている。各燃焼過程においては、それぞれ燃焼空気とも呼ばれる空気と特に液体状の燃料とを含む混合物(混合気)が燃焼される。内燃エンジンの特に効率的な動作を実現するために、燃焼空気は、少なくとも1つの圧縮機によって圧縮され、圧縮された空気は、チャージエア(過給気)とも呼ばれる。空気は、インレットダクトとも呼ばれる内燃エンジンの吸気ダクトを通流することができるとともに、吸気ダクトを用いて各燃焼室へ導かれる。このとき、上述の少なくとも1つの圧縮機が吸気ダクトに配置されている。さらに、吸気ダクトには、圧縮機の下流に給気冷却器(インタークーラ)27が配置されており、圧縮されこれにより加熱された空気が当該給気冷却器を通流可能である。圧縮されこれにより加熱された空気は、特に当該空気が各燃焼室へ流入する前に、給気冷却器27を用いて冷却されることが可能である。給気冷却器27が第2の冷却回路5に配置されているため、冷却回路5を通流する好ましくは液体状の冷却媒体及びチャージエアが給気冷却器27を通流可能であることが
図5から見て取れる。特に、圧縮された空気から給気冷却器27すなわち冷却回路5を通流する冷却媒体へ給気冷却器27を介して熱が移動するように、熱は、チャージエアと給気冷却器27を通流する冷却媒体との間で給気冷却器27を介して交換されることができる。これにより、チャージエアは、給気冷却器27を介して冷却される。したがって、第3の実施形態では、エネルギー貯蔵部6に代えて、あるいは熱源Q3に代えて、給気冷却器27が用いられることが見て取れるか、又は第3の実施形態では、熱源Q3として給気冷却器27が用いられる。
【0074】
図5では、第1の冷却回路2が弁装置17を介して流れ分岐部10に連通している第1の状態に弁装置17があり、これにより、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体の少なくとも一部、特に第1の冷却回路2を通流する冷却媒体の少なくとも1つの主要な部分が、特に冷却媒体が駆動機械3(内燃エンジン)を通流する前に、第1の冷却回路を通流する全冷却媒体を介して、第2の周囲空気冷却器11を通ってガイドされ、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却される。第1の切換状態では、冷却回路5を通流する冷却媒体は、周囲空気冷却器11をう回し、したがって、周囲空気冷却器11を用いて冷却されない。
【0075】
第2の切換状態では、冷却回路2を通流する冷却媒体は、周囲空気冷却器4から駆動機械3へのその経路において、弁装置17を通して流れるが、その際、流れ分岐部10ひいては周囲空気冷却器11をう回するため、第2の切換状態では、冷却回路2を通流する冷却媒体は、周囲空気冷却器4から駆動機械3へのその経路において、周囲空気冷却器11を用いて冷却されない。第2の切換状態では、冷却回路5を通流する冷却媒体は、弁装置17を用いて冷却回路5から分岐され、流れ分岐部10へ導入されるため、冷却回路5を通流する冷却媒体は、流れ分岐部10を通流し、したがって、周囲空気冷却器11を用いて冷却され、すると、周囲空気冷却器11を用いて冷却され流れ分岐部10を通流する冷却媒体は、給気冷却器27を通流し、したがって、給気冷却器27を介してチャージエアを冷却する。
【0076】
第3の実施形態では、冷却回路5において、及びこのとき給気冷却器27の下流かつ弁装置17の上流には第3の冷却器28が配置されており、当該第3の冷却器は、特に周囲空気冷却器4,11に加えて設けられているとともに、周囲空気冷却器4,11の外部に配置されている。好ましくは、第3の冷却器27は、上述の走行時、特に前進走行時に周囲空気ひいては空気が周囲を流れることが可能な第3の周囲空気冷却器である。冷却回路5を通流する冷却媒体は冷却器28を通流可能であるため、冷却回路5を通流する冷却媒体は、第3の冷却器28を介して、冷却器28を通流する空気を用いて冷却されることが可能である。
【0077】
第2の実施形態のように、第3の実施形態においても、供給管路9は任意(オプション)であるため、供給管路9を省略することが可能である。例えば、
図5に示された補整容器26も任意(オプション)である。
【0078】
全般的に、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態では、弁装置17が第1の切換状態と第2の切換状態の間で切換可能であることが分かる。第1の切換状態では、第1の冷却回路2は弁装置17を介して流れ分岐部10に連通しており、これにより、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体の少なくとも一部が、第2の周囲空気冷却器11を通ってガイドされることができるとともに、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却されることが可能である。第2の切換状態では、第2の冷却回路5は弁装置17を介して流れ分岐部10に連通しており、これにより、第2の冷却回路5を通流する冷却媒体の少なくとも一部が、第2の周囲空気冷却器11を通ってガイドされることができるとともに、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却されることが可能である。第1の実施形態では、
図1に示された第1の切換状態において、流れ分岐部10は弁装置17を介して流れ通路15に連通し、流れ通路15を介して第1の冷却回路2に連通しており、これにより、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体の少なくとも上述の部分が、流れ通路15を介して第2の周囲空気冷却器11を通ってガイドされることが可能であるとともに、第1の冷却回路2を通流する冷却媒体の少なくとも一部が、第2の周囲空気冷却器11を通ってガイドされることができるとともに、第2の周囲空気冷却器11を用いて冷却されることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 冷却システム
2 第1の冷却回路
3 駆動機械
4 第1の周囲空気冷却器
5 第2の冷却回路
6 電気的なエネルギー貯蔵部
7 補整容器
8 量
9 供給管路9
10 流れ分岐部
11 第2の周囲空気冷却器
12 低温媒体回路
13 凝縮器
14 チラー
15 流れ通路
16 ポンプ
17 弁装置
18 低温媒体圧縮機
19 凝縮器
20 蒸発器
21 膨張弁
22 膨張弁
23 内部の熱交換器
24 ポンプ
25 送風装置
26 バネ装置
27 給気冷却器
28 冷却器
29 補整容器
A 分岐箇所
Q1 熱源
Q2 熱源
Q3 熱源
S1 分岐部
S2 分岐部
V1 第1の接続箇所
V2 第2の接続箇所
Z 合流箇所
【国際調査報告】