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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】連続的に動作する食感付加装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20240820BHJP
   A23P 30/00 20160101ALI20240820BHJP
   A23J 3/26 20060101ALI20240820BHJP
   B01F 23/53 20220101ALI20240820BHJP
【FI】
A23L13/00 E
A23P30/00
A23J3/26
B01F23/53
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504843
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2022070927
(87)【国際公開番号】W WO2023006736
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】2028837
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522266449
【氏名又は名称】プラント・ミート・メイカーズ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エルンスト・ヤン・ブレール
(72)【発明者】
【氏名】ビルギット・ラウラ・デッケルス
【テーマコード(参考)】
4B042
4B048
4G035
【Fターム(参考)】
4B042AC05
4B042AC09
4B042AD36
4B042AE03
4B042AP02
4B042AP06
4B042AP18
4B042AP30
4B042AT02
4B042AT04
4B042AT10
4B048PE03
4B048PM03
4B048PM11
4B048PS13
4B048PS15
4G035AB43
4G035AE13
4G035AE15
(57)【要約】
本発明は、粘弾性食品材料の塊に食感を付加するように構成される食感付加装置に関し、装置は、
- 第1の端と第2の端との間で長手方向軸に沿って延びる、内部を定める外側部材と、
- 第1の端と第2の端との間で長手方向軸と平行に延び、内部の内側に配置される内側部材と
を備える。
外側部材は、第1の端と第2の端との間で延びる通し環状食感付加室を、内側部材と外側部材との間において定めるために、内側部材の外面を向く内面を前記内部において有する。外側部材および内側部材は、食品材料を食感付加室において単純せん断流れに曝すために、長手方向軸の周りで互いに対して回転するように構成される。
本発明は、食感付加室が上流室区分と下流室区分とを備えることと、食感付加装置が、食感付加室の下流室区分に設けられ、食感付加室の下流室区分を冷却だけするように構成される冷却デバイスをさらに備えることとによって特徴付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊に食感を付加するように構成される食感付加装置であって、
第1の端と第2の端との間で長手方向軸に沿って延び、前記長手方向軸に対して垂直な平面において円形の断面を有する、内部を定める外側部材と、
前記第1の端と前記第2の端との間で前記長手方向軸と平行に延び、前記長手方向軸に対して垂直な平面において円形の断面を有する、前記内部の内側に配置される内側部材と
を備え、
前記外側部材は、前記第1の端と前記第2の端との間で延びる通し環状食感付加室を、前記内側部材と前記外側部材との間において定めるために、前記内側部材の外面を向く内面を前記内部において有し、
前記外側部材および前記内側部材は、前記食品材料を前記食感付加室において単純せん断流れに曝すために、前記長手方向軸の周りで互いに対して回転するように構成される、
前記装置において、
前記食感付加室のせん断隙間が前記内側部材と前記外側部材との間の径方向間隔として定められ、前記せん断隙間は10mmから50mmの間の範囲にあることと、
前記食感付加室が上流室区分と下流室区分とを備えることと、
前記食感付加装置が、
前記食感付加室の前記下流室区分に設けられ、前記食感付加室の前記下流室区分を冷却だけするように構成される冷却デバイスをさらに備えることと
を特徴とする、食感付加装置。
【請求項2】
前記食感付加室の前記上流室区分に設けられ、前記食感付加室の前記上流室区分を加熱だけするように構成される加熱デバイスをさらに備える、請求項1に記載の食感付加装置。
【請求項3】
前記上流室区分は冷却デバイスが無い、請求項1または2に記載の食感付加装置。
【請求項4】
前記内側部材は実質的に中空であり、内側部材内部を定める、請求項1から3のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項5】
前記外側部材は、
前記第1の端と移行区域との間で延び、前記第1の端と前記第2の端との間に位置付けられる第1の外壁区域と、
前記移行区域と前記第2の端との間で延びる第2の外壁区域と
を備え、
前記上流室区分は前記第1の外壁区域と前記内側部材との間に定められ、
前記下流室区分は前記第2の外壁区域と前記内側部材との間に定められる、請求項1から4のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項6】
前記第1の外壁区域は第1の内径を有し、前記第2の外壁区域は、前記第1の内径と異なる第2の内径を有する、請求項5に記載の食感付加装置。
【請求項7】
前記内側部材は、
前記上流室区分を定めるために前記第1の外壁区域を向く第1の内壁区域と、
前記下流室区分を定めるために前記第2の外壁区域を向く第2の内壁区域と
を備える、請求項5または6に記載の食感付加装置。
【請求項8】
前記第1の内壁区域は第1の外径を有し、前記第2の内壁区域は、前記第1の外径と異なる第2の外径を有する、請求項7に記載の食感付加装置。
【請求項9】
前記内側部材は、前記長手方向軸に対して実質的に垂直に並べられ、前記内側部材内部を第1の内側部材内部と第2の内側部材内部とに細分するように構成される分離壁を、前記第1の内壁区域と前記第2の内壁区域との間に備える、請求項7または8に記載の食感付加装置。
【請求項10】
前記加熱デバイスは、前記第1の外壁区域および/または前記第1の内壁区域に設けられる、および/または、
前記冷却デバイスは、前記第2の外壁区域および/または前記第2の内壁区域に設けられる、請求項5から9のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項11】
前記加熱デバイスは、前記第1の外壁区域および/または前記第1の内壁区域を通じて延び、加熱流体の流れを導くように構成される加熱流体回路を備える、請求項10に記載の食感付加装置。
【請求項12】
前記冷却デバイスは、前記第2の外壁区域および/または前記第2の内壁区域を通じて延び、冷却流体の流れを導くように構成される冷却流体回路を備える、請求項10または11に記載の食感付加装置。
【請求項13】
前記上流室区分との直接的な流体接触で前記第1の端に位置付けられ、前記食感付加室へのアクセスを前記食品材料の塊に提供するように構成される入口開口と、
前記下流室区分との直接的な流体接触で、例えば前記長手方向軸に対して径方向の位置など、前記第2の端に位置付けられ、食感が付加された食品材料の前記食感付加室からの排出を可能とするように構成される排出ポートと
をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項14】
前記外側部材は不動で保持されるように構成され、
前記内側部材は、回転させられるように、すなわち、前記外側部材に対して回転させられるように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項15】
前記食感付加室を通じて前記食品材料を輸送するように構成される輸送デバイスをさらに備える、請求項14に記載の食感付加装置。
【請求項16】
前記輸送デバイスは、前記内側部材の外面の少なくとも一部にわたって螺旋状に延びるオーガを備え、前記オーガは、前記食感付加室を通じて障害の無い螺旋経路を定める、請求項15に記載の食感付加装置。
【請求項17】
前記オーガは、接線方向に対して0.01°から5°の間の範囲でピッチ角を有する、請求項16に記載の食感付加装置。
【請求項18】
前記オーガの高さ、すなわち、前記長手方向軸に対する径方向における前記オーガの高さが、前記径方向における前記内側部材と前記外側部材との間の間隔に実質的に対応する、請求項16または17に記載の食感付加装置。
【請求項19】
前記オーガの高さ、すなわち、前記長手方向軸に対する径方向における前記オーガの高さが、前記径方向における前記内側部材と前記外側部材との間の間隔の一部だけに対応する、請求項16または17に記載の食感付加装置。
【請求項20】
前記輸送デバイスは、圧力差、すなわち、前記第1の端と前記第2の端との間における圧力差の影響の下で、前記食感付加室を通じて前記食品材料を軸方向に変位させるように構成される、請求項15に記載の食感付加装置。
【請求項21】
前記上流室と前記下流室との間に移行通路をさらに備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項22】
前記排出ポートは、前記排出ポートの断面積を調整するように構成される調整可能な開口部を備える、請求項1から21のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項23】
前記食感付加室に位置付けられ、前記食感付加室における温度を表すセンサ信号を発するように構成される1つまたは複数の温度センサをさらに備える、請求項1から22のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項24】
前記食感付加室に位置付けられ、前記食感付加室における圧力レベルを表す圧力信号を発するように構成される1つまたは複数の圧力センサをさらに備える、請求項1から23のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項25】
前記食感付加室における測定された前記温度および/または圧力レベルに基づいて、前記調整可能な開口部を制御するように構成される制御ユニットをさらに備える、請求項22と請求項23または24とに記載の食感付加装置。
【請求項26】
前記制御ユニットは、前記食感付加室における前記測定された温度に基づいて、前記加熱デバイスおよび/または前記冷却デバイスを制御するようにさらに構成される、請求項25に記載の食感付加装置。
【請求項27】
前記外側部材の前記内面の少なくとも一部、および/または、前記内側部材の前記外面の少なくとも一部が、波形表面を備える、請求項1から26のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項28】
前記内側部材を、回転駆動するように、すなわち、前記外側部材に対して回転駆動するように構成される駆動部をさらに備える、請求項1から27のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項29】
肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊から食品の製品を形成するように構成される食料品生産デバイスであって、
請求項1から28のいずれか一項に記載の食感付加装置と、
前記入口開口に接続され、前記食品材料を前記食感付加室へと送り込むように構成される送り込みデバイスと、
前記送り込みデバイスの上流に位置付けられ、前記食品材料の成分を混合するように構成される混合デバイスと
を備える、食料品生産デバイス。
【請求項30】
前記混合デバイスへと突出し、液体成分および/または水を前記混合デバイスにおける前記食品材料へと注入するように構成される1つまたは複数の注入器をさらに備える、請求項29に記載の食料品生産デバイス。
【請求項31】
前記食品材料を前記送り込みデバイスおよび/または前記混合デバイスにおいて予熱するように構成される予熱デバイスをさらに備える、請求項29または30に記載の食料品生産デバイス。
【請求項32】
請求項1から28のいずれか一項に記載の食感付加装置、および/または、請求項29から31のいずれか一項に記載の食料品生産デバイスを好ましくは用いて、肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊に食感を付加する方法であって、
前記食品材料を食感付加室に送り込むステップと、
前記食感付加室の前記上流室区分において前記食品材料にせん断応力を加えることで、前記食品材料を単純せん断流れに曝すステップと、
前記食感付加室の前記下流室区分において前記食品材料を冷却するステップであって、すなわち、前記食品材料の粘度を増加させるために前記食感付加室の前記下流室区分において前記食品材料を冷却するステップと、
前記食感が付加された食品材料を前記食感付加室から排出するステップと
を含む、方法。
【請求項33】
冷却する前記ステップの少なくとも一部の間、前記食感付加室の前記下流室区分において前記食品材料にせん断応力を加えることで、前記食品材料を単純せん断流れに曝すステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
排出する前記ステップは、前記食感付加室における測定された温度および/または圧力レベルに基づいた前記排出ポートの断面積の調整を含む、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記食感付加室の前記上流室区分における前記食品材料を加熱するステップ、すなわち、前記食品材料の粘度を低下させるために前記食感付加室の前記上流室区分における前記食品材料を加熱するステップをさらに含む、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記食品材料を冷却する前記ステップは、前記食品材料を、例えば液体状態または流体状態などの粘性状態から固体状態への相転移に曝すことを含む、請求項32から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
冷却する前記ステップの間、前記食品材料は、50℃~200℃の間の範囲であって、好ましくは90℃から140℃の間の範囲である温度から、0℃~80℃の間の範囲であって、好ましくは30℃から60℃の間の範囲である温度まで冷却される、請求項32から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記食感付加室は、内部を定める外側部材と、前記外側部材の前記内部の内側に配置される内側部材との間に定められ、
前記外側部材は不動で保持され、前記内側部材は、前記食感付加室における前記食品材料を前記単純せん断流れに曝すために、長手方向軸の周りで前記外側部材に対して回転させられる、請求項32から37のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘弾性食品材料の塊に食感を付加するように構成される食感付加装置に関する。本発明は、食料品生産デバイスと、粘弾性食品材料の塊に食感を付加する方法とにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
動物由来の肉製品、具体的にはホールカット肉製品を正確に模倣する、植物に基づいた肉代用品を提供する目的において、肉の繊維状の食感を模倣するために、植物に基づいた粘弾性食品材料の塊に食感を提供することが必要と見出された。
【0003】
この食感を付加することがどのように行うことができるかの第1の例は、PCT出願WO2017/012625A1に例が開示されている押出加工を用いることである。押し出しの間、食品材料は、スクリュによって、包囲された室を通じて押され、長手方向に駆り立てられる。押出機のスクリュは、食品材料の乱流混合をもたらすように構成される。押出機は、食品材料の所望の性質を得るために、押出機の長さにわたって食品材料を異なる押出パラメータに曝すことができるように、対応する個別のスクリュ区域を伴う複数の室区域を備える。押出機の下流のヘッド端に排出開口が設けられており、排出開口を通じて、混合した食品材料が押出機から出現する。この出現は、食品材料が、長手方向と平行な単一の方向において、排出開口を通じて押されるため、食品材料の並びをもたらす。
【0004】
食感付加装置の第2の例がPCT/EP2021/050026に開示されており、これは食品材料の乱流混合に依拠していない。代わりに、この食感付加装置は、食品材料を、2つのシリンダの間の環状の食感付加室において、単純せん断流れ、すなわち、クエット流れに曝すように構成されている。この種類の食感付加装置では、前述の押出機におけるように、乱流混合を有することが望まれない。代わりに、並びを排出においてではなく食感付加室においてすでに得るために、単純せん断流れが層状の流れから主に成る。
【0005】
第3に、せん断を加えることを用いて脂肪質を結晶化させることが知られている。しかしながら、脂肪質は粘弾性材料と異なる特性を有し得る。実際、脂肪質は弾性ではなく、むしろ、圧力差に曝されるときに容易に流れる傾向がある。そのため、食感が付加された状態で材料を維持することができないため、前記脂肪質に食感を提供することは可能ではない。
【0006】
層状の単純せん断流れを用いて食感を付加することが、上記の第2の例にあるように、ホールカット肉製品をより正確に模倣する植物に基づいた肉代用品をもたらすことができるという事実にも拘らず、生産性は比較的低い。これは、食感を付加することが単一の装置で、すなわち、単一の個室を有する単一の装置で、バッチ式で行われるという事実によって引き起こされる。それにより、加工は、個室を満たすことと、食品材料を加熱する間に食感を付加することと、食感が付加された食品材料を冷却することと、食感が付加された食品材料を個室から排出することとから成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2017/012625A1
【特許文献2】PCT/EP2021/050026
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のことを考慮して、単純せん断流れを用いて高い生産性で食品材料に食感を付加するための食感付加装置を提供すること、または、食品材料に食感を付加するための代替の食感付加装置を少なくとも提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊に食感を付加するように構成される食感付加装置であって、
- 第1の端と第2の端との間で長手方向軸に沿って延び、長手方向軸に対して垂直な平面において円形の断面を有する、内部を定める外側部材と、
- 第1の端と第2の端との間で長手方向軸と平行に延び、長手方向軸に対して垂直な平面において円形の断面を有する、内部の内側に配置される内側部材と
を備え、
外側部材は、第1の端と第2の端との間で延びる通し環状食感付加室を、内側部材と外側部材との間において定めるために、内側部材の外面を向く内面を内部において有し、外側部材および内側部材は、食品材料を食感付加室において単純せん断流れに曝すために、長手方向軸の周りで互いに対して回転するように構成される、
装置において、
食感付加室のせん断隙間が内側部材と外側部材との間の径方向間隔として定められ、せん断隙間は、5mmから50mmの間の範囲、特には10mmから50mmの間の範囲にあることと、
食感付加室が上流室区分と下流室区分とを備えることと、
食感付加装置が、
- 食感付加室の下流室区分に設けられ、食感付加室の下流室区分を冷却だけするように構成される冷却デバイスをさらに備えることと
を特徴とする食感付加装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、食感付加装置は、外側部材の長手方向軸が内側部材の長手方向軸と一致するように同心で提供され得る外側部材および内側部材を備える。食感付加装置において食感が付加される食品材料は、20%を超える乾燥物含有量を有し得る粘弾性材料である。このような食品材料の例には、肉代用品のための生体高分子混合物がある。食感を付加する前に、食品材料はペースト状または練り粉状の姿を有し得る。食感を付加する間、繊維状の食感が食品材料へと導入され、結果的にできる最終製品は固体であり得る。
【0011】
粘弾性材料は、液体材料と比べて比較的大きい粘度を有し、これによって、これらの粘弾性材料が本食感付加装置を通じて自由に流れるのを妨げることができる。その粘度の結果として、圧力差が、装置の長さにわたる粘弾性食品材料にわたって存在し得る。したがって、食品材料は、上流室区分において、すなわち、比較的高い温度において、比較的高い圧力レベルに曝され、下流室区分において、すなわち、比較的低い温度に冷却された後に、比較的低い温度に曝され得る。
【0012】
内側部材は、外側部材の内面の少なくとも一部が、長手方向軸に対する径方向において、内側部材の外面の少なくとも一部を向くように、外側部材によって定められる内部に位置付けられる。具体的には、内側部材は、外側部材の内面全体が内側部材を向くように、および、外側部材と内側部材との間における食感付加室が外側部材全体を通じて延びるように、外側部材全体を通じて延びることができる。
【0013】
外側部材は、円筒形、すなわち、長手方向軸に沿うその長さにわたって一定の直径を有してもよく、または円錐形、すなわち、徐々に内方へまたは外方へと細くなるといった、その長さにわたって変化する直径を有してもよい。同様に、内側部材は、円筒形、すなわち、長手方向軸に沿うその長さにわたって一定の直径を有してもよく、または円錐形、すなわち、徐々に内方へまたは外方へと細くなるといった、その長さにわたって変化する直径を有してもよい。
【0014】
円筒形または円錐形の結果として、食感付加室のせん断隙間、すなわち、内側部材と外側部材との間の径方向間隔として定められる食感付加室のせん断隙間が、一定であり得る、または、長手方向軸に沿う長さにわたって変化し得る。せん断隙間は、例えば10mmから50mmの間の範囲といった、5mmから50mmの間の範囲にあり得、好ましくは、長手方向軸に沿うその全長にわたって、この範囲における一定の値を有する。内側部材または外側部材の一方が円筒形を有し、他方が円錐形を有する場合、せん断隙間の幅は、例えば50mmから10mmまでの間の範囲で変化するなど、長手方向軸に沿う長さにわたって変化してもよい。
【0015】
内側部材の外径は100mmから1200mmの間の範囲にあり得る。そのため、食感付加装置は、0.5および0.004の間の範囲にあり、好ましくは0.10から0.02の間の範囲にあり、より好ましくは0.05から0.04の間の範囲にある、内側部材の外径とせん断隙間との間の比率を有し得る。
【0016】
したがって、外側部材の内径は、直径に対して見られる、内側部材と外側部材との間、すなわち、内側部材の両側における内側部材と外側部材との間に結果的にできたせん断隙間が、10mmから50mmの上記の範囲にあるように、110mmから1300mmの間の範囲にあり得る。例えば、内側部材の外径はおおよそ600mmであり得、約30mmの幅であるせん断隙間を得るために、外側部材の内径はおおよそ660mmであり得る。
【0017】
本発明による食感付加装置は、食品材料の塊に連続的に食感を付加するように構成され、これは、食品材料が、例えば一定の速さで、食感付加装置へと連続的に送り込むことができることを意味する。したがって、食感が付加された食品材料の排出は、例えば一定の速さにおいて、連続的に行われてもよい。
【0018】
食感を付加することは、食感付加室における食品材料が、長手方向軸に対する接線方向において各々に対して移動する内面、すなわち、外側部材の内面と、外面、すなわち、内側部材の外面とに曝されるように、内側部材と外側部材との間の相対回転によって開始される。食品材料は、移動する表面と共に少なくとも部分的に流れるため、内面および外面と接触するときに並べられることになる。これは、食品材料に特定の度合いの異方性をもたらすことができ、これは、食品材料をより一様とさせないようにし、それによって、ビーフステーキ、ポークロイン、またはチキンブレストなどの実際のホールカット肉製品により類似させる。
【0019】
例えばせん断隙間にわたって延びる食感付加室における速度プロファイルは、内面または外面に対する食品材料の速度の勾配を表す。本発明によれば、速度プロファイルは、食感付加室において、単純せん断流れ、すなわち、クエット流れを得るために、および、乱流を防止するために、実質的に線形である。単純せん断流れは、混合が食感付加室において起こるのを防止することができ、このような混合は、知られている押出機デバイスおよびスクリュに基づく加熱デバイスにおいて必ず起こる。したがって、それらの刊行物における混合は、乱流を得ることと、加熱の効率を増加させることとが必須であった。本発明によれば、実際のホールカット肉製品をより正確に模倣するために、混合を回避することと異方性を増加させることとが代わりに有益である。
【0020】
食感を付加する間、食品材料は、食感付加室を通じて、すなわち、長手方向軸に沿って、食感付加室の第1の端から第2の端へと進む。この軸方向の変位は輸送デバイスによってもたらすことができ、輸送デバイスは、内側部材または外側部材の配置によって形成することができるが、代替で、第1の端と第2の端との間での食感付加室にわたる圧力差によって食品材料を変位させるように構成され得る。食感付加装置の使用の間、圧力差の影響の下での流れに対して抵抗を加えようとする粘弾性食品材料の結果として、圧力低下が、装置の長さにわたって、すなわち、入口と出口との間に、存在することになる。
【0021】
接線速度、すなわち、内側部材と外側部材との間の回転の結果としての接線速度が、食品材料の軸方向の変位と比べて比較的大きくなければならないことは、本発明による食感付加装置において重要である。これは、食品材料の十分な食感を確保するために、および、食品材料の流れが実質的に層状でのままであること、すなわち、食品材料の流れが乱流になることを実質的に防止し、実質的に単純せん断流れのみまたはクエット流れのみが起こることを可能とすることを守るために、必要とされる。
【0022】
食品材料の接線速度と軸方向変位との間の割合は、2:1から400:1の間の範囲にあり得る。例えば、600mmの外径を伴う内側部材を有する食感付加装置では、15rpmの回転速度がおおよそ0.50m/sの接線速度になり得る。所望の性質を得るために、0.005m/sの軸方向の変位、すなわち、長手方向軸に沿っての軸方向の速度が、食品材料を食感付加室において十分な時間にわたって保持するために設定され得る。これは、結果として約100:1の接線速度と軸方向変位との間の割合になり得る。
【0023】
食感を付加する間または前に、食品材料は加熱され得る。食品材料を食感付加装置から排出することができるようにするために、食品材料は冷却されなければならず、これは、そうでない場合に、食感付加室から排出されると食品材料における食感が変わってしまい、結果的に生じる食感が、実際のホールカット肉製品における繊維状の食感と比べて劣ることになるためである。したがって、食品材料の粘度は加熱において相当に低下することができる。
【0024】
先行技術は、加熱および食感付加が行われた後、食感付加室における受動的な冷却に依拠していた。代わりに、冷却流体が、加熱が行われた後に食品材料を能動的に冷却することができるように、加熱デバイスの通路に通された。
【0025】
本食感付加デバイスの動作の連続的な性質のため、食感付加室を交互に加熱および冷却することは、不十分な加熱および/または冷却をもたらし、そのため非連続的な動作をもたらすことになるため、可能ではない。
【0026】
解決策として、本発明による食感付加装置の食感付加室は上流室区分と下流室区分とを備える。したがって、食感付加室は、第1の端に位置付けられる上流室区分と、第2の端に位置付けられる下流室区分とに細分される。
【0027】
上流室区分と下流室区分とは、上流室から下流室への食品材料の流れを許容する移行通路によって互いから分離されるなど、食感付加装置の別個の室であり得る。代替で、上流室区分と下流室区分とは、物理的に互いから分離されることなく、単一の食感付加室の異なる一部であり得る。
【0028】
上流室区分と下流室区分とは、移行位置といった別個の移行区域において、互いに直接的に当接してもよい。代替で、食感付加室は、上流室区分と下流室区分の間に中間室区分を備えてもよい。
【0029】
本発明によれば、食感付加装置は、食感付加室の下流室区分に設けられ、食感付加室の下流室区分を冷却だけするように構成される冷却デバイスをさらに備える。その結果として、食品材料の冷却は下流室区分において行われるだけであり、能動的な冷却は、上流室区分において、および存在する場合には中間室区分において、行われないように構成される。したがって、上流室区分は冷却デバイスを無くすことができる。
【0030】
食品材料は、食感付加室の上流室区分へと送り込まれるように構成される。食感付加装置は、内側部材と外側部材との間の相対回転時に、繊維状の食感を食品材料に提供するために、上流室区分における食品材料をせん断するように構成される。食品材料は、上流室区分において加熱され得る、または代替で、上流室区分への導入の前に予熱され得る。
【0031】
予熱されて食感が付加された食品材料は、さらなるせん断が加熱なしで行われ得る中間室区分を任意選択で介して、下流室区分に入ることができる。それによって、食品材料は、冷却されるために下流室区分を通過する。下流室区分では、食品材料が冷却されている間にさらなる食感付加が食品材料に与えられてもよい。下流室区分を通過した後、食品材料は冷却されており、粘度が冷却において増加しているため、食品材料における食感が変化するのを防止するのに十分である低さである温度において、食品材料は食感付加室から排出させることができる。
【0032】
中間室区分が上流室区分と下流室区分との間に設けられる場合、この区域は加熱デバイスおよび冷却デバイスが無くてもよい。したがって、中間室区分は、下流室区分における冷却の前に、食品材料をせん断するように構成されるだけであり得る、または、食品材料の弛緩、すなわち、食品材料をせん断しないことを許容するように構成され得る。
【0033】
本食感付加装置の便益は、食品材料における得られた食感が、押し出しを用いて提供され得る食感と比べて向上させられ得ることである。さらに、連続的な動作が、既存のバッチ式の食感付加装置と比べて生産性を向上させることができる。
【0034】
これらの便益は、食感付加室が複数の区域を備えることと、上流室区分における食感付加が下流室区分における冷却によって相当に影響されることのないように、冷却デバイスが下流室区分において食品材料を冷却するだけであるように構成されることとによって可能とされる。
【0035】
冷却デバイスは、例えば、実質的に一定の冷却力で食品材料を冷却するように構成されるなど、下流室区分において食品材料を連続的に冷却するように構成され得る。下流室区分においての冷却デバイスによる食品材料の冷却は、食品材料を、食感付加室からの排出を可能とするために、0℃~80℃の間の範囲であり、好ましくは30℃から60℃の間である温度まで冷却するようにもたらされ得る。
【0036】
代替または追加で、冷却デバイスは、下流室区分における食品材料を、上流室区分における食品材料の温度より50℃から150℃低い温度レベルへと冷却するように構成され得る。
【0037】
食感付加室は、例えば、約6メートルの長さを有するといった、1メートルから10メートルの間の範囲にある内側部材の長さおよび外側部材の長さなど、長手方向軸に沿った長さを有し得る。
【0038】
食感付加装置は、1rpmから150rpmの間の範囲における回転速度において、内側部材と外側部材とを互いに対して回転させるように構成され得る。代替または追加で、食感付加装置は、0.05m/sから5m/sの間の範囲における接線速度において、内側部材と外側部材とを互いに対して回転させるように構成され得る。
【0039】
0.05m/sの接線速度は、2rpmにおいて回転させられる1000mmの外径を伴う内側部材を食感付加装置が備えるときに得られ得、5m/sの接線速度は、150rpmにおいて回転させられる300mmの外径を伴う内側部材を食感付加装置が備えるときに得られ得る。
【0040】
食品材料が、例えば、動物タンパク質代用品のための生体高分子混合物について、1~150rpmの範囲での回転速度または0.05~5m/sの範囲での接線速度に曝されるとき、対応するせん断速さが、食品材料の食感を、できるだけ最良とさせること、すなわち、実際のホールカット肉製品の食感を正確に模倣させることが、本発明者によって見出された。
【0041】
食品材料がより低いせん断速さに曝される場合、食品材料において結果的に生じる構造は、食感が少ししか付加されず、限られた異方性だけを示す。一方、食品材料がより高いせん断速さに曝される場合、結果的に生じる食品材料における食感は、生じ得る乱流のため、破壊されるおそれがある。
【0042】
実施形態では、食感付加装置は、食感付加室の上流室区分に設けられ、食感付加室の上流室区分を加熱だけするように構成される加熱デバイスをさらに備える。
【0043】
加熱デバイスは、少なくとも使用中に、食感付加室に配置された食品材料を加熱するために、食感付加室の上流室区分を加熱するように構成される。加熱デバイスは、下流室区分における冷却デバイスによって行われる冷却に実質的に影響を与えることなく食品材料を加熱することができるように、冷却デバイスに対して上流に設けられる。
【0044】
加熱デバイスは、装置の使用中に食品材料を上昇した温度に曝すために、上流室区分の温度を、環境温度を上回るレベルへと増加させるように構成される。上流室区分における加熱は、食品材料の熱膨張に続いて、食品材料の加圧をもたらすことができる。それによって、圧力差が、上流室区分と、下流室区分との間、すなわち、食品材料が冷却される下流室区分との間で起こり得る。粘弾性食品材料は、先行技術から知られている液体の脂肪質に関する状況ではなく、流れに抗する抵抗を加え得るため、この圧力差を維持することに寄与する。
【0045】
必要な上昇の温度は食品材料の種類ごとで異なるが、例えば、タンパク質の豊富な生体高分子混合物について、50℃から200℃の間であり得、好ましくは90℃から140℃の間であり得る。これらの温度において、上流室区分における圧力は、例えば、水などの液体の蒸発によって、または、食品材料における上昇した温度の下でのタンパク質構造における変化によって引き起こされるといった加熱の影響の下で、環境圧力を上回って上昇することができる。
【0046】
上昇した温度において、食品材料の粘度は低下させられ、生体高分子が塊の並びをもたらすために動かされる。並んだ塊は、例えば接線方向に並べられることになるといった、内側部材と外側部材との間の相対回転の方向に並べられている食品材料の繊維状の食感をもたらす。
【0047】
食感付加装置の実施形態では、内側部材は実質的に中空であり、内側部材内部を定める。中空の内側部材内部は、食感付加装置の外側からアクセス可能であり得る、または代替で、食感付加装置の環境から実質的に閉鎖され得る。
【0048】
具体的には、中空の内側部材は、せん断隙間と比べて比較的大きい外径を有することができ、例えば、せん断隙間より少なくとも2倍大きい外径を有する。例えば、内側部材の外径がせん断隙間より約10倍大きくできるように、内径の外径は約200mmから300mmまでの直径を有し得る一方で、せん断隙間は20mmから30mmの間の幅を有し得る。
【0049】
これは、押出スクリュの軸材の外径とスクリュの羽根幅との間の割合がはるかにより小さいため、押出装置に対する本食感付加装置のさらなる違いを提供することができる。結果として、このような押出スクリュの軸材は、使用中にスクリュを不能にさせる小さすぎる捩じれの強度および剛性をもたらすことになるため、概して中空で提供させることができない。
【0050】
中空の内側部材の外径がせん断隙間と比べて比較的大きい本実施形態による食感付加装置では、内側部材の捩じれ剛性がより重要ではない。これは内側部材を中空で提供させる一方で、十分な捩じれの強度および剛性をなおも提供する。
【0051】
食感付加装置の実施形態では、中空の内側部材は、使用中に加熱流体の緩衝体積を貯留するように構成され、例えば、蒸気の体積を内部で保持するように構成される。それによって、食感付加装置は、熱を蒸気から粘弾性食品材料に向けて伝えて粘弾性食品材料の加熱をもたらすために、中空の内側部材から加熱流体回路への蒸気を得るように構成される。
【0052】
食感付加装置の実施形態では、外側部材は、
- 第1の端と移行区域との間で延び、第1の端と第2の端との間に位置付けられる第1の外壁区域と、
- 移行区域と前記第2の端との間で延びる第2の外壁区域と
を備え、上流室区分は第1の外壁区域と内側部材との間に定められ、下流室区分は第2の外壁区域と内側部材との間に定められる。
【0053】
この実施形態によれば、外側部材は、第1の外壁区域と、第1の外壁区域の下流に位置付けられる第2の外壁区域とに細分される。第1の外壁区域は、第1の端から、内側部材の上流部を向く移行区域に向けて延び、第2の外壁区域は、移行区域から、内側部材の下流部を向く第2の端に向けて延びる。
【0054】
移行区域において、直接的な接触が第1の外壁区域と第2の外壁区域との間に形成でき、例えば、両方の外壁区域の間の別個の移行位置である。
【0055】
第1の外壁区域は長手方向軸に沿った第1の長さを有することができ、第2の外壁区域は長手方向軸に沿った第2の長さを有することができる。第1の長さは、長手方向軸に沿っての上流室区分の長さが下流室区分の長さと等しくなるように、第2の長さと等しくなり得る。代替で、第1の長さは第2の長さより大きくなり得る、または、第2の長さは第1の長さより大きくなり得る。
【0056】
下流室区分における冷却デバイスによる食品材料の冷却の量と、存在する場合には、上流室区分における加熱デバイスによる食品材料の加熱の量とは、第2の長さと第1の長さとにそれぞれ依存し得る。したがって、第2の長さおよび第1の長さは、冷却量および加熱量を調整するために、すなわち、冷却デバイスの特定の固定された冷却力および加熱デバイスの特定の固定された加熱力について冷却量および加熱量を調整するために、変化させられてもよい。
【0057】
第1の外壁区域と第2の外壁区域との間の別個の移行位置の代替として、外壁は、第1の外壁区域と第2の外壁区域との間に位置付けられる中間外壁区域を備えてもよい。それによって、食感付加室は、上流室区分と下流室区分の間に位置付けられる中間室区分を備えることができる。それによって、中間室区分は、中間外壁区域と内側部材との間に、具体的には、内側部材の中間部に定められる。
【0058】
中間室区分は、食品材料が中間室区分を通過するときに食品材料の温度が比較的一定となり得るように、加熱デバイスおよび冷却デバイスが無くてもよい。食品材料の受動的な冷却、すなわち、食感付加室の中間室区分から環境への食品材料の受動的な冷却が、この実施形態の状況の中で不可避的であり得ることは、予想されている。
【0059】
中間室区分では、外側部材の内径は断面積を変えるために変化してもよい。直径におけるこの変化は、下流室区分における圧力レベルが上流室区分における圧力レベルより低くなり得るように、食品材料の圧力レベルにおける低下をもたらすことができる。
【0060】
第1の外壁区域と第2の外壁区域との間の別個の移行位置へのさらなる代替として、上流室区域と下流室区域とは、内側部材の無い移行通路を介して相互接続されてもよい。移行通路は、例えば、食品材料がそれにわたる圧力レベルにおける違いの影響の下で変位させられるのに通るホースまたは管として具現化され得る。移行通路は、下流室区分における食品材料が、上流室区分からの熱によって加熱されるのを防止するために、および、上流室区分における食品材料が下流室区分から冷却されるのを防止するために、好ましくは断熱する。
【0061】
食感付加装置のさらなる実施形態では、第1の外壁区域は第1の内径を有し、第2の外壁区域は、第1の内径と異なる第2の内径を有する。外側部材の内径は両方の壁区域の間で異なる可能性があり、したがって、せん断隙間が上流室区分と下流室区分との間で異なる可能性がある。
【0062】
食感付加装置のさらなる実施形態では、第1の外壁区域または第2の外壁区域は、例えば異なる内径をそれぞれ有するといった2つ以上の異なる一部に細分されてもよい。それによって、第1の内壁区域または第2の内壁区域は一定の外径をそれぞれ有し得る。
【0063】
例えば、第1の外壁区域は、第1の端から長手方向軸に沿って見られるとき、比較的大きい内径を伴う一部を初めに有し、比較的小さい直径を伴う第2の一部を次に有する。したがって、上流室区分におけるせん断隙間は、第1の外壁区域の第1の一部において比較的広くでき、第1の外壁区域の第2の一部において比較的広くできる。
【0064】
代替または追加で、第2の外壁区域は、第2の端へ向かって長手方向軸に沿って見られるとき、比較的小さい内径を伴う一部を初めに有し、比較的大きい内径を伴う第2の一部を次に有する。したがって、下流室区分におけるせん断隙間は、第2の外壁区域の第1の一部において比較的狭くでき、第2の外壁区域の第2の一部において比較的広くできる。
【0065】
第2の外壁区域の第1の一部において、食品材料は、外側部材と接触することができ、すなわち、冷却デバイスによって冷却されるために外側部材と接触することができる。食品材料は、第2の一部に到着すると、外側部材から外れることができ、それによって、食感付加室からの食品材料の取り出しを容易にする。さらに、冷却における粘度の低減に続いて、冷却された食品材料を引き裂く危険性が、外側部材との接触が無くなることで低減される。
【0066】
さらに、冷却デバイスは第2の外壁区域の第2の一部において省略されてもよい。
【0067】
さらなる実施形態では、例えば第1の外壁区域、第2の外壁区域、および中間外壁区域といった外壁区域の一部が、組み合わせで外側部材を形成するために互いに取り付けられる別個のモジュールであり得る。第2の外壁区域を形成するモジュールの各々は、第2の外壁区域の異なるモジュールが異なる温度に冷却され得るように、別個の冷却デバイスを備え得る。同様に、第1の外壁区域を形成するモジュールの各々は、第1の外壁区域の異なるモジュールが異なる温度に加熱され得るように、別個の加熱デバイスを備え得る。
【0068】
代替または追加で、第1の外壁区域を形成するモジュールの各々は、内側部材と第1の外壁区域との間に定められるせん断隙間が上流室区分の長さにわたって変化することができるように、異なる内径を有してもよい。同様に、第2の外壁区域を形成するモジュールの各々は、内側部材と第2の外壁区域との間に定められるせん断隙間が下流室区分の長さにわたって変化することができるように、異なる内径を有してもよい。
【0069】
モジュールの数を変化させることで、それに応じて食感付加室の全長が変化させられ得る。これは、食感付加室における食品材料の滞在時間が、食品材料の接線速度および軸方向変位速度とは無関係に変更することができることを意味している。結果として、食品材料のせん断速さおよび他のせん断特性は影響されず、これは例えば、異なる成分を有する、および、異なる加熱プロファイルおよび冷却プロファイルを必要とするといった、異なる食品材料のために単一の食感付加装置が使用されるときに有用であり得る。
【0070】
例えば、より長い時間の期間にわたって食品材料を加熱することが必要とされる場合、上流室区域の長さ、延いては加熱される上流室区域における滞在時間が増加させられ得るように上流室区域を形成するために、より多くのモジュールが提供され得る。
【0071】
一方で、食品材料の弛緩時間を増加させる場合、中間室区域の長さが増加させられ得るように中間室区域を形成するために、より多くのモジュールが提供され得る。
【0072】
食感付加装置の追加または代替の実施形態では、内側部材は、
- 上流室区分を定めるために第1の外壁区域を向く第1の内壁区域と、
- 下流室区分を定めるために第2の外壁区域を向く第2の内壁区域と
を備える。
【0073】
内側部材は、第1の内壁区域と第2の内壁区域との間に別個の移行部を有してもよい。
【0074】
第1の内壁区域は、長手方向軸に沿った、第1の長さに等しい、すなわち、第1の外壁区域の長さに等しい長さを有し得る。したがって、第2の内壁区域は、長手方向軸に沿った、第2の長さに等しい、すなわち、第2の外壁区域の長さに等しい長さを有し得る。
【0075】
第1の内壁区域と第2の内壁区域との間の別個の移行位置の代替として、内壁は、第1の内壁区域と第2の内壁区域との間に位置付けられる中間内壁区域を備えてもよい。それによって、中間内壁区域は、例えば中間外壁区域に抗してなど、外側部材に抗して食感付加室の中間室区分を定める。
【0076】
中間室区分では、内側部材の外径は断面積を変えるために変化してもよい。直径におけるこの変化は、下流室区分における圧力レベルが上流室区分における圧力レベルより低くなり得るように、食品材料の圧力レベルにおける低下をもたらすことができる。
【0077】
食感付加装置のさらなる実施形態では、第1の内壁区域は第1の外径を有し、第2の内壁区域は、第1の外径と異なる第2の外径を有する。内側部材の外径は両方の壁区域の間で異なる可能性があり、したがって、せん断隙間が上流室区分と下流室区分との間で異なる可能性がある。
【0078】
食感付加装置のさらなる実施形態では、第1の内壁区域または第2の内壁区域は、異なる外径をそれぞれ有するといった2つ以上の異なる一部に細分されてもよい。それによって、第1の外壁区域または第2の外壁区域は一定の外径をそれぞれ有し得る。
【0079】
さらなる実施形態では、内壁区域の一部が、組み合わせで、第1の内壁区域または第2の内壁区域を形成するために互いに取り付けられる別個のモジュールであり得る。これらのモジュールの内壁区域は、本明細書に開示されているモジュールの外壁区域と組み合わせることができる。
【0080】
第1の内壁区域を形成するモジュールの各々は、外側部材と第1の内壁区域との間に定められるせん断隙間が上流室区分の長さにわたって変化することができるように、異なる外径を有してもよい。同様に、第2の内壁区域を形成するモジュールの各々は、外側部材と第2の内壁区域との間に定められるせん断隙間が下流室区分の長さにわたって変化することができるように、異なる外径を有してもよい。
【0081】
モジュールの数を変化させることで、それに応じて食感付加室の全長が変化させられ得る。これは、食感付加室における食品材料の滞在時間が、食品材料の接線速度および軸方向変位速度とは無関係に変更することができることを意味している。結果として、食品材料のせん断速さおよび他のせん断特性は影響されず、これは例えば、異なる成分を有する、および、異なる加熱プロファイルおよび冷却プロファイルを必要とするといった、異なる食品材料のために単一の食感付加装置が使用されるときに有用であり得る。
【0082】
例えば、より長い時間の期間にわたって食品材料を冷却することが必要とされる場合、下流室区域の長さ、延いては冷却される下流室区域における滞在時間が増加させられ得るように下流室区域を形成するために、より多くのモジュールが提供され得る。
【0083】
食感付加装置の追加または代替の実施形態において、内側部材は、長手方向軸に対して実質的に垂直に並べられ、内側部材内部を第1の内側部材内部と第2の内側部材内部とに細分するように構成される分離壁を、第1の内壁区域と第2の内壁区域との間に備える。
【0084】
分離壁は、内側部材内部へと内方へ突出し、すなわち、長手方向軸に対して径方向における内方へと広がる平面において延びる。分離壁は、第1の内壁区域と第2の内壁区域の間において、または中間内壁区域において、例えば別個の移行部分といった移行区域に設けられ得る。
【0085】
分離壁は、第1の内側部材内部、すなわち、上流室を加熱するための加熱デバイスが位置付けられ得る第1の内側部材内部を、第2の内側部材内部、すなわち、下流室を冷却するための冷却デバイスが位置付けられ得る第2の内側部材内部から分離するように構成される。そのようにして、分離壁は、第1の内部区域における加熱が第2の内部区域における冷却に影響するのを防止するために、または、第2の内部区域における冷却が第1の内部区域における加熱に影響するのを防止するために、第1の内側部材内部と第2の内側部材内部との間に断熱部を形成することができる。
【0086】
具体的には、分離壁は、上流室区域における食品材料を加熱するために例えば蒸気といった加熱流体を受け入れるように構成され得る内側部材の上流の内部の一部を画定することができる。
【0087】
さらに、分離壁は、内側部材の周囲壁を補強することができるため、構造的な便益を有することができる。分離壁は、回転における内側部材の座屈を防止することができ、内側部材の捩じれ強度を増加させることができる。
【0088】
食感付加室の実施形態では、加熱デバイスが第1の外壁区域および/または第1の内壁区域に設けられる、および/または、冷却デバイスが第2の外壁区域および/または第2の内壁区域に設けられる。
【0089】
それによって、上流室区分における食品材料の加熱は、外側部材の壁から、内側部材の壁から、またはそれら両方の組み合わせから、開始され得る。加熱デバイスはそれぞれの壁区域を包囲してもよく、例えば加熱ジャケットとして具現化される。しかしながら、好ましくは、加熱デバイスは、食品材料をそれぞれの壁区域から直接的に加熱するために、第1の外壁区域および/または第1の内壁区域に組み込まれる。
【0090】
同様に、それによって、下流室区分における食品材料の冷却は、外側部材の壁から、内側部材の壁から、またはそれら両方の組み合わせから、開始され得る。冷却デバイスはそれぞれの壁区域を包囲してもよく、例えば冷却ジャケットとして具現化される。しかしながら、好ましくは、冷却デバイスは、食品材料をそれぞれの壁区域から直接的に冷却するために、第2の外壁区域および/または第2の内壁区域に組み込まれる。
【0091】
食感付加装置のさらなる実施形態では、加熱デバイスは、第1の外壁区域および/または第1の内壁区域を通じて延び、加熱流体の流れを導くように構成される加熱流体回路を備える。
【0092】
第1の外壁区域および/または第1の内壁区域は、加熱流体回路における加熱流体からの熱がそれぞれの壁区域に伝導され得るように加熱流体回路を定めるために、中空の壁区域であり得る。壁区域から、その壁区域と接触している食品材料へと、熱はさらに伝えられ得る。
【0093】
加熱流体回路は、内側部材および外側部材のうちの不動のものに好ましく位置付けられ、例えば、内側部材が自由に回転駆動され得るように、不動の外側部材に位置付けられる。しかしながら、代替で、加熱流体回路は、内側部材および外側部材のうちの回転のものに設けられてもよく、加熱流体回路は、加熱流体を回転部材へと流すために、回転結合部を備え得る。
【0094】
加熱流体回路は、食感付加室と食感付加装置の周囲との間に配置でき、例えば、周囲に曝される外壁区域にされ得る、または、内側部材が中空である場合には内壁区域に配置され得る。これは、加熱デバイスが、装置の使用の間、周囲と粘弾性食品材料との間に熱緩衝部を形成することを確保する。これは、周囲から食品材料への熱の影響が加熱流体回路によって妨げられるため、食品材料の温度の制御を向上させ得る。
【0095】
好ましくは、加熱流体回路における加熱流体の流れ方向は、上流室区分における食品材料の軸方向の変位と反対の方向であり、すなわち、加熱流体の流れ方向は、移行区域から第1の端に向けて並べられる。この方法では、加熱流体から食品材料への熱の交換は、加熱流体および食品材料が同じ方向に移動するときより高い効率を得るために、熱の対向流交換であり得る。
【0096】
加熱流体回路における加熱流体は、熱の交換が加熱流体から食品材料へと起こり得る表面積を増加させるために、内側部材および/または外側部材の周囲面全体にわたって広げられ得る。
【0097】
加熱デバイスは、食感付加室から離れて位置付けられ、加熱流体回路との間での加熱流体の輸送を可能とするために加熱流体回路と流体接続している熱交換デバイスをさらに備え得る。熱交換デバイスは、食感付加室から離れて加熱流体を加熱するように、および、加熱された加熱流体を第1の外壁区域および/または第1の内壁区域における加熱流体回路に向けて送出するように構成でき、熱は上流室区分における食品材料へと伝えられる。それによって、加熱流体は冷却され、熱交換デバイスへと戻すように輸送され、熱交換デバイスは加熱流体を再加熱するように構成される。
【0098】
加熱流体は、100℃を上回る温度を有する加圧蒸気、すなわち、加熱流体回路における入口において100℃を上回る温度を有する加圧蒸気であり得る。蒸気の使用は、冷却されるときに相変化を受け得るため、食品材料を加熱することにとって有益であり得る。蒸気を気相から液相へと冷却することで、蒸気から凝縮の熱を放出させることができ、これは食品材料を加熱することに寄与することができる。
【0099】
代替で、加熱デバイスは、誘導加熱デバイス、抵抗加熱デバイス、または赤外線加熱デバイスなどの電気加熱デバイスであり得る。これらの電気加熱デバイスは、加熱流体に応答する必要がないため、食品材料を直接的に加熱するように構成でき、装置をより複雑とならないように構築することができる。
【0100】
食感付加装置の代替または追加の実施形態では、冷却デバイスは、第2の外壁区域および/または第2の内壁区域を通じて延び、冷却流体の流れを導くように構成される冷却流体回路を備える。
【0101】
第2の外壁区域および/または第2の内壁区域は、下流室区分における食品材料からの熱が、例えば食品材料が接触しているそれぞれの壁区域を介してなどで、冷却流体回路における冷却流体へと引き込まれ得るように冷却流体回路を定めるために、中空の壁区域であり得る。
【0102】
冷却流体回路も、内側部材および外側部材のうちの不動のものに好ましく位置付けられ、例えば、内側部材が自由に回転駆動され得るように、不動の外側部材に位置付けられる。しかしながら、代替で、冷却流体回路は、内側部材および外側部材のうちの回転のものに設けられてもよく、冷却流体回路は、冷却流体を回転部材へと流すために、回転結合部を備え得る。
【0103】
冷却流体回路は、食感付加室と食感付加装置の周囲との間に配置でき、例えば、周囲に曝される外壁区域にされ得る、または、内側部材が中空である場合には内壁区域に配置され得る。これは、冷却デバイスが、装置の使用の間、周囲と粘弾性食品材料との間に熱緩衝部を形成することを確保する。これは、周囲から食品材料への熱の影響が冷却流体回路によって妨げられるため、食品材料の温度の制御を向上させる。さらに、これは、食品材料が冷却流体で能動的に冷却され得るという便益を提供することができ、一方、既存の装置は装置の環境における冷たい空気の影響の下での受動的な冷却に依拠する。
【0104】
好ましくは、冷却流体回路における冷却流体の流れ方向は、下流室区分における食品材料の軸方向の変位と反対の方向であり、すなわち、冷却流体の流れ方向は、第2の端から移行区域に向けて並べられる。この方法では、食品材料から冷却流体への熱の交換は、冷却流体および食品材料が同じ方向に移動するときより高い効率を得るために、熱の対向流交換であり得る。
【0105】
冷却流体回路における冷却流体は、熱の交換が食品材料から冷却流体へと起こり得る表面積を増加させるために、内側部材および/または外側部材の周囲面全体にわたって広げられ得る。
【0106】
冷却デバイスは、食感付加室から離れて位置付けられ、冷却流体回路との間での冷却流体の輸送を可能とするために冷却流体回路と流体接続している第2の熱交換デバイスをさらに備え得る。第2の熱交換デバイスは、食感付加室から離れて冷却流体を冷却するように、および、冷却された冷却流体を第2の外壁区域および/または第2の内壁区域における冷却流体回路に向けて送出するように構成でき、熱は下流室区分における食品材料から冷却流体回路における冷却流体へと引き込まれる。それによって、冷却流体は加熱され、第2の熱交換デバイスへと戻すように輸送され、第2の熱交換デバイスは加熱流体を再び冷却するように構成される。
【0107】
実施形態では、冷却流体は、0℃より高い温度を有する液体であり得る。比較的低い温度と、漏れのある場合の食品材料の汚染の危険性の低さとのため、水冷却が有益であり得ることが、本出願者によって見出されている。
【0108】
実施形態では、食感付加装置は、
- 上流室区分との直接的な流体接触で第1の端に位置付けられ、食感付加室へのアクセスを食品材料の塊に提供するように構成される入口開口と、
- 下流室区分との直接的な流体接触で、例えば長手方向軸に対して径方向の位置など、第2の端に位置付けられ、食感が付加された食品材料の食感付加室からの排出を可能とするように構成される排出ポートと
をさらに備える。
【0109】
入口開口および排出ポートは、長手方向軸に沿って見られるとき、食感付加室の反対の端に位置付けられる。それによって、食品材料は、入口開口から排出ポートへのその経路において実質的に食感付加室全体を通過し、すなわち、食感付加室を通るその軸方向の変位を受ける。
【0110】
排出ポートは軸方向に対して径方向に位置決めでき、これは、食品材料が、例えば径方向と接線方向との間で並べられる排出方向においてなど、径方向における成分を少なくとも有する排出方向において排出されるように構成される。
【0111】
しかしながら、代替で、排出ポートは、食感付加室の下流のヘッド端において軸方向に位置決めされ得る。このような軸方向の排出ポートは、長手方向と実質的に平行な方向、すなわち、食品材料が食感付加室を通じて輸送されるのに沿う方向と平行な方向において、食品材料が食感付加室から排出され得るという便益を提供することができる。
【0112】
この径方向の排出ポートは、既存の押出機、すなわち、食品材料の軸方向の排出が繊維状の食感を得るために必須であった押出機と比べて、さらなる違いを提供する。食品材料を径方向に排出することで、食品材料は内側部材の回転時に内側部材から擦り落とすことができる。それによって、接線方向の繊維状の食感が阻害されないように、および、排出された製品ができるだけ大きくできるように、食品材料の連続的な厚板、すなわち、接線方向の厚板が排出され得る。
【0113】
食感付加装置の実施形態では、外側部材は不動で保持させられるように構成され、内側部材は、回転させられるように、すなわち、外側部材に対して回転させられるように構成される。
【0114】
この実施形態によれば、外側部材は、例えば食感付加装置のフレーム組立体において、不動で保持される。食感付加装置は、フレーム組立体に搭載させることができ、内側部材を回転させるように構成される電気モータなどのモータをさらに備え得る。
【0115】
不動の外側部材は、加熱デバイス、すなわち、加熱流体回路、および/または、冷却デバイス、すなわち、冷却流体回路が、外側部材に含まれる場合に、有益であり得る。この方法では、すべての流体接続も不動で保持させることができ、装置の複雑さを低減する。さらに、外側部材の内面は、内側部材と外側部材との間の隙間の結果として、内側部材の外面より大きい表面積を有する。これは、伝熱面積が加熱デバイスおよび/または冷却デバイスが外側部材において提供されるときにより大きくなることができることで、向上した熱交換を提供するというさらなる便益を提供することができる。
【0116】
さらなる実施形態では、食感付加装置は、食感付加室を通じて食品材料を輸送するように構成され、すなわち、食品材料を長手方向軸と平行な方向において軸方向に変位させるために食感付加室を通じて食品材料を輸送するように構成される輸送デバイスを備える。
【0117】
食感を付加する間、食品材料は、食感付加室を通じて、すなわち、長手方向軸に沿って、食感付加室の第1の端から第2の端へと進む。この軸方向の変位は輸送デバイスによってもたらすことでき、輸送デバイスは内側部材または外側部材の形状によって形成され得る。代替で、輸送デバイスは、第1の端と第2の端との間の食感付加室にわたる圧力差によって食品材料を変位させるように構成されてもよい。
【0118】
接線速度、すなわち、内側部材と外側部材との間の回転の結果としての接線速度が、食品材料の軸方向の変位と比べて比較的大きくなければならないことは、本発明による食感付加装置において重要である。これは、食品材料の十分な食感を確保するために、および、食品材料の流れが実質的に層状でのままであり、食品材料の流れが乱流になることを防止し、単純せん断流れまたはクエット流れが起こるのを可能とすることを守るために、必要とされる。
【0119】
食感付加装置のさらなる実施形態では、輸送デバイスは、内側部材の外面の少なくとも一部にわたって螺旋状に延びるオーガを備え、オーガは、食感付加室を通じて障害の無い螺旋経路を定める。
【0120】
この実施形態によれば、外側部材は不動で保持させることができ、内側部材は回転駆動されるように構成できる。代替で、内側部材は不動で保持されてもよく、外側部材は回転駆動されるように構成されてもよく、オーガは外側部材の内面の少なくとも一部にわたって螺旋状に延びてもよい。
【0121】
オーガは、せん断の間、内側部材の回転時に、すなわち、外側部材に対する内側部材の回転時に、食感付加室を通じて、すなわち、長手方向軸に沿って、食品材料を軸方向に変位させるように構成され得る。
【0122】
障害の無い螺旋経路は、食品材料が食感付加室を通じて変位させられるとき、オーガにおいて隆条または阻害に出くわさないことを意味する。知られている押出デバイスでは、このような阻害が存在するが、押出機におけるオーガが食品材料を加圧、変位、混錬、および混合する目的を提供するため、有害ではない。本食感付加装置では、このような阻害は、単純せん断流れを妨害し、そのため食品材料の食感付加に負の影響を与えるため、有害となる。
【0123】
本実施形態によれば、障害の無い螺旋経路の結果として、食品材料は、食感付加室を通るその全体の経路の間に、内側部材の外面および/または外側部材の内面と接触したままであり得る。
【0124】
オーガは、単一の螺旋経路を備え得るが、複数の螺旋経路、すなわち、内側部材の周囲にわたって角度的に離間されるそれぞれのリードを有する複数の螺旋経路を代替で備えてもよい。例えば、オーガは、リードが内側部材の周囲の周りで180°で離間される2つの螺旋経路を備え得る。
【0125】
それによって、オーガは比較的小さいピッチを有してもよい。結果として、オーガおよび内側部材の特定の回転速度について、接線方向におけるせん断速度が、軸方向の変位より例えば2倍から400倍大きいといった、相当に大きいことが、達成され得る。
【0126】
オーガは、上流室区分全体を通じて延びるように、内側部材の第1の内壁区域全体にわたって延びてもよい。オーガは、下流室区分の一部だけを通じて延びるように、例えば比較的小さい内径および冷却デバイスを伴う第2の外壁区域の第1の一部を向くといった、第2の内壁区域の一部にわたってさらに延びてもよい。例えば比較的大きい内径を伴う第2の外壁区域の第2の一部を向くといった第2の内壁区域の第2の一部は、オーガが無くてもよい。それによって、食品材料は、冷却デバイスによって冷却された後、オーガと接触しなくなり、それによって、作り出された食感の阻害を防止する。
【0127】
食感付加装置のさらなる実施形態では、オーガは、接線方向に対して0.01°から5°の間の範囲でピッチ角を有する。
【0128】
例えば、内側部材の外径は300mmとでき、内側部材と外側部材との間の1回の回転の後の食品材料の変位は100mmとでき、0.6°のピッチ角度をもたらす。代替で、内側部材の外径は1000mmとでき、1回の回転の後の食品材料の変位は30mmとでき、0.05°のピッチ角度をもたらす。
【0129】
食感付加装置の代替または追加の実施形態では、オーガの高さ、すなわち、長手方向軸に対する径方向におけるオーガの高さが、径方向における内側部材と外側部材との間の間隔に実質的に対応する。
【0130】
この実施形態によれば、オーガは、内側部材に隣接して位置付けられる食品材料の一部と、外側部材に隣接して位置付けられる食品材料の一部との両方に直接的に作用することができるように、せん断隙間全体に及ぶことができる。
【0131】
代替の実施形態では、オーガの高さ、すなわち、長手方向軸に対する径方向においてのオーガの高さは、例えば、内側部材と外側部材との間の径方向間隔の85%未満、好ましくは75%未満、最も好ましくは65%未満までなど、径方向における内側部材と外側部材との間の間隔の一部だけに対応する。それによって、オーガは、内側部材に隣接して位置付けられる食品材料の一部に直接的に作用するだけとなるように、せん断隙間の一部だけに及ぶ。食品材料の他の一部、すなわち、内側部材から離れて位置付けられるが、例えば外側部材に隣接して位置付けられるといった食品材料の一部は、軸方向において間接的に押されるだけとなる。これは、オーガと食品材料との間の接触を低減し、特には外側部材と接触する食品材料の一部において、向上した単純せん断流れに寄与することができる。
【0132】
代替または追加の実施形態では、輸送デバイスは、圧力差、すなわち、第1の端と第2の端との間における圧力差の影響の下で、食感付加室を通じて食品材料を軸方向に変位させるように構成される。
【0133】
輸送デバイスは、食感付加装置の環境の圧力レベルより高い送り込み圧力レベルにおいて、食品材料を、食感付加室へと、すなわち、上流室区分へと送り込むように構成され得る。例えば排出ポートにおいてなど、食感付加室の第2の端において、食品材料は環境の圧力レベルに曝され得る。したがって、食品材料は長手方向軸に沿っての圧力勾配に曝すことができ、その圧力勾配は、食品材料の軸方向の変位を開始することができる。加圧室の長さにわたるさらなる圧力勾配は、上流室区分と下流室区分との間の食品材料の温度差から生じ得る。
【0134】
任意選択で、輸送デバイスは、食品材料の圧力駆動される軸方向の変位とオーガとの組み合わせを含み得る。例えば、輸送デバイスは、オーガの影響の下で、上流室区分における食品材料を軸方向に変位させるために、上流室区分に位置付けられるオーガを備え得る一方で、輸送デバイスは、下流室区分における圧力差の影響下で、食品材料を変位させるようにさらに構成され得る。
【0135】
食感付加装置の実施形態では、排出ポートは、排出ポートの断面積を調整するように構成される調整可能な開口部を備える。
【0136】
排出ポートの断面積を変更することで、排出ポートにわたる圧力低下が調整できる。食感付加装置の外側で、すなわち、排出ポートの下流で、圧力レベルは環境圧力レベルにある。排出ポートの上流において、すなわち、食感付加室の下流室区分の内側において、圧力レベルは排出ポートにわたる圧力低下に依拠して変化させることができる。
【0137】
調整可能な開口部は、下流室区分からの食品材料の排出が完全に妨げられ得る完全な閉鎖と、排出ポートにわたる圧力低下ができるだけ小さくなる完全な開放との間の範囲で、無段階に変化させることができる。
【0138】
調整可能な開口部の影響の下で食感付加装置の内部の圧力レベルを変更することで、食感付加室の内部の食品材料のせん断パラメータは、所望の繊維状の食感を得ることにさらに寄与するために調整することができる。
【0139】
調整可能な開口部は、食感付加装置から排出される食品材料を切断するように構成されるナイフを備え得る。具体的には、ナイフは、食品材料を特定の厚さに切断するように構成され得る。好ましくは、ナイフの位置は、食感付加室から排出される食品材料の厚さが調整可能な開口部の調整において調整され得るように、調整可能な開口部によって調整され得る。
【0140】
追加または代替の実施形態において、食感付加装置は、上流室と下流室との間に移行通路を備える。この移行通路は、上流室区分および/または下流室区分の断面積と比べて比較的小さい断面積を有し得る。小さい断面積の結果として、移行通路は、上流室から下流室へと通る食品材料に絞り効果を導入することができる。それによって、絞り効果は、上流室区分における圧力レベルが下流室区分における圧力レベルより高くなるように、移行通路にわたって起こる圧力低下という結果をもたらし得る。
【0141】
実施形態では、食感付加装置は、食感付加室に位置付けられ、食感付加室における温度を表すセンサ信号を発するように構成される1つまたは複数の温度センサをさらに備える。
【0142】
食感付加装置は、例えば複数の温度センサを備え得る。長手方向軸に沿って見られるとき、温度センサのうちの第1のものは、食感付加室へと、すなわち、上流室区分へと送り込まれる食品材料の温度を測定するために、第1の端に位置付けること、すなわち、入口開口に隣接して位置付けることができる。
【0143】
温度センサのうちの第2のものは、上流室区分における加熱デバイスによる加熱の後に食品材料の温度を測定するために、例えば移行区域に向かう、上流室区分の端に位置付けられ得る。
【0144】
温度センサのうちの第3のものは、食品材料の温度が下流室区分における冷却デバイスによる冷却の直後に測定され得るように、例えば冷却デバイスのすぐ下流など、下流室区分に位置付けられ得る。具体的には、第3の温度センサは、食品材料の温度が膨張の前に測定され得るように、第2の外壁区域の第1の一部、すなわち、比較的小さい内径を伴う第1の一部と、第2の外壁区域の第2の一部、すなわち、比較的大きい内径を伴う第2の一部との間の移行部に位置付けられ得る。
【0145】
最後に、温度センサのうちの第4のものは、食感付加室から、すなわち、下流室区分から排出される食品材料の温度を測定するために、第2の端に位置付けること、すなわち、排出ポートに隣接して位置付けることができる。
【0146】
実施形態では、食感付加装置は、食感付加室に位置付けられ、食感付加室における圧力レベルを表す圧力信号を発するように構成される1つまたは複数の圧力センサをさらに備える。
【0147】
食感付加装置は、例えば複数の圧力センサを備え得る。長手方向軸に沿って見られるとき、圧力センサのうちの第1のものは、食感付加室へと、すなわち、上流室区分へと送り込まれる食品材料の圧力レベルを測定するために、第1の端に位置付けること、すなわち、入口開口に隣接して位置付けることができる。
【0148】
圧力センサのうちの第2のものは、例えば、加熱の後の食品材料の熱膨張の後の圧力の増加を測定するなどのために、上流室区分における加熱デバイスによる加熱の後に食品材料の圧力レベルを測定するために、例えば移行区域に向かう、上流室区分の端に位置付けられ得る。
【0149】
圧力センサのうちの第3のものは、例えば、冷却の後の食品材料の熱収縮の後の圧力の低下を測定するなどのために、食品材料の圧力レベルが下流室区分における冷却デバイスによる冷却の直後に測定され得るように、冷却デバイスのすぐ下流など、下流室区分に位置付けられ得る。具体的には、第3の圧力センサは、食品材料の圧力レベルが膨張の前に測定され得るように、第2の外壁区域の第1の一部、すなわち、比較的小さい内径を伴う第1の一部と、第2の外壁区域の第2の一部、すなわち、比較的大きい内径を伴う第2の一部との間の移行部に位置付けられ得る。
【0150】
最後に、圧力センサのうちの第4のものは、食感付加室から、すなわち、下流室区分から排出される食品材料の圧力レベルを測定するために、第2の端に位置付けること、すなわち、排出ポートに隣接して位置付けることができる。
【0151】
さらなる実施形態では、食感付加装置は、食感付加室における測定された温度および/または圧力レベルに基づいて、調整可能な開口部を制御するように構成される制御ユニットをさらに備える。
【0152】
この実施形態によれば、調整可能な開口部は、食感付加室における圧力レベルが変更され得るように、制御ユニットによって能動的に制御され得る。これは、食感付加室の内部の温度条件および/または圧力条件が所望の条件に向けて最適に調整され得るように、異なる温度条件および/または圧力条件を結果的にもたらすことができる。具体的には、制御ユニットは、フィードバックの手法で、すなわち、センサで測定するステップと、調整可能な開口部を調整するステップとを繰り返すことで、調整可能な開口部を制御することができる。
【0153】
食感付加装置のさらなる実施形態では、制御ユニットは、食感付加室における測定された温度に基づいて、加熱デバイスおよび/または冷却デバイスを制御するようにさらに構成される。
【0154】
加熱および冷却の制御は、食感付加室における温度および圧力に変化をもたらすこともできる。これらの変化は、所望の繊維状の食感を得るための最適な条件を得るために制御ユニットが加熱および冷却についての設定値を調整することができるように、温度センサおよび圧力センサによって測定することができる。
【0155】
食感付加装置の実施形態では、外側部材の内面の少なくとも一部、および/または、内側部材の外面の少なくとも一部が、波形表面を備える。
【0156】
波形表面は、装置の使用の間、内側部材または外側部材のそれぞれの表面と食品材料との間の接触を増加させるように構成され得る。増加した摩擦など、この増加した接触は、具体的には、食品材料が加熱されるとき、すなわち、粘度が低下したときに起こり得る。さらに、波形表面は、食品材料が冷却されるとき、すなわち、固化されて粘度が増加するとき、滑らかな表面と比べて、食品材料との接触を低減することができる。
【0157】
波形表面は、例えば、内側部材および/または外側部材が滑らかに適用されるときと比べて、食品材料と内側部材および/または外側部材との間の摩擦を増加させるように構成される溝および/または隆条を備える。食品材料における増加した摩擦があれば、食品材料において作り出される繊維状の食感を変えるために、食感付加装置の使用の間に食品材料に加えられるせん断応力は増加させることができ、滑りが低減できる、または回避できる可能性がある。
【0158】
波形は、例えば、長手方向軸と平行に延び、内側部材および/または外側部材の周囲全体の周りで延びる長さ方向の隆条および溝などとして、内側部材および/または外側部材の表面全体にわたって延びることができる。代替として、波形は、上流室区分に設けられるだけとなるように、第1の内壁区域および/または第1の外壁区域にわたって延びるだけであってもよい。
【0159】
隆条および溝は、代替で波状のパターンなどで配置されてもよい。追加または代替で、波形は、外側部材および/または内側部材の名目上の表面から見られるとき、食感付加室へと突出する局所的な突出を備え得る。これらの局所的な突出は、内側部材および/または外側部材の表面全体にわたって広げられる特定のパターンで配置され得る。
【0160】
波形表面は、さらなる代替として、輸送デバイスの一部を形成してもよく、内側部材の外面および/または外側部材の内面に設けられる螺旋状の溝および隆条を備える。これらの螺旋状の波形は、オーガの無いときに有益であり得、食感付加室を通じて食品材料を軸方向に変位させるように構成でき、すなわち、食品材料を相当に加圧することなく変位させるように構成できる。代わりに、輸送デバイスによる食品材料の軸方向の変位は、ここでは、螺旋状の波形の影響の下で、長手方向軸と平行に並べられる軸方向せん断力成分によって開始でき、それによって、所望の単純せん断流れにさらに寄与する。
【0161】
実施形態では、食感付加装置は、内側部材を、回転駆動するように、すなわち、外側部材に対して回転駆動するように構成される駆動部をさらに備える。
【0162】
この実施形態によれば、外側部材は、例えば食感付加装置のフレーム組立体において、不動で保持され得る。駆動部は、フレーム組立体に搭載させることができ、内側部材を回転させるように構成される電気モータなどのモータとして具現化され得る。
【0163】
実施形態では、食感付加装置は、食感付加室へと突出し、液体成分および/または水を食感付加室における食品材料へと注入するように構成される1つまたは複数の注入器をさらに備える。
【0164】
注入器は、食感付加室における液体成分を、例えば、上流室区分および/または下流室区分へと直接的に送り込むように構成される。複数の注入器が、液体成分をせん断過程の特定の段階において食品材料へと送り込むために、具体的には、水または植物油などの異なる種類の液体成分を、せん断過程の異なる段階において食品材料へと送り込むために、食感付加室を通る食品材料の経路に沿って設けられ得る。
【0165】
第2の態様によれば、本発明は、肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊から食品の製品を形成するように構成される食料品生産デバイスであって
- 本発明による食感付加装置と、
- 入口開口に接続され、食品材料を食感付加室へと送り込むように構成される送り込みデバイスと、
- 送り込みデバイスの上流に位置付けられ、食品材料の成分を混合するように構成される混合デバイスと
を備える食料品生産デバイスを提供する。
【0166】
本発明による食料品生産デバイスの食感付加装置は、本発明による食感付加装置に関連して本明細書で開示されている特徴および/または便益のうちの1つまたは複数であって、具体的には、請求項1~28に開示されている特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0167】
混合デバイスは、食感が付加される食品材料のために成分を混合するように構成される。食品材料は、20%を超える乾燥物含有量を有し得る粘弾性材料であり得る。このような食品材料の例には、肉代用品のための生体高分子混合物がある。
【0168】
食品材料は、乾燥タンパク質粉末などの1つまたは複数の乾燥成分と、水および/または植物油などの1つまたは複数の湿った成分とから成り得る。これらの成分は、ペースト状または練り粉状の姿を有し得る食品材料を得るために、混合デバイスにおいて混合されるように構成される。
【0169】
混合デバイスは、成分の混合が行われる混合ゾーンの下流に位置付けられる混練機構を備えることができ、その混錬デバイスは、例えば、食品材料の強度および弾性を増加させることで練り粉状の食品材料を得るなどのために、混合成分から成る食品材料を混錬するように構成される。混錬は、漏斗において食品材料と接触しおよび食品材料を混錬するために構成される、食品材料のための漏斗へと突出する複数の移動可能な隆条を備え得る。
【0170】
送り込みデバイスは、食品材料を混合デバイスから回収し、食品材料を食感付加室へと、すなわち、上流室区分へと送り込むように構成される。送り込みデバイスは、食品材料が圧力差の影響の下で食感付加室へと押し込むことができるように圧力上昇を得るために、スクリュコンベヤを備え得る。
【0171】
本発明による食料品生産デバイスでは、混合デバイスと送り込みデバイスとは、成分を混合して食品材料を形成するように、および、食品材料を食感付加室へと送り込むように構成される単一のデバイスに組み合わされ得る。
【0172】
実施形態では、食料品生産デバイスは、混合デバイスの上流に、食品材料のための1つまたは複数の成分を受け入れるように構成されるホッパをさらに備える。
【0173】
ホッパは、具体的には、食品材料のための1つまたは複数の乾燥成分を受け入れるように構成され得る。ホッパは、ホッパからの成分が混合デバイスへと送り込まれ得るように、混合デバイスに接続される。ホッパは、成分のバッチ、すなわち、乾燥成分のバッチを堆積させるように構成でき、成分を混合デバイスへと連続的に送り込むように構成され得る。
【0174】
実施形態では、食料品生産デバイスは、混合デバイスへと突出し、液体成分および/または水を混合デバイスにおける食品材料へと注入するように構成される1つまたは複数の注入器をさらに備える。
【0175】
注入器は、食料品生産デバイスのホッパが乾燥成分を保持する必要だけがあり得るように、液体成分を混合デバイスに直接的に送り込むように構成される。複数の注入器が、液体成分を混合過程の特定の段階において食品材料へと送り込むために、具体的には、水または植物油などの異なる種類の液体成分を、混合過程の異なる段階において食品材料へと送り込むために、混合デバイスを通る食品材料の経路に沿って設けられ得る。
【0176】
追加または代替の実施形態において、食料品生産デバイスは、食品材料を送り込みデバイスおよび/または混合デバイスにおいて予熱するように構成される予熱デバイスをさらに備える。
【0177】
予熱デバイスは、食感付加室の上流室区分に入る前に食品材料を加熱するように構成される。それによって、食品材料が単純せん断流れに曝されるのに十分なまでにすでに加熱され得るため、加熱デバイスが食感付加室の上流室区分において省略されてもよい。
【0178】
予熱デバイスは、混合および/または送り込みの間に食品材料を上昇した温度に曝すために、送り込みデバイスおよび/または混合デバイスにおける食品材料の温度を、環境温度を上回るレベルへと増加させるように構成される。
【0179】
必要な上昇の温度は食品材料の種類ごとで異なるが、例えば、タンパク質の豊富な生体高分子混合物について、50℃から200℃の間であり得、好ましくは90℃から140℃の間であり得る。これらの温度において、上流室区分における圧力は、例えば、水などの液体の蒸発によって、または、食品材料における上昇した温度の下でのタンパク質構造における変化によって引き起こされるといった加熱の影響の下で、環境圧力を上回って上昇することができる。
【0180】
食料品生産デバイスのさらなる実施形態では、予熱デバイスは、混合デバイスおよび/または送り込みデバイスの外壁を通じて延び、予熱流体の流れを導くように構成される予熱流体回路を備える。
【0181】
予熱デバイスは、送り込みデバイスおよび混合デバイスから離れて位置付けられ、予熱流体回路との間での予熱流体の輸送を可能とするために予熱流体回路と流体接続している第3の熱交換デバイスをさらに備え得る。第3の熱交換デバイスは、混合デバイスおよび送り込みデバイスから離れて予熱流体を加熱するように、および、加熱された予熱流体を混合デバイスまたは送り込みデバイスにおける予熱流体回路に向けて送出するように、構成され得る。
【0182】
第3の態様によれば、本発明は、肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊に食感を付加する方法であって、
- 食品材料を食感付加室に送り込むステップと、
- 食感付加室の上流室区分において食品材料にせん断応力を加えることで、食品材料を単純せん断流れに曝すステップと、
- 食感付加室の下流室区分において食品材料を冷却するステップと、
- 食感が付加された食品材料を食感付加室から排出するステップと
を含む方法を提供する。
【0183】
本発明による方法で使用される食感付加装置は、本発明による食感付加装置に関して本明細書に開示されている特徴および/もしくは便益、具体的には請求項1~28において開示されている特徴、ならびに/または、本発明による食料品生産デバイスに関連して本明細書に開示されている特徴、具体的には請求項29~31において開示されている特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0184】
本発明によれば、方法は、20%を超える乾燥物含有量を有し得る粘弾性材料の食感付加を含む。このような食品材料の例には、肉代用品のための生体高分子混合物がある。食感を付加する前に、食品材料はペースト状または練り粉状の姿を有し得る。食感を付加する間、繊維状の食感が食品材料へと導入され、結果的にできる最終製品は固体であり得る。
【0185】
本発明による食感付加方法は、食品材料の塊の連続的な食感付加に依拠し、これは、食品材料が、例えば一定の速さで、食感付加装置へと連続的に送り込むことができることを意味する。したがって、食感が付加された食品材料の排出は、例えば一定の速さにおいて、連続的に行われてもよい。
【0186】
食感を付加することは、食感付加室の上流室区分における食品材料が、長手方向軸に対する接線方向において各々に対して移動する内面、すなわち、外側部材の内面と、外面、すなわち、内側部材の外面とに曝されるように、内側部材と外側部材との間の相対回転によって開始される。食品材料は、移動する表面と共に少なくとも部分的に流れるため、内面および外面と接触するときに並べられることになる。これは、食品材料に特定の度合いの異方性をもたらすことができ、これは、食品材料をより一様とさせないようにし、それによって、ビーフステーキ、ポークロイン、またはチキンブレストなどの実際のホールカット肉製品により類似させる。
【0187】
例えばせん断隙間にわたって延びる食感付加室の上流室区分における速度プロファイルは、内面または外面に対する食品材料の速度の勾配を表す。本発明によれば、速度プロファイルは、食感付加室において、単純せん断流れ、すなわち、クエット流れを得るために、および、乱流を防止するために、実質的に線形である。
【0188】
食感を付加する間、食品材料は、食感付加室の上流室区分を通じて、すなわち、長手方向軸に沿って、食感付加室の第1の端から第2の端へと進む。この軸方向の変位は輸送デバイスによってもたらすことでき、輸送デバイスは内側部材または外側部材の形状によって形成され得る。
【0189】
接線速度、すなわち、内側部材と外側部材との間の回転の結果としての接線速度が、食品材料の軸方向の変位と比べて比較的大きくなければならないことは、本発明による食感付加方法において重要である。これは、食品材料の十分な食感を確保するために、および、食品材料の流れが実質的に層状でのままであり、食品材料の流れが乱流になることを実質的に防止し、実質的に単純せん断流れのみまたはクエット流れのみが起こることを可能とすることを守るために、必要とされる。
【0190】
食品材料の接線速度と軸方向変位との間の割合は、2:1から400:1の間の範囲にあり得る。例えば、600mmの外径を伴う内側部材を有する食感付加装置では、15rpmの回転速度がおおよそ0.50m/sの接線速度になり得る。所望の性質を得るために、0.005m/sの軸方向の変位、すなわち、長手方向軸に沿っての軸方向の速度が、食品材料を食感付加室において十分な時間にわたって保持するために設定され得る。これは、結果として約100:1の接線速度と軸方向変位との間の割合になり得る。
【0191】
食感を付加する間または前に、食品材料は加熱され得る。食品材料を食感付加装置から排出することができるようにするために、食品材料は冷却されなければならず、これは、そうでない場合に、食感付加室から排出されると食品材料における食感が変わってしまい、結果的に生じる食感が、実際のホールカット肉製品における繊維状の食感と比べて劣ることになるためである。したがって、食品材料の粘度は加熱において相当に低下することができる。
【0192】
加熱され、食感が付加された食品材料は、下流室区分に入ることができる。それによって、食品材料は、冷却されるために下流室区分を通過する。下流室区分を通過した後、食品材料は冷却されており、粘度が冷却において増加しているため、食品材料における食感が変化するのを防止するのに十分である低さである温度において、食品材料は食感付加室から排出させることができる。
【0193】
先行技術は、加熱および食感付加が行われた後、食感付加室における受動的な冷却に依拠していた。代わりに、冷却流体が、加熱が行われた後に食品材料を能動的に冷却することができるように、加熱デバイスの通路に通された。
【0194】
本食感付加方法の動作の連続的な性質のため、食感付加室を交互に加熱および冷却することは、不十分な加熱および/または冷却をもたらし、そのため非連続的な動作をもたらすことになるため、可能ではない。
【0195】
解決策として、本発明による食感付加方法は、食感付加室の下流室区分において食品材料を冷却するステップを含む。その結果として、食品材料の冷却は下流室区分において行われるだけであり、能動的な冷却は、上流室区分において行われない。したがって、上流室区分には冷却デバイスが無い。
【0196】
冷却において、食品材料の粘度は増加させられる。それによって例えば、食品材料は、せん断の間に液体であることから冷却の後に半固体になることに向けて、または、せん断の間に半固体であることから冷却の後に固体になることに向けて、レオロジ特性において変化を受けることができる。
【0197】
さらに、食品材料の圧力レベルが、例えば、食品材料の熱収縮の結果として、または、食感付加室の形状における変化に続いて、冷却において低下させられ得る。
【0198】
下流室区分を通過した後、食品材料は冷却されており、粘度が冷却において増加しているため、食品材料における食感が変化するのを防止するのに十分である低さである温度において、食品材料は食感付加室から排出させることができる。
【0199】
本食感付加方法の便益は、食品材料における得られた食感が、押し出しを用いて提供され得る食感と比べて向上させられ得ることである。さらに、連続的な動作が、既存のバッチ式の食感付加装置と比べて生産性を向上させることができる。
【0200】
食品材料を単純せん断流れに曝すステップの間、食感付加装置は、1rpmから150rpmの間の範囲における回転速度において、内側部材と外側部材とを互いに対して回転させることができる。代替または追加で、食感付加装置は、0.05m/sから5m/sの間の範囲における接線速度において、内側部材と外側部材とを互いに対して回転させることができる。
【0201】
食品材料が、例えば、動物タンパク質代用品のための生体高分子混合物について、1~150rpmの範囲での回転速度または0.05~5m/sの範囲での接線速度に曝されるとき、対応するせん断速さが、食品材料の食感をできるだけ最良とさせること、すなわち、実際のホールカット肉製品の食感を正確に模倣させることが、本発明者によって見出された。
【0202】
下流室区分における食品材料の冷却は、例えば実質的に一定の冷却力で、連続的に実施され得る。下流室区分においての冷却デバイスによる食品材料の冷却は、食品材料を、食感付加室からの排出を可能とするために、0℃~80℃の間の範囲であり、好ましくは30℃から60℃の間である温度まで冷却するようにもたらされ得る。
【0203】
代替または追加で、下流室区分における食品材料の冷却は、上流室区分における食品材料の温度より50℃から150℃低い温度レベルへと冷却するために実施され得る。
【0204】
実施形態では、方法は、冷却するステップの少なくとも一部の間、食感付加室の下流室区分において食品材料にせん断応力を加えることで、食品材料を単純せん断流れに曝すステップをさらに含む。
【0205】
この実施形態によれば、食品材料は、食品材料が冷却される下流室区分に到着すると、さらなるせん断に曝され得る。このさらなるせん断は、冷却の間にせん断が行われないときと比べて、食品材料にさらなる食感を導入することができる。
【0206】
しかしながら、食品材料のレオロジ特性は冷却において変化することになり、すなわち、粘度が冷却において増加する。特定の時点において、食品材料はさらなるせん断に曝すには脆性になりすぎる可能性がある。その状態において、下流室区分におけるさらなるせん断は回避されるべきである。
【0207】
食品材料が下流室区分においてせん断に過度に曝されるのを防止するために、第2の内壁区域および/または第2の外壁区域の一部だけに波形表面が設けられてもよい。
【0208】
それでもなお、この重要な時点の前に、下流室におけるせん断は、上流室におけるせん断とは異なる食感特性に寄与することができる。これは、上流室における食品材料の粘度と比べて、下流室において、すなわち、冷却において、より低い食品材料の粘度によって引き起こされ得る。比較的高い粘度および比較的低い粘度におけるせん断の組み合わせは、食品材料について向上した食感をもたらすことができる。
【0209】
方法の代替または追加の実施形態では、排出するステップは、食感付加室における測定された温度および/または圧力レベルに基づいた排出ポートの断面積の調整を含む。
【0210】
この実施形態によれば、排出ポートにわたる圧力低下が、排出ポートの断面積を変更することで調整できる。食感付加室の外側で、すなわち、排出ポートの下流で、圧力レベルは環境圧力レベルにある。したがって、排出ポートの上流において、すなわち、食感付加室の下流室区分の内側において、圧力レベルは排出ポートにわたる圧力低下に依拠して変化し得る。
【0211】
食感付加室における圧力レベルのさらなる変更、具体的には、上流室と下流室との間での圧力レベルのさらなる変更が、上流室と下流室との間せん断隙間の幅における変更によって、および/または、圧力低下が起こるように構成される移行通路または中間室区分を、移行通路にわたって絞り効果を得るために上流室と下流室との間に設けることで、もたらされ得る。
【0212】
食感付加室の内部の圧力レベルを変更することで、食感付加装置の内部の食品材料のせん断パラメータは、所望の繊維状の食感の特性を得ることにさらに寄与するために調整することができる。
【0213】
調整することは、排出ポートに位置付けられる調整可能な開口部を、下流室区分からの食品材料の排出が完全に妨げられ得る完全な閉鎖と、排出ポートにわたる圧力低下ができるだけ小さくなる完全な開放との間の範囲で、無段階に変化させることによって、実施させることができる。
【0214】
排出ポートの断面積の調整は、食感付加室における圧力レベルが変更され得るように、制御ユニットによって能動的に制御できる。これは、食感付加室の内部の温度条件および/または圧力条件が所望の条件に向けて最適に調整され得るように、異なる温度条件および/または圧力条件を結果的にもたらすことができる。具体的には、制御ユニットは、フィードバックの手法で、すなわち、センサで測定するステップと、調整可能な開口部を調整するステップとを繰り返すことで、調整可能な開口部を制御することができる。
【0215】
代替または追加の実施形態では、方法は、食感付加室の上流室区分において食品材料を加熱するステップをさらに含む。
【0216】
上流室区分における加熱は、加熱するための食感付加室の上流室区分に設けられる結果として、冷却デバイスに対して上流に設けられる加熱デバイスによって実施され得る。食品材料の加熱は、下流室区分において実施される冷却に実質的に影響することなく実施できる。
【0217】
加熱は、食品材料を上昇した温度に曝すために、環境温度を上回るレベルへの上流室区分における食品材料の温度において増加をもたらすように構成される。
【0218】
必要な上昇の温度は食品材料の種類ごとで異なるが、例えば、タンパク質の豊富な生体高分子混合物について、90℃から140℃の間といった、50℃から200℃の間であり得る。これらの温度において、上流室区分における圧力は、例えば、水などの液体の蒸発によって、または、食品材料における上昇した温度の下でのタンパク質構造における変化によって引き起こされるといった加熱の影響の下で、環境圧力を上回って上昇することができる。
【0219】
上昇した温度において、食品材料の粘度は低下させられ、生体高分子が塊の並びをもたらすために動かされる。食品材料は、例えば、食感付加室での導入において半固体であることから加熱の後に液体になることに向けて、または、導入において固体であることから加熱の後に半固体になることに向けて、変化することができる。
【0220】
さらに、食品材料の圧力レベルが、例えば、食品材料の熱膨張の結果として、または、食感付加室の形状における変化に続いて、加熱において増加し得る。
【0221】
並んだ塊は、例えば接線方向に並べられることになるといった、内側部材と外側部材との間の相対回転の方向に並べられている食品材料の繊維状の食感をもたらす。
【0222】
さらなる実施形態では、食品材料の加熱は、食感付加室の1つまたは複数の壁区域を通じて延び、加熱流体の流れが導かれる加熱流体回路を用いて実施され得る。
【0223】
加熱デバイスは、食感付加室から離れて位置付けられ、加熱流体回路との間での加熱流体の輸送を可能とするために加熱流体回路と流体接続している熱交換デバイスをさらに備え得る。熱交換デバイスは、食感付加室から離れて加熱流体を加熱するように、および、加熱された加熱流体を第1の外壁区域および/または第1の内壁区域における加熱流体回路に向けて送出するように構成でき、熱は上流室区分における食品材料へと伝えられる。それによって、加熱流体は冷却され、熱交換デバイスへと戻すように輸送され、熱交換デバイスは加熱流体を再加熱するように構成される。
【0224】
加熱流体は、100℃を上回る温度を有する加圧蒸気、すなわち、加熱流体回路における入口において100℃を上回る温度を有する加圧蒸気であり得る。蒸気の使用は、冷却されるときに相変化を受け得るため、食品材料を加熱することにとって有益であり得る。蒸気を気相から液相へと冷却することで、蒸気から凝縮の熱を放出させることができ、これは食品材料を加熱することに寄与することができる。
【0225】
方法の実施形態では、食品材料を冷却するステップは、食品材料を、例えば液体状態または流体状態などの粘性状態から固体状態への相転移に曝すことを含む。それによって、食品材料は、固体状態に入るため、冷却の間に固化することができる。それによって、導入された食感は、最終製品が所望の食感を維持することができるように、固定され得る。
【0226】
方法の実施形態では、冷却するステップの間、食品材料は、50℃~200℃の間の範囲であって、好ましくは90℃から140℃の間の範囲である温度から、0℃~80℃の間の範囲であって、好ましくは30℃から60℃の間の範囲である温度まで冷却される。これらのそれぞれの範囲における加熱温度および冷却温度が、食品材料にとって、特には動物タンパク質代用品のための生体高分子混合物にとって、所望の食感特性を提供することができることが、本出願者によって見出されている。
【0227】
方法の実施形態では、食感付加室は、内部を定める外側部材と、外側部材の内部の内側に配置される内側部材との間に定められ、外側部材は不動で保持され、内側部材は、食感付加室における食品材料を単純せん断流れに曝すために、長手方向軸の周りで外側部材に対して回転させられる。
【0228】
この実施形態によれば、外側部材は、例えば食感付加装置のフレーム組立体において、不動で保持される。食感付加装置は、フレーム組立体に搭載させることができ、内側部材を回転させるように構成される電気モータなどのモータをさらに備え得る。
【0229】
不動の外側部材は、加熱デバイス、すなわち、加熱流体回路、および/または、冷却デバイス、すなわち、冷却流体回路が、外側部材に含まれる場合に、有益であり得る。この場合、すべての流体接続も不動で保持させることができ、装置の複雑さを低減する。さらに、外側部材の内面は、内側部材と外側部材との間の隙間の結果として、内側部材の外面より大きい表面積を有する。これは、伝熱面積が加熱デバイスおよび/または冷却デバイスが外側部材において提供されるときにより大きくなることができることで、向上した熱交換を提供するというさらなる便益を提供することができる。
【0230】
本発明のさらなる特徴が、添付の図面において示されている実施形態を参照して、以下において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0231】
図1】本発明による食感付加装置の実施形態を含む、本発明による食料品生産デバイスの実施形態の概略図である。
図2図1の食感付加装置の内側部材の概略図である。
図3図2の強調された部分Eの拡大図である。
図4図1の食感付加装置の概略的な断面での側面図である。
図5図4の強調された部分Bの拡大図である。
図6図5に示された食感付加装置の一部の長手方向軸に対して垂直な断面の概略図である。
図7】本発明による食感付加装置の実施形態の内側部材および外側部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0232】
図を通じて、同じ符号が、対応する構成要素、または、対応する機能を有する構成要素を参照するように使用されている。
【0233】
図1は、符号100で参照される、本発明による食料品生産デバイスの実施形態を概略的に描写している。食料品生産デバイス100は、本発明による食感付加装置1の実施形態を含み、さらに、ホッパ110と、送り込みデバイス120と、混合デバイス130とを備える。
【0234】
食料品生産デバイス100は、肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料Fの塊から食品の製品を形成するように構成される。デバイス100は、円筒形の外側部材10と円筒形の内側部材20との間において塊を単純せん断流れに曝すことで、粘弾性食品材料の塊に食感を付与するように構成される食感付加装置1を備える。
【0235】
デバイス100のホッパ110は、混合デバイス130の上流に位置付けられ、食品材料のための1つまたは複数の乾燥成分を受け入れるように構成される。ホッパ110は、乾燥成分のバッチを堆積させることができ、乾燥成分をホッパ110から混合デバイス130へと送り込むように接続されている混合デバイス130へと成分を連続的に送り込むように構成される。
【0236】
混合デバイス130は、食品材料のために成分を混合するように構成される。食品材料は、乾燥タンパク質粉末などの1つまたは複数の乾燥成分と、水および/または植物油などの1つまたは複数の湿った成分とから成る。これらの成分は、ペースト状または練り粉状の姿を有する食品材料を得るために、混合デバイス130において混合されるように構成される。
【0237】
食料品生産デバイス100は、図では視認することができないが、混合デバイス130へと突出する複数の注入器を備え、それら注入器は、ホッパ110が乾燥成分を保持する必要だけがあるように、液体成分および水を混合デバイス130における食品材料へと直接注入するように構成される。
【0238】
混合デバイス130は、図では視認することができないが、成分の混合が行われる混合ゾーンの下流に位置付けられる混練機構を備える。混錬デバイスは、食品材料の強度および弾性を増加させることで練り粉状の食品材料を得るために、食品材料を混錬するように構成される。
【0239】
送り込みデバイス120は、食品材料を混合デバイス130から回収し、食品材料を食感付加装置1の食感付加室2へと、すなわち、食感付加装置1の上流室区分3へと送り込むように構成される。送り込みデバイス120は、食品材料が圧力差の影響の下で食感付加室2へと押し込むことができるように圧力上昇を得るために、スクリュコンベヤを備える。
【0240】
混合デバイス130と送り込みデバイス120とは、単一のデバイスに組み合わされ、成分を混合して食品材料を形成するように、および、食品材料を食感付加室2へと送り込むように、構成されることが、図1において示されている。
【0241】
本発明による食感付加装置1の実施形態が、図4において断面図で示されており、外側部材10と、図2においてより詳細に示されている内側部材20とを備える。部材10、20は、円筒形を有し、共通の長手方向軸Lの周りにおいて同心で設けられる。内側部材20は、長手方向軸Lの周りで、外側部材10に対して回転させられるように構成される。
【0242】
内側部材20は、外側部材10の内面11が内側部材20の外面21を向くように、および、食感付加室2がそれら内面11と外面21との間に存在するように、外側部材10の内側に位置付けられる。食感付加室2のせん断隙間tが、内側部材20と外側部材10との間において、径方向Rにおける間隔として定められる。せん断隙間tは10mmから50mmの間の範囲で変化する。
【0243】
外側部材10の内径11は、食感付加室2の長さにわたって、すなわち、長手方向軸Lに沿う長さにわたって変化するが、500mmから600mmの間の範囲にある。内側部材20の外径21も、食感付加室2の長さにわたって変化し、400mmから550mmの間の範囲にある。
【0244】
食品材料に食感を付加することは、食感付加室2における食品材料が、長手方向軸Lに対する接線方向Tにおいて各々に対して移動する外側部材10の内面11と内側部材20の外面21とに曝されるように、内側部材20と外側部材10との間の相対回転によって開始される。食品材料は、移動する表面と共に少なくとも部分的に流れるため、内面11および外面21と接触するときに並べられることになる。せん断隙間tにわたって延びる食感付加室2における速度プロファイルは、内面11または外面21に対する食品材料の速度の勾配を表す。本実施形態によれば、速度プロファイルは、食感付加室2において、単純せん断流れ、すなわち、クエット流れを得るために、および、乱流を防止するために、実質的に線形である。
【0245】
食感を付加する間、食品材料は、長手方向軸Lに沿って食感付加室2を通じて、図4において右手に示されている食感付加室2の第1の端から、左手に示されている第2の端へと進む。具体的には、食感付加装置1は、長手方向軸Lに沿って見られるとき、食品材料を、食感付加装置1が送り込みデバイス120に接続されている入口開口5から、食感付加室2の反対の端に位置付けられる排出ポート6へと輸送するように構成される。それによって、食品材料は、入口開口5から排出ポート6へのその経路において実質的に食感付加室2全体を通過する。
【0246】
本実施形態によれば、排出ポート6は軸方向Lに対して径方向に位置決めされ、これは、径方向Rと接線方向Tとの間において並べられる排出方向において食品材料が排出されるように構成されることを意味する。
【0247】
排出ポート6は、図では視認可能ではないが、排出ポート6の断面積を調整するように構成される調整可能な開口部を備える。排出ポート6の断面積を変更することで、排出ポート6にわたる圧力低下が調整できる。食感付加装置1の外側で、すなわち、排出ポート6の下流で、圧力レベルは環境圧力レベルにある。排出ポート6の上流において、すなわち、食感付加室2の下流室区分4の内側において、圧力レベルは排出ポート6にわたる圧力低下に依拠して変化させることができる。
【0248】
食感付加室2は、上流室区分3と下流室区分4とを備え、すなわち、入口開口5に位置付けられる上流室区分3と、排出ポート6に位置付けられる下流室区分4とに細分されている。
【0249】
上流室区分3と下流室区分4とは、互いから物理的に分離されておらず、代わりにそれらの間において中間室区分7によって分離される単一の食感付加室2の異なる一部である。
【0250】
食感付加装置1は、食感付加室2の下流室区分4に設けられ、食感付加室2の下流室区分4を冷却だけするように構成される冷却デバイス40を備える。その結果として、食品材料の冷却は下流室区分4において行われるだけであり、能動的な冷却は、上流室区分3および中間室区分7において行われないように構成される。
【0251】
食感付加装置1は、食感付加室2の上流室区分3に設けられ、上流室区分3に配置される食品材料を少なくとも使用中に加熱するために食感付加室2の上流室区分3を加熱だけするように構成される加熱デバイス50をさらに備える。加熱デバイス50は、下流室区分4における冷却デバイス40によって行われる冷却に実質的に影響を与えることなく食品材料を加熱することができるように、冷却デバイス40に対して上流に設けられる。それによって、加熱デバイス50は、装置1の使用中に食品材料を上昇した温度に曝すために、上流室区分3の温度を、環境温度を上回るレベルへと増加させるように構成される。
【0252】
中間室区分7は、食品材料が中間室区分7を通過するときに食品材料の温度が比較的一定となり得るように、加熱デバイスおよび冷却デバイスが無くてもよい。食品材料の受動的な冷却、すなわち、食感付加室2の中間室区分7から環境への食品材料の受動的な冷却が、この実施形態の状況の中で不可避的であり得ることは、予想されている。
【0253】
上流室区分3は、外側部材10の第1の外壁区域111と内側部材20の第1の内壁区域211との間に定められる。図4において見られるとき、第1の外壁区域111と第1の内壁区域211とは右手において視認可能である。下流室区分4は、外側部材10の第2の外壁区域112と内側部材20の第2の内壁区域212との間に定められる。図4において見られるとき、第2の外壁区域112と第2の内壁区域212とは左手において視認可能である。図7は、食感付加装置1の内側部材20および外側部材10を概略的に描写しており、そのすべての壁区域を表示している。
【0254】
第1の外壁区域111と第2の外壁区域112との間において、外側部材10の中間外壁区域113が定められており、第1の内壁区域211と第2の内壁区域212との間において、内側部材20の中間内壁区域213が定められている。それによって、中間室区分7は、中間外壁区域113と中間内壁区域213との間において、すなわち、食感付加室2の移行部において定められる。
【0255】
したがって、外側部材10は、第1の外壁区域111と、第1の外壁区域111の下流に位置付けられる中間外壁区域113と、中間外壁区域113の下流に位置付けられる第2の外壁区域112とに細分されている。
【0256】
同様に、内側部材20は、第1の内壁区域211と、第1の内壁区域211の下流に位置付けられる中間内壁区域213と、中間内壁区域213の下流に位置付けられる第2の内壁区域212とに細分されている。
【0257】
上流室区分3は長手方向軸Lに沿って第1の長さL1を有し、下流室区分4は長手方向軸Lに沿った第2の長さL2を有し、中間室区分7は長手方向軸Lに沿った第3の長さL3を有する。図7に示されている本実施形態では、第1の長さL1は第2の長さL2と等しく、第3の長さL3は第1の長さL1および第2の長さL2の半分と等しい。それによって、長手方向軸Lに沿っての上流室区分3の長さは下流室区分4の長さと等しい。しかしながら、代替で、第1の長さは第2の長さより大きくなり得る、または、第2の長さは第1の長さより大きくなり得る。
【0258】
第1の外壁区域111は第1の内径D1を有し、第1の内壁区域211は第1の外径d1を有する。さらに、第1の外壁区域111は、2つの異なる一部、すなわち、第1の一部111'と第2の一部111''とに細分される。第1の一部111'は、第2の一部111''の直径D1''より小さい直径D1'を有する。第1の内壁区域211は、複数の部分へと細分されておらず、一定の第1の外径d1を有する。したがって、上流室区分3におけるせん断隙間は、第1の外壁区域の第1の一部111'において比較的狭くなり、第2の外壁区域の第2の一部111''において比較的広くなる。
【0259】
第2の外壁区域112は、第1の内径D1と異なる第2の内径D2を有し、第2の内壁区域212は、第1の外径d1と等しい第2の外径d2を有する。そのため、外側部材10の内径は両方の壁区域111、112の間で異なり、したがって、せん断隙間が上流室区分3と下流室区分4との間で異なる。
【0260】
中間外壁区域113は、第1の外壁区域の第2の一部111''の直径D1''と等しい第3の内径D3を有し、中間内壁区域213は、第1の外径d1と等しい第3の外径d3を有する。そのため、外側部材10の内径は同じであり、したがって、せん断隙間は上流室区分3の第2の一部および中間室区分7において同じである。
【0261】
例えば、第1の外壁区域の第1の一部111'、第1の外壁区域の第2の一部111''、第2の外壁区域112、および中間外壁区域113といった外壁区域が、組み合わせで外側部材10を形成するために互いに取り付けられる別個のモジュールであることが、図7に示されている。対応して、内側部材20は、第1の内壁区域211、第2の内壁区域212、および中間内壁区域213のための別個のモジュールから成る。モジュールの数を変化させることで、それに応じて食感付加室2の全長が変化させられ得る。これは、食感付加室2における食品材料の滞在時間が変更できることを意味する。
【0262】
内側部材20が実質的に中空であり、内側部材内部22を定めることが、図4の断面図において最良に示されている。中空の内側部材内部22は、上流室区分3における食品材料の加熱と、下流室区分4における食品材料の冷却とに寄与するために、実質的に食感付加装置1の環境から閉鎖される。
【0263】
内側部材20は、中間内壁区域213において、すなわち、第1の内壁区域211と第2の内壁区域212との間において、長手方向軸Lに対して実質的に垂直に並べられる分離壁23をさらに備える。分離壁23は、内側部材内部22を第1の内側部材内部22'と第2の内側部材内部22''とに細分するように構成される。分離壁23は、第1の内側部材内部22'における加熱が第2の内側部材内部22''における冷却に影響するのを防止するために、または、第2の内側部材内部22''における冷却が第1の内側部材内部22'における加熱に影響するのを防止するために、第1の内側部材内部22'と第2の内側部材内部22''との間に断熱部を形成するように構成される。
【0264】
食感付加装置1は、食感付加室2を通じて食品材料を輸送するように構成される輸送デバイスを備え、輸送デバイスは、内側部材20の外面21の一部にわたって螺旋状に延びるオーガ30として具現化されている。オーガ30は、食感付加室2を通る障害の無い螺旋経路を定め、外側部材10の内側の内側部材20の回転時に、食感付加室2を通じて、すなわち、長手方向軸Lに沿って、図4において右手から左手へと食品材料を軸方向に変位させるように構成される。
【0265】
オーガ30の障害の無い螺旋経路は、食品材料が食感付加室2を通じて変位させられるとき、オーガ30において隆条または阻害に出くわさないことを意味する。障害の無い螺旋経路の結果として、食品材料は、食感付加室2を通るその経路のほとんどの間に、内側部材20の外面21および外側部材10の内面11と接触したままである。
【0266】
本オーガ30は、図3に示されているように、内側部材20の周囲にわたって単一のリード31を有する単一の螺旋経路を備える。それによって、オーガ30は比較的小さいピッチを有する。結果として、接線方向Tのせん断速度が長手方向軸Lに沿っての軸方向の変位より相当に大きくなることが達成される。本実施形態では、オーガ30は、約5°のピッチ角度α、すなわち、リード31と接線方向Tとの間の角度を有する。
【0267】
オーガ30は、上流室区分3全体を通じて延び、中間室区分7全体を通じて延びるように、内側部材20の第1の内壁区域211全体と、内側部材20の中間内壁区域213全体とにわたって延びる。オーガ30は、下流室区分4の一部だけを通じて延びるように、第2の内壁区域212の一部にわたってさらに延びる。下流室区分4の残りの一部は、食品材料が冷却デバイス40によって下流室区分4において特定の度合いへと冷却された後にオーガと接触しないように、オーガが実質的になく、それによって、作り出された食感の阻害を防止する。
【0268】
オーガ30の高さ、すなわち、長手方向軸Lに対する径方向Rにおけるオーガ30の高さは、内側部材20と外側部材10との間の径方向間隔の一部だけに対応する。それによって、オーガ30は、内側部材20に隣接して位置付けられる食品材料の一部に直接的に作用するだけとなるように、せん断隙間の一部だけに及ぶ。食品材料の他の一部、すなわち、内側部材20から離れて位置付けられるが、例えば外側部材10に隣接して位置付けられるといった食品材料の一部は、軸方向において間接的に押されるだけとなる。
【0269】
内側部材20の外面21の一部が、長手方向軸Lと平行に並べられた、内側部材20の周囲における長さ方向の隆条32および溝33として具現化された波形表面を備えることが、図2および図3において最良に示されている。隆条32および溝33は、装置1の使用の間、内側部材20のそれぞれの外面21と食品材料との間の接触を増加させるように構成される。
【0270】
溝33および隆条32は、上流室区分3全体を通じて延び、中間室区分7全体を通じて延びるように、内側部材20の第1の内壁区域211全体と、内側部材20の中間内壁区域213全体とに設けられる。溝33および隆条32は、下流室区分4において波形が実質的に無いように、第2の内壁区域212には設けられない。それによって、食品材料は、冷却デバイス40によって下流室区分4において冷却された後、波形と接触しなくなり、それによって、作り出された食感の阻害を防止する。
【0271】
本実施形態では、図4に示されているように、加熱デバイス50は、第1の外壁区域111と、内側部材20の中空の内部22とに設けられる。加熱デバイス50は、加熱流体の流れを導くように構成される加熱流体回路を備え、この回路は、第1の外壁区域111を通じて延び、内側部材20の中空の内部22へと突出する。
【0272】
第1の外壁区域111は、加熱流体からの熱が第1の外壁区域111へと伝導され、さらに、第1の外壁区域111と接触している食品材料へと伝えられるように、加熱流体回路を定めるための中空の壁区域である。
【0273】
加熱流体回路は、内側部材20の中空の内部22へと突出し、蒸気などの加熱流体を内側部材20の中空の内部22へと排出するように構成される。それによって、蒸気からの熱は、第1の内壁区域211へと伝導させられ、さらに、第1の内壁区域211と接触している食品材料へと伝えられる。
【0274】
加熱デバイス50は、図では視認可能ではないが、食感付加室1から離れて位置付けられ、加熱流体回路との間での加熱流体の輸送を可能とするために加熱流体回路と流体接続している熱交換デバイスをさらに備える。
【0275】
冷却デバイス40が、第2の外壁区域112および第2の内壁区域212に設けられることが、図4図6に示されている。冷却デバイス40は、第2の外壁区域112および第2の内壁区域212を通じて延び、冷却流体の流れを導くように構成される冷却流体回路を備える。
【0276】
第2の外壁区域112は、外側冷却流体入口43に接続される外側冷却流体通路41を定めるために中空であり、第2の内壁区域212は、内側冷却流体入口44に接続される内側冷却流体通路42を定めるために中空である。それによって、下流室区分4における食品材料からの熱が、冷却流体回路において冷却流体へと引き込むことができ、すなわち、例えば、第2の外壁区域112を介して外側冷却流体通路41へと引き込むことができる、および、第2の内壁区域212を介して内側冷却流体通路42へと引き込むことができるといった、食品材料が接触しているそれぞれの壁区域を介して冷却流体へと引き込むことができる。したがって、冷却流体回路は、不動の外側部材10と、冷却流体を回転部材20へと流すために回転結合部を備える回転する内側部材20との両方に位置付けられる。
【0277】
冷却デバイス40は、図では視認可能ではないが、食感付加室1から離れて位置付けられ、冷却流体回路との間での冷却流体の輸送を可能とするために、例えば外側冷却流体入口43および内側冷却流体入口44となど、冷却流体回路と流体接続している第2の熱交換デバイスをさらに備える。
【符号の説明】
【0278】
1 食感付加装置
2 食感付加室
3 上流室区分
4 下流室区分
5 入口開口
6 排出ポート
10 外側部材
11 内面、内径
20 内側部材、回転部材
21 外面、外径
22 内側部材内部、中空の内部
22' 第1の内側部材内部
22'' 第2の内側部材内部
23 分離壁
30 オーガ
31 リード
32 隆条
33 溝
40 冷却デバイス
41 外側冷却流体通路
42 内側冷却流体通路
43 外側冷却流体入口
44 内側冷却流体入口
50 加熱デバイス
100 食料品生産デバイス
110 ホッパ
111 第1の外壁区域
111' 第1の一部
111'' 第2の一部
112 第2の外壁区域
113 中間外壁区域
120 送り込みデバイス
130 混合デバイス
211 第1の内壁区域
212 第2の内壁区域
213 中間内壁区域
d1 第1の外径
D1 第1の内径
D1' 第1の一部111'の直径
D1'' 第2の一部111''の直径
D2 第2の内径
d2 第2の外径
D3 第3の内径
d3 第3の外径
L 長手方向軸、軸方向
L1 第1の長さ
L2 第2の長さ
L3 第3の長さ
R 径方向
t せん断隙間
T 接線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊に食感を付加するように構成される食感付加装置であって、
第1の端と第2の端との間で長手方向軸に沿って延び、前記長手方向軸に対して垂直な平面において円形の断面を有する、内部を定める外側部材と、
前記第1の端と前記第2の端との間で前記長手方向軸と平行に延び、前記長手方向軸に対して垂直な平面において円形の断面を有する、前記内部の内側に配置される内側部材と
を備え、
前記外側部材は、前記第1の端と前記第2の端との間で延びる通し環状食感付加室を、前記内側部材と前記外側部材との間において定めるために、前記内側部材の外面を向く内面を前記内部において有し、
前記外側部材および前記内側部材は、前記食品材料を前記食感付加室において単純せん断流れに曝すために、前記長手方向軸の周りで互いに対して回転するように構成される、
前記装置において、
前記食感付加室のせん断隙間が前記内側部材と前記外側部材との間の径方向間隔として定められ、前記せん断隙間は10mmから50mmの間の範囲にあることと、
前記食感付加室が上流室区分と下流室区分とを備えることと、
前記食感付加装置が、
前記食感付加室の前記下流室区分に設けられ、前記食感付加室の前記下流室区分を冷却だけするように構成される冷却デバイスをさらに備えることと
を特徴とする、食感付加装置。
【請求項2】
前記食感付加室の前記上流室区分に設けられ、前記食感付加室の前記上流室区分を加熱だけするように構成される加熱デバイスをさらに備える、請求項1に記載の食感付加装置。
【請求項3】
前記上流室区分は冷却デバイスが無い、請求項1または2に記載の食感付加装置。
【請求項4】
前記内側部材は実質的に中空であり、内側部材内部を定める、請求項1から3のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項5】
前記外側部材は、
前記第1の端と移行区域との間で延び、前記第1の端と前記第2の端との間に位置付けられる第1の外壁区域と、
前記移行区域と前記第2の端との間で延びる第2の外壁区域と
を備え、
前記上流室区分は前記第1の外壁区域と前記内側部材との間に定められ、
前記下流室区分は前記第2の外壁区域と前記内側部材との間に定められ、前記第1の外壁区域は第1の内径を有し、前記第2の外壁区域は、例えば前記第1の内径と異なるなどの第2の内径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項6】
前記内側部材は、
前記上流室区分を定めるために前記第1の外壁区域を向く第1の内壁区域と、
前記下流室区分を定めるために前記第2の外壁区域を向く第2の内壁区域と
を備え
前記第1の内壁区域は第1の外径を有し、前記第2の内壁区域は、例えば前記第1の外径と異なるなどの第2の外径を有し、および/または、
前記内側部材は、例えば、前記長手方向軸に対して実質的に垂直に並べられ、前記内側部材内部を第1の内側部材内部と第2の内側部材内部とに細分するように構成される分離壁を、前記第1の内壁区域と前記第2の内壁区域との間に備える、請求項5に記載の食感付加装置。
【請求項7】
前記加熱デバイスは、前記第1の外壁区域および/または前記第1の内壁区域に設けられる、および/または、
前記冷却デバイスは、前記第2の外壁区域および/または前記第2の内壁区域に設けられる、請求項5または6に記載の食感付加装置。
【請求項8】
前記上流室区分との直接的な流体接触で前記第1の端に位置付けられ、前記食感付加室へのアクセスを前記食品材料の塊に提供するように構成される入口開口と、
前記下流室区分との直接的な流体接触で、例えば前記長手方向軸に対して径方向の位置など、前記第2の端に位置付けられ、食感が付加された食品材料の前記食感付加室からの排出を可能とするように構成される排出ポートと
をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項9】
前記外側部材は不動で保持されるように構成され、
前記内側部材は、回転させられるように、すなわち、前記外側部材に対して回転させられるように構成され
好ましくは、前記食感付加室を通じて前記食品材料を輸送するように構成される輸送デバイスをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項10】
前記輸送デバイスは、前記内側部材の外面の少なくとも一部にわたって螺旋状に延びるオーガを備え、前記オーガは、前記食感付加室を通じて障害の無い螺旋経路を定め
前記オーガは、例えば、接線方向に対して0.01°から5°の間の範囲でピッチ角を有し、および/または、
前記オーガの高さ、すなわち、前記長手方向軸に対する径方向における前記オーガの高さが、例えば、前記径方向における前記内側部材と前記外側部材との間の間隔に実質的に対応する、もしくは、
前記オーガの高さ、すなわち、前記長手方向軸に対する径方向における前記オーガの高さが、例えば、前記径方向における前記内側部材と前記外側部材との間の間隔の一部だけに対応する、請求項9に記載の食感付加装置。
【請求項11】
前記輸送デバイスは、圧力差、すなわち、前記第1の端と前記第2の端との間における圧力差の影響の下で、前記食感付加室を通じて前記食品材料を軸方向に変位させるように構成される、請求項9に記載の食感付加装置。
【請求項12】
前記排出ポートは、前記排出ポートの断面積を調整するように構成される調整可能な開口部を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項13】
前記食感付加室に位置付けられ、前記食感付加室における温度を表すセンサ信号を発するように構成される1つまたは複数の温度センサ、または、
前記食感付加室に位置付けられ、前記食感付加室における圧力レベルを表す圧力信号を発するように構成される1つまたは複数の圧力センサ
をさらに備え、
前記食感付加室における測定された前記温度および/または圧力レベルに基づいて、前記調整可能な開口部を制御するように構成される制御ユニットをさらに備える、請求項12に記載の食感付加装置。
【請求項14】
前記制御ユニットは、前記食感付加室における前記測定された温度に基づいて、前記加熱デバイスおよび/または前記冷却デバイスを制御するようにさらに構成される、請求項13に記載の食感付加装置。
【請求項15】
前記外側部材の前記内面の少なくとも一部、および/または、前記内側部材の前記外面の少なくとも一部が、波形表面を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の食感付加装置。
【請求項16】
肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊から食品の製品を形成するように構成される食料品生産デバイスであって、
請求項1から15のいずれか一項に記載の食感付加装置と、
前記入口開口に接続され、前記食品材料を前記食感付加室へと送り込むように構成される送り込みデバイスと、
前記送り込みデバイスの上流に位置付けられ、前記食品材料の成分を混合するように構成される混合デバイスと
を備え
例えば、前記混合デバイスへと突出し、液体成分および/または水を前記混合デバイスにおける前記食品材料へと注入するように構成される1つまたは複数の注入器をさらに備え、および/または、
例えば、前記食品材料を前記送り込みデバイスおよび/または前記混合デバイスにおいて予熱するように構成される予熱デバイスをさらに備える、食料品生産デバイス。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の食感付加装置、および/または、請求項16に記載の食料品生産デバイスを好ましくは用いて、肉代用品のための生体高分子混合物などの粘弾性食品材料の塊に食感を付加する方法であって、
前記食品材料を食感付加室に送り込むステップと、
前記食感付加室の前記上流室区分において前記食品材料にせん断応力を加えることで、前記食品材料を単純せん断流れに曝すステップと、
前記食感付加室の前記下流室区分において前記食品材料を冷却するステップであって、すなわち、前記食品材料の粘度を増加させるために前記食感付加室の前記下流室区分において前記食品材料を冷却するステップと、
前記食感が付加された食品材料を前記食感付加室から排出するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
冷却する前記ステップの少なくとも一部の間、前記食感付加室の前記下流室区分において前記食品材料にせん断応力を加えることで、前記食品材料を単純せん断流れに曝すステップをさらに含み、および/または、
前記食感付加室の前記上流室区分における前記食品材料を加熱するステップ、すなわち、前記食品材料の粘度を低下させるために前記食感付加室の前記上流室区分における前記食品材料を加熱するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
排出する前記ステップは、前記食感付加室における測定された温度および/または圧力レベルに基づいた前記排出ポートの断面積の調整を含む、および/または、
前記食品材料を冷却する前記ステップは、前記食品材料を、例えば液体状態または流体状態などの粘性状態から固体状態への相転移に曝すことを含む、および/または、
冷却する前記ステップの間、前記食品材料は、50℃~200℃の間の範囲であって、好ましくは90℃から140℃の間の範囲である温度から、0℃~80℃の間の範囲であって、好ましくは30℃から60℃の間の範囲である温度まで冷却される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記食感付加室は、内部を定める外側部材と、前記外側部材の前記内部の内側に配置される内側部材との間に定められ、
前記外側部材は不動で保持され、前記内側部材は、前記食感付加室における前記食品材料を前記単純せん断流れに曝すために、長手方向軸の周りで前記外側部材に対して回転させられる、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】