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特表2024-531037取り外し可能な吸気口アセンブリを有するエアロゾル収集器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】取り外し可能な吸気口アセンブリを有するエアロゾル収集器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20240822BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20240822BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20240822BHJP
   B01D 46/54 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G01N1/02 D
G01N1/04 H
G01N1/22 B
B01D46/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577687
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022033691
(87)【国際公開番号】W WO2022266265
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,954
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515233890
【氏名又は名称】イノヴァプレップ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】INNOVAPREP LLC
【住所又は居所原語表記】132 EAST MAIN STREET, DREXEL, MO 64742, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】パッキンガム,ザッカリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】グラハム,スティーヴン・ディ
(72)【発明者】
【氏名】スプライ,シドニー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ポルソン,デール・ディ
【テーマコード(参考)】
2G052
4D058
【Fターム(参考)】
2G052AA05
2G052AA36
2G052AC02
2G052AC12
2G052BA05
2G052BA14
2G052BA22
2G052EA03
2G052EA13
2G052GA29
2G052JA01
2G052JA07
2G052JA16
4D058JA19
4D058QA01
4D058QA03
4D058QA11
4D058QA15
4D058QA21
4D058SA13
4D058SA15
4D058SA20
4D058TA01
(57)【要約】
本発明は、分析のための、エアロゾルおよびバイオエアロゾルの収集および回収に関する装置、システム、および方法を開示する。システムは、全方向性の吸気口アセンブリを含んでおり、この全方向性の吸気口アセンブリは、容易に取り外して除染することができ、すでに洗浄した吸気口アセンブリまたは方向性の吸気口もしくは他の用具と取り替えることができる。この全方向性の吸気口アセンブリは、動物呼吸ゾーン、エアダクト、空気が近づく移動中の車両、および他のサンプリングのシナリオからの収集のためのものである。また、システムは、他の特徴を含んでおり、向上した有用性および性能を提供しつつ他の同様のシステムよりも低コストであることを可能としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルおよびバイオエアロゾルを収集するための装置であって、
収集器本体と、
前記収集器本体の天辺に位置する、モジュール型のフィルターと、
前記モジュール型のフィルターの天辺に位置し、前記収集器本体と可逆的に接続可能な、モジュール型の吸気口アセンブリであって、前記モジュール型のフィルターまでの完全な流体流路を含む、モジュール型の吸気口アセンブリと、
を含む装置。
【請求項2】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、前記収集器本体から手動で分離可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、前記モジュール型の本体から1/4回転によって取り外し可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記1/4回転が、前記モジュール型の本体のクリップを前記モジュール型の吸気口アセンブリの対応する穴から係合解除することによって行われる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、射出成形された導電性プラスチックから作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、前記流路を含む表面に電導性被覆材を設けた射出成形プラスチックから作製されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、全方向性の吸気口である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、方向性の吸気口である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、アクティブ型の羽根型吸気口である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、屈曲したサンプル採取用プローブである、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
柔軟なホースが前記モジュール型の吸気口アセンブリに取り付けられており、
サンプル採取用プローブまたはノズルをホースに取り付けることができる、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、引っ掛け輪を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記収集器本体に位置し、流体を前記モジュール型の吸気口アセンブリ内に取り込むファンをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記モジュール型の吸気口アセンブリが、吸気口蓋と、頂部カバーと、底部カバーと、を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記流体流路が、前記吸気口蓋と前記頂部カバーとの間の間隙によって形成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記間隙が、円周状であり、それにより、全方向性の吸気口を実現している、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記モジュール型のフィルターが、エレクトレットフィルターである、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
サンプリングしながら装置を運ぶことを可能とする一体型の取っ手を前記収集器本体にさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記収集器本体の下側に位置する三脚ポートをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
エアロゾルおよびバイオエアロゾルを収集するための装置であって、
垂直中心軸を有する収集器本体と、
前記収集器本体の天辺に位置し、前記収集器本体の前記垂直中心軸上に中心を有する、モジュール型のフィルターと、
前記収集器本体の前記垂直中心軸上に中心を有し、前記モジュール型のフィルターの天辺に位置し、前記収集器本体と可逆的に接続可能な、モジュール型の吸気口アセンブリと、
前記収集器本体に位置しており、前記垂直中心軸に沿った下方の流れ方向の、前記モジュール型のフィルターまでの完全な流体流路を形成するよう適応しているファンと、
を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2021年6月15日出願の米国仮特許出願第63/210,954に基づく優先権を主張し、その内容の全体が参照により本開示に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、エアロゾルおよびバイオエアロゾルの収集の分野に関する。より詳しくは、本開示は、古典的および近代的な、迅速な微生物学的方法を使用してその後の分析を行なうために、細菌、ウイルス、真菌類等の空気中を浮遊する微生物を捕捉するための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
速やかで効果的な空気サンプリングの必要性は、以下を含む全ての産業にわたって増大している。すなわち、食品加工、医薬品製造、軍および諜報の世界、ならびに、他のあらゆる場所であって、空気中の微粒子の対象サンプルを検出することが、その場所の中での動作が適切に機能するために重要または決定的となる場所、である。ただし、これらには限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、従来のシステムの欠点に対処し、技術を前進させるために、交換可能な、導電性プラスチックの、全方向性および方向性の吸気口ならびに他のサンプリング用具を有する、低コストの装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本主題開示は、分析のための、エアロゾルおよびバイオエアロゾルの収集および回収に関する装置、システム、および方法を開示する。システムは、モジュール型の、全方向性の吸気口アセンブリを含んでおり、この全方向性の吸気口アセンブリは、容易に取り外して除染することができ、すでに洗浄した吸気口アセンブリまたは方向性の吸気口もしくは他の用具と取り替えることができる。この全方向性の吸気口アセンブリは、動物呼吸ゾーン、エアダクト、空気が近づく移動中の車両(air nearing moving vehicles)、および当業者にとってよく知られている他のサンプリングのシナリオからの収集のためのものである。また、システムは、他の革新的な特徴を含んでおり、装置が、向上した有用性および性能を提供しつつ他の同様のシステムよりも低コストであることを可能としている。
【0006】
ここで開示するシステムは、低コストのエアロゾル収集装置を含んでいる。このエアロゾル収集装置は、モジュール型の、平らなフィルターアセンブリを使用して、対象となる粒子を、その後の分析のために、空気から収集する。平らなフィルターアセンブリは、例えば、出願人(INNOVAPREP LLC)の、Bobcat Rapid Filter Elution Kit、または、Joint Biological Tactical Detection System(JBTDS)溶出キットを含むことができる。これらのキットは、低圧力降下エレクトレットフィルターを使用して、Wet Foam Elutionプロセス(INNOVAPREP)を使用するその後の溶出のために、空気から粒子を効率的に捕捉する。
【0007】
ここで開示する、低コストのエアロゾル収集装置は、1/4回転する、全方向性の吸気口アセンブリを含んでおり、これは、使用者が容易に取り外すことができる。この特徴により、使用者は、フィルター上にサンプルを収集し、その後、吸気口アセンブリを、続いてフィルターを取り外して、その後のサンプルの溶出および分析を行なうことができる。その後、新しいフィルターをサンプル採取器内に配置してもよく、吸気口は、第2の吸気口アセンブリと取り替えてもよく、元の吸気口アセンブリは、洗浄および除染してから再配置してもよい。これにより、洗浄時間の手間(hands)およびサンプル同士の間の交差汚染の可能性を著しく減少させることができる。また、全方向性の吸気口は、必要に応じて、方向性の、および他のサンプリング用具と取り替えてもよい。
【0008】
また、エアロゾル収集器は、射出成形した筐体内に含まれるファンおよび制御装置と、射出成形した導電性プラスチックの構成部材からなる、1つまたは複数の別個の吸気口アセンブリと、を含んでいる。この設計により、フィルターまでの吸気口流路全体が、射出成形した導電性プラスチックの構成部材からなることが可能となっている。これにより、吸気口アセンブリは、静電荷を直ちに蓄積することはなく、よって、フィルターの上流の吸気口表面に対する粒子の損失を著しく削減することができる。また、吸気口の構成部材を、金属の構成部材ではなく、射出成形した導電性プラスチックの構成部材から製造することによって、収集器の総コストおよび総重量の両方を著しく削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の様々な例示的な実施形態を詳細に記載する。記載では、同様の参照番号は、同一または同様の構成部材または工程を表し、以下の各図を参照する。
図1】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、収集フィルターと、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリと、を収集器本体から取り外した状態の、エアロゾル収集器の正面斜視図を示している。
図2】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、収集フィルターと、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリと、を収集器本体から取り外した状態の、エアロゾル収集器の左側斜視図を示している。
図3】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、エアロゾル収集器と、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリと、を収集器本体から取り外した状態の、収集フィルターの右側斜視図を示している。
図4】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、エアロゾル収集器と、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリと、を収集器本体に取り付けた状態の、エアロゾル収集器の左側斜視図を示している。
図5】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリを収集器本体に取り付けた状態の、エアロゾル収集器の正面図を示している。
図6】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、エアロゾル収集器と、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリと、を収集器本体に取り付けた状態の、エアロゾル収集器の底部斜視図を示している。
図7】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリを取り付けるために使用するクリップを有するエアロゾル収集器の、左側面からの分解斜視図を示している。
図8】本開示の例示的態様に係る取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリの分解図を示している。
図9】本開示の例示的態様に係る、バッテリー駆動のエアロゾル収集器の電子装置アセンブリの分解図を示している。
図10】本開示の例示的態様に係る、バッテリー駆動のエアロゾル収集器であって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリを有するエアロゾル収集器の分解図を示している。
図11】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、取り外し可能な吸気口アセンブリと、空気流からのサンプリングのためのプローブと、を有するエアロゾル収集器を示している。
図12】本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器であって、取り外し可能な方向性の吸気口アセンブリと、移動性の、手持ち式のサンプリングのための取っ手と、を有するエアロゾル収集器を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な実施形態において、本主題開示は、低コストのエアロゾル収集装置であって、モジュール型の、平らなフィルターアセンブリを使用して、対象となる粒子を、その後の分析のために、空気から収集するものである。本開示は、一般に、エアロゾルおよびバイオエアロゾルの収集の分野に関する。より詳しくは、本開示は、古典的および近代的な、迅速な微生物学的方法を使用してその後の分析を行なうために、細菌、ウイルス、真菌類等の空気中を浮遊する微生物を捕捉するための装置、システム、および方法に関する。
【0011】
エアロゾル収集装置は、モジュール型の、平らなフィルターアセンブリを使用して、対象となる粒子を、その後の分析のために、空気から収集する。平らなフィルターアセンブリは、出願人(INNOVAPREP LLC)の、Bobcat Rapid Filter Elution Kit、または、Joint Biological Tactical Detection System(JBTDS)溶出キットを含むことができる。これらのキットは、低圧力降下エレクトレットフィルターを使用して、INNOVAPREP Wet Foam Elutionプロセスを使用するその後の溶出のために、空気から粒子を効率的に捕捉する。
【0012】
収集器を使用可能な用途には、環境モニタリング、産業衛生、疾患の集団発生のモニタリングおよび医療施設内でのモニタリングを含む公衆衛生モニタリング、動物衛生モニタリング、食料安全モニタリング、医薬施設モニタリング、メタゲノム研究、生物テロ防御および生物テロ検出、その他の同様の用途、等が含まれる。
【0013】
ここで開示する、低コストのエアロゾル収集装置は、1/4回転する、全方向性の吸気口アセンブリを含んでおり、これは、使用者が容易に取り外すことができる。この特徴により、使用者は、フィルター上にサンプルを収集し、その後、吸気口アセンブリを、続いてフィルターを取り外して、その後のサンプルの溶出および分析を行なうことができる。その後、新しいフィルターをサンプル採取器内に配置してもよく、吸気口は、第2の吸気口アセンブリと取り替えてもよく、元の吸気口アセンブリは、洗浄および除染してから再配置してもよい。これにより、洗浄時間の手間およびサンプル同士の間の交差汚染の可能性を著しく減少させることができる。また、全方向性の吸気口は、必要に応じて、方向性の、および他のサンプリング用具と取り替えてもよい。
【0014】
また、エアロゾル収集器は、射出成形した筐体内に含まれるファンおよび制御装置と、射出成形した導電性プラスチックの構成部材からなる、1つまたは複数の別個の吸気口アセンブリと、を含んでいる。この設計により、フィルターまでの吸気口流路全体が、射出成形した導電性プラスチックの構成部材からなることが可能となっている。これにより、吸気口アセンブリは、静電荷を直ちに蓄積することはなく、よって、フィルターの上流の吸気口表面に対する粒子の損失を著しく削減することができる。また、吸気口の構成部材を、金属の構成部材ではなく、射出成形した導電性プラスチックの構成部材から製造することによって、収集器の総コストおよび総重量の両方を著しく削減することができる。
【0015】
以下の各図に、ここで開示するエアロゾル収集装置の複数の構成を示し、記載する。
【0016】
図1は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器100であって、モジュール型の収集フィルター104と、モジュール型の、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101と、を収集器本体105から取り外した状態の、エアロゾル収集器100の正面図を示している。
【0017】
エアロゾル収集器100は、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101と、収集器本体105と、からなっており、フィルター104を使用して、エアロゾルとバイオエアロゾルとを収集する。取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101は、引っ掛け輪103と吸気開口102とを含んでいる。収集器本体105は、4つの脚部106と、ユーザーインターフェース107と、フィルター用台座108と、いくつかの吸気口アセンブリクリップ109(この例では4つ)と、を含んでいる。
【0018】
エアロゾル収集器100を使用するには、使用者は、フィルター104をフィルター用台座108内に挿入して、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101を収集器本体105に取り付ける。取り付けを行うには、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101を収集器本体105に押し付け、時計回りにおよそ1/4回転させることで、4つの吸気口アセンブリクリップ109を、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101の底部の4つの窪みに係合させる。
【0019】
その後、ユーザーインターフェース107を利用して収集の実行を開始する。エアロゾル収集器100は、ユーザーインターフェース107による設定で、収集を、いくつかの流速のうちの1つで、いくつかの実行時間のうちの1つの間、または、連続して実行することができる。バッテリーインジケーターを使用して、適切な時に、搭載するバッテリーの充電状態を知らせる。
【0020】
収集期間が完了すると、エアロゾル収集器100は、自動的にオフになるか、使用者がユーザーインターフェース107を利用して収集の実行を手動で終了させてもよい。その時、使用者は、一方の手に収集器本体105を、他方の手に取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101を掴み、反時計回りにおよそ1/4回転させることで、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101の底部の4つの窪みから4つの吸気口アセンブリクリップ109の係合を解除することができる。その後、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ101を収集器本体105から持ち上げることができ、フィルター104を取り外してもよい。その後、フィルター104は、取り出してもよく、分析してもよい。
【0021】
図2は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器200であって、収集フィルター204と、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ201と、を収集器本体205から取り外した状態の、エアロゾル収集器200の左側面図を示している。
【0022】
図3は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器300であって、収集フィルター304と、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ301と、を収集器本体305から取り外した状態の、エアロゾル収集器300の右側面図を示している。
【0023】
図4は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器400であって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ401を収集器本体402に取り付けた状態の、エアロゾル収集器400の左側面図を示している。
【0024】
図5は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器500であって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ501を収集器本体502に取り付けた状態の、エアロゾル収集器500の正面図を示している。
【0025】
図6は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器600であって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ601を収集器本体602に取り付けた状態の、エアロゾル収集器600の正面部分底面図を示している。コネクター603は、電源と接続するためのポートを提供する。ポート604は、三脚を取り付けるための、ねじを切った挿入口を提供する。
【0026】
図7は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器700であって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリを取り付けるために使用するクリップ702を有するエアロゾル収集器700の、左側面からの部分分解図を示している。収集器本体703は、4つのねじ701によって収集器本体703に取り付けた4つのクリップ702を含んでいる。ユーザーインターフェース704は、収集器本体703の前面に接合されている。
【0027】
図8は、本開示の例示的態様に係る取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ800の分解図を示している。取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ800は、4つのねじ801を使用して組み立てられており、引っ掛け輪802と、吸気口蓋803と、吸気口頂部カバー804と、吸気口底部カバー805と、を一緒に保持している。ガスケット806は、吸気口底部カバー805の底部側のフィルター用台座内に接合されている。
【0028】
吸気口蓋803と、吸気口頂部カバー804と、吸気口底部カバー805と、は導電性の射出成形プラスチックからなっており、吸気開口から収集フィルターの前面(face)までの導電性の流路を形成している。この構成により、流路壁に対する粒子の損失を削減することができる。
【0029】
ガスケット806は、収集器本体に取り付ける際に、フィルターを吸気口アセンブリ内に封止するのに適した表面を提供する。吸気口底部カバー805は、収集器本体の頂面側のクリップと噛み合う4つの窪みを含んでいる。これらの窪みとクリップとによって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ800を、収集器本体に容易に取り付け、収集器本体から容易に取り外すことが可能となっている。
【0030】
図9は、本開示の例示的態様に係る、バッテリー駆動のエアロゾル収集器の電子装置アセンブリ900の分解図を示している。電子装置アセンブリ900は、頂部接着性ガスケット901と、ファン902と、2つのバッテリーパック903と、制御盤904と、収集器本体底部905と、底部接着性ガスケット906と、コネクター907と、コネクターカバー908と、を含んでいる。ファン902は、2つのバッテリーパック903の間の中心に位置する軸流ファンまたはインラインファンである。この対称的なアセンブリによって、小型で重量のバランスのとれたエアロゾル収集器の実現が可能となる。制御盤904および2つのバッテリーパック903に設けられた電子装置と、電源コネクター907と、によって、バッテリーによる動作、または壁面コンセントからの電力による動作(wall power)が可能となっている。
【0031】
図10は、本開示の例示的態様に係る、バッテリー駆動のエアロゾル収集器1000であって、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ1001を有するエアロゾル収集器1000の分解図を示している。電子装置アセンブリ1003は、2つのバッテリーパックと、制御盤と、エアロゾル収集器1000の組立後にバッテリーパックを所定の位置に保持するためのガスケットと、を含んでいる。バッテリー駆動のエアロゾル収集器1000を組み立てるには、収集器本体1002を電子装置アセンブリ1003に対してスライドさせ、4つのねじ1004を挿入する。組立後、取り外し可能な全方向性の吸気口アセンブリ1001を収集器本体1002に取り付けることができる。
【0032】
図11は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器1100であって、取り外し可能な吸気口アセンブリ1106と、空気流からのサンプリングのためのプローブ1102と、を有するエアロゾル収集器1100を示している。エアロゾル収集器1100は、取り外し可能な吸気口アセンブリ1106と、ホースバーブ1105と、取り付けホース1104と、搭載板1103と、プローブ1102と、プローブ吸気口1101と、が設けられた収集器本体1107を含んでいる。
【0033】
取り外し可能な吸気口アセンブリ1106は、1/4回転によって収集器本体1107から取り外すことができ、フィルターを、内部のフィルター用台座内に配置することができる。取り外し可能な吸気口アセンブリ1106は、好ましくは、導電性プラスチックの射出成形によって製造する。吸気口アセンブリがこのように設計され、射出成形された導電性プラスチックを用いて製造されることによって、フィルターまでの流路全体が、確実に、滑らかな導電性材料からなっている。この手法によって、静電気的な収集に起因する吸気口表面に対する損失を最小化することができるようにし、そのために、確実に粒子をフィルターまで効率よく運ぶことができる。
【0034】
取り外し可能な吸気口アセンブリ1106は、様々な長さのホース1104を取り付けるためのホースバーブ1105を有している。ホース1104は、空気と、含まれる粒子と、をプローブ1102から、取り外し可能な吸気口アセンブリ1106に、つまり収集フィルターに運ぶ。プローブ1102は、空気処理ダクト、風胴、その他の空気移動路内に配置して、搭載板1103を使用して取り付けることができる。プローブ1102とプローブ吸気口1101との大きさは、適宜選択して、流路内での良好な粒子移送、低圧力、および等速サンプリングを適宜確実にすることができる。また、搭載板1103を使用してプローブ1102を車両、ボート、または航空機に搭載して、移動中での空気流からのサンプリングを可能とすることができる。
【0035】
図12は、本開示の例示的態様に係るエアロゾル収集器1200であって、取り外し可能な方向性の吸気口アセンブリ1203と、移動性の、手持ち式のサンプリングのための取っ手1205と、を有するエアロゾル収集器1200を示している。エアロゾル収集器1200は、取り外し可能な吸気口アセンブリ1203と、取っ手1205と、を有する収集器本体1204を含んでいる。取り外し可能な吸気口アセンブリ1203は、収集器本体1204に取り付けられ、方向性の吸気口1202と、吸気開口1201と、を含んでいる。この構成により、使用者は、方向性の近距離サンプリングのための手持ち式の装置として、および、施設または場所を評価(auditing)または通って歩く(walking through)際に、エアロゾル収集器1200を利用することができる。
【0036】
開示するエアロゾル収集器は、エアロゾルおよびバイオエアロゾルの収集の技術を前進させるために、高流速かつ高効率の収集器であって、サンプル同士の間の交差汚染の可能性を低減しつつサンプル収集を向上させる特徴を有する、より低コストの収集器を提供する。エアロゾル収集器は、軸流ファンまたはインラインファンと、2つのバッテリーと、を使用して、構成を小型とし、ユーザーインターフェースと、電源ポートと、三脚ポートと、を例外として、中央の垂直軸に対して対称的な、本体外殻と取り外し吸気口アセンブリとを提供する。この設計により、エアロゾル収集器の組立は簡便となり、組み立てたユニットは、2つの別個のバッテリーの使用によってバランスのよくとれたものになる。
【0037】
軸流ファンまたはインラインファンの使用に加えて、本開示の考慮後に当業者にとって明らかとなるであろう、他の種類のファンを使用することができる。これらには、プロペラ送風機、遠心ファン、ラジアルファン、混流送風機、および横流ファン等が含まれるが、これらには限定されない。
【0038】
エアロゾル収集器を通る流れを制御するには、本明細書に記載の各方法を含む、当業者にとって明らかな手法をいくつでも使用することができる。ただし、これらには限定されない。フローセンサーとパルス幅変調(PWM)とを使用して、ファンの速度、すなわちエアロゾル収集器およびフィルターを通る流速を制御してもよい。ファンを、設定した毎分回転数(RPM)に制御するために、PWMを使用して制御し、搭載する回転速度計を使用してRPMフィードバックを行なってもよい。追加的に、流れを制御するために、フローセンサーまたは回転速度計からのフィードバックに対して電圧制御を行なってもよい。電流帰還を使用して流速を監視することもできる。ルックアップ表またはアプリケーションを顧客に提供して、標準的な流速への変換を可能にしてもよい。
【0039】
装置が小型であり、中央の垂直軸に対して対称的であることで、取り外し可能な吸気口アセンブリの直径を、収集器本体とおよそ同じとすることができ、これによって、収集器本体自体の渦発生体効果を低減することができる。よって、全方向性の吸気開口に入る空気の流れに対して、収集器本体が空気流に対して起こし得る乱流によって、収集器本体自体が影響を与えることがない。
【0040】
取り外し可能な吸気口アセンブリは、一般に、導電性の射出成形プラスチックから作製することで、静電気的な収集力を低減しつつエアロゾル収集器の全体的な製造コストを削減する。これによって、吸気口アセンブリにおける高い粒子移送効率を可能とする。導電性のプラスチックには、一般に、炭素鋼、ステンレス鋼、または他の金属粒子もしくは繊維充填材等が含まれるが、当業者にとって明らかな、任意の導電性の射出成形または成形プラスチック材料を使用することができる。また、吸気口アセンブリは、非導電性プラスチックから作製し、吸気開口と内部流路とに沿って導電性材料で被覆してもよい。最後に、吸気口アセンブリは、当業者にとって明らかな、従来の印刷手法または3D印刷手法を使用して、金属または他の導電性材料から作製してもよい。
【0041】
いくつかの様々な、取り外し可能な吸気口アセンブリを、エアロゾル収集器との使用のために作製することができる。これらには、以下が含まれる。すなわち、全方向性の吸気口アセンブリ;方向性の吸気口アセンブリ;サンプル採取用プローブ;表面からの乾燥した材料の収集のための、または固い表面もしくはカーペット等を含む表面の吸引のための、バキューム式の柄;動物等の粒子源、産業的な源、または他の点源(point sources)からの近傍サンプリングのためのプローブ;アクティブ型の羽根型吸気口;衝撃力または遠心力を使用してフィルターに収集する前に大きな粒子を取り除く吸気口等の、粒子分離吸気口;当業者にとって明らかな、その他の種類の吸気口。ただし、これらには限定されない。
【0042】
取り外し可能な吸気口アセンブリは、収集フィルターまでの流路全体を含んでいる。これによって、フィルターを通過する空気、同伴する粒子、および気体が接触するのは、取り外し可能な吸気口アセンブリの流路のみとなる。取り外し可能な吸気口アセンブリは、電子部品を含んでおらず、それによって、エアロゾル収集器から取り外し、以下の方法で除染することができる。すなわち、汚れを拭き取る、除染または洗浄流体に浸す、食器洗浄器に配置する、エチレンオキシドまたは蒸気質の過酸化水素等の、当業者にとって明らかな気体を用いる滅菌器に配置する、オートクレーブする、洗浄する、滅菌する、または、当業者にとって明らかな任意の他の方法によって除染する。
【0043】
取り外し可能な吸気口アセンブリは、容易に取り外して、すでに洗浄した、他の取り外し可能な吸気口アセンブリと取り替えることができる。これにより、使用者は、サンプル収集の各実行の間で、洗浄した吸気口流路を速やかに、容易に提供することができ、サンプル同士の間の交差汚染の可能性を大きく低減または排除することができる。また、ある種類の取り外し吸気口アセンブリを、他の種類の吸気口アセンブリと容易に取り替えて、他のサンプリングシナリオに用いることができる。これらのアセンブリがモジュール型であることで、各サンプリングシナリオにおいて、適切な種類の吸気口を使用することが可能となる。
【0044】
収集器本体は、ガスケットとOリングとを使用して密閉し、ファンと、電子装置と、制御盤と、コネクターと、は当業者に知られている方法を使用して密閉することができる。これにより、エアロゾル収集器は、屋外環境での動作のための適切な要件を満たすことができる。
【0045】
本明細書と添付の図面で使用される場合、「or」という用語は、排他的な「or」ではなく、包括的な「or」を意味することを意図している。さらに、本明細書および添付の図面で使用される冠詞「a」および「an」は、一般に、別段の指定がない限り、または文脈から単数形を意図していることが明らかでない限り、「1または複数の」を意味すると解釈されるべきである。
【0046】
上述の事項は、本開示の利点を示す例を含んでいる。もちろん、本開示を説明する目的で、考えられるすべての構成要素または方法論の組み合わせを記載することは可能ではないが、当業者であれば、特許請求する主題の、さらなる数多くの組み合わせおよび並び替えが可能であることを認識することができる。そのうえ、詳細な説明、特許請求の範囲、付録、および図面において「includes」、「has」、「possesses」等の用語が使用される範囲において、そのような用語は、特許請求の範囲において移行句として使われるときに解釈される「comprising」という用語と同様に、包括的であることを意図している。
【0047】
本明細書で示される図および例は説明のためのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本開示の広範な発明概念から逸脱することなく、上述した実施形態に変更または改変を加えることができることは、当業者には認識されるであろう。したがって、本開示は、本明細書に記載した特定の実施形態には限定されず、本開示の範囲および精神内において、あらゆる改変および変更をカバーすることを意図していることが理解される。
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【国際調査報告】