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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】新規な菌株及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/16 20060101AFI20240822BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALI20240822BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20240822BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20240822BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240822BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 35/742 20150101ALI20240822BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240822BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240822BHJP
   A23L 33/14 20160101ALI20240822BHJP
   A23L 33/145 20160101ALI20240822BHJP
【FI】
C12N1/16 G ZNA
A61Q19/00
A61K8/9728
A61Q19/08
A61Q19/02
A61K35/74 A
A61K35/74 G
A61K35/741
A61K35/747
A61P17/00
A61P17/18
A61P17/16
A61K35/742
C12N1/20 A
A23L33/135
A23L33/14
A23L33/145
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573661
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 KR2022020240
(87)【国際公開番号】W WO2023113431
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0178893
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0178894
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0178895
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0178896
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0178897
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0163002
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0169776
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0169777
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0169778
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0171985
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヘミン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ミリム・キム
(72)【発明者】
【氏名】福士 宗光
(72)【発明者】
【氏名】ホジョン・イ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD81
4B018MD85
4B018ME06
4B018ME10
4B018ME14
4B018MF01
4B065AA15X
4B065AA17X
4B065AA30X
4B065AA80X
4B065AC20
4B065BA21
4B065BD01
4B065BD16
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA50
4C083AA031
4C083AA032
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC12
4C083CC19
4C083CC23
4C083CC25
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE11
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE16
4C083FF01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC12
4C087BC56
4C087BC64
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZC52
(57)【要約】
本発明は、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP及びバチルス・メガテリウムKCTC14778BPからなる群から選択される菌株;及び上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物で構成される群から選択されるいずれか一つ以上を含む化粧料組成物、医薬部外品組成物、または食品組成物に関し、サッカロマイセス・セレビシエ、ラクトバチルス・フルクチボランス、バチルス・パラミコイデスまたはバチルス・メガテリウム菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物または培養物または発酵物の分画物は、優れた皮膚改善及び敏感肌の鎮静効果があるため、皮膚改善用化粧料組成物、医薬部外品組成物及び食品組成物としての活用度が高い。したがって、化粧品、医薬部外品、食品などの多様な産業的活用を期待することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides)及び寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)からなる群から選択される菌株。
【請求項2】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物、及び前記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項3】
前記皮膚改善は、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚保湿、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和及び皮膚バリア機能強化からなる群から選択されたいずれか一つ以上である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記化粧料組成物は、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成の促進、細胞活性増進、NO生成抑制、メラニン発現阻害、フリーラジカル消去、PGE2(Prostaglandin E2)発現抑制、LOR(Loricrin)発現増加、TNF-a発現抑制またはTRPV1活性抑制効果を有する、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記分画物は、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ菌株の培養物または発酵物から水、C1~C4のアルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルムまたはジクロロメタンに分画された、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエを含む、皮膚の鎮静用、皮膚再生用、皮膚炎症改善用、皮膚保湿用、シワ改善用、弾力改善用、皮膚美白用、抗酸化用、抗老化用、敏感性肌の鎮静用、敏感肌改善用、紅斑緩和用、かゆみ症の緩和用または皮膚バリア機能強化用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランスを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用、皮膚の鎮静用、皮膚炎症改善用または皮膚保湿用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデスを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウムを含む、皮膚保湿用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物、及び前記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用医薬部外品組成物。
【請求項12】
前記皮膚改善は、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚保湿、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和及び皮膚バリア機能強化からなる群から選択されたいずれか一つ以上である、請求項11に記載の医薬部外品組成物。
【請求項13】
前記医薬部外品組成物は、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成の促進、細胞活性増進、NO生成抑制、メラニン発現阻害、フリーラジカル消去、PGE2(Prostaglandin E2)発現抑制、LOR(Loricrin)発現増加、TNF-a発現抑制またはTRPV1活性抑制効果を有する、請求項11に記載の医薬部外品組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物、及び前記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用食品組成物。
【請求項15】
前記皮膚改善は、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚保湿、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和及び皮膚バリア機能強化からなる群から選択されたいずれか一つ以上である、請求項14に記載の食品組成物。
【請求項16】
前記食品組成物は、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成の促進、細胞活性増進、NO生成抑制効果、メラニン発現阻害、フリーラジカル消去、PGE2(Prostaglandin E2)発現抑制、LOR(Loricrin)発現増加、TNF-a発現抑制またはTRPV1活性抑制を有する、請求項14に記載の食品組成物。
【請求項17】
寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides)及び寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)からなる群から選択される菌株で発酵する段階を含む、発酵物製造方法。
【請求項18】
寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ菌株を培養する段階;及び
菌株の培養物または発酵物から水、C1~C4のアルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルムまたはジクロロメタンに分離する段階を含む、分画物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)KCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP、ラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans) KCTC14776BP、バチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides) KCTC14777BP及びバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium) KCTC14778BPからなる群から選択される菌株;及び上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物及び上記培養物または発酵物の分画物で構成される群から選択されるいずれか一つ以上を含む化粧料組成物、医薬部外品組成物、または食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品成分は、一般に、皮膚に炎症や吹き出物、浮腫など各種のトラブルを発生させることが知られている(Maibach.H.I.,Contact Dermatitis、6.369-404,1980)。また、機能性化粧品の原料として用いられる多様な物質も皮膚に対する低い安定性または微々たる効果を示す問題点がある。
【0003】
一例として、皮膚シワ改善及び弾力改善化粧料としてレチノイド、アデノシン、動物胎盤由来タンパク質、及びクロレラ抽出物などが知られている。最も広く知られたレチノールは、皮膚適用時に刺激などの安全性の問題により使用量に制限があり、クロレラ抽出物などは効果が微小で実質的に皮膚弾力の増進及びシワ改善の効果を期待し難い。
【0004】
一方、炎症は、細胞や組織がいかなる原因により損傷を受けると、その反応を最小化し、損傷した部位を原状に回復させようとする一連の防御目的で現れることであり、神経及び血管、リンパ管、体液反応、細胞反応を起こして結果的に、痛み、浮腫、発赤、発熱などを起こして機能障害を誘発することである。炎症を誘発する原因として外傷、凍傷、火傷、放射能などによる物理的要因と酸(acid)のような化学物質による化学的要因及び抗体反応による免疫学的要因があり、その他に血管やホルモン不均衡によっても発生する。外部刺激で損傷した細胞が分泌した種々の化学媒介物質により血管拡張が起き、透過性が高くなることにより、抗体、補体、血漿(plasma)、食菌細胞が炎症部位に集まる。このような現象が紅斑の原因となる。
【0005】
炎症を消失させるために、炎症原因の除去、生体反応及び症状を減少させる作用をするものを抗炎症剤という。現在まで抗炎の目的で用いられている物質としては、非ステロイド系としてフルフェナム酸(flufenamic acid)、イブプロフェン(ibuprofen)、ベンジダミン(benzydamine)、インドメタシン(indomethacin)などがあり、ステロイド系統としてプレドニゾロン(prednisolone)、デキサメタゾン(dexamethasone)などがあるが、皮膚に対する安全性の面や化粧料含有時の安定性の面においてほとんど問題点を抱えており、その使用が制限されている。
【0006】
一般に、皮膚に用いられる保湿用化粧料組成物は、ヒトの毛髪や皮膚などに水分を一定量維持することにより、柔らかく、生き生きと見えるようにし、割れ、乾燥などの損傷を防止する機能をする。即ち、皮膚保湿用化粧料組成物は、皮膚や毛髪に一定量以上の水分を供給したり水分が維持されるようにして皮膚や毛髪を美化し、元気に維持させるための目的で用いられる。
【0007】
したがって、最近は、皮膚の鎮静、再生、保湿、抗酸化または抗炎症効果に優れ、皮膚状態(シワ、弾力など)を改善したり皮膚老化または皮膚損傷を防止する面で優れた効果を有する化粧料組成物に関する研究が多く進行している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
Maibach.H.I.,Contact Dermatitis、6.369-404,1980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、天然資源から、より安全で皮膚改善効果に優れた原料に関する研究を行い、新規な菌株が皮膚改善の効果があり、従来の酵母、ラクトバチルス、バチルス発酵物に比べて皮膚改善効果が顕著に優れることを確認することにより本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの目的は、寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides)及び寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)からなる群から選択される菌株を提供することにある。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用化粧料組成物を提供することにある。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用医薬部外品組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用食品組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides)及び寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)からなる群から選択される菌株で発酵する段階を含む、発酵物製造方法を提供することにある。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ菌株を培養する段階;及び菌株の培養物または発酵物から水、C1~C4のアルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルムまたはジクロロメタンに分離する段階を含む、分画物の製造方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明のサッカロマイセス・セレビシエ、ラクトバチルス・フルクチボランス、バチルス・パラミコイデスまたはバチルス・メガテリウム菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、上記菌株の発酵物または上記培養物または発酵物の分画物は、優れた皮膚改善効果があるため、皮膚改善用化粧料組成物、医薬部外品組成物及び食品組成物としての活用度が高い。したがって、化粧品、医薬部外品、食品などの多様な産業的活用を期待することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明内容について具体的に説明すると、次の通りである。一方、本発明で開示した一様態の説明及び実施形態は、共通した事項について異なる様態の説明及び実施形態にも適用できる。また、本発明で開示された多様な要素のすべての組合せが本発明の範疇に属する。併せて、下記の具体的な記述により本発明の範疇が制限されるとは見られない。
【0018】
本発明の一様態は、寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランス、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデス及び寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウムからなる群から選択される菌株を提供する。
【0019】
本発明の用語、「サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)」は、SaccharomycetaceaeとSaccharomyces属に属する酵母の一種を意味する。この種は、古代からワイン醸造、製パン、及び醸造に重要な役割をして広く用いられてきた。サッカロマイセス・セレビシエは、生長地域及び自然環境の条件により特性が変わり、菌株及びその発酵物の活性が変わり、本発明のサッカロマイセス・セレビシエは発酵液由来であってもよいが、これに制限されない。具体的には、本発明においてサッカロマイセス・セレビシエ菌株は、KCTC14779BPまたはKCTC14780BPで寄託された菌株であってもよいが、これに制限されない。
【0020】
本発明の用語、「ラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)」は、陽性バクテリアであり、Fructilactobacillus属に属するラクトバチルス(乳酸菌)の一種を意味する。この種は、ワイン、ビール、ブドウマスト、乳製品、塩漬けキャベツ、肉類及び魚類で発見される。ラクトバチルス・フルクチボランスは、生長地域及び自然環境の条件により特性が変わり、菌株及びその発酵物の活性が変わり、本発明のラクトバチルス・フルクチボランスは発酵液由来であってもよいが、これに制限されない。具体的には、本発明においてラクトバチルス・フルクチボランス菌株はKCTC14776BPで寄託された菌株であってもよいが、これに制限されない。
【0021】
本発明の用語、「バチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides)」は厚壁菌(firmicutes)に属し、バチルス種を意味する。バチルス・パラミコイデスは、生長地域及び自然環境の条件により特性が変わり、菌株及びその発酵物活性が変わり、本発明のバチルス・パラミコイデスは発酵液由来であってもよいが、これに制限されない。具体的には、本発明においてバチルス・パラミコイデス菌株はKCTC14777BPで寄託された菌株であってもよいが、これに制限されない。
【0022】
本発明の用語、「バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium、枯草菌、Priestia megaterium)」は、棒状のグラム陽性であり、主に多様な棲息地で発見される好気性胞子形成バクテリアである。BacillusとPriestia属に属するバチルスの一種を意味する。家禽類、家畜、水生動物、反すう動物などの飼料添加剤に広く用いられる。バチルス・メガテリウムは生長地域及び自然環境の条件により特性が変わり、菌株及びその発酵物活性が変わり、本発明のバチルス・メガテリウムは発酵液由来であってもよいが、これに制限されない。具体的には、本発明においてバチルス・メガテリウム菌株はKCTC14778BPで寄託された菌株であってもよいが、これに制限されない。
【0023】
本発明において発酵液は6ヶ月~2年、具体的には9ヶ月~1年6ヶ月、さらに具体的には1年間発酵させて製造することができ、上記発酵液は、植物発酵液であってもよいが、これに制限されない。
【0024】
本発明の一具現例では発酵液を製造し、一般の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエ、一般のラクトバチルスであるラクトバチルス・フルクチボランス、一般のバチルスであるバチルス・パラミコイデスまたはバチルス・メガテリウム発酵物に比べて本発明のサッカロマイセス・セレビシエ、ラクトバチルス・フルクチボランス、バチルス・パラミコイデスまたはバチルス・メガテリウム発酵物が皮膚改善の効果に優れることを確認した。
【0025】
本発明のもう一つの形態は、上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用化粧料組成物を提供する。
【0026】
本発明の用語、「菌株(strain)」は、一個の細胞に由来した、無性生殖を通じて増殖し、同質の遺伝的特徴を有する個体の集合を意味し、一つの種(species)の中には遺伝的特徴が互いに異なる複数の菌株(genetic variants)が存在する。本発明において菌株は、サッカロマイセス・セレビシエ、ラクトバチルス・フルクチボランス、バチルス・パラミコイデスまたはバチルス・メガテリウムを意味し、具体的には、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP及びバチルス・メガテリウムKCTC14778BPからなる群から選択される一つ以上の菌株であってもよいが、これに制限されない。
【0027】
本発明において、上記菌株は、サッカロマイセス・セレビシエ、ラクトバチルス・フルクチボランス、バチルス・パラミコイデスまたはバチルス・メガテリウム菌株の菌体、乾燥された菌体、破砕物などを含むことができる。そのとき、上記乾燥された菌体は、噴霧乾燥菌、凍結乾燥菌、真空乾燥菌、ドラム乾燥菌などの乾燥菌であってもよく、上記破砕物は、菌株自体を化学的または物理的な力により菌株の細胞壁を破砕して得た産物であってもよい。
【0028】
本発明の「培養物」は、上記菌株を培地で培養して得られた産物を意味する。その例として、本発明の培養物は、サッカロマイセス・セレビシエ、ラクトバチルス・フルクチボランス、バチルス・パラミコイデス及びバチルス・メガテリウムからなる群から選択される一つ以上の菌株の培養培地で上記菌株を得た後、残った培地に残存した成分を含んだり、菌株を含む培養培地の成分を含むことができる。
【0029】
上記培養物は、上記サッカロマイセス・セレビシエ、ラクトバチルス・フルクチボランス、バチルス・パラミコイデス及び/又はバチルス・メガテリウム菌株の全体培養物、培養上澄液、破砕物、これらの分画物などであってもよい。この時、上記培養上澄液は、上記菌株の培養物を遠心分離して得ることができ、上記破砕物は、上記菌株を物理的に、または超音波処理して得ることができ、上記分画物は、上記培養物、培養上澄液、破砕物などを遠心分離、クロマトグラフィーなどの方法に適用して得ることができる。
【0030】
本発明の菌株の培養に用いられる培地及びその他の培養条件は、通常のサッカロマイセス属、ラクトバチルス属及び/又はバチルス属微生物の培養に用いられる培地であれば、特別な制限なくいずれも用いられ、具体的には、本発明の菌株を適当な炭素源、窒素源、リン源、無機化合物、アミノ酸及び/又はビタミンなどを含有した通常の培地内で好気性または嫌気性の条件下で温度、pHなどを調節しながら培養することができる。
【0031】
本発明において上記炭素源としては、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトースなどのような炭水化物;マンニトール、ソルビトールなどのような糖アルコール、ピルビン酸、乳酸、クエン酸などのような有機酸;グルタメート、メチオニン、リシンなどのようなアミノ酸などが含まれてもよいが、これに制限されない。また、澱粉加水分解物、糖蜜、ブラックストラップ糖蜜、米ぬか、キャッサバ、バガス及びトウモロコシ浸漬液のような天然の有機栄養源を使用することができ、グルコース及び殺菌された前処理糖蜜(即ち、還元糖に転換された糖蜜)などのような炭水化物が用いられ、その他の適正量の炭素源を制限なく多様に利用することができる。これら炭素源は、単独で用いられたり、2種以上を組合せて用いられる。
【0032】
上記窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのような無機窒素源;アミノ酸、ペプトン、NZ-アミン、肉類抽出物、酵母抽出物、麦芽抽出物、トウモロコシ浸漬液、カゼイン加水分解物、魚類またはその分解生成物、脱脂大豆ケーキまたはその分解生成物などのような有機窒素源が用いられる。これら窒素源は、単独で用いられたり2種以上を組合せて用いられるが、これに制限されない。
【0033】
上記リン源としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、またはこれに対応するナトリウム含有塩などが含まれ得る。無機化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化鉄、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、硫酸マンガン、炭酸カルシウムなどが用いられる。
【0034】
その他に、上記培地にはアミノ酸、ビタミン及び/又は適切な前駆体などが含まれてもよい。具体的には、上記菌株の培養培地にはL-アミノ酸などが添加されてもよい。具体的には、グリシン(glycine)、グルタメート(glutamate)、及び/又はシステイン(cysteine)などが添加されてもよく、必要によってはリシン(lysine)などのL-アミノ酸がさらに添加されてもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0035】
上記培地または前駆体は、培養物に回分式または連続式で添加されてもよく、これに制限されない。
【0036】
本発明において、菌株の培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸、硫酸などのような化合物を培養物に適切な方式で添加し、培養物のpHを調整することができる。また、培養中には脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を用いて気泡の生成を抑制することができる。また、培養物の好気状態を維持するために、培養物内に酸素または酸素含有気体を注入したり嫌気及び微好気状態を維持するために気体の注入なしに、あるいは窒素、水素または二酸化炭素ガスを注入することができる。
【0037】
培養水の温度は25℃~40℃であってもよく、より具体的には、28℃~37℃であってもよいが、これに制限されない。培養の期間は、希望する有用物質の生成量が得られるまで続けることができ、具体的には、1時間~200時間であってもよいが、これに制限されない。
【0038】
本発明において用語、「発酵」とは、微生物が自分が有している酵素を利用して有機物を分解させる過程中、腐敗反応でないことを意味する。発酵反応と腐敗反応は、類似した過程により進行するが、分解の結果、有用な物質が作られれば発酵といい、悪臭が出たり有害な物質が作られれば腐敗という。
【0039】
本発明において、上記菌株から発酵物を得る方法は、特に制限されず、菌株を培地に接種し、20℃~40℃で1時間~200時間振盪培養後、遠心分離を通じて菌体を分離した後、超音波処理して菌体を破砕する方法で発酵物を得ることができる。または、当該技術分野または類似分野において通常用いる方法により得ることができる。
【0040】
本発明において菌株を接種した培地は、菌株が発酵を進行できれば、培地の種類は制限されない。
【0041】
本発明において、上記菌株から得られた発酵物は、発酵された物質自体だけでなく、菌株及び培養物が共存する菌株の培養培地、上記培養培地から菌株を濾過させた発酵物、上記培養培地から菌株を滅菌処理し、これを濾過させた発酵物、上記発酵物またはこれを含む培養培地を抽出した抽出物、上記発酵物またはその抽出物を希釈させた希釈液、上記発酵物またはその抽出物を乾燥させた乾燥物、上記菌株の菌体を捕集して破砕させた溶解物など、上記菌株から発生した発酵物を含むあらゆる種類の物質を含む。
【0042】
本発明の用語、「分画物」は、多様な構成成分を含む混合物から特定成分または特定グループを分離する分画方法により得られた結果を意味する。
【0043】
本発明において上記分画物を得る分画方法は、特に制限されず、当該技術分野において通常用いる方法により行われ得る。上記分画方法の非制限的な例としては、菌株の培養物または発酵物を抽出して得た抽出物に所定の溶媒を処理して上記抽出物から分画物を得る方法が挙げられる。
【0044】
本発明において上記分画物を得るのに用いられる溶媒の種類は、特に制限されず、当該技術分野において公知となった任意の溶媒を用いることができる。上記分画溶媒の非制限的な例としては、水、アルコールなどの極性溶媒;ヘキサン(Hexane)、エチルアセテート(Ethyl acetate)、クロロホルム(Chloroform)、ジクロロメタン(Dichloromethane)などの非極性溶媒などが挙げられる。これらは、単独で用いられたり2種以上混合して用いられる。上記分画溶媒中、アルコールを用いる場合には、好ましくは、C1~C4のアルコールを用いることができる。
【0045】
本発明において分画物は、菌株の培養物または発酵物から抽出したポリペプチドを含むことができる。
【0046】
本発明においてペプチドは、アミノ酸単位体が人工的にあるいは自然発生的に連結された重合体を意味し、アミノ酸が2個以上結合された物質であり、アミノ酸の数によりトリペプチド、オリゴペプチドまたはポリペプチドという。具体的には、本発明においてポリペプチド(polypeptide)は、100個以上のアミノ酸を含むことを意味することができるが、これに制限されない。
【0047】
本発明において「菌株の培養物または発酵物から抽出したポリペプチド」とは、菌株から培養物または発酵物を得た後、培養物または発酵物内の機能性を有する一定の大きさ以上のペプチド集合体またはポリペプチドを分離したことを意味する。本発明において「菌株の培養物または発酵物から抽出したポリペプチド」は「酵母ポリペプチド」または「分画物」の用語と混用する。
【0048】
本発明において、発酵物から分画物を分離する方法は、特に制限されないが、菌株を発酵して得られた菌体を利用して破砕させた溶解物から濃縮、沈殿(溶媒、遠心分離工程)を通じて上澄液のみを濾過した後、噴霧乾燥させて分画物を得ることができる。
【0049】
本発明の用語、「皮膚改善」は、皮膚保湿、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、外部刺激から皮膚保護、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和、皮膚バリア機能強化及び皮膚刺激緩和からなる群から選択されたいずれか一つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0050】
本発明の用語、「改善」とは、状態の緩和または治療に関連したパラメーター、例えば、症状の程度を少なくとも減少させるあらゆる行為を意味し、皮膚保湿、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善及び皮膚美白、抗酸化、抗老化、外部刺激から皮膚保護、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和、皮膚バリア機能強化、皮膚刺激緩和及び皮膚の痛みの緩和のいずれか一つ以上をすべて含むことができる。
【0051】
上記皮膚改善は、ヒアルロン酸生成促進、コラーゲン合成の促進、細胞活性増進、NO生成抑制、メラニン発現阻害、フリーラジカル消去、PGE2(Prostaglandin E2)発現抑制、LOR(Loricrin)発現増加、TNF-a発現抑制またはTRPV1活性抑制効果を通じて行われることであってもよいが、これに制限されない。
【0052】
具体的には、本発明者らは、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BPの発酵物、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPの発酵物及び/又は酵母ポリペプチド、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BPの発酵物、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BPの発酵物、バチルス・メガテリウムKCTC14778BPの発酵物が一般酵母、一般ラクトバチルス、一般バチルスの発酵物に比べて皮膚改善効果に優れることを確認した。さらに具体的には、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BPの発酵物、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPの発酵物及び/又は酵母ポリペプチド、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BPの発酵物、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BPの発酵物またはバチルス・メガテリウムKCTC14778BPの発酵物は、コラーゲン合成増進、ヒアルロン酸合成増進、細胞活性増進、NO生成抑制、メラニン発現阻害、フリーラジカル消去、PGE2発現抑制、LOR発現増加、TNF-a発現抑制またはTRPV1活性抑制効果などに優れることを確認した。
【0053】
したがって、本発明のサッカロマイセス・セレビシエ、ラクトバチルス・フルクチボランス、バチルス・パラミコイデス、バチルス・メガテリウム、その発酵物及び/又は発酵物の分画物は一般酵母、一般ラクトバチルス、一般バチルスまたはその発酵物に比べてシワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚保湿、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、外部刺激から皮膚保護、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和、皮膚バリア機能強化、皮膚刺激緩和及び皮膚の痛みの緩和などの皮膚改善効果に優れることを確認した。
【0054】
本発明の用語、「シワ」は、大きく顔表情をつくるのに使われる表情筋による表情シワと全体的あるいは局所的に皮膚が衰えて生じる小ジワに区分することができる。具体的には、シワは、遺伝子による原因、皮膚真皮に存在するコラーゲンと弾力繊維の減少、外部環境などにより引き起こされる。本発明の目的上、シワは、表情シワまたは小ジワをすべて含む意味で用いられ、これに制限されない。
【0055】
本発明の用語「弾力」は、皮膚を指で押したときに張りを保つ力であり、「弾力改善」または「弾力増進」とは、個体の皮下脂肪層構造を強化させて皮膚の弾力を高めることを意味し、本発明の組成物を利用して皮膚の弾力を高めることを意味し得る。
【0056】
本発明の用語「老化」は、経時により生体構造と機能が衰退する現象を意味し、本発明の老化防止は、老化を予防、抑制、遅延させるなど、老化が改善されれば、その程度などに制限されない。本発明においてシワ改善及び老化防止は、コラーゲン合成の促進によることであってもよいが、これに制限されない。
【0057】
本発明の用語「コラーゲン(Collagen)」は、多くの動物、特に、哺乳動物で多く発見される繊維タンパク質であり、皮膚と軟骨など体内のすべての結合組織の大部分を占めており、体内で最も一般的な細胞である線維芽細胞(fibroblasts)がコラーゲンを生成分泌する。料理、あるいは食品と医薬産業で広く利用されるゼラチンは、コラーゲンを非可逆的に加水分解したものである。コラーゲンの減少はシワを誘発し、皮膚の弾力を減少させる主な原因であるため、コラーゲンの合成は、シワ改善及び弾力増進のために必須である。
【0058】
本発明の一具現例では、本発明の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP発酵物、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び/又は酵母ポリペプチド、ラクトバチルスであるラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物またはバチルスであるバチルス・パラミコイデスKCTC14777BP発酵物のコラーゲン合成増進率に優れることを確認し、これを通じて本発明の酵母発酵物、酵母ポリペプチド、ラクトバチルス発酵物またはバチルス発酵物は皮膚シワ改善、弾力増進などに著しい効果を確認した(表3、4、5、6)。
【0059】
本発明の用語「皮膚保湿」は、皮膚に水分を供給したり水分の蒸発を遮断して皮膚の柔軟性を維持し、均一な角質の脱落を誘導し、なめらかな表面を維持させるすべての作用を意味し、「乾燥」とは、このような皮膚保湿が充分でない状態を意味する。皮膚保湿效果は、皮膚のシワ改善、弾力度の増加に役立つ。具体的には、皮膚保湿は、ヒアルロン酸の生成促進によることであってもよいが、これに制限されない。
【0060】
本発明の用語「ヒアルロン酸」は、グリコサミノグリカン(glycosaminoglycans)の一種であり、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミン残基が繰り返し連結されている鎖状の高分子多糖類物質を意味する。ヒアルロン酸は、自重の300~1000倍に該当する水を含有することができ、水分と結合して皮膚に保湿効果を示す。
【0061】
本発明の一具現例では、本発明の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP発酵物、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物、ラクトバチルスであるラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルスであるバチルス・パラミコイデスKCTC14777BP発酵物またはバチルス・メガテリウムKCTC14778BP発酵物のヒアルロン酸合成増進率に優れることを確認し、これを通じて本発明の酵母発酵物、酵母ポリペプチドまたはバチルス発酵物は、老化防止、皮膚保湿などに著しい効果があることを確認した(表7、8、9、10、11)。
【0062】
本発明の用語「再生」は、細胞、組織、器官の機能低下を抑制したり低下された機能を回復することを意味する。細胞、組織、器官の機能低下は、細胞、組織、器官の損傷によるものであってもよい。このような損傷は、放射線治療、薬物治療、手術、感染、炎症、退行性疾患、自己免疫疾患、老化など、多様な要因により発生し得る。一方、上記再生は、細胞分化促進により達成されるが、これに制限されない。本発明における「皮膚再生」は、皮膚組織の損傷した部位を再復元させることを意味する。本発明において皮膚再生は細胞活性増進によるものであってもよいが、これに制限されない。
【0063】
本発明の一具現例では、一般の酵母発酵物で細胞活性に影響がなかった一方、本発明の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物発酵物及び/又は酵母ポリペプチドでは細胞活性率が顕著に高いことを確認した(表12)。
【0064】
本発明の用語「皮膚の鎮静」は、紅斑、かゆみ、刺激を受けた皮膚または敏感な部位などを緩和させ、鎮静化することを意味し、皮膚刺激の緩和を含む概念であってもよい。例えば、皮膚のかゆみ症の緩和、皮膚の痛みの緩和、皮膚の水分損失の減少及び/又は赤みの減少が挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0065】
本発明の用語、「炎症」は、特定組織の損傷または感染に対する一種の生体内反応であり、主なメディエーターは、免疫細胞である。このような炎症の目的は、組織の損傷を最大限に抑制し、感染体を除去し、組織再生を目的としている。本発明において、皮膚の鎮静及び再生は、NO生成抑制によるものであってもよいが、これに制限されない。
【0066】
本発明の用語「NO(nitric oxide、亜硝酸)」は、細菌と腫瘍を除去し、血圧を調節したり神経伝達を媒介するなど多様な役割をするが、炎症反応が起きると、関連細胞でiNOS(誘導性一酸化窒素合成酵素)の発現が増加し、多量のNOが生成され、過度に生成されたNOは、組織の損傷、遺伝子変異、神経損傷などを誘発し、血管透過性を増加させて浮腫などの炎症反応を促進させる。炎症が引き起こされた細胞でNO生成が増加する一方、皮膚が鎮静されると、NO生成が抑制されるところ、これらは必須の相関関係が存在する。
【0067】
本発明の一具現例では、NO生成抑制能も、本発明の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び/又は酵母ポリペプチドまたはラクトバチルスであるラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物で一般酵母またはラクトバチルス発酵物に比べて優れることを確認し、これを通じて本発明の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び/又は酵母ポリペプチドまたはラクトバチルスであるラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物は、皮膚の鎮静及び炎症改善効果を確認した(表13、14)。
【0068】
本発明において用語「美白」は、メラニンなどの色素の過多により明度が減少した皮膚の明度を増加させたりまたは皮膚の明度を一定レベルに維持する方法、上記方法で形成された明度が増加した皮膚などを包括する意味であり、具体的には、皮膚美白を意味し得る。上記「皮膚美白」は、チロシナーゼ活性が阻害されることによりメラニンの生成が阻害され、メラニンの増加から始まる症状、例えば、シミ、ソバカス改善として理解される。
【0069】
本発明の一具現例では、本発明の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び/又は酵母ポリペプチド処理時にメラニン生成抑制率に優れることにより、皮膚美白効果を確認した(表15)。
【0070】
本発明において用語「抗酸化」は、酸化を抑制するすべての作用を含むことを意味し、具体的には、活性酸素種などのフリーラジカルを除去する作用を意味し得るが、これに制限されるものではない。活性酸素は、体内で細胞を酸化させて破壊させ、それにより各種疾患に露出する。また、皮膚には複雑な抗酸化防御網が発達し、活性酸素種に対抗して保護作用をするため、抗酸化は「外部刺激から皮膚保護」効果と関連付けることができる。
【0071】
本発明の用語「抗老化(anti-aging)」は、老化が進行することを抑制または緩和することを意味する。細胞の老化は、即ち、細胞の酸化を意味することであり、活性酸素を適切に維持することが細胞の酸化、細胞の老化を防ぐのに主要な原理として扱われる。
【0072】
本発明の一具現例では、本発明の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び/又は酵母ポリペプチド処理時にフリーラジカル(活性酸素)消去効果に優れることにより、抗酸化、抗老化及び外部刺激から皮膚保護効果を確認した(表16)。
【0073】
本発明の用語「敏感肌」とは、外部の刺激物質、アレルギー物質、あるいは環境変化や人体内部の原因に対して正常な皮膚よりさらに敏感に反応し、刺激反応や皮膚炎を起こしやすい皮膚を意味する。化粧品などの外部刺激とホルモン変化などの身体内部の原因により紅斑(発赤)、角質、水疱など多様な皮膚反応とかゆみ、ヒリヒリ感、刺激、痛み、ほてり感など主観的症状を訴えることをいう。
【0074】
本発明の一具現例では、本発明の酵母であるサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び/又は酵母ポリペプチド処理時に紅斑/かゆみ誘発因子(PGE2)発現抑制、皮膚バリアの主な成分であるLOR(Loricrin)発現増加、炎症性サイトカイン(TNF-a)発現抑制及び皮膚神経性刺激誘発因子(TRPV1)活性抑制効果に優れることにより、敏感肌に現れる代表的な現象である紅斑/かゆみ、刺激/痛みを緩和し、皮膚バリアを強化することにより、敏感肌の鎮静及び/又は改善効果があることを確認した(表17、18、19、20)。
【0075】
本発明の用語「化粧料組成物」は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、香水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ及びスプレーで構成される群から選択される剤形であってもよいが、これに制限されない。
【0076】
本発明の化粧料組成物は、一般の皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容可能な担体を1種以上さらに含むことができ、通常の成分として、例えば、油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを適切に配合することができるが、これに制限されない。
【0077】
本発明の化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容可能な担体は、上記化粧料組成物の剤形に応じて多様である。
【0078】
本発明の化粧料剤形が軟膏、ペースト、クリーム、またはゲルである場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などが用いられるが、これに制限されない。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
【0079】
本発明の剤形が溶液または乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、可溶化剤または乳化剤などが用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカルボナート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイルなどが用いられ、特に、綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚芽油、オリーブオイル、ヒマシ油及びゴマ油、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが用いられるが、これに制限されない。これらは単独で使用しても2種以上使用してもよい。
【0080】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリールアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラガカントなどが用いられるが、これに制限されない。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
【0081】
本発明の剤形が石鹸である場合には、担体成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオネート、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセロール、糖などが用いられるが、これに制限されるものではない。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
【0082】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、ケイ酸カルシウム、ポリアミドパウダーまたはこれらの混合物が用いられ、特に、スプレーである場合には追加的にクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤を含むことができる。
【0083】
本発明の具体的な一実施様態において、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用化粧料組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0084】
本発明の具体的な一実施様態において、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPを含む、皮膚の鎮静用、皮膚再生用、皮膚炎症改善用、皮膚保湿用、シワ改善用、弾力改善用、皮膚美白用、抗酸化用、抗老化用、敏感性肌の鎮静用、敏感肌改善用、紅斑緩和用、かゆみ症の緩和用または皮膚バリア機能強化用化粧料組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0085】
本発明の具体的な一実施様態において、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用、皮膚の鎮静用、皮膚炎症改善用または皮膚保湿用化粧料組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0086】
本発明の具体的な一実施様態において、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用化粧料組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0087】
本発明の具体的な一実施様態において、バチルス・メガテリウムKCTC14778BPを含む、皮膚保湿用化粧料組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0088】
一方、本発明に記載されたすべての成分が、好ましくは、化粧品安全基準などに関する規定及び中国の「化粧品安全・技術規範」で規定した最大使用値を超過しない範囲内で本発明の組成物に含まれ得る。
【0089】
本発明のもう一つの形態は、上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用医薬部外品組成物を提供する。
【0090】
上記「サッカロマイセス・セレビシエ」、「ラクトバチルス・フルクチボランス」、「バチルス・パラミコイデス」、「バチルス・メガテリウム」、「菌株」、「培養物」、「発酵物」、「分画物」、「酵母ポリペプチド」、「皮膚改善」、「改善」、「シワ」、「弾力」、「コラーゲン」、「老化」、「皮膚保湿」、「ヒアルロン酸」、「再生」、「皮膚の鎮静」、「炎症」及び「NO」、「美白」、「抗酸化」、「外部刺激から皮膚保護」、「抗老化」及び「敏感肌」は、前述した通りである。
【0091】
本発明の用語「医薬部外品」は、ボディクレンザー、手指消毒剤、洗浄剤、キッチン用洗浄剤、清掃用洗浄剤、歯磨き粉、うがい剤、ウェットティッシュ、洗剤、石鹸、ハンドウォッシュ、ヘア洗浄剤、ヘア柔軟剤、加湿器充填剤、マスク、軟膏剤、及びフィルター充填剤からなる群から選択されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0092】
本発明の医薬部外品組成物には、上記成分以外に必要に応じて薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含むことができる。上記薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤は、本発明の効果を損なわない限り制限されず、例えば、充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤、潤滑剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含むことができる。
【0093】
本発明の薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤の代表的な例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、澱粉、ゼラチン、グリセリン、アカシアゴム、アルギネート、カルシウムホスフェート、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、マグネシウムステアレート、鉱物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物性油、注射可能なエステル、ウィテプゾール、マクロゴール、ツイン61、カカオ脂、ラウリン脂などが挙げられる。
【0094】
本発明の菌株の培養物、その発酵物または上記培養物または発酵物の分画物を医薬部外品として用いる場合、さらに同一または類似の機能を示す有効成分を1種以上含有することができる。例えば、公知の皮膚有益菌増進、皮膚有害菌抑制、皮膚の鎮静、皮膚炎症改善、皮膚美白、皮膚再生、傷の治癒成分を含むことができる。追加的なシワ改善、皮膚美白、皮膚トラブル改善、皮膚保湿成分を含むことになると、本発明の組成物のシワ改善、弾力改善、皮膚保湿、老化防止、皮膚の鎮静、皮膚再生及び皮膚炎症改善効果は、さらに増加されるものである。上記成分の追加時には、複合使用による皮膚安全性、剤形化の容易性、有効成分の安定性を考慮することができる。
【0095】
本発明の医薬部外品組成物は、当業界に公知となった皮膚老化防止または保湿成分として、レチノイン酸、TGF、動物胎盤由来のタンパク質、ベツリン酸及びクロレラ抽出物;当業界に公知となった抗炎症成分として、非ステロイド系としてフルフェナム酸、イブプロフェン、ベンジダミン、インドメタシン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、アラントイン、アズレン、ヒドロコルチゾン;及びこれらの誘導体と各種植物抽出物で構成される群から選択される1種または2種以上の成分をさらに含むことができる。追加の成分は、全体組成物の重量に対して0.0001重量%~10重量%で含まれてもよく、上記含有量の範囲は、皮膚安全性、本発明の菌株、菌株の培養物、発酵物または上記菌株の発酵物から抽出した分画物の剤形化時の容易性などの要件に応じて調節できるものである。
【0096】
医薬部外品の製剤化方法、用量、利用方法、構成成分などは技術分野に公知となった通常の技術から適切に選択することができる。
【0097】
本発明の具体的な一実施様態において、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用医薬部外品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0098】
本発明の具体的な一実施様態において、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPを含む、皮膚の鎮静用、皮膚再生用、皮膚炎症改善用、皮膚保湿用、シワ改善用、弾力改善用、皮膚美白用、抗酸化用、抗老化用、敏感性肌の鎮静用、敏感肌改善用、紅斑緩和用、かゆみ症の緩和用または皮膚バリア機能強化用医薬部外品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0099】
本発明の具体的な一実施様態において、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用、皮膚の鎮静用、皮膚炎症改善用または皮膚保湿用医薬部外品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0100】
本発明の具体的な一実施様態において、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用医薬部外品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0101】
本発明の具体的な一実施様態において、バチルス・メガテリウムKCTC14778BPを含む、皮膚保湿用医薬部外品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0102】
本発明のもう一つの形態は、上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用食品組成物を提供する。
【0103】
上記「サッカロマイセス・セレビシエ」、「ラクトバチルス・フルクチボランス」、「バチルス・パラミコイデス」、「バチルス・メガテリウム」、「菌株」、「培養物」、「発酵物」、「分画物」、「酵母ポリペプチド」、「皮膚改善」、「改善」、「シワ」、「弾力」、「コラーゲン」、「老化」、「皮膚保湿」、「ヒアルロン酸」、「再生」、「皮膚の鎮静」、「炎症」、「NO」、「美白」、「抗酸化」、「外部刺激から皮膚保護」、「抗老化」及び「敏感肌」は、前述した通りである。
【0104】
発明の用語「食品」は、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合体、健康機能食品などの通常の意味の食品を全部含み、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP及びバチルス・メガテリウムKCTC14778BPからなる群から選択される一つ以上の菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物及び上記培養物または発酵物の分画物を含む限り、これに制限されない。また、本発明による上記菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物及び上記培養物または発酵物の分画物を主成分にして製造した汁、茶、ゼリー及びジュースなどに添加して製造することができ、丸剤、粉末、顆粒、錠剤、カプセルまたは液剤などの形態を含むことができる。
【0105】
上記健康機能(性)食品(functional food)とは、特定保健用食品(food for special health use,FoSHU)と同様な用語であり、栄養供給以外にも生体調節機能が効率的に現れるように加工された医学、医療効果の高い食品を意味する。ここで、「機能(性)」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。本発明の食品は、当業界において通常用いられる方法により製造可能であり、上記製造時には当業界において通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、上記食品の剤形も、食品と認められる剤形であれば、制限なく製造することができる。本発明の食品用組成物は、多様な形態の剤形に製造することができ、一般薬品とは異なって食品を原料にして薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがない長所があり、携帯性に優れ、本発明の食品は、免疫増進効果を増進させるための補助剤として摂取が可能である。
【0106】
上記健康食品(health food)は、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品(health supplement food)は、健康補助目的の食品を意味する。場合によっては、健康機能食品、健康食品、健康補助食品の用語は混用される。
【0107】
具体的には、上記健康機能食品は、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP及びバチルス・メガテリウムKCTC14778BPからなる群から選択される一つ以上の菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を飲料、茶類、香辛料、ガム、菓子類などの食品素材に添加したり、カプセル化、粉末化、懸濁液などに製造した食品であり、これを摂取する場合、健康上の特定の効果をもたらすことを意味するが、一般薬品とは異なって食品を原料にして薬品の長期服用時に発生し得る副作用がない長所がある。
【0108】
上記組成物は、生理学的に許容可能な担体をさらに含むことができるが、担体の種類は、特に制限されず、当該技術分野において通常用いられる担体であれば、いずれも用いることができる。
【0109】
また、上記組成物は、食品組成物に通常使用され、匂い、味、視覚などを向上させる追加の成分を含むことができる。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含むことができる。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、クロム(Cr)などのミネラルを含むことができる。また、リシン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含むことができる。
【0110】
また、上記組成物は、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、殺菌剤(漂白粉と高度漂白粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニゾール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜硝酸ナトリウム、亜酢酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSGグルタミン酸ナトリウムなど)、甘味料(ズルチン、シクロメート、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、膨張剤(明礬、D-酒石酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、皮膜剤、ガム基剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を含むことができる。上記添加物は食品の種類に応じて選別され、適切な量で用いられる。
【0111】
上記サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BPまたはバチルス・メガテリウムKCTC14778BP菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上をそのまま添加したり他の食品または食品成分と共に用いられ、常法により適切に用いられる。有効成分の混合量はその使用目的(予防、健康または治療的処置)により適するように決定することができる。一般に、食品または飲料の製造時に本発明の食品組成物は、食品または飲料に対して50重量部以下、具体的には、20重量部以下の量で添加することができる。しかし、健康及び衛生を目的として長期間摂取する場合には、上記範囲以下の含有量を含むことができ、安全性の面で何の問題もないため、有効成分は、上記範囲以上の量でも用いられる。
【0112】
本発明の食品組成物の一例として健康飲料組成物として用いられ、この場合、通常の飲料のように種々の香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上述の天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド;マルトース、スクロースのようなジサッカライド;デキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド;キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールであってもよい。甘味剤は、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤;サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを用いてもよい。上記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100mL当たり一般に約0.01~0.04g、具体的には約0.02~0.03gである。
【0113】
上記以外に、健康飲料組成物は、種々の栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸、ペクチン酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコールまたは炭酸化剤などを含有することができる。その他天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料、または野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は、独立してまたは混合して用いることができる。このような添加剤の比率は、それほど重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.1重量部の範囲から選択されることが一般的である。
【0114】
具体的には、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BPまたはバチルス・メガテリウムKCTC14778BP菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を食品組成物の総重量に対して0.00001~100重量%で含むことができる。
【0115】
本発明の具体的な一実施様態において、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用食品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0116】
本発明の具体的な一実施様態において、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPを含む、皮膚の鎮静用、皮膚再生用、皮膚炎症改善用、皮膚保湿用、シワ改善用、弾力改善用、皮膚美白用、抗酸化用、抗老化用、敏感性肌の鎮静用、敏感肌改善用、紅斑緩和用、かゆみ症の緩和用または皮膚バリア機能強化用食品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0117】
本発明の具体的な一実施様態において、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用、皮膚の鎮静用、皮膚炎症改善用または皮膚保湿用食品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0118】
本発明の具体的な一実施様態において、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BPを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用食品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0119】
本発明の具体的な一実施様態において、バチルス・メガテリウムKCTC14778BPを含む、皮膚保湿用食品組成物を提供することができるが、これに制限されない。
【0120】
本発明のもう一つの様態は、寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides)及び寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)からなる群から選択される菌株で発酵する段階を含む、発酵物製造方法を提供することである。
【0121】
上記「サッカロマイセス・セレビシエ」、「ラクトバチルス・フルクチボランス」、「バチルス・パラミコイデス」、「バチルス・メガテリウム」、「菌株」及び「発酵物」は、前述した通りである。
【0122】
本発明において、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BPまたはバチルス・メガテリウムKCTC14778BPから20℃~40℃で1時間~200時間培地に入れて振盪培養した後、遠心分離を通じて菌体を分離した後、超音波を処理して菌体を破砕して発酵物を製造することができるが、これに制限されない。発明で用いた培地は、MRS培地、R2A培地またはLBS培地であってもよいが、菌株を培養または発酵を進行できれば、培地の種類は制限されない。
【0123】
本発明の他の様態は、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ菌株を培養する段階;及び菌株の培養物、または発酵物から水、C1~C4のアルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルムまたはジクロロメタンに分離する段階を含む、分画物の製造方法を提供する。
【0124】
上記「サッカロマイセス・セレビシエ」、「菌株」、「分画物」は、前述した通りである。
【0125】
本発明でもう一つの様態は、本発明の菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む化粧料組成物は皮膚改善用途を提供する。
【0126】
本発明でもう一つの様態は、本発明の菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む医薬部外品組成物は皮膚改善用途を提供する。
【0127】
本発明でもう一つの様態は、本発明の菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む食品組成物は皮膚改善用途を提供する。
【0128】
上記「菌株」、「培養物」、「発酵物」、「分画物」、「酵母ポリペプチド」、「皮膚改善」、「改善」は、前述した通りである。
【0129】
本発明でもう一つの様態は、本発明の菌株、上記菌株の培養物、上記菌株の発酵物、及び上記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を有効成分として含む組成物を個体に塗布または投与する段階を含む、皮膚改善方法を提供する。
【0130】
上記「菌株」、「培養物」、「発酵物」、「分画物」、「酵母ポリペプチド」、「皮膚改善」、「改善」は、前述した通りである。
【0131】
本発明の用語「個体」は、ヒトを含むすべての動物を意味し、上記動物はヒトだけでなく、これと類似の症状の治療を必要とする牛、馬、羊、豚、ヤギ、ラクダ、カモシカ、犬、猫などの哺乳動物であってもよいが、これに制限されない。
【0132】
本発明において、用語「塗布」は、任意の適切な方法で個体の皮膚に本発明による組成物を接触させるすべての方法を意味し、これを通じて当該組成物を皮膚の内部に吸収させることを目的とする。
【0133】
本発明の組成物を個体の皮膚に塗布する場合、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚保湿、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和及び皮膚バリア機能強化の効果を有することができ、個体に上記組成物を上記効果を示すのに有効な量で塗布または投与する段階を含むことができる。
【0134】
本発明において、用語「投与」とは、任意の適切な方法で個体に所定の物質を提供することを総称する意味であり、上記投与経路は、目的になる皮膚に到達できる限り、いかなる一般的な経路を通じて投与されてもよい。
【0135】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これら実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0136】
実施例1. 酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、KCTC14780BP)、ラクトバチルス(ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP)、バチルス(バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP、バチルス・メガテリウムKCTC14778BP)菌株の分離
1年間発酵した植物発酵液から新規な酵母であるサッカロマイセス・セレビシエCF2-0w-17、CF2-0w-22 (Saccharomyces cerevisiae CF2-0w-17,CF2-0w-22)、ラクトバチルスであるラクトバチルス・フルクチボランスCF2-2w-20(Lactobacillus fructivorans CF2-2w-20)、バチルスであるバチルス・パラミコイデスCF1-0w-14(Bacillus paramycoides CF1-0w-14)、バチルス・メガテリウムCF1-w2-30 (Bacillus megaterium CF1-w2-30)菌株を確保した。
【0137】
上記Saccharomyces cerevisiae CF2-0w-17、CF2-0w-22菌株は、それぞれブダペスト条約下の受託機関である韓国生命工学院生物資源センター(KCTC)に2021年11月16日付で寄託し、受託番号KCTC14779BP、KCTC14780BPの付与を受けた。上記菌株は、それぞれ配列番号1、2の18s rRNA塩基配列を有することが確認された。
【0138】
上記Lactobacillus fructivorans CF2-2w-20、Bacillus paramycoides CF1-0w-14、Bacillus megaterium CF1-w2-30菌株は、それぞれブダペスト条約下の受託機関である韓国生命工学院生物資源センター(KCTC)に2021年11月16日付で寄託し、受託番号KCTC14776BP、KCTC14777BP、KCTC14778BPの付与を受けた。上記菌株は、それぞれ配列番号3、4、5の16s rRNA塩基配列を有することが確認された。
【0139】
実施例2.酵母、ラクトバチルス、バチルス発酵物及び発酵物から抽出したポリペプチドの製造
実施例2-1.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、KCTC14780BP)発酵物の製造
サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、KCTC14780BP菌株をそれぞれ培地に接種して振盪培養した後、遠心分離を通じてそれぞれの菌体を分離した。菌体を精製水に懸濁させた後、超音波を処理して菌体を破砕し、最終的に、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BPまたはKCTC14780BP発酵物を製造した。具体的な条件及び構成は、下記表1に示した。
【0140】
【表1】
【0141】
実施例2-2.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)発酵物から抽出したポリペプチド及びこれを含む分画物の製造
サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP菌株を培地に接種して振盪培養した、そして、遠心分離を通じて菌体を分離した後、溶解物を得て濃縮した。その後、溶解物の2倍含有量のアルコールで懸濁させた後、遠心分離して溶解物から沈殿したPolypeptide fractionを分離して本発明の酵母、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPポリペプチドを含む分画物を製造した。
【0142】
実施例2-3.ラクトバチルス(ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP)、バチルス(バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP、バチルス・メガテリウムKCTC14778P)発酵物の製造
ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP、バチルス・メガテリウムKCTC14778P菌株をそれぞれ培地に接種して振盪培養した後、遠心分離を通じて菌体を分離した。菌体を精製水に懸濁させた後、超音波を処理して菌体を破砕し、最終的に、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP、バチルス・メガテリウムKCTC14778P発酵物を製造した。具体的な条件及び構成は、下記表2に示した。
【0143】
【表2】
【0144】
実施例3.酵母、ラクトバチルス、バチルス発酵物のコラーゲン合成増進効果の確認
実施例3-1. 酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP)発酵物のコラーゲン合成増進効果の確認
Human dermal fibroblastに試料を各濃度別に48時間処理した。procollagen typeΙC-peptide(PIP) EIA kit法を利用してコラーゲン合成率を測定した。試料のコラーゲン合成効能は、陰性対照群(serum 0%含有DMEM)と比較して計算して数値を測定した。
【0145】
サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP発酵物のコラーゲン合成増進効果を確認するために、一般細胞、一般細胞にTGF-β処理、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP酵母発酵物処理、一般酵母(Saccharomyces cerevisiae KCTC 7296)発酵物処理時のコラーゲン合成率を比較した(表3)。
【0146】
【表3】
【0147】
上記の表3の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP発酵物を処理時にコラーゲン合成率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般酵母発酵物と比較してサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0148】
実施例3-2.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物のコラーゲン合成増進効果の確認
コラーゲン合成増進効果の確認は、上記実施例3-1.と同様の方法で進め、一般細胞、一般細胞にTGF-β処理、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物、酵母ポリペプチドを含む分画物処理時のコラーゲン合成率を比較した(表4)。
【0149】
【表4】
【0150】
上記の表4の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物処理時にコラーゲン合成率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般酵母発酵物と比較し、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物のコラーゲン合成率がさらに優れていた。
【0151】
実施例3-3.ラクトバチルス(ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP)発酵物のコラーゲン合成増進効果の確認
コラーゲン合成増進効果の確認は、上記実施例3-1.と同様の方法で進め、一般細胞、一般細胞にTGF-β処理、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物処理、一般ラクトバチルス(Lactobacillus plantarum KCTC 3108)発酵物処理時のコラーゲン合成率を比較した(表5)。
【0152】
【表5】
【0153】
上記の表5の結果で示されるように、一般細胞にラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP)発酵物を処理時にコラーゲン合成率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般ラクトバチルス発酵物と比較し、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0154】
実施例3-4.バチルス(バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP)発酵物のコラーゲン合成増進効果の確認
コラーゲン合成増進効果の確認は、上記実施例3-1.と同様の方法で進め、一般細胞、一般細胞にTGF-β処理、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP発酵物処理、一般バチルス(Bacillus megaterium KCTC 3007)発酵物処理時のコラーゲン合成率を比較した(表6)。
【0155】
【表6】
【0156】
上記の表6の結果で示されるように、一般細胞にバチルス・パラミコイデスKCTC14777BP発酵物を処理時にコラーゲン合成率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般バチルス発酵物と比較し、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0157】
それにより、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP及び/又はバチルス・パラミコイデスKCTC14777BP発酵物は皮膚シワ改善、弾力増進などに優れた効果を示すことが分かった。
【0158】
実施例4.酵母、ラクトバチルス、バチルス発酵物のヒアルロン酸合成増進効果の確認
実施例4-1.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP)発酵物のヒアルロン酸合成増進効果の確認
Human keratinocyte HaCaTに試料を各濃度別に72時間処理した。R&D systems社のQuantikine ELISA Hyaluronanを利用してヒアルロン酸合成を対照群(serum 0%含有したDMEM処理)と比較して保湿能を数値化した(表7)。
【0159】
【表7】
【0160】
上記の表7の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP発酵物を処理時にヒアルロン酸合成率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般酵母発酵物と比較し、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0161】
実施例4-2.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)発酵物のヒアルロン酸合成増進効果の確認
ヒアルロン酸合成増進効果の確認は、上記実施例4-1.と同様の方法で進めた(表8)。
【0162】
【表8】
【0163】
上記の表8の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物を処理時にヒアルロン酸合成率が対照群に比べて増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般酵母発酵物と比較し、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物のヒアルロン酸合成率がさらに優れていた。
【0164】
実施例4-3.ラクトバチルス(ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP)発酵物のヒアルロン酸合成増進効果の確認
ヒアルロン酸合成増進効果の確認は、上記実施例4-1.と同様の方法で進めた(表9)。
【0165】
【表9】
【0166】
上記の表9の結果で示されるように、一般細胞にラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物を処理時にヒアルロン酸合成率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般ラクトバチルス発酵物と比較し、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0167】
実施例4-3.バチルス(バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP)発酵物のヒアルロン酸合成増進効果の確認
ヒアルロン酸合成増進効果の確認は、上記実施例4-1.と同様の方法で進めた(表10)。
【0168】
【表10】
【0169】
上記の表10の結果で示されるように、一般細胞にバチルス・パラミコイデスKCTC14777BP発酵物を処理時にヒアルロン酸合成率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般バチルス発酵物と比較し、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0170】
実施例4-4.バチルス(バチルス・メガテリウムKCTC14778BP)発酵物のヒアルロン酸合成増進効果の確認
ヒアルロン酸合成増進効果の確認は、上記実施例4-1.と同様の方法で進めた(表11)。
【0171】
【表11】
【0172】
上記の表11の結果で示されるように、一般細胞にバチルス・メガテリウムKCTC14780BP発酵物を処理時にヒアルロン酸合成率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般バチルス発酵物と比較し、バチルス・メガテリウムKCTC14778BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0173】
それにより、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14779BP発酵物、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物、バチルス・パラミコイデスKCTC14777BP及び/又はバチルス・メガテリウムKCTC14778BP発酵物は、皮膚シワ改善、弾力増進、保湿、皮膚の鎮静などに優れた効果を示すことが分かった。
【0174】
実施例5.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物の細胞活性増進効果の確認
Human dermal fibroblastに試料を各濃度別に48時間処理した。CCK-8 kit法を利用して細胞活性を測定した。試料の細胞活性効能は、陰性対照群(serum 0%含有DMEM)と比較して計算して数値を測定した。
【0175】
サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物の細胞活性増進効果を確認するために、一般細胞、一般細胞にFBS処理、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物処理、一般酵母(Saccharomyces cerevisiae KCTC 7296)発酵物処理及び酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)ポリペプチドを含む分画物処理時の細胞活性率を比較した(表12)。
【0176】
【表12】
【0177】
上記の表12の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)ポリペプチドを含む分画物を発酵物を処理時に細胞活性率が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般酵母発酵物と比較し、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物の増加率がさらに優れていた。
【0178】
それにより、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物は、細胞活性などに優れた効果を示すことが分かった。
【0179】
実施例6.酵母、ラクトバチルス発酵物の皮膚の鎮静及び炎症改善効果(NO生成抑制)の確認
実施例6-1.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物の皮膚の鎮静及び炎症改善効果(NO生成抑制)の確認
Raw 264.7細胞に試料を各濃度別に希釈して1μg/mlのLPSとともに処理して24時間培養した。NO定量kit法を利用してNO生成抑制能を下記のように評価した(表13)。
【0180】
NO生成抑制能(%)=(1-(試料添加時のNO生成量/試料無添加時のNO生成量)×100
【0181】
【表13】
【0182】
上記の表13の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物を処理時にNO生成抑制能が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般酵母発酵物と比較し、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0183】
実施例6-2.ラクトバチルス(ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP)発酵物の皮膚の鎮静及び炎症改善効果(NO生成抑制)の確認
皮膚の鎮静及び炎症改善効果の確認は、上記実施例6-1.と同様の方法で進めた(表14)。
【0184】
【表14】
【0185】
上記の表14の結果で示されるように、一般細胞にラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物を処理時にNO生成抑制能が増加することを確認した。この時、同様な条件で製造した一般ラクトバチルス発酵物と比較し、ラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物の増加率がさらに優れていた。
【0186】
それにより、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物及び/又はラクトバチルス・フルクチボランスKCTC14776BP発酵物は皮膚の鎮静及び炎症改善などに優れた効果を示すことが分かった。
【0187】
実施例7.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物のメラニン発現阻害効果の確認
B16f10メラニン細胞(B16f10 melanocyte)に試料を各濃度別に希釈して72時間処理して培養した後、メラニン細胞内に存在するメラニン色素の量を定量した。メラニン生成抑制率は、総タンパク質量比で計算した後、DMSO対照群(serum 0%含有DMEM、無処理群、陰性対照群)を100%で基準%で計算して数値を測定した。
【0188】
サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物のメラニン色素の量が減少する程度を測定するために、陽性対照群(Arbutin 200 ppm (Lim YJ et al.、2009,Arch Pharm Res.))、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物処理、酵母ポリペプチドを含む分画物処理時のメラニン生成抑制率を比較した(表15)。
【0189】
【表15】
【0190】
上記の表15の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物を処理時にメラニン生成抑制率が増加することを確認した。
【0191】
それにより、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物は、皮膚美白に優れた効果を示すことが分かった。
【0192】
実施例8.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物のフリーラジカル消去効果の確認
【0193】
試料をDMSOに溶かした後、0.15mm DPPH溶液と試料を同一量(100μl)ずつ混合して常温で30分間反応させた。その後、DPPHの色の変化を540nmで吸光度(A540)を測定した。
【0194】
サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物のラジカル消去能を評価するために、陽性対照群(Vitamin C)、サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物処理、酵母ポリペプチドを含む分画物処理時にA540値の測定を通じてIC50値を求め、ラジカル消去能を比較した(表16)。
【0195】
【表16】
【0196】
上記の表16の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物及び酵母ポリペプチドを含む分画物を処理時にフリーラジカル(活性酸素)消去効果を確認した。
【0197】
それにより、本発明のサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP発酵物は、抗酸化、抗老化及び外部刺激から皮膚保護効果に優れることが分かった。
【0198】
実施例9.酵母(サッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BP)の酵母ポリペプチドを含む分画物の敏感肌の鎮静効果の確認
実施例9-1.酵母ポリペプチドを含む分画物の紅斑/かゆみ誘発因子(PGE2)発現抑制効果の確認
Raw 264.7細胞に各濃度別に希釈してUVB(11mJ)処理した試料を24時間培養した。PGE2定量kit法を利用してPGE2(Prostaglandin E2)生成抑制能(%)を評価した。具体的には、4PL regressionを利用して検量線(Standard curve)を作成し、UVBで誘導されたPGE2生成効果を100%で計算して相対的に試料処理時にPGE2生成量を計算して数値を測定した(表17)。
【0199】
【表17】
【0200】
上記の表17の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPポリペプチドを含む分画物処理時のPGE2の発現抑制効果を確認した。
【0201】
それにより、本発明の酵母ポリペプチドを含む分画物は、皮膚紅斑/かゆみ症の緩和、敏感肌の鎮静及び改善などに優れた効果を示すことが分かった。
【0202】
実施例9-2.酵母ポリペプチドを含む分画物の皮膚バリア強化の主な成分LOR(Loricrin)発現増加効果の確認
HaCaT細胞にTNF-a (10pg/ml)を3時間処理後、試料を各濃度別に希釈してTNF-a処理したHaCaT細胞と混合して24時間培養した。qPCRを利用して皮膚バリアの主な成分であるLOR(Loricrin)発現増加程度を数値化した(表18)。
【0203】
【表18】
【0204】
上記の表18の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPポリペプチドを含む分画物を処理時にLOR発現が増加することを確認した。
【0205】
それにより、本発明の酵母ポリペプチドを含む分画物は、皮膚バリア強化、敏感肌の鎮静及び改善などに優れた効果を示すことが分かった。
【0206】
実施例9-3.酵母ポリペプチドを含む分画物の炎症性サイトカイン抑制効果の確認
HaCaT細胞に各濃度別に希釈してUVB(11mJ)処理した試料を24時間培養した。qPCRを利用して敏感肌で発現される炎症性サイトカイン(TNF-a)発現量を計算して数値を測定した(表19)。
【0207】
【表19】
【0208】
上記の表19の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPポリペプチドを含む分画物を処理時にTNF-a発現が抑制されることを確認した。
【0209】
それにより、本発明の酵母ポリペプチドを含む分画物は、敏感肌の鎮静及び改善などに優れた効果を示すことが分かった。
【0210】
実施例9-4.酵母ポリペプチドを含む分画物の皮膚神経性刺激誘発因子TRPV1活性抑制効果の確認
HEK 293T-TRPV1細胞に試料を各濃度別に希釈して処理し、10分後にCalcium influx detection assay kitを利用してTRPV1(Transient receptor potential vanilloid-1)活性抑制効果を評価した(表20)。
【0211】
【表20】
【0212】
上記の表20の結果で示されるように、一般細胞にサッカロマイセス・セレビシエKCTC14780BPポリペプチドを含む分画物を処理時にTRPV1活性が抑制されることを確認した。この時、同様な条件で処理した陽性対照群よりTRPV1活性抑制効果に優れることを確認した。
【0213】
それにより、本発明の酵母ポリペプチドを含む分画物は、皮膚神経性刺激/痛みの減少、敏感肌の鎮静及び改善などに優れた効果を示すことが分かった。
【0214】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれなければならない。
【配列表】
2024531027000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae)、寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides)及び寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)からなる群から選択される菌株。
【請求項2】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物、及び前記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用化粧料組成物。
【請求項3】
前記皮膚改善は、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚保湿、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和及び皮膚バリア機能強化からなる群から選択されたいずれか一つ以上である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記化粧料組成物は、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成の促進、細胞活性増進、NO生成抑制、メラニン発現阻害、フリーラジカル消去、PGE2(Prostaglandin E2)発現抑制、LOR(Loricrin)発現増加、TNF-a発現抑制またはTRPV1活性抑制効果を有する、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記分画物は、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ菌株の培養物または発酵物から水、C1~C4のアルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルムまたはジクロロメタンに分画された、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエを含む、皮膚の鎮静用、皮膚再生用、皮膚炎症改善用、皮膚保湿用、シワ改善用、弾力改善用、皮膚美白用、抗酸化用、抗老化用、敏感性肌の鎮静用、敏感肌改善用、紅斑緩和用、かゆみ症の緩和用または皮膚バリア機能強化用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランスを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用、皮膚の鎮静用、皮膚炎症改善用または皮膚保湿用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデスを含む、シワ改善用、弾力改善用、老化防止用または皮膚保湿用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
前記化粧料組成物は、寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウムを含む、皮膚保湿用化粧料組成物である、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物、及び前記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用医薬部外品組成物。
【請求項12】
前記皮膚改善は、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚保湿、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和及び皮膚バリア機能強化からなる群から選択されたいずれか一つ以上である、請求項11に記載の医薬部外品組成物。
【請求項13】
前記医薬部外品組成物は、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成の促進、細胞活性増進、NO生成抑制、メラニン発現阻害、フリーラジカル消去、PGE2(Prostaglandin E2)発現抑制、LOR(Loricrin)発現増加、TNF-a発現抑制またはTRPV1活性抑制効果を有する、請求項11に記載の医薬部外品組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の菌株、前記菌株の培養物、前記菌株の発酵物、及び前記培養物または発酵物の分画物のいずれか一つ以上を含む皮膚改善用食品組成物。
【請求項15】
前記皮膚改善は、シワ改善、弾力改善、老化防止、皮膚保湿、皮膚の鎮静、皮膚再生、皮膚炎症改善、皮膚美白、抗酸化、抗老化、敏感肌の鎮静、敏感肌改善、紅斑緩和、かゆみ症の緩和及び皮膚バリア機能強化からなる群から選択されたいずれか一つ以上である、請求項14に記載の食品組成物。
【請求項16】
前記食品組成物は、コラーゲン合成の促進、ヒアルロン酸合成の促進、細胞活性増進、NO生成抑制効果、メラニン発現阻害、フリーラジカル消去、PGE2(Prostaglandin E2)発現抑制、LOR(Loricrin)発現増加、TNF-a発現抑制またはTRPV1活性抑制を有する、請求項14に記載の食品組成物。
【請求項17】
寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、寄託番号KCTC14779BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ、寄託番号KCTC14776BPで寄託されたラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、寄託番号KCTC14777BPで寄託されたバチルス・パラミコイデス(Bacillus paramycoides)及び寄託番号KCTC14778BPで寄託されたバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)からなる群から選択される菌株で発酵する段階を含む、発酵物製造方法。
【請求項18】
寄託番号KCTC14780BPで寄託されたサッカロマイセス・セレビシエ菌株を培養する段階;及び
菌株の培養物または発酵物から水、C1~C4のアルコール、ヘキサン、エチルアセテート、クロロホルムまたはジクロロメタンに分離する段階を含む、分画物の製造方法。
【国際調査報告】