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特表2024-530967細長い成形部品を整直する整直設備および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】細長い成形部品を整直する整直設備および方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 3/10 20060101AFI20240820BHJP
   B21C 35/03 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
B21D3/10 C
B21D3/10 J
B21C35/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510345
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022071392
(87)【国際公開番号】W WO2023020813
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121403.3
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062799
【氏名又は名称】ラウビンガー プルス リックマン ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Laubinger + Rickmann GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Gildestr. 20, 48356 Nordwalde, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ティーマン
(57)【要約】
本発明は、長手方向軸線(102)に沿って延在する細長い成形部品(100)、特に押出し成形材を整直する整直設備(10)であって、各1つの部品受容部(46a~46e)を有する複数の整直モジュール(16a~16e)を備えており、成形部品(100)は、整直モジュール(16a~16e)の部品受容部(46a~46e)において互いに離間された位置固定部分(104a~104e)に位置固定可能であり、整直モジュール(16a~16e)または整直モジュール(16a~16e)の部品受容部(46a~46e)は、部品受容部(46a~46e)に位置固定された成形部品(100)を整直するために互いに相対的に可動である、整直設備(10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線(102)に沿って延在する細長い成形部品(100)、特に押出し成形材を整直する整直設備(10)であって、
-各1つの部品受容部(46a~46e)を有する複数の整直モジュール(16a~16e)を備えており、前記成形部品(100)は、前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)において互いに離間された位置固定部分(104a~104e)に位置固定可能であり、
前記整直モジュール(16a~16e)または前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、該部品受容部(46a~46e)に位置固定された前記成形部品(100)を整直するために互いに相対的に可動である、整直設備(10)において、
前記複数の整直モジュール(16a~16e)は、相前後して配置されており、前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、前記成形部品(100)を受容するために、部品受容軸線(48)に沿って一直線上に位置決め可能であることを特徴とする、整直設備(10)。
【請求項2】
互いに相対的に可動でありかつ相前後して配置された少なくとも3つの整直モジュール(16a~16e)が設けられており、これらの整直モジュール(16a~16e)は、各1つの部品受容部(46a~46e)を有しており、少なくとも3つの整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、前記成形部品(100)を受容するために、部品受容軸線(48)に沿って一直線上に位置決め可能である、請求項1記載の整直設備(10)。
【請求項3】
前記整直モジュール(16a~16e)または前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、前記成形部品(100)に対する横方向整直力を、前記成形部品(100)の前記長手方向軸線(102)に対して横方向に加えるために、それぞれ1つまたは複数の整直駆動装置(38a~38c)により、前記部品受容軸線(48)に直交する整直平面(60)内で移動可能である、請求項1または2記載の整直設備(10)。
【請求項4】
前記整直モジュール(16a~16e)または前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、前記成形部品(100)の前記長手方向軸線(102)を中心として前記成形部品(100)に整直モーメントを加えるために、それぞれ1つまたは複数の整直駆動装置(38a~38c)により、前記部品受容軸線(48)を中心として回動可能である、請求項1から3までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項5】
前記整直モジュール(16a~16e)または前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、前記成形部品(100)の前記長手方向軸線(102)に沿った、前記整直モジュール(16a~16e)または前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)の長手方向位置決めのために、それぞれ1つまたは複数の位置決め駆動装置(70)により、前記部品受容軸線(48)に対して平行に移動可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項6】
前記整直モジュール(16a~16e)は、1つまたは複数の長手方向支持体(68a,68b)に懸架されていて、それぞれ1つまたは複数の整直駆動装置(38a~38c)により、かつ/または1つまたは複数の位置決め駆動装置(70)により、1つまたは複数の前記長手方向支持体(68a,68b)に対して相対的に、複数の空間方向に可動であり、かつ/または、1つまたは複数の回動軸線を中心として回動可能であり、かつ/または、1つまたは複数の旋回軸線を中心として旋回可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項7】
前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、前記成形部品(100)を部分的にまたは完全に包囲するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項8】
前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、1つまたは複数の緊締体(54a,54b,56a,56b)を備えた各1つの緊締装置(52)を有しており、前記1つまたは複数の緊締体(54a,54b,56a,56b)により、前記成形部品(100)を各前記部品受容部(46a~46e)内の前記位置固定部分(104a~104e)に緊締することができる、請求項1から7までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項9】
緊締装置(52)は、それぞれ1つまたは複数の緊締体駆動装置(58a,58b)を有しており、該緊締体駆動装置(58a,58b)により、緊締体(54b,56b)が前記成形部品(100)に向かって移動させられて、該成形部品(100)を緊締する、請求項1から8までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項10】
1つまたは複数の整直モジュール(16a~16e)が、整直工程の前、最中かつ/または後に、ロック位置でロック可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項11】
整直工程の前、最中かつ/または後に前記成形部品(100)を測定するように構成された測定装置(18)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項12】
前記測定装置(18)は、複数の測定支持部(40a,40b)を有しており、これらの測定支持部(40a,40b)は、緊締装置(52)の1つまたは複数の緊締体(54a,54b,56a,56b)とは別個に形成されていて、前記測定装置(18)による測定工程中に前記成形部品(100)を支持するように構成されており、前記測定装置(18)は、好適には位置決め手段(50a~50c)を有しており、これらの位置決め手段(50a~50c)により、前記成形部品(100)を前記測定装置(18)の前記測定支持部(40a,40b)に位置決めすることができる、請求項11記載の整直設備(10)。
【請求項13】
前記成形部品(100)を前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)内へ搬入すると共に、前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)から搬出する搬送装置が設けられており、該搬送装置は、好適には以下の、
-前記成形部品(100)を、当該整直設備(10)の装填側の進入位置と、当該整直設備(10)の内部の整直位置との間を移動する間に支持するローラコンベヤ(22)、および/または
-前記成形部品(100)を、当該整直設備(10)の内部の前記整直位置と、当該整直設備(10)の取出し側の進出位置との間を移動する間に支持するローラコンベヤ(24)、および/または
-可動の摺動体および/または牽引体(34)を含み、該摺動体および/または牽引体(34)により、前記成形部品(100)を、
i)当該整直設備(10)の前記装填側の前記進入位置から当該整直設備(10)の内部の前記整直位置へ、かつ/または
ii)当該整直設備(10)の内部の前記整直位置から当該整直設備(10)の前記取出し側の前記進出位置へ
摺動させることができかつ/または牽引することができる、請求項1から12までのいずれか1項記載の整直設備(10)。
【請求項14】
長手方向軸線(102)に沿って延在する細長い成形部品(100)、特に押出し成形材を、整直設備(10)、好適には請求項1から13までのいずれか1項記載の整直設備(10)により整直する方法であって、
-前記整直設備(10)の整直モジュール(16a~16e)の部品受容部(46a~46e)において互いに離間された位置固定部分(104a~104e)に前記成形部品(100)を位置固定するステップと、
-少なくとも1つの整直モジュール(16a~16e)または少なくとも1つの整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)を、少なくとも1つの別の整直モジュール(16a~16e)または少なくとも1つの別の整直モジュール(16a~16e)の部品受容部(46a~46e)に対して相対的に移動させ、前記部品受容部(46a~46e)に位置固定された前記成形部品(100)を整直するステップと
を含む、方法において、
前記複数の整直モジュール(16a~16e)は、相前後して配置されており、前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)は、前記成形部品(100)を受容するために、部品受容軸線(48)に沿って一直線上に位置決めされることを特徴とする、方法。
【請求項15】
以下のステップ、すなわち:
-少なくとも1つの整直モジュール(16a~16e)または少なくとも1つの整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)を、前記部品受容軸線(48)に直交する整直平面(60)内で、1つまたは複数の整直駆動装置(38a~38c)により移動させて、前記成形部品(100)に対する横方向整直力を、前記成形部品(100)の前記長手方向軸線(102)に対して横方向に加えるステップ、
-少なくとも1つの整直モジュール(16a~16e)または少なくとも1つの整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)を、前記部品受容軸線(48)を中心として、1つまたは複数の整直駆動装置(38a~38c)により回動させて、前記成形部品(100)に対する整直モーメントを、前記成形部品(100)の前記長手方向軸線(102)を中心として加えるステップ、
-少なくとも1つの整直モジュール(16a~16e)または少なくとも1つの整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)を、前記部品受容軸線(48)に対して平行に、1つまたは複数の位置決め駆動装置(70)により移動させて、前記整直モジュール(16a~16e)または前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)を、前記成形部品(100)の前記長手方向軸線(102)に沿って長手方向位置決めするステップ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
以下のステップ、すなわち:
-前記成形部品(100)を、各前記部品受容部(46a~46e)における前記位置固定部分(104a~104e)に、各前記整直モジュール(16a~16e)の緊締装置(52)の1つまたは複数の緊締体(54a,54b,56a,56b)により緊締するステップ、
-前記成形部品(100)を、整直工程の前、最中かつ/または後に、前記整直設備(10)の測定装置(18)により測定するステップ、
-前記成形部品(100)を、前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)内へ、前記整直設備(10)の搬送装置により搬入するステップ、
-前記成形部品(100)を、前記整直モジュール(16a~16e)の前記部品受容部(46a~46e)から、前記整直設備(10)の搬送装置により搬出するステップ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
長手方向軸線(102)に沿って延在する整直された細長い成形部品(100)、特に整直された押出し成形材を製造する方法であって、
-長手方向軸線(102)に沿って延在する未整直の成形部品(100)を準備するステップと、
-準備された前記成形部品(100)を整直設備(10)により整直するステップと
を含む、方法において、
前記成形部品(100)の整直を、請求項1から13までのいずれか1項記載の整直設備(10)を用いて、かつ/または請求項14から16までのいずれか1項記載の、成形部品(100)を整直する方法を用いて行うことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向軸線に沿って延在する細長い成形部品、特に押出し成形材を整直する(まっすぐにする)整直設備(矯正設備)であって、各1つの部品受容部を有する複数の整直モジュールを備えており、成形部品は、整直モジュールの部品受容部において互いに離間された位置固定部分に位置固定可能であり、整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部は、部品受容部に位置固定された成形部品を整直するために互いに相対的に可動である、整直設備に関する。
【0002】
さらに本発明は、長手方向軸線に沿って延在する細長い成形部品、特に押出し成形材を整直設備により整直する方法であって、整直設備の整直モジュールの部品受容部において互いに離間された位置固定部分に成形部品を固定するステップと、少なくとも1つの整直モジュールまたは少なくとも1つの整直モジュールの部品受容部を、少なくとも1つの別の整直モジュールまたは少なくとも1つの別の整直モジュールの部品受容部に対して相対的に移動させ、部品受容部に位置固定された成形部品を整直するステップとを含む。
【0003】
さらに本発明は、長手方向軸線に沿って延在する整直された細長い成形部品、特に整直された押出し成形材を製造する方法であって、長手方向軸線に沿って延在する未整直の成形部品を準備するステップと、準備された成形部品を整直設備により整直するステップとを含む、方法に関する。
【0004】
例えば押出成形材のような細長い成形部品は、少量製造および個別製造においてダイカスト構造部品の代替品として益々使用される。この場合、所望の部品幾何学形状は通常、細長い成形部品の切削加工により生ぜしめられる。例えば車両のサイドメンバまたはクロスメンバは、フライス加工工程において押出し成形材から製造され得る。
【0005】
しかしながら、このような用途および別の用途では、切削加工前の押出し成形材が、目標幾何学形状からの極小さな形状誤差を有している、ということが必要とされている。変形加工法により製造された成形部品、例えば押出し成形法で製造された押出し成形材は、これらの使用領域に対して十分な寸法精度を有していないため、成形部品は、さらに加工される前に整直設備により整直されねばならない。整直により、目標幾何学形状からの寸法誤差が解消されるか、または少なくとも大幅に減じられる。
【0006】
しかしながら、従来技術において使用される整直設備は、例えば押出し成形材のような細長い成形部品の整直には適さない。
【0007】
よって本発明の根底を成す課題は、細長い成形部品、例えば押出し成形材の精密な整直を可能にすることにある。
【0008】
この課題は、冒頭に述べた形式の整直設備であって、本発明による整直設備の複数の整直モジュールが相前後して配置されており、成形部品を受容する整直モジュールの部品受容部が、部品受容軸線に沿って一直線上に位置決め可能である、整直設備により解決される。
【0009】
整直モジュールの部品受容部が、部品受容軸線に沿って一直線上に位置決め可能であることにより、細長い成形部品を、部品受容軸線に沿って整直モジュールの部品受容部内へ搬送することができる。つまり、細長い成形部品を、その長手方向軸線に沿って整直モジュールの部品受容部内へ進入させることができ、これにより、成形部品は、整直設備内で整直位置を占めた後に、整直モジュールの部品受容部内で互いに離間された位置固定部分に位置固定され得る。整直モジュールの部品受容部内の位置固定部分に固定した後に、次いで少なくとも1つの整直モジュールまたは1つの整直モジュールの部品受容部が、少なくとも1つの別の整直モジュールまたは少なくとも1つの別の整直モジュールの部品受容部に対して相対的に移動させられ、これにより、成形部品に加えられる整直力および/または整直モーメントを介して、成形部品の目標幾何学形状からの寸法誤差を解消するか、または少なくとも大幅に減じることができる。
【0010】
成形部品は、例えばアルミニウム押出し成形材であってよい。成形部品は、例えば0.5m~5mの範囲の長さを有していてよい。成形部品は、例えば最大0.3mの高さを有していてよい。成形部品は、例えば最大0.5mの幅を有していてよい。短い成形部品の場合には、全ての整直モジュールが整直プロセスに加えられるわけではない、ということが生じ得る。この場合、1つまたは複数の整直モジュールの部品受容部は、整直しようとする成形部品の短い長さに基づき空いたままである。
【0011】
1つの好適な実施形態では、本発明による整直設備は、互いに相対的に可動でありかつ相前後して配置された少なくとも3つの整直モジュールを有しており、これらの整直モジュールは各1つの部品受容部を有しており、この場合、少なくとも3つの整直モジュールの部品受容部は、成形部品を受容するために、部品受容軸線に沿って一直線上に位置決め可能である。整直設備は、4つ以上の、例えば4つまたは5つまたは6つ以上の相前後して配置された整直モジュールを有していてもよい。整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部は、成形部品を整直するために、部品受容軸線から外側に移動させられるか、または部品受容軸線に沿って移動させられてよい。
【0012】
さらに、本発明による整直設備であって、整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部が、成形部品の長手方向軸線に対して横方向で成形部品に横方向整直力を加えるために、それぞれ1つまたは複数の整直駆動装置により、部品受容軸線に対して直交する整直平面内で移動可能である、整直設備が好適である。部品受容軸線に対して直交する整直平面内で整直モジュールの部品受容部を移動させるためには、部品受容部がモジュール内部で、部品受容軸線に対して直交する整直平面内を移動させられるか、または整直モジュール全体が、部品受容軸線に対して直交する整直平面内を移動させられてよい。成形部品に横方向整直力が加えられることにより、成形部品が折り曲げられ、その結果、部品の折曲げにより、目標幾何学形状からの寸法誤差が解消されるか、または少なくとも大幅に減じられることになる。1つまたは複数の整直駆動装置は、好適には、各整直モジュールまたは各整直モジュールの部品受容部を整直平面内で第1の整直軸線に沿って移動させるために用いられる。1つまたは複数の整直駆動装置は、好適には、各整直モジュールまたは各整直モジュールの部品受容部を整直平面内で第2の整直軸線に沿って移動させるために用いられる。第1の整直軸線と第2の整直軸線とは、整直平面内で好適には互いに垂直に位置している。各整直モジュールまたは各整直モジュールの部品受容部を、第1および第2の整直軸線に沿って移動させることにより、整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部を、整直平面内で任意の方向に移動させることができる。整直平面内で整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部を移動させるためには、例えば3つまたは4つのリニア駆動装置が使用され得る。リニア駆動装置は、例えば電動モータ式の駆動装置であってよい。整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部を、部品受容軸線に対して直交する整直平面内で移動させることができる1つまたは複数の整直駆動装置は、整直設備の制御装置により制御され得る。
【0013】
本発明による整直設備の1つの別の好適な実施形態では、整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部は、成形部品の長手方向軸線を中心として成形部品に整直モーメントを加えるために、それぞれ1つまたは複数の整直駆動装置により、部品受容軸線を中心として回動可能である。成形部品に整直モーメントを加えることにより、成形部品はねじられ、これにより、目標幾何学形状からの寸法誤差が解消されるか、または少なくとも大幅に減じられることになる。部品受容軸線を中心として整直モジュールの部品受容部を回動させるためには、部品受容部がモジュール内部で部品受容軸線を中心として回動させられるか、または整直モジュール全体が部品受容軸線を中心として回動させられてよい。整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部を、部品受容軸線を中心として回動させることができる1つまたは複数の整直駆動装置は、整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部を、部品受容軸線に対して直交する整直平面内で移動させるためにも使用され得る。
【0014】
本発明による整直設備の1つの別の好適な実施形態では、整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部は、成形部品の長手方向軸線に沿った、整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部の長手方向位置決めのために、それぞれ1つまたは複数の位置決め駆動装置により、部品受容軸線に対して平行に移動可能である。部品受容軸線に対して平行に整直モジュールの部品受容部を移動させるためには、部品受容部がモジュール内部で部品受容軸線に対して平行に移動させられるか、または整直モジュール全体が部品受容軸線に対して平行に移動させられてよい。整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部を、部品受容軸線に対して平行に移動させることができる1つまたは複数の位置決め駆動装置は、スピンドル駆動装置を含んでいてよく、かつ/または整直設備の長手方向移動装置の構成部材である。例えば長手方向移動装置は、1つまたは複数の、好適には2つの互いに平行に延在するスピンドル軸を含み、この場合、整直モジュールはそれぞれ1つまたは複数のスピンドルナットを介して、1つまたは複数のスピンドル軸に係合可能である。1つの整直モジュールのスピンドルナットがスピンドル軸に係合しておりかつスピンドル軸が位置決め駆動装置を介して回転させられると、この整直モジュールは部品受容軸線に対して平行に移動させられる。スピンドル軸の回転方向を介して、整直モジュールの移動方向が設定される。1つの整直モジュールのスピンドルナットがスピンドル軸に係合しておらず、かつスピンドル軸が、例えば別の整直モジュールを移動させるために位置決め駆動装置を介して回転させられると、この、スピンドルナットがスピンドル軸に係合していない整直モジュールは、移動させられない。1つまたは複数のスピンドルナットは、好適には複数の部品から、例えば2つの部品から成り、この場合、1つまたは複数のスピンドル軸からスピンドルナットを係合外にもたらすために、1つまたは複数のスピンドルナット部品が可動である。スピンドルナット部品を動かすことにより、スピンドルナットが開閉され得る。スピンドルナットの可動のスピンドルナット部品は、アクチュエータ、例えば空圧シリンダに結合されており、アクチュエータを介してスピンドルナット部品を動かして、各スピンドルナットとスピンドル軸とを係合状態にもたらすと共に、係合外にもたらすことができる。長手方向移動装置はさらに、好適には1つまたは複数のスライドレールを有しており、スライドレールに沿って、整直モジュールが移動時に部品受容軸線に対して平行に滑動すると共に、スライドレールを介して整直モジュールが支持される。整直モジュールは、好適には、1つまたは複数のスライドレールと接触しているスライドシューを有している。1つまたは複数の位置決め駆動装置は、電動モータであってよい。例えば、電動モータとして形成された位置決め駆動装置は、伝動装置、例えばT字形伝動装置を介して2つのスピンドル軸に接続されており、これにより、2つのスピンドル軸を、位置決め駆動装置を介して回転させることができる。整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部が、部品受容軸線に対して平行に移動する際、隣り合う整直モジュールまたは隣り合う整直モジュールの部品受容部は、互いに接近させられるか、または互いに離反させられる。整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部が部品受容軸線に対して平行に移動することにより、部品が整直モジュールの部品受容部内で位置固定される位置固定部分の位置も変更される。整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部の長手方向位置決めは、本来の整直前に行われ、事前に実施された部品測定に基づき整直設備の制御装置により求められた、部品用の整直ストラテジに依存する。制御装置により求められる整直ストラテジは、実施しようとする部品変形に左右され、ひいては部品固有のものである。整直モジュールもしくは整直モジュールの部品受容部の適切な長手方向位置決めにより、異なる種類の変形が実現され得る。
【0015】
さらに、本発明による整直設備では、有利には、整直モジュールが、1つまたは複数の長手方向支持体に懸架されていて、それぞれ1つまたは複数の整直駆動装置により、かつ/または1つまたは複数の位置決め駆動装置により、1つまたは複数の長手方向支持体に対して相対的に、複数の空間方向に可動であり、かつ/または1つまたは複数の回動軸線を中心として回動可能であり、かつ/または1つまたは複数の旋回軸線を中心として旋回可能である。整直モジュールは、それぞれ1つ、2つまたは3つの整直駆動装置を介して懸架されており、整直駆動装置により、整直モジュールを上下に、つまりZ方向に移動させることができる。整直モジュールは、それぞれ1つ、2つまたは3つの整直駆動装置を介して懸架されており、整直駆動装置により、整直モジュールを部品受容軸線に対して横方向の側方に、つまりY方向に移動させることができる。1つまたは複数の位置決め駆動装置を介して、整直モジュールを長手方向に移動させることができる。長手方向支持体は、スライドレールであってよいかまたはスライドレールを含んでいてよく、スライドレールは、整直モジュールを支持しており、スライドレールに沿って、整直モジュールは移動時に長手方向に滑動する。
【0016】
本発明による整直設備の1つの改良では、整直モジュールの部品受容部は、成形部品を部分的にまたは完全に包囲するように構成されている。部品受容部は、成形部品の周りを環状に包囲していてよい。つまり、部品受容部内に成形部品を位置決めするために、成形部品は、部品受容軸線に沿って部品受容部内へ進入させられる。
【0017】
さらに、本発明による整直設備では、好適には、整直モジュールの部品受容部が、1つまたは複数の緊締体を備えた各1つの緊締装置を有しており、この場合、1つまたは複数の緊締体により、成形部品を各部品受容部内の位置固定部分に緊締することができる。緊締装置の1つまたは複数の緊締体は、可動であってよい。緊締体は、整直プロセス中に成形部品に接触し、整直力または整直モーメントを成形部品内に導入する押圧部材であってよい。成形部品は緊締前に、下側の、特に不動の緊締体に載置され、これにより、成形部品の緊締前に、成形部品の位置を考慮しながら、整直モジュールの位置決めもしくは位置調整を行うことができる。緊締体の表面輪郭は、成形部品の形状に適合されていてよい。緊締体は、それぞれ異なる成形部品を整直するために部品固有の緊締体を使用することができるようにするために、交換可能であってよい。緊締体は、溝、特にT溝内にガイドされて位置固定されている。緊締体を交換するためには、好適には固定板が取り外される。次いで、緊締体を交換することができる。可動の緊締体には、スペーサが設けられてもよく、これにより、異なる成形部品の幾何学形状間の差を補償することができる。
【0018】
本発明による整直設備の1つの別の好適な形態では、緊締装置はそれぞれ、1つまたは複数の緊締体駆動装置を有しており、緊締体駆動装置により、緊締体を成形部品に向かって移動させて、成形部品を緊締することができる。緊締体駆動装置は、例えば液圧シリンダであってよい。択一的に、緊締体駆動装置は、空圧シリンダまたは電動モータであってもよい。成形部品の緊締は、好ましくは上下から、ならびに互いに反対の2つの側から行われるため、成形部品は、4つの側から緊締体により緊締される。この緊締固定により、整直力および整直モーメントを成形部品内に全体的に導入することができる。
【0019】
さらに、本発明による整直設備では、好適には、1つまたは複数の整直モジュールが、整直工程の前、最中かつ/または後に、ロック位置でロック可能である。整直モジュールがロック可能であることにより、これらの整直モジュールをゼロ位置に位置固定することができる。整直設備は、好適にはベースフレームを有しており、この場合、整直モジュールは、ベースフレームの1つまたは複数の長手方向体を介して取り付けられており、特に懸架されている。ベースフレームは、ラッカコーティングされた溶接構造体を含んでいてよい。
【0020】
本発明による整直設備はさらに、整直工程の前、最中かつ/または後に成形部品を測定するように構成された測定装置を有していてよい。測定装置は、測定キャリッジを含んでいてよい。測定キャリッジには、成形部品を測定する1つまたは複数のセンサ、例えばラインレーザが配置されていてよい。測定キャリッジは、1つまたは複数のセンサと共に、成形部品に沿って、特に成形部品に対して平行に移動させられてよい。成形部品の測定は、好適には、測定キャリッジが成形部品に沿って移動する間、つまり測定キャリッジが成形部品の傍らを通過する間に行われる。測定キャリッジは、リニアモジュールに取り付けられていてよい。測定キャリッジは、成形部品の側方で、かつ/または成形部品の下側で、成形部品に沿って移動させられてよい。成形部品の測定は、互いに離間された整直モジュールの間で、特に所定の点で行われる。測定は、好適には、一方では測定キャリッジ上の1つまたは複数のセンサの測定値に基づき、かつ他方では測定キャリッジの位置に基づき行われる。測定キャリッジの位置は、回転センサにより検出され得る。
【0021】
本発明による整直設備はさらに、測定装置の1つまたは複数のセンサを較正することができる較正ユニットを有していてよい。較正ユニットは、特に旋回可能な較正ブロックを有していてよい。較正ブロックには、複数の段部が所定の高さ間隔をあけて設けられていてよい。測定キャリッジ上の1つまたは複数のセンサによる較正ブロックの測定に基づき、センサが較正され得る。ラインレーザの場合には、較正により測定ソフトウェアにおいて線形誤差が補償される。
【0022】
本発明による整直設備の1つの別の好適な実施の形態では、測定装置は、複数の測定支持部を有しており、これらの測定支持部は、緊締装置の1つまたは複数の緊締体とは別個に形成されていて、測定装置による測定工程中に成形部品を支持するように構成されており、この場合、測定装置は、好適には位置決め手段を有しており、これらの位置決め手段により、成形部品を測定装置の測定支持部に位置決めすることができる。測定支持部は、位置決め手段との組合せにおいて、成形部品の正確な位置調整を繰り返し可能にする。成形部品は、測定中、緊締装置の緊締体上に載置されるのではなく、別個の測定支持部上に載置される。位置決め手段は、整直モジュールに取り付けられたプランジャを含んでいてよい。プランジャは交換可能であってよく、これにより、成形部品を位置決めするために部品固有のプランジャを使用することができる。測定支持部は、測定用に成形部品を位置調整するためだけに送られる一方で、整直プロセス中、測定支持部は倒されている。測定支持部は交換可能であってよく、これにより、成形部品を測定するために部品固有の測定支持部を使用することができる。
【0023】
1つの別の好適な実施形態では、本発明による整直設備は、成形部品を整直モジュールの部品受容部内へ搬入すると共に、整直モジュールの部品受容部から搬出する搬送装置を有している。搬送装置は、好適にはローラコンベヤを含み、ローラコンベヤは成形部品を、整直設備の装填側の進入位置と、整直設備の内部の整直位置との間を移動する間、支持する。択一的または追加的に、搬送装置は、成形部品を、整直設備の内部の整直位置と、整直設備の取出し側の進出位置との間を移動する間に支持するローラコンベヤを有している。択一的または追加的に、搬送装置は、可動の摺動体および/または牽引体を有しており、摺動体および/または牽引体により、成形部品を、整直設備の装填側の進入位置から、整直設備の内部の整直位置に、かつ/または整直設備の内部の整直位置から、整直設備の取出し側の進出位置に摺動させることができかつ/または牽引することができる。搬送装置は、好適には複数のガイドローラを有している。個々のまたは全てのガイドローラは交換可能であってよく、これにより、部品固有のガイドローラを使用することができる。整直設備の装填側の進入位置では、成形部品は整直モジュールの部品受容部の外側に配置されている。整直設備の内部の整直位置では、成形部品は整直モジュールの部品受容部内に配置されている。整直設備の取出し側の進出位置では、成形部品は整直モジュールの部品受容部の外側に配置されている。進入位置から整直位置までの進入経路に沿って、かつ/または整直位置から進出位置までの進出経路に沿って、整直設備を通して成形部品を搬送する別のガイドローラが配置されていてよい。ガイドローラは、整直モジュールに取り付けられていてよい。摺動体および/または牽引体はロッドであってよい。成形部品は、まず装填側の進入位置でローラコンベヤ上に置かれる。次いで成形部品は、摺動体および/または牽引体により整直位置に搬送される。摺動体および/または牽引体は、好適には同時に、整直位置に位置する成形部品を、先行する整直工程から、整直設備の取出し側の進出位置に搬送する。長手方向における成形部品の位置調整は、長手方向ストッパおよび位置調整体により行われ、長手方向ストッパおよび位置調整体はそれぞれ、成形部品が予め位置決めされた後に、摺動体および/または牽引体により整直モジュール内へ送られる。成形部品は、位置調整体により長手方向ストッパの手前に摺動させられ、これにより、規定通りに位置決めされる。位置調整体は、交換可能であってよく、これにより、部品固有の位置調整体を使用することができる。別個のガイドローラ、および整直モジュールに取り付けられたガイドローラ、ならびにローラコンベヤのガイドローラも、やはり交換可能であってよい。測定支持部、位置調整体ならびにガイドローラは、手動でガイドレール上を摺動させられて位置固定される。この場合、位置決めは、接着されたメジャーを用いて行われる。別個のガイドローラは、追加的にガイドから取り外すことができ、必要に応じて位置決めされ得る。
【0024】
整直設備は、液圧ステーションを有していてよい。液圧ステーションは、好適には別個に、整直設備の内部の整直室に隣接して、進出ローラコンベヤの下流側に位置している。液圧ステーションは、例えば2つの独立した液圧ポンプを駆動する2つのモータが載置された800lタンクから成る。追加的に、液圧オイルを冷却するための空気冷却器が取り付けられていてよい。液圧の分配器ならびに弁ブロックは、液圧ユニットから独立して、整直設備の裏側に位置していてよい。さらに、整直設備の裏側には、空圧の機器と保守整備手段との組合せが位置していてよい。空圧の機器と保守整備手段との組合せは、好適には、空圧供給用のテイクオーバーポイントと、所要の空圧圧縮段と、圧縮空気用のフィルタユニットとから成る。様々な空圧機能を制御するバルブクラスタも、やはり整直設備の裏側に配置されていてよい。
【0025】
本発明の根底を成す課題はさらに、冒頭に述べた形式の、細長い部品を整直する方法により解決され、この方法では、本発明による方法において使用される整直設備の整直モジュールが、相前後して配置されており、成形部品を受容する整直モジュールの部品受容部が、部品受容軸線に沿って一直線上に位置決めされる。長手方向軸線に沿って延在する細長い部品を整直する本方法は、有利には、上述した実施形態のうちの1つによる整直設備を用いて実施される。よって、細長い部品を整直する本発明による方法の利点および変化形に関しては、本発明による整直設備の利点および変化形を参照されたい。
【0026】
本方法はさらに、整直設備による、提供された成形部品の測定を含んでいてよい。
【0027】
本発明による方法の1つの好適な実施形態では、少なくとも1つの整直モジュールまたは少なくとも1つの整直モジュールの部品受容部を、部品受容軸線に対して直交する整直平面内で、1つまたは複数の整直駆動装置により、成形部品に横方向整直力を加えるために、成形部品の長手方向軸線に対して横方向に移動させる。択一的または追加的に、少なくとも1つの整直モジュールまたは少なくとも1つの整直モジュールの部品受容部を、部品受容軸線を中心として1つまたは複数の整直駆動装置により回動させ、成形部品の長手方向軸線を中心として、成形部品に整直モーメントを加える。択一的または追加的に、少なくとも1つの整直モジュールまたは少なくとも1つの整直モジュールの部品受容部を、部品受容軸線に対して平行に1つまたは複数の位置決め駆動装置により移動させ、成形部品の長手方向軸線に沿って、整直モジュールまたは整直モジュールの部品受容部を長手方向位置決めする。
【0028】
本発明による方法の1つの別の好適な実施形態では、成形部品を、各整直モジュールの緊締装置の1つまたは複数の緊締体により、各部品受容部内の位置固定部分に緊締する。択一的または追加的に、成形部品を、整直工程の前、最中かつ/または後に、整直設備の測定装置により測定する。好適には、成形部品の、整直モジュールの部品受容部内への搬入は、整直設備の搬送装置により行われ、かつ/または成形部品の、整直モジュールの部品受容部からの搬出は、整直設備の搬送装置により行われる。
【0029】
本発明の根底を成す課題はさらに、冒頭で述べた形式の、整直された細長い成形部品を製造する方法により解決され、この方法では、成形部品の整直を、上述した実施形態のうちの1つによる整直設備を用いて行い、かつ/または上述した実施形態のうちの1つによる、成形部品を整直する方法を用いて行う。よって、整直された成形部品を製造する本発明による方法の利点および変化形に関しては、本発明による整直設備および本発明による、成形部品を整直する方法の利点および変化形を参照されたい。
【0030】
以下に、本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照してより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による整直設備の1つの実施例を示す斜視図である。
図2図1に示した整直設備の装填側と、整直しようとする成形部品とを共に示す斜視図である。
図3図1に示した整直設備の整直室を、整直しようとする成形部品と共に示す斜視図である。
図4】整直しようとする成形部品を予め位置決めしている最中の、図1に示した整直設備を示す斜視図である。
図5】整直しようとする成形部品を測定している最中の、図1に示した整直設備を示す斜視図である。
図6図1に示した整直設備の長手方向移動装置を示す斜視図である。
図7】整直しようとする成形部品を部品受容部において固定している最中の、図1に示した整直設備を示す斜視図である。
図8】成形部品を整直している最中の、図1に示した整直設備を示す斜視図である。
図9図1に示した整直設備の取出し側と、整直された成形部品とを共に示す斜視図である。
【0032】
図1には、細長い成形部品100、つまり押出し成形材を整直する整直設備10が示されている。整直設備10により、成形部品100の目標幾何学形状からの形状誤差を補正することができる。このために整直設備10は複数の、つまり合計5つの整直モジュール16a~16eを有しており、これらの整直モジュール16a~16eは、ベースフレーム12により取り囲まれた整直設備10の整直室14内に配置されている。
【0033】
整直するために、成形部品100はまず、整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46eにおいて互いに離間された位置固定部分104a~104eに固定される。次いで整直モジュール16a~16eは、互いに相対的に移動させられる。整直モジュール16a~16eの移動により、成形部品100に整直力および/または整直モーメントが導入され、その結果、成形部品100の目標幾何学形状からの誤差が、整直力および/または整直モーメントの導入により補正される。
【0034】
複数の整直モジュール16a~16eは、相前後して配置されており、整直駆動装置を介してベースフレーム12の長手方向支持体68a,68bに懸架されている。整直駆動装置を介して、整直モジュール16a~16eは長手方向支持体に対して相対的に、複数の空間方向に可動である。さらに整直モジュール16a~16eは、成形部品100を整直するために回動または旋回され得る。
【0035】
整直設備100はさらに、整直工程の前後に成形部品100を測定することができる測定装置18を有している。よって測定装置18により、成形部品100の目標幾何学形状からの補正すべき形状誤差が検出され得、これにより、整直モジュール16a~16eは成形部品100の整直のために、部品特有に、互いに相対的に移動させられてよい。測定装置18によりさらに、整直工程の結果を検査することができ、これにより、成形部品100において意図した形状補正が行われているか否かを検査することができる。測定装置18は、成形部品100に沿って移動することができる測定キャリッジ20を有しているため、成形部品100の測定は、測定キャリッジ20の移動中に、つまり測定キャリッジ20が成形部品100を走行している間に行うことができる。
【0036】
整直設備10の搬送装置により、成形部品100は整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46e内へ搬送され得る。このために搬送装置は進入ローラコンベヤ22を有しており、進入ローラコンベヤ22は成形部品100を、整直設備10の装填側の進入位置と、整直設備10の内部の整直位置との間を移動する間、支持する。さらに搬送装置は、整直された成形部品100を整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46eから搬出するために用いられる。このために整直設備10は進出ローラコンベヤ24を有しており、進出ローラコンベヤ24は成形部品100を、整直設備10の内部の整直位置と、整直設備10の取出し側の進出位置との間を移動する間、支持する。
【0037】
整直設備10はさらに、整直設備10の電気コンポーネントおよび電子コンポーネントが配置された制御キャビネット26を含む。整直設備10の操作ならびに整直プロセスの管理は、操作パネル28を介して行われる。整直設備10の液圧ステーション30は、進出ローラコンベヤ24の下流側に位置している。
【0038】
図2には、整直設備10の装填側の進入位置における、押出し成形材として形成された成形部品100が示されている。成形部品100は、長手方向軸線102に沿って延びており、進入ローラコンベヤ22のガイドローラ32により支持される。成形部品100が整直設備10の装填側の進入位置においてローラコンベヤ22上に置かれた後に、成形部品100は、プッシュロッドとして形成された摺動体34により、進入経路に沿って整直位置に搬送される。このために成形部品100は、その長手方向軸線102に対して平行に、整直設備10の整直室14内へ移動させられる。進入経路に沿って、スライドドア36aが位置しており、スライドドア36aは、整直設備10の整直室14内へ成形部品100を搬送するために開かれる。
【0039】
成形部品100が整直設備10の整直室14内へ進入させられる前に、整直モジュール16a~16eはロック位置に移動させられる。ロック位置において、整直モジュール16a~16eはまずロックされるため、整直モジュール16a~16eは、ゼロ位置に位置固定されている。整直モジュール16a~16eもやはりガイドローラを備えており、これらのガイドローラは、成形部品100が整直室14内に進入する前に作業位置に移動させられるため、成形部品100は、進入経路に沿って移動する間、整直モジュール16a~16eのガイドローラによっても支持される。さらに、測定装置18の測定支持部40a,40bが待機位置に移動させられ、これにより、成形部品100は支障なく整直位置に搬送され得る。
【0040】
図3には、相前後して配置された整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46e内に成形部品100が進入した後の、整直設備10の整直室14が示されている。整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46eは、成形部品100を受容するために、部品受容軸線48に沿って一直線上に位置決めされている。整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46e内に成形部品100を位置決めした後に、摺動体34は、後続の測定工程および整直工程を妨げないように戻される。
【0041】
整直室14の図は、整直モジュール16a~16eが整直駆動装置38a~38cを介して懸架されていることも示している。
【0042】
成形部品100は、まず測定装置18の測定支持部40a,40bに載置される。測定支持部40a,40bは、支持部担体42a,42bにより支持され、支持部担体42a,42bを介して、測定支持部40a,40bを移動させて送ることができる。支持部担体42a,42bは、制御可能な送り駆動装置に接続されている。測定支持部40a,40bを作業位置に移動させ、かつ整直モジュール16a~16eのガイドローラを待機位置に戻した後に、成形部品100は本来の測定工程の前に、さらに精密に位置決めされる。
【0043】
図4には、測定装置18が位置決め手段50a~50cを有していることが示されており、これらの位置決め手段50a~50cにより、部品受容部46a~46cを貫通しかつ部品受容軸線48に沿って延在する成形部品100を、測定装置18の測定支持部40a,40bに位置決めすることができる。位置決め手段50a~50cはプランジャとして形成されており、この場合、各整直モジュール16a~16eに、部品受容軸線48に対して横方向に成形部品100を位置決めする位置決め手段50a,50bが存在している。位置決め手段50aにより、成形部品100の高さの位置調整が実現され得る。位置決め手段50bにより、成形部品100の横方向の位置調整が実現され得る。端面側に配置された位置決め手段50cにより、成形部品100の長手方向の位置調整が行われる。
【0044】
測定装置18の測定支持部40a,40bは、整直設備10の緊締装置52の緊締体54a,54b,56a,56bとは別個に形成されており、緊締体54a,54b,56a,56bを介して、成形部品100は本来の整直工程中に整直モジュール16a~16eに位置固定される。
【0045】
測定装置18の測定支持部40a,40bにおいて位置決め手段50a~50cにより成形部品100を位置調整した後に、図5に示す、成形部品100の測定が行われる。測定は、測定装置18の測定キャリッジ20により行われる。測定キャリッジ20上には、ラインレーザとして形成された2つのセンサ44a,44bが配置されている。測定キャリッジ20はセンサ44a,44bと共に、成形部品100を測定するために成形部品100に沿って、つまり成形部品100の長手方向軸線102に対して平行に移動させられる。測定キャリッジ20は、リニアモジュールに取り付けられており、この場合、センサ44aは成形部品100の下側で、かつセンサ44bは成形部品100の側方で、測定工程中、成形部品100に沿って移動させられる。成形部品100の測定は、互いに離間された整直モジュール16a~16eの間で行われる。成形部品100の実際幾何学形状は、測定キャリッジ20上のセンサ44a,44bの測定値と、測定キャリッジ20の位置とに基づき算出される。測定キャリッジ20の位置は、例えば回転センサにより検出され得る。
【0046】
整直設備10はさらに、センサ44a,44b用の較正ユニットを有していてよい。較正ユニットは、複数の段部が所定の高さ間隔をあけて設けられた較正ブロックを有していてよい。センサ44a,44bによる較正ブロックの測定に基づき、測定ソフトウェアにおいてラインレーザの線形誤差を補償することができる。
【0047】
成形部品100の測定後に、整直設備10は必要とされる整直モジュール16a~16eの相対移動を算出し、これにより、成形部品100の目標幾何学形状からの形状誤差を補正する。成形部品100を整直モジュール16a~16eにより整直することができるようにするために、成形部品100は、まず緊締装置52を介して整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46e内で固定される。
【0048】
図6には、整直設備10の長手方向移動装置が示されており、この長手方向移動装置を介して、整直モジュール16a~16eは長手方向位置決めのために成形部品100の長手方向軸線102に沿って、部品受容軸線48に対して平行に移動可能である。整直モジュール16a~16eの長手方向位置決めは、整直前に行われ、事前に実施された部品測定に基づき整直設備10の制御装置により求められた、部品100用の整直ストラテジに依存する。制御装置により求められる整直ストラテジは、実施しようとする部品変形に左右され、ひいては部品固有のものである。
【0049】
電動モータとして形成された位置決め駆動装置70が、T字形伝動装置を介して、互いに平行に延在する2つのスピンドル軸72a,72bに接続されており、これにより、2つのスピンドル軸72a,72bを、位置決め駆動装置70を介して回転させることができる。整直モジュール16a~16eは、それぞれスピンドルナット74a,74bを介してスピンドル軸72a,72bに係合可能である。1つの整直モジュール16a~16eのスピンドルナット74a,74bがスピンドル軸72a,72bに係合し、かつスピンドル軸72a,72bが、電動モータとして形成された位置決め駆動装置70を介して回転させられると、各整直モジュール16a~16eは部品受容軸線48に対して平行に移動させられる。スピンドル軸72a,72bの回転方向を介して、各整直モジュール16a~16eの移動方向が設定される。1つまたは複数の整直モジュール16a~16eが部品受容軸線48に対して平行に移動させられると、隣り合う整直モジュール16a~16eは互いに接近させられるか、または互いに離反させられる。整直モジュール16a~16eが部品受容軸線48に対して平行に移動することにより、部品100が整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46e内で位置固定されている位置固定部分104a~104eの位置も変更される。
【0050】
1つの整直モジュール16a~16eのスピンドルナット74a,74bがスピンドル軸72a,72bに係合しておらず、かつスピンドル軸72a,72bが位置決め駆動装置70を介して、例えば1つの別の整直モジュール16a~16eを移動させるために回転させられると、スピンドルナット74a,74bがスピンドル軸72a,72bに係合していない整直モジュール16a~16eは移動させられない。
【0051】
スピンドルナット74a,74bは複数の部品から形成されており、この場合、スピンドルナット部品は、スピンドルナット74a,74bをスピンドル軸72a,72bから係合外にもたらすために可動である。スピンドルナット部品を動かすことにより、スピンドルナット74a,74bが開閉され得る。スピンドルナット74a,74bの可動のスピンドルナット部品は、空圧シリンダとして形成されたアクチュエータ76a,76bに結合されており、アクチュエータ76a,76bを介してスピンドルナット部品を動かして、各スピンドルナット74a,74bとスピンドル軸72a,72bとを係合状態にもたらすと共に、係合外にもたらすことができる。
【0052】
長手方向移動装置はさらに、平行に延在する2つの長手方向支持体68a,68bを含み、これらの長手方向支持体68a,68bは、スライドレールとして形成されている。整直モジュール16a~16eは、スライドシューを有しており、スライドシューを介して、整直モジュール16a~16eは部品受容軸線48に対して平行に移動する際に、長手方向支持体68a,68b上を滑動する。さらに、長手方向支持体68a,68bは、整直モジュール16a,16bを支持している。
【0053】
図7は、整直モジュール16aの部品受容部46aの緊締装置52が示されている。緊締装置52は、緊締体54a,54bの第1の対と、緊締体56a,56bの第2の対とを有している。成形部品100は、緊締体54a,54b,56a,56bを介して各部品受容部46a~46e内の位置固定部分104a~104eに緊締され得る。このために緊締体対の各1つの緊締体54b,56bは、緊締体駆動装置58a,58bを介して可動である。緊締体54a,54b,56a,56bは、整直プロセス中に成形部品100に接触し、整直力および整直モーメントを成形部品100内に導入する押圧部材である。成形部品100はまず、部品受容部46a~46eの下側の緊締体54aに載置されると共に、部品受容部46a~46eの側方の緊締体56aに当接させられる。次いで、液圧シリンダとして形成された緊締体駆動装置58a,58bにより、緊締体54b,56bが成形部品100に向かって移動させられて、成形部品100を緊締する。緊締体54a,54b,56a,56bは、部品固有の表面輪郭を有しており、異なる成形部品100を整直するために交換され得る。
【0054】
整直モジュール16a~16eの部品受容部46a~46eは、成形部品100を完全に包囲しており、これにより、成形部品は、部品受容部46a~46e内での位置決めのために、部品受容軸線48に沿って部品受容部46a~46e内に進入させられることになる。整直モジュール16a~16eは、部品受容部46a~46eの領域において、各モジュール体64内に各1つの受容窓66を有している。
【0055】
整直モジュール16a~16eは、成形部品100に対する横方向整直力を、成形部品100の長手方向軸線102に対して横方向に加えるために、それぞれ整直駆動装置38a~38cにより、部品受容軸線48に直交する整直平面60内で移動可能である。さらに整直モジュール16a~16eは、成形部品100の長手方向軸線102を中心として成形部品100に整直モーメントを加えるために、それぞれ整直駆動装置38a~38cにより、部品受容軸線48を中心として回動可能である。整直駆動装置38a~38cにより、整直モジュール16a~16eは、第1の整直軸線62aに沿って、かつ第1の整直軸線62aに対して垂直な第2の整直軸線62bに沿って、整直平面60内で移動させられてよい。各整直モジュール16a~16eを整直軸線62a,62bに沿って移動させることにより、整直モジュール16a~16eを、整直平面60内で任意の方向に移動させると共に、整直平面60内で回動または旋回させることができる。
【0056】
図8には、整直工程中の整直モジュール16bの整直動作が示されている。この整直モジュールは、横方向整直力を導入するために、整直駆動装置38a,38bを介して整直平面60(図7参照)内で整直軸線62aに沿って移動させられる。整直モジュール16bの移動により、成形部品100が変形され、これにより、測定工程の枠内で事前に検出された、目標幾何学形状からの誤差が修正されるか、または少なくとも大幅に低減される。整直プロセス中に、複数のまたは全ての整直モジュール16a~16eが同時にまたは時間的にずらされて移動させられてもよい。整直モジュール16a~16eの移動量は、整直設備10によって設定され、整直プロセスの前の部品測定に基づき求められる。
【0057】
整直工程の終了後に、緊締装置52の緊締体54b,56bは、成形部品を解放するために、待機位置へ戻される。さらに、整直モジュール16a~16eは再びロック位置に移動させられ、そこでロック装置によりロックされる。次いで整直モジュール16a~16eのガイドローラが再び作業位置に移動させられ、これにより、整直済みの成形部品100が部品受容軸線48に沿って整直設備10の整直室14から再び搬出され得る。
【0058】
図9には、成形部品100がスライドドア36bの開放後に整直設備10の整直室14から進出させられた後の、整直設備10の取出し側が示されている。整直室14からの成形部品100の進出は再び、成形部品100を整直設備10の内部の整直位置から整直設備10の取出し側の進出位置へ摺動させることができる摺動体34を介して行われる。
【符号の説明】
【0059】
10 整直設備
12 ベースフレーム
14 整直室
16a~16e 整直モジュール
18 測定装置
20 測定キャリッジ
22 進入ローラコンベヤ
24 進出ローラコンベヤ
26 キャビネット
28 操作パネル
30 液圧ステーション
32 ガイドローラ
34 摺動体
36a,36b スライドドア
38a~38c 整直駆動装置
40a,40b 測定支持部
42a,42b 支持部担体
44a,44b センサ
46a~46e 部品受容部
48 部品受容軸線
50a~50c 位置決め手段
52 緊締装置
54a,54b 緊締体
56a,56b 緊締体
58a,58b 緊締体駆動装置
60 整直平面
62a,62b 整直軸線
64 モジュール体
66 受容窓
68a,68b 長手方向支持体
70 位置決め駆動装置
72a,72b スピンドル軸
74a,74b スピンドルナット
76a,76b アクチュエータ
100 成形部品
102 長手方向軸線
104a~104e 位置固定部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】