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特表2024-531005河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G01N1/04 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506507
(86)(22)【出願日】2023-01-03
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 CN2023070116
(87)【国際公開番号】W WO2024021528
(87)【国際公開日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】202210880416.1
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522025503
【氏名又は名称】長江水利委員会長江科学院
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】林 莉
(72)【発明者】
【氏名】董 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲藩▼ 雄
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼ 迪
(72)【発明者】
【氏名】曹 ▲ユエ▼▲チ▼
(72)【発明者】
【氏名】曹 小▲歡▼
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA18
2G052AA40
2G052AC03
2G052AD15
2G052AD29
2G052AD55
2G052BA05
2G052BA18
2G052BA22
2G052EA04
2G052EA14
2G052GA08
2G052JA07
(57)【要約】
本開示は、河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置及び方法を提供し、当該装置は、濾過及び収集ユニット、サンプル点の位置決めユニット、サンプリング開閉ユニットを含み、濾過及び収集ユニット内には、ステンレスメッシュ状のスチールリング、複数組のホッパー式マイクロプラスチックフィルタ、サンプル収集ボトルなどが設けられ、多サイズのマイクロプラスチックサンプルの高速同期集積に用いられ;サンプル点の位置決めユニットは、4つの位置決めレバーで構成され、牽引ロープに設けられたフックによって濾過及び収集ユニットを固定し、固定プーリ及び昇降制御ボタンと結合して、断面の異なる水平位置、垂直深さの精確な位置決めを実現し;サンプリング開閉ユニットは、水サンプルのマイクロプラスチックの濾過及び収集の時間ノードを制御することに用いられ、サンプリングデータの信頼性及び正確性を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置であって、
前記河川のサンプリング水体中のマイクロプラスチックを採集するように構成された少なくとも1つの濾過及び収集ユニットと、
高度の調整可能な偶数個の位置決めレバーを含み、前記偶数個の位置決めレバーにおける各位置決めレバーの上部には固定プーリが設けられ、前記偶数個の位置決めレバーにおける各位置決めレバーは牽引ロープを介して前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットに接続され、前記牽引ロープの一端は、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットに接続され、前記牽引ロープの他端は、対応する固定プーリに巻き掛けるサンプル点位置決めユニットと、
前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットに接続され、サンプリング中の開閉を制御するように構成されるサンプリング開閉ユニットと、を含み、
前記偶数個の位置決めレバーの高度を調整することにより、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットの前記河川の断面での垂直方向の位置を調整し、前記牽引ロープを引っ張ることにより、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットの前記河川の断面での水平方向の位置を調整することを特徴とする河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項2】
前記偶数個の位置決めレバーにおける各位置決めレバーは、外棒と、外棒に対して摺動伸縮可能な内棒と、を備え、前記固定プーリは前記内棒の上部部分の側面に設けられ、前記外棒の下端には河川泥層を挿入する支持フレームが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項3】
前記内棒の上端には高度制御ボタンが設けられ、前記内棒の互いに対向する両側面のそれぞれには複数の係止点が間隔をおいて設けられ、前記外棒には前記複数の係止点に対応して複数の係止溝が設けられ、前記高度制御ボタンは前記内棒の内部の長尺棒に接続され、前記長尺棒は、複数の第1の伸縮ばねにより前記複数の係止点における各係止点に接続され、
前記高度制御ボタンが押下されると、前記長尺棒が下方に移動して、前記複数の第1の伸縮ばねを垂直方向に移動させ、前記複数の係止点の収縮を実現し;前記高度制御ボタンを押さないと、前記長尺棒の底部に設けられた第2の伸縮ばねの弾性力により係止点の復帰を実現し、最後に外棒の前記複数の係止溝と結合して高さ調整を行うことを特徴とする、請求項2に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットにおける各濾過及び収集ユニットの本体は、2つの半円柱状中空ケースを含み、前記2つの半円柱状中空ケースがプラグで接続され、
前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットにおける各濾過及び収集ユニットの先端には、第1のフランジが設けられ、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットにおける各濾過及び収集ユニットの後端には第2のフランジが設けられ、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットは第1のフランジにより前記サンプリング開閉ユニットと接続されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットは複数の濾過及び収集ユニットを含み、前記複数の濾過及び収集ユニットは第1のフランジと第2のフランジとにより互いに直列接続されることを特徴とする、請求項4に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットの半円柱状中空ケースには偶数個の固定リングが設けられ、前記牽引ロープの前記一端にはフックが設けられて、対応する固定リングに接続されることを特徴とする、請求項4に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットは1つの濾過及び収集ユニットを含み、
且つ前記偶数個の位置決めレバーは4つの位置決めレバーを含むことを特徴とする、請求項4に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項8】
前記1つの濾過及び収集ユニットの2つの半円柱状中空ケースには、4つの固定リングが設けられ、前記牽引ロープの前記一端にはフックが設けられて、対応する固定リングに接続されることを特徴とする、請求項6に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットにおける前記サンプリング開閉ユニットと直接接続された濾過及び収集ユニットの2つの半円柱状中空ケース内壁には少なくとも3組の半円形スロットが所定距離で配列され、対向する2つの半円形スロットがドッキングして真円形スロットを形成し、異なる目数の少なくとも3つのフィルタは前記少なくとも3組の半円形スロットに順に設けられることを特徴とする、請求項4から8のいずれか一項に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項10】
前記少なくとも3つのフィルタは、
前記サンプリング開閉ユニットから近い1組の半円形スロットに設けられ、且つ水体の大きいプラスチック、浮遊物の遮断に使用されるステンレスメッシュ状のスチールリングと、
前記サンプリング開閉ユニットから離れた他の組の半円形スロットに順に設けられ、それぞれの出口端には、サンプル収集ボトルが設けられる少なくとも2つのホッパー式マイクロプラスチックフィルタと、を含むことを特徴とする、請求項9に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つのホッパー式マイクロプラスチックフィルタにおける各ホッパー式マイクロプラスチックフィルタの外側には金属製の閉円形フレームが設けられ、且つ前記少なくとも2つのホッパー式マイクロプラスチックフィルタにおける各ホッパー式マイクロプラスチックフィルタは絹篩により形成され、且つ5メッシュ~3000メッシュの範囲の目数を有することを特徴とする、請求項10に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項12】
前記サンプル収集ボトルは鋼化ガラスで形成され、フープを介して対応するホッパー式マイクロプラスチックフィルタの出口端に接続され、マイクロプラスチックサンプルの集積に用いられることを特徴とする、請求項11に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項13】
前記サンプリング開閉ユニットは、遠隔で制御される開閉ユニットが設けられる直方体構造と、
フランジにより前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットと接続される円筒構造と、
前記直方体構造と前記円筒構造との間に設けられて、前記直方体構造と前記円筒構造に接続される中空円柱構造と、を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項14】
前記中空円柱構造の側面には、開孔構造が設けられ、電子流量センサは、サンプリング開閉ユニットに流れ込む水体の流量を測定するために、前記開孔構造を通って前記中空円柱構造の内部に深く入り込むことを特徴とする、請求項13に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項15】
前記開閉ユニットは、2つの半円形開閉ドア、第3の伸縮ばね、電磁石及び給電モジュールを含み、
2つの半円形開閉ドアは、前記開閉ユニットの開口に設けられ且つ対応する第3の伸縮ばねに接続され、サンプリングを停止した場合には、前記第3のばねの押し力により前記2つの半円形開閉ドアを閉じて閉状態にし、水体が前記中空円柱構造に流れ込むことを遮断し、
前記2つの半円形開閉ドアの外端には電磁石と前記電磁石とに接続された給電モジュールが設けられており、給電モジュールは無線通信モジュールを介して岸の辺りのコントローラに無線接続され、サンプリングが必要な場合には、前記給電モジュールが遠隔起動して前記電磁石に給電し、前記電磁石が発生する磁力が密閉状態にある2つの半円形開閉ドアを引き離し、水体が前記中空円柱構造に流れ込むことを特徴とする、請求項13又は14に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項16】
前記2つの半円形開閉ドアは、鉄磁性金属材料で形成されることを特徴とする、請求項15に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置。
【請求項17】
請求項1に記載の河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置を用いて行われる、河川に適するマイクロプラスチックの集積方法であって、
前記マイクロプラスチックの集積方法は、
河川の測定対象断面を選択し;
前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットを開き、少なくとも3組の半円形スロット内に、ステンレス鋼濾過網、異なる目数の少なくとも2つのホッパー式マイクロプラスチックフィルタを順に配置し、前記少なくとも2つのホッパー式マイクロプラスチックフィルタにおける各ホッパー式マイクロプラスチックフィルタの出口端にはサンプル収集ボトルが接続され、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットを閉じて、後端フランジで固定し、円柱状の中空構造のシール性を確保し;ステンレス鋼濾過網は、測定される水サンプルから大きなプラスチック、浮遊物を濾過し、前記少なくとも2つのホッパー式マイクロプラスチックフィルタを通過する時、その中の水サンプルを濾過し、異なるサイズのマイクロプラスチックは、水の流れの作用下で異なる収集ボトルに入り;
サンプル点位置決めユニットの前記偶数個の位置決めレバーにおける各位置決めレバーは、前記牽引ロープの一端に設けられたフックを介して前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットの固定リングに接続され、水の流れに合わせて方向を調整し、前記マイクロプラスチックの集積装置を水域サンプリング点に配置し;
前記偶数個の位置決めレバーの高度を調整することにより、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットの前記河川の断面での垂直方向の位置を調整し、前記牽引ロープを引っ張ることで前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットの前記河川の断面での水平方向の位置を調整し;
作業員が岸の辺りで遠隔で前記サンプリング開閉ユニットを制御することにより、給電モジュールを起動し、電磁石が通電した後、磁性吸引力を介して2つの半円形開閉ドアを開いて、サンプリングを開始し、前記サンプリング開閉ユニットに設けられた電子流量センサにより、マイクロプラスチック収集中の水体の流量を測定し;
サンプリングが終了すると、前記給電モジュールを遠隔で閉じて、前記2つの半円形開閉ドアが閉じられ、サンプリングが停止し;
流量、時間に基づいて濾過水サンプルの体積を計算した後、収集ボトルを取り外し、新しい収集ボトルに交換し、次の断面の多サイズのマイクロプラスチックサンプルの同期集積を行うステップを含むことを特徴とする、河川に適するマイクロプラスチックの集積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2022年7月25日に中国国家知的財産局へ提出した第202210880416.1号の中国特許出願の優先権及び権益を求めており、前記中国特許出願の開示内容の全ては引用することによって本文に含まれる。
【0002】
本開示は、水環境保護分野に関し、具体的には、河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロプラスチックとは、一般に、繊維、破片、フィルムなどを含む直径5mm未満のプラスチック破片を指す。新しい汚染物質として、マイクロプラスチックは近年広く注目されている。河川は、町の主な飲用水源及び工農業用水として,その水質安全は都市水資源の効率的な利用を脅かしている。河川は往々にして町周辺の汚染物の集約区域になり、大量のマイクロプラスチックは、汚水処理場の廃汚水排出、生活ゴミ、地表径流及び大気乾湿沈降などを通じて蓄積される。マイクロプラスチックは、食物連鎖を通じて生物群受容体、さらには河川生態環境に危害を与える。河川マイクロプラスチック収集装置及び方法を開発し、河川水体のマイクロプラスチックの豊度を体系的で正確に計算することは、河川マイクロプラスチックの生態リスクを評価するための技術支持を提供することができ、重要な現実的な意義及び応用の将来性がある。
【0004】
現在、マイクロプラスチック集積に関する特許は、既に関連する報告がある。特許文献1「河川浮遊ゴミ除去及びマイクロプラスチック粒子収集の組合せ装置」には、大型浮遊ゴミ収集遮断網と複数のマイクロプラスチックセル収集器とを含む河川浮遊ゴミ除去及びマイクロプラスチック粒子収集の組合せ装置が開示されており、ここで、収集遮断網は、マイクロプラスチックセル収集器の上流河道に配置され、マイクロプラスチックユニット収集器は、ホッパーメッシュ式設計を採用しており、一方向自動反転フラップ装置が設けられ、水流の衝撃により開放し、水体の静止或いは潮汐逆流時に閉鎖する。この装置は多段濾過設計を用いて、水中のマイクロプラスチック粒子を効率的に除去することができるが、それは河川に浮遊するマイクロプラスチック粒子を収集するものであり、断面の異なる水平位置、垂直深さの精確な採集を実現することができず、この設備を通じて水体のマイクロプラスチックを定量的に収集することもできない。特許文献2「水体マイクロプラスチック収集装置」には、濾過箱を含む水体のプラスチック収集装置が開示されており、前記濾過箱の一端が進水口であり、他端が出水口であり、前記濾過箱の上方が濾過板であり、濾過箱の後上方にコンベヤベルトが設けられ、コンベヤベルトが動力装置により駆動され、前記コンベヤベルト直下には、コンベヤベルトに付着されたマイクロプラスチックを掻き落とすためのブレードが設けられて、掻き落としたマイクロプラスチックは、ブレード直下の収集箱に落下する。当該特許は、主に水体マイクロプラスチックの収集難度が大きい問題に対して、マイクロプラスチック収集船を設計して、広範囲の水体のマイクロプラスチックを有効に収集しやすく、運行コストが比較的に高く、断面水体のマイクロプラスチックの定量収集に適しない。特許文献3「携帯型水域マイクロプラスチック収集装置及びその方法」には、携帯型水域マイクロプラスチック収集装置及びその方法が公表されており、装置は、ステンレススチールリング、ナイロン網、ねじ口固定器、使い捨て収集ボトルなどを主に含み、ステンレス鋼濾過網の中心には水流流速測定器が設けられている。この装置は、サンプリングが迅速で、携帯が便利で、マイクロプラスチックの収集効率を高めることができるが、全断面の異なる水平位置、垂直深さでの精確な採集、及び採集過程中に濾過及び収集の時間ノードを正確に制御する方面で、まだ改善するところが存在する。先行技術の検索に基づくと、現在、小型河川の全断面(異なる水平位置、垂直深さ)のサンプリング需要及びサンプル収集過程中の濾過水サンプル体積の正確な計算に対して、小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置或いは設備はまだ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第109162265号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第113846613号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第110470509号明細書
【発明の概要】
【0006】
先行技術の不足に対して、本開示は、河川水体に適する多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置及び方法を提供し、構造が簡単で、運行コストが低く、操作が便利であり、収集データは信頼性及び正確性があり、全断面(異なる水平位置、垂直深さ)でのモニタリング及びサンプリングを満たす。本開示は、小型河川の水環境マイクロプラスチックの豊度を正確に計算し、その生態リスクを評価することに対して非常に重要な現実的な意義及び応用価値がある。
【0007】
本開示は、一方では、小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置であって、濾過及び収集ユニット、サンプル点位置決めユニット及びサンプリング開閉ユニットを含み、前記サンプル点位置決めユニットは、4つの上下昇降可能な位置決めレバーを備え、前記位置決めレバーの上部に固定プーリが設けられ、前記位置決めレバーの下端に河川泥層を挿入する三脚支持フレームが設けられ;前記サンプリング開閉ユニットは、前記濾過及び収集ユニットの先端に取り付けられ、前記濾過及び収集ユニットへのサンプリング水体の進入を制御するものであり、前記濾過及び収集ユニットは、前記サンプリング開閉手段を介して進入されたサンプリング水中のマイクロプラスチックを採集することに用いられ、前記濾過及び収集ユニットの両端は、牽引ロープの一端に接続され、前記牽引ロープの他端は、固定プーリに巻き掛けて、前記位置決めレバーの上下昇降により、異なる水層における水体のマイクロプラスチックの集積を実現し、前記牽引ロープを引いて、断面水平方向での前記濾過及び収集ユニットの移動を駆動して、異なる水平位置における水体のマイクロプラスチックの集積を実現する小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置に関する。
【0008】
本開示の実施例により、前記位置決めレバーは、外棒と、外棒に摺動伸縮する内棒と、を備え、内棒の上端には固定プーリが設けられ、牽引ロープの一端は固定プーリに巻き掛けて、牽引ロープの他端はフックを介して前記濾過及び収集ユニットに接続され、外棒の下端には三脚支持フレームが設けられている。
【0009】
本開示の実施例により、前記内棒の上端には昇降制御ボタンが設けられ、内棒の両側には複数の係止点が間隔をおいて設けられ、外棒には複数の係止点に対応する複数の係止溝が設けられ、昇降制御ボタンの内部は長尺棒に接続され、長尺棒の両側に複数組の伸縮ばねが固定され、伸縮ばねは、係止点に接続され、昇降制御ボタンが押下されると、長尺棒が下方に移動して、伸縮ばねを垂直方向に移動させ、係止点の収縮を実現し;長尺棒の底部には伸縮ばねが設けられ、昇降制御ボタンを押さないと、長尺棒下端の伸縮ばね弾性力により係止点の復帰を実現し、最後に位置決めレバーの下端の係止溝と結び付けて高さ調整を行う。
【0010】
本開示の実施例により、前記濾過及び収集ユニット本体は、2つの半円柱状中空ケースであり、2つの半円柱状中空ケースがプラグで接続され、半円柱状中空ケースには、牽引ロープの外端のフックに接続される固定リングが設けられ;濾過及び収集ユニットの先端は、第1のフランジを介してサンプリング開閉部に接続され、サンプリング過程での開閉を実現し、後端には第2のフランジが接続され、複数の濾過及び収集ユニットは互いに第1のフランジと第2のフランジとで直列接続できる。
【0011】
本開示の実施例により、2つの半円柱状中空ケース内壁には少なくとも3組の半円形スロットを所定距離で配列され、対向する2つの半円形スロットがドッキングして真円形スロットを形成し、第1組の半円形スロットにはステンレスメッシュ状のスチールリングが垂直に配置され、他の組の半円形スロットには異なる目数のホッパー式マイクロプラスチックフィルタが配置され、ホッパー式マイクロプラスチックフィルタの後端出口にはサンプル収集ボトルが設けられ、前端のステンレスメッシュ状のスチールリングは水体の大きいプラスチック、浮遊物の遮断に使用される。
【0012】
本開示の実施例により、前記ホッパー式マイクロプラスチックフィルタの外側は金属製の閉円形フレームであり、材質は304ステンレス鋼又はアルミニウム合金であり、ホッパー式マイクロプラスチックフィルタの後端には開口があり、結束シール設計となり、ホッパー式マイクロプラスチックフィルタの材質は絹篩であり、仕様は5メッシュ~3000メッシュで調整可能であり;サンプル収集ボトルは鋼化ガラスの材質であり、フープを介してホッパー式マイクロプラスチックフィルタの後端に接続され、マイクロプラスチックサンプルの集積に用いられる。
【0013】
本開示の実施例により、前記サンプリング開閉ユニットの先端は直方体構造であり、中間は中空円柱構造であり、後端は円筒構造であり、直方体構造、中空円柱構造及び円筒構造が順次接続され、直方体構造には遠隔制御の開閉ユニットが設けられ、円筒構造はフランジを介して濾過及び収集ユニットに接続されている。
【0014】
本開示の実施例により、前記中空円柱構造の上端は、開孔構造であり、電子流量センサは、サンプリング開閉ユニットに流れる水体の流量を測定するために、開孔構造を通って中空円柱構造の上内部に深く入り込む。
【0015】
本開示の実施例により、前記開閉ユニットは、開口に設けられた2つの半円形開閉ドア、溝路を含み、半円形開閉ドアは溝路に沿って往復移動可能であり、半円形開閉ドアは伸縮ばねに接続され、サンプリングしない場合には、ばねの押し力により半円形開閉ドアを閉状態にし、水体が流れ込まず;半円形開閉ドアの外端には電磁石と電磁石に接続された給電モジュールとが設けられており、給電モジュールは無線通信モジュールを介して岸の辺りのコントローラに無線で接続され、半円形開閉ドアは磁石に引き付けられる金属材質を採用しており,サンプリングが必要な場合には給電モジュールが遠隔起動時に電磁石に給電し、電磁石が発生する磁力が密閉状態にある2つの半円形開閉ドアを引き離し、水体が通って中空円柱構造に流れ込む。
【0016】
本開示は、他方では、前記装置を用いて行われる小型河川に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積方法に関し、
小さな河川の測定対象断面を選択し;
濾過及び収集ユニットを開き、半円形スロット内に、ステンレス鋼濾過網、異なる目数のホッパー式マイクロプラスチックフィルタを順次配置し、サンプル収集ボトルをホッパー式マイクロプラスチックフィルタの後端出口に接続し、濾過及び収集ユニットを閉じて、後端フランジで固定し、円柱状の中空構造のシール性を確保し;ステンレス鋼濾過網は、測定される水サンプルから大きなプラスチック、浮遊物を濾過し、異なる目数のホッパー式マイクロプラスチックフィルタを通過する時、その中の水サンプルを濾過し、異なるサイズのマイクロプラスチックは、水の流れの作用下で収集ボトルに入り;
サンプル点位置決めユニットの4つの位置決めレバーは、牽引ロープのフックを介して濾過及び収集ユニットの固定リングに接続され、水の流れに合わせて方向を調整し、全てのサンプリング装置を水域サンプリング点に配置し;
全てのサンプリング装置は、位置決めレバーでのプーリ、昇降制御ボタンによって、サンプリング断面の異なる水平位置及び異なる水層での水体のマイクロプラスチックサンプルの採集を実現し、全断面のマイクロプラスチック採集及び集積を実現し;
作業員は、岸の辺りで遠隔で給電モジュールを起動し、電磁石が通電した後、磁性吸引力を介して半円形開閉ドアを開いて、サンプリングを開始し、電子流量センサは、マイクロプラスチック収集中の水体の流量を測定し;
サンプリングが終了すると、給電モジュールを遠隔で閉じて、半円形開閉ドアが閉じられ、濾過が停止し;
流量、時間に基づいて濾過水サンプルの体積を計算した後、フープを開き、収集ボトルを取り外し、新しい収集ボトルに交換し、次の断面の多サイズのマイクロプラスチックサンプルの同期集積を行うステップを含む。
【0017】
本開示は、別の方面では、河川に用いられるマイクロプラスチックの集積装置に関し、前記河川のサンプリング水体中のマイクロプラスチックを採集するように構成された少なくとも1つの濾過及び収集ユニットと、高度の調整可能な偶数個の位置決めレバーと、を含み、前記偶数個の位置決めレバーにおける各位置決めレバーの上部には固定プーリが設けられ、前記偶数個の位置決めレバーにおける各位置決めレバーは牽引ロープを介して前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットに接続され、前記牽引ロープの一端は前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットに接続され、前記牽引ロープの他端は対応する固定プーリに巻き掛けるサンプル点位置決めユニットと、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットに接続され、サンプリング中の開閉を制御するように構成されるサンプリング開閉ユニットと、を含む。前記偶数個の位置決めレバーの高度を調整することにより、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットの前記河川断面での垂直方向の位置を調整でき、前記牽引ロープを牽引することにより、前記少なくとも1つの濾過及び収集ユニットの前記河川断面での水平方向の位置を調整できる。
【0018】
本開示は、河川に適するマイクロプラスチックの集積装置を構成して、濾過及び収集ユニット、サンプル点位置決めユニット及びサンプリング開閉ユニットの協同最適化組み合わせを通じて、濾過及び収集ユニットの断面の異なる水平位置、垂直深さでの精確な位置決めを実現し、サンプリングデータの信頼性及び正確性を保障する。本開示は、運転コストが低く、操作が便利で、テスト精度が高いという特徴があり、河川水体のマイクロプラスチックの豊度をよりリアルに反映することができ、現在の河川水環境のマイクロプラスチックのモニタリング及びサンプリング策略に新しい構想を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施例による小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置の斜視図である。
図2】本開示の実施例による小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置のサンプル点位置決めユニットにおける4つの位置決めレバーの全体構造図である。
図3】本開示の実施例による小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置における濾過及び収集ユニットの全体構成図である。
図4】本開示の実施例による小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置におけるサンプリング開閉ユニットの全体構造図である。
図5】本開示の実施例の小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置のサンプル点位置決めユニットにおける位置決めレバーの内棒の断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施例が示された図面を参照して、本発明をより十分に説明する。しかしながら、本開示は、異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。逆に、これらの実施例を提供することにより、本開示が徹底的で完全になり、発明の範囲を当業者に十分に伝達する。
【0021】
同じ構成要素は、同じ符号によって表される。さらに、説明を容易かつ明確にするために、図面は、構成要素の厚さ、割合及びサイズにおいて誇張されてもよいことに留意すべきである。
【0022】
用語「第1」、「第2」などは、本明細書では様々な要素を説明するために使用されてもよいが、これらの要素は、これらの用語によって制限されないことが理解すべきである。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の教示から離脱しない範囲で、以下に説明する第1の要素を第2の要素と命名することができる。同様に、第2の要素は、第1の要素と命名されてもよい。本開示では、本文の前後で別に明確に示されていない限り、単数形態も複数の形態を含むことが意図されている。
【0023】
図1を参照して、本開示の実施例は、濾過及び収集ユニット、サンプル点位置決めユニット及びサンプリング開閉ユニットを含む小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積装置を提供する。
【0024】
濾過及び収集ユニット本体は、2つの半円柱状中空ケースを含み;サンプル点位置決めユニットは、牽引ロープ1により濾過及び収集ユニットと接続され、サンプル点位置決めユニットは、4つの位置決めレバーを備え、位置決めレバーの下端に河川泥層を挿入する三脚支持フレーム2が設けられ、濾過及び収集ユニットを安定化し、優れた風波抵抗性を確保し;前記サンプリング開閉ユニットは、濾過及び収集ユニットの前端に設けられ、マイクロプラスチックの濾過及び収集の時間ノードを制御することに用いられ、採集した水サンプルの精確性を確保し、濾過及び収集ユニットを移動する中のマイクロプラスチックサンプルの損失を回避し、サンプリングデータの信頼性及び正確性を実現する。
【0025】
図2及び図5を参照して、前記サンプル点位置決めユニットは、4つの位置決めレバーを含む。しかしながら、位置決めレバーの個数はこれらに制限されず、例えば、本開示の実施例において、サンプル点位置決めユニットは偶数個の位置決めレバーを含む。位置決めレバーは、ステンレス鋼材質を使用し、それぞれの位置決めレバーは、外棒と、外棒に摺動伸縮する内棒と、を備え、内棒の上端には昇降制御ボタン3、固定プーリ4が設けられ、牽引ロープ1の一端は固定プーリ4に巻き掛けて、牽引ロープ1の他端はフックに接続され、内棒の両側には複数の係止点6が間隔をおいて設けられ、外棒には複数の係止点6に対応する複数の係止溝7が設けられ、外棒の下端には三脚支持フレーム2が設けられている。位置決めレバーの上端には目盛りがついており、水深をマークすることができ、位置決めレバーの下端には河川泥層を挿入する三脚支持フレーム2が設けられ、内棒の上端の昇降制御ボタン3の内部は長尺棒24に接続され、長尺棒24の両側に複数の第1の伸縮ばね25が固定され、第1の伸縮ばね25は、係止点6に接続され、昇降制御ボタン3が押下されると、長尺棒24が下方に移動して、第1の伸縮ばね25を垂直方向に移動させ、係止点6の収縮を実現し、長尺棒24の底部にも第2の伸縮ばね26が設けられ、昇降制御ボタン3を押さないと、長尺棒24下端の第2の伸縮ばね26弾性力により係止点6の復帰を実現し、最後に位置決めレバーの下端の係止溝7と結び付けて高さ調整を行う。牽引ロープ1は固定プーリ4に巻き掛けて、牽引ロープの外端にはフック5が設けられ、濾過及び収集ユニットを固定することに用いられ、固定プーリ4の牽引により、断面水平方向での前記濾過及び収集ユニットの移動を実現し、昇降制御ボタン3により、断面の異なる深さでのサンプル採集を実現して、全断面(異なる水平位置、異なる水層)での水体マイクロプラスチックの集積を実現する。
【0026】
また、本開示の実施例は上記に説明した内容に限定されず、本開示の範囲を離脱することなく、サンプル点位置決めユニットの構造を様々に修正及び置換することができ、その構造が濾過及び収集ユニットの河川断面の垂直方向での位置と水平方向での位置を調整することができればよい。図3の(a)と(b)とを参照して、濾過及び収集ユニットは、所定の厚さのある2つの円柱状中空ケースを含み、2つの半円柱状中空ケースがプラグ8で接続され、試験需要に応じて、濾過及び収集ユニットを開く又は閉じることができ、4つの固定リング9は、濾過及び収集ユニットの前端の左側及び右側並びに後端の左側及び右側にそれぞれ設けられ、牽引ロープ1上のフック5に接続することに用いられ;濾過及び収集ユニットの前端はフランジ10によりサンプリング開閉ユニットに接続され、サンプリング中の開閉を実現し、後端もフランジ10に接続され、前後2組のフランジ10により濾過及び収集ユニットの前端と後端とを固定し、サンプリング中の半円柱状中空ケースの密封性を確保する。フランジ10上のねじ11により、作業需要に応じて、複数の濾過及び収集ユニットの直列接続を実現し、サンプリングの効率を高める。本開示による実施例において、濾過及び収集ユニットの管路の長さは1200mmになり、内径は200mmになり、外径は210mmになる。本開示の実施例による濾過及び収集ユニットの管路のサイズはこれらに制限されず、実際に必要に応じて設けることができる。
【0027】
図3の(b)を参照して、濾過及び収集ユニットの内部構造は、所定距離で配列された複数組の半円形スロット12(本開示による本実施例において、複数組の半円形スロット12は3組の半円形スロット12を含む)であり、2つの半円柱状中空ケースが閉合する場合、対向する2つの半円形スロット12がドッキングして真円形スロットを形成する。3組の半円形スロット12のピッチは順に100mm、500mmであるが、複数組の半円形スロット12の間のピッチはこれらに制限されず、実際の必要に応じて設定することができる。2つの半円柱状中空ケースはプラグ8で接続され、開かれる場合、3組の半円形スロット12内には、サンプリング開閉ユニットに近い一端からサンプリング開閉ユニットの一端から離れる方向で、1組のステンレスメッシュ状のスチールリング13、2組の異なる目数のホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14が垂直に配置され、マイクロプラスチックサンプルの快速な同期収集及び集積に用いられ、ホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14の出口端にはサンプル収集ボトル15が設けられる。
【0028】
ホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14の外側は金属製の閉円形フレームであり、材質は304ステンレス鋼又はアルミニウム合金であり、ホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14の後端には開口があり、結束シール設計となり、ホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14の材質は絹篩であり、5メッシュ~3000メッシュである範囲の目数を有し、且つ目数は調整可能であり;サンプル収集ボトル15は鋼化ガラスの材質であり、フープ16を介してホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14の後端に接続され、濾過されたマイクロプラスチックサンプルの収集に用いられ;前端のステンレスメッシュ状のスチールリング13は、水体の大きいプラスチック、浮遊物などの不純物の遮断に使用される。
【0029】
また、本開示の実施例は上述した内容に限られず、本開示の範囲を離脱することなく、濾過及び収集ユニットの構造に対して修正及び置換をすることができ、多サイズのマイクロプラスチックの同期収集及び集積を実現できればよい。
【0030】
図4を参照して、サンプリング開閉ユニットの先端は直方体構造(例えば、長さ500mm×幅50mm×高さ220mm)であり、中間は中空円柱構造であり、後端は円筒構造(例えば、内径200mm、外径210mm)である。本開示の実施例によるサンプリング開閉ユニットの各部分のサイズはこれらに限られず、実際の必要に応じて選択することができる。円筒構造はフランジ10を介して濾過及び収集ユニットに接続される。中空円柱構造の側面には開孔構造17が設けられ、電子流量センサ18は開孔構造17を通って中空円柱構造の内部に深く入り、サンプリング開閉ユニットに流れ込んだ水体の流量を測定することに用いられ;電子流量センサ18のタイプはピストン式、紡錘式、タービン式、ロータ式などであり、サンプリング開閉ユニットの本体構造はアルミニウム合金材質である。
【0031】
図4を参照して、サンプリング開閉ユニットの内部には5mm厚さの2つの半円形開閉ドア19が設けられる。本開示の実施例による半円形開閉ドア19の厚さはこれらに限られず、実際の必要に応じて選択することができる。半円形開閉ドアは、直方体構造内の溝路23に沿って往復移動することができ、半円形開閉ドア19は伸縮ばね20に接続され、サンプリングしない場合には、ばね20の押し力により半円形開閉ドア19を閉状態にし、水体が流れ込まず;直方体構造の両端内部には、電磁石21と給電モジュール22とが設けられており、サンプリングの場合、携帯電話の4G又は5Gの信号により、岸の辺りで給電モジュール22を遠隔で起動することができ、電磁石21は円弧状の構造であり、通電すると強い磁性があり、磁性吸引力を介して半円形開閉ドア19を開いて、サンプリングを開始し、半円形開閉ドア19は磁石で引き付けられる鉄、コバルト、ニッケルなどの金属材質を選択して用いる。
【0032】
また、本開示の実施例は上述した内容に限られず、本開示の範囲を離脱することなく、サンプリング開閉ユニットの構造に対して修正及び置換をすることができ、サンプリング中の起動及び停止を遠隔で制御できればよい。
【0033】
本開示の実施例は、小型河川水体に適する全断面で多サイズのマイクロプラスチックの同期集積方法をさらに提供し、当該方法は前記装置を用いて実施し、当該方法は以下のようなステップを含む。
小さな河川の測定対象断面を選択し;
濾過及び収集ユニットを開き、半円形スロット12内に、ステンレス鋼濾過網(又はステンレスメッシュ状のスチールリング)13、異なる目数のホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14を順次配置し、サンプル収集ボトル15をホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14の後端出口に接続し、濾過及び収集ユニットを閉じて、後端フランジ10で固定し、円柱状の中空構造のシール性を確保し;5目のステンレス鋼濾過網13は、測定される水サンプルから大きなプラスチック、浮遊物などの不純物を濾過し、異なる目数のホッパー式マイクロプラスチックフィルタ14を通過する時、その中の水サンプルを濾過し、異なるサイズのマイクロプラスチックは、水の流れの作用下で収集ボトル15に入り;
サンプル点位置決めユニットの4つの位置決めレバーは、牽引ロープ1のフック5を介して濾過及び収集ユニットの固定リング9に接続され、水の流れに合わせて方向を調整し、全てのサンプリング装置を水域サンプリング点に配置し;
全てのサンプリング装置は、位置決めレバーでのプーリ4、昇降制御ボタン3によって、サンプリング断面の異なる位置(左岸、川の中間、右岸など)及び異なる水層(表面、中部、底部)でのマイクロプラスチックサンプルの採集を実現し、全断面のマイクロプラスチック採集及び集積を実現し;
作業員は、携帯電話の4G又は5Gの信号により、岸の辺りで遠隔で起動し、電磁石21が通電すると強い磁性があり、磁性吸引力を介して半円形開閉ドア19を開いて、サンプリングを開始し、電子流量センサ18は、マイクロプラスチック収集中の水体の流量を測定し;
サンプリングが終了すると、半円形開閉ドア19が閉じられ、濾過が停止し、濾過の時間ノードを精確に制御でき、設備の収納及び設置中にフィルタ内のサンプルの損失及び水サンプルの進入を回避し、データの信頼性及び正確性を確保し;
流量、時間に基づいて濾過水サンプルの体積を計算した後、フープ16を開き、収集ボトル15を取り外し、新しい収集ボトル15に交換し、次の断面のサンプルの集積を行う。
【0034】
マイクロプラスチックの分析
流量分析は、実時間計数電子流量センサ測定装置を用い、当該装置はマイクロプラスチック収集時の水流の流量を実時間で記録することができ、マイクロプラスチック収集が完了した後、電子流量センサは測定される水体の測定時間での平均流量を計算し、そして「濾過網を通過する水の体積=流量×時間」により、測定される水体中のマイクロプラスチックの含有量を計算する。
【0035】
本実施例が提供する集積方法は、小型河川水体の全断面(異なる水平位置、垂直深さ)での多サイズのマイクロプラスチックの同期迅速な集積を実現でき、異なる状況でのサンプリング需要を効率的に満たし、小型河川水体のマイクロプラスチックの豊度を体系的に評価するための技術支持を提供する。
【0036】
上述した内容は、本開示の具体的な実施形態のみであるが、本開示の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当技術分野に属する任意の技術者は、本開示によって開示された技術的範囲内で、変化又は置換を容易に想到することができ、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本開示の保護範囲は、請求項に記載の保護範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0037】
1-牽引ロープ;2-三脚支持フレーム;3-昇降制御ボタン;4-固定プーリ;5-フック;6-係止点;7-係止溝;8-プラグ;9-固定リング;10-フランジ;11-ねじ;12-半円形スロット;13-ステンレスメッシュ状のスチールリング;14-ホッパー式マイクロプラスチックフィルタ;15-サンプル収集ボトル;16-フープ;17-開孔構造;18-電子流量センサ;19-半円形開閉ドア;20伸縮ばね;21-電磁石;22-給電モジュール;23-溝路;24-長尺棒、25-第1の伸縮ばね、26-第2の伸縮ばね

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】