(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】複合補強ストリップ
(51)【国際特許分類】
E02D 17/18 20060101AFI20240822BHJP
B29C 48/156 20190101ALI20240822BHJP
【FI】
E02D17/18 A
B29C48/156
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532471
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 IB2022056375
(87)【国際公開番号】W WO2023031692
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021000022499
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523194581
【氏名又は名称】ハイパー ファイバーズ ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】HYPER FIBERS S.R.L.
【住所又は居所原語表記】VIA G.B. ALEOTTI 5/B,44011 ARGENTA(FERRARA) Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ブルサ,ニコラ
【テーマコード(参考)】
2D044
4F207
【Fターム(参考)】
2D044CA03
4F207AB25
4F207AD16
4F207AG02
4F207AH43
4F207AH46
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB20
(57)【要約】
複合補強ストリップ(1)は、複合補強ストリップ(1)の長手展開方向(X)に平行に展開し且つ複合補強ストリップ(1)の対向する側面端部(1a)の間に順に配置された複数の長手方向チャネル(3、4)を取り囲む被覆カプセル(2)と、複数の長手方向チャネル(3、4)の補強チャネル(3)内に配置された複数の長手方向の補強繊維(3a)と、複数の長手方向チャネル(3、4)のうちの少なくとも1つの透過性チャネル(4)内に配置された複数の長手方向の透過性繊維(4a)と、を備える。被覆カプセル(2)は、被覆カプセル(2)の下面(2b)とは反対側の被覆カプセル(2)の少なくとも上面(2a)において、複数の長手方向の透過性繊維(4a)と外部環境との間の流体連通を規定するように、少なくとも1つの透過性チャネル(4)に通じる複数の表面開口部(5)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合補強ストリップ(1)であって、
前記複合補強ストリップ(1)の長手展開方向(X)に平行に展開し且つ前記複合補強ストリップ(1)の対向する側面端部(1a)の間に順に配置された複数の長手方向チャネル(3、4)を取り囲む被覆カプセル(2)と、
前記複数の長手方向チャネル(3、4)の補強チャネル(3)内に配置された複数の長手方向の補強繊維(3a)と、
前記複数の長手方向チャネル(3、4)のうちの少なくとも1つの透過性チャネル(4)内に配置された複数の長手方向の透過性繊維(4a)と、を備え、
前記被覆カプセル(2)は、前記被覆カプセル(2)の下面(2b)とは反対側の前記被覆カプセル(2)の少なくとも上面(2a)において、前記複数の長手方向の透過性繊維(4a)と外部環境との間の流体連通を規定するように、前記少なくとも1つの透過性チャネル(4)に通じる複数の表面開口部(5)を有する、複合補強ストリップ(1)。
【請求項2】
前記複数の表面開口部(5)は、前記被覆カプセル(2)の前記下面(2b)にも配置される、請求項1に記載の複合補強ストリップ(1)。
【請求項3】
前記複数の透過性繊維(4a)は、ポリプロピレンなどのポリマーまたはバイオポリマー、または綿、ジュート、麻などの天然材料でできており、前記複数の長手方向の補強繊維(3a)は、合成またはポリマーまたはバイオポリマーまたは天然または植物材料でできている、請求項1または2に記載の複合補強ストリップ(1)。
【請求項4】
前記透過性チャネルにおいて前記被覆カプセル(2)の前記上面(2a)と前記下面(2b)との間に複数の貫通孔(6)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合補強ストリップ(1)。
【請求項5】
前記複数の表面開口部(5)の表面範囲は、同一の前記透過性チャネル(4)の表面開口部(5)の間に介在する前記被覆カプセル(2)の部分の表面範囲よりも大きい、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合補強ストリップ(1)。
【請求項6】
前記被覆カプセル(2)は、前記複合補強ストリップ(1)の前記長手展開方向(X)に対して垂直に配置された複数の表面レリーフ(7)を備え、各表面レリーフ(7)は、少なくとも前記被覆カプセル(2)の前記上面(2a)で、少なくとも部分的に前記複合補強ストリップ(1)の前記側面端部(1a)の間に延びる、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合補強ストリップ(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの透過性チャネル(4)は、前記複合補強ストリップ(1)の前記長手展開方向(X)に沿って配置された、前記複合補強ストリップ(1)の少なくとも1つの末端部(1b)で開いており、これにより、前記複数の長手方向の透過性繊維(4a)は、前記複数の表面開口部(5)を通して前記外部環境に向かって透過流体を運ぶことができる、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合補強ストリップ(1)。
【請求項8】
可撓性材料で作られた少なくとも1つのシート(10)と、請求項1から7のいずれか一項に記載の複数の複合補強ストリップ(1)とを備える複合材料(100)であって、
前記複数の複合補強ストリップ(1)は、それぞれの長手展開方向(X)が平行になるように前記被覆カプセル(2)のそれぞれの下面(2b)で前記シート(10)に結合されている、複合材料(100)。
【請求項9】
グリッド構造を、好ましくは縦糸および横糸タイプのグリッド構造を規定するように、前記複数の複合補強ストリップ(1)に結合され且つ前記複数の複合補強ストリップ(1)の前記それぞれの長手展開方向(X)に対して横方向に、好ましくは垂直に配置された複数の接続ストリップを備える、請求項8に記載の複合材料(100)。
【請求項10】
複合補強ストリップ(1)を製造するための方法であって、
前記複合補強ストリップ(1)の長手展開方向(X)に平行に展開し且つ前記複合補強ストリップ(1)の対向する側面端部(1a)の間に順に配置された複数の長手方向チャネル(3、4)を取り囲む被覆カプセル(2)を形成するために、押出方向に沿って材料を押し出すステップであって、前記押出方向は前記複合補強ストリップ(1)の前記長手展開方向(X)と平行である、ステップと、
前記複数の長手方向チャネル(3、4)の補強チャネル(3)内に複数の長手方向の補強繊維(3a)を押し出すステップと、
前記複数の長手方向チャネル(3、4)のうちの少なくとも1つの透過性チャネル(4)内に複数の長手方向の透過性繊維(4a)を押し出すステップと、
前記材料を押し出す前記ステップ、前記複数の長手方向の補強繊維(3a)を押し出す前記ステップおよび前記複数の長手方向の透過性繊維(4a)を押し出す前記ステップの後に、前記被覆カプセル(2)の下面(2b)とは反対側の前記被覆カプセル(2)の上面(2a)に、前記複数の長手方向の透過性繊維(4a)と外部環境との間の流体連通を規定するように、前記少なくとも1つの透過性チャネル(4)に通じる複数の表面開口部(5)を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記材料を押し出す前記ステップ、前記複数の長手方向の補強繊維(3a)を押し出す前記ステップおよび前記複数の長手方向の透過性繊維(4a)を押し出す前記ステップが同時に実施される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合補強ストリップを対象としている。
【0002】
特に、本発明は、建設、土木、環境、水力、地盤および採掘工学、より一般的には効率的な補強が必要なすべての用途に使用できる複合補強ストリップを対象としている。
【0003】
本発明はさらに、そのような複合ストリップを製造するための製造プロセス、および例えばロール状の複合材料を形成するためのそのようなストリップの結合に関する。
【背景技術】
【0004】
本明細書で言及される複合補強ストリップは典型的には、引張強度特性を有する繊維、フィラメント、スレッドまたはインサートのコアを含む被覆カプセルの共押出しによって得られる帯状の複合製品(「ストラップ」または「テープ」または「ジオストリップ(geostrip)」とも呼ばれる)であり、種々の構造補強または安定化の用途に使用される。
【0005】
本発明がその一般性を失うことなく、ここで、建設業界向けの補強ストリップ、すなわち、地中に挿入して地盤を補強し、内部および底面の両方を補強した支持壁または盛土を作るのに適したタイプのストリップの使用について言及がなされる。
【0006】
強力スレッド、ヤーンおよび繊維を使用することによって、必要な支持力および負荷に対する耐性並びに通常の構造構築方法および鋼やコンクリートなどの材料よりも優れた耐久性を提供できる補強ストリップを実際に得ることが可能である。
【0007】
補強ストリップはまた、ロール状の製品、すなわち、メッシュまたはグリッドを作成するために横糸/縦糸状に共にヒートシールまたは接着された複数のテープと組み合わせた製品を作成するための基本製品として機能することが知られている。個別に適用される同一の補強ストリップは、アンカー、スパイクまたはクランプなどのターミナルと組み合わされた場合に、タイロッドおよび束縛ベルト、持ち上げベルトまたは安定化ベルトを作成するための基本製品であることが知られている。
【0008】
しかしながら、本出願人は、既知のタイプのストリップにはいくつかの制限があり、特に建設の世界では、場合によってはそれらの使用を阻んだり妨げたりする制限があることに気付いた。
【0009】
実際、本出願人は、今日まで不利なことに、土壌の補強および圧密の適用並びに断崖および支持壁の作成のために、摩擦によって機能することが知られているこれらのストリップは専ら、粒状の緩いタイプの土壌または化学的に改良されたまたは混合された土壌(例えば、石灰またはセメントで安定化された)であって、ストリップおよび土壌の間の十分な相互作用を可能にする特定の粒径曲面を有する土壌に用いられることを発見した。これは、特定の粒径曲面の外側にある、あるがままの状態の土壌は、事前に処理されるか、またはそれらの特性を変更されるかしない限り、使用できないことを意味する。実際、あるがままの状態の土壌はしばしば、粘着/粘土質の細かいマトリックスで飽和している。
【0010】
既知のタイプのストリップは、中および高抵抗(100kN/m超)のメッシュまたはグリッド(ジオグリッドとも呼ばれる)を作成するために横糸/縦糸状に組み合わされる場合には、降伏(通常は湿潤)土壌の盛土の底面の補強に使用される。この用途では、縦糸/横糸状の既知のタイプのストリップは、あるがままの状態の土壌とジオグリッドとの間に追加の分離フィルタおよび摩擦粒状層、したがって、盛土の底面で摩擦、濾過および排水を提供できる層を必要とする。
【0011】
一般に、既知のタイプのストリップは、補強チャネルであって、その内部に長手方向の補強繊維が配置された補強チャネルのみを備えて製造され、その後、完全にカプセル化されたプロファイルによって包まれる。閉ざされた且つ密閉された環境において、ストラップとして結束用または閉鎖用(クランプストラップ)に、材料の束縛用に、または持ち上げ用に使用される場合、補強材料、タイロッド(ソイルネイリング)として使用される場合、これらのストリップは、間質圧の散逸、周囲環境に存在する流体の濾過または排出を可能にすることはできない。したがって、既知のタイプのストリップには、これらの潜在的な問題を克服するための追加の手段および方法が必要である。
【発明の概要】
【0012】
これに関連して、本発明の基礎となる技術的課題は、上述の従来技術の欠点の1つまたは複数を克服し、製造が簡単で且つ安価であり、使用時に有効で便利で且つ信頼性が高く、製造および設置方法による効果の喪失のリスクを低減する解決策を実現する複合補強ストリップを提案することである。
【0013】
特に、本発明の目的は、密閉された環境(例えば土壌)内に存在する流体の浸透とその正しい除去を可能にするために、密閉された環境内で使用できる複合補強ストリップを、ストリップの補強特性を変化せずに維持し、環境内に存在する間質圧、凝縮または湿度による損傷を防止しつつ、利用可能にすることである。
【0014】
本発明は、したがって、乾燥、吸収、伝導、排出または濾過能力も有することができる複合補強ストリップを利用可能にし、補強と同時に周辺環境からの流体(用途のタイプに応じて気体であろうと液体であろうと)に対する効果的な制御透過性を確かに保証する。
【0015】
特に、粘着および粘土質の土壌、またはいわゆる限界土壌での適用の場合、本発明のストリップは、土壌に含まれる流体を効果的に排出および濾過することを可能にする。
【0016】
本発明は、有利なことに、多くの多様な分野に適用される。例えば、地盤工学に適用される。粘着土壌および限界土壌の圧縮の間、最適な含水量、したがって、構造的に安全な土壌を実現するために、間質圧の散逸が重要である。または、ストリップが塊(このケースでは土壌)にドリルで穴を開けることによって挿入されるタイロッド(ソイルネイリング)での適用としては、補強すると共に間質圧の低減および排水のための周辺チャネルを提供する。または、ロジスティクスの分野では、ベルトまたはストリップを介して移送される商品を固定およびブロックすることが重要であるだけでなく、閉ざされた環境内(コンテナ内など)の湿度を管理することが重要である。または、建物またはサイロやタンクなどの他の構造物の内部では、負荷を支え且つ起こり得る凝縮現象を管理する必要がある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、設置ステップを最適化して設置時間を短縮できると共に、大きな表面への設置のための解決策を提供する、本発明による複数の複合補強ストリップを備える複合材料を提案することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、設計要件および挿入される密閉環境のタイプに実用的且つ効率的に適合できるように、単純で多目的な補強ストリップを製造する方法を提案することである。
【0019】
特定の技術的課題および特定の目的は、本明細書の1つまたは複数の請求項に記載された技術的特徴を含む複合補強ストリップ、複合材料および複合補強ストリップの製造方法によって実質的に達成される。
【0020】
特に、本発明の第1の態様では、複合補強ストリップであって、当該補強ストリップの長手展開方向に平行に展開し且つ複合補強ストリップの対向する側面端部の間に順に配置された複数の長手方向チャネルを取り囲む被覆カプセルと、複数の長手方向チャネルの補強チャネル内に配置された複数の長手方向の補強繊維とを備える複合補強ストリップが提供される。
【0021】
複合ストリップはまた、有利には、複数の長手方向チャネルのうちの少なくとも1つの排出チャネル内に配置された複数の長手方向の透過性繊維を備える。言い換えれば、複数の長手方向チャネルの少なくとも1つのチャネルは、「透過性」タイプのものであり、すなわち、既知のタイプのストリップのような補強特性のみではなく、周囲環境に存在する流体の通過を保証し且つ濾過特性のみならず排出を可能にするように繊維、フィラメントまたはインサートを備える。
【0022】
特に、被覆カプセルは、少なくとも、その下面と反対側の上面に(例えば、建設分野での用途では、下面は、使用時に土壌の上に置かれるように配置または挿入されるように構成されている)、少なくとも1つの透過性チャネルに通じる複数の表面開口部を有する。
【0023】
したがって、複数の表面開口部の存在のおかげで、複数の長手方向の透過性繊維と外部環境との間に流体連通を規定することが可能である。
【0024】
複数の表面開口部の存在のおかげで、透過性チャネルに含まれる透過性繊維は、周囲の外部環境に存在する流体を実際に吸い上げ、そこに含まれる水または湿気を吸収できる(および、後の説明で明らかになるように、場合によってはそれを他の場所に移すことができる)。
【0025】
したがって、本発明による補強ストリップは、有利なことに、流体の存在によって特徴付けられる閉じた塊(粘着土壌など、定義上、排水しない)において問題なく採用できる。なぜなら、塊に向かって、したがって塊と直接接触して露出する透過性繊維の存在により(すなわち表面開口部で)流体が効果的に運ばれ、例えば、地盤工学タイプの用途では土壌自体の特性の改善および正しい構造補強を保証するからである。
【0026】
本発明のおかげで、実質的に排水されず、非透過性または非伝導性の環境または土壌であっても、流体のための特別な経路を提供することが実際に可能である。
【0027】
したがって、既知の解決策のように、一般にポリエステルまたはアラミドで充填された補強機能を有する長手方向チャネルのみを提供する代わりに、本発明によれば、長手方向チャネルの少なくとも1つ(すなわち、「透過性チャネル」と定義されるもの)は、(用途のタイプに応じて、吸収、乾燥、濾過または排水特性を備えた)繊維、フィラメントまたは透過性材料のインサートで充填され(以下でより明確になるように、特に「共押出しされ」)、周囲の環境から複合補強ストリップ自体への流体の通過を可能にするように、複数の表面開口部を通して周囲の外部環境(例えば、土壌)と流体連通する。
【0028】
土木用途では、例えば、土壌がぎっしり詰められ圧縮されると、ストリップに封入された透過性材料は、間質圧を外側に最適に分散することを可能にし、したがって、土壌の圧縮特性を改善することを可能にする。
【0029】
第2の態様では、本発明は、可撓性(または半硬質)材料で作られた少なくとも1つのシートと、本発明のタイプの複数の補強ストリップとを備えた複合補強材料であって、それぞれの長手展開方向が平行になるように、対応する被覆カプセルのそれぞれの下面でシートに結合された複合補強材料を提供する。したがって、複合補強材料は、構造補強のために敷設および設置されるために、すでに「使用準備が整って」いる。
【0030】
有利なことに、例えば、しばしば柔らかく湿潤状態にある非排水性の土壌を扱う場合、実際には、同一の土壌とその後に敷設される材料との間の分離器として機能する建設作業の支持体として可撓性シートを敷くことが望ましい。
【0031】
ストリップに結合せずに独立して配置された単一のシートは、二重の処理を伴い得る、いずれにせよ、2つの要素間に不連続の層を生成し得る。
【0032】
したがって、本発明の複合材料は、すでに結合されており且つ使用準備が整っているので、敷設作業を容易にする。
【0033】
第3の態様では、本発明はさらに、複合補強ストリップを製造する方法を提供し、当該方法は、
複合補強ストリップの長手展開方向に平行に展開し且つ補強ストリップの対向する側面端部の間に順に配置された複数の長手方向チャネルを囲む被覆カプセルを作成するために、材料、好ましくはポリマーまたはバイオポリマーを押出方向に沿って押し出すステップであって、押出方向が複合補強ストリップの長手展開方向に平行であるステップと、
複数の長手方向チャネルの補強チャネル内に複数の長手方向の補強繊維を押し出すステップと、
複数の長手方向チャネルのうちの少なくとも1つの透過性チャネル内に複数の長手方向の透過性繊維を押し出すステップと、
上述の押し出すステップの後に、被覆カプセルの下面とは反対側の被覆カプセルの上面に、少なくとも1つの透過性チャネルに通じる複数の表面開口部を形成するステップと、を含む。
【0034】
したがって、有利なことに、複数の表面開口部を形成するステップは、外部環境に含まれる流体を吸収する(および、場合によっては他の場所に移す)ために、使用中に補強ストリップの透過性チャネルと外部環境との間に流体連通を提供することを可能にする。
【0035】
用途の特性に応じて、例えば、土壌を検討して地質特性または設計に必要な圧密のタイプについて話す場合、本発明により、使用する繊維、フィラメントまたはインサートの最も適したタイプ、および特定の用途シナリオに最適なレイアウト/パターンを規定した後、必要な接合ストリップを迅速に作成することが可能である。
【0036】
参照のために本明細書に組み込まれる従属請求項は、本発明の異なる実施形態に対応する。
【0037】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されるように、複合補強ストリップおよびロール状の複合材料の好ましいが非排他的な実施形態の例示的な、したがって非限定的な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明による複合補強ストリップの概略斜視図である。
【
図1A】表面開口部の一実施形態による
図1の補強ストリップの一部の概略斜視図である。
【
図1B】表面開口部の
図1Aとは異なる実施形態による
図1の補強ストリップの一部の概略斜視図である。
【
図1C】表面開口部の
図1Aおよび
図1Bとは異なる実施形態による
図1の補強ストリップの一部の概略斜視図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による補強ストリップの概略斜視図である。
【
図3】本発明による複合補強材料の概略斜視図である。
【
図4】表面開口部の一実施形態およびレイアウトによる、本発明による補強ストリップを上から見た概略図である。
【
図5】表面開口部の
図4とは異なる実施形態およびレイアウトによる、本発明による補強ストリップを上から見た概略図である。
【
図6】表面開口部の
図4および
図5とは異なる実施形態およびレイアウトによる、本発明による補強ストリップを上から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
添付の図面を参照すると、1は複合補強ストリップを示し、複合補強ストリップ1は、単にストリップ1とも呼ばれる。
【0040】
図1を参照すると、「ストリップ」という用語は、ストリップ1の長手展開方向Xに沿って測定される長さAがストリップ1の幅Bよりも大きく且つ幅Bが長手展開方向Xおよび幅Bに対して垂直に測定されるストリップ1の厚さSよりもはるかに大きい、実質的に平坦な帯状の要素を意味することを意図していることに留意されたい。
【0041】
ストリップ1は、長手展開方向Xに向かい合った2つの側面端部1aと、長手展開方向Xに垂直な方向に向かい合った2つの末端部1bとを有する。言い換えれば、長さAは末端部1b間で測定可能であり、幅Bは側面端部1a間で測定可能である。
【0042】
ストリップ1は、補強ストリップ1の長手展開方向Xに平行に展開し且つ対向する側面端部1aの間に順に配置された複数の長手方向チャネル3、4を取り囲む、例えばポリマーマトリックスである被覆カプセル2を備える。
【0043】
言い換えれば、複数の長手方向チャネル3、4は、ストリップ1内に順に互いに隣接して平行に配置され且つストリップ1の全長Aに沿って延在する。
【0044】
ストリップ1は有利には、
複数の長手方向チャネル3、4のうちの補強チャネル3内に配置された複数の長手方向の補強繊維3aと、
複数の長手方向チャネル3、4のうちの少なくとも1つの透過性チャネル4内に配置された複数の長手方向の透過性繊維4aと、を備える。
【0045】
言い換えれば、本発明によれば、補強ストリップ1の少なくとも1つの長手方向チャネル3、4は、長手方向の透過性繊維4aを含み、したがって、少なくとも1つの透過性チャネル4を規定する。
【0046】
特に、「複数の長手方向の補強繊維」3aは、長手方向に展開する補強要素を規定するために長手方向に並置された引張強度特性を有する複数の繊維、スレッド、フィラメントまたはインサートから作製されたヤーンまたはフィラメントを意味することを意図している。
【0047】
好ましくは、長手方向の補強繊維3aは、合成またはポリマーまたはバイオポリマーまたは天然または植物材料から作られる。鉄または金属起源のインサートも提供され得る。
【0048】
特に、「複数の長手方向の透過性繊維」4aは、長手方向に展開する透過性要素を規定するために長手方向に並置された伝導および流体透過特性を有する複数の繊維、スレッド、フィラメントまたはインサートから作製されたヤーンまたはフィラメントを意味することを意図している。
【0049】
透過性繊維の透過能力は、特定の用途に必要な設計要件に基づいて変化し得、それによって透過性繊維は、異なる濾過、排水、吸収、伝導、乾燥特性を持ち得る。
【0050】
好ましくは、長手方向の透過性繊維4aは、例えばポリプロピレンであるポリマーまたはバイオポリマー、または他の天然材料、例えば綿、ジュート、麻などから作られる。
【0051】
したがって、「長手方向」という用語は、複数の繊維がストリップ1の長手展開方向Xに平行な方向に展開するヤーンを規定することを意味することを意図していることに留意されたい。
【0052】
図示されていない可能な実施形態によれば、さらに、複数の繊維は、ヤーン/ハイブリッド構造(ストリップ自体の最終性能を向上させることができる「混合ヤーン」)を形成するために、混合または結合された構造によって形成されたスレッドまたはヤーンによって規定され得る。
【0053】
有利には、被覆カプセル2は、少なくとも、被覆カプセルの下面2bとは反対側の被覆カプセル2の上面2aに、少なくとも1つの透過性チャネル4に通じる複数の表面開口部5を有する。
【0054】
言い換えれば、
図1Aに明確に見られるように、透過性チャネル4の上に配置された、したがって透過性チャネル4と上面2aとの間に配置された被覆カプセル2の部分は、複数の表面開口部5を規定するために、少なくとも部分的に穿孔または切開されている。したがって、透過性繊維4aは、表面開口部5の内側に露出し且つストリップ1が使用中に当該ストリップ1を覆うことになる土壌(図示せず)に挿入される場合に外部環境、例えば土壌と流体連通する。
【0055】
さらに、好ましくは、複数の長手方向の透過性繊維4aが複数の表面開口部5を通って外部環境に向かって透過流体を運ぶことができるように、各透過性チャネル4は補強ストリップ1の少なくとも1つの末端部1bで開口している。
【0056】
例えば、外部環境が土壌である場合、複数の透過性繊維は、複数の表面開口部5を通して収集された流体(添付の図では見えない)を吸収し、それを除去するために末端部1bに運ぶことができる。
【0057】
好ましくは、複数の透過性チャネル4は、補強ストリップ1の両方の末端部1bで開いており、連続性および流体の流入を保証する。
【0058】
図1を参照すると、補強ストリップ1が互いに交互に配置された2つの透過性チャネル4および3つの補強チャネル3を備える実施形態の例が示されているが、設計仕様およびストリップ1が挿入される外部環境(例えば土壌)のタイプに応じて長手方向チャネル3、4の数および配置をパーソナライズすることが可能である。
【0059】
好ましくは、透過性チャネル3は、補強ストリップ1の長手展開方向Xに対して垂直に且つ補強ストリップ1の幅Bに平行に測定される幅値を有し、当該幅値は、0.5mmから100mmの間の範囲、さらにより好ましくは、2mmから10mmの間の範囲である。
【0060】
好ましくは、透過性チャネル3は、補強ストリップ1の長手展開方向Xに対して垂直に且つ補強ストリップ1の厚さSに平行に測定される厚さ値を有し、当該厚さ値は、0.1mmから20mmの間の範囲であり、さらにより好ましくは、1mmから5mmの間の範囲である。
【0061】
好ましくは、補強チャネル4は、補強ストリップ1の長手展開方向Xに対して垂直に且つ補強ストリップ1の幅Bに平行に測定される幅値を有し、当該幅値は、0.5mmから100mmの間の範囲であり、さらにより好ましくは、2mmから10mmの間の範囲である。
【0062】
好ましくは、補強チャネル4は、補強ストリップ1の長手展開方向Xに対して垂直に且つ補強ストリップ1の厚さSに平行に測定される厚さ値を有し、当該厚さ値は、0.1mmから20mmの間の範囲であり、さらにより好ましくは、1mmから5mmの間の範囲である。
【0063】
好ましくは、連続する長手方向チャネル3、4の間の距離は、長手方向チャネル3、4の幅よりも小さい。
【0064】
好ましくは、複数の表面開口部5は、補強ストリップ1の長手展開方向Xに対して垂直に且つ補強ストリップ1の厚さSに平行に測定される深さ値を有し、当該深さ値は、0.01mmから20mmの範囲であり、各チャネルの厚さおよび得られる性能に基づいて変化する。
【0065】
特に、複数の表面開口部5の深さは、上または下の透過性チャネル4を取り囲む被覆カプセル2の部分の厚さに等しいことに留意されたい。
【0066】
好ましくは、複数の表面開口部5は、0.001mm2の最小値を有する表面展開部を有する。
【0067】
表面開口部の形状およびピッチは、寸法値と同様に広くパーソナライズ可能であり、これらのパラメータは、周囲の環境(土壌であれ、その他であれ)およびストリップ1に与えられることが望まれる排水能力および効率に従って、最初に決定されるべきである。
【0068】
表面開口部5のピッチ、数、形状、深さ並びに透過性チャネル4の位置および数は、伝導性/透過性/濾過/排水の観点だけでなく、補強ストリップ1の引張強度の観点からも、設計上必要とされる性能に基づいて可変である。
【0069】
好ましくは、添付の実施形態の例に示されるように、一列の表面開口部5が各透過性チャネル4に関連付けられている。
【0070】
図1に示されるように、好ましくは、いくつかの排水チャネル4がある場合、隣接する列の表面開口部5は、長手展開方向Xに対して垂直に位置合わせされる。
【0071】
図4は、表面開口部5の形状が円形であり且つ表面開口部5の外側の列のみが長手展開方向Xに対して垂直に位置合わせされる一方で、中央の列が互い違いになっている、ストリップ1の実施形態の例を示す。一方、
図6では、表面開口部5の形状は楕円形であり、表面開口部5のピッチはより高い。
【0072】
代わりに、
図5は、表面開口部5の形状が長方形であり且つ好ましくは、表面開口部5の表面範囲が、同一の透過性チャネル4の表面開口部5の間に配置された被覆カプセル2の部分の表面範囲よりも大きい、ストリップ1の実施形態の例を示す。さらに、表面開口部5は、好ましくは、ストリップ1の末端部1bに通じている。
【0073】
図1Bを参照すると、好ましくは、複数の表面開口部5は、被覆カプセル2の下面2bにも配置される。有利なことに、このようにして、ストリップ1を通過する流体の伝導および透過能力を高めることが可能である。
【0074】
特に、より好ましくは、上面2aに形成された表面開口部5は、下面2bに形成された表面開口部5と位置合わせされる。
【0075】
図1Cを参照すると、好ましくは、補強ストリップ1は、透過性チャネル4において被覆カプセル2の上面2aと下面2bとの間に複数の貫通孔6を有し得る。言い換えれば、透過性繊維4aに内部的に通じる表面開口部5とは異なり、複数の貫通孔6の場合、材料が存在しないので、その点で排出繊維4aは透過性チャネル4内で遮られる。したがって、貫通孔6は、ストリップ1の全厚Sに沿って、ストリップ1の側面から側面への貫通開口部を画定する。
【0076】
貫通孔6の数は、設計上の選択と要件の関数であり、例えば、
図1Cでは、貫通孔6は、2つの表面開口部5ごとに交互に配置される。
【0077】
図2に示される、本発明によるストリップ1の可能な実施形態によれば、好ましくは、被覆カプセル2は、補強ストリップ1の長手展開方向Xに対して垂直に配置された複数の表面レリーフ7を備える。
【0078】
特に、各表面レリーフ7は、被覆カプセル2の少なくとも上面2aにおいて、ストリップ1の側面端部1aの間で少なくとも部分的に延在する。
【0079】
有利なことに、これらの表面レリーフ7の実現は、好ましくは成形、打ち抜き、マーキングまたはエンボス加工によってなされ、ストリップ1に、使用中に土壌に配置されたときに、より大きな摩擦および滑り性能を与え、滑り抵抗(いわゆる「引っ張り」現象)を高め且つ摩擦効率を向上させる。
【0080】
表面レリーフ7の外形は必要に応じて選択でき、例えば
図2では三角形であるが、中心距離、寸法、厚さが可変の丸みを帯びた形状または長方形でもよい。
【0081】
図3を参照すると、本発明のさらなる態様によれば、可撓性または半硬質材料、例えばジオテキスタイル材料またはマルチフィラメント材料、あるいはメッシュまたは膜で作られた少なくとも1つのシート10と、先に説明したものによる複数の補強ストリップ1とを備える複合材料100が提供される。
【0082】
有利には、複数の補強ストリップ1は、それぞれの長手展開方向Xが平行になるように、被覆カプセル2のそれぞれの下面2bでシート10に結合される。
【0083】
好ましくは、シート10とストリップ1との結合は、以下の製造技術、すなわち、編み、織り交ぜ、接合、縫い合わせ、つなぎ合わせ(interlocking)、溶接、接着、加熱、縫い、吹き付けのうちの1つまたは複数に従って実施することができる。
【0084】
好ましくは、複合材料100は、移送空間を最適化し、敷設作業を容易にし、前述のようにストリップ1自体によって運ばれることになる流体の収集および集結のさらなる手段をストリップ1に潜在的に提供するために、ロールとして製造可能である。
【0085】
添付の図面に示されていない可能な実施形態によれば、好ましくはさらに、複合材料100は、好ましくは縦糸および横糸タイプのグリッド構造を規定するように、補強ストリップ1に結合され且つ複数の補強ストリップ1のそれぞれの長手展開方向Xに対して横方向に、好ましくは垂直に配置された複数の接続ストリップを備える。
【0086】
このような構造は、透過性が両方向に必要とされる状況で有用であり得、塊(土壌または他の密閉された環境)内に流体を分配する際の本発明のストリップの効果を増大させる。
【0087】
本発明のさらなる態様によれば、補強ストリップ1の製造方法であって、
複数の長手方向チャネル3、4を取り囲む被覆カプセル2を作るために、複合補強ストリップ1の長手展開方向Xに平行な押出方向に沿って、材料を、好ましくはポリマーまたはバイオポリマーを押し出すステップと、
補強チャネル3内に複数の長手方向の補強繊維3aを押し出すステップと、
複数の長手方向チャネル3、4のうちの少なくとも1つの排出チャネル4内に複数の長手方向の透過性繊維4aを押し出すステップと、
上述の押し出すステップの後に、複数の長手方向の透過性繊維4aと外部環境との間の流体連通を規定するように、透過性チャネル4に通じる複数の表面開口部5を被覆カプセル2の上面2aに形成するステップと、を含む補強ストリップ1の製造方法がさらに提供される。
【0088】
好ましくは、複数の表面開口部5は、打ち抜き、エッチング、切断または型抜きによって作ることができる。
【0089】
好ましくは、上述の押し出すステップは同時に(すなわち、共押出しによって)実施される、すなわち、被覆カプセル2、透過性繊維4aおよび補強繊維3aは共押出しされる。
【0090】
本発明は、提案された目的を達成し、従来技術において不平を言われた欠点を克服し、実用的で効率的であり且つ流体(気体であれ液体であれ)を塊または密封された環境から外部に運ぶことを可能にする複合補強ストリップ1および複合材料100並びに当該ストリップの単純且つ汎用的な製造方法をユーザに提供する。
【0091】
有利なことに、本発明の複合補強ストリップは、牽引に抵抗することにより、垂直方向の負荷だけでなく、風などの水平方向の負荷にも耐えることができ、野外で使用され、浸漬され、そこに設計された少なくとも一つの優先チャネル(透過性チャネル)のおかげで流体を収集または搬送する。既知のタイプのメッシュまたはストリップは実際に、外部環境で使用される場合、透過または吸収機能を持たず、水粒子は表面に蓄積されるだけである。
【国際調査報告】