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  • 特表-発音デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】発音デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/04 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
H04R9/04 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575680
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2022122681
(87)【国際公開番号】W WO2024036714
(87)【国際公開日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】202211001222.6
(32)【優先日】2022-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】時陽
(72)【発明者】
【氏名】令狐栄林
(72)【発明者】
【氏名】周家盛
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012BA03
5D012BD04
5D012FA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、発音デバイスを提供する。
【解決手段】フレームと、フレームにそれぞれ固定された振動システムと、振動システムを駆動して振動発音させる磁気回路システムとを備え、磁気回路システムは、主磁石鋼と副磁石鋼とが間隔をおいて設けられた磁気ギャップを有し、振動システムは、フレームに固定された振動板と、少なくとも一部が磁気ギャップに挿設されて振動板を駆動して振動発音させるボイスコイルとを有する発音デバイスであって、ボイスコイルは、いずれも環状をなす第1ボイスコイルと第2ボイスコイルとを有し、第1ボイスコイルの一端は振動板の磁気回路システムに近い側に固定され、第2ボイスコイルは第1ボイスコイルの磁気回路システムに近い一端に固定され、第1ボイスコイルと第2ボイスコイルとは互いに絶縁されることを特徴とする。本発明による発音デバイスは、ボイスコイルの位置を調整でき、音響性能が良い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームにそれぞれ固定された振動システムと、前記振動システムを駆動して振動発音させる磁気回路システムとを備え、前記磁気回路システムは、主磁石鋼と副磁石鋼とが間隔をおいて設けられた磁気ギャップを有し、前記振動システムは、前記フレームに固定された振動板と、少なくとも一部が前記磁気ギャップに挿設されて前記振動板を駆動して振動発音させるボイスコイルとを有する発音デバイスであって、
前記ボイスコイルは、いずれも環状をなす第1ボイスコイルと第2ボイスコイルとを有し、
前記第1ボイスコイルの一端は、前記振動板の前記磁気回路システムに近い側に固定され、
前記第2ボイスコイルは、前記第1ボイスコイルの前記磁気回路システムに近い一端に固定され、
前記第1ボイスコイルと前記第2ボイスコイルとは、互いに絶縁されている、
ことを特徴とする発音デバイス。
【請求項2】
前記第1ボイスコイルと前記第2ボイスコイルとは、一体巻き成形構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音デバイス。
【請求項3】
前記第2ボイスコイルは、前記第1ボイスコイルの巻き終了点を引き継ぎ、同軸的に巻き続けて形成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の発音デバイス。
【請求項4】
前記第2ボイスコイルの前記振動板の振動方向に平行な平面への投影は、前記主磁石鋼の前記振動板の振動方向に平行な平面への投影によって覆われている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音デバイス。
【請求項5】
前記振動板の振動方向に垂直な方向において、前記第1ボイスコイルの厚さが前記第2ボイスコイルの厚さよりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音デバイス。
【請求項6】
前記振動板は、前記フレームに固定された環状をなす固定部と、前記固定部の内周側に固定されたサラウンド部と、前記サラウンド部の内周側に固定されたドームとを有し、
前記第1ボイスコイルは、前記ドームの前記磁気回路システムに向かう側に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音デバイス。
【請求項7】
前記発音デバイスは、通気スペーサをさらに備え、
前記磁気回路システムは、磁気ボウルをさらに有し、
前記主磁石鋼及び前記副磁石鋼は、前記磁気ボウルに固定され、
前記磁気ボウルには、通気孔が対向して設けられ、
前記通気スペーサは、前記通気孔に覆いかぶさる、
ことを特徴とする請求項1に記載の発音デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換の分野に関し、特に発音デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発音デバイスは、携帯電話等の携帯端末の主要な部品の一つとして、主に電気信号を音声信号に変換するために用いられ、イヤホンにも使用できる。
【0003】
関連技術の発音デバイスは、フレームと、前記フレームに固定された振動システムと、磁気ギャップを有する磁気回路システムとを備え、前記振動システムは、前記フレームに固定され、振動発音のために用いられる振動板と、前記磁気ギャップに挿設されて前記振動板を駆動して振動させるボイスコイルとを有する。
【0004】
しかしながら、関連技術の発音デバイスでは、ボイスコイルはボビンによって支持する必要があり、ボビンが固定された構造は、磁気ギャップにおけるボイスコイルの位置を磁気回路システムに対して調整できないようになっており、このような設計は、ボイスコイルのBLが磁気回路システムにおいて最大化するのに不利であり、発音デバイスの発音効果に影響してしまう。
【0005】
そのため、上記した技術的課題を解決するための新たな発音デバイスを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ボイスコイルのBLの最大化を図るように、ボイスコイルの位置を調整できる発音デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に提供される発音デバイスは、フレームと、前記フレームにそれぞれ固定された振動システムと、前記振動システムを駆動して振動発音させる磁気回路システムとを備え、前記磁気回路システムは、主磁石鋼と副磁石鋼とが間隔をおいて設けられた磁気ギャップを有し、前記振動システムは、前記フレームに固定された振動板と、少なくとも一部が前記磁気ギャップに挿設されて前記振動板を駆動して振動発音させるボイスコイルとを有する発音デバイスであって、前記ボイスコイルは、いずれも環状をなす第1ボイスコイルと第2ボイスコイルとを有し、前記第1ボイスコイルの一端は、前記振動板の前記磁気回路システムに近い側に固定され、前記第2ボイスコイルは、前記第1ボイスコイルの前記磁気回路システムに近い一端に固定され、前記第1ボイスコイルと前記第2ボイスコイルとは、互いに絶縁されている。
【0008】
好ましくは、前記第1ボイスコイルと前記第2ボイスコイルとは、一体巻き成形構造である。
【0009】
好ましくは、前記第2ボイスコイルは、前記第1ボイスコイルの巻き終了点を引き継ぎ、同軸的に巻き続けて形成される。
【0010】
好ましくは、前記第2ボイスコイルの前記振動板の振動方向に平行な平面への投影は、前記主磁石鋼の前記振動板の振動方向に平行な平面への投影によって覆われている。
【0011】
好ましくは、前記振動板の振動方向に垂直な方向において、前記第1ボイスコイルの厚さが前記第2ボイスコイルの厚さよりも小さい。
【0012】
好ましくは、前記振動板は、前記フレームに固定された環状をなす固定部と、前記固定部の内周側に固定されたサラウンド部と、前記サラウンド部の内周側に固定されたドームとを有し、前記第1ボイスコイルは、前記ドームの前記磁気回路システムに向かう側に固定されている。
【0013】
好ましくは、前記発音デバイスは、通気スペーサをさらに備え、前記磁気回路システムは、磁気ボウルをさらに有し、前記主磁石鋼及び前記副磁石鋼は、前記磁気ボウルに固定され、前記磁気ボウルには、通気孔が対向して設けられ、前記通気スペーサは、前記通気孔に覆いかぶさる。
【発明の効果】
【0014】
関連技術と比較して、本発明の発音デバイスにおけるボイスコイルは、いずれも環状をなす第1ボイスコイルと第2ボイスコイルとを有し、前記第1ボイスコイルの一端は、前記振動板の前記磁気回路システムに近い側に固定され、前記第2ボイスコイルは、前記第1ボイスコイルの前記磁気回路システムに近い一端に固定され、前記第1ボイスコイルと前記第2ボイスコイルとは、互いに絶縁されている。従来のボイスコイルボビン構造に代えて、第1ボイスコイルを第2ボイスコイルの支持設計とすることによって、第1ボイスコイルの巻数を柔軟に調整することで、振動板の振動方向に沿った第2ボイスコイルの磁気ギャップにおける位置が調整され、第2ボイスコイルが磁気回路においてBLを最大化し、音響性能を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができ、そのうち、
図1図1は、本発明に係る発音デバイスの構造を示す斜視図である。
図2図2は、本発明に係る発音デバイスの分解図である。
図3図3は、図1のA―A線に沿った断面図である。
図4図4は、本発明に係るボイスコイルの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて進歩的な労働をしない前提に得られた他の全ての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0017】
図1~4を参照して、本発明の実施例に提供される発音デバイス100は、フレーム1と、振動システム2と、磁気回路システム3とを備えている。
【0018】
前記磁気回路システム3は、前記フレーム1に固定された磁気ボウル31と、前記磁気ボウル31に収容固定された磁石鋼32及び副磁石鋼33とを有し、前記磁石鋼32は、前記副磁石鋼33と間隔をあけて磁気ギャップ34を形成する。一つの可能な実施例において、前記副磁石鋼33は、第1副磁石鋼331と、第2副磁石鋼332と、第3副磁石鋼333と、第4副磁石鋼334とをさらに有し、前記第1副磁石鋼331、前記第2副磁石鋼332、前記第3副磁石鋼333、前記第4副磁石鋼334は、前記磁石鋼32の周囲に間隔を置いて配置され、前記磁気ギャップ34を形成する。
【0019】
そのうち、前記第1副磁石鋼331及び前記第2副磁石鋼332には、前記透磁板35が被設され、前記透磁板35は、前記フレーム1に固定される。
【0020】
前記磁気ボウル31には、さらに通気孔311が設けられ、通気スペーサ6は、前記通気孔311に覆いかぶさる。
【0021】
具体的には、前記磁石鋼32は、第1主磁石鋼321及び第2主磁石鋼322をさらに有し、前記第1主磁石鋼321と前記第2主磁石鋼322との間には、前記磁極芯5が挟設されている。
【0022】
前記振動システム2は、前記フレーム1に固定された振動板21と、前記振動板21を駆動して振動発音させるボイスコイル22とを有し、前記ボイスコイル22は、少なくとも一部が前記磁気ギャップ34に挿設されている。
【0023】
前記ボイスコイル22は、一端が前記振動板21の前記磁気回路システム3に近い側に固定された第1ボイスコイル221と、一端が前記第1ボイスコイル221の前記磁気回路システム3に近い一端に固定された第2ボイスコイル222とを有し、前記第1ボイスコイル221と前記第2ボイスコイル222とは、互いに絶縁されている。
【0024】
前記振動板21は、さらに、前記フレーム1に固定された環状をなす固定部211と、前記固定部211の内周側に固定されたサラウンド部212と、前記サラウンド部212の内周側に固定されたドーム213とを有し、前記第1ボイスコイル221は、前記ドーム213の前記磁気回路システム3に向かう側に固定されている。
【0025】
具体的には、本発明の実施例では、前記ボイスコイル22は、連続した通電導線を巻回して形成され、全体として中空のコイル状構造であり、且つ高さを有し、前記ボイスコイル22は、前記磁気ギャップ34に挿設され、前記導電部材4は、前記ボイスコイル22と電気的に接続され、前記導電部材4はボイスコイル22と通電すると、電磁反応により前記振動板21を駆動して音響効果を実現し、好ましくは、前記導電部材4はFPCである。
【0026】
前記第1ボイスコイル221と前記第2ボイスコイル222とは、一体巻き成形構造である。
【0027】
前記第2ボイスコイル222は、前記第1ボイスコイル221の巻き終了点を引き継ぎ、同軸的に巻き続けて形成され、このような設計により、前記第1ボイスコイル221をボイスコイルボビンとして機能させ、前記第1ボイスコイル221によるボビン構造に巻き続けて前記第2ボイスコイル222を形成し、ボイスコイル22全体の構成において、前記第2ボイスコイル222は通電駆動に用いられ、このとき、第1ボイスコイル221の導線と前記第2ボイスコイル222の導線とは、互いに絶縁されている。
【0028】
前記第2ボイスコイル222の前記振動板21の振動方向に平行な平面への投影は、前記第2ボイスコイル222が前記磁気ギャップ34内において一定の位置調整ができるように、前記主磁石鋼32の前記振動板21の振動方向に平行な平面への投影によって覆われている。具体的には、前記第1ボイスコイル221の巻回時の巻数を制御することにより、前記第2ボイスコイル222が前記磁気ギャップ34に挿設される長さを調整することができる。
【0029】
具体的には、前記ボイスコイル22は、前記磁気ギャップ34に挿設された構造によって電磁界を形成する。本発明の実施例では、前記第1ボイスコイル221は前記振動板21に接続され、前記第2ボイスコイル222は前記第1ボイスコイル221に接続されるが、前記第1ボイスコイル221が前記第2ボイスコイル222と前記振動板21との間の支持構造とすることに相当し、この場合、前記磁気ギャップ34の位置に応じて前記第1ボイスコイル221の巻き高さを調整することにより、前記第2ボイスコイル222の前記磁気ギャップ33中での位置全体を調整することができ、第2ボイスコイル222の磁気回路システム3におけるBLの最大化が図られる。
【0030】
好ましくは、前記振動板21の振動方向に垂直な方向において、前記第1ボイスコイル221の厚さは、前記第2ボイスコイル222の厚さよりも小さい。
【0031】
具体的には、本発明の実施例では、第1ボイスコイル221は、前記第2ボイスコイル222の支持構造のみとされており、前記発音デバイス100全体の発音過程において、前記ボイスコイル22のうち、通電に用いられ前記振動板に駆動作用を与える構造は、前記第2ボイスコイル222のみであるので、音響効果を高めるために、前記第2ボイスコイル222の幅を大きくしている。
【0032】
関連技術と比較して、本発明の発音デバイス100における前記ボイスコイル22は、いずれも環状をなす第1ボイスコイル221と第2ボイスコイル222とを有し、前記第1ボイスコイル221の一端は、前記振動板21の前記磁気回路システム3に近い側に固定され、前記第2ボイスコイル222は、前記第1ボイスコイル221の前記磁気回路システム3に近い一端に固定され、前記第1ボイスコイル221と前記第2ボイスコイル222とは、互いに絶縁されている。従来のボイスコイルボビン構造に代えて、第1ボイスコイル221を第2ボイスコイル222の支持設計とすることによって、第1ボイスコイル221の巻数を柔軟に調整することで、振動板の振動方向に沿った第2ボイスコイル222の磁気ギャップ34における位置が調整され、第2ボイスコイル222が磁気回路においてBLを最大化し、音響性能を効果的に向上させることができる。
【0033】
以上は、本発明の実施形態に過ぎない。当業者にとって、本発明の創造思想から逸脱することなく、改良を行うこともできるが、これらの改良はいずれも本発明の保護範囲に含まれるとここで指摘すべきである。
【符号の説明】
【0034】
100:発音デバイス
1 :フレーム
2 :振動システム
21 :振動板
211:固定部
212:サラウンド部
213:ドーム
22 :ボイスコイル
221:第1ボイスコイル
222:第2ボイスコイル
3 :磁気回路システム
31 :磁気ボウル
311:通気孔
32 :主磁石鋼
321:第1主磁石鋼
322:第2主磁石鋼
33 :副磁石鋼
331:第1副磁石鋼
332:第2副磁石鋼
333:第3副磁石鋼
334:第4副磁石鋼
34 :磁気ギャップ
35 :透磁板
4 :導電部材
5 :磁極芯
6 :通気スペーサ
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】