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特表2024-530881健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンスの遺伝学ベースの分析のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンスの遺伝学ベースの分析のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20240820BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503690
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022037590
(87)【国際公開番号】W WO2023003876
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】63/223,707
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.AFFYMETRIX
3.ILLUMINA
(71)【出願人】
【識別番号】524024708
【氏名又は名称】サイファー・ジェネティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ウイス,ゲルリダ
(72)【発明者】
【氏名】コニング,マリエット
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
本開示は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するためのシステムおよび方法を提供する。対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するための方法は、(a)対象者から獲得される、またはこれに由来する生体試料を分析することによって獲得される対象者の遺伝情報を受信するステップと、(b)対象者のコンテキストデータ、活動、または生理学的測定値を含む対象者の環境情報を受信するステップと、(c)対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために遺伝情報および環境情報を処理するステップと、(d)対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を示す電子レポートを出力するステップとを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するためのコンピュータ実装方法であって、
(a)前記対象者の遺伝情報を受信するステップであって、前記遺伝情報は、前記対象者から獲得される、またはこれに由来する生体試料を分析することによって獲得される、ステップと、
(b)前記対象者の環境情報を受信するステップであって、前記環境情報は、前記対象者のコンテキストデータ、活動、または生理学的測定値を含む、ステップと、
(c)前記対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために前記遺伝情報および前記環境情報を処理するステップと、
(d)前記対象者の前記パフォーマンスまたは健康リスク状態を示す電子レポートを出力するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記パフォーマンスまたは健康リスク状態は、前記対象者のパフォーマンスもしくは健康リスクスコア、数字、または定量的メトリックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遺伝情報は、核酸配列データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸配列データは、デオキシリボ核酸(DNA)配列データ、リボ核酸(RNA)配列データ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記遺伝情報は、前記対象者の遺伝的変異を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記遺伝的変異は、一塩基多型(SNP)、コピー数多型(CNV)、挿入または欠失(インデル)、融合、および転座のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記生体試料は、唾液、口腔粘膜、血液、血漿、血清、尿、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分析は、一塩基多型(SNP)パネルアッセイ、薬理学的遺伝学アッセイ、祖先遺伝学アッセイ、臨床遺伝学アッセイ、薬理遺伝学アッセイ、スポーツパフォーマンス遺伝学アッセイ、人間ドッグ、特定の疾患リスクのための検査、片頭痛検査、甲状腺検査、湿疹検査、およびがん遺伝学アッセイのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記分析は、一塩基多型(SNP)パネルアッセイ、薬理学的遺伝学アッセイ、祖先遺伝学アッセイ、臨床遺伝学アッセイ、薬理遺伝学アッセイ、スポーツパフォーマンス遺伝学アッセイ、人間ドッグ、特定の疾患リスクのための検査、片頭痛検査、甲状腺検査、湿疹検査、およびがん遺伝学アッセイのうちの少なくとも2つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記活動は、運動すること、スポーツをすること、歩くこと、走ること、着座、起立、横になること、および睡眠のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記生理学的測定値は、前記対象者のバイタルサイン測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記バイタルサイン測定値は、心拍数、心拍変動、収縮期血圧、拡張期血圧、呼吸数、血中酸素濃度(SpO2)、呼吸ガス中の二酸化炭素濃度、ホルモンレベル、汗分析、血糖、体温、インピーダンス、伝導度、静電容量、抵抗率、筋電図検査、電気皮膚反応、神経信号、および免疫学マーカのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生理学的測定値は、前記対象者のスポーツパフォーマンス測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記スポーツパフォーマンス測定値は、最大酸素摂取量、血中乳酸、乳酸閾値、トレーニング負荷、トレーニングストレススコア、有酸素および無酸素心拍ゾーンにあった時間、ペース、パワー、距離、および時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記生理学的測定値は、人体に対する外的影響の効果を測定する生理学的メトリックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記活動または前記生理学的測定値は、電子デバイスを使用して獲得される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記電子デバイスは、ウェアラブルデバイスを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(c)は、前記対象者の前記パフォーマンスまたは健康リスク状態を、前記対象者の、疾患または障害の診断、疾患または障害の予後、疾患または障害を有するリスク、スポーツ関連の怪我のリスク、疾患または障害の治療歴、疾患または障害のための以前の治療の履歴、処方された薬剤の履歴、処方された医療デバイスの履歴、年齢、身長、体重、性別、喫煙状況、怪我リスク、トレーニング負荷状況、フィットネスレベル、競技または試合の準備性、および1つまたは複数の症状のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記1つまたは複数の症状は、慢性疲労、体重減少、吐き気、不眠、またはそれらの組み合わせを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(c)において決定される前記パフォーマンスまたは健康リスク状態に少なくとも部分的に基づいて、前記対象者のための健康計画またはトレーニング計画を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記健康計画は、疾患または障害の発症を防ぐ、疾患または障害の発症を遅らせる、疾患または障害を逆行させる、怪我を防ぐ、または前記対象者の生理学的もしくは健康状態を維持するための提案を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記健康計画は、食生活、運動、スポーツトレーニング、サプリメント、機能検査、血液検査、脳マネジメント、行動変容、皮膚ケア、環境曝露、ストレス管理、およびメンタルヘルスのうちの1つまたは複数に関連した提案を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記トレーニング計画は、トレーニングプログラムまたはトレーニングリハビリテーションプログラムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記電子レポートは、前記健康計画を示すものである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記電子レポートは、ユーザの電子デバイスのグラフィカルユーザインターフェース上に提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記ユーザは、前記対象者である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、ユーザ入力を受信するように構成される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記グラフィカルユーザインターフェースは、ソフトウェアアプリケーションを介して提示される、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記ソフトウェアアプリケーションは、モバイルソフトウェアアプリケーションを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記電子レポートを遠隔ユーザに伝送するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記遠隔ユーザは、医療従事者、ニュートリジェネティクスカウンセラ、スポーツコーチ、チームマネージャ、または個人である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記電子レポートを遠隔サーバに格納するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
(c)は、前記対象者の前記パフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために、訓練されたアルゴリズムを使用して前記遺伝情報および前記環境情報を処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記訓練されたアルゴリズムは、教師あり機械学習アルゴリズムを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記教師あり機械学習アルゴリズムは、深層学習アルゴリズム、サポートベクトルマシン(SVM)、ニューラルネットワーク、ガウシアンナイーブベイズモデル、ナイーブベイズモデル、またはランダムフォレストを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記訓練されたアルゴリズムは、教師なし機械学習アルゴリズムを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記教師なし機械学習アルゴリズムは、k-meansクラスタリングモデルまたは主成分分析を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記訓練されたアルゴリズムは、少なくとも約80%の正確性で前記対象者の前記パフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するように構成される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記訓練されたアルゴリズムは、少なくとも約80%の正確性で前記対象者のパフォーマンスまたは健康リスクスコアを決定するように構成される、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記電子レポートは、前記対象者の前記パフォーマンスまたは健康リスク状態のグラフィック表現を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記グラフィック表現は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスクスコアを経時的に描写する時系列グラフを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記対象者に治療介入を提供するために前記電子レポートを使用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記治療介入は、薬剤を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対象者の前記パフォーマンスまたは健康リスク状態は、リスクスコアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記対象者の生理学的推定または測定を修正するために前記リスクスコアを使用するステップ、および前記対象者の前記修正された生理学的推定または測定に少なくとも部分的に基づいて前記パフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項46】
前記対象者の前記修正された生理学的推定または測定に少なくとも部分的に基づいて、リスクを減少させるため、またはパフォーマンスを向上させるために、前記対象者のための健康計画またはトレーニング計画を生成するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記健康計画は、疾患または障害の発症を防ぐ、疾患または障害の発症を遅らせる、疾患または障害を逆行させる、怪我を防ぐ、または前記対象者の生理学的もしくは健康状態を維持するための提案を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記健康計画は、食生活、運動、スポーツトレーニング、サプリメント、機能検査、血液検査、脳マネジメント、行動変容、皮膚ケア、環境曝露、ストレス管理、およびメンタルヘルスのうちの1つまたは複数に関連した提案を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記トレーニング計画は、トレーニングプログラムまたはトレーニングリハビリテーションプログラムを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記健康計画に従う前記対象者に応答して、更新したパフォーマンスまたは健康リスク状態を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記電子レポートは、対象者特有の健康およびフィットネス提案をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記対象者特有の健康およびフィットネス提案は、スコアを改善するため、または前記対象者のリスクを減少させるための提案を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
少なくとも(b)および(c)は、リアルタイムで連続して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するためのシステムであって、
前記対象者の遺伝情報および前記対象者の環境情報を格納するように構成されるデータベースであって、前記遺伝情報は、前記対象者から獲得されるか、またはこれに由来する生体試料を分析することによって獲得され、前記環境情報は、前記対象者のコンテキストデータ、活動、または生理学的測定値を含む、データベースと、
前記データベースに動作可能に結合される1つまたは複数のコンピュータプロセッサであって、前記1つまたは複数のコンピュータプロセッサは、
(i)前記対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために前記遺伝情報および前記環境情報を処理し、
(ii)前記対象者の前記パフォーマンスまたは健康リスク状態を示すレポートを電子的に出力するように、個別に、またはまとめてプログラムされる、1つまたは複数のコンピュータプロセッサと、を含む、システム。
【請求項55】
1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するための方法を実施するマシン実行可能コードを備える非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
(a)前記対象者の遺伝情報を受信するステップであって、前記遺伝情報は、前記対象者から獲得される、またはこれに由来する生体試料を分析することによって獲得される、ステップと、
(b)前記対象者の環境情報を受信するステップであって、前記環境情報は、前記対象者のコンテキストデータ、活動、または生理学的測定値を含む、ステップと、
(c)前記対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために前記遺伝情報および前記環境情報を処理するステップと、
(d)前記対象者の前記パフォーマンスまたは健康リスク状態を示す電子レポートを出力するステップと、を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、2021年7月20日に出願の米国出願第63/223,707号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]人における特定の健康またはパフォーマンス状態は、遺伝的背景に作用する特定の環境条件の複合効果によって決定され得る。それは、遺伝的性質(G)+環境の変化(ΔE)=健康状態(H)という等式により要約され得る。
【発明の概要】
【0003】
[0003]遺伝子データセット、例えば、一塩基多型(SNP)遺伝子型分類データは、特定の健康状態またはパフォーマンス特性について多遺伝子リスクスコアを計算するために広く使用され得る。多遺伝子リスクスコアは、人の遺伝的リスク(G)が特定の健康状態またはパフォーマンス特性(H)にどのように影響を及ぼすかの良好な推測をもたらす一方で、それは、環境関与(ΔE)を考慮しない場合がある。
【0004】
[0004]商用の遺伝子レポートは、多数の健康およびフィットネス特性に関する学術文献に基づいた見解と相まってリスクまたはパフォーマンス状態と共に遺伝子型を提供し得る。これらのレポートは、情報が豊富であり得るが、これらのプランの影響(健康、フィットネス、およびパフォーマンス状態に対する環境の変化)は、測定して興味をそそるやり方でユーザに示すことが困難であり得るため、理解および遂行することが困難になり得る。遺伝的性質は、人の健康およびフィットネスの行程において重要な役割を果たし得る(例えば、人の遺伝子構造は、異なるスポーツにおけるその人の生理学的パフォーマンスに50%超の影響を及ぼし得る)。しかしながら、遺伝学的要素を完全に評価すること、それに従うこと、またはそれを遂行することなしに、健康およびフィットネスの決定がなされ得る。したがって、遺伝的性質がもたらすはずである健康への影響は、完全には認識されていない場合があり、商用の遺伝子レポートは、高価な検査および技術であるものに対して低い価値であると理解されている。
【0005】
[0005]継続的な生理学的モニタリングは、幅広い生理学的尺度、例えば、心肺フィットネス、安静時の心拍数、ストレスレベル、睡眠の質、トレーニング負荷、血圧、および血糖値に対するリアルタイムの見解を可能にし得る。ウェアラブルデバイスは、追跡可能な健康およびフィットネスパフォーマンススコアのアレイを提供する手頃なソリューションを提供し得る。遺伝学的な提案と同様に、これらの尺度に基づいた見解は、理解し、解釈し、日々の健康およびフィットネスプログラムへと組み込むには複雑な場合がある。ウェアラブルデバイスおよびアプリケーションからの見解は、回顧的であり得、予測能力を提供しない場合がある。メトリックおよび見解を生成するアルゴリズムは、個人化および正確性を妨げる母集団平均に大いに基づき得る。
【0006】
[0006]任意の所与の時間においてより正確な健康およびパフォーマンス状態(H)を決定するために、人の遺伝的リスク(G)に対する環境関与(ΔE)が、コンテキスト情報および継続的な生理学的モニタリングを通じて決定され得る。ライフスタイル選択が人の遺伝的背景に対して有する影響を継続的に測定し、その影響を個人に関するかつ容易に解釈可能な健康またはパフォーマンス関連のスコアを用いて表現することは、遺伝子ベースの健康およびフィットネス提案の改善された順守および採用につながり得る。
【0007】
[0007]生理学的モニタリングおよびコンテキスト情報は、健康またはパフォーマンス表現型を修正する遺伝子発現に対する環境影響を推定するために基準値遺伝子スコアへの入力としての役割を果たし得る。したがって、個人のためにパーソナライズされる人の健康およびパフォーマンス指標のリアルタイム見解および予測メトリックを可能にするために、遺伝情報を生理学的およびコンテキスト情報とシームレスに統合する使用および理解が容易な技術が必要とされている。
【0008】
[0008]本開示は、修飾因子アルゴリズム計算を通じて、容易に解釈可能な健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンス関連のスコアを出力するために、遺伝子データ、コンテキストデータ、生理学的バイオマーカおよび/または継続的な生理学的データ(例えば、ウェアラブルデバイスなどの電子デバイスから獲得され得る)を統合する方法およびシステムを提供する。本開示の方法およびシステムは、図2に描写される、個々の健康状態またはパフォーマンス特性のための修飾因子リスクスコアの概念に基づき得る。各修飾因子スコアは、静的な遺伝的関与(多遺伝子リスクスコアとして表現される、例えば、経路スコア)、および動的な時間的に変化する行動関与(継続的な生理学的モニタリングおよびコンテキスト情報を通じて測定される)を含み得る。行動関与は、ライフスタイル選択が遺伝的背景に対して有する影響を表し得る。複合修飾因子スコアは、対象者のリスクレベルを示す、リアルタイム変動スコアであり得る。リスクは、複合修飾因子スコアがいつ閾値に達するかを明示する。修飾因子リスクスコアは、日々の提案がさらなるリスクを緩和すること、ならびに予測能力が特定の健康またはトレーニング計画を前提として好ましいまたは好ましくない結果を示すことを可能にし得る。
【0009】
[0009]一態様において、本開示は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するためのコンピュータ実装方法であって、(a)対象者の遺伝情報を受信するステップであって、遺伝情報は、対象者から獲得される、またはこれに由来する生体試料を分析することによって獲得される、ステップと、(b)対象者の環境情報を受信するステップであって、環境情報は、対象者のコンテキストデータ、活動、または生理学的測定値を含む、ステップと、(c)対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために遺伝情報および環境情報を処理するステップと、(d)対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を示す電子レポートを出力するステップとを含み得る、コンピュータ実装方法を提供する。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態において、パフォーマンスまたは健康リスク状態は、対象者のパフォーマンスもしくは健康リスクスコア、数字、または定量的メトリックを含む。いくつかの実施形態において、電子レポートは、スコアを改善する、またはリスクを減少させる方法など、対象者特有の健康およびフィットネス提案をさらに含む(例えば、対象者の、パフォーマンスもしくは健康リスク状態、またはパフォーマンスもしくは健康リスクスコア、数字、または定量的メトリックに少なくとも部分的に基づいて生成される)。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態において、遺伝情報は、核酸配列データを含む。いくつかの実施形態において、核酸配列データは、デオキシリボ核酸(DNA)配列データ、リボ核酸(RNA)配列データ、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、遺伝情報は、対象者の遺伝的変異を含む。いくつかの実施形態において、遺伝的変異は、一塩基多型(SNP)、コピー数多型(CNV)、挿入または欠失(インデル)、融合、および転座のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態において、生体試料は、唾液、口腔粘膜、血液、血漿、血清、尿、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、分析は、一塩基多型(SNP)パネルアッセイ、薬理学的遺伝学アッセイ、祖先遺伝学アッセイ、臨床遺伝学アッセイ、薬理遺伝学アッセイ、スポーツパフォーマンス遺伝学アッセイ、人間ドッグ、特定の疾患リスクのための検査、片頭痛検査、甲状腺検査、湿疹検査、およびがん遺伝学アッセイのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、分析は、一塩基多型(SNP)パネルアッセイ、薬理学的遺伝学アッセイ、祖先遺伝学アッセイ、臨床遺伝学アッセイ、薬理遺伝学アッセイ、スポーツパフォーマンス遺伝学アッセイ、人間ドッグ、特定の疾患リスクのための検査、片頭痛検査、甲状腺検査、湿疹検査、およびがん遺伝学アッセイのうちの少なくとも2つを含む。いくつかの実施形態において、活動は、運動すること、スポーツをすること、歩くこと、走ること、着座、起立、横になること、および睡眠のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、生理学的測定値は、対象者のバイタルサイン測定値を含む。いくつかの実施形態において、バイタルサイン測定値は、心拍数、心拍変動、収縮期血圧、拡張期血圧、呼吸数、血中酸素濃度(SpO2)、呼吸ガス中の二酸化炭素濃度、ホルモンレベル、汗分析、血糖、体温、インピーダンス、伝導度、静電容量、抵抗率、筋電図検査、電気皮膚反応、神経信号、および免疫学マーカのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、生理学的測定値は、スポーツパフォーマンス測定値を含む。いくつかの実施形態において、スポーツパフォーマンス測定値は、最大酸素摂取量、血中乳酸、乳酸閾値、トレーニング負荷、トレーニングストレススコア、有酸素および無酸素心拍ゾーンにあった時間、ペース、パワー、距離、および時間のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、生理学的測定値は、人体に対する外的影響の効果を測定する生理学的メトリックを含む。いくつかの実施形態において、活動または生理学的測定値は、電子デバイス(例えば、ウェアラブルデバイス)を使用して獲得される。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態において、(c)は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を、対象者の、疾患または障害の診断、疾患または障害の予後、疾患または障害を有するリスク、スポーツ関連の怪我リスク、疾患または障害の治療歴、疾患または障害のための以前の治療の履歴、処方された薬剤の履歴、処方された医療デバイスの履歴、年齢、身長、体重、性別、喫煙状況、怪我リスク、トレーニング負荷状況、フィットネスレベル、競技または試合の準備性、および1つまたは複数の症状のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて決定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の症状は、慢性疲労、体重減少、吐き気、不眠、またはそれらの組み合わせを含む。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態において、本方法は、(c)において決定されるパフォーマンスまたは健康リスク状態に少なくとも部分的に基づいて、対象者のための健康計画またはトレーニング計画を生成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、健康計画は、疾患または障害の発症を防ぐ、疾患または障害の発症を遅らせる、疾患または障害を逆行させる、怪我を防ぐ、または対象者の生理学的もしくは健康状態を維持するための提案を含む。いくつかの実施形態において、健康計画は、食生活、運動、スポーツトレーニング、サプリメント、機能検査、血液検査、脳マネジメント、行動変容、皮膚ケア、環境曝露、ストレス管理、およびメンタルヘルスのうちの1つまたは複数に関連した提案を含む。いくつかの実施形態において、トレーニング計画は、トレーニングプログラムまたはトレーニングリハビリテーションプログラムを含む。いくつかの実施形態において、電子レポートは、健康計画を示すものである。いくつかの実施形態において、電子レポートは、ユーザの電子デバイスのグラフィカルユーザインターフェース上に提示される。いくつかの実施形態において、ユーザは、対象者である。いくつかの実施形態において、電子レポートは、ユーザインターフェース(例えば、個人のコンテキストの全景を提供する)を通じて表示される。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースは、ユーザ入力を受信するように構成される。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースは、ソフトウェアアプリケーション(例えば、モバイルソフトウェアアプリケーション)を介して提示される。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態において、本方法は、電子レポートを遠隔ユーザに伝送するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、電子的な健康もしくはフィットネススコアならびに/または対象者特有の健康およびフィットネス提案を遠隔ユーザに伝送するステップを含む。いくつかの実施形態において、遠隔ユーザは、医療従事者、ニュートリジェネティクスカウンセラ、スポーツコーチ、チームマネージャ、または個人である。いくつかの実施形態において、本方法は、電子レポートを遠隔サーバに格納するステップをさらに含む。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態において、(c)は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために、訓練されたアルゴリズムを使用して遺伝情報および環境情報を処理することを含む。いくつかの実施形態において、訓練されたアルゴリズムは、教師あり機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態において、教師あり機械学習アルゴリズムは、深層学習アルゴリズム、サポートベクトルマシン(SVM)、ニューラルネットワーク、ガウシアンナイーブベイズモデル、ナイーブベイズモデル、またはランダムフォレストを含む。いくつかの実施形態において、訓練されたアルゴリズムは、教師なし機械学習アルゴリズムを含む。いくつかの実施形態において、教師なし機械学習アルゴリズムは、k-meansクラスタリングモデルまたは主成分分析を含む。いくつかの実施形態において、訓練されたアルゴリズムは、少なくとも約80%の正確性で対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するように構成される。いくつかの実施形態において、訓練されたアルゴリズムは、少なくとも約80%の正確性で対象者のパフォーマンスまたは健康リスクスコアを決定するように構成される。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態において、電子レポートは、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態のグラフィック表現を含む。いくつかの実施形態において、グラフィック表現は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスクスコアを経時的に(例えば、毎日)描写する時系列グラフを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、対象者に治療介入を提供するために電子レポートを使用するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、治療介入は、薬剤を含む。いくつかの実施形態において、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態は、リスクスコアを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、対象者の生理学的推定または測定を修正するためにリスクスコアを使用するステップ、および対象者の修正された生理学的推定または測定に少なくとも部分的に基づいてパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、対象者の修正された生理学的推定または測定に少なくとも部分的に基づいて、リスクを減少させるため、またはパフォーマンスを向上させるために、対象者のための健康計画またはトレーニング計画を生成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、健康計画は、疾患または障害の発症を防ぐ、疾患または障害の発症を遅らせる、疾患または障害を逆行させる、怪我を防ぐ、または対象者の生理学的もしくは健康状態を維持するための提案を含む。いくつかの実施形態において、健康計画は、食生活、運動、スポーツトレーニング、サプリメント、機能検査、血液検査、脳マネジメント、行動変容、皮膚ケア、環境曝露、ストレス管理、およびメンタルヘルスのうちの1つまたは複数に関連した提案を含む。いくつかの実施形態において、トレーニング計画は、トレーニングプログラムまたはトレーニングリハビリテーションプログラムを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、健康計画に従う対象者に応答して、更新したパフォーマンスまたは健康リスク状態を生成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、少なくとも(b)および(c)は、リアルタイムで連続して実施される。
【0018】
[0018]別の態様において、本開示は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するためのシステムを提供し、本システムは、対象者の遺伝情報および対象者の環境情報を格納するように構成されるデータベースであって、遺伝情報は、対象者から獲得される、またはこれに由来する生体試料を分析することによって獲得され、環境情報は、対象者のコンテキストデータ、活動、または生理学的測定値を含む、データベースと、データベースに動作可能に結合される1つまたは複数のコンピュータプロセッサであって、1つまたは複数のコンピュータプロセッサは、(i)対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために遺伝情報および環境情報を処理し、(ii)対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を示すレポートを電子的に出力するように、個別に、またはまとめてプログラムされる、1つまたは複数のコンピュータプロセッサと、を備える。
【0019】
[0019]別の態様において、本開示は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するための方法を実施するマシン実行可能コードを備える非一時的なコンピュータ可読媒体を提供し、上記方法は、(a)対象者の遺伝情報を受信するステップであって、遺伝情報は、対象者から獲得される、またはこれに由来する生体試料を分析することによって獲得される、ステップと、(b)対象者の環境情報を受信するステップであって、環境情報は、対象者のコンテキストデータ、活動、または生理学的測定値を含む、ステップと、(c)対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために遺伝情報および環境情報を処理するステップと、(d)対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を示す電子レポートを出力するステップとを含み得る。
【0020】
[0020]本開示の別の態様は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、上記または本明細書内の他の場所の方法のいずれかを実施するマシン実行可能コードを備える非一時的なコンピュータ可読媒体を提供する。
【0021】
[0021]本開示の別の態様は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサ、およびそこに結合されるコンピュータメモリを備えるシステムを提供する。コンピュータメモリは、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによって実行されると、上記または本明細書内の他の場所の方法のいずれかを実施するマシン実行可能コードを備える。
【0022】
[0022]本開示の追加の態様および利点は、本開示の単なる例示的な実施形態が示され、説明される以下の詳細な説明から、当業者には容易に明白になるものとする。理解されるように、本開示は、他のおよび異なる実施形態が可能であり、またそのいくつかの詳細事項は、すべて本開示から逸脱することなく、様々な明白な観点において修正が可能である。したがって、図面および説明は、制限としてではなく、本質的に例示として見なされるものとする。
参照による組み込み
[0023]本明細書に記載されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、各々個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるかのように、同程度に参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と相反する場合、本明細書は、いかなるそのような相反する資料に優先すること、および/またはこれの上位に立つことが意図される。
【0023】
[0024]本発明の新規の特徴は、特定性を伴って添付の特許請求の範囲に明記される。本発明の特徴および利点のより良好な理解は、本発明の原則が利用される例示的な実施形態を明記する以下の詳細な説明、および添付の図面(本明細書では「図」)への参照により得られるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】[0025]対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するための方法100の例を示す図である。
図2】[0026]リスク(または、用途によってはゴール)の兆候のための閾値(紫色の線)、および、対象者が、修正されたリスクスコアとして提示される対象者のリスク閾値に関して、どこにいるかを示す紫色矢印を含む、修飾因子リスクスコアの概念の例を示す図である。
図3】[0027]修飾因子アルゴリズムの構成要素およびデータフローの例を示す図である。
図4】[0028]修飾因子アルゴリズムソリューションのためのシステム図の例を示す図である。
図5A】[0029]ログインおよびサインアップフローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図5B】ログインおよびサインアップフローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図5C】ログインおよびサインアップフローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図6A】[0030]コンテキスト情報捕捉フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図6B】コンテキスト情報捕捉フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図6C】コンテキスト情報捕捉フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図7A】[0031]遺伝子およびウェアラブルデータ連携フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図7B】遺伝子およびウェアラブルデータ連携フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図7C】遺伝子およびウェアラブルデータ連携フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図7D】遺伝子およびウェアラブルデータ連携フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図7E】遺伝子およびウェアラブルデータ連携フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図8A】[0032]今日のトレーニング、回復時間、状況的回復活動の捕捉、およびフィットネス進行状況のドリルダウン画面と一緒に、修飾因子アルゴリズムによって計算されるフィットネスメトリクスの概要を表示するダッシュボードを含む、ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図8B】今日のトレーニング、回復時間、状況的回復活動の捕捉、およびフィットネス進行状況のドリルダウン画面と一緒に、修飾因子アルゴリズムによって計算されるフィットネスメトリクスの概要を表示するダッシュボードを含む、ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図8C】今日のトレーニング、回復時間、状況的回復活動の捕捉、およびフィットネス進行状況のドリルダウン画面と一緒に、修飾因子アルゴリズムによって計算されるフィットネスメトリクスの概要を表示するダッシュボードを含む、ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図8D】今日のトレーニング、回復時間、状況的回復活動の捕捉、およびフィットネス進行状況のドリルダウン画面と一緒に、修飾因子アルゴリズムによって計算されるフィットネスメトリクスの概要を表示するダッシュボードを含む、ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図8E】今日のトレーニング、回復時間、状況的回復活動の捕捉、およびフィットネス進行状況のドリルダウン画面と一緒に、修飾因子アルゴリズムによって計算されるフィットネスメトリクスの概要を表示するダッシュボードを含む、ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図9A】[0033]個々の怪我(ACL、アキレス腱、疲労骨折、腱板)についての日々の遺伝的に適応したリスク、および経時的な生理学的フィットネスを伴う遺伝的に適応した怪我リスクを示す、怪我リスクフィーチャページを含むソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図9B】個々の怪我(ACL、アキレス腱、疲労骨折、腱板)についての日々の遺伝的に適応したリスク、および経時的な生理学的フィットネスを伴う遺伝的に適応した怪我リスクを示す、怪我リスクフィーチャページを含むソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図9C】個々の怪我(ACL、アキレス腱、疲労骨折、腱板)についての日々の遺伝的に適応したリスク、および経時的な生理学的フィットネスを伴う遺伝的に適応した怪我リスクを示す、怪我リスクフィーチャページを含むソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図9D】個々の怪我(ACL、アキレス腱、疲労骨折、腱板)についての日々の遺伝的に適応したリスク、および経時的な生理学的フィットネスを伴う遺伝的に適応した怪我リスクを示す、怪我リスクフィーチャページを含むソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図である。
図10】[0034]遺伝率スコア(パーセンテージで示される)および全体的な怪我リスク経路と一緒に、4つの一般的な使い過ぎによる怪我のタイプのための遺伝子経路リスクスコアを計算するために使用される個々の一塩基多型(SNP)の例を示す図である。
図11】[0035]計算された経路スコアの確率密度関数の例を示す図である。
図12】[0036]図11に示される対応する経路スコアの累積分布関数の例を示す図である。
図13A】[0037]遺伝的性質なしに決定される第1の怪我リスク分布(赤色)および遺伝的性質を用いて決定される第2の怪我リスク分布(緑色)を含む、経路スコアに応じた怪我リスクの遷移の例を示す図である。
図13B】遺伝的性質なしに決定される第1の怪我リスク分布(赤色)および遺伝的性質を用いて決定される第2の怪我リスク分布(緑色)を含む、経路スコアに応じた怪我リスクの遷移の例を示す図である。
図13C】遺伝的性質なしに決定される第1の怪我リスク分布(赤色)および遺伝的性質を用いて決定される第2の怪我リスク分布(緑色)を含む、経路スコアに応じた怪我リスクの遷移の例を示す図である。
図13D】遺伝的性質なしに決定される第1の怪我リスク分布(赤色)および遺伝的性質を用いて決定される第2の怪我リスク分布(緑色)を含む、経路スコアに応じた怪我リスクの遷移の例を示す図である。
図14】[0038]本明細書に提供される方法を実施するようにプログラムまたは別途構成されるコンピュータシステムを示す図である。
図15】[0039]遺伝的修飾因子を使用して怪我をモデリングするためのフレームワークの例を示す図である。
図16】[0040]修正されたTQRアルゴリズムの例を示す図である。
図17】[0041]怪我リスクモデルおよび標準ACWRモデルの感度の例を示す図である。
図18】[0042]怪我リスクモデルおよび標準ACWRモデルの特異性の例を示す図である。
図19】[0043]怪我リスクモデルおよび標準ACWRモデルによって決定されるようなアスリートの怪我リスクの時系列の例を示す図である。
図20A】[0044]選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図20B】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図20C】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図20D】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図20E】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図20F】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図20G】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図21A】[0045]選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す図である。
図21B】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す図である。
図21C】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す図である。
図21D-1】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す図である。
図21D-2】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す図である。
図21E】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す図である。
図21F】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す図である。
図21G】選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す図である。
図22A】[0046]マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22B】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22C】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22D】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22E】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22F】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22G】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22H】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22I】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22J】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22K】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
図22L】マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0047]本発明の様々な実施形態が本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態が単に例として提供されることは当業者には明白であるものとする。多数の変動、変更、および置換が、本発明から逸脱することなく当業者に想起され得る。本明細書に説明される本発明の実施形態に対する様々な代替形態が採用され得ることを理解されたい。
【0026】
[0048]本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈が明白に別のことを示さない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「(1つの)生体試料」は、その混合物を含む、複数の生体試料を含む。
【0027】
[0049]本明細書において使用される場合、用語「対象者」は、概して、検査可能または検出可能な遺伝子、ニュートリジェネティクス、または他の健康もしくは他の生理学的パラメータまたは情報を有する有機体を指す。対象者は、人間であり得る。対象者は、例えば、哺乳動物など、脊椎動物であり得る。哺乳動物の非限定的な例としては、ヒト、サル、家畜、競技用動物、およびペットが挙げられる。対象者は、動物、植物、菌類、古細菌、またはバクテリアなど、有機体であり得る。対象者は、ヒトであり得る。対象者は、非ヒトであり得る。対象者は、疾患など、健康または生理学的状態を有し得るか、または有する疑いがあり得る。いくつかの例において、対象者は、患者である。代替として、対象者は、健康または生理学的状態(例えば、疾患)に対して無症状であり得る。
【0028】
[0050]用語「生体試料」は、本明細書において使用される場合、概して、対象者から獲得され得る生体試料を指す。対象者から獲得される試料は、ヒト、動物、植物、菌類、またはバクテリアからの生体試料を含み得る。試料は、疾患もしくは障害を患う対象者から、疾患もしくは障害を有する疑いのある対象者から、または疾患もしくは障害を有さない、もしくは有する疑いのない対象者から獲得され得る。疾患または障害は、感染症、免疫異常もしくは疾患、がん、遺伝性疾患、変性疾患、生活習慣病、怪我、希少疾病、または加齢に伴う疾患であり得る。感染症は、バクテリア、ウイルス、菌類、および/または寄生生物によって引き起こされ得る。試料は、疾患または障害を患う対象者の治療前および/または後に取得され得る。試料は、治療中または治療計画中に取得され得る。治療の効果を経時的にモニタするために、複数の試料が対象者から取得され得る。試料は、確定的な陽性または陰性診断が臨床検査から利用可能ではない疾患または障害を有する、または有する疑いのある対象者から取得され得る。
【0029】
[0051]試料は、疾患または障害を有する疑いのある対象者から獲得され得る。対象者は、疲労、吐き気、体重減少、疼きおよび痛み、虚弱、または記憶障害などの説明のつかない症状を経験している場合がある。対象者は、説明のつく症状を有し得る。対象者は、家族歴、年齢、環境暴露、生活習慣リスク因子、または他の既知のリスク因子の存在などの因子に起因して疾患または障害を発症する危険性があり得る。
【0030】
[0052]試料は、唾液、口腔粘膜、血液、血漿、血清、細胞、組織(例えば、正常または腫瘍)、尿、便(排泄物)、またはそれらの派生物もしくは組み合わせなど、対象者(例えば、ヒト対象者)からの生体試料を含み得る。試料は、腫瘍試料など、組織試料であり得る。試料は、血液(例えば、全血)、汗、唾液、または尿試料など、無細胞試料であり得る。生体試料は、異なる温度(例えば、室温、冷蔵または冷凍条件下、4℃、-18℃、-20℃、または-80℃で)、または異なる防腐剤(例えば、アルコール、ホルムアルデヒド、重クロム酸カリウム、またはEDTA)など、処理前に様々な格納条件で格納され得る。
【0031】
[0053]本明細書において使用される場合、用語「核酸」は、概して、任意の長さのヌクレオチドの多量体型、デオキシリボヌクレオチド(dNTP)もしくはリボヌクレオチド(rNTP)のいずれか、またはその類似体を指す。核酸は、任意の3次元構造を有し得、既知または未知の任意の機能を実施し得る。核酸の非限定的な例としては、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、遺伝子または遺伝子断片のコードまたは非コード領域、連鎖分析から画定される座(遺伝子座)、エクソン、イントロン、伝令RNA(mRNA)、転移RNA、リボゾームRNA、短干渉RNA(siRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組み換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクタ、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、およびプライマが挙げられる。核酸は、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体など、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、核酸の組み立て前または後に行われ得る。核酸のヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。核酸は、レポータ剤との接合または結合などによって、重合後にさらに修飾され得る。
【0032】
[0054]核酸分子は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)分子、またはそれらの組み合わせを含み得る。DNAまたはRNA分子は、MP BiomedicalsからのFastDNAキットプロトコルなど、様々な方法により試料から抽出され得る。抽出方法は、試料からすべてのDNA分子を抽出し得る。代替的に、抽出方法は、例えば、DNA分子内の特定の遺伝子を標的とすることにより、試料からDNA分子の一部分を選択的に抽出し得る。代替的に、試料からの抽出RNA分子が、逆転写(RT)によりDNA分子に変換され得る。いくつかの実施形態において、試料を獲得した後、試料は、複数のゲノム配列を生成するために処理され得る。例えば、試料を処理することは、試料から複数の核酸(DNAまたはRNA)分子を抽出すること、および複数の核酸(DNAまたはRNA)シーケンスリードを生成するために複数の核酸(DNAまたはRNA)分子をシーケンシングすることを含み得る。
【0033】
[0055]シーケンシングは、超並列シーケンシング(Massively Parallel Sequencing:MPS)、ペアエンドシーケンシング、高スループットシーケンシング、次世代シーケンシング(Next-Generation Sequencing:NGS)、ショットガンシーケンシング、1分子シーケンシング(例えば、Pacific Biosciences of California)、ナノポアシーケンシング(例えば、Oxford Nanopore)、半導体シーケンシング、ピロシーケンシング(例えば、454シーケンシング)、合成によるシーケンシング(Sequencing-By-Synthesis:SBS)、ライゲーションによるシーケンシング、およびハイブリゼーションによるシーケンシング、またはRNA-Seq(Illumina)など、任意の好適なシーケンシング法によって実施され得る。シーケンス識別は、アレイなどの遺伝子型分類手法を使用して実施され得る。例として、アレイは、マイクロアレイ(例えば、AffymetrixまたはIllumina)であり得る。
【0034】
[0056]シーケンシングは、核酸増幅(例えば、DNAまたはRNA分子の)を含み得る。いくつかの実施形態において、核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。好適な回数のPCR(例えば、PCR、qPCR、逆転写PCR、デジタルPCRなど)が、初期量の核酸(例えば、DNA)を、後続のシーケンシングまたは遺伝子型分類のために所望の入力量へと十分に増幅するように実施され得る。場合によっては、PCRは、核酸のグローバル増幅のために使用され得る。これは、まず異なる分子に連結され得、その後にユニバーサルプライマを使用したPCR増幅が続くアダプタ配列を使用することを含み得る。PCRは、例えば、Life Technologies、Affymetrix、Promega、Qiagenなどによって提供されるいくつかの市販のキットのうちのいずれかを使用して実施され得る。他の場合においては、核酸の母集団内の特定の標的核酸のみが増幅され得る。特定のプライマが、おそらくはアダプタ連結と併せて、下流シーケンシングまたは遺伝子型分類のために特定の標的を選択的に増幅するために使用され得る。PCRは、がんマーカ(例えば、BRCA1および2)などの1つまたは複数の疾患または障害に対応するゲノム遺伝子座など、1つまたは複数のゲノム遺伝子座の標的増幅を含み得る。シーケンシングまたは遺伝子型分類は、Qiagen、NEB、Thermo Fisher Scientific、またはBio-Radによって提供されるOneStep RT-PCRキットプロトコルなど、同時の逆転写(RT)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を含み得る。
【0035】
[0057]本明細書において使用される場合、用語「増幅すること」および「増幅」は、同義に使用され、概して、核酸の1つもしくは複数の複製または「増幅産物」を生成することを指す。用語「DNA増幅」は、概して、DNA分子の1つもしくは複数の複製または「増幅DNA産物」を生成することを指す。用語「逆転写増幅」は、概して、逆転写酵素の作用によるリボ核酸(RNA)テンプレートからのデオキシリボ核酸(DNA)の生成を指す。例えば、DNA分子のシーケンシングまたは遺伝子型分類は、DNA分子の増幅ありまたはなしで実施され得る。
【0036】
[0058]DNAまたはRNA分子は、複数の試料の多重化を可能にするために、例えば、識別可能なタグを用いてタグ付けされ得る。任意の数のDNAまたはRNA試料が多重化され得る。例えば、多重化反応は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、または100超の初期試料からのDNAまたはRNAを含み得る。例えば、複数の試料は、各DNAまたはRNA分子が、DNAまたはRNA分子が由来する試料(および環境または対象者)まで遡ることができるように、試料バーコードでタグ付けされ得る。そのようなタグは、連結によって、またはプライマを用いたPCR増幅によって、DNAまたはRNA分子に付着され得る。
【0037】
[0059]核酸分子に対してシーケンシングを行った後、好適なバイオインフォマティクスプロセスが、複数のゲノム配列を生成するためにシーケンスリードに対して実施され得る。例えば、シーケンスリードは、品質についてフィルタリングされ得るか、低品質を除去するためにトリミングされ得るか、または1つもしくは複数のリファレンスゲノム(例えば、ヒトゲノム)に整列され得る。
【0038】
[0060]いくつかの実施形態において、生体試料を獲得した後、生体試料は、プロテオーム、メタボローム、またはそれらの任意の組み合わせを生成するために処理され得る。例えば、生体試料を処理することは、生体試料から複数のタンパク質を抽出すること、ならびに複数のタンパク質を分析して複数のタンパク質を識別および/または数値化し、以て、生体試料のプロテオームを生成することを含み得る。別の例として、生体試料を処理することは、生体試料から複数の代謝物を抽出すること、ならびに複数の代謝物を分析して複数の代謝物を識別および/または数値化し、以て、生体試料のメタボロームを生成することを含み得る。抽出方法は、生体試料からすべてのタンパク質および/または代謝物を抽出し得る。代替的に、抽出方法は、例えば、特定のタンパク質および/または代謝物を標的とするためにプローブまたは抗体などの結合試薬の使用により、生体試料からタンパク質および/または代謝物の一部分を選択的に抽出し得る。
【0039】
[0061]本明細書において使用される場合、ユーザは、最終消費者、最終消費者に対して健康関連の提案および他の情報を生成するためにヒト遺伝子データを分析し得る少なくとも1つの製品を有する企業、いかなる製品も有さないが、研究などの他の目的のためにヒト遺伝子データを利用し得る組織、生体試料および/またはニュートリジェネティクスデータが獲得される対象者、または医師、看護師、ニュートリジェネティクスカウンセラ、もしくは他の医療従事者であり得る。遺伝子データは、ニュートリジェネティクス異常を含み得るニュートリジェネティクスデータを含み得る。遺伝子データは、スポーツパフォーマンス、エネルギー代謝、およびスポーツ栄養データを含み得る。
【0040】
[0062]用語「ニュートリジェネティクス」および「ニュートリゲノミクス」は、本明細書において使用される場合、概して、対象者のゲノム、栄養、および健康の関係性などの栄養遺伝子または栄養ゲノム情報を指す。例えば、ニュートリジェネティクス分析は、遺伝子変異を有する核酸配列の分析に基づいて食生活および栄養物に対する対象者の異種反応または反応差を識別または予測することに関連し得る一方、ニュートリゲノミクス分析は、対象者の遺伝子発現に対する食生活および栄養物の影響に関連し得る。
【0041】
[0063]用語「ニュートリジェネティクス異常」は、本明細書において使用される場合、概して、例えば、ニュートリジェネティクス変異など、対象者のゲノムにおける栄養関連の異常を指す。ニュートリジェネティクス異常は、例えば、一塩基多型(SNP)、コピー数多型(CNV)、挿入もしくは欠失(インデル)、融合、または転座など、対象者の栄養および健康と関連(例えば、因果関係または高度に相関した関係、例えば、R>0.8または0.9での相関など)を有する遺伝的変異であり得る。ニュートリジェネティクス変異は、例えば、栄養物に対する反応差(例えば、特異的な遺伝子発現またはDNAメチル化)と関連付けられた遺伝的変異であり得る。
【0042】
[0064]用語「少なくとも」、「~超」、または「~以上」が一連の2つ以上の数値における最初の数値に先行するときはいつも、用語「少なくとも」、「~超」、または「~以上」は、その一連の数値における数値の各々に当てはまる。例えば、1、2、または3以上は、1以上、2以上、または3以上と等価である。
【0043】
[0065]用語「~を超えない」、「~未満」、または「~以下」が一連の2つ以上の数値における最初の数値に先行するときはいつも、用語「~を超えない」、「~未満」、または「~以下」は、その一連の数値における数値の各々に当てはまる。例えば、3、2、または以下は、3以下、2以下、または1以下と等価である。
【0044】
[0066]人における特定の健康またはパフォーマンス状態は、遺伝的背景に作用する特定の環境条件の複合効果によって決定され得る。それは、遺伝的性質(G)+環境の変化(ΔE)=健康状態(H)という等式によって要約され得る。
【0045】
[0067]遺伝子データセット、例えば、一塩基多型(SNP)遺伝子型分類データは、特定の健康状態またはパフォーマンス特性について多遺伝子リスクスコアを計算するために広く使用され得る。多遺伝子リスクスコアは、人の遺伝的リスク(G)が特定の健康状態またはパフォーマンス特性(H)にどのように影響を及ぼすかの良好な推測をもたらす一方で、それは、環境寄与(ΔE)を考慮しない場合がある。
【0046】
[0068]商用の遺伝子レポートは、多数の健康およびフィットネス特性に関する学術文献に基づいた見解と相まってリスクまたはパフォーマンス状態と共に遺伝子型分類結果を提供し得る。これらのレポートは、情報が豊富であり得るが、これらのプランの影響(環境の変化に起因する健康、フィットネス、およびパフォーマンス状態の変化)は、測定して興味をそそるやり方でユーザに示すことが困難であることがあるため、理解および遂行することが困難になり得る。遺伝的性質は、人の健康およびフィットネスの行程において重要な役割を果たし得る(例えば、人の遺伝子構造は、異なるスポーツにおけるその人の生理学的パフォーマンスに50%超の影響を及ぼし得る)。しかしながら、遺伝学的要素を完全に評価すること、それに従うこと、またはそれを遂行することなしに、健康およびフィットネスの決定がなされ得る。したがって、遺伝的性質がもたらすはずである健康への影響は、完全には認識されていない場合があり、商用の遺伝子レポートは、高価な検査および技術であるものに対して低い価値であると理解されている。
【0047】
[0069]継続的な生理学的モニタリングは、幅広い生理学的尺度、例えば、心肺フィットネス、安静時の心拍数、ストレスレベル、睡眠の質、トレーニング負荷、血圧、および血糖値に対するリアルタイムの見解を可能にし得る。ウェアラブルデバイスは、追跡可能な健康およびフィットネスパフォーマンススコアのアレイを提供する手頃なソリューションを提供し得る。遺伝学的な提案と同様に、これらの尺度に基づいた見解は、理解し、解釈し、日々の健康およびフィットネスプログラムへと組み込むには複雑な場合がある。ウェアラブルデバイスおよびアプリケーションからの見解は、回顧的であり得、予測能力を提供しない場合がある。メトリックおよび見解を生成するアルゴリズムは、個人化および正確性を妨げる母集団平均に大いに基づき得る。
【0048】
[0070]任意の所与の時間においてより正確な健康およびパフォーマンス状態(H)を決定するために、人の遺伝的リスク(G)に対する環境関与(ΔE)が、コンテキスト情報および継続的な生理学的モニタリングを通じて決定され得る。ライフスタイル選択が人の遺伝的背景に対して有する影響を継続的に測定し、その影響を個人に関するかつ容易に解釈可能な健康またはパフォーマンス関連のスコアを用いて表現することは、遺伝子ベースの健康およびフィットネス提案の改善された順守および採用につながり得る。
【0049】
[0071]生理学的モニタリングおよびコンテキスト情報は、健康またはパフォーマンス表現型を修正する遺伝子発現に対する環境影響を推定するために基準値遺伝子スコアへの入力としての役割を果たし得る。したがって、個人のためにパーソナライズされる人の健康およびパフォーマンス指標のリアルタイム見解および予測メトリックを可能にするために、遺伝情報を生理学的およびコンテキスト情報とシームレスに統合する使用および理解が容易な技術が必要とされている。
【0050】
[0072]本開示は、修飾因子アルゴリズム計算を通じて、容易に解釈可能な健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンス関連のスコアを出力するために、遺伝子データ、コンテキストデータ、ウェアラブルデバイスから獲得される生理学的バイオマーカおよび/または継続的な生理学的データを統合する方法およびシステムを提供する。本開示の方法およびシステムは、図2に描写される、個人の健康状態またはパフォーマンス特性のための修飾因子リスクスコアの概念に基づき得る。各修飾因子スコアは、静的な遺伝的関与(多遺伝子リスクスコアとして表現される、例えば、経路スコア)、および動的な時間的に変化する行動関与(継続的な生理学的モニタリングおよびコンテキスト情報を通じて測定される)を含み得る。行動関与は、ライフスタイル選択が遺伝的背景に対して有する影響を表し得る。複合修飾因子スコアは、対象者のリスクレベルを示す、リアルタイム変動スコアであり得る。リスクは、複合修飾因子スコアがいつ閾値に達するかを明示する。修飾因子リスクスコアは、さらなるリスクを緩和するための日々の提案、ならびに特定の健康またはトレーニング計画を前提として好ましいまたは好ましくない結果を示す予測能力を可能にし得る。
【0051】
[0073]図1は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するための方法100の例を示す。方法100は、対象者の遺伝情報を受信するステップを(動作102などで)含み得る。遺伝情報は、対象者から獲得される、またはこれに由来する生体試料を分析することによって獲得され得る。方法100は、対象者の環境情報を受信するステップを(動作104などで)含み得る。環境情報は、対象者のコンテキストデータ、活動、生化学、または生理学的測定値を含み得る。方法100は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために遺伝情報および環境情報を処理するステップを(動作106などで)含み得る。パフォーマンスまたは健康リスク状態は、対象者のパフォーマンスもしくは健康リスクスコア、数字、または定量的メトリックを含み得る。方法100は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を示す電子レポートを出力するステップを(動作108などで)含み得る。電子レポートは、スコアを改善する、またはリスクを減少させる方法など、対象者特有の健康およびフィットネス提案をさらに含み得る(例えば、対象者の、パフォーマンスもしくは健康リスク状態、またはパフォーマンスもしくは健康リスクスコア、数字、または定量的メトリックに少なくとも部分的に基づいて生成される)。電子レポートは、対象者のパフォーマンスまたは健康リスクスコアを経時的に(例えば、毎日)描写する時系列グラフなど、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態のグラフィック表現を含み得る。電子レポートは、ユーザインターフェース(例えば、個人のコンテキストの全景を提供する)を通じて表示され得る。ユーザインターフェースは、ユーザ入力を受信するように構成され得る。ユーザインターフェースは、ソフトウェアアプリケーション(例えば、モバイルソフトウェアアプリケーション)を介して提示され得る。
【0052】
[0074]図2は、リスク(または、用途によってはゴール)の兆候のための閾値(紫色の線)、および、対象者が、修正されたリスクスコアとして提示される対象者のリスク閾値に関して、どこにいるかを示す紫色矢印を含む、修飾因子リスクスコアの概念の例を示す。
【0053】
[0075]リアルタイムの変動する修飾因子スコアを計算するために使用される修飾因子アルゴリズムは、修飾因子アルゴリズムの成分およびデータフローの例を示す図3に描写されるように、以下のデータフロー構造を含み得る。
【0054】
[0076]遺伝子データ、例えば、SNP遺伝子型分類結果は、複数の生化学経路についての多遺伝子リスクスコアまたは経路スコアを計算するために使用され得る。これらのスコアは、様々かつ多様な生理学的モデルのための入力としての役割を果たし得る。コンテキスト入力、例えば、年齢、性別、身長、体重、および獲得された以前の怪我は、生理学的モデルのための追加の入力としての役割を果たし得る。生理学的モデルの例としては、最大酸素摂取量、乳酸閾値、トレーニング負荷、および急性:慢性作業負荷比率(acute:chronic workload ratio:ACWR)など、スポーツパフォーマンスのモデルが挙げられる。ウェアラブルデバイスから獲得される継続的な生理学的データ、例えば、心拍派生のデータは、修飾因子アルゴリズムへのリアルタイム入力としての役割を果たし得、環境(または行為)関与と一緒に遺伝子関与を示す結合スコアである毎日の修飾因子スコアの計算を可能にする。血液結果(例えば、血糖結果)などの追加の生理学的および生化学的マーカおよびバイオマーカもまた、修飾因子アルゴリズムのための入力としての役割を果たし得る。
【0055】
[0077]本開示は、生理学的に駆動されるアルゴリズム、人工知能アルゴリズム、ウェアラブルデータを捕捉するシステムアーキテクチャ、およびソフトウェア(例えば、モバイル、デスクトップ、またはタブレット)アプリケーションソリューションを提供する。これらすべてのモジュールは、それらの実用的な見解をユーザに提供するシステムへ統合され得る。図4は、修飾因子アルゴリズムソリューションのためのシステム図の例を示す。
【0056】
[0078]モバイルアプリケーションソリューション(上のシステム図ではフロントエンドとして言及される)は、容易に解釈可能な健康およびスポーツパフォーマンス関連のスコアならびに実用的な見解をユーザに通信するために使用され得、ログインおよびサインアップフローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図5A図5Cに示されるように、標準ログインおよびサインアッププロセスに従ってユーザプロファイルを作成する。
【0057】
[0079]コンテキスト情報、例えば、性別、年齢、体重、身長、以前の怪我歴、および具体的なゴールなどのバイオメトリック情報は、コンテキスト情報捕捉フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図6A図6Cに示される以下の画面を通じて捕捉され得る。
【0058】
[0080]図7A図7Eは、遺伝子およびウェアラブルデータ連携フローのためのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す。ユーザの遺伝子データ(.txt形式でのSNP遺伝子型分類結果)は、バックエンドでユーザのプロファイルにリンクされ得る。遺伝子型分類結果は、限定されるものではないが、以下:持久力、最大酸素摂取量トレーナビリティ、緩徐筋線維、パワー、速筋線維、無酸素性閾値、強度、回復、炎症、酸化ストレス、筋損傷、怪我、腱板損傷、前十字靱帯(ACL)損傷、ITバンド損傷、疲労骨折、変形性膝関節症、およびアキレス腱損傷を含む、様々な生化学経路について個人のための多遺伝子リスクスコアまたは経路スコアを計算するアルゴリズムのための入力としての役割を果たし得る。
【0059】
[0081]ユーザのウェアラブルデバイスおよびデータは、サードパーティ認証を通じてユーザのプロファイルにリンクされ得る。心拍、速度、パワー、持続時間、時間、運動タイプ、傾斜、ラップ詳細、および他のバイオメトリックデータを含むウェアラブルデータファイルが、アップロードされ得、バックエンドにおいて様々な生理学的モデルおよび修飾因子アルゴリズムのための入力としての役割を果たし得る。
【0060】
[0082]健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンスのための修飾因子スコアは、新規のウェアラブルおよびコンテキストデータがシステムにアップロードされると、修飾因子アルゴリズムを通じて連続して更新され得る。これらのスコア出力を容易に解釈可能かつ理解可能な視覚メトリクスとしてモバイルアプリケーションユーザインターフェース上に表示することにより、ユーザは、ユーザのライフスタイル選択がユーザの遺伝的背景に与える影響、ならびにそれがユーザの健康およびパフォーマンスにどのように影響を及ぼすかを把握し得る。
【0061】
[0083]図8A図8Eは、今日のトレーニング、回復時間、状況的回復活動の捕捉、およびフィットネス進行状況のドリルダウン画面と一緒に、修飾因子アルゴリズムによって計算されるフィットネスメトリクスの概要を表示するダッシュボードを含む、ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す。動的メトリクスおよび提案は、健康レポートを通じて遺伝子検査会社によって提供され得る遺伝的リスクスコアおよび情報、またはウェアラブルデバイスアプリケーションおよびプラットフォームを通じて提供され得る母集団平均だけに基づいた生理学的モデルのみを使用する場合と比較して、より正確かつ個人的な健康およびフィットネスの行程を可能にし得る。
【0062】
[0084]ダッシュボードは、修飾因子アルゴリズムを通じて計算される重要なフィットネスメトリクスの概要を提供する。これらのスコアおよびメトリクスは、機械学習アルゴリズム提案および動的ワークアウトプランを駆動し得る。例は、今日のトレーニングであり、これは、機械学習アルゴリズムを駆動する遺伝子データ、コンテキストデータ、およびウェアラブルデータの組み合わせによってすべて捕捉される、特定の運動タイプについてのある人の遺伝的素因、その人のトレーニング歴、ならびに回復時間および怪我リスクなどの生理学的モデル出力に従って調整されるワークアウトプログラムを提供する。
【0063】
[0085]怪我リスクフィーチャは、SNP遺伝子型分類データを使用して、一般的な使い過ぎによるスポーツ障害、例えば、腱板損傷、前十字靱帯(ACL)損傷、疲労骨折、アキレス腱損傷、筋損傷、結合組織損傷に関連した生化学経路リスクスコア、および一般的な損傷経路リスクスコアを計算し得る。個々の経路リスクスコアは、以前に負った怪我(怪我のタイプおよび怪我の日付)および運動タイプなどのコンテキスト情報、さらにはウェアラブルデータから獲得される心拍派生のデータと一緒に、修飾因子アルゴリズムによって変換され得る。これらの変換は、個々の怪我(ACL、アキレス腱、疲労骨折、腱板)についての毎日の遺伝的に適応したリスク、および経時的な生理学的フィットネスを伴う遺伝的に適応した怪我リスクを示す怪我リスクフィーチャページを含む、ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの例を示す図9A図9Dに示されるように、遺伝子および行動関与に基づいた毎日の遺伝的に適応した怪我リスク状態、ならびに選択される運動タイプをユーザに提供し得る。怪我リスクは、どの運動タイプが選択されるかに応じて異なる。怪我は、怪我リスクプロファイルを調節するために手動で記録され得る。異なる怪我リスクを軽減するための提案は、その特定の怪我タイプのためのリスクバーをクリックすることにより示される。
【0064】
[0086]遺伝的に適応した怪我リスクは、ユーザの遺伝的性質、行動、および運動タイプの組み合わせに応じて、ユーザが特定の怪我タイプのためのリスク閾値に迫っているときをユーザに示す。怪我リスクフィーチャはまた、遺伝的に適応した怪我リスクおよび生理学的フィットネスを経時的に示す。修飾因子アルゴリズムは、生理学的適応が経時的に正しいトレーニング刺激を通じて発生すると、どのように怪我リスクが経時的に減少するかを描写する。
【0065】
[0087]図10は、遺伝率スコア(パーセンテージで示される)および全体的な怪我リスク経路と一緒に、4つの一般的な使い過ぎによる怪我のタイプ(腱板損傷、疲労骨折、アキレス腱損傷、およびACL損傷)のための遺伝子経路リスクスコアを計算するために使用される個々の一塩基多型(SNP)の例を示す。
【0066】
[0088]各怪我タイプのための修飾因子アルゴリズムは、経路リスクスコアの母集団分布に依存し、生理学的尺度が調節される因子は、累積分布関数(cdf)およびユーザの経路リスクスコアによって決定される。cdfを使用することは、経路リスクスコアが、経路リスクスコアの特定の分布を前提として影響のより高い/より低い重みを与えられないことを確実にし得る。
【0067】
[0089]図11は、計算された経路スコアの確率密度関数の例を示す。図12は、図11に示される対応する経路スコアの累積分布関数の例を示す。
[0090]特定の経路の怪我リスクを計算するために、生データから、モバイルアプリ上に示されるリスク尺度まで、以下のプロセスに従い得る。第1の計算は、一般的な場合に使用されるメトリクスを使用して個人の生理機能に対するトレーニングセッションの効果を推測するために使用され得る。これは、セッションの持続時間およびセッションの強度を使用してセッションの負荷を計算することによって行われる。日々の負荷から、急性負荷および慢性負荷尺度が決定される。急性負荷は、7日などの短い時間期間にわたって計算される。慢性負荷は、異なるスポーツに従って変化し得るより長い期間(例えば、42日)を使用して計算され得る。急性対慢性負荷の比率(ACWR)は、個人がどれくらいこなすことができるかに関連してどれくらいのトレーニングが行われているかの指標であり得る。この比率が高くなりすぎると、怪我のリスクが増大し得る。
【0068】
[0091]修飾因子アルゴリズムは、遺伝的性質を等式に組み込み得、これは、セッション負荷およびACWRの両方を適応させることによって行われ得る。これらの値がどれだけ適応されるかは、個人の経路スコア、特定の怪我の遺伝率、および所与の母集団におけるすべての可能な経路スコアの分布によって決定される。修飾因子アルゴリズムは、先に述べた3つの因子に応じて生理学的スコアを上または下に遷移させるために使用される修飾因子スコアを計算し得る。これは、4つの異なるタイプの怪我について以下の図に描写される。ある人のリスクは、遺伝的性質が考慮されない場合、標準尺度に関連して上または下のいずれかに遷移する。
【0069】
[0092]図13A図13Dは、遺伝的性質なしに決定される第1の怪我リスク分布(赤色)および遺伝的性質を用いて決定される第2の怪我リスク分布(緑色)を含む、経路スコアに応じた怪我リスクの遷移の例を示す。
【0070】
[0093]ユーザポータルおよびプラットフォーム
[0094]本開示のシステムは、対象者のプロファイルを生成し、エンドユーザ間でのプロファイルのデータ交換を促進し(例えば、クラウドネットワークなどのネットワークを使用)、プロファイルをデータベース(例えば、クラウドネットワーク)に格納し、および/またはプロファイルを含む電子レポートをエンドユーザに表示し得る。
【0071】
[0095]本システムは、エンドユーザ間でのプロファイルのデータ交換を促進し(例えば、クラウドネットワークなどのネットワークを使用)、および/またはプロファイルをデータベース(例えば、クラウドネットワーク)に格納し得る。本システムは、異なるユーザのデジタルコンピュータとネットワーク通信状態にあるネットワークインターフェースを備え得る。ネットワークインターフェースは、ユーザポータル(例えば、エンドユーザがプロファイルを閲覧するため)または臨床医ポータル(例えば、臨床医がプロファイルを閲覧、またはこれに注記するため)など、ポータルまたはプラットフォームを含み得る。いくつかの実施形態において、クラウドベースの方法またはシステムが、データ交換を促進するためにユーザに提供され得る。ユーザは、ウェブアプリケーションを使用して、アプリケーション内のクラウドベースのコンピュータシステムを通じてログインして自分のデータにアクセスし得、このデータは、ユーザの少なくとも1つの生体試料を処理することから生成される。データ交換および/またはデータ格納は、1996年の医療保険の携行性と責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act:HIPAA)準拠および保護医療情報(PHI)の保護などのプライバシー法およびポリシーを考慮し得る。
【0072】
[0096]本明細書に提供されるシステムおよび方法は、健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンス分析を実施し、プロファイルおよびレポートをユーザに表示し、ならびに/またはプロファイル、レポート、および/もしくはデータへのアクセスを制御するように構成されるユーザポータルおよび/またはユーザプラットフォームを含み得る。ユーザポータルおよび/またはユーザプラットフォームは、本明細書に開示されるように、1つまたは複数の方法ステップまたは動作を可能にするために、コンピュータプログラムまたはアルゴリズムなどのマシンコードを実行し得るデジタル処理デバイスまたはプロセッサを含むサーバを含み得る。そのようなコンピュータプログラムまたはアルゴリズムは、自動的に、またはユーザからの1つもしくは複数の入力に基づいてオンデマンドで実行され得る。ユーザポータルおよび/またはユーザプラットフォームは、ユーザが、データ交換などのため、ポータルまたはプラットフォームを介して互いと接続することを可能にし得、以て、接続ユーザのネットワークを形成する。そのようなデータ交換は、セキュアおよび/またはクラウドベースであり得る。ユーザは各々、ネットワークにアクセスしてデータ交換と関連付けられた機能を安全かつ簡便に利用するためのアカウントを有し得る。ポータルおよび/またはプラットフォームは、ユーザインターフェース、例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含み得る。ポータルおよび/またはプラットフォームは、ウェブアプリケーションまたはモバイルアプリケーションを含み得る。ポータルおよび/またはプラットフォームは、ユーザに情報を表示するためのデジタルディスプレイ、および/またはユーザからの入力を受け入れるためにユーザとインタラクトし得る入力デバイスを含み得る。
【0073】
[0097]いくつかの実施形態において、データまたは健康計画を含む電子レポートは、ユーザ(例えば、対象者)の電子デバイスの、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)などのユーザインターフェース上に提示される。電子レポートは、遠隔ユーザ(例えば、医療従事者、ニュートリジェネティクスカウンセラ、またはスポーツコーチ)に伝送され得る。さらに、電子レポートは、遠隔サーバ(例えば、クラウドベースのサーバ)上に格納され得る。
【0074】
[0098]分類子
[0099]プロファイリング法は、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定するために、訓練されたアルゴリズム(例えば、分類子)を使用して対象者の遺伝情報および環境情報を処理することを含み得る。分類子は、所与のパフォーマンスまたは健康リスク状態を有するものとして対象者を分類するために使用され得る。分類子は、教師あり機械学習アルゴリズムまたは教師なし機械学習アルゴリズムを含み得る。分類子は、分類および回帰木(CART)アルゴリズムを含み得る。分類子は、例えば、サポートベクトルマシン(SVM)、線形回帰、ロジスティック回帰、非線形回帰、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、深層学習アルゴリズム、ナイーブベイズ分類子を含み得る。分類子は、教師なし機械学習アルゴリズム、例えば、クラスタリング分析(例えば、k-meansクラスタリング、階層的クラスタリング、混合モデル、DBSCAN、OPTICSアルゴリズム)、主成分分析、独立成分分析、非負値行列因子分解、特異値分解、異常検出(例えば、局所的外れ値因子)、ニューラルネットワーク(例えば、オートエンコーダ、深層信念ネットワーク、ヘブ学習、敵対的生成ネットワーク、自己組織化マップ)、期待値最大化アルゴリズム、およびモーメント法を含み得る。
【0075】
[00100]分類子は、複数の入力変数を受け入れるように、および複数の入力変数に基づいて1つまたは複数の出力値を生成するように構成され得る。複数の入力変数は、遺伝情報および環境情報を含み得る。例えば、入力変数は、識別した変異型もしくはアレルのセット、および/または識別した変異型もしくはアレルのセットの各々に対応する、もしくはこれに整列するいくつかのシーケンスを含み得る。例えば、入力変数は、多遺伝子リスクもしくは経路スコアに対応する遺伝子もしくは経路のセット、および/または遺伝子もしくは経路のセットの各々に対応するか、もしくはこれに整列するいくつかのシーケンスを含み得る。
【0076】
[00101]分類子は、1つまたは複数の可能な出力値を有し得、出力値の各々が、パフォーマンスまたは健康リスク状態(例えば、経路に対するアレルの影響のレベル)への生体試料の分類を示す可能な値の固定数(例えば、線形分類子、ロジスティック回帰分類子など)のうちの1つを含む。分類子は、1つまたは複数の出力値の各々が、パフォーマンスまたは健康リスク状態(例えば、影響のレベル)への対象者の分類を示す、2つの値(例えば、{0、1}、{陽性、陰性}、または{高リスク、正常リスク})のうちの一方を含むように、2値分類子を含み得る。分類子は、1つまたは複数の出力値の各々が、あるパフォーマンスまたは健康リスク状態を有するものとして対象者の分類を示す、3つ以上の値(例えば、{0、1、2}、{陽性、陰性、または不確定}、または{高リスク、正常リスク、または不確定})のうちの1つを含むように、別のタイプの分類子であり得る。出力値は、記述的なラベル、数値、またはそれらの組み合わせを含み得る。出力値の一部は、記述的なラベルを含み得る。そのような記述的なラベルは、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態の識別または指標を提供し得る。そのような記述的ラベルは、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態のための提案の識別を提供し得、例えば、治療介入、治療介入の持続時間、および/または食生活、運動、スポーツトレーニング、サプリメント、機能検査、血液検査、脳マネジメント、行動変容、皮膚ケア、環境曝露、ストレス管理、および/もしくはメンタルヘルスに関連した提案を含み得る。そのような記述的なラベルは、対象者に対して実施するのに適切であり得る二次臨床検査の識別を提供し得、例えば、生検、血液検査、機能検査、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像(MRI)スキャン、超音波スキャン、胸部X線、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャン、またはPET-CTスキャンを含み得る。そのような記述的なラベルは、対象者の疾病状態の予後を提供し得る。一部の記述的なラベルは、例えば、「陽性」を1に、および「陰性」を0にマッピングすることによって、数値にマッピングされ得る。
【0077】
[00102]出力値のうちの一部は、2値、整数、または連続値など、数値を含み得る。そのような2値出力値は、例えば、{0、1}を含み得る。そのような整数出力値は、例えば、{0、1、2}を含み得る。そのような連続出力値は、例えば、少なくとも0および1以下の(例えば、あるパフォーマンスまたは健康リスク状態を有するものとしての対象者の分類の)確率値を含み得る。そのような連続出力値は、例えば、少なくとも0の非正規化確率値を含み得る。そのような連続出力値は、例えば、少なくとも0の非正規化確率値を含み得る。そのような連続出力値は、例えば、介入の予測持続時間の指標を含み得る。そのような連続出力値は、例えば、リスク(例えば、怪我リスクまたは疾病リスク)のためのハザード比またはオッズ比を含み得る。一部の数値は、例えば、1を「陽性」に、および0を「陰性」にマッピングすることによって、記述的なラベルにマッピングされ得る。
【0078】
[00103]出力値の一部は、1つまたは複数のカットオフ値に基づいて割り当てられ得る。例えば、2値分類は、対象者が、介入を提案される少なくとも50%の確率を有する場合、「陽性」または1の出力値を割り当て得る。例えば、対象者の2値分類は、対象者が、介入を提案される50%未満の確率を有する場合、「陰性」または0の出力値を割り当て得る。この場合、50%の単一カットオフ値が、対象者を2つの可能な2値出力値のうちの一方に分類するために使用される。単一カットオフ値の例は、約1%、約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約98%、および約99%を含み得る。
【0079】
[00104]別の例として、対象者の分類は、対象者が、少なくとも50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の介入を提案される確率を有する場合、「陽性」または1の出力値を割り当て得る。分類は、対象者が、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、98%超、または99%超の介入を提案される確率を有する場合、「陽性」または1の出力値を割り当て得る。分類は、対象者が、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、10%未満、5%未満、2%未満、または1%未満の介入を提案される確率を有する場合、「悪影響」または0の出力値を割り当て得る。分類は、対象者が、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、10%以下、5%以下、2%以下、または1%以下の介入を提案される確率を有する場合、「陰性」または0の出力値を割り当て得る。分類は、対象者が「陽性」、「陰性」、1、または0として分類されていない場合、「不確定」または2の出力値を割り当て得る。この場合、2つのカットオフ値のセットが、3つの可能な出力値のうちの1つに対象者を分類するために使用される。カットオフ値のセットの例は、{1%、99%}、{2%、98%}、{5%、95%}、{10%、90%}、{15%、85%}、{20%、80%}、{25%、75%}、{30%、70%}、{35%、65%}、{40%、60%}、および{45%、55%}を含み得る。同様に、n個のカットオフ値のセットが、n+1個の可能な出力値のうちの1つに対象者を分類するために使用され得、nは、任意の正の整数である。
【0080】
[00105]分類子は、複数の独立した訓練試料を用いて訓練され得る。独立した訓練試料の各々は、対象者、関連データ、および対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態に対応する1つまたは複数の既知の出力値を含み得る。独立した訓練試料は、複数の異なる対象者から獲得されるデータおよび出力を含み得る。独立した訓練試料は、同じ対象者から複数の異なる時点において獲得されるデータおよび出力を含み得る。独立した訓練試料は、パフォーマンスまたは健康リスク状態の存在と関連付けられ得る(例えば、そのパフォーマンスまたは健康リスク状態を有することが知られている複数の対象者から獲得される訓練試料)。独立した訓練試料は、パフォーマンスまたは健康リスク状態の不在と関連付けられ得る(例えば、そのパフォーマンスまたは健康リスク状態を有さないことが知られている複数の対象者から獲得される訓練試料)。
【0081】
[00106]分類子は、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、または少なくとも約500個の独立した訓練試料を用いて訓練され得る。独立した訓練試料は、パフォーマンスもしくは健康リスク状態の存在と関連付けられた対象者、および/またはパフォーマンスもしくは健康リスク状態の不在と関連付けられた対象者を含み得る。分類子は、パフォーマンスまたは健康リスク状態の存在と関連付けられた500個以下、450個以下、400個以下、350個以下、300個以下、250個以下、200個以下、150個以下、100個以下、または50個以下の独立した訓練試料を用いて訓練され得る。
【0082】
[00107]分類子は、パフォーマンスまたは健康リスク状態の存在と関連付けられた第1の数の独立した訓練試料、およびパフォーマンスまたは健康リスク状態の不在と関連付けられた第2の数の独立した訓練試料を用いて訓練され得る。パフォーマンスまたは健康リスク状態の存在と関連付けられた第1の数の独立した訓練試料は、パフォーマンスまたは健康リスク状態の不在と関連付けられた第2の数の独立した訓練試料以下でもよい。パフォーマンスまたは健康リスク状態の存在と関連付けられた第1の数の独立した訓練試料は、パフォーマンスまたは健康リスク状態の不在と関連付けられた第2の数の独立した訓練試料に等しくてもよい。パフォーマンスまたは健康リスク状態の存在と関連付けられた第1の数の独立した訓練試料は、パフォーマンスまたは健康リスク状態の不在と関連付けられた第2の数の独立した訓練試料よりも多くてもよい。
【0083】
[00108]分類子は、少なくとも約50個、少なくとも約100個、少なくとも約150個、少なくとも約200個、少なくとも約250個、少なくとも約300個、または約300個以下の独立した試料について、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超の正確性で、パフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するように構成され得る。分類子によってパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別する正確性は、パフォーマンスまたは健康リスク状態を有するものとして、または有さないものとして、それぞれ正しく識別または分類される独立した検査試料(例えば、パフォーマンスまたは健康リスク状態を有する対象者)のパーセンテージとして計算され得る。
【0084】
[00109]分類子は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超の陽性的中率(PPV)でパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するように構成され得る。分類子によってパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するPPVは、パフォーマンスまたは健康リスク状態を真に有する対象者に対応するパフォーマンスまたは健康リスク状態を有するものとして識別または分類される生体試料のパーセンテージとして計算され得る。PPVは、精度とも称され得る。
【0085】
[00110]分類子は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超の陰性的中率(NPV)でパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するように構成され得る。分類子によってパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するNPVは、パフォーマンスまたは健康リスク状態を真に有さない対象者に対応するパフォーマンスまたは健康リスク状態を有さないものとして識別または分類される生体試料のパーセンテージとして計算され得る。
【0086】
[00111]分類子は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超の臨床的感度でパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するように構成され得る。分類子によってパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別する臨床的感度は、パフォーマンスまたは健康リスク状態を有するものとして正しく識別または分類される、パフォーマンスまたは健康リスク状態の存在と関連付けられた独立した検査試料(例えば、パフォーマンスまたは健康リスク状態を有することが知られている対象者)のパーセンテージとして計算され得る。臨床的感度は、リコールとも称され得る。
【0087】
[00112]分類子は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約99%超の臨床的特異性でパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するように構成され得る。分類子によってパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別する臨床的特異性は、パフォーマンスまたは健康リスク状態を有さないものとして正しく識別または分類される、パフォーマンスまたは健康リスク状態の不在と関連付けられた独立した検査試料(例えば、パフォーマンスまたは健康リスク状態についての陰性の臨床検査結果を有する健康そうな対象者)のパーセンテージとして計算され得る。
【0088】
[00113]分類子は、少なくとも約0.50、少なくとも約0.55、少なくとも約0.60、少なくとも約0.65、少なくとも約0.70、少なくとも約0.75、少なくとも約0.80、少なくとも約0.81、少なくとも約0.82、少なくとも約0.83、少なくとも約0.84、少なくとも約0.85、少なくとも約0.86、少なくとも約0.87、少なくとも約0.88、少なくとも約0.89、少なくとも約0.90、少なくとも約0.91、少なくとも約0.92、少なくとも約0.93、少なくとも約0.94、少なくとも約0.95、少なくとも約0.96、少なくとも約0.97、少なくとも約0.98、少なくとも約0.99、または約0.99超の曲線下面積(Area-Under-Curve:AUC)を有するパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するように構成され得る。AUCは、パフォーマンスまたは健康リスク状態を有するもの、または有さないものとして生体試料を分類することにおける分類子と関連付けられた受信者動作特性(ROC)曲線(例えば、ROC曲線下面積)の積分として計算され得る。
【0089】
[00114]分類子は、1つまたは複数のパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別する性能、正確性、PPV、NPV、臨床的感度、臨床的特異性、またはAUCを改善するために調節または調整され得る。分類子は、分類子のパラメータ(例えば、本明細書の別の場所に説明されるような試料を分類するために使用されるカットオフ値のセット、またはニューラルネットワークの重み)を調節することによって、調節または調整され得る。分類子は、訓練プロセス中、または訓練プロセスが完了した後に、連続して調節または調整され得る。
【0090】
[00115]分類子が最初に訓練された後、入力のサブセットが、高品質分類を行うために含まれるべき最も影響力の大きいまたは最も重要なものとして識別され得る。例えば、入力データのサブセットが、パフォーマンスまたは健康リスク状態の高品質分類または識別を行うために含まれるべき最も影響力の大きいまたは最も重要なものとして識別され得る。入力データのセットまたはそれらのサブセットは、パフォーマンスまたは健康リスク状態の高品質分類または識別を行うことに向けた各フィーチャの影響または重要性を示すメトリクスに基づいてランク付けされ得る。そのようなメトリクスは、所望の性能レベルまで(例えば、所望の最小正確性、PPV、NPV、臨床的感度、臨床的特異性、またはAUCに基づいて)分類子を訓練するために使用され得る入力変数(例えば、予測変数)の数を、場合によっては著しく、減少させるために使用され得る。
【0091】
[00116]例えば、分類子内の数十または数百を含む複数の入力変数を用いて訓練アルゴリズムを訓練することが、99%超の分類正確性を結果としてもたらす場合、複数の入力変数のうちのそのような最も影響力の大きいまたは最も重要な入力変数の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、約10以下、約15以下、約20以下、約25以下、約30以下、約35以下、約40以下、約45以下、約50以下、または約100以下の選択されたサブセットのみを代わりに用いて訓練アルゴリズムを訓練することは、減少されるが依然として許容可能な分類正確性(例えば、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、または少なくとも約98%)を結果としてもたらす。
【0092】
[00117]いくつかの実施形態において、サブセットは、複数の入力変数全体をランク順にし、最良のメトリクスを用いて既定の数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、約10以下、約15以下、約20以下、約25以下、約30以下、約35以下、約40以下、約45以下、約50以下、約100以下、約150以下、または約200以下)の入力変数を選択することによって選択され得る。
【0093】
[00118]コンピュータシステム
[00119]本開示は、本開示の方法を実施するようにプログラムされるコンピュータシステムを提供する。図14は、例えば、パフォーマンスまたは健康リスク状態またはスコアを決定すること、および対象者のためのニュートリゲノミクスレポートを促進することなど、本開示の1つまたは複数の機能または動作を実施するようにプログラムまたは別途構成されるコンピュータシステム1401を示す。コンピュータシステム1401は、例えば、対象者の遺伝情報および/または環境情報を受信すること、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定すること、電子レポートを(例えば、健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンスに関する様々な日々のスコアと一緒に)を出力すること、電子レポートを遠隔ユーザに伝送すること、電子レポートを遠隔サーバ上に格納すること、ならびにパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するために、訓練されたアルゴリズムを使用して入力データを処理することなど、本開示のポータルおよび/またはプラットフォームの様々な態様を管理し得る。コンピュータシステム1401は、ユーザの電子デバイス、または電子デバイスに対して遠隔に位置するコンピュータシステムであり得る。電子デバイスは、モバイル電子デバイスであり得る。
【0094】
[00120]コンピュータシステム1401は、シングルコアもしくはマルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサであり得る中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」)1405を含む。コンピュータシステム1401はまた、メモリまたはメモリ位置1410(例えば、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置1415(例えば、ハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムとの通信のための通信インターフェース1420(例えば、ネットワークアダプタ)、ならびに、キャッシュ、他のメモリ、データ記憶装置、および/または電子ディスプレイアダプタなどの周辺デバイス1425を含む。メモリ1410、記憶装置1415、インターフェース1420、および周辺デバイス1425は、マザーボードなど、通信バス(実線)を通じてCPU1405と通信状態にある。記憶装置1415は、データを格納するためのデータ記憶装置(またはデータレポジトリ)であり得る。コンピュータシステム1401は、通信インターフェース1420の助けを借りてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)1430に動作可能に結合され得る。ネットワーク1430は、インターネット、インターネットおよび/もしくはエクストラネット、またはインターネットと通信状態にあるイントラネットおよび/もしくはエクストラネットであり得る。
【0095】
[00121]ネットワーク1430は、場合によっては、電気通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク1430は、クラウドコンピューティングなど、分散コンピューティングを可能にし得る1つまたは複数のコンピュータサーバを含み得る。例えば、1つまたは複数のコンピュータサーバは、ネットワーク1430(「クラウド」)を通じたクラウドコンピューティングが、例えば、対象者の遺伝情報および/または環境情報を受信すること、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定すること、電子レポートを出力すること、電子レポートを遠隔ユーザに伝送すること、電子レポートを遠隔サーバ上に格納すること、ならびにパフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するために、訓練されたアルゴリズムを使用して入力データを処理することなど、本開示の分析、計算、および生成の様々な態様を実施することを可能にし得る。そのようなクラウドコンピューティングは、例えば、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudプラットフォーム、およびIBMクラウドなど、クラウドコンピューティングプラットフォームによって提供され得る。ネットワーク1430は、場合によってはコンピュータシステム1401の助けを借りて、コンピュータシステム1401に結合されるデバイスがクライアントまたはサーバとして挙動することを可能にし得るピアツーピアネットワークを実装し得る。
【0096】
[00122]CPU1405は、プログラムまたはソフトウェアに具現化され得るマシン可読命令のシーケンスを実行し得る。命令は、メモリ1410などのメモリ位置に格納され得る。命令は、CPU1405に向けられ得、これによりその後、本開示の方法を実施するようにCPU1405をプログラムまたは別途構成し得る。CPU1405によって実施される動作の例は、フェッチ、復号、実行、およびライトバックを含み得る。
【0097】
[00123]CPU1405は、集積回路などの回路の一部であり得る。システム1401の1つまたは複数の他の構成要素が回路に含まれ得る。場合によっては、回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。記憶装置1415は、ドライバ、ライブラリ、および保存したプログラムなどのファイルを格納し得る。記憶装置1415は、ユーザデータ、例えば、ユーザ選好およびユーザプログラムを格納し得る。コンピュータシステム1401は、場合によっては、イントラネットまたはインターネットを通じてコンピュータシステム1401と通信状態にある遠隔サーバ上に位置するなど、コンピュータシステム1401の外部にある1つまたは複数の追加のデータ記憶装置を含み得る。
【0098】
[00124]コンピュータシステム1401は、ネットワーク1430を通じて1つまたは複数の遠隔コンピュータシステムと通信し得る。例えば、コンピュータシステム1401は、ユーザの遠隔コンピュータシステム(例えば、ユーザのモバイルデバイス)と通信し得る。遠隔コンピュータシステムの例としては、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレートもしくはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android対応デバイス、Blackberry(登録商標))、またはパーソナルデジタルアシスタントが挙げられる。ユーザは、ネットワーク1430を介してコンピュータシステム1401にアクセスし得る。
【0099】
[00125]本明細書に提供される方法は、コンピュータシステム1401の電子記憶位置に、例えば、メモリ1410または電子記憶装置1415上などに格納されるマシン(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能命令により実施され得る。マシン実行可能またはマシン可読コードは、ソフトウェアの形態で提供され得る。使用中、コードは、プロセッサ1405によって実行され得る。場合によっては、コードは、記憶装置1415から取得され、プロセッサ1405による即時利用のためにメモリ1410に格納され得る。いくつかの状況では、電子記憶装置1415は、除外され得、マシン実行可能命令は、メモリ1410上に格納される。
【0100】
[00126]コードは、コードを実行するように適合されるプロセッサを有するマシンとの使用のために予めコンパイルされ、構成され得るか、またはランタイム中にコンパイルされ得る。コードは、コードが予めコンパイルされたまたはコンパイルされたままの方式で実行することを可能にするように選択され得るプログラミング言語で供給され得る。
【0101】
[00127]コンピュータシステム1401など、本明細書に提供されるシステムおよび方法の態様は、プログラミングに具現化され得る。本技術の様々な態様は、典型的には、マシン可読媒体の一種に保持されるもしくはこれに具現化されるマシン(またはプロセッサ)実行可能コードおよび/または関連データの形態にある「製品」または「製造品」と考えられ得る。マシン実行可能コードは、メモリ(例えば、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶装置に格納され得る。「記憶装置」タイプの媒体は、ソフトウェアプログラミングのためにいかなるときにも非一時的な記憶装置を提供し得る、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブ、および同様のものなどの、コンピュータ、プロセッサ、もしくは同様のもの有形メモリ、またはそれらの関連モジュールのうちのいずれかまたはすべてを含み得る。ソフトウェアのすべてまたは部分は、ときとして、インターネットまたは様々な他の電気通信ネットワークを通じて通信され得る。そのような通信は、例えば、1つのコンピュータまたはプロセッサから別のものへの、例えば、管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへの、ソフトウェアのローディングを可能にし得る。故に、ソフトウェア要素を記憶し得る別のタイプの媒体は、有線および光電話ネットワークを通じて、ならびに様々なエアリンクを介して、ローカルデバイス間で物理的なインターフェースをまたいで使用されるものなど、光波、電波、および電磁波を含む。有線もしくはワイヤレスリンク、光リンク、または同様のものなど、そのような波を搬送する物理的な要素もまた、ソフトウェアを記憶する媒体と見なされ得る。本明細書において使用される場合、非一時的な有形「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータまたはマシン「可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。
【0102】
[00128]故に、コンピュータ実行可能コードなどのマシン可読媒体は、限定されるものではないが、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理伝送媒体を含む、多くの形態をとり得る。不揮発性記憶媒体は、例えば、図面に示される、データベースなどを実装するために使用され得るなど、任意のコンピュータまたは同様のものにおける記憶装置デバイスのいずれかなど、光学または磁気ディスクを含む。揮発性記憶媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなど、ダイナミックメモリを含む。有形伝送媒体は、コンピュータシステム内にバスを備えるワイヤを含め、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。搬送波伝送媒体は、電気もしくは電磁信号、または、無線周波数(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなど、音波もしくは光波の形態をとり得る。したがって、コンピュータ可読媒体の一般形態は、例えば、フロッピディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVD、もしくはDVD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカードペーパーテープ、穴のパターンを伴う任意の他の物理記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、搬送波輸送データもしくは命令、搬送波などを輸送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み出し得る任意の他の媒体を含む。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行のためにプロセッサに搬送することに関わり得る。
【0103】
[00129]コンピュータシステム1401は、例えば、ゲノムまたは他のデータ管理を提供するためのユーザインターフェース(UI)1440を備える電子ディスプレイ1435を含み得るか、またはこれと通信状態にあり得る。ユーザインターフェースの例としては、限定なしに、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)およびウェブベースのユーザインターフェースが挙げられる。ユーザインターフェースは、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して提供され得る。
【0104】
[00130]本開示の方法およびシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムにより実施され得る。アルゴリズムは、中央処理装置1405による実行時にソフトウェアにより実施され得る。アルゴリズムは、例えば、対象者の遺伝情報および/または環境情報を受信し、対象者のパフォーマンスまたは健康リスク状態を決定し、電子レポートを出力し、電子レポートを遠隔ユーザに伝送し、電子レポートを遠隔サーバ上に格納し、パフォーマンスまたは健康リスク状態を識別するために、訓練されたアルゴリズムを使用して入力データを処理し得る。
【実施例1】
【0105】
[00131]フィットネスおよびスポーツパフォーマンスならびにアスリート健康に関連したリアルタイムに変動するスコアを計算するための遺伝的修飾因子アルゴリズム。
[00132]本開示のシステムおよび方法を使用して、遺伝的修飾因子アルゴリズムを、フィットネスおよびスポーツパフォーマンスならびにアスリート健康に関連したリアルタイムに変動するスコアを計算するために開発した。ウェアラブルデバイスから獲得される生理学的およびパフォーマンスデータ、コンテキスト情報、ならびに主観的なフィードバックと一緒に、スポーツパフォーマンス、フィットネス状態、およびアスリート健康の生理学的モデルを構築および修正するために、多遺伝子経路スコアを入力データとして使用した。これは、健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンスメトリクスのより正確なパーソナライズしたデータ、スコア、推定、および予測を結果としてもたらす。スコアは、ユーザの身体能力および健康を向上させるため、ならびに怪我のリスクを低減するためにユーザのための個人提案と組み合わせて、デジタルで、解釈が容易な方法で出力される(例えば、ソフトウェアユーザインターフェースを介してユーザに表示される)。
【0106】
[00133]以下の通りに怪我および負荷均衡修飾因子アルゴリズムおよび機械学習モデルを開発した。修飾因子アルゴリズムは、接続組織損傷、筋肉損傷、疲労骨折、腱板損傷、前十字靱帯(ACL)損傷、アキレス損傷、変形性膝関節症、複合損傷、およびトレーニング負荷均衡のための毎日のスコアを生成する。図15は、遺伝的修飾因子を使用して怪我をモデリングするためのフレームワークの例を示す。
【0107】
[00134]SNP遺伝子型分類データから、列挙した怪我タイプの各々について多遺伝子経路スコアを計算した。異なる怪我タイプについてアスリートの遺伝的素因を考慮するように急性対慢性作業負荷比率(ACWR)モデルを修正するために経路スコアを使用した。統計モデルのための評価入力としての役割を果たすように、複合遺伝的修飾因子スコアおよびACWRモデルを使用してフィーチャを構築した。非接触軟組織損傷の前のアスリートの時間変動するトレーニング負荷暴露を組み込むために、Time-to-eventモデルを多状態モデル(MSM)の形態で実装した。怪我フィーチャが、アスリートが非接触損傷を負うリスクの増加を示すことを実証するために、ハザード比を用いて実装したMSMを評価した。このモデルへの入力データ点は、怪我フィーチャを除き、ウェアラブルデバイスから獲得した。これらのデバイスは、訓練および競技中にアスリートの(i)内部トレーニング負荷測定(例えば、心拍数)、および(ii)外部トレーニング負荷測定(例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS)データ)を提供した。特定のフィーチャを伴う時系列データを使用して怪我のリスクの可能性を決定するために、機械学習モデルも開発した。機械学習モデルを開発するために使用した入力フィーチャは、ストレス、睡眠、安静時の心拍数、経路スコア、遺伝率、CTL、およびATLを含む。
【0108】
[00135]負荷均衡修飾因子アルゴリズムは、パワーおよび持久力経路によって適合されるようなACWRを使用した。それは、デジタルで提供される怪我スコアの文脈において解釈された。トレーニング負荷およびパフォーマンスを最適化することと関連付けられた範囲を使用して、負荷均衡を0~1の値に正規化した。
【0109】
[00136]個々の選手の健康およびパフォーマンススコアを組み合わせることによって、チームスコアを計算した。健康およびパフォーマンススコアは、ウェアラブルデータ、コンテキストデータ、および遺伝子入力の組み合わせから計算した。組み合わされたチームスコアは、戦術的および戦略的意思決定に向けて管理スタッフを支援する。
【0110】
[00137]以下のように回復修飾因子アルゴリズムを開発した。回復修飾因子アルゴリズムは、修正した総合品質回復(TQR)モデルに基づいて、実用的な栄養、ライフスタイル、および補給提案と一緒に、毎日の回復スコアを生成する。変動する(例えば、リアルタイムに変動する)回復スコアに結合される、毎日のパーソナライズした遺伝子ベースの回復提案を可能にするために、炎症、酸化ストレス、および筋肉損傷リスクのための多遺伝子経路スコア、ならびに複合回復経路スコアを計算した。提案は、回復修飾因子アルゴリズムへの入力としての役割を果たす、コンテキスト情報収集のための電子ユーザフィードバックと合わせた。図16は、修正されたTQRアルゴリズムの例を示す。
【0111】
[00138]以下のように持久力およびパワー修飾因子アルゴリズムを開発した。持久力経路のための多遺伝子経路スコア(例えば、最大酸素摂取量トレーナビリティおよび緩徐筋線維)およびパワー経路(例えば、速筋線維、強度、および筋力)を、入力データとしてトレーニング負荷データを使用して、動的なフィットネス提案を決定するために入力フィーチャとして使用した。提案は、モバイルアプリケーションを通じて自動的に配信されるパーソナライズしたトレーニングプランとして構築され、効率的かつ安全な方法でフィットネスレベルを向上させるために個別化した有酸素対無酸素トレーニングを提供した。どのタイプの運動がフィットネスを得るのにより効率的であり得るかを、個人の遺伝的性質に従って決定するように機械学習アルゴリズムを構築した。機械学習アルゴリズムはまた、個人のトレーニング反応に従ってトレーニング時間期間を通知する。
【0112】
[00139]修飾因子アルゴリズムが実行されたユースケースに基づいて、2つのシステムを構築した。第1のシステムは、遺伝子データ、ウェアラブルデータ、およびコンテキストデータの特定の組み合わせから計算される毎日のスコアに基づいて決定された毎日のフィットネス、スポーツパフォーマンス、および健康提案を提供する個々のアスリート用のモバイルアプリケーションであった。
【0113】
[00140]第2のシステムは、1)コーチ、医療スタッフ、スポーツ栄養士、およびフィジカルコンディショニングスタッフ用のデスクトップアプリケーション、ならびに2)各チームメンバ用のモバイルアプリケーションを含む、スポーツチームに焦点を合わせたアスリート最適化プラットフォームであった。デスクトップアプリケーションは、全チームメンバのデータベース、全チームメンバの遺伝子データ、コンテキスト情報、怪我歴、ならびにウェアラブルデバイスのような健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンスハードウェアとのリアルタイムデータ統合を含んでいた。生成されスタッフメンバに提供されるコーチング、健康、および栄養提案と共に、アスリート健康、フィットネス、およびスポーツパフォーマンスに関連した修飾因子スコアを、毎日、各チームメンバについて計算した。チーム選抜健康およびパフォーマンス状態に対する見解を提供するために、複合チームスコアも計算した。チームメンバの遺伝子のみのデータは、コーチングスタッフのいずれも閲覧することはできず、セキュアなHIPAAおよびPOPI遵守様式で、バックエンドで格納した。
【0114】
[00141]チームメンバは、コンテキスト情報および主観的フィードバックを捕捉するため、ならびにチームメンバに特有の個別の提案を提供するための機能性を伴って、モバイルアプリケーションを通じて自らのパフォーマンスおよび健康データを受信した。
【0115】
[00142]アスリートスコアおよび時系列情報を、リスクおよび/または必要とされる介入を示すために赤色-黄色-緑色ステータスを用いて、解釈が容易な視覚的な方式で提示した。
【0116】
[00143]表1~4は、損傷経路遺伝子および変異型(表1)、回復経路遺伝子および変異型(表2)、持久力経路遺伝子および変異型(表3)、ならびにパワー経路遺伝子変異型(表4)を含む、様々な経路遺伝子および変異型を例示する。
【0117】
[00144]
【0118】
【表1-1】
【0119】
【表1-2】
【0120】
[00145]
【0121】
【表2-1】
【0122】
【表2-2】
【0123】
[00146]
【0124】
【表3】
【0125】
[00147]
【0126】
【表4-1】
【0127】
【表4-2】
【実施例2】
【0128】
[00148]遺伝的素因をアスリート用の怪我リスク予防ツールへ統合すること
[00149]本開示のシステムおよび方法を使用して、遺伝的素因をアスリート用の怪我リスク予防ツールへ統合した。遺伝的性質は、怪我のしやすさに重要な役割を果たすが、現行の手法は、個人の遺伝的素因をアスリートのトレーニングプログラムに動的に適用しないことがある。怪我についての遺伝的素因に基づいて作業負荷管理を継続的に修正することにより、トレーニングは、アスリートの安全性を損なうことなくアスリートがトレーニング目標に達することを助けるために、各アスリートのためによりパーソナライズされたものになり得る。
【0129】
[00150]怪我リスクモデルを開発したが、これは、怪我リスクモデルが怪我リスクを識別するために17%高い感度を達成することを示す証拠に起因して、作業負荷および怪我管理のACWRモデルの特定の制限から発展させたものであり、またこれを解決するものであった。
【0130】
[00151]怪我リスクモデルは、アスリートの現在のフィットネスレベルおよびトレーニング歴と組み合わせて、アスリートの遺伝的性質に従って持続可能なやり方でトレーニングするようにアスリートを指導するツールとして提供され得る。それは、過剰なトレーニングを阻止し、アスリートが遺伝的に起こしやすい怪我を負う可能性を増加させ得る作業負荷の急上昇を回避するやり方で目標に達することをアスリートに奨励する。それは、アスリートが自らのフィットネス目標に到達し、自らの運動競技の要求に対する回復力を高めることをサポートする。
【0131】
[00152]怪我リスクツールの意義は、単純なメッセージを強調する-作業負荷管理および怪我予防は、すべてに当てはまる単一の手法を有することはできない。怪我リスクツールは、アスリートの目標が、怪我に対するアスリート固有の遺伝的素因にとって最適な方式で到達されることを確実にして、アスリートおよびコーチが、各々個々に最も相応しい、情報に基づいたトレーニング決定を行うことを可能にする。
【0132】
[00153]作業負荷管理は、怪我がアスリートに対して多大な悪影響を与え、アスリートのパフォーマンスを下げ[1]、アスリートの精神的な健康に影響を及ぼす[2]ことから、重要である。スポーツチームにとって、怪我は、全体的なチームのパフォーマンスに対する波及効果を有する。怪我の減少とパフォーマンスの向上との重要な関係は、フットボールチームにおいて観察され得、怪我の負担が低いほど、UEFAチャンピオンズリーグにおける成功に結び付いた[3]。怪我予防戦略を改善することは、アスリートにとって、ならびに、アスリートがピークパフォーマンスを目指す際に、アスリートをサポートすることが主要目的であるコーチ、スポーツ科学者、およびチームにとって、必然的に最優先事項である。
【0133】
[00154]そのような取り組みにおいて、アスリートは、自らの技能をさらに磨き、自らのフィットネスを高め、試合で最高の力を発揮するために、自らを限界に追い込む傾向があり得る。しかしながら、身体が、運動期間の間に回復および順応するために十分な時間を与えられないとき、アスリートは、使い過ぎによる怪我を負う可能性が高い[4]。使い過ぎによる怪我は、実際、スポーツの世界においては至る所に存在し、怪我の最大50%を占める[5]。使い過ぎによる怪我を防ぐため、アスリートの作業負荷の注意深いモニタリングおよび調節が、運動と順応との適切なバランスをとるために必要とされる[6]。
【0134】
[00155]いつアスリートが効果的なトレーニングから怪我の危険へと一線を超えるリスクにあり得るかを決定するのを助けるために現在利用される1つのツールは、急性-慢性作業負荷比率(ACWR)である。ACWRは、アスリートのフィットネスおよび疲労をモニタリングするために使用され得、任意の所与の時間点における怪我リスクのスナップショットビューを提供する。ACWRは、サッカー、ラグビー、オーストラリアンフットボール、およびクリケットを含む様々なスポーツにおいて有効であり得[7]、国際オリンピック委員会によって作業負荷管理および怪我予防のために提案される[8]。しかしながら、怪我予防のためのACWRの実用性は、怪我リスクを増加または減少させる作業負荷のモデレータを構成しないことによってその限界を有する。
【0135】
[00156]遺伝的変異は、怪我における重大な因子であり得る。作業負荷-怪我関係の強力なモデレータは、アスリートの遺伝的素因[9]であるが、それは、これが怪我のための重大な内在リスク因子であるためである[10、11]。遺伝的変異は、どのようにして個人がトレーニングに順応するかに影響を有し[12、13]、作業負荷の急上昇とその後の怪我との関連性を加減する[14]。遺伝子変異は、筋骨格機能および負荷への順応において役割を果たす生化学経路に対する影響を有する[12、13]。家族および双子研究は、異なるタイプの怪我について40~69%の範囲の怪我の遺伝率推定(フィーチャがどれほど遺伝的性質に起因し得るか)を得ており[13、15、16]、遺伝的素因と怪我との間の決定的な結び付きを示している。
【0136】
[00157]289人のサッカー選手の研究では、各選手は、怪我と関連付けられた遺伝子マーカについて検査され、GDF5、AMPD1、COL5A1、またはIGFの遺伝子マーカを有するサッカー選手は、これらの遺伝子マーカを持たない選手よりも、シーズン中に怪我をする可能性が高く、出場した試合数が著しく少なかった[17]。
【0137】
[00158]MMP3遺伝子マーカもまた、ハムストリング損傷と強く関連しており、遺伝子マーカの各コピーは、サッカー選手においてハムストリング損傷のリスクを2倍増加させる[18]。同様の関係性は、遺伝子マーカとACL損傷[19]、腱板断裂[20]、および疲労骨折[21]との間にも存在し得る。したがって、遺伝的性質は、個人の怪我リスクにおける一般的役割を果たすだけでなく、特定の損傷部位にも同様に影響を及ぼす。
【0138】
[00159]遺伝的性質は、作業負荷管理へ統合され得る。遺伝情報の限界は、怪我をしやすいアスリートを識別することに有用であり得る一方で、全体の一部しか提供しないということである。怪我リスクモデルは、遺伝的素因を、他のストレス要因と一緒に、アスリートの作業負荷へ動的に組み込むため、アスリートの遺伝的性質がアスリートの日々のパフォーマンスにどのように影響を及ぼすかを決定するため、ならびに遺伝的性質がどの程度作業負荷-怪我関係におけるモデレータであるかを測定するために開発された。
【0139】
[00160]アスリートの日々の作業負荷およびACWRをアスリートの遺伝的素因に従って修正することによって、怪我リスクツールは、アスリートに、自分固有の遺伝的性質に従って適合される自らの現在の作業負荷がどれくらい自らの怪我のしやすさを増加または減少させているかの、日々のパーソナライズされた実行可能な尺度を提供する。
【0140】
[00161]遺伝的性質を使用してアスリートのトレーニング負荷をパーソナライズするための妥当性を決定するため、過去のトレーニングデータ、作業負荷データ、遺伝子データ、および怪我歴を、120人の持久力を必要とするアマチュアアスリートから収集した。機械学習および経路分析方法論を利用して、特定の怪我のしやすさに対する複数の遺伝子マーカの統合的な影響を計算した。アキレス腱、ハムストリング、膝靭帯(ACL)、疲労骨折、および腱板損傷について調査した。
【0141】
[00162]120人の持久力を必要とするアマチュアアスリートからデータを収集した:18ヶ月から最大120ヶ月の期間に及ぶ過去のトレーニングデータ;怪我の日付、怪我のタイプ、および深刻度を含む怪我歴に関する調査データ(これは、その後、急性の怪我および使い過ぎによる怪我へと分類され、合計70の使い過ぎによる怪我が最終分析に含まれた);しばしば心電図(ECG)胸バンドと一緒に使用される、グローバルポジショニングシステム(GPS)対応のウェアラブルデバイスからの作業負荷データ;表5に示される5つの怪我タイプについての遺伝子マーカ。
【0142】
[00163]
【0143】
【表5】
【0144】
[00164]参加者のトレーニングストレススコア(TSS)からトレーニング負荷を計算した。TSSは、トレーニングセッションからの作業負荷の尺度である。それは、ワークアウトの強度および持続時間の積であり得、これらのうちのいずれかが増加すると、TSSも増加する。TSSは、以下の式を使用して計算され得る。
【0145】
[00165]TSS=IF×tmin
[00166]
【0146】
【数1】
【0147】
[00167]式中、tminは、単位分でのワークアウトの持続時間であり、IFは、強度因子(Intensity Factor)(取りくみがどれくらい激しかったか)であり、閾値は、閾値レベルにおけるパフォーマンス閾値メトリック(例えば、HR、ペース、および/またはパワー)である。
【0148】
[00168]長期トレーニング負荷(CTL)は、アスリートのフィットネスの尺度と見なされ得る。それは、過去6週間または42日のデータ点など、スポーツに応じて過去の持続時間にわたるアスリートの毎日のトレーニング負荷(TSS)の移動平均である。CTLは、以下の式を使用して計算され得る。
【0149】
[00169]
【0150】
【数2】
【0151】
[00170]式中、TCは、時定数(Time Constant)である(TC標準は、CTLの場合は42日など、スポーツに応じた任意の持続時間であり得るが、用途に従って変化し得る)。
【0152】
[00171]短期トレーニング負荷(ATL)は、アスリートの直近のトレーニングがどれくらいアスリートの身体に影響を与えるかに関し、疲労の尺度と見なされる。ATLは、過去7日間のアスリートのTSSの移動平均である。ATLは、以下の式を使用して計算され得る。
【0153】
[00172]
【0154】
【数3】
【0155】
[00173]式中、TCは、時定数である(TC標準は、ATLの場合は7日であるが、用途に従って変化し得る)。
[00174]アスリートの疲労(ATL)とフィットネス(CTL)との関係性は、指数関数的に重み付けされた移動平均(EWMA)ACWRによって説明される。怪我の1週間前、または怪我の1週間以内の1.5よりも高いピークACWRは、怪我の負いやすさの増加と関連付けられることが示されている[22、23]。ACWRは、以下の式を使用して計算され得る。
【0156】
[00175]ACWR=ATL:CTL
[00176]標準ACWRモデルおよび怪我リスクモデルの両方について、怪我の2週間前、1週間前、および怪我をした週の怪我と作業負荷の急上昇との関係性を調査した。2つのモデルを比較するため、アスリートを、怪我を負っているかまたは怪我のないままであるかに分類するように訓練された2値分類システムを開発した。
【0157】
[00177]この分類システムを使用した可能な結果は4つ存在する:(1)モデルが怪我リスクを示し、アスリートが怪我をした、真陽性、(2)モデルが怪我リスクを示さず、アスリートが怪我をしなかった、真陰性、(3)モデルが怪我リスクを示したが、アスリートが怪我を回避した、偽陽性、および(4)モデルが怪我リスクを示さなかったが、アスリートが怪我をした、偽陰性。
【0158】
[00178]怪我を負うリスクを識別する怪我リスクモデルの能力を、標準ACWRモデルのものと比較した。感度および特異性を使用してモデルパフォーマンスを測定および比較した[24]。
【0159】
[00179]結果は、怪我リスクモデルが、標準ACWRモデルと比較してより高い感度でアスリートの怪我を識別することを示した。怪我リスクモデルは、標準ACWRモデルとの比較において、怪我の発生を最大17%多く正しく識別した。加えて、怪我リスクモデルは、最大77%の高特異性を有し、モデルが、77%の時間アスリートが怪我のリスクになかったときを正しく示したことを示す。
【0160】
[00180]真陽性率としても知られる感度は、怪我のリスクにあるときモデルによって正しく識別された怪我をしたアスリートの割合を表す。図17に示されるように、怪我リスクモデル(赤色)は、標準ACWRモデル(紫色)と比較して、(i)怪我をした週、(ii)怪我の1週間前、および(iii)怪我の2週間前にそれぞれ、作業負荷の急上昇に対して11%、11%、および17%高い感度を有した。
【0161】
[00181]特異性は、怪我のリスクがないと正しく分類された怪我をしていないアスリートの割合を表し、真陰性とも称される[24]。図18に示されるように、怪我リスクモデルおよび標準ACWRモデルの両方が高特異性を有した。標準ACWRモデル(紫色)と比較して、怪我リスクモデル(赤色)は、(i)怪我をした週、(ii)怪我の1週間前、および(iii)怪我の2週間前においてそれぞれ、ACWRの急上昇に対して6%、8%、および8%低い特異性を有した。
【0162】
[00182]怪我リスクモデルが怪我リスクを示した週内に発生する怪我のオッズ比(OR)は、1.54であると計算された(95%信頼区間(CI)0.8-2.95)。これは、怪我リスクモデルによって怪我のリスクにあると識別されたアスリートが、怪我のリスクにあると識別されなかったアスリートよりも、怪我を負う可能性が1.54倍高かったことを示す。
【0163】
[00183]怪我リスクモデルは、アスリートの作業負荷に適用され得る。図19の時系列は、怪我リスクモデルが、標準ACWRモデルと比較して、アスリートの怪我リスクをどれくらいより正確に決定したかの例を描写する。グラフは、アスリートが複数のアイアンマンレースのためにトレーニングしていた期間中のアスリートの怪我リスク(低、中、または高)を示す。この期間全体を通して、標準ACWRモデル(紫色の線)は、アスリートの怪我リスクを低く見積もった。
【0164】
[00184]とりわけ、アキレス腱損傷を負う前の週、標準ACWRモデルは、アスリートが怪我をするリスクにあることを示すことができなかった。対照的に、怪我リスクモデル(赤線)は、怪我の発生1週間前にアスリートが怪我を負うリスクにあることを正確に示した。
【0165】
[00185]怪我リスクモデル検証研究の結果は、どのようにアスリートが高トレーニング負荷に反応するかにおける遺伝的性質の役割の重大性を強調する。特定の怪我の素因を増加させる遺伝子マーカを持つアスリートは、トレーニング作業負荷の突然の急上昇に対する回復力が低い。これは、標準ACWRモデルと比較して、アスリートが怪我を負うより高いリスクを有するときに正しく識別する怪我リスクモデルの17%増加した感度によって実証される。
【0166】
[00186]アイアンマンアスリートの現実世界のシナリオの中で、アスリートが、その時点で怪我リスクツールへのアクセスを有し、アキレス腱損傷の自らの遺伝的素因を考慮した場合、アスリートは、自らのトレーニングプランを適合させ、数週間にわたってトレーニングを中止せざるを得なくさせるアキレス腱損傷を回避していた可能性がある。
【0167】
[00187]怪我リスクモデルは、アスリートが怪我をしやすいかどうかの指標を提供するだけでなく、パーソナライズされた作業負荷管理のための非常に有益なツールも示す。その適用において、怪我リスクツールは、アスリートに、アスリートの現在のトレーニング負荷が最適であるかどうかの日々の指標を、アスリートの現在のフィットネスおよびアスリートの怪我の遺伝的素因に基づいて、提供する。
【0168】
[00188]怪我リスクツールの適用における重要な原則は、最適トレーニングプランが、アスリートが特定の怪我に対して有する遺伝的素因を考慮して、作業負荷の緩徐進行に基づき得ることである。持続可能なやり方でフィットネスを向上させ、トレーニング歴を考慮することにより、ツールは、アスリートが遺伝的にしやすい怪我のタイプに対してより回復力を高くするために、および怪我を誘発し得る作業負荷の急上昇からアスリートを守るためにアスリートがとることができる最善の行動を提案する。
【0169】
[00189]自らのトレーニングのために怪我リスクツールを使用するアスリートは、自らの固有の遺伝子構成が自らの作業負荷戦略にどのように影響を与えるかを考慮することを推奨される。このようなパーソナライズのより深い積み重ねは、アスリートの怪我リスクがより精密にモニタリングされているという安心感を引き起こし、トレーニングおよび試合のときにさらなる自信の積み重ねをもたらし得る。
【0170】
[00190]怪我リスクツールを適用するのが、一流アスリート、プロフェッショナルスポーツチームとの使用のためか、またはパーソナルフィットネス目標のためかにかかわりなく、目的は、各個人のために、最小の怪我リスクまたは怪我ゼロで最適化したトレーニングを達成することである。
【0171】
[00191]参考文献
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【実施例3】
【0195】
[00216]ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェース
[00217]本開示のシステムおよび方法を使用して、ソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースを、選手(例えば、対象者)およびマネージャを含む様々なユーザによって使用されるように開発した。
【0196】
[00218]図20A図20Gは、選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す。
[00219]図21A図21Gは、選手(例えば、対象者)のユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なダッシュボードビューの例を示す。
【0197】
[00220]図22A図22Gは、マネージャのユーザ観点からのソフトウェアアプリケーションユーザインターフェースの様々なビューの例を示す。
[00221]本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態が単に例として提供されることは当業者には明白であるものとする。本発明が明細書内に提供される特定の例によって制限されることは意図されない。本発明は、前述の明細書を参照して説明されているが、本明細書内の実施形態の説明および例示は、限定的意味で解釈されることは意図されない。多数の変形、変更、および置換が、本発明から逸脱することなくここで当業者に想起され得る。さらには、本発明のすべての態様は、様々な条件および変数に依存する本明細書内に明記される特定の描写、構成、または相対的比率に限定されないことを理解されたい。本明細書に説明される本発明の実施形態に対する様々な代替形態が本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。したがって、本発明は、任意のそのような代替形態、修正形態、変形形態、または等価物も網羅することが企図される。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定すること、ならびにこれらの特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内の方法および構造がこれにより網羅されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図21A
図21B
図21C
図21D-1】
図21D-2】
図21E
図21F
図21G
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
図22G
図22H
図22I
図22J
図22K
図22L
【国際調査報告】