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特表2024-530986呼吸パラメータを決定するための方法及び/又は装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】呼吸パラメータを決定するための方法及び/又は装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
A61M16/00 345
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513188
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 IB2022057947
(87)【国際公開番号】W WO2023026218
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/260,640
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ トーマス ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ペイトン マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】グレイヴス レイチェル
(57)【要約】
患者の、呼吸支援を受けており、且つその口が閉じられているときの吸入中の呼吸パラメータを決定する方法であって、流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、患者への複合ガス流入流のガス割合を測定することと、複合ガス流入流の流量を、装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流入流のガス割合、周囲ガス割合の1つ又は複数を使用して決定することと、複合ガス流入流の流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することとを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の、呼吸支援を受けており、且つその口が閉じられているときの吸入中の呼吸パラメータを決定する方法であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、
前記患者への複合ガス流入流のガス割合を測定することと、
複合ガス流入流の流量を、
装置ガス流のガス割合、
装置ガス流の流量、
複合ガス流入流のガス割合、
周囲ガス割合
の1つ又は複数を使用して決定することと、
前記複合ガス流入流の流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を含む方法。
【請求項2】
呼吸パラメータは、
一回換気量、
毎分換気量、
呼吸数、
無呼吸、
気道開存性、及び/又は
ピーク流量
の1つ又は複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置ガス流の流量は、吸入の少なくとも一部について、前記患者の吸入要求量未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
吸入の一部について、前記装置ガス流は、吸入要求量以上の第1の流量であり、及び
吸入の一部について、前記装置ガス流は、第2又は後続の流量であり、前記第2又は後続の流量のそれぞれは、吸入要求量未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記吸入要求量は、前記方法が実施される前記患者の前記吸入要求量である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記装置ガス流の流量は、吸入の一部について前記流量が吸入要求量以上であり、及び吸入の一部について前記流量が吸入要求量未満であるように経時変化する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記経時変化する流量は、変動し、任意選択的に呼吸周波数より高い周波数で変動する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ガス割合は、ガス分率及び/又はガス分圧である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記吸入要求量は、ピーク吸入要求量である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複合ガス流入流は、前記装置ガス流及び周囲(同伴)ガス流を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ガスは、O2、CO2、N2又はトレーサーガスの1つ又は複数である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複合ガス流入流のガス割合は、鼻におけるセンサで測定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流入流のガス割合、周囲ガス割合の全てを使用して、前記複合ガス流入流の流量を決定することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者の前記複合ガス流入流の流量QTOTは、
【数1】
を使用して求められ、式中、
TOTは、前記患者への前記(合計吸気)患者ガス流入流(複合ガス流入流)17(装置ガス流11及び同伴空気ガス流16)の前記流量であり、且つ
Tot(t)=Qentrained(t)+Qo(t) (35)
によって定義され、及び
状態パラメータは、以下の通りである:
Oは、前記装置ガス流の前記流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する前記装置ガス流中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、前記患者への前記複合ガス流入流(患者吸入ガス流)中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
entrainedは、前記同伴空気ガス流中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QTot(t)dt (38)
のように定義され得る、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
患者の、呼吸支援を受けており、且つその口が閉じられているときの吐出し中の呼吸パラメータを決定する方法であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、
前記患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
呼気ガス流量を、
装置ガス流のガス割合、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流のガスパラメータ、
呼気ガス流パラメータであって、前記複合ガス流出流中に存在する前記ガスの前記測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
前記呼気ガス流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を含む方法。
【請求項17】
呼吸パラメータは、
一回換気量、
毎分換気量、
呼吸数、
無呼吸、
気道開存性、及び/又は
ピーク流量
の1つ又は複数である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ガス割合は、ガス分率及び/又はガス分圧である、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記複合ガス流出流は、漏出ガス流及び呼気ガス流を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複合ガス流出流パラメータは、鼻におけるセンサで測定されたガス割合を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ガスは、O2、CO2、N2又はトレーサーガスの1つ又は複数である、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流出流のガス割合、呼気ガス流パラメータの全てを使用して、前記呼気ガス流の流量を決定することを含む、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記流量及びガス割合の1つは、経時変化する、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記装置ガス流の流量又はガス割合は、変動する、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記流量又はガス割合は、呼吸周波数より高い周波数で変動する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記呼気ガス流パラメータは、呼気ガス流のガス割合である、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記患者の前記呼気ガス流の流量QEは、
【数2】
を使用して求められ、式中、
Eは、前記吐出し流量(呼気ガス流の流量)であり、及び
状態パラメータは、以下の通りである、
Oは、前記装置ガス流の前記流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する前記装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、前記患者からの前記複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
Eは、前記呼気患者ガス流13中のガス(例えば、CO2、O2、N2又はトレーサーガス)の体積分率(呼気ガスの体積分率)である、請求項16~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
装置ガス流及び呼気O2分率について可変流量を使用する場合、
【数3】
である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
装置ガス流及び呼気CO2分率について可変流量を使用する場合、
【数4】
である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
装置ガス流及び呼気O2分率について可変酸素分率を使用する場合、
【数5】
である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QE(t)dt (42)
のように定義され得る、請求項16~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
患者の、呼吸支援を受けているときの吐出し中の呼吸パラメータを決定する方法であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、
前記患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
口及び/又は鼻を通る装置ガス流の割合を決定することと、
呼気ガス流量を、
装置ガス流のガス割合、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流のガスパラメータ、
前記装置ガス流の割合、
呼気ガス流パラメータであって、前記複合ガス流出流中に存在する前記ガスの前記測定されたパラメータと、前記装置ガス流の経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
前記呼気ガス流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を含む方法。
【請求項33】
呼吸パラメータは、
一回換気量、
毎分換気量、
呼吸数、
無呼吸、
気道開存性、及び/又は
ピーク流量
の1つ又は複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記ガス割合は、ガス分率及び/又はガス分圧である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項35】
前記複合ガス流出流は、漏出ガス流及び呼気ガス流を含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記複合ガス流出流パラメータは、前記口におけるセンサで測定されたガス割合である、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ガスは、O2、CO2、N2又はトレーサーガスの1つ又は複数である、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流出流のガス割合、呼気ガス流パラメータの全てを使用して、前記呼気ガス流の流量を決定することを含む、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記流量及びガス割合の1つは、経時変化する、請求項32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記装置ガス流の流量又はガス割合は、変動する、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記流量は、呼吸周波数より高い周波数で変動する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記呼気ガス流パラメータは、呼気ガス流のガス割合である、請求項32~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記口及び/又は鼻を通る装置ガス流の割合を決定することは、前記口を通る装置ガス流の割合を決定することを含む、請求項32~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記口を通る装置ガス流の前記割合は、0~1の値を有する定数kである、請求項32~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記患者の前記呼気ガス流の流量QEは、
【数6】
を使用して求められ、式中、
Eは、前記吐出し流量(患者呼気ガス流の流量)であり、及び
状態パラメータは、以下の通りである、
kは、前記口を通して出る前記装置ガス流11の前記割合である(及び(1-k)は、前記鼻を通過する分率である)。それは、0~1の値(両端値を含む)であり、
Oは、呼吸装置から到来する前記装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、前記患者からの前記複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
Eは、前記呼気患者ガス流13中のガス(例えば、CO2、O2、N2又はトレーサーガス)の体積分率(吐出しガスの体積分率)である、請求項32~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
装置ガス流及び呼気O2分率について可変流量を使用する場合、
【数7】
である、請求項32~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
装置ガス流及び呼気CO2分率について可変流量を使用する場合、
【数8】
である、請求項32~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
装置ガス流及び呼気O2分率について可変酸素分率を使用する場合、
【数9】
である、請求項32~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QE(t)dt (42)
のように定義され得る、請求項32~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
患者の、呼吸支援を受けているときの吐出し中の呼吸パラメータを決定する方法であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、
前記患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
呼気ガス流量を、
装置ガス流のガス割合、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流のガスパラメータ、
呼気ガス流パラメータであって、前記複合ガス流出流中に存在する前記ガスの前記測定されたパラメータと、前記装置ガス流の経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
前記呼気ガス流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を含む方法。
【請求項51】
前記口及び/又は鼻を通る装置ガス流の割合を決定することをさらに含み、前記呼気ガス流パラメータは、前記複合ガス流出流中に存在する前記ガスの前記測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合と、前記口及び/又は鼻を通る装置ガス流の前記割合とを使用して決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
呼吸支援を受けているときの患者の呼吸パラメータを決定する方法であって、
患者が吸入しているか又は吐き出しているか、及び口が開いているか又は閉じられているかを任意の順序で決定することと、
前記口が閉じられている場合、
吸入中、請求項1~15のいずれか一項に従って呼吸パラメータを決定することと、
吐出し中、請求項16~31又は50のいずれか一項に従って呼吸パラメータを決定することと、
前記口が開いている場合、
吐出し中、請求項32~49、50又は51のいずれか一項に従って呼吸パラメータを決定することと
を含む方法。
【請求項53】
呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための装置であって、
流れ発生器、
患者の口及び/又は鼻に配置された1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサのための入力部、
請求項1~52のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されたコントローラ
を含む装置。
【請求項54】
加湿器をさらに含む、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
さらに、非シール式インターフェースを有するか又はそれに接続する、請求項53又は54に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸パラメータを決定するための方法及び/又は装置に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸支援を提供する場合、患者フロー、一回換気量、毎分換気量、無呼吸、呼吸数、気道開存性、ピーク流量などの様々なパラメータを知ることが望ましい。これらは、常に測定できるわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、本明細書に記載されるように、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定するための方法及び/又は装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明は、患者の、呼吸支援を受けており、且つその口が閉じられているときの吸入中の呼吸パラメータを決定する方法であって、流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、患者への複合ガス流入流のガス割合を測定することと、複合ガス流入流の流量を、装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流入流のガス割合、周囲ガス割合の1つ又は複数を使用して決定することと、複合ガス流入流の流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することとを含む方法を含むと言うことができる。
【0005】
任意選択的に、呼吸パラメータは、一回換気量、毎分換気量、呼吸数、無呼吸、気道開存性及び/又はピーク流量の1つ又は複数である。
【0006】
任意選択的に、装置ガス流の流量は、吸入の少なくとも一部について、患者の吸入要求量未満である。
【0007】
任意選択的に、吸入の一部について、装置ガス流は、吸入要求量以上の第1の流量であり、及び
吸入の一部について、装置ガス流は、第2又は後続の流量であり、第2又は後続の流量のそれぞれは、吸入要求量未満である。
【0008】
任意選択的に、吸入要求量は、本方法が実施される患者の吸入要求量である。
【0009】
任意選択的に、装置ガス流の流量は、吸入の一部について流量が吸入要求量以上であり、及び吸入の一部について流量が吸入要求量未満であるように経時変化する。
【0010】
任意選択的に、経時変化する流量は、変動し、任意選択的に呼吸周波数より高い周波数で変動する。
【0011】
任意選択的に、ガス割合は、ガス分率及び/又はガス分圧である。
【0012】
任意選択的に、吸入要求量は、ピーク吸入要求量である。
【0013】
任意選択的に、複合ガス流入流は、装置ガス流及び周囲(同伴)ガス流を含む。
【0014】
任意選択的に、ガスは、O2、CO2、N2又はトレーサーガスの1つ又は複数である。
【0015】
任意選択的に、複合ガス流入流のガス割合は、鼻におけるセンサで測定される。
【0016】
任意選択的に、方法は、装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流入流のガス割合、周囲ガス割合の全てを使用して、複合ガス流入流の流量を決定することを含む。
【0017】
任意選択的に、患者の複合ガス流入流の流量QTOTは、
【数1】
を使用して求められ、式中、
TOTは、患者への(合計吸気)患者ガス流入流(複合ガス流入流)17(装置ガス流11及び同伴空気ガス流16)の流量であり、且つ
Tot(t)=Qentrained(t)+Qo(t) (35)
によって定義され、及び
状態パラメータは、以下の通りである:
Oは、装置ガス流の流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、患者への複合ガス流入流(患者吸入ガス流)中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
entrainedは、同伴空気ガス流中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
【0018】
任意選択的に、一回換気量は、以下:
Tidal(t)=∫QTot(t)dt (38)
のように定義され得る。
【0019】
別の態様では、本発明は、患者の、呼吸支援を受けており、且つその口が閉じられているときの吐出し中の呼吸パラメータを決定する方法であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、
患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
呼気ガス流量を、
装置ガス流のガス割合、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流のガスパラメータ、
呼気ガス流パラメータであって、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
呼気ガス流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を含む方法を含むと言うことができる。
【0020】
任意選択的に、呼吸パラメータは、一回換気量、毎分換気量、呼吸数、無呼吸、気道開存性及び/又はピーク流量の1つ又は複数である。
【0021】
任意選択的に、ガス割合は、ガス分率及び/又はガス分圧である。
【0022】
任意選択的に、複合ガス流出流は、漏出ガス流及び呼気ガス流を含む。
【0023】
任意選択的に、複合ガス流出流パラメータは、鼻におけるセンサで測定されたガス割合を含む。
【0024】
任意選択的に、ガスは、O2、CO2、N2又はトレーサーガスの1つ又は複数である。
【0025】
任意選択的に、方法は、装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流出流のガス割合、呼気ガス流パラメータの全てを使用して、呼気ガス流の流量を決定することを含む。
【0026】
任意選択的に、流量及びガス割合の1つは、経時変化する。
【0027】
任意選択的に、装置ガス流の流量又はガス割合は、変動する。
【0028】
任意選択的に、流量又はガス割合は、呼吸周波数より高い周波数で変動する。
【0029】
任意選択的に、呼気ガス流パラメータは、呼気ガス流のガス割合である。
【0030】
任意選択的に、患者の呼気ガス流の流量QEは、
【数2】
を使用して求められ、式中、
Eは、吐出し流量(呼気ガス流の流量)であり、及び
状態パラメータは、以下の通りである、
Oは、装置ガス流の流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、患者からの複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
Eは、呼気患者ガス流13中のガス(例えば、CO2、O2、N2又はトレーサーガス)の体積分率(呼気ガスの体積分率)である。
【0031】
任意選択的に、装置ガス流及び呼気O2分率について可変流量を使用する場合、
【数3】
である。
【0032】
任意選択的に、装置ガス流及び呼気CO2分率について可変流量を使用する場合、
【数4】
である。
【0033】
任意選択的に、装置ガス流及び呼気O2分率について可変酸素分率を使用する場合、
【数5】
である。
【0034】
任意選択的に、一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QE(t)dt (42)
のように定義され得る。
【0035】
別の態様では、本発明は、患者の、呼吸支援を受けているときの吐出し中の呼吸パラメータを決定する方法であって、流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、口及び/又は鼻を通る装置ガス流の体積割合を決定することと、呼気ガス流量を、装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流出流のガスパラメータ、装置ガス流の体積割合、呼気ガス流パラメータであって、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、装置ガス流の経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータの1つ又は複数を使用して決定することと、呼気ガス流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することとを含む方法を含むと言うことができる。
【0036】
任意選択的に、呼吸パラメータは、一回換気量、毎分換気量、呼吸数、無呼吸、気道開存性及び/又はピーク流量の1つ又は複数である。
【0037】
任意選択的に、ガス割合は、ガス分率及び/又はガス分圧である。
【0038】
任意選択的に、複合ガス流出流は、漏出ガス流及び呼気ガス流を含む。
【0039】
任意選択的に、複合ガス流出流パラメータは、口におけるセンサで測定されたガス割合である。
【0040】
任意選択的に、ガスは、O2、CO2、N2又はトレーサーガスの1つ又は複数である。
【0041】
任意選択的に、方法は、装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流出流のガス割合、呼気ガス流パラメータの全てを使用して、呼気ガス流の流量を決定することを含む。
【0042】
任意選択的に、流量及びガス割合の1つは、経時変化する。
【0043】
任意選択的に、装置ガス流の流量又はガス割合は、変動する。
【0044】
任意選択的に、流量は、呼吸周波数より高い周波数で変動する。
【0045】
任意選択的に、呼気ガス流パラメータは、呼気ガス流のガス割合である。
【0046】
任意選択的に、口及び/又は鼻を通る装置ガス流の体積割合を決定することは、口を通る装置ガス流の体積割合を決定することを含む。
【0047】
任意選択的に、口を通る装置ガス流の体積割合は、0~1の値を有する定数kである。
【0048】
任意選択的に、患者の呼気ガス流の流量QEは、
【数6】
を使用して求められ、式中、
Eは、吐出し流量(患者の呼気ガス流の流量)であり、及び
状態パラメータは、以下の通りである、
kは、口を通して出る装置ガス流11の割合である(及び(1-k)は、鼻を通過する分率である)。それは、0~1の値(両端値を含む)であり、
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、患者からの複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
Eは、呼気患者ガス流13中のガス(例えば、CO2、O2、N2又はトレーサーガス)の体積分率(吐出しガスの体積分率)である。
【0049】
任意選択的に、装置ガス流及び呼気O2分率について可変流量を使用する場合、
【数7】
である。
【0050】
任意選択的に、装置ガス流及び呼気CO2分率について可変流量を使用する場合、
【数8】
である。
【0051】
任意選択的に、装置ガス流及び呼気O2分率について可変酸素分率を使用する場合、
【数9】
である。
【0052】
任意選択的に、一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QE(t)dt (42)
のように定義され得る。
【0053】
別の態様では、本発明は、患者の、呼吸支援を受けているときの吐出し中の呼吸パラメータを決定する方法であって、流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、呼気ガス流量を、装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流出流のガスパラメータ、呼気ガス流パラメータであって、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、装置ガス流の経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータの1つ又は複数を使用して決定することと、呼気ガス流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することとを含む方法を含むと言うことができる。
【0054】
任意選択的に、方法は、口及び/又は鼻を通る装置ガス流の体積割合を決定することをさらに含み、呼気ガス流パラメータは、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合と、口及び/又は鼻を通る装置ガス流の割合とを使用して決定される。
【0055】
別の態様では、本発明は、呼吸支援を受けているときに患者の呼吸パラメータを決定する方法であって、患者が吸入しているか又は吐き出しているか、及び口が開いているか又は閉じられているかを任意の順序で決定することと、口が閉じられている場合、吸入中、上記の1つ又は複数の記述に従って呼吸パラメータを決定することと、吐出し中、上記の1つ又は複数の記述に従って呼吸パラメータを決定することと、口が開いている場合、吐出し中、請求項32~49、50、51のいずれか一項に従って呼吸パラメータを決定することとを含む方法を含むと言うことができる。
【0056】
別の態様では、本発明は、呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための呼吸支援装置であって、流れ発生器、患者の口及び/又は鼻に配置された1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサのための入力部、請求項1~52のいずれかに記載の方法を実施するように構成されたコントローラを含む呼吸支援装置を含むと言うことができる。
【0057】
任意選択的に、装置は、加湿器をさらに含む。
【0058】
任意選択的に、装置は、さらに、非シール式インターフェースを有するか又はそれに接続する。
【0059】
別の態様では、本発明は、患者の、呼吸支援を受けており、且つその口が閉じられているときの吸入中の呼吸パラメータを決定する方法であって、
流量及びガス割合を有する非治療的な装置ガス流を患者に提供することと、
患者への複合ガス流入流のガス割合を測定することと、
複合ガス流入流の流量を、
装置ガス流のガス割合、
装置ガス流の流量、
複合ガス流入流のガス割合、
周囲ガス割合
の1つ又は複数を使用して決定することと、
複合ガス流入流の流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を含む方法を含むと言うことができる。
【0060】
別の態様では、本発明は、患者の、呼吸支援を受けており、且つその口が閉じられているときの吐出し中の呼吸パラメータを決定する方法であって、
流量及びガス割合を有する非治療的な装置ガス流を患者に提出することと、
患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
呼気ガスの流量を、
装置ガス流のガス分率、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流パラメータ、
呼気ガス流パラメータであって、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
呼気ガスの流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を含む方法を含むと言うことができる。
【0061】
別の態様では、本発明は、患者の、呼吸支援を受けているときの吐出し中の呼吸パラメータを決定する方法であって、
流量及びガス割合を有する非治療的な装置ガス流を患者に提供することと、
患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
口及び/又は鼻を通る装置ガス流の割合を決定することと、
呼気ガス流量を、
装置ガス流の酸素分率、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流パラメータ、
ガス流の体積割合、
呼気ガス流パラメータであって、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
呼気ガスの流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を含む方法を含むと言うことができる。
【0062】
別の態様では、本発明は、呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための装置であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供するための流れ発生器、
患者の口及び/又は鼻に配置された1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサの入力部、
コントローラであって、患者が吸入しており、且つ口が閉じられているとき、
患者への複合ガス流入流のガス割合を測定することと、
複合ガス流入流の流量を、
装置ガス流のガス割合、
装置ガス流の流量、
複合ガス流入流のガス割合、
周囲ガス割合、
の1つ又は複数を使用して決定することと、
複合ガス流入流の流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を行うように構成されたコントローラ
を含む装置を含むと言うことができる。
【0063】
呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための装置であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供するための流れ発生器、
患者の口及び/又は鼻に配置された1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサの入力部、
コントローラであって、患者が吐き出しており、且つ口が閉じられているとき、
患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
呼気ガスの流量を、
装置ガス流のガス分率、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流パラメータ
呼気ガス流パラメータであって、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
呼気ガスの流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を行うように構成されたコントローラ
を含む装置である。
【0064】
別の態様では、本発明は、呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための装置であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に供給するための流れ発生器、
患者の口及び/又は鼻に配置された1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサの入力部、
コントローラであって、患者が吐き出しており、且つ口が開いているとき、
患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
口及び/又は鼻を通る装置ガス流の割合を決定することと、
呼気ガスの流量を、
装置ガス流の酸素分率、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流パラメータ、
ガス流の体積割合、
呼気ガス流パラメータであって、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
呼気ガスの流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を行うように構成されたコントローラ
を含む装置を含むと言うことができる。
【0065】
別の態様では、本発明は、呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための装置であって、
流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に供給するための流れ発生器、
患者の口及び/又は鼻に配置された1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサの入力部、
コントローラであって、患者が吐き出しているとき、
患者からの複合ガス流出流中に存在するガスのパラメータを測定することと、
呼気ガスの流量を、
装置ガス流のガス分率、
装置ガス流の流量、
複合ガス流出流パラメータ、
呼気ガス流パラメータであって、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータと、経時変化する流量又はガス割合とを使用して決定される呼気ガス流パラメータ
の1つ又は複数を使用して決定することと、
呼気ガスの流量から、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定することと
を行うように構成されたコントローラ
を含む装置を含むと言うことができる。
【0066】
任意選択的に、コントローラは、口及び/又は鼻を通る装置ガス流の割合を決定するようにさらに構成され、呼気ガス流パラメータは、複合ガス流出流中に存在するガスの測定されたパラメータ、経時変化する流量又はガス割合並びに口及び/又は鼻を通る装置ガス流の割合を使用して決定される。
【0067】
任意選択的に、本装置は、加湿器を有する。
【0068】
任意選択的に、本装置は、非シール式インターフェースを有するか又はそれに接続する。
【0069】
別の態様では、本発明は、患者の、呼吸支援を受けており、且つその口が閉じられているときの吸入中の呼吸パラメータを決定する方法であって、流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供することと、患者への複合ガス流入流のガス割合を測定することと、複合ガス流入流の流量を、装置ガス流のガス割合、装置ガス流の流量、複合ガス流入流のガス割合、周囲ガス割合の1つ又は複数を使用して決定することとを含み、装置流の流量は、少なくとも一時的に患者吸入要求流量を下回る、経時変化する流量である、方法を含むと言うことができる。
【0070】
任意選択的に、患者への複合ガス流入流のガス割合を測定するとき、経時変化する流量は、患者の吸入要求量を下回る。
【0071】
任意選択的に、経時変化する流量は、変動流量である。
【0072】
任意選択的に、複合ガス流入流の流量は、吸入要求流量を示す。
【0073】
別の態様では、本発明は、呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための装置であって、流れ発生器、患者の口及び/又は鼻に配置された1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサのための入力部、上記段落のいずれかの方法を実施するように構成されたコントローラを含む装置を含むと言うことができる。
【0074】
任意選択的に、本装置は、加湿器をさらに含む。
【0075】
任意選択的に、本装置は、非シール式インターフェースを有するか又はそれに接続する。
【0076】
別の態様では、本発明は、呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための装置であって、流れ発生器、患者の口及び/又は鼻に配置された1つ若しくは複数のセンサ又は1つ若しくは複数のセンサのための入力部、コントローラであって、経時変化する流量及びガス割合を有する装置ガス流を患者に提供するように流れ発生器を制御し、標的ガスセンサから標的ガス入力を受信し、且つ標的ガス入力、経時変化する流量、ガス割合に基づいて吸入要求流量を決定するように構成されたコントローラを含む装置を含むと言うことができる。
【0077】
任意選択的に、本装置は、装置ガス流を加湿する加湿器をさらに含む。
【0078】
任意選択的に、本装置は、非シール式患者インターフェースをさらに含む。
【0079】
任意選択的に、標的ガス入力は、標的ガスパラメータに関する。
【0080】
任意選択的に、標的ガスは、酸素であり、
標的ガスパラメータは、FiO2であり、及び/又は
標的ガスセンサは、O2分率センサである。
【0081】
任意選択的に、装置流の流量は、少なくとも一時的に患者の吸入要求流量を下回る、経時変化する流量である。
【0082】
任意選択的に、コントローラは、患者の呼吸フェーズを示す入力を受信し、吸入フェーズを示す。
【0083】
任意選択的に、コントローラは、吸入流量に基づいて一回換気量を計算する。
【0084】
本明細書に開示される数値の範囲(例えば、1~10)への言及は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)及びまたその範囲内の任意の有理数の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)への言及も組み込むことを意図し、したがって、本明細書に明示的に開示される全ての範囲の全ての部分範囲は、これにより明示的に開示される。これらは、具体的に意図されたものの例に過ぎず、列挙された最低値と最高値との間の数値の可能な組み合わせの全てが本願で同様に明示されたものとみなされる。
【0085】
本明細書で使用される「含んでいる」という用語は、「少なくとも部分的に~からなる」を意味する。本明細書で「含んでいる」という用語を含む各記述を解釈する場合、その用語で前置きされるもの以外の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの関連用語も同様に解釈される。文脈が明らかにそうでないことを要求しない限り、本記載及び特許請求の範囲全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包含的な意味において、すなわち「含むが、限定されない」の意味で解釈されるものとする。
【0086】
「コンピュータ可読媒体」という語句は、単一の媒体又は複数の媒体を含むものと解釈されるべきである。複数の媒体の例には、集中型又は分散型のデータベース及び/又は関連するキャッシュが含まれる。これらの複数の媒体は、コンピュータ実行可能命令の1つ以上のセットを記憶する。「コンピュータ可読媒体」という語句は、コンピューティングデバイスのプロセッサによる実行のための命令セットを記憶、符号化又は担持することが可能であり、プロセッサに、本明細書に記載される方法のいずれか1つ以上を実行させる任意の媒体を含むとも解釈されるべきである。コンピュータ可読媒体は、これらの命令セットによって使用されるか又はそれに関連するデータ構造を記憶、符号化又は担持することも可能である。「コンピュータ可読媒体」という語句には、ソリッドステートメモリ、光学媒体及び磁気媒体が含まれる。
【0087】
本明細書では、特許明細書、他の外部文献又は他の情報源を参照する場合、これは、一般に、本開示の特徴を考察するための文脈を提供する目的のためのものである。特に断りのない限り、かかる外部文献への言及は、いかなる法域においても、かかる文献又はかかる情報源が先行技術であること又は当技術分野における一般的な知識の一部を形成することを認めるものと解釈されるものではない。
【0088】
本発明は、本願明細書で言及又は示された部分、要素及び特徴を個々に又は集合的に前記部分、要素又は特徴の2つ以上の任意の又は全ての組み合わせにおいて含むと広く言うこともできる。前述の記載では、既知の均等物を有する整数又は構成要素に言及する場合、それらの整数は、個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0089】
本発明が関連する技術分野の当業者には、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構造における多くの変更形態並びに広く異なる実施形態及び用途が示唆されるであろう。本明細書における本開示及び記載は、純粋に例示的なものであり、いかなる意味でも限定的であることを意図しない。本明細書では、本発明が関連する技術分野で公知の均等物を有する特定の整数が記載される場合、そのような公知の均等物は、個々に記載されるかのように本明細書に組み込まれるものとみなされる。本発明は、前述のものを含み、以下にその例のみを示す構成も想定する。
【0090】
定義
患者ガス流:これは、患者に流入するガス流(吸入中 - 患者吸入ガス流)又は患者から流出するガス流(吐出し中 - 患者吐出しガス流)であり得る。
- 吸入要求量が満たされない吸入の場合、それは、装置ガス流11及び周囲ガス流16(同伴空気)を含む複合ガス流入流17(患者吸入ガス流、又は吸入ガス流、又は合計ガス流入流とも呼ばれる);すなわち患者によって吸入されるガス流)である。場合により、周囲空気の同伴がない場合もある。複合ガス流入流は、ガス分率Fmを有する。O2の場合、ガス分率は、FiO2である。センサが吸気中にO2分率を測定する場合、センサは、複合ガス流入流のFiO2/O2分率を測定する(すなわち、Fmは、FiO2/O2分率である)。
- 吸入要求量が満たされる吸入の場合、周囲ガス流16が同伴されない場合があるため、それは、装置ガス流11であり得る。
- 装置ガス流11が吸入要求量を超える吸入の場合、(吸入要求量を超える)過剰な装置ガス流が周囲に逃げ得るため、それは、装置ガス流11の一部であり得る。
- 装置ガス流11は、様々な時点で吸入要求量を満たすか、満たさないか又は超えるかの間で変化し得るため、簡単にするために、「複合ガス流入流」は、上記の状況のいずれかを指し得るが、吸入要求量が満たされるか、満たされないか又は超えるかに応じて、複合ガス流17は、周囲ガス流16を含むことも、周囲ガス流16を含まないことも又は全ての装置ガス流11を含まないこともある。
- 吐出しの場合、それは、呼気ガス流13(患者吐出しガス流とも呼ばれ;すなわち患者によって吐き出されるガス流)である。
【0091】
装置ガス流11:呼吸装置からのガス流。
【0092】
周囲ガス流16:これは、患者の気道に同伴される周囲空気である。
【0093】
複合ガス流入流17:患者ガス流の定義で言及した通り、
吸入要求量が満たされない場合、これは、吸い込まれる装置ガス流11及び周囲ガス流16(同伴空気)を合わせたものである。
吸入要求量が満たされ、同伴がない可能性がある場合、複合ガス流入流17は、装置ガス流11である。
装置ガス流が吸入要求量を上回る場合、複合ガス流入流17は、装置ガス流11の一部である。
複合ガス流入流17は、「合計患者ガス流入流」又は「合計吸気ガス流」と呼ぶこともできる。
【0094】
呼気ガス流13:これは、患者によって吐出されたガスであり、すなわち、これは、吐出し中に患者の気道から出るガスである。
【0095】
漏出ガス流12:これは、吸い込まれず且つ/又は患者によって患者の下気道に入らず、口及び/又は鼻を介して周囲に逃げる、装置ガス流11からの余剰ガス流を含む。
【0096】
複合ガス流出流15(「合計ガス流出流」とも呼ばれる):これは、漏出ガス流12と呼気ガス流13とを組み合わせたものである。
【0097】
全てのガス流は、例えば、流量及び/又はガス割合などのパラメータを有し得る。割合は、ガス分率/濃度及び/又はガス分圧であり得る。パラメータは、経時変化し得る。
【0098】
瞬時流量又は瞬時ガス分率などの瞬時パラメータへの言及は、ある時間のインスタンスにおけるガス流中のそのパラメータの値を指す。
【0099】
状態パラメータ:これは、装置、ガス流、患者などの状態を示すパラメータであり、以下などであるが、限定されない:
a)口の状態、これは、開/閉の2値であり得るか、又は鼻に対して口から出る装置ガス流からのガス流の割合(例えば、体積割合)を示す何らかのパラメータであり得る。例えば、k、
b)呼吸装置からのガス流の流量。例えば、QO
c)呼吸装置からのガス流のガス分率(等価ガス割合も含む)。例えば、O2分率、ただし適切な場合には任意の他のガス割合、例えばN2又はトレーサーガスFOであり得、ただし適切な場合には任意の他のガス割合、例えばN2又はトレーサーガスであり得る。
d)患者に流入又は流出するガス流のガス分率(吸気又は呼気で測定されるかどうかに依存する)。例えば、O2分率Fm、ただし適切な場合には任意の他のガス割合、例えばCO2、N2又はトレーサーガスであり得る。
e)患者による呼気ガス流のガス分率。FEは、適切な場合には任意のガス割合、例えばO2、CO2、N2又はトレーサーガスであり得る。
f)同伴(周囲)ガスのガス分率及び流量。Qent、Fent(本明細書で交換可能に使用されるFentrainedとも呼び得ることに留意されたい)。ただし、適切な場合には任意のガス割合、例えばO2、CO2、N2又はトレーサーガスであり得る。
g)以下である患者ガス流の流量(これは、状態パラメータであると同時に呼吸パラメータであり得る):
a.呼気ガス流13(すなわち患者が吐き出したガス流)の流量QE、及び/又は
b.複合ガス流入流17(すなわち患者が吸入した複合ガス流)の流量Qtot。QTOTは、患者の吸入要求流量も示すことに留意されたい。
【0100】
上記では、ガス分率は、O2、CO2又は他のガス分率であり得る。ガス分率の代わりにガス分圧を使用することも可能であり、これは、本明細書を通して交換可能であると当業者に理解されるであろう。すなわち、ガス分率への言及は、ガス分圧への言及であり得る。
【0101】
呼吸パラメータ:これは、呼吸の状態を示すパラメータであり、以下などであるが、限定されない。
- 一回換気量:呼吸サイクルごとに肺に出入りする空気の量であり、通常、ml単位で測定される。
- 毎分換気量:1分当たり呼吸される空気の量であり、通常、リットル単位で測定される。
- 呼吸数:呼吸が生じるペースであり、通常、1分当たりの呼吸で測定される。
- 無呼吸:一時的であり得る呼吸の停止。
- 気道開存性。
- ピーク流量。
【0102】
状態パラメータは、呼吸パラメータを決定するために使用される。状態パラメータと呼吸パラメータとの間にクロスオーバーがあり得る。
【0103】
本明細書では、「呼気」への言及は、「吐出し」と交換可能に使用することができる。
【0104】
本明細書では、ガスに関連する「割合」への言及は、2種以上の構成ガス成分を含む合計ガス中の構成ガス成分の任意の相対的尺度を指す。例えば、割合は、以下を包含し得る:
- 体積分率、
- 分率、
- 体積濃度、
- 濃度、
- モル比、
- 分圧。
【0105】
測定される割合は、濃度、分率、分圧又はその他のいずれであれ、使用されるセンサによって測定されるパラメータであり得る。決定される割合は、ユーザが希望するパラメータ及び/若しくは呼吸システムの構成要素によって処理されるパラメータ又は呼吸システムに関連するパラメータであり得る。
【0106】
本明細書では、「濃度」への言及は、「分率」とも呼ぶことができ、呼気ガス流、装置流又は任意の他の流れのいずれであれ、対象のガス流全体における構成ガスの体積に対する対象のガスの体積基準のパーセンテージとして示すことができる。しかしながら、パラメータは、別の尺度であり得、ガスは、別のものであり得、これらは、例に過ぎない。
【0107】
決定されるガスパラメータに関連するガスは、限定されるものではないが、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N)、ヘリウム(He)又はセボフルランであり得る。本明細書で特定のガスに言及する場合、それは、例示に過ぎず、本記載は言及されたガスだけでなく、あらゆるガスに適用できることが理解されるであろう。
【0108】
本明細書では、「高流量」とは、限定するものではないが、健康な患者の通常の吸入流量より高いなど、一般/通常より高い流量のガス流を意味する。これは、例えば、非シール式プロングなどの非シール式患者インターフェースに起因して患者の気道の入口で起こる、制御不能であり、多くの場合に実質的な漏れを伴う非シール式呼吸システムによって提供され得る。患者の快適性、コンプライアンス、安全性を向上させるために加湿機能を持たせることもできる。代替的又は追加的に、それは、状況に関連する他の閾値流量より高い場合がある - 例えば、吸入要求量(例えば、瞬間吸入要求量又はピーク吸入要求量 - これは、呼吸支援を受ける患者の吸入要求量又は例えば経験的データに基づく患者の代表的なものなどの代表的な吸入要求量であり得る)を満たす流量で患者にガス流を提供する場合、その流量は、他の方法で提供され得る公称流量より高いため、「高流量」とみなされ得る。したがって、「高流量」は、状況に依存し、「高流量」を構成するものは、患者の健康状態、提供される処置/治療/支援の種類、患者の性質(大きい、小さい、大人子供)等などの多くの要因に依存する。当業者であれば、「大流量」を構成するものを状況から知っている。それは、他の方法で提供され得る流量を超える流量の大きさである。
【0109】
しかし、限定するものではないが、高流量のいくつかの指標値は、以下の通りであり得る。
- いくつかの構成では、毎分約5リットル又は約10リットル(5又は10LPM又はL/分)以上の流量での患者へのガスの送達。
- いくつかの構成では、約5又は10LPM~約150LPM、又は約15LPM~約95LPM、又は約20LPM~約90LPM、又は約25LPM~約85LPM、又は約30LPM~約80LPM、又は約35LPM~約75LPM、又は約40LPM~約70LPM、又は約45LPM~約65LPM、又は約50LPM~約60LPMの流量での患者へのガスの送達。例えば、本明細書に記載されるそれらの様々な実施形態及び構成によれば、システムを介して又は流れ供給源からインターフェースに供給又は提供されるガスの流量は、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150LPM又はそれを超える流れを含み得るが、これらに限定されず、有用な範囲は、これらの値のいずれかに選択され得る(例えば、約20LPM~約90LPM、約40LPM~約70LPM、約40LPM~約80LPM、約50LPM~約80LPM、約60LPM~約80LPM、約70LPM~約100LPM、約70LPM~約80LPM)。
【0110】
「高流量」では、送達されるガスは、例えば、処置/治療/支援の意図される用途に応じて選択される。送達されるガスは、酸素のパーセンテージを含み得る。いくつかの構成では、送達されるガス中の酸素のパーセンテージは、約15%~約100%、約20%~約100%、又は約21%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は100%であり得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、送達されるガスは、二酸化炭素のパーセンテージを含み得る。いくつかの構成では、送達されるガス中の二酸化炭素のパーセンテージは、0%超、約0.3%~約100%、約1%~約100%、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、又は約30%~約100%、又は約40%~約100%、又は約50%~約100%、又は約60%~約100%、又は約70%~約100%、又は約80%~約100%、又は約90%~約100%、又は約100%、又は約100%であり得る。
【0112】
未熟児/乳児/小児(体重が約1~約30kgの範囲にある)のための「高流量」の流量は、異なり得る。治療的流量は、0.4~0.8L/分/kg、最小約0.5L/分、最大約70L/分に設定され得る。2kg未満の患者に対して、最大流れは、8L/分に設定される。
【0113】
変動流は、0.05~2L/分/kgに設定され、好ましい範囲は、0.1~1L/分/kgであり、別の好ましい範囲は、0.2~0.8L/分/kgである。
【0114】
治療的流量は、経時変化(例えば、変動)し得る - すなわち、治療的流量は、経時変化(例えば、変動)する流量成分を有し得る。この経時変化する流量は、呼吸支援に役立ち得る。
【0115】
本明細書の実施形態は、経時変化(例えば、変動)し、治療的流量に追加され得るシグネチャー流量も有することに留意されたい。したがって、治療的な経時変化する流量が使用される場合、装置からのガス流量は、治療的な経時変化するガス流量成分(部分)と、経時変化するシグネチャー流量成分(部分)とを有する。治療的な経時変化する流量は、経時変化するシグネチャー流量と異なる目的を有し、異なる周波数及び/又は振幅であり得る(ただし、これらは、重複しているか又は同じであり得る)。シグネチャー流量は、治療的流量より低いか、同じであるか又は高い場合がある。シグネチャー流量の周波数は、治療的流量の周波数より低いか、同じであるか又は高い場合がある(経時変化する場合)。いくつかの実施形態では、シグネチャー流量は、治療的流量より高い周波数を有する。治療的な(一定の又は経時変化する)流量は、呼吸支援、気道確保、酸素化などを提供するものであるのに対して、経時変化するシグネチャー流量は、ガスパラメータの決定を補助するものである。経時変化するシグネチャー流量について後に詳述する。本明細書を通して、特に断りのない限り、経時変化するシグネチャー流量に焦点を当てるが、治療上の理由から治療的な経時変化する流量も存在する可能性を排除するものではない。
【0116】
一例として、シグネチャー流量は、第1の流量と第2の流量との間で段階的に変化し得、その一方又は両方は、約0LPM~70LPMの範囲に入り得る。最大シグネチャー流量は、治療的流量であり得る。シグネチャー流量は、治療的流量と組み合わされる(例えば、加算される)か、治療的流量の一部若しくは全部を形成し得、すなわち治療的流量自体がシグネチャー流量であり得る。いくつかの実施形態では、シグネチャー流量は、パーセンテージとして治療的流量に関連し得る。例えば、経時変化するシグネチャー流量(成人)は、以下の範囲:
- 治療的流量の約0%~約200%、
- 治療的流量の約0%~100%、
- 治療的流量の約100%~200%、若しくは
- 治療的流量の約50%~150%
にあり、且つ/又は以下の範囲:
- 約0~140LPM、
- 約0~70LPM、
- 約70~140LPM、
- 約40~100LPM、若しくは
- 約20~60LPM
にある。
【0117】
これらは、制限流量ではなく、シグネチャー流量は、マイナスになり得るが、治療的流量と組み合わせるとプラスの合計流量になり得ることにも留意されたい。
【0118】
高流量は、患者の正常な実質吸入流量を満たすか又はそれを超えることで患者の酸素化を促進し、且つ/又は呼吸の動作を軽減するのに有効であることが判明している。さらに、高流量は、上気道の解剖学的死腔が高流入ガス流によって洗い流されるように、上咽頭にフラッシング効果を生じさせ得る。これにより、二酸化炭素、窒素等の再呼吸を最小限に抑えながら、各呼吸で利用可能な新鮮なガスの貯蔵庫が形成される。
【0119】
以下の図面を参照して実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1A】装置ガス流の提供並びに発生する患者及び装置ガス流、流量及びガス分率を示す。
図1B】呼吸支援装置の一般的な実施形態の図を示す。
図2】呼吸パラメータを決定する方法の概要のフロー図を示す。
図3】呼吸パラメータを決定する方法の異なる例のフロー図を示す。
図4】呼吸パラメータを決定する方法の異なる例のフロー図を示す。
図5】呼吸パラメータを決定する方法の異なる例のフロー図を示す。
図6】呼吸パラメータを決定する複合的な方法のフロー図を示す。
図7】呼吸パラメータを決定する複合的な方法の特定の例のフロー図を示す。
図8】呼吸支援を提供し、且つ呼吸パラメータを決定するための方法の1つ又は複数を実施するための装置の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0121】
1.概説
本実施形態は、呼吸支援を受けている患者の1つ又は複数の呼吸パラメータを決定するための方法及び/又は装置に関し、呼吸パラメータは、以下を含むが、これらに限定されない:
- 患者ガス流の流量
- 一回換気量
- 毎分換気量 - 一回換気量は、毎分換気量が計算される1分間内の各呼吸について決定することができる。
- 呼吸数 - 例えば、計算された一回換気量/流量に基づくピークツーピーク検出、例えば1分間当たりの呼吸数の回転数。呼吸数は(ピークの代わりに)ゼロ交差法で測定することもできる。
- 無呼吸 - 患者が呼吸していない場合、患者からの寄与又は同伴に起因する測定ガス濃度の変化がない場合がある。したがって、無呼吸の場合、センサは、常に送達されたガス流のみを測定し得る。
- 気道開存性 - 気道開存性の判定。
○1つの技法は、高流量システムからの口元における流れ及び/又は酸素変動を監視することである。それを確認できる場合、
・高流量が適切な位置にあること、
・鼻腔が開放していること
を認識することができる。
○変動が鼻で与えられているものと一致しない場合(すなわち変動が変調されている場合)、以下を結論付けることができる:
・患者が呼吸していること、及び
・下気道が開放していること。
○これは、以下を確認するためにFeCO2の測定と組み合わせることができる:
・患者が呼吸していること、及び
・下気道が開放していること。
- ピーク流量。
【0122】
図1A図1B及び図2を参照すると、患者が、流量及び酸素分率(これらの一方又は両方は、一定(すなわち設定された流量及び/又はO2分率)であるか又は変化し得る)を有するガス流の形態で呼吸装置から呼吸支援を受ける状況では、方法(図2)及び/又は装置(図1A、1B)は、以下の情報(状態パラメータ)の組み合わせを用いて呼吸パラメータの1つ又は複数を決定する、
a)口の状態(開/閉の二値であり得る)又は鼻に対して口から出る装置ガス流からのガス流の割合(例えば、体積割合)を示す何らかのパラメータ。例えば、k。
b)呼吸装置からのガス流の流量。例えば、QO
c)呼吸装置からのガス流のガス分率(等価ガス割合を含む)。例えば、O2分率、ただし適切な場合には他のガス割合であり得、例えばN2又はトレーサーガスFO、ただし適切な場合には他のガス割合であり得、例えばN2又はトレーサーガス。
d)患者に入る又は患者から出るガス流のガス分率(吸気又は呼気で測定されるかどうかに依存する)。例えば、O2分率Fm、ただし適切な場合には他のガス割合であり得、例えばCO2、N2又はトレーサーガス。
e)患者による呼気ガス流のガス分率。FEは、適切な場合にはいずれかのガス割合であり得、例えばO2、CO2、N2又はトレーサーガス。
f)同伴(周囲)ガスのガス分率及び流量。Qent、Fent(本明細書で交換可能に使用されるFentrainedとも呼び得ることに留意されたい)。ただし、適切な場合にはいずれかのガス割合であり得、例えばO2、CO2、N2又はトレーサーガス。
g)患者ガス流の流量(これは、呼吸パラメータであると同時に状態パラメータであり得る):
a.呼気ガス流13(すなわち患者が吐いたガス流)の流量QE、及び/又は
b.複合ガス流入流17(すなわち患者が吸入した複合ガス流)の流量Qtot。QTOTは、患者の吸入要求流量も示すことに留意されたい。
【0123】
上記では、ガス分率は、O2、CO2、N2又は他のガス分率(又はより一般的にはガス割合であり、ここで、割合は、分率と均等であると理解される)であり得る。例えば、ガス分率の代わりに分圧を使用することも可能であり、これは、本明細書を通して交換可能なものとして当業者に理解されるであろう。
【0124】
上記は、既知であるか、測定されるか、他の状態パラメータの1つ又は複数から計算されるか又は他の方法で決定され得る。
【0125】
一般的な用語では(図2を参照されたい)、一例では、状態パラメータg)(患者ガス流の流量 - 患者により吐き出されるガスの流量又は患者によって吸入されるガスの流量のいずれか)は、1つ又は複数の状態パラメータa)~f)の組み合わせから計算される。次に、患者ガス流の流量(QTOT又はQEのいずれか)は、一回換気量(呼吸パラメータ)を得るために、吸入又は吐出しの1サイクルにわたって積分される。患者ガス流の流量は、状態パラメータであるだけでなく、それ自体の結果(すなわち呼吸パラメータ)でもあり得る。その場合、さらなる呼吸パラメータは、QE/QTOTから導出されない場合があり、むしろ、それらは、必要な呼吸パラメータとなる。
【0126】
より一般的には、本方法は、図2に示されており、この方法では、呼吸装置からのガス流は、ある流量及び酸素分率(又は他のガス割合)(その一方又は両方は、経時変化し得る)で患者に提供される(ステップ21)。1つ又は複数の状態パラメータは、既知であるか、測定されるか若しくは計算されるか又は他の方法で決定される(ステップ22)。患者の患者ガス流の流量が状態パラメータから決定され(ステップ23)、次に呼吸パラメータの1つが計算される(ステップ24)。
【0127】
次に、図1A、1Bを参照して、本方法を装置で実施する概要を記載する。例として、高流量呼吸装置10を、例えば図1A及び1Bを参照して記載する。高流量呼吸装置は、例として使用されているに過ぎず、本明細書における実施形態は、低流量又は任意の他のタイプの適切な呼吸装置で機能し得ることに留意されたい。本明細書における高流量呼吸装置及び関連パラメータへの言及は、例示的なものであり、本実施形態がどのような呼吸支援と共に使用され得るかについて限定的であると考えられるべきではない。一般的な用語では、本装置は、モータ/インペラ配置(又は代替的に他の流れ/変調器供給源及び/又は弁)の形態であり得る流れ発生器50と、任意選択的な加湿器52と、コントローラ19と、ユーザI/Oインターフェース54(例えば、ディスプレイ及びボタン、タッチスクリーン等などの入力装置を含む)とを含むメインハウジング10を含む。本装置は、有線、無線又はそれらの組み合わせのいずれかであるか、或いはデータ若しくは通信リンク又はデータネットワークを介して1つ又は複数の外部装置又はサーバとのデータ通信又は接続を可能にする1つ又は複数の通信モジュール59を含み得る。例えば、1つの構成では、装置10は、コントローラ19が動作センサから無線方式でデータ信号を受信すること及び/又はシステム10の様々な構成要素を制御することを可能にするために、無線データ送信機及び/若しくは受信機又はトランシーバ59を含み得る。コントローラ19は、患者に送達するためのガスの流れ(ガス流)を生成するために流れ発生器を操作すること、生成されたガス流を加湿及び/又は加熱するために加湿器(存在する場合)を操作すること、装置の再構成及び/又はユーザ定義の動作のためにユーザインターフェースからユーザ入力を受信すること、ユーザに情報を(例えば、ディスプレイ上に)出力すること並びに通信モジュール59を介して遠隔装置69に情報を送信及び/又は受信することを含めて、装置の構成要素を制御するように構成又はプログラムされる。ユーザは、患者、医療従事者又は本装置の使用に関心のある他の人物であり得る。患者呼吸導管58は、呼吸装置のハウジング内のガス流出力部に結合され、マニホールド及び鼻プロングを有する(例えば、非シール式の)鼻カニューレなど、(例えば、非シール式の)患者インターフェース51に結合される。患者呼吸導管は、患者まで通過するガス流を加熱するためのヒータワイヤ5を有し得る。
【0128】
高流量は、酸素及び/又は他のガスの送達を通して且つ患者の気道からのCO2の除去を通して、ガス交換及び/又は呼吸支援を促進する手段として使用され得る。高流量は、医療処置前、その間又はその後に特に有用であり得る。
【0129】
高ガス流量のさらなる利点は、高ガス流量が患者の気道内の圧力を上昇させ、それにより気道、気管、肺/肺胞及び気管支を開放する圧力支持を提供することを含み得る。これらの構造が開放することにより、酸素化が促進され、CO2の除去がある程度補助される。
【0130】
圧力の上昇により、挿管中に喉頭などの構造が声帯の視界を遮ることも防ぎ得る。加湿すると、高ガス流量は、気道の乾燥を防ぎ、粘膜の損傷を緩和し、喉頭痙攣のリスク及び鼻出血、誤嚥(鼻出血の結果として)、気道閉塞、腫脹、出血など、気道の乾燥に関連するリスクを軽減することもできる。高ガス流量の別の利点は、手術中に気道内に発生した煙を除去できることである。例えば、煙は、レーザ及び/又は焼灼装置によって生じ得る。
【0131】
図1Aを参照すると、本実施形態は、治療(呼吸支援)を提供するために患者が呼吸装置10からガス流(高流量治療用であるが、これに限定されない高ガス流など)を提供される任意の好適な状況で使用することができる。装置10は、装置ガス流11を提供する。この装置ガス流11は、流量QOを有する。この流量は、治療の必要に応じて一定の流量(経時的に変化しない)であるか又は経時変化し得る。装置ガス流は、O2分率FO(一例であるが、他のガス分率であり得、より一般的にガス割合であり得るが、ここでは例示目的で分率を使用する)も有し得る。O2分率は、必要に応じて一定(経時的に変化しない)であるか又は経時変化し得る。このような状況では、患者は、吸入中、装置ガス流11の少なくとも一部を呼吸する。患者は、同伴ガス流16として空気を同伴し得る。同伴ガス流は、流量及びO2分率(Qent、Fent)を有する。合計患者ガス流入流(「複合ガス流入流」又は「合計吸気ガス流」とも呼ばれる)17は、同伴ガス流と装置ガス流11との組み合わせである(吸入要求量が満たされない場合であるが、先に説明したように、吸入要求量が満たされる場合、装置ガス流量11のみの場合があり、吸入要求量を超える場合、装置ガス流量11のごく一部である場合すらある。この点から、その区別は、明示的に言及されていなくとも当業者に理解されるであろう)。同伴がない場合、複合ガス流入流17は、装置ガス流量11である。合計流量は、QTOT=QO+Qentであり、これは、患者の吸入要求流量も示す。組み合わされたO2分率Fm(吸入時FiO2とも呼ばれる)も存在する。
【0132】
患者は、流量QE及びO2分率FEのガス流13を吐出する。これは、口及び/又は鼻から到来し得る。呼気ガス流13は、CO2、O2、窒素、ヘリウム等などの構成ガス成分を有する。呼気ガス流13は、セボフルランなどの麻酔剤も含み得る。
【0133】
「漏出ガス流」12も存在し、これは、吸気されず且つ/又は患者の下部気道に入らず、口及び/若しくは鼻を介して周囲に逃げる、装置ガス流11からの余剰ガス流を含む。
【0134】
「複合ガス流出流」(「合計ガス流出流」とも呼ばれる)15は、漏出ガス流12及び呼気ガス流13を合わせたものである。
【0135】
呼気ガス流13、漏出ガス流12及び結果として生じる複合ガス流15は、口、鼻又は口及び鼻から出ることができる。いくつかのシナリオがある:1)患者の口が開いており、呼気ガス流、漏出ガス流及びその結果生じる複合ガス流が患者の口から主に(完全を含み得る/包含し得る用語)出ている。2)患者の口が開いており、呼気ガス流、漏出ガス流及びその結果生じる複合ガス流が患者の口及び鼻の両方から出ている。3)患者の口が閉じられており、呼気ガス流、漏出ガス流及びその結果生じる複合ガス流が患者の鼻から出ている。
【0136】
複合ガス流出流15を測定する場合、適切なセンサを用いて行うことができる。センサは、適切な任意の場所に配置することができるが、その感知部分(センサ入力)は、口からの流れ、鼻からの流れ又は鼻及び口からの流れのいずれかを測定するように配置され得る。センサの様々な実装が可能であり、センサは、適切な任意の場所に配置することができるが、口及び/又は鼻に対する位置に言及する場合、それは、感知部分(感知入力)が位置決めされている場所の指示である。例えば、サンプリング導管を有するセンサでは、センサ又はセンサの一部が他の場所にある場合でも、サンプリング導管(感知部分)は、口及び/又は鼻の近くにある。センサの他の実装形態も当業者に分かるであろう。センサが専ら口又は鼻からの流れを測定している場合、センサは、複合ガス流出流全体を測定していない場合があり、なぜなら、一部が他のオリフィス(例えば、センサが測定していない方に依存して鼻又は口の他方)からも出ることができるためである。この場合にも、センサ測定は、適切であり、且つ/又は呼気ガス流のガスパラメータを決定するのに十分な複合ガス流出流の測定値を得る。
【0137】
本実施形態は、PCT/IB2021/052062号明細書、米国特許出願第62/989081号明細書(これに基づいてPCT/IB2021/052062号明細書が優先権を主張する)、PCT/IB2021/051587号明細書及び米国特許出願第62/982298号明細書(これに基づいてPCT/IB2021/051587号明細書が優先権を主張する)の方法及び/又は装置を利用するものであり、これらは、全て参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0138】
次に、方法の3つの例示的であるが、非限定的な実施形態を、図3~6を参照してさらに詳細に記載する。このような実施形態は、例えば、図1B又は8の装置で実施することができる。
【0139】
図3を参照すると、一例では、ステップ300~305に見られるように、患者のガス流の吸気部分中、口を閉じた患者から一回換気量及び/又は他の呼吸パラメータを決定することができる。Fmは、測定/決定され、QO、FOは、既知であり、QTOTは、計算され得、そこから一回換気量及び/又は任意の呼吸値が計算又は他の方法で決定され得る。
【0140】
図4を参照すると、一例では、ステップ400~406に見られるように、患者のガス流の呼気部分中、口を閉じた患者から一回換気量及び/又は他の呼吸パラメータを決定することができる。FE、Fmは、測定/決定され、QO、FOは、既知であり、QEは、計算され得、そこから一回換気量及び/又は任意の呼吸値が計算又は他の方法で決定され得る。
【0141】
図5を参照すると、一例では、ステップ400~406、500に見られるように、患者のガス流の呼気部分中、口を開けた患者から一回換気量及び/又は他の呼吸パラメータを決定することができる。K、FE、Fmは、測定/決定され、QO、FOは、既知であり、QEは、計算され得、そこから一回換気量及び/又は任意の呼吸値が計算又は他の方法で決定され得る。
【0142】
上記のいずれかにおいて、患者吸気ガス流流量(QTOT)又は患者呼気ガス流流量(QE)がそれ自体で呼吸パラメータ出力となり、一回換気量又は他の呼吸パラメータについてさらなる計算が行われないことが可能である。すなわち、ステップ305、405、505は、省略され得る。
【0143】
図6は、3つの実施形態がシステムでどのように併用され得るかを示す。それぞれの場合、本方法は、図3~5並びに上記及び下記のより詳細な記載による状態パラメータのいくつかの組み合わせを使用して、患者吸入ガス流流量(QTOT)又は患者吐出しガス流流量(QE)を決定することを含む。さらに、患者吸入ガス流流量又は患者吐出しガス流流量を使用して、1つ又は複数の追加の呼吸パラメータを決定することも含み得る。図7は、より一般的な図6の方法の一例である(他の可能な例もある)、併用される方法の一例を示す。
【0144】
次に、図3~7を参照して実施形態をより詳細に記載する。
【0145】
2.患者の口が閉じられているときの吸入サイクル中の複合ガス流入流量及び/又は他の呼吸パラメータの決定。
図3を参照すると、一実施形態では、状態パラメータの組み合わせから患者の吸入ガス流流量を決定し、そこから任意選択的に呼吸パラメータの1つ又は複数を求める。本実施形態の方法は、患者の吸入中、患者の口が閉じられているときに実施される。患者の口が閉じているかどうかは、人及び/又は装置によって任意の適切な方法で決定することができる。例えば、人が患者を見て、口が閉じていることを確認し、口が閉じている状態を装置に入力し得る。
【0146】
口が閉じられていることは、定数k=0の特別な場合である。kは、0~1の値であり、送達されるガス(装置ガス流11)が口を通る割合である(例えば、一例では、k=0のとき、装置ガス流11は、口から出ない(出ていかない))。この場合のように口が閉じられている場合、装置ガス流11は、口を通らないため、k=0となる。この場合、口は、常に閉じているため、kは、一定である。より一般的な場合、口の「開き具合」が時間と共に変化するため、kは、時間と共に変化し得る。この場合、口及び鼻が開いていることに関する後の実施形態が関係し、kは、tに依存し、すなわちk(t)であり得る。この場合、kは、時間可変定数であり、数式的に定数であるが、時間と共に変化するため、一定の値ではない。口が開いている状況でも、kは、時間に依存しない場合があるため、時間に依存するk及び依存しないkの両方が可能であることに留意されたい。口が閉じられている場合(k=0)、式は、鼻で感知するセンサ14を通して測定されるFmに基づく。
【0147】
定数kについて、口が閉じられていない実施形態に関連してさらに記載する。
【0148】
本方法は、以下に記載されるものなどの装置で実施される。本方法で使用される式の詳細な導出は、以下の導出のセクションに記載される。
【0149】
要約すると、患者の複合ガス流入流(患者の吸入)17の流量QTOTは、
【数10】
を使用して求められ、式中、QTOTは、患者への(合計吸気)患者ガス流入流(複合ガス流入流)17(装置ガス流11及び同伴空気ガス流16)の流量であり、且つ
Tot(t)=Qentrained(t)+Qo(t) (35)
によって定義され、及び
状態パラメータは、以下の通りである:
Oは、装置ガス流11の流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、患者への複合ガス流入流(患者吸入ガス流)中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。これは、吸入中であるため、Fmは、FiO2である。
entrainedは、同伴空気ガス流16中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
【0150】
上記パラメータに言及する際の本明細書におけるO2への言及は、代わりにCO2、N2又は他のトレーサーガスと置き換えることもできることに留意されたい。より一般的には、任意のガスの割合を使用することもできる。
【0151】
TOTが計算されると、QTOTを吸入サイクルにわたって積分することにより、一回換気量(呼吸パラメータ)を求めるために使用することができる。一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QTot(t)dt (38)
のように定義され得る。
【0152】
さらに他の呼吸パラメータを以下のように求めることができる。
- 毎分換気量
- 呼吸数
- 無呼吸
- 気道開存性
- ピーク流量
【0153】
図3のフローチャートを参照して本方法をさらに詳細に記載する。
【0154】
O、FOは、装置/装置ガス流11の既知の動作パラメータである(ステップ304)。同様に、Fentrainedは、周囲空気中の酸素のガス分率であり、既知のもの - 約21%である。すなわち、式37からQTOTを決定するには、FiO2を決定する必要がある。
【0155】
装置ガス流11は、患者インターフェース51を介して患者に向けて呼吸装置10によって生成され、供給される(ステップ300)。患者の吸入サイクル中(ステップ301)、Fm(この場合、吸入中に存在するFiO2)は、適切なセンサ14、例えば酸素分率センサ14によって測定される(ステップ302)。センサ14は、患者の鼻に近接して且つ/又は患者の鼻内に配置することができる。口が開いている場合には口センサが使用されるが、口が閉じられている場合(本例)には鼻センサが使用され、これについて実施形態に関連して後にさらに説明する。例えば、酸素分率センサ14は、装置ガス流11を提供するカニューレ51に設けることができる。酸素センサは、患者の気道に入る(吸入される)患者ガス流17の酸素分率Fmを測定する。測定値は、吸入サイクル中、経時的に時間間隔をおいて(例えば、連続的に又は少なくとも定期的/離散的に)取得することができる。例えば、測定値は、Fm(t)、Fm(t+△t)等(すなわち時間t及びそれ以降の時間)で取得することができる。これにより、既知である(ステップ304)QO、FO、Fentrainedと共に複数の測定値が提供され(ステップ302)、この結果、式37を用いてそれらの時間間隔で計算された対応するQTOT(t)、QTOT(t+△t)等の値を得ることができる(ステップ303)。これにより、QTOT(t)の時間依存系列が得られ、これを積分して式38を用いて一回換気量を得ることができる(ステップ305)。呼吸数もQTOT(t)の時間依存系列から決定することができ、毎分量は、呼吸数及び一回換気量の知識から決定することができる。
【0156】
式37を用いてQTOTを求めるために(ステップ303)、FiO2が決定されるときに患者による空気ガス流の同伴が必要であり、したがって、FiO2が測定されるとき、装置ガス流11の流量は、好ましくは、患者の吸入要求量未満であり得る(本明細書では、吸入要求量は、特に断りのない限り、瞬間吸入要求量及び/又はピーク吸入要求量を指し得る)。これは、装置ガス流11が少なくとも一時的に患者の吸入要求量(例えば、瞬間吸入要求量又はピーク吸入要求量)を下回ることを意味する。例えば、吸入の少なくとも一部について、流量は、吸入要求量を下回る。例えば、吸入の一部について、装置流11は、吸入要求量以上である第1の流量であり、吸入の一部について、装置ガス流11は、それぞれ吸入要求量未満である第2又は後続の流量である。装置流11が患者の吸入要求量(流量)を恒常的に下回る場合もあり得るが、これは、装置ガス流11が治療的でない/所望の呼吸支援を提供しないために望ましくないであろう。したがって、1つの選択肢では、装置ガス流11の流量は、FiO2測定値が取得されるときに一時的に吸入要求量未満に下げられる。1つの選択肢では、ステップ300において、装置ガス流の流量を任意の適切な方法で変化させることができる。例えば、それは、測定値が取得されるときに周期的に吸入要求流量未満になるように変化させることができる。好ましくは、装置ガス流の流量が吸入要求流量未満になる時間は、呼吸支援の中断を最小限にするため、可能な限り短く保たれる。経時変化する流量/ガス分率は、患者の呼吸周波数より高い周波数であり得る。経時変化する流量/ガス分率は、患者の呼吸周波数より低い周波数であり得る。QTOTは、吸入要求流量を示すため、QTOTを決定することにより吸入要求量を決定することができ、これは、必要に応じて吸入要求量未満の装置ガス流流量を送達することを支援する。すなわち、吸入要求流量は、目標ガス入力、経時変化する流量、ガス割合に基づいて決定することができる。
【0157】
他の呼吸パラメータを前述のように代わりに又は追加的に決定することができる。
【0158】
3.患者の口が閉じられているときの吐出しサイクル中の呼気ガス流流量及び/又は呼吸パラメータの決定
図4を参照すると、一実施形態では、状態パラメータの組み合わせから患者の吐出し流量を決定し、そこから任意選択的に呼吸パラメータの1つ又は複数を求める。本実施形態の方法は、患者の吐出し中、患者の口が閉じられているときに実施される。患者の口が閉じているかどうかは、任意の適切な方法で決定することができる。例えば、人が患者を見て、口が閉じていることを確認し、口が閉じている状態を装置に入力し得る。他の選択肢が可能である。口が閉じられていることは、上述のように、定数k=0の特別な場合である。この場合、口は、常に閉じているため、kは、一定である。より一般的な場合、口の「開き具合」が時間と共に変化するため、kは、時間と共に変化し得る。この場合、口及び鼻が開いていることに関する後の実施形態が関係し、kは、tに依存し、すなわちk(t)であり得る。この場合、kは、時間可変定数であり、数式的に定数であるが、時間と共に変化するため、一定の値ではない。口が開いている状況でも、kは、時間に依存しない場合があるため、時間に依存するk及び依存しないkの両方が可能であることに留意されたい。定数kについて、口が閉じられていない実施形態に関連してさらに記載する。
【0159】
本方法は、以下に記載されるものなどの装置で実施される。本方法で使用される式の詳細な導出は、以下の導出のセクションに記載される。
【0160】
この実施形態では、経時変化する流量又は経時変化する酸素分率を有する装置ガス流11を利用する。より一般的には、別のガス(例えば、CO2、N2等)は、装置ガス流11で経時変化するガス分率マーカを提供し得るが、ここではO2を例示的な選択肢として使用する。ガス分率は、より一般的には、任意のガス割合でもあり得る。経時変化する流量及び経時変化する酸素分率の選択肢は、別途記載する。
【0161】
3.1 装置ガス流の経時変化する流量又はO2分率を用いた呼吸パラメータの決定
要約すると、患者の呼気ガス流(患者の吐出し)13の流量QEは、
【数11】
を使用して求められ、式中、
Eは、吐出し流量(呼気ガス流流量)であり、及び
状態パラメータは、以下の通りである、
Oは、装置ガス流11の流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、患者からの複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
Eは、呼気患者ガス流13中のガス(例えば、CO2、O2、N2又はトレーサーガス)の体積分率(吐出しガスの体積分率)である。その決定は、可変流量及び可変ガス分率の両方の装置ガス流について以下に記載される。
【0162】
Eが算出されると、QEを吐出しサイクルにわたって積分することにより、一回換気量(呼吸パラメータ)を求めるために使用することができる。一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QE(t)dt (42)
のように定義され得る。
【0163】
さらに他の呼吸パラメータを以下のように求めることができる。
- 毎分換気量
- 呼吸数
- 無呼吸
- 気道開存性
【0164】
図4のフローチャートを参照して本方法をさらに詳細に記載する。
【0165】
O、FOは、装置/装置ガス流11の既知の動作パラメータである(ステップ404)。すなわち、式41からQEを決定するために、Fm及びFEを決定する必要がある。これについて説明する。
【0166】
3.1.1 Fmの決定
装置ガス流11は、患者インターフェースを介して患者に向けて呼吸装置10によって生成され、提供される(ステップ400)。
【0167】
患者の吐出しサイクル中(ステップ401)、Fmは、適切なセンサ14、例えば酸素又はCO2分率センサによって測定される(ステップ402)。センサは、患者の鼻の近傍及び/又は患者の鼻内で感知するように配置することができる。例えば、酸素分率センサ14は、装置ガス流11を提供するカニューレ51に設けることができる。酸素センサ14は、患者から出る(吐出される)複合ガス流17の酸素分率を測定する。測定値は、吐出しサイクル中、経時的に時間間隔をおいて(例えば、連続的に又は少なくとも定期的に/離散的に)取得することができる。例えば、測定値は、Fm(t)、Fm(t+△t)等で取得することができる。これにより、既知である(ステップ404)QO、FOと共に複数の測定値が提供され(ステップ402)、この結果(FEも求められるとき、以下を参照されたい)、式41を用いてそれらの時間間隔で計算された対応するQE(t)、(t+Δt)等の値が得られる(ステップ405)。
【0168】
3.1.2 FEの決定
患者の吐出しサイクル中(ステップ401)、FEが同じく以下のように決定される(ステップ403)。詳細な説明及び導出は、導出セクションに記載する。FEの決定は、PCT/IB2021/052062号明細書、米国特許出願第62/989081号明細書(これに基づいてPCT/IB2021/052062号明細書が優先権を主張する)に記載されており、これらの両方は、全体として本明細書に組み込まれる。FEは、CO2分率(FECO2)又はO2分率(FEO2)の尺度であり得、その両方が本明細書で包含され、組み込まれる出願に記載される。
【0169】
本実施形態は、患者に装置ガス流11を提供する非シール式呼吸装置10に関する。非シール式装置は、装置ガス流11の一部が患者の下部気道に入らず、むしろ周囲に「漏れる」(漏出ガス流12)ことを意味する。この結果、漏出ガス流12及び呼気ガス流13を合わせた「複合ガス流出流」(「合計ガス流出流」とも呼ばれる)が生じる。すなわち、Fm(すなわち患者からの酸素又はCO2又は他のガスの分率)を測定する場合、測定されるのは、複合ガス流15のガス分率であり、呼気ガス流13のガス分率FEではない。呼気ガス流のガス分率FEを求めるには、本明細書で説明するように、PCT/IB2021/052062号明細書、米国特許出願第62/989081号明細書の方法を使用することもできる。実施形態は、患者又はその近く(「近接」)で複合ガス流出流15中のガス成分のパラメータを測定し、パラメータの測定値における漏出ガス流12の影響を考慮し、それに応じて測定値を調整して(又は測定値及び他の情報を使用して)、患者からの実際の呼気ガス流13中の所望のガス成分のパラメータを決定することにより、所望のガス成分の実際の呼気ガス流13のパラメータFEを決定する装置及び方法を提供する。装置ガス流は、パラメータを決定することを補助するために、シグネチャーを用いて変化させることができる。注意:複合ガス流出流15は、(CO2及びO2に加えて)他のガス、例えば周囲空気中に存在するガスも含み得る。記載した本実施形態は、そのような追加ガスの存在下でも機能する。
【0170】
次に、FEを求めることについて記載する。呼吸装置10は、患者に装置ガス流を提供することができる流れ供給源を含み得る。装置は、図8を参照して以下にさらに記載される。装置10は、装置ガス流の経時変化するパラメータが経時変化するように、経時変化する装置ガス流を提供する。これにより、実際の呼気ガス流13のガスパラメータを決定するために使用できるシグネチャーが提供される。可能な例として、装置ガス流の経時変化するパラメータは、流量又はガス割合(ガス分率(例えば、O2分率)及び/又はガス分圧(例えば、O2分圧)など)であり得る。経時変化する流量/ガス割合は、患者の呼吸周波数より高い周波数であり得る。経時変化する流量/ガス割合は、患者の呼吸周波数より低い周波数であり得る。本実施形態では、患者のCO2感知を使用するが、代わりにO2、N2トレーサー、麻酔薬又は他のガス感知を使用することもできる。
【0171】
3.1.2.1 経時変化する流量を用いてFEを求める
一実施形態では、本明細書の他の箇所に記載されているように、装置ガス流流量を適切な方法で経時的に変化させる。
【0172】
次に、FEは、以下の式の1つを用いて決定することができ、その導出は、後述する。
【0173】
(一般的な場合の)呼気ガス分率FEの決定には、以下:
【数12】
が使用される。
【0174】
呼気CO2分率FEの決定には、上記から導かれる以下:
【数13】
が使用される。
【0175】
Eは、決定されるのがCO2である場合、FECO2と呼び直すことができる。
【0176】
3.1.2.2 経時変化するO2分率を用いてFEを求める
一実施形態では、本明細書の他の箇所に記載されているように、装置ガス流のガス割合(O2分率など)を適切な方法で経時的に変化させる。
【0177】
次に、呼気O2分率FEを決定するために、以下:
【数14】
が使用される。
【0178】
Eは、決定されるのがO2である場合、FEO2と呼び直すことができる。
【0179】
3.1.3 QE、一回換気量及び他の呼吸パラメータ
上記のようにFm及びFEが決定されると(それぞれ測定値及び式16(経時変化する流量の場合)又は式17(経時変化する酸素分率の場合))、式41からQEを求めることができる(ステップ405)。
【0180】
次に、QEが計算されると、式42を用いてQEを吸入サイクルにわたって積分することにより、一回換気量(呼吸パラメータ)を求めるのに用いることができる(ステップ406)。
【0181】
他の呼吸パラメータを前述のように代わりに又は追加的に決定することができる。
【0182】
4.患者の口が開いているときの吐出しサイクル中の吐出し流量及び/又は状態パラメータの決定。
図5を参照すると、一実施形態では、状態パラメータの組み合わせから患者の吐出し流量が決定され、次にそこから任意選択的に呼吸パラメータの1つ又は複数が求められる。
【0183】
この実施形態の方法は、患者の吐出し中、患者の口がある程度開いているときに実施される。
【0184】
本方法は、以下に記載するものなどの装置を用いて実施される。本方法で使用される式の詳細な導出は、以下の導出セクションに記載される。
【0185】
この実施形態では、可変流量又は可変酸素分率を有する装置のガス流を利用する。各選択肢について個別に記載する。流量及び酸素分率の両方を変化させるさらなる実施形態も可能である。より一般的には、別のガスが、装置ガス流11で経時変化するガス分率マーカを提供することも可能であるが、ここでは例示的な選択肢としてO2を使用する。ガス分率は、より一般的には、任意のガス割合でもあり得る。経時変化する流量及び経時変化する酸素分率の選択肢について、別途記載する。
【0186】
要約すると、患者の呼気ガス流(患者の吐出し)13の流量QEは、
【数15】
を使用して求められ、式中、
Eは、吐出し流量(患者の呼気ガス流流量)であり、及び
状態パラメータは、以下の通りである。
kは、口を通して出る装置ガス流11の割合(及び(1-k)は、鼻を通して出る割合)である。それは、0~1の値(両端値を含む)である。口が開いている場合、患者の吐出しは、実質的に全て口を通して出ると仮定される。
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
mは、患者からの複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
Eは、呼気患者ガス流13中のガス(例えば、CO2、O2、N2又はトレーサーガス)の体積分率(吐き出されたガスの体積分率)であり、それから決定することができる。
【0187】
この場合、kは、一定である。より一般的な場合、口の「開き具合」が経時変化するため、kは、経時変化し得る。その場合、kは、時間可変定数であり、数式的に定数であるが、変化し得るため、経時的に一定の値ではない。口が開いている状況でも、kは、時間に依存しない場合があるため、時間に依存するk及び依存しないkの両方があり得ることに留意されたい。文脈上特に指示がない限り、kへの言及は、k(t)であり得、その逆も同様であることが理解されるであろう。
【0188】
装置ガス流(呼気O2分率)について可変流量を使用する場合、
【数16】
である。
【0189】
装置ガス流(呼気CO2分率)について可変流量を使用する場合、
【数17】
であるか、又は装置ガス流(呼気O2分率)について可変酸素分率を使用する場合、
【数18】
である。
【0190】
式30は、式41が(1-k(t))項を有するのに対して、式30がk(t)項を有することを除いて、式41と類似している。これは、式41では口が閉じているため、センサ14が鼻で感知するからである。式30では、口が開いているため、センサ14は、口で感知する。
【0191】
Eが計算されると、QEを吸入サイクルにわたって積分することにより、一回換気量(呼吸パラメータ)を求めるために使用することができる。一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QE(t)dt (42)
のように定義され得る。
【0192】
さらに他の呼吸パラメータを以下のように求めることができる。
- 毎分換気量
- 呼吸数
- 無呼吸
- 気道開存性
【0193】
図5のフローチャートを参照して本方法をさらに詳細に記載する。
【0194】
O、FOは、装置/装置ガス流11の既知の動作パラメータである(ステップ404)。すなわち、式30からQEを決定するために、Fm、FE及びkを決定する必要がある。装置ガス流11は、患者インターフェース51を介して患者に向けて呼吸装置10により生成され提供される(ステップ400)。吐出しサイクル中(ステップ401)、Fm及びFEは、前の実施形態に従って求めることができる(ステップ402、403)。事実上、QE(ステップ405)及び一回換気量(又は他の呼吸パラメータ)(ステップ406)は、前の実施形態(閉じた口、吐出しサイクル中)と同じ方法で求めることができるが、ここではkも使用されることが異なる。Kの決定(ステップ500)について記載する。
【0195】
4.1 k又はk(t)の決定
これは、口から出る装置ガス流11の割合k、より一般的にはk(t)を決定することを含む。
【0196】
これは、0~1の値であり、送達されたガス(装置ガス流11)が口を通過する割合である。口が閉じられている場合、k=0であり、口が開いている場合、装置ガス流のある割合k(t)が口を通過し、ある割合(1-k(t))が鼻を通過する。上述したように、kは、経時変化することも又はしないこともあり、kへのあらゆる言及は、k(t)であり得、逆も同様である。
【0197】
口が閉じられている場合(k=0)、式は、鼻で感知するセンサ14を通して測定されるFmに基づく。口が開いている場合(kは、0~1である)、式は、口で測定されるFmに基づく。これに関連して、「おいて」とは、~の近く、~において、~に近接して、~の近傍で又はセンサの感知部/入力部が、関連するガス流を適切に測定できる場所に配置されていることを示すいずれかの他の用語を意味する。
【0198】
kは、口から出る装置ガス流の割合に関連して定義されたが、数学的及び/又は物理的に類似の定数は、例えば、鼻から出る割合に関連して定義され得ることが理解されるであろう。このような変形形態は、当業者にとって均等であると理解されるであろう。したがって、kの割合は、より一般的には、口及び/又は鼻を通過するガス流の割合(例えば、体積分率)と考えることができる。
【0199】
特定のセンサ位置における割合kの決定は、以下を含む様々な方法によって行うことができる:
1.シールされたインターフェースの一方の鼻孔から流れを供給し、他方の鼻孔から出る流れ(Qm)を測定する(これは、流量計又は周囲に対して既知の抵抗を発生させる既知の圧力プレートの上流にある圧力センサを使用して行うことができる)。例えば、k=(Qo-Qm)/Qo。
2.鼻孔でシールされた鼻インターフェースを通して流れを送達し、送達された流れが全て口腔から出るようにする。
3.k=0(口が閉じられている)の特別な場合、呼吸サイクル全体を通して酸素のトレースを観察する。高流量中に吸入及び吐出しの明瞭な傾斜が見られる場合、口は、閉じられている(k=0)。
【0200】
4.2 QE、一回換気量及び他の呼吸パラメータ
m、FE(それぞれ測定値及び式16又は17 - ステップ402、403)及びk(上記の方法の1つから)(ステップ500)が上記のように決定されると、QEを式30から求めることができる(ステップ405)。
【0201】
次に、QEが計算されると、式42を使用して、吐出しサイクルにわたってQEを積分することにより、一回換気量(呼吸パラメータ)を求めるために使用することができる(ステップ406)。
【0202】
他の呼吸パラメータを前述のように代わりに又は追加的に求めることができる。
【0203】
5.組み合わされた方法
別の実施形態では、患者の口の状態に応じて且つ/又は吸入中若しくは吐出し中に方法を行う必要に応じて、いくつかの実施形態が利用可能であり得る。
【0204】
一実施形態では、上述した全ての方法は、本明細書に記載の装置10で使用/実施可能であり、使用される方法は、患者の口の状態及び/又は呼吸サイクルの部分に依存する。図6は、方法がどのように組み合わされるかを示す。このような実施形態では、呼吸パラメータを決定するために使用される方法は、患者の口が開いているか又は閉じられているか(ステップ61)及び患者が吸入しているか又は吐き出しているか(呼吸フェーズ)(ステップ60)に基づく。これらの状態(呼吸フェーズを含む)は、任意の適切な方法を用いて決定することができる。例えば、CO2トレース、ECG又は呼吸バンドを使用することができるが、これらは、いくつかの非限定的な例に過ぎない。口が閉じられている場合(ステップ62)及び患者が吸入している場合(ステップ64)、図3の方法が使用される(ステップ67)。口が閉じられている場合(ステップ62)及び患者が吐き出している場合(ステップ64)、図4の方法が使用される(ステップ66)。口が開いている場合(ステップ62)及び患者が吐き出している場合(ステップ63)、図5の方法が使用される(ステップ65)。そうでなければ、口が開いている場合、呼吸は、吐出しが検出されるまで監視される。患者の状態に応じて、必要に応じて方法のいずれか1つ又は組み合わせを使用することができる。
【0205】
図7は、組み合わされた方法の1つの可能な実装形態である非限定的な例を示す。センサ位置(口であれ鼻であれ)における装置ガス流11が決定され、kが得られる(ステップ70)。これから、口が開いているか又は閉じているかを決定することができる。
【0206】
口が閉じられており、k=0である場合、患者が吐き出しているか又は吸入しているかが決定される。患者が吸入していて口が閉じられている場合、経路71が取られる。鼻の患者センサ14でガス分率が測定され(ステップ71A)、この場合、装置ガス流QO1を用いて時間tに測定されたFiO2が測定される(ステップ71B)。以下のFiO2は、装置ガス流QO2を用いて時間(t+Δt)で測定される(ステップ71C)。QTOTは、FiO2測定値に基づいて決定される(ステップ71D)。これを時点間で積分して、一回流量を決定することができる。このプロセスを後続の時点について繰り返すことができる(ステップ75)。
【0207】
患者が吐き出しているとき、口が開いているか又は閉じられているかに関係なく、経路73又は74が取られる。しかしながら、口が開いている場合、ステップ70でkが決定される。次に、ガス分率が測定され(ステップ72)、流量又はO2割合が変動される(経路73又は経路74)。酸素を変動させる場合(ステップ74A)、鼻及び/又は口の患者センサ14におけるガス分率が測定され(ステップ74B)、この場合、FmCO2/Fm2が装置O2分率FO2_1を用いて時間tで測定される。次に、FmCO2/Fm2がO2分率FO2_2を用いて時間(t+Δt)で測定される(ステップ74C)。QEは、FeCO2/FeO2の決定に基づいて決定される(ステップ74D)。これを時点間で積分して、一回流量を決定することができる。このプロセスは、後続の時点について繰り返すことができる(ステップ75)。
【0208】
流量を変動させる場合(ステップ73A)、鼻及び/又は口の患者センサ14におけるガス分率が測定され(ステップ73B)、この場合、FmCO2/FmO2が流れQO1を用いて時間tで測定される。次に、FmCO2/FmO2が流れQO2を用いて時間(t+Δt)で測定される(ステップ73C)。QEは、FeCO2/FeO2の決定に基づいて決定される(ステップ73D)。これを時点間で積分して、一回流量を決定することができる。このプロセスは、後続の時点について繰り返すことができる(ステップ75)。
【0209】
6.ガス流を提供し、呼吸パラメータを決定する装置
上記のような呼吸パラメータを決定するための装置及び方法は、図8の装置を参照して且つ先の図3~7を参照して記載された方法を参照して記載される。この装置は、本明細書で記載する他の実施形態にも使用することができる。図8の装置は、図1Bの装置のより詳細な説明である。
【0210】
呼吸装置10は、本明細書に記載の方法で使用される装置ガス流11を提供することができる。それは、方法のための様々な測定を行うためのセンサ14も有し得る。センサの様々な実装が可能であり、センサは、適切な任意の場所に配置することができるが、口及び/又は鼻に対する位置に言及する場合、それは、感知部分が位置決めされている場所の指示である。例えば、サンプリング導管を有するセンサでは、センサ又はセンサの一部が他の場所にある場合でも、サンプリング導管(感知部分)は、口及び/又は鼻の近くにある。センサの他の実装形態も当業者に分かるであろう。装置のコントローラは、方法の1つ又は複数の一部又は全部を実行することができる。任意選択的に、呼吸装置の代わりに又はそれに加えて、他の外部装置を使用して方法の1つ又は複数の一部又は全部を実施することができる。
【0211】
図8は、患者に流れ療法又は他の療法(呼吸支援)を提供するための呼吸装置10を示す。装置は、時間で変化する装置ガス流11を送達し、所望の呼吸パラメータ(例えば、一回換気量、毎分換気量、呼吸数、無呼吸、気道開存性等)を決定するための処理を実行するように構成される。装置10は、一般に図8の点線枠で示すように、一体型又は別個の構成要素に基づく配置であり得る。いくつかの構成では、装置は、構成要素のモジュール式配置であり得る。このように、装置は、「システム」と呼ばれ得るが、この用語は、限定されることなく交換可能に使用され得る。以下では、それは、装置と称されるが、これは、限定的なものと考えるべきではない。装置は、麻酔処置中の予備酸素化、麻酔処置中、高流量療法、換気を含む一方、呼吸困難の患者の治療、閉塞性睡眠時無呼吸の患者の治療又は患者の呼吸の態様の監視が必要な他のいずれかの治療を含む任意の適切な目的のために使用され得る。
【0212】
本装置は、酸素又は酸素と1種以上の他のガスとの混合物などの高流量ガス31を提供するための流れ供給源50を含む。代替的に、本装置は、流れ供給源に結合するための接続部も有し得る。したがって、流れ供給源は、状況に応じて、装置の一部を形成するか若しくは装置とは別であるように考えられ得るか、又は流れ供給源の一部が装置の一部を形成し、流れ供給源の一部が装置の外側に位置する。
【0213】
流れ供給源は、壁内酸素化装置、酸素タンク50A、他のガスのタンク及び/又は送風機/流れ発生器50Bを有する高流量呼吸装置であり得る。図8は、任意選択的な空気入口50Cと、遮断弁及び/又はレギュレータ及び/又は他のガス流れ制御部50Dを介したO2源(タンク又はO2発生器など)50Aへの任意選択的な接続とを有する、流れ発生器50Bを有する流れ供給源50を示すが、これは、1つの選択肢に過ぎない。ここからの記載は、いずれの実施形態に言及することもできる。流れ供給源は、説明したように、流れ発生器、O2源、空気源の1つ又は組み合わせであり得る。流れ供給源50は、装置10の一部として示されているが、外部酸素タンク又は壁内供給源の場合、別個の構成要素とみなすことができ、その場合、装置は、そのような流れ供給源に接続するための接続ポートを有する。流れ供給源は、送達導管及び患者インターフェース51を介して患者に送達可能なガスの(好ましくは高)流量を提供する。最終用途に応じて、患者インターフェース51は、鼻インターフェース(カニューレ)などのアンシール式(「非シール式」とも呼ばれる)インターフェース(例えば、高流量療法で使用される場合)又は鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻ピローなどのシール式インターフェース(例えば、CPAPで使用される場合)であり得る。
【0214】
経時変化する流量の実施形態は、非シール式患者インターフェースと共に使用することができる。経時変化する流量のガス流は、患者の外部の空洞に流されるか又は通されることがないため、例えば非シール式の鼻カニューレに通されることが好ましい。外部の空洞は、ローパスフィルタを導入し得、このローパスフィルタは、経時変化する流量のシグネチャーを減衰させ得る。経時変化する分率の実施形態は、シール式患者インターフェース又は非シール式患者インターフェースと共に使用することができる。患者インターフェース51は、好ましくは、例えば気圧外傷(例えば、大気に対する圧力の差による肺又は他の器官の組織損傷)の防止に役立ち得る非シール式患者インターフェースである。患者インターフェースは、マニホールド及び鼻プロングを有する鼻インターフェース(カニューレ)、及び/若しくはフェイスマスク、及び/若しくは鼻ピローマスク、及び/若しくは鼻マスク、及び/若しくは気管切開インターフェース又は任意の他の適切なタイプの患者インターフェースであり得る。流れ供給源は、例えば、約0.5リットル/分~約375リットル/分若しくはその範囲内の任意の範囲又はさらに高い若しくは低い限界値の範囲の治療用ガス流量を提供し得る。
【0215】
経時変化する装置ガス流は、治療のための経時変化(例えば、変動)する流量を有し得、コントローラは、ガス流変調器を制御して、約375リットル/分~約0リットル/分、又は好ましくは約240リットル/分~約7.5リットル/分、又はより好ましくは約120リットル/分~約15リットル/分の変動流量で治療のための経時変化する装置ガス流を提供し、及び/又は変動流量は、約0.1Hz~約200Hz、好ましくは約0.1Hz~約6Hz、より好ましくは約0.5Hz~約4Hz、さらに好ましくは0.6Hz~約3Hzの1つ又は複数の周波数を有する。ガス流変調器は、ガス流のパラメータ(例えば、流量、ガス割合)を変調させるか又は別の方法で変化させるための流れ供給源(ここで、それは、前述のように流れ発生器、O2源、周囲空気等であり得る)及び/又はバルブ若しくは他の装置であり得る。
【0216】
変動流量は、治療的流量成分を含み得、治療的流量は、約375リットル/分~約0リットル/分、又は約150リットル/分~約0リットル/分、又は好ましくは約120リットル/分~約15リットル/分、又はより好ましくは約90リットル/分~約30リットル/分である。
【0217】
変動流量は、治療ガス流成分を含み得、治療ガス流の一定(例えば、バイアス/ベース)流量成分は、約0.5リットル/分~約25リットル/分である。
【0218】
変動流量は、治療的流量成分を含み得、治療的流量は、患者1キログラム当たり約0.2リットル/分~患者1キログラム当たり約2.5リットル/分であり、好ましくは患者1キログラム当たり約0.25リットル/分~患者1キログラム当たり約1.75リットル/分であり、より好ましくは患者1キログラム当たり約0.3リットル/分~患者1キログラム当たり約1.25リットル/分又は患者1キログラム当たり約1.5リットル/分であり、さらに好ましくは患者1キログラム当たり約0.4リットル/分~患者1キログラム当たり約0.8リットル/分である。
【0219】
経時変化(例えば、変動)するガス流の1つ又は複数の成分は、約0.3Hz~約4Hzの1つ又は複数の周波数を有し得る。
【0220】
変動流量は、少なくとも1種の経時変化する流量成分を含み得、各変動流量は、患者1キログラム当たり約0.05リットル/分~患者1キログラム当たり約2リットル/分であり、好ましくは患者1キログラム当たり約0.05リットル/分~患者1キログラム当たり約0.5リットル/分であり、好ましくは患者1キログラム当たり約0.12リットル/分~患者1キログラム当たり約0.4リットル/分であり、より好ましくは患者1キログラム当たり約0.12リットル/分~患者1キログラム当たり約0.35リットル/分である。代替的に、変動流量は、少なくとも1種の経時変化する流量成分を含み得、各変動流量は、患者1キログラム当たり0.05リットル/分~患者1キログラム当たり2リットル/分の範囲であり、好ましくは患者1キログラム当たり0.1リットル/分~患者1キログラム当たり1リットル/分の範囲であり、より好ましくは患者1キログラム当たり0.2リットル/分~患者1キログラム当たり0.8リットル/分の範囲である。
【0221】
上記は、経時変化する治療的流量の例である。シグネチャー流量も提供され得、治療的流量より低いか、同じであるか又は高くてもよい。シグネチャー流量の周波数は、(経時変化する場合)治療的流量の周波数より低いか、同じであるか又は高くてもよい。いくつかの実施形態では、シグネチャー流量は、治療的流量より高い周波数を有する。
【0222】
一例として、シグネチャー流量は、第1の流量と第2の流量との間で段階的に変化し得、その一方又は両方は、約0LPM~70LPMの範囲に入り得る。最大シグネチャー流量は、治療的流量となり得る。シグネチャー流量は、治療的流量と組み合わされる(例えば、加えられる)か、又は治療的流量の一部若しくは全部を形成し得、すなわち治療的流量自体がシグネチャー流量であり得る。いくつかの実施形態では、シグネチャー流量は、パーセントとして治療的流量に関連し得る。例えば、経時変化するシグネチャー流量(成人)は、以下の範囲:
- 治療的流量の約0%~約200%、
- 治療的流量の約0%~100%、
- 治療的流量の約100%~200%、若しくは
- 治療的流量の約50%~150%
にあり、且つ/又は以下の範囲:
- 約0~140LPM、
- 約0~70LPM、
- 約70~140LPM、
- 約40~100LPM、若しくは
- 約20~60LPM
にある。
【0223】
これらは、制限流量ではなく、シグネチャー流量は、マイナスになり得るが、治療的流量と組み合わされるとプラスの合計流量になり得ることにも留意されたい。
【0224】
いくつかの実施形態では、治療的流量は、シグネチャー流量としても機能する。すなわち、それらは、二重の目的を果たす。
【0225】
上記は、単なる例であり、他のタイプの経時変化する流量を提供することも可能であり、コントローラは、ガス流変調器を制御して、経時変化する装置ガス流を経時変化する流量で提供する。装置は、経時変化する流量の知識を有し得、且つ/又は例えば53A、53B、53C、53Dなどの流量センサにより、提供される経時変化する流量を測定することができる。
【0226】
加湿器52は、送達されるガスの加湿を提供するために、流れ供給源50と患者との間に任意選択的に設けることができる。これは、流れ供給源50と一体化されて、一体化装置(点線を参照されたい)を形成する加湿器又は流れ供給源50とは別体であるが、流れ供給源50に取り付け可能な加湿器であり得る。代替的に、加湿器52は、チャンバ及びベースを有する独立型加湿器でもあり得、この場合、加湿器は、導管又は他の適切な手段を介して流れ供給源50に結合される。流量、酸素分率CO2又は他のガス分率、全圧又は分圧、湿度、温度又は他のセンサなどの1つ又は複数のセンサ53A、53B、53C、53Dを装置全体及び/又は患者14にそれに対して又はその近くに配置することができる。代替的に又は追加的に、そのようなパラメータを導出できるセンサを使用することもできる。追加的に又は代替的に、センサ53A~53Dは、心拍数、酸素飽和度(例えば、パルスオキシメータセンサ54E)、血液中の酸素分圧、呼吸数、血液中のO2及び/又はCO2の分圧などの患者の生理学的パラメータを感知するための1つ又は複数の生理学的センサであり得る。代替的に又は追加的に、このようなパラメータを導出できるセンサを使用することもできる。他の患者センサとしては、EEGセンサ、呼吸を検出するための胴体バンド及び他の適切なセンサがあり得、これらは、特に、患者が吐き出しているか又は吸入しているかどうか(呼吸相/状態)を感知し得る。いくつかの構成では、加湿器は、任意選択的なものであり得るが、加湿ガスが気道の状態を維持するのに役立つという利点から、加湿器が好ましい場合もある。加湿は、患者の快適性、コンプライアンス、サポート及び/又は安全性を高めるために高流量ガス流と共に使用されることが好ましい。センサの1つ又は複数は装置の一部を構成することも、装置に外付けにすることもでき、装置には、外付けセンサのための入力がある。
【0227】
患者複合ガス流入流及び流出流15の(標的ガスの)ガスパラメータを測定するためのセンサ14が提供される。センサは、口及び/又は鼻で感知することができる。センサは、口及び/若しくは鼻にあり得る適切な任意の場所に配置され得るか、又は口及び/若しくは鼻にある感知部分を用いてそこから抽出され得る。すなわち、標的ガス、例えば酸素、二酸化炭素、窒素、ヘリウム及び/又はセボフルランなどの麻酔剤に応じて、複合ガス流出流中のそのガスを感知するセンサが選択される。センサは、例えば、主流センサ又は副流センサであり得、鼻及び/又は口に近接して(その中に、上に、近くに)配置することができる。他の位置も可能である。経時変化する流量の実施形態は、1つのガスパラメータセンサで機能することができる - 例えば、1つのガスパラメータ(例えば、分率CO2又は分率O2)が測定されるときに機能することができる。経時変化する流量の実施形態では、標的パラメータを得るために複数のガスパラメータを測定することは、必須ではない(例えば、本明細書で実施形態を実施するために分率CO2と分率O2を測定する必要はない)。
【0228】
センサからの出力は、コントローラに送られ、ガス流を変化させるか又はセンサ14の場合には呼吸パラメータの決定と表示を行うなど、装置の制御を補助する。代替的に又は追加的に、ユーザからの入力も可能である。コントローラは、流れ供給源、加湿器及びセンサに結合されている。コントローラは、これら及び後述する装置の他の側面を制御する。コントローラは、送達されるガス流を提供するために流れ供給源を操作することができる。センサからのフィードバックに基づいて又は任意選択的にフィードバックなしで(例えば、デフォルト設定又はユーザ入力を使用して)、流れ供給源によって提供されるガスの流れ、圧力、体積及び/又は他のパラメータを制御するために、ガス流変調器(流れ供給源を含む)を操作することもできる。コントローラは、酸素化要件及び/又はCO2除去を満たすために、流れ供給源の任意の他の適切なパラメータを制御することもできる。コントローラ19は、センサ53A~53D、14からのフィードバックに基づいて加湿器52を制御することもできる。センサからの入力を使用して、コントローラは、酸素化要件を決定し、医療従事者(医療従事者は、例えば、流量、O2分率、湿度等、所望の療法を提供するために呼吸装置の構成要素を制御し得る)に情報を提供し、且つ/又は必要に応じて流れ供給源、ガス流変調器及び/若しくは加湿器のパラメータを制御することができる。代替的に、本実施形態は、医療従事者に情報を提供し、且つ/又は呼吸装置の構成要素と通信し、且つ/又は呼吸装置の構成要素を制御して所望の療法又は呼吸支援を提供する、呼吸装置から独立した独立型監視装置として提供されることもできる。したがって、医療従事者は、呼吸装置を制御して所望の療法を提供することができる。したがって、コントローラは、酸素化要件及び/又は装置の制御パラメータを常に決定するとは限らない。
【0229】
コントローラ19は、装置ガス流が、療法を提供する経時変化する流量と、記載したようなシグネチャー流量とを有するように装置を操作するようにも構成される。これは、流れ発生器50B又は他の適切なガス変調器を制御するなど、任意の適切な手段によって行うことができる。ガス変調器は、変調(すなわちガス流のパラメータを変化、修正、調整又は他の方法で制御すること)に使用することができる。各ガス流変調器は、ガス流路を変調するために、流れ供給源内(流れ供給源自体がガス流変調器であり得る)、流れ供給源の後且つ加湿器の前、加湿器の後及び/又は装置内の任意の他の適切な場所内に設けることができる。ガス流変調器(流れ供給源を含む)を操作して、センサからのフィードバックに基づいて又は任意選択的にフィードバックなしで(例えば、デフォルト設定を使用して又はユーザ入力に基づいて)、流れ供給源によって提供されるガスの流れ、圧力、体積及び/又は他のパラメータを制御することもできる。コントローラは、酸素化要件を満たすために、流れ供給源の任意の他の適切なパラメータを制御することもできる。ガス変調器は、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる国際公開第2017/187390号又は米国特許出願公開第20210052844号明細書に記載されているいずれかのものであり得る。
【0230】
次いで、コントローラは、複合ガス流出流を測定し、全体を通して記載される技術のいずれかを使用して、ガス及び/又は呼吸パラメータを決定することができる。
【0231】
変化するガス割合に関連する以下の他の実施形態について、コントローラ19は、追加的又は代替的に、装置ガス流が、療法/呼吸支援を提供する経時変化するガス割合(O2分率又は他のガス分率及び/又はO2分圧又は他のガス分圧など)を有し、記載されるようなシグネチャーガス割合(ガス分率及び/又はガス分圧など)を有するように装置を操作するようにも構成される。コントローラは、O2源50Aに結合された比例弁を制御するなどの任意の適切な手段又は他の特許で以前に記載された任意の他の手段によってこれを行うことができる。次いで、コントローラは、複合ガス流出流を測定し、且つ/又は全体を通して記載された技術のいずれかを使用してガス及び/若しくは呼吸パラメータを決定する(例えば、推定値を得る)ことができる。一実施形態では、位相が180度ずれて動作する2つの比例弁が存在する。一方が開くと他方が閉じる。一方は、装置ガス流中のO2分率を制御し、他方は、装置ガス流中の空気分率を制御するが、共に装置ガス流の合計ガス流量を一定に保つ。別の代替形態では、単一の比例弁がインペラ/流れ発生器と共に使用され、比例弁がO2分率を制御し、インペラが流量を制御する。いくつかの実施形態では、単一比例弁は、インペラの前又は後に使用することができる。単一比例弁がインペラの前に使用される場合、比例弁は、周囲空気と共にインペラの入口へのO2分率を制御する。いくつかの実施形態では、2つ以上の比例弁をインペラと一緒に使用することができ、インペラに対してシステムの任意の場所に位置決めすることができる。コントローラ19は、本明細書で記載するような経時変化するガス割合を達成するために必要に応じて動作するように比例弁を制御することができる。
【0232】
入出力インターフェース54(ディスプレイ及び/又は入力装置など)が提供される。入力装置は、例えば、酸素化要件、麻酔ガス剤、検出、流量、ガス分率、分圧及び/又は装置によって制御され得る他の任意のパラメータを決定するために使用できる情報をユーザ(例えば、臨床医又は患者)から受信するためのものである。
【0233】
本装置は、呼気ガス流のガスパラメータの測定値をグラフ、デジタル表示又は任意の他の適切な手段として表示するためのI/Oの一部であり得るディスプレイも含む。それは、一回換気量(瞬時又はサイクル数の平均)及び/又は患者ガス流などの状態及び/又は呼吸パラメータを表示することもできる。それは、値又は平均値又はトレースを表示し得る。
【0234】
本装置は、有線、無線又はそれらの組み合わせのいずれかであるか、或いはデータリンク若しくは通信リンク又はデータネットワークを介した1つ又は複数の外部装置又はサーバとのデータ通信又は接続を可能にするための1つ又は複数の通信モジュール59を含み得る。例えば、1つの構成では、装置は、コントローラ19が動作センサから無線方式でデータ信号を受信すること及び/又はシステムの様々な構成要素を制御することを可能にするために、無線データ送信機及び/又は受信機若しくはトランシーバ59を含み得る。トランシーバ59又はデータ送信機及び/又は受信機モジュールは、アンテナを有し得る。一例では、トランシーバは、Wi-Fiモデムを含み得る。追加的に又は代替的に、データ送信機及び/又は受信機59は、遠隔患者管理システム(すなわち遠隔サーバ)69にデータを配信することができるか、又はシステムの遠隔制御を可能にすることができる。システムは、コントローラ19が動作センサからデータ信号を受信すること及び/又は装置10の様々な構成要素を制御することを可能にするために、例えばケーブル又はワイヤを使用する有線接続を含み得る。装置10は、1つ又は複数の無線通信モジュールを含み得る。例えば、装置は、例えば、3G、4G又は5Gモジュールなどのセルラー通信モジュールを含み得る。モジュール59は、装置が適切な通信ネットワークを使用して遠隔患者管理システム(図示せず)と通信することを可能にするモデムであり得るか又はそれを含み得る。遠隔管理システムは、クラウドコンピューティングネットワークに実装された単一のサーバ又は複数のサーバ又は複数のコンピューティングデバイスを含み得る。通信は、本装置と患者管理システム(サーバ等)又は他の遠隔システムとの間の双方向通信であり得る。装置10は、例えば、ブルートゥースモジュール及び/又はWi-Fiモジュールなどの他の無線通信モジュールも含み得る。ブルートゥースモジュール及び/又はWiFiモジュールにより、本装置は、例えば、スマートフォン若しくはタブレットなどの他の装置に無線で情報を送信するか、又はLAN(ローカルエリアネットワーク)若しくは無線LAN(WLAN)を介して動作したりすることができる。本装置は、データ転送及び/又はデータ通信を可能にするために、追加的に又は代替的に近距離無線通信(NFC)モジュールを含み得る。
【0235】
例えば、測定された患者の呼吸パラメータデータ(例えば、吸入、吐出し及び/又は合計呼吸時間比)は、遠隔患者管理システム(すなわち遠隔サーバ)に伝達され得る。遠隔患者管理システムは、単一のサーバ、又はサーバのネットワーク、又はクラウドコンピューティングシステム、又は遠隔患者管理システムを運用するための他の適切なアーキテクチャであり得る。遠隔患者管理システム(すなわち遠隔サーバ)は、受信データを記憶するためのメモリ及び複数の機能を実行するために実行される様々なソフトウェアアプリケーション又はサービスをさらに含む。したがって、例えば、遠隔患者管理システム(すなわち遠隔サーバ)は、受信したデータに少なくとも部分的に依存して、情報又は命令をシステム10に伝達することができる。例えば、受信したデータの性質に応じて、遠隔サーバ(又は遠隔サーバ上で実行されるソフトウェアアプリケーション)がシステム10に警告、警報又は通知を伝達する契機となり得る。遠隔患者管理システムは、臨床医、患者又は他の認可された当事者などの認可された当事者によるアクセスのために、受信したデータをさらに保存し得る。遠隔患者管理システムは、認可された当事者からの要求に応答してレポートを作成するようにさらに構成され得、呼吸パラメータデータ、例えば吸入、吐出し及び/又は合計呼吸時間比は、作成されたレポートに含まれ得る。レポートは、他の患者呼吸パラメータ、例えば呼吸速度又はSpO2及び/又は装置パラメータ、例えば流量、湿度レベルをさらに含み得る。
【0236】
前述のように、コントローラ19は、本明細書で記載する方法の1つ又は複数を実施する。使用される方法の実施形態に応じて、以下の状態パラメータの1つ又は複数は、示されるように、装置又は他の手段を使用して取得される。
a)口の状態、これは、二値開/閉であり得るか、又は鼻に対して口から出る装置ガス流からのガス流の割合(例えば、体積割合)を示す何らかのパラメータであり得る。例えば、k、
b)呼吸装置からのガス流の流量。例えば、QO
c)呼吸装置からのガス流のガス分率(任意の等価ガス割合を含む)。例えば、O2分率、ただし適切な場合には任意の他のガス割合、例えばN2又はトレーサーガスFOであり得、ただし適切な場合には任意の他のガス割合、例えばN2又はトレーサーガスであり得る。
d)患者に入る又は患者から出るガス流のガス分率(吸気で又は呼気で測定されたかどうかに依存する)。例えば、O2分率Fm、ただし適切な場合には任意の他のガス割合、例えばCO2、N2又はトレーサーガスであり得る。
e)患者による呼気ガス流のガス分率。FEは、適切な場合には任意のガス割合、例えばO2、CO2、N2又はトレーサーガスであり得る。
f)同伴(周囲)ガスのガス分率及び流量。Qent、Fent(本明細書では交換可能に使用されるFentrainedとも呼び得ることに留意されたい)。ただし、適切な場合には任意のガス割合、例えばO2、CO2、N2又はトレーサーガスであり得る。
g)以下である患者ガス流の流量(これは、状態パラメータであると同時に呼吸パラメータであり得る):
a.呼気ガス流13(すなわち患者によって吐出されたガス流)の流量QE、及び/又は
b.複合ガス流入流17(すなわち患者が吸入した複合ガス流)の流量Qtot。QTOTは、患者の吸入要求流量も示すことに留意されたい。
【0237】
上記では、ガス分率は、O2、CO2又は他のガス分率であり得る。ガス分率の代わりに分圧を使用することも可能であり、これは、本明細書を通して交換可能であると当業者に理解されるであろう。
【0238】
コントローラは、本明細書に記載の方法の1つ又は複数に従って状態パラメータの1つ又は複数を使用して、QE又はQtotを決定し、その後、一回換気量及び/又は本明細書に記載の他の呼吸パラメータの1つ又は複数を決定する。
【0239】
上記の実施形態は、1つ又は複数の呼吸パラメータを決定するために1つ又は複数の状態パラメータを使用する特定の例であることが理解されるであろう。それぞれの場合、O2、CO2、N2などのトレースガス又は麻酔剤などのガスは、決定を行うためのマーカとして使用され得る。上記の特定のガスへのあらゆる言及は、例示に過ぎず、代替ガスが容易に使用される場合、そのように限定すべきではない。
【0240】
7.導出
使用される様々な式の導出をこのセクションに示す。
【0241】
それらの式は、定数kに言及する。これは、0~1の値であり、送達されたガス(装置ガス流量11)が口を通過する割合である。口が閉じられている場合、k=0である。口が開いている場合、装置ガス流のある割合kが口を通り、ある割合(1-k)が鼻を通る(例えば、鼻から到来する/出る)。Kは、時定数であり得る。より一般的な場合、口の「開き具合」が時間と共に変化するため、kも時間と共に変化し得る。この場合、kは、tに依存し、すなわちk(t)であり得る。この場合、kは、時間可変定数であり、数式的に定数であるが、変化し得るため、時間にわたって一定の値ではない。口が開いている状況でも、kは、時間に依存しない場合があるため、時間に依存するk及び依存しないkの両方が可能であることに留意されたい。k又はk(t)への言及は、本明細書で限定的なものと考えるべきではなく、文脈が許す限り、いずれでも使用することができる。
【0242】
口が閉じられている場合(k=0)、式は、鼻におけるセンサ14を通して測定されるFmに基づく。口が開いている場合(k=0~1)、式は、口で測定されたFmに基づく。
【0243】
7.1 患者の口が閉じられている場合の吸入サイクル中の複合ガス流入流量及び/又は呼吸パラメータの決定。
本実施形態では、QTOT - 患者への(合計吸気)患者ガス流入流(複合ガス流入流)17(装置ガス流11及び同伴空気ガス流16)の流量 - を得るために以下の式37を利用する。
【数19】
式中、
Tot(t)=Qentrained(t)+Qo(t) (35)
であり、及び
状態パラメータは、以下の通りである:
Oは、装置ガス流11の流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、患者への複合ガス流入流(患者吸入ガス流)中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。これは、吸入中であるため、Fmは、FiO2である。
entrainedは、同伴空気ガス流16中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
【0244】
kは、0~1の値であり、送達されたガス(装置ガス流11)が口を通して出る割合である。口が閉じられている場合、k=0である。この場合、口が閉じられているため、k=0となり、(1-k(t))の項は、1となり、kは、消失する。
【0245】
上記パラメータに関する本明細書におけるO2への言及は、代わりにN2又は他のトレーサーガスで交換可能であり得ることに留意されたい。
【0246】
TOTが計算されると、QTOTを吸入サイクルにわたって積分することにより、一回換気量(呼吸パラメータ)を求めるために使用することができる。一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QTot(t)dt (38)
のように定義され得る。
【0247】
口が閉じられているとき、口から出る/入る装置ガス流の割合は、ゼロに等しい。
【0248】
したがって、センサ14(例えば、サンプリングライン)が患者の鼻内で患者インターフェースの隣に配置されている場合、吸入中のFm(この場合、酸素分率(FiO2))を測定することができ、これから患者に入る(瞬時の)流れの感知されたパラメータ(例えば、O2分率)を決定することが可能である。
【数20】
式中、
FiO2(t)は、吸入される酸素の分率であり、これは、複合ガス流入流中のO2分率であり、センサ14によって測定され、
Qo(t)は、装置ガス流の流量であり、
Fo(t)は、装置ガス流(装置から到来するガス)のガス(例えば、O2)の体積分率であり、
entrained(t)は、同伴ガス中の酸素分率であり(通常、周囲空気で約0.21)、
entrained(t)は、周囲環境からの同伴ガス流の流量である。
(注:瞬時FiO2の測定及びQTOTの計算は、高流量システムからの流れがその瞬間の吸入要求量を満たさず、若干の同伴がある場合に可能である。)
【0249】
再整理すると、
【数21】
のようになる。
【0250】
合計流は、以下の式で与えられる。
Tot(t)=Qentrained(t)+Qo(t) (35)
【0251】
(34)を(35)に代入すると、以下のようになる。
【数22】
【0252】
したがって、吸入時の一回換気量は、
Tidal(t)=∫QTot(t)dt (38)
【数23】
によって計算することができ、式中、積分は、1吸入サイクルにわたって計算される(ここで、呼吸サイクルは、FiO2がいずれの時点で1を介して遷移するかを見ることを含む様々な手段によって決定され得る)。
【0253】
前述したように、吸入流を測定するために、瞬時の要求量より少ない量の送達が必要である。しかし、吸入サイクル全体を通してこれを行うことは、患者への呼吸支援(例えば、FiO2)を低下させるため、必ずしも望ましいことではない。そこで、装置の流量を経時的に変化させ(例えば、変動させるか又は2つの値間で変化させる)、流量が低い間に測定を行い、補間又は同様の技術を使用して流れの連続測定値を導出し、この連続流測定値を積分して一回換気量を求めることができる。変動の周波数は、任意選択的に呼吸周波数より高い。
【0254】
さらに、低い流量の時間は、患者に供給される平均FiO2を高めるために、高い流量の時間に対して短くすることができる。低流量は、高流量システム及び同伴空気からの流れとの区別を可能にするためにゼロより大きくする必要があることに留意されたい。
【0255】
任意選択的に、流量を変化させることは、好ましくは、患者の吸入要求量より高い高流量と、任意選択的に患者の吸入要求量より低い非ゼロ流量である低流量との間の段階を含む。
【0256】
7.2 患者の口が閉じているときの吐出しサイクル中の呼気ガス流流量及び/又は状態パラメータの決定
本実施形態は、QE-吐出し流量(すなわち呼気ガス流13の流量)を得るために以下の式41を利用する。
【数24】
Oは、装置ガス流11の流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率であり、
mは、患者からの複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
Eは、呼気患者ガス流13中のガス(例えば、CO2、O2、N2又はトレーサーガス)の体積分率であり、kは、0~1の値であり、送達されたガス(装置ガス流11)が口を通して出る割合である。口が閉じられている場合、k=0である。この場合、口が閉じられているため、k=0であり、(1-k(t))の項は、1となり、kは、消失する。
【0257】
Eが計算されると、QEを吐出しサイクルにわたって積分することにより、一回換気量(呼吸パラメータ)を求めるために使用することができる。一回換気量は、以下
Tidal(t)=∫QE(t)dt (42)
のように定義され得る。
【0258】
酸素濃度をここで記載したセンサで測定できるように、吸入中、装置ガス流を瞬時の吸入流未満に維持する必要があるという問題を解決するための代替アプローチ。
【0259】
一般に、吸入量及び吐出し量が同じであると仮定すると、吐出し時の流れのみを測定することが可能である。
【0260】
鼻から周囲環境に流れが発生する場合、鼻における測定分率は、以下のように表すことができる。
【数25】
式中、QEは、吐出し流量である。
【0261】
Eを再整理すると、
【数26】
のようになる。
【0262】
E(t)は、直接測定できないが、酸素流を変動させれば、式(17)を用いてFE(t)を求めることができる。
【数27】
これを式(41)に代入することで、瞬時吐出し流を求めることができる。変動の周波数は、任意選択的に呼吸周波数より大きい。類似の内挿法により連続QE(t)が得られ、これを積分して一回換気量を求めることができ、すなわち、
Tidal(t)=∫QE(t)dt (42)
である。
【0263】
吐出し中に酸素を変動させることは、患者のFiO2に影響を及ぼさないという利点がある。
【0264】
測定された/既知のパラメータからFE(t)を計算することに加えて、吸入中のFiO2を測定し、吸入酸素分率と吐出し酸素分率との差(例えば、吐出しO2分率は、吸入O2分率より5%低い)を仮定することから、FE(t)を推論することもできる。さらに、それは、想定値も有し得る。
【0265】
式41を計算するために、FEを決定する必要がある。しかしながら、呼吸装置10からの装置ガス流11からの漏出(「漏出ガス流」)12が呼気ガス流13に加算され、例えばセンサ14によって測定される患者からの合計ガス流出流(「複合ガス流出流」)15を生成するため、装置ガス流11が患者に提供されるときに呼気ガス流13のガス成分のパラメータ(O2分率、CO2分率又は他のガスパラメータを問わず)を決定することは、困難であり得る。
【0266】
したがって、呼気ガス流13がセンサ14によって実際に測定されるのではなく、漏出ガス流12と患者の呼気ガス流とを組み合わせた複合ガス流出流15が測定される。漏出ガス流12は、センサ14によって測定される呼気ガス流13のガス成分を希釈(例えば、CO2分率を測定する場合)若しくは増加(例えば、O2分率を測定する場合)させるか又はより一般的に「変化」させ、得られるガス成分のパラメータに関する誤解を招く情報を与え得る。この問題は、高流量において、例えば高流量療法を提供する場合に悪化される。そのため、センサは、呼気ガス流13を測定する代わりに、実際には呼気ガス流13及び場合により装置ガス流11の少なくとも一部(すなわち漏出ガス流12)を含む複合ガス流出流15のガス成分を測定している。呼気ガス流13は、実際には測定されず、複合ガス流出流が測定されるため、呼気ガス流の見た目の読取りは、正確ではない。複合ガス流出流15は、他のガス - 例えば、周囲空気中に存在するガス - も含み得ることに留意されたい。
【0267】
この状況は、PCT/IB2021/052062号明細書、米国特許出願第62/989081号明細書(これに基づいてPCT/IB2021/052062号明細書が優先権を主張する)に詳細に記載されており、これは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0268】
以下の導出は、患者又はその近く(「近傍」)で複合ガス流出流15中のガス成分のパラメータを測定し、パラメータの測定値における漏出ガス流12の影響を考慮し、測定値を適宜調整し(又は別の方法で測定値及び他の情報を使用し)、患者からの実際の呼気ガス流13中の所望のガス成分のパラメータを決定することにより、所望のガス成分の実際の呼気ガス流13のパラメータFEを決定するための装置及び方法を提供するために使用することができる。装置ガス流は、パラメータの決定を補助するためにシグネチャーで変化させることができる。複合ガス流出流15は、(CO2及びO2に加えて)他のガス - 例えば、周囲空気中に存在するガス - も含み得る。記載される本実施形態は、そのような追加のガスの存在下でも機能する。
【0269】
呼吸装置は、患者に装置ガス流を提供することができる流れ供給源を含み得る。本装置は、装置ガス流の経時変化するパラメータが経時変化するように、経時変化する装置ガス流を提供する。これにより、実際の呼気ガス流13のガスパラメータの決定を補助するために使用できるシグネチャーが得られる。可能な例として、装置ガス流の経時変化するパラメータは、流量又はガス割合(ガス分率(例えば、O2分率)及び/又はガス分圧(例えば、O2分圧)など)であり得る。
【0270】
Eは、装置ガス流11の経時変化する流量又は経時変化するO2分率のいずれが使用されるかに応じて、以下の2つの方法の1つで導出される。
【0271】
鼻での測定について、以下の導出(セクション7.2.1及び7.2.2)では、定数kを(1-k)で置き換える必要があることに留意されたい。口が閉じられ、鼻で測定する場合、k=0、(1-k)=1となる。
【0272】
注:酸素分率又は流量の変化は、患者の呼吸支援の中断を減らすために、吐出し中に限って生じ得る。
【0273】
7.2.1 装置ガス流の経時変化する流量を用いた呼吸パラメータの決定
Eは、流量が経時変化する装置ガス流13を使用する場合、以下のように決定することができる(CO2呼気分率 - O2呼気分率について、後述の別の式を使用することができる)。
【数28】
【0274】
これは、以下のように導出される:患者によって吐き出されたガスの全部又は大部分が口から出ると仮定すると、鼻への高流量が提供されている患者の口で測定されたガスの体積分率(Fm)は、時間の関数として、
【数29】
として表され得、式中、
Oは、装置ガス流の流量であり、
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2)成分の体積分率であり、
mは、患者からの複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又は他のトレーサーガス)成分の体積分率である。
Eは、呼気患者ガス流13中のガス(CO2及び/又はO2、N2又は他のトレーサーガス)の体積分率(呼気ガスの体積分率)であり、
kは、患者の口を通して出る装置ガス流11の割合であり(及び(1-k)は、鼻を通して出る(例えば、それから出る/を出る)割合である)、
Eは、患者の呼気ガス流の流量である。
【0275】
式(1)は、未知の量であるk及びQEの比を求めるために再整理することができる。
【数30】
【0276】
患者の吐出しフェーズ中、(吐出し)ガス成分の分率(患者の複合ガス流出流15’で測定されたガス成分の体積分率Fm)、患者の呼気ガス流流量(QE)及び口から出る装置ガス流の割合(k)がほぼ一定であると仮定できるように、サンプル間の時間であるΔtが十分に短い時間t及びt+Δtで取られた2つのサンプルについて近似することができる。
【数31】
【0277】
次に、(3)から、
【数32】
である。
【0278】
Eを解く。
【数33】
【0279】
この式は、酸素、二酸化炭素、窒素、ヘリウム及び/又はセボフルランなどの麻酔剤の呼気分率などの呼気ガス流量13のパラメータを決定するために使用することができる。
【0280】
いくつかの構成では、呼気ガス流13’中のガス流成分のパラメータ(FE)のよりよい推定値を得るために、式(4)に補正又は補償を適用することができる。例えば、複合ガス流出流及び口から出る装置ガス流の割合がほぼ一定であるという仮定が正しくないことを考慮するために、式(4)に補正又は補償を適用することができる。このような補正又は補償は、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる本出願人の刊行物国際公開第2017187391号又は米国特許出願公開第2019/0150831号明細書に記載されているように、患者インターフェース流量の関数として患者インターフェース流に対する口の流れの比率を考慮することができる。
【0281】
CO2の測定では、FO(t)=FO(t+Δt)~0であるため、式(4)は、以下のようになる。
【数34】
【0282】
上記は、既知の/測定された量、Fm(t)、QO(t)、Fm(t+Δt)、QO(t+Δt)に関する酸素と二酸化炭素の式である。求められたFECO2は、二酸化炭素波形を復元することができる。
【0283】
7.2.2 装置ガス流の経時変化するガス分率を用いた呼吸パラメータの決定
ガス分率が経時変化する装置ガス流11を使用する場合、以下のように決定できる。
【数35】
これは、上で導出された式4から以下のように導出される。
【0284】
装置ガス流11の酸素分率が経時変化するが、装置ガス流11の流量が一定である場合、
o(t+Δt)=Qo(t)
であり、式(4)は
【数36】
となる。
【0285】
上下の行を単純化すると、以下のようになる。
【数37】
【0286】
7.3 患者の口が開いているときの吐出しサイクル中の吐出し流量及び/又は状態パラメータの決定
本実施形態では、以下の式30:
【数38】
を利用して、QE - 吐出し流量(すなわち呼気ガス流13の流量)を得、式中、
Eは、吐出し流量(呼気ガス流の流量)であり、及び
状態パラメータは、以下の通りである。
kは、0~1の値であり、口を通して出る装置ガス流11の割合である(及び(1-k)は、鼻を通る分率である)。口が開いている場合、患者の吐出しは、実質的に全て口を通して出ると仮定される。
Oは、装置ガス流11の流量である。
Oは、呼吸装置から到来する装置ガス流11中のガス(例えば、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
mは、患者からの複合ガス流出流15中のガス(例えば、O2、CO2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率である。
Eは、呼気患者ガス流13中のガス(例えば、CO2、O2、N2又はトレーサーガス)成分の体積分率(吐出しガスの体積分率)である。
【0287】
式30は、式41が(1-k(t))項を有するのに対して、式30がk(t)項を有することを除いて、式41と類似している。これは、式41では口が閉じられているため、センサ14が鼻で感知するからである。式30では、口が開いているため、センサ14は、口で感知する。
【0288】
このk(t)は、以下のように求めることができる:
例えば、一方の鼻孔でシールされたインターフェースを使用し、他方の鼻孔からの流れQmを測定する。
m=(1-k)Qo (28)
【0289】
これにより、以下の式:
【数39】
を用いて、kの値を決定することが可能になる。
【0290】
口に存在する高流量の量を決定すると、一回換気量を求めることができる。
【0291】
式(14)を考慮する。
【数40】
【0292】
次に、吐出し流を、
【数41】
のように表すことができる。kは、口を通して出る装置ガス流の分率である(及び(1-k)は、鼻を通る分率である)。
【0293】
先に導出した式16又は式17を用いて、装置ガス流の酸素分率又は流量を変化させることにより、吐き出されたガスの体積分率FEを決定することができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】