(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】SiC基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240820BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20240820BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/42
C23C16/455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505346
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 KR2022011722
(87)【国際公開番号】W WO2023014195
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0104086
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504210651
【氏名又は名称】ジュスン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン チュル ジュ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA09
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4K030KA23
4K030LA12
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5F045HA11
(57)【要約】
本発明の実施形態に係るSiC基板の製造方法は、ベースを設けるステップと、前記ベースの上にn型(n type)又はp型(p type)のうちのどちらか一方のSiC薄膜を形成するステップと、前記SiC薄膜とベースとを分離するステップと、を含み、前記SiC薄膜を形成するステップは、前記ベースの上にシリコン(Si)を含有するソースガスを噴射するステップと、前記ソースガスの噴射の中断後にパージガスを噴射する1次パージステップと、前記1次パージの中断後に炭素(C)を含有するリアクタントガスを噴射するステップと、前記リアクタントガスの噴射の中断後にパージガスを噴射する2次パージステップと、を含む。
したがって、本発明の実施形態によれば、低温下でSiC薄膜を蒸着してSiC基板を設けることができる。このため、SiC薄膜の形成のためにベースを昇温させる電力又は時間を削減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースを設けるステップと、
前記ベースの上にn型(n type)又はp型(p type)のうちのどちらか一方のSiC薄膜を形成するステップと、
前記SiC薄膜とベースとを分離するステップと、
を含み、
前記SiC薄膜を形成するステップは、
前記ベースの上にシリコン(Si)を含有するソースガスを噴射するステップと、
前記ソースガスの噴射の中断後にパージガスを噴射する1次パージステップと、
前記1次パージの中断後に炭素(C)を含有するリアクタントガスを噴射するステップと、
前記リアクタントガスの噴射の中断後にパージガスを噴射する2次パージステップと、
を含む、SiC基板の製造方法。
【請求項2】
前記ソースガスは、SiH
4及びSi
2H
6のうちの少なくともどちらか一方を含む、請求項1に記載のSiC基板の製造方法。
【請求項3】
前記リアクタントガスは、C
3H
8及びSiH
3CH
3のうちの少なくともどちらか一方を含む、請求項1に記載のSiC基板の製造方法。
【請求項4】
前記リアクタントガスを噴射するステップは、プラズマを生じさせるステップを含む、請求項1に記載のSiC基板の製造方法。
【請求項5】
前記プラズマを生じさせるステップは、水素ガスを噴射するステップを含む、請求項4に記載のSiC基板の製造方法。
【請求項6】
前記SiC薄膜を形成するステップは、
前記ソースガス噴射ステップと、1次パージステップと、リアクタントガス噴射ステップ及び2次パージステップの順に行われる一つの工程サイクルを繰り返し行うステップを含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のSiC基板の製造方法。
【請求項7】
前記SiC薄膜を形成するステップは、ドープガスを噴射するステップを含み、
前記ドープガスは、前記ソースガスの噴射時に噴射されるか、あるいは、前記ソースガスの噴射が中断されてから前記1次パージステップの前に噴射される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のSiC基板の製造方法。
【請求項8】
前記ドープガスは、
N(窒素)及びP(リン)のうちの少なくともどちらか一方を含有するガスを含むか、あるいは、
Al(アルミニウム)、B(ホウ素)及びGa(ガリウム)のうちの少なくとも一種を含有するガスを含む、請求項7に記載のSiC基板の製造方法。
【請求項9】
前記ベースは、黒鉛、Si(シリコン)、Ga(ガリウム)及びガラスのうちのいずれか一種を含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のSiC基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC基板の製造方法に関し、より詳細には、原子層蒸着法によりSiC薄膜を形成して製造するSiC基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、例えば、電界効果トランジスター(field effect transistor)は、基板と、互いに離れ合うように基板に設けられた一対のウェル(well)領域と、基板の上における一対のウェル領域の間に設けられたチャンネル(channel)と、一対のウェル領域のそれぞれの上部に設けられたソース及びドレイン電極と、ソース電極とドレイン電極との間に形成されたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層の上部に形成されたゲート電極と、を備える。
【0003】
このような半導体素子の基板として、SiC基板を用いる。SiC基板は、ベースの上に化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によりSiC薄膜を蒸着し、ベースを取り除いてSiC薄膜を分離することにより設けられる。
【0004】
ところが、化学気相蒸着方法によりベースの上にSiC薄膜を蒸着するためには、ベースを高温に加熱せねばならないという問題がある。このような場合、SiC薄膜を蒸着するのに要される電力が増加したり、長時間がかかったりするという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1001674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低温下で製造することのできるSiC基板の製造方法を提供する。
【0007】
本発明は、低温下でSiC薄膜を蒸着して製造することのできるSiC基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係るSiC基板の製造方法は、ベースを設けるステップと、前記ベースの上にn型(n type)又はp型(p type)のうちのどちらか一方のSiC薄膜を形成するステップと、前記SiC薄膜とベースとを分離するステップと、を含み、前記SiC薄膜を形成するステップは、前記ベースの上にシリコン(Si)を含有するソースガスを噴射するステップと、前記ソースガスの噴射の中断後にパージガスを噴射する1次パージステップと、前記1次パージの中断後に炭素(C)を含有するリアクタントガスを噴射するステップと、前記リアクタントガスの噴射の中断後にパージガスを噴射する2次パージステップと、を含んでいてもよい。
【0009】
前記ソースガスは、SiH4及びSi2H6のうちの少なくともどちらか一方を含んでいてもよい。
【0010】
前記リアクタントガスは、C3H8及びSiH3CH3のうちの少なくともどちらか一方を含んでいてもよい。
【0011】
前記リアクタントガスを噴射するステップは、プラズマを生じさせるステップを含んでいてもよい。
【0012】
前記プラズマを生じさせるステップは、水素ガスを噴射するステップを含んでいてもよい。
【0013】
前記SiC薄膜を形成するステップは、前記ソースガス噴射ステップと、1次パージステップと、リアクタントガス噴射ステップ及び2次パージステップの順に行われる一つの工程サイクルを繰り返し行うステップを含んでいてもよい。
【0014】
前記SiC薄膜を形成するステップは、ドープガスを噴射するステップを含み、前記ドープガスは、前記ソースガスの噴射時に噴射されるか、あるいは、前記ソースガスの噴射が中断されてから前記1次パージステップの前に噴射されてもよい。
【0015】
前記ドープガスは、N(窒素)及びP(リン)のうちの少なくともどちらか一方を含有するガスを含むか、あるいは、Al(アルミニウム)、B(ホウ素)及びGa(ガリウム)のうちの少なくとも一種を含有するガスを含んでいてもよい。
【0016】
前記ベースは、黒鉛、Si(シリコン)、Ga(ガリウム)及びガラスのうちのいずれか一種を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態によれば、低温下でSiC薄膜を蒸着してSiC基板を設けることができる。このため、SiC薄膜の形成のためにベースを昇温させる電力又は時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ベースの上に本発明の実施形態に係る方法によりSiC薄膜が形成された状態を示す概念図である。
【
図2】ベースとSiC薄膜とが分離されてSiC基板が設けられた状態を示す概念図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る方法により製造されたSiC基板が適用された電界効果トランジスターの一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る方法によりベースの上にSiC薄膜を形成する方法を説明するための概念図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るSiC基板の製造のためにSiC薄膜を蒸着するのに用いられる蒸着装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明の実施形態を説明するために図面は誇張されてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0020】
本発明の実施形態は、基板の製造方法に関するものである。より詳細には、原子層蒸着(ALD:Atomic Layer deposition)方法によりベースの上にSiC薄膜を形成するSiC基板の製造方法に関するものである。より具体的には、原子層蒸着(ALD)法によりベースの上にn型(n type)又はp型(p type)のSiC薄膜を形成するSiC基板の製造方法に関するものである。
【0021】
図1は、ベースの上に本発明の実施形態に係る方法によりSiC薄膜が形成された状態を示す概念図である。
図2は、ベースとSiC薄膜とが分離されてSiC基板が設けられた状態を示す概念図である。
図3は、本発明の実施形態に係る方法により製造されたSiC基板が適用された電界効果トランジスターの一例を示す図である。
【0022】
図1を参照すると、SiC薄膜10は、ベースBの少なくとも片面、例えば、ベースBの上部面に蒸着されて形成されてもよい。
【0023】
ベースBは、黒鉛、Si(シリコン)、Ga(ガリウム)及びガラスのうちのいずれか1種を含む材質から作製されてもよい。より具体的には、ベースBは、黒鉛(graphite)材質の板(plate)、ウェーハ(wafer)、ガラス(glass)材質の板(plate)のうちのいずれか一つが使用可能である。そして、ベースBとして用いられるウェーハとしては、例えば、Siウェーハ、SiCウェーハ、SiO2(石英)ウェーハ、GaAsウェーハのうちのいずれか1種が使用可能である。
【0024】
SiC薄膜10は、原子層蒸着(ALD:Atomic Layer deposition)方法により形成され、n型(n type)又はp型(p type)に形成されてもよい。
【0025】
ベースBの上に所定の膜厚又は目標の膜厚のSiC薄膜10が形成されれば、
図2に示すように、ベースBからSiC薄膜を分離したり、ベースBを取り除いたりする。ベースBと分離された又はベースBが取り除かれたSiC薄膜10は、半導体素子を製造するための基板として使用可能である。このため、ベースBから分離されたSiC薄膜10は、基板又はSiC基板と称され得る。
【0026】
以下、説明のしやすさのために、
図1に示すように、ベースBの上部に形成されたSiC薄膜には、図面符号「10」を附する。このとき、複数のSiC薄膜が積層されるため、複数のSiC薄膜のそれぞれが図面符号「10」と称され得る。
【0027】
そして、SiC薄膜10形成が終了すれば、上述したように、ベースBを取り除き又は分離するが、このとき、
図2に示すように、ベースBが取り除かれた、又はベースBと分離されたSiC薄膜10をSiC基板と称し、SiC基板に図面符号「S」を附する。
【0028】
本発明の実施形態に係る方法により形成されたSiC薄膜10、すなわち、SiC基板Sは、半導体素子の基板として使用可能である。例えば、実施形態に係るSiC基板は、電界効果トランジスターの基板Sとして使用可能である。
図3を参照してより具体的に説明すれば、電界効果トランジスターは、基板Sと、幅方向に互いに離れ合うように基板Sに設けられた一対のウェル(well)領域22a、22bと、一対のウェル領域22a、22bの間に設けられたチャンネル(channel)21と、一対のウェル領域22a、22bのそれぞれの上部に設けられたソース及びドレイン電極23a、23bと、ソース電極23aとドレイン電極23bとの間に形成されたゲート絶縁層24と、ゲート絶縁層24の上部に形成されたゲート電極25と、を備えていてもよい。
【0029】
ここで、基板Sは、実施形態に係る方法により製造された基板であってもよい。すなわち、基板Sは、実施形態に係る方法によりベースBの上部にSiC薄膜10を形成し(
図1参照)、SiC薄膜10をベースBから分離したりベースBを取り除いたりして設けられたものであってもよい(
図2参照)。また、SiC基板Sは、原子層蒸着法によりn型又はp型に設けられたものであってもよい。
【0030】
ウェル領域22a、22bは、n型又はp型に設けられてもよい。すなわち、基板Sがn型に設けられる場合、ウェル領域22a、22bはp型に設けられてもよく、基板Sがp型に設けられる場合、ウェル領域22a、22bはn型に設けられてもよい。ここで、ソース電極23aと接するように、又はソース電極23aの下側に形成されたウェル領域22aは、電界効果トランジスターのソースとして機能する層であってもよい。また、ドレイン電極23bと接するように、又はドレイン電極23bの下側に形成されたウェル領域22bは、電界効果トランジスターのドレインとして機能する層であってもよい。
【0031】
このようなウェル領域22a、22bは、基板Sの上面に形成されたゲート絶縁層形成用の薄膜の一部を取り欠いた後、取り欠かれた領域にドーパント原料を注入することにより設けられてもよい。そして、このような一対のウェル領域22a、22bが設けられれば、前記一対のウェル領域22a、22bの間にチャンネル(channel)21が形成される。
【0032】
ソース及びドレイン電極23a、23bは、一対のウェル領域22a、22bのそれぞれの上部に形成される。すなわち、一対のウェル領域22aのうちのどちらか一方の上部にソース電極23aが形成され、残りの他方のウェル領域22bの上部にドレイン電極23bが形成される。このとき、ソース及びドレイン電極23a、23bは、金属を含む材料から形成され、例えば、Ti及びAuのうちの少なくともどちらか一方の材料から形成されてもよい。
【0033】
ゲート絶縁層24は、ソース電極23aとドレイン電極23bとの間においてチャンネル21の上部に位置するように形成されてもよい。このようなゲート絶縁層24は、SiO2、SiON、Al2O3のうちのいずれか1種から形成されてもよい。
【0034】
ゲート電極25は、ソース電極23aとドレイン電極23bとの間に位置するようにゲート絶縁層24の上部に形成されてもよい。このとき、ゲート電極25は、金属を含む材料から形成されてもよく、例えば、Ti及びAuのうちの少なくともどちらか一方を含む材料から形成されてもよい。
【0035】
上記においては、実施形態に係る方法により製造されたSiC基板Sが電界効果トランジスターの基板として用いられることを例にとって説明した。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、SiC基板は多種多様な半導体素子に使用可能である。
【0036】
図4は、本発明の実施形態に係る方法によりベースの上にSiC薄膜を形成する方法を説明するための概念図である。
【0037】
以下、
図1及び
図4を参照して、本発明の実施形態に係るSiC薄膜の形成方法について説明する。
【0038】
まず、ベースBを設ける。このとき、ベースBは、例えば、黒鉛(graphite)材質の円板であってもよい。
【0039】
ベースBが設けられれば、
図1に示すように、ベースBの片面、例えば、上部面にSiC薄膜10を蒸着する。このとき、原子層蒸着(ALD)法により形成し、複数のSiC薄膜10を積層して形成してもよい。
【0040】
原子層蒸着(ALD)法を用いてSiC薄膜10を形成する方法について
図4を参照してより具体的に説明すれば、SiC薄膜10を形成するステップは、ソースガスを噴射するステップと、パージガスを噴射するステップ(1次パージ)と、リアクタントガスを噴射するステップと、パージガスを噴射するステップ(2次パージ)と、を含んでいてもよい。このような場合、ソースガスの噴射と、パージガスの噴射(1次パージ)と、リアクタントガスの噴射と、パージガスの噴射(2次パージ)の順に行われてもよい。
【0041】
このとき、ソースガスは、Siを含有するガスであってもよい。そして、Si含有ガスとしては、例えば、SiH4、Si2H6のうちの少なくともどちらか一方を含有するガスが使用可能である。また、反応ガスは、C(炭素)を含有するガスであってもよい。そして、C(炭素)含有ガスとしては、例えば、C3H8及びSiH3CH3のうちの少なくともどちらか一方を含有するガスが使用可能である。
【0042】
また、n型又はp型のSiC薄膜10を形成するためにドープガスを噴射する。このとき、ドープガスは、N(窒素)を含有するガス及びP(リン)を含有するガスのうちの少なくともどちらか一方を含有するガスであるか、あるいは、Al(アルミニウム)を含有するガス、B(ホウ素)を含有するガス及びGa(ガリウム)を含有するガスのうちの少なくとも1種を含有するガスが使用可能である。すなわち、n型のSiC薄膜10を形成しようとする場合、ドープガスは、N(窒素)含有ガス及びP(リン)含有ガスのうちの少なくともどちらか一方が使用可能である。他の例を挙げると、p型のSiC薄膜10を形成しようとする場合、ドープガスは、Al(アルミニウム)含有ガス、B(ホウ素)含有ガス及びGa(ガリウム)含有ガスのうちの少なくとも1種が使用可能である。
【0043】
ドープガスは、ソースガスの噴射時に一緒に噴射されてもよく、ソースガスの噴射が終了してから1次パージの前に噴射されてもよい。
【0044】
例えば、ソースガスとドープガスとを一緒に噴射する場合、SiC薄膜10を形成するステップは、ソースガス及びドープガスの噴射、パージガスの噴射(1次パージ)、リアクタントガスの噴射、パージガスの噴射(2次パージ)の順に行われてもよい。このとき、ドープガスは、ソースガスと混合されて噴射されてもよい。いうまでもなく、ソースガスが噴射される時点でドープガスが噴射されるが、ソースガスが噴射される経路とドープガスが噴射される経路とを互いに異ならせて噴射してもよい。このように、ソースガスとドープガスとを一緒に噴射してSiC薄膜10を形成するに際して、上述したような「ソースガス及びドープガスの噴射-パージガスの噴射(1次パージ)-リアクタントガスの噴射-パージガスの噴射(2次パージ)」をSiC薄膜10の形成のための一つの工程サイクル(cycle)にしてもよい。
【0045】
他の例を挙げると、ソースガスとドープガスとを別途の段階に分けて噴射してもよい。すなわち、ソースガスの噴射が終了した後にドープガスを噴射してもよい。このような場合、SiC薄膜を形成するステップは、ソースガスの噴射、ドープガスの噴射、パージガスの噴射(1次パージ)、リアクタントガスの噴射、パージガスの噴射(2次パージ)の順に行われてもよい。そして、SiC薄膜10を形成するに際して、上述したような「ソースガスの噴射-ドープガスの噴射-パージガスの噴射(1次パージ)-リアクタントガスの噴射-パージガスの噴射(2次パージ)」をSiC薄膜の形成のための一つの工程サイクル(cycle)にしてもよい。
【0046】
上述したような工程サイクルのリアクタントガス噴射ステップにおいて、プラズマを生じさせてもよい。そして、このとき、水素ガスを噴射して水素ガスによるプラズマを生じさせてもよい。すなわち、リアクタントガスの噴射時に水素ガスを一緒に噴射し、水素ガスを放電して水素ガスによるプラズマを生じさせてもよい。このように、リアクタントガスの噴射時にプラズマを生じさせることにより、300℃~600℃の低温下でSiC薄膜を蒸着することができる。
【0047】
また、水素ガスにより生じるプラズマ、すなわち、水素プラズマは、SiC薄膜内又はSiC薄膜が蒸着される空間(反応空間)内の不純物を取り除くことができる。ここで、不純物は、例えば、ソースガスとリアクタントガスとの反応による反応副産物であってもよい。水素プラズマは、不純物、例えば、ソースガスとリアクタントガスとの反応による反応副産物を分解することができる。このため、反応空間に接続された排気部を介して反応副産物を排気し易くなる。したがって、反応空間又はSiC薄膜に存在する不純物を有効に取り除くことができる。
【0048】
上述したような工程サイクルを複数回繰り返し行うことにより、複数回の原子層蒸着が行われる。別の言い方をすれば、複数回の原子層蒸着により複数のSiC薄膜10が積層される。そして、工程サイクルを行うべき回数を調整することにより、目標とする膜厚のSiC薄膜10を形成することができる。
【0049】
一方、従来には、化学気相蒸着法によりベースBの上にSiC薄膜を蒸着してSiC基板を設けていた。このとき、ベースBを支持する支持台200又はベースBを約1200℃の高温に保持していた。別の言い方をすれば、支持台200又はベースBの温度が1200℃の高温に保持されてはじめて、ベースBの上面にSiC薄膜が蒸着されることができる。このような場合、支持台200又はベースを高温に加熱しなければならないという問題がある。したがって、SiC薄膜を蒸着するのに要される電力が増加したり、長時間がかかったりするという問題がある。
【0050】
しかしながら、実施形態においては、原子層蒸着法によりSiC薄膜10を蒸着することにより、従来に比べて低温下でSiC薄膜10を蒸着することができる。このため、SiC薄膜10を蒸着するのに要される電力を削減することができる。
【0051】
図5は、本発明の実施形態に係るSiC基板の製造のためにSiC薄膜を蒸着するのに用いられる蒸着装置を概略的に示す図である。
【0052】
蒸着装置は、原子層蒸着(ALD)法により薄膜を蒸着する装置であってもよい。より具体的には、ベースBの上にSiC薄膜10を形成するための装置であってもよい。
【0053】
このような蒸着装置は、
図5に示されているように、チャンバー100と、チャンバー100内に配設されてベースBを支持するための支持台200と、支持台200と向かい合うように配置されてチャンバー100の内部に工程のためのガス(以下、工程ガス)を噴射する噴射部300と、噴射部300に工程ガスを提供するガス供給部400と、互いに異なる経路を有するように噴射部300に接続され、ガス供給部400からのガスを噴射部300に供給する第1及び第2のガス供給管500a、500bと、チャンバー100内にプラズマを生じさせるように電源を供給するRF電源部600と、を備えていてもよい。
【0054】
また、蒸着装置は、支持台200に昇降動作及び回転動作のうちの少なくともどちらか一方の動作を行わせる駆動部700と、チャンバー100に接続されるように配設された排気部(図示せず)と、をさらに備えていてもよい。
【0055】
チャンバー100は、内部に搬入されたベースBの上に薄膜が形成可能な内部空間を備えていてもよい。例えば、その断面の形状が四角形、五角形、六角形などの形状であってもよい。いうまでもなく、チャンバー100の内部の形状は種々に変更可能であり、ベースBの形状と対応するように設けられることが好ましい。
【0056】
支持台200は、噴射部300と向かい合うようにチャンバー100の内部に配設されて、チャンバー100の内部に装入されたベースBを支持する。このような支持台200の内部にはヒーター210が設けられてもよい。このため、ヒーター210を動作させると、支持台200の上に載置されたベースB及びチャンバー100の内部が加熱されることが可能になる。
【0057】
また、ベースB又はチャンバー100の内部を加熱するための手段として、支持台200に設けられたヒーター210の他に、チャンバー100の内部又はチャンバー100の外部に別途のヒーターが設けられてもよい。
【0058】
噴射部300は、支持台200の延在方向に並べられて互いに隔設された複数本の孔(以下、孔)311を有し、チャンバー100の内部において支持台200と向かい合うように配置された第1のプレート310と、少なくとも一部が複数本の孔311のそれぞれに嵌入されるように設けられた複数本のノズル320と、チャンバー100の内部において前記チャンバー100内の上部壁と第1のプレート310との間に位置するように配設された第2のプレート330と、を備えていてもよい。
【0059】
また、噴射部300は、第1のプレート310と第2のプレート330との間に位置づけられた絶縁部340をさらに備えていてもよい。
【0060】
第1のプレート310は、支持台200の延在方向に延設された板状を呈していてもよい。そして、第1のプレート310には複数本の孔311が設けられるが、複数本の孔311のそれぞれは、第1のプレート310を上下方向に貫通するように設けられてもよい。複数本の孔311は、第1のプレート310又は支持台200の延在方向に並べられてもよい。
【0061】
複数本のノズル320のそれぞれは、上下方向に延びた形状を呈していてもよく、その内部にはガスが通過可能な通路が設けられており、上端及び下端が開口された形状を呈していてもよい。そして、複数本のノズル320のそれぞれは、少なくともその下部が第1のプレート310に設けられた孔311に嵌入され、上部は、第2のプレート330と接続されるように配設されてもよい。このため、ノズル320は、第2のプレート330から下部へと突出した形状のものであると説明可能である。
【0062】
ノズル320の外径は、孔311の内径に比べて小さくなるように設けられてもよい。そして、ノズル320が孔311の内部に嵌設されるに際して、ノズル320の外周面が孔311の周りの壁(すなわち、第1のプレート310の内側壁)と離れるように配設されてもよい。このため、孔311の内部は、ノズル320の外側空間と、ノズル320の内側空間と、に分離可能である。
【0063】
孔311の内部空間におけるノズル320内の通路は、第1のガス供給管500aからのガスが移動・噴射される通路である。そして、孔311の内部空間におけるノズル320の外側空間は、第2のガス供給管500bからのガスが移動・噴射される通路である。したがって、以下では、ノズル320内の通路を第1の経路360aと称し、孔311の内部におけるノズル320の外側空間を第2の経路360bと称する。
【0064】
第2のプレート330は、その上部面がチャンバー100内の上部壁と離れ、下部面が第1のプレート310と離れるように配設されてもよい。このため、第2のプレート330と第1のプレート310との間及び第2のプレート330とチャンバー100の上部壁との間のそれぞれに空きスペースが設けられることが可能になる。
【0065】
ここで、第2のプレート330の上側空間は、第1のガス供給管500aからのガスが行き渡って移動する空間(以下、拡散空間350)であって、複数本のノズル320の上側開口と連通してもよい。別の言い方をすれば、拡散空間350は、複数本の第1の経路360aと連通している空間である。このため、第1のガス供給管500aを通過したガスは、拡散空間350において第2のプレート330の延在方向に行き渡った後、複数本の第1の経路360aを通過して下側に噴射されることが可能になる。
【0066】
また、第2のプレート330の内部には、ガスが移動する通路である深穴(図示せず)が設けられており、前記深穴は、第2のガス供給管500bと接続され、第2の経路360bと連通するように設けられてもよい。したがって、第2のガス供給管500bからのガスは、第2のプレート330の深穴、第2の経路360bを経てベースBに向かって噴射されることが可能になる。
【0067】
ガス供給部400は、原子層蒸着法により薄膜を蒸着するのに必要となるガスを提供する。このようなガス供給部400は、ソースガスが貯留されたソースガス貯留部410と、ドープガスが貯留されたドープガス貯留部420と、ソースガスと反応するリアクタントガスが貯留されたリアクタントガス貯留部430と、パージガスが貯留されたパージガス貯留部440と、を備える。また、水素ガスが貯留された水素ガス貯留部(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0068】
ここで、パージガス貯留部440に貯留されたパージガスは、例えば、N2ガス又はArガスであってもよい。
【0069】
また、ガス供給部400は、ソースガス貯留部410及びドープガス貯留部420と第1のガス供給管500aとを接続するように配設された第1の搬送管450aと、リアクタントガス貯留部430及びパージガス貯留部440と第2のガス供給管500bとを接続するように配設された第2の搬送管450bと、を備えていてもよい。
【0070】
そして、ガス供給部400は、ドープガス貯留部420からのガスとソースガス貯留部からのガスとを混合する混合部460をさらに備えていてもよい。
【0071】
また、ガス供給部400は、ソースガス貯留部410及びドープガス貯留部420のそれぞれと第1の搬送管450aとを接続する複数本の第1の接続管470aと、複数本の第1の接続管470aのそれぞれに配設された弁と、リアクタントガス貯留部430及びパージガス貯留部440のそれぞれと第2の搬送管450bとを接続する複数本の第2の接続管470bと、複数本の第2の接続管470bのそれぞれに配設された弁と、を備えていてもよい。
【0072】
そして、水素ガス貯留部は、第1の搬送管450aと接続されてもよく、水素ガス貯留部と第1の搬送管450aとの間に接続管が設けられてもよい。
【0073】
混合部460は、ガスが混合可能な内部空間を有するように設けられた手段であってもよい。また、混合部460は、ソースガス貯留部410及びドープガス貯留部420のそれぞれに接続された第1の接続管470aと第1の搬送管450aとを接続するように配設されてもよい。このため、混合部460の内部に流れ込んだソースガスとドープガスとが混合部460の内部において混合された後、第1の搬送管450aを介して第1のガス供給管500aに搬送されることが可能になる。このような場合、ソースガスとドープガスとが混合された状態で噴射部300に流れ込み、噴射部300の第1の経路360aを介して混合ガスが噴射される。
【0074】
いうまでもなく、ソースガスとドープガスとを混合させずに、ソースガスとドープガスを時間差をおいて第1のガス供給管500aに搬送してもよい。
【0075】
上記においては、ソースガス貯留部410とドープガス貯留部420とが同一の第1の搬送管450aに接続されて、第1の経路360aを介して噴射されることについて説明した。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、ソースガス貯留部410とドープガス貯留部420は、互いに異なる経路で噴射されるように接続されてもよい。例えば、ソースガス貯留部410は、第1の搬送管450aに接続され、ドープガス貯留部420は、第2の搬送管450bに接続されてもよい。このような場合、ソースガスは、第1の搬送管450a及び第1のガス供給管500aを介して噴射部300の第1の経路360aに流れ込んで噴射され、ドープガスは、第2の搬送管450b及び第2のガス供給管500bを介して噴射部300の第2の経路360bに流れ込んで噴射されてもよい。
【0076】
以下、
図1、
図2及び
図5を参照して、本発明の実施形態に係るSiC基板の製造方法について説明する。このとき、n型のSiC薄膜を形成する方法を例にとって説明する。
【0077】
まず、支持台200に設けられたヒーター210を動作させて支持台200を加熱する。このとき、支持台200又は前記支持台200に載置されるべきベースBの温度が工程温度、例えば、300℃~600℃となるようにヒーターを動作させる。
【0078】
次いで、ベースB、例えば、Siウェーハをチャンバー100の内部に装入して支持台200の上に載置する。この後、支持台200の上に載置されたベースBが目標の工程温度、例えば、300℃~600℃となると、
図1に示すように、ベースBの上にSiC薄膜10を形成する。
【0079】
このとき、原子層蒸着法を用いてSiC薄膜10を形成する。すなわち、ソースガスの噴射、パージガスの噴射(1次パージ)、リアクタントガスの噴射、パージガスの噴射(2次パージ)の順に行われる原子層蒸着法を用いてベースBの上にSiC薄膜10を形成する。
【0080】
このとき、ドープガスは、ソースガスと混合されて噴射されてもよい。また、リアクタントガスの噴射時に水素ガスを噴射し、RF電源部600を動作させてチャンバー100の内部にプラズマを生じさせてもよい。このような場合、原子層蒸着法によりSiC薄膜10を形成する工程サイクルは、「ソースガス及びドープガスの噴射-パージガスの噴射(1次パージ)-リアクタントガスの噴射(プラズマ発生)-パージガスの噴射(2次パージ)」であってもよい。そして、上述した工程サイクルを複数回繰り返し行って複数のSiC薄膜を蒸着することにより、目標の膜厚のSiC薄膜10を形成する。
【0081】
以下、噴射部300及びガス供給部400を用いてチャンバー100の内部に工程ガスを噴射してSiC薄膜10を形成する方法についてより具体的に説明する。
【0082】
まず、チャンバー100の内部にソースガスとドープガスを噴射する。このために、ソースガス貯留部410に貯留されているソースガス及びドープガス貯留部420に貯留されているドープガスを混合部460に供給する。このため、混合部460の内部においてソースガスとドープガスとが混合される。このとき、ソースガスは、Si含有ガスであってもよく、ドープガスは、N(窒素)含有ガスであってもよい。
【0083】
ソースガスとドープガスとが混合された混合ガスは、第1の搬送管450a及び第1のガス供給管500aを経て噴射部300内の拡散空間350に流れ込む。そして、混合ガスは、拡散空間350内において行き渡った後、複数本のノズル320、すなわち、複数本の第1の経路360aを通過してベースBに向かって噴射される。
【0084】
上記においては、ソースガスとドープガスとを混合して噴射することについて説明した。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、ソースガスとドープガスとを混合せずに別々に分けて噴射してもよい。
【0085】
ソースガスとドープガス、すなわち、混合ガスの噴射が中断又は終了すれば、パージガス貯留部440を介してパージガスを提供してチャンバー100の内部にパージガスを噴射する(1次パージ)。このとき、パージガス貯留部440から排出されたパージガスは、第2の接続管470bと、第2の搬送管450b及び第2のガス供給管500bを経た後、第2の経路360bを介して下側に噴射されてもよい。
【0086】
次いで、リアクタントガス貯留部430からリアクタントガス、例えば、C(炭素)含有ガスの提供を受けてチャンバー100の内部に噴射する。このとき、リアクタントガスは、パージガスと同一の経路を介してチャンバー100の内部に噴射されてもよい。すなわち、リアクタントガスは、第2の接続管470bと、第2の搬送管450b及び第2のガス供給管500bを経た後、第2の経路360bを介して下側に噴射されてもよい。リアクタントガスが噴射されれば、ベースBの上に吸着されているソースガスと前記リアクタントガスとの反応が起きて反応物、すなわち、SiCが生成されてもよい。そして、この反応物がベースBの上に堆積もしくは蒸着され、このため、ベースBの上にSiC薄膜10が蒸着される。このとき、ベースBの上に吸着されたドープガスによりn型のSiC薄膜10が蒸着される。
【0087】
このように、リアクタントガスが噴射されるとき、チャンバー100の内部に水素ガスを噴射し、RF電源部600を動作させて第1のプレート310にRF電源を供給してもよい。第1のプレート310にRF電源が供給されれば、噴射部300内の第2の経路360b及び第1のプレート310と支持台200との間の空間にプラズマが生成されてもよい。
【0088】
リアクタントガスの噴射が中断されれば、パージガス貯留部440を介してパージガスを提供してチャンバー100の内部にパージガスを噴射する(2次パージ)。このとき、2次パージによりソースガスとリアクタントガスとの反応による副産物などがチャンバー100の外部に排出されてもよい。
【0089】
上述したような「ソースガス及びドープガスの噴射、パージガスの噴射(1次パージ)、リアクタントガスの噴射、パージガスの噴射(2次パージ)」の順に行われる工程サイクルは、複数回繰り返し行われてもよい。そして、目標とする膜厚に応じて、工程サイクルを行うべき回数を決定してもよい。
【0090】
目標の膜厚のSiC薄膜10が形成されれば、
図2に示すように、SiC薄膜10とベースBとを分離する。このとき、例えば、研磨方法によりベースBを取り除いてSiC薄膜10を分離してもよい。いうまでもなく、研磨方法に何ら限定されるものではなく、ベースBを取り除いたり、ベースBからSiC薄膜10を分離したりすることができる限り、いかなる方法が用いられても構わない。
【0091】
このように、ベースBからSiC薄膜10が分離されれば、半導体素子の基板として使用可能な基板S、すなわち、SiC基板Sが設けられる。そして、このような方法により製造されたSiC基板Sは、半導体素子、例えば、電界効果トランジスターの製造のための基板として使用可能である。
【0092】
このように、実施形態に係るSiC基板Sの製造方法によれば、原子層蒸着法によりベースの上にSiC薄膜10を蒸着する。このため、従来に比べて低温下でSiC薄膜10を蒸着することができる。したがって、SiC基板Sを製造するのに、又はSiC薄膜10を蒸着するのに要される電力を削減することができるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の実施形態によれば、低温下でSiC薄膜を蒸着してSiC基板を設けることができる。このため、SiC薄膜の形成のためにベースを昇温させる電力又は時間を削減することができる。
【国際調査報告】