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特表2024-530959固体半導体プロセスのBEOL金属層を使用して構築されたMEMS圧力センサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】固体半導体プロセスのBEOL金属層を使用して構築されたMEMS圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20240820BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G01L9/00 305A
H01L29/84 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508799
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022072381
(87)【国際公開番号】W WO2023017053
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/231,503
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/882,956
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522273861
【氏名又は名称】ナヌセンス・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】NANUSENS SL
【住所又は居所原語表記】Av.del Parc Tecnologic,3 CENT Parc Tecnologic del Valles,08290 Cerdanyola del Valles Spain
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼップ・モンターニャ・シルヴェストル
【テーマコード(参考)】
2F055
4M112
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055CC02
2F055DD01
2F055EE25
2F055FF01
2F055FF11
2F055FF38
2F055GG15
4M112AA01
4M112BA07
4M112CA42
4M112FA06
4M112FA08
4M112GA01
(57)【要約】
複数の金属層のうちの1つで作られた膜を有するMEMS圧力センサが提供される。蓋は膜の上に配置され、膜の遠位端で複数のキャビティ壁に接続される。蓋は、蓋の領域上に配置された穴のアレイを含む。固定金属電極が蓋の下に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むMEMS圧力センサ:
複数の金属層のうちの1つで作られた膜;
前記膜の上に配置され、前記膜の遠位端で複数のキャビティ壁に接続された蓋、ここで、前記蓋は、前記蓋の領域上に配置された穴のアレイを含む;及び
蓋の下に配置された固定金属電極。
【請求項2】
前記蓋は、前記複数の金属層のうち、前記膜とは異なる金属層を用いて形成され、前記膜は、前記蓋の下の第1金属層を用いて形成される、請求項1に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項3】
前記膜及び前記蓋は円形の形状を含む、請求項1又は2に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項4】
前記蓋及び膜のうちの少なくとも1つは、約25μm、50μm、75μm、又は100μmの直径を含む、請求項3に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項5】
前記金属層は、固体半導体プロセスの後工程の金属層を使用して形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項6】
前記キャビティ壁は、少なくとも1つのビア構造を使用して形成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのビア構造が二重リングビアを含む、請求項6に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項8】
前記穴のアレイが前記膜を汚染物質から保護する、請求項1~7のいずれか1項に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項9】
前記蓋は、前記穴のアレイによって画定される領域とは異なる前記蓋上の第2の領域に位置する第2の穴のアレイを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項10】
前記蓋の前記第2の領域は、前記膜から離れて配置される、請求項9に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項11】
前記膜は、前記蓋の前記第1の穴のアレイと位置合わせされた第3の穴のアレイを含む、請求項9に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項12】
前記複数の金属層のうちの1組の金属層が台座となるように構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項13】
前記台座は、前記膜の中心における静電容量ギャップを減少させる、請求項12に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項14】
前記膜は、圧力が加えられるとその中心位置から偏向される、請求項13に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項15】
前記1組の金属層は翼状である、請求項12に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項16】
前記膜は、前記複数の金属層のうちの1つの翼状部分に一体的に接続される、請求項13に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項17】
前記膜は、前記膜の遠位端に接続されたビアを介して蓋に接続される、請求項14に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項18】
以下を含むMEMS圧力センサ:
複数の金属層のうちの1つから作られた膜であって、複数の穴を含む膜;及び
前記膜の下に配置され、前記複数の金属層のうちの別の金属層から作られた電極であって、前記膜と同じ形状を有するか、又は前記膜の前記複数の穴が位置する領域にわたって少なくとも延在する電極。
【請求項19】
前記金属層は、固体半導体プロセスの後工程の金属層を使用して形成される、請求項18に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項20】
前記膜は、前記複数の穴の各穴から少なくとも20μmの距離を有する、請求項18又は19に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項21】
前記膜に圧力が加えられたときに前記膜の変位を捕捉するために形成されたピストンをさらに含む、請求項18~20のいずれか1項に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項22】
前記複数の金属層の1組は、前記ピストンが変位するときに傾斜するように構成された可動電極である、請求項18~21のいずれか1項に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項23】
以下を含むMEMS圧力センサ:
複数の金属層のうちの1つから作られた金属層;及び
前記金属層の下に配置され、前記複数の金属層のうちの別の1組の金属層から作られた台座であって、前記金属層の中心における静電容量ギャップを減少させる台座。
【請求項24】
前記金属層は、圧力が加えられるとその中心位置から偏向される、請求項23に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項25】
前記複数の金属層は金属層M1~M6を含み、金属層M6は最上層の金属層であり、金属層M5は2番目に上層の金属層であり、前記台座は、金属層M1~M4、及び複数のビア構造V1~V3で作られている、請求項23又は24に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項26】
以下を含むMEMS圧力センサ:
複数の金属層のうちの1つから作られた金属層;及び
前記金属層の下に配置され、前記複数の金属層のうちの別の1組の金属層から作られた台座であって、前記別の1組の金属層が複数の翼状の金属層を含む、台座。
【請求項27】
前記金属層は、前記金属層の遠位端に接続されたビアを介して別の金属層に接続される、請求項25に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項28】
以下を含むMEMS圧力センサ:
複数の金属層のうちの1つから作られた金属層;及び
前記金属層の下に配置され、前記複数の金属層のうちの別の1組の金属層から作られたピストンであって、前記金属層に圧力が加えられるときに前記金属層の変位を捕捉する、ピストン。
【請求項29】
前記複数の金属層の1組は、前記ピストンが変位するときに傾斜するように構成された可動電極である、請求項25に記載のMEMS圧力センサ。
【請求項30】
以下を含むMEMS圧力センサ:
複数の金属層のうちの1つから作られた金属層;及び
前記金属層の下に配置され、前記複数の金属層のうちの別の1組の金属層から作られた台座であって、前記金属層が、複数の翼状金属層のうちの1つの翼状部分に一体的に接続された膜を含む、台座。
【請求項31】
前記台座は、前記金属層の中心から離れて位置する、請求項30に記載のMEMS圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月10日に出願された米国仮出願第63/231,503号に基づく優先権を主張し、その内容全体が本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、フォトリソグラフィ技術を使用して一連の層が堆積される半導体材料の基板を備えた半導体デバイスである。これらの層は、電気素子(例えば、抵抗、コンデンサ、又はインピーダンス)又は電子素子(例えば、ダイオード又はトランジスタ)が生成されるように、ドープ及び分極される。続いて他の層が堆積され、電気接続に必要な相互接続層の構造が形成される。
【0003】
微小電気機械又は微小電気機械システム(MEMS)は、フォトリソグラフィ技術に基づく層堆積技術を使用して作製される小型電気機械デバイスである。MEMSは、その内部にキャビティ又は中空空間を提供し、液体又は気体で満たすことができる。従来の集積回路は完全に固体のデバイス、つまり、いかなる中空もない。中空は、原子又は亜原子スケールでの中空よりも大きいキャビティとして定義できる。MEMSの内部には可動要素が含まれ得る。可動要素は、その端部の1つによってMEMS構造の残りの部分に結合されてもよいし、(緩んだ部分がMEMSから「逃げる」のを防ぐため)少なくとも部分的に閉じられたハウジング内で完全に緩んでいてもよい(すなわち、周囲に物理的に取り付けられていない)。チップは、MEMSデバイス及び集積回路(IC)を含むことができ、ICはMEMSを制御することができる。
【0004】
MEMSの応用例の1つは圧力センサである。圧力センサを構築するには、原則として、一方の側には一定の圧力があり、もう一方の側には測定する必要がある圧力の空気又はガスをサンプリングする膜があれば十分である。すると、この膜は両側の圧力差によって曲がったり変形したりするが、片側に動かない固定電極があると、固定電極と可動電極の間の電気容量が変化し、この静電容量の変化を測定することで圧力の変化を知ることができる。
【0005】
圧力センサを構築するための既存の設計は簡単に実装できるが、CMOSプロセスを使用して開発されたこのような最先端の圧力センサには、センサの性能、信頼性、歩留まりが大幅に制限され、ほとんど役に立たないという点で多くの重大な欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CMOSプロセスを使用して開発された既存の圧力センサのもう1つの問題は、アルミニウムのスパッタリング、PI蒸着、その他の材料などの新しい材料を追加してシールを作成する場合、そのような実装では膜の厚さが大幅に増加し、それによりセンサの感度が大幅に低下することである。
【0007】
さらに別の問題は、基準圧力が、膜が密閉されると膜の下に生成されるこのチャンバ内の圧力となることである。すべてではないにしても、ほとんどの半導体プロセスと同様に、CMOSではガス放出があることが知られているため、これは問題である。これは、基準キャビティに入るガス分子が存在し、最終的にはキャビティが完全に密閉されないことを意味する。したがって、キャビティと外気との間の圧力差に応じて、時間の経過とともに圧力がわずかに変化する可能性がある。したがって、キャビティ内の基準圧力は時間とともにドリフトし、この影響は温度とともに加速される。
【0008】
さらに、別の潜在的な問題は、膜が完全に露出してしまうことである。センサデバイスは、ほこりや水などの過酷な条件に対して耐性がない。ほこり、水、その他の汚染物が膜に落ちると、感度の変化やドリフトが生じ、最終的にはデバイスに永久的な損傷を与える可能性がある。用途によっては信頼性が不十分である。電子タバコやタイヤ空気圧監視システム(TPMS)など、汚れた雰囲気が存在する用途では問題になる可能性がある。また、既存の静電容量型センサと同様に、コストを削減し信頼性を向上させるために、検出機構を簡素化することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示で説明される主題の一態様によれば、MEMS圧力センサが提供される。MEMSセンサは、複数の金属層のうちの1つで作られた膜を含む。蓋は膜の上に配置され、膜の遠位端で複数のキャビティ壁に接続される。蓋は、蓋の領域上に配置された穴のアレイを含む。固定金属電極が蓋の下に配置される。
【0010】
本開示で説明される主題の別の態様によれば、MEMS圧力センサが提供される。MEMS圧力センサは、複数の金属層のうちの1つから作られた膜を含む。膜は複数の穴を含む。電極は、膜の下に位置し、複数の金属層のうちの別の金属層から作られ、膜と同じ形状を有するか、又は膜の複数の穴が位置する領域にわたって少なくとも延在する。
【0011】
本開示で説明される主題の別の態様によれば、MEMS圧力センサが提供される。MEMS圧力センサは、複数の金属層のうちの1つから作られた金属層を含む。台座は、金属層の下に位置し、複数の金属層のうちの別の1組の金属層から作られる。台座は、金属層の中心における静電容量ギャップを減少させる。
【0012】
本開示で説明される主題の別の態様によれば、MEMS圧力センサが提供される。MEMS圧力センサは、複数の金属層のうちの1つから作られた金属層を含む。台座は、金属層の下に位置し、複数の金属層のうちの別の1組の金属層から作られる。当該別の1組の金属層は、複数の翼状の電極を含む。
【0013】
本開示で説明される主題の別の態様によれば、MEMS圧力センサが提供される。MEMS圧力センサは、複数の金属層のうちの1つから作られた金属層を含む。ピストンは、金属層の下に位置し、複数の金属層のうちの別の1組の金属層から作られる。金属層に圧力が加えられると、ピストンは金属層の変位を捕捉する。
【0014】
本開示で説明される主題の別の態様によれば、MEMS圧力センサが提供される。MEMS圧力センサは、複数の金属層のうちの1つから作られた金属層を含む。台座は、金属層の下に位置し、複数の金属層のうちの別の1組の金属層から作られる。金属層は、複数の翼状金属層のうちの1つの翼状部分に一体的に接続された膜を含む。
【0015】
本開示の追加の特徴及び利点は、本開示の詳細な説明に記載されており、そこから明らかになる。
【0016】
本開示は、限定するものではなく例として添付図面に示されており、同様の要素を指すために同様の参照番号が使用される。様々な特徴が一定の縮尺で描かれていない場合があり、議論を明確にするために様々な特徴の寸法が任意に拡大又は縮小される可能性があることを強調しておく。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A図1A~1Eは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図1B図1A~1Eは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図1C図1A~1Eは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図1D図1A~1Eは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図1E図1A~1Eは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図2図2は、いくつかの実施形態による、図1A~1DのMEMS圧力センサの断面図の概略図である。
図3図3は、いくつかの実施形態による、図1A~1DのMEMS圧力センサのSEM画像である。
図4A図4A~4Dは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図4B図4A~4Dは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図4C図4A~4Dは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図4D図4A~4Dは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサを形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図5図5は、いくつかの実施形態による、図4A図4DのMEMS圧力センサの断面図の概略図である。
図6図6は、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサの断面図の概略図である。
図7図7は、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサの分解図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図8図8は、いくつかの実施形態による、図7のMEMS圧力センサの断面図の概略図である。
図9図9は、いくつかの実施形態による、膜の周囲に穴のアレイを有するMEMS圧力センサの断面図の概略図である。
図10A図10A~10Bは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサの展開図及び側面図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図10B図10A~10Bは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサの展開図及び側面図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図11A図11A~11Bは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサの金属層の展開図及び側面図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図11B図11A~11Bは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサの金属層の展開図及び側面図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図11C図11Cは、いくつかの実施形態による、図11A~11Bに示される圧力センサの断面図の概略図である。
図12A図12A~12Bは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサの金属層の展開図及び側面図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
図12B図12A~12Bは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサの金属層の展開図及び側面図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で提供される図及び説明は、本明細書で説明されるデバイス、システム、及び方法の明確な理解に関連する態様を示すために簡略化され、明確にするために、典型的な同様のデバイス、システム、及び方法に見られる可能性のある他の側面が省略される場合がある。当業者は、本明細書に記載の装置、システム、及び方法を実装するために他の要素及び/又は動作が望ましい及び/又は必要であることを認識する。しかし、そのような要素及び動作は当技術分野でよく知られており、本開示のより良い理解を促進しないため、そのような要素及び動作についての説明は本明細書では提供しないことがある。しかしながら、本開示は、当業者には既知である、記載された態様に対するすべてのそのような要素、変形、及び修正を本質的に含むものとみなされる。
【0019】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むことが意図される場合がある。「含む」、「含んでいる」、「備える」、及び「有する」という用語は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。本明細書に記載される方法ステップ、プロセス、及び操作は、実行順序として特に特定されない限り、議論又は図示された特定の順序で実行することを必ずしも必要とするものと解釈されるべきではない。追加のステップ又は代替ステップを使用できることも理解されたい。
【0020】
第1、第2、第3などの用語は、本明細書では様々な要素、コンポーネント、領域、層及び/又はセクションを説明するために使用される場合があるが、これらの要素、コンポーネント、領域、層及び/又はセクションはこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、層、又はセクションを別の要素、コンポーネント、領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用される場合がある。すなわち、「第1」、「第2」などの用語、及び他の数値用語は、本明細書で使用される場合、文脈によって明確に示されない限り、前後又は順序を意味するものではない。
【0021】
本開示の態様は、MEMS圧力センサ及びその形成を対象とする。圧力センサは蓋、膜、固定電極を含む。さらに、センサは、蓋の端に垂直壁と同じ形状を有する膜を含むことができ、それらを結合してキャビティを閉じることができる。このキャビティには基準圧力が含まれ得る。センサの最上部の金属層は、プロセスの最上部の金属層である場合もあれば、他の層にある場合もある。いくつかの実施形態では、穴の2つのアレイを有してもよい。
【0022】
圧力センサには、蓋、膜、及び周囲の壁で作られたキャビティ内の二酸化シリコンをエッチングするために、蓋を横切る穴の内部アレイが1つ含まれている。また、このキャビティの周りのボリュームをエッチングするための穴の外側のアレイ。このようにして、プロセスの最上部の金属層でなくてもよい金属層を使用して膜を作成することができる。いくつかの実施形態では、金属層には穴がないため、金属層を封止しなくてもよい。
【0023】
圧力センサは、固体半導体プロセスの後工程(backend-of-the-line、BEOL)金属層を使用して構築される。
【0024】
このために、例えば、プラズマ及び/又はHF及び他の化学物質を用いたウェットエッチングの組み合わせを使用する、さまざまな解決策が提案されている。これらのプロセスは、特にウェットエッチングを伴う場合、高い歩留まりで大量生産に導入することが困難である。
【0025】
以前に提案された単純な後処理アプローチは、単一の蒸気HF(vHF)マスクレス後処理ステップを使用することにある。vHFはBEOLの金属層の間に存在する酸化シリコンをエッチングして除去し、すべての金属を残す。これはバオラブによって提案された。シンプルなため、CMOS後処理アプローチとしては最も低コストである。さらに、同じCMOSファウンドリ内、又はパッケージング又はアセンブリハウス内で実装することもできる。
【0026】
このアプローチでは、MEMSデバイスは金属層(通常はAl又はAlCuとW)を使用して構築されるが、Cuなどの他の金属層も使用され得る。適切な設計を行えば、金属ケースの内部に酸化物を閉じ込めることが可能である。他の材料を使用することもできるが、それらはCMOS BEOL内に存在する必要がある。これまでのアプローチのほとんどは、MEMSを保護するために、LGAなどのラミネートパッケージなどの特別なパッケージを使用している。これにより、コストとサイズが増加し、CMOSプロセスを使用してMEMSを構築した場合に得られるサイズとコストの利点が最小限に抑えられるか、又は排除される。
【0027】
Baolabは、MEMSを保護するために最上部の金属層を使用する一方で、vHFがMEMSキャビティ内に侵入できるように小さな穴を設けることを提案した。その後、Alのスパッタリングとパターニングからなる後処理ステップの2番目のセットが適用され、MEMSデバイスが適切に密閉される。これは通常、CMOSプロセスに10%のコスト追加となる。これにより、梱包要件が簡素化され、ラミネートやその他の特別な梱包を使用する必要がなくなった。代わりに、QFNなどの標準的なパッケージング技術を使用できる。これにより、最終的なICのコストとサイズが削減される。
【0028】
上部の金属層に加えて、下部の金属層を使用して、MEMSデバイスが配置される金属キャビティを完成させた。これは、ほとんどのCMOSプロセスでは最下部の金属層であるM1の下にドープされた酸化シリコンが存在することを考慮して、底部に向かうvHFのエッチングを制限するために行われた。ドープされた酸化シリコンはvHFに対して非常に積極的に反応し、エッチング速度が急速に上昇し、除去するのが困難な非常に厄介な残留物が残る。これにより、この設計はほとんどのCMOSプロセスに移植可能になる。そうでなければ、BEOLの最下位金属層の下にドープされた酸化シリコンを持たない特殊なプロセスにのみ適用可能となるためである。
【0029】
Baolabのソリューションは、MEMSデバイスを実装するためにBEOLの材料を使用する他のソリューションと同様に、金属壁でMEMSデバイスを囲み、ASICダイ内のMEMSキャビティを定義する。このようにして電子機器がその周りに配置される。これらの金属壁の実装は、金属層(通常はアルミニウムで作られる)とビア(通常はタングステン)の積み重ねで作られる。ただし、下位のCMOSノード、つまり0.18umプロセス未満の場合は、材料が異なる可能性があり、主に銅が使用される。DRCルールでは金属層がビアの端を越えて伸びることが求められているため、原則として、これは真っ直ぐな垂直の壁ではない。ただし、面内容量センサの場合など、壁に露出する側面積を増やすことに関心がある場合は、これにいくつかの例外を設けることが可能である。これは、工場が受け入れなければならないDRVになる。
【0030】
Baolabのソリューションを使用すると、原則として垂直の金属壁が上部と下部の金属面を接続し、すべてのMEMSキャビティが電気的に短絡する。通常、これに関心が持たれないか、少なくともキャビティのどこでも起こっているわけではない。この問題を解決するために、Baolabは垂直インターリーブアンカー構造を使用した。これらの構造により、vHFは酸化シリコン層を横切って上昇し、枯渇するまで移動するため、エッチングされない酸化シリコンが残る。このようにして、上部と下部の金属プレートを電気的にショートさせることなく、機械的に一貫した壁が得られる。
【0031】
これが特に効果的である理由の1つは、通常、CMOSプロセスのBEOLの金属層間に堆積される酸化シリコン層が、それぞれが異なる酸化物密度を有する2つの異なる副層で構成されていることである。したがって、これらの層の1つはvHFで他の層よりも遅くエッチングされる。このように、vHFを使用して酸化シリコンを垂直方向にエッチングすることは、水平方向にエッチングするよりも難しくなる(すなわち、時間がかかる)。その後、エッチングは酸化シリコン副層の1つに沿ってより速く伝播する。これらのアンカー構造を使用すると、vHFが速いエッチング速度の副層を迅速に伝播することなく、すべての遅いエッチング速度の副層を横切ってエッチングするように強制される。これらのインターリーブアンカーは、上部の金属面の一貫性を高めるために、MEMSのさまざまな位置にカラム又はピラーを追加するために使用することもできる。これは、最終的にMEMSデバイスを破壊したり使用不能にしたりする上部金属面が曲がらないように、後の封止を典型的にはAlスパッタリングでサポートするという観点から特に重要である。
【0032】
これらのアンカー壁の主な問題は、上部と下部の金属面を電気的に切断したままにして機械的堅牢性を提供するものの、それらの間の電気容量が非常に大きいことである。これは、挟み込まれたアンカー構造の内側に互いに近接して配置された大きな表面があり、一方は上部プレートに、もう一方は底部プレートに接続されており、さらに悪いことに、この表面の重要な部分が酸化シリコンで満たされているためである。
【0033】
前の問題に関連するもう1つの問題は、上下の金属プレート間の寄生容量と、生産歩留まり及び信頼性との間に重大なトレードオフがあることである。この寄生容量を最小限に抑えるために、アンカー構造の長さを最小限にしてフィンガーの数及び/又はその高さを減らしたり、及び/又はエッチング時間を増やしたりすることができる。このようにして、この寄生容量を最小限に抑えたい場合は、vHFエッチング後に内部に最小限の量のシリコン酸化物が残る小さなアンカー構造が得られる。ただし、これは非常に弱い構造であり、機械的衝撃や振動、又は単にデバイスを密閉又は梱包する際に、簡単に機械的故障が発生する傾向がある。また、収量が低くなってしまう。わずかにオーバーエッチングすると、アンカー構造内の酸化シリコンが完全に除去され、上部と底部の崩壊が生じ、デバイスが完全に使用できなくなるためである。生産では、常に歩留まりの低下につながるため、重要なvHFエッチングのこの要件を回避する必要がある。その理由は、エッチング速度とMEMSキャビティ内でエッチングされる酸化シリコンは、vHFマシンと適用されるレシピの両方に依存するだけでなく、CMOSプロセスにも依存するためである。vHFマシンとそのレシピを厳密に制御することはできるが、CMOSプロセスを制御することはできない。CMOSプロセスの許容誤差は通常30%程度である。
【0034】
MEMSデバイスを実装するにはすべての金属層が必要になる可能性があること(したがって、特別なパッケージングプロセスが必要であり、最下部の金属プレートの下にドープされた酸化シリコンを使用しない特定のCMOSプロセスが必要であり、大きな寄生容量が必要である)に加えて、MEMSを実装するためにCMOSBEOLの材料を使用するすべてのソリューションに伴う2つの大きな問題は、歩留まりと信頼性である。これらの問題は、上部と下部の金属プレーンを使用するBaolabアプローチを使用する場合にさらに重要になる。しかし、それらを使用しない場合、プロセスはより複雑で高価になり、コスト上の利点が失われるだけでなく、量産、市場投入までの時間、さらにはパフォーマンス上の利点も失われる。
【0035】
MEMSデバイスを実装するためにCMOSプロセスのBEOL金属を使用するときに見つかる大きな問題の1つは、垂直方向の応力勾配である。これは、オーダーメイドのMEMS製造プロセスで最小限に抑えられるものである。ただし、CMOSでは、これらの金属線は機械的構造を実装することを意図したものではなく、ソリッドステートIC内で酸化シリコンに囲まれた電気的接続のみを目的としているため、残留応力はそれほど関心を持たれず、通常は大きな値になる。大きな残留応力に加えて、通常、大きな垂直応力勾配が見受けられる。その結果、金属は通常は上向きに曲がったり丸まったりするが、層によっては、特に上の層では下向きになる場合がある。上下の金属プレーンを使用する場合、この曲がりは大きな懸念事項になる。その場合、デバイスの上下に利用できる垂直方向の隙間の間隔が最小限になり、簡単に接触してしまう可能性があるためである。MEMSデバイスが上部又は下部の金属面に触れると、使用できなくなる。これは、歩留まりと信頼性の非常に低下につながる。
【0036】
この問題を少し軽減する1つの可能性は、この垂直ギャップ距離を増やし、MEMSデバイス自体に使用される金属層の数を減らすことである。ただし、これによりギャップが大きくなり、同じ変位に対する特定のセンサの相対静電容量の変化が減少するため、面外方向の性能が低下する。また、慣性センサの場合、プルーフマスを小さくせざるを得なくなり、利用可能な金属層をすべて使用できなくなり、性能がさらに低下する。また、慣性センサの場合のプルーフマスなど、デバイスの可動部分を構築するために使用される金属層の数を減らすと、後で説明するように、曲率がさらに増加する。したがって、MEMSデバイスの曲率高さを最小限に抑える必要がある。これは、MEMSデバイス全体又はその特定の要素に沿った金属層の、面外方向の最大垂直変位として定義される。
【0037】
この問題に対する既知の解決策の1つは、2つ以上の金属層を積み重ねることである。このようにして、得られる金属構造の曲率半径を大きくし、全体の曲率の高さを下げる。しかし、これは慣性センサのプルーフマスなど(センサの感度を向上させるために、バネなどの他の部分のサイズをできるだけ大きくしたいものである)、MEMSデバイスの一部の部品を設計する場合には優れたソリューションであるが、剛性が非常に大きくなり、感度が大幅に低下する。実際、剛性は長さと厚さの3乗に反比例するため、厚さを増やすとすぐに非常に硬いバネが得られる。これは、センサの感度が非常に低く、アクチュエーターの駆動電圧が大きいことを意味する。さらに、多くの層の積層はプロセス内の金属層の数によって制限されるため、BEOLでより多くの金属層を含むCMOSプロセスを変更又は使用する必要がある場合、そのコストは急速に増加する。
【0038】
要約すると、標準のCMOSプロセスに存在するBEOL材料を再利用し、vHFを使用してMEMSキャビティ内の酸化シリコンの一部をエッチングして除去し、MEMSデバイスを実装するための適切な設計(これは後でWLCSPでパッケージ化することができ、これらのデバイスは非常に高い歩留まり、信頼性、及びパフォーマンスを備えている)を見つける必要がある。
【0039】
CMOSの後にvHFエッチングの後処理ステップを使用する場合のさらに別の問題は、CMOSウェハの上部に堆積及びパターン化されたSiNパッシベーション層が、vHFによって部分的にエッチングされてしまうことである。これは、実際には、非常に短いvHFエッチングステップを実行しない限り、SiNパッシベーション層の大部分又は全体がエッチングされてしまうことを意味する。これにより、ウェハ内に厄介な残留物が残り、シリコン酸化物をエッチングして除去すべきではないASIC領域を含むウェハ全体が露出することになる。
【0040】
これを防ぐ既知の解決策は、パッシベーションのシリコン含有量を増やすことであり、通常は層の屈折率又はRIによって測定される。技術的には複雑なことではないが、これにはプロセスの調整が必要であり、大規模な主流のファウンドリにとって、それを受け入れることは非常に困難である。最終的に、この要件は、完全に標準的なCMOSプロセスを使用できなくなることを意味し、したがって、低コスト、市場投入までの時間の短縮、及び大量生産能力という利点をある程度失うことになる。
【0041】
様々な態様において、本明細書に開示されるシステム、デバイス、及び方法は、CMOSプロセスのBEOL内の酸化シリコンの一部をエッチング除去するためのvHFエッチングから得られるか、又はそれを使用して、MEMSデバイスを構成するBEOL内に存在する材料を解放する(例えば、米国特許第11,312,617号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0042】
いくつかの態様は、CMOSプロセスのBEOLの材料を使用してMEMSデバイスを製造する方法を含み得、当該方法は、vHFの後処理とポストバッキングを適用してMEMSデバイスを形成し、以下を形成することを含む:複数の金属層のうちの1つで作られた膜;膜の上に配置され、膜の遠位端で複数のキャビティ壁に接続された蓋であって、蓋の領域上に配置された穴のアレイを含む蓋;蓋の下に配置された固定金属電極。いくつかの態様は、CMOSプロセスのBEOLの材料を使用してMEMSデバイスを製造する方法を含み得、当該方法は、vHFの後処理とポストバッキングを適用してMEMSデバイスを形成し、以下を形成することを含む:複数の金属層のうちの1つから作られた膜であって、複数の穴を含む膜;膜の下に配置され、複数の金属層のうちの別の金属層から作られた電極であって、膜と同じ形状を有するか、又は膜の複数の穴が位置する領域にわたって少なくとも延在する電極。
【0043】
本願を通じて説明されるすべての発明概念は、原理的にはCMOSに適用されるが、BiCMOS、GaAs、SiGe、GaN、SOIなどの他の固体半導体プロセスのBEOLにも適用可能である。
【0044】
図1A~1Eは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサ100を形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。圧力センサ100は、CMOSプロセスのバックエンドの最上位の4つの金属層を使用して構築される。特に、合計6つの金属層を持つ0.18μmノードが使用される。これは、最下位の2つの金属層(M1及びM2)が使用されないことを意味する。したがって、金属層M1及びM2を使用して、その下に特定用途向け集積回路(ASIC)を実装できる。圧力センサ100は、図1Aに示すように、円形の金属層M4を含む。金属層M4は、下部金属面及び電極として動作するように構成される。図1Bに示すように、円形の金属層M5が金属層M4上に配置されている。金属層M5は、その中央領域に配置された膜102を含む。さらに、金属層M5は、膜102の周囲に穴104の外側アレイを形成するいくつかの穴を有する。
【0045】
図1Cに示すように、ビア構造106が膜102の周囲に配置される。ビア構造V5は、図1Eに示すように、圧力センサ100の内部キャビティを画定し、膜102の端部を固定する2つのビアリング114A及び114Bで作られた二重壁構造を含む。さらに、ビア構造V5は、圧力測定のために内部に酸化物をトラップするために使用され得る。図1Dに示すように、円形の金属層M6が金属層M5上に配置され、圧力センサ100の蓋として機能する。金属層M6は、穴108の内側アレイと穴110の外側アレイを含む。内側の穴アレイ108の穴は、膜102へのアクセスを提供するように配置されている。また、穴104及び110の外側アレイの穴は、金属層M4へのアクセスを提供するように位置合わせされる。いくつかの実施形態では、内側の穴アレイの穴は、各穴から少なくとも20μmの距離を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、金属層M4、M5、及びM6は、円形ではない形状を有する。金属層M4、M5、及びM6は、固体半導体プロセスのBEOL金属層を使用して構築される。
【0047】
圧力センサ100は、CMOSプロセスのバックエンドの最上位の4つの金属層を使用して構築される。特に、合計6つの金属層を持つ0.18μmノードが使用される。これは、最下位の2つの金属層(M1及びM2)が使用されず、その下のASIC回路の実装に使用できることを意味する。最下層の金属層はM4で、直径は100μmである。これは静電容量の下部固定電極である。金属層M4の上の金属層M5は同じサイズである。穴の外側アレイ110の穴は、0.8μmのサイズであり、金属層M5の半径14μmから18.5μmまでの環状領域に位置する。
【0048】
これらの穴の目的は、ウェハの後処理中に、直径25μmの膜102の下まで完全にフッ酸蒸気(vHF)エッチングプロセスを実行できるようにすることである。膜102上の金属層M5とM4の間の酸化物はすべて完全にエッチング除去される。このため、穴は膜102の外側に配置する必要がある。また、穴があまり遠くまで延びないことが好ましい。これにより、膜102の周囲のエッチングが増加し、機械的一貫性が低下することになるからである。
【0049】
金属層M6は、金属層M5と同じ形状を有する。穴の内側アレイ108の穴は、直径25μmを有する金属層M6上の円形領域に配置される。これは、膜102上の酸化シリコンをすべてエッチングするためである。ビア構造V5は、金属層M5とM6の間のビア層である。ビアリング114A及び114Bは、ビア構造V5のような標準幅、典型的には0.36μmを有し得る。この場合、ビアリング114A及び114Bは、内部に酸化物を捕捉するように構成され、水平方向に酸化物+タングステンからなるより堅牢な複合壁を構築する。この壁は、膜102の外側であるが、金属層M5の穴104の外側アレイの内側に位置する。
【0050】
いくつかの実施形態では、壁を形成するために単一のビアリングが使用される。いくつかの実施形態では、壁を形成するために複数のビアリングが使用される。これは、非常に広い温度範囲が必要な一部の用途に適用できる。このような状況では、アルミニウム、タングステン、及び酸化シリコン間の熱係数の不一致により、金属のみの壁が使用され、ビアリングが1つだけ必要になる。
【0051】
膜102は、上部及び下部の両方に酸化シリコンを全く含まず、ビア構造V5及び二酸化シリコンを使用して作られた壁によってその端で固定され得る。膜102の外側の金属層M5の残りの部分は、膜として機能しない。これには次の2つの理由がある:1.)上面と下面の間に圧力差はない;そして2.)金属層M5の残りの部分の大部分が二酸化シリコンに埋め込まれる。したがって、金属層M5の遠位部分はBEOLの周囲の二酸化シリコンにしっかりと取り付けられ、したがって膜102をしっかりと支持する。なお、vHF後処理は、金属層M5のエッジに到達する前に尽きる。
【0052】
静電容量を検知するためのASICへの電気接続は、金属層M5又はM6と金属層M4の間の任意の点で行われる。いくつかの実施形態では、静電容量の検出は、従来の相互コンダクタンス増幅器回路を使用して行われる。いくつかの実施形態では、静電容量の検出は、周期的に充電されるRC回路を実装するためにMEMSを使用して行われる。出力はコンパレータに送られ、コンデンサを特定の値まで充電するのにかかる時間をカウントする。いくつかの実施形態では、静電容量の検出は、MEMS圧力センサの静電容量に依存し得る周波数を生成するリング発振器を実装するためにMEMS静電容量を使用して達成される。これはカウンタを駆動するために使用でき、一定期間後に圧力センサの静電容量値に応じてカウント数が得られる。いくつかの実施形態では、静電容量の検出は、静電容量を測定するために使用できる他の回路を使用して行われる。
【0053】
図2は、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサ100の断面図の概略図である。特に、図2は、vHFエッチングプロセスを使用して処理された二酸化シリコン層202を示す。さらに、圧力センサ100のCMOS処理に関連するパッシベーション層204A及び204Bは、二酸化シリコン層202を腐食から保護及びシールドするために二酸化シリコン層202上に配置される。シール206は、穴108の内側アレイ上に配置され得る。
【0054】
シール206を使用する1つの理由は、膜102がまったく露出しないように保護することである。あらゆる汚れ又は汚染物は、穴110の外側のアレイを通過しなければならないが、そのサイズが小さいためにすでに困難であり、その後、移動して金属層M4の表面に到達する必要がある。膜102の上の穴108の内側のアレイが開いたままであり、その周囲の穴が密閉されていた場合、一部の汚れ又は汚染物が穴108の内側のアレイの上部の金属穴を通過する可能性がある。これは、膜102の上の表面に直接到達することになる。したがって、穴108の内側のアレイを封止し、穴を外側領域に残すこのアプローチは、追加レベルの保護を追加する。シール206を使用する別の理由は、シール206が膜102内の圧力基準を維持するためであり、膜102のすべての内面は金属(アルミニウム及びタングステン)で作製され得る。これにより、時間の経過とともにこの基準圧力のドリフトを引き起こすガス放出効果が防止されるか、非常に困難になる。
【0055】
いくつかの実施形態では、シール206は、内側の穴アレイ108の穴が封止されるように、金属を局所的に溶融するためのレーザーブリーディング又は同様の技術を使用して形成される。いくつかの実施形態では、シール206はシーリングを使用して形成される。いくつかの実施形態では、標準的な半導体技術及びリソグラフィ技術を使用して、穴108の内側アレイの穴上に封止材を堆積させてパターン形成することができる。いくつかの実施形態では、シール206は、アルミニウムのスパッタリングを使用して形成される。いくつかの実施形態では、シール206は、ウェハレベルチップスケールパッケージ(WLCSP)プロセスなどの標準的なPIシールを使用して形成される。いくつかの実施形態では、シール206は、内側の穴アレイ108の穴を封止するためにパッシベーション層204の窒化シリコン残留物を使用して形成される。いくつかの実施形態では、シール206は、WLCSPにおける標準的なバンピング技術を使用して、バンプを堆積することによって形成される。
【0056】
金属層M4の端部は、二酸化シリコン層202内に延在してしっかりと固定され、容量性アンカー210A及び210Bを形成し、金属層M5の端部は、二酸化シリコン層202内に延在してしっかりと固定され、容量性アンカー212A及び212Bを形成する。容量性アンカー214A及び214Bは、二酸化シリコン層202内に延在してしっかりと埋め込まれている金属層M4の端部によって画定される。容量性アンカー210、212、及び214は、金属層M4、M5、及びM6に機械的支持を提供し、膜102における圧力を測定するのに必要な静電容量を提供するように構成されている。
【0057】
圧力センサ100は、圧力を測定するためにガスを捕捉するためのキャビティ216を含む。キャビティ216は、ビア構造V5を使用して形成されたキャビティ壁218A及び218Bを提供する。キャビティ壁218A及び218Bは、シール206と協働して、ガス放出を最小限に抑え、圧力測定精度を高めるように構成される。
【0058】
図3は、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサ100のSEMである。特に、図3は、SiNパッシベーション層のエッチングから生じる残留物302を示す。これは、穴を有することができない膜102の下のすべての酸化物を完全にエッチング除去するのに必要なvHFエッチングプロセスに伴う長いエッチング時間に起因する望ましくない効果である。残留物302は、穴の内側アレイ108及び穴の外側アレイ110のエッチング穴をさえ塞いでいる。この問題に対処する1つの方法は、vHFエッチングプロセスに対してあまり積極的ではないアプローチを使用することである。もう一つはエッチング時間を調整することである。別のオプションは、パッシベーション層のシリコン含有量を増やしてRIを増やすことである。これは、エッチングされるSiNの抵抗が増加するためである。
【0059】
2つの電極に電圧を印加すると(下の固定電極は金属層M4を介し、膜は金属層M5又はM6を介する)、インピーダンスアナライザーで静電容量の変化を測定し、圧力に対する感度(静電容量の変化対圧力の変化)を導き出すことで、剛性と共振周波数が計算される。驚くべきことに、膜は予想よりも比較的柔らかい。この柔らかさは、慣性センサなどの他のMEMSセンサと比較して、穴のない長い膜の下の二酸化シリコンをエッチングするのに必要なエッチング時間が長いことに起因する可能性がある。エッチング時間が長くなると、金属層のARC/TiN副層がより多くエッチングされ、膜の全体的な剛性が低下する。これは、より感度の高い圧力センサにつながり、vHFエッチングプロセスでより長い又はより短いエッチング時間を使用して調整できるため、好ましい。一定の時間が経過し、すべてのARC/TiN副層がなくなると、圧力センサの柔らかさと感度はそれ以上改善されなくなる。
【0060】
図4A~4Dは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサ400を形成するプロセスの概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。圧力センサ400は、図4Aに示すように、円形の金属層M4を含む。金属層M4は、直径100μmの下部固定電極として機能するように構成される。図4Bに示すように、円形の金属層M5が金属層M4の上に配置される。金属層M5は、圧力センサ300用の膜として動作するように構成される。図4Cに示すように、直径25μmを有する二重リングビア402が金属層M5上に配置される。図4Dに示すように、円形の金属層M6が二重リングビア402の上に配置される。この場合、金属層M6は、圧力センサ400の蓋として構成される。また、金属層M6は、穴404の内側アレイと穴406の外側アレイとを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、金属層M4、M5、及びM6は、円形ではない形状を有する。金属層M4、M5、及びM6は、固体半導体プロセスのBEOL金属層を使用して構築される。
【0062】
圧力センサ400は、膜/金属層M5が二酸化シリコン層まで延在しないように構成される。この場合、金属層M5は容量性アンカーを含む。これは、金属層M5の端部に二重リングビア406を用いて構築されたキャビティの垂直壁が、膜M5をその端部で固定するのに十分であるためである。これについては図5でさらに詳しく説明する。
【0063】
いくつかの実施形態では、金属層M6は使用されず、任意選択の特徴である。
【0064】
図5は、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサ400の断面図の概略図である。特に、図5は、vHFエッチングプロセスを使用して処理された二酸化シリコン層502を示す。さらに、パッシベーション層504A及び504Bは、二酸化シリコン層502を腐食から保護及び遮蔽するために二酸化シリコン層502上に配置される。シール506は、穴108の内側アレイの穴の上に配置され得る。なお、シール506は、シール206について本明細書に記載されるのと同じアプローチを使用して形成される。
【0065】
圧力センサ400は、圧力を測定するためにガスを捕捉するためのキャビティ516を含む。キャビティ516は、二重リングビアV5を使用して形成されたキャビティ壁518A及び518Bを含む。キャビティ壁518A及び518Bは、シール506と協働して、ガス放出を最小限に抑え、圧力測定精度を高めるように構成される。さらに、各キャビティ壁518A及び518Bは、vHFエッチングプロセスによってエッチングされなかった二酸化シリコン層502からの酸化物で充填された領域520を含む。
【0066】
金属層M4の端部は延在し、二酸化シリコン層502内にしっかりと固定されて、容量性アンカー510A及び510Bを形成する。金属層M6の端部は延在し、二酸化シリコン層502内にしっかりと固定されて、容量性アンカー512A及び512Bを形成する。容量性アンカー510及び512は、金属層M4及びM6に機械的支持を提供し、膜/金属層M5における圧力を測定するために必要な静電容量を提供するように構成される。
キャビティ壁518A及び518Bの端部は、膜/金属層M5を固定するのに十分な機械的支持を提供する。
【0067】
図6は、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサ600の断面図の概略図である。圧力センサ600は圧力センサ400に類似する。主な違いは、より大きなキャビティ壁602A及び602Bを追加して、より大きなキャビティ604を生成し、圧力センサ600の金属層M1の長さを短くしていることである。より大きなキャビティ壁602A及び602Bは、垂直に積み重ねられた二重リングビア406などの追加の二重リングビアを使用して形成され得る。圧力センサ600は、金属層M1のサイズを縮小することによって、金属層M6の拡張部を有する金属層M1との間の寄生を低減するが、金属層M6と同じサイズである必要はない。金属層M1の長さが短く、キャビティ壁602が大きいことにより、処理のために金属層M1に到達するためにvHFエッチングプロセスが必要ないため、金属層M1の下のIMD酸化物が保護される。金属層M1の下のIMD酸化物にはvHFプロセスが到達しないように保護することが好ましい。なぜなら、この酸化物は通常ドーピングされており、ひどい反応を引き起こし、ウェーハをダメにするからである。
【0068】
図7は、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサ700の分解図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。圧力センサ700は、圧力センサ700のすべての構造を支持し、金属層M1の下のIMD酸化物にvHFプロセスが到達するのを防ぐ下部金属面である円形金属層M1を含む。金属層M1の直径は90μmであってもよい。リングビアV1は、直径25μmの金属層M1の上に配置される。金属層M2は、リングビアV1の上に配置される。金属層M2は、リングビア702内に円形の金属面704が設定されたリングビア702を含む。リングビア702の直径は42μmであり、円形の金属面704の直径は25μmである。ビア構造V2は金属層M2の上に位置する。ビア構造V2は、第1のビアリング706を含み、第2のビアリング708が第1のビアリング706内に配置される。第1のリングビア706の直径は42μmであり、第2のリングビア708の直径は25μmである。
【0069】
金属層M3は、ビア構造V2の上に配置される。金属層M3は、リングビア710内に位置する円形の金属面712を有するリングビア710を含む。リングビア710は42μmの直径を有し、円形の金属面712は25μmの直径を有し得る。ビア構造V3は金属層M3の上に位置する。ビア構造V2は、第1のビアリング714を含み、第2のビアリング716が第1のビアリング714内に配置される。第1のリングビア714は42μmの直径を有し、第2のリングビア716は25μmの直径を有し得る。
【0070】
金属層M4は、ビア構造V3の上に配置される。金属層M4は、リングビア718を含み、リングビア718内に位置する円形の金属面720を有する。リングビア718は42μmの直径を有することができ、円形の金属面720は25μmの直径を有することができる。ビア構造V4は、金属層M4の上に位置するリングビア722である。リングビア722は、42μmの直径を有し得る。
【0071】
金属層M5は、ビア構造V4の上に配置される。金属層M4は、リングビア724と、リングビア718内に位置する円形の金属面である圧力センサ700の膜726とを含む。リングビア724の直径は42μmであり、膜726の直径は25μmである。ビア構造V5は金属層M5の上に位置する。第1のリングビア714は、42μmの直径を有し得る。ビア構造V5は、第1のビアリング728内に配置された二重リングビア730を有する第1のビアリング728を含む。二重リングビア730は、膜キャビティの垂直壁を画定するように構成され、vHFエッチングプロセス後に酸化シリコンを内部に捕捉する。これは、図8にさらに詳細に示されている。
【0072】
金属層M6は、ビア構造V5の上に配置される。金属層M6は、圧力センサ700の蓋として構成された円形の金属面732を含む。さらに、金属層M6は、穴734の内側アレイと穴736の外側アレイとを含む。穴734の内側アレイの穴は、膜726へのアクセスを提供するように配置される。また、穴736の外側アレイの穴は、金属層M1へのアクセスを提供するように位置合わせされる。これは、図8にさらに詳細に示されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、金属層M1~M6は、円形ではない形状を有する。金属層M1~M6は、固体半導体プロセスのBEOL金属層を使用して構築される。
【0074】
いくつかの実施形態では、金属層M6は使用されず、任意選択の特徴である。
【0075】
図8は、いくつかの実施形態による、圧力MEMSセンサ700の断面図の概略図である。特に、図8は、本明細書に記載のvHFエッチングプロセスを使用して処理された、図2に記載の二酸化シリコン層202と同様の二酸化シリコン層802を示す。さらに、パッシベーション層804A及び804Bは、二酸化シリコン層802を腐食から保護及び遮蔽するために二酸化シリコン層802上に配置される。シール806は、穴734の内側アレイ上に配置され得る。なお、シール806は、シール206について本明細書で説明したのと同じアプローチを使用して形成される。いくつかの実施形態では、シール806は使用されず、任意選択のコンポーネントである。
【0076】
圧力センサ700は、圧力を測定するためにガスを捕捉するためのキャビティ816を含む。キャビティ816は、ビア構造V5を使用して形成されたキャビティ壁818A及び818Bを含む。キャビティ壁818A及び818Bは、シール806と協働して、ガス放出を最小限に抑え、圧力測定の精度を高めるように構成される。さらに、各キャビティ壁818A及び818Bは、vHFエッチングプロセスによってエッチングされなかった酸化シリコン層802からの酸化物で充填された領域821を含む。
【0077】
金属層M6の端部は延在し、二酸化シリコン層802内にしっかりと埋め込まれ、容量性アンカー810A及び810Bを形成する。金属層M1の端部は延在し、二酸化シリコン層502内にしっかりと埋め込まれ、容量性アンカー812A及び812Bを形成する。容量性アンカー810及び812は、金属層M6及びM1に対する機械的支持と、膜圧力726を測定するために必要な静電容量とを提供するように構成されている。キャビティ壁818A及び818Bの端部は、膜726を固定するのに十分な機械的支持を提供する。
【0078】
台座820は、金属層M1及び金属プレーン704、712、及び720と併せてビアリングV1、708、及び716を使用して形成される。特に、台座820は、膜726及び蓋(金属層M6)を支持し、膜とその下の固定電極との間の距離を追加するように構成される。圧力センサ700は、圧力センサ100及び400とは異なるアンカータイプを使用する。台座820は、よりコンパクトな設計をもたらすことができるが、エッチングが依然としてパッシベーション層802の下の水平サイズを決定する可能性がある。それにもかかわらず、寸法とプロセスパラメータが正しくても、寄生容量が低下し得る。台座820及びvHFエッチングは、寄生容量と歩留まりとの間でトレードするように調整する必要がある。さらに、台座820は、vHFエッチングプロセスによってエッチングされなかった酸化シリコン層802からの酸化物で充填されたいくつかの領域824を含む。
【0079】
垂直容量性アンカー822A及び822Bは、ビアリング702、706、710、714、718、722、724、及び728と金属プレーン704、712、720、及び726を使用して形成される。垂直容量アンカー822A及び822Bは、垂直容量アンカー822A及び822Bが隣接する二酸化シリコン層802の側壁がvHFエッチングプロセスによってエッチングされるのを保護及び防止するように構成される。さらに、垂直容量性アンカー822A及び822Bは、圧力センサ700の蓋となるように構成された金属層M6に追加の支持を提供する。
【0080】
図9は、いくつかの実施形態による、膜904の周囲に穴902のアレイを有するMEMS圧力センサ900の断面図の概略図である。特に、図9は、本明細書に記載のvHFエッチングプロセスを使用して処理された、図2に記載の二酸化シリコン層202と同様の二酸化シリコン層906を示す。さらに、パッシベーション層908A及び908Bは、二酸化シリコン層904を腐食から保護及び遮蔽するために二酸化シリコン層906上に配置される。シール910A及び910Bは、穴902のアレイ上に配置され得る。なお、シール910A及び910Bは、シール206について本明細書に記載されるのと同じアプローチを使用して形成される。いくつかの実施形態では、シール910A及び910Bは使用されず、任意選択の構成要素である。
【0081】
いくつかの実施形態では、シール910及び910Bは、蒸着を使用して、又はレーザーブリード又は他の技術によって形成される。
【0082】
いくつかの実施形態では、穴のアレイは、膜904を形成する金属層M6全体にわたって配置される。
【0083】
いくつかの実施形態では、穴のアレイは、金属層M6の周縁に、又は金属層M6の中心から所定の半径方向距離内に配置される(図9に示すように)。これにより、エッチング時間が長くなり、金属層のTiNサブ層がエッチングで除去され、Al層のみが露出し、層の剛性が低下し、圧力900の感度が増加する。いくつかの実施形態では、300℃で1時間などのアニーリングにより、金属層の剛性がさらに低下する。
【0084】
圧力センサ900は、金属層M5、M6を含む。金属層M5は、下層電極として構成されている。金属層M5の端部は、二酸化シリコン層906内に埋め込まれてしっかりと固定され、容量性アンカー912A及び912Bを形成する。金属層M6の端部は、二酸化シリコン層906内に埋め込まれてしっかりと固定され、容量性アンカー914A及び914Bを形成する。金属層M6の一部は、圧力センサ900の膜904として使用される。圧力センサ900の構成により、膜904には穴がないため、膜904をシールする必要がなくなる。また、穴のアレイ902の穴は、金属層M6上及び膜914の周囲に形成される。
【0085】
図10A~10Bは、いくつかの実施形態による、二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板を示さない、MEMS圧力センサ1000の展開図及び側面図の概略図である。圧力センサ1000は、図10Aに示すように、直径100μmの下部電極となる円形の金属層M1を備える。リングビアV1は金属層M1上に配置される。円形の金属層M2がリングビアV1上に配置される。リングビアV2は金属層M1上に配置される。円形の金属層M3がリングビアV2上に配置される。リングビアV3は金属層M1上に配置される。
【0086】
金属層M4はリングビアV3上に配置される。金属層M5は金属層M4上に位置する。さらに、金属層M5は、圧力センサ1000の膜1004を含むように構成される。さらに、金属層M5は、金属層M5の上面にいくつかの穴を有する穴のアレイ1002を含む。圧力センサ1000の最上層は、剛性を最小限に抑えながら膜1004となるように構成されることが好ましい。
【0087】
いくつかの実施形態では、圧力センサ1000の金属層M1~M5は、円形ではない形状を有する。金属層M1~M6は、固体半導体プロセスのBEOL金属層を使用して構築される。
【0088】
圧力を加えると、膜1004はその中央位置でたわみ、縁部の周囲のたわみは最小限に抑えられる。これは、膜1004の外側領域の静電容量変化への寄与が最小限であることを意味する。しかしながら、膜1004のこれらの外部領域は、初期静電容量に寄与する可能性がある。
【0089】
圧力センサ1000は、変位又はたわみが最大となる膜1004の中央部分での初期静電容量に対してより顕著な寄与を強制する。これを行う方法は、金属層M1を膜1004の直下ではなく、その下のいくつかのレベルに配置することである。図10Bに示すように、金属層M1~M4及びリングビアV1~V3を積層することにより、円筒形状の台座1006が形成される。なお、台座1006は、膜1004の中心の静電容量ギャップを減少させ、周囲の静電容量ギャップを増加させるように構成されている。台座1006は、膜1004の中心に位置し、金属層M1に取り付けられてもよい。
【0090】
圧力センサ1000の厚さを最小限に抑えるために、M6などの追加の上部金属層を使用しないことが好ましい。いくつかの実施形態では、膜は、膜1004の中心にも端にも位置しない穴を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、圧力センサ1000は、台座1006を形成するための追加のビアを含む。いくつかの実施形態では、膜1004は他の金属層M1~M4上に実装される。いくつかの実施形態では、金属層M5が最上金属層でない場合、膜1004は最上金属層上に実装される。
【0092】
図11A~11Bは、いくつかの実施形態による、フルレバレッジ膜を備えたMEMS圧力センサ1100の金属層の展開図及び側面図の概略図である(二酸化シリコン、パッシベーション、及び基板は示していない)。圧力センサ1100は、図11Aに示すように、下部電極となる円形の金属層M1を含む。金属層M2は金属層M1上に位置する。金属層M2は可動電極として構成されている。ビア層V2は金属層M2上に位置する。ビア層V2は金属層M2と同様の設計を有しており、移動可能である。金属層M3は、ビア層V2上に位置する。金属層M3は、金属層M2と同様の構造を有し、可動である。ビア層V3は、金属層M3上に円形に配置された多数のビア1102を含む。金属層M4は、ビア層V3上に位置する。金属層M4は、ビア1102上に配置されたいくつかのブリッジ又はバネ1104からなる。
【0093】
ビア層V4は金属層M4上に位置する。ビア層V4は、ブリッジ又はバネ1104上に位置する第1の部分1106を有する。ビア層V4の第2の部分1108は、金属層M4の残りの部分上に位置する。金属層M5は、ビア層V4上に位置する。金属層M5は、ビア層V4の第1の部分1106上に位置する第1の部分1110を含む。金属層M5の第2の部分1112は、金属層M4の残りの部分上に位置する。ビア層V5は、金属層M5の第1の部分1110上に位置するリングビアである。金属層M6は、ビア層V5上に位置する。金属層M6は、圧力センサ1100の膜1114を含むように構成される。
【0094】
金属層M1及びM4~M6は、図11Bに示すように、円形の形状及び半径方向の寸法を有するように構成される。いくつかの実施形態では、金属層M1及びM4~M6は、円形とは異なる形状を有するように構成される。金属層M2及びM3は正確な半径寸法を持っているが、金属層M1及びM4~M6よりも比較的小さい。ビア層V2は円形の形状を有し、ビア層の場合には金属層M2及びM3と同様のサイズである。ビア層V4は円形であり、径方向にビア層V2よりも大きいが、金属層M1及びM4~M6よりは小さい。
【0095】
いくつかの実施形態では、圧力センサ1000の金属層M1~M5は、円形ではない形状を有する。金属層M1~M6は、固体半導体プロセスのBEOL金属層を使用して構築される。
【0096】
図11Cは、いくつかの実施形態による、圧力センサ1100の断面図を示す。この場合、パッシベーション層1122は二酸化シリコン層1120に配置される。図1に示される実施形態では、圧力センサ1100の図11Cに示されるように、穴1120のアレイは膜1114上に配置され得る。なお、圧力センサ1100は膜1114を利用して超音波の圧力を生成又は感知する。いくつかの実施形態では、膜1114は穴のアレイを含まなくてもよい。
【0097】
さらに、圧力センサ1100は、膜1114の変位を捕捉し、それを圧力センサ1100の内側に向かって伝達するために、その中心に内部ピストン1116を含む。ブリッジ又はバネ1104は、一方の側が中央ピストン1122に、他方の側が固定支持体1112に取り付けられ、ピストン1122が垂直に変位すると、ブリッジ又はバネ1104が傾斜する。金属層M2及びM3及びビア層V2は、金属層M1を含むブリッジ又はバネ1104に対して平行に傾斜している。内部電極1120A及び1120Bは、1つの金属層だけを使用すると曲がりすぎるため、積層された金属層M2及びM3を使用して実装される。
【0098】
いくつかの実施形態では、金属層M4及びM5は、中央ピストン1116(これは、同じ金属層M4及びM5に加えて、金属層M5を金属層M5で作られた膜1114に接続するビア層V4及びV5で作られている)の変位を可能にするために中央に穴を含む。圧力センサ1100の中心のこの穴は、金属層M4のレベルでブリッジに一致する直線で満たされている。
【0099】
いくつかの実施形態では、金属層M4で作られたブリッジ又はバネ1104は、中央ピストンが垂直に変位すると傾斜する。それぞれは、金属層M2及びM3とビア層V3で構築された内部電極のセクションに取り付けられている。このように、ブリッジ又はバネ1104が傾斜すると、内部電極1120A及び1120Bも、それらが取り付けられているブリッジ又はバネ1104と平行に移動及び傾斜するため、傾斜する。
【0100】
いくつかの実施形態では、金属層M6が最上金属層ではない場合、膜1104は最上金属層上に実装される。
【0101】
圧力センサ1100を実装するための同様のアプローチが米国特許第11,312,617号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
図12A~12Bは、いくつかの実施形態による、MEMS圧力センサ1200の金属層の展開図及び側面図の概略図である。図12Aに示すように、圧力センサ1200は、円形の金属層M1、ビア層V1、金属層M2、ビア層V2、金属層M3、金属層M4、ビア層V4、及び円形の金属層M5を含む。金属層M2、M3及びビア層V2は、それぞれ翼状で同様のサイズに構成されている。また、図12Bに示すように、金属層M2、M3及びビア層V1、V2が積層されて、金属層M1上に位置する台座1206が形成される。この場合、台座1206は、圧力センサ1200の中心から離れて配置される。金属層M4は、翼状部分1202と、翼状部分1202に一体的に接続された膜1204とを含む。台座1206は翼状部分1202の下に位置し、ここで最大の変位が生じる。ビア層V4は、膜1204の遠位端上に配置されるビア1208である。金属層M5は、ビア層V4上に配置される。
【0103】
圧力センサ1200には、圧力センサ1100にあるようなピストンが含まれていない。翼状部分1202は、膜1204の遠位端に圧力差が加えられたときに、膜1204の最大傾斜を有する最適なアンカーポイントから開始することができる。さらに、翼状部分1202のサイズを大きくする、及び/又は翼状部分1202の端に台座1206を追加することができ、その結果、変位が最大になる。これにより、総静電容量に対する翼状部分1202のエッジ部分の影響が強化され、したがって、圧力センサ1200の感度が最大化される。
【0104】
いくつかの実施形態では、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)として動作するASICが提供される。このASICには、本明細書で説明するように、MEMS圧力センサが含まれる。圧力センサは、ASICのBEOLにモノリシックに組み込まれている。
【0105】
いくつかの実施形態では、電子タバコセンサとして動作するASICが提供される。このASICには、本明細書で説明するように、MEMS圧力センサが含まれる。圧力センサは、ASICのBEOLにモノリシックに組み込まれている。電子タバコでは、ユーザーからの空気の吸入を検出するために圧力センサが使用されている。これは差圧センサを使用して行われる。ユーザーが空気を吸い込んで吸入すると、差圧センサの前部では後方の基準よりも早く圧力が低下する。その結果、圧力差が検出され、特定のしきい値で電子タバコのフィラメントをオンにする信号がトリガーされる。
【0106】
SMDテクノロジーでMEMS圧力センサを使用し、組み立て時のサイズやはんだ付けエラーに加えて、コストを削減することに関心が集まっている。現在、ほとんどの電子タバコにはエレクトレット型圧力センサが使用されている。ただし、MEMS圧力センサICは小型である。この結果、電子タバコの内部に含まれる油や汚れにより、圧力センサの後方基準に到達するためのより狭い空気経路が、しばらくの間、より簡単に詰まったり、孤立したりする可能性がある。これが起こると、背圧基準は周囲の実際の圧力を認識しなくなる。
【0107】
その後、環境条件によって周囲の圧力が変化したり、及び/又はユーザーがより高い高度やより低い高度に移動したりすると、圧力センサの前面がそれを検出し、しきい値をトリガーして、ユーザーが吸入していないときにフィラメントを加熱する。これを防ぐ方法は、この特許で開示されているような非差圧センサを使用することである。回路(できればデジタル)で周囲圧力を追跡できる。好ましくは、測定された圧力の移動平均を行うことによってこれを行うことができる。移動平均は測定された圧力に即座に反応しない可能性があるため、吸入イベントの検出が可能になる。なお、他のタイプの平均が使用される可能性がある。バック基準圧力入力ポートが詰まったり、実際の圧力から分離されたりするリスクはない。そのようなポートはなく、圧力を測定するためにメインの圧力入力ポートのみが空気に十分にさらされているからである。本明細書で説明されるMEMS圧力センサを使用して、電子タバコ内の差圧センサとして動作することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、マイクロフォンとして動作する集積回路が提供される。この集積回路は、本明細書で説明するように、MEMS圧力センサを含む。圧力センサは、集積回路のBEOL内にモノリシックに組み込まれている。
【0109】
いくつかの実施形態では、超音波センサとして動作する集積回路が提供される。この集積回路は、本明細書で説明するように、MEMS圧力センサを含む。圧力センサは、集積回路のBEOL内にモノリシックに組み込まれている。
【0110】
説明した異なる実装の要素又はステップを組み合わせて、前に特に説明していない他の実装を形成することができる。要素又はステップは、その動作又はシステム全体の動作に悪影響を与えることなく、前述のシステム又はプロセスから除外されてもよい。さらに、本明細書で説明される機能を実行するために、様々な別個の要素又はステップを1つ又は複数の個別の要素又はステップに組み合わせることができる。
【0111】
本明細書における「1つの実装」又は「実装」への言及は、その実装に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が本開示の少なくとも1つの実装に含まれることを意味する。明細書のさまざまな場所における、「一実装形態では」、「いくつかの実装形態では」、「一例では」、「いくつかの例では」、「一例では」、「いくつかの場合では」、「一実施形態では」、又は「いくつかの実施形態では」のフレーズの出現は、必ずしもすべてが同じ実装又は実施形態を参照しているわけではない。
【0112】
最後に、本開示の実施形態に関する上記の説明は、例示及び説明を目的として提示されたものである。これは、網羅的であること、又は本開示を開示された正確な形式に限定することを意図したものではない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本出願の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。当業者には理解されるように、本開示は、その精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。したがって、本開示は、特許請求の範囲に記載される本開示の範囲を限定するものではなく、例示することを意図している。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
【国際調査報告】