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特表2024-530996レドックスフロー電池システムにおいて電解質を流動させ、貯蔵し、かつリバランシングするためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】レドックスフロー電池システムにおいて電解質を流動させ、貯蔵し、かつリバランシングするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/18 20060101AFI20240820BHJP
【FI】
H01M8/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537296
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 US2022074346
(87)【国際公開番号】W WO2023034670
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/260,793
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524075308
【氏名又は名称】イーエスエス テック, インク.
【氏名又は名称原語表記】ESS Tech, Inc.
【住所又は居所原語表記】26440 SW Parkway Avenue, Wilsonville, Oregon 97070, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ クレイグ
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA07
5H126BB10
5H126FF10
5H126GG11
5H126GG12
5H126GG18
5H126JJ08
5H126RR07
(57)【要約】
レドックスフロー電池システムにおける電解質の分配、リバランシング、及び貯蔵のためのシステム及び方法が提供される。一実施例では、レドックスフロー電池システムは、複数のレドックスフロー電池セルと、それらにそれぞれ流体的に結合された複数の貯蔵タンクと、を含み得、複数の貯蔵タンクの各々におけるゲージ圧力が、比較的低い圧力未満(例えば、2psi未満)に維持され得る。いくつかの実施例では、レドックスフロー電池システムは、複数の貯蔵タンクにそれぞれ流体的に結合された複数のリバランシングセルを更に含み得、複数のリバランシングセルの各々は、内部短絡電極アセンブリの積層体を含む。このようにして、レドックスフロー電池システムは、複数の空間効率的な(例えば、角柱状かつ比較的小さい)貯蔵タンクが含まれ得るように、比較的低い圧力未満で動作し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レドックスフロー電池システムであって、
複数のレドックスフロー電池セルと、
前記複数のレドックスフロー電池セルにそれぞれ流体的に結合された複数の角柱電解質貯蔵タンクと、を備え、
前記複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々内のゲージ圧力が、2psi未満に維持される、レドックスフロー電池システム。
【請求項2】
前記複数のレドックスフロー電池セルの各々が、それぞれレドックス電極及びめっき電極を収容する正電極コンパートメント及び負電極コンパートメントを備え、
前記複数の角柱電解質貯蔵タンクの各角柱電解質貯蔵タンクが、前記レドックスフロー電池セルの前記正電極コンパートメント及び前記負電極コンパートメントを介して、それぞれ、前記複数のレドックスフロー電池セルの各レドックスフロー電池セルに、流体的に結合されている、請求項1に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項3】
前記複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々が、正電解質及び負電解質をそれぞれ含有する正電解質チャンバ及び負電解質チャンバに分割されており、前記正電解質チャンバ及び前記負電解質チャンバが、Hガスを収容するそれぞれのガスヘッドスペースを更に含み、
前記複数の角柱電解質貯蔵タンクの各角柱電解質貯蔵タンクの前記正電解質チャンバが、前記角柱電解質貯蔵タンクに流体的に結合された前記複数のレドックスフロー電池セルのうちの1つの前記レドックスフロー電池セルの前記正電極コンパートメントに流体的に結合されており、
前記複数の角柱電解質貯蔵タンクの各角柱電解質貯蔵タンクの前記負電解質チャンバが、前記角柱電解質貯蔵タンクに流体的に結合された前記複数のレドックスフロー電池セルのうちの1つの前記レドックスフロー電池セルの前記負電極コンパートメントに流体的に結合されている、請求項2に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項4】
前記正電解質の電解質リバランシングのための複数の正リバランシングセルを更に備え、前記複数の正リバランシングセルが、
前記複数のレドックスフロー電池セルの前記正電極コンパートメントと、
前記複数の角柱電解質貯蔵タンクの前記正電解質チャンバと、にそれぞれ流体的に結合されており、
前記複数の正リバランシングセルの各々が、内部電気短絡を介して前記Hガスで前記正電解質の電解質リバランシングを駆動するように構成された正電極及び負電極の接合対を備える、請求項3に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項5】
前記負電解質の電解質リバランシングのための複数の負リバランシングセルを更に備え、前記複数の負リバランシングセルが、それぞれ、
前記複数のレドックスフロー電池セルの前記負電極コンパートメントと、
前記複数の角柱電解質貯蔵タンクの前記負電解質チャンバと、に流体的に結合されており、
前記複数の負リバランシングセルの各々が、内部電気短絡を介して前記Hガスで前記負電解質の電解質リバランシングを駆動するように構成された正電極及び負電極の接合対を備える、請求項3又は4に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項6】
外側ハウジングを更に備え、前記複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々の少なくとも1つの縁部が、前記外側ハウジングの少なくとも1つの内縁部と同一平面上に位置整合され、かつ前記外側ハウジングの少なくとも1つの内縁部によって受容されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項7】
前記レドックスフロー電池システムが、全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項8】
レドックスフロー電池パックのための方法であって、
前記レドックスフロー電池パックの第1のレドックスフロー電池について、
前記第1のレドックスフロー電池の第1の電解質貯蔵タンクから、前記第1のレドックスフロー電池の第1のレドックスフロー電池セルと前記第1のレドックスフロー電池の第1のリバランシングセルとを通して、電解質を順次サイクルさせることと、
前記第1の電解質貯蔵タンクから前記第1のリバランシングセルにHガスを流動させることと、
前記レドックスフロー電池パックの第2のレドックスフロー電池について、
前記第2のレドックスフロー電池の第2の電解質貯蔵タンクから、前記第2のレドックスフロー電池の第2のレドックスフロー電池セルと前記第2のレドックスフロー電池の第2のリバランシングセルとを通して、電解質を順次サイクルさせることと、
前記第2の電解質貯蔵タンクから前記第2のリバランシングセルにHガスを流動させることと、を含み、
前記第1の電解質貯蔵タンク及び前記第2の電解質貯蔵タンクからの前記Hガスが、80%未満の分圧で前記第1のリバランシングセル及び前記第2のリバランシングセルにそれぞれ流動する、方法。
【請求項9】
前記第1の電解質貯蔵タンク及び前記第2の電解質貯蔵タンクの各々が、非円筒形状である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の電解質貯蔵タンクからの前記Hガスが、前記第1のリバランシングセルのカソードと前記第1のリバランシングセルのアノードとのそれぞれの界面で、前記第1の電解質貯蔵タンクからの前記電解質中の正荷電イオンと反応して、前記正荷電イオンを還元し、
前記第2の電解質貯蔵タンクからの前記Hガスが、前記第2のリバランシングセルのカソードと前記第2のリバランシングセルのアノードとのそれぞれの界面で、前記第2の電解質貯蔵タンクからの前記電解質中の正荷電イオンと反応して、前記正荷電イオンを還元する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のレドックスフロー電池について、前記第1のリバランシングセルから前記第1の電解質貯蔵タンクに未反応のHガスを流動させることと、
前記第2のレドックスフロー電池について、前記第2のリバランシングセルから前記第2の電解質貯蔵タンクに未反応のHガスを流動させることと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のレドックスフロー電池について、前記第1のリバランシングセルから第1の圧力放出口ポートを介して未反応のHガスを排出することと、
前記第2のレドックスフロー電池について、前記第2のリバランシングセルから第2の圧力放出口ポートを介して未反応のHガスを排出することと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記レドックスフロー電池パックが、室温~60℃の温度範囲内で動作する、請求項8乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
レドックスフロー電池システムのための貯蔵タンクであって、
前記レドックスフロー電池システムのレドックスフロー電池セルの電極アセンブリ積層体と、前記レドックスフロー電池システムの別の貯蔵タンクの平坦表面と、前記レドックスフロー電池システムの外側ハウジングの内表面と、を同一平面上に、かつ交換可能に受容するように構成された平坦表面を含む、角柱外部ハウジングを備え、
前記角柱外部ハウジングが、流動する液体電解質及び流動するガスを収容する、貯蔵タンク。
【請求項15】
前記角柱外部ハウジングの形状が、長方角柱又は立方体である、請求項14に記載の貯蔵タンク。
【請求項16】
前記角柱外部ハウジングの各壁の厚さが、10mm未満である、請求項14又は15に記載の貯蔵タンク。
【請求項17】
前記角柱外部ハウジングが、高密度ポリエチレン、強化ポリプロピレン、又は強化ガラス繊維から形成されている、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の貯蔵タンク。
【請求項18】
前記流動する液体電解質及び前記流動するガスを、前記角柱外部ハウジングによって囲まれた前記貯蔵タンクの内部に受容するように構成された1つ以上の入口ポートと、
前記流動する液体電解質及び前記流動するガスを前記貯蔵タンクの前記内部から排出するように構成された1つ以上の出口ポートと、を更に備える、請求項14乃至17のいずれか一項に記載の貯蔵タンク。
【請求項19】
前記角柱外部ハウジングによって囲まれた前記貯蔵タンクの内部が、バルクヘッドによって正電解質チャンバと負電解質チャンバとに分割されている、請求項14乃至18のいずれか一項に記載の貯蔵タンク。
【請求項20】
スピルオーバホールが、前記流動する液体電解質の充填高さを上回る閾値高さで前記バルクヘッドに配置されている、請求項19に記載の貯蔵タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月31日に出願された、“SYSTEMS AND METHODS FOR FLOWING,STORING,AND REBALANCING ELECTROLYTE IN REDOX FLOW BATTERY SYSTEM”と題された米国仮出願第63/260,793号の優先権を主張する。上記の特定された出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、概して、レドックスフロー電池システムで使用するための電解質を貯蔵するための、及びレドックスフロー電池システムの動作中に電解質を流動させ、かつリバランシングするためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
レドックスフロー電池は、電力と容量とを独立してスケーリングする能力があるため、グリッドスケールの蓄電アプリケーションに適しており、かつ、従来の電池技術と比較して、性能損失が少なくて数千サイクルにわたる充電及び放電に好適である。全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池は、低コストで地球に豊富に存在する材料を組み込むため、特に魅力的である。一般に、鉄レドックスフロー電池(IFB)は、電解質として鉄、塩、及び水に依存し、したがって、単純で、地球に豊富に存在し、安価な材料を含み、過酷な化学物質の組み込みを排除し、その環境フットプリントを低減する。
【0004】
IFBは、レドックス反応が生じる正(レドックス)電極、及び電解質中の第一鉄(Fe2+)が還元され、めっきされ得る負(めっき)電極を含み得る。プロトン還元、鉄腐食、及び鉄めっき酸化を含む様々な副反応は、Fe2+還元と競合し得る。
+e←→1/2H(プロトン還元)(1)
Fe+2H←→Fe2++H(鉄腐食) (2)
2Fe3++Fe←→3Fe2+ (鉄めっき酸化)(3)
ほとんどの副反応はめっき電極で発生するため、IFBサイクル能力は、めっき電極上で利用可能な鉄めっきによって制限される可能性がある。鉄めっき損失を改善するための例示的な試みは、式(1)及び(2)からの水素(H)ガス発生と、式(3)からの電解質電荷不均衡(例えば、過剰なFe3+)と、式(4)を介したイオンのクロスオーバと、に対処するための触媒電解質リバランシングに焦点を当てている。
Fe3++1/2H→Fe2++H (電解質リバランシング)(4)
【0005】
いくつかの実施例では、式(4)の電解質リバランシングは、燃料電池の装備を介して実現され得、ここで、Hガス及び電解質は、正電極対及び負電極の対の間に直流(DC)を印加しながら、触媒表面で接触し得る。しかしながら、DCフローを中断する不注意な逆電流スパイクの結果として、燃料電池において信頼性の問題が生じ得る。他の実施例では、トリクルベッド又はゼリーロール反応器の装備は、同様に、Hガス及び電解質を触媒表面で接触させ得る。しかしながら、かかる装備のより低いFe3+還元速度は、より高い性能のIFB動作中に不十分にリバランシングされた電解質をもたらし得、式(4)の過剰な(Hガス)還元剤を供給するためにHガスの供給源が提供され得る。Hガスの供給源は、スタンドアロンHガス貯蔵タンク、及び/又は電解質貯蔵タンク内の電解質の真上又は物理的に分割されたHガスを貯蔵するヘッドスペースを含み得る。いずれの場合も、低いFe3+還元速度を克服するのに十分な過剰量のHガス還元剤を供給するために、Hガス及び/又は電解質貯蔵タンクは、例えば20psiなどの上側閾値ゲージ圧力までの、比較的高い圧力に定格され得る。したがって、Hガス及び/又は電解質貯蔵タンクは、かかる圧力仕様を満たすために、製造するのに比較的高価であり得る。更に、かかる高い圧力は、Hガス及び/又は電解質貯蔵タンクの全体的な形状及び構成を制限し得る。例えば、高圧貯蔵タンクは、典型的には、円筒形貯蔵タンクとして構成され、これは、比較的低い充填密度を有し得、したがって、長方角柱コンポーネント又は立方体コンポーネント(例えば、外側ケーシング、セルアセンブリ積層体など)を有するIFBに対してスペース効率が悪くなる場合がある。具体的には、(円筒形の)Hガス及び/又は電解質貯蔵タンクの側面及び端部は、丸みを帯びた角部及び/又は縁部を含み得(例えば、含有ガスの静水圧誘起圧力に耐えるために)、これにより、かかるHガス及び/又は電解質貯蔵タンクの充填密度が、物理的に制限され得る。
【0006】
一実施例では、上で説明される問題は、複数のレドックスフロー電池セルと、複数のレドックスフロー電池セルにそれぞれ流体的に結合された複数の角柱電解質貯蔵タンクと、を含むレドックスフロー電池システムによって対処され得、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々におけるゲージ圧力が、2psi未満に維持され得る。いくつかの実施例では、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々は、Hガスの比較的低い(例えば、25%と低い)分圧下で比較的高いFe3+還元速度で電解質リバランシングを実行するように構成された複数のリバランシングセルに更にそれぞれ流体的に結合され得る。このようにして、複数のリバランシングセルの各々に供給されるHガスの量は、典型的なリバランシングセルの装備のためのものよりもかなり少なくなり得、したがって、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々は、2psi未満で連続的に動作し得る。したがって、複数の角柱電解質貯蔵タンクを製造するコストは、より高い圧力範囲に定格される電解質貯蔵タンクよりも低くなり得る(複数の角柱電解質貯蔵タンクは、いくつかの実施例では、2psi以下などの比較的低い上側閾値ゲージ圧力に制限された材料及び形状で構築され得る)。更に、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々は、典型的な(例えば、比較的大きい非角柱/曲線の)電解質及び/又は水素ガス貯蔵タンク構成と比較して、増加した充填密度で構成され得る。
【0007】
いくつかの実施例では、比較的少ない量のHガスで比較的高いリバランシング性能を達成するために、リバランシングセル(例えば、上述の複数のリバランシングセルのうちの1つ)は、電極アセンブリの積層体を含み、各電極アセンブリは、互いに面共有接触している正電極及び負電極を含み得、この結果、(例えば、面共有接触している正電極及び負電極の表面で)正電極及び負電極が連続的に導電性であり得る。追加的又は代替的な実施例では、電流は、リバランシングセルから離れるように導かれない場合がある。このようにして、リバランシングセル内の電解質リバランシングは、内部の正電極及び負電極の接合対の内部電気短絡を介して駆動され得る。更に、いくつかの実施例では、リバランシングセルは、液体電解質及びHガスの各々を(例えば、強制対流、重力供給、毛細管作用などを介して)引き出すように構成され得る。このように電解質及びHガスのフローを管理することによって、内部電気短絡と組み合わせて、リバランシングセルのFe3+還元速度は、典型的なリバランシングセルの装備よりも著しく(例えば、20倍以上)改善され得る。
【0008】
更に、いくつかの実施例では、リバランシングセル内の正電極及び負電極の接合対を内部短絡することによって、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、1つの電極アセンブリから電極アセンブリの積層体を通る逆電流が駆動されず、かつ他の電極アセンブリを劣化させ得ないように、互いから電気的に分離され得る。追加的又は代替的な実施例では、正電極及び負電極の接合対の内部電気短絡が、内部短絡していない電極対と比較して電気抵抗を低減し、それによって、正電極及び負電極でのそれぞれの酸化還元反応速度を増加させ得る。各電極アセンブリのセル電位が付随して低減され、それによって副反応速度(例えば、式(1)~(3)の反応の速度)を減少させ得る。このようにして、内部短絡していないセルと比較して、リバランシングセルにおいては、有効寿命及び電気化学的性能の両方が、改善され得る。
【0009】
上記の概要は、詳細な説明で更に説明される概念の抜粋を簡略化された形で導入するために提供されていることを理解されたい。これは、特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図せず、その範囲は、詳細な説明に続く特許請求の範囲によって一意に定義される。更に、特許請求される主題は、上記又は本開示のいずれかの部分に記述されるいずれかの不利点を解決する実装形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】それぞれのリバランシング反応器に流体的に結合されたレドックス電極及びめっき電極を有する電池セルを含む、例示的なレドックスフロー電池システムの概略図を示す。
図2A】内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルの斜視図を示す。
図2B】内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルの斜視図を示す。
図3図2A及び図2Bのリバランシングセルに関する電極アセンブリの分解図を示す。
図4A図2A及び図2Bのリバランシングセル内のHガスフローの断面図を示す。
図4B図2A及び図2Bのリバランシングセル内のHガスフローの拡大挿入図を示す。
図5A図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの負電極を横切ってHガスを対流させるための例示的なフローフィールド構成の概略図を示す。
図5B図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの負電極を横切ってHガスを対流させるための例示的なフローフィールド構成の概略図を示す。
図5C図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの負電極を横切ってHガスを対流させるための例示的なフローフィールド構成の概略図を示す。
図5D図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの負電極を横切ってHガスを対流させるための例示的なフローフィールド構成の概略図を示す。
図6A図2A及び図2Bのリバランシングセル内の電解質流の断面図を示す。
図6B図2A及び図2Bのリバランシングセル内の電解質流の断面図及び拡大挿入図をそれぞれ示す。
図7A図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの例示的な電極アセンブリ内の電解質フローの斜視図を示す。
図7B図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの例示的な電極アセンブリ内の電解質フローの斜視図を示す。
図8A図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの電極アセンブリの例示的なフローフィールドプレートの斜視図を示す。
図8B図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの電極アセンブリの例示的なフローフィールドプレートの斜視図を示す。
図8C図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの電極アセンブリの例示的なフローフィールドプレートの斜視図を示す。
図8D図8A図8Cのフローフィールドプレートの断面図を示す。
図9A図2A及び図2Bのリバランシングセルなどの、リバランシングセルのセルエンクロージャを傾けるための例示的な勾配付き支持体の斜視図を示す。
図9B図2A及び図2Bのリバランシングセルなどの、リバランシングセルのセルエンクロージャを傾けるための例示的な勾配付き支持体の斜視図を示す。
図10】それぞれの全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムにおける3つの例示的なリバランシングセルについて、還元されたFe3+の合計量の関数としてのFe3+還元速度のプロットを示す。
図11A】電気グリッドに電気的に結合されたレドックスフロー電池パックを動作させるための方法のフローチャートを示す。
図11B】レドックスフロー電池パックのレドックスフロー電池を通して電解質及びHガスを循環させるための方法のフローチャートを示す。
図11C】レドックスフロー電池のリバランシングセルを動作させるための方法のフローチャートを示し、リバランシングセルは、内部短絡電極アセンブリの積層体を含む。
図12】全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムにおける例示的なリバランシングセルについて、Hガスの分圧の関数としての正規化されたFe3+還元速度のプロットを示す。
図13A図1のレドックスフロー電池システムなどのレドックスフロー電池システムの例示的な電解質貯蔵タンク構成の概略斜視図を示す。
図13B図1のレドックスフロー電池システムなどのレドックスフロー電池システムの例示的な電解質貯蔵タンク構成の概略斜視図を示す。
図13C図1のレドックスフロー電池システムなどのレドックスフロー電池システムの例示的な電解質貯蔵タンク構成の概略斜視図を示す。
図13D図1のレドックスフロー電池システムなどのレドックスフロー電池システムの例示的な電解質貯蔵タンク構成の概略斜視図を示す。
図14】複数のブーストコンバータ及び電力インバータを介して電気グリッドに電気的に結合された、図1のレドックスフロー電池システムなどの第1の例示的なレドックスフロー電池システムを示す。
図15】電力インバータを介して電気グリッドに電気的に結合された、図1のレドックスフロー電池システムなどの第2の例示的なレドックスフロー電池システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は、例えば、中に含まれる電極アセンブリの内部電気短絡を介して駆動されるリバランシングセルを含むレドックスフロー電池システムにおける電解質分配、リバランシング、及び貯蔵のためのシステム及び方法に関する。例示的な実施形態では、リバランシングセルは、レドックスフロー電池システムの電解質サブシステムに流体的に結合され得る。レドックスフロー電池システムは、図1に、(例えば、それぞれ正電解質及び負電解質を貯蔵するための)別個の正電解質チャンバ及び負電解質チャンバと、(例えば、Hガスを貯蔵するための)それぞれのガスヘッドスペースと、を有する統合されたマルチチャンバタンクを有するように概略的に描写される。いくつかの実施例では、レドックスフロー電池システムは、全鉄フロー電池(IFB)を含み得、これはIFBの正(レドックス)電極及び負(めっき)電極の両方で鉄レドックス化学を利用する。電解質チャンバは、1つ以上の電池セルに結合され得、各セルは正電極及び負電極を含む。そこから、電解質が、正電極及び負電極をそれぞれ収容する正電極コンパートメント及び負電極コンパートメントを通ってポンプ投入され得る。
【0012】
いくつかの実施例では、レドックスフロー電池システムは、ハイブリッドレドックスフロー電池を含み得る。ハイブリッドレドックスフロー電池は、電極(例えば、負電極)上の固体層としての1つ以上の電気活性材料の堆積によって特徴付けられ得るレドックスフロー電池である。ハイブリッドレドックスフロー電池は、例えば、電池充電プロセス全体を通じて基板上に固体として電気化学反応を介してめっきし得る化学種を含み得る。電池放電中、めっきされた種は、更なる電気化学反応を介してイオン化し、電解質中に可溶性になり得る。ハイブリッドレドックスフロー電池システムでは、レドックスフロー電池の充電容量(例えば、蓄積される最大エネルギー量)は、電池充電中にめっきされた金属の量によって制限され得、したがって、めっきシステムの効率、並びにめっきに利用可能な体積及び表面積に依存し得る。
【0013】
いくつかの実施例では、レドックスフロー電池システムにおける電解不均衡は、プロトン還元及び鉄腐食などの水素(H)ガス生成反応:
+e←→1/2H(プロトン還元)(1)
Fe+2H←→Fe2++H(鉄腐食) (2)
及び鉄めっきの酸化中に生成される過剰な第二鉄(Fe3+)からの電荷不均衡:
2Fe3++Fe←→3Fe2+ (鉄めっき酸化)(3)
を含む、所望のレドックス化学と競合する多数の副反応から生じ得る。式(1)~(3)の反応は、鉄めっきを制限し、それによって全体的な電池容量を減少させ得る。かかる不均衡に対処するために、電解質リバランシングを活用して、単一のレドックス反応:
Fe3++1/2H→Fe2++H (電解質リバランシング)(4)
を介してFe3+を還元し、過剰なHガスを除去し得る。
【0014】
本明細書の実施形態によって説明されるように、より高性能の用途のための十分なFe3+還元速度は、図3の例示的な電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含む、図2A及び図2Bの例示的なリバランシングセルなどのリバランシングセルを介して、より低いHガス分圧で確実に達成され得る。図4A及び図4Bは、リバランシングセル内のHガスフローの態様を描写し、Hガスは、図5A図5Dの例示的なフローフィールド構成などのそれぞれのフローフィールド構成を含む、図8A図8Dの例示的なフローフィールドプレートなどのフローフィールドプレートを介して、内部短絡電極アセンブリの負電極を横切って対流し得る。同様に、図6A図7Bは、リバランシングセル内の電解質フローの態様を描写し、電解質は、重力供給及び毛細管作用の組み合わせを介して内部短絡電極アセンブリの正電極を横切って分配され得る(追加的又は代替的に、負電極を横切るHガスの対流と同様に、電解質は、図5A図5Dの例示的なフローフィールド構成などのそれぞれのフローフィールド構成を含む、図8A図8Dの例示的なフローフィールドプレートなどのフローフィールドプレートを介して正電極を横切って対流し得る)。いくつかの実施例では、重力供給は、図9A及び図9Bの例示的な勾配付き支持体などの勾配付き支持体をリバランシングセルのセルエンクロージャに結合することによって支援され得、その結果、セルエンクロージャは、重力の方向に対する傾斜面上に置かれ得る。
【0015】
図10は、例示的なリバランシングセルの動作中に減少したFe3+の総量の関数としてのFe3+還元速度をプロットしており、内部短絡電極アセンブリを含むリバランシングセルについてのFe3+還元の増加を示す。かかる増加したFe3+還元を達成する際に、リバランシングセルは、比較的低いHガス分圧で動作され得る。例えば、図12にプロットされるように、例示的なリバランシングセルは、Fe3+還元速度への実質的に最小限の影響で、25%もの低いH分圧で動作され得る(「実質的に」は、「実効的に」を意味する修飾語として本明細書で使用され得る)。したがって、電解質リバランシングのためのHガスを提供する統合されたマルチチャンバタンクは、レドックスフロー電池システムで典型的に採用される貯蔵タンクよりも低いH分圧に定格され得る。より低圧、より高性能の電解質リバランシング用に構成された例示的な貯蔵タンクが、図13A図13Dに概略的に示される。一実施例では、図13Aに示されるように、統合されたマルチチャンバタンクは、円筒形又は修正された円筒形として構成され得る。代替的に、図13Bに示されるように、統合されたマルチチャンバタンクは、長方角柱又は立方体などのより空間効率的な非円筒形状として構成されてもよい(「長方角柱」/「長方角柱の」及び「立方体」/「立方体の」は、いくつかの実施例では代替として本明細書に提示され得るが、「立方体」は、「長方角柱」の特別な場合であり得ることが理解されよう)。いくつかの実施例では、図13C及び図13Dに概略的に描写されるように、統合されたマルチチャンバタンクは、比較的高い空間利用率でレドックスフロー電池システム全体に積層及び/又は分散されるように非円筒形状に構成され得る複数の貯蔵タンクとして構成され得る。
【0016】
一実施例として、図14は、複数のブーストコンバータ及び電力インバータを介して電気グリッドに電気的に結合された第1の例示的なレドックスフロー電池システムを描写し、第1のレドックスフロー電池システムは、複数のセルアセンブリ積層体を含み、複数のセルアセンブリ積層体の各々は、レドックスフロー電池セル及びリバランシングセルを含み、電解質及びHガスを複数のセルアセンブリ積層体に分配するための単一の非円筒形貯蔵タンクを含む。別の実施例として、図15は、電力インバータを介して電気グリッドに電気的に結合された第2の例示的なレドックスフロー電池システムを描写し、第2の例示的なレドックスフロー電池システムは、複数のセルアセンブリ積層体であって、複数のセルアセンブリ積層体の各々が、レドックスフロー電池セル及びリバランシングセルを含む、複数のセルアセンブリ積層体と、電解質及びHガスを複数のセルアセンブリ積層体にそれぞれ分配するための複数の非円筒形貯蔵タンクであって、複数の貯蔵タンクが、図14の第1の例示的なレドックスフロー電池システムの単一の貯蔵タンクと実質的に同等の全容積を有する、複数の非円筒形貯蔵タンクと、を含む。したがって、図15に更に描写されるように、第2の例示的なレドックスフロー電池システムのレドックスフロー電池セルは、直流(DC)電圧がレドックスフロー電池セルにわたって蓄積され得、かつ(DC-DC)ブーストコンバータが第2のレドックスフロー電池システムに含まれ得ないように直列に電気的に結合され得る。
【0017】
レドックスフロー電池システムを動作させる例示的な方法が、図11A図11Cに描写される。具体的には、電気グリッドに電力供給するために、レドックスフロー電池パック(例えば、レドックスフロー電池の電気的に結合されたパックとして構成されたレドックスフロー電池システム)を動作させる例示的な方法が、図11Aに描写される。レドックスフロー電池パックの動作は、図11Cの方法によって描写されるように、リバランシングセルの動作を介したHガスを用いる電解質のリバランシングを含む、図11Bの方法によって描写されるように、レドックスフロー電池パックに含まれる各レドックスフロー電池の全体に電解質及びHガスを循環させることを含み得る。
【0018】
図1に示されるように、レドックスフロー電池システム10では、負電極26は、めっき電極と呼ばれ得、正電極28は、レドックス電極と呼ばれ得る。レドックスフロー電池セル18のめっき側(例えば、負電極コンパートメント20)内の負電解質は、めっき電解質と呼ばれ得、レドックスフロー電池セル18のレドックス側(例えば、正電極コンパートメント22)上の正電解質は、レドックス電解質と呼ばれ得る。
【0019】
「アノード」は、電気活性材料が電子を失う電極を指し、「カソード」は、電気活性材料が電子を獲得する電極を指す。電池充電中、負電解質は、負電極26で電子を獲得し、負電極26は、電気化学反応のカソードである。電池放電中、負電解質は電子を失い、負電極26は、電気化学反応のアノードである。代替的には、電池放電中、負電解質及び負電極26は、それぞれ、電気化学反応のアノード液及びアノードと呼ばれ得、一方、正電解質及び正電極28は、それぞれ、電気化学反応のカソード液及びカソードと呼ばれ得る。電池充電中、負電解質及び負電極26は、それぞれ、電気化学反応のカソード液及びカソードと呼ばれ得、一方、正電解質及び正電極28は、それぞれ、電気化学反応のアノード液及びアノードと呼ばれ得る。簡潔にするために、「正」及び「負」という用語は、レドックスフロー電池システムにおける電極、電解質、及び電極コンパートメントを指すために本明細書で使用される。
【0020】
ハイブリッドレドックスフロー電池の一実施例は、全鉄レドックスフロー電池(IFB)であり、電解質は、鉄塩(例えば、FeCl、FeClなど)の形態の鉄イオンを含み、負電極26は、金属鉄を含む。例えば、負電極26において、第一鉄(Fe2+)は、電池充電中に2つの電子を獲得し、鉄金属(Fe)として負電極26上にめっきし、Feは、電池放電中に2つの電子を失い、Fe2+として再溶解する。正電極28において、Fe2+は、電池充電中に電子を失って、第二鉄(Fe3+)を形成し、Fe3+は、電池放電中に電子を獲得して、Fe2+を形成する。電気化学反応は、式(5)及び式(6)に要約され、ここで、順方向反応(左から右)は、電池充電中の電気化学反応を示し、一方、逆方向反応(右から左)は、電池放電中の電気化学反応を示す。
Fe2++2e←→Fe -0.44V (負電極)(5)
Fe2+←→2Fe3++2e+0.77V (正電極)(6)
【0021】
上述のように、IFBで使用される負電解質は、電池充電中に、Fe2+が負電極26から2つの電子を受け入れて、Feを形成し、基板上にめっきし得るように、十分な量のFe2+を提供し得る。電池放電中、めっきされたFeは、2つの電子を失い、Fe2+にイオン化し、電解質に溶解して戻り得る。上記反応の平衡電位は-0.44Vであり、したがって、この反応は所望のシステムに負の端子を提供する。IFBの正側では、電解質は、電池充電中にFe2+を提供し得、これは電子を失い、Fe3+に酸化する。電池放電中、電解質によって提供されるFe3+は、正電極28によって提供される電子を吸収することによってFe2+になる。この反応の平衡電位は+0.77Vであり、所望のシステムに正の端子を作成する。
【0022】
IFBは、非再生電解質を利用する他の電池タイプとは対照的に、その中で電解質を充電及び再充電する能力を提供し得る。充電は、端子40及び42を介して電極26及び28を横切ってそれぞれ電流を印加することによって達成され得る。負電極26は、(例えば、正電極コンパートメント22内の正電解質中でFe2+が、Fe3+に酸化される際に)電子が正電極28を介して負電解質に送達され得るように、端子40を介して電圧源の負側に電気的に結合され得る。負電極26に提供される電子は、負電解質中のFe2+を還元して、(めっき)基板にFeを形成し得、Fe2+を負電極26上にめっきさせる。
【0023】
放電は、Feが酸化のために負電解質に対して利用可能なままである間、及びFe3+が還元のために正電解質において利用可能なままである間、持続し得る。一例として、Fe3+利用可能性は、外部正電解質チャンバ52などの外部供給源を介して追加のFe3+イオンを提供するために、レドックスフロー電池セル18の正電極コンパートメント22側の正電解質の濃度又は体積を増加させることによって維持され得る。より一般的には、放電中のFeの利用可能性は、IFBシステムで問題となり得、ここで放電のために利用可能なFeは、負電極基板の表面積及び体積、並びにめっき効率に比例し得る。充電容量は、負電極コンパートメント20内のFe2+の利用可能性に依存し得る。一例として、Fe2+利用可能性は、外部負電解質チャンバ50などの外部供給源を介して追加のFe2+イオンを提供して、レドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側への負電解質の濃度又は体積を増加させることによって維持され得る。
【0024】
IFBでは、正電解質は、第一鉄、第二鉄、第二鉄錯体、又はそれらの任意の組み合わせを含み得、一方、負電解質は、IFBシステムの充電状態(SOC)に応じて、第一鉄又は第一鉄錯体を含み得る。前述のように、負電解質及び正電解質の両方における鉄イオンの利用は、レドックスフロー電池セル18の両側で同じ電解質種の利用を可能にし得、これは、電解質交差汚染を低減し得、IFBシステムの効率を高め得、その結果、他のレドックスフロー電池システムと比較して電解質交換が少なくなる。
【0025】
IFBにおける効率損失は、セパレータ24(例えば、イオン交換膜バリア、微孔性膜、など)を通る電解質クロスオーバから生じ得る。例えば、正電解質中のFe3+イオンは、Fe3+イオン濃度勾配及びセパレータ24を横切る電気泳動力によって負電解質に向かって駆動され得る。その後、セパレータ24を貫通し、負電極コンパートメント20にクロスオーバするFe3+イオンは、クーロン効率損失をもたらし得る。低pHレドックス側(例えば、より酸性の正電極コンパートメント22)から高pHめっき側(例えば、より酸性でない負電極コンパートメント20)にクロスオーバするFe3+イオンは、Fe(OH)の沈殿をもたらし得る。Fe(OH)の沈殿は、セパレータ24を劣化させ、永久的な電池性能及び効率の損失を引き起こす可能性がある。例えば、Fe(OH)沈殿物は、イオン交換膜の有機官能基を化学的に汚すか、又はイオン交換膜の微細孔を物理的に詰まらせる場合がある。いずれの場合も、Fe(OH)沈殿物のために、膜のオーム抵抗が時間の経過とともに上昇し、電池の性能が低下する可能性がある。沈殿物は、IFBを酸で洗浄することによって除去され得るが、一定のメンテナンス及びダウンタイムは、商業用電池用途にとって不利であり得る。更に、洗浄は、電解質の定期的な調製に依存し得、追加の処理コスト及び複雑さに寄与する。代替的には、電解質のpH変化に応答して正電解質及び負電解質に特定の有機酸を添加することは、全体的なコストを押し上げることなく、電池充電及び放電サイクリング中の沈殿物の形成を軽減し得る。追加的に、Fe3+イオンクロスオーバを抑制する膜バリアを実装することはまた、汚れを軽減し得る。
【0026】
追加のクーロン効率の損失が、H(例えば、プロトン)の還元及びその後のHガスの形成、並びに負電極コンパートメント20内のプロトンと、負電極26のめっきされた鉄金属に供給される電子との反応によって引き起こされて、Hガスを形成し得る。
【0027】
IFB電解質(例えば、FeCl、FeCl、FeSO、Fe(SO、など)は、容易に入手可能であり得、低コストで生成され得る。一実施例では、IFB電解質は、塩化第一鉄(FeCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化マンガン(II)(MnCl)、及びホウ酸(HBO)から形成され得る。IFB電解質は、負電解質及び正電解質に同じ電解質が使用され得るため、より高い再利用値を提供し得、結果として、他のシステムと比較して交差汚染の問題を低減する。更に、鉄の電子配置のため、鉄は、負電極基板へのめっき中に概して均一な固体構造に固化し得る。ハイブリッドレドックス電池で一般的に使用される亜鉛及び他の金属の場合、めっき中に固体樹枝状構造が形成される場合がある。IFBシステムの安定した電極形態は、他のレドックスフロー電池と比較して電池の効率を高め得る。なお更に、鉄レドックスフロー電池は、有毒な原材料の使用を低減し得、他のレドックスフロー電池電解質と比較して比較的中性のpHで動作し得る。したがって、IFBシステムは、生産中の他の全ての現在の先進的なレドックスフロー電池システムと比較して、環境有害性を低減し得る。
【0028】
図1を続けると、レドックスフロー電池システム10の概略図が示されている。レドックスフロー電池システム10は、電解質流路124を介して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に流体的に結合されたレドックスフロー電池セル18を含み得る。レドックスフロー電池セル18は、負電極コンパートメント20、セパレータ24、及び正電極コンパートメント22を含み得る。セパレータ24は、電気絶縁イオン伝導障壁を含み得、これは、特定のイオンの伝導を可能にしながら、正電解質と負電解質とのバルク混合を防止する。例えば、上述したように、セパレータ24は、イオン交換膜及び/又は微孔性膜を含み得る。
【0029】
負電極コンパートメント20は、負電極26を含み得、負電解質は、電気活性材料を含み得る。正電極コンパートメント22は、正電極28を含み得、正電解質は、電気活性材料を含み得る。いくつかの実施例では、多数のレドックスフロー電池セル18を直列又は並列に組み合わせて、レドックスフロー電池システム10でより高い電圧又は電流を生成し得る。
【0030】
図1に更に図示されているのは、負及び正電解質ポンプ30及び32であり、両方とも、電解質流路124を介して、レドックスフロー電池システム10を通して電解質溶液をポンプ投入するために使用される。電解質は、セルの外部の1つ以上のタンクに貯蔵され、それぞれ、レドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側及び正電極コンパートメント22側を通して、負及び正電解質ポンプ30及び32を介してポンプ投入される。
【0031】
レドックスフロー電池システム10はまた、第1のバイポーラプレート36及び第2のバイポーラプレート38を含み得、各々は、それぞれ、負電極26及び正電極28の背面側、例えば、セパレータ24に面する側の反対側、に沿って配置される。第1のバイポーラプレート36は負電極26と接触し得、第2のバイポーラプレート38は正電極28と接触し得る。しかしながら、他の実施例では、バイポーラプレート36及び38は、電極26及び28に近接して配列され得るが、電極26及び28から離間され、それぞれの電極コンパートメント20及び22内に収容されてもよい。いずれの場合も、バイポーラプレート36及び38は、それぞれ、負及び正電極26及び28との直接接触を介して、又は負及び正電極26及び28を介して、それぞれ、端子40及び42に電気的に結合され得る。IFB電解質は、バイポーラプレート36及び38の材料の導電特性に起因して、第1及び第2のバイポーラプレート36及び38によって、負及び正電極26及び28の反応部位に輸送され得る。電解質のフローはまた、負及び正電解質ポンプ30及び32によって補助され得、レドックスフロー電池セル18を通る強制対流を容易にする。反応した電気化学種はまた、強制対流並びに第1及び第2のバイポーラプレート36及び38の存在の組み合わせによって、反応部位から離れるように導かれ得る。
【0032】
図1に例解されるように、レドックスフロー電池セル18は、負の電池端子40及び正の電池端子42を更に含み得る。充電電流が電池端子40及び42に印加されると、正電解質は正電極28で酸化され得(1つ以上の電子を失う)、負電解質は負電極26で還元され得る(1つ以上の電子を獲得する)。電池放電中に、逆レドックス反応が電極26及び28上で生じ得る。言い換えれば、正電解質は、正電極28で還元され得(1つ以上の電子を獲得する)、負電解質は、負電極26で酸化され得る(1つ以上の電子を失う)。電池を横切る電位差は、正電極コンパートメント22及び負電極コンパートメント20における電気化学的レドックス反応によって維持され得、反応が持続している間、集電体を通る電流を誘導し得る。レドックス電池によって貯蔵されたエネルギーの量は、電解質の総量及び電気活性材料の溶解度に応じて、放電のために電解質中で利用可能な電気活性材料の量によって制限され得る。
【0033】
レドックスフロー電池システム10は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を更に含み得る。マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、バルクヘッド98によって分割され得る。バルクヘッド98は、正電解質及び負電解質の両方が単一のタンク内に含まれ得るように、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内に多数のチャンバを作成し得る。負電解質チャンバ50は、電気活性材料を含む負電解質を保持し、正電解質チャンバ52は、電気活性材料を含む正電解質を保持する。バルクヘッド98は、負電解質チャンバ50と正電解質チャンバ52との間に所望の体積比をもたらすように、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内に配置され得る。一実施例では、バルクヘッド98は、負のレドックス反応と正のレドックス反応との間の化学量論比に従って、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の体積比を設定するように配置され得る。図1は、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の充填高さ112を更に図示し、これは、各タンクコンパートメント内の液体レベルを示し得る。図1はまた、負電解質チャンバ50の充填高さ112の上に位置するガスヘッドスペース90、及び正電解質チャンバ52の充填高さ112の上に位置するガスヘッドスペース92を示す。ガスヘッドスペース92は、レドックスフロー電池の動作を通じて(例えば、プロトン還元及び鉄腐食の副反応により)生成され、レドックスフロー電池セル18から戻る電解質とともにマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に運ばれるHガスを貯蔵するために利用され得る。Hガスは、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内の気体-液体境界部(例えば、充填高さ112)で自然に分離され得、それによって、レドックスフロー電池システム10の一部として追加の気体-液体セパレータを有することを排除する。電解質から分離されると、Hガスは、ガスヘッドスペース90及び92を満たし得る。こうして、貯蔵されたHガスは、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110から他のガスをパージするのに役立ち得、それによって、電解質種の酸化を低減するための不活性ガスブランケットとして機能し、これは、レドックスフロー電池容量損失を低減するのに役立ち得る。このようにして、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を利用することは、従来のレドックスフロー電池システムに共通の別個の負及び正電解質貯蔵タンク、水素貯蔵タンク、及び気体-液体セパレータを有することを不要にし得、それによって、システム設計を簡素化し、レドックスフロー電池システム10の物理的フットプリントを低減し、システムコストを低減する。
【0034】
図1はまた、スピルオーバホール96を示し、これは、ガスヘッドスペース90と92との間のバルクヘッド98に開口部を作成し得、チャンバ50と52との間でガス圧力を均等化する手段を提供し得る。スピルオーバホール96は、充填高さ112の上の閾値高さに配置され得る。スピルオーバホール96は、電池クロスオーバが発生した場合に、負及び正電解質チャンバ50及び52の各々における電解質の自己バランスをとる能力を更に可能にし得る。全鉄レドックスフロー電池システムの場合、同じ電解質(Fe2+)が、負及び正電極コンパートメント20及び22の両方で使用され、それにより負電解質チャンバ50と正電解質チャンバ52との間の電解質のスピルオーバは、全体的なシステム効率を低減させる可能性があるが、全体的な電解質組成、電池モジュール性能、及び電池モジュール容量が維持され得る。フランジ継手が、漏れのない連続的に加圧された状態を維持するために、入口及び出口のマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110との間の全ての配管接続に利用され得る。マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、負及び正電解質チャンバ50及び52の各々からの少なくとも1つの出口、並びに負及び正電解質チャンバ50及び52の各々への少なくとも1つの入口を含み得る。更に、1つ以上の出口接続が、Hガスをリバランシング反応器又はセル80及び82に導くために、ガスヘッドスペース90及び92から提供され得、その結果、リバランシング反応器又はセル80及び82が、それぞれ、ガスヘッドスペース90及び92に流体的に結合され得る。
【0035】
示されるように、電解質流路124は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を、レドックスフロー電池セル18とリバランシング反応器80及び82の各々とに流体的に結合し得る。いくつかの実施例では、電解質流路124は、レドックスフロー電池システム10の動作中に、負電解質及び正電解質が、いかなる他のレドックスフロー電池セルにも入ることなく、又はそうでなければレドックスフロー電池システム10から排出されることなく、電解質流路に沿って1つのレドックスフロー電池セル18のみを通って循環され得るという意味で、閉じた流路であり得る。かかる例では、レドックスフロー電池システム10が複数のレドックスフロー電池セル18を含む場合、複数の(閉じた)電解質流路124がレドックスフロー電池システム10に含まれ得、複数の電解質流路124の数が、複数のレドックスフロー電池セル18の数に等しい。このようにして、及び図15を参照して以下でより詳細に説明されるように、レドックスフロー電池セル18の各々は、互いに流体的に隔離され、それによって、負電解質及び正電解質を介した積層体間短絡を排除し得る。他の実施例では、レドックスフロー電池システム10は、電解質流路124を介して互いに流体的に結合された複数のレドックスフロー電池セル18を含み得る(図14を参照のこと)。
【0036】
電解質流路124は、負電解質フローループ120及び正電解質フローループ122を含み得、ここで、負電解質及び正電解質は、それぞれ、負電解質フローループ120及び正電解質フローループ122を通してサイクルされ得る。負電解質フローループ及び正電解質フローループ120及び122は、互いに完全に又はほぼ完全に流体的に分離され得る(例えば、流体的な結合は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110のバルクヘッド98に含まれる場合のスピルオーバホール96を介してのみ起こり得る)。示されるように、負電解質フローループ120は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の負電解質チャンバ50、負電解質ポンプ30、レドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20、及び(負)リバランシング反応器80を通って順次サイクルし、そこから、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の負電解質チャンバ50に戻るように流動し得る。更に示されるように、正電解質フローループ122は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の正電解質チャンバ52、正電解質ポンプ32、レドックスフロー電池セル18の正電極コンパートメント22、及び(正)リバランシング反応器82を順次通過し、そこから、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の正電解質チャンバ52に戻るように流動し得る。したがって、主にマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に貯蔵された電解質溶液は、負電解質ポンプ及び正電解質ポンプ30及び32を介してレドックスフロー電池システム10の全体にポンプ投入され得、負電解質チャンバ50に貯蔵された電解質は、レドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側を通って負電解質ポンプ30を介してポンプ投入され得、正電解質チャンバ52に貯蔵された電解質は、レドックスフロー電池セル18の正電極コンパートメント22側を通って正電解質ポンプ32を介してポンプ投入され得る。このようにして、レドックスフロー電池システム10の動作中に、負電解質及び正電解質は、それぞれ、負電解質フローループ及び正電解質フローループ120及び122を介して、概して互いに大きく独立して、レドックスフロー電池セル18を通してサイクルされ得る。
【0037】
図1には示されていないが、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の各々に熱的に結合された1つ以上のヒータを更に含み得る。代替の例では、負及び正電解質チャンバ50及び52のうちの1つだけが、1つ以上のヒータを含んでもよい。正電解質チャンバ52のみが1つ以上のヒータを含む場合には、負電解質は、レドックスフロー電池セル18において生成される熱を負電解質に伝達することによって加熱されてもよい。このようにして、レドックスフロー電池セル18は、負電解質を加熱し、負電解質の温度調節を容易にし得る。1つ以上のヒータは、コントローラ88によって作動されて、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の温度を独立して又は一緒に調節し得る。例えば、閾値温度を下回る電解質温度に応答して、コントローラ88は、電解質への熱流束が増加し得るように、1つ以上のヒータに供給される電力を増加させ得る。電解質温度は、センサ60及び62などのマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に取り付けられた1つ以上の温度センサによって示され得る。例として、1つ以上のヒータは、電解質流体に浸漬されたコイル型ヒータ若しくは他の浸漬ヒータ、又はその中の流体を加熱するために負及び正電解質チャンバ50及び52の壁を通して熱を伝導的に伝達する表面マントル型ヒータを含み得る。本開示の範囲から逸脱することなく、他の既知のタイプのタンクヒータが使用されてもよい。更に、コントローラ88は、固体充填閾値レベルを下回る液体レベルに応答して、負及び正電解質チャンバ50及び52内の1つ以上のヒータを停止させ得る。別の方法で言えば、いくつかの実施例では、コントローラ88は、固体充填閾値レベルを上回る液体レベルに応答してのみ、負及び正電解質チャンバ50及び52内の1つ以上のヒータを作動させ得る。このようにして、負及び/又は正電解質チャンバ50、52内に十分な液体なしで1つ以上のヒータを作動させることが回避され得、それによって、ヒータ(複数可)の過熱又は焼損のリスクを低減させる。
【0038】
なお更に、1つ以上の入口接続が、フィールド水和システム(図示せず)から負及び正電解質チャンバ50及び52の各々に提供され得る。このようにして、フィールド水和システムは、最終使用場所での、レドックスフロー電池システム10の設置、充填、及び水和を含む、レドックスフロー電池システム10の稼働開始を容易にし得る。更に、最終使用場所でレドックスフロー電池システム10を稼働開始する前に、レドックスフロー電池システム10は、レドックスフロー電池システム10を最終使用場所に配送する前に、レドックスフロー電池システム10を充填及び水和することなく、最終使用場所とは異なる電池製造施設で乾式組み立てされ得る。一実施例では、最終使用場所は、レドックスフロー電池システム10が設置され、オンサイトエネルギー貯蔵のために利用される場所に対応し得る。言い換えれば、レドックスフロー電池システム10は、いったん最終使用場所に設置され、水和されると、レドックスフロー電池システム10の位置が固定され、レドックスフロー電池システム10がもはやポータブルな乾式システムとみなされ得ないように設計され得る。したがって、エンドユーザの観点から、乾式のポータブルレドックスフロー電池システム10は、現場に配送されてもよく、その後、レドックスフロー電池システム10は、設置、水和、及び稼働開始されてもよい。水和の前に、レドックスフロー電池システム10は、乾式のポータブルシステムと呼ばれ得、レドックスフロー電池システム10は、水及び湿った電解質を含まないか、又はない。水和されると、レドックスフロー電池システム10は、湿式の非ポータブルシステムと呼ばれ得、レドックスフロー電池システム10は、湿った電解質を含む。
【0039】
電解質リバランシング反応器80及び82は、それぞれ、レドックスフロー電池システム10内のレドックスフロー電池セル18の負側及び正側で、電解質の再循環流路とインライン又は並行して接続され得る。1つ以上のリバランシング反応器は、電池の負及び正側で電解質の再循環流路とインラインに接続されてもよく、他のリバランシング反応器は、冗長性のために(例えば、リバランシング反応器は、電池及びリバランシング動作を中断することなく保守され得る)、及び増加したリバランシング容量のために、並行して接続されてもよい。一実施例では、電解質リバランシング反応器80及び82は、それぞれ、負及び正電極コンパートメント20及び22から負及び正電解質チャンバ50及び52への戻り流路に配置されてもよい。電解質リバランシング反応器80及び82は、本明細書に記載されるように、副反応、イオンクロスオーバ、などのために発生するレドックスフロー電池システム10における電解質充電の不均衡をリバランスするのに役立ち得る。
【0040】
一実施例では、リバランシング反応器80及び82のうちの一方又は両方は、トリクルベッド反応器を含み得、ここで、Hガス及び(液体)電解質は、電解質リバランシング反応を実行するために、充填床内の触媒表面で接触し得る。追加的又は代替的に、リバランシング反応器80及び82の一方又は両方は、ゼリーロール内で構成された触媒床を有し得る。追加的又は代替的な実施例では、リバランシング反応器80及び82のうちの一方又は両方は、Hガスと電解質とを接触させ、かつ充填された触媒床なしで電解質リバランシング反応を実行することができるフロースルー型反応器を含み得る。しかしながら、電解質リバランシング中のより低いFe3+還元速度(例えば、約1~3mol/m時間ほどの)は、より高性能用途におけるかかるリバランシング反応器構成の実装を妨げ得る。
【0041】
他の実施例では、リバランシング反応器80及び82の一方又は両方は、燃料電池を含み得、ここで、Hガス及び電解質は、電解質リバランシング反応を実行するために触媒表面で接触し得、閉回路が、外部負荷を通して燃料電池から電流を導くことによって形成され得る。しかしながら、かかる燃料セルにおける逆電流スパイク[例えば、逆電流の一時的な増加であって、「逆電流」は、予想とは反対の(すなわち、「前方」方向とは反対の)方向において電気経路に沿って移動する任意の電流を指すために本明細書で使用され得る]は、特定の状況では避けられず、かかるリバランシング反応構成の信頼性を損ない得る。
【0042】
リバランシング反応器80及び82の全体的な信頼性を犠牲にすることなくFe3+還元速度を増加させるために、本開示の実施形態は、内部電流、対流、重力供給、及び毛細管作用の組み合わせを介して触媒表面で反応するように、Hガス及び電解質を駆動するように構成された、図3の電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含む、図2A及び図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルを提供する。本明細書において説明される実施形態では、内部短絡電極アセンブリの積層体の電極アセンブリは、リバランシングセルの動作中に、電流が内部短絡電極アセンブリの積層体から離れるように導かれないという点で、「内部短絡された」と呼ばれ得る。かかる内部電気短絡は、Fe3+還元速度を劇的に増加させ(例えば、約50~70mol/m時間もの高さに、又は内部電気短絡していないリバランシング反応器構成と比較して20倍以上に)、かつ付随して副反応速度(例えば、式(1)~(3)の反応の速度)を減少させながら、逆電流スパイクを低減又は排除し得る。更に、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリは、内部短絡電極アセンブリの積層体の各他の電極アセンブリから電気的に分離され得、その結果、1つの電極アセンブリでの電流スパイク中の内部短絡電極アセンブリの積層体への劣化がそれに限定され得る(例えば、逆電流は、他の電極アセンブリを通じて1つの電極アセンブリから駆動され得ない)。かかる場合、単一の劣化した電極アセンブリは、内部短絡電極アセンブリの積層体から容易に除去され、非劣化電極アセンブリと交換され得る。
【0043】
内部短絡回路を実現するために、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリは、正電極及び負電極の接合対を含み得る(例えば、連続的に導電性であるように互いに面共有接触して構成されている)。本明細書で使用される場合、一対の第1の構成要素及び第2の構成要素(例えば、電極アセンブリの正電極及び負電極)は、第1の構成要素及び第2の構成要素が、互いに面共有接触するように、第1の構成要素が第2の構成要素に隣接して配置されている場合、互いに「接合している」として説明され得る(「隣接する」とは、間に介在する構成要素を有しない任意の2つの構成要素を指すために本明細書で使用される)。更に、本明細書で使用される場合、複数の電極の導電性を説明する場合の「連続的に」は、複数の電極の任意の面共有接合で実質上又は実用的にゼロ抵抗を有する、内部を通る電気経路を指し得る。
【0044】
例示的な実施形態では、(正の)リバランシング反応器82は、内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルであり得る。電池充電中に正電極28で著しい量のFe3+が生成され得るため、より高いFe3+還元速度が、正電解質をリバランシングするために望ましい場合がある(式(6)を参照)。追加的又は代替的な実施形態では、(負の)リバランシング反応器80は、同様の構成であり得る[Fe3+は、鉄めっき酸化中に負電極26で生成され得る(式(3)を参照のこと)]。
【0045】
かかるリバランシングセル構成では、より高いFe3+還元速度が、性能への影響を最小限に抑えながら、比較的低いHガス分圧で達成され得る。したがって、いくつかの実施例では、Hガスは、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110から、80%などの上側分圧閾値未満の分圧でリバランシング反応器80及び82に流れ得る。一実施例では、上側分圧閾値は25%であり、したがって、本明細書に記載される内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルは、少なくとも25%のHガス分圧まで低下して動作し得る(図12を参照のこと)。かかる実施例では、50℃[例えば、室温(例えば、20℃~60℃)のレドックスフロー電池システム10の動作温度範囲内]で、水圧が約20kPaである場合、電解質流路124は、Hガスから約7kPaもの低い圧力を受け得る。
【0046】
このようにリバランス反応器80及び/又は82を構成することによって、電解質リバランスのために、より少ないHガスがガスヘッドスペース90及び92に含まれ得、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、加圧格納に関してより少ない考慮事項で構成され得、この結果、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の形状及び/又は全体的なサイズが、高い貯蔵圧力を格納するためではなく、全体的な空間及び充填密度のために選択され得る。したがって、図13A図13Dを参照して以下で詳細に考察されるように、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、20psiの上側閾値ゲージ圧力まで定格され得、(例えば、平坦な円形面の代わりに)ドーム状の端部を有する円筒形貯蔵タンクとして構成され得るが、他の圧力定格及び形状が本明細書の実施形態で使用されてもよい。例えば、上側閾値ゲージ圧力は、2psiであり(例えば、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、2psiまで定格され得、5psiよりも高い圧力には定格され得ない)、非円筒形貯蔵タンク(例えば、立方体貯蔵タンクなどの長方角柱貯蔵タンク)として構成されてもよい。したがって、一実施例では、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内のゲージ圧力は、(例えば、レドックスフロー電池システム10の動作中)5psi未満に維持され得る。別の実施例では、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内のゲージ圧力は、(例えば、レドックスフロー電池システム10の動作中)2psi未満に維持され得る。別の実施例では、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内のゲージ圧力は、(例えば、レドックスフロー電池システム10の動作中)1psi未満に維持され得る。更に、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の各壁の厚さは、(例えば、5mmなどの上側閾値厚さ未満に)低減され得、そのためのより広範囲の組成が採用され得る[例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は強化ガラス繊維でコーティングされた金属などの比較的強い材料から、ポリプロピレン又はポリエチレン(高密度ポリエチレン又は他のポリエチレン分類)などの比較的弱い材料まで]。このようにして、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の充填密度(例えば、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を収容するために利用される体積に対する貯蔵電解質の体積の比率に比例し得る)は、円筒形貯蔵タンクと比較して増加し得る一方、コストは、高圧貯蔵タンク(例えば、20psiよりも高く定格される)と比較して(例えば、50~75%だけ)減少し得る。
【0047】
更に、よりスペース効率の高い低圧構成を選択することによって、レドックスフロー電池システム10で利用される電解質溶液の体積は、複数の、より小さい統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110(例えば、各レドックスフロー電池セル18にそれぞれ流体的に結合された1つの統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110)に分割され、それによって、レドックスフロー電池システム10内の構成要素の配置におけるより大きな柔軟性を提供しながら、充填密度を更に増加させ得る。例えば、このようにして電解質溶液の体積を分割することによって、複数の流体的に隔離されたレドックスフロー電池サブシステム150(各々がレドックスフロー電池セル18に流体的に結合された統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を有する)が形成され得、これらは、互いに実質的に独立して動作し得る。したがって、レドックスフロー電池システム10は、複数のレドックスフロー電池(例えば、複数の流体的に隔離されたレドックスフロー電池サブシステム150)を含むモジュール式レドックスフロー電池パックとして構成され得、レドックスフロー電池は、相対的に容易かつ簡単に追加又は除去され得る。例えば、図15を参照して以下に詳細に記載されるように、モジュール式レドックスフロー電池パックのレドックスフロー電池の各々は、直列に電気的に結合され得、それによって、追加のレドックスフロー電池をすでにモジュール式レドックスフロー電池パックに含まれるレドックスフロー電池に結合する際に、追加の電気配線及び外部ハウジングのみが必要とされ得る。このようにして、レドックスフロー電池システム10の全体的な費用及び複雑さが、電気化学的性能及び出力を犠牲にすることなく低減され得る。
【0048】
レドックスフロー電池システム10の動作中、センサ及びプローブは、電解質のpH、濃度、SOC、などのような電解質の化学特性を監視及び制御し得る。例えば、図1に図示されるように、センサ62及び60は、それぞれ正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50で正電解質及び負電解質の状態を監視するように配置され得る。別の例では、センサ62及び60は各々、それぞれ正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50内の電解質のレベルを示すために、1つ以上の電解質レベルセンサを含んでもよい。別の例として、また図1に図示されるセンサ72及び70は、それぞれ正電極コンパートメント22及び負電極コンパートメント20における正電解質及び負電解質の状態を監視し得る。センサ72及び70は、pHプローブ、光学プローブ、圧力センサ、電圧センサ、などであり得る。センサは、電解質化学的特性及び他の特性を監視するために、レドックスフロー電池システム10全体の他の場所に配置されてもよいことが理解されるであろう。
【0049】
例えば、センサは、外部酸タンク内に、外部酸タンク(図示せず)の酸量又はpHを監視するために配置されてもよく、外部酸タンクからの酸は、電解質中の沈殿物形成を低減するために、外部ポンプ(図示せず)を介してレドックスフロー電池システム10に供給されてもよい。追加の外部タンク及びセンサが、他の添加剤をレドックスフロー電池システム10に供給するために設置されてもよい。例えば、フィールド水和システムの温度、導電率、及びレベルセンサを含む様々なセンサが、コントローラ88に信号を送信し得る。更に、コントローラ88は、レドックスフロー電池システム10の水和中に、フィールド水和システムのバルブ及びポンプなどのアクチュエータに信号を送信し得る。センサ情報は、コントローラ88に送信され得、それは次に、例として、ポンプ30及び32を作動させて、レドックスフロー電池セル18を通る電解質フローを制御するか、又は他の制御機能を実行し得る。このようにして、コントローラ88は、センサ及びプローブの1つ又は組み合わせに応答し得る。
【0050】
レドックスフロー電池システム10は、Hガスの供給源を更に含み得る。一実施例では、Hガスの供給源は、別個の専用水素ガス貯蔵タンクを含み得る。図1の実施例では、Hガスは、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に貯蔵され、そこから供給されてもよい。統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50に追加のHガスを供給し得る。統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、電解質リバランシング反応器80及び82の入口に追加のHガスを交互に供給し得る。一実施例として、質量流量計又は他の流量制御デバイス(コントローラ88によって制御され得る)が、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からのHガスのフローを調節し得る。統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、レドックスフロー電池システム10内で生成されたHガスを補足し得る。例えば、レドックスフロー電池システム10においてガス漏れが検出された場合、又は低水素分圧で還元反応速度(例えば、Fe3+還元速度)が低すぎる場合、Hガスは、正電解質及び負電解質中の電気活性材料のSOCをリバランシングさせるために、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110から供給され得る。一実施例として、コントローラ88は、pHの測定された変化に応答して、又は電解質若しくは電気活性材料のSOCにおける測定された変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からHガスを供給し得る。
【0051】
例えば、負電解質チャンバ50、又は負電極コンパートメント20のpHにおける増加は、Hがレドックスフロー電池システム10から漏れていること、及び/又は利用可能な水素分圧では反応速度が遅すぎることを示し得、コントローラ88は、pHの増加に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からレドックスフロー電池システム10へのHガスの供給を増加させ得る。更なる実施例として、コントローラ88は、pH変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からHガスを供給し得、pHは、第1の閾値pHを超えて増加するか、又は第2の閾値pHを超えて減少する。IFBの場合、コントローラ88は、追加のHを供給して、Fe3+イオンの還元速度及びプロトンの生成速度を増加させ、それによって正電解質のpHを低減させ得る。更に、負電解質のpHは、正電解質から負電解質にクロスオーバするFe3+イオンの水素還元によって、又はプロトン濃度勾配及び電気泳動力に起因して負電解質にクロスオーバする正の側で生成されるプロトンによって低下され得る。このようにして、負電解質のpHは、Fe(OH)としてFe3+イオン(正電極コンパートメント22からクロスオーバする)の沈殿のリスクを低減しながら、安定した領域内に維持され得る。
【0052】
酸素還元電位(ORP)メータ又は光学センサなどの他のセンサによって検出される、電解質pHの変化又は電解質SOCの変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からのHガスの供給速度を制御するための他の制御スキームが、実施され得る。なお更に、pH又はコントローラ88のSOCトリガアクションの変化は、変化率又はある期間にわたって測定された変化に基づき得る。変化率の期間は、レドックスフロー電池システム10の時定数に基づいて予め決定又は調整され得る。例えば、再循環速度が高い場合、期間を短縮することができ、時定数が小さい場合があるため、濃度の局所変化(例えば、副反応又はガス漏れに起因する)は迅速に測定され得る。
【0053】
コントローラ88は、レドックスフロー電池システム10の動作モードに基づいて制御スキームを更に実行し得る。例えば、図11B及び図11Cを参照して下記で詳細に考察されるように、上で説明されたようにリバランシング反応器80及び82へのHガスのフローを制御することと並行して、同時に、レドックスフロー電池システム10から過剰Hガスを除去し、Fe3+イオン濃度を低減するように、コントローラ88は、レドックスフロー電池セル18の充電及び放電中に、それぞれ、リバランシング反応器80及び82を通る負電解質及び正電解質のフローを制御し得る。電解質リバランシングの後、コントローラ88は、リバランシング反応器80及び82から、リバランシングされた負電解質及び正電解質(例えば、Fe3+の減少した濃度及びFe2+の増加した濃度を含む)とともに、任意の過剰又は未反応のHのフローを、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110のそれぞれの電解質チャンバ50及び52に戻るように導き得る[追加的又は代替的に、未反応のHガスは、別個の専用の水素ガス貯蔵タンク(図1には示されていない)に戻され得る]。
【0054】
リバランシング反応器80及び82が、内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルとして構成されている実施例では、コントローラ88は、複数の、空間効率的な、低圧貯蔵タンク(例えば、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110)が電解質貯蔵及び分配のために含まれ得るように、比較的低いHガス分圧でのレドックスフロー電池システム10の動作を制御し得る。したがって、レドックスフロー電池システム10に含まれるレドックスフロー電池セル18は、レドックスフロー電池システム10のモジュール性が増加し得るように、互いから流体的に分離され得る(例えば、更なるレドックスフロー電池セル18を追加するために、より少ない結合要素及びより複雑でない構成が採用され得る)。更に、レドックスフロー電池セル18を互いに流体的に隔離することによって、レドックスフロー電池セル18は、直列に電気的に結合され得、この結果、それらにわたる電位差がランプアップし得、比較的高い電圧の外部負荷が、いかなるDC-DCブーストコンバータ(複数可)もなしで、レドックスフロー電池システム10によって電力供給され得る。例えば、図11Aを参照して詳細に考察されるように、コントローラ88は、電力インバータ(例えば、高電圧電気グリッドに電気的に結合された)及び直列のレドックスフロー電池セル18を横切る電流の循環を、レドックスフロー電池システム10内の電解質及びHガスの各々の循環を導くことと並行して導き得る。
【0055】
更に別の実施例として、コントローラ88は、システムコンディショニング中に負電極26で鉄の予備成形を引き起こすように、レドックスフロー電池セル18の充電及び放電を更に制御し得る(システムコンディショニングは、電池サイクリングの外でレドックスフロー電池システム10の電気化学的性能を最適化するために用いられる動作モードを含み得る)。すなわち、システムコンディショニング中、コントローラ88は、負電極26上に鉄金属をめっきするようにレドックスフロー電池システム10の1つ以上の動作条件を調整して、それに続く電池サイクリング中に電池充電容量を改善し得る(したがって、鉄金属は、電池サイクリングのために予め形成され得る)。このようにして、負電極26で鉄を予め形成し、システムコンディショニング中に電解質リバランシングを実行することは、鉄めっき損失を軽減することによって、電池サイクリング中のレドックスフロー電池セル18の全体的な容量を増加させ得る。本明細書で使用される場合、電池サイクリング(「充電サイクリング」とも称される)は、レドックスフロー電池システム10の充電モードと放電モードとの間で交互することを含み得る。
【0056】
センサ60及び62並びに統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110(及びそこに含まれる構成要素)を除く全ての構成要素は、電力モジュール130に含まれるとみなされ得ることが理解されよう。このように、レドックスフロー電池システム10は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に流体的に結合され、センサ60及び62に通信可能に結合された電力モジュール130を含むと説明され得る。いくつかの実施例では、電力モジュール130及びマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の各々は、単一のハウジング又はパッケージング(図示せず)に含まれてもよく、その結果、レドックスフロー電池システム10は、単一の場所において単一のユニットとして含まれ得る。正電解質、負電解質、センサ60及び62、電解質リバランシング反応器80及び82、並びに統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110(及びそれらに含まれる構成要素)は、電解質サブシステム140に含まれるとみなされ得ることが更に理解されるであろう。このように、電解質サブシステム140は、1つ以上の電解質をレドックスフロー電池セル18(及びその中に含まれる構成要素)に供給し得る。
【0057】
いくつかの実施例では、上で考察されるように、レドックスフロー電池システム10は、複数の流体的に隔離されたレドックスフロー電池サブシステム150を含むレドックスフロー電池パックとして構成され得る。かかる実施例では、複数の流体的に隔離されたレドックスフロー電池サブシステム150の各々は、コントローラ88から離れて、レドックスフロー電池システム10の全ての構成要素を含み得る。より具体的には、複数の流体的に隔離されたレドックスフロー電池サブシステム150の各々は、別個の統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110、別個の電解質ポンプ30及び32、別個のレドックスフロー電池セル18、別個のリバランシング反応器80及び82などを含み得る。したがって、複数の流体的に隔離されたレドックスフロー電池サブシステム150の各々は、本明細書では、レドックスフロー電池と称され得、各レドックスフロー電池は、放電中に電力を出力するように独立して構成され得る。かかる構成では、コントローラ88は、レドックスフロー電池の各々に通信可能に結合され得、したがって、所与の用途に基づいて決定されるように、レドックスフロー電池の各々の動作状態を並行して又は個々に制御し得る。
【0058】
ここで図2A及び図2Bを参照すると、それぞれ斜視図200及び250が示されており、斜視図200及び250の各々は、図1のレドックスフロー電池システム10などのレドックスフロー電池システムのためのリバランシングセル202を描写している。例示的な実施形態では、リバランシングセル202は、図3を参照して下記で詳細に説明される電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含み得、これは、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極の触媒表面において、Hガスを図1のレドックスフロー電池セル18などのレドックスフロー電池の正又は負電極コンパートメントからの電解質と接触させることによって、電解質リバランシング反応を駆動し得る。したがって、リバランシングセル202は、図1のリバランシング反応器80及び82の一方又は両方であり得る。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び図2A図4B図6A図6B図9A、及び図9Bの図の間の比較のために、一組の基準軸201が提供され、軸201は、x軸、y軸、及びz軸を示す。図2A図2B、及び図6Aの破線で更に示されるように、追加の軸gは、重力の方向(例えば、軸gに沿った正の方向)及び垂直方向(例えば、軸gに沿った負の方向であり、重力の方向とは反対)と平行であり得る。
【0059】
レドックスフロー電池システム内に含まれるリバランシングセル202の数及び内部短絡電極アセンブリの積層体内に含まれる電極アセンブリの数は、特に限定されず、対応して、より高性能用途に適合するように増加してもよい。例えば、75kWレドックスフロー電池システムは、20個の電極アセンブリの積層体(例えば、積層体の反対側の端部に配置された2つの端部プレートを有する19個のバイポーラアセンブリの積層体)を含む、2つのリバランシングセル202を含み得る。
【0060】
示されるように、内部短絡電極アセンブリの積層体は、外部セルエンクロージャ又はハウジング204内に取り外し可能に囲まれ得る。したがって、いくつかの実施例では、セルエンクロージャ204は、エンクロージャベースに取り外し可能に取り付けられたトップカバーを含み得、その結果、トップカバーが一時的に取り外されて、内部短絡電極アセンブリの積層体のうちの1つ以上の電極アセンブリを交換するか又は診断し得る。追加的又は代替的な実施例では、矩形角柱として図2A及び図2Bに描写されるセルエンクロージャ204は、レドックスフロー電池システムの他の構成要素に対して隙間嵌めであるように成形され得、その結果、リバランシングセル202は、かかる構成要素と面共有接触し得る。いくつかの実施例では、セルエンクロージャ204は、望ましくない短絡事象を低減するように、プラスチック又は他のポリマーなどの低い導電性を有する材料で構成され得る。
【0061】
セルエンクロージャ204は、リバランシングセル202の接合構成要素のための開口部又は空洞を含むように更に構成され得る。例えば、セルエンクロージャ204は、レドックスフロー電池システムの他の構成要素に流体的に結合するように構成された複数の入口ポート及び出口ポートを含み得る。一実施例では、示されるように、複数の入口ポート及び出口ポートは、PP配管に溶接されたポリプロピレン(PP)フランジ継手を含み得る。
【0062】
例示的な実施形態では、複数の入口ポート及び出口ポートは、電解質をセルエンクロージャ204に流動させるための電解質入口ポート206と、電解質をセルエンクロージャ204から排出するための電解質出口ポート208と、を含み得る。一実施例では、電解質入口ポート206は、セルエンクロージャ204の上半分に配置され得、電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の下半分に配置され得る(セルエンクロージャ204の上半分及び下半分は、z軸に沿って、x軸及びy軸の各々と平行な平面によって分離される)。したがって、電解質出口ポート208は、重力の方向に対して(例えば、軸gに沿って)電解質入口ポート206よりも低く配置され得る。
【0063】
具体的には、電解質が電解質入口ポート206を介してセルエンクロージャ204に入ると、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体を横切って分配され、電極アセンブリの積層体を通して重力供給され、内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極を通って(例えば、重力の方向に対して)ウィックアップされて、カソード半反応で負電極の触媒表面で反応し、電解質出口ポート208を介してセルエンクロージャ204から排出され得る。電解質の重力供給を支援し、その圧力降下を減少させるために、リバランシングセル202は、セルエンクロージャ204に結合された勾配付き支持体220を介して、重力方向に対して更に傾けるか又は傾斜され得る。いくつかの実施例では、このようにしてセルエンクロージャ204を傾けることは、(例えば、レドックスフロー電池システムのアイドルモード中に)リバランシングセル202の電解質排出を更に支援し、(いくつかの実施例では、電解質に十分な期間浸漬された後、触媒表面が腐食し得るので)触媒表面を比較的乾燥したままにし得る。
【0064】
示されるように、勾配付き支持体220は、セルエンクロージャ204を角度222で傾け得、内部短絡電極アセンブリの積層体の電極シートの平面が、勾配付き支持体220が置かれている下部表面(図示せず)に対して角度222で傾斜するようにする。いくつかの実施例では、角度222(例えば、下部表面に対するセルエンクロージャ204の)は、0°~30°であり得る(角度222が実質的に0°である実施形態では、リバランシングセル202は、依然として機能し得るが、圧力降下は、より大きくなり得、セルエンクロージャ204が傾いたときに負電極への電解質クロスオーバは、低減され得る)。いくつかの実施例では、角度222は、2°~30°であり得る。いくつかの実施例では、角度222は、2°~20°であり得る。一実施例では、角度222は、約8°であり得る。したがって、電解質の圧力降下は、角度222を増加させることによって増加され得、角度222を減少させることによって減少され得る。勾配付き支持体220の更なる態様を、図9A及び図9Bを参照して以下でより詳細に説明する。追加的又は代替的に、1つ以上の支持レール224が、セルエンクロージャ204の上半分(例えば、勾配付き支持体220と反対側)に結合され得る。いくつかの実施例では、図2Aの斜視図200に示されるように、1つ以上の支持レール224は、1つ以上の支持レール224が、リバランシングセル202を、下部表面の上の、かつ下部表面と平行な上部表面に、取り外し可能に固定し得るように、角度222でセルエンクロージャ204に対して傾けられ得る。このようにして、及び幾何学的考慮に基づいて、z軸は、同様に、角度222で軸gからオフセットされ得る(例えば、セルエンクロージャ204は、図2A及び図2Bに示されるように、角度222によって重力の方向と反対の垂直方向に対して傾けられ得る)。いくつかの実施例では、リバランシングセル202を通る電解質の重力供給は、重力の方向と反対の垂直方向に対して、リバランシングセル202をレドックスフロー電池システムの電解質貯蔵タンク(例えば、図1のマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110)の上に位置付けることによって更に支援され得る。電解質フローの更なる態様を、図6A図7Bを参照して下記でより詳細に考察する。
【0065】
更に示されるように、電解質出口ポート208は、電解質の少なくとも一部分を排出するように構成されたセルエンクロージャ204内の複数の開口部(PP配管に溶接されたPPフランジ継手を含む複数の開口部の各々)を含み得る。例えば、図2A及び図2Bでは、電解質出口ポート208は、5つの開口部を含むように示されている。このようにして、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体を横切って均等に分配され得、実質的にスムーズなフローでセルエンクロージャ204から排出され得る。他の実施例では、電解質出口ポート208は、5つより多い開口部又は5つより少ない開口部を含み得る。一実施例では、電解質出口ポート208は、1つのみの開口部を含み得る。追加的又は代替的な実施例では、電解質出口ポート208は、z軸に対して(例えば、z軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上で)セルエンクロージャ204の下に配置され得る。
【0066】
電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、内部短絡電極アセンブリの積層体(例えば、電解質入口ポート206から電解質出口ポート208まで、並びに電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208に流体的に結合されたセルエンクロージャ204内のチャネル、通路、マニホールド、プレナム、ウェルなどを含む)を通る電解質の流路に基づいて、セルエンクロージャ204上に配置され得る。いくつかの実施例では、示されるように、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の隣接する側面(例えば、共通の縁部を共有するセルエンクロージャ204の面)上に配置され得る。他の実施例では、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の反対側に配置され得る。他の実施例では、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の同じ側に配置され得る。
【0067】
いくつかの実施例では、電解質入口ポート206は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置され得る。追加的又は代替的な実施例では、電解質入口ポート206は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置され得る。一実施例では、示されるように、電解質入口ポート206の1つの開口部は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置され得、電解質入口ポート206の別の開口部は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置され得る。
【0068】
いくつかの実施例では、複数の入口ポート及び出口ポートは、Hガスをセルエンクロージャ204に流動させるための水素ガス入口ポート210と、Hガスをセルエンクロージャ204から排出するための水素ガス出口ポート212と、を更に含み得る。一実施例では、示されるように、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212の各々は、セルエンクロージャ204の下半分に(例えば、z軸に沿った内部短絡電極アセンブリの積層体の最下部電極アセンブリに)配置され得る。別の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212の各々は、セルエンクロージャ204の上半分に(例えば、z軸に沿った内部短絡電極アセンブリの積層体の最上部電極アセンブリに)配置され得る。更に別の例では、水素ガス入口ポート210は、セルエンクロージャ204の下半分に配置され得、水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の上半分に配置され得る。かかる実施例では、水素ガス入口ポート210は、重力の方向に対して(例えば、軸gに沿って)水素ガス出口ポート212よりも低く配置され得る。
【0069】
具体的には、Hガスが水素ガス入口ポート210を介してセルエンクロージャ204に入ると、Hガスは、強制対流(例えば、図5A図5D及び図8A図8Dを参照して下でより詳細に考察されるように、それぞれのフローフィールドプレートのフローフィールド構成によって誘導される)を介して内部短絡電極アセンブリの積層体を横切って、及び内部短絡電極アセンブリの積層体を通って分配され、負電極の触媒表面においてアノード半反応で分解され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、過剰な未反応のHガスは、触媒表面との接触後にリバランシングセル202内に残る可能性がある。いくつかの実施例では、触媒表面で反応していないHガスの少なくとも一部分が、電解質に通過し得る。かかる実施例では、望ましくない圧力の蓄積を回避し、それによって正電極上での電解質のプール及び付随する負電極の電解質フラッディングを防止するために、複数の入口ポート及び出口ポートは、圧力放出口ポート214を更に含み、電解質から未反応のHガスを排出し得る。更に、いくつかの実施例では、水素ガス出口ポート212は、触媒表面で反応しておらず、負電極を通って電解質に流動していないHガスの少なくとも一部分を排出するように構成され得る。Hガスフローの更なる態様を、図4A図5Dを参照して下記でより詳細に考察する。
【0070】
水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、内部短絡電極アセンブリの積層体[例えば、水素ガス入口ポート210から水素ガス出口ポート212まで(含まれる場合)、並びに水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212に流体的に結合されたセルエンクロージャ204内のチャネル、通路、プレナムなどを含む]を通るHガスの流路に基づいて、セルエンクロージャ204上に配置され得る。いくつかの実施例では、示されるように、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の反対側に配置され得る。他の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の隣接する側面上に配置され得る。他の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の同じ側に配置され得る。更に、水素ガス入口ポート210は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置されるように図2A及び図2Bに示され、水素ガス出口ポート212は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置されるように図2A及び図2Bに示されるが、他の実施例では、水素ガス入口ポート210は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置され得、水素ガス出口ポート212は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置され得る。
【0071】
一実施例では、水素ガス入口ポート210、水素ガス出口ポート212、電解質入口ポート206、及び電解質出口ポート208は、横方向構成でセルエンクロージャ204上に配置され得る。具体的には、横方向構成は、セルエンクロージャ204の上半分の異なる側面(例えば、面)上に位置付けられた水素ガス出口ポート212及び電解質入口ポート206、並びにセルエンクロージャ204の下半分の異なる側面上に配置された水素ガス入口ポート210及び電解質出口ポート208を含み得る。
【0072】
他の実施例では、負電極の触媒表面で反応していないHガスと、負電極を通って電解質に流動していないHガスと、を排出するための水素ガス出口ポート212が存在しなくてもよい。しかしながら、かかる実施例では、電解質から未反応のHガスを排出するための圧力放出口ポート214は、依然として存在してもよく、未反応のHガスは、負電極を通って電解質に流動し、圧力放出口ポート214を通った後にのみ、セルエンクロージャ204から排出されてもよい。水素ガス出口ポート212を欠く例示的なリバランシングセル構成は、圧力放出口ポート214を含むかどうかにかかわらず、「デッドエンド構成」と呼ばれ得る。デッドエンド構成では、Hガスのうちの実質的に全てが、負電極の触媒表面と接触させられ得、そこでHガスは、アノード半反応を介して分解し得、かつ/又はHガスは、負電極を通過した後(例えば、その触媒表面で反応することなく)電解質に入ることができる。
【0073】
ここで図3を参照すると、図2A及び図2Bのリバランシングセル202などのリバランシングセル用の電極アセンブリ302の分解図300が示されている。したがって、電極アセンブリ302は、内部短絡され得る(例えば、電極アセンブリ302を通って流動する電流は、外部負荷を通ってチャネリングされない)。例示的な実施形態では、電極アセンブリ302は、リバランシングセルを形成するために、セルエンクロージャ内の同様の構成の電極アセンブリの積層体内に含まれ得る。電極アセンブリ302は、活性炭フォーム306、正電極308(ある特定の実施例では本明細書で「カソード」とも呼ばれる)、及び負電極310(ある特定の実施例では本明細書で「アノード」とも呼ばれる)が順次積層されたプレート304を含み得る。電極アセンブリ302は、炭素フォーム306を通して電解質を受容するようにリバランシングセル内に配置され得、そこから電解質は、毛細管作用を介して正電極308の孔に入り得、負電極310と接触し得る。電極アセンブリ302は、対流を介して正電極308と反対側の負電極310の触媒表面を横切ってHガスを受容するように、リバランシングセル内に更に配置され得る。触媒表面を横切るHガスの対流は、触媒表面と接合しているフローフィールドプレート(図3には示されていない)によって補助され得る。アノード半反応を介して触媒表面でHガスが分解されると、プロトン及び電子は、負電極310と正電極308との接合部に流動し得、そこで電解質中のイオンは、カソード半反応を介して還元され得る(例えば、Fe3+は、Fe2+に還元され得る)。このようにして、電極アセンブリ302は、電極アセンブリ302を含む、リバランシングセルに流体的に結合された図1のレドックスフロー電池セル18などのレドックスフロー電池のための電解質リバランシングのために構成され得る。
【0074】
いくつかの実施例では、プレート304は、望ましくない短絡事象を低減するように、プラスチック又は他のポリマーなどの低い導電性を有する材料で構成され得る。したがって、一実施例では、プレート304は、図2A及び図2Bのセルエンクロージャ204と同じ材料から形成され得る。
【0075】
示されるように、プレート304は、それを通る複数の入口及び出口を含み得る。例えば、複数の入口及び出口は、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bを含み得る。具体的には、プレート304は、電解質をリバランシングセルから導くための電解質出口チャネルセクション316、Hガスをリバランシングセルに、負電極310を横切って導くための水素ガス入口チャネルセクション318a、及びHガスをリバランシングセルから導くための水素ガス出口チャネルセクション318bを含み得る。プレート304は、電極アセンブリ302で電解質を受容するための電解質入口ウェル312を更に含み得、電解質入口ウェル312は、炭素フォーム306を横切って受容された電解質を分配するために炭素フォーム306に隣接して配置されたバーム314bに設定された複数の電解質入口通路314aに流体的に結合されている。いくつかの実施例では、電解質入口ウェル312は、(例えば、電解質入口チャネルを介して、図3には示されていない)電解質入口ウェル312に流体的に結合された電解質入口ポート(例えば、図2A及び図2Bの電解質入口ポート206)から電解質を受容してもよく、電解質出口チャネルセクション316は、電解質出口チャネルセクション316に流体的に結合された電解質出口ポート(例えば、図2A及び図2Bの電解質出口ポート208)を通じて電解質を排出してもよく、水素ガス入口チャネルセクション318aは、水素ガス入口チャネルセクション318aに流体的に結合された水素ガス入口ポート(例えば、図2A及び図2Bの水素ガス入口ポート210)からHガスを受容してもよく、水素ガス出口チャネルセクション318bは、水素ガス出口チャネルセクション318bに流体的に結合された水素ガス出口ポート(例えば、図2A及び図2Bの水素ガス出口ポート212)を通じてHガスを排出してもよい。
【0076】
水素ガス入口チャネルセクション318aは、本明細書において、水素ガス入口チャネルのセクションとして説明され、水素ガス出口チャネルセクション318bは、本明細書において、水素ガス出口チャネルのセクションとして説明されるが、他の実施例では、チャネルセクション318bが、(例えば、水素ガス入口ポートからHガスを受容した後、Hガスをリバランシングセルに、負電極310を横切って導くために)水素ガス入口チャネルのセクションであってもよく、チャネルセクション318aが、(例えば、水素ガス出口ポートを通じてHガスを排出することによって、Hガスをリバランシングセルから導くために)水素ガス出口チャネルのセクションであってもよいことが理解されよう。他の実施例では、リバランシングセルは、デッドエンド構成を有し得、いかなる水素ガス出口ポートも、水素ガス出口チャネルセクション318bに流体的に結合され得ない。かかる実施例では、水素ガス出口チャネルセクション318bは、Hガスを、負電極310を横切って戻すように導き得るか、又は水素ガス出口チャネルセクション318bが、代わりに(例えば、水素ガス入口ポートからHガスの一部分を受容した後、Hガスの一部分をリバランシングセルに、かつ負電極310を横切って導くために)別の水素ガス入口チャネルセクションとして構成され得る。
【0077】
複数の入口及び出口は、リバランシングセル全体の電解質及びHガスフローを改善するように構成され得る。一実施例として、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bの各々のサイズは、それを通る圧力降下を最小限に抑えるように選択され得、それによって、内部短絡電極アセンブリの積層体の各々の電極アセンブリ302へのフロー分配に役立つ。別の実施例として、各電解質入口通路314aのサイズ及びバーム314bに対する複数の電解質入口通路314aの総数は、電解質フローを実質的に均等に分配するための比較的小さい圧力降下を誘導するように選択され得る。かかる実施例では、各電解質入口通路314aのサイズ及び複数の電解質入口通路314aの総数の選択は、電解質フローフィールドのサイズ及び所望の電解質流量などの、リバランシングセルの所与の構成に特有のいくつかの要因に依存し得る。
【0078】
追加的又は代替的な実施例では、電解質出口チャネルセクション316は、電解質出口ポートに含まれる複数の開口部を通して電解質を分配するように更に構成されてもよい。例えば、図3の分解図300では、電解質出口チャネルセクション316は、2つの開口部を含むように示されている。いくつかの実施例では、電解質出口チャネルセクション316に含まれる開口部の数は、電解質出口ポート内に含まれる開口部の数に等しくてもよく、その結果、電解質出口チャネルセクション316の開口部は、それぞれ、電解質出口ポートの開口部に対応し得る。このようにして、電解質は、電極アセンブリ302を横切って均等に分配され得、実質的にスムーズなフローでリバランシングセルから排出され得る。他の実施例では、電解質出口チャネルセクション316は、2つより多い開口部又は2つより少ない開口部(例えば、1つのみの開口部)を含み得る。
【0079】
更に、電極アセンブリ302が電極アセンブリの積層体内に含まれる場合、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bは、それぞれ(下記で説明する図4A図4B図6A、及び図6Bに様々に示されるように)連続した電解質出口チャネル、連続した水素ガス入口チャネル、及び連続した水素ガス出口チャネルを形成するように整列し得る。このようにして、電極アセンブリの積層体は、モジュール方式で形成され得、それによって、任意の実用的な数の電極アセンブリ302が積層され、リバランシングセル内に含まれ得る。
【0080】
更に示されるように、複数の封止インサートは、固着されるか(本明細書で使用される場合、「固着(affix)」、「固着された(affixed)」、又は「固着する(affixing)」は、限定されるものではないが、直接的若しくは間接的な関係を通して、1つの構成要素を別の構成要素に接着、取り付け、接続、締結、接合、連結、又は固定することを含む)、又は別様にプレート304に結合されてもよい。一実施例として、複数の封止インサートは、Hガスバイパスを緩和することによって負電極310を横断するHガスのフローを誘導するための水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bを含み得る。具体的には、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bは、それぞれ、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310を含むプレート304の側面上で、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bに固着されるか、又は別様に隣接して結合され得る。いくつかの実施例では、図4A及び図4Bを参照してより詳細に考察されるように、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bは、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bがプレート304との固着又は結合の地点から延在し、正電極308と部分的に重複し得るように、負電極310のx-y平面と一致し得る。
【0081】
別の実施例として、複数の封止インサートは、水素ガス入口チャネルセクション318aと別の電極アセンブリの水素ガス入口チャネルセクションとの接合部、及び水素ガス出口チャネルセクション318bとを別の電極アセンブリの水素ガス出口チャネルセクションとの接合部をそれぞれ封止するために、水素ガス入口チャネルOリング322a及び水素ガス出口チャネルOリング322bの各々を更に含み得る。具体的には、水素ガス入口チャネルOリング322a及び水素ガス出口チャネルOリング322bは、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bをそれぞれ外接するように、プレート304に固着されるか、又は別様に結合され得る。
【0082】
別の実施例として、複数の封止インサートは、電極アセンブリ302と別の電極アセンブリとの接合部をその外縁部で封止するためのオーバーボードOリング324を更に含み得る。具体的には、オーバーボードOリング324は、電解質入口ウェル312、複数の電解質入口通路314a、バーム314b、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bの各々と外接するように、プレート304に固着されるか、又は別様に結合され得る。
【0083】
炭素フォーム306は、y軸に沿ってバーム314bと電解質出口チャネルセクション316との間、及びx軸に沿って水素ガス入口チャネルセクション318aと水素ガス出口チャネルセクション318bとの間で、プレート304の空洞326内に配置され得る。具体的には、炭素フォーム306は、空洞326の基部を形成するプレート304の側面と面共有接触して配置され得る。いくつかの実施例では、炭素フォーム306は、連続したモノリシックピースとして形成され得るが、他の実施例では、炭素フォーム306は、2つ以上の炭素フォームセクションとして形成され得る。例示的な実施形態では、炭素フォーム306は、導電性、透過性、及び多孔質であり得、複数の電解質入口通路314aからそれを通って重力供給される電解質のための分配フィールドを提供する。いくつかの実施例では、炭素フォーム306の孔分配は、10~100PPIであり得る。一実施例では、孔分配は、30PPIであり得る。追加的又は代替的な実施例では、炭素フォーム306の透過性は、0.02~0.5mmであり得る。このため、炭素フォーム306の全体的なサイズに加えて、孔分配及び透過性の各々は、比較的小さい圧力降下を目標とし、それによって、炭素フォーム306から正電極308への電解質の対流を誘導するように選択され得る。例えば、圧力降下は、2~3mmの電解質ヘッド上昇を対象とし得る。
【0084】
いくつかの実施例では、炭素フォーム306は、フローフィールドプレートのフローフィールド構成によって誘導される対流を介して電解質を正電極308に輸送するように構成されたフローフィールドプレートと交換され得る。具体的には、フローフィールドプレートは、複数の電解質入口通路314a及び電解質出口チャネルセクション316の各々に流体的に結合され得る。一実施例では、フローフィールドプレートは、z軸に対して正電極308の下に配置された、電極アセンブリ302のプレート304内に一体的に形成され得る。他の実施例では、フローフィールドプレートは、別個の取り外し可能な構成要素であり得る。
【0085】
いくつかの実施例では、図5A図5Dを参照して下記で詳細に説明されるように、フローフィールド構成は、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、又は蛇行したフローフィールド構成であり得る。いくつかの実施例では、各電極アセンブリ302は、各他の電極アセンブリ302と同様の構成(例えば、互い違いになった、部分的に互い違いになった、蛇行したなどの)のフローフィールド構成と接合し得る。他の実施例では、(例えば、図2A及び図2Bのリバランシングセル202内の所与の電極アセンブリ302の場所によって)電極アセンブリの積層体内の電極アセンブリ302の間にいくつかの異なるフローフィールド構成が提供され得る。このようにして、電解質は、電解質入口ポート(例えば、図2A及び図2Bの電解質入口ポート206)から、電極アセンブリの積層体内の正電極308とそれぞれ接合しているフローフィールドプレートに導かれ得、フローフィールドプレートは、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、蛇行したフローフィールド構成、又はそれらの組み合わせで構成されている。
【0086】
ある特定の実施例では、図4A及び図4Bを参照して(図8A図8Dも参照のこと)下記でより詳細に考察されるように、炭素フォーム306がフローフィールドプレート(本明細書において「電解質フローフィールドプレート」とも呼ばれる)と交換されることに加えて、別のフローフィールドプレート(本明細書において「水素ガスフローフィールドプレート」とも呼ばれる)は、z軸に対して正電極308と反対側の負電極310と接合し得る。しかしながら、他の実施例では、電解質フローフィールドプレートのみが含まれ得(例えば、炭素フォーム306を交換する)、水素ガスフローフィールドプレートは、存在しなくてもよい。更に他の実施例では、水素ガスフローフィールドプレートのみが含まれ得(例えば、負電極310と接合している)、電解質フローフィールドプレートは存在しなくてもよい。
【0087】
正電極308は、z軸に沿ってプレート304から反対側の炭素フォーム306の側面と面共有接触して、空洞326内に配置され得る。例示的な実施形態では、正電極308は、毛細管作用を介して炭素フォーム306を通って流動する電解質を負電極310と接触させ得るウィッキング導電性炭素フェルト、スポンジ、又はメッシュであり得る。したがって、いくつかの実施例では、正電極308は、導電性及び多孔質であり得る(ただし、かかる実施例では、炭素フォーム306ほど多孔質ではない)。一実施例では、炭素フォーム306の多孔性が所定の範囲内にあり得る場合(例えば、正電極308へのウィックアップを促進するのに十分な固体材料を保持するために上側閾値多孔性を下回り、炭素フォーム306を通る電解質のフローを妨げないように下側閾値多孔性を上回る)、電解質は正電極308にウィッキングされ得る。追加的又は代替的な実施例では、正電極308の多孔性の増加に伴って、正電極308の吸着性の各々は、減少し得、正電極308の透過性は、増加し得る(例えば、少なくとも、正電極308の臨界多孔性に達するときなどの、電解質のウィッキングを促進するための正電極308の固体材料がほんのわずかしか残らなくなるまで)。いくつかの実施例では、正電極308の表面は、(例えば、徹底的な電解質湿潤を促進し、それによってイオン伝導性媒体を形成することによって)望ましいリバランシングセル動作のために十分に親水性であり得る。かかる実施例では、正電極308の全体的な親水性は、その表面をコーティングするか又は処理することによって増加され得る。更に、Hガスのうちの少なくとも一部は、正電極308にウィッキングされた電解質の一部分に加えて、正電極308に通過し得るが、正電極308は、その上のHガスのバルクとその下の電解質のバルクとの間のセパレータとみなされ得る。
【0088】
いくつかの実施例では、正電極308及び負電極310の各々は、(例えば、離散粒子又は複数のピースとは対照的に)連続したモノリシックピースとして形成され得、その結果、電解質を負電極310の触媒表面でHガスと接触させる場合に、境界層フィルムを横断する相間質量輸送損失が低減され得、それによってイオン及びプロトン移動が促進される。対照的に、離散的に充填された触媒粒子を含む充填床構成は、各個々の粒子を取り囲む質量輸送制限境界層フィルムを含み得、それによって、電解質のバルクから粒子の表面への電解質の質量輸送の速度を低減する。
【0089】
負電極310は、z軸に沿って炭素フォーム306から反対側の正電極308の側面と面共有接触して空洞326内に配置され得、その結果(ウィッキングされた)電解質と、負電極310の触媒表面と、Hガスとの間の三相接触境界部が、プロトン(例えば、H)及び三相接触境界部を通るイオン移動(H)のために形成され得る。並行して、正電極308は、電子が電解質フロントに移動するための導電経路を提供し、そこでFe3+イオンを還元することによって、全体的な電子抵抗を低減し得る。
【0090】
例示的な実施形態では、負電極310は、上に金属触媒がコーティングされた多孔質非導電性材料又は導電性炭素基板であり得る。いくつかの実施例では、多孔質非導電性材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレンなどを含み得る。いくつかの実施例では、導電性炭素基板は、カーボンクロス又はカーボン紙を含み得る。いくつかの実施例では、金属触媒は、貴金属触媒を含み得る。いくつかの実施例では、貴金属触媒は、Ptを含み得る。追加的又は代替的な実施例では、貴金属触媒は、Pd、Rh、Ru、Ir、Ta、又はそれらの合金を含み得る。いくつかの実施例では、コスト考慮のために、相対的に少量(例えば、0.2~0.5重量%)の導電性炭素基板上に担持される貴金属触媒が用いられ得る。しかしながら、実際には、貴金属触媒の量は、特に制限されず、リバランシングセルについての所望の反応速度及びリバランシングセルの予想される寿命のうちの1つ以上に基づいて、選択され得る。更に、貴金属触媒内に含まれる合金は、コストを低減させ、貴金属触媒の腐食安定性を増加させるために利用され得る。例えば、PtへのRhの10%の添加は、PtのFe3+による腐食を98%超低減させ得る。他の実施例では、金属触媒は、第二鉄溶液及び他のかかる酸性環境(例えば、硫化モリブデン)における安定性のために選択された非貴金属触媒を含み得る。一実施例では、負電極310は、1.0mg/cmPtでコーティングされたカーボンクロスを含み得、(例えば、疎水性のために)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)結合剤で結合された微孔性層を含み得る。実際、PTFE結合剤を含めることは、他の結合剤を使用して形成された電極アセンブリに対して、長時間にわたってリバランシングセル性能の耐久性を増加させ得る。
【0091】
いくつかの実施例では、貴金属触媒がPtを含む場合など、負電極310の浸漬は、最終的に貴金属触媒の腐食をもたらし得る。他の実施例では、図2A及び図2Bを参照して上記でより詳細に考察されるように、電極アセンブリ302は、(電極アセンブリの積層体及びリバランシングセル全体とともに)リバランシングセルが置かれる表面に対して傾けられ得るか、又は傾斜され得(例えば、z軸は、重力の方向と平行でなくてもよい)、その結果、電解質のフローが、重力供給を介して炭素フォーム306を通って、電解質出口チャネルセクション316に向かって引き出されるので、貴金属触媒は比較的乾燥したままであり得る。このため、いくつかの実施例では、電極アセンブリ302は、リバランシングセルが置かれる表面に対して水平であってもよいか、又は0°~30°の角度傾斜していてもよい。
【0092】
例示的な実施形態では、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310の各々を含む電極アセンブリ304は、z軸に沿って圧縮され得、正電極308は、所与の圧縮圧力下で、炭素フォーム306及び負電極310よりも大きい撓みを有する。したがって、空洞326の深さは、炭素フォーム306の厚さ、正電極308の厚さ、正電極308の所望の圧縮、及び負電極310の厚さに基づいて、選択され得る。具体的には、空洞326の深さは、(電解質フローを妨げる可能性がある、炭素フォーム306の過剰応力及び破砕を回避するため)実質的に完全に圧縮された後の炭素フォーム306の厚さと、実質的に完全に圧縮された後の正電極308の厚さとの合計の下側閾値深さよりも大きく、(Hガスと電解質との不十分な接触をもたらし得る、正電極308のゼロ圧縮、場合によっては隙間を回避するため)炭素フォーム306の厚さと正電極308の厚さとの合計の上側閾値深さ未満であるように選択され得る。例えば、炭素フォーム306の厚さが6mmであり、正電極308の厚さが3.4mmであり、正電極308の所望の圧縮が(0.01MPaの所望の圧縮圧力を達成するため)0.4mmであり、負電極310の厚さが0.2mmである実施例では、空洞326の深さは、9.2mm(=3.4mm+6mm+0.2mm-0.4mm)であり得る。別の実施例として、炭素フォーム306の厚さは、2~10mmであり得、正電極308の厚さは、1~10mmであり得、正電極308の所望の圧縮は、(0~0.09MPaの所望の圧縮圧力を達成するように)0~2.34mmであり得、負電極310の厚さは、0.2~1mmであり得、その結果、空洞326の深さは、0.86~21mmであり得る。追加的又は代替的な実施例では、正電極308の厚さは、炭素フォーム306の厚さの20%~120%であり得る。一実施例では、正電極308の厚さは、炭素フォーム306の厚さの100%~110%であり得る。一実施例では、空洞326の深さは、炭素フォーム306の破砕強度に更に依存し得る(例えば、空洞326の深さは、破砕強度の減少とともに増加し得る)。例えば、空洞326の深さが9.2mmである場合(例えば、正電極の所望の圧縮が0.4mmである場合)、フォーム破砕安全率(FOS)は、5.78であり得る。フォーム破砕FOSは、いくつかの実施例では、0.34の最小値を有し得、フォーム破砕FOS値が、1未満である場合、少なくともいくつかの破砕が予想されることを示し得る。いくつかの実施例では、炭素フォーム306の破砕強度は、その製造中に炭素フォーム306の熱処理によって低減され得る(一実施例では、0.08MPa~0.03MPa)。電極アセンブリ302は、(例えば、電解質フローが、負電極310に近接し得る際)一般的により薄い電極アセンブリ302が、リバランシングセルの全体的なサイズの低減及び電極アセンブリ302を横切る電気抵抗の低減をもたらし得るため、空洞326の深さが可能な限り低くなるように(例えば、上記の制約の範囲内で)構成され得ることが理解されよう。
【0093】
このようにして、電極アセンブリ302は、炭素フォーム306と、互いに面共有接触し、連続的に導電性である正電極308及び負電極310の接合対との順次積層を含み得る。具体的には、第1の接合部は、正電極308と炭素フォーム306との間に形成され得、第2の接合部は、正電極308と負電極310との間に形成され得、第2の接合部は、正電極308を横切る第1の接合部と反対であり、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310の各々は、導電性であり得る。したがって、電極アセンブリ302は、内部的に短絡され得、その結果、電極アセンブリ302を通って流動する電流は、外部負荷を通ってチャネリングされ得ない。
【0094】
例示的な実施形態では、上で考察されたように、強制対流は、(例えば、負電極310と接合しているフローフィールドプレートを介して、図3には示されていない)Hガスの電極アセンブリ302への負電極310を横切るフローを誘導し得る。そこでは、Hガスは、式(4a)(例えば、式(1)の逆反応):
1/2H→H+e (アノード半反応)(4a)
を介して負電極310の触媒表面と反応し得る。プロトン(H)及び電子(e)は、負電極310を横切って正電極308に伝導され得る。炭素フォーム306を介して電極アセンブリ302を通って導かれた電解質は、正電極308にウィッキングされ得る。正電極308と負電極310との間の第2の接合部で、及びその近くで、電解質中のFe3+は、式(4b):
Fe3++e→Fe2+ (カソード半反応)(4b)
を介して還元され得る。
式(4a)及び(4b)を合計すると、電解質リバランシング反応は、式(4):
Fe3++1/2H→Fe2++H (電解質リバランシング)(4)
として取得され得る。
【0095】
電極アセンブリ302は内部的に短絡しているため、電極アセンブリ302のセル電位は、以下のようにゼロに駆動され得る。
0=(E-E)-(η活性化+ηmt+ηオーム)(7)
式中、Eは、正電極308の電位であり、Eは、負電極310の電位であり、η活性化は、活性化過電圧であり、ηmtは、質量輸送過電圧であり、及びηオームは、オーム過電圧である。図3において構成される電極アセンブリ302について、ηmt及びη活性化は、無視できると想定され得る。更に、ηオームは、電解質の過電圧η電解質及び正電極308を形成する炭素フェルトの過電圧ηフェルトに依存し得る。
ηオーム=η電解質+ηフェルト(8)
したがって、電極アセンブリ302の性能は、少なくとも電解質の電気抵抗率σ電解質及び炭素フェルトの電気抵抗率σフェルトによって制限され得る。電解質の電気伝導率及び炭素フェルトの電気伝導率は、それぞれ、電解質の抵抗R電解質及び炭素フェルトの抵抗Rフェルトに更に依存し得、以下のように与えられ得る。
電解質=σ電解質×t電解質/A電解質(9)
フェルト=σフェルト×tフェルト/Aフェルト(10)
式中、t電解質は、電解質の厚さ(例えば、電解質フロントの高さ)であり、tフェルトは、炭素フェルトの厚さ(例えば、正電極308の厚さ)であり、A電解質は、電解質の活性面積(フロント)であり、Aフェルトは、炭素フェルトの活性面積である。したがって、電極アセンブリ302の性能は、炭素フェルト内の電解質のフロント場所、したがって、炭素フォーム306を横切る電解質の分配、及び正電極308を形成する炭素フェルトにウィッキングされた電解質の量に基づいて、更に制限され得る。
【0096】
電解質及びRフェルトを判定した後、電極アセンブリ302の電流Iアセンブリは、以下のように判定され得、
アセンブリ=(E-E)/(R電解質+Rフェルト)(11)
及び電解質リバランシング反応の速度vリバランシング(例えば、Fe3+の還元速度)は、以下のように更に判定され得る。
リバランシング=Iアセンブリ/(nFAリバランシング)(12)
式中、nは、負電極310を通って流動する電子の数であり、Fは、ファラデー定数であり、Aリバランシングは、電解質リバランシング反応の活性面積(例えば、電解質フロントと負電極310との間の接合部の面積)である。一実施例として、tフェルト=3mmを有する非圧縮炭素フェルトの場合、vリバランシングは、113mol/m時間の最大値を有し得る。
【0097】
ここで図4A及び図4Bを参照すると、断面図400及び拡大挿入図450がそれぞれ示され、断面図400及び拡大挿入図450の各々は、リバランシングセル202内のHガスフローの例示的な態様を描写している。具体的には、拡大挿入図450は、破線楕円410によって区切られた断面図400の一部分を拡大する。図4A及び図4Bに示されるように、リバランシングセル202は、各電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネルセクション318aが、各他の電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネルセクション318aと連続した水素ガス入口チャネル404を形成するように整列された個々の電極アセンブリ302の積層体として形成された電極アセンブリ積層体402を含み得る。水素ガス入口プレナム406は、水素ガス入口チャネル404内に更に含まれ得、水素ガス入口プレナム406は、水素ガス入口チャネル404を水素ガス入口ポート210に流体的に結合する。それぞれの水素ガス入口チャネルOリング322a及びオーバーボードOリング324は、電極アセンブリ302の対の間の接合部で水素ガス入口チャネル404を封止し得る。リバランシングセル202の切断部分は、詳細については、断面図400及び拡大挿入図450において描写されており、リバランシングセル202の追加の特徴(例えば、図2A及び図2Bに示される)は、描写されない場合があることが理解されよう。更に、所与の用途のための断面図400に示されるものよりも多く又はよりも少ない電極アセンブリ302が電極アセンブリ積層体402内に含まれ得る(しかしながら、いくつかの実施例では、スケールアップ性能は、50%Hガス利用率で、又は50%Hガス利用率を下回ってHガスフローに実質的に非感受性であり得る)ことが理解されよう。更に、水素ガス入口チャネル404及び隣接する構成要素の構造的特徴が、図4A及び図4Bを参照して詳細に説明されているが、対応する水素ガス出口チャネル[例えば、各電極アセンブリ302の水素ガス出口チャネルセクション318b(図3を参照のこと)を整列させることによって形成される]及び隣接する構成要素の構造的特徴が、(水素ガス出口チャネルが、デッドエンドであり得ること、又は水素ガス出口チャネルに含まれる水素ガス入口プレナムが、x軸及びz軸に沿って水素ガス入口プレナム406の反対側に配置され得ることを除いて)同様に構成され得ることが理解されよう。
【0098】
図示されるように、かつ矢印408aによって示されるように、Hガスは、水素ガス入口ポート210を介して水素ガス入口チャネル404に入り、最初に水素ガス入口プレナム406内に、次いで、z軸に沿って正の方向に水素ガスチャネル入口セクション318aを順次通って流動し得る。水素ガス入口プレナム406のサイズ及び形状は、特に限定されないが、水素ガス入口プレナム406の最小サイズ(例えば、最小体積、最小流路幅)が、比較的高い流速及び圧力降下がHガス分布の不良をもたらすことを回避するために選択され得る。更に、勾配付き支持体220は、水素ガス入口チャネル404がz軸の正の方向に沿って重力の方向から離れるように延在するように(図2A及び図2Bを参照して上記で詳細に考察されるように、重力の方向とは正反対ではないが)、リバランシングセル202を傾け得、Hガスは、z軸の正の方向に沿って水素ガス入口チャネル404に沿って対流し得る。
【0099】
更に図示されるように、かつ矢印408bによって示されるように、Hガスの少なくとも一部は、水素ガス入口チャネル404から、各電極アセンブリ302それぞれの水素ガス入口チャネル封止インサート320aを横切って、水素ガス入口チャネル404に流体的に結合され、かつそれぞれの電極アセンブリ302と接合している1つ以上の水素ガス入口通路452に流動し得る。このようにして、電極アセンブリ積層体402に含まれる各電極アセンブリ302は、水素ガス入口チャネル404を介して、電極アセンブリ積層体402に含まれる各他の電極アセンブリ積層体302に流体的に結合され得る。一実施例では、所与の電極アセンブリ302の1つ以上の水素ガス入口通路452と反対側の所与の電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネル封止インサート320aの表面が、所与の電極アセンブリの1つ以上の水素ガス入口通路452と反対側の所与の電極アセンブリ302の負電極310の表面と同じx-y平面と一致し得る。更に、いくつかの実施例では、所与の電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネル封止インサート320aは、所与の電極アセンブリ302のプレート304との固着又は結合の地点から延在し、z軸に沿って所与の電極アセンブリ302の正電極308と部分的に重複し、それによって、正電極308を正電極308の縁部で封止することを支援し得る。
【0100】
例示的な実施形態では、1つ以上の水素ガス入口通路452は、任意の所与の電極アセンブリ302に完全には含まれなくてもよく、代わりに、電極アセンブリ積層体402内の電極アセンブリ302の隣接する対の間の1つ以上のギャップとして形成されてもよい。いくつかの実施例では、所与の電極アセンブリ302と接合している1つ以上の水素ガス入口通路452は、Hガスが所与の電極アセンブリ302と接合している1つ以上の水素ガス入口通路452内に強制的に対流され得るように、フローフィールド構成で構成され得る。具体的には、図8A図8Dを参照して下記で詳細に説明されるように、フローフィールド構成で構成された1つ以上の水素ガス入口通路452は、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレートから形成され得る。一実施例では、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレートは、z軸に対して隣接する電極アセンブリ302の炭素フォーム306の下に配置された隣接する電極アセンブリ302のプレート304に一体的に形成され得る。他の実施例では、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレートは、別個の取り外し可能な構成要素であり得る。追加的に、z軸に対する最上部のフローフィールドプレートは、いかなる電極アセンブリ302とも一体的に形成されなくてもよく、代わりに、別個の取り外し可能な構成要素又は別の構成要素(例えば、図2A及び図2Bのセルエンクロージャ204)の一体的な特徴のいずれかとしてリバランシングセル202に含まれてもよい。
【0101】
いくつかの実施例では、図5A図5Dを参照して下記で詳細に説明されるように、フローフィールド構成は、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、又は蛇行したフローフィールド構成であり得る。いくつかの実施例では、各電極アセンブリ302は、各他の電極アセンブリ302と同様の構成(例えば、互い違いになった、部分的に互い違いになった、蛇行したなどの)のフローフィールド構成と接合し得る。他の実施例では、(リバランシングセル202内の所与の電極アセンブリ302の場所に応じて)電極アセンブリの積層体402の電極アセンブリ302の間にいくつかの異なるフローフィールド構成が提供され得る。このようにして、Hガスは、水素ガス入口ポート210から、電極アセンブリ積層体402の負電極310とそれぞれ接合しているフローフィールドプレートに導かれ、フローフィールドプレートは、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、蛇行したフローフィールド構成、又はそれらの組み合わせで構成され得る。
【0102】
更に図示されるように、かつ矢印408cによって示されるように、Hガスは、電極アセンブリ積層体402の負電極310を横切って(例えば、負電極310の触媒表面の1m当たり10~50l/分の流量で)対流され得る。いくつかの実施例では、それぞれの電極アセンブリ302と接合しているフローフィールドプレートは、対流を支援し、それぞれの負電極310を横切ってHガスを分配し得る。Hガスは、アノード半反応(式(4a)を参照のこと)で電極アセンブリ積層体402の負電極310の触媒表面と反応して、プロトン及び電子を生成し得、次いで、プロトン及び電子は、それぞれの正電極308及び炭素フォーム306に向かって流動し得る。いくつかの実施例では、Hガスの少なくとも一部は、未反応のままであり得、同様に、電極アセンブリ積層体402の負電極310を横切って矢印408cに沿って流動し得る。
【0103】
ここで図5A図5Dを参照すると、概略図500、520、540、及び560がそれぞれ示されており、概略図500、520、540、及び560は、それぞれ、例示的な互い違いになったフローフィールド構成、例示的な部分的に互い違いになったフローフィールド構成、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成、及び第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成を示す。例示的な実施形態では、図4A及び図4Bの1つ以上の水素ガス入口通路452は、所与の電極アセンブリのための図5A図5Dの例示的なフローフィールド構成のいずれかとして構成されたフローフィールドプレートから形成され得る。追加的又は代替的な実施形態では、図3図4B図6A、及び図6Bの炭素フォーム306は、所与の電極アセンブリのための図5A図5Dの例示的なフローフィールド構成のいずれかとして構成されたフローフィールドプレートと交換されてもよい。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び図5A図5Dの図の間の比較のために、一組の基準軸501が提供され、軸501は、x軸、y軸、及びz軸を示す。図5A図5Dに示される相対的な寸法は例示的であり、他のフローフィールド構成(例えば、より広い通路、より多くの数の通路、又はその中の屈曲などを有する)が、本開示の範囲内と考えられることが理解されよう。例えば、フローフィールド構成を形成する通路は、フローフィールド構成を形成することに、通路の入口から通路の出口又は端部まで(例えば、実質的にゼロの高さから通路の総深度で又は総深度の近くまで)高さが漸増的に延びる一連のステップ(例えば、8つのステップであるが、ステップの総数が増加又は減少して流体拡散を変更し、それによって、所与の用途の性能を改善し得る)を含み得る。
【0104】
図5Aの概略図500に示されるように、例示的な互い違いになったフローフィールド構成は、第1の入口チャネル506a及び第2の入口チャネル506bを含み得る。流体(例えば、Hガス、電解質)は、z軸に平行な第1の入口チャネル506a及び第2の入口チャネル506bの各々を通って流動し得、そこから流体は、(矢印504によって示されるように)端壁508を越えて強制的に対流され、x軸に平行な互い違いになったフローフィールド構成の通路502に入り得る。いくつかの実施例では、例示的な互い違いになったフローフィールド構成が多孔質媒体(図3~4Bの正電極308又は負電極310など)と接合している場合、流体の実質的に全てが、(例えば、入口チャネル506a、506bの一方から他方へ通過するのではなく)通路502に強制的に対流された後、多孔質媒体中を通過し得る。示されるように、通路502の各々は、第1の入口チャネル506a及び第2の入口チャネル506bのうちの1つのみに対して開放され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、第2の入口チャネル506bは、他の場所で第1の入口チャネル506aに流体的に結合され得る。したがって、一実施例では、第2の入口チャネル506bは、流体の出口チャネルとして機能し得る(例えば、流体は、最初に第1の入口チャネル506aを通って流動し、次いで、多孔質媒体を通る流体の通過に続いて第2の入口チャネル506bを通って流動し得る)。追加的又は代替的な実施例では、流体のための出口チャネルは、入口チャネル506a、506bのいずれでなくてもよい。例えば、出口チャネルは、図2Aの圧力放出口ポート214などの圧力放出口ポートであってもよく、流体は、多孔質媒体を通る流体の通過に続いて、圧力放出口ポートを通って流動し得る。流体がHガスであり、かつ多孔質媒体が図3図4Bの負電極310である、ある特定の実施例では、流体は、負電極310を順次通過し、負電極310の他方側で流動する電解質に入り、(流動する電解質に流体的に結合された)圧力放出口ポート214を介して排出され得る。
【0105】
図5Bの概略図520に示されるように、例示的な部分的に互い違いになったフローフィールド構成は、第1の入口チャネル526a及び第2の入口チャネル526bを含み得る。流体(例えば、Hガス、電解質)は、z軸に平行な第1の入口チャネル526a及び第2の入口チャネル526bの各々を通って流動し得、そこから流体は、(矢印524によって示される)x軸に平行な部分的に互い違いになったフローフィールド構成の通路522の端壁528を二分する収縮した入口522aに強制的に対流され得る。いくつかの実施例では、例示的な部分的に互い違いになったフローフィールド構成が多孔質媒体(図3~4Bの正電極308又は負電極310など)と接合している場合、通路522の各々が第1の入口チャネル526a及び第2の入口チャネル526bの各々に対して開放され得るが、流体の実質的な全てが、収縮された入口522aを介して通路522に強制的に対流された後(例えば、入口チャネル526a、526bの一方から他方へと通過するのではなく)、多孔質媒体中を通過し得る。収縮した入口522aの各々の厚さは、対応する通路522の最大厚さ(例えば、入口522aが実質的に収縮していない直線チャネルのフローフィールド構成)から実質的にゼロの厚さ(例えば、図5Aの例示的な互い違いになったフローフィールド構成などの完全に互い違いになったフローフィールド構成)までの範囲で可変であり得る。
【0106】
図5Cの概略図540に示されるように、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成は、入口チャネル546a及び出口チャネル546bを含み得る。流体(例えば、Hガス、電解質)は、z軸に平行な入口チャネル546aを通って流動し得、そこから流体は、x軸に平行な第1の例示的なフローフィールド構成の蛇行した通路542の入口542aに強制的に対流され得る。矢印544によって示されるように、流体は、x軸及びy軸に平行な蛇行した通路542に沿って流動し、流体が蛇行した通路542の出口542bから出口チャネル546bに排出されるまで、蛇行した通路542内の90°のベンドで方向を変更し得る。更に示されるように、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成は、y軸に平行な蛇行した通路542のより長い直線セクション、及びx軸に平行な蛇行した通路542のより短い直線セクション(例えば、Uベンドの基部)を含み得る。追加的又は代替的な実施例では、類似又は同様の構成の複数の蛇行した通路542が、入口チャネル546aを出口チャネル546bに流体的に結合してもよい。いくつかの実施例では、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成が多孔質媒体(図3図4Bの正電極308又は負電極310など)と接合している場合、蛇行した通路542が入口チャネル546a及び出口チャネル546bの各々に対して開放され得るが、流体の実質的に全てが、入口542aを介して蛇行した通路542に強制的に対流された後(例えば、入口チャネル546aから出口チャネル546bへと通過するのではなく)、多孔質媒体中を通過し得る。しかしながら、一実施例では、蛇行した通路542は、出口542bを含まなくてもよく、したがって、(例えば、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成がデッドエンドである場合など)出口チャネル546bに流体的に結合されなくてもよい。
【0107】
図5Dの概略図560に示されるように、第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成は、入口チャネル566a及び出口チャネル566bを含み得る。流体(例えば、Hガス、電解質)は、z軸に平行な入口チャネル566aを通って流動し得、そこから流体は、x軸に平行な第2の例示的なフローフィールド構成の蛇行した通路562の入口562aに強制的に対流され得る。矢印564によって示されるように、流体は、x軸及びy軸に平行な蛇行した通路562に沿って流動し、流体が蛇行した通路562の出口562bから出口チャネル566bに排出されるまで、蛇行した通路562内の90°のベンドで方向を変更し得る。更に示されるように、第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成は、x軸に平行な蛇行した通路562のより長い直線セクション、及びy軸に平行な蛇行した通路562のより短い直線セクション(例えば、Uベンドの基部)を含み得る。追加的又は代替的な実施例では、類似又は同様の構成の複数の蛇行した通路562が、入口チャネル566aを出口チャネル566bに流体的に結合してもよい。いくつかの実施例では、第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成が多孔質媒体(図3図4Bの正電極308又は負電極310など)と接合している場合、蛇行した通路562が入口チャネル566a及び出口チャネル566bの各々に対して開放され得るが、流体の実質的に全てが、入口562aを介して蛇行した通路562に強制的に対流された後(例えば、入口チャネル566aから出口チャネル566bへと通過するのではなく)、多孔質媒体中を通過し得る。一実施例では、蛇行した通路562は、出口562bを含まなくてもよく、したがって、(例えば、第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成がデッドエンドである場合など)出口チャネル566bに流体的に結合されなくてもよい。
【0108】
ここで図6A及び図6Bを参照すると、断面図600及び拡大挿入図650がそれぞれ示され、断面図600及び拡大挿入図650の各々は、リバランシングセル202内の電解質フローの例示的な態様を描写する。具体的には、拡大挿入図650は、破線楕円610によって区切られた断面図600の一部分を拡大する。図6A及び図6Bに示されるように、リバランシングセル202は、電極アセンブリ積層体402の個々の電極アセンブリ302内に含まれる電解質入口ウェル312に流体的に結合された1つ以上の電解質入口チャネル614を含み得る。1つ以上の電解質入口チャネル614の各々は、それぞれの電解質入口チャネル614への電解質のフローを調節、制限、又は別様に制御するそれぞれのノズル又はオリフィス612を介して、z軸に対して、電極アセンブリ積層体402の上に位置する電解質入口プレナム606aに流体的に結合され得る。このようにして、電極アセンブリ積層体402に含まれる各電極アセンブリ302は、電解質入口プレナム606a及び1つ以上の電解質入口チャネル614を介して、電極アセンブリ積層体402に含まれる各他の電極アセンブリ積層体302に流体的に結合され得る。電解質入口プレナム606aは、電解質入口ポート(例えば、図2A及び図2Bの電解質入口ポート206、図6A及び図6Bには示されていない)に更に流体的に結合されてもよい。電極アセンブリ積層体402は、各電極アセンブリの電解質出口チャネルセクション316が、各他の電極アセンブリ302の電解質出口チャネルセクション316とともに連続した電解質出口チャネル604を形成するように整列された個々の電極アセンブリ302の積層体として更に形成され得、電解質出口チャネル604は、1つ以上の電解質入口チャネル614及びz軸に対して平行であり、y軸に対して、1つ以上の電解質入口チャネル614からリバランシングセル202の反対側の端部上にある。電解質出口プレナム606bは、電解質出口チャネル604内に更に含まれ得、電解質出口プレナム606bは、電解質出口チャネル604を電解質出口ポート208に流体的に結合する。それぞれのオーバーボードOリング324は、電極アセンブリ302の対の間の接合部で電解質出口チャネル604を封止し得る。リバランシングセル202の切断部分は、断面図600、及び詳細については拡大挿入図650において描写されており、リバランシングセル202の追加の特徴(例えば、図2A及び図2Bに示される)は、描写されない場合があることが理解されよう。更に、所与の用途のために断面図600に示されるよりも多くの又は少ない電極アセンブリ302が電極アセンブリ積層体402内に含まれ得ることが理解されよう。
【0109】
電解質は、電解質入口ポートを介して電解質入口プレナム606aに入ることができ、そこから、電解質は、それぞれ、1つ以上のオリフィス612を介して、1つ以上の電解質入口チャネル614に導かれ得る。いくつかの実施例では、電解質入口プレナム606aの断面形状は、加工の容易さのために選択され得る。一実施例として、電解質入口プレナム606aの断面形状は、長方形であり得る。別の実施例として、電解質入口プレナム606aの断面形状は、円形であり得る。電解質入口プレナム606aのサイズは、電解質がリバランシングセル202に入ると比較的低い圧力降下を実現するように選択され得る。
【0110】
いくつかの実施例では、1つ以上のオリフィス612の各々のサイズは、電極アセンブリ積層体402内の電極アセンブリ302の総数、リバランシングセル202の全体のサイズ、及び電解質流路設計に依存して、3~10mmであり得る。1つ以上のオリフィス612の各々のサイズ及び全体的な構成は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302全体に実質的に均一な電解質フローを維持するように選択され得る。
【0111】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体402に隣接して構成された連続した切れ目のないチャネルであり得る。他の実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302は、それぞれ、1つ以上の電解質入口チャネル614に対応する1つ以上の電解質入口チャネルセクションを含み得る。かかる実施例では、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302は、各電極アセンブリ302の1つ以上の電解質入口チャネルセクションが、それぞれ各他の電極アセンブリ302の1つ以上の電解質入口チャネルセクションとともに、1つ以上の電解質入口チャネル614を形成するように整列され得る。
【0112】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614は、複数の電解質入口チャネル614を含み得、1つ以上のオリフィス612は、電解質入口マニホールドが形成され得るように、複数の電解質入口チャネル614にそれぞれ流体的に結合された複数のオリフィス612を含み得る。図6Aの断面図600では、複数の電解質入口チャネル614のうちの最も近い電解質入口チャネル614のみが視認可能であり、x軸に対して平行に整列された複数の電解質入口チャネル614の各他の電解質入口チャネル614が隠されている。いくつかの実施例では、電解質入口マニホールドを形成する複数の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体の電極アセンブリ302を横切って電解質を均等に流動させるように(例えば、負電極310の触媒表面の1m当たり約10~40L/分の電解質流量で)、電極アセンブリ積層体402の単一の電極アセンブリ302にそれぞれ流体的に結合され得る。
【0113】
いくつかの実施例では、電解質入口プレナム606aに入る電解質は、(例えば、図1のコントローラ88などのレドックスフロー電池システムのコントローラによって、レドックスフロー電池システムの非一時的メモリ内に格納された命令を実行することによって)調整可能な流量を有し得、その結果、リバランシングセル202及びリバランシングセル202内への電解質の均一な分配が、所与の用途に基づいて、制御可能に調整され得る。ある特定の実施例では、電極アセンブリ積層体402の個々の電極アセンブリ302間の電解質フロー分配は、電解質入口プレナム606aに入る電解質の電解質流量の調整に基づいて、対応して調整され得る。
【0114】
他の実施例では、複数の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302の各々全てに流体的に結合されて、x軸及びy軸の両方に対して電極アセンブリ積層体402を横切って電解質を均等に分配し得る。代替的な実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302の各々全てに流体的に結合され得る、1つのみの電解質入口チャネル614を含み得る。
【0115】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、円であり得る。しかしながら、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、特に限定されず、他の幾何学的形状が用いられる場合もある。1つ以上の電解質入口チャネル614の各々のサイズは、全体としてリバランシングセル202の実用的なサイズ考慮事項を維持しながら(例えば、相対的に大きいサイズは、不必要に大きいリバランシングセル202をもたらし得る)、負電極310の触媒表面の1m当たり約10~40L/分の電解質流量に関して比較的低い圧力降下を実現するように選択され得る(例えば、比較的小さいサイズは、電解質の不良分配をもたらし得る)。一実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、10~30mmの直径を有する円であり得る。
【0116】
1つ以上の電解質入口チャネル614に入ると、電解質入口チャネル614内の圧力は、電解質源(例えば、図1の負電極コンパートメント22及び正電極コンパートメント20並びに/又は統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110)の圧力と実質的に同様であり得、その結果、重力が、1つ以上の電解質入口チャネル614を通る電解質フローを実質的に排他的に駆動し得る。具体的には、矢印608aによって示されるように、電解質は、z軸に沿って負の方向に1つ以上の電解質入口チャネル614を通って、電極アセンブリ積層体402の電解質入口ウェル312に流動し得る。勾配付き支持体220は、z軸が重力方向と一致する軸gからオフセットされるように、リバランシングセル202を傾けることができ、電解質は、(矢印608bによって示されるように)重力供給を介して電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動し得る。
【0117】
更に示されるように、及び矢印608cによって示されるように、電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動しながら、電解質の少なくともいくつかは、毛細管作用を介して、電極アセンブリ積層体402の負電極310に向かって電極アセンブリ積層体402の正電極308に誘導され得る。電解質中のFe3+イオンは、陰極半反応(式(4b)を参照)で電極アセンブリ積層体402の負電極310を通って流動する電子によって還元されて、Fe2+イオンを生成し得る。電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302に関して、正電極308と負電極310との間に隙間が存在しないことを確実にするために(これは、Fe3+還元速度の減少をもたらし得る)、空洞(例えば、図3の空洞326)の深さ652は、正電極308が炭素フォーム306の過度に圧縮する(炭素フォーム306のフォーム構造を座屈及び劣化させ得る)ことなく少なくとも部分的に圧縮されるように選択され得る。したがって、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302内の炭素フォーム306の圧縮を最小限に抑えるために、隣接する正電極308の厚さ654は、正電極308が完全に未圧縮である場合と比較して(例えば、約10%)減少し得る。いくつかの実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302について、正電極308の厚さ654は、炭素フォーム306の厚さ656の20%~120%であり得、正電極308の厚さ654及び炭素フォーム306の厚さ656の各々は、炭素フォーム306の透過性、正電極308の全体的なサイズなどの構造的考慮事項に基づいて、選択され得る。一実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302について、正電極308の厚さ654は、炭素フォーム306の厚さ656の100%~110%であり得る。
【0118】
更に示されるように、及び矢印608dによって示されるように、電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動後、電解質は、電極アセンブリ積層体402の電解質出口通路658を通って、電解質出口チャネル604に導かれ、そこから電解質出口ポート208を通って出てもよい。具体的には、電極アセンブリ積層体402の各所与の電極アセンブリ302について、電解質は、炭素フォーム306から電解質出口通路658を通って、電解質出口チャネルセクション316に流動し得、そこから電解質は、重力の方向で(例えば、軸gの正の方向に沿って)、(所与の電極アセンブリ302と電解質出口プレナム606bとの間に挿入された任意の更なる電解質出口チャネルセクション316を通過した後)電解質出口プレナム606bに流動し得る。次いで、電解質は、電解質出口プレナム606bを通って電解質出口ポート208に通過し得、そこから電解質は、リバランシングセル202から排出され得る。このようにして、電解質は、電解質入口ポート(例えば、図2A及び図2Bの電解質入口ポート206、図6A及び図6Bには示されない)から電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って、電解質出口ポート208に導かれ得る。
【0119】
いくつかの実施例では、電解質出口通路658の各々の全体的なサイズは、好適な圧力降下を生成し、電解質出口プレナム606bを過充填しないように十分に大きくなるように選択され得る(これは、z軸に対して電極アセンブリ積層体402の底部で電極アセンブリ302をフラッディングさせ得る)。したがって、かかる実施例では、電解質出口通路658の各々の全体的なサイズは、電解質出口プレナム606bの全体的なサイズ及び電解質出口ポート208に対応する開口部の全体的な数に依存し得る。他の実施例では、電解質出口プレナム606bの寸法は、より少なく、より大きい開口部を有する電解質出口ポート208に適合するために大きくてもよい。電解質出口ポート208がz軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に配置される実施例では、z軸に沿って最も低い電極アセンブリ302の厚さを維持しながら、より大きい開口部が適合され得、圧力降下は、(例えば、電解質が、電解質出口プレナム606bから電解質出口ポート208まで約90°の角度で流動しないため)更に低減され得る。
【0120】
更に示されるように、フローフィールドプレート626は、それぞれ、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302と接合し得る。いくつかの実施例では、フローフィールドプレート626は、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合(例えば、面共有接触)し得、z軸に対して隣接する電極アセンブリ302の炭素フォーム306の下に配置された隣接する電極アセンブリ302のプレート304に一体的に形成され得る。他の実施例では、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレート626は、別個の取り外し可能な構成要素であり得る。追加的に、更に示されるように、z軸に対する最上部のフローフィールドプレート626は、いかなる電極アセンブリ302とも一体的に形成されなくてもよく、代わりに、別個の取り外し可能な構成要素、又は別の構成要素(例えば、図2A及び図2Bのセルエンクロージャ204)の一体的な特徴のいずれかとして、リバランシングセル202に含まれてもよい。
【0121】
例示的な実施形態では、所与の電極アセンブリ302を横切ってHガスを流動するように構成された1つ以上の水素ガス入口通路452は、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレート626から形成され得る。例えば、1つ以上の水素ガス入口通路452は、互いに平行な複数の水素ガス入口通路452及びx軸(例えば、互い違いになったフローフィールド構成若しくは部分的に互い違いになったフローフィールド構成)、又はHガスがx軸に対して平行に入り得る単一のコイル状の水素ガス入口通路452(例えば、蛇行したフローフィールド構成)のいずれかとして構成され得る。いくつかの実施例では、1つ以上の水素ガス入口通路452は、x軸に対して平行に延在し得、電解質は、(矢印608bによって示されるように)y軸に対して平行に所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を通って流動し得る。したがって、かかる実施例では、Hガスは、電極アセンブリ積層体402に、90°の角度で導かれ得、ここから電解質が電極アセンブリ積層体402に導かれ得る。
【0122】
追加的又は代替的な実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306は、フローフィールドプレート626と実質的に同様のフローフィールド構成のフローフィールドプレートと交換され得る。かかる一実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート626のフローフィールド構成と同じ方向に配向され得る。別のかかる実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート626のフローフィールド構成とは異なる方向に(例えば、90°の角度、180°の角度、又は270°の角度で)配向され得る。
【0123】
ここで図7A及び図7Bを参照すると、それぞれ斜視図700及び750が示されており、斜視図700及び750の各々は、レドックスフロー電池システムのリバランシングセルのための例示的な電極アセンブリ702を通る電解質フローの態様を描写している。示されるように、電極アセンブリ702は、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層を含み得、炭素フォーム706及び正電極708は、互いに面共有接触し得、正電極708は、負電極710と面共有接触し得、順次積層は、連続的に導電性であり得る。いくつかの実施形態では、電極アセンブリの積層体702が、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302の代わりに、リバランシングセル202に実装され得る(図2A図4B図6A、及び図6Bを参照のこと)。したがって、レドックスフロー電池システムは、図1のレドックスフロー電池システム10であり得る。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び図7A図7Bの図の間の比較のために、一組の基準軸701が提供され、軸701は、x軸、y軸、及びz軸を示す。図7Bに破線で更に示されるように、追加の軸gは、重力の方向(例えば、軸gに沿った正の方向)及び垂直方向(例えば、軸gに沿った負の方向であり、重力の方向とは反対)と平行であり得る。
【0124】
示されるように、電極アセンブリ702は、プレート704上の炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層を含み得、プレート704は、炭素フォーム706と面共有接触し得、炭素フォーム706は、正電極708と面共有接触し得、正電極708は、負電極710と面共有接触し得る。図7Bの斜視図750に更に示されるように、炭素フォーム706は、複数のホルダ766によって所定の位置に保持され得る。したがって、炭素フォーム706の全体的なサイズは、複数のホルダ766にクリアランスフィットするように選択され得る。炭素フォーム706及び正電極708の各々は、多孔質であり、負電極710と連続的に導電性であり得る。具体的には、例示的な実施形態では、炭素フォーム706は、活性化された導電性炭素フォームであり得、正電極708は、導電性炭素フェルトであり得、負電極710は、上にPt触媒がコーティングされた導電性炭素基板であり得る。したがって、いくつかの実施例では、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710は、それぞれ、図3の炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310であり得る。したがって、一実施例では、炭素フォーム706は、電極アセンブリ702を横切って電解質を対流させ、かつ正電極708と接触させるためのフローフィールドプレートと交換され得る。
【0125】
(例えば、リバランシングセルの電解質入口ポートから)電解質を受容するための電解質入口ウェル712に加えて、プレート704は、Hガス及び電解質のフローを誘導するために、プレート704を通る複数の入口及び出口を含み得る。例えば、複数の入口及び出口は、Hガスを(例えば、リバランシングセルの水素ガス入口ポートから)受容するための水素ガス入口チャネルセクション718aと、Hガスを(例えば、リバランシングセルの水素ガス出口ポートを通して)排出するための水素ガス出口チャネルセクション718bと、電解質を排出するための1つ以上の電解質出口通路716(例えば、1つ以上の電解質出口通路716によってそれぞれ受け入れられ、取り付けられたリバランシングセルの1つ以上の電解質出口ポートを通して、1つ以上の電解質出口ポートは、例示的な実施形態では、1つ以上の融合溶接配管フランジとして構成されている)と、を含み得る。
【0126】
更に示されるように、電解質入口ウェル712は、x軸に平行に延在するバーム714bに設定された複数の電解質入口通路714aを介して、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層に流体的に結合され得る。具体的には、複数の電解質入口通路714aは、バーム714bを横切って分配され、複数の電解質入口通路714aの各々の長さは、y軸に平行に延在し得る。いくつかの実施例では、図7Bの斜視図750に示されるように、電解質トラフ764が、バーム714bと、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層との間に更に介在し得る。このようにして、電解質入口ウェル712、複数の電解質入口通路714a、バーム714b、及び電解質トラフ764は、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層を横切って電解質を分配するように構成され得る。
【0127】
いくつかの実施例では、複数の電解質入口通路714aの全体的な数は、0.5~3mmの電解質ヘッド上昇の目標圧力降下(当該目標圧力降下は、電極アセンブリ702の電解質流量及び全体的なサイズの関数であり得る)に基づいて選択され得る。いくつかの実施例では、複数の電解質入口通路714aの各々の形状は、(例えば、製造の容易さのために)長方形であり得る。しかしながら、複数の電解質入口通路714aの各々の形状は、特に限定されず、他の幾何学的形状が用いられてもよい。
【0128】
例示的な実施形態では、矢印708aによって示されるように、電解質入口ウェル712は、電解質入口ポート(例えば、図2A及び図2Bの電解質入口ポート206)から電解質を受容し得る。電解質が電解質入口ウェル712全体に分配されると、電解質は、バーム714bに対して集まり、バーム714bを横切って複数の電解質入口通路714aを介して電解質トラフ764に流動し得る。電解質が電解質トラフ764全体に更に分配される際、電解質は、(矢印708bによって示されるように)電解質トラフ764から炭素フォーム706を通って流動し得る。炭素フォーム706を通って流動している間、矢印708cによって示されるように、正電極708は、(例えば、重力の方向に逆らって)電解質の少なくとも一部を負電極710に向けてウィックアップし得、負電極710で、電解質中のイオンは、(例えば、負電極710でのHガスの分解から)負電極710を通って流動する電子によって還元され得る。炭素フォーム706を通って流動した後、矢印708dによって示されるように、電解質は、1つ以上の電解質出口通路716を通って流動し得、そこから、電解質は、電解質出口ポート(例えば、図2A及び図2Bの電解質出口ポート208)を介してリバランシングセルから排出され得る。
【0129】
図7Bに更に示されるように、電極アセンブリ702は、重力供給を介してy軸に沿って電極アセンブリ702を通る電解質フローを誘導するように、重力の方向に対して傾けられ得る。したがって、いくつかの実施例では、z軸は、y軸が軸gに直交しなくてもよいように、0°~30°の角度で重力の方向と反対の垂直方向と整列され得るか、又は垂直方向からオフセットされ得る。
【0130】
ここで図8A図8Dを参照すると、斜視図800、825、及び850、並びに断面図875がそれぞれ示されており、レドックスフロー電池システムのリバランシングセル用の例示的な電極アセンブリ802のフローフィールドプレート826を描写する斜視図800、825、及び850の各々、並びに断面図875がそれぞれ示されている。示されるように、フローフィールドプレート826は、電極アセンブリ802のプレート804に一体的に形成され、フローフィールドプレート826は、Hガスの通路を通してHガスを対流させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ802の積層体が、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302の代わりに、リバランシングセル202に実装され得る(図2A図4B図6A、及び図6Bを参照のこと)。したがって、レドックスフロー電池システムは、図1のレドックスフロー電池システム10であり得る。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び図8A図8Dの図の間の比較のために、一組の基準軸801が提供され、軸801は、x軸、y軸、及びz軸を示す。
【0131】
示されるように、フローフィールドプレート826は、プレート804の電解質出口チャネルセクション816に隣接して、かつプレート804の水素ガス入口チャネルセクション818a及び水素ガス出口チャネルセクション818bの各々と流体連通して、プレート804に形成され得る。具体的には、フローフィールドプレート826は、複数の入口通路852aを含み、複数の入口通路852aの各々は、水素ガス入口チャネルセクション818aに流体的に結合され得る。フローフィールドプレート826は、複数の出口通路852bを更に含み、複数の出口通路852bの各々は、プレート804の水素ガス出口チャネルセクション818bに流体的に結合され得る。更に示されるように、複数の入口通路852aは、複数の出口通路852bと互い違いになっており、複数の入口通路852a及び複数の出口通路852bの各通路は、通路壁856によって少なくとも1つの隣接する通路の各々から分離され得る。このようにして、フローフィールドプレート826は、互い違いになったフローフィールド構成として構成されているとみなされ得る(ただし、フローフィールドプレート826は、部分的に互い違いになったフローフィールド構成又は蛇行したフローフィールド構成などの代替的なフローフィールド構成として構成されてもよいことが理解されよう)。具体的には、複数の入口通路852aは、x軸の正の方向に沿って延在し得る一方、複数の出口通路852bは、x軸の負の方向に沿って延在し、複数の入口通路852a及び複数の出口通路852bの各通路は、端部壁854で終端し得る。
【0132】
図8Dの断面図875に示されるように、複数の入口通路852a及び複数の出口通路852bの各通路は、均一な高さ858及び均一な厚さ860を有し得る。追加的又は代替的に、各通路壁856は、高さ858及び均一な厚さ862を有し得る。いくつかの実施例では、高さ858は、1mm~5mmであり得、厚さ860は、1mm~5mmであり得、厚さ862は、1mm~4mmであり得る。ただし、通路及び通路壁に非均一な寸法が採用されてもよく、その結果、個々の通路が異なる高さ及び/又は厚さを有してもよく、個々の通路壁が異なる高さ及び/又は厚さを有してもよいことなどが理解されよう。
【0133】
例示的な実施形態では、フローフィールドプレート826は、z軸に対してプレート804の表面868と反対側の電極アセンブリ802に一体的に形成され、表面868は、表面868上に、炭素フォーム、正電極、及び負電極(図8A図8Dには示されていない)の順次積層を含み得る。電極アセンブリ802は、同様の構成の電極アセンブリ802の積層体に更に含まれ得る。具体的には、所与の電極アセンブリ802は、所与の電極アセンブリ802のフローフィールドプレート826が、隣接する電極アセンブリ802の負電極と面共有接触し得るように、かつ電極アセンブリ802の積層体の水素ガス入口チャネルセクション818aが、電極アセンブリ802の積層体の各フローフィールドプレート826の複数の入口通路852aに流体的に結合された連続した水素入口チャネル(図8A図8Dには示されていない)を形成し得るように、他の電極アセンブリ802と整列され得る。したがって、Hガスが水素ガス入口チャネルを通って流動するとき、所与の電極アセンブリ802のフローフィールドプレート826の複数の入口通路852aは、入口通路852aを通して、かつ隣接する電極アセンブリ802の負電極を横切らせて、Hガスを強制的に対流させ得る。更に、電極アセンブリ802の積層体の水素ガス出口チャネルセクション818bは、電極アセンブリ802の積層体の各フローフィールドプレート826の複数の出口通路852bに流体的に結合された連続した水素出口チャネル(図8A図8Dには示されていない)を形成し得る。
【0134】
図8Dの断面図875に更に示されるように、プレート804は、表面868を横切って、かつ表面868上に配置された炭素フォーム(図8Dには示されていない)を通して、電解質を分配するのを補助する1つ以上の特徴を更に含み得る。一実施例として、プレート804は、電解質が[例えば、電解質入口チャネル(図8Dには示されていない)を介して]電極アセンブリ802に流動する際に集まり得る電解質入口ウェル812を含み得る。別の実施例として、プレート804は、電解質が接して集まり得るバーム814bを含み、バーム814bは、x軸に対して平行に延在し得る。バーム814bは、電解質がy軸の正の方向にバーム814bを通って流動することを可能にするために、バーム814b内に設定され、かつバーム814bを横切って分散された複数の電解質入口通路(図示せず)を含み得る。別の実施例として、プレート804は、電解質入口ウェル812から、複数の電解質入口通路を介してバーム814bを通って流動する電解質を収集及び分配し得る電解質トラフ864を含み得る。電解質フローを更に支援するために、プレート804は、電解質がy軸の正の方向に沿って、複数の電解質入口通路を通して重力供給され得るように、重力の方向に対して傾けられ得る。したがって、いくつかの実施例では、z軸は、0°~30°の角度で重力の方向と反対の垂直方向と整列され得るか、又は垂直方向からオフセットされ得る。このようにして、電解質入口ウェル812からの電解質は、表面868を横切って(例えば、電極アセンブリ802の炭素フォームを通して)実質的に均等に分配され得る。
【0135】
追加的又は代替的な実施例では、図3図4B図6A、及び図6Bの炭素フォーム306又は図7A及び図7Bの炭素フォーム706は、フローフィールドプレート826と実質的に同様のフローフィールド構成のフローフィールドプレートと交換され得る。かかる一実施例では、炭素フォーム306又は炭素フォーム706を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート826のフローフィールド構成と同じ方向に配向され得る。別のかかる実施例では、炭素フォーム306又は炭素フォーム706を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート826のフローフィールド構成とは異なる方向に(例えば、90°の角度、180°の角度、又は270°の角度で)配向され得る。
【0136】
ここで図9A及び図9Bを参照すると、それぞれ斜視図900及び950が示されており、斜視図900及び950の各々は、リバランシングセル202の勾配付き支持体220を描写している。示されるように、勾配付き支持体220の上部表面902は、角度222で、勾配付き支持体220の下部表面904、後足部906、及び前足部908の各々に平行であり得るか、又はそれらからオフセットし得る。一実施例では、角度222は、0°~30°であり得る。したがって、後足部906と上部表面902との間の高さ910と、前足部908と上部表面902との間の高さ912と、は、角度222に応じて同じであってよいし、異なっていてよい。一実施例として、角度222が0°であるとき、高さ910は、高さ912に等しくてよい。別の実施例として、示されるように、角度222が0°を超えるとき、高さ910は、高さ912よりも大きくてよい。
【0137】
いくつかの実施例では、勾配付き支持体220は、比較的軽量の材料から形成され得る。例えば、勾配付き支持体220は、強度対重量比及び衝撃強度は比較的高く、かつ摩擦が比較的低い非腐食性材料から形成され得る。一実施例では、勾配付き支持体220は、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成され得る。
【0138】
いくつかの実施例では、勾配付き支持体220は、角度222が、重力の方向に対してリバランシングセルのセルエンクロージャ(図9A及び図9Bには示されていない)を水平にするように調整され得るという点で調整可能であり得る。一実施例では、勾配付き支持体220は、他の支持体が角度222を上昇又は低下させるように置き換えられ得るように、セルエンクロージャに取り外し可能に結合され(例えば、取り外し可能に固定され)得る。追加的又は代替的な実施例では、所与の用途のために所望されるように角度222を調整するために、調整機構(例えば、ヒンジ、可逆ロック要素など、図9A及び図9Bには示されていない)が勾配付き支持体220に含まれ得る。
【0139】
ここで図10を参照すると、例示的なリバランシングセル内の還元されたFe3+の総量の関数としてのFe3+還元速度を描写する例示的なプロット1000が示されている。リバランシングセルの各々は、同様の構成の全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムに独立して含まれている。プロット1000に示されるように、横座標は、(mol/mでの)還元されたFe3+の総量を表し、縦座標は、(mol/m時間での)Fe3+還元速度を表す。
【0140】
プロット1000に更に示されるように、曲線1002、1004、及び1006は、様々なリバランシングセルのFe3+還元速度を表す。具体的には、曲線1002は、典型的なゼリーロールリバランシング反応器についての平均Fe3+還元速度を表し、曲線1004は、第1の例示的なリバランシングセルについての平均Fe3+還元速度を表し、曲線1006は、第2の例示的なリバランシングセルについての平均Fe3+還元速度を表す。第1及び第2の例示的なリバランシングセルの各々は、Hガスが対流を介して流れ、電解質が重力供給及び毛細管作用を介して流動する、内部短絡電極アセンブリの積層体を含む。第1及び第2の例示的なリバランシングセルの内部短絡電極アセンブリの各々は、炭素フォーム、正電極、及び負電極の順次積層を含み得る。ただし、第1の例示的なリバランシングセルの負電極は、Nafion(商標)結合剤を含むのに対して、第2の例示的なリバランシングセルの負電極は、PTFE結合剤を含む。
【0141】
第1及び第2の例示的なリバランシングセルの負電極にどの結合剤が含まれているかにかかわらず、両方とも、[(曲線1002によって示されるように)5mol/m時間未満の平均Fe3+還元速度を呈する]典型的なゼリーロールリバランシング反応器と比較して、両方とも、有意に改善されたFe3+還元速度を呈する。第1の例示的なリバランシングセルについて、平均Fe3+還元速度は、(曲線1004によって示されるように)最初約60mol/m時間であり得、第2の例示的なリバランシングセルについて、Fe3+還元速度は、(曲線1006によって示されるように)一貫して50mol/m時間以上であり得る。しかしながら、第1の例示的なリバランシングセルについての平均Fe還元速度は、(還元されたFe3+の総量によって測られるように)長期使用中に悪化し得る。例えば、第1の例示的なリバランシングセルの平均Fe3+還元速度は、(曲線1004によって示されるように)約3000mol/mの総Fe3+が還元された後に、20mol/m時間未満に劣化し得る。しかしながら、第2の例示的なリバランシングセルは、還元された総Fe3+が16000mol/mを越えても性能を維持するように示されている。このようにして、Nafion(商標)結合剤の代わりにPTFE結合剤がリバランシングセル用の負電極を製造する際に採用される場合、より高いセル耐久性が達成され得、その結果、より高いFe3+還元速度が、リバランシングセルの延長された動作にわたって一貫して実現され得る。理論に拘束されることを望まないが、耐久性のかかる差は、より低い塩蓄積(これは、Hガスが例示的なリバランシングセル内の負電極の触媒表面に到達することを防止し得る)、負電極の触媒表面の塩化物ポイズニング、及び/又は負電極の孔内の水蓄積に起因し得る。
【0142】
ここで図11Aを参照すると、電力インバータを介して電気グリッドに電気的に結合されたレドックスフロー電池システムを動作させるための方法1100のフローチャートが示されている。いくつかの実施例では、レドックスフロー電池システムは、複数のレドックスフロー電池を含むレドックスフロー電池パックとして構成され得、複数のレドックスフロー電池の各々は、別個の電解質貯蔵タンクを含み得る。したがって、いくつかの実施例では、複数のレドックスフロー電池は、互いに流体的に隔離され得、電解質及びHガスは、低い内部圧力で複数のレドックスフロー電池の各々を通して循環され得(例えば、複数のレドックスフロー電池の各々内の電解質及びHガスの最大圧力は、比較的低い閾値圧力未満など、低く維持され得る)、複数のレドックスフロー電池の各々は、互いに実質的に独立して放電中に電力を生成し得る。かかる実施例では、複数のレドックスフロー電池は、電流が複数のレドックスフロー電池の各々及びそれに電気的に結合された電力インバータを横切って循環され得るように、直列に電気的に結合され得る。このようにして、レドックスフロー電池パックは、個々のレドックスフロー電池を(例えば、電力インバータを介して、2つの隣接するレドックスフロー電池又は1つの隣接するレドックスフロー電池及び電気グリッドへの電気的な結合を介して)比較的容易に追加又は除去され得るという点で、モジュール式とみなされ得る。
【0143】
例示的な実施形態では、レドックスフロー電池システムは、図1及び図15のレドックスフロー電池システムであり得る。したがって、方法1100は、図1及び図15の実施形態を単独で又は組み合わせて参照して考慮され得、その中の特徴又はより具体的な実施形態が、図2A図9B及び図13A図13Dを参照して詳細に説明され得る(ただし、本開示の範囲から逸脱することなく、同様の方法が他のシステムに適用されてもよいことが理解され得る)。例えば、方法1100は、図1のコントローラ88を介して実行され得、コントローラ88に通信可能に結合された非一時的記憶媒体(例えば、メモリ)に実行可能命令として記憶され得る。図11Aを参照して説明される更なる構成要素は、図1図9B図13A図13D、及び図15の対応する構成要素の実施例であり得る。
【0144】
1102において、方法1100は、電源オン要求を受信することを含み得る。一実施例では、レドックスフロー電池パックのオペレータが、レドックスフロー電池パックのアクティブな動作(例えば、電解質フローの開始、Hガスフローの開始、及び/又はヒータ、ポンプなどのような補助システムの起動)を手動で要求し得る。別の実施例では、(例えば、電気グリッドなどの外部電気システム又は負荷に関連付けられた)外部コントローラが、レドックスフロー電池パックのアクティブな動作を要求し得る。いくつかの実施例では、レドックスフロー電池パックのアクティブな動作は、充電モード、放電モード、又はアイドルモードでのレドックスフロー電池パックの動作を含み得る。例えば、(例えば、外部コントローラによって)電気グリッドに対して所望の電力出力が要求された場合、レドックスフロー電池パックは、放電モードで動作し得る。したがって、追加又は代替の実施例では、1102において、方法1100は、放電モードに切り替える要求を受信することを少なくとも含み得る(例えば、非アクティブな状態から、又は充電モード若しくはアイドルモードから)。
【0145】
1104において、方法1100は、電解質及びHガスを、低い内部圧力で、レドックスフロー電池パックの複数のレドックスフロー電池の各々を通して循環又はサイクルさせることを含み得る。具体的には、低い内部圧力は、閾値圧力未満に維持されている複数のレドックスフロー電池の各々内の電解質及びHガスの最大圧力を含み得る(したがって、閾値圧力は、同様の低い圧力に対応し得る)。一実施例では、閾値圧力は、5psiであり得る。別の実施例では、閾値圧力は、2psiであり得る。別の実施例では、閾値圧力は、1psiであり得る。かかる低い圧力は、複数のレドックスフロー電池の各々内で、レドックスフロー電池セルを、対応する低いHガス分圧で電解質をリバランシングするように構成されたリバランシングセルに流体的に結合することによって達成され得る。上で考察されたように、いくつかの実施例では、複数のレドックスフロー電池の各々は、複数のレドックスフロー電池の互いから流体的に隔離され得る。したがって、複数のレドックスフロー電池のうちの所与のレドックスフロー電池内の構成要素(例えば、電解質貯蔵タンク、レドックスフロー電池セル、リバランシングセルなど)は、互いに流体的に結合され得るが、複数のレドックスフロー電池の互いの中の類似の構成要素から流体的に隔離されてもよい。例えば、図11Bを参照して以下に詳細に説明されるように、電解質及びHガスを低い内部圧力で複数のレドックスフロー電池のうちの所与のレドックスフロー電池を通して循環させることは、所与のレドックスフロー電池の電解質貯蔵タンクから、所与のレドックスフロー電池のレドックスフロー電池セル及び所与のレドックスフロー電池のリバランシングセルの各々を通して電解質を順次サイクルさせることと、Hガスを電解質貯蔵タンクからリバランシングセルに(例えば、同時に)流動させることと、を含み得る。
【0146】
例示的な実施形態では、複数のレドックスフロー電池にそれぞれ含まれるリバランシングセルの各々は、図2A及び図2Bのリバランシングセルであり得る。したがって、リバランシングセルの各々は、内部短絡電極アセンブリの積層体(例えば、各電極アセンブリは、正電極及び負電極が連続的に導電性であるように互いに面共有接触している正電極及び負電極を含む)を含み得、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリを通って流れる電流が外部負荷を通してチャネリングされ得ず、内部短絡電極対を含まないリバランシングセルの装備と比較して、Fe3+還元速度が増加し得、かつHガス分圧が減少し得るようになっている。例えば、リバランシングセルが動作し得るHガス分圧は、電気化学的性能への影響を最小限に抑える、25%(例えば、レドックスフロー電池パックが50℃で動作するとき、約7kPaに対応する)もの低さであり得る。したがって、いくつかの実施例では、Hガスは、複数のレドックスフロー電池にそれぞれ含まれる電解質貯蔵タンクから、複数のレドックスフロー電池にそれぞれ含まれるリバランシングセルに、25%の閾値分圧未満の分圧で流動し得る(ここで、レドックスフロー電池パックは、例えば、室温(例えば、20℃)~60℃の温度範囲内で動作し得る)。
【0147】
複数のレドックスフロー電池を互いに流体的に隔離することによって、かつこのようにして複数のレドックスフロー電池にそれぞれ含まれるリバランシングセルの電極アセンブリを内部電気短絡することによって、複数のレドックスフロー電池間の過剰な結合要素(例えば、配管フランジ継手、電気的結合など)を最小限に抑え、複数のレドックスフロー電池にそれぞれ含まれるレドックスフロー電池の直列電気的結合が容易になり得る。例示的な実施形態では、レドックスフロー電池セルは、互いに及び電力インバータに直列に電気的に結合され得る。
【0148】
したがって、1106において、方法1100は、複数のレドックスフロー電池にそれぞれ含まれるレドックスフロー電池セル及び電力インバータにわたって電流を循環又はサイクルさせることを含み得る。具体的には、レドックスフロー電池セルの各々は、40~75Vの電位差で動作し得、電力インバータは、600~1000Vの電位差で動作し得る。したがって、レドックスフロー電池セルを直列に電気的に結合することによって、直列電気結合の最初及び最後のレドックスフロー電池セルが、いかなる介在する昇圧コンポーネントも用いずに(例えば、いかなるDC-DCブーストコンバータも用いずに)電力インバータに直接電気的に結合され得るように、最初及び最後のレドックスフロー電池セルの間の電位差がランプアップされ得る。このようにして、レドックスフロー電池パックは、並列に流体的及び電気的に結合されたレドックスフロー電池セルを含むレドックスフロー電池パックと比較して、より少ない構成要素、より低いコスト、及びより少ない複雑さで構成され得る。
【0149】
1108において、方法1100は、電力インバータと電気グリッドとの間の電流を可逆的に流すことを含み得る。したがって、複数のレドックスフロー電池にそれぞれ含まれる(直列結合された)レドックスフロー電池セルは、電力インバータを介して、電気グリッドなどの高電圧システムに電力を供給するように構成され得る。
【0150】
1110において、方法1100は、電源オフ要求が受信されたかどうかを判定することを含み得る。一実施例では、レドックスフロー電池パックのオペレータが、レドックスフロー電池パックの非アクティブな動作(例えば、電解質フローの停止、Hガスフローの停止、及び/又はヒータ、ポンプなどのような補助システムの停止)を手動で要求し得る。別の実施例では、(例えば、電気グリッドなどの外部電気システム又は負荷に関連付けられた)外部コントローラが、レドックスフロー電池パックの非アクティブな動作を要求し得る。いくつかの実施例では、レドックスフロー電池パックの非アクティブな動作は、レドックスフロー電池パックを動作させないこと、又は充電モード、放電モード、及びアイドルモード外でレドックスフロー電池パックを動作させることを含み得る。例えば、電気グリッドによって所望の電力出力が受け取られているとき、レドックスフロー電池パックは、(例えば、外部コントローラによって)放電モードでの動作を停止するように要求され得る。したがって、追加又は代替の実施例では、1110において、方法1100は、放電モードから(例えば、非アクティブ状態に、又は充電モードに、又はアイドルモードに)切り替える要求が受信されているかどうかを判定することを少なくとも含み得る。電源オフ要求が受信されない場合、方法1100は、1104に戻り得、電解質及びHガスは、複数のレドックスフロー電池の各々を横切って循環され続け得る(例えば、電流が、複数のレドックスフロー電池にそれぞれ含まれるレドックスフロー電池セル及び電力インバータを横切って循環し続け、それによって、電気グリッドに電力を提供し得る)。電源オフ要求が受信された場合、方法1100は、方法1112に進み得、方法1100は、(例えば、電源オフ要求が受信されたことに応答して)電解質及びHガスを循環させることを停止し、それによって、電流を停止することを含み得る。
【0151】
ここで図11Bを参照すると、低い内部圧力(例えば、レドックスフロー電池内の電解質及びHガスの最大圧力は、比較的低い閾値圧力未満など、低く維持され得る)でレドックスフロー電池パックのレドックスフロー電池を通して電解質及びHガスを循環させるための方法1130のフローチャートが示されている。具体的には、レドックスフロー電池は、レドックスフロー電池パック内の複数のレドックスフロー電池のうちの1つであり、複数のレドックスフロー電池の各々は、互いに実質的に同様又は同等の構成を有し得る。例えば、レドックスフロー電池(及びレドックスフロー電池パック内の複数のレドックスフロー電池の各々)は、電解質貯蔵タンク(例えば、正電解質及び負電解質を貯蔵する)と、電解質貯蔵タンクに直接流体的に結合された少なくとも1つの電解質ポンプ(例えば、正電解質及び負電解質をポンプ投入するための正電解質ポンプ及び負電解質ポンプ)と、正電解質ポンプ及び負電解質ポンプに直接流体的に結合されたレドックスフロー電池セルと、レドックスフロー電池セル及び電解質貯蔵タンクの各々に直接流体的に結合された少なくとも1つのリバランシングセル(例えば、正電解質及び負電解質をリバランシングするための正リバランシングセル及び負リバランシングセル)と、を含み得る。したがって、いくつかの実施例では、レドックスフロー電池では、電解質(例えば、正電解質及び負電解質を含む)は、電解質貯蔵タンク、レドックスフロー電池セル(例えば、少なくとも1つの電解質ポンプによって電解質貯蔵タンクからレドックスフロー電池セルにポンプ投入される)、及び少なくとも1つのリバランシングセルを通して順次サイクルされ、そこから、電解質貯蔵タンクに戻り得る。更に、かかる実施例では、Hガスは、電解質貯蔵タンクから(例えば、そのガスヘッドスペースから)少なくとも1つのリバランシングセルに(例えば、同時に)流動して、電解質をリバランシングするためのプロトンを供給し得る。したがって、一実施例では、レドックスフロー電池は、レドックスフロー電池パックの各他のレドックスフロー電池から流体的に隔離され得る一方、レドックスフロー電池パックの各他のレドックスフロー電池は、同様に構成され(例えば、別個の電解質貯蔵タンク、電解質ポンプ、レドックスフロー電池セル、及びリバランシングセルを有して)、互いに流体的に隔離され得る。このようにして、レドックスフロー電池(及びレドックスフロー電池パックの複数のレドックスフロー電池の各々)は、そこを通して電解質及びHガスを独立に循環させるように構成され得る。
【0152】
例示的な実施形態では、レドックスフロー電池パックは、図1及び図15のレドックスフロー電池システムであり得る。したがって、方法1130は、図1及び図15の実施形態を単独で又は組み合わせて参照して考慮され得、その中の特徴又はより具体的な実施形態が、図2A図9B及び図13A図13Dを参照して詳細に説明され得る(ただし、本開示の範囲から逸脱することなく、同様の方法が他のシステムに適用されてもよいことが理解され得る)。例えば、方法1130は、図1のコントローラ88を介して実行され得、コントローラ88に通信可能に結合された非一時的記憶媒体(例えば、メモリ)に実行可能命令として記憶され得る。図11Bを参照して説明される更なる構成要素は、図1図9B図13A図13D、及び図15の対応する構成要素の実施例であり得る。
【0153】
1132において、方法1130は、少なくとも1つの電解質ポンプ(例えば、正電解質ポンプ及び負電解質ポンプ)を介して、電解質貯蔵タンクからの電解質のポンプ投入を開始することを含み得る。一実施例では、電解質のポンプ投入を開始することは、電源オン要求及び/又は放電モードに切り替える要求の受信に応答し得る(例えば、図11Aを参照して上で詳細に説明されるように、方法1100の1102において)。
【0154】
1134において、方法1130は、電解質及びHガスを低い内部圧力でレドックスフロー電池を通して循環させることを含み得る。具体的には、1136において、方法1130は、電解質を電解質貯蔵タンクを通して(例えば、少なくとも1つのリバランシングセルから、及び少なくとも1つの電解質ポンプに)流動させることを含み得る。例えば、正電解質は、電解質貯蔵タンクの正電解質チャンバを通って流動し得、負電解質は、電解質貯蔵タンクの負電解質チャンバを通って流動し得る。いくつかの実施例では、少なくとも1つのリバランシングセルは、内部短絡電極アセンブリの積層体を含み得、したがって、内部電気短絡された電極の対が存在しないリバランシングセルの装備と比較して、より少ないHガスを利用して、より多くの量のFe3+を還元し得るため(以下を参照のこと)、電解質貯蔵タンクは、例えば、およそ2psiの上側閾値ゲージ圧力まで定格され得る。ある特定の実施例では、上側閾値ゲージ圧力は、電極貯蔵タンクの形状及び/又は構造に起因して、電極貯蔵タンクによって取り扱われ得る最大圧力であり得る。したがって、一実施例では、電解質貯蔵タンク内のゲージ圧力は、2psi未満に維持され得る(例えば、上側閾値ゲージ圧力は、2psiであり得る)。別の実施例では、電解質貯蔵タンク内のゲージ圧力は、1psi未満に維持され得る(例えば、上側閾値ゲージ圧力は1psiであり得る)。他の実施例では、電解質貯蔵タンク内のゲージ圧力は、5psi未満に維持され得る(例えば、上側閾値ゲージ圧力は、5psiであり得る)。かかる低い内部圧力では、電解質貯蔵タンクは、電解質貯蔵タンクの充填密度が(例えば、より大きな高圧の円筒形電解質貯蔵タンクと比較して)レドックスフロー電池パックに含まれるように最適化され得るように、様々な形状(例えば、非円筒形)及びサイズで構成され得る。
【0155】
1138において、方法1130は、少なくとも1つの電解質ポンプを介して(例えば、電解質貯蔵タンクからレドックスフロー電池セルに)電解質をポンプ投入することを含み得る。例えば、正電解質は、正電解質ポンプを介してポンプ投入され得、負電解質は、負電解質ポンプを介してポンプ投入され得る。
【0156】
1140において、方法1130は、レドックスフロー電池セルを通して(例えば、少なくとも1つの電解質ポンプから少なくとも1つのリバランシングセルに)電解質を流動させることを含み得る。例えば、正電解質は、レドックスフロー電池セルの正電極コンパートメントを通って流動し得、正電解質中のFe3+は、放電モード中に還元され得(式(6)を参照のこと)、負電解質は、レドックスフロー電池セルの負電極コンパートメントを通って流動し得、Feは、放電モード中に、酸化され、負電解質中にFe2+として溶解し得る(式(5)を参照のこと)。
【0157】
1142において、方法1130は、少なくとも1つのリバランシングセルを通して(例えば、レドックスフロー電池セルから電解質貯蔵タンクに)電解質を流動させることと、少なくとも1つのリバランシングセルを通して(例えば、電解質貯蔵タンク又は別のHガス源から)Hガスを流動させることとの各々を含み得る。例えば、正電解質は、正リバランシングセルを通って流動し得、負電解質は、負リバランシングセルを通って流動し得る。例示的な実施形態では、図11Cを参照して以下で詳細に説明されるように、少なくとも1つのリバランシングセルの各リバランシングセルは、図2A及び図2Bのリバランシングセルであり得る。したがって、少なくとも1つのリバランシングセルの各リバランシングセルは、内部短絡電極アセンブリの積層体を含み得、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリは、内部電気短絡を介して電解質のHガスとの電解質リバランシングを駆動するように構成された正電極及び負電極の接合対を含み得る。例えば、電解質及びHガスは、Hガスが、正荷電イオンを還元するために、所与のリバランシングセルの各リバランシングセルの負電極(例えば、アノード)との所与のリバランシングセルの正電極(例えば、カソード)のそれぞれの接合部で電解質中の正荷電イオンと反応し得るように、少なくとも1つのリバランシングセルの所与のリバランシングセルを通って流動し得る。
【0158】
いくつかの実施例では、少なくとも1つのリバランシングセルの各リバランシングセルが水素ガス出口ポートを含む場合などでは、任意の未反応のHガスが、少なくとも1つのリバランシングセルからHガスの供給源(例えば、電解質貯蔵タンク又は別のHガス供給源)に戻るように流動し得る。追加又は代替の実施例では、少なくとも1つのリバランシングセルの各リバランシングセルがデッドエンド構成(例えば、水素ガス出口ポートを含まない)で構成されている場合などでは、任意の未反応のHガスが、少なくとも1つのリバランシングセルの負電極を横切って電解質へと流動し、少なくとも1つのリバランシングセルからそれぞれ少なくとも1つの圧力放出口ポートを介して(例えば、大気に)排出され得る。
【0159】
ここで図11Cを参照すると、内部短絡電極アセンブリの積層体(例えば、内部短絡電極アセンブリの積層体を通って流動する電流が外部負荷を通ってチャネリングされない)を含むリバランシングセルを動作させるための方法1160のフローチャートが示されている。具体的には、リバランシングセルは、過剰なHガスを減少させ、電解質中の電荷不平衡をリバランシングするために、レドックスフロー電池システムに実装され得、その結果、レドックスフロー電池システムは、低い内部圧力で動作し得る(例えば、レドックスフロー電池システム内の電解質及びHガスの最大圧力は、比較的低い閾値圧力未満など、低く維持され得る)。例示的な実施形態では、レドックスフロー電池システムは、図1のレドックスフロー電池システム10であり得、リバランシングセルは、図2A及び図2Bのリバランシングセル202であり得る。したがって、方法1160は、図1図2Bの実施形態を、単独で、又は図3図9Bの実施形態及び考慮事項と組み合わせて参照して考慮され得る(ただし、本開示の範囲から逸脱することなく、同様の方法が他のシステムに適用されてもよいことが理解され得る)。例えば、方法1160では、(例えば、リバランシングセルでの分配のためにHガス及び電解質を受容することを伴う)少なくともいくつかのステップ又はステップの部分が、図1のコントローラ88を介して実行され得、コントローラ88に通信可能に結合された非一時的記憶媒体(例えば、メモリ)に実行可能な命令として記憶され得る。図11Cを参照して説明される更なる構成要素は、図1図9Bの対応する構成要素の実施例であり得る。一実施形態では、方法1160は、図11Bで上記に詳細に説明されるように、方法1130における1142を部分的に又は全体的に置換し得る。しかしながら、方法1160はリバランシングセルの動作の1つの例示的な実施形態を構成すること、及び追加又は代替のリバランシングセルの動作方法が本開示の範囲内で実装され得ることが理解されよう。
【0160】
1162において、方法1160は、Hガス及び電解質を、リバランシングセルのそれぞれの入口ポートを介してリバランシングセルで受容することを含み得る。具体的には、電解質は、第1の入口ポートを介してリバランシングセルで受容され得、Hガスは、第2の入口ポートを介してリバランシングセルで受容され得る。一実施例では、第1の入口ポートは、重力の方向に対して第2の入口ポートの上に配置されている。
【0161】
1164において、方法1160は、Hガス及び電解質を、内部短絡電極アセンブリの積層体全体に分配することを含み得る。具体的には、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体の電極アセンブリにそれぞれ結合された複数の第1の入口チャネルを含む入口マニホールドを介して分配され得、Hガスは、内部短絡電極アセンブリの積層体によって形成され、かつ内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリに流体的に結合された第2の入口チャネルを介して分配され得る。いくつかの実施例では、入口マニホールドを介した分配の後、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極とそれぞれ接合している第1のフローフィールドプレートを介して分配され得る。他の実施例では、入口マニホールドを介した分配の後、電解質は、それぞれ正電極と接合している活性炭フォームを通して分配され得る。いくつかの実施例では、第2の入口チャネルを介した分配の後、Hガスは、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極とそれぞれ接合している第2のフローフィールドプレートを通して分配され得る。
【0162】
1166において、方法1160は、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極及び正電極での電解質リバランシング反応を起こすように、低い内部圧力でHガス及び電解質のフロー(例えば、横方向の、平行な、又は対向するフロー)を誘導することを含み得る。負電極及び正電極は、負電極及び正電極の接合対において、内部短絡電極アセンブリの積層体の間で分配され得る。上で考察したように、負電極及び正電極の接合対の各正電極は、それぞれの活性炭フォーム又はそれぞれの第1のフローフィールドプレートと更に接合し得る。一実施例では、負電極は、上にPt触媒がコーティングされた導電性炭素基板であり得、正電極は、炭素フェルトであり得る。いくつかの実施例では、低い内部圧力でHガス及び電解質のフローを誘導することは、(i)1168において、対流(例えば、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極と接合している第2のフローフィールドプレートを介した強制対流)を介して内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極を横切るHガスのフローを誘導することと、(ii)1170において、重力供給(例えば、重力の方向に対してリバランシングセルを傾けることによる)、毛細管作用(例えば、電解質を内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極にウィックアップすること)、及び対流(例えば、内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極と接合している第1のフローフィールドプレートを介した強制対流)のうちの1つ以上を介して内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極を横切る電解質のフローを誘導することと、を含み得る。一実施例では、Hガスのフローは、対流によって低い内部圧力で負電極を横切って誘導され得、電解質のフローは、重力供給及び毛細管作用の各々によって低い内部圧力で正電極を横切って誘導され得る。内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極及び正電極を横切ってHガス及び電解質を流動させると、1172においてHガスを電解質中の正荷電イオンと反応させて正荷電イオンを還元することを含む、電解質リバランシング反応が起こり得る(式(4)を参照のこと)。リバランシングセルが本明細書に記載されるように構成されている場合、Hガスの分圧は、正荷電イオンの十分に高い還元を達成しながら、比較的低い値(例えば、25%などの閾値分圧未満)で維持され得、その結果、低い内部圧力は、対応して低く、例えば閾値圧力未満に、維持され得る。一実施例として、閾値圧力は、5psiであり得る。別の実施例として、閾値圧力は、2psiであり得る。別の実施例として、閾値圧力は、1psiであり得る。
【0163】
1174において、方法1160は、電解質(還元された正荷電イオン、例えば1162において第1の入口ポートで受容されるときよりも低濃度のFe3+、を有する)及び任意の未反応のHガスを、リバランシングセルからHガスの出口ポートを介して排出することを含む。具体的には、1176において、電解質が、リバランシングセルから第1の出口ポートを介して排出され得、いくつかの実施例では、1178において、未反応のHガスが、リバランシングセルから第2の出口ポートを介して排出され得る。ただし、他の実施例では、リバランシングセルは、Hガスを流動させるためのデッドエンド構成を含んでもよく、第2の出口ポートは、含まれなくてもよい。いずれの場合も、少なくともいくつかの未反応のHガスは、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極を通って電解質に流動し得る。したがって、リバランシングセルから未反応のHガスを排出することは、1180において、圧力放出口ポートを介して電解質中の未反応のHガスを排出することを含み得る(例えば、電解質中に圧力が蓄積し、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極をフラッディングするのを防止するために)。
【0164】
ここで図12を参照すると、全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムの例示的なリバランシングセルにおけるHガス分圧の関数としての正規化されたFe3+還元速度を描写する例示的なプロット1200が示されている。具体的には、正規化されたFe3+還元速度は、(破線1204によって示されるように)25%のHガス分圧でのFe3+還元速度に対して正規化されたFe3+還元速度を指す。プロット1200に示されるように、横座標は、Hガス分圧(%での)を表し、縦座標は、Fe3+還元速度(%での)を表し、曲線1202は、Hガス分圧の関数としてのFe3+還元速度を表す。
【0165】
曲線1202は、25%のHガス分圧(例えば、破線1204)まで、Hガス分圧を増加させることに伴って、Fe3+還元速度が比較的急激に上昇することを示す。しかしながら、25%を上回るHガス分圧では、Hガス分圧を増加させることに伴って(具体的には、示されるように、25%を上回るHガス分圧では、正規化されたFe3+速度は、100%よりも大きく維持され得る)、Fe3+還元速度が水平になる(100%のHガス分圧で約150%の最大値に達する)。したがって、例示的なリバランシングセルは、正規化されたFe3+速度に対して比較的小さい影響を伴って、25%のHガス分圧もの低さで動作し得る(すなわち、電解質は、25%のHガス分圧でリバランシングセルによって十分にリバランシングされて、全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムの期待される電気化学的性能を達成し得る)。
【0166】
ここで図13A~13Dを参照すると、概略斜視図1300、1320、1340、及び1360がそれぞれ示されており、概略斜視図1300、1320、1340、及び1360は、それぞれ、レドックスフロー電池システムの第1、第2、第3、及び第4の例示的な電解質貯蔵タンク構成を描写する。例示的な実施形態では、図1の統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、図13A図13Dの例示的な電解質貯蔵タンク構成のいずれかとして構成され得る。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び図13A図13Dの図の間の比較のために、一組の基準軸1301が提供され、軸1301は、x軸、y軸、及びz軸を示す。破線で更に示されるように、追加の軸gは、重力の方向(例えば、軸gに沿った正の方向)及び垂直方向(例えば、軸gに沿った負の方向であり、重力の方向とは反対)と平行であり得る。他の電解質貯蔵タンク構成が本開示の範囲内で考慮されることが理解されよう(例えば、より小さい若しくはより大きい相対寸法、異なる三次元形状、又はより大きい数の入口ポート及び出口ポートを有する、異なる材料から形成されている、など)。
【0167】
図13Aの概略斜視図1300に示されるように、第1の例示的な電解質貯蔵タンク構成は、例示的なレドックスフロー電池システムの外側ハウジング1302内に配置された電解質貯蔵タンク1306を含み得る。具体的には、電解質貯蔵タンク1306は、中に配置された1つ以上の出口ポート1312a及び1つ以上の入口ポート1312bを有する外部ハウジング1308を含み得、電解質貯蔵タンク1306の面は、外部ハウジング1308の面によって形成され得る。外部ハウジング1308は、円筒形の形状であり得る(いくつかの実施例では、外部ハウジング1308は、規則的に円筒形であり、同様の円形の上面に平行な円形の底面を有し得る一方、他の実施例では、外部ハウジング1308の円形の底面及び円形の上面は、ドームで置き換えられ得る)一方、外側ハウジング1302は、角柱の形状であり得る(本明細書で使用される場合、「角柱の」は、幾何学的な意味で使用され、同様の多角形の上面に平行な多角形の底面を有する多面体を指し、多角形の底面及び上面は、多角形の底面及び上面に平行な連続する多角形の断面を含むように、直線の鋭い縁部を介してその対応する角部で結合され得る。したがって、「角柱の」は、円筒又は修正された円筒などの曲線形状を指さない)。すなわち、外部ハウジング1308は、少なくとも1つの曲線を含み得る一方、外側ハウジング1302は、曲線を含み得ず、接触面間の鋭い直線縁部/頂点のみを含み得る。一実施例では、外側ハウジング1302は、(図13Aに示されるように)長方角柱として成形され得る。したがって、外側ハウジング1308の湾曲した側面と外側ハウジング1302の内表面1304との間にギャップ又は空間1310が存在し得、ギャップ1310は、幾何学的観点から完全には回避可能ではない場合がある。具体的には、ギャップ1310は、外側ハウジング1302の内部に、及び電解質貯蔵タンク1306の外部に、空の空間の容積を含み得る。すなわち、ギャップ1310は、x軸に平行な掃過体積と、電解質貯蔵タンク1306の外部ハウジング1308の非多角形断面によって画定される掃過体積と、外側ハウジング1302の多角形断面(y軸及びz軸によって画定される平面に平行な非多角形断面及び多角形断面の各々)と、の差から形成され得る。このようにして、外部ハウジング1308の端部の、外側ハウジング1302の端部との同一平面上の位置整合は、外部ハウジング1308の円筒形状によって妨げられ得る。別の言い方をすれば、電解質貯蔵タンク1306の充填密度は、ギャップ1310の存在によって制限され得る。
【0168】
しかしながら、いくつかの実施例では、概略斜視図1300に示されるように、外部ハウジング1308の円形底面及び円形上面のうちの少なくとも1つが、例示的なレドックスフロー電池システム(図13Aには示されていない)のレドックスフロー電池セルの電極アセンブリ積層体上、例示的なレドックスフロー電池システム(図13Aには示されていない)の別の電解質貯蔵タンク(例えば、1306)の平坦表面上、及び内表面1304のうちの1つの上などの別の平坦表面を、同一平面上に、かつ交換可能に受容するように構成された平坦表面であり得る。したがって、一実施例では、外部ハウジング1308の円形底面及び円形上面のうちの少なくとも1つが、外側ハウジング1302の少なくとも1つの面[並びに/又は電極アセンブリ積層体に対応する少なくとも1つの平坦表面、及び/若しくは別の電解質貯蔵タンク(例えば、1306)の少なくとも1つの面]に平行であり得る。
【0169】
図13Bの概略斜視図1320に示されるように、第2の例示的な電解質貯蔵タンク構成は、例示的なレドックスフロー電池システムの外側ハウジング1302内に配置された電解質貯蔵タンク1326を含み得る。具体的には、電解質貯蔵タンク1326は、中に配置された1つ以上の出口ポート1332a及び1つ以上の入口ポート1332bを有する外部ハウジング1328を含み得、電解質貯蔵タンク1326の面は、外部ハウジング1328の面によって形成され得る。外部ハウジング1328及び外側ハウジング1302の各々は、角柱の形状であり得る。すなわち、外部ハウジング1328及び外側ハウジング1302の各々は、曲線を含まず、接触面間の鋭い直線縁部/頂点のみを含み得る。一実施例として、外側ハウジング1302及び/又は外側ハウジング1328は、長方角柱の形状であり得、例えば、外側ハウジング1302及び/又は外側ハウジング1328は、立方体の形状であり得る。したがって、いくつかの実施例では、外部ハウジング1328の少なくとも1つの面と、外側ハウジング1302の内表面1304のうちの少なくとも1つと、の間にギャップ又は空間が存在し得ない(すなわち、外部ハウジング1328及び外側ハウジング1302の幾何学的構成は、それらの間の同一平面上の位置整合を妨げない場合がある)。一実施例では、外側ハウジング1302は、(図13Bに示されるように)電解質貯蔵タンク1326と実質的に同様のサイズの長方角柱として成形され得る。このようにして、電解質貯蔵タンク1326の充填密度は、円筒形又は別様に非角柱の電解質貯蔵タンク(図13Aの電解質貯蔵タンク1306など)と比較して増加し得る。
【0170】
例えば、外部ハウジング1328の少なくとも1つの縁部が、外部ハウジング1328の少なくとも1つの縁部を形成する少なくとも2つの面が、外側ハウジング1302の少なくとも1つの内縁部を形成する内表面1304のうちの少なくとも2つをそれぞれ同一平面上に受容し(例えば、物理的に接触して配置され)得るように、それぞれ、外側ハウジング1302の少なくとも1つの内縁部と同一平面上に位置整合され、かつこの内縁部によって受容され(例えば、この内縁部と物理的に接触し)得る。いくつかの実施例では、概略斜視図1320に示されるように、外部ハウジング1328の少なくとも1つの縁部を形成する外部ハウジング1328の少なくとも2つの面の各々が、例示的なレドックスフロー電池システム(図13Bには示されていない)のレドックスフロー電池セルの電極アセンブリ積層体上、例示的なレドックスフロー電池システム(図13Bには示されていない)の別の電解質貯蔵タンク(例えば、1326)の平坦表面上、及び内表面1304上など、別の平坦表面を、同一平面上に、かつ交換可能に受容するように構成された平坦表面であり得る。したがって、一実施例では、外部ハウジング1328の少なくとも1つの面が、外側ハウジング1302の少なくとも1つの面[並びに/又は電極アセンブリ積層体に対応する少なくとも1つの平坦表面、及び/若しくは別の電解質貯蔵タンク(例えば、1326)の少なくとも1つの面]に平行であり得る。一実施例では、概略斜視図1320に更に示されるように、外部ハウジング1328及び外側ハウジング1302の各々の形状は、独立して、長方角柱又は立方体であり得、外部ハウジング1328は、外側ハウジング1302の5つの面がそれぞれ外部ハウジング1328の5つの面を同一平面上に受容し得るように、ハウジング1302に隙間嵌めされ得る。このようにして、外部ハウジング1328を角柱の(例えば、立方体などの長方角柱の)形状となるように構成することによって、外部ハウジング1328の少なくとも2つの面と、外部ハウジング1328の少なくとも2つの面によって画定される少なくとも1つの縁部と、が、それらの間に実質的にギャップ又は空間を有さずに、外側ハウジング1302の周囲に(例えば、それぞれ、内表面1304の少なくとも2つの面、及び内表面1304の少なくとも2つの面によって画定される少なくとも1つの内縁部に)延在し得る。
【0171】
図13Cの概略斜視図1340及び図13Dの概略斜視図1360にそれぞれ示されるように、第3及び第4の例示的な電解質貯蔵タンク構成は、例示的なレドックスフロー電池システムの外側ハウジング1302内に配置された複数の電解質貯蔵タンク1346を含み得る。具体的には、電解質貯蔵タンク1346は、中に配置された1つ以上の出口ポート1352a及び1つ以上の入口ポート1352bを有する外部ハウジング1348を含み得、電解質貯蔵タンク1346の各々の面は、外部ハウジング1348の面によって形成され得る。外部ハウジング1348及び外側ハウジング1302の各々は、角柱の形状であり得る。すなわち、外部ハウジング1348及び外側ハウジング1302の各々は、曲線を含まず、接触面間の鋭い直線縁部/頂点のみを含み得る。一実施例として、外側ハウジング1302、及び/又は外側ハウジング1348の各々は、長方角柱の形状であり得、例えば、外側ハウジング1302、及び/又は外側ハウジング1348の各々は、立方体の形状であり得る。したがって、いくつかの実施例では、少なくとも1つの外部ハウジング1348の少なくとも1つの面と、外側ハウジング1302の内表面1304のうちの少なくとも1つと、の間にギャップ又は空間が存在し得ない(すなわち、外部ハウジング1348及び外側ハウジング1302の幾何学的構成は、それらの間の同一平面上の位置整合を妨げない場合がある)。一実施例では、外側ハウジング1302は、(図13C及び図13Dに示されるように)複数の電解質貯蔵タンク1346の2次元又は3次元アレイと実質的に同様のサイズの長方角柱として形成され得る。具体的には、複数の電解質貯蔵タンク1346は、複数の電解質貯蔵タンク1346の各々の間に、介在する内部空隙、空間、又は容積を有さず、密に充填された長方角柱又は立方体の2次元又は3次元アレイとして同一平面上に積層され得る。このようにして、電解質貯蔵タンク1346の充填密度は、複数の円筒形又は別様に非角柱の電解質貯蔵タンク(図13Aの電解質貯蔵タンク1306など)と比較して増加し得る。
【0172】
例えば、少なくとも1つの外部ハウジング1348の少なくとも1つの縁部が、少なくとも1つの外側ハウジング1348の少なくとも1つの縁部を形成する少なくとも2つの面が、外側ハウジング1302の少なくとも1つの内縁部を形成する内表面1304のうちの少なくとも2つをそれぞれ同一平面上に受容し(例えば、物理的に接触して配置され)得るように、それぞれ、外側ハウジング1302の少なくとも1つの内縁部と同一平面上に位置整合され、かつこの内縁部によって受容され(例えば、この内縁部と物理的に接触し)得る。いくつかの実施例では、概略斜視図1340及び1360の各々に示されるように、少なくとも1つの外部ハウジング1348の少なくとも2つの面の各々は、例示的なレドックスフロー電池システムのレドックスフロー電池セルの電極アセンブリ積層体1362(例えば、平坦表面1364のうちの1つ)、例示的なレドックスフロー電池システムの別の電解質貯蔵タンク1346の平坦表面(例えば、別の電解質貯蔵タンク1346の外部ハウジング1348の面)、及び内表面1304などの別の平坦表面を、同一平面上に、かつ交換可能に受容するように構成された平坦表面であり得る。したがって、一実施例では、外部ハウジング1348の少なくとも1つの面が、外側ハウジング1302の少なくとも1つの面(並びに/又は電極アセンブリ積層体1362に対応する少なくとも1つの平坦表面1364、及び/若しくは別の電解質貯蔵タンク1346の少なくとも1つの面)に平行であり得る。このようにして、外部ハウジング1348を角柱の(例えば、立方体などの長方角柱の)形状となるように構成することによって、外部ハウジング1348の少なくとも2つの面と、外部ハウジング1348の少なくとも2つの面によって画定される少なくとも1つの縁部と、が、それらの間に実質的にギャップ又は空間を有さずに、外側ハウジング1302の周囲に(例えば、それぞれ、内表面1304の少なくとも2つの面、及び内表面1304の少なくとも2つの面によって画定される少なくとも1つの内縁部に)延在し得る。更に、複数の電解質貯蔵タンク1346の隣接する対の面は、複数の電解質貯蔵タンク1346の積層可能性及び全体的なコンパクトさが改善され得るように、x軸、y軸、及びz軸のいずれかに沿って互いに同一平面上に位置整合され得る。
【0173】
一実施例では、図13Cの概略斜視図1340に更に示されるように、外部ハウジング1348及び外側ハウジング1302の各々の形状は、独立して、長方角柱又は立方体であり得、外部ハウジング1348の各々は、外側ハウジング1302に嵌め込まれ、かつ3つ又は4つの他の外部ハウジング1348に対して積層されることによって、それぞれの積層可能な表面で3つ又は4つの他の外部ハウジング1348を受容し、電解質貯蔵タンク1346の複合長方角柱又は立方体を形成し得る。別の実施例では、図13Dの概略斜視図1360に更に示されるように、外部ハウジング1348の各々、電極アセンブリ積層体1362の各々、及び外側ハウジング1302の形状は、独立して、長方角柱又は立方体であり、外部ハウジング1348の各々は、1つの電極アセンブリ積層体1362及び2つ又は3つの他の外部ハウジング1348に対して積層体されることによって、それぞれの積層可能な表面で1つの電極アセンブリ積層体1362及び2つ又は3つの他の外部ハウジング1348を受容し、電解質貯蔵タンク1346及び電極アセンブリ積層体1362の複合長方角柱又は立方体を形成し得る。このようにして、電解質貯蔵タンク1346の各々は、それぞれ、電極アセンブリ積層体1362の各々に関連付けられ得、その結果、電解質貯蔵タンク1346の総数は、電極アセンブリ積層体1362の総数と等しくあり得る。
【0174】
外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々は、その中に、流動する液体電解質及び/又はガスを収容し得、流動する液体電解質及び/又はガスは、対応する出口ポート及び入口ポートを介して外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々を通って流動する。具体的には、出口ポート1312a、1332a、及び1352aは、(それぞれ矢印1314a、1334a、及び1354aによって示されるように)流動する液体電解質及び/又はガスを、それぞれ外部ハウジング1308、1328、及び1348によって囲まれた電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346のそれぞれの内部から排出するように構成され得る。同様に、入口ポート1312b、1332b、及び1352bは、(それぞれ矢印1314b、1334b、及び1354bによって示されるように)流動する液体電解質及び/又はガスを、それぞれ外部ハウジング1308、1328、及び1348によって囲まれた電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346のそれぞれの内部にそれぞれ受容するように構成され得る。したがって、出口ポート1312a、1332a、及び1352a、並びに入口ポート1312b、1332b、及び1352bを除いて、外部ハウジング1308、1328、及び1348は、密閉され得る。更に、出口ポート1312a、1332a、及び1352aの各々と、入口ポート1312b、1332b、及び1352bの各々と、は、流動する液体電解質及び/又はガスが、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々の内部にのみ、例示的なレドックスフロー電池システムの他の構成要素(例えば、電解質ポンプ、レドックスフロー電池セル、リバランシングセルなど)に内部を流体的に結合する配管を介して、出入りし得るように、フランジ継手を備えつけられ得る。したがって、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346は、漏れを伴わずに連続的に加圧された状態(例えば、電解質及び/又はHガス流路の)を維持すると考えられ得る。
【0175】
外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々の壁は、それぞれの電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346が、対応する広範な圧力に定格され得るように、広範な厚さ及び組成物で製造され得る。いくつかの実施例では、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々の各壁の厚さは、5mmなどの下側閾値厚さよりも大きく、かつ50mmなどの上側閾値厚さよりも小さくあり得る。一実施例では、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々の各壁の厚さは、10mm未満であり得る。いくつかの実施例では、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々の各壁の組成物は、コーティングされた金属(例えば、PTFEでコーティングされた金属)、ポリエチレン(HDPEなど)、ポリプロピレン、強化ポリプロピレン、又は強化ガラス線維を含む、構造強度が様々な材料から選択され得る。一実施例では、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々は、ポリプロピレンから形成され得る。別の実施例では、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々は、強化ポリプロピレンから形成され得る。
【0176】
上で示されるように、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々は、外部ハウジング1308、1328、及び1348の全体的な構成(例えば、形状、相対サイズ、壁厚、壁組成など)に依存するように、広範な圧力に定格され得る。いくつかの実施例では、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々は、最大20psiに定格され得る。一実施例では、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々は、最大2psiに定格され得る。したがって、かかる実施例では、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々内のゲージ圧力は、2psi未満に維持され得る。別の実施例では、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々内のゲージ圧力は、1psi未満に維持され得る。(例えば、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々は、最大1psiに定格され得る)。別の実施例では、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々内のゲージ圧力は、5psi未満に維持され得る(例えば、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々は、最大5psiに定格され得る)。
【0177】
上で更に示されるように、図1の統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346のいずれかとして、又はそれらからの特徴の組み合わせで構成され得る。対応して、図1を参照して上で詳細に説明されるように、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の構成要素及び特徴は、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346のいずれかに含まれ得る。一実施例として、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々の内部は、バルクヘッド(図1のバルクヘッド98など)によって正電解質チャンバ及び負電解質チャンバ(図1の正電解質チャンバ及び負電解質チャンバ52及び50など)に分割され得る。更に、かかる実施例では、スピルオーバホール(図1のスピルオーバホール96など)が、流動する液体電解質の充填高さを上回る閾値高さで、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々のバルクヘッドに配置され得る。このようにして、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346の各々内のガスヘッドスペース(例えば、充填高さよりも上)内の流動するガス(例えば、Hガス)の圧力が、スピルオーバホールを介して均等化され得る。更に、流動する電解質が、電解質貯蔵タンク1306、1326、及び1346のいずれかの正電解質チャンバ及び負電解質チャンバのうちの1つにおける充填高さを上回る閾値高さを上回って上昇する状況では、正電解質チャンバ及び負電解質チャンバ内の流動する電解質の充填レベルは、正電解質チャンバ及び負電解質チャンバのうちの一方から正電解質チャンバ及び負電解質チャンバのうちの他方への流動する電解質の流出を介して均等化され得る。
【0178】
互いに実質的に同様の機能を有する図13A図13Dの様々な構成要素及び特徴が、20だけ増分された数値で標記され得ることが理解されよう(例えば、出口ポート1312aは、出口ポート1332a及び1352aと実質的に同様の機能を有し得る)。図13A図13Dの様々な構成要素及び特徴が、それらに描写されるものよりも構成が大きく異なる場合があることが更に理解されよう。一実施例として、出口ポート1312a、1332a、及び1352aは、x軸に対して垂直である外部ハウジング1308、1328、及び1348の面上にそれぞれ配置されているように描写されているが、出口ポート1312a、1332a、及び1352aは、それぞれ、外部ハウジング1308、1328、及び1348の任意の面上に配置されてもよい。同様に、入口ポート1312b、1332b、及び1352bは、x軸に対して垂直である外部ハウジング1308、1328、及び1348の面上にそれぞれ配置されているように描写されているが、入口ポート1312b、1332b、及び1352bは、それぞれ、外部ハウジング1308、1328、及び1348の任意の面上に配置されてもよい。更に、出口ポート1312a、1332a、及び1352aは、それぞれ、z軸に関して、入口ポート1312b、1332b、及び1352bよりも上に描写されているが、他の実施例では、出口ポート1312a、1332a、及び1352aは、z軸に関して、それぞれ、入口ポート1312b、1332b、及び1352bよりも下にあってもよいし、出口ポート1312a、1332a、及び1352aは、z軸に関して、それぞれ、入口ポート1312b、1332b、及び1352bと同じ高さであってもよい。更に、出口ポート1312a、1332a、及び1352aは、それぞれ、入口ポート1312b、1332b、及び1352bと同じ外部ハウジング1308、1328、及び1348の面上にそれぞれ配置されているように描写されているが、他の実施例では、出口ポート1312a、1332a、及び1352aは、それぞれ、入口ポート1312b、1332b、及び1352bとは異なる外部ハウジング1308、1328、及び1348の面上にそれぞれ配置されてもよい。更に、1つの出口ポート1312a、1332a、及び1352aが、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々上に配置されているように描写されているが、他の実施例では、複数の出口ポート1312a、1332a、及び1352aが、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々上にそれぞれ配置されてもよい。同様に、1つの入口ポート1312b、1332b、及び1352bが、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々上にそれぞれ配置されているように描写されているが、他の実施例では、複数の入口ポート1312b、1332b、及び1352bが、外部ハウジング1308、1328、及び1348の各々上にそれぞれ配置されてもよい。
【0179】
ここで図14を参照すると、複数のDC-DCブーストコンバータ1414及び電力インバータ1416を介して電気グリッド1418に電気的に結合された第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402を描写する概略図1400が示されている。例示的な実施形態では、第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402は、図1のレドックスフロー電池システム100であり得る。したがって、図1を参照して上で詳細に説明されるレドックスフロー電池システム100の特徴及び構成要素が、第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402に含まれ得るか、又は第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402の同様に標記された特徴又は構成要素を置き換え得ることが理解されよう。例えば、第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402は、全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムであり得る。
【0180】
概略図1400に示されるように、第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402は、それぞれの電解質流路1406a及び1406cに沿って電解質を排出及び受容する電解質貯蔵タンク1404(電解質貯蔵タンク1404は、いくつかの実施例では、角柱の形状であり得る)を含み得る。具体的には、電解質は、電解質ポンプ1408を介して電解質流路1406aに沿ってポンプ投入されるように、電解質流路1406aに沿って電解質貯蔵タンク1404から排出され得る。電解質ポンプ1408は、電解質流路1406bに沿って、並列の複数の電極アセンブリ積層体1410の各々に電解質を分配し得る。いくつかの実施例では、複数の電極アセンブリ積層体1410の各々は、1つ以上のレドックスフロー電池セル(レドックス電極及びめっき電極を含む1つ以上のレドックスフロー電池セルの各々)及びリバランシングセル[リバランシングセルは、内部短絡電極アセンブリの積層体を含み、内部短絡電極アセンブリの積層体から電流を離れるように導くための電気経路は存在しない(したがって、例示的な実施形態では、リバランシングセルは、図2A図3のリバランシングセル202であり得る)]を含み得る。複数の電極アセンブリ積層体1410の各々について、電解質は、1つ以上のレドックスフロー電池セル及びリバランシングセルを順次通って、電解質流路1406cに沿って電解質貯蔵タンク1404に戻るように流動し得る。このようにして、電解質は、電解質貯蔵タンク1404、電解質ポンプ1408、及び複数の電極アセンブリ積層体1410を通って(例えば、並列の複数の電極アセンブリ積層体1410の各々を通って)順次サイクルされ得る。
【0181】
複数の電極アセンブリ積層体1410は、平行なフロー構成で配置され得るため、電解質流路1406b及び1406cは、様々な配管継手(例えば、ティー継手、側方継手、十字継手など)を介して流体的に結合された平行な配管長を含み得る。したがって、更なる電極アセンブリ積層体1410を追加するために、追加の配管長及び配管接合部が採用され得るが、電極アセンブリ積層体1410を除去することは、配管長若しくは配管接合部の縮小、又は配管をより短い配管で完全に交換すること(例えば、配管長を縮小することができない場合)をもたらし得る。
【0182】
概略図1400に更に示されるように、複数の電極アセンブリ積層体1410は、電気経路1412aを介して、複数のDC-DCブーストコンバータ1414にそれぞれ(例えば、その中に含まれる1つ以上のレドックスフロー電池セルの各々の正端子及び負端子で)並列に電気的に結合され得る。複数のDC-DCブーストコンバータ1414は、電気経路1412bを介して電力インバータ1416に更に電気的に結合され得る。電力インバータ1416は、電気経路1412cを介して電気グリッド1418に更に電気的に結合され得る。このようにして、電流は、複数のDC-DCブーストコンバータ1414及び電力インバータ1416を介して、複数の電極アセンブリ積層体1410と電気グリッド1418との間を可逆的に流れ得る。
【0183】
複数のDC-DCブーストコンバータ1414は、電力インバータ1416と適合するために、複数の電極アセンブリ積層体1410の各々の出力電圧をランプアップさせるために、第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402に含まれ得る。例えば、複数の電極アセンブリ積層体1410の各々は、第1の電位差範囲(例えば、40~75V)内で動作し得る一方、電力インバータ1416は、第1の電位差範囲よりも高い第2の電位差範囲内(例えば、600~1000V、850~1000Vなど)で動作し得る。したがって、追加のDC-DCブーストコンバータ1414が、第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402に追加され得る各電極アセンブリ積層体1410に対して含まれ得る。
【0184】
第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402において、概略図1400に示されるように、n個のDC-DCブーストコンバータ1414に電気的に結合されたn個の電極アセンブリ積層体1410が含まれ、n個の電極アセンブリ積層体1410の各々及びn個のDC-DCブーストコンバータ1414の各々は、1~nにわたるインデックスで標記されていることが理解されよう。更に、4つの電極アセンブリ積層体1410及び4つのDC-DCブーストコンバータ1414が図14に示されているが、複数の電極アセンブリ積層体1410及び複数のDC-DCブーストコンバータ1414の各々の総数、例えばn、は、1よりも大きい任意の数であり得ることが理解されよう。
【0185】
ここで図15を参照すると、電力インバータ1516を介して電気グリッド1518に電気的に結合された第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502を描写する概略図1500が示されている。例示的な実施形態では、第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502は、図1のレドックスフロー電池システム100であり得る。したがって、図1を参照して上で詳細に説明されるレドックスフロー電池システム100の特徴及び構成要素が、第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502に含まれ得るか、又は第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502の同様に標記された特徴又は構成要素を置き換え得ることが理解されよう。例えば、第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502は、全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムであり得る。
【0186】
概略図1500に示されるように、第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502は、それぞれ、複数の電解質ポンプ1508を介して複数の電極アセンブリ積層体1510にそれぞれ流体的に結合された複数の電解質貯蔵タンク1504を含み得る。したがって、第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502は、複数のレドックスフロー電池1552を含むレドックスフロー電池パックとして構成され得、複数のレドックスフロー電池1552の各々は、複数の電解質貯蔵タンク1504のうちの1つ、複数の電解質ポンプ1508のうちの1つ、及び複数の電極アセンブリ積層体1510のうちの1つをそれぞれ含み得る。
【0187】
複数の電解質貯蔵タンク1504の各々は、(例えば、通常の又は修正された円筒などの他の形状と比較して充填密度を増加させるように)角柱の形状であり得、複数の電解質流路1506aのうちのそれぞれの1つに沿って電解質を排出し得、複数の電解質流路1506cのうちのそれぞれの1つに沿って電解質を受容し得る。複数の電解質貯蔵タンク1504は、それぞれ、複数の電解質流路1506aを介して複数の電解質ポンプ1508にそれぞれ流体的に結合され得る。したがって、電解質は、複数の電解質流路1506aのうちのそれぞれの1つを介して、複数の電解質ポンプ1508のうちのそれぞれの1つによって電解質流路1506aに沿ってポンプ投入されると、複数の電解質貯蔵タンク1504の各々から排出され得る。複数の電解質ポンプ1508の各々は、複数の電解質流路1506bのうちのそれぞれの1つを介して、電解質を複数の電極アセンブリ積層体1510のうちのそれぞれの1つに送達し得る。いくつかの実施例では、複数の電極アセンブリ積層体1510の各々は、1つ以上のレドックスフロー電池セル(レドックス電極及びめっき電極を含む1つ以上のレドックスフロー電池セルの各々)及びリバランシングセル[リバランシングセルは、内部短絡電極アセンブリの積層体を含み、内部短絡電極アセンブリの積層体から電流を離れるように導くための電気経路は存在しない(したがって、例示的な実施形態では、リバランシングセルは、図2A図3のリバランシングセル202であり得る)]を含み得る。複数の電極アセンブリ積層体1510の各々について、電解質は、1つ以上のレドックスフロー電池セル及びリバランシングセルを順次通って、複数の電解質流路1506cのうちのそれぞれの1つに沿って複数の電解質貯蔵タンク1504のうちのそれぞれの1つに戻るように流動し得る。このようにして、複数のレドックスフロー電池1552の各々について、電解質は、複数の電解質貯蔵タンク1504のうちのそれぞれの1つ、複数の電解質ポンプ1508のうちのそれぞれの1つ、及び複数の電極アセンブリ積層体1510のうちのそれぞれの1つを通して順次サイクルされ得る。
【0188】
複数のレドックスフロー電池1552の各々は、複数のレドックスフロー電池1552の他の各々とは、別個の電解質貯蔵タンク1504、別個の電解質ポンプ1508、及び別個の電極アセンブリ積層体1510を含み得るので、複数のレドックスフロー電池1552の各々(及びその中に含まれる構成要素)は、いくつかの実施例では、複数のレドックスフロー電池1552(及びその中に含まれる構成要素)の他の各々から流体的に隔離され得る。したがって、レドックスフロー電池1552が、既存の配管構成を変更することなく追加され得、かつレドックスフロー電池1552が、配管長又は配管継手を置き換えることなく取り外され得るため、第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502のモジュール性が、各電極アセンブリ積層体が並列に流体的に結合されているレドックスフロー電池システム(例えば、図14の第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402)と比較して改善され得る。
【0189】
概略図1500に更に示されるように、複数の電極アセンブリ積層体1510は、直列に電気的に結合され得、複数の電極アセンブリ積層体1510の各々が、それぞれ、複数の電気経路1512bのうちの少なくとも1つを介して、少なくとも1つの隣接する電極アセンブリ積層体1510に(例えば、その中に含まれる1つ以上のレドックスフロー電池セルの各々の正端子及び負端子で)、(例えば、その中に含まれる1つ以上のレドックスフロー電池セルの各々の正端子及び負端子で)直接電気的に結合され得るようになる。複数の電極アセンブリ積層体1510は、電気経路1512a及び1512cを介して電力インバータ1516に更に電気的に結合され得る。具体的には、電力インバータ1516は、最初の電極アセンブリ積層体1510(概略図1500で「1」と標記される)及び最後の(例えば、n番目の)電極アセンブリ積層体1510(概略図1500で「n」と標記される)の各々に直接電気的に結合され得る。したがって、複数の電極アセンブリ積層体1510の各々は、2つの隣接する電極アセンブリ積層体1510、又は1つの隣接する電極アセンブリ積層体1510及び電力インバータ1516に直接電気的に結合され得る。電力インバータ1516は、電気経路1512dを介して電気グリッド1518に更に電気的に結合され得る。このようにして、電流が、複数の電極アセンブリ積層体1510及び電力インバータ1516を横切って順次サイクルされ得、そこから電流は、電気グリッド1518に(例えば、電力インバータ1516と電力グリッド1518との間で)可逆的に流れ得る。
【0190】
複数の電極アセンブリ積層体1510を直列に電気的に結合することによって、それにわたる電位差がランプアップし得る。したがって、第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502の出力電圧は、任意のDC-DCブーストコンバータが第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502に存在することなく、電力インバータ1516と適合し得る(例えば、DC-DCブーストコンバータを複数の電極アセンブリ積層体1510又はその中に含まれる構成要素のうちのいずれかに電気的に結合するための電気的経路が存在しなくてもよい)。例えば、複数の(直列結合された)電極アセンブリ積層体1510の出力電圧は、電力インバータ1516が動作し得る電位差範囲内(例えば、600~1000V、850~1000Vなど)にあり得る。したがって、第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502の複雑さ及びコストの両方が、そこに含まれる電極アセンブリ積層体(複数可)(例えば、図14の第1の例示的なレドックスフロー電池システム1402)の出力電圧をランプアップするために、1つ以上のDC-DCブーストコンバータが提供されるレドックスフロー電池システムと比較して低減され得る。
【0191】
第2の例示的なレドックスフロー電池システム1502において、概略図1500に示されるように、n’個の電極貯蔵タンク1504に流体的に結合されたn’個の電極アセンブリ積層体1510が含まれ、n’個の電極アセンブリ積層体1510の各々及びn’個の電極貯蔵タンク1504の各々が、1~n’にわたるインデックスで標記されていることが理解されよう。更に、4つの電極アセンブリ積層体1510及び4つの電解質貯蔵タンク1504が図15に示されているが、複数の電極アセンブリ積層体1510及び複数の電解質貯蔵タンク1504の各々の総数、例えばn’、は、1よりも大きい任意の数であり得ることが理解されよう。
【0192】
このようにして、電解質は、レドックスフロー電池システムにて、比較的高いFe3+還元速度及び比較的低いHガス分圧を有するでリバランシングされ得、この結果、電解質及びHガスがレドックスフロー電池システムに貯蔵及び分配される圧力が、低減され得る。一実施例では、レドックスフロー電池システムは、複数の電解質貯蔵タンクを含み得、複数の電解質貯蔵タンクの各々内のゲージ圧力が、比較的低い値(例えば、2psi)未満に維持され得る。したがって、複数の電解質貯蔵タンクの各々は、(レドックスフロー電池システム動作中により高い圧力を含み得る)従来のレドックスフロー電池システムで利用される電解質貯蔵タンクと比較して、より広い範囲の壁厚、組成、及び形状で構成され得る。例えば、複数の電解質貯蔵タンクの各々は、角柱の形状であり得る。複数の電解質貯蔵タンクの各々が角柱の形状であることの技術的効果は、複数の電解質貯蔵タンクの充填密度が増加し得るように、複数の電解質貯蔵タンクが他の形状(例えば、シリンダ)と比較してより空間効率的な様態で配置され得ることである。複数の電解質貯蔵タンクの各々が角柱の形状であることの追加の技術的効果は、複数の電解質貯蔵タンクがレドックスフロー電池システムに含まれ、レドックスフロー電池システム全体に分散され得ることであり(例えば、角柱電解質貯蔵タンクは、レドックスフロー電池システム内の複数のレドックスフロー電池セルの各々に提供され得る)、レドックスフロー電池システムの全体的な空間効率を更に増加させる。
【0193】
一実施例では、レドックスフロー電池システムであって、複数のレドックスフロー電池セルと、複数のレドックスフロー電池セルにそれぞれ流体的に結合された複数の角柱電解質貯蔵タンクと、を備え、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々におけるゲージ圧力が、2psi未満に維持され得る、レドックスフロー電池システムである。レドックスフロー電池システムの第1の実施例は、複数のレドックスフロー電池セルの各々が、それぞれレドックス電極及びめっき電極を収容する正電極コンパートメント及び負電極コンパートメントを備え、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各角柱電解質貯蔵タンクが、レドックスフロー電池セルの正電極コンパートメント及び負電極コンパートメントを介して、それぞれ、複数のレドックスフロー電池セルの各レドックスフロー電池セルに流体的に結合されていることを更に含む。任意選択で、レドックスフロー電池システムの第1の実施例を含む、レドックスフロー電池システムの第2の実施例は、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々が、正電解質及び負電解質をそれぞれ含有する正電解質チャンバ及び負電解質チャンバに分割されており、正電解質チャンバ及び負電解質チャンバが、Hガスを収容するそれぞれのガスヘッドスペースを更に含み、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各角柱電解質貯蔵タンクの正電解質チャンバが、角柱電解質貯蔵タンクに流体的に結合された複数のレドックスフロー電池セルのうちのレドックスフロー電池セルの正電極コンパートメントに流体的に結合されており、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各角柱電解質貯蔵タンクの負電解質チャンバが、角柱電解質貯蔵タンクに流体的に結合された複数のレドックスフロー電池セルのうちのレドックスフロー電池セルの負電極コンパートメントに流体的に結合されていること、を更に含む。任意選択で、レドックスフロー電池システムの第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、レドックスフロー電池システムの第3の実施例は、正電解質の電解質リバランシングのための複数の正リバランシングセルを更に備え、複数の正リバランシングセルが、複数のレドックスフロー電池セルの正電極コンパートメントと、複数の角柱電解質貯蔵タンクの正電解質チャンバと、にそれぞれ流体的に結合されており、複数の正リバランシングセルの各々が、内部電気短絡を介してHガスで正電解質の電解質リバランシングを駆動するように構成された正電極及び負電極の接合対を備えること、を更に含む。任意選択で、レドックスフロー電池システムの第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、レドックスフロー電池システムの第4の実施例は、負電解質の電解質リバランシングのための複数の負リバランシングセルを更に備え、複数の負リバランシングセルが、複数のレドックスフロー電池セルの負電極コンパートメントと、複数の角柱電解質貯蔵タンクの負電解質チャンバと、にそれぞれ流体的に結合されており、複数の負リバランシングセルの各々が、内部電気短絡を介してHガスで負電解質の電解質リバランシングを駆動するように構成された正電極及び負電極の接合対を備えること、を更に含む。任意選択で、レドックスフロー電池システムの第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、レドックスフロー電池システムの第5の実施例は、外側ハウジングを更に備え、複数の角柱電解質貯蔵タンクの各々の少なくとも1つの縁部が、外側ハウジングの少なくとも1つの内縁部と同一平面上に位置整合され、かつ外側ハウジングの少なくとも1つの内縁部によって受容されていること、を更に含む。任意選択で、レドックスフロー電池システムの第1~第5の実施例のうちの1つ以上を含む、レドックスフロー電池システムの第6の実施例は、レドックスフロー電池システムが全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムであること、を更に含む。
【0194】
別の実施例では、レドックスフロー電池パックのための方法であって、レドックスフロー電池パックの第1のレドックスフロー電池について、第1のレドックスフロー電池の第1の電解質貯蔵タンクから、第1のレドックスフロー電池の第1のレドックスフロー電池セルと第1のレドックスフロー電池の第1のリバランシングセルとを通して、電解質を順次サイクルさせることと、第1の電解質貯蔵タンクから第1のリバランシングセルにHガスを流動させることと、レドックスフロー電池パックの第2のレドックスフロー電池について、第2のレドックスフロー電池の第2の電解質貯蔵タンクから、第2のレドックスフロー電池の第2のレドックスフロー電池セルと第2のレドックスフロー電池の第2のリバランシングセルとを通して、電解質を順次サイクルさせることと、第2の電解質貯蔵タンクから第2のリバランシングセルにHガスを流動させることと、を含み、第1の電解質貯蔵タンク及び第2の電解質貯蔵タンクからのHガスが、80%未満の分圧で第1のリバランシングセル及び第2のリバランシングセルにそれぞれ流動する、方法である。本方法の第1の実施例は、第1の電解質貯蔵タンク及び第2の電解質貯蔵タンクの各々が、非円筒形状であること、を更に含む。任意選択で、本方法の第1の実施例を含む、本方法の第2の実施例は、第1の電解質貯蔵タンクからのHガスが、第1のリバランシングセルのカソードと第1のリバランシングセルのアノードとのそれぞれの接合部で、第1の電解質貯蔵タンクからの電解質中の正荷電イオンと反応して、正荷電イオンを還元し、第2の電解質貯蔵タンクからのHガスが、第2のリバランシングセルのカソードと第2のリバランシングセルのアノードとのそれぞれの接合部で、第2の電解質貯蔵タンクからの電解質中の正荷電イオンと反応して、正荷電イオンを還元すること、を更に含む。任意選択で、本方法の第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、本方法の第3の実施例は、第1のレドックスフロー電池について、第1のリバランシングセルから第1の電解質貯蔵タンクに未反応のHガスを流動させることと、第2のレドックスフロー電池について、第2のリバランシングセルから第2の電解質貯蔵タンクに未反応のHガスを流動させることと、を更に含む。任意選択で、本方法の第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、本方法の第4の実施例は、第1のレドックスフロー電池について、第1のリバランシングセルから第1の圧力放出口ポートを介して未反応のHガスを排出することと、第2のレドックスフロー電池について、第2のリバランシングセルから第2の圧力放出口ポートを介して未反応のHガスを排出することと、を更に含む。任意選択で、本方法の第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、本方法の第5の実施例は、レドックスフロー電池パックが、室温~60℃の温度範囲内で動作することを更に含む。
【0195】
更に別の実施例では、レドックスフロー電池システムのための貯蔵タンクであって、レドックスフロー電池システムのレドックスフロー電池セルの電極アセンブリ積層体と、レドックスフロー電池システムの別の貯蔵タンクの平坦表面と、レドックスフロー電池システムの外側ハウジングの内表面と、を同一平面上に、かつ交換可能に受容するように構成された平坦表面を含む、角柱外部ハウジングを備え、角柱外部ハウジングが、流動する液体電解質及び流動するガスを収容する、貯蔵タンクである。貯蔵タンクの第1の実施例は、角柱外部ハウジングの形状が、長方角柱又は立方体であること、を更に含む。任意選択で、貯蔵タンクの第1の実施例を含む、貯蔵タンクの第2の実施例は、角柱外部ハウジングの各壁の厚さが、10mm未満であること、を更に含む。任意選択で、貯蔵タンクの第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、貯蔵タンクの第3の実施例は、角柱外部ハウジングが、高密度ポリエチレン、強化ポリプロピレン、又は強化ガラス繊維から形成されていること、を更に含む。任意選択で、貯蔵タンクの第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、貯蔵タンクの第4の実施例は、流動する液体電解質及び流動するガスを、角柱外部ハウジングによって囲まれた貯蔵タンクの内部に受容するように構成された1つ以上の入口ポートと、流動する液体電解質及び流動するガスを貯蔵タンクの内部から排出するように構成された1つ以上の出口ポートと、を更に備える。任意選択で、貯蔵タンクの第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、貯蔵タンクの第5の実施例は、角柱外部ハウジングによって囲まれた貯蔵タンクの内部が、バルクヘッドによって正電解質チャンバと負電解質チャンバとに分割されていること、を更に含む。任意選択で、貯蔵タンクの第1~第5の実施例のうちの1つ以上を含む、貯蔵タンクの第6の実施例は、スピルオーバホールが、流動する液体電解質の充填高さを上回る閾値高さでバルクヘッドに配置されていること、を更に含む。
【0196】
図2A図4B及び図6A図9Bは、様々な構成要素の相対的な位置付けを伴う例示的な構成を示す。互いに直接接触しているか、又は直接結合されていることが示されている場合、次いでかかる要素は、少なくとも一実施例では、それぞれ直接接触している又は直接結合されていると呼ばれ得る。同様に、互いに連続するか又は隣接して示される要素は、少なくとも一実施例では、それぞれ連続するか又は互いに隣接し得る。一例として、互いに面共有接触で置かれる構成要素は、面共有接触と呼ばれ得る。別の例として、少なくとも一例では、互いに離れて配置された要素は、それらの間は空間のみであり、他の構成要素はそのように呼ばれ得ない。更に別の例として、互いに上/下に、互いに反対側に、又は互いの左/右に示される要素は、互いに対してそのように呼ばれ得る。更に、図に示されるように、最上部の要素又は要素の点は、少なくとも一例では、構成要素の「上部」と呼ばれ得、最下部の要素又は要素の点は、構成要素の「下部」と呼ばれ得る。本明細書において使用される場合、上部/下部、上側/下側、上/下は、図面の垂直軸に対してであり得、互いに対する図面の要素の位置付けを説明するために使用される。したがって、一実施例では、他の要素の上に示される要素は、他の要素の上に垂直に配置される。更に別の実施例として、図面内に描写される要素の形状は、それらの形状(例えば、円形、直線、平面、曲線、丸みを帯びた、面取りされた、角度の付いた、など)を有すると呼ばれ得る。更に、互いに交差して示される要素は、少なくとも1つの実施例では、交差する要素又は互いに交差する要素と呼ばれ得る。なお更に、一実施例では、別の要素内に示される、又は別の要素の外側に示される要素は、そのように呼ばれ得る。図2A図4B図6A図9Bは、およそスケールに応じて描かれているが、他の寸法又は相対寸法が使用されてもよい。
【0197】
以下の特許請求の範囲は、新規かつ自明ではないとみなされる特定の組み合わせ及びサブ組み合わせを特に指摘している。これらの特許請求の範囲は、「1つの」要素又は「第1の」要素若しくはその等価物を指し得る。かかる特許請求の範囲は、1つ以上のかかる要素の組み込みを含むと理解されるべきであり、2つ以上のかかる要素を要求したり排除したりするものではない。開示された特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ及びサブ組み合わせは、本特許請求の範囲の修正を通じて、又は本出願若しくは関連出願における新しい特許請求の範囲の提示を通じて請求され得る。かかる特許請求の範囲は、元の特許請求の範囲に対して範囲がより広いか、より狭いか、等しいか、又は異なるかにかかわらず、また、本開示の主題内に含まれるとみなされる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
【国際調査報告】