(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】グラブ装置及びグラブ装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
E02F 3/47 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
E02F3/47 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508708
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022071951
(87)【国際公開番号】W WO2023016914
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502407107
【氏名又は名称】バウアー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュル アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】プァイファー ダヴィット
(72)【発明者】
【氏名】フーグル アンドレアス
(57)【要約】
本発明は、運搬機とその運搬機上に配置されたロープグラブとを備えたグラブ装置に関し、このロープグラブは、保持ロープによって運搬機上に保持されたグラブフレームと、グラブフレームの下端部に閉位置と開位置との間で回動可能に支持された少なくとも2つのグラブショベルと、グラブショベルを回動させるための作動ロープを備えた作動手段と、を有し、作動ロープが、運搬機から作動手段まで案内されており、運搬機が、保持ロープのための駆動される第1のロープウインチ及び作動ロープのための駆動される第2のロープウインチを有する。本発明によれば、保持ロープにかかる第1のロープ力を検出するための第1の検出手段と、作動ロープにかかる第2のロープ力を検出するための第2の検出手段とが設けられており、第1の検出手段、第2の検出手段、第1のロープウインチ、及び第2のロープウインチに接続された制御手段が設けられており、制御手段が、検出された保持ロープにかかる第1のロープ力と検出された作動ロープにかかる第2のロープ力とに応じて、制御プログラム仕様に従って第1のロープウインチ及び/又は第2のロープウインチを作動させるように設計されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬機(12)と前記運搬機(12)上に配置されたロープグラブ(30)とを備えたグラブ装置であって、
前記ロープグラブ(30)が、
保持ロープ(24)によって前記運搬機(12)上に保持されたグラブフレーム(32)と、
前記グラブフレーム(32)の下端部に閉位置と開位置との間で回動可能に支持された少なくとも2つのグラブショベル(34)と、
前記グラブショベル(34)を回動させるための作動ロープ(44)を備えた作動手段(40)と、
を有し、
作動ロープ(44)が、前記運搬機(12)から前記作動手段(40)まで案内されており、
前記運搬機(12)が、前記保持ロープ(24)のための駆動される第1のロープウインチ(21)と、前記作動ロープ(44)のための駆動される第2のロープウインチ(22)とを有し、
前記保持ロープ(24)にかかる第1のロープ力を検出するための第1の検出手段と、前記作動ロープ(44)にかかる第2のロープ力を検出するための第2の検出手段とが設けられており、
前記第1の検出手段、前記第2の検出手段、前記第1のロープウインチ(21)、及び前記第2のロープウインチ(22)に接続された制御手段が設けられており、前記制御手段が、前記保持ロープ(24)にかかる検出された前記第1のロープ力と前記作動ロープ(44)にかかる検出された前記第2のロープ力とに応じて、制御プログラム仕様に従って前記第1のロープウインチ(21)及び/又は前記第2のロープウインチ(22)を作動させるように設計されている、
グラブ装置。
【請求項2】
前記制御手段の前記制御プログラム仕様によって、前記保持ロープ(24)における前記第1のロープ力と前記作動ロープ(44)における前記第2のロープ力との間に、規定の比率を指定し、設定することができる、請求項1に記載のグラブ装置。
【請求項3】
前記制御手段が、補償モードを備えるよう設計されており、前記補償モードにおいて、前記保持ロープ(24)にかかる前記第1のロープ力と前記作動ロープ(44)にかかる前記第2のロープ力が互いに一致するように前記ロープウインチ(21、22)が作動される、請求項1又は2に記載のグラブ装置。
【請求項4】
前記制御手段が、転回モードを備えるよう設計されており、前記転回モードにおいて、鉛直長手方向軸線の周りで前記ロープグラブ(30)の目標転回を生成することができるように前記ロープウインチ(21、22)が作動される、請求項1~3のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項5】
前記ロープグラブ(30)の回転位置及び/又は前記回転位置の変化を検出するための少なくとも第3の検出手段が設けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項6】
前記ロープグラブ(30)の鉛直方向位置、前記運搬機(12)に対する前記ロープグラブ(30)の距離及び/又は角度位置を検出するための、少なくとも1つのさらなる検出手段が設けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項7】
前記制御手段が、自動プログラムを備えるよう設計されており、前記自動プログラムによって、前記ロープグラブ(30)が、空にする位置及び/又は取り出し位置に自動的に移動されることができる、請求項1~6のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項8】
前記第1のロープウインチ(21)にかかった前記保持ロープ(24)が第1の巻きを有し、前記第1の巻きが、前記第2のロープウインチ(22)にかかった前記作動ロープ(44)の第2の巻きとは反対向きである、請求項1~7のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項9】
前記作動手段が、連結機構(46)によって前記グラブショベル(34)に接続された作動キャリッジ(42)を有し、
前記作動キャリッジ(42)が、前記グラブショベル(34)を回動させるために前記グラブフレーム(32)に沿って変位可能である、請求項1~8のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項10】
前記作動キャリッジ(42)に接してプーリブロック装置(50)が設けられており、前記プーリブロック装置(50)を用いて、前記グラブショベル(34)を閉じる及び/又は開くための力の増加を生成することができる、請求項1~9のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項11】
前記ロープグラブ(30)及び/又は前記ロープウインチ(21、22)を作動させるための手動制御用の操作パネルが設けられる、請求項1~10のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項12】
操作のために前記制御手段用の表示画面が設けられる、請求項1~11のいずれか1項に記載のグラブ装置。
【請求項13】
グラブ装置を操作するための方法であって、
請求項1~12のいずれか1項に記載のグラブ装置(10)が使用され、
前記保持ロープ(24)にかかる第1のロープ力が、第1の検出手段によって検出され、
前記作動ロープ(44)にかかる第2のロープ力が、第2の検出手段によって検出され、
前記第1の検出手段、前記第2の検出手段、前記第1のロープウインチ(21)、及び前記第2のロープウインチ(22)が、制御手段に接続されており、
前記保持ロープ(24)にかかる検出された前記第1のロープ力と、前記作動ロープ(44)にかかる検出された前記第2のロープ力とに応じて、前記制御手段によって、前記第1のロープウインチ(21)及び/又は前記第2のロープウインチ(22)が、制御プログラムの仕様に従って作動される、方法。
【請求項14】
前記ロープグラブ(30)によって、土が取り出されて、具体的には地中に溝が作製される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる、運搬機と運搬機上に配置されたロープグラブとを備えたグラブ装置に関し、このロープグラブは、保持ロープによって運搬機上に保持されたグラブフレームと、グラブフレームの下端部に閉位置と開位置との間で回動可能に支持された少なくとも2つのグラブショベルと、グラブショベルを回動させるための作動ロープを備えた作動手段と、を有し、作動ロープは、運搬機から作動手段まで案内されており、運搬機は、保持ロープのための駆動される第1のロープウインチ及び作動ロープのための駆動される第2のロープウインチを有する。
【0002】
本発明はさらに、請求項13のプリアンブルによる、グラブ装置を操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
専門的基礎工学では、地中に溝を作製するためにグラブ装置が使用される。溝内には、掘削ピットを維持及び/又は密閉するために連続地中壁を作製することができる。
【0004】
グラブ装置は、複数のグラブショベルを備えたグラブを主として備え、グラブは、保持ロープによって、運搬機(通常は、ブームクレーン)に吊り下げられる。保持ロープを使用して、グラブを地中に降ろすことができる。グラブショベルを閉じることによって、地盤から土塊を取り出して、グラブ内に受け入れることができる。続いて、保持ロープを介してさらにグラブを地中から引き抜き、運搬機と共に、空にする位置まで旋回させ、グラブショベルを開いて土塊を投下する。その後、グラブを旋回させて作業位置に戻し、新たなグラブプロセスのために地中の溝に導き入れる。
【0005】
このようなグラブ装置に使用されるグラブには、2つの異なるタイプ、すなわち、油圧グラブ及びロープグラブがある。いわゆる油圧グラブは、例えば、欧州特許出願公開第3798367号(EP3798367A1)から知られている。油圧グラブでは、グラブフレームに配置された油圧シリンダによってグラブショベルの開閉動作が生成される。
【0006】
このような油圧グラブは、油圧システムによって比較的簡単に操作及び制御することができる。ただし、油圧流体の供給及び排出には、保持ロープと並行して延びる好適な油圧ラインが必要である。運搬機には、それに応じて設計された油圧ユニットだけではなく、油圧ラインのための対応するラインリールを、それぞれのウインチ駆動装置と共に設ける必要がある。これにより、グラブ装置もそれに応じて大きくなり、コストもより高くなる。さらに、油圧システムに追加のメンテナンスが必要となる。
【0007】
それに比べて、いわゆるロープグラブは、かなり簡素化された構造を提供する。このようなタイプのロープグラブは、例えば英国特許出願公開第2126981号(GB2126981A)から知られている。ロープグラブでは、グラブショベルの開閉動作は、作動ロープによってもたらされる。作動ロープは、グラブショベルの作動手段から運搬機まで保持ロープと実質的に並行して延びている。作動ロープ用の別個のウインチを使用して、作動ロープをウインチから繰り出すか又はウインチに巻き取ることによって、グラブショベルの開閉を達成することができる。
【0008】
ロープグラブでは、グラブまでの複雑な油圧ラインの供給を省略することができる。必要なのは、追加の作動ロープを対応するウインチと共に設けることだけである。このような作動ロープではまた、対応する油圧システムを備えた油圧ラインと比較して、メンテナンスの必要性も大幅に少なくなる。
【0009】
しかし、ロープグラブの操作は、経験豊富な機械操作者を必要とし、油圧グラブの場合ほど簡単ではない。この理由の1つは、主に、ロープの二重配置、すなわち保持ロープと作動ロープとがあることにより、様々な操作状態でトルクが生成され、そのトルクによりロープグラブがその長手方向軸線の周りをある一定程度回ってしまうということにある。しかしながら、空にする位置からロープグラブを戻す際に、地中にすでに作製された溝にロープグラブを再び導き入れることができるようにするためには、ロープグラブの正確な回転位置が不可欠となる。
【0010】
機械操作者が保持ロープ及び作動ロープに特定の引張力を加えることによって、ロープグラブの長手方向軸線の周りのロープグラブの回転位置をもたらすことができる。このためには、それぞれのロープウインチの比較的繊細な操作が必要となる。機械操作者側では、この方法を実行する際に、一定の経験と共に高い集中力もまた必要となる。さらに、ロープウインチはフットペダルで操作されることが多いため、数時間にわたるロープウインチの繊細な操作もまた、機械操作者にとって非常に疲れるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3798367号
【特許文献2】英国特許出願公開第2126981号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、グラブ装置の単純な構造が依然として所与でありながら、同時に容易な操作を可能にする、グラブ装置及びグラブ装置を操作するための方法を提供するという目的に基づく。
【0013】
この目的は、一方では請求項1の特徴を有するグラブ装置によって達成され、他方では請求項13の特徴を有する方法によって達成される。本発明の具体的な実施形態は、それぞれの従属請求項に記載されている。
【0014】
本発明によるグラブ装置は、保持ロープにかかる第1のロープ力を検出するための第1の検出手段と、作動ロープにかかる第2のロープ力を検出するための第2の検出手段とが設けられ、第1の検出手段、第2の検出手段、第1のロープウインチ、及び第2のロープウインチに接続された制御手段が設けられ、制御手段が、検出された保持ロープにかかる第1のロープ力と検出された作動ロープにかかる第2のロープ力とに応じて、制御プログラム仕様に従って第1のロープウインチ及び/又は第2のロープウインチを作動させるように設計される、と特徴付けられる。
【0015】
本発明は、ロープグラブの長手方向軸線の周りのロープグラブにかかるトルクは、保持ロープ及び作動ロープにおけるロープ力に依存するという知見に基づいている。したがって、本発明の一態様によれば、検出手段が設けられ、これらの検出手段を用いて、保持ロープにかかるロープ力及び作動ロープにかかるロープ力が検出される。各状況において検出された力の値は、機械操作者による入力と仕様とに従って、保持ロープのための第1のロープウインチ及び作動ロープのための第2のロープウインチを制御する制御手段に転送されることができる。よって、制御手段によって、それぞれのロープウインチの対応する作動(ロープの巻き取り/繰り出し)を経て、保持ロープにおける力と作動ロープにおける力とを互いに一致させることができるため、特にロープグラブが所与の又は所望の回転位置となった場合、保持ロープ及び作動ロープによって上記ロープグラブにかかる長手方向軸線周りのトルクは発生しない。基本的に、それぞれのロープ力に適宜影響を与えることにより、制御手段を使用して、所望の転回のために規定された(可変)トルクを生成することもできる。
【0016】
さらに、本発明は、特に、螺旋状の複数の鋼線又は撚り線から作製された鋼ロープを通常使用する際には、いわゆるロープの撚りが存在しており、低回転性ではない又は耐回転性ではない鋼ロープの場合、このロープの撚りが、対応する引張力がその鋼ロープに加えられた際にロープの長手方向軸線の周りのトルクをもたらすという知見に基づいている。保持ロープと作動ロープとが反対向きの撚り方向を示すとすると、保持ロープにおける引張力と作動ロープにおける引張力とを一致させることにより、ロープによって生成されるこれらのトルクを補償することができる。好ましくは、これは、同一又は類似の構造だが反対の撚り方向を有するロープ同士が使用される場合に、特に簡単に達成することができる。1つの本体に取り付けられた、ロープの撚りが反対の2本のロープを使用する場合、対応する引張力分布が存在すれば、トルク平衡、左回転トルク又は右回転トルクを本体に生成することができる。保持ロープは、好ましくは、グラブフレーム又は作動手段の上部領域又は下部領域に固定することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、制御手段の制御プログラム仕様によって、保持ロープにおける第1のロープ力と作動ロープにおける第2のロープ力との間に、規定の比率を指定し、設定することができる。制御プログラムの仕様では、それに応じて保持ロープと作動ロープとの同一又は異なる設計に対する許容量を考慮することができる。保持ロープと作動ロープの設計が好ましくは同一であるが、ロープの撚りが反対である場合に、それらのロープに実質的に等しい引張力を設定することにより、トルク補償を達成することができる。別のロープ構造に関してロープ同士の設計が異なる場合には、これに対する許容量を作成し、その通りに制御プログラム仕様に事前設定することができる。制御プログラム仕様では、ロープグラブの追加の幾何学的条件、例えば、グラブフレーム上の、ロープの様々な取り付け点に関連した条件もまた、事前設定して考慮に入れることができる。
【0018】
本発明の別の好ましい実施形態では、制御手段が、補償モードを備えるよう設計されており、補償モードにおいて、保持ロープにかかる第1のロープ力と作動ロープにかかる第2のロープ力が互いに一致するようにロープウインチ同士が作動される。具体的には、ロープウインチ同士は、作動ロープにおけるトルクと保持ロープにおけるトルクとが互いに補償し、互いに打ち消し合うように作動させることができる。このようにして、ロープグラブの長手方向軸線の周りのロープグラブの回転位置を安定化させることができる。したがって、操作中にロープグラブがその長手方向軸線の周りで望ましくない回転をすることを大幅に回避することができる。
【0019】
具体的には、本発明のさらなる発展形態によれば、制御手段が、転回モードを備えるよう設計されており、この転回モードにおいて、鉛直長手方向軸線の周りのロープグラブの目標転回を生成することができるようにロープウインチが作動されることが好都合である。機械操作者は、安定した回転位置から開始して、好ましくは、例えばジョイスティックのサムホイールなどの入力装置を介して、ロープウインチを適切に作動させることにより、回転位置の所望の変化もたらすことができる。制御手段は、機械操作者が入力手段によって所望の転回の値又は程度を指定するように設計することもでき、プログラムロジックに従って、ウインチは、制御手段によって、所望の変更後の回転位置に到達するような方法で作動される。
【0020】
本発明のさらなる発展形態によれば、ロープグラブの回転位置及び/又は回転位置の変化を検出するための少なくとも第3の検出手段が設けられることが好ましい。これは、光学検出手段、回転トランスデューサ、ロープグラブ上のジャイロスコープ、又はその他の好適な手段によって行うことができる。よって、制御手段による作動時には、回転位置の調整又は転回の調整を実行することができるように、グラブの回転位置又は転回に対するフィードバックを行うことができる。これにより、ロープグラブの回転位置の特に正確な設定が可能になる。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、操作性のさらなる改善は、特にロープグラブの鉛直方向位置、運搬機に対するロープグラブの距離及び/又は角度位置を検出するための、少なくとも1つのさらなる検出手段が設けられるということによる。このようにして検出された追加パラメータは、機械操作者に直接表示されることができ、及び/又はグラブを制御するために制御手段によって処理されることができる。
【0022】
本発明の別の好都合な実施形態では、ロープグラブ及び/又はロープウインチを作動させるための手動制御用の操作パネルが設けられる。入力手段としての操作パネルは、好ましくは、特にディスプレイと組み合わせられたカーソル、ロータリーホイール、スイッチ、又はキーなどの好適な操作素子を介して、特にロープグラブの所望の転回又は動作が、機械操作者によって、例えば数値又は角度測定として入力されるように設計される。よって、機械操作者によってウインチの直接入力及びウインチの回転の直接入力が行われる必要がなくなる。実際には、グラブの位置に関する上記操作入力に従って、個々のモータと位置決め部材とを備えた機械が、プログラムロジックを備えた制御手段を介して、望ましくない転回動作を伴うことなく所望の位置にほぼ到達するように作動される。
【0023】
本発明の変形実施形態によれば、制御手段が、自動プログラムを備えて設計されており、この自動プログラムによって、ロープグラブが、空にする位置及び/又は取り出し位置に自動的に移動されることができることが特に好ましい。自動プログラムは、永続的に記憶されてもよいし、又は繰り返しのプロセスの場合には、機械操作者によって個別に定義され保存されてもよい。このようにして、グラブのより大きな移動シーケンス、具体的には、空にする位置への移動及び/又は取り出し位置に戻る移動を、自動的に実行することができる。ロープグラブのこのような移動距離は、特に地中に深い溝を作製するときに高い繰り返し頻度で発生する。
【0024】
基本的に、個々のロープは同一の設計であってもよいし、又は異なる設計であってもよい。本発明の一実施形態によれば、第1のロープウインチにかかった保持ロープが、第1の巻きを有し、この第1の巻きが、第2のロープウインチにかかった作動ロープの第2の巻きと反対向きであることが特に好都合である。具体的には、保持ロープと作動ロープとは、互いに反対向きの撚り方向、いわゆるロープ撚りを有する。引張力が加えられると、ロープ同士には互いに反対のトルクが発生する。これにより、操作中のロープグラブの位置を安定化させるためのトルクの補償が容易になる。
【0025】
基本的に、作動ロープは、グラブショベルに直接連結されることができる。最大可能閉鎖力を達成するためには、本発明のさらなる発展形態によれば、作動手段が、連結機構によってグラブショベルに接続された作動キャリッジを有すること、及び作動キャリッジが、グラブショベルを回動させるためにグラブフレームに沿って変位可能であることが好都合である。好ましくは、作動キャリッジは、長手方向又は鉛直方向に変位可能であるようにグラブフレームに支持される。連結機構としては、ジョイント、連結ロッド、又は連結ロープを含むことができる。具体的には、作動キャリッジによって、可能な限り均一なグラブショベルの開閉動作を実現することができる。これは、ロープグラブの位置の安定化に好都合である。
【0026】
好みにより、作動キャリッジに接してプーリブロック装置が設けられており、このプーリブロック装置を用いてグラブショベルを閉じる及び/又は開くための力の増加を生成することができるので、特に高い閉鎖力を達成することができる。プーリブロック装置により、引っ張る回数に応じて、グラブショベルを開閉するための作動ロープにかかる力の倍増を達成することができる。プーリブロック装置は、具体的には、作動キャリッジとグラブフレームの下端部との間に配置される。プーリブロック装置のプーリは、一方では作動キャリッジに支持されており、他方ではグラブフレームに支持されており、作動ロープが巻き付くことができ、作動ロープの下端部はグラブフレームに固定されている。その結果、ロープがカバーする距離もそれに対応して延長され、所望の力の増加で作動キャリッジを作動させることができる。
【0027】
本発明のさらなる実施形態によれば、操作のために制御手段用の表示画面が設けられることが特に好都合である。表示画面は、具体的には、機械操作者のために操作素子の少なくとも一部が実装されたタッチスクリーンとして設計することができる。さらに、表示画面上では、ロープグラブの位置を様々な表現で表示することができ、機械操作者にとって作動がさらに容易になる。
【0028】
本発明は、グラブ装置を操作するための方法を更に含み、本方法では、本発明による上述のグラブ装置が使用され、保持ロープにかかる第1のロープ力が、第1の検出手段によって検出され、作動ロープにかかる第2のロープ力が、第2の検出手段によって検出され、第1の検出手段、第2の検出手段、第1のロープウインチ、及び第2のロープウインチが、制御手段に接続されており、保持ロープにかかる検出された第1のロープ力と、作動ロープにかかる検出された第2のロープ力とに応じて、制御手段によって、第1のロープウインチ及び/又は第2のロープウインチが、制御プログラムの仕様に従って作動される。
【0029】
この方法を介して、本発明によるグラブ装置と併せて前述の好都合な点を達成することができる。
【0030】
本グラブ装置は、特に様々なタスクに使用することができる。好ましい方法変形例では、ロープグラブによって、土が取り出されて、具体的には地中に溝が作製される。ロープグラブは、特にいわゆる連続地中壁グラブとして設計することができ、この連続地中壁グラブを用いて、地中の止水壁及び/又は擁壁のための、例えば、掘削ピット囲いのための、溝を作製することができる。
【0031】
本発明は、図面に概略的に示される好ましい実施形態として以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】閉じたグラブショベルを備えた
図1のグラブ装置のロープグラブの正面図である。
【
図3】開いたグラブショベルを備えた
図2によるロープグラブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明による
図1によるグラブ装置10は、下部キャリッジ14として無限軌道走行装置を備えた移動運搬機12を有する。下部キャリッジ14上には、運転室17を備えた上部キャリッジ16が鉛直方向回転軸線の周りを回転可能に支持されている。運転室17の内部には、機械操作者用の入力手段を含む制御手段が配置されている。
【0034】
上部キャリッジ16上には、ブームアーム18が、水平方向軸線の周りを回動可能に連結されている。偏向プーリを備えたブームアーム18のヘッド20には保持ロープ24が案内されており、その端部にはグラブフレーム32と複数の下部グラブショベル34とを備えたロープグラブ30が吊り下げられている。運搬機12の第1のロープウインチ21を介して、保持ロープ24を作動させて、ロープグラブ30を昇降させることができる。さらに、運搬機12には、ロープ44を作動させるための第2のロープウインチ22が配置されており、ロープ44もまたヘッド20を経てロープグラブ30に案内され、グラブフレーム32の下端部にあるグラブショベル34を作動させる。
【0035】
本発明によるグラブ装置10の機能については、以下に
図2及び
図3と併せてより詳細に説明する。
【0036】
グラブフレーム32の中央領域には、グラブショベル34を作動させるために、作動手段40の作動キャリッジ42が鉛直長手方向に変位可能に支持されている。作動キャリッジ42の上端部には保持ロープ24の端部が固定されているため、ロープグラブ30は作動キャリッジ42を介して保持されている。
【0037】
作動キャリッジ42の下端部には、連結ロッド47を備えた連結機構46が配置されている。連結ロッド47は、一方では作動キャリッジ42に回転可能に結合され、他方ではグラブショベル34の1つに回転可能に結合されている。グラブショベル34自体は、グラブフレーム32の下端部にピボット支持具35によって回動可能に支持されている。グラブフレーム32に対する作動キャリッジ42の相対変位によって、グラブショベル34を開閉することができる。作動キャリッジ42の上方向への相対変位によって、連結ロッド47が上方に引っ張られ、それによってグラブショベル34が、
図3に図示されている開位置になるまで回動軸35の周りを回動する。
【0038】
作動キャリッジ42の下方には、作動ロープ44のためのプーリブロック装置50が設けられる。プーリブロック装置50は、作動キャリッジ42に回転可能に支持される上部プーリ52と、グラブフレーム32の下部領域に回転可能に支持される下部プーリ54とを有する。プーリ52、54には、複数のループ56又は引き締めを形成することによって、上方から供給される作動ロープ44が数回巻き付けられ、一方で、作動ロープ44の下端部はグラブフレーム32にしっかりと接続されている。したがって、作動ロープ44を介して、作動キャリッジ42はグラブフレーム32に調節可能に接続又は連結されている。
【0039】
図3による開位置から開始して、第2のロープウインチ22によって作動ロープ44が上方への引っ張られることによって、作動キャリッジ42は、プーリブロック装置50によってグラブフレーム32に対して下方向に引っ張られる。その際に、連結ロッド47が、増加した閉鎖力で下方向にグラブショベル34を押すことによって、グラブショベル34は、ピボット支持具35の周りを回動され、
図2による閉位置になる。
【0040】
地中の溝内で使用される場合、作動ロープ44にかかる引張力に関して増加した閉鎖力を用いて、土塊を掴んでグラブショベル34同士の間に閉じ込めることができる。
【0041】
ロープグラブ30を地中の溝から引き出した後、そして空にする位置にロープグラブ30を移動させた後は、作動ロープ44にかかる引張力を低減することができる。その結果、グラブフレーム32は、その重さによって作動キャリッジ42に対して下方向に変位されるため、グラブショベル34は、
図3に示すように、連結ロッド47によって回動して開位置に戻る。
【0042】
説明したこの構成は単に例示的なものである。原理的には、同等のグラブショベルの作動を可能にする、様々なロープ連結部及び別の連結機構を備えた他のタイプのプーリブロック装置を選択することもできる。
【0043】
個々のロープのトルク、したがって吊り下げられたロープグラブ30のその長手方向軸線の周りのトルクが、施工の進行に必要な場合にのみロープグラブ30の所望の回転が生じるように制御されるためには、ロープグラブ30を作動させるときに、特に撚られたロープの場合にはいわゆる撚り方向があるので、保持ロープ24と作動ロープ44との間で力及び動作を一致させることが必要である。
【0044】
本発明によれば、保持ロープ24及び作動ロープ44における力は、例えば、ロープウインチ21、22上に、又はブームアーム18のヘッド20上の偏向プーリ上に配置することができる対応する検出手段を介して検出される。好ましくは運搬機12の運転室17に配置された制御手段を介して、ロープグラブ30のその長手方向軸線の周りの回転位置の安定化又は機械操作者が所望する目標転回のいずれかが達成されるように、ウインチ21、22を、検出されたロープ力に応じて作動させることができる。機械操作者側で必要なのは、位置安定化のために取り得る所望の補償モードに関連する対応する入力か、又はロープグラブ30の所望の回転位置に関連する入力だけである。これに基づいて、制御手段は、ロープグラブ30の所望の回転位置をもたらすために、ロープウインチ21、22をそれに応じて作動させることができる。その結果、機械操作者にとって、単純な構造のロープグラブ30の制御が、かなりの程度まで簡潔になり、容易になる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬
機と前記運搬
機上に配置されたロープグラ
ブとを備えたグラブ装置であって、
前記ロープグラ
ブが、
保持ロー
プによって前記運搬
機上に保持されたグラブフレー
ムと、
前記グラブフレー
ムの下端部に閉位置と開位置との間で回動可能に支持された少なくとも2つのグラブショベ
ルと、
前記グラブショベ
ルを回動させるための作動ロー
プを備えた作動手
段と、を有し、
前記作動ロー
プが、前記運搬
機から前記作動手
段まで案内されており、
前記運搬
機が、前記保持ロー
プのための駆動される第1のロープウイン
チと、前記作動ロー
プのための駆動される第2のロープウイン
チとを有し、
前記保持ロー
プにかかる第1のロープ力を検出するための第1の検出手段と、前記作動ロー
プにかかる第2のロープ力を検出するための第2の検出手段とが設けられており、
前記第1の検出手段、前記第2の検出手段、前記第1のロープウイン
チ、及び前記第2のロープウイン
チに接続された制御手段が設けられており、前記制御手段が、前記保持ロー
プにかかる検出された前記第1のロープ力と前記作動ロー
プにかかる検出された前記第2のロープ力とに応じて、制御プログラム仕様に従って前記第1のロープウイン
チ及び/又は前記第2のロープウイン
チを作動させるように設計されている、
グラブ装置。
【請求項2】
前記制御手段の前記制御プログラム仕様によって、前記保持ロー
プにおける前記第1のロープ力と前記作動ロー
プにおける前記第2のロープ力との間に、規定の比率を指定し、設定することができる、請求項1に記載のグラブ装置。
【請求項3】
前記制御手段が、補償モードを備えるよう設計されており、前記補償モードにおいて、前記保持ロー
プにかかる前記第1のロープ力と前記作動ロー
プにかかる前記第2のロープ力が互いに一致するように前記
第1および第2のロープウイン
チが作動される、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項4】
前記制御手段が、転回モードを備えるよう設計されており、前記転回モードにおいて、鉛直長手方向軸線の周りで前記ロープグラ
ブの目標転回を生成することができるように前記
第1および第2のロープウイン
チが作動される、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項5】
前記ロープグラ
ブの回転位置及び/又は前記回転位置の変化を検出するための少なくとも第3の検出手段が設けられる、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項6】
前記ロープグラ
ブの鉛直方向位置、前記運搬
機に対する前記ロープグラ
ブの距離及び/又は角度位置を検出するための、少なくとも1つのさらなる検出手段が設けられる、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項7】
前記制御手段が、自動プログラムを備えるよう設計されており、前記自動プログラムによって、前記ロープグラ
ブが、空にする位置及び/又は取り出し位置に自動的に移動されることができる、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項8】
前記第1のロープウイン
チにかかった前記保持ロー
プが、第1の
撚り方向で撚られており、前記第1の
撚り方向が、前記第2のロープウイン
チにかかった前記作動ロー
プの第2の
撚り方向とは反対向きである、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項9】
前記作動手段が、連結機
構によって前記グラブショベ
ルに接続された作動キャリッ
ジを有し、
前記作動キャリッ
ジが、前記グラブショベ
ルを回動させるために前記グラブフレー
ムに沿って変位可能である、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項10】
前記作動キャリッ
ジに接してプーリブロック装
置が設けられており、前記プーリブロック装
置を用いて、前記グラブショベ
ルを閉じる及び/又は開くための力の増加を生成することができる、請求
項9に記載のグラブ装置。
【請求項11】
前記ロープグラ
ブ及び/又は前記
第1および第2のロープウイン
チを作動させるための手動制御用の操作パネルが設けられる、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項12】
操作のために前記制御手段用の表示画面が設けられる、請求項
1に記載のグラブ装置。
【請求項13】
グラブ装置を操作するための方法であって、
請求項
1に記載のグラブ装
置が使用され、
前記保持ロー
プにかかる前記第1のロープ力が、前記第1の検出手段によって検出され、
前記作動ロー
プにかかる前記第2のロープ力が、前記第2の検出手段によって検出され、
前記第1の検出手段、前記第2の検出手段、前記第1のロープウイン
チ、及び前記第2のロープウイン
チが、制御手段に接続されており、
前記保持ロー
プにかかる検出された前記第1のロープ力と、前記作動ロー
プにかかる検出された前記第2のロープ力とに応じて、前記制御手段によって、前記第1のロープウイン
チ及び/又は前記第2のロープウイン
チが、制御プログラムの仕様に従って作動される、方法。
【請求項14】
前記ロープグラ
ブによって、土が取り出されて、具体的には地中に溝が作製される、請求項
13に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】