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特表2024-531015電池パック用長時間持続型調湿材及びその製造方法
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  • 特表-電池パック用長時間持続型調湿材及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電池パック用長時間持続型調湿材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20240822BHJP
   B01D 53/28 20060101ALI20240822BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240822BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240822BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240822BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B01D53/26 210
B01D53/28
B01J20/26 A
B01J20/30
B32B27/36
B32B27/30 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558407
(86)(22)【出願日】2023-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 CN2023097674
(87)【国際公開番号】W WO2024016854
(87)【国際公開日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】202210839791.1
(32)【優先日】2022-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523360061
【氏名又は名称】浙江葆潤応用材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO BOOER NEW MATERIAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.516, Nanda Road, Jinping Street, Fenghua District Ningbo, Zhejiang 315000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【弁理士】
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】丁 凱
(72)【発明者】
【氏名】施 暁麗
(72)【発明者】
【氏名】徐 贏斐
【テーマコード(参考)】
4D052
4F100
4G066
【Fターム(参考)】
4D052CA02
4D052CA06
4D052HA11
4D052HA12
4D052HA13
4D052HA27
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4F100AK02D
4F100AK18A
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4F100AK42D
4F100AK49D
4F100AK54D
4F100AK55D
4F100AL06C
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CC00C
4F100EH46C
4F100GB41
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4F100JB07A
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4G066AA35B
4G066AA36B
4G066AA43B
4G066AC12B
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4G066AC35B
4G066BA03
4G066BA05
4G066BA36
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4G066DA03
4G066FA03
4G066FA07
4G066FA09
4G066FA21
4G066FA34
4G066FA37
(57)【要約】
本発明は、調湿材分野に関する。本発明は、上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む電池パック用長時間持続型調湿材及びその製造方法を開示し、前記調湿層はポリエステルを基材として、変性調湿高分子コーティング層を加えることで、製造された調湿材は自動車の電池パック内部の湿気を長距離にわたって効果的に調湿することができ、それにより、電池パック内部に「結露」が発生する現象を避け、新エネルギー自動車の運転の安全性と信頼性を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含み、前記上部封止層は防水通気性膜層であり、前記防水通気性膜層は疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、前記調湿層は1~5層の調湿シートからなり、前記調湿シートは基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、前記基材はポリエステルである、
ことを特徴とする電池パック用長時間持続型調湿材。
【請求項2】
前記変性調湿高分子コーティング層は、3~10重量部の変性高吸水性ポリマー、15~25重量部のカリウム塩、5~10重量部の塩化物塩及び30~50重量部の溶媒という原料で製造される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック用長時間持続型調湿材。
【請求項3】
前記カリウム塩は炭酸カリウム、臭化カリウムから選ばれる1種又は2種であり、前記塩化物塩は塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上であり、前記溶媒は脱イオン水、エチレングリコールから選ばれる1種又は2種である、
ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック用長時間持続型調湿材。
【請求項4】
前記上部封止層の厚さは0.05~0.3mm、前記調湿層中の単層調湿シートの厚さは0.5~2.0mm、前記下部封止層の厚さは0.1~0.3mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック用長時間持続型調湿材。
【請求項5】
前記下部封止層はPET、COP、PES又はPIから選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック用長時間持続型調湿材。
【請求項6】
請求項1に記載の電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法であって、
重量部に従って、15~25重量部のカリウム塩、5~10重量部の塩化物塩を30~50重量部の溶媒に溶解し、次に3~10部の変性高吸水性ポリマーをその中に浸漬して4~8h膨潤させ、塩でポリマー表面を均一に被覆するステップ1と、
基材をステップ1の混合物に浸漬塗布して5~20s後に取り出し、75~95℃の温度で5~15min乾燥させ、調湿シートを製造するステップ2と、
ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工するステップ3と、
上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造するステップ4と、を含む、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項7】
前記変性高吸水性ポリマーの製造方法は、
重量部に従って、窒素雰囲気下でガラス又はポリテトラフルオロエチレン製反応容器に100~200部の溶媒を加え、次に17~25部のアクリルアミド、1~5部のメトキシポリエチレングリコールマレイミド、2~5部の触媒を加え、さらに30~45部の化合物Aを加え、温度40~60℃の条件で20~40h撹拌し、反応系を室温に冷却するステップS1と、
5~10部の1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.05~0.5部のビニルフェロセン、1~3部の過酸化ベンゾイルを加え、温度60~70℃の条件で3~8h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を30~80℃の条件で6~12h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得るステップS2と、を含み、
前記化合物Aは、エチレングリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)(GDMP)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)(PETMP)、ペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート(PETMA)、ジペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート、ジペンタエリスリトールペンタ(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールペンタメルカプトアセテート、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)から選ばれる、
ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記溶媒はエタノール、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン又はN,N-ジメチルホルムアミドのうちの1種又は2種以上である、
ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記触媒はトリフェニルホスフィン(PPh3)、トリエチルアミン又はジプロピルアミンのうちの1種又は2種以上である、
ことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記電池パック用長時間持続型調湿材は、調湿範囲内で調湿精度≦5%、飽和吸湿率≧200%である、
ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年07月18日に中国に提出された、中国特許出願番号202210839791.1の優先権を主張し、その内容全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、調湿材分野に関し、特に電池パック用長時間持続型調湿材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の調湿材は、主に天然調湿材、有機高分子調湿材、無機鉱物調湿材などを含む。これらのうち、天然及び無機鉱物調湿材は、吸湿性と放湿性が不安定で、調湿効果が低く、有機高分子調湿材の製造が複雑で、コストが高く、大規模化が容易ではない。且つ、従来の調湿材は、主に材料の吸湿性を主な評価指標としており、吸収した水分の安定放出に対する有効な制御方法が欠けており、一部の製品は使用中にホルムアルデヒドなどの有毒有害物質を放出し、環境汚染を引き起こしやすい。
【0004】
一方、HCCFは、繊維材料に微孔質高分子吸水性ポリマーを混合した環境に優しい材料であり、従来の顆粒状又は粉末状の乾燥剤製品とは異なり、相対的に密閉された環境でHCCFが自動的に「双方向」可逆的な吸湿と放湿を実現でき、且つ環境中の湿度を効率的に制御し、霧や結露の発生を抑制することができ、その独特の吸湿繊維骨格を水輸送管として、微孔質材料との組み合わせによって形成される貯水池効果によりHCCFの吸湿と放湿の可逆的双方向性を確保することができる。
【0005】
一般に環境の空気湿度が相対的に大きい場合、車両が停止して車体内部の温度が急激に低下したり、車内の冷却システムがオンになったりすると、何れも新エネルギー自動車の電池パック内部の「結露」の発生を引き起こすが、電池パック内のほとんどが荷電部品であることを鑑みると、「結露」の発生は電気的短絡の危険レベルを極めて上昇させ、深刻な場合、電池が発火したり、「爆発」事故の発生を招く可能性があり、環境の空気湿度が低い場合、電池パックが長期間高温、乾燥の条件で作動する場合でも、熱暴走の危険確率が高くなるため、HCCFは電池パック内の湿度変化を制御することに適用され、「結露」の発生を防止し、広い市場の見通しを有する。しかし、従来のHCCFの調湿範囲は限られており、長距離、長時間の調湿をどのように実現するかは、HCCFの早急に解決すべき技術課題の1つとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のHCCF材料に対する長距離、長時間の調湿の実現が困難であるという技術問題に対処し、従来の技術問題を解決するために、電池パック用長時間持続型調湿材及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記技術問題を下記の技術的解決手段によって解決される。
【0008】
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む、ことを特徴とする電池パック用長時間持続型調湿材である。
【0009】
さらに、上記上部封止層は防水通気性膜層であり、上記防水通気性膜層は疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムである。
【0010】
さらに、上記調湿層は1~5層の調湿シートからなり、上記調湿シートは基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、上記基材はポリエステルである。
【0011】
さらに、上記変性調湿高分子コーティング層は、3~10重量部の変性高吸水性ポリマー、15~25重量部のカリウム塩、5~10重量部の塩化物塩及び30~50重量部の溶媒という原料で製造される。
【0012】
さらに、上記カリウム塩は炭酸カリウム、臭化カリウムから選ばれる1種又は2種以上である。
【0013】
さらに、上記塩化物塩は塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上である。
【0014】
さらに、上記溶媒は脱イオン水、エチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である。
【0015】
さらに、上記上部封止層の厚さは0.05~0.3mm、上記調湿層中の単層調湿シートの厚さは0.5~2.0mm、上記下部封止層の厚さは0.1~0.3mmである。
【0016】
さらに、上記下部封止層はPET、COP、PES又はPIから選ばれる。
【0017】
以下のステップを含む電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法である。
【0018】
ステップ1:重量部に従って、15~25重量部のカリウム塩、5~10重量部の塩化物塩を30~50重量部の溶媒に溶解し、次に3~10部の変性高吸水性ポリマーを上記溶液に浸漬して4~8h膨潤させ、塩でポリマー表面を均一に被覆する。
【0019】
ステップ2:基材を上記混合物に浸漬塗布して5~20s後に取り出し、75~95℃の温度で5~15min乾燥させ、調湿シートを製造する。
【0020】
ステップ3:ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工する。
【0021】
ステップ4:上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造する。
【0022】
さらに、以下のステップを含むことを特徴とする上記変性高吸水性ポリマーの製造方法である。
【0023】
S1:重量部に従って、窒素雰囲気下でガラス又はポリテトラフルオロエチレン製反応容器に100~200部の溶媒を加え、次に17~25部のアクリルアミド、1~5部のメトキシポリエチレングリコールマレイミド、2~5部の触媒を加え、さらに30~45部の化合物Aを加え、温度40~60℃の条件で20~40h撹拌し、反応系を室温に冷却する。
【0024】
S2:5~10部の1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.05~0.5部のビニルフェロセン、1~3部の過酸化ベンゾイルを加え、温度60~70℃の条件で3~8h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を30~80℃の条件で6~12h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得る。
【0025】
さらに、上記溶媒はエタノール、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン又はN,N-ジメチルホルムアミドのうちの1種又は2種以上である。
【0026】
さらに、上記触媒はトリフェニルホスフィン(PPh3)、トリエチルアミン又はジプロピルアミンのうちの1種又は2種以上である。
【0027】
さらに、上記化合物Aは、エチレングリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)(GDMP)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)(PETMP)、ペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート(PETMA)、ジペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート、ジペンタエリスリトールペンタ(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールペンタメルカプトアセテート、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)から選ばれる。
【0028】
さらに、上記電池パック用長時間持続型調湿材は、調湿範囲内で調湿精度≦5%、飽和吸湿率≧200%である。
【0029】
本発明は、従来技術と比較して以下の技術的利点を有する。
1、本発明により製造された調湿材は、その中の変性高吸水性ポリマーが空間網状構造を有すると共に、親水性基を大量に有するため、高吸水性ポリマーは気孔率に優れ、長期間にわたる水分吸収能力を有する。
2、本発明は、カリウム塩、塩化物塩を溶媒に溶解させて溶液を形成した後、溶媒和したイオンが一部の面積を占めて、一部の水分子を閉じ込めることができ、それらの蒸発と吸収が阻害され、調湿材の調湿効能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例又は従来技術の説明に必要な図面を検討し、明らかに、図面に合わせて説明する技術的解決手段は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を要することなく、これらの図面に示す実施例に基づいて他の実施例及びその図面を得ることができる。
図1】本発明の試験待ち容器の模式図である。 図中において、1 温湿度計、2 調湿材、3 試験待ち容器 である。
図2】本発明の実施例1の調湿材の構造模式図である。 図中において、4 防水通気性膜、5 調湿シート、6 PETフィルム である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に合わせて、本発明の各実施例における技術的解決手段を明確、完全に記述するが、明らかに、記述される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明に記載されている実施例に基づいて、創造的な労力を要することなく、当業者によってなされた他の全ての実施例は、何れも本発明の請求範囲内に含まれる。
【0032】
説明すべきことは、電池パック用長時間持続型調湿材の調湿性能を比較説明するために、以下、比較例及び実施例で製造した電池パック用長時間持続型調湿材は、その上部封止層、調湿層、下部封止層の厚さが何れも同じであり、そのうち、上部封止層の厚さが0.13mm、調湿層中の各層の調湿シートの厚さが1.1mm、下部封止層の厚さが0.12mmである。
【0033】
[比較例1]
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む電池パック用長時間持続型調湿材であって、上部封止層は防水通気性膜層であり、具体的には疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、調湿層は3層の調湿シートからなり、具体的には基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、基材はポリエステルである。
【0034】
上記電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法は、以下のステップを含む。
【0035】
ステップ1:3kgの変性高吸水性ポリマーを30kgのエチレングリコールに浸漬して4h膨潤させた。
ステップ2:基材を上記混合物に浸漬塗布して5s後に取り出し、75℃の温度で15min乾燥させ、調湿シートを製造した。
ステップ3:ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工した。
ステップ4:上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造した。
【0036】
上記変性高吸水性ポリマーの製造方法は、以下のステップを含む。
S1:窒素雰囲気下でガラス製反応容器に100kgの溶媒を加え、次に17kgのアクリルアミド、1kgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド、2kgの触媒を加え、さらに30kgの化合物Aを加え、温度40℃の条件で20h撹拌し、反応系を室温に冷却した。
【0037】
S2:5kgの1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.05kgのビニルフェロセン、1kgの過酸化ベンゾイルを加え、温度60℃の条件で3h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を30℃の条件で6h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得た。
【0038】
溶媒はエタノールである。
【0039】
触媒はトリフェニルホスフィン(PPh3)である。
【0040】
化合物Aはエチレングリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)(GDMP)である。
【0041】
下部封止層はPETから選ばれた。
【実施例1】
【0042】
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む電池パック用長時間持続型調湿材であって、図2に示すように、上部封止層は防水通気性膜層であり、具体的には疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、調湿層は3層の調湿シートからなり、具体的には基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、基材はポリエステルである。
【0043】
上記電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法は、以下のステップを含む。
ステップ1:15kgのカリウム塩、5kgの塩化物塩を30kgのエチレングリコールに溶解し、次に3kgの変性高吸水性ポリマーを上記溶液に浸漬して4 h膨潤させ、塩でポリマー表面を均一に被覆した。
【0044】
ステップ2:基材を上記混合物に浸漬塗布して5s後に取り出し、75℃の温度で15min乾燥させ、調湿シートを製造した。
【0045】
ステップ3:ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工した。
【0046】
ステップ4:上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造した。
【0047】
上記変性高吸水性ポリマーの製造方法は、以下のステップを含む。
【0048】
S1:窒素雰囲気下でガラス製反応容器に100kgの溶媒を加え、次に17kgのアクリルアミド、1kgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド、2kgの触媒を加え、さらに30kgの化合物Aを加え、温度40℃の条件で20h撹拌し、反応系を室温に冷却した。
【0049】
S2:5kgの1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.05kgのビニルフェロセン、1kgの過酸化ベンゾイルを加え、温度60℃の条件で3h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を30℃の条件で6h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得た。
【0050】
溶媒はエタノールである。
【0051】
触媒はトリフェニルホスフィン(PPh3)である。
【0052】
化合物Aはエチレングリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)(GDMP)から選ばれた。
【0053】
カリウム塩は炭酸カリウムから選ばれ、塩化物塩は塩化ナトリウムから選ばれた。
【0054】
下部封止層はPETから選ばれた。
【実施例2】
【0055】
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む電池パック用長時間持続型調湿材であって、上部封止層は防水通気性膜層であり、具体的には疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、調湿層は3層の調湿シートからなり、具体的には基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、基材はポリエステルである。
【0056】
上記電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法は、以下のステップを含む。
【0057】
ステップ1:15kgのカリウム塩、6kgの塩化物塩を30kgの脱イオン水に溶解し、次に5kgの変性高吸水性ポリマーを上記溶液に浸漬して5h膨潤させ、塩でポリマー表面を均一に被覆した。
【0058】
ステップ2:基材を上記混合物に浸漬塗布して9s後に取り出し、85℃の温度で10min乾燥させ、調湿シートを製造した。
【0059】
ステップ3:ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工した。
【0060】
ステップ4:上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造した。
【0061】
上記変性高吸水性ポリマーの製造方法は、以下のステップを含む。
【0062】
S1:窒素雰囲気下でガラス製反応容器に120kgの溶媒を加え、次に19kgのアクリルアミド、2 kgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド、3kgの触媒を加え、さらに34kgの化合物Aを加え、温度40℃の条件で25h撹拌し、反応系を室温に冷却した。
【0063】
S2:6kgの1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.1kgのビニルフェロセン、1kgの過酸化ベンゾイルを加え、温度60℃の条件で5h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を30℃の条件で8h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得た。
【0064】
溶媒はジメチルスルホキシドである。
【0065】
触媒はトリエチルアミンである。
【0066】
化合物Aはペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)(PETMP)から選ばれた。
【0067】
カリウム塩は炭酸カリウムから選ばれ、塩化物塩は塩化カルシウムから選ばれた。
【0068】
下部封止層はPETから選ばれた。
【実施例3】
【0069】
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む電池パック用長時間持続型調湿材であって、上部封止層は防水通気性膜層であり、具体的には疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、調湿層は3層の調湿シートからなり、具体的には基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、基材はポリエステルである。
【0070】
上記電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法は、以下のステップを含む。
【0071】
ステップ1:20kgのカリウム塩、6kgの塩化物塩を40kgのエチレングリコールに溶解し、次に6kgの変性高吸水性ポリマーを上記溶液に浸漬して6h膨潤させ、塩でポリマー表面を均一に被覆した。
【0072】
ステップ2:基材を上記混合物に浸漬塗布して12s後に取り出し、85℃の温度で10min乾燥させ、調湿シートを製造した。
【0073】
ステップ3:ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工した。
【0074】
ステップ4:上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造した。
【0075】
上記変性高吸水性ポリマーの製造方法は、以下のステップを含む。
【0076】
S1:窒素雰囲気下でガラス製反応容器に150kgの溶媒を加え、次に21kgのアクリルアミド、3kgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド、3kgの触媒を加え、さらに36kgの化合物Aを加え、温度45℃の条件で26h撹拌し、反応系を室温に冷却した。
【0077】
S2:7kgの1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.2kgのビニルフェロセン、2kgの過酸化ベンゾイルを加え、温度65℃の条件で6h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を45℃の条件で8h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得た。
【0078】
溶媒はテトラヒドロフランである。
【0079】
触媒はジプロピルアミンである。
【0080】
化合物Aはペンタエリスリトールテトラメルカプトアセテート(PETMA)から選ばれた。
【0081】
カリウム塩は臭化カリウムから選ばれ、塩化物塩は塩化ナトリウムから選ばれた。
【0082】
下部封止層はCOPから選ばれた。
【実施例4】
【0083】
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む電池パック用長時間持続型調湿材であって、上部封止層は防水通気性膜層であり、疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、調湿層は3層の調湿シートからなり、調湿シートは基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、基材はポリエステルである。
【0084】
上記電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法は、以下のステップを含む。
【0085】
ステップ1:20kgのカリウム塩、8kgの塩化物塩を40kgの脱イオン水に溶解し、次に8kgの変性高吸水性ポリマーを上記溶液に浸漬して6h膨潤させ、塩でポリマー表面を均一に被覆した。
【0086】
ステップ2:基材を上記混合物に浸漬塗布して18 s後に取り出し、85℃の温度で15min乾燥させ、調湿シートを製造した。
【0087】
ステップ3:ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工した。
【0088】
ステップ4:上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造した。
【0089】
上記変性高吸水性ポリマーの製造方法は、以下のステップを含む。
【0090】
S1:窒素雰囲気下でガラス製反応容器に160kgの溶媒を加え、次に21kgのアクリルアミド、4kgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド、4kgの触媒を加え、さらに40kgの化合物Aを加え、温度50℃の条件で25h撹拌し、反応系を室温に冷却した。
【0091】
S2:8kgの1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.4kgのビニルフェロセン、3kgの過酸化ベンゾイルを加え、温度70℃の条件で4h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を80℃の条件で6h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得た。
【0092】
溶媒はアセトンである。
【0093】
触媒はトリフェニルホスフィン(PPh3)である。
【0094】
化合物Aはジペンタエリスリトールヘキサ(3-メルカプトプロピオネート)から選ばれた。
【0095】
カリウム塩は炭酸カリウムから選ばれ、塩化物塩は塩化マグネシウムから選ばれた。
【0096】
下部封止層はPESから選ばれた。
【実施例5】
【0097】
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む電池パック用長時間持続型調湿材であって、上部封止層は防水通気性膜層であり、具体的には疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、調湿層は5層の調湿シートからなり、具体的には基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、基材はポリエステルである。
【0098】
上記電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法は、以下のステップを含む。
【0099】
ステップ1:25kgのカリウム塩、8kgの塩化物塩を50kgのエチレングリコールに溶解し、次に9kgの変性高吸水性ポリマーを上記溶液に浸漬して7h膨潤させ、塩でポリマー表面を均一に被覆した。
【0100】
ステップ2:基材を上記混合物に浸漬塗布して20s後に取り出し、95℃の温度で5min乾燥させ、調湿シートを製造した。
【0101】
ステップ3:ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工した。
【0102】
ステップ4:上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造した。
【0103】
上記変性高吸水性ポリマーの製造方法は、以下のステップを含む。
【0104】
S1:窒素雰囲気下でガラス製反応容器に180kgの溶媒を加え、次に24kgのアクリルアミド、5kgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド、5kgの触媒を加え、さらに42kgの化合物Aを加え、温度60℃の条件で35h撹拌し、反応系を室温に冷却した。
【0105】
S2:9kgの1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.4kgのビニルフェロセン、3kgの過酸化ベンゾイルを加え、温度70℃の条件で5h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を80℃の条件で8h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得た。
【0106】
溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0107】
触媒はトリエチルアミンである。
【0108】
化合物Aはジペンタエリスリトールペンタ(3-メルカプトプロピオネート)から選ばれた。
【0109】
カリウム塩は臭化カリウムから選ばれ、塩化物塩は塩化マグネシウムから選ばれた。
【0110】
下部封止層はPIから選ばれた。
【実施例6】
【0111】
上部封止層、調湿層及び下部封止層を含む電池パック用長時間持続型調湿材であって、上部封止層は防水通気性膜層であり、具体的には疎水性膨潤体ポリテトラフルオロエチレンフィルムであり、調湿層は5層の調湿シートからなり、具体的には基材及び変性調湿高分子コーティング層からなり、基材はポリエステルである。
【0112】
上記電池パック用長時間持続型調湿材の製造方法は、以下のステップを含む。
【0113】
ステップ1:25kgのカリウム塩、10kgの塩化物塩を50kgの脱イオン水に溶解し、次に10kgの変性高吸水性ポリマーを上記溶液に浸漬して8h膨潤させ、塩でポリマー表面を均一に被覆した。
【0114】
ステップ2:基材を上記混合物に浸漬塗布して20s後に取り出し、95℃の温度で15min乾燥させ、調湿シートを製造した。
【0115】
ステップ3:ダイカットによって調湿シートを一定のサイズのシート材に加工した。
【0116】
ステップ4:上部封止層、調湿シート及び下部封止層を順に重ね合わせ、熱間圧接プロセスを用いて上部封止層及び下部封止層を積層し、電池パック用長時間持続型調湿材を製造した。
【0117】
上記変性高吸水性ポリマーの製造方法は、以下のステップを含む。
【0118】
S1:窒素雰囲気下でガラス製反応容器に200kgの溶媒を加え、次に25kgのアクリルアミド、5kgのメトキシポリエチレングリコールマレイミド、5kgの触媒を加え、さらに45kgの化合物Aを加え、温度60℃の条件で40h撹拌し、反応系を室温に冷却した。
【0119】
S2:10kgの1,3-(ジビニルスルホニル)プロパノール、0.5kgのビニルフェロセン、3kgの過酸化ベンゾイルを加え、温度70℃の条件で8h撹拌し、減圧下でろ過し、水、メタノールで洗浄し、固体生成物を80℃の条件で12h真空乾燥させ、変性高吸水性ポリマーを得た。
【0120】
溶媒はN,N-ジメチルホルムアミドである。
【0121】
触媒はトリフェニルホスフィン(PPh3)である。
【0122】
化合物Aはジペンタエリスリトールペンタメルカプトアセテートから選ばれた。
【0123】
カリウム塩は臭化カリウムから選ばれ、塩化物塩は塩化カルシウムから選ばれた。
【0124】
下部封止層はPIから選ばれた。
【0125】
実施例の評価:
【0126】
調湿精度試験:
図1に示す試験待ち容器(直径0.12m、長さ1.2m)を用いて、先端、中央、末端(0.6m間隔で1点)に温湿度計を入れて湿度をモニターし、サイズが95mm×135mm×3.5mmの、実施例1~6で製造された調湿材を容器の先端又は末端に置き、温度が45℃、湿度が95%の恒温恒湿環境で10h置いた後、上記3つの検出点の湿度値を記録し、3つの検出点の最小値を基準として、3つの検出点の吸湿精度を計算した。さらに、試験待ち容器を、温度が45℃、湿度が25%の恒温恒湿環境で10h置いた後、上記3つの検出点の湿度値を記録し、3つの検出点の最小値を基準として、3つの検出点の放湿精度を計算した。
【0127】
吸湿能力試験:
サイズが95mm×135mm×3.5mmの、実施例1~6で製造された調湿材を温度が45℃、湿度が95%の恒温恒湿環境で、1h毎に取り出して秤量し、調湿材の吸湿率を計算し、その計算式は吸湿率=(吸湿重量-元の重量)/元の重量である。最終調湿材の飽和吸湿率、即ち、当該環境条件で調湿材の重量がそれ以上増加しない場合の吸湿率を記録した。
【0128】
長時間持続型調湿能力試験:
サイズが95mm×135mm×3.5mmの、実施例1~6で製造された調湿材を秤量してm1とし、温度が35℃、湿度が85%の恒温恒湿環境で24h置き、次に温度が35℃、湿度が30%の恒温恒湿環境で24h置いた後に秤量してm2とし、計算によってM1=│m2-m1│を得て、それを1つの検出サイクルとした。10の試験サイクルを経て、それぞれM1、M2……M10を計算して得た。
【0129】
[判定基準]
M1、M2……M10の何れか1つのM値≦2gの場合、「OK」と判定される
M1、M2……M10の何れか1つのM値>2gの場合、「NG」と判定される。試験結果は表1に示される。
【0130】
【表1】
【0131】
また、本明細書は実施形態に従って説明するが、各実施形態が1つの独立した技術的解決手段のみ含むわけではなく、明細書におけるこのような記載は明確にするためのものに過ぎず、当業者は明細書を全体として理解する必要があり、各実施例における技術的解決手段を適切に組み合わせて、当業者が理解できる他の実施形態を形成することもできると理解されるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】