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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】抗体の最適化
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/00 20060101AFI20240820BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240820BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240820BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240820BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240820BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240820BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 M
A61K47/68
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506925
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022074581
(87)【国際公開番号】W WO2023015280
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】63/229,772
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/276,145
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ボウズ,ブライアン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ストケル,デイビッド ジョン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG26
4B064CA19
4B064CC24
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C085AA14
4C085BB36
4C085BB42
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA75
4H045DA83
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、抗体又は抗体薬物コンジュゲートの開発可能性を改善するための治療用抗体を開発、設計、及び産生する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CH1、CH2、及びCH3ドメインを含むヒトIgG重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、抗体であって、前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギンを含む、抗体。
【請求項2】
CH1、CH2、及びCH3ドメインを含むヒトIgG重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含み、前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、ヒトIgG2抗体、ヒトIgG3抗体、又はヒトIgG4抗体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、ヒトIgG4抗体である、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
配列番号8、9、10、12、13、又は16のうちのいずれか1つを含むヒトIgG重鎖定常領域を含む、抗体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項9】
前記抗体又は抗体薬物コンジュゲートが、野生型ヒトIgG重鎖定常領域を含む野生型抗体と比較して、低減された粘度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体又は請求項8に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項10】
前記粘度が、前記野生型抗体と比較した場合、約25パーセント~約80パーセント低減される、請求項9に記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲート。
【請求項11】
ヒトIgG4抗体の粘度を低減させる方法であって、CH1、CH2、及びCH3ドメインを含む改変されたヒトIgG4重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、前記ヒトIgG4抗体のバリアントを生成することを含み、前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギンを含む、方法。
【請求項12】
前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記バリアントヒトIgG4抗体を含む抗体薬物コンジュゲートを生成することを更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体が、野生型ヒトIgG4抗体と比較して、低減された粘度を有する、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記粘度が、前記野生型ヒトIgG4抗体と比較した場合、約25パーセント~約80パーセント低減される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体の重鎖又は軽鎖をコードする配列を含む、核酸。
【請求項19】
請求項18に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項20】
請求項19に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項21】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項20に記載の細胞。
【請求項22】
抗体を産生するプロセスであって、前記抗体が発現されるような条件下で、請求項21に記載の細胞を培養することと、前記発現された抗体を培養培地から回収することと、を含む、プロセス。
【請求項23】
請求項22に記載のプロセスによって産生される、抗体。
【請求項24】
請求項1~10又は23のいずれか一項に記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項25】
請求項1~10又は23のいずれか一項に記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲートをそれを必要とする対象に投与する方法であって、前記抗体が、前記対象に皮下投与される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の分野に属する。より具体的には、本発明は、治療用抗体及びそのコンジュゲートを開発、設計、及び産生する方法を提供する。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、抗体又は抗体薬物コンジュゲートの開発可能性の改善、例えば、粘度及び/又は凝集の低減を提供する。
【背景技術】
【0002】
治療用抗体は、多数の疾患を治療するために開発されてきた。治療用抗体の開発において直面する一般的な課題としては、例えば、高粘度、凝集、低溶解度、半減期の延長、及び免疫原性が挙げられる。これらの課題のうちのいくつかは、治療用抗体の安定性に影響を与える可能性があり、送達のために製剤化する場合に更に深刻になる可能性がある。治療用抗体は一般に静脈内(intravenous、IV)注入を介して投与されるが、皮下投与は、より効果的な薬物動態プロファイル、頻繁な長期投薬を必要とする慢性疾患にとって重要である自己投与の選択肢など、IVを上回るいくつかの利点を提供する。更に、皮下投与は、すぐに使用できる充填済み送達デバイスを可能にし、より大きな患者の快適さ、治療時間の短縮、コンプライアンスの潜在的な改善、治療転帰、及びコストの低減を提供する。
【0003】
しかしながら、皮下投与に好適な治療用抗体製剤の開発は、複数の課題があり、特に、皮下投与に利用可能な限られた体積は、高度に濃縮された抗体溶液を必要とする。高度に濃縮された抗体溶液は、粘度の増加及び/又は凝集をもたらし得る。高粘度は、注射時間及び注射部位での痛みを増加させ、患者のコンプライアンスに影響を与える可能性があり、また、バイオプロセス中に原薬を不安定化し、薬物動態プロファイル、生物活性、製造コストの増加、及び薬物の開発の前進の潜在的な妨げに影響を与える可能性がある。同様に、高濃度溶液への傾向によりタンパク質間相互作用の可能性が高くなり、それによって凝集が促進されるため、凝集は大きな問題である。
【0004】
抗体治療薬の粘度を低減させるアプローチが研究されている。そのような方法には、pHの調整、緩衝剤条件、イオン強度、又は他の賦形剤の添加などの製剤条件の改変が含まれる。しかしながら、これらの方法は、より広範な抗体治療薬についての粘度の問題への対処において限定されることが証明されている。例えば、いくつかの例では、製剤条件を改変することは、製造、衝撃安定性、凝集、免疫原性、及び/又は薬物動態プロファイルにおいて余分なプロセス工程を必要とする場合があり、これらの全ては、コストがかかり、抗体治療薬の開発を妥協する可能性がある。更に、粘度を低減させるためにIgG1の可変領域におけるアミノ酸配列を最適化する試みが報告された(Tomar at al.,Mabs 2016,8(2):216-228)。しかしながら、そのような方法は、最適化される特定の抗体可変領域に限定される。したがって、高濃度で治療用抗体の粘度を低減させる更なる方法であって、その方法が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体などの広範な抗体治療薬にわたって適用可能であり、目的の特定の治療薬に限定されず、そのような方法が、親和性、安定性、凝集、免疫原性、又は生物学的機能に負の影響を及ぼさず、コストのかかるプロセス又は製剤の変更を必要としない、方法が依然として必要とされている。
【0005】
時間延長のために抗体のFc部分にペプチドを融合するなど、ペプチド及び小タンパク質の半減期を改善するためのアプローチが研究されている。いくつかの例では、そのような方法は、ヒンジ、CH2、及びCH3ドメインから構成される抗体FcのN又はC末端上でのより小さなタンパク質又はペプチドの発現を含む。この種類の融合は、例えば、腎クリアランスを減少させることによって半減期を改善することができる。しかしながら、そのような融合は、融合タンパク質の粘度の増加又はpH安定性の減少をもたらす可能性があり、これは、大幅な製剤最適化又はペプチド若しくはタンパク質配列の更なる操作を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本開示は、高濃度での抗体又は抗体薬物コンジュゲートの粘度を低減させ、かつ/又は半減期を改善することなどによって、抗体治療薬の開発可能性を改善するための代替組成物及び方法を提供することによって、上記の必要性のうちの1つ以上に対処する。具体的には、本開示は、抗体の定常領域を改変することを含む組成物及び方法を提供し、その方法は、抗体親和性、凝集、及び/若しくは安定性、又はエフェクター機能などの生物学的機能に負の影響を及ぼさないか、又は製剤及び下流の製造プロセスにおいてコストのかかる変更を必要としない。より具体的には、本開示は、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体治療薬などの抗体治療薬の幅広いプラットフォームにわたって適用可能であり得る、抗体のIgG重鎖定常ドメインにおけるアミノ酸置換を含む組成物及び方法を提供する。
【0007】
したがって、特定の実施形態では、本開示は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域と比較して、以下のアミノ酸置換:E137G、D203N、Q274K、Q355R、E419Q(全ての位置は、EU番号付けに従って番号付けされる)のうちの1つ以上を含む改変されたヒトIgG重鎖(heavy chain、HC)定常領域を有する抗体を提供する。したがって、特定の実施形態では、本開示は、定常重鎖1(constant heavy chain 1、CH1)ドメイン、定常重鎖2(constant heavy chain 2、CH2)ドメイン、及び定常重鎖3(constant heavy chain 3、CH3)ドメインを含むヒトIgG HC定常領域と、ヒトIgG軽鎖(light chain、LC)定常領域と、を含む、抗体であって、ヒトIgG HC定常領域が、CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;又はCH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギンを含む、抗体を提供する。
【0008】
特定の実施形態では、本開示は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域と比較して、以下のアミノ酸置換:E137G、D203N、Q274K、Q355R、E419Q、R409K(全ての位置は、EU番号付けに従って番号付けされる)のうちの2つ以上を含む改変されたヒトIgG重鎖(HC)定常領域を有する抗体を提供する。したがって、特定の実施形態では、本開示は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域と比較して、以下のアミノ酸置換:E137G、D203N、Q274K、Q355R、E419Q、R409K(全ての位置は、EU番号付けに従って番号付けされる)のうちの3つ以上を含む改変されたヒトIgG重鎖(HC)定常領域を有する抗体を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、CH1、CH2、及びCH3ドメインを含むヒトIgG HC定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、抗体であって、ヒトIgG HC定常領域が、CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;又はCH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、抗体を提供する。
【0010】
更なる実施形態によれば、本開示は、CH1、CH2、及びCH3ドメインを含むヒトIgG HC定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、抗体であって、ヒトIgG重鎖定常領域が、CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、抗体を提供する。
【0011】
更なる実施形態では、本開示の抗体は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)及び軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)を含み、VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトIgG2、ヒトIgG3、又はヒトIgG4アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、ヒトIgG4アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体は、インビボでIgG4 Fabアーム交換を低減させる、S228P変異(EU番号付け)を含む改変されたヒトIgG4ヒンジ領域を含む(Labrijn,et al.,Nat.Biotechnol.2009,27(8):767を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体は、Fcエフェクター機能が低減又は排除された改変されたIgG4 Fc領域を有する(すなわち、IgG4 Fcエフェクターヌル(effector null))。そのような抗体は、例えば、FcγRへの結合を低減するために、IgG4 Fc領域にアミノ酸残基改変F234A及び/又はL235Aを含む(全ての残基は、EU番号付けに従って番号付けされる)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体は、残基228にプロリンを含むIgG4ヒンジ領域と、残基234及び235にアラニンを含むIgG4 Fc領域と、を含む(全ての残基は、EU番号付けに従って番号付けされる)。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、配列番号8、9、10、12、13、又は16のうちのいずれか1つを含むヒトIgG重鎖定常領域を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、本開示はまた、本明細書に開示される抗体を含む抗体薬物コンジュゲートを提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、抗体の粘度を低減させ、かつ/又は安定性を改善する改変されたヒトIgG HC定常領域を有する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体又は抗体薬物コンジュゲートは、野生型ヒトIgG重鎖定常領域を含む野生型抗体と比較した場合、低減された粘度を有する。本開示の更なる実施形態では、抗体又は抗体薬物コンジュゲートの粘度は、野生型抗体と比較した場合、約25パーセント~約80パーセント低減される。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、野生型ヒトIgG4 HC定常領域と比較して、以下のアミノ酸置換:E137G、D203N、Q274K、Q355R、E419Q(全ての位置は、EU番号付けに従って番号付けされる)のうちの1つ以上を含む改変されたヒトIgG4 HC定常領域を有する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、野生型ヒトIgG4 HC定常領域と比較して、以下のアミノ酸置換:Q274K、Q355R、E419Qのうちの1つ以上を含む改変されたヒトIgG4 HC定常領域を有する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体又は抗体薬物コンジュゲートは、抗体の粘度を約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約80%、約85%、約90%、又は約100%低減させる改変されたヒトIgG4 HC定常領域を有する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、患者への送達のために治療的に許容される粘度を有する。そのような実施形態では、粘度は、14cP未満、12cP未満、又は10cP未満である。いくつかの実施形態では、抗体は、皮下投与又は静脈内投与によって投与される。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、以下のアミノ酸残基:E137G、D203N、Q274K(全ての位置は、EU番号付けに従って番号付けされる)のうちの1つ以上を含む改変されたヒトIgG2 HC定常領域を有する。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、アミノ酸残基Q274K(EU番号付けに従って番号付けされる)を含む改変されたヒトIgG3 HC定常領域を有する。そのような実施形態では、ヒトIgG2抗体及び又はヒトIgG3抗体は、野生型ヒトIgG2又はヒトIgG3重鎖定常領域を含むそれぞれの野生型抗体と比較した場合、低減された粘度を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトIgG4抗体の粘度を低減させる方法であって、CH1、CH2、及びCH3ドメインを含む改変されたヒトIgG4重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、ヒトIgG4抗体のバリアントを生成することを含み、改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;又はCH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及びCH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギンを含む、方法を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトIgG4抗体の粘度を低減させる方法であって、CH1、CH2、及びCH3ドメインを含む改変されたヒトIgG4重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、ヒトIgG4抗体のバリアントを生成することを含み、改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;又はCH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトIgG4抗体の粘度を低減させる方法であって、CH1、CH2、及びCH3ドメインを含む改変されたヒトIgG4重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、ヒトIgG4抗体のバリアントを生成することを含み、改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及びCH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、方法を提供する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体をコードする核酸配列が提供される。本開示のいくつかの実施形態では、抗体のHC又はLCをコードする核酸が提供される。本開示のいくつかの実施形態では、抗体のVH又はVLをコードする核酸が提供される。本開示のいくつかの実施形態は、抗体HC又はLCをコードする核酸配列を含むベクターを提供する。本開示のいくつかの実施形態は、抗体VH又はVLをコードする核酸配列を含むベクターを提供する。
【0021】
本開示の核酸は、例えば、核酸が発現制御配列に作動可能に連結された後に、宿主細胞において発現され得る。作動可能に連結された核酸の発現が可能な発現制御配列は、当該技術分野において周知である。発現ベクターは、宿主細胞からのポリペプチドの分泌を促進する1つ以上のシグナルペプチドをコードする配列を含み得る。目的の核酸(例えば、抗体の重鎖又は軽鎖をコードする核酸)を含む発現ベクターは、周知の方法、例えば、安定的又は一過性のトランスフェクション、形質転換、形質導入又は感染によって宿主細胞に移植され得る。追加的に、発現ベクターは、所望の核酸配列で形質転換された宿主細胞の検出を助けるために、例えばテトラサイクリン、ネオマイシン、及びジヒドロ葉酸レダクターゼ等の1つ以上の選択マーカーを含み得る。
【0022】
別の態様において、本明細書に記載の核酸、ベクター、又は核酸組成物を含む細胞、例えば宿主細胞が本明細書に提供される。宿主細胞は、本明細書に記載の抗体の全部又は一部分を発現する1つ以上の発現ベクターで安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染された細胞であり得る。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、本開示の抗体のHC及びLCポリペプチドを発現する発現ベクターで、安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染され得る。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、本明細書に記載の抗体のHCポリペプチドを発現する第1のベクター及びLCポリペプチドを発現する第2のベクターで安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染され得る。そのような宿主細胞、例えば、哺乳動物宿主細胞は、本明細書に記載のヒトIL-4Rαに特異的に結合する抗体を発現し得る。抗体を発現することができることが知られている哺乳動物宿主細胞には、CHO細胞、HEK293細胞、COS細胞、及びNS0細胞が含まれる。
【0023】
いくつかの実施形態では、細胞、例えば、宿主細胞は、本明細書で提供される抗体をコードする核酸配列を含む第1のベクター及び第2のベクターを含む。更なる実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。
【0024】
本開示は、上記の宿主細胞、例えば、哺乳動物宿主細胞を、抗体が発現されるような条件下で培養し、発現された抗体を培養培地から回収することによって、本明細書に記載の抗体又はその抗体結合断片を産生するためのプロセスを更に提供する。抗体が分泌された培養培地は、従来の技術によって精製され得る。タンパク質精製の様々な方法が採用され得、そのような方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、Deutscher,Methods in Enzymology 182:83-89(1990)、及びScopes,Protein Purification:Principles and Practice,3rd Edition,Springer,NY(1994)に記載される。
【0025】
本開示は、本明細書に記載のプロセスのうちのいずれかによって産生される抗体又はその抗体結合断片を更に提供する。
【0026】
別の態様では、本明細書に記載の抗体、核酸、又はベクターを含む医薬組成物が本明細書で提供される。そのような医薬組成物はまた、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含み得る。医薬組成物は、当該技術分野で周知の方法によって調製され得る(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd ed.(2012),A.Loyd et al.,Pharmaceutical Press)。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示は、療法における使用のための抗体及び抗体薬物コンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態は、本開示は、医学的状態の治療における使用のための抗体及び抗体薬物コンジュゲートを提供する。いくつかの実施形態では、医学的状態は、がん、心血管疾患、自己免疫疾患、又は神経変性疾患である。
【0028】
更なる実施形態では、本開示は、がん、心血管疾患、自己免疫疾患、又は神経変性疾患の治療のための薬剤の製造における抗体及び抗体薬物コンジュゲートの使用を提供する。
【0029】
更なる実施形態では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示される抗体又は抗体薬物コンジュゲートを投与する方法であって、抗体又は抗体薬物コンジュゲートが、静脈内投与される、方法を提供する。他の実施形態では、本開示は、治療有効量の本明細書に開示される抗体又は抗体薬物コンジュゲートを投与する方法であって、抗体又は抗体薬物コンジュゲートが、皮下投与される、方法を提供する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体の実施形態には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重特異性若しくは多重特異性抗体、又はコンジュゲート抗体が含まれる。抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA)、及び任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)であってもよい。
【0031】
本明細書で互換的に使用される「抗体コンジュゲート」又は「コンジュゲートされた抗体」又は「抗体薬物コンジュゲート」という用語は、抗体又はその断片の複合体を指し、断片は、抗体の抗原結合断片又はその抗体の定常ドメイン断片、及び非抗体分子を含み得る。一実施形態では、抗体及び非抗体分子は、リンカーによって接続される。
【0032】
「非抗体分子」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫グロブリン分子ではない分子を指す。一実施形態では、非抗体分子は、2つ以上のアミノ酸残基を含むペプチドである。更なる実施形態では、非抗体分子は、小分子薬物である。更なる実施形態では、非抗体分子は、オリゴヌクレオチドである。
【0033】
更なる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNAオリゴヌクレオチドである。更なる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNAiオリゴヌクレオチドである。更なる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、二本鎖オリゴヌクレオチドである。更なる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、化学的に改変される。
【0034】
例示的な抗体は、4つのポリペプチド鎖:鎖間ジスルフィド結合を介して架橋される2つの重鎖(HC)及び2つの軽鎖(LC)から構成された免疫グロブリンG(immunoglobulin G、IgG)型抗体である。4つのポリペプチド鎖の各々のアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する約100~125個以上のアミノ酸の可変領域を含む。4つのポリペプチド鎖の各々のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を含有する。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域から構成される。定常領域とは、抗体重鎖のFc領域及びCH1ドメインを含む、抗体の領域を指す。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。IgGアイソタイプは、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)に更に分割され得る。定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、KabatにおけるようなEUインデックスに基づく。Kabat et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th edition,Bethesda,MD:U.S.Dept.of Health and Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health(1991)。EUインデックス番号付け又はEU番号付けという用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0035】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(framework regions、FR)と呼ばれる、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変領域に更に細分され得る。CDRはタンパク質の表面上に露出しており、抗原結合特異性のための抗体の重要な領域である。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成されており、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される。本明細書では、重鎖の3つのCDRを「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と称し、軽鎖の3つのCDRを「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と称する。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基の大部分を含有する。アミノ酸残基のCDRへの割り当ては、Kabat(Kabat et al.,「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、Chothia(Chothia et al.,「Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,196,901-917(1987)、Al-Lazikani et al.,「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997))、North(North et al.,「A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations」,Journal of Molecular Biology,406,228-256(2011))、又はIMGT(the international ImMunoGeneTics database、www.imgt.orgで利用可能、Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.1999;27:209-212を参照されたい)に記載のものを含む周知のスキームに従って実行され得る。North CDR定義は、本明細書に記載のヒトIL-4Rαに特異的に結合する抗体について使用される。
【0036】
本開示の実施形態にはまた、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv、scFab、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fd断片などの抗体断片又は抗原結合断片が含まれ、これは、例えば、Fc領域又はIgG重鎖定常領域に融合され得る。
【0037】
本明細書で使用される「Fc領域」という用語は、抗体重鎖のCH2及びCH3ドメインを含む抗体の領域を指す。任意選択で、Fc領域は、抗体重鎖のヒンジ領域の一部分又はヒンジ領域全体を含み得る。エフェクター機能などの生物活性は、抗体のアイソタイプによって異なるFc領域に起因する。抗体エフェクター機能の例としては、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(antibody-dependent cell mediated cytotoxicity、ADCC)、抗体依存性細胞介在性食作用(antibody-dependent cell mediated phagocytosis、ADCP)、C1q結合、補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity、CDC)、食作用、細胞表面受容体の下方制御(例えば、B細胞受容体)、及びB細胞活性化が挙げられる。
【0038】
本明細書で言及される「野生型」抗体は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体の天然Fcを含む天然重鎖定常領域と、天然軽鎖定常領域と、を含む、抗体である。
【0039】
本明細書で使用される「結合する」という用語は、別段の定めがない限り、化学結合又は別のタンパク質若しくは分子との引力相互作用を形成するタンパク質又は分子の能力を意味することを意図しており、当該分野において既知である一般的な方法によって決定されるように、2つのタンパク質又は分子の近接をもたらす。
【0040】
本明細書で互換的に使用される「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、天然ヌクレオチド、改変されたヌクレオチド、及び/又はヌクレオチドの類似体を組み込んだ、DNA、cDNA、及びRNA分子などの一本鎖及び/又は二本鎖ヌクレオチド含有分子を含むヌクレオチドのポリマーを指す。本開示のポリヌクレオチドはまた、例えば、DNA若しくはRNAポリメラーゼ又は合成反応によってその中に組み込まれた基質を含んでもよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、限定されるものではないが、ヒト、チンパンジー、類人猿、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモットなどを含む哺乳動物を指す。好ましくは、対象はヒトである。
【0042】
本明細書で使用される「阻害する」という用語は、例えば、生物学的応答又は活性の低減、低下、減速、減少、停止、破壊、抑止、拮抗、又は遮断を指すが、必ずしも生物学的応答の完全な排除を示すわけではない。
【0043】
本明細書で使用される「治療」又は「治療すること」という用語は、本明細書に開示される障害若しくは疾患の進行の減速、制御、遅延、若しくは停止、又は障害、若しくは疾患の症状の改善であり得る全てのプロセスを指すが、必ずしも全ての障害又は疾患の症状の完全な排除を示すわけではない。治療は、患者、特に、ヒトにおける疾患又は状態の治療のためのタンパク質又は核酸又はベクター又は組成物の投与を含む。
【0044】
本明細書で使用される「約」という用語は、5%以内を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、本開示の文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)使用される「a」、「an」、「the」という用語及び同様の用語は、本明細書で別段の定めがない限り、又は文脈によって明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1-1】ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4重鎖CH1-CH2-CH3ドメインについてのアミノ酸配列アラインメントを示し、GNKRQアミノ酸残基を強調している。
図1-2】ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4重鎖CH1-CH2-CH3ドメインについてのアミノ酸配列アラインメントを示し、GNKRQアミノ酸残基を強調している。
図2】HC CH1及びCH2ドメインにおいてKRQアミノ酸置換を有する及び有さないヒトIgG4P抗体バリアントの示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)サーモグラムを比較する。
図3】IgG4P抗体の重鎖CH1及びCH2ドメインにおけるKRQアミノ酸置換が、KRQアミノ酸置換を欠くIgG4P抗体に対して、C1q Elisa結合親和性に影響を及ぼさないことを示す。
図4】IgG4P抗体の重鎖CH1及びCH2ドメインにおけるKRQアミノ酸置換が、KRQアミノ酸置換を欠くIgG4P抗体に対して、ADCC活性に影響を及ぼさないことを示す
図5】IgG4P抗体の重鎖CH1及びCH2ドメインにおけるKRQアミノ酸置換が、KRQアミノ酸置換を欠くIgG4P抗体に対して、CDC活性に影響を及ぼさないことを示す。
図6A】IgG4P抗体の重鎖CH1及びCH2ドメインにおけるKRQアミノ酸置換が、KRQアミノ酸置換を欠くIgG4P抗体に対して、B細胞(6A)又は単球細胞(6B)における細胞結合に影響を及ぼさないことを示す。
図6B】IgG4P抗体の重鎖CH1及びCH2ドメインにおけるKRQアミノ酸置換が、KRQアミノ酸置換を欠くIgG4P抗体に対して、B細胞(6A)又は単球細胞(6B)における細胞結合に影響を及ぼさないことを示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0047】
実施例1:抗体の生成及び操作
抗体の操作、発現、及び精製:例示された抗体分子1、2、3、4、5、6、及び7を重鎖(HC)定常ドメインにおいて操作して、FabとFcとの間の潜在的な静電相互作用を軽減するための電荷平衡化を介して粘度を改善した。ヒトIgG4抗体のHC CH1、CH2、及びCH3ドメインは、ヒトIgG1のHC定常ドメインと比較した場合、不均一な電荷分布に起因して、より低い等電点(pI)を有する(表1)。IgG4のCH1、CH2、及びCH3ドメインにおける5つのアミノ酸残基が、電荷平衡に影響を与えることが特定された:1)E137(CH1ドメイン)、2)D203(CH1ドメイン)、3)Q274(CH2ドメイン)、4)Q355(CH3ドメイン)、及び5)E419(CH3ドメイン)。ヒトIgG1 HC定常領域とのヒトIgG4 HC定常領域のアラインメント(図1)は、これらのアミノ酸残基の類似位置が、ヒトIgG1 HC定常領域において異なることを示し、各ドメインの全体的なpIに影響を及ぼすことが見出された。ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4 HC定常領域のアラインメント(図1)もまた、GNKRQアミノ酸の類似位置がある特定の位置で異なることを示した。
【0048】
IgG4抗体のCH2及びCH3ドメインの両方のpIをIgG1抗体に一致させるため、及び免疫原性ペプチドの潜在的な導入を最小化するために、IgG4 Fcにおける5つの特定された位置のうちの3つでの残基を、IgG1野生型Fcにおいて見出された対応する残基に変換した。アミノ酸残基置換には、274位の中性荷電のグルタミンに対して置換された正荷電のリジン(Q274K)、355位の中性荷電のグルタミンに対して置換された正荷電のアルギニン(Q355R)、及び419位の負荷電のグルタミン酸に対して置換された中性荷電のグルタミン(E419Q)が含まれた。得られたIgG4 Fcを「KRQ」と称した。IgG4のCH1ドメインのpIをIgG1のpIに一致させるために、137位及び203位の残基を、IgG1野生型CH1ドメインに見出される対応する残基に変換した。アミノ酸置換には、137位の負荷電のグルタミン酸に対して置換された中性荷電のグリシン(E137G)、及び204位の負荷電のアスパラギン酸に対して置換された極性のアスパラギン(D203N)が含まれた。5つのアミノ酸置換全てを有する得られたIgG4 Fcを、「GNKRQ」と称した。
【0049】
更に、「RQ」と称されるCH3ドメインのみに焦点を当てたQ355R及びE419Qアミノ酸置換を含む二重変異体、並びにCH2ドメインに焦点を当てたQ274Kアミノ酸置換を含む単一変異体も評価した。
【0050】
分子1~6のバリアントを生成するために、IgG4 Fcの2つのバージョンを利用した:1)ヒンジを安定化し、アーム交換を防止するS228Pアミノ酸残基置換を有するIgG4 Fcは、「IgG4P」と称され、又は2)「IgG4PAA」と称された、エフェクター機能を最小化することが知られているF234A及びL235Aアミノ酸置換と組み合わせてS228Pアミノ酸残基置換を有するIgG4 Fc。分子1~6の各々の可変ドメインを、IgG4PAA Fc、IgG4PAA KRQ Fc、IgG4PAA GNKRQ Fc、及び野生型IgG1 Fcにクローニングして、6つの分子の各々について、それぞれの抗体バリアントを生成した。分子7については、可変ドメインを、IgG4P Fc、IgG4P KRQ Fc、及びIgG4PAA KRQ Fcにクローニングした。分子7のバリアントはまた、抗体薬物コンジュゲート(antibody drug conjugate、ADC)の生成において小分子のための結合点として使用された、重鎖の124位及び378位の操作されたシステイン(本明細書において「eCys」と称される)を含んだ。分子1~7の各々について、ヒトIgG4及びIgG1の野生型CH1ドメインを、それぞれ、野生型及びKRQバリアントにおいて使用し、一方、軽鎖可変ドメインを、全ての分子についてヒトカッパ定常領域上にクローニングし、一致ペアを一緒に発現させて、粘度及び生物物理学的評価のために必要な無傷の抗体を生成した(図1-IgG4P GNKRQ eCysを参照されたい)。
【0051】
分子1~7の抗体バリアントは、当該技術分野で周知の方法によって合成、発現、及び精製され、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(Chinese hamster ovarian cells、CHO)などの適切な宿主細胞は、2つのベクターが使用された場合、所定のHC:LCベクター比、又は重鎖及び軽鎖の両方をコードする単一ベクター系を使用する、抗体を分泌するための発現系で、一過性又は安定的のいずれかでトランスフェクションされた。抗体が分泌された清澄培地を、一般的に既知の技術を用いて精製した。分子1~7の抗体バリアントについてのHC定常ドメイン及びヒンジ配列を表2に示す。アミノ酸置換を有する及び有さない各重鎖ドメインについての理論的pI(pIは、分子の正味電荷が中性であるpHである)を、当該技術分野で周知のソフトウェア分析方法を使用して計算及び比較した(多くの場合、翻訳後クリッピングを受けるC末端リジンなしで、全て計算された)。
【0052】
表1に示される結果は、hIgG4抗体バリアントの個々の重鎖CH1、CH2、及びCH3ドメインの理論的pIが、野生型IgG4と比較した場合、IgG4 HC定常領域に導入されたアミノ酸置換の結果として、それぞれのIgG1ドメインのpIと同様の値まで増加したことを示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
実施例2:例示された抗体バリアントの生物物理学的特性
分子1~7についての例示された抗体バリアントの生物物理学的特性を評価した。
【0056】
固有粘度:例示された分子1~6の抗体バリアントを、5mMのヒスチジン、280mMのマンニトール、pH6緩衝液(H6M)中で130mg/mLに濃縮し、分子7のバリアントを、125mg/mLに濃縮した。タンパク質濃度を調製し、可変経路長SoloVPE装置(CTech)を使用してそのまま定量した。各抗体の固有粘度を、9回の反復測定の平均を使用して、15℃でVROC(登録商標)イニシウム(initium)(RheoSense)を使用して測定した。最小の35μLを、27μLの試料引き抜きで使用し、システムを自動試験モードに設定して、これをB05チップ上に注射し、流量を調節してフルスケールの50%の圧力読み取り値を達成した。
【0057】
表3に示される結果は、分子1、3、4、及び6についてのIgG4PAA KRQ抗体バリアントが、KRQアミノ酸置換を欠くそれぞれのIgG4PAAバリアントと比較した場合、約74%~約30%の範囲の粘度の有意な低減を有したことを示す。更に、驚くべきことに、6つのIgG4PAA KRQ抗体バリアントのうちの5つ(分子2、3、4、5、6について)は、それぞれのIgG1バリアントと比較した場合、粘度の低減を示した。特に、分子2、3、及び4についてのIgG4PAA KRQバリアントは、それぞれのIgG1バリアントと比較した場合、約82%~約48%の範囲の粘度の低減を示した。KRQアミノ酸置換を欠くそれぞれのIgG4PAAバリアントと比較した場合、CH1ドメインにおけるE137G及びD204N変異の付加を有する、分子1、3、4及び6についての粘度の更なる改善が観察された。IgG4PAAに対する初期粘度が置換前に低かった分子2及び5については、KRQ置換と比較した場合、CH1置換の付加による利益は観察されなかった。しかしながら、驚くべきことに、6つのIgG4PAA GNKRQ抗体バリアントのうち5つ(分子1、2、3、4、6)は、それぞれのIgG1バリアントと比較した場合、粘度の低減を示した。特に、分子3、4及び6についてのIgG4PAA KRQバリアントは、それぞれのIgG1バリアントと比較した場合、約83%~約55%の範囲の粘度の低減を示した。
【0058】
更に、表4に示される結果は、分子7のIgG4P GNKRQ eCys(9.6cP)、IgG4P KRQ eCys(11.6cP)、IgG4P RQ eCys(14.9cP)、及びIgG4P K eCys(21.0cP)抗体バリアントが、GNKRQアミノ酸置換のうちのいずれかを欠く分子7のIgG4P eCys(43cP)バリアントと比較した場合、それぞれ約78%~約51%の粘度の低減を有し、したがって、変異の組み合わせの相加効果を示していることを示した。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】

cP=センチポアズ
【0061】
抗体薬物コンジュゲートフォーマットでの分子7の抗体バリアントの固有粘度:分子7の抗体バリアントIgG4P KRQ eCys、IgG4P GNKRQ及びIgG4P eCysの固有粘度を、抗体薬物コンジュゲートフォーマットで試験した。簡単に述べると、分子7のIgG4P eCys、IgG4P KRQ eCys、及びIgG4P GNKRQ抗体バリアントの重鎖における124位及び378位の操作されたシステインを使用して、短いリンカーを有する親油性小分子を使用した抗体薬物コンジュゲートを生成した。コンジュゲーションは、還元剤ジチオスレイトールの存在下での短い還元、続く、還元剤を除去するための脱塩工程、及びデヒドロアスコルビン酸の存在下での短い酸化工程によって行った。還元工程及びその後の脱塩工程は、細胞培養発現中に起こる、重鎖の124位及び378位の操作されたシステイン上の任意のシステイニル化を除去した。酸化工程は、ヒンジにおける2つのジスルフィド対及び重鎖と軽鎖との間の1つのジスルフィド対を含む天然のジスルフィド結合を再形成した。次いで、操作されたシステイン残基の遊離チオールと反応するマレイミドベースの化学を使用して、小分子を抗体にコンジュゲートした。本質的に上記のとおり、粘度を測定した。
【0062】
表5に示される結果は、分子7のIgG4P KRQ eCys ADC(12.2cP)及び分子7のIgG4P GNKRQ eCys ADC(10.2cP)が、GNKRQアミノ酸残基置換を欠く分子7のIgG4P eCys ADC(592cP)と比較した場合、それぞれ48倍及び58倍の粘度低減を有したことを示し、したがって、変異の組み合わせの相加効果を示している。
【0063】
【表5】

cP=センチポアズ
【0064】
熱安定性:示差走査熱量測定(DSC)を使用して、例示された分子1~7のバリアントの熱変性に対する安定性を評価した。DSCは、Malvern MircoCal VP-DSC装置を使用して実行した。試料を、20℃から110℃まで60℃/時間の一定速度で加熱した。分析方法を、MicroCal VP-Capillary DSC自動分析プログラムを使用して実施した。ベースライン補正が実施され、Tonset及びTM1が決定された。CH2、CH3、及びFabを含む3つのドメインのアンフォールディングの転移温度は、IgG4P eCys又はIgG4P KRQ eCysのいずれについても十分に解消されなかったが、分子7のIgG4P eCys及びIgG4P KRQ eCys抗体バリアントの熱融解温度をPBS、pH7.2緩衝液中で測定した。
【0065】
表6及び図2に示される結果は、アミノ酸残基KRQを抗体のIgG4定常ドメインのCH2及びCH3に導入することが、得られる抗体の熱安定性に負の影響を及ぼさなかったことを示す。
【0066】
熱凝集の開始(thermal aggregation、Tagg):高感度キャピラリーを備えたPrometheus Panta(Nano Temper Technologies)を使用して、固有蛍光(Intrinsic fluorescence、IF)及び光散乱測定を実施した。試料を、PBS、pH7.2緩衝液中に0.5mg/mLで調製し、凝集の開始(Tagg)を、1℃/分の一定速度で20~95℃の温度勾配を使用して決定した。PR Panta Analysis(X64)ソフトウェア(V1.0.2)を使用して、凝集の開始を、ベースラインから0.5%増加の閾値を用いて、385nmでの後方反射シグナルに基づく2状態適合を使用して決定した。
【0067】
表6に示される結果は、凝集の開始が分子7のIgG4P KRQ eCysとIgG4P eCys抗体バリアントとの間で同等であったことを示し、したがって、アミノ酸残基KRQを抗体のIgG4定常ドメインのCH2及びCH3に導入することが、得られる抗体の熱安定性に負の影響を及ぼさなかったことを示している。
【0068】
【表6】

全ての値は摂氏度(℃)である
【0069】
温度ストレス時の凝集:例示された分子のバリアントの経時的な溶液安定性を、賦形剤を含む一般的な5mMのヒスチジンpH6.0緩衝液中、約100mg/mLで評価した。濃縮試料を5℃及び35℃で、それぞれ4週間の期間にわたってインキュベートした。インキュベーション後、試料を、サイズ排除クロマトグラフィ(size exclusion chromatography、SEC)で、高分子量種のパーセンテージ(high molecular weight、%HMW)について分析した。
【0070】
表7に示される結果は、KRQアミノ酸残基置換が5℃又は35℃のいずれかで4週間の期間にわたって凝集に有意に影響を及ぼさなかったことを示し、具体的には、結果は、IgG4P KRQ eCys抗体の高濃度溶液の安定性が、IgG4P eCys抗体バリアントと同等であることを示した。
【0071】
凍結/解凍安定性を、-70℃に置かれた大量のバルク原薬の凍結/解凍条件を模倣する、3回繰り返される、緩慢な制御された温度サイクルを使用して評価する。試料を、5mMのヒスチジン、280mMのマンニトール、0.05%のPS80、pH6(H6MT)、及び5mMのヒスチジン、280mMのスクロース、0.05%のPS80、pH6(H6ST)の両方において評価した。インキュベーション後、試料を、分析用サイズ排除クロマトグラフィ(analytical size exclusion chromatography、aSEC)で、高分子量種のパーセンテージの変化(Δ%HMW)について分析した。試料はまた、相分離又は沈殿形成について視覚的に検査された。
【0072】
表7に示される結果は、アミノ酸残基KRQを抗体のIgG4定常ドメインのCH2及びCH3に導入することが、得られる抗体の凍結/解凍安定性に影響を及ぼさないことを示す。具体的には、分子7のIgG4P KRQ eCys抗体バリアントは、H6MTにおいてΔ3.4%HMW及びH6STにおいてΔ0.5%HMWを示し、これは、3回の凍結解凍サイクル後にaSECによって測定された場合に、H6MTにおいてΔ2.5%HMW及びH6STにおいてΔ0.3%HMWを示したIgG4P eCys抗体と同等である。目視観察は、IgG4P KRQ eCys又はIgG4P eCys抗体バリアントのいずれについても、任意の層分離又は沈殿を示さなかった。
【0073】
溶解度:溶解度は、100mgの抗体バリアントを、30kDa分子量カットオフの遠心フィルター(例えば、Amicon U.C.フィルター、Millipore、カタログ番号UFC903024)で約0.5mLの体積に濃縮することによって評価した。Solo VPE分光光度計(C Technologies,Inc)を使用して、280nmでのUV吸光度によって、試料の最終濃度を測定した。インキュベーション後、試料を、分析用サイズ排除クロマトグラフィ(aSEC)で、高分子量(%HMW)種のパーセンテージについて分析した。試料はまた、相分離又は沈殿形成について視覚的に検査された。
【0074】
表7に示される結果は、Δ0.6%HMWを示す分子7のIgG4P KRQ eCys抗体バリアントが、aSECによって測定された場合に、Δ0.4%HMWを示す分子7のIgG4P eCys抗体と同等であることを示す。目視観察は、IgG4P KRQ eCys又はIgG4P eCysのいずれについても、任意の層分離又は沈殿を示さなかった。
【0075】
【表7】
【0076】
生物物理学的分析は、アミノ酸残基KRQをIgG4のCH2及びCH3ドメインに導入することが、KRQアミノ酸置換を欠くIgG4P抗体と比較した場合に、抗体の凝集、溶解度、又は熱安定性に負の影響を及ぼすことなく粘度を有意に低減させたことを示した。
【0077】
実施例3.エフェクター機能活性
インビトロFcγ受容体結合、ADCC、及びCDCアッセイを行って、抗体のFc領域におけるアミノ酸置換がFc機能を変化させたかどうかを評価した。
【0078】
ヒトFcγ受容体結合:分子7のIgG4抗体バリアントのヒトFcγ受容体への結合親和性を、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance、SPR)分析によって評価した。Biacore T100(Cytiva)、Biacore試薬、及びScrubber2 Biacore評価ソフトウェア(Biologics 2008)をSPR分析に使用した。シリーズS CM5チップ(Cytiva P/N BR100530)を、製造業者のEDC/NHSアミンカップリング法(Cytiva P/N BR100050)を使用して調製した。要約すると、EDC/NHSの1:1混合物を10μL/分で7分間注射することによって4つ全てのフローセル(FC)の表面を活性化させた。タンパク質A(Calbiochem P/N 539202)を、pH4.5の10mMの酢酸緩衝液で100μg/mLまで希釈し、10μL/分の流速で7分間の注射によって4つ全てのFC上に約4000RUまで固定化した。未反応部位を、10μL/分で7分間のエタノールアミンの注射によってブロッキングした。pH1.5の2×10μLのグリシン注射を使用して、非共有付随タンパク質を除去した。泳動用緩衝液は1xHBS-EP+(TEKNOVA、P/N H8022)であった。FcγR細胞外ドメイン(ECD)-FcγRI(CD64)、FcγRIIA_131R、及びFcγRIIA_131H(CD32a)、FcγRIIIA_158V、FcγRIIIA_158F(CD16a)、及びFcγRIIb(CD32b)を、安定したCHO細胞発現から産生し、IgGセファロース及びサイズ排除クロマトグラフィを使用して精製した。FcγRI結合のために、抗体を泳動用緩衝液中で2.5μg/mLに希釈し、FC2~4で約150RUの各抗体を捕捉した(RU捕捉)。FC1は参照FCであったため、FC1では抗体が捕捉されなかった。FcγRI ECDを泳動用緩衝液中で200nMまで希釈し、次いで、泳動用緩衝液中で2倍連続希釈して0.78nMにした。各濃度の2連注射は、全てのFCに40μL/分で120秒間注射され、その後1200秒の解離フェーズが続いた。再生を、pH1.5の10mMのグリシン15μLを30μL/分で全てのFCに注射することによって実施した。参照減算データを、FC2 FC1、FC3-FC1、及びFC4-FC1として収集し、測定値を25℃で得た。親和性(KD)を、Scrubber 2 Biacore評価ソフトウェアを用いた定常状態平衡分析又はBIA評価における「1:1(ラングミュア)結合」モデルのいずれかを使用して計算した。FcγRIIa、FcγRIIb、及びFcγRIIIaの結合では、抗体を泳動用緩衝液中で5μg/mLに希釈し、約500RUの各抗体をFC2~4で捕捉した(RU捕捉)。FC1は、ここでも参照FCであった。Fcγ受容体ECDを泳動用緩衝液中で10μMに希釈し、次いで、泳動用緩衝液中で2倍連続希釈して39nMにした。各濃度の二重注射を、全てのFC上に40μL/分で60秒間注射し、120秒の解離相が続いた。再生を、pH1.5の10mMのグリシン15μLを、30μL/分で全てのFCに注射することによって実施した。参照減算データを、FC2-FC1、FC3-FC1、及びFC4-FC1として収集し、測定値を25℃で得た。親和性(KD)を、Scrubber 2 Biacore評価ソフトウェアを用いた定常状態平衡分析を使用して計算した。各受容体を少なくとも2回アッセイした。
【0079】
表8に示される結果は、分子7のIgG4P KRQ eCys及びIgG4P eCys抗体バリアントが、Fcγ受容体の各々に対して同等の結合親和性を有したことを示し、したがって、アミノ酸残基KRQを抗体のIgG4定常ドメインのCH2及びCH3に導入することが、得られる抗体のFc結合活性に影響を及ぼさなかったことを示している。
【0080】
【表8】
【0081】
C1q結合:ヒトC1qに対する分子7のIgG4抗体バリアントの結合を、Elisaによって評価した。96ウェルマイクロプレートを、DPBS(Dulbecco’s HyClone)中で10μg/mL~0.19μg/mLに希釈された、100μL/ウェルの分子7のIgG4 KRQ eCys抗体バリアントでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。コーティング試薬を除去し、プレートを、200μL/ウェルのカゼインブロッキング緩衝液(Thermo)でブロッキングし、室温(room temperature、RT)で2時間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液(0.05%のTween 20を含む1×TBE)で3回洗浄し、カゼインブロッキング試薬中に希釈された10μg/mLのヒトC1q(MS Biomedical)を100μL/ウェルで添加し、RTで3時間インキュベートした。ヒト化IgG1及びヒト化IgG4Pアイソタイプ対照抗体を、それぞれ陽性対照及び陰性対照として使用した。次いで、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄し、100μL/ウェルの1:800倍希釈液のカゼインブロッカー中のヒツジ抗ヒトC1q-HRP(Abcam番号ab46191)を添加し、RTで1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄緩衝液で6回洗浄し、100μL/ウェルのTMB基質(Pierce)を各ウェルに添加し、7分間インキュベートした。100μL/ウェルの1NのHClを添加し、反応を停止させた。光学密度を、比色マイクロプレートリーダーで、450nmで直ちに測定した。データを、SoftMax Pro 7.1データ取得及び分析ソフトウェアを使用して分析した。
【0082】
図3に示される結果は、分子7のIgG4P KRQ eCys抗体バリアントが、IgG4P対照と同等であるC1q結合を有したことを示し、したがって、アミノ酸残基KRQを抗体のIgG4定常ドメインのCH2及びCH3に導入することが、得られる抗体の補体結合に影響を及ぼさなかったことを示している。
【0083】
抗体依存性細胞傷害(ADCC):分子7の抗体バリアントのインビトロADCCアッセイを、レポーター遺伝子ベースのADCCアッセイで評価した。
【0084】
簡単に述べると、Daudi細胞(ATCC、番号CCL-213)及びヒトCD20標的細胞株、並びにエフェクター細胞株として機能的FcγRIIIa(V158)-NFAT-Lucを発現するJurkat細胞(Eli Lilly and Company)を使用した。全ての試験抗体バリアント及び細胞を、0.1mMの非必須アミノ酸(non-essential amino acid、NEAA)、1mMのピルビン酸ナトリウム、2mMのL-グルタミン、500U/mLのペニシリン-ストレプトマイシン、及び0.1%w/vのBSAを含むRPMI-1640(フェノールレッドなし)を含有するアッセイ培地中で希釈した。試験抗体を、まず、3.3μg/mLの3×濃度に希釈し、次いで、1:4の比で7回連続希釈した。50μL/ウェルの各抗体を、白色不透明底96ウェルプレート(Costar、番号3917)に二重で等分した。CD20抗体を陽性対照として使用した。次いで、Daudi標的細胞を50μLアリコート中5×10細胞/ウェルでプレートに添加し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、Jurkat V158細胞を、ウェルに50μLアリコート中150,000細胞/ウェルで添加し、37℃で4時間インキュベートし、続いて、100μL/ウェルのOne-Gloルシフェラーゼ基質(Promega、番号E8130)を添加した。プレートシェーカーを低速で用いてプレートの内容物を混合し、室温で5分間インキュベートし、0.2cpsの積分を用いてBioTekマイクロプレートリーダー(BioTek Instruments)で発光シグナルを読み取った。GraphPad Prism 9を使用してデータを分析し、各抗体濃度についての相対発光単位(relative luminescence unit、RLU)を、抗体濃度対RLUの散乱フォーマットでプロットした。結果は、2つの独立した実験を表すものであった。
【0085】
図4に示される結果は、分子7の抗体バリアントIgG4P eCys及びIgG4P KRQ eCysが、レポーター遺伝子ベースのADCCアッセイにおいて同等のADCC活性を有したことを示し(すなわち、ADCC活性を誘導しなかった)、したがって、アミノ酸残基KRQをIgG4定常ドメインのCH2及びCH3に導入することが、得られる抗体のエフェクター機能活性に影響を及ぼさなかったことを示している。陽性対照CD20抗体は、強力なADCC活性を示した。
【0086】
補体依存性細胞傷害(CDC):分子7のIgG4抗体バリアントのインビトロCDCアッセイを、Daudi細胞(ATCC、番号CCL-213)を使用して行った。全ての試験抗体、補体、及び細胞を、0.1mM非必須アミノ酸(NEAA)、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L-グルタミン、500U/mLのペニシリン-ストレプトマイシン、及び0.1%w/v BSAを含むRPMI-1640(フェノールレッドなし)からなるアッセイ培地で希釈した。試験抗体を、まず、100μg/mLの3×濃度に希釈し、次いで、1:4の比で7回連続希釈した。50μL/ウェルの各抗体を、白色不透明底96ウェルプレート(Costar、番号3917)に二重で等分した。次いで、Daudi標的細胞を、例示された抗体とともに50μLアリコート中50,000細胞/ウェルで添加し、CD20陽性対照抗体を37℃で1時間インキュベートした。次に、37℃の水浴中で迅速に解凍したヒト血清補体(Quidel、#A113)をアッセイ培地中で1:6に希釈し、50μL/ウェルでアッセイプレートに添加した。プレートを37℃で2時間インキュベートし、続いて100μL/ウェルのCellTiter Glo基質(Promega、番号G7571)を各ウェルに添加した。プレートシェーカーを低速で用いてプレートの内容物を混合し、室温で5分間インキュベートし、0.2cpsの積分を用いてBioTekマイクロプレートリーダー(BioTek Instruments)で発光シグナルを読み取った。GraphPad Prism v9を使用してデータを分析し、各抗体濃度についての相対発光単位(RLU)を、抗体濃度対RLUの散乱フォーマットでプロットした。
【0087】
図5に示される結果は、分子7のIgG4P eCys及びIgG4P KRQ eCys抗体バリアントが、Daudi細胞において同等のCDC活性を有したことを示し、したがって、アミノ酸残基KRQを抗体のIgG4定常ドメインのCH2及びCH3に導入することが、得られる抗体のCDC活性に影響を及ぼさなかったことを示している。CDCアッセイの陽性対照CD20抗体は、強力なCDC活性を示した。
【0088】
Fcγ、C1q結合アッセイ、並びに細胞性エフェクター機能ADCC及びCDCアッセイの結果は、KRQアミノ酸残基の抗体バリアントの定常ドメインへの導入が、抗体のFc機能に影響を及ぼさなかったことを示した。
【0089】
実施例4.バリアントの細胞結合
B細胞及び単球細胞への結合:例示された分子7のIgG4P抗体バリアントのB細胞及び単球細胞への結合を、蛍光活性化細胞選別(Fluorescence Activated Cell Sorting、FACS)アッセイにおいて試験した。標準的なFicoll-Paque(商標)plus(GE HEALTHCARE)密度勾配遠心分離法によって、ヒト血液試料からヒトPBMCを単離した。新たに単離された細胞PBMCを、200万細胞/mLで再懸濁し、室温で15分間静置し、次いで、100μL/ウェルで丸底96ウェルプレート(COSTAR(登録商標))に播種し、FACS緩衝液(Corning(登録商標)からの2%ウシ胎児血清を含有するPBS)で洗浄した。製造業者のプロトコル(Thermo Fisher Scientific)に従って、Alexa Fluor(登録商標)647にコンジュゲートされた例示されたIgG4P抗体バリアントを、66.67nMでウェルに添加し、二重で4倍希釈した。次いで、ヒトTruStain FcX(商標)、FITC抗ヒトCD3抗体、Alexa Fluor(登録商標)700抗ヒトCD4抗体(全てBiolegend(登録商標)から)、CD20モノクローナル抗体(2H7)、PerCP-Cyanine5.5(Thermo Fisher Scientific)、及びCD14 PE-Cy(商標)7マウス抗ヒトCD14(BD Biosciences)を含有する等体積の2×抗体カクテルを、ウェルに添加した。細胞を4℃で30分間インキュベートし、次いで、FACS緩衝液で2回洗浄し、100μLの最終体積のFACS緩衝液中に再懸濁した。Viability dye、Sytox(商標)blue(Thermo Fisher Scientific)を添加し、試料をフローサイトメーター(LSRFortessa(商標)X-20;BD BIOSCIENCES)を介して分析した。FlowJoソフトウェアを使用してデータ分析を実施し、GraphPad Prism 9を使用して統計分析を実施する。データは、2人のドナーからのCD20 B細胞及びCD3/CD20陰性、CD14陽性単球細胞集団からの陽性細胞のパーセンテージの平均±SEMを表した。曲線は、個々の細胞集団からのAb陽性発現細胞のlog(Ab濃度)対パーセントのシグモイド曲線を適合させることによって作成された。
【0090】
表9並びに図6A及び図6Bに示される結果は、例示された分子7の抗体バリアントIgG4P KRQ eCys、IgG4P RQ eCys、及びIgG4P eCysが、PBMC単離B細胞(それぞれ、0.20nM、0.18nM、及び0.17nMのEC50)及び単球細胞(それぞれ、1.04nM、0.90nM、及び1.00nMのEC50)に対する同等の親和性で結合したことを示し、したがって、アミノ酸残基KRQ又はRQを抗体のIgG4定常ドメインのCH2及びCH3に導入することが、得られる抗体の可変領域の結合に影響を及ぼさなかったことを示している。
【0091】
【表9】
【0092】
配列表
【0093】
【化1】
【0094】
【化2】
【0095】
【化3】
【0096】
【化4】
【0097】
【化5】
【0098】
【化6】
【0099】
【化7】
【0100】
【化8】
【0101】
【化9】
【0102】
【化10】
【0103】
【化11】
【0104】
【化12】
【0105】
【化13】
【0106】
【化14】
【0107】
【化15】
【0108】
【化16】
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【配列表】
2024530932000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CH1、CH2、及びCH3ドメインを含むヒトIgG重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、抗体であって、前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギンを含む、抗体。
【請求項2】
CH1、CH2、及びCH3ドメインを含むヒトIgG重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含み、前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、ヒトIgG2抗体、ヒトIgG3抗体、又はヒトIgG4抗体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、ヒトIgG4抗体である、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
配列番号8、9、10、12、13、又は16のうちのいずれか1つを含むヒトIgG重鎖定常領域を含む、抗体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体を含む、抗体薬物コンジュゲート。
【請求項9】
前記抗体又は抗体薬物コンジュゲートが、野生型ヒトIgG重鎖定常領域を含む野生型抗体と比較して、低減された粘度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体又は請求項8に記載の抗体薬物コンジュゲート。
【請求項10】
前記粘度が、前記野生型抗体と比較した場合、約25パーセント~約80パーセント低減される、請求項9に記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲート。
【請求項11】
ヒトIgG4抗体の粘度を低減させる方法であって、CH1、CH2、及びCH3ドメインを含む改変されたヒトIgG4重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、前記ヒトIgG4抗体のバリアントを生成することを含み、前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギンを含む、方法。
【請求項12】
前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記バリアントヒトIgG4抗体を含む抗体薬物コンジュゲートを生成することを更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体が、野生型ヒトIgG4抗体と比較して、低減された粘度を有する、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記粘度が、前記野生型ヒトIgG4抗体と比較した場合、約25パーセント~約80パーセント低減される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体の重鎖又は軽鎖をコードする配列を含む、核酸。
【請求項19】
請求項18に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項20】
請求項19に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項21】
前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項20に記載の細胞。
【請求項22】
抗体を産生するプロセスであって、前記抗体が発現されるような条件下で、請求項21に記載の細胞を培養することと、前記発現された抗体を培養培地から回収することと、を含む、プロセス。
【請求項23】
請求項22に記載のプロセスによって産生される、抗体。
【請求項24】
請求項1~10又は23のいずれか一項に記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項25】
請求項1~10又は23のいずれか一項に記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲートを含む、皮下投与のための組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
本明細書で使用される場合、本開示の文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)使用される「a」、「an」、「the」という用語及び同様の用語は、本明細書で別段の定めがない限り、又は文脈によって明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.CH1、CH2、及びCH3ドメインを含むヒトIgG重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、抗体であって、前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギンを含む、抗体。
2.CH1、CH2、及びCH3ドメインを含むヒトIgG重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含み、前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、上記1に記載の抗体。
3.前記ヒトIgG重鎖定常領域が、
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、上記2に記載の抗体。
4.前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記1~3のいずれかに記載の抗体。
5.前記抗体が、ヒトIgG2抗体、ヒトIgG3抗体、又はヒトIgG4抗体である、上記1~4のいずれかに記載の抗体。
6.前記抗体が、ヒトIgG4抗体である、上記5に記載の抗体。
7.配列番号8、9、10、12、13、又は16のうちのいずれか1つを含むヒトIgG重鎖定常領域を含む、抗体。
8.上記1~7のいずれかに記載の抗体を含む、抗体薬物コンジュゲート。
9.前記抗体又は抗体薬物コンジュゲートが、野生型ヒトIgG重鎖定常領域を含む野生型抗体と比較して、低減された粘度を有する、上記1~7のいずれかに記載の抗体又は上記8に記載の抗体薬物コンジュゲート。
10.前記粘度が、前記野生型抗体と比較した場合、約25パーセント~約80パーセント低減される、上記9に記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲート。
11.ヒトIgG4抗体の粘度を低減させる方法であって、CH1、CH2、及びCH3ドメインを含む改変されたヒトIgG4重鎖定常領域と、ヒトIgG軽鎖定常領域と、を含む、前記ヒトIgG4抗体のバリアントを生成することを含み、前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン、前記CH1ドメインのアミノ酸残基137(EU番号付け)にグリシン、及び前記CH1ドメインのアミノ酸残基203(EU番号付け)にアスパラギンを含む、方法。
12.前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン;
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;
前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミン;又は
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、上記11に記載の方法。
13.前記改変されたヒトIgG4重鎖定常領域が、以下のアミノ酸残基:
前記CH2ドメインのアミノ酸残基274(EU番号付け)にリジン、前記CH3ドメインのアミノ酸残基355(EU番号付け)にアルギニン、及び前記CH3ドメインのアミノ酸残基419(EU番号付け)にグルタミンを含む、上記11又は12に記載の方法。
14.前記抗体が、重鎖可変領域(VH)と、軽鎖可変領域(VL)と、を含み、前記VHが、重鎖相補性決定領域HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記VLが、軽鎖相補性決定領域LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、上記11~13のいずれかに記載の方法。
15.前記バリアントヒトIgG4抗体を含む抗体薬物コンジュゲートを生成することを更に含む、上記11~14のいずれかに記載の方法。
16.前記抗体が、野生型ヒトIgG4抗体と比較して、低減された粘度を有する、上記11~15のいずれかに記載の方法。
17.前記粘度が、前記野生型ヒトIgG4抗体と比較した場合、約25パーセント~約80パーセント低減される、上記16に記載の方法。
18.上記1~7のいずれかに記載の抗体の重鎖又は軽鎖をコードする配列を含む、核酸。
19.上記18に記載の核酸を含む、ベクター。
20.上記19に記載のベクターを含む、細胞。
21.前記細胞が、哺乳動物細胞である、上記20に記載の細胞。
22.抗体を産生するプロセスであって、前記抗体が発現されるような条件下で、上記21に記載の細胞を培養することと、前記発現された抗体を培養培地から回収することと、を含む、プロセス。
23.上記22に記載のプロセスによって産生される、抗体。
24.上記1~10又は23のいずれかに記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体と、を含む、医薬組成物。
25.上記1~10又は23のいずれかに記載の抗体又は抗体薬物コンジュゲートをそれを必要とする対象に投与する方法であって、前記抗体が、前記対象に皮下投与される、方法。
【国際調査報告】