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特表2024-530964高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスを放出するためのレーザ装置及び各光電子デバイス
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  • 特表-高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスを放出するためのレーザ装置及び各光電子デバイス 図1
  • 特表-高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスを放出するためのレーザ装置及び各光電子デバイス 図2
  • 特表-高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスを放出するためのレーザ装置及び各光電子デバイス 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスを放出するためのレーザ装置及び各光電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/1112 20230101AFI20240820BHJP
   H01S 3/16 20060101ALI20240820BHJP
   H01S 3/0941 20060101ALI20240820BHJP
   H01S 3/1115 20230101ALI20240820BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20240820BHJP
   G02F 1/37 20060101ALI20240820BHJP
   H01S 3/108 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
H01S3/1112
H01S3/16
H01S3/0941
H01S3/1115
H01S3/10 D
G02F1/37
H01S3/108
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024509460
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 IB2022057068
(87)【国際公開番号】W WO2023021351
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021000022043
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524060360
【氏名又は名称】リチウム レーザーズ エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレボリオ,アレッサンドロ
【テーマコード(参考)】
2K102
5F172
【Fターム(参考)】
2K102AA08
2K102AA13
2K102BA18
2K102BB02
2K102BC01
2K102BD10
2K102DA01
2K102DB01
2K102EB02
2K102EB08
2K102EB20
5F172AE03
5F172AF06
5F172CC10
5F172EE15
5F172NN07
5F172NN12
5F172NN13
5F172NN17
5F172NQ25
5F172NQ32
5F172NQ47
5F172NQ53
5F172NQ62
5F172ZZ01
(57)【要約】
本発明は、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの発光レーザ装置、並びにこのレーザ装置を使用する光電子デバイスに関する。特に、前述の光電子デバイスは、精密機械加工に使用するのに特に適している。更に、本発明は、前述の光電子デバイスによって高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスのパケットを放出する方法にも関連する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う、複数(2)の超短光パルス(2a)、すなわち、約10ピコ秒~約10フェムト秒の程度の持続時間の各光パルス(2a)の発光レーザ装置(3)であって、前記発光レーザ装置(3)は、使用時にパッシブモードロック動作モードで動作する少なくとも1つの固体レーザ発振器(3a)である又は該固体レーザ発振器(3a)を備えるとともに、約500MHz以上の繰り返し周波数(f)を伴う複数(2)の超短光パルス(2a)を放出するように構成され、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の各光パルス(2a)が約2nJ~約20nJのエネルギー値(E)を有することを特徴とする、発光レーザ装置(3)。
【請求項2】
前記発振器(3a)は、使用時に、最初に共振光に、次いで複数(2)の超短光パルス(2a)に切り換えられる又は変換されるように設計される少なくとも1つの光学的な光源を生成するようになっており、その後に、そのような複数(2)の各超短光パルス(2a)のエネルギー(E)を増幅するようになっているポンピング手段(3b)を含み、前記ポンピング手段(3b)は、少なくとも1つの利得手段(6)と、使用時に少なくとも1つのポンピング光ビーム(PB)又は光学的な光源を放出するように構成される少なくとも1つのポンピング要素(7)とを備え、前記発振器(3a)レーザが共振キャビティ(RC)も備え、該共振キャビティ(RC)は、
-前記利得手段(6)に向けて前記複数(2)の超短光パルス(2a)又は前記共振光を誘導する、
-前記利得手段(6)から前記共振キャビティ(RC)の出力に向けて及びその逆に前記ポンピング手段(3b)によって増幅される前記複数(2)の超短光パルス(2a)又は共振光を誘導する、
ようになっている誘導手段(3c)を含む、請求項1に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの利得手段(6)は、約1020nm~約1080nmの間に含まれる発光波長を有するYAGタイプ又はCALGOタイプの少なくとも1つのイッテルビウムイオンドープ結晶である又は該イッテルビウムイオンドープ結晶を備える、請求項2に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのポンピング要素(7)は、約5W~約20Wの電力で前記少なくとも1つのポンピング光ビーム(PB)を放出するように構成される少なくとも1つのレーザダイオードである又は該レーザダイオードを備える、請求項2又は3に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項5】
前記レーザダイオードは、平坦な波面を有するポンピング光ビーム(PB)を放出するようにコリメータで終端する光ファイバ結合レーザダイオードである、請求項4に記載のレーザ発光装置(3)。
【請求項6】
前記誘導手段(3c)は、
-前記共振キャビティ(RC)内の共振光又は前記複数(2)の超短光パルス(2a)を前記利得手段(6)に向けて誘導するようになっている1つ以上の第1の誘導要素(8,9,10)と、
-前記利得手段(6)から前記共振キャビティ(RC)の出力に向けて及びその逆に、前記ポンピング手段(3b)によって増幅される、前記共振キャビティ(RC)内の共振光又は前記複数(2)の超短光パルス(2a)を誘導するようになっている1つ以上の第2の誘導要素(11,12,13,14)と、
を備える、請求項2から5のいずれか一項に記載のレーザ発光装置(3)。
【請求項7】
前記1つ以上の第1の誘導要素(8,9,10)のうちの少なくとも1つの誘導要素(8)は、前記少なくとも1つのポンピング要素(7)によって放出される前記光学的な光源を複数(2)の超短光パルス(2a)に変換した後に、前記複数(2)の超短光パルス(2a)を前記利得手段(6)に向けて誘導するようになっている少なくとも変換手段(8a)である又は該変換手段(8a)を備える、請求項6に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項8】
前記変換手段(8a)は、使用時に第2高調波を生成するようになっている可飽和吸収体又はSESAM、又は非線形結晶を含む非線形ミラーと、前記非線形結晶と組み合わせて使用されるとともに、緑色波長において約99%以上の反射率で構成され、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約95%以上の反射率で構成されるダイクロイックミラーとを備える、請求項7に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項9】
前記1つ以上の第1の誘導要素(8,9,10)は、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約99%以上の反射率で構成されるミラー(9)、及び/又は前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約99%以上の反射率で構成され、前記ポンピング要素(7)によって放出される前記ポンピング光ビーム(PB)の波長において約95%以上の透過率で構成されるダイクロイックミラー(10)である又はこれらのミラーを備える、請求項6から8のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項10】
前記1つ以上の第2の誘導要素(11,1213,14)は、前記ポンピング手段(3b)によって増幅される、前記共振キャビティ(RC)内の共振光又は前記複数(2つ)の超短光パルス(2a)のエネルギーの第1の部分の前記発振器(3a)の出力への透過、及び前記ポンピング手段(3b)によって増幅される、前記共振キャビティ(RC)内の共振光又は前記複数(2つ)の超短光パルス(2a)のエネルギーの第2の部分の再度の前記共振キャビティ(RC)内へのフィードバック又は反射を可能にするように構成される少なくとも1つの反射及び透過要素又はカプラ(14)である又は該反射及び透過要素又はカプラ(14)を備える、請求項6から9のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの反射及び透過要素又はカプラ(14)は、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約75%~約95%の部分反射率で構成される半反射ミラーである又は該半反射ミラーを備える、請求項10に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項12】
前記1つ以上の第2の誘導要素(11,12,13,14)は、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約99%以上の反射率で、及び前記ポンピング要素(7)によって放出される前記ポンピング光ビーム(PB)の波長において約95%以上の透過率で構成される第1のダイクロイックミラー(11)、及び/又は前記複数(2)の光パルス(2a)の波長において約99%以上の反射率で構成される第2のミラー(12)、及び/又は前記共振キャビティ(RC)内でのソリトンの生成をサポートするように構成されるギアズ・トゥルノワ型の第3のミラー(13)である又はこれらのミラーを少なくとも備える、請求項6から11のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項13】
前記ポンピング手段(3b)は、前記ポンピング要素(7)によって放出される前記少なくとも1つのポンピング光ビーム(PB)を前記利得手段(6)に向けて集束させるようになっている少なくとも1つの集束要素(15)を備え、前記少なくとも1つの集束要素(15)は、前記利得手段(6)において前記共振キャビティ(RC)によってサポートされる共振モードと寸法的に適合する直径を有するポンピング光ビーム(PB)を得るために、前記ポンピング要素(7)によって放出される前記少なくとも1つのポンピング光ビーム(PB)を前記利得手段(6)に向けて集束させるように構成されるレンズである、請求項2から12のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項14】
前記共振キャビティ(RC)は、前記発光レーザ装置(3)が連続波状態からパルス状態に移行する間、その寸法を実質的に一定に保つために、前記共振光により交差される前記利得手段(6)の前記少なくとも2つの面のうちの1つに対して特定の距離範囲内に前記共振光の焦点が位置されるように構成される、請求項2から13のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項15】
前記共振キャビティ(RC)は、前記共振光により交差される前記利得手段(6)の前記少なくとも2つの面の一方から約5mm~約30mmの範囲の距離に前記共振光の焦点が位置されるように構成される、請求項14に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項16】
高いエネルギー及び高い繰返し周波数を伴う超短光パルス(2a)の複数(2)のパケット(2b)を放出するための光電子デバイス(1)であって、請求項1から15のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)と、前記発光レーザ装置(3)によって放出される前記複数(2)の超短光パルス(2a)から所与の数の光パルス(2a)をピックアップして変調し、変調された超短光パルス(2a)のパケット(2b)を生成するように構成される変調手段(4)と、前記変調手段(4)の下流側に配置され、前記変調手段(4)によって変調される前記超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)の各光パルス(2a)の前記エネルギー(E)を増幅するように構成される増幅手段(5)とを備え、前記増幅手段(5)は、各パケット(2b)の各光パルス(2a)の前記エネルギー(E)を増幅するように構成される少なくとも1つの単段増幅器(5a)である又は該単段増幅器(5a)を備えることを特徴とする光電子デバイス(1)
【請求項17】
前記変調手段(4)は、少なくとも1つの音響光変調器(4a)及び前記デバイス(1)の動作要件に基づいて前記音響光変調器(4a)を駆動するようになっている駆動手段(4b)である又は前記少なくとも1つの音響光変調器(4a)及び前記駆動手段(4b)を備える、請求項16に記載のデバイス(1)。
【請求項18】
前記音響光変調器(4a)が二酸化テルル結晶である又は二酸化テルル結晶を含む、請求項17に記載のデバイス(1)。
【請求項19】
前記駆動手段(4b)は、
-前記音響光変調器(4a)を起動させる又は起動停止させるべく設計されるデジタル信号であって、前記音響光変調器(4a)が起動停止時に前記複数(2)の光パルス(2a)の通過を可能にする一方で、起動時に前記複数(2)の光パルス(2a)を前記増幅器(5a)の入力に向けて迂回させることによって変調された超短光パルス(2a)のパケット(2b)を生成するようにする、デジタル信号によって、及び/又は前記デバイス(1)の動作要件に従って光パルス(2a)の前記パケット(2b)の振幅、したがって電力を変調するように設計されるアナログ信号によって、
前記音響光変調器(4a)を駆動するように設計される、請求項17又は18に記載のデバイス(1)。
【請求項20】
前記単段増幅器(5a)は、各パケット(2b)の各光パルス(2a)の前記エネルギー(E)を約100nJ~約20μjの間の値まで増幅するように構成される、請求項16から19のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項21】
前記増幅器(5a)は、
超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)の各光パルス(2a)の前記エネルギー(E)を増幅するようになっているポンプ手段(5b)であって、少なくとも1つの利得要素(16)、及び使用時に少なくとも1つのポンプ光ビーム(PB2)を放出するように構成される少なくとも1つのポンプ要素(17)を備える、ポンプ手段(5b)と、
-前記増幅器(5a)の入力における超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)を前記利得要素(16)に向けて案内する、及び
-前記ポンプ手段(5b)によって増幅される超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)を前記利得要素(16)から前記増幅器(5a)の出力に向けて案内する、
ように構成されるガイド構成要素(5c)と、
を備える固体増幅器である、請求項16から20のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの利得要素(16)は、約1020nm~約1080nmの間に含まれる発光波長を有するYAGタイプ又はCALGOタイプの少なくとも1つのイッテルビウムイオンドープ結晶である又は該イッテルビウムイオンドープ結晶を備える、請求項21に記載のデバイス(1)。
【請求項23】
前記少なくとも1つのポンプ要素(17)は、約50W~約150Wの範囲の電力で前記少なくとも1つのポンプ光ビーム(PB2)を放出するように構成される少なくとも1つのレーザダイオードである又は該レーザダイオードを備える、請求項21又は22に記載のデバイス(1)。
【請求項24】
前記ガイド構成要素(5c)は、
-前記増幅器(5a)に入力される超短光パルス(2a)のパケット(2b)を前記利得要素(16)に向けて案内するようになっている少なくとも第1のガイド構成要素(18)と、
-前記ポンプ手段(5b)によって増幅される超短光パルス(2a)のパケット(2b)を前記利得要素(16)から前記増幅器(5a)の出力に向けて案内するようになっている少なくとも第2のガイド構成要素(19)と、
を備える、請求項21から23のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項25】
前記増幅手段(5)は、前記少なくとも1つのポンプ要素(17)によって放出される前記少なくとも1つのポンプ光ビーム(PB)及び/又は前記増幅器(5a)に入力される超短光パルス(2a)のパケット(2b)及び/又は前記ポンプ手段(5b)によって増幅される超短光パルス(2a)のパケット(2b)を集束又はコリメートするようになっている1つ以上の集束構成要素(20,21,22)を備える、請求項1から24のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項26】
前記第1及び第2のガイド要素(18,19)は、超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)の波長において約99%以上の反射率、及び前記ポンプ要素(17)によって放出される前記ポンプ光ビーム(PB)の波長において約95%以上の透過率で構成されるダイクロイックミラーである又は該ダイクロイックミラーを備える、請求項24又は25に記載のデバイス(1)。
【請求項27】
前記1つ以上の集束構成要素(20,21,22)は、前記少なくとも1つのポンプ要素(17)によって放出される前記ポンプ光ビーム(PB)を集束させるようになっている第1のレンズ(20)及び/又は前記増幅器(5a)に入力される超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)を集束させるようになっている第2のレンズ(21)及び/又は前記ポンプ手段(5b)によって増幅される超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)をコリメートするようになっている第3のレンズ(22)である、請求項25又は26に記載のデバイス(1)。
【請求項28】
前記第2のレンズ(21)は、光パルス(2a)の前記パケット(2b)のより小さい発散を前記ポンプ光ビーム(PB)のはるかに大きい発散に適合させるように、前記第1のレンズ(20)によって集束される、前記ポンプ光ビーム(PB)の直径のサイズに対して1/20~1/5の直径を有する集束サイズで前記光パルス(2a)の前記パケット(2b)を集束させる、請求項27に記載のデバイス(1)。
【請求項29】
前記少なくとも1つの増幅器(5a)は、逆伝播形態に従って動作し、すなわち、超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)は、前記ポンプ光ビーム(PB)と同一直線上であるがそれとは反対の伝播方向で伝播し、かつ/又は発散形態において、すなわち、超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)は、前記増幅プロセスに起因する光強度の増大を含むように発散値を伴って前記利得要素(16)内で伝播する、請求項21から28のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項30】
高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴って超短光パルス(2a)の複数(2)のパケット(2b)を放出する方法であって、
請求項16から29のいずれか一項に記載のデバイス(1)を用意するステップと、
前記発光レーザ装置(3)を介して高いエネルギー(E)及び高い繰り返し周波数(f)を伴う複数(2)の超短光パルス(2a)を放出するステップと、
前記変調手段(4)によって、変調された超短光パルス(2a)のパケット(2b)を生成するように前記発光レーザ装置(3)によって放出される前記複数(2)の超短光パルス(2a)から決定された数の光パルス(2a)をピックアップして変調するステップと、
前記増幅手段(5)によって、変調された超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)を増幅するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの発光レーザ装置、並びにこのレーザ装置を使用する光電子デバイスに関する。
【0002】
特に、前述の光電子デバイスは、精密レーザ加工に使用するのに特に適している。
【0003】
更に、本発明は、前述の光電子デバイスによって高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスのパケットを放出する方法にも関連する。
【背景技術】
【0004】
当技術分野では、超短光パルスを放出するための異なるタイプのデバイス、特にレーザデバイスが知られている。
【0005】
一般に、これらのデバイスは、極めて正確に光エネルギーを送達できるようにするため、微細機械加工及び/又は微細はんだ付けの工業用途で使用される。実際、超短パルスレーザデバイスを使用して、直接光造形技術によって、サブミクロン寸法を有するほぼ任意の形状の2次元(2D)及び3次元(3D)構造を製造することが可能である。この適用例はフェムト秒リソグラフィであり、材料に対する直接彫刻又は感光性マスクのインプリントのために超短パルスレーザデバイスが用いられる。
【0006】
勿論、これらのデバイスは、非線形光学、バイオフォトニクス、及びライフサイエンスなどの他の適用分野でも一般的に使用される。
【0007】
一般に、そのようなデバイスは、発振器、ストレッチャ、多段増幅器、及び圧縮器から成る。
【0008】
発振器は、複数の低エネルギーパルス、例えば一般には数ピコジュールの連続パルス列を数百フェムト秒から数ピコ秒までの程度の持続時間で供給する。複数のパルスは、初期の複数のパルスの繰返し率を低減する目的を有する変調器によってサンプリングされる。選択されたパルスは、ストレッチャによって最大数百ピコ秒まで時間的に延長され、考慮される特定の用途に必要なエネルギーに達するために光増幅器のチェーンに注入され、その後、初期持続時間で圧縮器によって圧縮される。
【0009】
この技術により、ミリ秒からマイクロ秒の直ぐ下まで変化し得る時間的分離を伴って単一の等間隔パルスを得ることが可能であり、この場合、各パルスのエネルギーは数百ナノジュールから数ミリジュールまでの範囲である。
【0010】
続いて、これらのパルスを処理されるべき材料の表面に集束させることによって、非常に正確な方法で微細加工を実行することが可能である。しかしながら、これらのレーザデバイスの使用は、材料の処理において適用レベルで妥協を伴う。すなわち、処理速度が増大するにつれて、精度が低下する。この妥協は、時間的に等間隔のパルスによるこの手法によれば、処理速度を高めるために、個々のパルスのエネルギーを増大させる必要があるために生じる。
【0011】
その結果、特定の工業用途に適合する処理速度を得るために、増幅器からの各出力パルスのエネルギーは、適切な処理閾値をはるかに上回って維持される。この過剰なエネルギーは、処理点の周りに高密度のプラズマ雲の形成をもたらし、処理効率及び精度を制限する。
【0012】
この欠点に対する解決策は、超短パルスパケット及び高い繰り返し周波数を伴うレーザデバイスによって提供され、該デバイスは、各出力パルスが材料を除去するのに十分なエネルギーを有するが偽現象を生成するには不十分であるため、高い処理効率を可能にするとともに、プラズマ雲がないことが材料に入射する光パルスの光子の優れた弾道精度を決定するため、高い除去精度も可能にする。
【0013】
そのようなデバイスは、高い繰返し率を伴うが、一般に数ピコジュールの低いエネルギーを伴う超短光パルスを含むパケットを放出する発振器を使用する。したがって、各パケットの各パルスのエネルギーは、デバイスの用途のニーズに適合する値まで上昇させるために、一般に多段増幅チェーンを介してその後に増幅される必要がある。
【0014】
理解され得るように、発振器が、安全に且つ安定して動作するために、低エネルギー光パルスのみを放出することができるという事実は、デバイスの構造上の複雑さの大幅な増大を引き起こすとともに、デバイスを損傷することなく安全にパルスエネルギーを上昇させるために複数の増幅器が必要とされるため、デバイスの高い製造コストも引き起こす。
【0015】
更に、これらのレーザデバイスは、フェムト秒程度の光パルスを増幅するためにストレッチャ及び圧縮器の使用をもたらし、したがって、デバイス自体の複雑さ及びコストを更に増大させる。
【0016】
したがって、高い繰り返し周波数及び高いエネルギーを伴う超短光パルスの発光レーザ装置、並びにこのレーザ装置を使用する光電子デバイスを設計及び製造することが必要であり、これは上記の従来技術の欠点を克服することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の主な目的は、上記の従来技術の欠点を克服できるようにする、高い繰り返し周波数及び高いエネルギーを伴う超短光パルスの発光レーザ装置、並びにこのレーザ装置を使用する光電子デバイスを提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、安全に且つ高い動作安定性で使用できるようにし、数サイクルの使用後にそのようなレーザ装置の内部構成要素が破損するのを防止する、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの発光レーザ装置を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、従来技術によって教示されたデバイスよりも低い製造及び構築の複雑さを同じ効率で可能にする、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの複数のパケットの放出のための光電子デバイスを提供することである。
【0020】
本発明の更なる目的は、従来技術によって教示されたデバイスに対してコスト削減を可能にする、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの複数のパケットの放出のための光電子デバイスを提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、最適化された速度及び動作品質、並びにより高い処理効率を可能にする高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの複数のパケットを放出するための光電子デバイスを提供することである。
【0022】
最後に、本発明の他の目的は、高いスケーラビリティも可能にする高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの複数のパケットの放出のための光電子デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一態様によれば、請求項1に係る高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う複数の超短光パルスの発光レーザ装置が提供される。
【0024】
本発明の他の態様によれば、請求項16に係る高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの複数のパケットを放出するための光電子デバイスが提供される。
【0025】
本発明の更なる態様によれば、請求項30に係る高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルスの複数のパケットを放出する方法が提供される。
【0026】
従属請求項は、本発明の好ましい及び有利な実施形態に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面に例として示されている、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う複数の超短光パルスの発光レーザ装置、及び高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う複数の超短光パルスのパケットの放出のための光電子デバイスの実施形態の一例の説明からより明らかになる。
図1】本発明の一実施形態に係る発光レーザ装置のブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る光電子デバイスのブロック図である。
図3図2の実施形態の例に係る光電子デバイスで使用される変調手段のブロック図をより詳細に示す。
図4図2の実施形態の例に係る光電子デバイスで使用される増幅手段のブロック図をより詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
なお、添付図面において、同一の部分又は構成要素は同じ参照数字によって示される。
【0029】
添付の図面を参照すると、参照番号3は、本発明の実施形態の一例に係る、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う複数2の超短光パルス2aの発光レーザ装置を示す。
【0030】
この発光レーザ装置3は、特に、排他的ではないが、例えば材料の微細機械加工及び/又は微細はんだ付けなどの工業用途の光電子デバイスに使用するのに適している。
【0031】
「超短光パルス」という用語は、約10ピコ秒~約10フェムト秒程度の持続時間の各光パルス2aを指すことに留意すべきである。
【0032】
特に、本発明に係る発光レーザ装置3は、好ましくは、それぞれが約5000フェムト秒~約100フェムト秒、必要に応じて約1000フェムト秒~約100フェムト秒、又は約500フェムト秒~約100フェムト秒、例えば約300フェムト秒を含む持続時間を有する複数2の光パルス2aを放出するように設計される。
【0033】
「高いエネルギーの光パルス」という用語は、発光装置、より詳細には先行技術に係るレーザ発振器によって放出される光パルスの典型的なエネルギー値に関連して考慮されるべきであり、これらの光パルスは数ピコジュール程度であると証明されていることにも留意すべきである。
【0034】
本発明に係る高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う複数2の超短光パルス2aの発光レーザ装置3は、約500MHz以上、又は更には約750MHz以上、例えば1GHzの繰り返し周波数fを有する複数2の超短光パルス2aを放出するように構成され、複数2の超短光パルス2aの各光パルス2aは、必要に応じて約2nJ~約2010nJ、又は再び3nJ~8nJ、例えば約5nJを含むエネルギー値Eを有する。
【0035】
明らかに、約500MHz以上の繰り返し周波数fを伴う複数2の超短光パルス2aを放出することは、複数2の各光パルス2aが次の光パルスから約2ns以下の時間間隔を有することを意味する。
【0036】
本発明の実施形態の非限定的な例によれば、発光レーザ装置3は、約1GHzに等しい繰り返し周波数fを伴う、その結果、次の光パルスから約1nsに等しい各光パルス2aの時間間隔を伴う、複数2の超短光パルス2aを放出する。
【0037】
理解され得るように、各光パルス2aの時間間隔はその持続時間とは異なり、持続時間は、パルス2aの光強度がそのピーク値の50%を超えたままである時間であり、本発明の場合、前述のように、好ましくは約5000フェムト秒~約100フェムト秒、必要に応じて約1000フェムト秒~約100フェムト秒、又は約500フェムト秒~約100フェムト秒、例えば約300フェムト秒である。
【0038】
高い繰り返し周波数fの使用は、一般に複数2の光パルス2aのそれぞれのエネルギー値Eを制限するパラメータ内にある。しかしながら、本発明では、発光レーザ装置3は、高い繰り返し周波数fを複数2の光パルス2aのそれぞれの高いエネルギーEと効果的に一致させることができる。
【0039】
発光レーザ装置3は、好適には、例えば垂直キャビティ面発光レーザ発振器又はVCSELなどのレーザ発振器3a、又は好ましくは、図に示される本発明の実施形態の非限定的な例によれば、固体レーザ発振器3aとなり得る又はこれらの発振器を備えることができ、固体レーザ発振器3aは、好ましくは、使用時に、モードロック動作モードで、必要に応じてパッシブモードロック動作モードで動作する。
【0040】
本発明の他の実施形態では、固体発振器3aのレーザは、使用時に、例えば電気光学変調器又は音響光変調器を使用して、アクティブモードロック動作モードで動作することができる。しかしながら、このアクティブモードロックモードは、一般に、ピコ秒のオーダーまでしか光パルス2aを持続又は変換することができないという欠点を有するが、パッシブモードロックモードでは、フェムト秒のオーダーまで到達することが可能である。
【0041】
モードロック技術は、発振器3aの共振キャビティのモード、すなわち波長の間に所定の位相関係を導入することによって、複数2の超短光パルス2aの生成を可能にし、これについては後で詳細に説明する。
【0042】
より詳細には、共振キャビティのモードは、互いに建設的な方法で周期的に干渉し、発振器3aの固有の特性に依存する持続時間を有する光パルス2aを生成する。
【0043】
特に、レーザ発振器3aは、好ましくは、使用時に、最初に共振光に、次いで複数2の超短光パルス2aに切り換えられ又は変換されるように設計され、続いて前記複数2の超短光パルス2aのそれぞれのエネルギーEを増幅するようになっている少なくとも1つの光学的な光源を生成するようになっているポンピング手段3bと、誘導手段3c(directing means、指向手段)を含む共振キャビティRCとを備える。
【0044】
これに関して、ポンピング手段3bは、好適には、少なくとも1つの利得手段6と、使用時に少なくとも1つのポンピング光ビームPB1又は光学的な光源を放出するように構成される少なくとも1つのポンピング要素7とを備えることができ、一方、誘導手段3cは、好適には、複数2の超短光パルス2a又は共振光を利得手段6に向けて誘導し、ポンピング手段3bによって増幅された複数2の超短光パルス2a又は共振光を利得手段6から共振キャビティRCの出力に向けて及びその逆に、すなわち共振キャビティRCの内部に戻すように誘導するべく設計され得る。
【0045】
以下でより詳細に分かるように、ポンピング光ビームPB1は、最初に共振光となった後に複数2の超短光パルス2aに変換される発光レーザ装置3の光学的な光源も構成する。実際には、ポンピング要素7は、使用時に、同時に発光レーザ装置3の光学的な光源も構成する少なくとも1つのポンピング光ビームPB1を放出するように構成される。光学的な光源は、以下に詳述する共振条件が満たされる場合に限り、共振光となるように共振することができると考えられるべきである。
【0046】
好ましくは、ポンピング手段3bは、利得手段6において共振キャビティRCによってサポートされた共振モードと寸法的に適合する直径を有するポンピング光ビームPB1を得るために、ポンピング要素7によって放出される少なくとも1つのポンピング光ビームPB1を利得手段6、例えば少なくとも1つのレンズ15に向けて集束させるようになっている少なくとも1つの集束要素15も備える。
【0047】
少なくとも1つの利得手段6は、例えば約1020nm~約1080nmの発光波長を有するYb:YAGタイプ又はYb:CALGOタイプの少なくとも1つのイッテルビウムイオンドープ結晶であり得る又は該イッテルビウムイオンドープ結晶を備えることができる。
【0048】
一方、少なくとも1つのポンピング要素7に関しては、好適には、少なくとも1つのポンピング光ビームPB1を約5W~約20Wの電力で、かつ必要に応じて約935nm~約985nmの発光波長で放出するように構成される少なくとも1つのレーザダイオードであり得る又は該レーザダイオードを備えることができる。
【0049】
図1に示される本発明の実施形態の例によれば、レーザダイオードは、連続波状態すなわちCW状態で動作し、すなわち、使用中に、経時的に連続ポンピング光ビームPB1を提供する。
【0050】
特に、少なくとも1つのレーザダイオードは、好ましくは、平坦な波面を有するポンピング光ビームPB1を放出するようにコリメータで終端する光ファイバ結合レーザダイオードである。
【0051】
図1に示される本発明の実施形態の非限定的な例によれば、少なくとも1つの利得手段6は、Yb:YAGタイプのイッテルビウムイオンがドープされた結晶であり、一方、少なくとも1つのポンピング要素7は、約20Wの電力で少なくとも1つのポンピング光ビームPB1を放出するように構成されたレーザダイオードである。
【0052】
Yb:YAGタイプのイッテルビウムイオンドープ結晶は、非常に低い量子欠陥、非常に高い効率、高い熱機械的性能を示し、したがって、ポンピング光ビームPB1の高い発光パワーにより、発振器3aの出力で複数2の超短光パルス2aを高い平均パワー、例えば最大約10Wで得ることが可能であるため、図1に示す実施形態の例では利得手段6として有利に選択されている。
【0053】
共振キャビティRC、又はより具体的には、誘導手段3cは、好適には、共振キャビティRC内の共振光を又は複数2の超短光パルス2aを利得手段6に向けて誘導するようになっている1つ以上の第1の誘導要素8、9、10と、ポンピング手段3bによって増幅される、共振キャビティRC内の共振光又は複数2の超短光パルス2aを利得手段6から共振キャビティRCの出力に向けて、及びその逆に、すなわち共振キャビティRCの内部に戻るように誘導するようになっている1つ以上の第2の誘導要素11、12,13、14とを備えることができる。
【0054】
基本的に、以下でより良く理解されるように、ポンピング手段3bによって増幅される、複数2の超短光パルス2aの各光パルス2aのエネルギーの第1の部分は、発振器3aによって出力に透過され、一方、エネルギーの第2の部分は、逆光路を通って共振キャビティRCに反射して戻される。
【0055】
1つ以上の第1の誘導要素8、9、10に関して、それらの少なくとも1つの誘導要素8は、好適には、複数2の超短光パルス2aにおいて、ポンピング要素7によって生成された光学的な光源を変換し、続いて前記複数2の超短光パルス2aを利得手段6に向けて誘導するようになっている変換手段8aであり得る又は該変換手段8aを備えることができる。
【0056】
複数2の光パルス2aの波長は、共振キャビティRC内の共振光の波長に等しく、したがって、所与の光学要素が複数2の光パルス2aの波長で所与の割合の反射率及び/又は透過率を有するとは、共振キャビティRC内の共振光の波長で同じ反射率及び/又は透過率を有すると言うことと等価であると考える。
【0057】
特に、これらの変換手段8aは、可飽和吸収体、必要に応じて固体可飽和吸収体もしくはSESAM、又は非線形ミラーであるか、又は好ましくはこれらを含み、これらは両方とも、パルス状態における共振キャビティRCの機能を促進する共振電界の振幅の非線形変調を誘発するように設計される。より具体的には、非線形ミラーは、使用時に第二高調波の生成を目的とする非線形結晶と、この非線形結晶と組み合わせて使用され、緑色波長、すなわち約520nm~約565nmで約99%以上の反射率で構成され、複数2の超短光パルス2aの波長で約95%以上の反射率で構成されるダイクロイックミラーとを備える。
【0058】
代わりに、可飽和吸収体も、前述の非線形ミラーと同様に、入射光の強度に応じて反射率を有する、すなわち、入射光の強度に応じて異なる挙動をする光学デバイスである。固体レーザ発振器3aが使用時にパッシブモードロック動作モードで動作する本発明の実施形態の非限定的な例では、この可飽和吸収体は、実際には、共振キャビティRC内で同じ位相を有する長手方向モードの生成を強制するのに必要な受動要素である。
【0059】
基本的に、可飽和吸収体は、低強度定波長光を減衰させるが、発振器3aが経験するかなりランダムな変動に起因して、光強度の任意のピークは、一般に、より効果的に反射され、結果として、インパルスモードロック状態が確立される。共振キャビティRC内の共振光が特定の強度を超えると、可飽和吸収体又はSESAMによる低強度光のより高い吸収により、高強度ノイズピークの選択的増幅プロセスが確立される。共振キャビティRC内の多くの共振ターン又はサイクルの後、次いで複数2の超短光パルス2aが生成されるか、又はいずれの場合にも、ポンピング要素7によって放出された光学的な光源は、例えば、誘導手段3c、より詳細には変換手段8a、及びポンピング手段3bの利得手段6を備える共振キャビティRCの組み合わせを介して、最初に共振光に変換され、次いで複数2の超短光パルス2aに変換される。実際には、可飽和吸収体は、発光レーザデバイス3が連続波状態で動作する点火段階から、発光レーザデバイス3がパルス状態で動作する安定段階への移行を可能にする。
【0060】
特定の状況では、例えば固体可飽和吸収体又はSESAMを使用すると、Qスイッチング不安定とも呼ばれる不安定性が発生する可能性があることに留意すべきである。そのような不安定性は、通常、可飽和吸収体が、損失の減少によって飽和強度閾値を超える、共振キャビティRC内の光パルス2aのエネルギーの増大に「見返りを与える」ことによって引き起こされ、その結果、共振キャビティRC内の様々な共振サイクルにおいて、光パルス2aのエネルギーは、連続放出よりも利得手段6において増幅されることができ、したがって、多数のサイクルの後に、パルスモード-ロック状態を確立することによって利得手段6に支配される。したがって、連続状態からパルス状態への移行プロセスの間、可飽和吸収体の飽和が十分に強くない限り、前述のQスイッチングの不安定性が発生する可能性があり、これは、発振器3aを不安定にする可能性があり、又は最悪の場合、共振キャビティRCの内部構成要素を燃焼させるか又は使用不可能にする可能性さえある。
【0061】
更に、高い繰り返し周波数を有する超短光パルス2aが共振キャビティRC内に生成される場合、そのようなQスイッチング不安定性を緩和することは更に複雑である。実際、各光パルス2aのエネルギーは、逆比例関係によって繰り返し周波数に関連付けられており、すなわち、高周波数は低エネルギーに対応し、これは、発光レーザ装置3が連続波状態からパルス状態に通過している発光レーザ装置3の点火段階において、利得及び変換手段8aの両方、より具体的には可飽和吸収体8aの飽和容量が低く、したがってQスイッチング不安定性の傾向が大きいことを決定する。
【0062】
これに関連して、安全に且つ高い動作安定性で使用することを可能にする高い繰り返し周波数で複数2の超短光パルス2aを高いエネルギーで放出することができる発光レーザ装置3、より具体的には発振器3aを生成することができるようにするために、例えば、可飽和吸収体が燃焼すること、又はより一般的には、共振キャビティRCの各光学部品が燃焼することを回避するために、利得手段6に入射する共振光ビームのサイズは、パルス状態の安定段階まで連続状態における点火段階から変化しないままであることが有利であり、又はいずれの場合にも適切である。
【0063】
この態様に関して、熱レンズ効果、すなわち、その不均一な温度上昇に応答して利得手段の表面の曲率を引き起こす体積膨張の効果は、共振キャビティの安定性に影響を及ぼし得ることが知られている。特に、熱レンズ効果は、典型的には、共振光のサイズにかなりの変動を生じさせ、これは、振動電界の非常に大きな変動が可飽和吸収体、又はいずれの場合も共振キャビティの構成要素を燃焼させる可能性があるQスイッチモードロックの不安定性を助長する傾向がある。
【0064】
このために、共振キャビティRCは、共振光又はむしろ共振光ビームのサイズが、連続波状態からパルス状態への発光レーザ装置3の通過中に利得手段6へのポンピングビームの入射によって生成される熱レンズ効果によって実質的に影響されないという意味で、そのポンピング中に利得手段6へのポンピング光の入射によって生成される熱レンズ効果に影響されないように設計されることが好ましい。
【0065】
具体的には、最初にABCD行列モデルによって研究され、最終的に経験的に観察されたことは、共振光の焦点、又はより良好には共振光ビームの焦点を、この共振光が交差する利得手段6の少なくとも2つの面のうちの1つに対して特定の距離間隔内に配置することによって、共振光のサイズは、パルス状態における連続波状態からの発光レーザ装置3の通過中に利得手段6へのポンピングビームの入射によって生成される熱レンズ効果に実質的に影響されず、すなわち、共振光ビームのサイズは、この通過中に実質的に一定のままであり、したがって、前述の繰り返し周波数値f及びパルスエネルギーEを有するパッシブモードロック動作モードの使用であっても最適な動作安定性を可能にすることである。
【0066】
これに関して、共振キャビティRCは、好適には、共振光の焦点が、この共振光が交差する利得手段6の少なくとも2つの面のうちの一方から約5mm~約30mmの範囲の距離に配置されるように構成することができる。
【0067】
これにより、発光レーザ装置3の点火段階とパルス状態の安定段階との間で認識できるほどに変化しない、利得手段6に入射する共振光、又はむしろ共振光ビームの寸法を得ることができる。そうすることによって、利得手段6に入射する共振光のサイズを固定して、利得及び可飽和吸収体が効果的に飽和されるようにし、Qスイッチング不安定性を最小限に抑えることが可能である。
【0068】
本発明の別の実施形態によれば、パッシブモードロック動作モードは、カーレンズモードロックもしくはKLM技術によって、又はハイブリッド技術によって、すなわちKLMとSESAMとの組み合わせによって実施することができる。
【0069】
次いで、1つ以上の第1の誘導要素8、9、10は、複数2の超短光パルス2aの波長において約99%以上の反射率で構成される、複数2の光パルス2aの共振キャビティRC内の経路に沿って利得手段6に向かって後続の第1の誘導要素10に面する所望の場合には凹面を有する凹型のミラー9であり得る又は該ミラー9を備えることができ、及び/又は複数2の超短光パルス2aの波長において約99%以上の反射率で構成され、ポンピング要素7によって放出されるポンピング光ビームPB1の波長において約95%以上の透過率で構成される所望の場合には平坦なダイクロイックミラー10であり得る又はダイクロイックミラー10を備えることができる。
【0070】
実際には、ダイクロイックミラー10は、利得手段6に向かうポンピング光ビームPB1の透過を可能にし、同時に、利得手段6に向かう共振キャビティRC内の共振光又は複数2の光パルス2aの反射も可能にし、それにより、利得手段6をポンピングし、各光パルス2aを増幅することができる。
【0071】
代わりに、1つ以上の第2の誘導要素11、12、13、14に関して、これらの誘導要素は、好ましくは、ポンピング手段3bによって増幅される、共振キャビティRC内の共振光又は複数2の超短光パルス2aのエネルギーの第1の部分の発振器3aの出力への透過、及びポンピング手段3bによって増幅される、共振キャビティRC内の共振光又は複数2の超短光パルス2aのエネルギーの第2の部分の逆光路を介した再度の共振キャビティRC内へのフィードバック又は反射を可能にするように構成される少なくとも1つの反射及び透過要素又はカプラ14である又は反射及び透過要素又はカプラ14を備える。
【0072】
勿論、発振器3aから透過される共振キャビティRC内の共振光又は複数2の超短光パルス2aのエネルギーの第1の部分のパーセンテージ、並びに反射されるキャビティ共振RC内の共振光エネルギー又は複数2の超短光パルス2aの第2の部分のパーセンテージは、反射及び透過要素又はカプラ14の構造的特徴、又はその反射率及び透過率のパーセンテージに厳密に依存する。
【0073】
そのような少なくとも1つの反射及び透過要素又はカプラ14は、好適には、複数2の超短光パルス2 aの波長において約75%~約95%の部分反射率で、その結果、複数2の超短光パルス2 aの波長において約5%~約25%の透過率で構成される半反射ミラーであり得る又は該半反射ミラーを備えることができる。
【0074】
基本的には、複数2の超短光パルス2aのそれぞれの全放射の約5%~約25%に含まれる放射の一部が透過され、したがって発光レーザ装置3から出る、又はより詳細には発振器3aから出る一方で、複数2の各超短光パルス2aの全放射の約75%~約95%に含まれる放射の残りの部分は反射され、共振キャビティRCの共振を維持するために共振キャビティRC内に残る。
【0075】
少なくとも1つの反射及び透過要素又はカプラ14の透過率及び反射率の値は、好ましくは、複数2の光パルス2aのポンピング手段3bによる増幅によって生成される利得が、共振キャビティRCの誘導手段3cによって導入される損失を超えるように選択されることが指摘される。実際、少なくとも1つの反射及び透過要素又はカプラ14の透過率値は、共振キャビティRCの損失を構成する。これに関して、少なくとも一方の反射及び透過要素又はカプラ14の透過率値が高すぎる場合、損失は利得を超え、共振キャビティRCは共振しない。
【0076】
一般に、利得は、ポンピング要素7によって利得手段6に注入される電力値によって、利得手段6がどれだけドープされるかによって、及び利得手段6内のポンピング要素7によって放出されるポンピング光ビームPB1の焦点の直径によって規定されるが、損失は、共振キャビティRCを構成する誘導手段3cの全ての透過率値の合計として近似的に推定することができると考えられるべきである。
【0077】
更に、1つ以上の第2の誘導要素11、12、13、14は、必要に応じて、共振光又は複数2の超短光パルス2aの波長の約99%以上の反射率で、及びポンピング要素7によって放出されるポンピング光ビームPB1の波長において約95%以上の透過率で構成される少なくとも第1のダイクロイックミラー11、及び/又は複数2の超短光パルス2aの波長において約99%以上の反射率で構成される、共振光の共振キャビティRC内又は複数2の超短光パルス2aにおける光路に沿って発振器3aの出力に向かう後続の第2の誘導要素13に面する必要に応じて凹面を伴う凹型の第2のミラー13、及び/又は共振キャビティRC内のソリトンの生成をサポートするように構成される、好ましくはギアズ・トゥルノワ(Gires-Tournois)型の第3のミラー13であり得る又はこれらのミラーを備えることができる。
【0078】
ギアズ・トゥルノワ型のこの第3のミラー13は、実際に、フェムト秒程度の光パルス2aの持続時間に到達及び/又は持続することを可能にする要素であると考えられるべきである。
【0079】
これに関して、フェムト秒オーダーの光パルス2aを有することは、周波数領域に関して、数ナノメートルオーダーのスペクトル帯域と同等である。これは、共振キャビティRC内の長手方向共振モードの大きな波長分散をもたらし、この波長分散は、一般に、光パルス2aの波長成分を「散乱」し、数ピコ秒未満の時間持続時間で光パルス2aの生成及び維持を可能にしない。共振キャビティRCの共振モードに負の群速度分散を導入するギアズ・トゥルノワ型の第3のミラー13は、代わりに、フェムト秒程度の持続時間の光インパルス2aに到達し、及び/又はこれを維持するために、その内部のソリトンの生成をサポートすることを可能にする。
【0080】
要約すると、1つ以上の第1の誘導要素8、9、10及び1つ以上の第2の誘導要素11、12、13、14は、共振キャビティRC内の複数2の超短光パルス2aの光共振、及び発振器3からの出力における複数2の各超短光パルス2aのエネルギーの一部の結合又は伝送を可能にする光路を画定する。
【0081】
ポンピングプロセスに関しては、ポンピング手段3bによって行われる。より具体的には、ポンピング要素7によって放出される少なくとも1つのポンピング光ビームPB1などの光学的な光源は、少なくとも1つの利得手段6などの活性手段の原子の基底状態から励起状態への遷移を刺激し、集団反転を作り出す。励起状態にある活性手段の原子は、ポンピングビームPB1の光子よりも低いエネルギーを有する、したがってより長い波長を有する光子の形態でエネルギーを放出するが、これは、ポンピングプロセスを通して導入されたエネルギーの一部がフォノンになり、次いで熱になるためである。この時点で、共振キャビティRCの利得が損失よりも大きくなければならない共振条件を満たした後、エネルギーは誘導放出のプロセスを介して再放出され、このプロセスでは、共振キャビティRCの誘導手段3cの位置合わせによって画定される伝播方向に放出された光子が、第1の時間間隔、すなわち、発光レーザ装置3が連続状態で動作する点火段階中の共振光、及び第2の時間間隔、すなわち、発光レーザ装置3がパルス状態で動作する段階中の複数2の増幅された超短光パルス2aなど、増幅される。
【0082】
以下に、図1に示される本発明の実施形態の一例に係る発光レーザ装置3の動作の非限定的な例を説明する。
【0083】
光学的な光源は、ポンプ光源と同様に、レーザダイオード7が放出されるポンピング光ビームPB1によって構成される。発光レーザ装置3、より詳細には発振器3aの動作の初期段階において、レーザダイオード7は、連続波状態、例えば約940nmの波長でポンピング光ビームPB1を放出し、このポンピング光ビームPB1は、レンズ15を介して集束され、Yb:YAG結晶6におけるダイクロイックミラー10を通じて透過され、したがって、このYb:YAG結晶6におけるエネルギーの蓄積のために、Yb:YAG結晶6の原子の反転分布を刺激する。Yb:YAG結晶を出るポンピング光ビームPB1の波長は、この能動手段に典型的な発光波長、例えば約1030nmに等しい。次いで、この放射は利得手段6によって各方向に再放出されるが、共振キャビティRCを構成する誘導手段3cの整列によって画定される仮想線に沿って再放出される光子のみが刺激された放出によって増幅され、共振キャビティRCの利得がその損失を克服する場合には、共振し、共振キャビティRC内に共振光を効果的に生成することができる。ポジティブの場合、このように生成された共振光は、1つ以上の第2の誘導要素11、12、13、14のダイクロイックミラー11に向かって継続する。ここから、約1030nmに等しい波長を有するこの共振光は、それぞれ第2の凹面ミラー12及びギアズ・トゥルノワ型の第3のミラー13から半反射ミラー14に向けられる。ここで、共振光のエネルギーの一部は、前述した光路に沿って逆に反射され、エネルギーの別の部分は、出力において発振器3aで透過される。当然ながら、透過及び反射エネルギーの割合は、半反射ミラー14の構造的特徴によって規定される。
【0084】
多数の動作サイクルの後、共振光のエネルギーは、可飽和吸収体又はSESAM8aを飽和させるのに十分な大きさになり、したがって、発振器3aが連続波状態からパルス状態に通過することを可能にし、実際には、複数2の超短光パルス2aにおける連続共振光の変換を可能にする。
【0085】
変換に続いて、可飽和吸収体又はSESAM8aを介して、複数2の超短光パルス2aは、1つ以上の第1の誘導要素8、9、10によってYb:YAG結晶に向かって戻され、その結果、実際の増幅が起こる。これに関して、Yb:YAG結晶の励起原子は、複数2の超短光パルス2aの光子によって刺激され、それらとコヒーレントな光子を放出し、電磁界の強度を増大させ、したがって複数2の増幅された超短光パルス2aを生じさせる。超短光パルス2aは、1つ以上の第2の誘導要素11、12、13によって半反射ミラー14に向けて再び誘導され、半反射ミラーは、複数の増幅された超短光パルス2aのエネルギーの一部を透過し、エネルギーの残りの部分を反射し、これは、前述した動作サイクルを再び進行する。
【0086】
この動作サイクルは、その後、発光レーザ装置3の使用期間全体にわたって繰り返される。
【0087】
明らかに、既に述べたように、発光レーザ装置3がパルス状態の安定段階に達するためには、多くの動作サイクルが必要である。
【0088】
前述した動作の非限定的な例は、フェムト秒程度の持続時間を有する光パルス2aに言及し、したがって、この持続時間の光パルス2aの達成及び持続を可能にするのは、前述したように、ギアズ・トゥルノワ型のミラー13であることに留意すべきである。
【0089】
したがって、本発明に係る発光レーザ装置3は、高い繰り返し周波数fを伴う複数2の超短光パルス2aを放出することができ、この複数2の各光パルス2aは高いエネルギーEを有する。これは、発光レーザ3装置の全ての構成要素の動作安定性及び安全性を確保しながら行われ、Qスイッチングの不安定性を可能な限り緩和することも強調される。
【0090】
理解されるように、本発明に係る発光レーザ装置3は、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルス2aの複数2のパケット2bの放出のための光電子デバイスにおける有利な使用及び有利な実装形態を見出すことができる。このため、本発明の主題はまた、参照番号1で添付の図に示されている、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う超短光パルス2aの複数2のパケット2bを放出するための光電子デバイスである。
【0091】
光電子デバイス1は、本発明に係る発光レーザ装置3と、変調された超短光パルス2aのパケット2bを作成するように、発光レーザ装置3によって放出された複数2の超短光パルス2aから所与の数の光パルス2aをピックアップして変調するように構成される変調手段4と、変調手段4の下流側に位置され、変調手段4によって変調された超短光パルス2aのパケット2bの各光パルス2aのエネルギーEを増幅するように構成される増幅手段5とを備える。特に、増幅手段5は、各パケット2bの各光パルス2aのエネルギーEを、例えばデバイス1の動作用途から必要な値まで増幅するように構成される少なくとも1つの単段増幅器5aである又は該単段増幅器5aを備える。
【0092】
変調手段4は、好適には、少なくとも、例えば二酸化テルル結晶などの音響光変調器4aと、必要に応じて、デバイス1の動作要件に従って少なくとも1つの音響光変調器4aを駆動するように設計された、固定変調周波数であるが可変振幅で動作する駆動手段4b、例えば電子ドライバとであり得る又はそれらを備えることができる。
【0093】
これらの動作要件は、例えば、このデバイス1が一連の離間した孔の実行又はモチーフの彫刻などの材料の微細加工の動作で使用される場合に、デバイス1からのレーザビームの発射又は出射を一時的に中断する必要がある可能性がある。この点に関して、孔の実行後、デバイス1は、次の孔又は彫刻位置までレーザ出力を中断し、その特定の時点で、次の孔又は彫刻を作るためにレーザ出力を再開する必要がある。更に、デバイス1が材料ミサイ機械加工動作で使用されることを考慮すると、別の動作要件は、処理される材料に応じて各パケット2bの光パルス2aの光パワーの経時的に異なる発展を有することであり得る。例えば、材料がガラスである場合、破損を防ぐためにカスタマイズされた熱勾配を有することが必要な場合がある。
【0094】
駆動手段4bは、音響光変調器4aを起動させる又は起動停止させるべく設計されるデジタル信号、例えばTTL信号であって、音響光変調器が起動停止時に複数2の光パルス2aの通過を可能にする一方で、起動時に複数2の光パルス2aを増幅器5aの入力に向けて迂回させることによって変調された超短光パルス2aのパケット2bを生成するようにする、デジタル信号によって、及び/又はデバイス1の動作要件に従って光パルス2aのパケット2bの振幅、したがって電力を変調するように設計されるアナログ信号によって音響光変調器4aを駆動するように設計され得る。
【0095】
特に、音響光変調器4aによって偏向されず、したがって増幅手段5の入力に到達しない光パルス2aは、放熱手段によって消散されることができ、例えば、必要に応じて、ヒートシンクに動作可能に関連付けられた金属要素からなるダンパーに遭遇することができる。逆に、音響光変調器4aによって増幅手段5の入力に向かって偏向される光パルス2aは変調される。
【0096】
実際には、駆動手段4b、より詳細には電子ドライバは、音響光変調器4aに入る複数2の超短光パルス2aの振幅を、例えばデバイス1のオン/オフ変調を実行するために、アナログ入力電圧及び/又はデジタル入力信号で制御することができる。
【0097】
各パケット2bは、好ましくは、50から1000、例えば500の間に含まれる幾つかの光パルス2aから構成される。この間隔は、一例として材料の微細機械加工の工業用途における光電子デバイス1の使用を想定すると、材料は、好ましくは、処理される材料の迅速かつ正確な除去が行われ得るようにデバイス1を出るレーザビームの各パケット2b内の光パルス2aの数に最小閾値を設定する、いわゆる「アブレーション冷却状態」で動作するため、最適である。
【0098】
増幅手段5に関して、該増幅手段5は、変調手段4によって変調された超短光パルス2aのパケット2bを入力で受信し、例えばデバイス1の動作用途によって必要とされる値までそれらを増幅する。
【0099】
特に、単段増幅器5aは、好ましくは、各パケット2bの各光パルスのエネルギーEを、約100nJ~約5μjの間、例えば約100nJ~約20μjの間に含まれる値まで増幅し、各パケット2bのエネルギー値を数mJまで、例えば、制限なく、約5μj~約5mJの間に達するように構成される。
【0100】
この単段増幅器5aは、好適には、超短光パルス2aのパケット2bの各光パルス2aのエネルギーEを増幅するようになっているポンプ手段5bと、ガイド構成要素5cとを備える固体増幅器とすることができる。
【0101】
特に、ポンプ手段5bは、使用中に少なくとも1つのポンプ光ビームPB2を放出するように構成された少なくとも1つの利得要素16及び少なくとも1つのポンプ要素17を含むことが好ましく、一方、ガイド構成要素5cは、好適には、増幅器5aへの入力における超短光パルス2aのパケット2bを利得要素16に向けて案内し、ポンプ手段5bによって増幅された超短光パルス2aのパケット2bを利得要素16から増幅器5aの出力に向けて案内するように構成することができる。
【0102】
少なくとも1つの利得要素16は、約1020nm~約1080nmの発光波長を有し、必要に応じて、1%~15%の間で変化し得るドーパントイオン濃度を有する、Yb:YAGタイプ又はYb:CALGOタイプの少なくとも1つのイッテルビウムイオンドープ結晶であり得る又は該イッテルビウムイオンドープ結晶を備えることができる。Yb:YAG又はYb:CALGO結晶は、例えば、3mm~20mmの長さ及び長方形又は正方形の断面を有することができる。
【0103】
一方、少なくとも1つのポンプ要素17に関して、該ポンプ要素17は、少なくとも1つのポンプ光ビームPB2を約50W~約150Wの電力で、必要に応じて約935nm~約985nmの発光波長で放出するように構成された少なくとも1つのレーザダイオードであり得る又は好適には該レーザダイオードを備えることができる。
【0104】
図4に示す増幅手段5の実施形態の例によれば、レーザダイオードは、連続波又はCW状態で動作し、すなわち、使用中に、経時的に連続するポンプ光ビームPB2を提供する。
【0105】
特に、少なくとも1つのレーザダイオードは、好ましくは、平坦な波面を有するポンプ光ビームPB2を放出するようにコリメータで終端する光ファイバ結合レーザダイオードである。
【0106】
図に示す本発明に係るデバイス1の実施形態の非限定的な例によれば、少なくとも1つの利得要素16は、Yb:YAGタイプのイッテルビウムイオンドープ結晶であり、一方、少なくとも1つのポンプ要素17は、約80Wの電力で少なくとも1つのポンプ光ビームPB2を放出するように構成されたレーザダイオードである
【0107】
ガイド構成要素5cは、好適には、増幅器5aに入る超短光パルス2aのパケット2bを利得要素16に向けて案内するようになっている少なくとも第1のガイド構成要素18と、ポンプ手段5bによって増幅された超短光パルス2aのパケット2bを利得要素16から増幅器5aの出力に向けて案内するようになっている少なくとも第2のガイド構成要素19とを備えることができる。
【0108】
好ましくは、増幅手段5は、ポンプ要素17によって放出された少なくとも1つのポンプ光ビームPB2及び/又は増幅器5aへの入力における超短光パルス2aのパケット2b及び/又はポンプ手段5bによって増幅された超短光パルス2aのパケット2bを集束又はコリメートするようになっている1つ以上の集束構成要素20、21、22も備える。
【0109】
より詳細には、1つ以上の集束構成要素20、21、22は、ポンプ要素17によって放出されたポンプ光ビームPB2を利得要素16に向けて集束させるようになっている第1のレンズ20、及び/又は増幅器5aに入る超短光パルス2aのパケット2bを集束させるようになっている第2のレンズ21、及び/又はポンプ手段5bによって増幅された超短光パルス2のパケット2bをコリメートするようになっているコリメートレンズなどの第3のレンズ22とすることができる。
【0110】
代わりに、少なくとも1つの第1及び第2のガイド構成要素18、19は、超短光パルス2aのパケット2bの波長において約99%以上の反射率で、ポンプ要素17によって放出されるポンプ光ビームPB2の波長において約95%以上の透過率で構成されるダイクロイックミラーであり得る又はダイクロイックミラーを備えることができる。
【0111】
更に、増幅器5aは、好ましくは、逆伝播形態に従って動作し、すなわち、超短光パルス2aのパケット2bは、ポンプ光ビームPB2と同一直線上であるが、それとは反対の伝播方向で伝播し、及び/又は発散形態で、すなわち、超短光パルス2aのパケット2bは、増幅プロセスに起因する光強度の増大を含むように発散値で利得要素16内を伝播する。実際、増幅されるべき光パルス2aのパケット2bの利得要素16に対する焦点の位置は、超短2a光パルスのパケット2bとポンプ光ビームPB2との間の、利得要素16の内側における空間的又は体積的な重なりを最大化するために最適化される。
【0112】
基本的に、ポンプ光ビームPB2と増幅される光パルス2aのパケット2bとの間の空間的重畳又はモード整合は、ポンプ光ビームPB2と増幅される光パルス2aのパケット2bを含むビームとの間の発散の大きな差にもかかわらず最適なモード整合を維持するように、例えば第2のレンズ21を介して焦点が利得要素16の外側に位置する光パルス2aのそのようなパケット2bを集束させることによって有利に最適化することができる。
【0113】
特に、第2のレンズ21は、増幅される光パルス2aのパケット2bを、必要に応じて第1のレンズ20によって集束されるポンプ光ビームPB2の直径のサイズに対して、例えば1/20~1/5の直径を有する集束サイズで集束させることができる。
【0114】
理解されるように、発光レーザ装置3からの出力において、高いエネルギーを有する複数2の超短光パルス2aを有することにより、その下流側で必要な増幅要件の緩和が可能になる。これにより、光パルス2aのパケット2bを唯一の単段増幅器5aを介して増幅することが可能になり、光電子デバイス1の全体的なコスト及びアーキテクチャの複雑さが大幅に低減される。
【0115】
以下、図に示す実施形態の例に従って、光電子デバイス1の非限定的な動作の例を説明する。
【0116】
発光レーザ装置3は、出力において、例えば前述した動作により、複数2の高いエネルギーの超短光パルス2aを高い繰り返し周波数で生成して送信する。この複数2は、変調手段4に、又はより詳細には音響光変調器4aに入射し、音響光変調器4aは、適用要件に従って駆動手段4bによって駆動されて、変調された超短光パルス2aのパケット2bを生成し、これらを単段固体増幅器5aの入力に向けてそらす。増幅器に入る光パルス2aのパケット2bは、最初に第2のレンズ21を通して集束され、次いで第1のガイド構成要素18によってYb:YAG結晶16に向かって反射される。このYb:YAG結晶16は、レーザダイオード17によって放出されたポンプ光ビームPB2を介してポンピングされ、逆伝播動作形態に従って第1のレンズ20を介して利得要素16に集束される。当然のことながら、ポンプ光ビームPB2は、第2のガイド構成要素19の発光波長において高い透過率で作られているため、第2のガイド構成要素を通過することができる。Yb:YAG結晶16に向けられたポンプ光ビームPB2は、Yb:YAG結晶16の原子を励起し、光パルス2aのパケット2bの光子に衝突又は刺激されると、それらとコヒーレントな光子を放出し、電磁界の強度を増大させ、したがって増幅された超短光パルス2aのパケット2bを増大させる。Yb:YAG結晶16の出力における増幅された超短光パルス2aのそのようなパケット2bは、第2のガイド構成要素19によって最初に反射され、次いで増幅器5aの出力の方向に第3のレンズ22によってコリメートされ、それにより、レーザビーム出力のサイズは、かなりの伝播距離にわたっても感知できるほどには変化しない。
【0117】
更に、本発明の目的は、超短光パルス2aの複数2のパケット2bを高いエネルギー及び高い繰り返し周波数で放出する方法でもある。
【0118】
本発明に係る方法は、最初に、本発明に係る又は本発明の実施形態に係るデバイス1を用意するステップを含む。
【0119】
続いて、発光レーザ装置3によって、高いエネルギーE及び高い繰り返し周波数fを伴う複数2の超短光パルス2aを放出するステップがある。
【0120】
その後、変調手段4によって、変調された超短光パルス2のパケット2bを生成するように、発光レーザ装置3によって放出された複数2の超短光パルス2aから所与の数の光パルス2aをピックアップして変調するステップが想定される。
【0121】
特に、ピックアップ及び変調のこのステップは、例えばデジタル信号及び/又はアナログ信号を介して、駆動手段4bによって変調手段4の音響光変調器4aを駆動するステップを含むことができる。
【0122】
最後に、方法は、増幅手段5によって変調された超短光パルス2aのパケット2bを増幅するステップを提供する。
【0123】
発光レーザ装置3は、高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う複数2の光パルス2aの安全かつ高い動作安定性での放出を可能にする。
【0124】
光電子デバイス1は、チャープパルス増幅又はCPA技術を使用する低電力発振器及び多段増幅器に基づく既知の超短パルスレーザデバイスよりも低い全体コスト及び低いアーキテクチャ複雑度で、多種多様な産業、科学、及び/又は医療の運用用途のための代替的かつ革新的な解決策を提供する。
【0125】
更に、光電子デバイス1はまた、優れた精度及び処理速度、したがって、例えば材料のマイクロマシニング又はマイクロはんだ付けに使用される場合、全体的に優れた動作品質を可能にする。
【0126】
本発明に係る光電子デバイス1はまた、必要又は所望に応じて、その出力においてより高いエネルギー又は電力に達するために、問題の用途によって必要とされる電力又はエネルギー要件を達成するために、増幅手段5、より具体的には単段増幅器5a、更なる単段増幅器にカスケードで追加することが可能であり得るので、高いスケーラビリティを有することを考慮すべきである。
【0127】
更に、本発明に係る光電子デバイス1は、ストレッチャ及び圧縮器の実装を必要とせず、コストの観点及びアーキテクチャの複雑さの観点の両方から本質的に節約する。
【0128】
したがって、本発明が提案された目的をどのように完全に達成するかが分かった。
【0129】
このようにして想起された本発明は、変更及び変形が可能であり、それらは全て本発明の概念の範囲内にある。
【0130】
更に、全ての詳細は、他の技術的に等価な要素で置き換えることができる。
【0131】
実際には、使用される材料、並びに条件付きの形状及び寸法は、以下の特許請求項の保護範囲を放棄することなく、要件に従って任意であり得る。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴う、複数(2)の超短光パルス(2a)、すなわち、約10ピコ秒~約10フェムト秒の程度の持続時間の各光パルス(2a)の発光レーザ装置(3)であって、前記発光レーザ装置(3)は、使用時にパッシブモードロック動作モードで動作する少なくとも1つの固体レーザ発振器(3a)である又は該固体レーザ発振器(3a)を備えるとともに、約500MHz以上の繰り返し周波数(f)を伴う複数(2)の超短光パルス(2a)を放出するように構成され、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の各光パルス(2a)が約2nJ~約20nJのエネルギー値(E)を有し、
前記発振器(3a)は、使用時に、最初に共振光に、次いで複数(2)の超短光パルス(2a)に切り換えられる又は変換されるように設計される少なくとも1つの光学的な光源を生成するようになっており、その後に、そのような複数(2)の各超短光パルス(2a)のエネルギー(E )を増幅するようになっているポンピング手段(3b)を含み、前記ポンピング手段(3b)は、少なくとも1つの利得手段(6)と、使用時に少なくとも1つのポンピング光ビーム(PB )又は光学的な光源を放出するように構成される少なくとも1つのポンピング要素(7)とを備え、前記発振器(3a)レーザが共振キャビティ(RC)も備え、該共振キャビティ(RC)は、
-前記利得手段(6)に向けて前記複数(2)の超短光パルス(2a)又は前記共振光を誘導する、
-前記利得手段(6)から前記共振キャビティ(RC)の出力に向けて及びその逆に前記ポンピング手段(3b)によって増幅される前記複数(2)の超短光パルス(2a)又は共振光を誘導する、
ようになっている誘導手段(3c)を含み、
前記共振キャビティ(RC)は、前記発光レーザ装置(3)が連続波状態からパルス状態に移行する間、その寸法すなわちその展開に沿ったビームの幅を実質的に一定に保つために、前記共振光により交差される前記利得手段(6)の前記少なくとも2つの面のうちの1つに対して外側の特定の距離範囲内に前記共振光の焦点が位置されるように構成される、


発光レーザ装置(3)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの利得手段(6)は、約1020nm~約1080nmの間に含まれる発光波長を有するYAGタイプ又はCALGOタイプの少なくとも1つのイッテルビウムイオンドープ結晶である又は該イッテルビウムイオンドープ結晶を備える、請求項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポンピング要素(7)は、約5W~約20Wの電力で前記少なくとも1つのポンピング光ビーム(PB)を放出するように構成される少なくとも1つのレーザダイオードである又は該レーザダイオードを備える、請求項又はに記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項4】
前記レーザダイオードは、平坦な波面を有するポンピング光ビーム(PB)を放出するようにコリメータで終端する光ファイバ結合レーザダイオードである、請求項に記載のレーザ発光装置(3)。
【請求項5】
前記誘導手段(3c)は、
-前記共振キャビティ(RC)内の共振光又は前記複数(2)の超短光パルス(2a)を前記利得手段(6)に向けて誘導するようになっている1つ以上の第1の誘導要素(8,9,10)と、
-前記利得手段(6)から前記共振キャビティ(RC)の出力に向けて及びその逆に、前記ポンピング手段(3b)によって増幅される、前記共振キャビティ(RC)内の共振光又は前記複数(2)の超短光パルス(2a)を誘導するようになっている1つ以上の第2の誘導要素(11,12,13,14)と、
を備える、請求項からのいずれか一項に記載のレーザ発光装置(3)。
【請求項6】
前記1つ以上の第1の誘導要素(8,9,10)のうちの少なくとも1つの誘導要素(8)は、前記少なくとも1つのポンピング要素(7)によって放出される前記光学的な光源を複数(2)の超短光パルス(2a)に変換した後に、前記複数(2)の超短光パルス(2a)を前記利得手段(6)に向けて誘導するようになっている少なくとも変換手段(8a)である又は該変換手段(8a)を備える、請求項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項7】
前記変換手段(8a)は、使用時に第2高調波を生成するようになっている可飽和吸収体又はSESAM、又は非線形結晶を含む非線形ミラーと、前記非線形結晶と組み合わせて使用されるとともに、緑色波長において約99%以上の反射率で構成され、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約95%以上の反射率で構成されるダイクロイックミラーとを備える、請求項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項8】
前記1つ以上の第1の誘導要素(8,9,10)は、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約99%以上の反射率で構成されるミラー(9)、及び/又は前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約99%以上の反射率で構成され、前記ポンピング要素(7)によって放出される前記ポンピング光ビーム(PB)の波長において約95%以上の透過率で構成されるダイクロイックミラー(10)である又はこれらのミラーを備える、請求項からのいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項9】
前記1つ以上の第2の誘導要素(11,1213,14)は、前記ポンピング手段(3b)によって増幅される、前記共振キャビティ(RC)内の共振光又は前記複数(2つ)の超短光パルス(2a)のエネルギーの第1の部分の前記発振器(3a)の出力への透過、及び前記ポンピング手段(3b)によって増幅される、前記共振キャビティ(RC)内の共振光又は前記複数(2つ)の超短光パルス(2a)のエネルギーの第2の部分の再度の前記共振キャビティ(RC)内へのフィードバック又は反射を可能にするように構成される少なくとも1つの反射及び透過要素又はカプラ(14)である又は該反射及び透過要素又はカプラ(14)を備える、請求項からのいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの反射及び透過要素又はカプラ(14)は、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約75%~約95%の部分反射率で構成される半反射ミラーである又は該半反射ミラーを備える、請求項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項11】
前記1つ以上の第2の誘導要素(11,12,13,14)は、前記複数(2)の超短光パルス(2a)の波長において約99%以上の反射率で、及び前記ポンピング要素(7)によって放出される前記ポンピング光ビーム(PB)の波長において約95%以上の透過率で構成される第1のダイクロイックミラー(11)、及び/又は前記複数(2)の光パルス(2a)の波長において約99%以上の反射率で構成される第2のミラー(12)、及び/又は前記共振キャビティ(RC)内でのソリトンの生成をサポートするように構成されるギアズ・トゥルノワ型の第3のミラー(13)である又はこれらのミラーを少なくとも備える、請求項から10のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項12】
前記ポンピング手段(3b)は、前記ポンピング要素(7)によって放出される前記少なくとも1つのポンピング光ビーム(PB)を前記利得手段(6)に向けて集束させるようになっている少なくとも1つの集束要素(15)を備え、前記少なくとも1つの集束要素(15)は、前記利得手段(6)において前記共振キャビティ(RC)によってサポートされる共振モードと寸法的に適合する直径を有するポンピング光ビーム(PB)を得るために、前記ポンピング要素(7)によって放出される前記少なくとも1つのポンピング光ビーム(PB)を前記利得手段(6)に向けて集束させるように構成されるレンズである、請求項から11のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項13】
前記共振キャビティ(RC)は、前記共振光により交差される前記利得手段(6)の前記少なくとも2つの面の一方から約5mm~約30mmの範囲の距離に前記共振光の焦点が位置されるように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)。
【請求項14】
高いエネルギー及び高い繰返し周波数を伴う超短光パルス(2a)の複数(2)のパケット(2b)を放出するための光電子デバイス(1)であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の発光レーザ装置(3)と、前記発光レーザ装置(3)によって放出される前記複数(2)の超短光パルス(2a)から所与の数の光パルス(2a)をピックアップして変調し、変調された超短光パルス(2a)のパケット(2b)を生成するように構成される変調手段(4)と、前記変調手段(4)の下流側に配置され、前記変調手段(4)によって変調される前記超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)の各光パルス(2a)の前記エネルギー(E)を増幅するように構成される増幅手段(5)とを備え、前記増幅手段(5)は、各パケット(2b)の各光パルス(2a)の前記エネルギー(E)を増幅するように構成される少なくとも1つの単段増幅器(5a)である又は該単段増幅器(5a)を備えることを特徴とする光電子デバイス(1)
【請求項15】
前記変調手段(4)は、少なくとも1つの音響光変調器(4a)及び前記デバイス(1)の動作要件に基づいて前記音響光変調器(4a)を駆動するようになっている駆動手段(4b)である又は前記少なくとも1つの音響光変調器(4a)及び前記駆動手段(4b)を備える、請求項14に記載のデバイス(1)。
【請求項16】
前記音響光変調器(4a)が二酸化テルル結晶である又は二酸化テルル結晶を含む、請求項15に記載のデバイス(1)。
【請求項17】
前記駆動手段(4b)は、
-前記音響光変調器(4a)を起動させる又は起動停止させるべく設計されるデジタル信号であって、前記音響光変調器(4a)が起動停止時に前記複数(2)の光パルス(2a)の通過を可能にする一方で、起動時に前記複数(2)の光パルス(2a)を前記増幅器(5a)の入力に向けて迂回させることによって変調された超短光パルス(2a)のパケット(2b)を生成するようにする、デジタル信号によって、及び/又は前記デバイス(1)の動作要件に従って光パルス(2a)の前記パケット(2b)の振幅、したがって電力を変調するように設計されるアナログ信号によって、
前記音響光変調器(4a)を駆動するように設計される、請求項15又は16に記載のデバイス(1)。
【請求項18】
前記単段増幅器(5a)は、各パケット(2b)の各光パルス(2a)の前記エネルギー(E)を約100nJ~約20μjの間の値まで増幅するように構成される、請求項14から17のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項19】
前記増幅器(5a)は、
超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)の各光パルス(2a)の前記エネルギー(E)を増幅するようになっているポンプ手段(5b)であって、少なくとも1つの利得要素(16)、及び使用時に少なくとも1つのポンプ光ビーム(PB2)を放出するように構成される少なくとも1つのポンプ要素(17)を備える、ポンプ手段(5b)と、
-前記増幅器(5a)の入力における超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)を前記利得要素(16)に向けて案内する、及び
-前記ポンプ手段(5b)によって増幅される超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)を前記利得要素(16)から前記増幅器(5a)の出力に向けて案内する、
ように構成されるガイド構成要素(5c)と、
を備える固体増幅器である、請求項14から18のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの利得要素(16)は、約1020nm~約1080nmの間に含まれる発光波長を有するYAGタイプ又はCALGOタイプの少なくとも1つのイッテルビウムイオンドープ結晶である又は該イッテルビウムイオンドープ結晶を備える、請求項19に記載のデバイス(1)。
【請求項21】
前記少なくとも1つのポンプ要素(17)は、約50W~約150Wの範囲の電力で前記少なくとも1つのポンプ光ビーム(PB2)を放出するように構成される少なくとも1つのレーザダイオードである又は該レーザダイオードを備える、請求項19又は20に記載のデバイス(1)。
【請求項22】
前記ガイド構成要素(5c)は、
-前記増幅器(5a)に入力される超短光パルス(2a)のパケット(2b)を前記利得要素(16)に向けて案内するようになっている少なくとも第1のガイド構成要素(18)と、
-前記ポンプ手段(5b)によって増幅される超短光パルス(2a)のパケット(2b)を前記利得要素(16)から前記増幅器(5a)の出力に向けて案内するようになっている少なくとも第2のガイド構成要素(19)と、
を備える、請求項19から21のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項23】
前記増幅手段(5)は、前記少なくとも1つのポンプ要素(17)によって放出される前記少なくとも1つのポンプ光ビーム(PB)及び/又は前記増幅器(5a)に入力される超短光パルス(2a)のパケット(2b)及び/又は前記ポンプ手段(5b)によって増幅される超短光パルス(2a)のパケット(2b)を集束又はコリメートするようになっている1つ以上の集束構成要素(20,21,22)を備える、請求項1から22のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項24】
前記第1及び第2のガイド要素(18,19)は、超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)の波長において約99%以上の反射率、及び前記ポンプ要素(17)によって放出される前記ポンプ光ビーム(PB)の波長において約95%以上の透過率で構成されるダイクロイックミラーである又は該ダイクロイックミラーを備える、請求項22又は23に記載のデバイス(1)。
【請求項25】
前記1つ以上の集束構成要素(20,21,22)は、前記少なくとも1つのポンプ要素(17)によって放出される前記ポンプ光ビーム(PB)を集束させるようになっている第1のレンズ(20)及び/又は前記増幅器(5a)に入力される超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)を集束させるようになっている第2のレンズ(21)及び/又は前記ポンプ手段(5b)によって増幅される超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)をコリメートするようになっている第3のレンズ(22)である、請求項23又は24に記載のデバイス(1)。
【請求項26】
前記第2のレンズ(21)は、光パルス(2a)の前記パケット(2b)のより小さい発散を前記ポンプ光ビーム(PB)のはるかに大きい発散に適合させるように、前記第1のレンズ(20)によって集束される、前記ポンプ光ビーム(PB)の直径の焦点サイズに対して1/20~1/5の直径を有する集束サイズで前記光パルス(2a)の前記パケット(2b)を集束させる、請求項25に記載のデバイス(1)。
【請求項27】
前記少なくとも1つの増幅器(5a)は、逆伝播形態に従って動作し、すなわち、超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)は、前記ポンプ光ビーム(PB)と同一直線上であるがそれとは反対の伝播方向で伝播し、かつ/又は発散形態において、すなわち、超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)は、前記増幅プロセスに起因する光強度の増大を含むように発散値を伴って前記利得要素(16)内で伝播する、請求項19から26のいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項28】
高いエネルギー及び高い繰り返し周波数を伴って超短光パルス(2a)の複数(2)のパケット(2b)を放出する方法であって、
請求項16から29のいずれか一項に記載のデバイス(1)を用意するステップと、
前記発光レーザ装置(3)を介して高いエネルギー(E)及び高い繰り返し周波数(f)を伴う複数(2)の超短光パルス(2a)を放出するステップと、
前記変調手段(4)によって、変調された超短光パルス(2a)のパケット(2b)を生成するように前記発光レーザ装置(3)によって放出される前記複数(2)の超短光パルス(2a)から決定された数の光パルス(2a)をピックアップして変調するステップと、
前記増幅手段(5)によって、変調された超短光パルス(2a)の前記パケット(2b)を増幅するステップと、
を含む方法。
【国際調査報告】