(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体およびこれの用途
(51)【国際特許分類】
C07K 16/46 20060101AFI20240820BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240820BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240820BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510417
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 KR2021010945
(87)【国際公開番号】W WO2022039490
(87)【国際公開日】2022-02-24
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519238473
【氏名又は名称】エービーエル バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,キュンジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヤンスン
(72)【発明者】
【氏名】イム,セイ
(72)【発明者】
【氏名】パク,キョンス
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ミンキュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウォンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヒェジン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,イェリョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨンキュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨンドン
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA11
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、腫瘍細胞表面上のB7-H4のT-細胞抑制効果を効果的に遮断するとともに、T-細胞上の4-1BBを活性化することができる抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体を提供する。二重特異的抗体は、B7-H4タンパク質(例えば、ヒト、サルおよびマウスのB7-H4タンパク質)および4-1BBタンパク質(例えば、ヒト、サルおよびマウスの4-1BBタンパク質)の両方に対して高い結合親和度を有することができる。本開示は、さらにB7-H4タンパク質に特異的に結合する抗-B7-H4抗体を提供する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗-B7-H4抗体またはこれの抗原-結合断片および抗-4-1BB抗体またはこれの抗原-結合断片を含む抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体。
前記抗-B7-H4抗体またはこれの抗原-結合断片は、以下を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、
配列番号:2、25および33からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖相補性-決定領域1(CDR-H1);
配列番号:3、26および34からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖相補性-決定領域2(CDR-H2);
配列番号:4、27および35からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖相補性-決定領域3(CDR-H3);
配列番号:7、8、29および37からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖相補性-決定領域1(CDR-L1);
配列番号:9および30からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖相補性-決定領域2(CDR-L2);および
配列番号:10、31および38からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖相補性-決定領域3(CDR-L3);
前記抗-4-1BB抗体またはこれの抗原-結合断片は、以下を含む抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体であって、
配列番号:39ないし43からなる群より選択された一つ以上のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および配列番号:52および53からなる群より選択された一つ以上のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【請求項2】
前記抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、配列番号:1、22、24および32からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
配列番号:5、6、23、28、および36からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むものである、請求項1に記載の抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体。
【請求項3】
前記抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、
配列番号:12のアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク1(H-FR1);
配列番号:13のアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク2(H-FR2);
配列番号:14のアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク3(H-FR3);
配列番号:15のアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク4(H-FR4);
配列番号:17のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク1(L-FR1);
配列番号:18のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク2(L-FR2);
配列番号:19のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク3(L-FR3);および
配列番号:20のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク4(L-FR4);を含むものである、請求項1または請求項2に記載の抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体。
【請求項4】
前記抗-B7-H4抗体またはこれの抗原-結合断片および前記抗-4-1BB抗体またはこれの抗原-結合断片のそれぞれは、独立して、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の抗体または抗原-結合断片を暗号化する分離されたポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の前記抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体またはこれの抗原結合断片を含む、B7-H4、4-1BB、または両方に関連する疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項7】
B7-H4、4-1BB、または両方に関連する疾患は癌である、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記癌は、膀胱癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌、白血病、リンパ腫、膵臓癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、尿道癌、頭頸部癌、消化管癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、腎臓癌、黒色腫、前立腺癌および甲状腺癌からなる群より選択されるものである、請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
個体でB7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾病の予防または治療する方法であって、
前記方法は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体またはこれの抗原結合断片、または請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載の薬学的組成物を個体に投与することを含む、方法。
【請求項10】
B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾病の予防または治療に用いるための、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体またはこれの抗原結合断片。
【請求項11】
B7-H4タンパク質に特異性を有する抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片であって、前記抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、以下を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片。
配列番号:2、25および33からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖相補性-決定領域1(CDR-H1);
配列番号:3、26および34からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖相補性-決定領域2(CDR-H2);
配列番号:4、27および35からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖相補性-決定領域3(CDR-H3);
配列番号:7、8、29および37からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖相補性-決定領域1(CDR-L1);
配列番号:9および30からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖相補性-決定領域2(CDR-L2);および
配列番号:10、31および38からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖相補性-決定領域3(CDR-L3)。
【請求項12】
請求項11に記載の前記抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、以下を含む。配列番号:1、22、24および32からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
配列番号:5、6、23、28および36からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【請求項13】
前記抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である、請求項11または請求項12に記載の抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片。
【請求項14】
請求項11ないし請求項13のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を暗号化する分離されたポリヌクレオチド。
【請求項15】
請求項11ないし請求項14のいずれか一項に記載の抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片を含む、B7-H4関連疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項16】
B7-H4に関連する疾患は癌である、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記癌は、膀胱癌、肝臓癌、結腸癌、直腸癌、子宮内膜癌、白血病、リンパ腫、膵臓癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、尿道癌、頭頸部癌、消化管癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、腎臓癌、黒色腫、前立腺癌および甲状腺癌からなる群より選択されるものである、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
個体でB7-H4に関連する疾病の予防または治療する方法であって、
前記方法は、請求項11ないし請求項14のいずれか一項に記載の抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片を個体に投与することを含む、方法。
【請求項19】
B7-H4に関連する疾病の予防または治療に用いるための、請求項11ないし請求項14のいずれか一項に記載の抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗-B7-H4抗体、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体およびこれらの用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
B7-H4は、単一通過I型膜貫通タンパク質であり、T-細胞受容体抗原信号とともに共同-信号を提供するタンパク質のB7スーパーファミリの構成員である。B7-H4は、T-細胞の陰性調節子であり、T-細胞への結紮はこれらの成長、サイトカイン分泌および細胞毒性を抑制する。
【0003】
ヒトのB7-H4は、282個のアミノ酸タンパク質(アミノ-末端信号配列を含む)であり、このうち235個のアミノ酸は、アミノ末端信号配列の切断後、細胞外の空間にあるものと予測される。B7-H4は、Ig-類似V-ドメイン、Ig-類似Cドメイン、膜横断ドメインおよび短い細胞質テールを含む。
【0004】
B7-H4は、T細胞受容体の抗原依存的信号伝達とともに、これの共同抑制信号を通じて免疫体系を下向きになるように調節する潜在力を有している。B7-H4は名目上、正常なヒト組職で一般的に発現されるが、女性生殖係-乳房、卵巣、子宮内膜の癌を含む無数に多いヒトの癌において高度に過発現される。B7-H4の有病率は、原発性(-95%)および転移性乳癌(-97%)をいずれも含む浸湿性乳管癌および小葉癌において高いものと報告された。増加したB7-H4染色は、陰性PRおよびHer2の状態に関連があったが、発現は腫瘍等級または段階と無関係であった。このような類型の乳癌で、B7-H4染色細胞の高い割合に加えて、浸潤性リンパ球数の減少も伴った。
【0005】
4-1BBは、TNF受容体スーパーファミリ(TNF-receptor superfamily、TNFRSF)の構成員であり、先天的(innate)および後天的(adaptive)免疫細胞の両方の免疫細胞の活性化後に発現される共刺激分子(co-stimulatory molecule)である。4-1BBは、多様な免疫細胞の活性を調節するのに重要な役目を果たす。4-1BB作用制は、免疫細胞の増殖、生存、サイトカインの分泌およびCD8 T細胞の細胞溶解活性を増進させる。色々他の研究は、4-1BBの活性化がマウスで腫瘍を除去する免疫反応を増進させることを示した。したがって、4-1BBが癌免疫学の前途有望な標的分子であることを示唆する。これらの抗-腫瘍効能にもかかわらず、抗-4-1BB抗体は、臨床適用から深刻な肝毒性を誘導した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体またはこれの抗原結合断片を提供するものである。
【0007】
本発明の他の目的は、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片を提供するものである。
【0008】
本発明のまた他の目的は、B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供するものである。
【0009】
本発明のまた他の目的は、B7-H4関連疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供す
るものである。
【0010】
本発明のまた他の目的は、個体でB7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾病の予防または治療方法を提供するものである。
【0011】
本発明のまた他の目的は、個体でこれのB7-H4に関連する疾病の予防または治療方法を提供するものである。
【0012】
本発明のまた他の目的は、B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾病の予防または治療に用いるための抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体またはこれの抗原結合断片を提供するものである。
【0013】
本発明のまた他の目的は、B7-H4に関連する疾病の予防または治療に用いるための抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
定義
【0015】
本発明で、使用された用語「一つ(「a」または「an」)」の実体(entity)は、その実体の一つ以上を指すという点に留意しなければならず、例えば「抗体」は、一つ以上の抗体を示すものと理解される。このように、用語「一つ(「a」または「an」)」、「一つ以上」、および「少なくとも一つ」は、本発明で相互交換的に使用することができる。
【0016】
本発明で、使用された用語「配列で構成される」、「必須な配列で構成される」または「配列を含む」は、配列を含む任意の場合を指すことができるが、前記配列以外の追加配列を含む場合を除外しようとする意図ではない。
【0017】
本発明で、使用された用語「配列番号によって確認されたアミノ酸配列を含むか、これで構成されたタンパク質またはポリペプチド」および「配列番号によって確認された核酸配列を含むか、これで構成された遺伝子またはポリペプチド」は、必須なアミノ酸配列または核酸配列で構成されるか、固有の活性/または機能を維持しながら少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性のアミノ酸配列または核酸配列を有するタンパク質(または、ポリペプチド)、または遺伝子(または、ポリヌクレオチド)を指す。
【0018】
本発明で、使用された用語「抗体」は、生化学的に区別できる多様で広範囲な種類のポリペプチドを包括することができる。当業者は、重鎖がガンマ、ミュー、アルファー、デルタまたはエプシロン(γ、μ、α、δ、ε)に分類され、それらの一部は、下位分類(例:γ1-γ4)を有し、軽鎖がカッパまたはラムダ(Κ、λ)に分類されることを理解されるべきである。抗体の「分類」をそれぞれIgG、IgM、IgA、IgGまたはIgEに決定することはこの鎖の特性である。免疫グロブリンの下位分類(イソ型)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgG5などはよく特性化しており、機能的特殊性を与えるものと知られている。
【0019】
用語「重鎖」は、抗原に特異性を提供するのに十分なアミノ酸配列を含む可変領域VH、および3個の不変領域であるCH1、CH2およびCH3、およびヒンジ領域を含む全長重鎖またはこれの断片を意味することもある。用語「軽鎖」は、抗原に特異性を提供するのに十分なアミノ酸配列を含む可変領域VL-および不変領域CLを含む全長軽鎖または
これの断片を指すこともある。
【0020】
用語「相補性決定領域(CDR)」は、免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の超可変領域で発見されるアミノ酸配列を意味する。重鎖および軽鎖はそれぞれ3個のCDR(CDRH1、CDRH2およびCDRH3;およびCDRL1、CDRL2およびCDRL3)を含むことができる。CDRは、抗体が抗原またはエピトープに結合するのに重要な役目を果たす残基を提供することができる。「特異的に結合する」または「特異的に認識される」という用語は、当業者によく知られており、抗体と抗原が特異的に相互作用して免疫学的活性を誘導することを示す。
【0021】
本発明で、抗体は、ポリクローンまたは単一クローン;および/またはヒト、ヒト化、動物(例えば、マウス、ウサギなど)来由の抗体、またはキメラ抗体(例えば、マウス-ヒトキメラ抗体)を含有するが、これに制限されない。また、本発明の抗体は、単一特異的抗体および例えば二重特異的抗体および三重特異的抗体のような多重特異的抗体を含有してもよいが、これに制限されるものではない。
【0022】
本発明で、用語「抗原結合断片」は、CDRのような抗原に結合できる部分を含む完全な免疫グロブリン構造に来由した断片を指す。例えば、抗原結合断片は、scFv、(scFv)2、Fab、Fab’、F(ab’)2またはこれらの任意の組合であってもよいか、またはこれを含んでもよいが、これに制限されるものではない。本発明において、抗原結合断片は、例えばscFv、(scFv)2、scFv-Fc、Fab、Fab’およびF(ab’)2からなる群より選択される少なくとも一つの相補性決定領域を含む抗体来由の断片であってもよい。例えば、抗体または抗原結合断片は、化学的または組み換え的に合成することができる(自然発生ではない)。
【0023】
抗-B7-H4抗体
【0024】
抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体は、B7-H4標的化モイアティとして抗-B7-H4抗体またはこれの抗原-結合断片を含むことができる。
【0025】
一具現例で、抗-B7-H4抗体またはこれの断片は、B7-H4(例えば、ヒトのB7-H4)タンパク質に特異的に結合することができる。
【0026】
B7ファミリの構成員であるB7-H4(V-set Domain-Containing T Cell Activation Inhibitor 1(VTCN1)とも知られている)は、T細胞活性化の制御に関与する。B7-H4は、T細胞の増殖サイトカイン分泌と細胞周期を抑制することによってT細胞免疫反応を陰性的に調節する。構造的の観点からみると、B7-H4は、以下の二つのIg-類似ドメインを含む免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリの構成員である。可変(IgV)ドメインと不変(IgC)ドメイン。他の陰性共刺激剤であるPD-L1と同様に、B7-H4は、APC(抗原提示細胞)だけでなく、多様な普通の非-リンパ性組職および癌組職でも発現される。非-APCによる発現は、B7-H4がさらに古典的共刺激分子の一つに追加機能を有することができることを暗示する。
【0027】
B7-H4のヒトタンパク質は、NCBI参照配列ID:NP_001240778.1、NP_001240779.1または、NP_078902.2のアミノ酸配列で構成され、核酸配列は、NM_001253849.2、NM_001253850.2、または、NM_024626.4である。本発明で使用された文脈上、明白ではない限り、B7-H4はヒトのB7-H4を指すが、抗体はさらにサルのB7-H4に対する結合能力を有する。マウスのB7-H4アミノ酸配列は、GenBank:XP_001103
715で表される。
【0028】
B7-H4の組職特異性の過発現は、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌および腎臓癌で陰性臨床結果と相関関係があった。最近、本発明者らは損傷されたB7-H4の提示が、マウスモデルおよびヒト患者の両方でI型糖尿病発明を表示し、この過程をAPCおよび膵島で細胞表面B7-H4のタンパク質分解排出と連結することを示した。Ig治療は、T1D、実験的自己免疫脳脊髓炎およびリュウマチ関節炎の発病率を減少させ、自己免疫と癌の両方に対する潜在的な治療標的としての重要性を強調した。
【0029】
抗-B7-H4抗体またはこれの抗原-結合断片は、B7-H4に対する強力な結合活性を示すことができ、治療および/または診断の用途に流用することができる。
【0030】
一具現例で、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体は、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片および抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片を含み、ここで抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、以下を含む重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、
配列番号:2、25および33からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);
配列番号:3、26および34からなる群より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-H2;
配列番号:4、27および35からなる群より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-H3;
【0031】
配列番号:7、8、29および37からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1);
配列番号:9および30からなる群より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号:10、31および38からなる群より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-L3;
前記抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、配列39ないし43からなる群より選択された少なくとも一つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および配列番号:52および53からなる群より選択された少なくとも一つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片の重鎖CDRのアミノ酸配列は、表1に並べられている。
【0032】
【0033】
抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、表2に並べられている。
【0034】
【0035】
抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片の軽鎖CDRのアミノ酸配列は、表3に並べられている。
【0036】
【0037】
抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、表4に並べられている。
【0038】
【0039】
一具現例で、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、B7-H4に対するその親和性を維持するために、表1および3に挙げられたCDRを適切に混合およびマッチングすることによって設計することができる。例えば、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、以下を含むことができる。
(1)配列番号2のCDR-H1、配列番号3のCDR-H2、配列番号4のCDR-H3、配列番号7のCDR-L1、配列番号9のCDR-L2および配列番号10のCDR-L3;
(2)配列番号2のCDR-H1、配列番号3のCDR-H2、配列番号4のCDR-H3、配列番号8のCDR-L1、配列番号9のCDR-L2および配列番号10のCDR-L3;
(3)配列番号25のCDR-H1、配列番号26のCDR-H2、配列番号27のCDR-H3、配列番号29のCDR-L1、配列番号30のCDR-L2および配列番号31のCDR-L3;または
(4)配列番号33のCDR-H1、配列番号34のCDR-H2、配列番号35のCDR-H3、配列番号37のCDR-L1、配列番号9のCDR-L2および配列番号38のCDR-L3。
【0040】
一具現例で、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、以下を含む。
配列番号:1、22、24および32からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
配列番号:5、6、23、28および36からなる群より選択されたアミノ酸を含む軽鎖
可変領域。
【0041】
抗体または抗原結合断片の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の例は、表2および4に並べられている。
【0042】
他の具現例で、表2および4に開示の重鎖および軽鎖の可変領域は、多様な形態の抗体の製造のために、適切に組合(混合およびマッチング)することができ、例えば、これらはScFVのような単一鎖-抗体、またはドメイン抗体、または全長抗体(例えば、2個の重鎖および2個の軽鎖を含むIgG形態抗体)を形成することができる。
【0043】
例えば、抗-B7-H4抗体または抗原結合断片は、以下を含むことができる。
(1)配列番号:1の重鎖可変領域および配列番号:5の軽鎖可変領域;
(2)配列番号:1の重鎖可変領域および配列番号:6の軽鎖可変領域;
(3)配列番号:22の重鎖可変領域および配列番号:23の軽鎖可変領域;
(4)配列番号:24の重鎖可変領域および配列番号:28の軽鎖可変領域;または
(5)配列番号:32の重鎖可変領域および配列番号:36の軽鎖可変領域。
【0044】
本発明でそれぞれの重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、完全な抗体の重鎖および軽鎖を形成するために、各重鎖および軽鎖の多様な不変領域と組合されてもよい。
【0045】
抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片の非制限的な例は、以下を含むことができる。
配列番号:1、22、24および32からなる群より選択されるアミノ酸配列、または前述したアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
配列番号:5、6、23、28、および36からなる群より選択されるアミノ酸配列、または前述したアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0046】
一具現例で、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片は、配列番号:12のアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク1(H-FR1);配列番号:13のアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク2(H-FR2);配列番号:14のアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク3(H-FR3);配列番号:15のアミノ酸配列を含む重鎖フレームワーク4(H-FR4);配列番号:17のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク1(L-FR1);配列番号:18のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク2(L-FR2);配列番号:19のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク3(L-FR3);および配列番号:20のアミノ酸配列を含む軽鎖フレームワーク4(L-FR4)を含む。
【0047】
一具現例で、抗-B7-H4抗体または抗原結合断片がscFvの形態の場合、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は適したペプチドリンカーを通じて連結することができる。例えば、ペプチドリンカーは、(GGGGS)2、(GGGGS)3、(GGGGS)4、または(GS)9であってもよい。
【0048】
例えば、ヒトのB7-H4に対する本発明の抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片の結合親和度は、解離定数またはKDが1×10-6M以下、1×10-7M以下、1×10-8M以下、1×10-9M以下、または1×10-10M以下である。
【0049】
抗-4-1BB抗体
【0050】
抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体は、4-1BB標的化モイアティとして抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片を含むことができる。抗-4-1BB抗体を開示するWO2020/111913は、その全体が参考として本明細書に含まれる。
【0051】
一具現例で、抗-4-1BB抗体またはこれの断片は、4-1BB(例えば、ヒトの4-1BB)タンパク質に特異的に結合することができる。例えば、ヒトの4-1BBタンパク質は、NCBI登録番号NP_001552.2などで表されるタンパク質からなる群より選択されてもよいが、ここに限定されない。
【0052】
このような抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、哺乳動物で免疫反応を増進して/するか、腫瘍(癌)を治療することができる。抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、腫瘍微細環境(TME)でのみ局所化および/または活性化させて/させるか、免疫反応増進および/または腫瘍治療の効能を維持しながら既存の抗-4-1BB抗体と比べて、肝毒性を非常に減少させることを特徴とする。
【0053】
本発明で、用語「4-1BB」は、CD137またはTNFRSF9(TNF受容体25スーパーファミリ構成員9)を指し、TNF受容体スーパーファミリ(TNFRSF)の構成員であって、先天的および後天的免疫細胞の両方の免疫細胞の活性化後に発現される共刺激分子である。本発明で使用されたように、4-1BBは哺乳動物、例えばホモサピエンス(ヒト)(NCBI登録番号NP_001552.2)に来由してもよい。
【0054】
本発明で記述されたように、用語「4-1BB」は、変異体、イソ型、相同体、オルソログ、およびパラログを含む。例えば、ヒトの4-1BBタンパク質に特異的な抗体は、特定の場合にヒト以外の種からの4-1BBタンパク質と交差反応することができる。他の具現例で、ヒトの4-1BBタンパク質に特異的な抗体は、ヒトの4-1BBタンパク質に完全に特異的であってもよいか、種または他の類型の交差反応性を示すことができるか、他の全ての種ではないが特定の他の種からの4-1BBと交差反応することができる(例えば、サルの4-1BBとは交差反応するが、マウスの4-1BBとはそうではない)。用語「ヒトの4-1BB」は、ヒト配列4-1BB、例えば、NCBI登録番号NP_001552.2を有するヒトの4-1BBの完全なアミノ酸配列を指す。用語「マウスの4-1BB」は、マウス配列4-1BB、例えば、NCBI登録番号NP033430.1を有するマウスの4-1BBの完全なアミノ酸配列を指す。
【0055】
4-1BBは、さらに当該分野において、例えばCD137と知られている。
【0056】
本発明のヒトの4-1BB配列は、例えば、保存した突然変異または非-保存領域の突然変異を有することによって、NCBI登録番号NP_001552.2のヒトの4-1BBと異なることもあり、本発明の4-1BBは、NCBI登録番号No.NP_001552.2のヒトの4-1BBと実質的に同一の生物学的機能を有する。
【0057】
一具現例で、抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、以下を含むことができる。
配列番号:44および45より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-H1;
配列番号:46および47より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-H2;
配列番号:48ないし51より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-H3;
配列番号:54のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
配列番号:55のアミノ酸配列を含むCDR-L2;および
配列番号:56のアミノ酸配列を含むCDR-L3。
【0058】
抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片の重鎖CDRのアミノ酸配列は、表5に並べられている。
【0059】
【0060】
抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、表6に並べられている。
【0061】
【0062】
抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片の軽鎖CDRのアミノ酸配列は、表7に並べられている。
【0063】
【0064】
抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、表8に並べられている。
【0065】
【0066】
一具現例で、抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、4-1BBに対するその親和度を維持するために、表5および7に挙げられたCDRを適切に混合およびマッチングすることによって設計することができる。例えば、抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、以下を含むことができる。
(1)配列番号:44のCDR-H1、配列番号:46のCDR-H2、配列番号:48のCDR-H3、配列番号:54のCDR-L1、配列番号:55のCDR-L2、および配列番号:56のCDR-L3;
(2)配列番号:44のCDR-H1、配列番号:46のCDR-H2、配列番号:49のCDR-H3、配列番号:54のCDR-L1、配列番号:55のCDR-L2、および配列番号:56のCDR-L3;
(3)配列番号:44のCDR-H1、配列番号:46のCDR-H2、配列番号:50のCDR-H3、配列番号:54のCDR-L1、配列番号:55のCDR-L2、および配列番号:56のCDR-L3;
(4)配列番号:44のCDR-H1、配列番号:46のCDR-H2、配列番号:49のCDR-H3、配列番号:54のCDR-L1、配列番号:55のCDR-L2、および配列番号:56のCDR-L3;または
(5)配列番号:45のCDR-H1、配列番号:47のCDR-H2、配列番号:51のCDR-H3、配列番号:54のCDR-L1、配列番号:55のCDR-L2、および配列番号:56のCDR-L3。
【0067】
抗体または抗原結合断片の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の例は、表6および8に並べられている。
【0068】
抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片の非制限的な例は、以下を含むことができる。
配列番号:39ないし43からなる群より選択されたアミノ酸配列または前記に記載のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
配列番号:52および53より選択されたアミノ酸配列または前記に記載のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0069】
他の具現例で、表6および8に開示の重鎖および軽鎖の可変領域は、多様な形態の抗体の製造のために適宜組合(混合およびマッチング)することができ、例えば、これらはscFvのような単一鎖抗体、またはドメイン抗体、または全長抗体(例えば、2個の重鎖および2個の軽鎖を含むIgG形態抗体)を形成することができる。
【0070】
例えば、抗-4-1BB抗体または抗原結合断片は、以下を含むことができる。
(1)配列番号:39の重鎖可変領域および配列番号:52の軽鎖可変領域;
(2)配列番号:40の重鎖可変領域および配列番号:52の軽鎖可変領域;
(3)配列番号:41の重鎖可変領域および配列番号:52の軽鎖可変領域;
(4)配列番号:40の重鎖可変領域および配列番号:53の軽鎖可変領域;
(5)配列番号:41の重鎖可変領域および配列番号:53の軽鎖可変領域;
(6)配列番号:42の重鎖可変領域および配列番号:52の軽鎖可変領域;
(7)配列番号:43の重鎖可変領域および配列番号:53の軽鎖可変領域。
【0071】
また他の具現例で、抗-4-1BB抗体またはこれの抗原-結合断片は、下記を含むscFv(単鎖可変断片)であってもよい。
配列番号:44および45より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-H1、配列番号:46および47より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-H2、および配列番号:48ないし51より選択されたアミノ酸配列を含むCDR-H3で構成された重鎖可変領域;配列番号:54のアミノ酸配列を含むCDR-L1、配列番号:55のアミノ酸配列を含むCDR-L2、および配列番号:56のアミノ酸配列を含むCDR-L3で構成された軽鎖可変領域;および重鎖可変領域と軽鎖可変領域間のペプチドリンカー。
【0072】
より具体的に、抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、下記を含むscFvであってもよい。
配列番号:39ないし43からなる群より選択されたアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;配列番号:52および53で選択されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;および重鎖可変領域と軽鎖可変領域間のペプチドリンカー。
【0073】
例えば、抗-4-1BB抗体またはこれの断片は、以下を含むscFvであってもよい。配列番号:39ないし43からなる群より選択されるアミノ酸配列、または前述したアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくと
も95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
配列番号:52および53からなる群より選択されるアミノ酸配列、または前述したアミノ酸配列に対して、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;および重鎖可変領域と軽鎖可変領域間のペプチドリンカー。
【0074】
例えば、抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、以下を含むscFvであってもよい。
(1)配列番号:39の重鎖可変領域および配列番号:52の軽鎖可変領域;
(2)配列番号:40の重鎖可変領域および配列番号:52の軽鎖可変領域;
(3)配列番号:41の重鎖可変領域および配列番号:52の軽鎖可変領域;
(4)配列番号:40の重鎖可変領域および配列番号:53の軽鎖可変領域;
(5)配列番号:41の重鎖可変領域および配列番号:53の軽鎖可変領域;
(6)配列番号:42の重鎖可変領域および配列番号:52の軽鎖可変領域;
(7)配列番号:43の重鎖可変領域および配列番号:53の軽鎖可変領域;
重鎖可変領域と軽鎖可変領域間のペプチドリンカー。
【0075】
本発明で、抗-4-1BB scFvは、任意の順序で重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むことができる。例えば、抗-4-1BB scFvは、N-末端からC-末端の順に軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含むことができる。代案的に、抗-4-1BB scFvは、N-末端からC-末端まで順に重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むことができる。
【0076】
一具現例で、scFvの重鎖可変領域および軽鎖可変領域は適したペプチドリンカーを通じて連結することができる。例えば、ペプチドリンカーは、(GGGGS)2、(GGGGS)3、(GGGGS)4、または(GS)9であってもよい。
【0077】
本発明で、開示されたそれぞれの重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ完全な抗体の重鎖および軽鎖を形成するために、重鎖および軽鎖の多様な不変領域と組合されてもよい。
【0078】
このような抗-4-1BB抗体は、多様な類型の癌治療などのような治療目的に流用することができ、診断および予後の目的でも用いることができる。
【0079】
本発明の抗体は、抗体の特定の機能的特徴または特性を特徴とする。例えば、抗体は、ヒトの4-1BBに特異的に結合し、特定の他の種からの4-1BB、例えばサル、例えばシノモルグスサル、アカゲザルの4-1BBに結合することができるが、特定の他の種からの4-1BB、例えばマウスの4-1BBには実質的に結合しないこともある。好ましくは、本発明で開示された抗体は、ヒトの4-1BBに高い親和度で結合する。
【0080】
本発明抗体の4-1BBに対する結合は、当該分野においてよく確立された一つ以上の技術を用いて評価することができる。例えば、好ましい具現例で、抗体は、ヒトの4-1BBを発現する細胞株、例えば4-1BB、例えば、ヒトの4-1BBまたはサルの4-1BB、例えばアカゲサルまたはシノモルグスサル、またはマウスの4-1BBを細胞表面に発現するように形質感染させたCHO細胞と反応させる流細胞分析法で試験することができる。流細胞分析に用いるのに適した他の細胞は、固有の4-1BBを発現する抗-CD3刺激性CD4+活性化T細胞を含む。
【0081】
また他の適した結合分析は、例えば、組み換え4-1BBタンパク質を用いるELISA分析を含む。追加的または代案的に、結合動力学(例えば、KD値)を含む抗体の結合は、オクテット(Octet)分析で試験することができる。例えば、ヒトの4-1BBに対する本発明の抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片の結合親和度は、1×10-6M以下、1×10-7M以下、1×10-8M以下、1×10-9M以下、1×10-10M以下または1.80×10-10M以下の解離定数(dissociation
constant)またはKDを有するものなどを含む。
【0082】
抗-4-1BB抗体またはこれの断片、前記抗-B7-H4抗体またはこれの断片、および/または二重特異的抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であってもよく、これに制限されるものではない。
【0083】
一具現例で、抗体またはこれの断片は、自然的に発生しないか、化学的または組み換え的に合成されたものである。それぞれのこれら抗体が4-1BB(例えば、ヒトの4-1BB)および/またはB7-H4(例えば、ヒトのB7-H4)に結合できることを考慮すると、CDR配列またはVHおよびVL配列は、その他の抗-4-1BB結合分子および/またはその他の抗-B7-H4結合分子を生成するように「混合およびマッチ」されてもよい。具体的に、CDR配列またはVHおよびVL鎖が混合およびマッチされるとき、例えば、特定のVH/VLの対からのVH配列は構造的に類似のVH配列に取り替えられてもよい。同様に、好ましくは、特定のVH/VLの対からのVL配列は構造的に類似のVL配列に取り替えられてもよい。
【0084】
抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体
【0085】
本発明の二重特異的抗体は、以下を含むことができる。
(1)B7-H4タンパク質を特異的に認識および/または結合することができる抗-B7-H4抗体またはこれの抗原結合断片;および
(2)4-1BBタンパク質を特異的に認識および/または結合することができる抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片。
【0086】
本発明の二重特異的抗体は、B7-H4および4-1BBの両方に結合することができる。二重特異的抗体で、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原-結合断片および抗-4-1BB抗体またはこれの抗原-結合断片は、前記に記載の通りである。
【0087】
二重特異的抗体は、抗-B7-H4抗体またはこれの断片および/または抗-4-1BB抗体またはこれの断片の機能によってメリットを有することができる。
【0088】
一具現例で、抗-B7-H4抗体またはこれの抗原-結合断片によって、二重特異的抗体はサイトカインの分泌を向上させる能力を有することができる。また、抗-4-1BB抗体またはこれの抗原-結合断片によって、本発明の二重特異的抗体は、ヒトの4-1BBに結合することができ、T細胞を活性化する能力を示すことができる。抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体は、B7-H4発現腫瘍細胞の条件下で、4-1BB信号伝逹を活性化することができる。また、二重特異的抗体に含まれた抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片は、腫瘍微細環境(TME)でのみ局所化および/または活性化して/するか、以前に比べて肝毒性を非常に減少させることを特徴とする。
【0089】
また、抗-4-1BB抗体は、免疫反応の向上および/または腫瘍治療の効能を維持する。
【0090】
抗体が免疫反応を刺激する能力を評価する方法は、生体内腫瘍移植モデルのように、抗体
が腫瘍成長を抑制する能力を評価することを含む。
【0091】
B7-H4標的化モイアティおよび4-1BB標的化モイアティを含む二重特異的抗体で、B7-H4標的化モイアティおよび4-1BB標的化モイアティの一つは、全長抗体であってもよく、残りは、重鎖CDR、軽鎖CDR、またはこれらの組合を含む抗原結合断片(例えば、scFv)であってもよいが、これに制限されない。
【0092】
B7-H4および4-1BBタンパク質の一つを標的にする全長抗体および残りのタンパク質を標的にする抗原-結合断片は、直接にまたはペプチドリンカーを通じて化学的に連結(例えば、共有的に連結)されてもよい。抗原-結合断片(例えば、scFv)は、全長抗体のN-末端(例えば、全長抗体の軽鎖または、重鎖のN-末端)、全長抗体のC-末端(例えば、全長抗体の重鎖(または、FcまたはCH3ドメイン)のC-末端)またはこれらの両方に直接にまたはペプチドリンカーを通じて連結することができる。
【0093】
一具現例で、二重特異的抗体は、全長抗-B7-H4抗体、抗-4-1BB抗体の抗原-結合断片(例えば、scFv)およびこれらの間にペプチドリンカーを含むことができる。他の具現例で、二重特異的抗体は、全長抗-4-1BB抗体、抗-B7-H4抗体の抗原-結合断片(例えば、scFv)およびこれらの間にペプチドリンカーを含むことができる。
【0094】
一具現例で、二重特異的抗体に含有されたscFvは、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を任意の順序で含むことができる。例えば、二重特異的抗体に含有されたscFvは、N末端からC末端方向に重鎖可変領域および軽鎖可変領域を、そして選択的にこれらの間にペプチドリンカーを含むことができるか、代案的に二重特異的抗体に含有されたscFvは、N末端からC末端方向に軽鎖可変領域および重鎖可変領域を、そして選択的にこれらの間にペプチドリンカーを含むことができる。
【0095】
一具現例で、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体は、4-1BB信号伝逹を活性化し、その結果、細胞表面に発現されたB7-H4によって免疫反応を活性化する。
【0096】
二重特異的抗体が全長抗-B7-H4抗体および抗-4-1BB scFvを含む場合、二重特異的抗体は、以下を含むことができる。
(i)N-末端からC-末端方向への第1ポリペプチド:
抗-B7-H4抗体の重鎖、
選択的に、ペプチドリンカー(第1ペプチドリンカー)、および
抗-4-1BB scFv;および
(ii)抗-B7-H4抗体の軽鎖を含む第2ポリペプチド、
前記抗-4-1BB scFvは、N-末端からC-末端への方向であり、
抗-4-1BB抗体の軽鎖可変領域、
選択的に、ペプチドリンカー(第2ペプチドリンカー)、および
抗-4-1BB抗体の重鎖可変領域。
【0097】
また選択的に、二重特異的抗体は、以下を含むことができる。
(i)N-末端からC-末端方向への第1ポリペプチド:
抗-B7-H4抗体の重鎖、
選択的に、ペプチドリンカー(第1ペプチドリンカー)、および
抗-4-1BB scFv;および
(ii)抗-B7-H4抗体の軽鎖を含む第2ポリペプチド、
前記抗-4-1BB scFvは、N-末端からC-末端への方向であり、
前記抗-4-1BB抗体の重鎖可変領域、
選択的に、ペプチドリンカー(第2ペプチドリンカー)、および
抗-4-1BB抗体の軽鎖可変領域。
【0098】
また選択的に、前記二重特異的抗体は、以下を含むことができる。
(i)N-末端からC-末端方向への第1ポリペプチド:
抗-4-1BB scFv、
選択的に、ペプチドリンカー(第1ペプチドリンカー)、および
抗-B7-H4抗体の重鎖;および
(ii)抗-B7-H4抗体の軽鎖を含む第2ポリペプチド、
前記抗-4-1BB scFvは、N-末端からC-末端への方向であり、
抗-4-1BB抗体の軽鎖可変領域、
選択的に、ペプチドリンカー(第2ペプチドリンカー)、および
前記抗-4-1BB抗体の重鎖可変領域。
【0099】
また選択的に、二重特異的抗体は、以下を含むことができる。
(i)N-末端からC-末端方向への第1ポリペプチド:
項4-1BB scFv、
選択的に、ペプチドリンカー(第1ペプチドリンカー)、および
抗-B7-H4抗体の重鎖;および
(ii)抗-B7-H4抗体の軽鎖を含む第2ポリペプチド、
前記抗-4-1BB scFvは、N-末端からC-末端への方向であり、
抗-4-1BB抗体の重鎖可変領域、
選択的に、ペプチドリンカー(第2ペプチドリンカー)、および
抗-4-1BB抗体の軽鎖可変領域。
【0100】
また他の具現例で、二重特異的抗体に含有されたB7-H4標的化モイアティおよび4-1BB標的化モイアティの両方は、全長抗体または重鎖CDR、軽鎖CDR、またはこれらの組合を含む抗原-結合断片であってもよく、これらは互いに直接またはペプチドリンカーを通じて連結することができる。
【0101】
各抗体が4-1BB(例:ヒトの4-1BB)およびB7-H4(例:ヒトのB7-H4)、CDR配列、またはVH(重鎖可変領域)およびVLの両方に結合できるという点を考慮すると、本発明で、開示された(軽鎖可変領域)配列はその他の抗-B7-H4/抗-4-1BB結合二重特異的分子を生成するため「混合およびマッチ」されてもよい。
【0102】
また他の具現例で、B7-H4標的化モイアティおよび4-1BB標的化モイアティはいずれも、全長抗体または重鎖CDR、軽鎖CDR、またはこれらの組合を含む抗原-結合断片であってもよい。
【0103】
また他の具現例で、二重特異的抗体は、B7-H4および4-1BBの一つを標的化する第1重鎖および第1軽鎖の対を含む第1アーム(arm)、および残り一つを標的化する第2重鎖および第2軽鎖の対を含む第2アームを含む異種二量体形態であってもよい。
【0104】
一具現例で、全長抗体は、全長免疫グロブリン形態(例えば、IgG、IgM、IgA、IgEまたはIgD、例えば、ヒトIgG、ヒトIgM、ヒトIgA、ヒトIgE、またはヒトIgD)であってもよく、抗原結合断片は、前述のように、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、scFv、単一鎖抗体、sdFvなどからなる群より選択されてもよい。例えば、全長抗体は、全長ヒトIgG(ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3またはヒトIgG4)形態であってもよく、抗原結合断片は、scFvであってもよい。
【0105】
ペプチドリンカー
【0106】
二重特異的抗体に対するペプチドリンカーの使用は、抗体の高い純度を作ることができる。すなわち、抗体の高い純度のために、二重特異的抗体は、第1ポリペプチドで重鎖とscFvとの間(第1ペプチドリンカー)および/またはscFvで重鎖および軽鎖可変領域の間(第2ペプチドリンカー)にペプチドリンカーを含むことができる。
【0107】
本発明で、用語「ペプチドリンカー」は、1ないし100個、特に2ないし50個の任意のアミノ酸を含むものであってもよく、任意の種類のアミノ酸がいかなる制限なく含まれてもよい。ペプチドリンカーは、例えば、Gly、Asnおよび/またはSer残基を含んでもよく、また中性アミノ酸、例えば、Thrおよび/またはAlaを含んでもよい。ペプチドリンカーに適したアミノ酸配列は、関連技術分野に公知のものなどであってもよい。
【0108】
また、ペプチドリンカーの長さは、ポリペプチドおよび/またはscFvの機能が影響を受けない限度内で多様に決めることができる。例えば、ペプチドリンカーは、Gly、Asn、Ser、Thr、およびAlaからなる群より選択される一つ以上を総約1ないし約100個、約2ないし約50個、または約5ないし約25個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25個)を含んで形成されてもよい。
【0109】
一具現例で、ペプチドリンカーは、(GmS1)n(m、1、およびnは、独立して、約1ないし約10の定数、特に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)で表されてもよい。一具現例で、ペプチドリンカーは、(GGGGS)2、(GGGGS)3、(GGGGS)4、または(GS)9のアミノ酸であってもよいが、これに制限されない。
【0110】
可変抗体
【0111】
例えば、本発明の抗体は、柔軟な(flexible)リンカー配列を含んでもよいか、機能的モイアティ(例えば、PEG、薬物、毒素、または標識)を追加するように変形されてもよい。
【0112】
本発明の抗体または変異体は、例えば、抗体に対する任意の類型の分子の共有結合(covalent attachment)によって変形された誘導体を含んでもよく、ここで共有結合は、抗体が抗原(例えば、エピトープ)に結合することを妨げないこともある。例えば、抗体は、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質加水分解切断、細胞リガンドまたはその他のタンパク質に対する連結などからなる群より選択される少なくとも一つによって変形されてもよく、前記に制限されるものではない。
【0113】
多くの化学的変形のうち、特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝的合成などを含むが、これに限定されない公知の技術によって行われてもよい。追加的に、抗体は一つ以上の非古典的(non-classical)アミノ酸を含有してもよい。
【0114】
ヒトでの抗体の生体内の使用および試験管内の検出分析を含む一部の用途の場合、キメラ、ヒト化またはヒト抗体を用いることが好ましい。キメラ抗体またはヒト化抗体を生産する方法は、当該分野に公知されている。
【0115】
また他の具現例で、所望の抗体を暗号化するDNAは、通常の手続きを用いて容易に分離してシーケンシングされてもよい。分離してサブクローニングされたハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として作用する。一旦分離すると、DNAは発現ベクターに位置してもよく、次いで、大膓菌細胞、シミアンCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または他に免疫グロブリンを生産しない骨髄腫細胞のような原核または真核宿主細胞によって形質感染される。
【0116】
本発明では、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体、抗-B7-H4抗体、抗-4-1BB抗体またはこれの抗原結合断片を暗号化する分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0117】
一具現例で、分離されたポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供することができる。
【0118】
また、一具現例で、本発明の抗体または抗原結合断片またはこれを含む発現ベクターを暗号化する分離されたポリヌクレオチドを含むハイブリドーマ細胞を提供することができる。
【0119】
また、通常の組み換えDNA技術を用いて、抗体のCDRの一つ以上をフレームワーク領域、例えば、ヒトフレームワーク領域に挿入して非ヒト抗体をヒト化することができる。フレームワーク領域は、自然発生またはコンセンサス(consensus)フレームワーク領域であってもよく、好ましくは、ヒトフレームワーク領域であってもよい(例えば、ヒトフレームワーク領域のリストは、Chothia etal.、J.Mol.Biol.278:457~479(1998)参照)。例えば、フレームワーク領域とCDRとの組合によって生成されたポリヌクレオチドは、所望のポリペプチドの少なくとも一つ以上のエピトープに特異的に結合する抗体、例えば、LIGHTを暗号化する。好ましくは、一つ以上のアミノ酸置き換えフレームワーク領域内からなってもよく、好ましくは、アミノ酸置き換えは、抗体の抗原(または、エピトープ)に対する結合を改善する。追加的に、このような方法は、一つ以上の鎖内の二硫化結合がない抗体分子を生成するために、鎖内の二硫化結合に参加する一つ以上の可変領域システイン残基のアミノ酸置き換えまたは欠失を作るのに用いることができる。ポリヌクレオチドに対する他の変更は、本開示および当該分野の技術範囲内に含まれる。
【0120】
追加的に、当業者に公知の標準技術を用いて、本発明の抗体を暗号化するヌクレオシド配列に突然変異を導入することができる。
【0121】
本発明の抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体の「重い構成要素(Heavy
Component)」は、二重特異的抗体が抗-B7-H4全長抗体および抗-4-1BB scFvを含む場合、(1)抗-B7-H4抗体の重鎖および(2)抗-4-1BB抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域;または二重特異的抗体が抗-4-1BB全長抗体および抗-B7-H4scFvを含む場合、(1)抗-4-1BB抗体の重鎖および(2)抗-B7-H4抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含むことができる。
【0122】
本発明の抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体の「軽い構成要素(Light
Component)」は、以下を含むことができる。二重特異的抗体が抗-B7-H4全長抗体および抗-4-1BB scFvを含む場合、抗-B7-H4抗体の軽鎖;または二重特異的抗体が抗-4-1BB全長抗体および抗-B7-H4scFvを含む場合、抗-4-1BB抗体の軽鎖を含むことができる。
【0123】
二重特異的抗体の治療的用途
【0124】
本発明の二重特異的抗体は、細胞表面上のB7-H4タンパク質と4-1BBタンパク質に同時に結合することができるので、例えば、腫瘍微細環境で免疫反応を活性化することによって、免疫療法/およびまたは癌療法で改善した効果を示すことができる。
【0125】
本発明の二重特異的抗体のB7-H4タンパク質に結合する、および抗原特異的T細胞反応を刺激する能力を考慮すると、本発明の抗体を用いて、抗原特異的T細胞反応を刺激、増進または上向きになるように調節する組成物、または試験管内および生体内の方法を提供することができる。
【0126】
一具現例は、前記二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体を含む薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができる。薬学的組成物は、免疫反応刺激(例えば、抗原特異的T細胞反応)および/またはB7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾患の治療および/または予防に用いることができる。
【0127】
また他の具現例は、B7-H4に関連する疾病の予防または治療において、二重特異的抗体または抗-B7-H4抗体の用途を提供する。
【0128】
また他の一具現例は、対象体に薬剤学的有効量の二重特異的抗体または薬学的組成物を投与することを含む、これを必要とする対象体で免疫反応を(例えば、抗原-特異的T細胞反応)刺激して/するか、B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する、例えば、癌のような疾患の治療および/または予防する方法を提供する。対象体は、免疫反応(例えば、抗原-特異的T細胞反応)刺激して/するか、B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する、例えば、癌のような疾病を治療および/または予防する必要がある対象であってもよい。方法は、投与ステップ前に免疫反応を刺激するか、B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾患の治療および/または予防を必要とする対象体を確認するステップをさらに含むことができる。
【0129】
また他の一具現例は、免疫反応刺激(例えば、抗原-特異的T細胞反応)および/またはB7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する、例えば、癌のような疾病治療および/または予防するにおいて前記二重特異的抗体または前記治療学的組成物の用途を提供する。また他の具現例は、免疫反応刺激(例えば、抗原-特異的T細胞反応)および/またはB7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する、例えば、癌のような疾病治療および/または予防のための薬剤を製造するにおいて前記二重特異的抗体の用途を提供する。
【0130】
一具現例で、対象体は、ヒト、サル、レット、マウス、犬、猫、モルモット、ウサギ、レット、馬、牛、雌牛、その他等々を含む哺乳動物またはこれらから得られた細胞または組職より選択されてもよいが、これに制限されない。例えば、対象体は、免疫反応刺激(例えば、抗原-特異的T細胞反応)および/またはB7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する、例えば、癌のような疾病治療および/または予防する必要がある対象であってもよい。例えば、対象体は癌で苦しむ哺乳動物(例えば、ヒト)であってもよい。
【0131】
また他の一具現例で、対象体は、哺乳動物、例えば、癌、感染性疾患、自己免疫反応、神経系障害などより選択される疾患を病む哺乳動物から分離された(separated or isolated)細胞(例えば、癌細胞または哺乳動物の感染部位から分離された細胞、またはT細胞、例えば腫瘍浸湿性Tリンパ球、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、またはこれらの組合)であってもよい。
【0132】
一具現例で、前記疾患は、B7-H4の発現または高-発現(過発現)に関連するものであってもよく、例えば、疾患は、B7-H4の発現または高-発現(過発現)に関連する癌であってもよい。例えば、「B7-H4の高発現に関連する癌」は、B7-H4非発現癌細胞(例えば、癌細胞株SK-BR3、CAMA-1など)よりB7-H4発現が高い癌細胞に関連する癌を指すことができる。
【0133】
本発明で提供された薬学的組成物、方法および/または用途で、B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾患は、B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方の活性化(例えば、非正常的な活性化または過活性化)および/または過生成(過発現)に関連する疾患であってもよい。例えば、疾患は癌または感染であってもよい。
【0134】
前記癌は、固形癌または血液癌であってもよい。具体的に、前記癌は、乳癌、結腸癌、胃癌、肺癌(例えば、肺の扁平上皮癌、小細胞肺癌、非細胞肺癌、肺腺癌)、腹膜癌、皮膚癌、扁平細胞癌、肌と眼球の黒色腫、直腸癌、肛門周辺癌、食道癌、小腸腫瘍、内分泌腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、晩成または急性白血病、リンパ球性リンパ腫、肝臓癌、消化管癌、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸部癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腺腫、大膓癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺腫瘍、腎臓癌、子宮頸部癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、頭頸部癌、脳癌、胆道癌、胆嚢癌などからなる群より選択される1種以上の癌であってもよいが、これに制限されるものではない。癌は、原発性癌または転移性癌であってもよい。
【0135】
本発明で、用語「癌の予防および/または治療」は癌細胞の死滅、癌細胞の増殖の抑制、癌に関連する症状の緩和、癌の転移抑制などを意味することができる。
【0136】
本発明で、用語「免疫反応の増進」は、4-1BB信号活性化、4-1BB誘導信号活性化のような4-1BBに関連するいかなる免疫反応の向上(例えば、4-1BB誘導NF-kB信号活性化、サイトカイン放出増加、T細胞のような免疫細胞による標的細胞死滅など、しかし、これに制限されない)を意味することができる。一具現例で、本開示によって提供される二重特異的抗体による免疫反応増進は、B7-H4存在の下で(B7-H4発現条件の下で)発生することができる。
【0137】
特定の患者に対する特異的用量および治療用法は、特定の抗体、これの変異体または誘導体を含む多様な要素、患者の年、体重、一般健康、性別および食餌、並びに投与時間、排泄速度、薬物組合および治療する特定の疾病の重度度によって異なる。使用された量は、当業係でよく知られた薬理学的および薬動学的原理によって決めることができる。
【0138】
二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体の投与は、腹腔内静脈、皮下、皮内、筋肉内、鼻腔内、硬膜外および経口投与からなる群より選択される一つ以上を通じて行われてもよいが、これに制限されない。
【0139】
二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体または組成物は、任意の楽な経路、例えば、注入または一時注射によって、上皮または粘膜皮膚内壁(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)および他の生物学的活性剤とともに投与することができる。したがって、本発明の抗原-結合ポリペプチドを含有する薬学的組成物は、経口、非経口、組職内、膣内、腹腔内、直腸、局所(粉末、軟膏、点滴剤または経口パッチによる)、狭側または経口または狭側投与されるかまたは経口または鼻腔スプレーによって投与することができる。本発明で、使用された用語「非経口的」は、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、腫瘍内、皮下および関節内注射および注入を含む投与方式を意味する。
【0140】
炎症性、免疫性または悪性疾患、障害、または状態を、治療、抑制、改善および/または
予防するための二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体の薬学的有効量は、標準臨床技術によって決めることができる。
【0141】
本発明の薬学的組成物は、有効量の二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体および許容可能な担体を含むことができる。一部の具現例で、組成物は、第2抗癌剤(例えば、免疫チェックポイント抑制剤)をさらに含むことができる。
【0142】
抗体の診断的用途
【0143】
B7-H4および/または4-1BBの過発現および/または過活性化は、特定の癌および/または感染を病んでいる患者からの生物学的サンプル(例えば、細胞、組職、血液、血清など)(例えば、腫瘍細胞または感染患者からの組職、血液または血清)で観察されて/観察されるか、B7-H4および/または4-1BB過発現細胞を有する患者は、二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体を用いた治療に反応する可能性がある。したがって、本発明の二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体は、さらに診断および予後の目的に用いることができる。
【0144】
一具現例は、二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体を含む組成物であるB7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾患を診断するための薬学的組成物を提供する。
【0145】
また他の具現例で、B7-H4、4-1BBまたはこれらの両方に関連する疾患を診断するための二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体の用途を提供する。診断方法および/または検出方法において、抗原-抗体反応を検出するステップまたは抗原-抗体反応の水準を測定するステップは、関連分野に公知の任意の一般的な方法によって行われてもよい。
【0146】
また他の具現例で、B7-H4に関連する疾病に関する診断情報を提供する方法を提供する。
【0147】
抗体を暗号化するポリヌクレオチドおよび抗体の製造方法
【0148】
本発明の一具現例は、二重特異的抗体または抗-B7-H4または抗-4-1BB抗体を暗号化するポリヌクレオチドを提供する。具体的に、一具現例はIgG-scFv形態の二重特異的抗体の重鎖を暗号化するポリヌクレオチドを提供する。
【0149】
他の一具現例は、IgG-scFv形態の二重特異的抗体の軽鎖を暗号化するポリヌクレオチドを提供する。IgG-scFv形態は、B7-H4および4-1BBタンパク質の一つを標的化する(これに結合する)全長IgG抗体および残りを標的化する(これに結合する)scFv断片を含む二重特異的抗体の一種類を指すことができ、ここで、scFvは、全長IgG抗体のC末端および/またはN末端に直接に(ペプチドリンカー無く)またはペプチドリンカーを通じて連結することができる。
【0150】
一具現例で、IgG-scFv形態の二重特異的抗体が、B7-H4に対する全長IgG抗体および4-1BBに対するscFv断片を含む場合、二重特異的抗体の重鎖を暗号化するポリヌクレオチドは、B7-H4に対する全長IgG抗体、および全長IgG抗体のC末端および/またはN末端に直接にまたはペプチドリンカーを通じて連結された4-1BBに対するscFv断片の重鎖を暗号化することができ、二重特異的抗体の軽鎖を暗号化するポリヌクレオチドは、B7-H4に対する全長IgG抗体の軽鎖を暗号化することができる。
【0151】
また他の一具現例で、IgG-scFv形態の二重特異的抗体が4-1BBに対する全長IgG抗体およびB7-H4に対するscFv断片を含む場合、二重特異的抗体の重鎖を暗号化するポリヌクレオチドは、4-1BBに対する全長IgG抗体および全長IgG抗体のC末端および/またはN末端に直接にまたはペプチドリンカーを通じて連結されたB7-H4に対するscFv断片の重鎖を暗号化することができ、二重特異的抗体の軽鎖を暗号化するポリヌクレオチドは、4-1BBに対する全長IgG抗体の軽鎖を暗号化することができる。
【0152】
また他の一具現例は、二重特異的抗体の重鎖を暗号化するポリヌクレオチド、二重特異的抗体の軽鎖を暗号化するポリヌクレオチド、またはこれらの両方を含む組み換えベクターを提供する。また他の一具現例は、組み換えベクターで形質感染された組み換え細胞を提供する。
【0153】
一具現例で、発現ベクターは、本発明の抗体または抗原結合断片を暗号化する分離されたポリヌクレオチドを含む。
【0154】
また他の一具現例は、細胞で二重特異的抗体の重鎖を暗号化するポリヌクレオチド、二重特異的抗体の軽鎖を暗号化するポリヌクレオチドを発現させることを含む二重特異的抗体の製造方法を提供する。
【0155】
ポリヌクレオチドを発現させるステップは、ポリヌクレオチドの発現を許容する条件下で、ポリヌクレオチドを含む細胞(例えば、組み換えベクター)を培養することによって行われてもよい。方法は、発現または培養ステップの後、細胞培養物から二重特異的抗体を分離および/または精製するステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0156】
本発明は、それぞれB7-H4特異的抗体および4-1BB特異的抗体を含む二重特異的抗体およびこれの用途に関するものである。抗-B7-H4/4-1BB二重特異的抗体は、B7-H4および/または4-1BBに対して高い親和度を有することができ、肝毒性を減少させながら免疫反応を強化および/または哺乳動物の腫瘍(癌)を治療することができる。
【0157】
また、本発明の抗-B7-H4単一特異性抗体は癌細胞で発現されるB7-H4を高い親和度で特異的に結合して検出することによって、B7-H4のチェックポイント活性を抑制する機能を示す。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【
図1】
図1は、FACS分析によるマウス抗-B7-H4抗体の抗原結合能力の結果である。
【
図2】
図2は、ELISAで測定したヒト化抗体16E3H3 M1の抗原結合能力結果である。
【
図3】
図3は、FACS分析による抗-B7-H4抗体の癌細胞結合特性結果である。
【
図4】
図4は、T細胞からのIFN-γ分泌を測定して、抗-B7-H4抗体のT細胞チェックポイントリガンド活性を測定した結果である。
【
図5】
図5は、T細胞からのIFN-γ分泌を測定して、用量依存的に抗-B7-H4抗体のT細胞チェックポイントリガンド活性を測定した結果である。
【
図6】
図6は、ヒトのB7-H4および4-1BBタンパク質に対する抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体の抗原結合能力をDACEで測定した結果である。
【
図7】
図7は、DACEによって測定されたサルのB7-H4および4-1BBタンパク質に対する抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体の抗原結合能力の結果である。
【
図8】
図8は、FACS分析による抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体の癌細胞結合特性を示した結果である。
【
図9】
図9は、B7-ファミリタンパク質に対する抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体の結合能力を、ELISAで測定した結果である。
【
図10】
図10は、T細胞からのIFN-γ分泌を測定して、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体のT細胞チェックポイントリガンド活性を測定した結果である。
【
図11】
図11は、T細胞からのIFN-γ分泌を測定して、用量依存的方式で抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体のT細胞チェックポイントリガンド活性を測定した結果である。
【
図12】
図12は、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体のPBMC基盤標的細胞溶解試験結果である。
【
図13a】
図13aは、多様なPBMCロット(lot)を用いた抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体のPBMC基盤標的細胞溶解試験結果である。
【
図13b】
図13bは、多様なPBMCロット(lot)を用いた抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体のPBMC基盤標的細胞溶解試験結果である。
【
図14】
図14は、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体のin vitro 4-1BB活性試験結果である。
【
図15】
図15は、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体の用量依存的生体内の効能試験(抗腫瘍活性)結果である。
【
図16】
図16は、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体の用量依存的生体内の効能試験(抗腫瘍活性)結果である。
【
図17】
図17は、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異性抗体の用量依存的再-挑戦試験(抗腫瘍活性)結果である。
【実施例】
【0159】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。ただ、下記の実施例は、本発明を例示するものであるだけで、本発明が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0160】
製造例1.抗-B7-H4抗体生成
【0161】
1-1.免疫化によるマウス単一クローン抗体生成
【0162】
ヒトのB7-H4に対する単一クローン抗体は、以下の手続きを用いて生成された。SJLおよびBalb/C マウス(Charles River Laboratories、Hollister、CA)は、組み換えヒトのB7-H4を過発現する293個の細胞の一つで過免疫化した。
【0163】
具体的に、マウスにPBSでヒトのB7-H4を過発現させた293個の細胞を注射(腹腔内を通じる5百万個/用量)して、次いで、組み換えヒトのB7-H4ECDとともにタンパク質ブストを注射(腹腔内を通じる4Dg/用量)した。血清力価は、6~9回の注射後、標準酵素免疫法(enzyme linked immunosorbant assay、ELISA)およびFACSによって評価した。血清B7-H4陽性マウスから採取した脾臓B細胞を電気融合(Hybrimune;ハーバード生命科学、ホリストン、MA、米国)によってマウス骨髄腫細胞(X63.Ag8.653;American Type Culture Collection、モネソス、VA、米国)と融合した。10~14日後、ハイブリドーマ上清液をELISAによって抗体分泌に対して
スクリーニングした。その後、全ての陽性クローンを拡張し、ELISAおよびFACSによってhuB7-H4に対する結合に対してさらにスクリーニングした。
【0164】
確認された3個のハイブリドーマクローン:16E3H3、23B6C2および73B4F10(B7-H4免疫化したSJLマウスから確認される)。
図1に示したように、蛍光活性化細胞分類(FAC)によって全てのクローンは、B7-H4発現細胞株(CHOK-1 B7-H4、SK-BR-3)および組み換えヒトのB7-H4に陽性に結合した。確認されたマウスクローンの可変領域およびCDRは、以下の通りである。
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
1-2.マウス単一クローン抗体のクローニングおよびキメラ化
【0169】
マウス単一クローン抗体16E3H3、23B6C2および73B4F10を、下記のようにクローニングおよびキメラ化した。
【0170】
標準方法を用いて、ミュリン16E3H3、23B6C2および73B4F10を生産するハイブリドーマ細胞から総RNAを抽出した。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)ドメインは、重鎖および軽鎖に対する縮退プライマーとともにRT-PCRを用いて増幅した。正方向プライマーは、VLおよびVH領域のN-末端アミノ酸配列に対して特異的であり、それぞれ、LCおよびHC逆方向プライマーは、種の全般にわたって高度で保存した不変軽部(CL)および不変重部ドメイン1(CH1)の領域にアニーリングするように設計した。
【0171】
挿入物のポリヌクレオチド配列は、通常のシーケンシング方法を用いて決められた。マウス重鎖可変領域をヒトIgG1重鎖不変領域にクローニングし、軽鎖可変領域をヒトカッパ軽鎖不変領域にクローニングして各抗体をキメラ化した。
【0172】
1-3.マウス単クローン抗体のヒト化
【0173】
親抗体の構造は、コンピューターサポート相同性モデリングプログラムによってモデリングした。ヒト化抗体は、CDR移植+逆突然変異を用いて設計した。簡略に、ヒト化軽鎖を得るために親抗体のCDRをヒト受容体に移植した。3個(3)のキメラ化したクロー
ンのうち、優勢クローンとして16E3H3を選択した。16E3H3クローンのヒト化重鎖および軽鎖の配列を表12および13に示した。
【0174】
軽鎖は、翻訳後変形(post-translational modification、PTM)を除去するためにさらに修正された。軽鎖の修正された配列は、表14(16E3H3 M1クローン)に示した。抗体に含まれた抗体の不変領域は、ヒトIgG1に一つ以上の突然変異または変更(例えば、ADCC-減少突然変異(N297A突然変異;癌細胞、vol.19、issue 1、pp.101-113、etc.))を導入することによって変形し続けることができる。
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
製造例2.抗-4-1BB抗体の生成
【0179】
2-1.完全ヒトの抗-4-1BB単一クローン抗体の製造
【0180】
完全なヒトの抗-4-1BB単一クローン抗体は、WO2020/111913に開示されたように製造された。具体的に、標的分子に対するファージライブラリ(KBio Healthで獲得)のパニングのために、4-1BB(NCBI登録番号NP_001552.2)コーティングされた免疫チューブを用いて総4回のパニングを行った。3回パニングの結果物からのバクテリアコロニーを、96ディープウェルプレートのSB-カルベニシリンで濁るまで成長させ、この時点で1011pfuのVCSM13ヘルパーファージを各ウェルに添加した。37℃で1時間しなやかに振りながら感染させた後(80rpm)、70μg/mLのカナマイシンを添加して細胞を200rpmで振盪しながら30℃で一晩中培養した。翌日、プレートを遠心分離してファージを含む上清液をPBSTの中で3%のBSAで遮断された4-1BB抗原でコーティングされたELISAプレートに添加した。室温で1時間インキュベーションした後、プレートをPBSTで3回洗浄して抗M13抗体を添加した。プレートを1時間培養して、PBSTで3回洗浄して、テトラメチルベンジジン(TMB)を用いて結合活性を測定した。
【0181】
4-1BB特異的結合剤は、プラスミドDNAシーケンシングのために増幅された。Ig軽鎖V遺伝子(VL)およびVH配列は、固有の配列を確認して配列多様性を決定するために分析された。
【0182】
2-2.抗-4-1BB scFv抗体の製造
【0183】
(N’)-VL-リンカー-VH-(C’)の構造を有する抗-4-1BB scFv抗体は、前記製造実施例2-1で得た4-1BBに対する完全なヒト単一クローン抗体の可変領域を用いて製造し、ここで重鎖可変領域の44番目のアミノ酸残基「G」が「C」に置き換えられ、軽鎖可変領域の103番目のアミノ酸残基「G」が「C」に置き換えられた。scFvで「G」から「C」へのこのようなアミノ酸置き換えは、scFvを一つの標的-特異的モイアティとして含む二重特異的抗体の安全性増加に寄与することができる。製造された抗-4-1BB scFvのアミノ酸配列を、下記の表15ないし21に示し、当業者であれば、(GGGGS)2、(GGGGS)3、(GGGGS)4または(GS)9のような多様なタイプのペプチドリンカーを適用することを含み、特定の目的を満たすためにアミノ酸配列の変化または変形を適用することができる。
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
2-3.二重特異的抗体の形態に抗-4-1BB scFv抗体の製造
【0193】
二重特異的抗体の代表的な例として、下記のように重い構成および軽い構成で構成された抗-B7-H4x4-1BB二重特異的抗体を準備した。
【0194】
(1)重い構成要素(N’→C’)
1)抗-B7-H4抗体の重鎖;
2)リンカー:(GS)9;および
3)抗-4-1BB scFv製造例2-2で用意した抗-4-1BB scFv
(2)軽い構成要素(N’→C’)
抗-B7-H4抗体の軽鎖
【0195】
製造例3.抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体の製造
IgG-scFv融合形態の抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体を製造するために、製造例1および製造例2で製造された抗-B7-H4 IgGおよび抗-4-1BB scFvクローンをそれぞれ例示的に選択し、ここで一の抗原のscFv抗体断片が他の抗原のIgGのC-末端に融合される。B7-H4が全体IgG部分に位置するとき、ADCCが減少した突然変異体バックボーンを有するIgG1(N297A突然変異)を用い、4-1BBが全体IgG部分に位置するとき、IgG4を用いた。
【0196】
特に、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体候補が、全長IgG(抗-B7-H4抗体)-scFv(抗-4-1BB抗体)形式に製造された。二重特異的抗体に含有された抗-B7-H4抗体の不変領域は、NA突然変異(N297A)を導入することによって変形された。本製造例によって製造された二重特異的抗体(16E3H3 x1A10 M12および16E3H3 M1 x1A10 M12)のアミノ酸配列をそれぞれ表23および表24に示した。
【0197】
以下、16E3H3 M1単一特異性抗体をM40413とも言い、16E3H3 M1
x1A10 M12二重特異性抗体をB10317とも言う。
【0198】
【0199】
【0200】
二重特異的抗体のクローニングは、以下のように行った。pcDNA 3.4(Invitrogen、A14697;プラスミド1)に抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体のIgG抗体の重鎖を暗号化するヌクレオシド配列を有するDNA分節1を挿入し、pcDNA 3.4(Invitrogen、A14697;プラスミド2)に抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体のIgG抗体の軽鎖を暗号化するヌクレオシド配列を有するDNA分節2を挿入した。以後、二重特異的抗体の発現のためのベクターを製造するために、(GGGGS)4(配列番号:68)で構成された16個のアミノ酸長さを有するリンカーペプチドを暗号化するDNA分節4を用いるか、(GS)9(配列番号:69)で構成された18個のアミノ酸長さを有するリンカーペプチドを暗号化するDNA分節5を用いてプラスミド1に挿入されたIgGのFc領域のc-末端に該当するDNA分節1の一部にscFvを暗号化するDNA分節3を融合した。また、scFvを安定化するために製造例2に記載されたように、軽鎖のC-末端および重鎖のC-末端にそれぞれVL103-VH44(VL103:103番目の位置にG→C突然変異を有するVL;VH44:44番目の位置にG→C突然変異を有するVH)を融合する二硫化架橋を生成するように追加変形を適用した。
【0201】
実験例1.抗-B7-H4抗体の抗原結合能力
【0202】
1-1.FACS分析を用いることによって、マウス抗-B7-H4抗体の結合確認
【0203】
抗原結合特性を評価するために、製造例1-1によって生成されたマウス抗体候補物質のB7-H4発現細胞(SK-BR3、CAMA-1およびMDA-MB-468)またはB7-H4陰性発現細胞(PANC-1)に対する結合を分析した。簡略に、各細胞を前記提示された抗体100nMで4℃で1時間処理した。FACSバッファーで洗浄した後、細胞をFITC抗-マウスIgGFc抗体とともに4℃で1時間インキュベーションして、次いで、FACS分析を行った。
図1に示したように、抗-B7-4Hマウス抗体は、B7-H4を発現するSK-BR3、CAMA-1およびMDA-MB-468細胞株には結合したが、B7-H4陰性PANC-1には結合しなかった。その結果、三つの(3)マウス抗体候補物質のうち、16E3H3クローンがB7-H4発現癌細胞に最も高い親和度を示した。前記結果の順位に基づいて、16E3H3がヒト化のために選択された。
【0204】
1-2.ヒトのB7-H4タンパク質に対する抗-B7-H4単一特異的抗体の抗原結合能力
【0205】
ヒト化抗体の抗原結合活性を評価するために、16E3H3 M1に対してELISAを行った。簡略に、ELISAプレートをPBSの中で1ug/ml、100ul/ウェルのFc融合されたヒトのB7-H4タンパク質で4℃で一晩中コーティングして、次いで、37℃でPBSの中で1%のBSA 200ul/ウェルで遮断した。100nMから始める単一クローン抗体の4倍希薄液を各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。前記プレートをPBST(0.05% Tween 20 in PBS)で洗浄した後、HRP(Horse Radish Peroxidase)と接合された抗-ヒトFabとともに37℃で1時間インキュベーションした。前記プレートをTMB基質で現像したPBST(Tween 20 0.05% in PBS)で洗浄し、OD 450nm~650nmで分光光度計で分析した。
図2に示したように、用量依存的方式で16E3H3 M1は、B7-H4に結合した。EC
50値は、0.079nMであった。
【0206】
実験例2.抗-B7-H4単一特異的抗体の細胞結合能力
【0207】
腫瘍抗原結合特性を評価するために、16E3H3 M1クローンをFACSによってB7-H4-発現哺乳動物細胞に対するこれの結合に対して分析した。簡略に、B7-H4陽性細胞(MX-1、CAMA-1、SK-BR3およびOVCAR-3)またはB7-H4陰性細胞(PANC-1)をM40413抗体とともにインキュベーションした。FACSバッファー(PBS中で、1%のBSA)で洗浄した後、FITC-抗-ヒトIgG抗体を各ウェルに添加し、4℃で45分間インキュベーションした。FITCのMFIをFACS Caliburで評価した。
図3に示したように、用量-依存的方式で16E3H3 M1クローンは、B7-H4陽性癌細胞株に結合した。
【0208】
実験例3.IFN-γ生産で測定した抗-B7-H4単一特異性抗体のT細胞チェックポイントリガンド活性
【0209】
T-細胞活性化のB7-H4抑制は、プレート-固定された組み換えB7-H4タンパク質(rB7-H4)および健康な供与体のPBMCを用いて行われた。正常供与体PBMC細胞は、対照群タンパク質(hIgG1)または可溶性rB7-H4の存在の下で、I
gG、BMUR(Urelumab、BMSの抗-4-1BB抗体)、M40413(16E3H3 M1)または参照B7-H4抗体(FPA150、fiveprimeの参照抗体)とともに抗-CD3抗体で刺激された(
図4)。
【0210】
rB7-H4は、T細胞チェックポイントリガンド活性を明確に立証した。これは、SrB7-H4-コーティングされたプレートでT細胞のIFN-γ分泌がIgG-コーティングされたプレートでのものと比較する時に減少したことを示す
図4のグラフから分かる。一方、M40413(グラフ内のスラッシュパターン)およびFPA150(グラフ内の縦パターン)は、rB7-H4のT細胞チェックポイントリガンド活性を遮断し、これはIgG(グラフ内の灰色)またはBMUR(グラフ内の白色)処理条件と比較して、IFN-γ分泌水準の増加により裏付けられる。
【0211】
すなわち、B7-H4媒介免疫抑制条件で、例えば、抗-4-1BB抗体のような他の免疫調節制は機能しない。対照的に、これらB7-H4媒介免疫抑制は、抗-B7-H4抗体によって克服することができる。これとともに、B7-H4媒介T-細胞抑制は、B7-H4に特異的ではない抗体よりも、本発明のB7-H4抗体によってより効率的に救済された(T-細胞活性回復率:M40413>FPA150>BMUR)。
【0212】
実験例4.用量依存的方式で抗-H7-H4抗体のT細胞チェックポイントリガンド活性
【0213】
刺激されたヒト末梢血液単核細胞(PBMC)反応に対するB7-H4抗体のT細胞チェックポイント遮断活性を特徴化するために、T細胞から分泌された上清液でIFN-ガンマの濃度を測定した。T細胞活性化のB7-H4抑制は、プレート-固定された組み換えB7-H4タンパク質および健康な供与体のPMBCを用いて行われた。多様な濃度のヒトIgG、BMUR(BMSからの抗-4-1BB抗体)およびB7-H4抗体-M40413またはFPA150-を抗-ヒトCD3の存在の下でPBMCとともに恒温処理して試験した。5%Co2、37℃の加湿チャンバで72時間培養した後、ヒトIFN-ガンマQuantikilne kit(R&Dシステム、SIF50)で上層液内のIFN-ガンマ濃度を測定した。
【0214】
図5に示したように、M40413(グラフ内の円)およびFPA150(グラフ内の逆三角形)はrB7-H4のT細胞チェックポイントリガンド活性を遮断し、これはIgG(グラフ内の空の四角形)またはBMUR(グラフ内の菱形)処理条件に比べて、IFN-γ分泌水準の増加により裏付けられる。すなわち、B7-H4媒介免疫抑制条件で、例えば、抗-4-1BB抗体のような他の免疫調節制は機能しない。対照的に、これらB7-H4媒介免疫抑制は、抗-B7-H4抗体によって克服することができる。これとともに、B7-H4媒介されたT-細胞抑制は、B7-H4に特異的ではない抗体よりも、本発明のB7-H4抗体によってより効率的に救済された。
【0215】
実験例5.Dakoの抗体用量キットを用いた細胞表面B7-H4の相対的発現推定
【0216】
細胞表面B7-H4発現水準は、製造業社の勧奨事項によってQIFIKIT定量キット(Dako)を用いて多様な癌細胞株で定量された。簡略に、細胞を飽和濃度で標識されていない抗-B7-H4マウス単一クローン抗体(abcam)または精製されたマウスIgG1kイソ型対照群(abcam)で染色した。洗浄した後、キットの染色された細胞と補正ビードをキットの同一のFITC-接合ヤギ抗-マウスIgG2次抗体で同時に標識した。洗浄した後、キットの染色された細胞と補正ビードをキットの同一のFITC-接合ヤギ抗-マウスIgG2次抗体で同時に標識した。標識された細胞および補正ビードをフローサイトメトリーで分析した。補正ビードのMFI値を用いて線形回帰を行った。ABC(抗体-結合能力)は、この回帰線から外挿され、sABC(特異的ABC)は
、抗-B7-H4抗体のABCからイソ型対照群抗体のABCを抜けて決められた。表25に示したように、11個の癌細胞株のsABCを決めた。CHOK1、PANC1およびMC38は、B7-H4陰性細胞株として見なされた。
【0217】
【0218】
実験例6.抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体のヒトのB7-H4および4-1BBタンパク質に対する抗原結合能力
【0219】
抗原結合活性を評価するために、二重特異的抗体B10317(16E3H3 M1 x1A10 M12)を対象にしてDACEした。簡略には、微細適正プレートをPBSの中で1μg/ml、100μl/ウェルのヒトの4-1BB-Fcタンパク質で4℃で一晩中コーティングして、次いで、37℃でPBSの中で1%のBSA 200μl/ウェルで遮断した。100nMから始める二重特異的抗体の3倍希薄液を各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。前記プレートをPBS/Tweenで洗浄した後、ヒトのB7-H4hisタンパク質1μg/mlを含むPBSで1%のBSAとともに37℃で1時間インキュベーションした。前記プレートをPBST(PBS中で、0.05% Tween 20)で洗浄した後、HRP接合された抗-his抗体とともに37℃で1時間インキュベーションした。洗浄した後、前記プレートをTMB基質で現像して450nm~650nmで分光光度計で分析した。
図6に示したように、用量依存的方式でB10317は、ヒトのB7-H4およびヒトの4-1BBの両方に同時に結合した。EC
50(nM)値は、1.2nMであった。
【0220】
実験例7.抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体のサルのB7-H4および4-1BBタンパク質に対する抗原結合能力
【0221】
二重特異的抗体の交差反応性を評価するために、二重特異的抗体を対象にしてDACEした。簡略には、微細適正プレートをRhesus 4-1BB-Fcタンパク質(100ng/ウェル)で4℃で一晩中コーティングして、次いで、200μl/ウェルのPBSB(PBS中で、1%のBSA)で遮断した。100nMからのB10317の3倍希薄液を各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。前記プレートをPBST(PBS中で、0.05% Tween 20)で洗浄した後、Rhesus B7-H4-hisタンパク質(100ng/ウェル)とともに37℃で1時間インキュベーションした。前記プレートをPBST(PBS中で、0.05% Tween 20)で洗浄した後、抗-his抗体が接合されたHRP(Horse Radish Peroxidase)とともに37℃で1時間インキュベーションした。洗浄した後、前記プレー
トをTMB基質で現像して450nm~650nmで分光光度計で分析した。
図7に示したように、用量依存的方式でB10317は、Rhesus B7-H4および4-1BBに同時に結合した。EC
50(nM)値は、2.58nMであった。
【0222】
実験例8.抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体の細胞結合能力
【0223】
腫瘍抗原結合特性を評価するために、FACSでB10317二重特異的抗体のB7-H4-発現哺乳動物細胞に対する結合に対して分析した。簡略に、B7-H4陽性細胞(MX-1およびCAMA-1)をB10317抗体とともにインキュベーションした。FACSバッファー(PBS中で、1%のBSA)で洗浄した後、前記FITC-抗-ヒトIgG抗体を各ウェルに添加し、4℃で45分間インキュベーションした。FITCのMFIは、FACS Caliburで評価された。
図8に示したように、B10317は、B7-H4陽性癌細胞株に用量依存的方式で結合した。
【0224】
実験例9.抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体の標的タンパク質B7-H4および4-1BBに対する結合親和度(SPR)
【0225】
SPR実験で、製造例3で得られた抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体は、フローセル2、3および4でキャプチャーされ、フローセル1は参照として維持し、タンパク質Aチップで抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体がアミンカップリングによって固定された。組み換えB7-H4(ヒト/サル)または4-1BB(ヒト/サル)タンパク質は、B7-H4の場合、100nMないし6.25nMまたは4-1BBの場合、250nMないし15.625nM範囲の濃度でチップを横切って30μl/分で60秒間流れ、180秒の解除ステップが続いた。10mMのグリシン-HCl(pH1.5)を用いて再生を行った。得られた結果を表26に示した。表26に示したように、B10317は、B7-H4および4-1BBに高い親和性を示し、それぞれのヒトおよびサル標的(B7-H4または4-1BB)に対する親和度は類似している。
【0226】
【0227】
実験例10.B7-ファミリタンパク質に対するタンパク質結合テスト
【0228】
抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体のB7-H4に対する特異的結合を確認するために、B10317を対象にしてELISAテストを行った。微細適正プレートを各タンパク質(100ng/ウェル)で4℃で一晩中コーティングした後、200μl/ウェルのPBSB(PBS中で、1%(w/v)BSA)で遮断した。100nMから始めるB10317の3倍希薄液を各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。前記プレートをPBST(PBS中で、0.05%(v/v) Tween 20)で洗浄した後、抗-FcHRP(希薄倍率、1:30000)または抗-Fab HRP(Dilution factor、1:20000)100ulとともに37℃で1
時間インキュベーションした。前記プレートをPBST(0.05%(v/v) Tween 20 in PBS)で洗浄した後、前記プレートをTMB気質で発色させ、450~650nmで分光光度計で分析した。
図9に示したように、B10317は、B7-H4に特異的に結合し、他のB7-ファミリタンパク質には結合しないことを確認した。
【0229】
実験例11.IFN-γ生産で測定した抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体のT細胞チェックポイントリガンド活性
【0230】
T-細胞活性化のB7-H4抑制は、プレート-固定された組み換えB7-H4タンパク質(rB7-H4)および健康な供与体のPBMCを用いて行われた。正常供与体PBMC細胞は、対照群タンパク質(hIgG1)または可溶性rB7-H4の存在の下で、IgG、B10317二重特異的抗体、Keytruda(MSDからの抗-PD-1抗体)、M40413単一特異性抗体または参照B7-H4抗体とともに抗-CD3抗体で刺激された(
図10)。
【0231】
rB7-H4は、T-細胞チェックポイントリガンド活性を明白に示した。
図10に示したように、rB7-H4コーティングされたプレートでT細胞からIFN-γの分泌が、IgG-コーティングされたプレートでのものと比較する時に減少した。一方、B10317(グラフ内の灰色)、M40413(グラフ内のスラッシュパターン)およびFPA150(グラフ内の縦パターン)は、rB7-H4のT細胞チェックポイントリガンド活性を遮断し、これはIgG(グラフ内の黒色)またはKeytruda(グラフ内の白色)処理条件と比べて、IFN-γ分泌水準の増加により裏付けられる。
【0232】
すなわち、B7-H4媒介免疫抑制条件で、例えば、抗-PD-1抗体のような他の免疫調節制は機能しない。対照的に、このようなB7-H4媒介免疫抑制は、本開示に係る抗-B7-H4抗体によって克服することができる。これとともに、B7-H4媒介T-細胞抑制は、対照群抗体よりも、本発明の単一特異的または二重特異的B7-H4抗体によってより効率的に救済された(T-細胞活性回復率:B10317>M40413≒FPA150)。
【0233】
実験例12.多様なPBMCロット共同-培養システムで、抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体の用量依存的T細胞チェックポイントリガンド活性
【0234】
実験例4と同一の方法で、B10317のT細胞チェックポイント遮断活性を確認するために、多様なPBMCロット共同-培養システムで、上清液中のIFN-ガンマ濃度を測定した。
図11に示したように、上清液内のIFN-ガンマの水準は、PBMCロットによって異なるが、IFN-ガンマ分泌水準は、用量依存的方式で増加した。
【0235】
実験例13.抗-B7-H4/抗-4-1BB二重特異的抗体のPBMC基盤標的細胞溶解試験
【0236】
ヒトPBMCを抗-ヒトCD3抗体および試験抗体の存在の下で、SK-BR3細胞株(ヒトのB7-H4発現)と共同-培養した。簡略に、PBMC(ロット番号.HHU20190711)は、ウェル当たり3.0×10
4でプレーティングされ、SK-BR3はウェル当たり1.0×10
4で共同プレーティングされた(E:T割合=1:3)。二重特異的抗体B10317(40nMから始めて4倍希薄)、参照抗体FPA150、Urelumab(BMSからの抗-4-1BBmAb)、または抗-B7-H4(M40413)および抗-4-1BB(1A10M12)単一特異的抗体(40nMから始めて4倍希薄)の組合処理群をそれぞれプレートウェルに添加した。培養6日後、標的細胞溶解%を細胞計数キット-8(CCK-8、Dojindo_CK04-20)で測定した。
図12に示したように、抗-B7-H4/抗-4-1BB抗体(B10317)は、Urelumab(作用抗-4-1BB抗体)、FPA150または組合処理群(抗-B7-H4および抗-4-1BB単一特異性抗体)よりも、より効率的に用量-依存的標的細胞溶解を誘導した。前記と同一の方法で、多様なPBMCロットを用いてB10317の標的細胞溶解能力を試験し、その結果を
図13a(SK-BR3)および
図13b(CAMA-1)に示した。
図13aおよび13bに示したように、B10317は、多様なPBMCロットを用いるときにも、用量-依存的に標的細胞溶解を誘導した。
【0237】
実験例14.多様なB7-H4発現条件で二重特異的抗体の試験管内の4-1BB活性化試験
【0238】
Promegaキットシステムを用いて、抗-B7-H4/4-1BB二重特異的抗体B10317の試験管内の4-1BB活性を分析した。簡略に、それぞれ100μL培養培地の白色96-ウェル分析プレートに多様な細胞株(MC38-hB7-H4:2.5×104、CAMA-1:2.5×104、SK-BR3:2.5×104、HCC1806-hB7-H4:2.5×104、OVCAR3:2.5×104、HCC1954:2.5×104、CHOK1:2.5×104、Panc-1:2.5×104 and
MC38:2.5×104)をプレーティングした。
【0239】
細胞を5%CO2加湿された37℃のインキュベーターで一晩中培養した。一晩中培養した後、100μLの培養培地を除去して25μLの分析培地(RPMI1640を含有する1%FBS)を事前-プレート標的細胞に添加した。25μLのB10317(50nMから始めて3倍希薄)またはBMUR(133nMから始めて6倍希薄)をプレートに添加した。GloResponseTM NFκB-luc2/4-1BB Jurkat細胞株を収穫して分析培地で再懸濁した。25μLのGloResponseTM NFκB-luc2/4-1BB Jurkat細胞株を各ウェルに添加し、ウェル当たり2.5×104細胞のプレートを作った。細胞を5%CO2加湿された37℃のインキュベーターで6時間培養した。インキュベーションの間、Bio-GloTM試薬は、製造業社の指針に従い還元された。6時間インキュベーションした後、ウェル当たり75μLのBio-GloTM試薬を分析プレートに添加した。5分後、マイクロプレートリーダーを用いて発光性を測定した。GraphPadソフトウェアを用いて4個の媒介変数ロジスティック曲線分析を行った。
【0240】
図14に示したように、B10317は、B7-H4の存在下でのみ4-1BB信号伝逹を用量依存的に活性化させ、B10317のT細胞刺激活性は、B7-H4発現水準に関連があった。B10317は、B7-H4発現がない場合、4-1BB信号伝逹を活性化しなかった。一方、BMUR処理群でB7-H4陽性細胞株と陰性細胞株の両方でT-細胞刺激活性が増加した。前記結果からB10317は、BMURと異なり、B7-H4を発現する腫瘍環境で特にT-細胞活性を増加させることが分かる。
【0241】
実験例15.ヒト化4-1BBマウスを含むB-CAG-hB7-H4 MC38二重特異的抗体の有効量評価
【0242】
B10317二重特異的抗体の生体内の効能を評価するために、B-h4-1BB TGマウス(Biocytogen)に腫瘍発達のために、0.1mLのPBSに懸濁されたB-CAG-hB7-H4 MC38腫瘍細胞(1×106)を右側全面に皮下注射した。腫瘍-保有した動物は、腫瘍大きさが103mm3に到逹した時に、無作為に5個の研究グループに登録された。各グループは8匹のマウスで構成された。5個のグループは、G1(hIgG1イソ型(isotype)対照群、10mg/kg)、G2(BMUR、7.5mg/kg、B10317の10mg/kgと同一のモル比)、G3(B103
17、10mg/kg)、G4(B10317、2mg/kg)およびG5(B10317、0.4mg/kg)である。全ての試験物質は、総8回の間、3日に1回の頻度で、腫瘍-保有マウスに静脈に投与した。腫瘍体積と体重を週当たり2回測定して記録した。研究は最後の投与後の22日目に終了した。グループ化後の25日目に、G1(対照群)の平均腫瘍体積は1752±269mm3であった。G2グループの平均腫瘍体積は、103.3%のTGIを有する48±40mm3であった。G3、G4およびG5グループで平均腫瘍体積はそれぞれ105.1%のTGIを有する18±14mm3、97.9%TGIを有する136±110mm3および77.7%のTGIを有する470±192mm3であった。平均体重および平均腫瘍体積は、表27および28に示した。BMURとB10317の両方とも動物体重または明白な臨床徴候に否定的な影響を及ぼさなかった(表27)。腫瘍成長抑制(TGITV)を計算して表28に示した。BMURとB10317の両方とも腫瘍体積に対する相当な抗腫瘍活性を示した。B10317処理群では、低用量群でも優れた腫瘍成長抑制率を示し、BMURに対して優れた効能を示した。
【0243】
治療時の平均腫瘍成長プロファイルおよび体積を
図15に示し、個別の腫瘍体積を
図15に示した。
図15および16に示したように、B10317は、用量依存的方式でMC38-hB7-H4保有モデルで生体内腫瘍成長を有意に減少させた。BMUR処理群(G2)も生体内抗腫瘍活性を示したが、B10317は2mpk用量(G4)でもより強い生体内の効能(すなわち、約100%腫瘍成長抑制)を示した。
【0244】
【0245】
【0246】
実験例16.二重特異的抗体のMC38-hB7-H4の再-攻撃からの保護効果確認
【0247】
最終処理後の22日目に、投与群で21匹の完治したマウス(G2で7匹、G3で7匹、G4で5匹、G5で2匹)および5匹のナイーブ(naive)マウスに再-攻撃実験のために腫瘍細胞を移植した。マウスは、腫瘍発達のために左側全面にB-CAG-hB7-H4 MC38結腸腫瘍細胞(1×106)を皮下注射した。
【0248】
図17に示したように、BMURおよびB10317の両方とも試験された用量で有意な抗腫瘍活性を示し、動物体重に否定的な影響を及ぼすか、明白な臨床徴候を誘導していない。
【0249】
B103017処理群(G3、G4およびG5)でB-CAG-hB7-H4 MC38再-接種による腫瘍成長がなく、これは、B-CAG-hB7-H4 MC38腫瘍に対する長期記憶保護を促進した。7個の腫瘍のうち2個は、BMUR治療完治群(G2)でゆっくり育ち、他の腫瘍は初期に現れたが、後期にほとんど消えた。
【0250】
全般的に、B10317は、B-CAG-hB7-H4 MC38腫瘍に対してBMURよりも、より強力な長期記憶保護を示した。
【0251】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有した者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形が可能であることを理解できるだろう。したがって、以上で記述した実施例は、あらゆる面で例示的なものであって限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されてもよい。
【0252】
本発明の範囲は、後述する請求の範囲によって示され、請求の範囲の意味および範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【配列表】
【国際調査報告】