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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】充電インレット及び自動車
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/73 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
H01R13/73 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506977
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 CN2022110621
(87)【国際公開番号】W WO2023011643
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110904487.6
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 超
(57)【要約】
本発明は、充電インレット及び自動車を提供し、当該充電インレットは、取付孔が設けられた、車体に固定された車体側固定装置と、一部が前記取付孔に設けられた電流コネクタと、前記電流コネクタに設けられた電気接続装置と、一部が前記電流コネクタに設けられたケーブルと、前記電流コネクタ、一部の前記ケーブル、および、前記電気接続装置を、着脱可能に前記車体側固定装置に固定する着脱機構と、を備えた。本発明によれば、充電インレットにおける電気接続装置が損傷を受けた場合、メンテナンス作業が煩雑となるという技術的課題が解決された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔が設けられ、車体に固定される車体側固定装置と、
一部が前記取付孔に設けられた電流コネクタと、
前記電流コネクタに設けられた電気接続装置と、
一部が前記電流コネクタに設けられたケーブルと、
前記電流コネクタ、一部の前記ケーブル、および前記電気接続装置を、着脱可能に前記車体側固定装置に固定する着脱機構と、
を備えた、充電インレット。
【請求項2】
前記電流コネクタは、接続孔またはU字溝を含み、
前記着脱機構は、前記接続孔またはU字溝を貫通している、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項3】
前記電流コネクタに、取付部が設けられ、
前記車体側固定装置に、取付け孔が設けられ、
前記取付部は、前記取付孔に挿入され、着脱可能に接続された、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項4】
前記着脱機構は、ねじを含み、
前記電気接続装置に、固定部が設けられ、
前記固定部の端面に、ねじ孔が設けられ、
前記ケーブルに、貫通孔が設けられ、
前記ねじが前記貫通孔と、前記接続孔または前記U字溝を貫通して、前記ねじ孔に螺着された、請求項2に記載の充電インレット。
【請求項5】
前記電気接続装置におけるねじ孔の端面は、前記ケーブルの側面に電気的に接続された、請求項4に記載の充電インレット。
【請求項6】
前記固定部の外径は、前記接続孔の内径よりも小さい、請求項4に記載の充電インレット。
【請求項7】
前記ねじが前記ねじ孔に螺着されたトルクの範囲は、0.1N・m~30N・mである、請求項4に記載の充電インレット。
【請求項8】
前記ねじの数は、2個~36個である、請求項4に記載の充電インレット。
【請求項9】
前記電流コネクタに、ケーブル溝が設けられ、
前記ケーブルは、前記ケーブル溝内に穿設されており、
前記ケーブル溝は、前記ケーブルが前記充電インレットの先端から前記充電インレットの後端に向かう方向に沿って移動することを阻止するように構成された、
請求項1に記載の充電インレット。
【請求項10】
前記ケーブル溝に、線出口が設けられ、
前記ケーブルが前記線出口を介して前記ケーブル溝に穿設されている、請求項9に記載の充電インレット。
【請求項11】
前記線出口は、前記電流コネクタの側方方向に向かって設けられた、請求項10に記載の充電インレット。
【請求項12】
前記線出口が向かう方向は、前記電流コネクタの側方方向とは一定の角度をなす、請求項10に記載の充電インレット。
【請求項13】
前記着脱機構は、
前記車体側固定装置に設けられた係止溝と、
前記電流コネクタに設けられた係止片と、を含み、
前記係止片は、前記係止溝に係着されることで、前記電流コネクタを前記車体側固定装置に固定する、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項14】
前記係止溝の溝口は側方に向かい、
前記係止片は、前記電流コネクタに伴って、前記充電インレットの後端から前記充電インレットの先端に向かう方向に沿って、前記係止溝に係着されるまで、移動する、
請求項13に記載の充電インレット。
【請求項15】
前記係止片は、前記電流コネクタの側方に設けられた、請求項14に記載の充電インレット。
【請求項16】
前記着脱機構は、
前記車体側固定装置に設けられたばねおよびフックと、
前記電流コネクタに設けられた凹溝と、を含み、
前記電流コネクタが押されることで、前記凹溝と前記フックとの接続または離脱が可能となり、
前記ばねによって、前記電流コネクタが前記車体側固定装置から離脱される、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項17】
前記取付孔は、前記電気接続装置の端部と係合されるストッパーを含む、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項18】
前記取付孔の内部に、ストップリングが設けられ、
前記ストップリングは、前記電気接続装置が前記充電インレットの後端から前記充電インレットの先端に向かう方向に沿って移動することを阻止するように構成された、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項19】
前記充電インレットは、前記電気接続装置を複数備えた、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項20】
前記充電インレットは、前記着脱機構を複数備え、
前記着脱機構は、それぞれ前記電気接続装置と一対一で対応する、請求項19に記載の充電インレット。
【請求項21】
前記電気接続装置の数は、2個~36個である、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項22】
前記ケーブルの材質は、銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項23】
前記車体側固定装置および前記電流コネクタの材質は、プラスチック材質である、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項24】
前記電流コネクタに、温度センサ及び制御盤が設けられ、
前記温度センサは、データ線によって前記制御盤と電気的に接続された、請求項1に記載の充電インレット。
【請求項25】
前記制御盤は、回路ボードであり、
前記回路ボードに、制御論理回路が内蔵された、請求項24に記載の充電インレット。
【請求項26】
前記温度センサは、NTC温度センサまたはPTC温度センサである、請求項25に記載の充電インレット。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載の充電インレットを備えた自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号202110904487.6、出願日が2021年8月6日であって、発明名称が「充電インレット及び自動車」である中国特許出願の優先権を主張している。
【0002】
本発明は、電気的接続素子の接続の分野に関し、特に、充電インレット及び自動車に関するものである。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー車に向けた新エネルギーバッテリーは、充電システムによってエネルギーの補充が行われる。充電システムにおける充電インレットは、車体に固定された車体側固定装置、ケーブル、および、電気接続装置を含み、車体側固定装置はリアカバーを有し、車体側固定装置は自動車に取り付けられ、電気接続装置はケーブルに接続され、固定クリップにより、電気接続装置を車体側固定装置に固定して、リアカバーを車体側固定装置に固定し、ケーブルがリアカバーを貫通している。
【0004】
挿抜回数が多すぎたり、回路が短絡されたりすることにより、充電インレットにおける一部の電気接続装置は、損傷を受けることがある。電気接続装置をメンテナンス・交換する場合、まず、充電インレットにおけるケーブルの全てを、車体から取外した後、充電インレットのリアカバーを外し、固定クリップを外してから、ケーブルに接続された電気接続装置を取り出す必要がある。
【0005】
電気接続装置が圧着接続又は溶接接続の方式によってケーブルに接続されたことが一般的であるため、損傷を受けた電気接続装置を切り落す必要がある。また、ケーブルの長さは、修理用の余裕がないように設定されたので、ケーブルの交換も必要となる可能性がある。その場合、充電インレットをメンテナンスするには、ケーブル全体の外装やテープを全部剥がす必要があるので、相当な工数がかかり、取り外される必要がある部品の数も多い。そのため、充電インレットを丸ごと交換する場合も数多く、メンテナンスのコストが高い。
【0006】
従って、電気的接続素子の接続の分野において、充電インレットを丸ごと取り外してメンテナンスする必要がなく、一部の構造のみを取外し、且つ、損傷を受けた電気接続装置を交換するだけで済む充電インレットであって、メンテナンスプロセスが簡単で操作が簡単で、かかる工数が少なくて、メンテナンスコストが低い、充電インレットが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、充電インレットにおける電気接続装置が損傷を受けた場合、メンテナンス作業が煩雑となるという技術的課題を解決するために、充電インレット及び自動車を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、以下の技術案によって実現されてもよい。
本発明は、充電インレットであって、
取付孔が設けられ、車体に固定された車体側固定装置と、
一部が前記取付孔に設けられた電流コネクタと、
前記電流コネクタに設けられた電気接続装置と、
一部が前記電流コネクタに設けられたケーブルと、
前記電流コネクタ、一部の前記ケーブル、および前記電気接続装置を、着脱可能に前記車体と固定された装置に固定する着脱機構と、を備えた、充電インレットを提供する。
本発明は、上記充電インレットを備えた自動車を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下のような特徴及び利点を有する。
本発明の充電インレットでは、電気接続装置が損傷を受けた場合、充電インレットのリアカバーを取り外し、電気接続装置及びケーブルを充電インレットから取り外して、電気接続装置を交換した後、再び取り付けるだけで済み、充電インレットを丸ごと取り外す必要がなく、ケーブルを交換することも不要となるため、充電インレットにおける電気接続装置が損傷を受けた場合、メンテナンス作業が煩雑となるという技術的課題が解決された。
【0010】
以下の添付図面は、本発明を概略的に説明や解釈するために用いられ、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にかかる充電インレットの構造模式図である。
図2図1に示した充電インレットの分解図である。
図3図1に示した充電インレットの分解図である。
図4図1に示した充電インレットの分解図である。
図5】本発明にかかる充電インレットにおけるDCコネクタおよびそれと係合されるねじの構造模式図である。
図6】本発明にかかる充電インレットにおける車体側固定装置の構造模式図である。
図7】本発明にかかる充電インレットにおける車体側固定装置の構造模式図である。
図8】本発明にかかる充電インレットにおける車体側固定装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の技術的特徴、目的、および、効果をより明瞭に理解してもらうために、以下は、添付図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を説明する。本発明の記載では、別途で説明する場合を除き、「複数」は、2つまたは2つ以上のことを意味している。
【0013】
実施例一
本発明は、充電インレットを提供し、図1および図3に示されるように、当該充電インレットは、車体に固定された車体側固定装置10と、電流コネクタ30と、電気接続装置22と、ケーブル21と、着脱機構40と、を備え、車体側固定装置10には取付孔11が設けられ、電流コネクタ30の一部が取付孔11に設けられ、電気接続装置22が電流コネクタ30に設けられ、ケーブル21の一部が電流コネクタ30に設けられ、着脱機構40は、電流コネクタ30、一部のケーブル21、および電気接続装置22を、着脱可能に車体側固定装置10に固定する。
【0014】
当該充電インレットでは、電気接続装置22は、充電装置との挿抜がよく行われる位置であり、充電電流を導通するための重要な部品でもある。長期的に亘る使用過程において、挿抜操作が頻繁的に行われるので、電気接続装置22には、変形現象が発生したり、メッキ層が破壊されたりすることがあり、それに加えて、電流が大きすぎると、電気接続装置22はスパークされて溶けてしまうので、電気接続装置22の機能が発揮できなくなる。また、電気接続装置22が外界環境に曝されるため、環境中の水または塩によって腐食されるので、電気接続装置22の電気的性能が要求を満たさなくなる場合もある。そのため、充電インレットの全体からすると、電気接続装置22は、最も損傷を受けやすい部品である。しかし、現在の充電インレットのほとんどは、電気接続装置22が充電インレット本体に固定して取り付けられるとともに、ケーブル21と溶接接続されたため、電気接続装置22が損傷を受けた場合、電気接続装置22、固定された部分及びケーブル21を全部、充電インレットから取り外して交換を行う必要があり、ひどい場合には、充電インレットを丸ごと交換する必要がある。よって、メンテナンス作業が煩雑なものとなり、メンテナンス工事には相当な工数がかかり、メンテナンスコストが高くなり、現時点で、充電自動車の発展を制限する主な問題の一つともなる。
【0015】
本発明にかかる充電インレットは、電気接続装置22が損傷を受けた場合、充電インレットのリアカバーを取り外し、電気接続装置22及びケーブル21を充電インレットから取り外して、電気接続装置22を交換した後、再び取り付けるだけで済み、充電インレットを丸ごと取り外す必要がなく、ケーブル21を交換することも不要となるため、充電インレットにおける電気接続装置22が損傷を受けた場合、メンテナンス作業が煩雑となるという技術的課題が解決された。
【0016】
図1および図2に示されるように、電流コネクタ30は、車体側固定装置10の後端102に設けられ、電気接続装置22は、車体側固定装置10の先端101に設けられ、電気接続装置22は、電流コネクタ30に接続された。電気接続装置22は、端子であってもよい。電流コネクタ30は、DCコネクタまたはACコネクタであってよい。当該充電インレットは、DCコネクタおよび/又はACコネクタを含んでもよい。
【0017】
一実施形態では、図3または図5に示されるように、電流コネクタ30は、接続孔311を含み、着脱機構40は、接続孔311を貫通している。接続孔311は、円形貫通孔であってよいし、電流コネクタ30に設けられたU字スロットであってもよい。電流コネクタ30の移動に起因する充電インレットの機能の失効が避けられるように、着脱機構40が接続孔311を貫通して、電流コネクタ30を充電インレットに固定してよい。
【0018】
一実施形態では、電流コネクタ30には、取付部が設けられ、車体側固定装置10には、取付孔11が設けられ、取付部が取付孔11に挿入されるとともに、着脱可能に接続された。電流コネクタ30と車体側固定装置10とを組み立てる場合、対応する位置決め機構がないと、組立操作員は、電流コネクタ30および車体側固定装置10を取付位置に組み立てるために、相当な時間がかかる。しかも、着脱機構40を用いて電流コネクタ30を車体側固定装置10に固定する場合、相対的位置移動が発生し、組立が失敗してしまう場合もある。
【0019】
図1図4および図7に示されるように、電流コネクタ30の取付部および電流コネクタ30の本体を段階状に形成し、取付部が取付孔11に挿入されるとともに、着脱可能に接続されるようにすることによって、電流コネクタ30と車体側固定装置10とを位置決めして係合し、両者間の着脱を容易にする。
【0020】
一実施形態では、着脱機構40は、ねじ61を含み、電気接続装置22には、固定部が設けられ、固定部の端面には、ねじ孔が設けられ、ケーブル21の一端には、貫通孔が設けられ、貫通孔の孔径は、ねじ61の外径よりも大きく且つ電気接続装置2の接続孔311の外径よりも小さく、ねじ61は、貫通孔および接続孔311またはU字溝を貫通しているとともに、ねじ孔に螺着され、それにより、電気接続装置22、ケーブル21の一端および電流コネクタ30を車体側固定装置10に固定する。電気接続装置22とケーブル21の一端が螺着されて接続されることにより、電気接続装置22は損傷を受けた場合、ねじ61を直接取り外して、電気接続装置22を交換することができる。
【0021】
さらに、電気接続装置22のねじ孔の端面がケーブル21の側面に電気的に接続された。充電インレットにおける充電電流の導通を実現させるために、電気接続装置22は、ケーブル21と十分に電気的に接続される必要がある。そのため、電気接続装置22とケーブル21が十分な面積で接触しているとともに、接続された箇所における接触抵抗ができるかぎり、ケーブル21そのものの導体抵抗よりも小さいことが求められる。
【0022】
さらに、固定部の外径は、接続孔311の内径よりも小さい。電気接続装置22とケーブル21は、それぞれ、電流コネクタ30の両側に位置するため、固定部の外径が接続孔311の内径以上である場合、電気接続装置22が接続孔311を貫通してケーブル21と電気的に接続されることができなくなり、充電インレットの基本的な充電機能も実現できなくなる。そのため、電気接続装置22が電流コネクタ30の接続孔311を貫通してケーブル21と電気的に接続されるようにするために、固定部の外径を接続孔311の内径よりも小さいようにしなければならない。
【0023】
図3および図5に示されるように、電流コネクタ30は、接続孔311を含み、着脱機構40は、接続孔311を貫通している。電気接続装置22は、接続孔311に収容された。電流コネクタ30は、車体側固定装置10の後端102に設けられ、電気接続装置22は、車体側固定装置10の先端101に設けられる。電気接続装置22を接続孔311内に取り付けることによって、電気接続装置22、電流コネクタ30、および車体側固定装置10を係止するようになる。
【0024】
さらに、ねじ61がねじ孔に螺着されたトルクの範囲は、0.1N・m~30N・mである。
【0025】
ねじ61がねじ孔に螺着されたトルクの範囲による、電気接続装置22とケーブル21との電気的接続性能への影響を検証するために、発明者は、同一の電気接続装置22、電流コネクタ30、ねじ61およびケーブル21に対して、異なるトルクで、それらを締結し、電気接続装置22とケーブル21との接触抵抗、および、振動試験が行われた電気接続装置22とケーブル21との接続状況をそれぞれ、測定する。試験結果を表1に示す。
【0026】
電気接続装置22とケーブル21との接触抵抗の測定方法は、以下の通りである。精密抵抗測定器を用いて、その精密抵抗測定器の測定端の一端をケーブル21に、他端を電気接続装置22に置いてから、精密抵抗測定器の接触抵抗の読み値を読み取る。ここで、測定するたびに、精密抵抗測定器の測定端を同一の位置に置くこととなる。本実施例では、接触抵抗が1mΩよりも大きくなると、不合格なものとする。
【0027】
振動試験とは、接続後の試料を振動試験台に置き、振動循環を300回行った後、電気接続装置22とケーブル21との接続が抜ける現象があったか否かを観察する。ここで、1回の振動循環において、6つの方向での振動を必要とし、周波数が100Hzで、一方向加速度が40m/sである。本実施例では、電気接続装置22は、ケーブル21との接続が抜けた状況、又は、取り付けられるときに損傷を受けた状況を不合格とする。
【表1】
上記表1から分かるように、ねじ61がねじ孔に螺着されたトルクの値が0.1N・mよりも小さい場合、電気接続装置22とケーブル21との接触抵抗値が不合格なものになり、且つ、振動試験を経て、電気接続装置22は、ケーブル21との接続が抜けた。そのため、発明者は、ねじ61がねじ孔に螺着されたトルクの範囲の最小値を0.1N・mにする。ねじ61がねじ孔に螺着されたトルクの値が30N・mよりも大きい場合、トルクが大きすぎるようになるため、ケーブル21、電流コネクタ30および電気接続装置22に印加された捩り力が大きすぎるようになり、プラスチック材質の電流コネクタ30は、大きな圧力で損傷されてしまい、充電インレットの基本的機能を実現できなくなる。そのため、発明者は、ねじ61がねじ孔に螺着されたトルクの範囲を、0.1N・m~30N・mとする。
【0028】
一実施形態では、ねじ61の数は、2個~36個であることが好ましい。充電インレットでは、電流コネクタ30は、DCコネクタまたはACコネクタであってもよいが、DCコネクタの場合にもACコネクタの場合にも、2つのメイン充電ケーブル21および対応する2つの電気接続装置22を含み、大きな充電電流を導通する作用を奏する。一般的には、充電ケーブル21の線径が60mm~260mmである。他の線路は、全部、低圧制御ケーブルに用いられるものであり、電流が小さく、ケーブル21の線径範囲も小さい。充電インレットの使用過程において、充電電流を導通する役割を果たす電気接続装置22が損傷を受ける確率は、導通する電流が小さい低圧制御ケーブルに接続した電気接続装置22よりもはるかに大きい。そのため、充電電流を導通する2つの電気接続装置22を、ねじ構造による着脱機構として設置するだけで、コストを大きく節約して、充電座のメンテナンスを容易にすることができる。好ましくは、充電インレットは、DCコネクタおよびACコネクタが含まれる場合、電気接続装置22は、合計36個あり、電気接続装置22を全部、ねじ構造による着脱機構として設置してもよい。そうすると、充電インレットにおけるいずれかの回路が損傷を受けた場合、迅速な交換が可能となり、メンテナンスにかかる時間が節約され、メンテナンスコストが低減された。
【0029】
一実施形態では、電流コネクタ30にケーブル溝32が設けられ、ケーブル21は、ケーブル溝32内に穿設されており、ケーブル溝32は、ケーブル21が先端101から後端102に向かう方向に沿って移動することを阻止するように構成された。ここで、ケーブル溝31を設置する目的は二つある。一つは、ケーブル21がケーブルのケーブル溝32に穿設されるように迅速に取り付けることができ、ケーブル21の一端の貫通孔も接続孔311と迅速に位置合せされることができ、ねじ61が貫通することを容易にするということである。もう一つは、ケーブル溝32によってケーブル21の前後位置が位置決めされたことで、ケーブル21と電流コネクタ30との接続を容易にして、ケーブル21が取付過程において電流コネクタ30から離脱してしまうのを回避するということである。
【0030】
図3および図5に示されるように、ケーブル溝32に線出口321が設けられ、ケーブル21が線出口321を介してケーブル溝32に穿設されている。それにより、電流コネクタ30および車体側固定装置に対するケーブル21の挿抜や組立を容易にするとともに、ケーブル21が取り付けられた位置を封止して、充電インレットの防水性を確保することができ、操作がさらに便利なものとなり、組立効率が向上した。
【0031】
線出口321は、ケーブル21の引出し位置および引出し方向を限定することができる。一実施形態では、線出口321は、電流コネクタ30の側方方向に向かって設けられた。線出口321は、上下方向に設けられ、図5に示されるように、ケーブル21は、上下方向に引き出される。しかも、ケーブル21が折り曲げられもできる。一実施形態では、線出口321は、水平方向に設けられ、ケーブル21は、水平方向に引き出される。しかも、ケーブル21は、ねじ61を遮蔽してしまうことを避けるように、折り曲げられることができる。さらに、ケーブル溝32は、少なくとも2組の線出口321が設けられ、一方の組の線出口321が上下方向に設けられ、他方の組の線出口321が水平方向に設けられ、使用時、そのうちのいずれか1組を選択してケーブル21を配置することで、ケーブル21の引出し方向を取付環境とマッチングさせることができる。
【0032】
一実施形態では、線出口321が向かう方向は、電流コネクタ30の側方方向とは一定の角度をなす。充電インレットの取付環境において、充電インレットのケーブル21の引き出し方向は、必ずしも充電インレットの後方または側方にあるとは限らず、充電インレットの軸方向と一定の角度をなしてもよい。電流コネクタ30の線出口321が向かう方向は、取付環境におけるケーブル21に対して求められる引出し方向に直接設定されてもよい。そうすると、ケーブル21を再び折り曲げることが避けられ、取付時にも直接取り付けることが可能であり、ケーブルの高硬度に起因して折り曲げて取り付けることができないのも避けられる。
【0033】
一実施形態では、図6図8に示されるように、着脱機構40は、車体側固定装置10に設けられた係止溝52と、電流コネクタ30に設けられた係止片51と、を含み、係止片51は、係止溝52に係着されたことで、電流コネクタ30を車体側固定装置10に固定する。操作が便利なものであり、自動化された生産及び大量生産の実現を容易にする。係止片51と係止溝52により、電流コネクタ30と車体側固定装置10との事前固定が実現されることができ、後続の締結操作に利便性を図る。
【0034】
さらに、係止溝52の溝口は側方に向かい、係止片51は、電流コネクタ30に伴って、後端102から先端101に向かう方向に沿って、係止溝52に係着されるまで、移動する。電流コネクタ30が押されたことで、電流コネクタ30と車体側固定装置10とを接合すると同時に、係止片51を係止溝52に係着し、操作をさらに便利的かつ効率的に行うことができるようになる。
【0035】
さらに、係止片51は、電流コネクタ30の側方に設けられ、係止溝52の位置は係止片51の位置と対応するため、係止片51と係止溝52との係着が容易となる。
【0036】
一実施形態では、着脱機構40は、車体側固定装置10に設けられたばねおよびフックと、電流コネクタ30に設けられた凹溝と、を含み、電流コネクタ30が押されることで、凹溝とフックとの接続または離脱が可能となり、ばねによって、電流コネクタ30が車体側固定装置10から離脱される。そのような構造が用いられたことで、ツールを介さずに、電流コネクタ30と車体側固定装置10との組立および取外しを可能にすることができ、メンテナンス時の工程数がさらに低減され、取外しにかかる工数が節約され、メンテナンス効率が向上した。
【0037】
一実施形態では、取付孔11は、電気接続装置22の端部と係合されるストッパー111を含み、当該ストッパー111の内径が電気接続装置22の端部の外径よりも小さいようにすることで、電気接続装置22が後端102に移動することを阻止し、電気接続装置22を位置決めすることができる。ストッパー111がなければ、電気接続装置22では、電流コネクタ30とケーブル21との組立時、電気接続装置22は、取付孔11を貫通して、電流コネクタ30およびケーブル21と一体化して接続されるようになり、車体側固定装置10に固定されることがないので、充電インレット全体の構造の組立が実現できなくなる。
【0038】
一実施形態では、取付孔11の内部には、ストップリングが設けられ、ストップリングは、電気接続装置22が後端102から先端101に向かう方向に沿って移動することを阻止するように構成された。ストップリングによって電気接続装置22が前後に移動する位置を限定することで、電気接続装置22の挿抜がスムーズに行われることが確保された。
【0039】
図1および図2に示されるように、当該充電インレットは、電気接続装置22を複数含む。各国における充電インレットの製造標準に従うと、複数の電気接続装置22は、それぞれ、充電機能、接地機能、低圧制御機能などを実現させることができるとされている。
【0040】
一実施形態では、当該充電インレットは、着脱機構40を複数含んでもよく、複数の着脱機構40は、それぞれ電気接続装置22と一対一で対応する。複数の着脱機構40により、対応する複数の電気接続装置22を、それぞれ、車体側固定装置10に取り付けて、複数の電気接続装置22と充電装置との電気的接続を実現させることができる。
【0041】
電気接続装置22の数は、2個~36個であることが好ましい。電気接続装置22は、2本の充電ケーブルのみによる充電が可能なものとして簡素化されてもよい。他の回路は、充電装置またはバッテリーに集積されてもよい。DCコネクタおよびACコネクタの36個の回路における対応する電気接続装置22を含んでもよい。また、電気接続装置22の数は、ねじ61の数と同じであってもよい。
【0042】
好ましくは、ケーブル21の材質は、銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金である。電気自動車のケーブルとして、高電圧や大電流の場合に備えて、電流を伝導するための大線径の導線が用いられる必要がある。銅材質の導体材料は、良好な導電性能及び延性を有するため、ケーブルの導体材料として、好適なものである。しかし、銅価格が日増しに高くなるにつれて、導線の材料として、銅材が用いられると、コストも高くなるに決まっている。そのため、コスト削減のために、金属銅の代替品の検索が始まる。地殻における金属アルミニウムの含有量は約7.73%である。精製技術の最適化により、金属アルミニウムの価格は比較的に低くなる。しかも、アルミニウムは、重量が銅よりも軽く、導電率が銅に次ぐものであるため、電気接続の分野では、一部の銅の代替品として用いられてもよい。そのため、自動車電気的接続分野において、銅の代わりに、アルミニウムが用いられるという発展の傾向がある。
【0043】
車体側固定装置10および電流コネクタ30の材質は、プラスチック材質である。プラスチック材質の選定は、以下の2つの点を考慮に入れたものである。一つは、プラスチック材質のものであれば、射出成形の生産方式により、複雑な形状を有し、製品性能が一致した車体側固定装置10および電流コネクタ30が得られることであり、もう一つは、プラスチック材質の絶縁性が高いので、使用中の充電インレットの絶縁性が確保されたということである。
【0044】
一実施形態では、電流コネクタ30に温度センサ及び制御盤が設けられ、温度センサは、データ線によって制御盤と電気的に接続された。温度センサは、温度信号を制御盤に伝送することで、電流コネクタ30に対する温度監視を実現させて、温度が高すぎることによる損傷が避けられる。また、温度センサは、電気接続装置22と直接接続されるとともに、電気接続装置22の温度値をリアルタイムに取得して、制御盤に伝送し、制御盤は、充電電流を調整することで、電気接続装置22の温度値を制御してもよい。それにより、電気接続装置22に対する温度の測定精度が、理論的絶対値に近くまたは同等となるほどのものとなり、検出精度が極めて高く、迅速な出力能力も有する。
【0045】
さらに、制御盤は、回路ボードであり、回路ボードに、制御論理回路が内蔵された。当該制御論理回路により、温度センサによって検出された温度が定められた温度よりも高いとき、制御盤は、アラーム情報を発行して、温度をリアルタイムに監視することを実現する。温度センサによって検出された温度が定められた温度よりも所定値高くなったとき、制御盤は、電流コネクタ30が自動で遮断されるように制御し、温度が高すぎることによる危険が避けられる。
【0046】
具体的に、温度センサは、NTC温度センサまたはPTC温度センサであってよい。その2種類の温度センサが用いられる場合、以下のような利点が得られる。体積が小さいので、他の温度計によって測定できない隙間まで測定できるようになる。使用が便利なもので、測定抵抗値が0.1kΩ~100kΩの範囲から任意に選択されてもよい。複雑な形状を有するものに加工されやすいので、大量生産が可能となり、安定性が良く、過負荷能力が強いので、変換アダプタのような、小体積および安定した性能が求められる製品に適する。
【0047】
当該充電インレットは、新エネルギー車に応用されてもよい。
【0048】
実施例二
本発明は、上述したような充電インレットを備えた自動車をさらに開示している。生産・製造過程が簡単で、加工が容易であるため、充電インレットの加工工数が大幅に低減される。また、自動車の使用過程において、充電インレットでは、電気接続装置のみが損傷を受けた場合、充電インレット及び使用済ケーブルを丸ごと取り外す必要がなく、充電インレットにおける一部の構造のみを取り外して、損傷を受けた電気接続装置を交換することだけで済むので、メンテナンス工程が簡単で操作されやすく、かかる工数が少なくて、メンテナンスコストが低い。本発明に開示の自動車のコスト及びメンテナンス費用が大幅に低減された。
【0049】
以上は、本発明の例示的な具体的な実施の形態に過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。当業者であれば、本発明の思想及び原則から逸らされない限り、実施可能な同等の変化及び補正は、いずれも本発明の保護範囲に入っている。
【符号の説明】
【0050】
10 車体側固定装置、11 取付孔、21 ケーブル、22 電気接続装置、30 電流コネクタ、32 ケーブル溝、40 着脱機構、51 係止片、52 係止溝、61 ねじ、111 ストッパー、311 接続孔、321 線出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】